(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】負荷制御装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/087 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H02H3/087
(21)【出願番号】P 2020158457
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 和則
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166872(JP,A)
【文献】特開2009-219286(JP,A)
【文献】特開2009-219285(JP,A)
【文献】特開2019-146350(JP,A)
【文献】特開2005-328632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷制御装置であって、
ヒューズ(50)を介して電源(80)に接続される電源端子(+B)と、
前記電源から前記ヒューズおよび前記電源端子を介して供給される電力により複数の負荷(51、52)を駆動する負荷駆動部(11、12)と、
前記複数の負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出部(21、22)と、
前記電流検出部によって検出された前記負荷電流に基づいて前記ヒューズに流れる総和電流を算出する総和電流算出部(S104)と、
前記総和電流算出部により算出された前記総和電流が所定電流値以上となった場合、前記総和電流算出部により算出された前記総和電流を用いて前記ヒューズと前記電源端子の間を接続する接続部材(60、70)に関する前記総和電流と相関する物理量を算出する物理量算出部(S108)と、
前記物理量算出部により算出された前記物理量が基準値以上になったか否かを判定する物理量判定部(S110)と、
前記物理量算出部により算出された前記物理量が前記基準値以上になった場合、前記複数の負荷に流れる前記負荷電流の少なくとも1つを制限する電流制限部(S112)と、を備えた負荷制御装置。
【請求項2】
前記物理量算出部は、前記物理量として前記接続部材の熱量を周期的に算出し、
前記物理量判定部は、前記物理量算出部により算出された前記接続部材の熱量の積算値が前記基準値以上になったか否かを判定する請求項1に記載の負荷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された負荷制御回路がある。この回路は、過電流検出を行うチャンネル切替回路と、チャンネル毎の複数の閾値を順番に設定する閾値切替回路と、を有している。そして、チャンネル切替回路にて過電流検出を行うチャンネルを選択するとともに、閾値切替回路にてチャンネル毎の複数の閾値を順番に設定していき、1つのコンパレータで各チャンネルの電流判定を行い、判定の結果が異常になると負荷に流れる電流を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された回路は、チャンネル毎に負荷に流れる過電流検出を行うようになっているが、電源の電源端子側に保護機能が設けられていない。
【0005】
負荷を駆動する負荷駆動回路においては、電源と負荷駆動回路の電源端子の間にヒューズを設け、このヒューズにより負荷駆動回路および電源に接続された外部回路が保護されるよう構成されたものがある。
【0006】
このようなヒューズが配置された負荷駆動回路において、例えば、負荷を交換した際に、負荷に流れる負荷電流がばらついてしまう。そして、このような負荷電流のばらつきによりヒューズが溶断してしまうことが考えられる。
【0007】
このため、ヒューズを大容量化したりヒューズに接続されるワイヤのワイヤ線径を大径化する必要があった。しかし、このようにヒューズを大容量化したりワイヤ線径を大径化するとコストが高くなってしまうといった問題があった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みたもので、ヒューズの小容量化およびワイヤ線径の細線化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、負荷制御装置であって、ヒューズ(50)を介して電源(80)に接続される電源端子(+B)と、電源からヒューズおよび電源端子を介して供給される電力により複数の負荷(51、52)を駆動する負荷駆動部(11、12)と、複数の負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出部(21、22)と、電流検出部によって検出された負荷電流に基づいてヒューズに流れる総和電流を算出する総和電流算出部(S104)と、総和電流算出部により算出された総和電流が所定電流値以上となった場合、総和電流算出部により算出された総和電流を用いてヒューズと電源端子の間を接続する接続部材(60、70)に関する総和電流と相関する物理量を算出する物理量算出部(S108)と、物理量算出部により算出された物理量が基準値以上になったか否かを判定する物理量判定部(S110)と、物理量算出部により算出された物理量が基準値以上になった場合、複数の負荷に流れる負荷電流の少なくとも1つを制限する電流制限部(S112)と、を備えている。
【0010】
このような構成によれば、総和電流算出部により算出された総和電流が所定電流値以上となった場合、総和電流算出部により算出された総和電流を用いてヒューズと電源端子の間を接続する接続部材(60、70)に関する総和電流と相関する物理量を算出し、算出した物理量が基準値以上になった場合、複数の負荷に流れる負荷電流の少なくとも1つが制限されるので、ヒューズの小容量化およびワイヤ線径の細線化を図ることができる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る負荷制御装置のブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る負荷制御装置の制御部のフローチャートである。
【
図3】遮断特性、ターミナル許容電流、ヒューズ溶断特性、ワイヤ発煙特性および総和電流の関係と、熱量の積算値と遮断閾値の関係を示した図である。
【
図4】比較例と本発明のヒューズ溶断特性、ターミナル許容電流、ワイヤ発煙特性の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
一実施形態に係る負荷制御装置について
図1~
図4を用いて説明する。この負荷制御回路は、負荷に過電流が流れて回路素子が破壊するのを防止する過電流保護機能を有している。
【0015】
負荷制御回路は、第1半導体スイッチ11、第2半導体スイッチ12、第1電流検出部21、第2電流検出部22、電源回路30、制御部31および入力回路32を有している。
【0016】
負荷制御回路は、さらに、電源端子+B、接地される接地端子GND、第1負荷51に接続される第1出力端子OUT1および第2負荷52に接続される第2出力端子OUT2を有している。なお、第1負荷51および第2負荷52は車両後部の左右に搭載されるリアランプとなっている。
【0017】
車両バッテリ80の正極端子とヒューズ50の間はワイヤハーネス81を介して接続されている。なお、車両バッテリ80は電源に相当する。また、ヒューズ50と負荷制御回路の電源端子+Bとの間は、コネクタ付きワイヤ60、70を介して接続されている。
【0018】
コネクタ付きワイヤ60は、ターミナルと呼ばれる金属端子を有するコネクタ61と、この金属端子に接続されたワイヤ62を有している。ワイヤ62は負荷制御回路の電源端子+Bに接続されている。
【0019】
コネクタ付きワイヤ70は、ターミナルと呼ばれる金属端子を有するコネクタ71と、この金属端子に接続されたワイヤ72を有している。ワイヤ72はヒューズ50に接続されている。
【0020】
コネクタ付きワイヤ60のコネクタ61とコネクタ付きワイヤ70のコネクタ71とが嵌合し合うことによりコネクタ61とコネクタ71の金属端子同士が接続され、ヒューズ50と負荷制御回路の電源端子+Bとの間が電気的に接続されるようになっている。
【0021】
第1半導体スイッチ11は、電源端子+Bに接続される電源端子11a、第1負荷51に接続される出力端子11b、制御部31からの制御信号が入力される入力端子11c、センス端子11d等を有している。
【0022】
第1半導体スイッチ11は、制御部31から入力端子11cに第1負荷51の駆動を指示する制御信号が入力されると、電源端子11aから出力端子11bを介して第1負荷51に負荷電流を供給して第1負荷51を駆動する。
【0023】
第1半導体スイッチ11のセンス端子11dは、出力端子11bに流れる負荷電流に応じた信号を出力する。具体的には、センス端子11dは、出力端子11bに流れる負荷電流に応じた電圧を出力する。
【0024】
第2半導体スイッチ12は、制御部31から入力端子12cに第2負荷52の駆動を指示する制御信号が入力されると、電源端子12aから出力端子12bを介して第2負荷52に負荷電流を供給して第2負荷52を駆動する。
【0025】
第2半導体スイッチ12のセンス端子12dは、出力端子12bに流れる負荷電流に応じた信号を出力する。具体的には、センス端子12dは、出力端子12bに流れる負荷電流に応じた電圧を出力する。
【0026】
なお、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12は、車両バッテリ80からヒューズ50および電源端子+Bを介して供給される電力により第1負荷51および第2負荷52を駆動する負荷駆動部に相当する。
【0027】
第1電流検出部21は、第1半導体スイッチ11のセンス端子11dからの信号に基づいて第1負荷51に流れる負荷電流を示す信号を制御部31に出力する。また、第2電流検出部22は、第2半導体スイッチ12のセンス端子12dからの信号に基づいて第2負荷52に流れる負荷電流を示す信号を制御部31に出力する。
【0028】
入力回路32には、スイッチ等から各種信号IN1、IN2が入力されるようになっている。入力回路32は、入力された各種信号IN1、IN2に応じた信号を制御部31に出力する。
【0029】
電源回路30は、制御部31に供給する電圧を生成するDC/DCコンバータにより構成されている。電源回路30は、電源端子+Bから供給される直流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。電源端子+Bから供給される直流電圧は、例えば、12ボルト程度、所定の直流電圧は3.3ボルト程度となっている。
【0030】
制御部31は、CPU、メモリ、I/O等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部31の処理としては、スイッチ等から入力回路32に動作の開始を指示する信号が入力されると、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12に第1負荷51およひ第2負荷52を駆動させる処理等がある。
【0031】
次に、
図2のフローチャートに従って制御部31の処理について説明する。制御部31は、電源回路30から電力が供給され、スイッチ等から入力回路32に動作の開始を指示する信号が入力されると、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12をオンして第1負荷51およひ第2負荷52の駆動を指示する。さらに、制御部31は、
図2に示す処理を周期的に実施する。本実施形態において、制御部31は、1ミリ秒周期で
図2に示す処理を実施する。
【0032】
まず、制御部31は、S100にて、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12のいずれかがオンしているか否かを判定する。ここで、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12の両方がオフしている場合、制御部31は、S100の判定を繰り返し実施する。
【0033】
また、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12のいずれかがオンしている場合、制御部31は、S102にて、第1負荷51の負荷電流I1および第2負荷52の負荷電流I2を特定する。具体的には、制御部31は、第1電流検出部21からの信号に基づいて第1負荷51の負荷電流I1を特定し、第2電流検出部22からの信号に基づいて第2負荷52の負荷電流I2を特定する。
【0034】
次に、制御部31は、S104にて、ヒューズ50に流れる総和電流IAを算出する。総和電流IAは、負荷電流I1と負荷電流I2を加算することによって求めることができる。
【0035】
次に、制御部31は、S106にて、総和電流IAが所定電流値以上であるか否かを判定する。
【0036】
ここで、総和電流IAが所定電流値未満となっている場合、S106の判定はNOとなり、S100へ戻る。
【0037】
また、総和電流IAが所定電流値以上となった場合、制御部31は、S108にて、総和電流IAを用いてヒューズ50と電源端子+Bの間を接続する接続部材としてのコネクタ付きワイヤ60、70に関する総和電流IAと相関する物理量を算出する。
【0038】
本実施形態では、制御部31は、コネクタ付きワイヤ60、70に関する総和電流IAと相関する物理量として、総和電流IAを用いてコネクタ付きワイヤ60、70の熱量を周期的に演算し、コネクタ付きワイヤ60、70の熱量を積算する。本実施形態の制御部31は、1ミリ秒毎にコネクタ付きワイヤ60、70の熱量を積算する。なお、コネクタ付きワイヤ60、70の熱量は、コネクタ付きワイヤ60、70の抵抗値に所定の係数と総和電流IAを乗算することによって求めることができる。
【0039】
次に、制御部31は、S110にて、積算された熱量が所定値以上であるか否かを判定する。具体的には、予め定められた期間において積算された熱量が所定値以上であるか否かを判定する。ここで、積算された熱量が所定値未満の場合、S110の判定はNOとなり、S100に戻る。
【0040】
また、例えば、第1負荷51あるいは第2負荷52の負荷電流のばらつきにより、積算された熱量が所定値以上となった場合、制御部31は、S112にて、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12をオフする。これにより、負荷電流I1および負荷電流I2が速やかに減少し、総和電流IAも速やかに減少する。したがって、ヒューズ50の溶断が防止される。
【0041】
次に、
図3を用いて第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12のオフ制御について説明する。
【0042】
図3(a)には、遮断特性、ターミナル許容電流、ヒューズ溶断特性、ワイヤ発煙特性、総和電流I
Aおよび負荷電流I
1、I
2の関係が示されている。また、
図3(b)には、熱量の積算値と遮断閾値の関係が示されている。なお、
図3(a)、(b)の縦軸は電流、横軸は時間となっている。
【0043】
ターミナル許容電流は、コネクタ付きワイヤ60、70の各ターミナルの許容電流である。ヒューズ50の溶断特性にはばらつきがあるため、
図3(a)のようにヒューズ溶断特性は斜線で示される領域により規定される。また、
図3(a)において、遮断特性は、同一時間におけるヒューズ溶断特性およびワイヤ発煙特性よりも少ない電流値として規定されている。
【0044】
本実施形態の制御部31は、
図3(a)に示されている総和電流I
Aが遮断特性以上になると、S108にて、総和電流I
Aを用いてコネクタ付きワイヤ60、70の熱量を周期的に演算し、コネクタ付きワイヤ60、70の熱量を積算する。そして、S110にて、積算された熱量が所定値以上となった場合、ヒューズ50が溶断する可能性やコネクタ付きワイヤ60、70の温度が上昇して変形しまう可能性があるため、S112にて、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12をオフする。
【0045】
具体的には、制御部31は、
図3(b)に示すように、総和電流I
Aが所定値TH以上になると、コネクタ付きワイヤ60、70の熱量を
図3中のΔtで示される周期毎(本実施形態では、1ミリ秒毎)に積算する。そして、制御部31は、予め定められた期間において積算された熱量が遮断閾値以上になると、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12をオフする。これにより、第1負荷51および第2負荷52に流れる負荷電流が遮断され出力が遮断される。
【0046】
次に、
図4を用いて、本実施形態の負荷制御装置のような遮断特性を用いた第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12のオフ制御を実施しない比較例と、本実施形態の負荷制御装置の使用可能電流領域について説明する。
【0047】
本実施形態の負荷制御装置のような遮断特性を用いた第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12のオフ制御を実施しない比較例の使用可能電流領域は、
図4(a)中の点ハッチングで示される。また、本実施形態の負荷制御装置の使用可能電流領域は、
図4(b)中の点ハッチングで示される。なお、
図4(a)、(b)には、遮断特性、ヒューズ溶断特性、ターミナル許容電流、ワイヤ発煙特性についても示してある。
【0048】
図4(a)、(b)を比較すると分かるように、本実施形態の負荷制御装置の使用可能電流領域の方が、比較例の使用可能電流領域よりも拡大されている。すなわち、本実施形態の負荷制御装置の方が比較例よりも、総和電流I
Aがとることが許容される領域が広くなっている。
【0049】
つまり、比較例のものは、比較的総和電流IAの使用可能電流領域が狭く、負荷に流れる負荷電流のばらつき等によって負荷が遮断されやすい。
【0050】
これに対し、本実施形態の負荷制御装置は、比較例のものよりも総和電流IAの使用可能電流領域が広く、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12が容易にオフされないため負荷が遮断されにくい。
【0051】
また、ヒューズ50の小容量化およびワイヤ線径の細線化を図っても、ヒューズ50が容易に溶断したりコネクタ付きワイヤ60、70が温度上昇して容易に変形するといったことも防止される。
【0052】
(1)上記実施形態の負荷制御装置は、ヒューズ50を介して車両バッテリ80に接続される電源端子+Bを備えている。また、車両バッテリ80からヒューズ50および電源端子+Bを介して供給される電力により複数の負荷51、52を駆動する第1、第2半導体スイッチ11、12を備えている。また、複数の負荷51、52に流れる負荷電流を検出する第1、第2電流検出部21、22と、第1、第2電流検出部21、22によって検出された負荷電流に基づいてヒューズ50に流れる総和電流を算出する総和電流算出部(S104)を備えている。また、総和電流が所定電流値以上となった場合、総和電流算出部により算出された総和電流を用いてヒューズ50と電源端子の間を接続する接続部材(60、70)に関する総和電流と相関する物理量を算出する物理量算出部(S108)を備えている。また、物理量算出部により算出された物理量が基準値以上になったか否かを判定する物理量判定部(S110)を備えている。また、物理量算出部により算出された物理量が基準値以上になった場合、複数の負荷に流れる負荷電流の少なくとも1つを制限する電流制限部(S112)を備えている。
【0053】
このような構成によれば、総和電流が所定電流値以上となった場合、総和電流算出部により算出された総和電流を用いてヒューズ50と電源端子+Bの間を接続する接続部材としてのコネクタ付きワイヤ60、70に関する総和電流と相関する物理量を算出する。そして、算出した物理量が基準値以上になった場合、複数の負荷に流れる負荷電流の少なくとも1つが制限されるので、ヒューズ50の小容量化およびワイヤ線径の細線化を図ることができる。
【0054】
(2)上記実施形態では、物理量算出部は、物理量として接続部材の熱量を周期的に算出し、物理量判定部は、物理量算出部により算出された接続部材の熱量の積算値が基準値以上になったか否かを判定する。
【0055】
このように、接続部材の熱量を周期的に算出するとともに、接続部材の熱量の積算値が基準値以上になったか否かを判定するようにして、複数の負荷に流れる負荷電流の少なくとも1つを制限することもできる。
【0056】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、第1、第2半導体スイッチのセンス端子11d、12dから第2負荷52に流れる負荷電流に応じた電圧を出力するよう構成した。これに対し、例えば、第1、第2半導体スイッチのセンス端子11d、12dから第2負荷52に流れる負荷電流に応じた電流を出力するよう構成してもよい。
【0057】
(2)上記実施形態では、総和電流IAをコネクタ付きワイヤ60、70の熱量を求めるようにしたが、総和電流IAを用いてヒューズ50の熱量を求めるようにしてもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では、コネクタ付きワイヤ60、70に関する総和電流IAと相関する物理量としてコネクタ付きワイヤ60、70の熱量を積算するようにした。これに対し、コネクタ付きワイヤ60、70に関する総和電流IAと相関する物理量として総和電流IAを用いてコネクタ付きワイヤ60、70の温度を推定するようにしてもよい。
【0059】
(4)上記実施形態では、S112にて、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12をオフするようにした。これに対し、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12の一方をオフするようにしてもよい。また、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12に流れる負荷電流の少なくとも一方を制限するようにしてもよい。また、第1半導体スイッチ11および第2半導体スイッチ12に優先順位を付与しておき、優先順位の低い半導体スイッチをオフするようにしてもよい。
【0060】
(5)上記実施形態では、接続部材としてコネクタ付きワイヤ60、70を例に説明したが、コネクタ付きワイヤ60、70のようなコネクタが付属したワイヤに限定されるものではなく、接続部材を単なるワイヤにより構成することもできる。
【0061】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
11 第1半導体スイッチ
12 第2半導体スイッチ
21 第1電流検出部
22 第2電流検出部
30 電源回路
31 制御部
50 ヒューズ
51 第1負荷
52 第2負荷
60、61 コネクタ付きワイヤ
80 車両バッテリ