(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】車両用メニュー表示制御装置、車載機器操作システム、及びGUIプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20230404BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20230404BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230404BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/0362 462
B60R16/02 630B
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2020504886
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2019005489
(87)【国際公開番号】W WO2019171904
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2018038358
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 駿
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-018387(JP,A)
【文献】特開2015-093550(JP,A)
【文献】特開2013-186836(JP,A)
【文献】特開2016-162004(JP,A)
【文献】特開昭60-130789(JP,A)
【文献】特開2013-003668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033-3/039
G06F 3/048-3/04895
B60R 16/00-17/02
B60K 35/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造を有するメニューの表示を制御する車両用メニュー表示制御装置と、前記メニューを表示する表示装置と、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を、ユーザーの選択動作に応じて発生させる選択装置と、前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、を有する車載機器操作システムに用いられる前記車両用メニュー表示制御装置であって、
前記メニューの画像の生成を制御する制御処理部と、前記制御処理部の制御の下で前記メニューの画像を生成する画像生成処理部と、を有するメニュー画像生成部と、
生成されたメニュー画像の表示処理を行う表示処理部と、
を有し、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、2以上の小項目を含む第1の小項目群と、
前記第1の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第2の小項目群と、が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記1つの大項目が選択されると、前記第1の小項目群を含む第1の画像を生成させ、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第1の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第2の小項目群の第2の画像を生成させ、前記第2の画像の生成に際して、前記選択された小項目以外の小項目を消去させ、前記消去によって生じる空白領域に、前記第2の小項目群を配置させる、
ことを特徴とする車両用メニュー表示制御装置。
【請求項2】
階層構造を有するメニューの表示を制御する車両用メニュー表示制御装置と、前記メニューを表示する表示装置と、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を、ユーザーの選択動作に応じて発生させる選択装置と、前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、を有する車載機器操作システムに用いられる前記車両用メニュー表示制御装置であって、
前記メニューの画像の生成を制御する制御処理部と、前記制御処理部の制御の下で前記メニューの画像を生成する画像生成処理部と、を有するメニュー画像生成部と、
生成されたメニュー画像の表示処理を行う表示処理部と、
を有し、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、2以上の小項目を含む第1の小項目群と、前記第1の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第2の小項目群と、が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記1つの大項目が選択されると、前記選択された1つの大項目を選択履歴項目として含み、かつ前記第1の小項目群を含む第1の画像を生成させ、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第1の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第2の小項目群の第2の画像を生成させ、前記第2の画像の生成に際して、先に選択された前記大項目を残し、前記選択された1つの小項目を、前記第2の画像中の選択履歴項目の表示領域に移動させ、前記選択された小項目以外の小項目を消去させ、前記移動及び前記消去によって生じる空白領域に、前記第2の小項目群を配置させる、ことを特徴とする車両用メニュー表示制御装置。
【請求項3】
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、
前記第1又は前記第2の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第3の小項目群が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第2の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第3の小項目群の第3の画像を生成させ、前記第3の画像の生成に際して、先に選択された、前記大項目及び前記第1の小項目群の内の1つの小項目は残し、前記選択された第2の小項目群の内の1つの小項目を、前記第3の画像中の選択履歴項目の表示領域に移動させ、前記選択された第2の小項目群の内の1つの小項目以外の小項目を消去させ、前記移動及び前記消去によって生じる空白領域に、前記第3の小項目群を配置させる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両用メニュー表示制御装置。
【請求項4】
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
前記空白領域に、前記第2又は前記第3の小項目群を配置する際、無駄な空き領域が形成されることなく前記空白領域に収容されるように、前記第2又は前記第3の小項目群の項目数及び画像サイズの少なくとも1つを調整させる、
ことを特徴とする、
請求項3に記載の車両用メニュー表示制御装置。
【請求項5】
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、どのような項目を、前記第1、第2の小項目群とするか、又は、前記第1、第2、第3の小項目群とするか、を前記ユーザーに選択させるための小項目群設定用のメニュー画面を前記表示装置に表示させ、
前記ユーザーが前記選択装置を用いて、小項目群設定のための選択を行うと、その選択に従って、前記第1、第2の小項目群、又は、前記第1、第2、第3の小項目群を設定する、
ことを特徴とする、請求項
3に記載の車両用メニュー表示制御装置。
【請求項6】
前記メニュー画像生成部における前記画像生成処理部が生成する前記メニューの画像は、原点を有し、前記原点から外側に向かう複数の放射状の直線によって、前記メニューの表示領域が区画されてなるラジアルメニューの画像である、ことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用メニュー表示制御装置。
【請求項7】
前記メニュー画像生成部における前記画像生成処理部が生成する前記メニューの画像は、原点を有し、前記原点から外側に向かう複数の放射状の直線によって、前記メニューの表示領域が区画されてなるラジアルメニューの画像であり、
前記ラジアルメニューの外形が、前記原点を中心とする第1の円であり、前記ラジアル画像の中央に、前記原点を中心とする、前記第1の円よりも面積が小さい第2の円が配置され、前記第2の円の内部に、前記選択された1つの大項目が配置される、
ことを特徴とする、請求項2乃至5に記載の車両用メニュー表示制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両用メニュー表示制御装置と、
前記メニューを表示する表示装置と、
ユーザーの操作に応じて、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を発生させる選択装置と、
前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、
を有する車載機器操作システム。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両用メニュー表示制御装置として動作させる、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される車両用メニュー表示制御装置、車載機器操作システム、及びGUIプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)は、マウスなどのポインティングデバイスを使用して、直感的にコンピュータを操作できるようにしたヒューマンインターフェース技術の一種であり、従来、GUIを用いて表示装置にメニューを表示し、所望の項目を選択できるようにすることが知られている。
【0003】
車両用ポインティングデバイス(選択装置)を用いて、ユーザーが、ブラインド操作で、メニューの項目を選択できるようにした車載機器操作システムについては、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メニューが階層構造を有し、かつ、1つの大項目に対応して、種類の異なる第1、第2の小項目群が存在する場合に、第1、第2の各小項目群についての選択を行うときは、通常は、まず、大項目を選択し、次に、第1の小項目群を選択するための第1の中項目を選択し、次に、第1の小項目群の中から1つの小項目を選択し、次に、例えば、リターンキー等を用いて中項目の表示画面に戻り(あるいは、初期画面に戻って再び中項目のメニュー画面に移行し)、第2の小項目群を選択するための第2の中項目を選択し、次に、第2の小項目群の中から1つの小項目を選択する、という動作が必要となる。
【0006】
また、1つの大項目に対して、さらに第3の小項目群が対応する場合は、再びリターンキー等を用いて中項目の表示画面に戻り、第3の小項目群を選択するための第3の中項目を選択し、次に、第3の小項目群の中から1つの小項目を選択する、という選択動作が必要となる。
【0007】
このように、リターンキー等を用いて前画面に戻って中項目を選択することで、種類の異なる小項目群を切り替えて表示させる必要があり、この点、ユーザーに煩わしさを感じさせる可能性がある。
【0008】
上記の特許文献1では、この問題については何ら言及されておらず、その対策についての示唆もない。
【0009】
本発明は、メニューが階層構造を有し、かつ、1つの大項目に対応して、種類が異なる第1、第2の小項目群が存在する場合に、前画面に戻らなくても、第1、第2の小項目群の各々の中から1つの小項目を選択できるようにして、メニュー選択の利便性を向上させることを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0012】
第1の態様において、車両用メニュー表示制御装置は、
階層構造を有するメニューの表示を制御する車両用メニュー表示制御装置と、前記メニューを表示する表示装置と、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を、ユーザーの選択動作に応じて発生させる選択装置と、前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、を有する車載機器操作システムに用いられる前記車両用メニュー表示制御装置であって、
前記メニューの画像の生成を制御する制御処理部と、前記制御処理部の制御の下で前記メニューの画像を生成する画像生成処理部と、を有するメニュー画像生成部と、
生成されたメニュー画像の表示処理を行う表示処理部と、
を有し、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、2以上の小項目を含む第1の小項目群と、前記第1の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第2の小項目群と、が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記1つの大項目が選択されると、前記第1の小項目群を含む第1の画像を生成させ、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第1の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第2の小項目群の第2の画像を生成させ、前記第2の画像の生成に際して、前記選択された小項目以外の小項目を消去させ、前記消去によって生じる空白領域に、前記第2の小項目群を配置させる。
【0013】
第1の態様では、種類の異なる第1、第2の小項目群を、予め直列的に階層化しておき、1つの大項目が選択されると、まず第1の小項目群を表示させ(第1の画像の表示)、次に、第1の小項目群を消去し、その消去によって生じる空白領域に、第2の小項目群を表示させる(第2の画像の表示)。
【0014】
従って、メニューが階層構造を有し、かつ、1つの大項目に対応して、種類が異なる第1、第2の小項目群が存在する場合において、前画面に戻らなくても、第1、第2の小項目の各々を選択できるようになり、メニュー選択の利便性を向上させることができる。
【0015】
第2の態様において、車両用メニュー表示制御装置は、
階層構造を有するメニューの表示を制御する車両用メニュー表示制御装置と、前記メニューを表示する表示装置と、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を、ユーザーの選択動作に応じて発生させる選択装置と、前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、を有する車載機器操作システムに用いられる前記車両用メニュー表示制御装置であって、
前記メニューの画像の生成を制御する制御処理部と、前記制御処理部の制御の下で前記メニューの画像を生成する画像生成処理部と、を有するメニュー画像生成部と、
生成されたメニュー画像の表示処理を行う表示処理部と、
を有し、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、2以上の小項目を含む第1の小項目群と、前記第1の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第2の小項目群と、が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記1つの大項目が選択されると、前記選択された1つの大項目を選択履歴項目として含み、かつ前記第1の小項目群を含む第1の画像を生成させ、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第1の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第2の小項目群の第2の画像を生成させ、前記第2の画像の生成に際して、先に選択された前記大項目を残し、前記選択された1つの小項目を、前記第2の画像中の選択履歴項目の表示領域に移動させ、前記選択された小項目以外の小項目を消去させ、前記移動及び前記消去によって生じる空白領域に、前記第2の小項目群を配置させる。
【0016】
第2の態様は、種類の異なる第1、第2の小項目群を、予め直列的に階層化しておく点で、第1の態様と共通する。但し、第2の態様では、1つの大項目が選択されると、選択された大項目を選択履歴として残しつつ、中項目を省略して第1の小項目群を表示し、1つの小項目が選択されると、大項目の選択履歴表示は残し、選択された第1の小項目群の内の1つを選択履歴表示領域に移動させ、他の小項目は消去(削除)させる。この移動及び消去によって、先に第1の小項目群が表示されていた領域に空白領域が形成される。この空白領域に、次の小項目群である第2の小項目群を配置する(言い換えれば、その空白領域に重なるように、第2の小項目群の画像を画像合成する)ことによって、過去の選択履歴を残しつつ、第1の小項目群から第2の小項目群への切り替えが無理なく実行される。これによって、従来のように、リターンキー等を用いて前画面に戻ることなく、異なる種類の小項目の選択を、連続的に行うことが可能となり、メニュー選択の利便性が向上する。
【0017】
また、過去の選択履歴が明示されていることから、小項目が切り替わった後、ユーザーは、現在の小項目群の表示が、過去にどのような項目を選択した結果として表示されるものであるかを一目で認識でき、よって、小項目群の切り替えに際して違和感が生じることがない。
【0018】
第2の態様に従属する第3の態様において、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
上位階層のメニューにおける1つの大項目に対応して、前記第1又は前記第2の小項目群に含まれる小項目の下位ではなく種類の異なる2以上の小項目を含む第3の小項目群が存在する場合に、
前記選択装置からの前記選択信号によって、前記第2の小項目群の内の1つの小項目が選択されると、前記第3の小項目群の第3の画像を生成させ、前記第3の画像の生成に際して、先に選択された、前記大項目及び前記第1の小項目群の内の1つの小項目は残し、前記選択された第2の小項目群の内の1つの小項目を、前記第3の画像中の選択履歴項目の表示領域に移動させ、前記選択された第2の小項目群の内の1つの小項目以外の小項目を消去させ、前記移動及び前記消去によって生じる空白領域に、前記第3の小項目群を配置させてもよい。
【0019】
第3の態様では、1つの大項目に対応して、第1乃至第3の小項目群が存在する場合を想定している。この場合も、上記の第1、第2の態様と同様の処理を行うことができる。例えば、第1の態様と同様に小項目群を順次、切り替えてもよく、また、第2の態様と同様に、過去の選択履歴を残しつつ、小項目群の切り替えを行ってもよい。なお、第1乃至第m(mは4以上の自然数)の小項目群が存在する場合も、同様の処理を繰り返すことで、上記の態様と同様の効果を得ることができる。
【0020】
第1乃至第3の何れか1つの態様に従属する第4の態様において、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、
前記空白領域に、前記第2又は前記第3の小項目群を配置する際、無駄な空き領域が形成されることなく前記空白領域に収容されるように、前記第2又は前記第3の小項目群の項目数及び画像サイズの少なくとも1つを調整させてもよい。
【0021】
第4の態様では、直前に表示されていた小項目群の消去(又は、移動及び消去)によって生じる空白領域に、次の小項目群を表示させる際に、無駄な空き領域(空きスペース)が生じないように、その小項目群の項目数、及び、その小項目群の画像サイズ(言い換えれば、その小項目群の表示領域の面積)の少なくとも1つを調整させる。なお、空きスペースが生じることを禁止する意味ではなく、見栄えを低下させるような無駄な空き領域を生じさせない、という趣旨である。よって、小項目群の切り替えが見栄え良く行われ、メニューの表示品質が低下することがない。よって、見易いメニューの表示が実現される。
【0022】
第1乃至第4の何れか1つの態様に従属する第5の態様において、
前記メニュー画像生成部における前記制御処理部は、どのような項目を、前記第1、第2の小項目群とするか、又は、前記第1、第2、第3の小項目群とするか、を前記ユーザーに選択させるための小項目群設定用のメニュー画面を前記表示装置に表示させ、
前記ユーザーが前記選択装置を用いて、小項目群設定のための選択を行うと、その選択に従って、前記第1、第2の小項目群、又は、前記第1、第2、第3の小項目群を設定してもよい。
【0023】
第5の態様では、どのような項目を、第1、第2の小項目群とするか、又は、第1、第2、第3の小項目群とするのか、を、ユーザー自身が設定すること(言い換えれば、小項目群をプログラムすること)が可能である。よって、ユーザーが好ましいと考える順番で小項目群が表示される。従って、使い勝手のよい階層化されたメニューが実現される。
【0024】
第1乃至第5の何れか1つの態様に従属する第6の態様において、
前記メニュー画像生成部における前記画像生成処理部が生成する前記メニューの画像は、原点を有し、前記原点から外側に向かう複数の放射状の直線によって、前記メニューの表示領域が区画されてなるラジアルメニューの画像としてもよい。
【0025】
第6の態様では、メニュー(操作メニュー)の表示形式として、ラジアルメニュー形式を採用する。ラジアルメニューは、円を細分化する(例えば、扇形や楔(くさび)形の領域に分割する)ことで、多数の項目を、コンパクトにバランスよく配置することができる。近年、IOT(物のインターネット)の活用によって、例えば、車両の運転者(ユーザー)が、車両を運転しながら、例えば、自宅の電気製品や給湯機器等の動作を制御することも可能となってきており、今後、メニューに表示する項目の数は、ますます増えるものと予測される。ラジアルメニューを利用した表示形式は、今後、活用の場が広がるものと考えられる。
【0026】
第2乃至第5の何れか1つの態様に従属する第7の態様において、
前記メニュー画像生成部における前記画像生成処理部が生成する前記メニューの画像は、原点を有し、前記原点から外側に向かう複数の放射状の直線によって、前記メニューの表示領域が区画されてなるラジアルメニューの画像であり、
前記ラジアルメニューの外形が、前記原点を中心とする第1の円であり、前記ラジアル画像の中央に、前記原点を中心とする、前記第1の円よりも面積が小さい第2の円が配置され、前記第2の円の内部に、前記選択された1つの大項目が配置されてもよい。
【0027】
第7の態様では、ラジアルメニューの中央に、外形の円と同心円をなす円が配置され、その円の内部に、先に選択された大項目が選択履歴項目として配置される。言い換えれば、その円の内部の領域が、第2乃至第5の態様における、上記第1乃至第3の画像中の、大項目についての選択履歴表示領域となる。
【0028】
ラジアルメニューの中央に、選択された大項目が、わかり易く表示されることによって、ユーザーは、現在選択中の小項目が、先に選択した大項目に対応する小項目であることを一目で認識することができ、違和感が生じることがない。よって、ユーザーは、ラジアルメニューにおける小項目の選択を快適に行うことができる。
【0029】
第8の態様において、車載機器操作システムは、
第1乃至第7の何れか1つの態様に記載の車両用メニュー表示制御装置と、
前記メニューを表示する表示装置と、
ユーザーの操作に応じて、前記メニューに含まれる1つの項目を選択するための選択信号を発生させる選択装置と、
前記ユーザーによって最終的に選択された項目に対応する、車載機器の操作処理を実行する処理実行装置と、
を有する。
【0030】
第8の態様によれば、例えば、車両を運転中の運転者等が、ブラインド操作で、快適に車載機器を操作可能な、車載機器操作システムを実現することができる。
【0031】
第9の態様において、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)プログラムは、コンピュータを、第1乃至第7の何れか1つの態様に記載の車両用メニュー表示制御装置として動作させる。
【0032】
第9の態様によれば、車両用表示に適した操作メニューの表示制御を、ソフトプログラムを用いて、簡易な構成にて実現することができる。
【0033】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】車載機器操作システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2(A)は、選択装置(車載機器操作システムに用いられるポインティングデバイス)の外観を示す図、
図2(B)は、
図2(A)におけるA-A線に沿う断面構造を示す図である。
【
図3】
図3(A)~
図3(I)は、比較例(従来例)としてのメニュー選択の一例を示す図、
図3(J)~
図3(O)は、本発明の実施形態におけるメニュー選択の一例を示す図である。
【
図4】
図4(A)は、
図1の車載機器操作システムにおける、制御装置及び車両用メニュー表示制御装置(表示制御装置)の、より具体的な構成例を示す図、
図4(B)は、メニュー画像生成部の構成例を示す図、
図4(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5(A)は、ラジアルメニューにおける、第1階層の具体的な項目表示例(複数の大項目(車載機器を操作するための大項目群)を含む)を示す図、
図5(B)は、ラジアルメニューにおける、第2階層の具体的な項目表示例(大項目の選択履歴、及び第1の小項目群(車内温度の設定用項目群)を含む)を示す図である。
【
図6】
図6(A)は、ラジアルメニューにおける、第3階層の具体的な項目表示例(大項目及び第1の小項目群についての選択履歴と、第2の小項目群(風量設定用項目群)とを含む)を示す図、
図6(B)は、ラジアルメニューにおける、第4階層の具体的な項目表示例(大項目、及び第1、第2の小項目群についての選択履歴と、第3の小項目群(風向き設定用項目群)とを含む)を示す図である。
【
図7】車両用表示制御処理の主要な手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0036】
図1を参照する。
図1は、車載機器操作システムの全体の構成例を示す図である。
【0037】
車載機器操作システムは、表示装置10と、入出力I/F30(入出力インターフェース)と、制御装置20(後述するが、表示制御装置(
図4の符号21)と、処理実行装置(
図4の符号26)と、を含んでいる)と、信号インターフェース(信号I/F)40、50と、ハンドル(例えばステアリングホイール)3に設けられ、ユーザー(ここでは運転者とする)が指(手)で操作可能な選択装置(入力装置)200と、ユーザーの視線を検出する視線検出部301及び音声検出部302(これらは、例えば、選択装置200を使用せずにメニューの項目を選択する場合に用いられる)と、制御装置20の外部機器(車載機器)400としての、各種のECU(車載ECU401、ナビ(ナビゲーション)ECU402、オーディオECU403、空調ECU404、外部通信部(通信機器)405を含み、これらはバスBUSを介して入出力I/F30に接続されている)と、を有する。
【0038】
表示装置10は、実像及び虚像の画像の少なくとも一方を表示可能であり、ここでは、例えば、虚像を表示するHUD(ヘッドアップディスプレイ)装置を搭載するものとし、このHUD装置によって、ウインドシールド(フロントガラス等)2の虚像表示領域101(図中、破線の四角で示される虚像表示可能領域)内に虚像を表示する。
【0039】
図1では、虚像としてのラジアルメニュー(ラジアル操作メニュー)500(V)が表示されている。なお、符号500(V)の「(V)」は、虚像であることを示している。
【0040】
また、符号502は、ユーザーの指(手)の動き(選択装置200が検出する)に応じて位置が変化するポインタ(ここでは、時計の針のように、時計回りあるいは反時計回りに移動する)である。このポインタは、ラジアルメニュー(ラジアル操作メニュー)500(V)に含まれる複数の項目(操作項目)のうちの1つをポイント(指定)する機能をもつ。
【0041】
なお、表示装置10は、インストルパネル内又はインストルパネル上に設けられる表示パネル等の表示器であってもよく、HUD装置と表示器とが併用されるものであってもよい。
【0042】
ラジアルメニュー500(V)の表示処理において、必要に応じて、外部機器(車載機器)400から入力される各種の情報を用いることができる。
【0043】
なお、外部機器(車載機器)400(車載ECU401、ナビECU402、オーディオECU403、空調ECU404、外部通信部(通信機器)405)は、外部機器情報を、バスBUSを介して入出力I/F30に送る。
【0044】
ここで、車載(車両)ECU401は、車両1の走行モード(ECOモード、SPORTモード)、平均燃費、走行可能距離(航続可能距離)、水温、油温などを出力可能である。制御装置20に含まれる表示制御装置(
図4の符号21)は、上記の情報に基づき、車両1の走行モードを示したり、選択されることで走行モードを変更可能とする画像(選択画像)を表示したり、平均燃費、走行可能距離(航続可能距離)、水温、油温等を表示したりする。1つの項目が選択された場合には、さらに、車両1に関する詳細情報に関する項目をラジアルメニュー500内に表示してもよい。
【0045】
ナビECU402は、次の分岐路の方向及び分岐路までの距離に関する情報や、車両1の経路付近に位置するオススメの経由地に関する施設情報や、これを経由した場合にロスする時間などの情報を出力可能である。制御装置20に含まれる表示制御装置(
図4の符号21)は、上記の情報に基づき、例えば、次の分岐路の方向及び分岐路までの距離、経路案内のオン/オフを切り替える画像、オススメの経由地に関する施設情報、及び経由地を設定する画像等の少なくとも1つをメニューとして表示することができる。
【0046】
オーディオECU403は、オススメの音楽に関する情報などを出力可能である。制御装置20に含まれる表示制御装置(
図4の符号21)は、上記の情報に基づき、オススメの音楽(オーディオ)に関する情報や、楽曲を選択するための画像をメニューとして表示することができる。
【0047】
空調ECU404は、現在の空調状態に関する情報等を出力可能である。制御装置20に含まれる表示制御装置(
図4の符号21)は、上記の情報に基づき、現在の空調状態に関する情報や、空調状態を変更可能とする画像を表示することができる。
【0048】
外部通信部405は、着信状態やメール受信情報など、車両1の外部からの情報を出力可能である。制御装置20に含まれる表示制御装置(
図4の符号21)は、上記の情報に基づき、着信があること、メール受信があることを示す情報、電話を受話する又はメールを音声で読ませることが可能な画像等をメニューとして表示することができる。
【0049】
次に、
図2を参照する。
図2(A)は、選択装置(車載機器操作システムに用いられるポインティングデバイス)の外観を示す図、
図2(B)は、
図2(A)におけるA-A線に沿う断面構造を示す図である。
【0050】
ここでは、選択装置(入力装置、あるいは操作装置と称することもある)200が、
図1において示したラジアルメニュー500における項目を選択することに用いられることを想定して説明する。
【0051】
図2(A)に示されるように、選択装置(ポインティングデバイス)200は、ステアリングホイール3に配設され、ユーザーの指(ここでは、例えば親指とする)の位置(言い換えれば、操作位置C)を検出する円環状の操作位置検出部210と、この操作位置検出部210と一体となって設けられ、操作位置検出部210が親指で押されることで、ユーザーによって選択(決定)がなされたことを検出する決定操作検出部220と、リターン処理を行うときに使用されるリターンスイッチ230と、を有する。
【0052】
なお、上記の例では、選択装置200の操作を指(手)で行っているが、ユーザーの、その他の身体部位を用いてもよい。
【0053】
選択装置200は、ユーザーの親指等が操作面に触れた位置(操作位置C)を検出するタッチセンサであり、
図2(B)に示すように、表面カバー211と、センサシート212と、スペーサ213と、を備える。選択装置200は、ユーザーが、親指等でその操作面上を触れる操作(以下、タッチ操作という)あるいは所定の軌跡を描くようになぞる操作(以下、ジェスチャ操作という)を行った際に、ユーザーの親指等が操作面に触れている位置(操作位置C)を検出し、ユーザーによる選択(決定)がなされると、その選択(決定)を検出して、例えば、選択(決定)がなされたことを示す信号(選択信号、言い換えれば選択(決定)検出信号)を出力する。
【0054】
選択装置200における表面カバー211は、合成樹脂等の遮光性の絶縁材料によってシート状に形成され、凸状断面の立体形状が、中心点Qを中心とする円の円周に沿って連続的に形成された凸部(凸領域)211a(
図2(A)において、放射状の模様が付された領域)と、凸部(凸領域)211aに連接する比較的平坦な平坦部(平坦領域)211bと、を有する。凸部(凸領域)211aは、山状の断面(凸状断面)を有し、その山(凸形状)は、中心点Qに向かう方向(内側)に長く、その反対方向である外側に短い輪郭線(稜線)を有する。その山(凸形状)が、中心点Qを中心とする円の円周に沿って、連続的に設けられることで凸部(凸領域)211aが構成される。
【0055】
また、
図2(B)に記載されるように、表面カバー211における凸部(凸領域)211aの下には、センサシート212が設けられており、これらを含む部分によって、上記の操作位置検出部210が構成される。ユーザーは、例えば、上記の凸部(凸領域)211aの、長手方向(中心点Qに向かう方向であり、言い換えれば内側方向)の斜面を指の触感で認識することにより、操作位置検出部210上における指のおおよその位置を認識することができ、選択装置200を見なくても、選択装置200を操作することができる。言い換えれば、ブラインド操作が可能となる。なお、上記の凸部(凸領域)211aが設けられない場合も想定され得るが、この場合でも、ユーザーが、中心点Qを中心とした円の円周に沿って手(指)の位置を移動させた場合、ユーザーは、自身が移動させた手(指)の軌跡(指等がタッチセンサの操作面に接触した位置の時間的変遷の跡)を知覚できることから、ユーザーは、自身の手の位置が、円の円周上のおおよそどの位置にあるかの見当をつけることができる。したがって、この場合でも、ブラインド操作が可能である。
【0056】
センサシート212は、少なくとも凸部(凸領域)211aに対応する表面カバー211の裏面側において、中心点Qを中心とする円の円周に沿って配設され、ユーザーの指の操作位置Cを検出して、制御装置20(表示制御装置21)に、ユーザーの指等の操作位置Cに関する情報(操作位置の情報、あるいは操作位置を示す信号)を出力する。センサシート212は、例えば、絞り加工により表面カバー211と一体成形されることで、表面カバー211と同様の形状に加工される(
図2(B)参照)。このように一体成形されることで、表面カバー211とセンサシート212は、一枚のシートのようになり、上記の凸部(凸領域)211aの段差形状は、その一枚のシートの曲がった部分(盛り上がった部分)で構成されることになる。また、このように一体成形されることで、表面カバー211の裏面とセンサシート212の表面とが当接する。これにより、表面カバー211の段差形状に対応して、センサシート212の検出部が配置されることになる。このように表面カバー211の段差形状に対応してセンサシート212の検出部が配置されているため、ユーザーの指等の移動が、凸部(凸領域)211a等の段差形状を有した操作面上で行われるものであっても、例えば表示制御装置21が、ユーザーの指の位置を検出することが可能である。
【0057】
スペーサ213は、センサシート212の裏面側に位置し、一体成形された表面カバー211とセンサシート212の形状に合わせて形成され、ユーザーの指等によって、表面カバー211が表側から押圧された際に、上記の形状を保持する部材である。
【0058】
決定操作検出部220は、操作位置検出部210の裏面側に複数(
図2(B)の例では5個)設けられる。決定操作検出部220は、制御装置20(表示制御装置21を含む)と電気的に接続されており、ユーザーが、操作位置検出部210の操作面(表面カバー211の凸部(凸領域))211aを押下する操作(以下、押下操作という)を行うと、決定操作検出部220が押され、これによって、ユーザーによって選択(決定)がなされたことが検出され、選択(決定)がなされたことを示す信号(選択信号、言い換えれば選択(決定)検出信号)が出力される。出力された選択(決定)検出信号は、制御装置20(表示制御装置21を含む)に送られる。表示制御装置21は、送られてきた選択(決定)検出信号に基づき、例えば、ラジアルメニュー500に含まれる複数の項目のうちのどの項目が選択されたかを判定し、その選択に応じた操作メニュー画像を生成し、表示装置10に表示する。これによって、選択された項目の内容に応じて、操作メニューの表示が切り替えられる。
【0059】
リターンスイッチ230は、操作位置検出部210及び決定操作検出部220とは離れた位置にあるスイッチである。ユーザーが、リターンスイッチ230の操作面を押下する(言い換えれば、押下操作がなされる)と、制御装置20内の表示制御装置21にリターン信号が送信される。表示制御装置21は、リターンスイッチ230からのリターン信号に基づき、ラジアルメニュー500の表示を、直近の過去の操作メニュー画像に戻す。言い換えれば、直前の表示への切り替えが行われる。
【0060】
次に、
図3を参照する。
図3(A)~
図3(I)は、比較例(従来例)としてのメニュー選択の一例を示す図、
図3(J)~
図3(O)は、本発明の実施形態におけるメニュー選択の一例を示す図である。
【0061】
図3(A)に示されるように、比較例において、第1階層(一般的に表現すれば、第n階層(nは1以上の自然数)であり、ここでは、n=1の場合である)のメニュー画面には、2つの大項目(大項目群)A、Bが含まれる。ここでは、大項目Bが選択されるものとする。
【0062】
図3(B)に示されるように、比較例において、第2階層(第(n+1)階層)のメニュー画面には、1つの大項目Bに対応して、3つの中項目(中項目群)C、D、Eが含まれる。ここでは、中項目Cが選択されるものとする。
【0063】
図3(C)に示されるように、比較例において、第3階層(第(n+2)階層)のメニュー画面には、1つの大項目B(及び中項目C)に対応して、4つの小項目(小項目群)F、G、H、Iが含まれる。ここでは、小項目Gが選択されるものとする。
【0064】
図3(D)は、
図3(A)と同じであり、メニュー画面には、2つの大項目A、Bが含まれる。ここでは、
図3(A)と同じく、大項目Bが選択されるものとする。
【0065】
図3(E)は、
図3(B)と同じであり、メニュー画面には、1つの大項目Bに対応して、3つの中項目(中項目群)C、D、Eが含まれる。ここでは、中項目Dが選択されるものとする。
【0066】
図3(F)では、メニュー画面には、大項目B(及び中項目D)に対応して、4つの小項目(小項目群)J、K、L、Mが含まれる。ここでは、小項目Lが選択されるものとする。
【0067】
図3(G)は、
図3(A)、
図3(D)と同じであり、メニュー画面には、2つの大項目A、Bが含まれる。ここでは、
図3(A)、
図3(D)と同じく、大項目Bが選択されるものとする。
【0068】
図3(H)は、
図3(B)、
図3(E)と同じであり、メニュー画面には、1つの大項目Bに対応して、3つの中項目(中項目群)C、D、Eが含まれる。ここでは、中項目Eが選択されるものとする。
【0069】
図3(I)では、メニュー画面には、大項目B(及び中項目E)に対応して、4つの小項目(小項目群)N、O、P、Qが含まれる。ここでは、小項目Qが選択されるものとする。
【0070】
この比較例からわかるように、従来、メニューが階層構造を有し、かつ、1つの大項目(上記の例では、大項目B)に対応して、種類の異なる、第1の小項目群(F、G、H、I)と、第2の小項目群(J、K、L、M)と、第3の小項目群(N、O、P、Q)が存在する場合に、第1~第3の小項目群の各々から1つの小項目を選択するためには、まず、大項目(上記の例では、大項目B)を選択し(
図3(A))、次に、第1の小項目群を選択するための第1の中項目(上記の例では、中項目C)を選択し(
図3(B))、次に、第1の小項目群(F、G、H、I)の中から1つの小項目(上記の例ではG)を選択し(
図3(C))、次に、階層を戻して、中項目の表示画面に戻り(
図3(E))、第2の小項目群(J、K、L、M)を選択するための第2の中項目(D)を選択し(
図3(E))、次に、第2の小項目群(J、K、L、M)の中から1つの小項目(上記の例ではL)を選択し(
図3(F))、次に、階層を戻して、中項目の表示画面に戻り(
図3(H))、第3の小項目群(N、O、P、Q)を選択するための第2の中項目(E)を選択し(
図3(H))、次に、第3の小項目群(N、O、P、Q)の中から1つの小項目(上記の例ではQ)を選択する(
図3(I))という選択操作が必要となる。
【0071】
このように、1つの大項目に対して、種類の異なる複数の小項目群が存在する場合、すべての小項目群についての選択を行うためには、前画面に戻って中項目を選択することで、種類の異なる小項目群を切り替えて表示させる必要があり、この点、ユーザーに煩わしさを感じさせる可能性がある。
【0072】
そこで、本発明の実施形態では、
図3(J)~
図3(M)(又は
図3(J)~
図3(O))に示されるような、前画面に戻る操作を伴わないメニュー選択によって、種類の異なる複数の小項目群のすべてについて選択を行うことができるようにする。
【0073】
言い換えれば、種類の異なる第1、第2の小項目群を、予め直列的に階層化しておき、1つの大項目が選択されると、まず第1の小項目群を表示させ(第1の画像の表示)、次に、第1の小項目群を消去し、その消去によって生じる空白領域に、第2の小項目群を表示させる(第2の画像の表示)。
【0074】
従って、メニューが階層構造を有し、かつ、1つの大項目に対応して、種類が異なる第1、第2の小項目群が存在する場合において、前画面に戻らなくても、第1、第2の小項目の各々を選択できるようになり、メニュー選択の利便性を向上させることができる。
【0075】
また、1つの大項目が選択されると、選択された大項目を選択履歴として残しつつ、中項目を省略して第1の小項目群を表示し、1つの小項目が選択されると、大項目の選択履歴表示は残し、選択された第1の小項目群の内の1つを選択履歴表示領域に移動させ、他の小項目は消去(削除)させてもよい。この移動及び消去によって、先に第1の小項目群が表示されていた領域に空白領域が形成され、この空白領域に、次の小項目群である第2の小項目群を配置する(言い換えれば、その空白領域に重なるように、第2の小項目群の画像を画像合成する)ことによって、過去の選択履歴を残しつつ、第1の小項目群から第2の小項目群への切り替えが無理なく実行される。これによって、従来のように、リターンキー等を用いて前画面に戻ることなく、異なる種類の小項目の選択を、連続的に行うことが可能となり、メニュー選択の利便性が向上する。
【0076】
また、過去の選択履歴が明示されていることから、小項目が切り替わった後、ユーザーは、現在の小項目群の表示が、過去にどのような項目を選択した結果として表示されるものであるかを一目で認識でき、よって、小項目群の切り替えに際して違和感が生じることがない。
【0077】
また、1つの大項目に対応して、第1乃至第3の小項目群が存在する場合も同様である。この場合も、小項目群を順次、切り替えてもよく、また、過去の選択履歴を残しつつ、小項目群の切り替えを行ってもよい。なお、第1乃至第m(mは4以上の自然数)の小項目群が存在する場合も、同様の処理を繰り返すことで、上記の態様と同様の効果を得ることができる。
【0078】
以下、1つの大項目(大項目B)に対応して、種類の異なる、第1の小項目群(小項目F~I)と、第2の小項目群(小項目J~M)と、第3の小項目群(小項目N~Q)と、が存在する場合について、具体的に説明する。
【0079】
図3(J)は、
図3(A)、
図3(D)、
図3(G)と同じであり、ここでは、大項目Bが選択されるものとする。
【0080】
図3(K)では、選択された大項目Bが、大項目用の選択履歴表示領域(
図3(K)において、上側に配置される四角形の領域)に移動され(言い換えれば、退避され)、第1の小項目群(F、G、H、I)が表示される。各項目F~Iは、例えば、連続的に(各項目同士が隣接して)、無駄な空き領域なく配置される。ここでは、小項目Gが選択されるものとする。
【0081】
図3(L)では、先に選択された大項目Bの選択履歴表示をそのまま残し、さらに、選択された小項目Gが、小項目用の選択履歴表示領域(
図3(K)において、大項目Bの選択履歴表示領域に隣接して配置される四角形の領域)に移動され(言い換えれば、退避され)、選択されなかった他の小項目F、H、Iは消去される。この退避及び消去によって空白領域(不図示)が形成され、その空白領域に、第2の小項目群(J、K、L、M)が配置される。各項目J~Mは、例えば、連続的に(各項目同士が隣接して)、無駄な空き領域が形成されることなく配置される。ここでは、小項目Lが選択されるものとする。
【0082】
図3(M)では、先に選択された大項目Bの選択履歴表示、及び小項目Gの選択履歴表示をそのまま残し、さらに、選択された小項目Lが、小項目用の選択履歴表示領域(
図3(K)において、小項目Gの選択履歴表示領域に隣接して配置される四角形の領域)に移動され(言い換えれば、退避され)、選択されなかった他の小項目J、K、Mは消去される。この退避及び消去によって空白領域(不図示)が形成され、その空白領域に、第3の小項目群(N、O、P、Q)が配置される。各項目N~Qは、例えば、連続的に(各項目同士が隣接して)、無駄な空き領域が形成されることなく配置される。ここでは、小項目Qが選択されるものとする。
【0083】
ここで、小項目Qに対応する下位の小項目群は存在しないため、小項目Qの選択が最終選択となる。よって、例えば、第n階層の表示(ここではn=1:
図3(J))に戻り、また、例えば、
図3(O)に示すように、過去の項目の選択履歴(大項目B、小項目G~Q)を、確認用画像として表示し、その後、第n階層の表示(ここではn=1:
図3(J))に戻る。なお、
図3(J)に戻って、所定時間内はメニューは表示せず、所定時間経過後に、
図3(J)に示されるようなメニューを表示するようにしてもよい。
【0084】
第4の態様では、直前に表示されていた小項目群の消去(あるいは、移動及び消去)によって生じる空白領域に、次の小項目群を表示させる際に、無駄な空き領域(空きスペース)が生じないように、その小項目群の項目数、及び、その小項目群の画像サイズ(言い換えれば、その小項目群の表示領域の面積)の少なくとも1つを調整することもできる。この場合、小項目群の切り替えが見栄え良く行われ、メニューの表示品質が低下することがない。よって、より見易いメニューの表示が実現される。
【0085】
また、どのような項目を、上記の第1、第2の小項目群とするか(又は、第1、第2、第3の小項目群とするか、又は、第1~第m(mは4以上の自然数)の小項目群とするか)を、ユーザーに選択させるための小項目群設定用のメニュー画面を、予め、表示装置(HUD装置や液晶パネル等)に表示させ、ユーザーが選択装置を用いて、小項目群設定のための選択を行うと、その選択に従って、第1、第2の小項目群(又は、第1、第2、第3の小項目群、又は第1~第mの小項目群)を設定するようにしてもよい。
【0086】
この場合は、どのような項目を直列的に階層化される小項目群とするかを、ユーザー自身が設定することができる。言い換えれば、小項目群を、事前にプログラムすることができる。よって、ユーザーが好ましいと考える順番で小項目群が表示される。従って、使い勝手のよい階層化されたメニューが実現される。
【0087】
次に、上記のような処理を実行する、車両用メニュー表示制御装置等の構成例について説明する。ここで、
図4を参照する。
図4(A)は、
図1の車載機器操作システムにおける、制御装置及び車両用メニュー表示制御装置(表示制御装置)の、より具体的な構成例を示す図、
図4(B)は、メニュー画像生成部の構成例を示す図、
図4(C)は、表示装置の構成例を示す図である。
図4において、
図1、
図2と共通する部分には同じ符号が付されている(この点は以下の図面でも同様である)。
【0088】
図4(A)において、制御装置20は、表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)21と、処理実行装置26と、を有し、必要に応じて、記憶装置(不図示)に、動作ルーチンファイル27が記憶される。
【0089】
表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)21は、メニュー画像生成部22と、メニュー表示処理部24と、を有しており、必要に応じて、記憶装置(不図示)内にメニューファイル25が記憶される。
【0090】
上記の制御装置20の各構成は、例えば、記憶装置(不図示)に格納されているOS(オペレーティングシステム)等に搭載されるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)プログラムに従ってCPUやMPU(コンピュータ:不図示)が動作することで実現することができる。
【0091】
表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)21におけるメニュー画像生成部22は、メニュー画像(操作メニュー画像)を生成する。例えば、予め用意されている複数のメニューファイル25の中から使用可能なものを取り出し(読み出し)、必要な情報を画像合成で組み込むことで、複数の操作項目を含むメニュー(操作メニュー)の画像を生成する。但し、これに限定されるものではなく、記憶部(不図示)に予め記憶された配列、又は記憶部(不図示)に記憶されたプログラムにより定められた配列に従って、複数の項目を配置する(項目を画像合成する)ことで、メニュー(操作メニュー)の画像を生成してもよく、あるいは、レンダリングにより画像を生成してもよい。生成された画像は、画像RAM(不図示)等に、一旦、蓄積される。
【0092】
なお、表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)21は、外部機器400(車載ECU401、ナビECU402、オーディオECU403、空調ECU404、外部通信部(通信機器)405等)からの情報を使用して画像を生成することができ、あるいは、その情報を使用せずに、記憶部(不図示)に予め記憶された画像データのみに基づき画像を生成してもよい。これによって、例えば、
図1で示したラジアルメニュー500(V)の元となる画像(元画像)を生成することができる。
【0093】
表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)21は、具体的には、例えば、階層構造を有すると共に、1つの階層の画像に複数の操作項目が含まれるメニューの表示を制御するものであり、上述のとおり、メニューの画像を生成するメニュー画像生成部22と、生成されたメニューの画像の表示処理を行うメニュー表示処理部24と、を有する。
【0094】
図4(A)におけるメニュー表示処理部24は、画像RAM(不図示)等から、生成された画像(画像データ)を読み出し、データ形式を整えたり、表示に必要な情報を付加したりし、その結果として得られた画像データを表示装置10に送る。
【0095】
表示される車両用メニューは、例えば階層構造を有しており、選択された1つの項目に関連付けされた下位階層のメニューがある場合は、その下位階層のメニューが順次、表示される。下位階層のない項目が選択されると、例えば、メニュー画像生成部22から処理実行装置26に、最終的に選択された項目の内容を示す情報が送られる。処理実行装置26は、例えば、動作ルーチンファイル27を参照して、実行すべき処理の具体的な内容を示すデータを取得し(但し、この動作は不要な場合もあり得る)、取得したデータを、入出力I/F30及びバスBUSを経由して、外部機器(車載機器)400に送る。これによって、ユーザーによって選択された項目に関連付けられている処理が実行される。
【0096】
また、
図4(A)における制御装置20あるいは表示制御装置21(これらは、ハードウエアとしてCPU等(不図示)と、各種プログラムを格納する記憶装置(不図示)とを有する)は、種々の要因で生じる割り込み要求に対応することが可能である。
【0097】
外部機器400の動作に起因して発生する割り込み要求は、例えば、車両に搭載される各種のECU(電子制御ユニット:
図1の符号401~405)が情報を発出することで生じ得る。この場合は、例えば、その情報が、制御装置20内のCPU等のハードウエアに伝えられ、CPU等が、例えばOS(オペレーティングシステム:GUIを含んでおり、
図3(A)の表示制御装置21に対応する)に指令を送ることで、ハードウエア割り込みが生じ得る。
【0098】
また、割り込み要求は、例えば、ユーザーが、車両用のポインティングデバイス(選択装置200)を介さずに、音声で指示を発出したり、目のまばたきや瞳の移動等(アイコンタクト動作)によって指示を発出したりすることによっても生じ得る。この場合は、音声認識ソフトやアイコンタクト認識ソフト等が、OS(GUIを含んでおり、
図3(A)の表示制御装置21に相当する)に指令を送ることで、ソフトウエア割り込みが生じ得る。このように、
図3(A)の制御装置20(あるいは表示制御装置21)は、ハードウエア割り込み、ソフトウエア割り込みのいずれにも対処することが可能である。
【0099】
なお、
図4(A)では、信号インターフェース(信号I/F)としては、選択装置(入力装置あるいは操作装置)200からの選択信号を処理する信号I/F40、音声検出部302からの音声信号(音声による指令等)を処理する信号I/F50、の2つを記載している。
【0100】
信号I/F40は、選択信号処理用の入出力処理プログラムに従って動作する選択信号処理用インターフェース部(不図示)を有する。また、信号I/F50は、音声認識プログラムに従って動作する音声認識処理用インターフェース部(不図示)を有する。
【0101】
次に、
図4(B)を参照する。
図4(B)に示されるように、メニュー画像生成部22は、選択装置200からの位置信号及び選択信号に基づいて、ユーザーによってどの項目が選択されたのかを判定する項目判定部600と、その選択が最終選択であるか否かを判定する最終選択判定部610と、選択された項目を選択履歴として記憶する選択履歴記憶部630と、表示制御処理を実行する制御処理部620(ここでは、小項目群の項目数及びサイズの少なくとも1つを調整する項目数・サイズ調整部621を有するものとする)と、メニューの表示形式(表示態様)を決定する表示形式決定部640(ここでは、階層化された小項目群を格納している階層化された小項目群格納部642を有するものとする)と、小項目群の消去(又は、移動及び消去)によって生じる空白領域のサイズ(面積や形状)の情報を取得(算出)する空白領域情報取得部643と、制御処理部620の制御の下でメニュー画像を生成する画像生成処理部650と、を有する。
【0102】
なお、項目判定部600、最終選択判定部610、選択履歴記憶部630、表示形式決定部640、空白領域情報取得部643は、制御処理部620内に設けてもよい。各部は、制御処理部620の管理下にあることから、実質的に、制御処理部620に備わった機能ブロックとみることもできる。
【0103】
制御処理部620は、1つの項目が選択されて、その選択された項目が最終選択ではなかった場合、その選択された項目の情報を選択履歴記憶部630に記憶させる。選択された項目が大項目(例えば、
図3(J)の大項目B)であった場合は、表示形式決定部640の階層化された小項目群格納部642から、選択された大項目に対応する、次に表示するべき小項目群(例えば、
図3(K)の小項目群F~I)の情報を読み出し、画像生成処理部650に指示して、その小項目群を表示させ、また、例えば、選択履歴記憶部630を参照して直近の選択にかかる項目(例えば、大項目B)の情報を読み出し、画像生成処理部650に送る。
【0104】
画像生成処理部650は、例えば、表示形式決定部640が決定する表示形式(表示態様)に基づいて、選択にかかる項目(例えば大項目B)を選択履歴表示領域に配置し、かつ、小項目群F~Iを、小項目群の表示領域に配置する。言い換えれば、そのような画像合成処理を実行して、例えば、
図3(K)のような表示をなすための元画像を生成し、例えば、メニュー画像として記憶部(不図示)に、一時的に記憶する。
図4(A)で示したメニュー表示処理部24は、メニュー画像を記憶部(不図示)から読み出して、表示装置10に表示する。
【0105】
先に示した
図3(K)では、小項目Gが選択されるが、その場合は、制御処理部630は、上記と同様の処理を行って、
図3(L)に示されるようなメニュー画像を表示するための元画像を生成する。
【0106】
このとき、制御処理部630は、画像生成処理部650に指示して、第1の小項目群(F~I)が配置されていた領域を空白領域(空き領域)とさせ、その空白領域に、第2の小項目群(J~M)を配置させる。但し、その空白領域は、選択履歴表示領域も考慮して決定されるものであり、選択履歴項目が増えるにつれて、空白領域のサイズは小さくならざるを得ない。また、各小項目群の項目数は、各々が独立して定められるものであり、項目数に差がある場合も、当然、有り得る。よって、制御処理部630は、次に表示するべき小項目群を配置させる際、空白領域情報取得部643が取得する空白領域の情報(サイズ、形状等の情報)に基づいて、その空白領域に、無駄な空き領域が生じないようにする(但し、これは、「空き領域」が生じることを禁止するという意味ではなく、メニューの見栄えを低下させるような、「無駄な空き領域」の発生を防止するという意味である)。例えば、項目数・サイズ調整部621が、次に表示する小項目群(ここでは、
図3(L)で示した第2の小項目群J~M)の項目数及びサイズの少なくとも1つを調整し、第2の小項目群が、空白領域に、見栄え良く収まるようにする。これによって、例えば、
図3(L)で示したメニュー表示をなすための元画像が生成される。
【0107】
以下、同様の処理が実行され、これによって、
図3(M)(さらに
図3(O))のようなメニュー表示をなすための元画像が生成される。
【0108】
次に、
図4(C)を参照する。
図4(C)に示されるように、表示装置10は、虚像の画像を表示するHUD装置501、及び実像の画像を表示する表示器601の少なくとも一方を含むことができる。なお、HUD装置501は光源503を有しており、例えば、この光源503の光強度が、画像データに基づいて画素単位で変調されることで、スクリーン(不図示)上に画像が表示され、その画像の表示光が、投射光学系(不図示)を介して、
図1のウインドシールド(光の一部を透過し、一部を反射する性質をもつ部材)1に投射されることで、例えば、
図1で示したラジアルメニュー500(V)が表示される。
【0109】
次に、
図5を参照して、本発明を、ラジアルメニューの表示制御に適用した場合の例について説明する。
図5(A)は、ラジアルメニューにおける、第1階層の具体的な項目表示例(複数の大項目(車載機器を操作するための大項目群)を含む)を示す図、
図5(B)は、ラジアルメニューにおける、第2階層の具体的な項目表示例(大項目の選択履歴、及び第1の小項目群(車内温度の設定用項目群)を含む)を示す図である。
【0110】
図5(A)に示されるラジアルメニューの画像は、外形が、原点O(仮想的なものである)を中心とする円であり、その円の内部が、原点Oから外側に向かう複数の放射状の直線Lによって区画されることで、複数の、メニュー項目の表示領域が設けられている。ラジアルメニューは、円(あるいは楕円等)を細分化する(例えば、扇形や楔(くさび)形の領域に分割する)ことで、多数の項目を、コンパクトにバランスよく配置することができる。近年、IOT(物のインターネット)の活用によって、例えば、車両の運転者(ユーザー)が、車両を運転しながら、例えば、自宅の電気製品や給湯機器等の動作を制御することも可能となってきており、今後、メニューに表示する項目の数は、ますます増えるものと予測される。ラジアルメニューを利用した表示形式は、今後、活用の場が広がるものと考えられる。
【0111】
また、
図5(A)(及び
図5(B)、
図6(A)、
図6(B)も同様)のラジアルメニューでは、その中央に、原点Oを中心とする、外形を構成する円(これを第1の円とする)よりも面積が小さい円(これを第2の円(第1の円の同心円)とする)が配置され、第2の円の内部も、表示領域として使用することが可能となっている。
【0112】
図5(A)の例では、中央の円(第2の円)の内部に、「MENU」という表記(符号1)が表示されており、これにより、ユーザーは、ラジアル形式の表示が、ラジアルメニューの表示であることを、一目で認識することができる。
【0113】
また、
図5(A)のラジアルメニューの表示では、メニューの上位階層に含まれる大項目として、「AIR CONTROL(空調)」という項目2と、「MUSIC(音楽)」という項目3と、(DRIVE MODE(運転モード))という項目4と、「SMART PHONE(スマートフォン)という項目5(「MAIL(メール)」というサブ項目5-1と、「CALL(発話)」というサブ項目5-2と、を含む)と、が設けられている。
【0114】
図5(A)では、「AIR CONTROL(空調)」という項目2が選択されるものとする。
【0115】
この「AIR CONTROL(空調)」という項目(大項目)2に対応して、車内温度を設定するための、「0.5度単位の温度設定値を示す複数の小項目(第1の小項目群:
図5(B)参照)」と、風量を設定するための、「例えば風量1~9までの9段階に調整可能な風量設定項目と、自動調整を設定する項目(AUTO)と、を含む第2の小項目群(
図6(A)参照)」と、風向きを設定するための、「例えば、4種類の風向き調整が可能とする風向き設定項目と、自動調整を設定するための項目(AUTO)と、を含む第3の小項目群(
図6(B)参照)」と、が存在する。
【0116】
この3種類の小項目群については、事前に、第1、第2、第3の小項目群の順に優先順位が決められ、その順に階層化されている。言い換えれば、温度設定のための第1の小項目群が最上位、風量調整のための第2の小項目群が中位、風向き調整のための第3の小項目群が最下位と設定されている。先に説明したように、この優先順位(階層の構造)は、ユーザーが、例えば選択装置200を用いて、自身の好みに合うようにプログラムすることができる。
【0117】
図5(B)において、まず注目すべき点は、中央の円(第2の円)内に、
図5(A)で選択された「AIR CONTROL(空調)」という項目(大項目)2が、選択履歴項目6として表示されていることである。
【0118】
ラジアルメニューの中央に、選択された大項目が、わかり易く表示されることによって、ユーザーは、現在選択中の小項目(
図5(B)における温度設定用の複数の小項目)が、先に選択した大項目である「AIR CONTROL(空調)」に対応する小項目であることを一目で認識することができる。よって、違和感が生じることがない。従って、ユーザーは、ラジアルメニューにおける小項目の選択を快適に行うことができる。
【0119】
図5(B)では、ラジアルメニュー内の表示領域において、右斜め上に「MENU」という項目7が配置され、それに隣接して、右斜め下に、現在の設定温度である「27.5℃」という項目8-1が配置され、その項目8-1を起点として、時計回りの方向に、連続的に(隙間なく)、0.5度単位の温度設定用の複数の小項目(言い換えれば、第1の小項目群)8-2~8-11が配置されている。
【0120】
図5(B)では、温度25℃が選択されるものとする。
【0121】
次に、
図6を参照する。
図6(A)は、ラジアルメニューにおける、第3階層の具体的な項目表示例(大項目及び第1の小項目群についての選択履歴と、第2の小項目群(風量設定用項目群)とを含む)を示す図、
図6(B)は、ラジアルメニューにおける、第4階層の具体的な項目表示例(大項目、及び第1、第2の小項目群についての選択履歴と、第3の小項目群(風向き設定用項目群)とを含む)を示す図である。
【0122】
図6(A)において、中央の円の内部に、先に選択した大項目である「AIR CONTROL(空調)」が、選択履歴項目6として配置(表示)され、右斜め下に、先に選択した「25℃」という小項目が、選択履歴項目9として配置(表示)され、その項目9を起点として、時計回りの方向に、9段階の風量設定のための小項目10-1~10-9と、自動調整を設定する小項目(AUTO)10-10とが、第2の小項目群として連続的に配置され、さらに、小項目(AUTO)10-10と選択履歴項目6(「AIR CONTROL(空調)」)との間に、隙間なく、前画面に戻るためのリターンキーが配置(表示)されている。なお、9段階の風量設定のための小項目10-1~10-9、及び自動調整を設定する小項目(AUTO)10-10は、個々の項目の表示領域の面積がやや小さく設定されており、円の中心(
図5(A)における符号O)に近い側には、連続した空き領域が設けられており、その空領域には、それらの個々の項目が、風量調整のための項目であることをわかり易く示すためのファンアイコン100が設けられている。
【0123】
図6(A)では、小項目10-3(風量3)が選択されるものとする。
【0124】
図6(B)では、
図6(A)と同じ位置に、リターンキー11、選択履歴項目6、9が配置(表示)され、さらに、ラジアルメニューの下側において、選択された「風量3」が、ファンアイコンと共に、選択履歴項目12として配置(表示)される。
【0125】
また、その選択履歴項目12を起点として、時計回りに、風向きの自動調整を設定する「AUTO」という小項目13-1と、風向き(換気を含む)設定用の小項目13-2~13-5と、が、第3の小項目群として、時計回り方向に、無駄な空き領域を生じさせることなく配置(表示)されている。
【0126】
図6(B)では、小項目12-3(ドライバーの上半身及び足元に風を送る小項目)が選択されるものとする。これによって、メニューの表示は、例えば、
図5(A)の表示に戻る。なお、先に
図3(O)で示したように、過去のすべての選択履歴を確認するための確認画像を表示した後に、
図5(A)の表示に戻るようにしてもよい。
【0127】
次に、
図7を参照する。
図7は、車両用表示制御処理の主要な手順の一例を示すフローチャートである。
【0128】
まず、第n階層(n≧1)のメニューが表示され(ステップS1)、ユーザーによって項目(大項目)が選択されると(ステップS2)、選択された項目(選択された大項目)を選択表示領域に残され(退避され)、第(n+1)階層の小項目群(複数の小項目)が表示される。
【0129】
小項目の1つが選択されると(ステップS4)、その選択が最終選択であるか(言い換えれば、下位項目が無いか)が判定され(ステップS5)、Yの場合は、例えば、第n階層のメニューの表示に戻る(ステップS10)。
【0130】
ステップS5にてNの場合は、ステップS6にて、選択された項目が選択履歴表示領域に移動され(退避され)、表示されている小項目群が消去され、空白となった領域に、第(n+2)階層の小項目群(複数の小項目)が表示される。
【0131】
次に、項目が選択されると(ステップS7)、最終選択であるか否かが判定され(ステップS8)、最終選択である場合(ステップS8でYの場合)は、ステップS10に移行する。
【0132】
ステップS8でNの場合は、選択された項目が選択履歴表示領域に残され(退避され)、表示されている小項目群が消去され、空白となった領域に、第(n+m)階層(ここでm≧3であり、ループが回る毎に、mの値は1ずつ増加する)の小項目群(複数の小項目)が表示される。
【0133】
以上説明しように、本発明の実施形態によれば、例えば、種類の異なる第1、第2の小項目群を、予め直列的に階層化しておき、1つの大項目が選択されると、まず第1の小項目群を表示させ(第1の画像の表示)、次に、第1の小項目群を消去(又は一部の項目を選択履歴表示領域やその他の表示領域等に移動(退避)し、その他の項目を消去し)、これによって生じる空白領域に、第2の小項目群を表示させる(第2の画像の表示)という新規な表示形式を採用することによって、前画面に戻らなくても、第1、第2の小項目の各々を選択できるようになり、ユーザーに煩わしさを感じさせることがなくなり、メニュー選択の利便性を向上させることができる。したがって、使い勝手に優れた車載機器操作システムを実現することができる。
【0134】
なお、本明細書において、車両とは、例えば自動車、電車、飛行機、船舶等の「乗り物」を示す用語として広義に解釈し、又、メニューという用語も、例えば「複数の選択肢を含む表示」というように、広義に解釈するものとする。
【0135】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0136】
1・・・車両、10・・・表示装置、20・・・制御装置、21・・・表示制御装置(車両用メニュー表示制御装置)、22・・・メニュー画像生成部、24・・・・メニュー表示処理部、26・・・処理実行装置、30・・・入出力I/F(入出力インターフェース)、40、50・・・・信号インターフェース(信号I/F)、200・・・選択装置(入力装置、操作装置、車両用ポインティングデバイス)、210・・・(円環状の)操作位置検出部、211a・・・円の円周に沿って連続的に形成された凸部(凸領域)、302・・・音声検出部、500・・・ラジアルメニュー、501・・・HUD装置、502・・・ポインタ(指針)、600・・・項目判定部、610・・・最終選択判定部、620・・・制御処理部、621・・・項目数・サイズ調整部、630・・・選択履歴記憶部、640・・・表示形式(表示態様)決定部、642・・・階層化された小項目群格納部、643・・・空白領域情報取得部、650・・・画像生成処理部、2~5(5-1、5-2)・・・大項目、8-1~8-11・・・第1の小項目群、10-1~10-10(及び11)・・・第2の小項目群、6、9、12・・・選択履歴項目、13-1~13-5(及び11)・・・第3の小項目群、11・・・リターンキー(リターンアイコン)。