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特許7255419半導体集積回路、赤外線センサ、及び赤外線撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】半導体集積回路、赤外線センサ、及び赤外線撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20230404BHJP
   H04N 5/33 20230101ALI20230404BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20230404BHJP
   G01J 1/44 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N5/33
G01J1/02 C
G01J1/02 Q
G01J1/44 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019151385
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021034823
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川田 諭
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074268(JP,A)
【文献】特開2008-160344(JP,A)
【文献】特開2019-114949(JP,A)
【文献】特開2000-357923(JP,A)
【文献】国際公開第2007/000879(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/099723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/77
H04N 5/33
G01J 1/02
G01J 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域が縦横に配列された2次元アレイの各画素領域において、光電変換素子の一端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第1のソースフォロアアンプと、前記光電変換素子の他端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第2のソースフォロアアンプと、を含む画素回路と、
前記第1のソースフォロアアンプの出力と前記第2のソースフォロアアンプの出力とを入力する、前記2次元アレイの外部に配置された計装アンプと
を含む半導体集積回路。
【請求項2】
前記各画素領域において、前記第1のソースフォロアアンプの回路レイアウトと前記第2のソースフォロアアンプの回路レイアウトとは同一パターンであり同一方向に配置されている、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記各画素領域において、前記第1のソースフォロアアンプ及び前記第2のソースフォロアアンプの各々は、前記NMOSトランジスタの代わりにPMOSトランジスタを含む、請求項1又は2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記2次元アレイの複数行に亘り同一列に配置される画素領域に含まれる前記NMOSトランジスタに対して共通に直列に接続された負荷トランジスタを更に含む、請求項1又は2記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記2次元アレイの複数行に亘り同一列に配置される画素領域に含まれる前記NMOSトランジスタに対して共通に直列に接続された負荷抵抗素子を更に含む、請求項1又は2記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記各画素領域における前記画素回路は、第1のソースフォロアアンプの代わりに第1のソース接地アンプを含み、第2のソースフォロアアンプの代わりに第2のソース接地アンプを含む、請求項1又は2記載の半導体集積回路。
【請求項7】
複数の光電変換素子が縦横に配列された光電変換装置と、
複数の画素領域が縦横に配列された2次元アレイの各画素領域において、対応する前記光電変換素子の一端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第1のソースフォロアアンプと、前記対応する光電変換素子の他端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第2のソースフォロアアンプと、を含む画素回路と、
前記第1のソースフォロアアンプの出力と前記第2のソースフォロアアンプの出力とを入力する、前記2次元アレイの外部に配置された計装アンプと
を含む赤外線センサ。
【請求項8】
光学系と、
前記光学系を介して光が入射される複数の光電変換素子が縦横に配列された光電変換装置と、
複数の画素領域が縦横に配列された2次元アレイの各画素領域において、対応する前記光電変換素子の一端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第1のソースフォロアアンプと、前記対応する光電変換素子の他端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第2のソースフォロアアンプと、を含む画素回路と、
前記第1のソースフォロアアンプの出力と前記第2のソースフォロアアンプの出力とを入力する、前記2次元アレイの外部に配置された計装アンプと
前記計装アンプの出力信号を処理する信号処理回路と、
前記信号処理回路の出力を外部に送信する画像出力回路と、
を含む赤外線撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、半導体集積回路、赤外線センサ、及び赤外線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非冷却型の赤外線撮像装置においては、入射赤外線の光量に応じて信号を出力する光電変換素子として、抵抗値の変化やダイオードの電流-電圧特性の変化を観測するもの、或いは、発生する起電力による差電圧を観測するものが用いられている。このうち後者の差電圧を観測するものは、目標から入射してくる赤外線の強度と背景シーンから入射してくる赤外線の強度とがほぼ等しいこともあり、差電圧は小さな値となる。この小さな差電圧を観測するためには、光電変換素子が出力する差電圧を計装アンプ(インスツルメンテーションアンプ)により増幅し、読出を行えばよい。計装アンプを使用すると、入力ラインに同相で重畳するコモンモードのノイズは差電圧検出処理によりキャンセルされるため、小さな電圧差も問題なく検出することが可能となる。
【0003】
大規模な2次元型の撮像装置においては、一辺が数ミクロンから数十ミクロンの大きさを有する複数個の画素が、2次元アレイ状に配置される。この場合、計装アンプは微少なサイズの画素内に入りきらないためアレイの外部に配置され、画素と計装アンプとは多対一に接続される。各画素からの出力電圧は、寄生容量及び無視できない配線抵抗を有する長い信号配線を介して計装アンプに入力されるため、応答速度が低下したり、コモンモードのノイズの除去率が低下したりして、微少な画素出力信号を適切に読み出すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-218090号公報
【文献】特開2006-60512号公報
【文献】特開2008-22315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上を鑑みると、2次元アレイ画素内に配置された光電変換素子からの信号を適切に読み出し可能な半導体集積回路が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体集積回路は、複数の画素領域が縦横に配列された2次元アレイの各画素領域において、光電変換素子の一端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第1のソースフォロアアンプと、前記光電変換素子の他端にゲートが接続されるNMOSトランジスタを含む第2のソースフォロアアンプと、を含む画素回路と、前記第1のソースフォロアアンプの出力と前記第2のソースフォロアアンプの出力とを入力する、前記2次元アレイの外部に配置された計装アンプとを含む。
【発明の効果】
【0007】
少なくとも1つの実施例によれば、2次元アレイ画素内に配置された光電変換素子からの信号を適切に読み出し可能な半導体集積回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】光電変換素子の出力を計装アンプにより増幅する構成の基本的な回路構成を示す図である。
図2】複数の光電変換素子が計装アンプに多対1に接続された一般的な構成を示す図である。
図3】第1の実施例による半導体集積回路の構成の一例を示す図である。
図4】第2の実施例による半導体集積回路の構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施例に対する変形例の回路構成を示す図である。
図6】第2の実施例に対する変形例の回路構成を示す図である。
図7】第1の実施例に対する別の変形例の回路構成を示す図である。
図8図7に示すソース接地アンプに対する変形例を示す図である。
図9】第2の実施例に対する別の変形例の回路構成を示す図である。
図10図9に示すソース接地アンプに対する変形例を示す図である。
図11】半導体集積回路から外部に計装アンプの出力を送出する構成の一例を示す図である。
図12】半導体集積回路から外部に計装アンプの出力を送出する構成の別の一例を示す図である。
図13】赤外線センサの構成の一例を示す図である。
図14】赤外線撮像装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、光電変換素子の出力を計装アンプにより増幅する構成の基本的な回路構成を示す図である。図1に示す回路は、光電変換素子10、定電圧源11、及び計装アンプ12を含む。光電変換素子10は、入射赤外線強度に応じて起電力により差電圧を生成する。光電変換素子10が生成する差電圧が微小なレベルである場合、増幅率の大きな計装アンプ(インスツルメンテーションアンプ)12により増幅して読み出すことができる。
【0010】
計装アンプ12は、入力側が一対のアナログ差動信号であり出力側がアナログシングルエンド信号であり、リファレンス入力端子に印加される電位を基準電位として動作する。一般に、外付けされる1個の抵抗素子によりゲインを所望の値に設定することができる。計装アンプ12の回路構成としては、2個又は3個のオペアンプと複数の抵抗素子とを組み合わせたものが一般的である。光電変換素子10の生成する差電圧を計装アンプにより増幅することで、差動信号に同相で重畳するコモンモードのノイズをキャンセルし、小さな電圧差を問題なく検出することが可能となる。
【0011】
図2は、複数の光電変換素子が計装アンプに多対1に接続された一般的な構成を示す図である。複数の光電変換素子10は、例えば赤外線画像を撮像するための複数の画素に対応する。各画素回路20は、光電変換素子10及び画素選択用スイッチとして機能するNMOSトランジスタ13を含む。光電変換素子10の一端は、計装アンプ12の一方の入力に接続された定電圧源11に共通に接続される共通電極である。光電変換素子10の他端は、NMOSトランジスタ13を介して計装アンプ12の他端に接続される個別電極である。ゲート端に印加する信号に応じてNMOSトランジスタ13の導通及び非導通を制御することにより、所望の画素からの出力電圧を計装アンプ12に入力する。
【0012】
大規模な2次元型の撮像装置においては、一辺が数ミクロンから数十ミクロンの大きさを有する複数個の画素が、2次元アレイ状に配置される。この場合、計装アンプは微少なサイズの画素内に入りきらないため、図2に示されるようにアレイの外部に配置され、画素と計装アンプ12とは多対一に接続される。1つの計装アンプ12の一方の入力はアレイ外部で定電圧源11の基準電圧に接続され、この基準電圧には各画素の共通電極が接続される。計装アンプ12の他方の入力は、各画素の個別電極に共通の信号線を介して接続される。各画素において個別電極側には画素切り替えのためのスイッチ(NMOSトランジスタ13)が設けられるため、共通の信号線には多くの寄生容量Cが接続されている状態になる。また共通の信号線の配線抵抗Rも無視できる程小さくはない。
【0013】
従って図2に示される回路構成の場合には、スイッチにより選択された画素からの出力は、共通の信号線の抵抗Rを介して大きな寄生容量Cを充放電する必要があり、高速に応答することができない場合がある。更に、計装アンプ12の一方の入力に印加される基準電圧が画素位置に依存しない一方で、他方の入力に印加される電圧は各画素から計装アンプ12まで延びる共通の信号線の異なる経路長に応じて画素毎に異なってしまう。そのため、コモンモードのノイズの重畳の状態が画素位置によって異なる結果となり、コモンモードのノイズの除去率が低下し、微小な出力信号がノイズに埋もれてしまい観測できなくなる。
【0014】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図3は、第1の実施例による半導体集積回路の構成の一例を示す図である。図3に示す半導体集積回路300においては、複数の画素領域PA11乃至PAnmが縦横に配列された2次元アレイの各画素領域に、画素回路30が配置されている。各画素回路30は、光電変換素子10の第1端にゲートが接続されるNMOSトランジスタ31を含む第1のソースフォロアアンプと、光電変換素子10の第2端にゲートが接続されるNMOSトランジスタ33を含む第2のソースフォロアアンプとを含む。即ち、NMOSトランジスタ31及びNMOSトランジスタ33の各々について、ドレインが電源電圧(ハイ側)に直接に接続され、ソースが出力端となる。光電変換素子10の第2端は2次元アレイ外部において共通バイアス電圧VBに接続される。光電変換素子10の第1端が個別電極側となり、光電変換素子10の第2端が共通電極側となる。
【0016】
各画素回路30においてソースフォロアアンプに接続される光電変換素子10は、半導体集積回路300の一部であってもよいし、或いは半導体集積回路300とは別個の外部センサアレイとして提供されてもよい。外部センサアレイとして設けられる場合には、当該センサアレイと半導体集積回路300とが接続され、センサアレイの各画素の光電変換素子10と半導体集積回路300の各画素回路30とが、図3に示されるように一対一に接続されることになる。
【0017】
各画素回路30は更に、2次元アレイの行を選択するための行選択信号(W1乃至Wn)がゲートに印加されるスイッチ用NMOSトランジスタ32及び34を含む。スイッチ用NMOSトランジスタ32及び34のドレインは、NMOSトランジスタ31及び33のソースにそれぞれ接続される。例えばクロック信号に同期して行選択信号W1乃至Wnのうち何れか1つをハイ電圧に設定することにより、当該行に属する画素を選択することができる。
【0018】
2次元アレイのm個の列に対応するm個の計装アンプ12乃至12は、2次元アレイの外部に配置される。例えば第k列(1≦k≦m)に対応する計装アンプ12は、第k列に配置される画素回路30の第1のソースフォロアアンプの出力と第2のソースフォロアアンプの出力とを入力に受け取る。具体的には、第k列に配置される各画素回路30のNMOSトランジスタ32のソースは共通信号線LAに接続され、この共通信号線LAは計装アンプ12の一方の入力端子に接続される。これにより、光電変換素子10の個別電極側の電圧を第1のソースフォロアアンプにより増幅した電圧が、計装アンプ12の一方の入力端子に印加される。また第k列に配置される各画素回路30のNMOSトランジスタ34のソースは共通信号線LBに接続され、この共通信号線LBは計装アンプ12の他方の入力端子に接続される。これにより、光電変換素子10の共通電極側の電圧を第2のソースフォロアアンプにより増幅した電圧が計装アンプ12の他方の入力端子に印加される。
【0019】
2次元アレイの外部には、2次元アレイの複数行に亘り同一列に配置される画素領域に含まれるNMOSトランジスタ31に対して共通に直列に接続された負荷トランジスタが設けられる。例えば第k列に配置される画素領域PA1k乃至PAnkに含まれるNMOSトランジスタ31に対して、共通に直列に接続されたNMOSトランジスタ35が設けられる。同様に2次元アレイの外部には、2次元アレイの複数行に亘り同一列に配置される画素領域に含まれるNMOSトランジスタ33に対して共通に直列に接続された負荷トランジスタが設けられる。例えば第k列に配置される画素領域PA1k乃至PAnkに含まれるNMOSトランジスタ33に対して、共通に直列に接続されたNMOSトランジスタ36が設けられる。各負荷トランジスタのゲートには、所望の大きさのON抵抗を実現するような電圧VRが印加される。
【0020】
各負荷トランジスタのソースは接地され、ドレインが計装アンプの入力に接続される。このように複数行分のソースフォロアアンプに対して共通の負荷抵抗として機能する単一の負荷トランジスタを設けることにより、負荷トランジスタを各画素領域内に設ける場合と比較して、回路規模を削減することが可能となる。
【0021】
図3に示される半導体集積回路を用いることにより、光電変換素子10の共通電極側電圧と個別電極側電圧とは、両者共に画素内部においてソースフォロワアンプにより増幅された後、2次元アレイ外部の計装アンプ12に同一タイミングで供給される。両電圧を読み出す回路が同一構成となるために、両電圧間の差は検出対象である微小な差電圧のみとなり、計装アンプのゲインを高く設定することができる。またコモンモードノイズについても、共通配線LAとLBとが近接しているため、個別電極からの出力信号と共通電極からの出力信号とに同じ大きさで重畳されることになる。従って、計装アンプ12によるコモンノードノイズの除去率を高くすることができる。これらの効果により、図3に示す半導体集積回路においては、光電変換素子10が生成する微小な電圧差の信号を適切に読み出すことが可能となる。
【0022】
更に計装アンプをオンチップで作り込む回路構成においては、計装アンプの入力電圧が計装アンプのグランドレベルと等しくなったり、グランドレベル以下となったりする場合には、増幅ができなくなる。そのような電圧条件となることを避けるため、共通バイアス電圧VBを光電変換素子10の共通電極側に印加して、ソースフォロワアンプの出力が計装アンプの入力電圧範囲内に収まるように設定する。なお計装アンプの入力電圧範囲は、計装アンプのリファレンス入力端子に別途印加する基準電位により調整してもよい。
【0023】
画素領域PA1k乃至PAnkの各々において、第1のソースフォロアアンプの回路レイアウトと第2のソースフォロアアンプの回路レイアウトとは同一パターンであり同一方向に配置されてよい。具体的には、NMOSトランジスタ31とNMOSトランジスタ33とは同一サイズであり同一方向を向いて並列して配置され、NMOSトランジスタ32とNMOSトランジスタ34とは同一サイズであり同一方向を向いて並列して配置される。また電源電圧と、共通信号線LA及びLB(1≦k≦m)と、各トランジスタとの間を接続する配線についても、配線の長さ、幅、及び方向を同一に揃えておく。即ち、ソースフォロアアンプとスイッチ用トランジスタとは、配置の方向とサイズ、電流の流れる向きを揃えておき、配線の取りまわしも含めて同一のパターンとしておく。
【0024】
このように同一パターンの回路レイアウトを用いることにより、個別電極側と共通電極側とに略同一の電気的特性を持たせることができる。この構成により、読み出したい画素の光電変換素子10の共通電極側電圧と個別電極側電圧とは、同一特性を有したソースフォロワアンプを通して同一タイミングで計装アンプ12(1≦k≦m)に供給される。従って、計装アンプのゲインを高く設定することがより容易となり、コモンノードノイズの除去率をより高くすることができる。これらの効果により、光電変換素子10が生成する微小な電圧差の信号をより適切に読み出すことが可能となる。
【0025】
図4は、第2の実施例による半導体集積回路の構成の一例を示す図である。図4に示す半導体集積回路400においては、複数の画素領域PA11乃至PAnmが縦横に配列された2次元アレイの各画素領域に、画素回路30が配置されている。各画素回路30は、光電変換素子10の第1端にゲートが接続されるPMOSトランジスタ41を含む第1のソースフォロアアンプと、光電変換素子10の第2端にゲートが接続されるPMOSトランジスタ43を含む第2のソースフォロアアンプとを含む。
【0026】
図4に示す第2の実施例による半導体集積回路400は、図3に示す第1の実施例の半導体集積回路300と論理的に同一の回路構成を、NMOSトランジスタではなくPMOSトランジスタを用いることにより実現した回路である。具体的には、複数の画素回路40の各々が、PMOSトランジスタ41乃至44を含む。また2次元アレイ外部に、ソースフォロアアンプの負荷抵抗としてPMOSトランジスタ45乃至45及び46乃至46が設けられている。図3に示す各NMOSトランジスタが図4においてPMOSトランジスタに置き換えられ、電源電圧ハイ側電位と接地電位側とが入れ替わっていることを除き、半導体集積回路400は半導体集積回路300と同一の構成である。半導体集積回路400においても、前述の半導体集積回路300と同様の効果が得られることは容易に理解できる。このようにPMOSトランジスタベースでの回路構成を用いることにより、光電変換素子10からの信号読み出し用の半導体集積回路として、ユーザのニーズにより合致した特性の半導体集積回路を提供できる可能性がある。
【0027】
図5は、第1の実施例に対する変形例の回路構成を示す図である。図3に示す第1の実施例による半導体集積回路300では、光電変換素子10の個別電極側におけるNMOSトランジスタ31を含むソースフォロアアンプの負荷抵抗として、NMOSトランジスタ35を用いている。このように負荷抵抗としてトランジスタを用いる代わりに、図5に示されるように、負荷抵抗として抵抗素子35Rを用いてもよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側において、NMOSトランジスタ33を含むソースフォロアアンプの負荷抵抗として抵抗素子を用いてよい。このように抵抗素子を用いることにより、より単純な回路構成とすることができる。
【0028】
図6は、第2の実施例に対する変形例の回路構成を示す図である。図4に示す第2の実施例による半導体集積回路300では、光電変換素子10の個別電極側におけるPMOSトランジスタ41を含むソースフォロアアンプの負荷抵抗として、PMOSトランジスタ45を用いている。このように負荷抵抗としてトランジスタを用いる代わりに、図6に示されるように、負荷抵抗として抵抗素子45Rを用いてもよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側において、PMOSトランジスタ43を含むソースフォロアアンプの負荷抵抗として抵抗素子を用いてよい。このように抵抗素子を用いることにより、より単純な回路構成とすることができる。
【0029】
図7は、第1の実施例に対する別の変形例の回路構成を示す図である。第1の実施例では、各画素領域PA11乃至PAnmにおいてソースフォロアアンプにより信号増幅しているが、ソースフォロアアンプの代わりにソース接地アンプを用いてもよい。即ち、各画素領域における画素回路は、第1のソースフォロアアンプの代わりに第1のソース接地アンプを含み、第2のソースフォロアアンプの代わりに第2のソース接地アンプを含んでもよい。
【0030】
図7に示す変形例では、画素回路30Aは、光電変換素子10の個別電極側からの信号INを増幅する回路として、第1のソース接地アンプであるNMOSトランジスタ51を含む。NMOSトランジスタ51のソースは接地電位に直接に接続されている。画素回路30Aは更に、行選択用の制御信号Wがゲートに印加されて行選択用のスイッチ回路として機能するNMOSトランジスタ52を含む。NMOSトランジスタ52のソースがNMOSトランジスタ51のドレインに接続されている。また第1のソース接地アンプの負荷抵抗としてNMOSトランジスタ55が2次元アレイ外部に設けられ、スイッチ用NMOSトランジスタ52に直列に接続されている。NMOSトランジスタ55とNMOSトランジスタ52との間の接続点が、計装アンプの一方の入力に接続されてよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側についても、図7に示されるアンプ回路と同様の第2のソース接地アンプが設けられてよい。この第2のソース接地アンプの出力が計装アンプ12の他方の入力に接続されてよい。このようにソースフォロアアンプではなくソース接地アンプでの回路構成を用いることにより、光電変換素子10からの信号読み出し用の半導体集積回路として、ユーザのニーズにより合致した特性の半導体集積回路を提供できる可能性がある。
【0031】
図8は、図7に示すソース接地アンプに対する変形例を示す図である。図7に示すソース接地アンプでは、光電変換素子10の個別電極側におけるNMOSトランジスタ51を含むソース接地アンプの負荷抵抗として、NMOSトランジスタ55を用いている。このように負荷抵抗としてトランジスタを用いる代わりに、図8に示されるように、負荷抵抗として抵抗素子55Rを用いてもよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側において、第2のソース接地アンプの負荷抵抗として抵抗素子を用いてよい。このように抵抗素子を用いることにより、より単純な回路構成とすることができる。
【0032】
図9は、第2の実施例に対する別の変形例の回路構成を示す図である。第2の実施例では、各画素領域PA11乃至PAnmにおいてソースフォロアアンプにより信号増幅しているが、ソースフォロアアンプの代わりにソース接地アンプを用いてもよい。即ち、各画素領域における画素回路は、第1のソースフォロアアンプの代わりに第1のソース接地アンプを含み、第2のソースフォロアアンプの代わりに第2のソース接地アンプを含んでもよい。
【0033】
図9に示す変形例では、画素回路40Aは、光電変換素子10の個別電極側からの信号INを増幅する回路として、第1のソース接地アンプであるPMOSトランジスタ61を含む。PMOSトランジスタ61のソースは電源電圧のハイ側電位に直接に接続されている。画素回路40Aは更に、行選択用の制御信号Wがゲートに印加されて行選択用のスイッチ回路として機能するPMOSトランジスタ62を含む。PMOSトランジスタ62のソースがPMOSトランジスタ61のドレインに接続されている。また第1のソース接地アンプの負荷抵抗としてPMOSトランジスタ65が2次元アレイ外部に設けられ、スイッチ用PMOSトランジスタ62に直列に接続されている。PMOSトランジスタ65とPMOSトランジスタ62との間の接続点が、計装アンプの一方の入力に接続されてよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側についても、図9に示されるアンプ回路と同様の第2のソース接地アンプが設けられてよい。この第2のソース接地アンプの出力が計装アンプ12の他方の入力に接続されてよい。このようにソースフォロアアンプではなくソース接地アンプでの回路構成を用いることにより、光電変換素子10からの信号読み出し用の半導体集積回路として、ユーザのニーズにより合致した特性の半導体集積回路を提供できる可能性がある。
【0034】
図10は、図9に示すソース接地アンプに対する変形例を示す図である。図9に示すソース接地アンプでは、光電変換素子10の個別電極側におけるPMOSトランジスタ61を含むソース接地アンプの負荷抵抗として、PMOSトランジスタ65を用いている。このように負荷抵抗としてトランジスタを用いる代わりに、図10に示されるように、負荷抵抗として抵抗素子65Rを用いてもよい。同様に、光電変換素子10の共通電極側において、第2のソース接地アンプの負荷抵抗として抵抗素子を用いてよい。このように抵抗素子を用いることにより、より単純な回路構成とすることができる。
【0035】
図11は、半導体集積回路から外部に計装アンプの出力を送出する構成の一例を示す図である。図3に示される半導体集積回路300においては複数の画素回路30からの出力電圧を増幅するために、2次元アレイの複数の列に一対一に対応して複数の計装アンプ12乃至12が設けられている。図11に示される半導体集積回路300では、これら複数の計装アンプ12乃至12からの出力をそのままm個の並列な信号出力として外部に送出している。図4に示される半導体集積回路400についても同様の構成を適用してよい。
【0036】
図12は、半導体集積回路300から外部に計装アンプの出力を送出する構成の別の一例を示す図である。図11に示される半導体集積回路300では、複数の計装アンプ12乃至12からの出力をそのままm個の並列な信号出力として外部に送出している。それに対して図12に示される半導体集積回路300Aでは、複数の計装アンプ12乃至12のm個の出力を順番に1つずつ選択し、選択された出力を順次1つずつ外部に送出している。具体的には、半導体集積回路300Aは、シフトレジスタ70とm個のNMOSトランジスタ71乃至71を更に含む、シフトレジスタ70は、NMOSトランジスタ71乃至71のゲートにそれぞれ印加されるm個の出力を有する。シフトレジスタ70は、例えばクロック信号に同期して、m個の出力のうちの1つを順次ハイに設定することにより、NMOSトランジスタ71乃至71のうちの1つを順次導通させる。これにより、m個の計装アンプ12乃至12の出力を順番に1つずつ選択して外部に送出することができる。
【0037】
図13は、赤外線センサの構成の一例を示す図である。図13に示す赤外線センサは、複数の光電変換素子が縦横に配列された光電変換装置100と前述の半導体集積回路300とを含む。光電変換装置100においては、赤外線を照射されると起電力を生成することにより両端子間に電圧を生成する光電変換素子が、2次元アレイ状に縦横に配列されている。半導体集積回路300は、複数の画素領域が縦横に配列された2次元アレイの各画素領域に配列された複数の画素回路を含む。各画素回路は、例えば図3に示されるように、光電変換素子の一端にゲートが接続されるNMOSトランジスタ31を含む第1のソースフォロアアンプと、光電変換素子の他端にゲートが接続されるNMOSトランジスタ33を含む第2のソースフォロアアンプとを含む。
【0038】
光電変換装置100には、光電変換素子の両端子に電気的に接続される複数のバンプ110が設けられている。半導体集積回路300には、ソースフォロアアンプの各NMOSトランジスタのゲート端に電気的に接続される複数のパッド310が設けられている。複数のバンプ110が対応する複数のパッド310と一対一に接続されることにより、光電変換装置100と半導体集積回路300とが電気的に接続される。なお半導体集積回路300の代わりに、前述の半導体集積回路300A又は半導体集積回路400を用いてもよい。
【0039】
図14は、赤外線撮像装置の構成の一例を示す図である。図14に示す赤外線撮像装置200は、光学系201、赤外線センサ202、駆動信号生成回路203、A/D変換・信号処理回路204、及び画像出力回路205を含む。対象物体からの赤外線IRが、レンズを含む光学系201を介して、赤外線センサ202中の光電変換素子が配列された受光面に入射される。赤外線センサ202は、図13に示される構造を有してよい。
【0040】
駆動信号生成回路203は、電源電圧、共通バイアス電圧VB、及びクロック信号等を赤外線センサ202に供給することにより、赤外線センサ202を駆動する。A/D変換・信号処理回路204は、入射赤外線強度に応じて赤外線センサ202から出力されるアナログ画像信号に対して、A/D変換及び所定の信号処理を施し、信号処理後の撮像データを画像出力回路205に供給する。画像出力回路205は、信号処理後の撮像データをビデオ信号として映像表示装置206に送信する。CRTや液晶表示装置等を含む映像表示装置206は、赤外線撮像装置200から供給されるビデオ信号に応じて赤外線映像を表示する。
【0041】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 光電変換素子
11 定電圧源
12、121~12m 計装アンプ
20 画素回路
30、30A 画素回路
40、40A 画素回路
100 光電変換装置
200 赤外線撮像装置
201 光学系
202 赤外線センサ
203 駆動信号生成回路
204 A/D変換・信号処理回路
205 画像出力回路
206 映像表示装置
300 半導体集積回路
400 半導体集積回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14