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  • 特許-織編物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】織編物
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/56 20210101AFI20230404BHJP
   D03D 15/587 20210101ALI20230404BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20230404BHJP
   D04B 21/18 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
D03D15/56
D03D15/587
D04B1/18
D04B21/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019537858
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000400
(87)【国際公開番号】W WO2019159569
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2018024424
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】琴 雅婪
(72)【発明者】
【氏名】土倉 弘至
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0201682(US,A1)
【文献】特表2009-501033(JP,A)
【文献】特公昭53-001874(JP,B1)
【文献】特開2001-106023(JP,A)
【文献】実公昭54-037903(JP,Y2)
【文献】特開2003-182512(JP,A)
【文献】特表2011-521832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00-27/18
D04B1/00-1/28
21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長率が異なる2種類以上の糸から構成され、
経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、前記伸長率が異なる2種類以上の糸がそれぞれ独立した糸条として、同方向に配されており、
前記糸条の配されている方向に対する平行方向に荷重をかけて得られるS-Sカーブは、
変曲点を有し、かつ、
伸度P(%)となるよう荷重をかけた場合を基準とし、伸度(P×0.8)(%)となるよう荷重を掛けた場合の弾性率Aと、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた場合の弾性率Bとが、5.6≦B/A≦12となる点を含み、
前記伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から前記荷重を取り除いた場合の伸長回復率は、90%以上であり、
前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸は、モノフィラメントであり、
前記モノフィラメントは、エラストマー糸であり、
前記エラストマー糸は、ポリエーテル系エラストマー、ポリスルフィド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーのうち少なくともいずれかを含み、
前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の小さい糸は、マルチフィラメントであり、
前記マルチフィラメントは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびそれらの共重合体、ポリアミドまたは金属繊維であり、
織物の織組織は、平織、綾織、朱子織、およびこれらの組織を組み合わせた二重織または変化組織であり、
伸長率は、荷重0.1cN/dtexかけたときの糸条の長さをL1、荷重0.4cN/dtexかけたときの糸条の長さをL2としたときに、(L2-L1)/L1で求められる値であり、
伸長回復率は、伸長前の織編物の長さをLaとし、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から荷重を取り除いた後の織編物を温度20±2℃、相対湿度65±4%の標準状態で24時間放置した後の織編物の長さをLbとし、以下の式に基づいて算出した値である、織編物。
{1-(Lb-La)/La}×100%
【請求項2】
前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸の含有率は、全糸中、10~90質量%である、請求項記載の織編物。
【請求項3】
前記伸長率が異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸は、融着糸を含み、
前記融着糸は、糸どうしが融着されている、請求項1または2記載の織編物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織編物に関する。より詳細には、本発明は、伸度領域において弾性率が変化する伸縮性織物であり、通常使用の低伸度領域で適度な伸縮性を有し、それ以上の伸度領域では著しく伸びにくくなることで、建築資材、安全資材、衣料資材、土木資材、農業資材、車両資材、およびスポーツ資材等の各種衣料および産業用途、特に高性能な伸縮特性を要求されるスポーツ衣料・資材用途に好適な織編物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性を有する伸縮性布帛は、衣料用途を中心に幅広く使用されている。特に素材の軽量化を求める用途では、伸縮性編物よりも伸縮性織物が使用される傾向がある。また、近年、特にスポーツ用途では、より高性能な伸縮特性が求められている。特許文献1には、高荷重領域での伸縮性を有し、高伸長での回復率が高い伸縮性織物が開示されている。特許文献2には、非弾性糸と弾性糸を織物の同方向に配した伸縮性織物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-36541号公報
【文献】特開2005-256255号公報
【発明の概要】
【0004】
伸縮性布帛は、通常使用領域での伸度と弾性応力とを適正化することが重要である。しかしながら、伸縮性布帛は、通常使用領域で加えられる応力以上の応力が加えられた場合、その伸縮性を発現する弾性糸が塑性変形領域まで伸びてしまい、著しく回復率が低下するという問題がある。特にスポーツ用途では、通常運動時における適度な伸縮性が求められる。しかしながら、スポーツ用途では、伸縮性布帛は、転倒等の非定常的アクシデントが発生した際に、弾性率が高まり、伸縮性が抑制されることにより、体の過剰な変形を止め得ることが安全上重要である。しかしながら、このような観点で伸度領域において弾性率が変化する伸縮性織物は従来存在しない。特許文献1に開示されている織物は、このような条件を満たすものではない。
【0005】
また、特許文献2に開示された伸縮性織物もまた、伸度領域において弾性率が変化する。しかしながら、このような弾性率の変化は、あくまで表面凹凸の効果を狙ったものであり、弾性率が変化する高伸度領域での使用は想定されていない。そのため、特許文献2に開示された伸縮性織物は、その弾性率の変化幅が不充分であるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、通常使用時の低伸度領域で適度な伸縮性を有し、非定常使用時の高伸度領域では著しく弾性率が向上し、伸びにくくなることで、最終製品に優れた機能を発現させる織編物を提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決する本発明の一態様の織編物は、伸長率が異なる2種類以上の糸から構成され、経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、前記伸長率が異なる2種類以上の糸がそれぞれ独立した糸条として、同方向に配されており、前記糸条の配されている方向に対する平行方向に荷重をかけて得られるS-Sカーブは、変曲点を有し、かつ、伸度P(%)となるよう荷重をかけた場合を基準とし、伸度(P×0.8)(%)となるよう荷重を掛けた場合の弾性率Aと、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた場合の弾性率Bとが、2.5≦B/Aとなる点を含む、織編物である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態の織編物と、通常の伸縮性織物との、S-Sカーブを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<織編物>
本発明の一実施形態の織編物は、伸長率が異なる2種類以上の糸から構成される。織編物は、経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、伸長率が異なる2種類以上の糸がそれぞれ独立した糸条として、同方向に配されている。また、織編物は、糸条の配されている方向に対する平行方向に荷重をかけて得られるS-Sカーブが、変曲点を有する。さらに、このようなS-Sカーブは、伸度P(%)となるよう荷重をかけた場合を基準とし、伸度(P×0.8)(%)となるよう荷重を掛けた場合の弾性率Aと、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた場合の弾性率Bとが、2.5≦B/Aとなる点を含む。以下、それぞれについて説明する。
【0010】
なお、本実施形態において、伸長率は、荷重0.1cN/dtexかけたときの糸条の長さをL1、荷重0.4cN/dtexかけたときの糸条の長さをL2としたときに、(L2-L1)/L1で求められる値である。
【0011】
伸長率の差は特に限定されない。一例を挙げると、伸長率の差は、糸条を構成する糸のうち、最も伸長率の小さい糸の伸長率に対して、最も伸長率の大きい糸の伸長率が、1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。また、最も伸長率の小さい糸の伸長率に対して、最も伸長率の大きい糸の伸長率は20倍以下であることが好ましく、15倍以下であることがより好ましい。
【0012】
本実施形態の織物は、このような伸長率が異なる2種類以上の糸から構成されており、かつ、経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、伸長率が異なる2種類以上の糸がそれぞれ独立した糸条として、同方向に配されている。これにより、織物は、たとえば高伸度領域まで伸ばされた場合において、伸長率が小さい糸が伸び止まり、伸長率の大きい糸が塑性変形領域まで伸びることを抑制することができる。これにより、織物は、織物としての必要以上な伸長が止められ、かつ、優れた伸長回復性を得ることができる。
【0013】
本実施形態の織編物に使用される糸は特に限定されない。糸は、上記した糸の伸長率の関係性さえ保たれていればよく、天然繊維または合成繊維のいずれかを用いることができる。
【0014】
・伸長率の大きい糸
伸長率の大きい糸の種類は特に限定されない。伸長率の大きい糸は、併用される伸長率の小さい糸の伸長率に合わせて、適宜選択され得る。そのため、併用される伸長率の小さい糸が、たとえばレーヨン等の伸長率が極めて小さい糸である場合には、伸長率の大きい糸は、一般的なポリエステル仮撚り糸等であってもよい。同様に、併用される伸長率の小さい糸が、たとえばバイメタル捲縮糸等の伸長率が比較的大きい糸である場合には、伸長率の大きい糸は、さらに伸長率の大きなウレタンエラストマー等が採用されることが好ましい。なお、伸長率の大きい糸は、エラストマー糸のように高い伸長性と回復性を持った糸であることが好ましく、ポリエーテル系エラストマー、ポリスルフィド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等からなる糸であることがより好ましい。これらの糸が選択されることにより、伸長率の小さい糸との関係で、上記した伸長率の差がより達成されやすい。
【0015】
なお、本実施形態において、伸長率が大きい糸は、融着糸を含み、融着糸によって糸どうしが融着されていることが好ましい。本実施形態の織物は、伸長率が大きい糸と、伸長率が小さい糸とを融着させ、編・織組織の交点部において融着点を形成することにより、拘束力を向上させることができる。これにより、得られる織物は、織編地の繰り返し変形時における編織構造の変化が少なく、長期の耐久性がより優れる。
【0016】
また、糸は、マルチフィラメントであっても、モノフィラメントであってもよい。糸は、表層を融着しても肌触りが損なわれにくい点から、モノフィラメントであることが好ましい。モノフィラメントは、芯鞘複合糸等の複合糸であっても、糸全体が同じ素材で構成される非複合糸であってもよい。モノフィラメントは、芯鞘複合糸であることが好ましい。芯鞘複合糸であるモノフィラメントが使用される場合において、モノフィラメントの鞘成分を構成する素材の融点は、モノフィラメントの芯成分を構成する素材の融点よりも、10℃以上低いことが好ましい。モノフィラメントの鞘部分は、全体がその他の糸に融着することが好ましい。モノフィラメントの鞘成分の融点が、モノフィラメントの芯成分の融点+10℃未満である場合、熱セット温度が芯成分の融点を超えた場合に熱セット時に芯成分まで溶けてしまいやすく、融着部分で強度が低下する可能性がある。なお、上記芯鞘複合糸または非複合糸であるモノフィラメントは、いずれも融着させない場合にも用いることができる。
【0017】
モノフィラメントが芯鞘複合糸である場合の素材の種類は、芯成分と鞘成分が同成分で構成されていても異なっていてもよい。ただし、芯成分と鞘成分との接着性を高める観点から、芯成分と鞘成分とは、同成分を含んでいることが好ましく、芯成分と鞘成分が同成分で構成されていることがより好ましい。なかでも、モノフィラメントは、芯成分と鞘成分とがそれぞれ共通する構成成分を含む複数の構成成分から構成される共重合体であり、かつ、それら複数の構成成分の組成比等を変えることにより融点の異なる芯成分、鞘成分となるよう調整されることがさらに好ましい。特に、モノフィラメントは、融点190~250℃のポリエステル系エラストマーからなる芯成分と、融点140~190℃のポリエステル系エラストマーからなる鞘成分とを有する芯鞘複合繊維であることが、熱セット時の接着性と糸強度の点から好ましい。
【0018】
伸長率の大きい糸は、モノフィラメントであることが好ましい。一般に同じポリマーで製造されたフィラメントであれば、繊度が大きい方が、曲げ剛性が高くなり、総繊度が同じであれば、マルチフィラメントよりもモノフィラメントの方が曲げ剛性が高くなる傾向がある。そのため、伸長率の大きい糸は、モノフィラメントであることにより、瞬間的に高い負荷を受ける際に発生する伸長変形、および、塑性変形が抑制されやすく、優れた弾性を発現しやすい。その結果、織編物は、ストレッチ挙動内での織物構造変化が少なく、ヒステリシスロスを小さくすることができ、ストレッチバックの回復速度が優れる。
【0019】
伸長率の大きい糸の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、伸長率の大きい糸の含有量は、織編物を構成する全糸中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、伸長率の大きい糸の含有量は、織編物を構成する全糸中、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。伸長率の大きい糸の含有量が上記範囲内であることにより、得られる織物は、通常使用時と想定される低伸度領域では低い弾性率にて、動きにスムーズに追従する優れたストレッチ性を発現しやすい。また、織物は、高荷重がかかる非定常時の高伸度領域では、弾性率が高まり、必要以上な変形を抑制しやすい。
【0020】
・伸長率の小さい糸
伸長率の小さい糸の種類は特に限定されない。伸長率の小さい糸は、併用される伸長率の大きい糸の伸長率に合わせて、適宜選択され得る。一例を挙げると、伸長率の小さい糸は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートやそれらの共重合体、ポリアミド等からなる糸、金属繊維等である。これらの中でも、伸長率の小さい糸は、熱によるセット性のある糸であることが好ましい。
【0021】
伸長率の小さい糸は、マルチフィラメントであることが好ましい。一般に同じポリマーで製造されたフィラメントにおいて、総繊度が同じであれば、マルチフィラメントはモノフィラメントよりも、単糸径が小さく、肌との接触時に繊維径が変形しやすい。そのため、マルチフィラメントは、柔らかな触感が得られやすい。
【0022】
なお、織編物が高伸度領域にまで伸長された後に、荷重から解放されると、伸長率の小さい糸は、弛みやすく、プラッキングや毛羽立ちの原因になりやすい。そのため、伸長率の小さい糸は、このような弛みを収めるために、単糸が捲縮を有する糸であることが好ましく、仮撚り捲縮糸やバイメタル捲縮糸であることがより好ましい。
【0023】
また、伸長率の小さい糸の強度は特に限定されない。一例を挙げると、伸長率の小さい糸の強度は、3.0cN/dtex以上であることが好ましく、5.0cN/dex以上であることがより好ましい。強度がこのような範囲内であることにより、得られる織編物は、強度が優れる。なお、強度の上限は特に限定されない。実用的には、強度の上限は、15.0cN/dtex以下であってもよい。なお、糸の引張強度は、JIS L 1013:2010 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定することにより算出し得る。
【0024】
糸全体の説明に戻り、糸の総繊度は特に限定されない。糸の総繊度は、30dtex以上であることが好ましく、50dtex以上であることがより好ましい。また、糸の総繊度は、3000dtex以下であることが好ましく、2000dtex以下であることがより好ましい。織編物を構成する糸の総繊度が上記範囲内であることにより、得られる織物は、強度と軽量性とが両立されやすい。なお、本実施形態において、糸の総繊度は、たとえば、JIS L 1013(1999) 8.3.1 正量繊度 b)B法に従って算出し得る。具体的には、0.882mN/dtexの初荷重を掛けてサンプリングした試料の、絶乾にした際の質量を測定し、JIS L 0105 3.1に規定する公定水分率を掛けた値とすることにより算出し得る(ポリアミドは4.5%、ポリプロピレンは0%をそれぞれ工程水分率とした)。
【0025】
糸の単繊維繊度は、1dtex以上であることが好ましく、2dtex以上であることがより好ましい。また、単繊維繊度は、10dtex以下であることが好ましく、6dtex以下であることがより好ましい。単繊維繊度が上記範囲内である場合、得られる織編物の硬さ(風合い)は、スポーツ衣料等に適した硬さ(風合い)となり好ましい。なお、単繊維繊度は、総繊度をフィラメント数で除することにより算出し得る。フィラメント数は、JIS L 1013(1999) 8.4の方法に基づいて算出し得る。
【0026】
糸を構成する単糸の断面形状は特に限定されない。一例を挙げると、単糸の断面形状は、丸断面、各種異型断面、中空糸であってもよい。異形断面としては扁平型、三角型、C型、T型、Y型、団子型、中空型等が例示される。
【0027】
本実施形態の織編物のカバーファクターは、1200以上であることが好ましく、1400以上であることがより好ましい。また、カバーファクターは、2400以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。カバーファクターが上記範囲内である場合、得られる織編物は、優れた通気性および強度が両立されやすい。なお、本実施形態において、カバーファクター(CF)は、以下の式によって定義される。
CF=(DW)1/2×MW+(DF)1/2×MF
(ただし、DWは経糸総繊度(dtex)であり、MWは経糸織密度(本/インチ)であり、DFは緯糸総繊度(dtex)であり、MFは緯糸織密度(本/インチ)である)
【0028】
このように、本実施形態の織編物は、上記伸長率の大きい糸と、伸長率の小さい糸とを含む少なくとも2種類以上の糸から構成され、経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、これら伸長率が異なる2種類以上の糸が、それぞれ独立した糸条として、同方向に配されている。ここで、もし仮に、独立した糸条ではなく、伸長率の異なる糸を合撚やエアー混繊等により、同一糸条として織編物内に配すると、単糸間摩擦や、トルクの発現等のストレッチ性能に関与する別要因が発生しやすく、精緻な織物設計の妨げになる傾向がある。本実施形態の織編物は、伸長率の異なる糸が、独立した糸条として同方向に配されているため、これらの要因が発生しにくく、精緻な織編物設計が可能である。なお、本実施形態において、「同方向に配されている」とは、織編成方向或いはそれと垂直方向に2種類以上の糸が交互に配されていることを意味する。
【0029】
次に、本実施形態の織編物の特性に関して、S-Sカーブ(応力-伸度曲線)を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の織編物と、通常の伸縮性織物(たとえば一種の糸からなる織編物)との、S-Sカーブを示すグラフである。なお、S-Sカーブは、伸長率の異なる糸からなる糸条が配されている方向に対する平行方向に、応力(N/50mm)をかけた際の伸度(%)を表している。このようなS-Sカーブは、たとえば、定速伸長型試験機を用いることにより測定し得る。
【0030】
図1に示されるように、通常の伸縮性織物は、測定範囲内において、加えられた荷重に比例して伸度が大きくなる。そのため、このような通常の伸縮性織物は、低伸度領域だけでなく高伸度領域においても良好な伸縮性を示すため、非定常時に高伸度領域に到達するほど伸ばされた場合に、過剰な変形を防止することができない。
【0031】
一方、本実施形態の織編物は、図1に示されるように、変曲点を有している。変曲点の位置および個数は特に限定されない。変曲点の個数は、織物に使用される、伸長率の異なる糸の種類の数により適宜調整し得る。織編物が、伸長率の大きい糸と、伸長率の小さい糸との2種類からなる場合、織編物は、通常、1個の変曲点を示すS-Sカーブを示す。一方、織編物が伸長率の異なる3種類以上の糸からなる場合、織編物は、2個以上の変曲点を示し得る。また、変曲点の位置は、伸長率の小さい糸における伸長率を調整することにより、調整し得る。そのため、変曲点は、織編物の用途等を考慮して、伸長率の小さい糸の素材を適宜選択することにより、それぞれの用途に適するよう調整され得る。
【0032】
また、織編物は、伸度P(%)となるよう荷重をかけた場合を基準とする場合において、伸度(P×0.8)(%)となるよう荷重を掛けた場合の弾性率Aと、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた場合の弾性率Bとが、2.5≦B/Aとなる点を含んでいる。なお、弾性率は、いずれもS-Sカーブにおける傾きによって表される。すなわち、説明の明瞭化のため、図1では、伸度P(%)が12.5%である場合が例示されている。この場合、P×0.8(%)は10.0%であり、P×1.2(%)は15.0%である。弾性率B(伸度15.0%におけるS-Sカーブの傾き)は、弾性率A(伸度1.0%におけるS-Sカーブの傾き)よりも大きく、B/Aが2.5以上である。
【0033】
B/Aの値は、2.5以上であればよく、4.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。また、B/Aの値は、特に限定されない。一例を挙げると、B/Aの値は、弾性率変化が大きくなり過ぎて、衝撃となってしまわないように、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。B/Aの値が2.5未満である場合、得られる織編物は、通常使用時と想定される低伸度領域だけでなく、それ以上に高荷重がかかる非定常領域での高伸度領域においても伸びすぎてしまうため、必要以上に変形してしまう傾向がある。
【0034】
本実施形態の織編物は、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から荷重を取り除いた場合の伸長回復率が、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。すなわち、一時的に大きな荷重が加わることにより、非定常領域である高伸度領域にまで伸長された場合であっても、織編物は、荷重が取り除かれることによって元の形状に戻ることが好ましい。これにより、たとえば織編物からなる衣服等は、荷重による破損を生じない場合に、継続して使用することができる。伸長回復率が上記範囲内であることにより、織編物は、良好なストレッチ回復性を示し、特にスポーツ資材等で要求される高性能な伸縮特性を実現することができる。なお、本実施形態において、伸長回復率は、伸長前の織編物の長さをLaとし、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から荷重を取り除いた後の織編物を温度20±2℃、相対湿度65±4%の標準状態で24時間放置した後の織編物の長さをLbとし、以下の式に基づいて算出し得る。
{1-(Lb-La)/La}×100%
【0035】
本実施形態の織編物の製造方法は特に限定されない。織編物は、従来公知の方法によって製造することができる。織物は、平織、綾織、朱子織や、これらの組織を組み合わせた二重織、変化組織等の組織を用途に応じて適宜選定することができる。また、編物は、よこ編み、たて編み等のいずれであってもよい。これらの中でも、織物は、一般的には平織り組織が単純で好ましい。一方、伸長率が小さい糸は、伸長率が大きい糸と比較して弛みやすい。そのため、伸長率が小さい糸は、織拘束点を多くし、伸長率が大きい糸は、織拘束点を少なくすることが好ましい。このように、織物は、ストレッチ挙動を発現しやすい複雑な織設計が採用されることが好ましい。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、上記実施形態に格別限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0037】
(1)伸長率が異なる2種類以上の糸から構成され、経糸および緯糸のうち、少なくともいずれか一方に、前記伸長率が異なる2種類以上の糸がそれぞれ独立した糸条として、同方向に配されており、前記糸条の配されている方向に対する平行方向に荷重をかけて得られるS-Sカーブは、変曲点を有し、かつ、伸度P(%)となるよう荷重をかけた場合を基準とし、伸度(P×0.8)(%)となるよう荷重を掛けた場合の弾性率Aと、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた場合の弾性率Bとが、2.5≦B/Aとなる点を含む、織編物。
【0038】
このような構成によれば、本発明の織編物は、伸長率の異なる2種類以上の糸が、それぞれ独立した糸条として同方向に配されている。また、織編物は、糸条の配されている方向に対する平行方向に荷重をかけて得られるS-Sカーブが、変曲点を有しており、かつ、伸度P(%)の前後において弾性率が所定量変化する点を含む。そのため、織編物は、通常使用時の低伸度領域では適度な伸縮性を示し、かつ、非定常使用時の高伸度領域では著しく弾性率が向上し、伸びにくくなる。その結果、織編物は、特に高性能な伸縮特性が要求される最終製品に対し、優れた機能を付与し得る。
【0039】
(2)前記伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から前記荷重を取り除いた場合の伸長回復率は、90%以上である、(1)記載の織編物。
【0040】
このような構成によれば、織編物は、良好なストレッチ回復性を示し、特にスポーツ資材等で要求される高性能な伸縮特性を実現することができる。
【0041】
(3)前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸の含有率は、全糸中、10~90質量%である、(1)または(2)記載の織編物。
【0042】
このような構成によれば、織編物は、通常使用時の低伸度領域では低い弾性率にて、動きにスムーズに追従するストレッチ性を発現することができる。一方、織編物は、非定常使用時の高伸度領域では、弾性率が高まり、必要以上の変形を抑制することができる。
【0043】
(4)前記伸長率が異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸は、融着糸を含み、前記融着糸は、糸どうしが融着されている、(1)~(3)のいずれかに記載の織編物。
【0044】
このような構成によれば、得られる織物は、織編地の繰り返し変形時における編織構造の変化が少なく、長期の耐久性がより優れる。
【0045】
(5)前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の大きい糸は、モノフィラメントである、(1)~(4)のいずれかに記載の織編物。
【0046】
このような構成によれば、織編物は、瞬間的に高い負荷を受ける際に発生する伸長変形、および、塑性変形が抑制されやすく、優れた弾性を発現しやすい。
【0047】
(6)前記伸長率の異なる2種類以上の糸のうち、最も伸長率の小さい糸は、マルチフィラメントである、(1)~(5)のいずれかに記載の織編物。
【実施例
【0048】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、以下の実施例において、それぞれの特性値は、以下の方法により算出した。また、測定回数は、特に記載していない場合は1回とした。
【0049】
<1.質量比率>
約100mm×100mmの試験片を採取し、試験片から、糸をほぐして複数本(それぞれ、A糸、B糸、C糸・・・という)採取し、一方向に構成されているそれぞれの糸(A糸、B糸、C糸・・・)の質量(g)を測り、次の式によって、糸の質量比率を求めた。
A糸の質量比率(W)={a/(a+b+c+...)}×100(%)
B糸の質量比率(W)={b/(a+b+c+...)}×100(%)
C糸の質量比率(W)={c/(a+b+c+...)}×100(%)
aはA糸の質量(g)であり、bはB糸の質量(g)、cはC糸の質量(g)である。4本以上採取する場合において、D糸以降も同様である。
<2.伸長率>
JIS L 1013:2010に準じて、引張試験機で、つかみ間隔250mm、引張速度200mm/分で測定した引張荷重-変位結果の曲線において、各糸条に0.1cN/dtex荷重を掛けたときの糸条の長さをL1、各糸条に0.4cN/dtexの荷重をかけたときの糸条の長さをL2としたときに、(L2-L1)/L1を求め、伸長率とした。
<3.伸長回復率>
伸長前の織編物の長さをLaとし、伸度(P×1.2)(%)となるよう荷重をかけた状態から荷重を取り除いた後の織編物を温度20±2℃、相対湿度65±4%の標準状態で24時間放置した後の織編物の長さをLbとし、以下の式に基づいて算出した。
{1-(Lb-La)/La}×100%
<4.織物の弾性率>
幅50mm×長さ300mmの試験片を採取し、定速伸長型試験機を用い、JIS L 1096:2010 8.15法(定率伸長時伸長弾性率)に準じて、つかみ間隔200mm、引張速度200mm/分で試験を行い、応力-伸度曲線を得た。全伸度領域に対し、以下の式でグラフ接線傾きを算出し、弾性率を求めた。
a%伸長時の弾性率=(Sa-Sb)/(a-b)
a%伸長時の応力[N/50mm]:Sa
a-0.04%伸長時の応力[N/50mm]:Sb
a-0.04%伸長時の伸度:b
全伸度a%に対し、(a×0.8)%および(a×1.2)%伸長時のグラフ接線傾きを算出し、以下の式で2点の弾性率比(B/A)を求め、最も大きい弾性率比を示す伸度aをPとした。
(a×0.8)%伸長時の弾性率:A
(a×1.2)%伸長時の弾性率:B
【0050】
(実施例1)
ブライトカチオン1H加工糸の167dtex-72フィラメント糸(東レ(株)製WF0L)を5本合糸し、総繊度835dtex-480フィラメントとし、経糸撚係数100Sの撚を掛けた糸を経糸及び緯糸の一部として用いた。また、緯糸の一部に熱可塑性ポリエステル系エラストマーとして、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”6347融点215℃を芯成分とし、“ハイトレル(登録商標)”4056融点153℃を鞘成分とし、それぞれのペレットを乾燥した後、別々のエクストルーダーで溶融し、それぞれギヤポンプで計量して複合パック中に流入し、押出機に供給し、その質量比率が芯:鞘=70:30である700dtexのモノフィラメント弾性糸を得た。この弾性糸を緯糸の一部として用いた。経糸張力等の製織条件を調整し、表1に記載の組織の織物を作製し、得られた織物をピンテンターにて入出の幅を同一、経糸方向のオーバーフィード率0%として、180℃の温度で2分間熱処理を行った。その後、通常のカチオン染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。仕上がった織物はいずれも、鞘成分のポリエステル系エラストマーが織物の経糸および緯糸の交点部分に接着固化していた。また、得られた織物の織密度は表1に記載の通りである。
【0051】
【表1】
【0052】
(実施例2~5)
表1に記載の総繊度、フィラメント数、比率となるよう変更した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~5の織物を作製した。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例1)
熱可塑性ポリエステル系エラストマーとして、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”6347融点215℃を芯成分とし、“ハイトレル(登録商標)”4056融点153℃を鞘成分とし、それぞれのペレットを乾燥した後、別々のエクストルーダーで溶融し、それぞれギヤポンプで計量して複合パック中に流入し、押出機に供給し、その質量比率が芯:鞘=70:30である400dtexのモノフィラメント弾性糸を得た。この弾性糸を緯糸として用いた。また、経糸として、実施例1記載のブライトカチオン1H加工糸の167dtex-72フィラメント糸(東レ(株)製WF0L)を5本合糸し、総繊度835dtex-480フィラメントとし、経糸撚係数100Sの撚を掛けた糸を用いた。経糸張力等の製織条件を調整し、表1に記載の平織の織物を作製し、得られた織物を上記実施例と同条件で加工を行った。得られた織物の経糸密度および緯糸密度は表1に記載の通りである。
【0054】
(比較例2)
熱可塑性ポリエステル系エラストマーとして、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”6347融点215℃を芯成分とし、“ハイトレル(登録商標)”4056融点153℃を鞘成分とし、それぞれのペレットを乾燥した後、別々のエクストルーダーで溶融した後、それぞれギヤポンプで計量して複合パック中に流入し、押出機に供給し、その質量比率が芯:鞘=70:30である700dtexのモノフィラメント弾性糸を得た。この弾性糸を緯糸として用いた。経糸として、実施例1記載のブライトカチオン1H加工糸の167dtex-72フィラメント糸(東レ(株)製WF0L)を5本合糸し、総繊度835dtex-480フィラメントとし、経糸撚係数100Sの撚を掛けた糸を用いた。経糸張力等の製織条件を調整し、表1記載の平織の織物を作製し、得られた織物を上記実施例と同条件で加工を行った。得られた織物の経糸密度および緯糸密度は表1に記載の通りである。
【0055】
(比較例3)
熱可塑性ポリエステル系エラストマーとして、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”6347融点215℃を芯成分とし、“ハイトレル(登録商標)”4056融点153℃を鞘成分とし、それぞれのペレットを乾燥した後、別々のエクストルーダーで溶融した後、それぞれギヤポンプで計量して複合パック中に流入し、押出機に供給し、その質量比率が芯:鞘=70:30である700dtexのモノフィラメント弾性糸を得た。この弾性糸を緯糸として用いた。
経糸として、実施例1記載のブライトカチオン1H加工糸の167dtex-72フィラメント糸(東レ(株)製WF0L)を5本合糸し、総繊度835dtex-480フィラメントとし、経糸撚係数100Sの撚を掛けた糸を用いた。経糸張力等の製織条件を調整し、表1記載の綾織の織物を作製し、得られた織物を上記実施例と同条件で加工を行った。得られた織物の経糸密度および緯糸密度は表1に記載の通りである。実施例1と同様に熱処理を行い、経織密度43本/2.54cm、緯織密度40本/2.54cmとした。
【0056】
(比較例4)
熱可塑性ポリエステル系エラストマーとして、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル(登録商標)”6347融点215℃を芯成分とし、“ハイトレル(登録商標)”4056融点153℃を鞘成分とし、それぞれのペレットを乾燥した後、別々のエクストルーダーで溶融した後、それぞれギヤポンプで計量して複合パック中に流入し、押出機に供給し、その質量比率が芯:鞘=70:30である400dtexのモノフィラメント弾性糸を得た。この弾性糸を緯糸として用いた。経糸として、カチオン可染ポリエステル糸(東レ(株)製LOCII)の167dtex-48フィラメント糸を5本引き揃えてインターレースし、総繊度835dtex-240フィラメントとし、経糸撚係数は70Sとなるように、撚を掛けた糸を用いた。緯糸密度は43本/2.54cm、経糸密度を49本/2.54cmとし平織の織物を作成した。得られた織物を実施例1と同じ乾熱処理を行なった。
【0057】
実施例1~5および比較例1~4において得られた織物に関して、シューズのアッパー部分として採用し、シューズを作製した。得られたシューズを、ランナー4人が着用し、1000mを走り、官能評価を行い、フィット性、蹴り出し易さ及び足当りの柔らかさを確認した。
【0058】
実施例1~5の織物を用いて作製したシューズは、通常の直線走行時(低伸度領域)において優れた伸縮性を示した。また、これらのシューズは、特にカーブの走行時(高荷重領域)において、著しく弾性率が向上し、伸びなく、足とシューズの隙間が少なく、フィット感が良いシューズであった。実施例5の織物を用いて作製したシューズは、特にカーブの走行時の高荷重領域において、著しく弾性率が向上し、変形が少なく、フィット感が高かった。一方、比較例1~4の織物を用いて作製したシューズは、特にカーブの走行時の高荷重領域において、伸びて変形し、足とシューズの隙間により、ズレ感を感じた。
【符号の説明】
【0059】
1 本実施形態の織編物のS-Sカーブ
1a 通常の伸縮性織物のS-Sカーブ
A 伸度(P×0.8)(%)における弾性率
B 伸度(P×1.2)(%)における弾性率
P 伸度(%)
図1