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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ジョイントコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/08 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H01R31/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019193602
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021068616
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 治
(72)【発明者】
【氏名】田端 正明
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-168301(JP,A)
【文献】特開2019-145208(JP,A)
【文献】特開2000-306645(JP,A)
【文献】特開2001-135368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/08
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を電気的に接続するジョイントコネクタであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに配設されるジョイント端子と、を備え、
前記ジョイント端子は、配列方向に沿って配列された複数の分岐部と、前記複数の分岐部のそれぞれに連なり前記複数の電線と接続される複数の電線接続部と、前記複数の分岐部を連結することにより前記複数の分岐部を電気的に接続する連結部と、を有し、
前記連結部は、前記配列方向に延びる板状をなすとともに折れ曲がっており、
前記連結部は、前記連結部の板面から突出して折れ曲がった複数の折れ曲がり部を有し、
隣り合う一対の前記分岐部は前記折れ曲がり部によって一体に連結されており、
前記連結部が前記ハウジングと係合するジョイントコネクタ。
【請求項2】
記複数の折れ曲がり部には、少なくとも1つのピッチ調節折れ曲がり部が設けられており、
前記ピッチ調節折れ曲がり部は、他の折れ曲がり部とは異なる折れ曲がり形状を有する請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記配列方向について前記連結部の両端部には、前記ハウジングと係合する端部係合部が設けられている請求項1または請求項2に記載のジョイントコネクタ。
【請求項4】
記ハウジングは、前記複数の折れ曲がり部のそれぞれと弾性的に係合する、複数の個別係合部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジョイントコネクタ。
【請求項5】
前記複数の電線接続部のそれぞれは、
前記電線を挟持する複数の挟持片を備えた端子本体と、
前記電線の延びる方向に沿って前記端子本体に対してスライド移動可能なスライド部と、を有し、
前記スライド部は筒状をなしており、前記スライド部の内部に前記複数の挟持片が収容されるようになっており、
前記スライド部は、前記スライド部の内壁から内方に突出するとともに、前記複数の挟持片に当接することによって前記複数の挟持片を前記電線に向かって押圧する当接部を有し、
前記スライド部が当接位置に移動したときに、前記当接部が前記複数の挟持片に当接する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のジョイントコネクタ。
【請求項6】
前記端子本体は、前記スライド部が前記当接位置にスライドするスライド方向の前端部に、前記スライド方向と交差する交差壁部を有する請求項5に記載のジョイントコネクタ。
【請求項7】
前記複数の電線接続部のそれぞれは、前記電線に圧着する圧着部を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジョイントコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョイントコネクタとして、特開平7-73938号公報に記載のものが知られている。このジョイントコネクタは、ハウジングと、複数のタブ状接触部が連結されたジョイント端子とを備える。ジョイント端子はハウジングに設けられた端子取付溝部内に圧入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-73938号公報公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術にかかるジョイントコネクタにおいては、ジョイント端子がハウジングに圧入されるため、ジョイント端子とハウジングとの組み付け作業の効率が低下するという問題があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、組み立て作業の効率が向上されたジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の電線を電気的に接続するジョイントコネクタであって、ハウジングと、前記ハウジングに配設されるジョイント端子と、を備え、前記ジョイント端子は、配列方向に沿って配列された複数の分岐部と、前記複数の分岐部のそれぞれに連なり前記複数の電線と接続される複数の電線接続部と、前記複数の分岐部を連結することにより前記複数の分岐部を電気的に接続する連結部と、を有し、前記連結部は、前記配列方向に延びる板状をなすとともに折れ曲がっており、前記連結部が前記ハウジングと係合する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ジョイントコネクタの組み立て作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかるジョイントコネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1とは異なる方向から見た、ジョイントコネクタを示す斜視図である。
図3図3は、ジョイントコネクタを示す側断面図である。
図4図4は、ロアハウジングとアッパーハウジングとを示す分解斜視図である。
図5図5は、アッパーハウジングが組み付けられる前の状態のジョイントコネクタを示す平面図である。
図6図6は、図5におけるVI-VI線断面図である。
図7図7は、図5にけるVII-VII線断面図である。
図8図8は、図3におけるVIII-VIII線断面図である。
図9図9は、ジョイント端子を示す斜視図である。
図10図10は、治具によってスライド部をスライド移動させる工程を示す側断面図である。
図11図11は、キャリアが折り曲げられる前の状態を示すジョイント端子を示す斜視図である。
図12図12は、実施形態2にかかるジョイント端子を示す斜視図である。
図13図13は、実施形態3にかかるジョイント端子を示す斜視図である。
図14図14は、実施形態4にかかるジョイント端子を示す斜視図である。
図15図15は、実施形態5にかかるジョイント端子を示す斜視図である。
図16図16は、キャリアが折り曲げられる前のジョイント端子を示す斜視図である。
図17図17は、ロアハウジングとアッパーハウジングとを示す分解斜視図である。
図18図18は、図19におけるXVIII-XVIII線断面図である。
図19図19は、ジョイントコネクタを示す側断面図である。
図20図20は、図19におけるXX-XX線断面図である。
図21図21は、キャリアが折り曲げられる前であって、かつ電線が圧着される前の状態のジョイント端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示は、複数の電線を電気的に接続するジョイントコネクタであって、ハウジングと、前記ハウジングに配設されるジョイント端子と、を備え、前記ジョイント端子は、配列方向に沿って配列された複数の分岐部と、前記複数の分岐部のそれぞれに連なり前記複数の電線と接続される複数の電線接続部と、前記複数の分岐部を連結することにより前記複数の分岐部を電気的に接続する連結部と、を有し、前記連結部は、前記配列方向に延びる板状をなすとともに折れ曲がっており、前記連結部が前記ハウジングと係合することが好ましい。
【0011】
折れ曲がった連結部を、ハウジングに係合させることにより、ジョイント端子をハウジングに容易に組み付けることができる。これにより、ジョイント端子をハウジングに圧入する場合に比べて、ジョイント端子とハウジングとの組み付け作業の効率を向上させることができるので、ジョイントコネクタの組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0012】
(2)前記連結部は、前記連結部の板面から突出して折れ曲がった複数の折れ曲がり部を有し、前記複数の折れ曲がり部には、少なくとも1つのピッチ調節折れ曲がり部が設けられており、前記ピッチ調節折れ曲がり部は、他の折れ曲がり部とは異なる折れ曲がり形状を有することが好ましい。
【0013】
ピッチ調節折れ曲がり部の折れ曲がり形状を、他の折れ曲がり部と変更することにより、複数の電線接続部のピッチ間隔を調節することができる。
【0014】
(3)前記配列方向について前記連結部の両端部には、前記ハウジングと係合する端部係合部が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、連結部を配列方向に伸縮させて弾発力を発生させた状態で、連結部の両端部に設けられた端部係合部をハウジングに係合させるという簡易な手法により、ジョイント端子をハウジングに取り付けることができる。
【0016】
(4)前記連結部は、前記連結部の板面から突出して折れ曲がった複数の折れ曲がり部を有し、前記ハウジングは、前記複数の折れ曲がり部のそれぞれと弾性的に係合する、複数の個別係合部を有することが好ましい。
【0017】
連結部に設けられた折れ曲がり部と、ハウジングに設けられた個別係合部とが、それぞれ係合することにより、複数の折れ曲がり部の、配列方向の位置を個別に調節することができる。これにより、複数の電線接続部のピッチ間隔の精度を向上させることができる。
【0018】
(5)前記複数の電線接続部のそれぞれは、前記電線を挟持する複数の挟持片を備えた端子本体と、前記電線の延びる方向に沿って前記端子本体に対してスライド移動可能なスライド部と、を有し、前記スライド部は筒状をなしており、前記スライド部の内部に前記複数の挟持片が収容されるようになっており、前記スライド部は、前記スライド部の内壁から内方に突出するとともに、前記複数の挟持片に当接することによって前記複数の挟持片を前記電線に向かって押圧する当接部を有し、前記スライド部が当接位置に移動したときに、前記当接部が前記複数の挟持片に当接することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、スライド部を当接位置にスライド移動させることにより、当接部によって挟持片が電線に向かって押圧される。これにより、電線と電線接続部とを、挟持片を介して電気的に接続できる。
【0020】
(6)前記端子本体は、前記スライド部が前記当接位置にスライドするスライド方向の前端部に、前記スライド方向と交差する交差壁部を有することが好ましい。
【0021】
スライド部を当接位置にスライド移動させる際に、スライド部によって挟持片がスライド方向の前方に押される。このとき、交差壁部の前方に押え治具を配して、この押え治具を、交差壁部の前方から当接させることにより、端子本体がスライド方向の前方に移動することを抑制できる。これにより、スライド部を当接位置にスライド移動させる際に、端子本体がスライド方向の前方に位置ずれすることを抑制できる。
【0022】
(7)前記複数の電線接続部のそれぞれは、前記電線に圧着する圧着部を有することが好ましい。
【0023】
ジョイント端子と電線とを、圧着という簡易な手法により接続できる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図11を参照しつつ説明する。本実施形態にかかるジョイントコネクタ10は、複数の電線11を電気的に接続する。以下の説明では、矢線Zの示す向きを上とし、矢線Yの示す向きを前とし、矢線Xの示す向きを左として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0026】
[ジョイントコネクタ10]
図1および図2に示されるように、ジョイントコネクタ10は前後方向に延びる略直方体形状をなしている。図3に示されるように、本実施形態にかかるジョイントコネクタ10は、ハウジング29と、ハウジング29内に配設されるジョイント端子12と、を備える。図4に示されるように、ハウジング29は、ロアハウジング30と、ロアハウジング30の上部に取り付けられるアッパーハウジング60と、を備える。電線11は概ね前後方向に延びて配索されており、前後方向が電線11の延び方向とされる。
【0027】
[電線11]
図3に示されるように、複数の電線11は前後方向に延びて配されている。電線11は、芯線13の外周を絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆14で包囲されている。本実施形態にかかる芯線13は、1本の金属線からなる。なお、芯線13は複数の金属細線が撚り合わされてなる撚線であってもよい。芯線13を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかる芯線13は銅、または銅合金からなる。
【0028】
[ロアハウジング30]
図4に示されるように、ロアハウジング30は、前後方向に延びるとともに上下に扁平な形状をなしている。ロアハウジング30は、絶縁性の合成樹脂が射出成型されて形成される。ロアハウジング30は、底壁31と、底壁31の左右両側縁から上方に延びる側壁32と、底壁31の前端縁から上方に延びる前壁と、を有する。
【0029】
図4に示されるように、ロアハウジング30の底壁31には、底壁31の前端部から後方に延びる複数(本実施形態では4つ)の仕切りリブ34が左右方向に間隔を空けて形成されている。仕切りリブ34の前後方向の長さ寸法は、底壁31の前後方向の長さ寸法の略三分の一に設定されている。
【0030】
ロアハウジング30の底壁31には、仕切りリブ34の各後端部から後方に延びる複数(本実施形態では4つ)の仕切り壁35が形成されている。仕切り壁35は、底壁31の後端部に至るまで延びている。
【0031】
図5に示されるように、ロアハウジング30の側壁32、および仕切り壁35によって区切られた空間内には、ジョイント端子12のうち電線接続部17が上方から配置されるようになっている。ロアハウジング30のうち、仕切りリブ34が設けられた領域には、ジョイント端子12のうち連結部19が収容されるようになっている。
【0032】
図6に示されるように、仕切り壁35の上縁部には、前端部寄りの位置に、ジョイント端子12を上方に抜け止めするための係止爪36が形成されている。また、ロアハウジング30の側壁32の上縁部にも、係止爪36に対応する位置に、ジョイント端子12を上方に抜け止めするための係止爪36が形成されている。係止爪36は左右方向に弾性変形可能に形成されている。
【0033】
図4および図7に示されるように、ロアハウジング30の側壁32の外面には、前端部寄りの部分に、係止凹部33が形成されている。
【0034】
[アッパーハウジング60]
図3に示されるように、ロアハウジング30は、上方から組み付けられたアッパーハウジング60によって、上部が覆われるようになっている。アッパーハウジング60は絶縁性の合成樹脂を射出成型することによって形成される。
【0035】
アッパーハウジング60は、上壁61と、上壁61の左右両側縁から下方に延びる側壁62と、上壁61の後縁から下方に延びる後壁63と、を有する。
【0036】
図4に示されるように、アッパーハウジング60の側壁62の前端部寄りの位置にはロック爪66が形成されている。ロック爪66は、左右方向についてアッパーハウジング60の内方に突出するように形成されている。このロック爪66が、ロアハウジング30の側壁32に設けられた係止凹部33と弾性的に係合することにより、ロアハウジング30とアッパーハウジング60とが一体に組み付けられるようになっている。
【0037】
図1に示されるように、アッパーハウジング60の後壁63には、ロアハウジング30の側壁32、および仕切り壁35との干渉を避ける逃げ溝64が、後壁63の下端縁から上方に延びて形成されている。ロアハウジング30とアッパーハウジング60とが組み付けられた状態で、ロアハウジング30の側壁32、および仕切り壁35は、逃げ溝64の内側に配されるようになっている。
【0038】
図1に示されるように、アッパーハウジング60の後壁63には、電線11が後方に導出される複数(本実施形態では4つ)の電線導出口65が左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。各電線導出口65は、後壁63のうち、逃げ溝64の間に形成されている。
【0039】
図2に示されるように、アッパーハウジング60の前端部から略三分の一の領域は、上方にやや膨出した連結部収容部67とされる。アッパーハウジング60の上壁61のうち連結部収容部67に対応する領域には、前後方向に延びるとともに左右方向に間隔を空けて並ぶ、複数(本実施形態では3つ)の逃げスリット68が形成されている。図8に示されるように、ロアハウジング30とアッパーハウジング60とが組み付けられた状態で、後述する折れ曲がり部21の上端部が逃げスリット68内に収容されるようになっている。これにより、折れ曲がり部21の上端部と上壁61とが干渉することを回避できる。
【0040】
[ジョイント端子12]
図9に示されるように、ジョイント端子12は、左右方向(配列方向の一例)に沿って配列された複数(本実施形態では4つ)の分岐部20と、複数の分岐部20のそれぞれに連なり電線11と接続される複数(本実施形態では4つ)の電線接続部17と、複数の分岐部20を連結する連結部19と、を有する。
【0041】
ジョイント端子12は金属板材を所定の形状にプレス加工することにより形成される。ジョイント端子12を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるジョイント端子12は、銅、または銅合金からなる。ジョイント端子12の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるジョイント端子12にはスズめっきが施されている。
【0042】
[連結部19]
連結部19は、左右方向に細長く延びた金属板材が折り曲げられて形成されている。連結部19には、前方から見て、上方に山形に屈曲した複数(本実施形態では3つ)の折れ曲がり部21が形成されている。換言すると、折れ曲がり部21は、折り曲げられる前の状態の、前後方向および左右方向に広がる連結部19の板面から、上方に突出するように折れ曲がっている。連結部19の左右両端部は、斜め上方に曲がっており、ロアハウジング30の係止凹部33に弾性的に係合する端部係合部22とされる。
【0043】
折れ曲がり部21が左右方向について開き変形または閉じ変形することにより、連結部19は、全体として、左右方向について弾性的に伸縮可能になっている。この結果、連結部19が左右方向に圧縮または伸長されることにより、連結部19に弾発力が生じるようになっている。連結部19は、細長く延びたキャリア50が所定の長さ寸法に切断されるとともに、折り曲げ加工されることにより形成される。
【0044】
[分岐部20]
連結部19には、後方に延びる複数(本実施形態では4つ)の分岐部20が形成されている。分岐部20は前後方向に細長く延びて形成されている。連結部19のうち、複数の分岐部20が設けられている部分の間の領域には、上記した折れ曲がり部21が形成されている。
【0045】
分岐部20の後半部分には、分岐部20の左右両側縁から上方に延びる係止壁部24が形成されている。係止壁部24の前端縁は、左右方向の内方に曲がっており、前後方向と交差する交差壁部49とされる。本実施形態では、係止壁部24は、前後方向に直交するように形成されている。係止壁部24の上下方向に高さ寸法は、折れ曲がり部21の高さ寸法の略二分の一に設定されている。分岐部20の後方には、電線接続部17が連なっている。
【0046】
[電線接続部17]
電線接続部17は、金属製の端子本体15と、端子本体15に対して相対的にスライド移動可能なスライド部16と、を備える。
【0047】
[端子本体15]
図3に示されるように、端子本体15は前後方向に延びる角筒状に形成されている。端子本体15は、端子本体15の上壁から後方に延出された上側挟持片18Aと、端子本体15の下壁から後方に延出された下側挟持片18Bと、を備える。上側挟持片18Aと下側挟持片18Bは前後に延びた細長い形状をなしている。上側挟持片18Aと下側挟持片18Bの前後方向の長さ寸法は略同じに形成されている。
【0048】
上側挟持片18Aの下面には、後端部よりも前方の位置に、下方に突出する上側保持突部23Aが設けられている。下側挟持片18Bの上面の後端部には、上方に突出する下側保持突部23Bが設けられている。下側保持突部23Bと、上側保持突部23Aとは、前後方向についてずれた位置に設けられている。
【0049】
上側挟持片18Aの下面、および下側挟持片18Bの上面が、芯線13の表面に形成された酸化被膜に食い込んで酸化被膜を剥がすことにより、芯線13の金属表面を露出させるようになっている。この金属表面と、上側挟持片18Aおよび下側挟持片18Bとが接触することにより、芯線13と端子本体15とが電気的に接続される。
【0050】
[スライド部16]
図9に示されるように、スライド部16は、前後方向に延びる角筒状をなしている。スライド部16は、切削加工、鋳造、プレス加工等、必要に応じて公知の手法により形成される。スライド部16を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態にかかるスライド部16は、ステンレス鋼からなる。スライド部16の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。
【0051】
図3に示されるように、スライド部16の内形状の断面は、端子本体15のうち、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bが設けられた領域の外形状の断面と同じか、やや大きく形成されている。これにより、スライド部16は、端子本体15のうち、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bとが設けられた領域の外方に配されるようになっている。換言すると、スライド部16の内部に、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bが収容可能になっている。
【0052】
図3に示されるように、スライド部16の上壁の下面には、下方に突出する上側当接部25A(当接部の一例)が設けられている。スライド部16の下壁の上面には、上方に突出する下側当接部25B(当接部の一例)が設けられている。
【0053】
図9に示されるように、スライド部16の側壁には、前後方向の前端部寄りの位置に、仮係止受け部26が開口されている。また、スライド部16の側壁には、仮係止受け部26よりも後方の位置に、本係止受け部27が開口されている。仮係止受け部26と、本係止受け部27は、端子本体15の側壁に設けられた係止突起28と弾性的に係止可能になっている。
【0054】
端子本体15の係止突起28とスライド部16の仮係止受け部26とが係止した状態は、端子本体15に対してスライド部16が仮係止位置に保持された状態となっている。この状態においては、スライド部16の上側当接部25Aおよび下側当接部25Bは、端子本体15の上側挟持片18Aおよび下側挟持片18Bの後端縁から後方に離れている。また、この状態においては、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bとの間の間隔は、芯線13の直径よりも大きく設定されている。
【0055】
端子本体15の係止突起28とスライド部16の本係止受け部27とが係止した状態は、端子本体15に対してスライド部16が本係止位置に係止された状態となっている。図に示されるように、この状態においては、スライド部16の上側当接部25Aは、上側挟持片18Aの上方から上側挟持片18Aに接触している。また、スライド部16の下側当接部25Bは、下側挟持片18Bの下方から下側挟持片18Bに接触している。
【0056】
上記のように、スライド部16は、端子本体15のうち上側挟持片18Aと下側挟持片18Bとが設けられた領域に外嵌された状態で、上記した仮係止位置と、本係止位置との間をスライド移動可能になっている。
【0057】
図3に示されるように、スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持された状態では、上側当接部25Aが上方から上側挟持片18Aを押圧することによって上側挟持片18Aが下方に変形するようになっている。また、下側当接部25Bが下方から下側挟持片18Bを押圧することによって下側挟持片18Bが上方に変形するようになっている。これにより、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bとの間の空間に、芯線13を前後方向(延び方向)に延びた状態で配し、且つ、スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持した状態では、芯線13は、弾性変形した上側挟持片18Aと下側挟持片18Bによって上下方向から挟持されるようになっている。すなわち、上側挟持片18Aは上側当接部25Aに下方に押圧されることにより芯線13に上方から接触し、下側挟持片18Bは下側当接部25Bに上方に押圧されることにより芯線13に下方から接触するようになっている。
【0058】
図3に示されるように、スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持された状態では、上側挟持片18Aの上側保持突部23Aが芯線13を上方から押圧し、下側挟持片18Bの下側保持突部23Bが芯線13を下方から押圧する。このように、芯線13は、上側保持突部23Aによって上方から押圧されるとともに、上側保持突部23Aと前後方向にずれた位置に配された下側保持突部23Bによって下方から押圧されることにより、上下方向について屈曲した状態に保持される。また、上側保持突部23Aと、下側保持突部23Bとによっても、芯線13とジョイント端子12とが電気的に接続されるようになっている。
【0059】
図10に示されるように、スライド部16の前端部には、上壁から上方に突出する治具接触部46が設けられている。治具接触部46に後方から治具45が接触して、この治具によってスライド部16が前方に押されることにより、スライド部16が前方に移動可能になっている。
【0060】
図9に示されるように、スライド部16の後端部寄りの位置には、左右両側壁に、スライド部16の内方に突出する一対の誘い込み部47が設けられている。誘い込み部47は、後方から前方に向かうに従って幅狭に形成されている。誘い込み部47の内面に芯線13が摺接することにより、芯線13はスライド部16の内部へと案内される。
【0061】
[ジョイントコネクタ10の組み立て工程]
続いて、本実施形態にかかるジョイントコネクタ10の組み立て工程の例について説明する。ジョイントコネクタ10の組み立て工程は以下の記述に限定されない。
【0062】
図11に示されるように、金属板材がプレス加工されることにより、左右方向に細長く延びたキャリア50から、複数の分岐部20、および電線接続部17が後方に延びた状態のものが形成される。この状態では、スライド部16は、端子本体15に対して仮係止位置に保持されている。
【0063】
図9に示されるように、キャリア50の両端部が斜め上方に折り曲げられて端部係合部22が形成されるとともに、分岐部20の間の領域が上方に屈曲されることにより折れ曲がり部21が形成される。
【0064】
図4に示されるように、合成樹脂を射出成型することにより、ロアハウジング30とアッパーハウジング60とそれぞれ形成される。
【0065】
図5図6、および図7に示されるように、ロアハウジング30に上方からジョイント端子12が収容される。ロアハウジング30の仕切り壁35に形成された係止爪36が、ジョイント端子12の係止壁部24の上縁部に上方から弾性的に係止することにより、ジョイント端子12の係止壁部24がロアハウジング30に対して上方へ抜け止めされた状態で保持される。
【0066】
また、連結部19を左右方向にやや圧縮した状態で、ロアハウジング30の側壁32の内面に沿わせながら、上方から収容する。すると、端部係合部22の先端は、ロアハウジング30の側壁32と摺接する。これにより、ジョイント端子12がロアハウジング30の所定の位置までスムーズに案内される。端部係合部22がロアハウジング30の係止凹部33に達すると、連結部19が復帰変形し、端部係合部22が係止凹部33の上壁に下方から係止する。これにより、ジョイント端子12の連結部19がロアハウジング30に対して上方へ抜け止めされた状態で保持される。
【0067】
公知の手法で絶縁被覆14が皮剥ぎ加工されることにより電線11の芯線13が露出される。図10に示されるように、芯線13の前端部が、スライド部16の後端部からスライド部16の内部へと導入される。芯線13はスライド部16の誘い込み部47と当接することにより、スライド部16へと案内される。さらに電線11が前方に押し込まれると、芯線13の前端部は端子本体15の内部へと進入して上側挟持片18Aと下側挟持片18Bとの間の空間内に至る。
【0068】
次に、図10に示されるように、押え治具48を交差壁部49の前方に配置するとともに、治具45を後方から治具接触部46に当接させて、スライド部16を前方にスライド移動させる。スライド部16は端子本体15に対して相対的に前方に移動させられる。このとき、端子本体15の係止突起28と、スライド部16の仮係止受け部26との係止が外れ、スライド部16の側壁が係止突起28に乗り上げて拡開変形する。
【0069】
スライド部16が前方に移動させられると、スライド部16の側壁が復帰変形して端子本体15の係止突起28と、スライド部16の本係止受け部27とが弾性的に係止する。これによりスライド部16が端子本体15に対して本係止位置に保持される。
【0070】
スライド部16が端子本体15に対して本係止位置に保持された状態で、スライド部16の上側当接部25Aが、端子本体15の上側挟持片18Aに上方から当接して下方へと押圧する。また、スライド部16の下側当接部25Bが、端子本体15の下側挟持片18Bに下方から当接して上方へと押圧する。これにより、芯線13が、上側挟持片18Aと下側挟持片18Bに上下から挟持される(図3参照)。
【0071】
図3に示されるように、上側挟持片18Aの下面と、下側挟持片18Bの上面とに芯線13が挟まれることにより、芯線13の表面に形成された酸化被膜が剥がされ、芯線13を構成する金属表面が露出する。この金属表面と、上側挟持片18Aおよび下側挟持片18Bが接触することにより、電線11とジョイント端子12とが電気的に接続される。これにより、複数の電線11が、ジョイント端子12を介して電気的に接続される。
【0072】
芯線13が上側挟持片18Aと下側挟持片18Bに上下から挟持された状態においては、芯線13は、上側挟持片18Aの上側保持突部23Aと、下側挟持片18Bの下側保持突部23Bとに挟まれることにより、前後方向に延びた状態で、且つ、上下方向に屈曲した状態で保持される。これにより、芯線13を強固に保持することができるので、電線11に引っ張り力が作用した場合に、電線11とジョイント端子12との保持力を高めることができる。
【0073】
治具45によってスライド部16が前方に押されると、端子本体15および分岐部20も前方に押される。このとき、交差壁部49が押え治具48に後方から当接することにより、端子本体15および分岐部20が前方に移動することが抑制されるようになっている。ジョイント端子12と電線とが電気的に接続された後、押え治具48が取り外される。
【0074】
図3に示されるように、アッパーハウジング60がロアハウジング30に上方から組み付けられる。アッパーハウジング60の側壁62に設けられたロック爪66が、ロアハウジング30の側壁32に設けられた係止凹部33に弾性的に係止することにより、アッパーハウジング60とロアハウジング30とが一体に組み付けられる(図8参照)。これによりジョイントコネクタ10が完成する。
【0075】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態は、複数の電線11を電気的に接続するジョイントコネクタ10であって、ハウジング29と、ハウジング29に配設されるジョイント端子12と、を備え、ジョイント端子12は、左右方向に沿って配列された複数の分岐部20と、複数の分岐部20のそれぞれに連なり複数の電線11と接続される複数の電線接続部17と、複数の分岐部20を連結することにより複数の分岐部20を電気的に接続する連結部19と、を有し、連結部19は、左右方向に延びる板状をなすとともに折れ曲がっており、連結部19がハウジング29と係合する。
【0076】
折れ曲がった連結部19を、ハウジング29に係合させることにより、ジョイント端子12をハウジング29に容易に組み付けることができる。これにより、ジョイント端子12をハウジング29に圧入する場合に比べて、ジョイント端子12とハウジング29との組み付け作業の効率を向上させることができるので、ジョイントコネクタ10の組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、左右方向について連結部19の両端部には、ハウジング29と係合する端部係合部22が設けられている。
【0078】
上記の構成によれば、連結部19を左右方向に伸縮させて弾発力を発生させた状態で、連結部19の両端部に設けられた端部係合部22をハウジング29に係合させるという簡易な手法により、ジョイント端子12をハウジング29に取り付けることができる。
【0079】
本実施形態によれば、複数の電線接続部17のそれぞれは、電線11を挟持する上側挟持片18A、および下側挟持片18Bを備えた端子本体15と、電線11の延びる方向に沿って端子本体15に対してスライド移動可能なスライド部16と、を有し、スライド部16は筒状をなしており、スライド部16の内部に上側挟持片18A、および下側挟持片18Bが収容されるようになっており、スライド部16は、スライド部16の内壁から内方に突出するとともに、上側挟持片18A、および下側挟持片18Bに当接することによって上側挟持片18A、および下側挟持片18Bを電線11に向かって押圧する上側当接部25A、および下側当接部25Bを有し、スライド部16が当接位置に移動したときに、上側当接部25A、および下側当接部25Bが上側挟持片18A、および下側挟持片18Bに当接する。
【0080】
上記の構成によれば、スライド部16を当接位置にスライド移動させることにより、上側当接部25A、および下側当接部25Bによって上側挟持片18A、および下側挟持片18Bが電線11に向かって押圧される。これにより、電線11と電線接続部17とを、上側挟持片18A、および下側挟持片18Bを介して電気的に接続できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、端子本体15は、スライド部16が当接位置にスライドするスライド方向の前端部に、スライド方向と交差する交差壁部49を有する。
【0082】
スライド部16を当接位置にスライド移動させる際に、スライド部16によって上側挟持片18A、および下側挟持片18Bがスライド方向の前方に押される。このとき、交差壁部49の前方に押え治具48を配して、この押え治具48を、交差壁部49の前方から当接させることにより、スライド部16の移動時に端子本体15がスライド方向の前方に移動することを抑制できる。
【0083】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について、図12を参照しつつ説明する。本実施形態にかかるジョイント端子70においては、連結部71には、右側に位置する折れ曲がり部72Aと、左側に位置するピッチ調節折れ曲がり部72Bとが設けられている。ピッチ調節折れ曲がり部72Bは、右側に形成された折れ曲がり部72Aよりも、上下方向の高さ寸法が小さく設定されている。また、連結部71の左側に形成されたピッチ調節折れ曲がり部72Bは、右側に形成された折れ曲がり部72Aよりも、左右方向の幅寸法が大きく設定されている。
【0084】
本実施形態にかかるジョイント端子70には、3つの分岐部20と、この分岐部20に連なる3つの電線接続部17が形成されている。3つの電線接続部17の、左右方向のピッチ間隔は異なっている。ピッチ調節折れ曲がり部72Bによって、連結部71のうち中央の電線接続部17と、左端部の電線接続部17とのピッチ間隔は、連結部71のうち中央の電線接続部17と、右端部の電線接続部17とのピッチ間隔よりも広くなっている。
【0085】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態によれば、連結部71は、連結部71の板面から突出して折れ曲がった複数の折れ曲がり部72A,72Bを有し、複数の折れ曲がり部72A,72Bには、少なくとも1つのピッチ調節折れ曲がり部72Bが設けられており、ピッチ調節折れ曲がり部72Bは、他の折れ曲がり部72Aとは異なる折れ曲がり形状を有する。
【0087】
ピッチ調節折れ曲がり部72Bの折れ曲がり形状を、他の折れ曲がり部72Aと異ならせ、左右方向の幅寸法を変えることにより、複数の電線接続部17のピッチ間隔を調節することができる。
【0088】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について、図13を参照しつつ説明する。本実施形態にかかるジョイント端子80においては、連結部82に形成された折れ曲がり部81は、前方から見てM字形状に複数回屈曲して形成されている。これにより、折れ曲がり部81の上下方向の高さ寸法は、スライド部16の治具接触部46の高さ寸法と略同じに設定されている。このように、折れ曲がり部81の折れ曲がり回数を調節することにより、ジョイント端子80の高さ寸法を任意に調節することができる。この結果、ジョイント端子80を低背化することも可能となる。
【0089】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4について、図14を参照しつつ説明する。本実施形態にかかるジョイント端子90においては、折れ曲がり部91は、連結部92の下方に突出した形状に折れ曲がっている。これにより、連結部92の上方にスペースが十分に確保できない場合に対応することができる。
【0090】
<実施形態5>
次に、本開示の実施形態5にかかるジョイントコネクタ100について、図15から図21を参照しつつ説明する。図15および図16に示されるように、本実施形態にかかるジョイント端子101においては、分岐部102の右側縁から上方に延びた係止壁部103Rの上端縁は左方に折れ曲がっており、分岐部102の左側縁から上方に延びた係止壁部103Lの上端縁は右方に折れ曲がっている。これにより、係止壁部103R、103Lは全体として、前後方向に延びる角筒状に形成されている。
【0091】
図15に示されるように、分岐部102の後方には電線接続部104が設けられている。本実施形態にかかる電線接続部104は、電線11の芯線13の外周に圧着するワイヤーバレル部105(圧着部の一例)と、電線11の絶縁被覆14の外周に圧着するインシュレーションバレル部106と、が前後に並んで形成されている。
【0092】
図17に示されるように、本実施形態にかかるロアハウジング107は、底壁108と、底壁108の左右両側縁から上方に延びる側壁109と、底壁108の前端縁から上方に延びる前壁と、を有する。
【0093】
底壁108には、前後方向に延びる仕切り壁110が左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。図19に示されるように、仕切り壁110の上端縁には、ジョイント端子101の係止壁部103R,103Lに上方から係止することにより、ジョイント端子101を上方へ抜け止め状態で保持する係止爪111が形成されている。また、ロアハウジング107の側壁109の内面にも、ジョイント端子101を上方へ抜け止め状態で保持する係止爪111が形成されている。
【0094】
図19に示されるように、アッパーハウジング112の上壁113の下面には、上壁113の前端部からやや後方の位置に、下方に突出して折れ曲がり部114に後方から係止する第1後ろ止め部115が形成されている。第1後ろ止め部115のやや後方には、上壁113からさらに下方に突出して、係止壁部103R,103Lに後方から係止する第2後ろ止め部116が形成されている。これにより、電線11が後方に引っ張られた場合においても、ジョイント端子101が後方に移動することを抑制できる。
【0095】
第2後ろ止め部116のやや後方の位置には、インシュレーションバレル部106との干渉を避けるための退避凹部117が上方に凹状に形成されている。
【0096】
図20に示されるように、本実施形態においては、各折れ曲がり部114の内部に仕切り壁110が入り込むようになっている。これにより、各折れ曲がり部114が拡開変形する結果、各折れ曲がり部114に弾発力が発生する。この結果、複数の折れ曲がり部114のそれぞれが、仕切り壁110を弾性的に挟み込むようになっている。本実施系形態においては、仕切り壁110が、複数の折れ曲がり部114のそれぞれと弾性的に係合する個別係合部とされる。
【0097】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0098】
本実施形態にかかるジョイントコネクタ100の組み立て工程の例について説明する。ジョイントコネクタ100の組み立て工程は以下の記述に限定されない。
【0099】
図21に示されるように、金属板材がプレス加工されることにより、左右方向に細長く延びたキャリア50に複数の電線接続部104が連なった状態のものが形成される。
【0100】
図15に示されるように、皮剥ぎされた電線11の端部において、芯線13の外周にワイヤーバレル部105が圧着され、絶縁被覆14の外周にインシュレーションバレル部106が圧着される。また、キャリア50が曲げられることにより、折れ曲がり部114が形成される。
【0101】
図18および図20に示されるように、ロアハウジング107に上方からジョイント端子101を組み付けて、上方へ抜け止め状態で保持する。
【0102】
図19に示されるように、ロアハウジング107にアッパーハウジング112を組み付けることにより、ジョイントコネクタ100が完成する。
【0103】
本実施形態によれば、連結部118は、連結部118の板面に交差する方向に突出して折れ曲がった複数の折れ曲がり部114を有し、ロアハウジング107は、複数の折れ曲がり部114のそれぞれと弾性的に係合する、複数の仕切り壁110を有する。
【0104】
連結部118に設けられた折れ曲がり部114と、ロアハウジング107に設けられた仕切り壁110とが、それぞれ係合することにより、複数の折れ曲がり部114の、左右方向の位置を個別に調節することができる。これにより、複数の電線接続部104のピッチ間隔の精度を向上させることができる。
【0105】
本実施形態によれば、複数の電線接続部104のそれぞれは、電線11の芯線13に圧着するワイヤーバレル部105を有する。
【0106】
これにより、ジョイント端子101と電線11とを、圧着という簡易な手法により接続できる。
【0107】
<他の実施形態>
(1)ジョイント端子12には、2つ、または5つ以上の、任意の個数の電線接続部17を形成することができる。
【0108】
(2)ジョイント端子70には、2つ以上の複数のピッチ調節折れ曲がり部72Bを設けてもよい。
【0109】
(3)スライド部16は、三角筒状、六角筒状等の多角筒状でもよく、円筒形状でもよく任意の形状を採用できる。
【符号の説明】
【0110】
10,100: ジョイントコネクタ
11: 電線
12,70,80,90,101: ジョイント端子
13: 芯線
14: 絶縁被覆
15: 端子本体
16: スライド部
17,104: 電線接続部
18A: 上側挟持片
18B: 下側挟持片
19,71,82,92,118: 連結部
20,102: 分岐部
21,81,91,114: 折れ曲がり部
22: 端部係合部
23A: 上側保持突部
23B: 下側保持突部
24,103R,103L: 係止壁部
25A: 上側当接部
25B: 下側当接部
26: 仮係止受け部
27: 本係止受け部
28: 係止突起
29: ハウジング
30,107: ロアハウジング
31,108: 底壁
32,109: 側壁
33: 係止凹部
34: 仕切りリブ
35,110: 仕切り壁
36,111: 係止爪
45: 治具
46: 治具接触部
47: 誘い込み部
48: 押え治具
49: 交差壁部
50: キャリア
60,112: アッパーハウジング
61,113: 上壁
62: 側壁
63: 後壁
64: 逃げ溝
65: 電線導出口
66: ロック爪
67: 連結部収容部
68: 逃げスリット
72A: 折れ曲がり部
72B: ピッチ調節折れ曲がり部
105: ワイヤーバレル部(圧着部)
106: インシュレーションバレル部
115: 第1後ろ止め部
116: 第2後ろ止め部
117: 退避凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21