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特許7255437拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20230404BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20230404BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20230404BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20230404BHJP
【FI】
A61M21/02 J
A61B5/16 120
F24F11/74
F24F11/46
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019180389
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053225
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陽奥 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】内田 昭嘉
(72)【発明者】
【氏名】于 珊珊
(72)【発明者】
【氏名】吉井 章人
(72)【発明者】
【氏名】▲ミイ▼ 暁宇
(72)【発明者】
【氏名】森岡 清訓
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健太郎
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272019(JP,A)
【文献】特開2008-51463(JP,A)
【文献】特開平7-55226(JP,A)
【文献】特開2018-91544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/16
F24F 11/74
F24F 11/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出し、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定し、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出し、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定し、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする拡散対象制御方法。
【請求項2】
前記拡散対象は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の拡散対象制御方法。
【請求項3】
拡散対象の放出に関する気流を検知する処理をさらにコンピュータが実行し、
前記状態を判定する処理は、検知した前記気流の方向および強さに基づいて前記場の状態を判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の拡散対象制御方法。
【請求項4】
前記調整する処理は、判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象の種類を調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の拡散対象制御方法。
【請求項5】
前記状態を判定する処理は、感情を不快と判定したユーザについて、算出した前記距離が所定距離より近い第1のユーザの数と、算出した前記距離が所定距離より遠い第2のユーザの数とを求め、当該求めた第1および第2のユーザの数に応じて場の状態を判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の拡散対象制御方法。
【請求項6】
前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が強い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が強い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を減少させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の拡散対象制御方法。
【請求項7】
前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より多い場合に、前記拡散対象が悪い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象が悪い状態である場合に、前記拡散対象の種類を変更させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の拡散対象制御方法。
【請求項8】
前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が弱い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が弱い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を増大させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の拡散対象制御方法。
【請求項9】
前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より多い場合に、前記拡散対象の強度が適正な状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が適正な状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を維持させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の拡散対象制御方法。
【請求項10】
拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出し、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定し、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出し、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定し、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする拡散対象制御プログラム。
【請求項11】
拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出する検出部と、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定する感情判定部と、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出する位置算出部と、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定する状態判定部と、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する制御部と、
を有することを特徴とする拡散対象制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、香りなどの拡散対象は、ストレスを軽減し、緊張や披露を改善する効果を有するものがあり、ワークショップや会議などで雰囲気を改善するために用いられることがある。しかしながら、香りなどに対しては知覚に個人差があることから、人の快・不快に応じて適切な強度に調整して拡散対象を提示することが重要となる。
【0003】
人の快・不快を判定する従来技術としては、所望の刺激が与えられる前に被験者が発した音声の音声パラメータと、所望の刺激が提供されているときに被験者が発した音声の音声パラメータとを比較し、比較結果に基づいて被験者の感情が快であるか否かを判定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-042671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、個人を対象として快・不快に応じて拡散対象を提示することから、多数の人が快適に過ごせる場を提供することが困難であるという問題がある。例えば、各人の快・不快の総和を平均するだけでは、拡散対象の放出位置との位置関係において、比較的に近い距離にいる人が多い場合に、香りなどが強すぎて不快となる人が増加することがある。
【0006】
1つの側面では、多数の人が快適に過ごせる場の提供を支援できる拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、拡散対象制御方法は、検出する処理と、感情を判定する処理と、算出する処理と、状態を判定する処理と、調整する処理とをコンピュータが実行する。検出する処理は、拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出する。感情を判定する処理は、ユーザごとに、ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいてユーザの感情を判定する。算出する処理は、ユーザごとに、検出したユーザの位置に基づいて拡散対象の放出位置までの距離を算出する。状態を判定する処理は、ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて場の状態を判定する。調整する処理は、判定した場の状態に応じて拡散対象を放出する強度を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1実施態様によれば、多数の人が快適に過ごせる場の提供を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態にかかる拡散対象制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかる拡散対象制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図3図3は、知覚状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、場の状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、香り提示制御処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施形態にかかる拡散対象制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第2の実施形態にかかる拡散対象制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図8図8は、場の状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、距離特徴量を説明する説明図である。
図10図10は、プログラムを実行するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する拡散対象制御方法、拡散対象制御プログラムおよび拡散対象制御装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる拡散対象制御装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、拡散対象制御装置1は、複数のユーザ(人H1、H2、H3…)が集まる場(例えば会議室など)に設置された拡散対象提示部2について、拡散対象提示部2が放出する芳香物質などの拡散対象を人H1、H2、H3…の多くが快適と感じるように制御する装置である。これにより、拡散対象制御装置1は、多くの人(人H1、H2、H3…)に対して快適に過ごせる場の提供を支援する。
【0012】
本実施形態では、拡散対象提示部2は所定の芳香物質をミスト状または気化して放出する香り放出装置であり、場に対して香りの提示を行う構成を例示する。しかしながら、拡散対象については、芳香物質に限定するものではなく、人H1、H2、H3が知覚することでストレスの軽減、緊張や披露の改善などに役立つものであればいずれであってもよい。
【0013】
例えば、拡散対象提示部2は、BGMなどの音声を放出する音響機器や、温度、湿度、イオン濃度などを調整した空気調和後の空気を放出する空気調和機などであってもよい。すなわち、拡散対象については、芳香物質以外に、BGMなどの音声や、温度、湿度、イオン濃度などを調整した空気調和後の空気などであってもよく、芳香物質、音声、空気調和後の空気などの少なくとも1つであってよい。また、拡散対象は、芳香物質と音声や芳香物質と空気調和後の空気などの組み合わせであってもよい。
【0014】
拡散対象制御装置1は、第1の位置取得部10と、第2の位置取得部11と、表情特徴量抽出部12と、音声特徴量抽出部13と、知覚状態判定部14と、場の状態判定部15と、拡散対象提示制御部16とを有する。
【0015】
第1の位置取得部10は、拡散対象提示部2の位置情報を取得する処理部である。具体的には、第1の位置取得部10は、GPS(Global Positioning System)や、メモリなどに予めプリセットされた設定情報などを参照することで、拡散対象提示部2の設置位置、すなわち拡散対象の放出位置を示す位置情報を取得する。第1の位置取得部10は、取得した拡散対象提示部2の位置情報を場の状態判定部15へ出力する。
【0016】
第2の位置取得部11は、拡散対象提示部2を放出する場にいる人H1、H2、H3…それぞれの位置情報を取得する処理部である。すなわち、第2の位置取得部11は、人H1、H2、H3…それぞれの位置を検出する検出部の一例である。
【0017】
具体的には、第2の位置取得部11は、拡散対象提示部2を放出する場に設置されたカメラ4の映像より公知の画像認識技術を用いることで人H1、H2、H3…それぞれを識別する。なお、拡散対象制御装置1は、識別した人H1、H2、H3…それぞれにユニークな識別情報(人物ID)を割り当てることで、人H1、H2、H3…の情報を個別に管理する。次いで、第2の位置取得部11は、識別した人H1、H2、H3…それぞれがカメラ4の映像において映り込む位置を特定することで、人H1、H2、H3…それぞれの位置情報を取得する。なお、第2の位置取得部11は、人H1、H2、H3…それぞれのGPS機器より位置情報を取得してもよい。第2の位置取得部11は、取得した人H1、H2、H3…それぞれの位置情報を場の状態判定部15へ出力する。
【0018】
表情特徴量抽出部12は、カメラ4の映像より識別した人H1、H2、H3…それぞれの表情の特徴量を抽出する処理部である。具体的には、表情特徴量抽出部12は、カメラ4の映像より識別した人H1、H2、H3…それぞれについて、顔領域(例えば鼻周辺)の特徴を表情を示す特徴(表情特徴量)として抽出する。表情特徴量抽出部12は、取得した人H1、H2、H3…それぞれの表情特徴量を知覚状態判定部14へ出力する。
【0019】
音声特徴量抽出部13は、拡散対象提示部2を放出する場に設置されたマイク3の音声より公知の音声認識技術を用いて人H1、H2、H3…それぞれの音声特徴量を抽出する処理部である。
【0020】
具体的には、音声特徴量抽出部13は、複数のマイク3により取得した音声について、各マイク3から得られた音の時差をもとに音源の位置を特定する。次いで、音声特徴量抽出部13は、識別した人H1、H2、H3…それぞれの位置情報と照らし合わせることで、人H1、H2、H3…のいずれが音源であるかを特定する。次いで、音声特徴量抽出部13は、特定した音源(人H1、H2、H3…)からの音声について、公知の音声認識技術により音声特徴量を抽出する。次いで、音声特徴量抽出部13は、抽出した音声特徴量を知覚状態判定部14へ出力する。
【0021】
なお、音声特徴量抽出部13が取得する音声特徴量には、言語特徴量と、非言語特徴量とがある。例えば、言語特徴量は、人H1、H2、H3…が発した言語を示すものであり、具体的には「良い匂い」、「臭い」などの感情を示すワードがある。また、非言語特徴量は、人H1、H2、H3…の動作により生じた音などであり、具体的には、匂いを嗅ぐ音などの拡散対象の認知に関して発生した音がある。
【0022】
知覚状態判定部14は、識別した人H1、H2、H3…それぞれについて、表情特徴量、音声特徴量の少なくとも1つの特徴量に基づいて感情(拡散対象に対する知覚状態)を判定する処理部である。すなわち、知覚状態判定部14は、人H1、H2、H3…ごとに、人H1、H2、H3…それぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて感情を判定する感情判定部の一例である。
【0023】
具体的には、知覚状態判定部14は、特開2009-042671号公報などにおける公知の感情判定技術を用いることで、識別した人H1、H2、H3…それぞれの感情が快であるか否かを、例えば不快:-3~快:+3の数値として判定する。知覚状態判定部14は、識別した人H1、H2、H3…それぞれの感情の判定結果を場の状態判定部15へ出力する。
【0024】
また、知覚状態判定部14における感情判定については、教師付きの機械学習により表情特徴量、音声特徴量から感情判定を行うように学習した学習モデルを用いて行ってもよい。なお、知覚状態判定部14における感情判定は、映像および音声の少なくとも1つの特徴量(表情特徴量、言語特徴量、非言語特徴量の中の1つ)または複数の特徴量の組み合わせで判定してもよい。
【0025】
場の状態判定部15は、識別した人H1、H2、H3…ごとに、人H1、H2、H3…それぞれの位置情報および拡散対象提示部2の位置情報に基づいて、拡散対象の放出位置までの距離を算出する。すなわち、場の状態判定部15は、位置算出部の一例である。
【0026】
また、場の状態判定部15は、識別した人H1、H2、H3…ごとに知覚状態判定部14が判定した感情と、人H1、H2、H3…ごとの拡散対象の放出位置までの距離とに基づいて、拡散対象に関する場の状態を判定する処理部である。すなわち、場の状態判定部15は、状態判定部の一例である。
【0027】
具体的には、場の状態判定部15は、識別した人H1、H2、H3…ごとの感情と、距離とをもとに、拡散対象に関する場の状態を示す複数の区分の中からいずれの区分に分類できるかを判定する。分類の区分としては、例えば、拡散対象の強度が強い「香り強い」、拡散対象の強度が弱い「香り弱い」、拡散対象の種類が悪い「香り悪い」、拡散対象が適正である「香り適正」がある。次いで、場の状態判定部15は、判定した場の状態を示す情報(場の状態の分類)を拡散対象提示制御部16へ出力する。
【0028】
拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した拡散対象に関する場の状態(場の状態の分類)に応じて拡散対象の放出を制御する処理部である。すなわち、拡散対象提示制御部16は、制御部の一例である。
【0029】
具体的には、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した場の状態が「香り強い」である場合、拡散対象提示部2で拡散対象を放出する強度を減少させる。また、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した場の状態が「香り弱い」である場合、拡散対象提示部2で拡散対象を放出する強度を増大させる。また、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した場の状態が「香り悪い」である場合、拡散対象提示部2で拡散対象の種類を変更させる。例えば、拡散対象提示制御部16は、拡散対象提示部2が現在放出している芳香物質とは別の芳香物質に切り替えさせる。また、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した場の状態が「香り適正」である場合、拡散対象提示部2で拡散対象を放出する強度を維持させる。
【0030】
図2は、第1の実施形態にかかる01の動作例を示すフローチャートである。
【0031】
図2に示すように、処理に先立ち、カメラ4の映像20より、第2の位置取得部11は、人H1、H2、H3…それぞれについて、人の位置情報30を取得する。また、カメラ4の映像20より、表情特徴量抽出部12は、人H1、H2、H3…それぞれの表情特徴量31を取得する。また、マイク3の音声21より、音声特徴量抽出部13は、人H1、H2、H3…それぞれが発した言語特徴量32および非言語特徴量33を取得する。また、第1の位置取得部10は、拡散対象提示部2の位置情報34を取得する。
【0032】
処理が開始されると、知覚状態判定部14は、人H1、H2、H3…それぞれについて、表情特徴量31、言語特徴量32および非言語特徴量33に基づき、各人の知覚状態判定処理を行う(S1)。
【0033】
図3は、知覚状態判定処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、知覚状態判定部14は、人H1、H2、H3…それぞれについて、取得した表情特徴量31、言語特徴量32および非言語特徴量33を知覚状態判定エンジンに入力する。この知覚状態判定エンジンは、特開2009-042671号公報などにおける公知の感情判定技術や教師付きの機械学習により学習した学習モデルなどを用いたものである。知覚状態判定エンジンは、表情特徴量31、言語特徴量32および非言語特徴量33の入力に対して、各人の感情(知覚状態)の判定結果を、例えば不快:-3~快:+3の数値(快適度)として出力する。
【0034】
図2に戻り、S1に次いで、場の状態判定部15は、人H1、H2、H3…それぞれについて知覚状態判定部14が判定した快適度と、人H1、H2、H3…それぞれの拡散対象の放出位置までの距離とに基づく、場の状態判定処理を行う(S2)。
【0035】
図4は、場の状態判定処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、処理が開始されると、場の状態判定部15は、人H1、H2、H3…それぞれの位置情報(Pn(x,y,z))と、快適度(Vn)および拡散対象提示制御部16の位置情報(S(x,y,z))を取得する(S20)。
【0036】
次いで、場の状態判定部15は、拡散対象の放出位置に対して近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)と、拡散対象の放出位置に対して遠距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNF)と、場の快適度(Vf)との初期化設定(0とする)を行う(S21)。
【0037】
次いで、場の状態判定部15は、カメラ4の映像20より識別した人H1、H2、H3の人数(参加人数)をNとし、各人に対するループ処理(n=0,n<N)を行う(S22~S29)。
【0038】
具体的には、場の状態判定部15は、各人の快適度(Vn)の値を場の快適度(Vf)に加えていき、快適度の総和(快適な人の人数でもよい)を求める(S23)。
【0039】
次いで、場の状態判定部15は、各人と拡散対象提示部2の距離(|Ln|)を|Ln|=|Pn(x,y,z)-S(x,y,z)|として求める(S24)。
【0040】
次いで、場の状態判定部15は、各人の快適度(Vn)が不快を示す値(Vn<0)であるか否かを判定する(S25)。不快を示す値でない場合(S25:No)、場の状態判定部15は、S29へ処理を進め、nの値をインクリメントしてループ処理を継続する。
【0041】
不快を示す値である場合(S25:Yes)、場の状態判定部15は、拡散対象提示部2に対する距離|Ln|が所定の閾値(ThL)未満であるか否かを判定する(S26)。なお、閾値(ThL)については、拡散対象提示部2に対する距離|Ln|が近いか遠いかを判別するために予め設定された値であり、例えば、人H1、H2、H3…が集まる場(例えば会議室)の部屋最大長の1/4などの値が設定される。
【0042】
距離|Ln|が所定の閾値(ThL)未満でない場合(S26:No)、場の状態判定部15は、遠距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNF)をインクリメントする(S27)。また、距離|Ln|が所定の閾値(ThL)未満である場合(S26:Yes)、場の状態判定部15は、近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)をインクリメントする(S28)。次いで、場の状態判定部15は、nの値をインクリメントしてループ処理を継続する(S29)。
【0043】
S22~S29のループ処理に次いで、場の状態判定部15は、近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回るが否かを判定する(S30)。なお、閾値(ThNN)については、拡散対象提示部2に対して近距離で不快な人の数を判別するために予め設定された値であり、例えば、参加人数(N)の1/4などの値が設定される。
【0044】
近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回らない場合(S30:No)、場の状態判定部15は、快適度の総和(Vf)が所定の閾値(ThV)を上回るか否かを判定する(S31)。なお、閾値(ThV)については、快適度の総和や快適な人の人数で場の快適度を判別するために予め設定された値である。例えば、快適度の総和から場の快適度を判別する場合には、+3(最大快適度)×参加人数(N)×3/4とする値を閾値(ThV)に設定する。また、快適な人の人数から場の快適度を判別する場合には、参加人数(N)×3/4とする値を閾値(ThV)に設定する。
【0045】
近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回る場合(S30:Yes)、場の状態判定部15は、遠距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNF)が所定の閾値(ThNF)を上回るか否かを判定する(S32)。なお、閾値(ThNF)については、拡散対象提示部2に対して遠距離で不快な人の数を判別するために予め設定された値であり、例えば、参加人数(N)の1/4などの値が設定される。
【0046】
近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回らず、快適度の総和(Vf)が所定の閾値(ThV)を上回る場合(S31:Yes)、場の状態判定部15は、拡散対象に関する場の状態について、拡散対象が適正である「香り適正」と判定する(S33)。
【0047】
また、近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回らず、快適度の総和(Vf)が所定の閾値(ThV)を上回らない場合(S31:No)、場の状態判定部15は、拡散対象に関する場の状態について、拡散対象の強度が弱い「香り弱い」と判定する(S34)。
【0048】
また、近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回り、遠距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNF)が所定の閾値(ThNF)を上回る場合(S32:Yes)、場の状態判定部15は、拡散対象に関する場の状態について、拡散対象の種類が悪い「香り悪い」と判定する(S35)。
【0049】
また、近距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNN)が所定の閾値(ThNN)を上回り、遠距離の人で不快と判定された不快判定数(CntNF)が所定の閾値(ThNF)を上回らない場合(S32:No)、場の状態判定部15は、拡散対象に関する場の状態について、拡散対象の強度が強い「香り強い」と判定する(S36)。
【0050】
次いで、場の状態判定部15は、判定した場の状態を示す情報(場の状態の分類)を拡散対象提示制御部16へ出力する(S37)。
【0051】
図2に戻り、S2に次いで、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15が判定した場の状態を示す情報(場の状態の分類)をもとに、拡散対象の提示制御処理(香り提示制御処理)を行う(S3)。
【0052】
図5は、香り提示制御処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、処理が開始されると、拡散対象提示制御部16は、場の状態判定部15における場の状態の分類結果を判定する(S40)。
【0053】
分類結果が「香り適正」である場合、拡散対象提示制御部16は、拡散対象提示部2における香り出力(拡散対象を放出する強度)を変化なしとし(S41)、処理を終了する。
【0054】
分類結果が「香り弱い」である場合、拡散対象提示制御部16は、拡散対象提示部2における香り出力(拡散対象を放出する強度)を増大させ(S42)、処理を終了する。
【0055】
分類結果が「香り強い」である場合、拡散対象提示制御部16は、拡散対象提示部2における香り出力(拡散対象を放出する強度)を減少させ(S43)、処理を終了する。
【0056】
分類結果が「香り悪い」である場合、拡散対象提示制御部16は、拡散対象提示部2における香りの種類を変更させ(S44)、処理を終了する。
【0057】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態にかかる拡散対象制御装置の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、拡散対象制御装置1aは、拡散対象提示部2が拡散対象を放出するところの気流を検知する気流センサ5と、検知した気流の方向および強さを判定する気流判定部17とを有する点が、拡散対象制御装置1とは異なる。
【0058】
図7は、第2の実施形態にかかる拡散対象制御装置1aの動作例を示すフローチャートである。図7に示すように、拡散対象制御装置1aの気流センサ5は、拡散対象提示部2が拡散対象を放出するところの気流を、風速計や風向計などにより検知する(S4)。次いで、拡散対象制御装置1aの気流判定部17は、気流センサ5の検知結果をもとに、気流の方向および強さを判定する(S5)。次いで、場の状態判定部15は、気流判定部17が判定した気流の方向および強さに基づいて場の状態判定処理を行う(S2a)。
【0059】
図8は、場の状態判定処理の一例を示すフローチャートであり、より具体的には、場の状態判定処理(S2a)の詳細を説明する図である。図8に示すように、場の状態判定処理(S2a)では、S20a、S24a、S25a、S26aの処理が、第1の実施形態における場の状態判定処理(S2)とは異なる。
【0060】
具体的には、S20aでは、場の状態判定部15は、人H1、H2、H3…それぞれの位置情報(Pn(x,y,z))と、快適度(Vn)および拡散対象提示制御部16の位置情報(S(x,y,z))の他に、気流の方向および強さを示す気流ベクトル(A(x,y,z))を取得する。
【0061】
また、S24aでは、場の状態判定部15は、各人と拡散対象提示部2とのベクトル(Ln(x,y,z))をLn(x,y,z)=Pn(x,y,z)-S(x,y,z)としてさらに求める。
【0062】
また、S25aでは、場の状態判定部15は、ベクトル内積と距離を用いた距離特徴量(Ln’)をLn’=|Ln|×(A,Ln)として求める。
【0063】
図9は、距離特徴量を説明する説明図である。図9に示すように、距離特徴量は、気流ベクトル(A(x,y,z))と人H1、H2…の位置ベクトル(L1、L2…)それぞれとの内積に距離をかけ合わせたものである。なお、気流ベクトルと位置ベクトルの内積
(A,Ln)は、(A,Ln)=|A|×|L|×cosθである。
【0064】
図示例では、人H1については、距離特徴量は正の値を示す。これは、遠くまで拡散対象が届くことを意味し、濃度の観点では、近く(拡散対象提示部2に近づく)と同義である。また、人H2については、距離特徴量は負の値を示す。これは、遠くに拡散対象が届かないことを意味し、濃度の観点では、遠く(拡散対象提示部2から遠い)と同義である。
【0065】
S26aでは、場の状態判定部15は、拡散対象提示部2に対する距離について、距離特徴量Lnに換算した値が所定の閾値(ThL)未満であるか否かを判定する。
【0066】
このように、場の状態判定部15は、気流による拡散対象の影響度を加味した上で場の状態を判定してもよい。
【0067】
以上のように、拡散対象制御装置1は、第2の位置取得部11と、知覚状態判定部14と、場の状態判定部15と、拡散対象提示制御部16とを有する。第2の位置取得部11は、拡散対象が放出する場に存在するユーザ(人H1、H2、H3…)それぞれの位置を検出する。知覚状態判定部14は、ユーザごとに、ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいてユーザの感情を判定する。場の状態判定部15は、ユーザごとに、検出したユーザの位置に基づいて拡散対象提示部2による拡散対象の放出位置までの距離を算出する。また、場の状態判定部15は、ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて場の状態を判定する。拡散対象提示制御部16は、判定した場の状態に応じて拡散対象提示部2が拡散対象を放出する強度を調整する。このように、拡散対象制御装置1は、複数のユーザにおける放出対象の放出位置までの距離と、感情とに基づいた場の状態に応じて拡散対象を放出する強度を調整するので、より多くの人を不快とさせないように拡散対象を放出することができ、多数の人が快適に過ごせる場の提供を支援できる。
【0068】
また、拡散対象は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つである。このため、拡散対象制御装置1は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つを放出する強度を調整し、多数の人が快適に過ごせる場の提供を支援することができる。
【0069】
また、拡散対象制御装置1は、拡散対象の放出に関する気流を検知する気流センサ5をさらに有し、場の状態判定部15は、検知した気流の方向および強さに基づいて場の状態を判定する。このため、拡散対象制御装置1は、気流による拡散対象の影響度を加味した上で場の状態を判定でき、より精度よく場の状態を求めることができる。
【0070】
また、拡散対象提示制御部16は、判定した場の状態に応じて拡散対象の種類を調整する。これにより、拡散対象制御装置1は、拡散対象の種類を調整して多数の人が快適に過ごせる場の提供を支援することができる。
【0071】
また、場の状態判定部15は、感情を不快と判定したユーザについて、算出した距離が所定距離より近い第1のユーザの数と、算出した距離が所定距離より遠い第2のユーザの数とを求める。次いで、場の状態判定部15は、求めた第1および第2のユーザの数に応じて場の状態を判定する。これにより、拡散対象制御装置1は、拡散対象の放出位置より近くで不快とするユーザ数および拡散対象の放出位置より遠くで不快とするユーザ数に応じた場の状態を判定できるので、より多くの人が快適に過ごせるように拡散対象を放出する強度を調整することができる。
【0072】
また、場の状態判定部15は、第1のユーザの数が所定数より多く、第2のユーザの数が所定数より少ない場合に、拡散対象の強度が強い状態であると判定する(例えばS36)。拡散対象提示制御部16は、拡散対象の強度が強い状態である場合に、拡散対象を放出する強度を減少させる(例えばS43)。例えば、拡散対象との距離が近いユーザの多くが不快とし、拡散対象との距離が遠いユーザがあまり不快としていない場の状況としては、拡散対象の種類は多くのユーザに合っており、単に強度が強いため、放出位置から近いユーザが不快に感じているものと推定できる。したがって、拡散対象制御装置1は、このような場の状況において、拡散対象を放出する強度を減少させることで、放出対象に近いユーザの快適度を向上させることができる。
【0073】
また、場の状態判定部15は、第1のユーザの数が所定数より多く、第2のユーザの数が所定数より多い場合に、拡散対象が悪い状態であると判定する(例えばS35)。拡散対象提示制御部16は、拡散対象が悪い状態である場合に、拡散対象の種類を変更させる(例えばS44)。例えば、拡散対象との距離が近いユーザと、拡散対象との距離が遠いユーザとの両方のユーザの多くが不快としている場の状況としては、拡散対象の種類が多くのユーザに合っていないので、双方のユーザが不快に感じているものと推定できる。したがって、拡散対象制御装置1は、このような場の状況において、拡散対象の種類を変更させることで、双方のユーザの快適度を向上させることができる。
【0074】
また、場の状態判定部15は、第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より少ない場合に、拡散対象の強度が弱い状態であると判定する(例えばS34)。拡散対象提示制御部16は、拡散対象の強度が弱い状態である場合に、拡散対象を放出する強度を増大させる(例えばS42)。例えば、拡散対象との距離が近いユーザの多くが不快としておらず、快適なユーザの総数も少ない場の状況としては、単に強度が弱いため、多くのユーザが拡散対象を知覚できていないものと推定できる。したがって、拡散対象制御装置1は、このような場の状況において、拡散対象を放出する強度を増大させることで、多くのユーザの快適度を向上させることができる。
【0075】
また、場の状態判定部15は、第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より多い場合に、拡散対象の強度が適正な状態であると判定する(例えばS33)。拡散対象提示制御部16は、拡散対象の強度が適正な状態である場合に、拡散対象を放出する強度を維持させる(例えばS40)。拡散対象との距離が近いユーザの多くが不快としておらず、快適なユーザの総数も多い場の状況としては、多くのユーザが拡散対象を知覚して快適に過ごしているものと推定できる。したがって、拡散対象制御装置1は、このような場の状況においては、拡散対象を放出する強度を維持させることで、多くのユーザが継続して快適に過ごせる場を提供できる。
【0076】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、第1の位置取得部10と第2の位置取得部11、表情特徴量抽出部12と音声特徴量抽出部13を統合してもよい。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
【0077】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウエア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0078】
ところで、上記の各実施形態で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の各実施形態と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図10は、プログラムを実行するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0079】
図10に示すように、コンピュータ100は、各種演算処理を実行するCPU101と、データ入力を受け付ける入力装置102と、モニタ103とを有する。また、コンピュータ100は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置104と、各種装置と接続するためのインタフェース装置105と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置106とを有する。また、コンピュータ100は、各種情報を一時記憶するRAM107と、ハードディスク装置108とを有する。また、各装置101~108は、バス109に接続される。
【0080】
ハードディスク装置108には、図1に示した第1の位置取得部10、第2の位置取得部11、表情特徴量抽出部12、音声特徴量抽出部13、知覚状態判定部14、場の状態判定部15および拡散対象提示制御部16の各処理部と同様の機能を有するプログラム108Aが記憶される。また、ハードディスク装置108には、第1の位置取得部10、第2の位置取得部11、表情特徴量抽出部12、音声特徴量抽出部13、知覚状態判定部14、場の状態判定部15および拡散対象提示制御部16を実現するための各種データが記憶される。入力装置102は、例えば、コンピュータ100の利用者から操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ103は、例えば、コンピュータ100の利用者に対して表示画面等の各種画面を表示する。インタフェース装置105は、例えば印刷装置等が接続される。通信装置106は、図示しないネットワークと接続され、他の情報処理装置と各種情報をやりとりする。
【0081】
CPU101は、ハードディスク装置108に記憶されたプログラム108Aを読み出して、RAM107に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、このプログラムは、コンピュータ100を図1に示した第1の位置取得部10、第2の位置取得部11、表情特徴量抽出部12、音声特徴量抽出部13、知覚状態判定部14、場の状態判定部15および拡散対象提示制御部16として機能させることができる。
【0082】
なお、上記のプログラム108Aは、ハードディスク装置108に記憶されていなくてもよい。例えば、コンピュータ100が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラム108Aを、コンピュータ100が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ100が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD-ROMやDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にプログラム108Aを記憶させておき、コンピュータ100がこれらからプログラム108Aを読み出して実行するようにしてもよい。
【0083】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0084】
(付記1)拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出し、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定し、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出し、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定し、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする拡散対象制御方法。
【0085】
(付記2)前記拡散対象は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つである、
ことを特徴とする付記1に記載の拡散対象制御方法。
【0086】
(付記3)拡散対象の放出に関する気流を検知する処理をさらにコンピュータが実行し、
前記状態を判定する処理は、検知した前記気流の方向および強さに基づいて前記場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の拡散対象制御方法。
【0087】
(付記4)前記調整する処理は、判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象の種類を調整する、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載の拡散対象制御方法。
【0088】
(付記5)前記状態を判定する処理は、感情を不快と判定したユーザについて、算出した前記距離が所定距離より近い第1のユーザの数と、算出した前記距離が所定距離より遠い第2のユーザの数とを求め、当該求めた第1および第2のユーザの数に応じて場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一に記載の拡散対象制御方法。
【0089】
(付記6)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が強い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が強い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を減少させる、
ことを特徴とする付記5に記載の拡散対象制御方法。
【0090】
(付記7)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より多い場合に、前記拡散対象が悪い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象が悪い状態である場合に、前記拡散対象の種類を変更させる、
ことを特徴とする付記5に記載の拡散対象制御方法。
【0091】
(付記8)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が弱い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が弱い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を増大させる、
ことを特徴とする付記5に記載の拡散対象制御方法。
【0092】
(付記9)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より多い場合に、前記拡散対象の強度が適正な状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が適正な状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を維持させる、
ことを特徴とする付記5に記載の拡散対象制御方法。
【0093】
(付記10)拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出し、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定し、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出し、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定し、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする拡散対象制御プログラム。
【0094】
(付記11)前記拡散対象は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つである、
ことを特徴とする付記10に記載の拡散対象制御プログラム。
【0095】
(付記12)拡散対象の放出に関する気流を検知する処理をさらにコンピュータに実行させ、
前記状態を判定する処理は、検知した前記気流の方向および強さに基づいて前記場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記10または11に記載の拡散対象制御プログラム。
【0096】
(付記13)前記調整する処理は、判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象の種類を調整する、
ことを特徴とする付記10乃至12のいずれか一に記載の拡散対象制御プログラム。
【0097】
(付記14)前記状態を判定する処理は、感情を不快と判定したユーザについて、算出した前記距離が所定距離より近い第1のユーザの数と、算出した前記距離が所定距離より遠い第2のユーザの数とを求め、当該求めた第1および第2のユーザの数に応じて場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記10乃至13のいずれか一に記載の拡散対象制御プログラム。
【0098】
(付記15)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が強い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が強い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を減少させる、
ことを特徴とする付記14に記載の拡散対象制御プログラム。
【0099】
(付記16)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より多い場合に、前記拡散対象が悪い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象が悪い状態である場合に、前記拡散対象の種類を変更させる、
ことを特徴とする付記14に記載の拡散対象制御プログラム。
【0100】
(付記17)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が弱い状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が弱い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を増大させる、
ことを特徴とする付記14に記載の拡散対象制御プログラム。
【0101】
(付記18)前記状態を判定する処理は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より多い場合に、前記拡散対象の強度が適正な状態であると判定し、
前記調整する処理は、前記拡散対象の強度が適正な状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を維持させる、
ことを特徴とする付記14に記載の拡散対象制御プログラム。
【0102】
(付記19)拡散対象が放出される場に存在するユーザそれぞれの位置を検出する検出部と、
前記ユーザごとに、前記ユーザそれぞれの映像および音声の少なくとも1つの特徴量に基づいて前記ユーザの感情を判定する感情判定部と、
前記ユーザごとに、検出した前記ユーザの位置に基づいて前記拡散対象の放出位置までの距離を算出する位置算出部と、
前記ユーザごとに判定した感情と、算出した距離とに基づいて前記場の状態を判定する状態判定部と、
判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象を放出する強度を調整する制御部と、
を有することを特徴とする拡散対象制御装置。
【0103】
(付記20)前記拡散対象は、芳香物質、音声、空気調和後の空気の少なくとも1つである、
ことを特徴とする付記19に記載の拡散対象制御装置。
【0104】
(付記21)拡散対象の放出に関する気流を検知する気流検知部をさらに有し、
前記状態判定部は、検知した前記気流の方向および強さに基づいて前記場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記19または20に記載の拡散対象制御装置。
【0105】
(付記22)前記制御部は、判定した前記場の状態に応じて前記拡散対象の種類を調整する、
ことを特徴とする付記19乃至21のいずれか一に記載の拡散対象制御装置。
【0106】
(付記23)前記状態判定部は、感情を不快と判定したユーザについて、算出した前記距離が所定距離より近い第1のユーザの数と、算出した前記距離が所定距離より遠い第2のユーザの数とを求め、当該求めた第1および第2のユーザの数に応じて場の状態を判定する、
ことを特徴とする付記19乃至22のいずれか一に記載の拡散対象制御装置。
【0107】
(付記24)前記状態判定部は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が強い状態であると判定し、
前記制御部は、前記拡散対象の強度が強い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を減少させる、
ことを特徴とする付記23に記載の拡散対象制御装置。
【0108】
(付記25)前記状態判定部は、前記第1のユーザの数が所定数より多く、前記第2のユーザの数が所定数より多い場合に、前記拡散対象が悪い状態であると判定し、
前記制御部は、前記拡散対象が悪い状態である場合に、前記拡散対象の種類を変更させる、
ことを特徴とする付記23に記載の拡散対象制御装置。
【0109】
(付記26)前記状態判定部は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より少ない場合に、前記拡散対象の強度が弱い状態であると判定し、
前記制御部は、前記拡散対象の強度が弱い状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を増大させる、
ことを特徴とする付記23に記載の拡散対象制御装置。
【0110】
(付記27)前記状態判定部は、前記第1のユーザの数が所定数より少なく、感情を快と判定したユーザの総数が所定数より多い場合に、前記拡散対象の強度が適正な状態であると判定し、
前記制御部は、前記拡散対象の強度が適正な状態である場合に、前記拡散対象を放出する強度を維持させる、
ことを特徴とする付記23に記載の拡散対象制御装置。
【符号の説明】
【0111】
1、1a…拡散対象制御装置
2…拡散対象提示部
3…マイク
4…カメラ
5…気流センサ
10…第1の位置取得部
11…第2の位置取得部
12…表情特徴量抽出部
13…音声特徴量抽出部
14…知覚状態判定部
15…場の状態判定部
16…拡散対象提示制御部
17…気流判定部
20…映像
21…音声
30…人の位置情報
31…表情特徴量
32…言語特徴量
33…非言語特徴量
34…位置情報
100…コンピュータ
101…CPU
102…入力装置
103…モニタ
104…媒体読取装置
105…インタフェース装置
106…通信装置
107…RAM
108…ハードディスク装置
108A…プログラム
109…バス
H1~H3…人
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10