(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電子機器用の多層構造及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20230404BHJP
H01R 12/70 20110101ALI20230404BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230404BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20230404BHJP
H01R 4/2404 20180101ALN20230404BHJP
【FI】
H05K1/18 F
H05K1/18 A
H01R12/70
H05K1/02 D
H05K1/11 C
H01R4/2404
(21)【出願番号】P 2020549750
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 FI2019050226
(87)【国際公開番号】W WO2019180316
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519361106
【氏名又は名称】タクトテック オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】サースキ、ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン、ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン、テロ
(72)【発明者】
【氏名】パーニ、ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ティッロネン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ、ロナルド
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6445592(US,B1)
【文献】実開昭58-111969(JP,U)
【文献】特開昭59-67685(JP,A)
【文献】特開平6-251834(JP,A)
【文献】特開平7-161441(JP,A)
【文献】特表2001-506420(JP,A)
【文献】特開2004-260107(JP,A)
【文献】特開2014-82325(JP,A)
【文献】特開2015-60958(JP,A)
【文献】国際公開第97/46058(WO,A1)
【文献】中国実用新案第201178157(CN,Y)
【文献】中国実用新案第204145603(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/2404
H01R 12/00―12/91
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型の多層構造(100、500、900、1000、1400、1900、2000)であって、
第1面(102A)と前記第1面に対向する第2面(102B)とを有し、電気的に
絶縁性の材料を含む基板フィルム(102)と、
前記基板フィルムの前記第1面及び/又は前記第2面の上に設けられた導電性材料のいくつかの導電性領域(106、306)を備える
回路設計と、
いくつかの導電性接触要素(118、118B、118C、2110A、2110B、2110C、2210A、2210B、2310A、2310B、2510A、2510B)を備えるコネクタ(110、210、710、1110、1610、1910、2010、2610)であって、前記基板フィルムの前記第1面と前記第2面の両方へと延在するように前記基板フィルムに設けられ、かつ前記いくつかの導電性接触要素が前記回路設計の前記導電性領域のうちの1つ又は複数に接続されると共に、外部接続要素(112)を、前記基板フィルムの前記第1面又は前記第2面の上にあるか、又は前記基板フィルムに隣接する当該コネクタに対して嵌合することに応じて、前記いくつかの導電性接触要素が前記外部接続要素に対して電気的に結合されるようにさらに構成される、コネクタと、
前記コネクタを少なくとも部分的に
覆い、かつ前記基板フィルムに対する前記コネクタの固定を増強するように、前記基板フィルムの前記第1面及び/又は前記第2面の上へとモールド
された、少なくとも1つのプラスチック層(104、105)と、
を備える構造。
【請求項2】
前記回路設計が、前記いくつかの導電性領域のうちの1つ又は複数に対して少なくとも電気的に接続
された、いくつかの電子部品(109)をさらに備える、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記回路設計
が、複数の導電性接触要素を一緒に接続するように
構成される接続部品(108)をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記コネクタが、前記いくつかの導電性接触要素を収容する本体部材(111、711)を備える、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記本体部材が、前記基板フィルムの前記第1面又は前記第2面に接触している、請求項4に記載の構造。
【請求項6】
前記コネクタ(210、710、1110)
は、剛直である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプラスチック層のうちの、前記コネクタを少なくとも部分的に覆うプラスチック層(104)が、前記基板フィルムの一方の面(102A)上に位置し、かつ前記外部接続要素(112)に接触するための前記コネクタの部分が、前記基板フィルムの反対側の面(102B)上に位置している、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプラスチック層(104、105)によって画定され、かつ嵌合すると前記外部接続要素(112)に対して接触するように構成されて、前記コネクタに対する前記外部接続要素の固定を増強する
機械的ないくつかの係止部材(504)をさらに含む、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項9】
前記コネクタの少なくとも一部分が、前記少なくとも1つのプラスチック層によって構築される、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項10】
前記コネクタが、前記少なくとも1つのプラスチック層
(104)の内へと入る、返し付き
突起を含むいくつかの突起(310)を
画定する、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項11】
前記回路設計の導電性領域(106)が、
前記基板フィルムの前記第1面(102A)及び前記第2面(102B)のうちの片面又は両面の上に
位置する、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項12】
前記基板フィルム
が、少なくとも1つの予め用意された貫通孔(116)であって、前記基板フィルムの前記第1面及び/又は前記第2面へとこれを通して延在する前記コネクタの部分(111、118)を収容するように構成された貫通孔(116)を画定する、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項13】
前記基板フィルムが、コネクタが作り出した少なくとも1つの貫通孔(116)を画定し、前記コネクタの一部(111、118、711)が、前記貫通孔を介して前記第1面又は第2面から反対側の前記第2面又は第1面へとそれぞれ突出するように構成されている、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項14】
前記基板フィルムに面する前記コネクタ(1110、1610)の表面積又は断面積の1つ又は複数の寸法が、前記少なくとも1つの貫通孔(116)の直径より大きく、前記コネクタが、前記少なくとも1つの貫通孔に完全に適合して通りはしない、請求項12または請求項13に記載の構造。
【請求項15】
前記導電性接触要素(118、118B、118C)のうちの少なくとも1つが、前記回路設計の少なくとも1つの導電性領域(106)
上に、圧縮力を印加するように構成される、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項16】
前記コネクタ(711、1110)の前記いくつかの
導電性接触要素のうちの、
少なくとも1つの導電性接触要素(118)が、
角度付きであり、
前記基板フィルムの一方の面(102B)上では、前記
導電性接触要素の第1部分が、前記基板フィルムの表面に対して
垂直に延在して、前記外部接続要素(112)と接続し、
前記基板フィルムの対向する面(102A)上では、前記
導電性接触要素の第2部分が、前記基板フィルムに対して
平行に延在して、前記基板フィルム上の前記回路設計の前記いくつかの導電性領域のうちの1つの導電性領域に接触する、請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項17】
前記基板フィルムに対して前記コネクタの固定を
増強する、相手側要素(114、115)を備える、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項18】
前記相手側要素(114)が、前記コネクタの少なくとも1つの
導電性接触要素及び前記基板フィルムの少なくとも1つの導電性領域の両方に接触して、これら2つの間の電気的結合を増強する、導電性材料
からなる少なくとも1つのバネ状部材(1730)を備える、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
前記相手側要素が、前記コネクタが
通過する前記基板フィルムの1つ又は複数の貫通孔によって画定される表面積より大きい、前記基板フィルムに面する表面積を画定する、請求項17または請求項18に記載の構造。
【請求項20】
構造(1900)において、前記基板フィルムが、前記コネクタ(1910)の一部分を収容し、かつ貫通孔を有する凹部(1920)を画定し、前記貫通孔を介して前記コネクタが前記基板フィルムを通して延在する、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項21】
構造(2000)において、前記コネクタ(2010)
が、角度付きの、傾斜した、又は湾曲した表面を備え、前記コネクタが、前記基板フィルムに対して、前記角度付きの、傾斜した、又は湾曲した表面が、前記基板フィルムの隣接する表面と
アライメントされるように構成される、請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項22】
前記基板フィルムの領域上に、前記外部接続要素を受け入れるように
構成された機械的な封止部材(624)を備え、請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項23】
前記コネクタ(1110、1610d)が、前記基板フィルム上の前記回路設計に対して圧着接続を画定する、請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項24】
構造(2100、2200、2300、2400、2500)において、前記コネクタが、前記基板フィルムの互いに対向する2つの面上に、少なくとも2つの部分(210A、210B、2110A、2110B、2210A、2210B、2310A、2310B、2510A、2510B)を備え、前記少なくとも2つの部分が、前記基板フィルムを通して、及び/又は、前記基板フィルムの縁を取り囲んで延在する少なくとも1つの特徴部(482、2110C、2410C)によって、一緒に接続される、請求項1から請求項23までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項25】
構造(2100、2200、2500)において、2つの対向する部分のうちの少なくとも1つがいくつかの突起を含み、前記いくつかの突起が、前記基板フィルムを通して
設けられ、かつもう一方の部分に接続する、請求項24に記載の構造。
【請求項26】
前記少なくとも2つの部分が、2つの部分の間に
構築された、いくつかの中間特徴部(2310D)によって接続されている、請求項24に記載の構造。
【請求項27】
構造(2400、2500)において、前記コネクタが、前記基板フィルムの前記縁を超えて延在し、かつ前記少なくとも2つの対向する部分を
接続する、少なくとも1つのブリッジ部分(482、2110C、2410C)を備える、請求項24から請求項26までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項28】
構造(2100、2200、2300)において、前記コネクタは、前記外部接続要素との結合のために、前記基板フィルムから側方へと延在する突出部(2110C)を画定する、請求項24から請求項27までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項29】
前記基板フィルムが、
平面状であるか、あるいは少なくとも
局所的に3次元形状を示す、請求項1から請求項28までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項30】
前記回路設計が、モールドされた前記少なくとも1つのプラスチック層内に少なくとも部分的に埋め込まれたいくつかの部品(109)をさらに備える、請求項1から請求項29までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項31】
前記コネクタが、いくつかの電子部品及び/又は接続部品をさらに備える、請求項1から請求項30までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項32】
前記コネクタ及び/又は前記コネクタのための係止フレームが、前記モールドされたプラスチックによって少なくとも部分的に充填されたキャビティ(722)を備える、請求項1から請求項31までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項33】
前記基板フィルムが、
ポリマー、熱可塑性材料、電気絶縁材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート(PC)、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ポリイミド、メタクリル酸メチルとスチレンとのコポリマー(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、炭素繊維、有機材料、生体材料、革、木材、布、布地、金属、有機天然材料、無垢材、ベニヤ、合板、木の皮、樹皮、白樺の樹皮、コルク、天然皮革、天然の布素材又は布地素材、綿、羊毛、麻、絹、他の天然素材、及びこれらの任意の組合せ、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から請求項32までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプラスチック層が、
エラストマー樹脂、熱硬化性材料、熱可塑性材料、PC、PMMA、ABS、PET、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫ゴム)、及びMS樹脂、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から請求項33までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項35】
前記導電性領域が、
導電性インク、導電性ナノ粒子インク、銅、鋼、鉄、スズ、アルミニウム、銀、金、白金、導電性接着剤、炭素繊維、合金、銀合金、亜鉛、真鍮、半田、チタン、及びこれらの任意の成分、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から請求項34までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項36】
前記
導電性接触要素が、
銅、銀、金、白金、導電性接着剤、炭素繊維、亜鉛、真鍮、合金、及び銀合金、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から請求項35までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項37】
前記コネクタが、
ピンヘッダ、圧着コネクタ、バネ状の
導電性接触要素、バネ付き
導電性接触要素、バネ付きの接触ピン又はスリップ、接触パッド、接触領域、
接触ピン、穴、ソケット、メス型のソケット、オス型のプラグ又はソケット、ハイブリッドソケット、ピンソケット、及びバネピンソケット、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴部を備える、請求項1から請求項36までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項38】
電子部品、電気機械部品、電気光学部品、放射線放出部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、側方放射LED又は他の光源、上方放射LED又は他の光源、下方放射LED又は他の光源、放射線検出部品、光検出部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光起電力デバイス、センサ、マイクロメカニカル部品、スイッチ、タッチスイッチ、タッチパネル、近接スイッチ、タッチセンサ、大気センサ、温度センサ、圧力センサ、水分センサ、ガスセンサ、近接センサ、静電容量性スイッチ、静電容量性ボタン、静電容量性センサ、投影型静電容量性のセンサ又はスイッチ、単一電極型静電容量性のスイッチ又はセンサ、多電極型静電容量性のスイッチ又はセンサ、自己静電容量性センサ、相互静電容量性センサ、誘導性センサ、センサ電極、マイクロメカニカル部品、UI要素、ユーザ入力要素、振動要素、音生成要素、通信要素、送信機、受信機、トランシーバ、アンテナ、赤外線式の受信機又は送信機、無線通信要素、無線タグ、ラジオタグ、タグリーダ、データ処理要素、データストレージ要素、電子的サブアセンブリ、光誘導要素、光ガイド、レンズ、反射板、前記コネクタの
導電性接触要素、電子部品、又は
前記基板フィルム上の他の特徴部の少なくとも一部分を覆う封止材、前記コネクタの
導電性接触要素又は電子部品を前記基板フィルム上の前記回路設計に対して固定する導電性接着剤、及び、前記コネクタを前記
基板フィルムへと固定する接着剤、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴部を含む、請求項1から請求項37までのいずれか1項に記載の構造。
【請求項39】
請求項1から請求項38までのいずれか1項に記載の多層構造と、前記コネクタを介して前記多層構造へと接続するための前記外部接続要素を備えるデバイスと、を含むシステム。
【請求項40】
多層構造を製造するための方法(1800)であって、
互いに対向する第1面及び第2面(102A、102B)を有し、電子機器を収容するための基板フィルム(102)を入手すること(1804)と、
前記基板フィルムの前記第1面及び/又は前記第2面の上に、導電性材料のいくつかの導電性領域を含む回路設計(106)を設けること(1806)と、
電気的なコネクタ(110、210、710、1110、2610)を前記基板フィルムに配設すること(1810、1820、1822、1824)であって、前記コネクタが、いくつかの導電性接触要素を備え、前記コネクタが前記基板フィルムの前記第1面と前記第2面との両方へと延在し、かつ前記いくつかの導電性接触要素が前記回路設計の前記導電性領域に接続されると共に、外部接続要素(112)が前記基板フィルムの前記第1面又は前記第2面の上にあるか又は前記基板フィルムに隣接する
前記コネクタと嵌合することに応じて、前記いくつかの導電性接触要素が前記外部接続要素へと電気的に結合されるようにさらに構成される、ことと、
前記コネクタを熱可塑性材料内に少なくとも部分的に埋め込むように、前記基板フィルムの前記第1面及び/又は前記第2面と
前記コネクタとの上に、モールドすること(1814)
であって、前記基板フィルムへの
前記コネクタの固定を増強させる、ことと、
を含む方法。
【請求項41】
前記コネクタの一部分を、その中にいくつかの貫通孔を
構築するために、前記基板フィルムの材料を通して、方向付けることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記基板フィルムに貫通孔を設けること(1822)を含み、その後に前記貫通孔を通して前記基板フィルムの前記第1面と前記第2面との両方へと延在するように
前記コネクタが配設される、請求項40又は請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コネクタを、固定することを含む、請求項40から請求項42までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記回路設計の少なくとも一部を備えた
前記基板フィルムを成形すること(1812)を含む、請求項40から請求項43までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記コネクタの前記基板フィルムへの固定を増強
するために、相手側要素を前記コネクタへと取り付けること(1824)を含む、請求項40から請求項44までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記コネクタ(1910)の一部を収容するための凹部(1920)を画定するために、
前記基板フィルムを成形することと、前記コネクタがこれを介して前記基板フィルムを通して延在する貫通孔を配設することと、を含み、前記凹部の前記成形
を前記コネクタを前記
基板フィルムに設ける前又は後に行う、請求項40から請求項45までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記配設することが、前記
基板フィルムに対して角度付きもしくは湾曲した表面及び/又は
導電性接触要素を備える前記コネクタを構成することを含み、前記角度付きもしくは湾曲した表面及び/又は前記
導電性接触要素が、前記
基板フィルムの隣接する表面と
アライメントされる、請求項40から請求項46までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記コネクタ(110、210)が、少なくとも2つの部分(210A、210B、2110A、2110B、2210A、2210B、2310A、2310B、2510A、2510B)を
備え、前記少なくとも2つの部分が、前記基板フィルムの互いに対向する面上に配設され、かつ前記基板フィルムを通して、及び/又は前記基板フィルムの縁を取り囲んで一緒に接続される、請求項40から請求項47までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
2つの互いに対向する部分のうちの少なくとも1つが、
押圧操作又は圧着操作によって前記基板フィルムを通して
設けられるいくつかの突起を備え、前記突起をもう一方の部分へと接続する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも2つの互いに対向する部分が、これらの間に
構築された、いくつかの中間特徴部(2310D)によって接続される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記基板フィルム上の電子部品、前記コネクタの
導電性接触要素、電子部品、又は前記基板フィルム上の他の特徴部の少なくとも一部分を覆う封止材料、前記モールドされたプラスチック層とは反対側の面上における第2基板フィルム、前記
基板フィルム上の前記回路設計に対して前記コネクタの
導電性接触要素又は電子部品を固定する導電性接着剤、前記コネクタを前記
基板フィルムに対して固定する接着剤、前記
基板フィルム及び/又は1つ又は複数のモールドされた層(複数可)を通る導電性ビア、及び前記コネクタに対して前記外部接続要素を
固定するための係止部材、からなる群から選択される少なくとも1つの要素の設置を含む、請求項40から請求項50までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願につながるプロジェクトは、欧州連合のHorizon2020の研究及びイノベーションプログラムから、許諾契約第725076号のもとで資金提供を受けている。
【0002】
一般的に、本発明は、電子機器、関連するデバイス、関連する構造、及び関連する製造方法に関する。具体的には、本発明は、一体化されたフィルム層と隣接するモールドされたプラスチック層とを含有する機能構造の内部への、外部からの電気接続の提供に関するが、これに限定される訳ではない。
【背景技術】
【0003】
電子機器及び電子製品の文脈では、様々な異なる積層アセンブリ及び積層構造が存在する。
【0004】
電子機器と関連製品との統合の背後にある動機は、関連する使用の文脈と同じ程度に多様なものであり得る。もたらされる解決策が最終的に多層性を示す場合には、小型化、軽量化、コスト節減、又は単に部品どうしの効率的な統合が探求されることが、比較的多い。その結果、関連する使用の状況は、製品パッケージ又は食品ケーシング、デバイスハウジングの視覚的設計、ウェアラブル電子機器、パーソナル電子デバイス、ディスプレイ、検出器又はセンサ、車両用内装、アンテナ、ラベル、車両用電子機器、等に関連する場合がある。
【0005】
電子部品、ICs(集積回路)、及び導体などの電子機器は、一般的に、複数の異なる技法によって、基板要素上に設けることができる。例えば、様々な表面実装デバイス(SMD)などの既製電子機器を、多層構造の内側界面層又は外側界面層を最終的に形成する基板表面上に実装してもよい。さらに、「プリンテッド・エレクトロニクス」という用語に該当する技術を適用して、関連する基板に対して直接的かつ追加的に電子機器を実際に製造してもよい。「プリンテッド」という用語は、実質的に追加的な印刷プロセスを通して、印刷された物体から電子機器/電気部品を製造する能力を有する様々な印刷技法を指し、この文脈では、スクリーン印刷、フレキソ印刷、およびインクジェット印刷を含むがこれらに限定されない。使用される基板は、柔軟なものとすることができ、印刷される材料は、有機物であってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない。
【0006】
多層構造に様々な電子機器が搭載されている場合には、常に完全に独立して、つまり自律的に、機能するとは限らない。そうではなく、それらの電子機器に対して、様々な電力接続、様々なデータ接続、及び/又は様々な制御接続が提供されなければならない場合があるか、あるいは、例えば、時折特定の要求に応じてそれらが提供されることが少なくとも好ましい。このため、いくつかの状況では無線接続も適用可能である場合があるとしても、通常は、電気コネクタ及び関連する配線や、一般的には導電性要素を設ける必要がある。
【0007】
射出成形構造エレクトロニクス(IMSE)という概念は、実際に、機能的デバイス及びそのための部品を多層構造という形態で構築することを含み、電子的機能を可能な限りシームレスにカプセル化する。IMSEに対する特徴は、また、電子機器が一般的に、対象製品全体、部品、又は一般的な設計の3Dモデルに従って、真の3D(非平面状)形状へと製造されることである。電子機器の所望の3Dレイアウトを、3D基板上でかつ関連する最終製品内で実現するために、電子機器を、依然として電子機器の2次元(2D)的な組立方法を使用することにより、フィルムなどの当初は平面状の基板上に設けることができる。そうすると、既に電子機器を収容している基板を、所望の3次元形状、すなわち、3D形状へと形成してもよく、また、例えば、電子機器などの下にある構成部品を覆って埋め込む適切なプラスチック材料によるオーバーモールドの対象としてもよく、それ故に構成部品を環境から保護するとともに、潜在的に環境から隠す場合がある。
【0008】
一般的に、環境と積層型の多層タイプ構造の埋込電子機器との間における、有線での電気接続、すなわち、一般的には接触に基づく電気接続は、構造の側縁に設けられ、これにより必要な外部配線は、その周縁にある構造に配置され、かつそこから突出している可能性があるコネクタ又は他の接触要素と接触するようになる。しかしながら、多くの使用の状況では、コネクタ及び外部配線のそのような構成は、次善のものである。なぜなら、多層構造自体の特徴及び製造に加えて、関連するホスト構造及び部品の寸法決め及び位置決めに対して追加的な制約を容易に追加するからである。
【0009】
それでも、利用可能な様々な接続方法では、接続配設から生じる視覚的アーチファクト、すなわち、一般的な視覚的効果は、特に対象となる多層構造が、例えば、製品の外観及び美的感覚に関して特定の潜在的に高い期待を有する使用環境や、ユーザに曝される用途においては問題であった。例えば、LEDなどの光源によってさらに照明される場合があるような透明又は半透明の積層構造の文脈では、表面欠陥、不整合、またさらには接続要素によって一般的な影響を受けた外観は、美的観点と機能的観点(例えば、光管理の点で)の両方で追加的な不具合を引き起こしている。
【0010】
さらに、多層構造において使用されている多くの現在の接続方法は、例えば、その構造及び接続が曲げ力や捩り力などの外力によって生じた応力に曝される使用状況の文脈において、様々な耐久性の問題及び信頼性の問題を抱えており、そして、例えば、電気的に活性な層及びモールドされた層などの追加層の数に関して、積層設計の構成をさらに制限する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、一体型多層構造及びその中に埋め込まれた電子機器の文脈で、既存の解決策に関連した上記欠点の1つ又は複数を少なくとも軽減することである。
【0012】
この目的は、本発明による多層構造及び関連する製造方法の様々な実施形態により達成される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、電子デバイスと共に使用するのに適した統合型の多層構造は、
フィルムの対応する第1面(first surface)と第2面(second surface)とも称される、第1面(first side)と対向する第2面(second side)とを有し、電気的に実質的に絶縁性の材料を含む(第1)基板フィルムと、
任意選択的に接触パッド及び/又は細長い導体トレースを画定する、導電性材料のいくつかの導電性領域を備え、基板フィルムの第1面及び/又は第2面の上に、好ましくはプリンテッド・エレクトロニクス技術によって印刷された回路設計であって、任意選択的に、いくつかの導電性領域のうちの1つ又は複数に対して電気的に接続された、取り付けられた部品及び/又は印刷された部品などの、いくつかの電子部品をさらに備える、回路設計と、
いくつかの導電性接点要素を備え、任意選択的にピン又はボックスヘッダを備えるコネクタであって、このコネクタが、好ましくは基板フィルムを通して、基板フィルムに設けられ、これにより、このコネクタが、基板フィルムの第1面と第2面の両方へと延在し、かついくつかの導電性接触要素が、回路設計の導電性領域のうちの1つ又は複数へと接続し、一方でいくつかの導電性接触要素が、外部接続要素を基板フィルムの第1面又は第2面の上にある、又は基板フィルムに隣接する一体型コネクタと嵌合したことに応答して、外部接続要素に対して電気的に結合されるようにさらに構成されている、コネクタと、
コネクタを少なくとも部分的に覆い、かつ基板フィルムに対する一体型コネクタの固定を増強するように、基板フィルムの第1面及び/又は第2面の上にモールドされた、好ましくは熱可塑性材料からなる、少なくとも1つのプラスチック層と、を含む。
【0014】
好ましい実施形態では、上記において言及したように、コネクタの一部分は、例えば、基板の少なくとも1つの穴を介して、基板フィルムを物理的に通して設けられる。これに加えてあるいはこれに代えて、コネクタの少なくとも1つの特徴部は、基板の対向する面の間で、基板の一方の側から縁を超えてもう一方の側へと延在する接続ブリッジ又は同様の構造を画定してもよい。よって、コネクタは、実施形態に応じて、少なくとも機能的に、好ましくは物理的に、基板フィルムを通して設けられてもよい。実際、コネクタを実装するための異なる実施形態について、以下においてより詳細に説明する。
【0015】
様々な実施形態では、上述の(熱可塑性)プラスチック材料は、モールドされた材料を受け入れる側の基板の面上に、コネクタを実質的に完全に覆うように構成されてもよい。しかしながら、基板の反対側の面上に位置するコネクタの部分、及び/又は、基板に隣接するコネクタの部分は、例えば、モールドされた材料が少なくとも部分的にないままにされてもよい。
【0016】
なお、上記の外部接続要素は、本明細書において提案する多層構造に対してコネクタを介して接続される外部構造、外部デバイス、又は外部システムの実現可能なあらゆる接続特徴部を指す場合がある。そのような接続要素は、すなわち、一般的に接続は、例えば、(剛直な)コネクタ、フレックスケーブル、フレックス回路又はフレックス回路基板、接触ピン(複数可)、接触パッド(複数可)、半田接続、回路基板に対しての半田付け、エポキシ又は接着剤などの導電性接着剤、圧着接続、溶接、等を含むことができる。
【0017】
様々な追加的な実施形態あるいは様々な補足的な実施形態では、回路設計は、いくつかの導電性領域のうちの1つ又は複数に対して少なくとも電気的に接続された、取り付けられた構成部品及び/又は印刷された構成部品などの、いくつかの電子部品をさらに含む。
【0018】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、回路設計は、任意選択的にブリッジ、回路、及び/又は他のデバイスを含む、ピンなどの複数の接触要素どうしを一緒に接続するように構成されて、それらを介して大電流が流れることを可能とする接続部品をさらに含む。
【0019】
様々な追加的な実施形態あるいは様々な補足的な実施形態では、コネクタは、好ましくは電気絶縁性の(例えば、プラスチック、セラミック、これらの組合せ、又は同様の材料を含む)、ピンなどのいくつかの導電性接触要素を収容する本体部材を含む。本体部材は、基板フィルムの第1面又は第2面に接触するように構成されてもよい。本体部材は、フィルムを通して延びるように構成されてもよい。それでもなお、本体部材は、実質的な弛みを引き起こすことなく、これを通して延びる基板の穴を本質的に収容するような寸法にされてもよい。
【0020】
様々な追加的な実施形態あるいは様々な補足的な実施形態では、一体型コネクタ要素は、例えば、典型的にはヒラヒラして、かつ可撓性のプラスチックフィルムとは対照的に、実質的に剛直であり、任意選択的に、いくつかの接触要素のうちの1つ又は複数の接触要素などのいくつかの曲げられた要素が設けられる。曲げられた要素は、基板に対して、及び一般的に多層構造に対して、コネクタの機械的固定を追加するように構成されてもよく、しかも、曲げられた要素は、関連する電気的結合をさらに増強する場合がある。
【0021】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、少なくとも1つのプラスチック層のうちの1つのプラスチック層は、基板フィルムの一方の面(第1面あるいは第2面)の上に位置し、コネクタのうちの、外部接続要素に接触するための部分は、フィルムの反対側の面上に位置している。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、基板フィルムの、外部接続要素と嵌合するように構成されたコネクタの部分を含有する側の面上に、代替的な又は追加的なプラスチック層を設けてもよい。
【0022】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、好ましくは弾性的で、任意選択的に返し付き突起及び/又は突出部を画定し又はそれらを備え、好ましくはモールドされた少なくとも1つのプラスチック層によって画定された、いくつかの機械的な係止部材が設けられ、かつ嵌合されると外部接続要素に接触して、一体型コネクタへの外部接続要素の固定を容易にするように構成される。
【0023】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、外部コネクタと嵌合した時に、外部コネクタに面し、かつ任意選択的に外部コネクタに接触する部分などのコネクタの一部分は、少なくとも1つのモールドされたプラスチック層によって構築される。
【0024】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、少なくとも1つのプラスチック層の中へと入る、返し付き突起などのいくつかの突起を含む。
【0025】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、基板の第1面及び第2面のうちの片面上あるいは有利にも両面上に、回路設計の導電性領域が設けられ、コネクタは、好ましくは、いくつかの接触部材を介して片面上あるいは有利にも両面上において領域に対して直接的に電気接続され、任意選択的に単一の接触部材が、両面上の導電性領域に対して直接的、機械的、かつ電気的に接続される。必要とされる機械的な及び/又は電気的な接続を少なくとも部分的に実装するためには、接着剤の使用、任意選択的に導電性接着剤の使用は、1つの実行可能な選択肢である。
【0026】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、基板フィルムは、任意選択的に穴開け、打ち抜き、穿孔、押圧、モールド、又は切断された、少なくとも1つの予め用意された貫通孔を画定し、この貫通孔を通してコネクタがフィルムの第1側及び第2側へと延びる。
【0027】
様々な追加的なあるいは補足的な実施形態では、基板フィルムは、少なくとも1つの貫通孔を画定し、この貫通孔を介して、コネクタの一部分は、第1面もしくは第2面から反対側の第2面もしくは第1面へとそれぞれ延在するように構成されている。貫通孔は、例えば、関連する穿孔操作又は圧着操作によって、コネクタの設置時にコネクタ自身によって構築されていてもよい。
【0028】
様々な追加的なあるいは補足的な実施形態では、コネクタの(任意選択的にコネクタの本体の)基板フィルムに面している部分の表面積は、少なくとも1つの貫通孔の直径より大きな寸法とされ、これにより、コネクタは、少なくとも1つの貫通孔に、完全に適合して通りはしない。
【0029】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、接触要素のうちの少なくとも1つは、回路設計の少なくとも1つの導電性領域上へと、任意選択的にバネの力を介して圧縮力を印加するように構成されている。
【0030】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、いくつかの接触要素のうちの少なくとも1つの接触要素は、曲げられており、任意選択的には実質的に角度を形成するようにあるいは具体的にはL字形状を画定するように曲げられており、これにより、基板フィルムの第1面あるいは第2面の上では、接触要素の第1部分が、フィルムの表面に対して実質的に垂直に延在することによって、外部コネクタと接続され、一方で、基板フィルムの反対側の第2面又は第1面の上においては、接触要素の第2部分が、基板フィルムに対して実質的に平行に延在することによって、基板フィルム上における回路設計のいくつかの導電性領域のうちの1つの導電性領域に対して接触する。
【0031】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、相手側要素が、すなわち、一般的には係止要素が、任意選択的には係止フレームが設けられる。相手側要素は、任意選択的に、一体型コネクタに対して着脱可能に取り付けられて、基板フィルムへの一体型コネクタの固定を増強してもよく、及び/又は、一体型コネクタに対して外部接続要素を案内してもよい。
【0032】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、上記の相手側要素、すなわち、係止要素は、導電性材料からなる、板バネなどの少なくとも1つのバネ状の要素を含み、この少なくとも1つのバネ状の要素が、一体型コネクタの少なくとも1つの接触要素と基板フィルムの少なくとも1つの導電性領域との両方に接触して、それら2つの間の電気的結合を増強する。
【0033】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、相手側要素/係止要素は、基板フィルムに面する表面積を、基板フィルムのこれを通して一体型コネクタが通る1つ又は複数の貫通孔によって画定される表面積よりも大きいように画定する。
【0034】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、基板フィルムの領域上に、任意選択的にガスケットとされる、機械的な封止部材が設けられ、この機械的な封止部材は、外部コネクタを受け入れるように構成され、好ましくは、基板フィルムと、当該基板フィルム上に配置された外部コネクタとの間に、気密封止を提供する。
【0035】
様々な追加的なあるいは補足的な実施形態では、基板フィルムは、本体部材の一部分などのコネクタの一部分及び/又はその接触要素を収容する凹部を画定し、かつ好ましくはその凹部の底部にこれを介してコネクタが基板フィルムを貫通する貫通孔を有する。
【0036】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、任意選択的にその本体部材内に、角度付きの、傾斜した、又は湾曲した表面を備え、コネクタは、角度付き、傾斜した、又は湾曲した表面が、基板の隣接する表面に、例えば基板の輪郭に実質的に追従するように、基板に対して構成される。
【0037】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、基板フィルムを、穿孔、打ち抜き、又は他の方法で貫通するように構成されると共に、好ましくは、基板に対して、特にその上に提供された回路設計の1つ又は複数の導電性領域に対して、圧着接続を画定する。圧着接続は、例えば、バネ接続を含んでもよい。
【0038】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、基板フィルムの対向する側に設けられ、かつ基板フィルムを通して少なくとも機能的に一緒に接続された、すなわち、例えばフィルムの穴を介してフィルムを実際に物理的に貫通して一緒に接続された、及び/又は他のところでより詳細に説明するように、基板フィルムの縁を取り囲んで一緒に接続された、少なくとも2つの部分あるいは少なくとも2つの(サブ)コネクタを含む。
【0039】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、そのような2つの対向する部分のうちの少なくとも一方は、いくつかの突起を含み、前記いくつかの突起が、基板フィルムを通して設けられ、任意選択的には、基板フィルム上の回路設計の導電性領域をさらに通して設けられるか、もしくは導電性領域に隣接して設けられ、かつもう一方の部分と接続する。
【0040】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、少なくとも2つの部分は、これらの間に構築された、任意選択的に少なくとも部分的にそれらの部分のいずれかの材料からなる、いくつかの好ましくは溶接された中間特徴部によって接続されている。
【0041】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、基板の縁を超えて延在し、かつ少なくとも2つの対向する部分を接続し、任意選択的に少なくとも2つの対向する部分を有するモノリシック構造である、少なくとも1つのブリッジ部分を備える。
【0042】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、外部接続要素との結合のために、基板から側方へと延在する突出部分を画定する。
【0043】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、基板フィルムは本質的に平面状であるか、あるいは少なくとも局所的に本質的に3次元形状を示し、任意選択的に、湾曲した、角度付きの、傾斜した、又はドーム形状を示す。
【0044】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、回路設計は、好ましくはモールドされた少なくとも1つのプラスチック層内に少なくとも部分的に埋め込まれた、電子部品又は電子デバイス又は光電子部品又は光電子デバイスなどのいくつかの構成部品をさらに備えるか、あるいは、これらに対して少なくとも電気的に接続されている。
【0045】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、いくつかの電子部品及び/又は接続部品を、任意選択的に少なくとも1つの集積回路をさらに備える。
【0046】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、一体型コネクタ、任意選択的には一体型コネクタの本体部材は、モールドされたプラスチックによって少なくとも部分的に充填された空洞を含む。これは、一般に、基板及び多層構造に対してのコネクタ要素の固定を増強する場合がある。
【0047】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、基板フィルム(複数可)は、例えば熱可塑性ポリマー等のプラスチックなどの、及び/又は、例えば木材、革、布地、又はこれらの材料のいずれかと相互の組合せ又はこれら材料のいずれかとプラスチックもしくはポリマーもしくは金属との組合せ等の有機材料又は生体材料などの、1つ又は複数の材料を含むことができる、あるいはそのような材料(複数可)からなってもよい。基板フィルムは、熱可塑性材料を含んでもよく、あるいは熱可塑性材料からなってもよい。フィルムは、本質的に、可撓性であってもよく、あるいは屈曲可能であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルムは、代替的に、実質的に剛直であってもよい。フィルムの厚さは、実施形態に依存して変更されてもよく、その厚さは、わずかに数十ミリメートル又は数百ミリメートルであってもよく、あるいはかなり厚いものとすることができ、例えば、1ミリメートル又は数ミリメートルという程度であってもよい。
【0048】
基板フィルムは、例えば、ポリマー、熱可塑性材料、電気絶縁材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート(PC)、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ポリイミド、メタクリル酸メチルとスチレンのコポリマー(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、炭素繊維、有機材料、生体材料、革、木材、布、布地、金属、有機天然材料、無垢材、ベニヤ、合板、木の皮、樹皮、白樺の樹皮、コルク、天然皮革、天然の布素材又は布地素材、天然素材、綿、羊毛、麻、絹、及び、これらの任意の組合せ、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0049】
さらなる、補足的な又は代替可能な実施形態では、含まれるフィルムの1つ又は複数は、例えば可視スペクトル内の波長などの所定の波長に関して、少なくとも部分的に光学的に実質的に不透明なもの、あるいは少なくとも半透明なものであってもよい。フィルムには、フィルム上に又はフィルム内に、グラフィックパターン及び/又は色などの、視覚的区別が可能な特徴部、装飾的/審美的な特徴部、及び/又は情報を与える特徴部がその上に提供されてもよい。特徴部は、フィルムの電子機器が設けられているのと同じ側に提供されてもよく、これにより、特徴部を、関連するオーバーモールド手順を通してプラスチック材料(複数可)によって少なくとも部分的に封止されてもよい。したがって、IML(インモールドラベリング)/IMD(インモールドデコレーション)技法が適用可能である。フィルム(複数可)は、フィルム上の電子機器から放出される可視光などの放射に対して、少なくとも部分的に、すなわち少なくとも場所によって、光学的に実質的に透明なものとしてもよい。透過率は、例えば、およそ、80%、85%、90%、95%、あるいはそれ以上であってもよい。
【0050】
基板フィルム(複数可)の上へとモールドされたプラスチック層(複数可)は、ポリマー、有機物、生体材料、複合体、ならびに、これらの任意の組合せ、などの材料を含むことができる。モールドされた材料は、熱可塑性材(複数可)、及び/又は熱硬化性材料(複数可)を含んでもよい。モールドされた層の(複数可)厚さは、実施形態に依存して変更され得る。そのような厚さは、例えば、1ミリメートル、数ミリメートル、又は、数十ミリメートル、という大きさの程度であってもよい。モールドされた材料は、例えば、電気絶縁性であってもよい。
【0051】
より詳細には、少なくとも1つのモールドされたプラスチック層は、エラストマー樹脂、熱硬化性材料、熱可塑性材料、PC、PMMA、ABS、PET、コポリエステル、コポリエステル樹脂、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫ゴム)、及び、MS樹脂、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、モールドされた層を確立するために使用される(熱可塑性)プラスチック材料は、光学的に実質的に、不透明な材料、透明な材料、又は半透明な材料を含み、例えば可視光を、ごくわずかな損失でもってモールドされた層を通過させることができる。所望の波長における充分な透過率は、例えば、およそ、80%、85%、90%、95%、あるいはそれ以上であってもよい。可能なさらなるモールドされた(熱可塑性)プラスチック材料は、実質的に不透明なもの又は半透明なものであってもよい。いくつかの実施形態では、さらなる材料は、透明であってもよい。
【0053】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、導電性領域は、導電性インク、導電性ナノ粒子インク、銅、鋼、鉄、スズ、アルミニウム、銀、金、白金、導電性接着剤、炭素繊維、合金、銀合金、亜鉛、真鍮、チタン、半田、及び、これらの任意の成分、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。使用される導電性材料は、例えば可視光などの所望の波長において、可視光などの放射を、例えば、それらから反射させる、それらに吸収させる、又は透過させるために、遮断もしくは遮蔽するように、光学的に不透明なもの、半透明なもの、及び/又は透明なものであってもよい。
【0054】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタの接触要素は、銅、銀、金、白金、導電性接着剤、炭素繊維、亜鉛、真鍮、合金、及び、銀合金、からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。この場合にも、材料は、任意選択的に、所望の導電性に加えて、透明性、半透明性、又は不透明性などの、例えば、所望の光学特性を示すように、選択されてもよい。
【0055】
様々な追加的あるいは補足的な実施形態では、コネクタは、ピンヘッダ、圧着コネクタ、バネ状の接触部材、バネ付き接触部材、バネ付きの接触ピン又はスリップ、接触パッド、接触領域、接触ピン、好ましくは導電性材料からなる壁及び/又は底部を有する穴、ソケット、メス型のソケット、オス型のプラグ又はソケット、ハイブリッドソケット、ピンソケット、及びバネピンソケット、からなる群から選択される少なくとも1つの特徴部を含む。
【0056】
それでもなお、多層構造の実施形態と、構造のコネクタ要素との嵌合に関して互換的な外部要素の実施形態と、を含むシステムが提供される場合がある。
【0057】
本発明の1つの他の実施形態によれば、多層構造を製造するための方法は、
電子機器を収容するための、可撓性のプラスチックフィルムなどの(第1)基板フィルムを入手することであって、互いに対向する第1面(side)及び第2面(side)とそれぞれの表面(surface)とを有する基板フィルムを、入手することと、
好ましくは少なくとも部分的にプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、基板フィルムの第1面及び/又は第2面の上に、導電性材料のいくつかの導電性領域を備える回路設計を設けることと、
いくつかの導電性接触要素を備える電気コネクタを、任意選択的に少なくとも機能的にかつ好ましくは物理的に基板フィルムを通して、基板フィルムに配設することであって、これにより電気コネクタが基板フィルムの第1面と第2面との両方へと延在し、かついくつかの導電性接触要素が、回路設計の導電性領域に対して接続され、一方で、外部接続要素を、基板フィルムの第1面もしくは第2面の上にある、又はこれに隣接するコネクタと嵌合することに応答して、外部接続要素へと電気的に結合するようにさらに構成されることと、
任意選択的に射出成形を利用して、基板フィルムの第1面及び/又は第2面の上とコネクタ要素上とに、電気コネクタを材料内に少なくとも部分的に埋め込むように、任意選択的には、外部接続要素が嵌合した時に外部接続要素から離れる側に面した基板の面上にあるコネクタの部分を完全に埋め込むように、熱可塑性材料をモールドすることであって、これによって、コネクタの基板フィルムへの固定を増強することと、を含む。
【0058】
この方法は、例えば、上記の方法項目に関連してあるいはその後に、多層構造に対して、追加的な材料(複数可)あるいは追加的な層(複数可)(例えば、フィルム(複数可)、及び/又はモールドされた層(複数可))、及び/又は要素(複数可)を設けることをさらに含んでもよい。1つ又は複数の、追加的な(基板)フィルム又は材料層が、例えば、接着剤、熱及び/又は圧力を使用する既存の層の上への積層を通して構造に対して予め用意された要素として設けられてもよく、あるいは、例えば、モールド、印刷、又は堆積プロセスによってそれらを原材料から構造へと直接的に構築してもよい。
【0059】
これにより、例えば、第2(基板)フィルムは、任意選択的にモールドされたプラスチックとは反対側に設けられてもよい。第2フィルムは、第1基板フィルムと一緒に金型内に配置されてもよく、これにより、それらの間にプラスチック材料を射出することによって積層構造が得られ、あるいは第2フィルムは、モールドされたプラスチック層上に直接的に製造されない場合に、適切な積層技法を使用して、その後で設けられてもよい。第2フィルムには、そのいずれかの側の面上に(例えば、モールドされたプラスチック層に面して)、グラフィックス、他の光学的特徴部、及び/又は電子機器などの特徴部が設けられてもよい。なお、第2フィルムは、保護という目的、及び/又は、所望の光透過率、外観(例えば、色)、又は触感などの他の技術的特徴点を有する場合がある。第2フィルムは、任意選択的に、一体型コネクタによって、及び/又は導電性材料によって充填された又は導体要素を用いて設けられた1つ又は複数のビアなどの他の接続特徴部によって、第1フィルムに電気的に接続されるなど、動作可能に接続されてもよい。
【0060】
様々な実施形態では、材料層及び関連する特徴部を生成するための実現可能なモールド方法は、例えば、熱可塑性材料に関連した射出成形、及び特に熱硬化性材料に関連した反応性射出成形などの反応性成形を含む。いくつかのプラスチック材料の場合には、それらは2ショットモールド法、あるいは一般的にはマルチショットモールド法を使用して、モールドしてもよい。複数のモールドユニットを備えたモールド機械を利用してもよい。これに代えて、いくつかの材料を順次的に提供するために、複数の機械、あるいは単一の再構成可能な機械を使用することができる。
【0061】
適用可能なモールドプロセスパラメータに関しては、例えば、上記の射出成形及び反応性成形は、使用する材料、必要な材料特性、成形設備等に依存して、一般的には信頼できる選択肢である。下にある電子機器などの特徴部に対する応力を最小とするために、低圧(例えば、約10bar未満)モールドを、第1基板の第2面へのオーバーモールド、ならびに、その上の回路へのオーバーモールドなどの、選択されたモールド操作において、使用してもよい。異なるモールド技法を適用することにより、例えば強度などの所望の機械的特性という点において、構造に対して様々な材料特性をもたらすことができる。
【0062】
様々な実施形態では、1つ又は複数の基板フィルムを、好ましくは基板フィルム上に導体、及び電子部品などの任意選択的なさらなる電子機器を設けた後に、しかしながらプラスチック層のモールドの前に、多くの場合、本質的に3次元的な所望の目標形状を少なくとも局所的に呈するようにして、成形してもよく、任意選択的に熱成形又は冷間成形してもよい。フィルムに、例えば、コネクタなどの特徴部の少なくとも一部分を収容するために使用し得る凹部を画定するために、成形を利用してもよい。成形前及び/又はモールド前にフィルム上に既に存在している電子機器などの要素に関する、使用材料、寸法、配置、及び、他の構成は、破損を起こすことなく成形/モールドによってそれらに対して印加される力に耐え得るように選択されるものとする。
【0063】
様々な実施形態では、基板フィルムには、貫通孔などの少なくとも1つの穴が設けられることとなる。穴は、モールド(あるいは一般的には、穴が設けられたものとして基板フィルムを直接的に確立する)、穴開け、カービング、ソーイング、エッチング、穿孔(例えば、圧着に関連して)、切断(例えば、レーザあるいは機械的ブレードを用いて)、あるいは、当業者であれば理解されるような任意の他の実行可能な方法を使用して、設けられてもよい。
【0064】
なお、少なくとも1つの穴は、所望の形状を有してもよく、すなわち実質的に円形の又は角度付きの形状、例えば、矩形形状を有してもよい。好ましくは、穴は、選択された方式でかつ所望の程度にまで、コネクタ要素の形状/寸法に適合するように、形状及び寸法が整えられる。例えば、穴は、コネクタ要素のいくつかの接触要素が貫通することを可能としてもよく、一方で、コネクタ要素の本体が穴を完全に覆って、これにより、例えば穴を封止するほど充分に小さなままとしてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの穴のうちの少なくとも1つは、例えば、薄肉化により基板内の止まり穴として形成されてもよい。その場合には、基板に対してコネクタ要素を設けると、ピンなどのコネクタの突起タイプの接触要素は、止まり穴の底部を穿孔、あるいは打ち抜いて、当該フィルムの反対側へと進入するように構成されてもよい。しかしながら、いくつかの補足的な又は代替的な実施形態では、コネクタ要素の、ピン(複数可)など接触要素(複数可)は、止まり穴(複数可)あるいは他の穿孔用に事前に特別に処理された領域(複数可)が設けられていない位置(複数可)で、基板を穿孔するか、あるいは打ち抜くように構成されてもよい。この構成は、必要とされる製造工程又は操作の数を低減するという観点から、便利なものである。したがって、フィルムを通して設けられる要素(複数可)は、それ自体を利用して、設置時に、必要な穴をフィルムに形成することができる。
【0066】
様々な実施形態では、基板フィルムを通してコネクタの一部分を提供することに加えて、いくつかの他の穴又はビアを、フィルム(複数可)内に、及び/又は、多層構造のモールドされた層(複数可)などの他の層(複数可)内に構築することができる。これにより、例えば、実際には、関係するフィルム/層の両面上の電子機器どうしを一緒に接続することに関連して、例えば、フィルムの互いに対向する第1面及び第2面を、電気的に及び/又は光学的に一緒に接続する。一般に、そのようなビア、すなわち、基本的には貫通孔は、モールド(あるいは一般的には、穴を有する基板フィルムを直接的に画定する)、穴開け、化学的(例えば、エッチングによって)、カービング、ソーイング、エッチング、例えばレーザあるいは機械的ブレードを使用した切断、または、当業者であれば理解されるような任意の他の実行可能な方法を使用して、対応して設けられる。ビアは、所望の断面形状を有することができる、すなわち、実質的に円形の又は角を有する形状を有してもよく、例えば、矩形形状又は細長い(スリット)形状を有してもよい。
【0067】
上述したビアは、モールド、取り付け、又は印刷などの選択された充填方法を使用して、導電性材料及び/又は光透過性材料などの選択された材料(複数可)を用いて設けてもよい。そのような材料は、接着剤、エポキシ、金属、導電性インク、気体物質又は液体物質などの流体材料等を含んでもよい。そのような材料は、例えば曲げ歪みに耐え得るように形成可能であってもよい。いくつかの実施形態では、大気センサなどの内部センサがビアを介して環境に動作可能に結合できるようにするために、ビア(複数可)は、開放したまま(充填されていない)であってもよい。
【0068】
様々な実施形態では、電子部品又は他の要素などの1つ又は複数の特徴部を、例えば、(追加的に)プリンテッド・エレクトロニクス技術、減法的製造技法、及び/又は、例えば、SMD/SMT(表面実装デバイス/表面実装技術)に関連した実装によって、多層構造のフィルム又はモールドされた層などの目標基板に設けてもよい。1つ又は複数の特徴部は、モールドされたプラスチックによって少なくとも部分的に覆われた基板領域上に設けられてもよく、その結果、その特徴部自体もまた、モールドされたプラスチックによって少なくとも部分的に覆われる。
【0069】
様々な方法項目の相互的な実行順序は、特定の実施形態ごとに異なり得るものであって、事例ごとに決定されてもよい。例えば、第1基板フィルムの第2面は、第1面の前、第1面の後、又は実質的に同時に、オーバーモールドされてもよく、例えば、モールドされた材料は、例えば既存の貫通孔を介して、又は圧力によって誘起された貫通孔を介して、モールドされた材料がフィルムの最初の側から反対の側へと伝播するように、射出されてもよい。
【0070】
多層構造の様々な実施形態に関して上記で提示した考慮事項は、当業者であれば理解されるように、必要な変更を加えて、関連する製造方法の実施形態に対して、柔軟に適用することができ、逆もまた同様である。なお、様々な実施形態及び関連する特徴部は、本明細書において一般的に開示される特徴部どうしの好ましい組合せを想起し得るよう、当業者であれば柔軟に組み合わせることができる。
【0071】
本発明の有用性は、実施形態に応じた複数の事柄から生じる。
【0072】
外部デバイス、システム、又は構造に対して、例えば電力及び/又は通信などの電気的な接続を提供するための、電気コネクタ構造又はコネクタ要素、あるいは単にコネクタは、便利で信頼性高くかつ優れた視覚的品質を有しており、例えば一般的にIMSE原則に従って製造された、機能的な回路設計及び様々な電子機器を含む多層構造内に、統合されて固定され、埋め込まれてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、導電性領域(複数可)は、例えばプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、基板の片面又は両面/表面の上のいずれかに、基板上に最初に設けられてもよい。続いて、任意選択的に、フィルム内の予め用意された、いくつかの穴を部分的に通してコネクタを設けることによって、あるいは、例えば、コネクタを圧着することにより及び/又は例えばコネクタ(の接触要素)によりフィルムを穿孔することにより、その場で穴を形成することによって、基板の両側へと延びるようにコネクタを基板に対して提供してもよい。これに加えてあるいはこれに代えて、基板の縁を取り囲む接続を利用することにより、基板の両面上のコネクタ部分どうしを相互に接続することができる、すなわち一般的には、それらコネクタ部分どうしの相互接続を提供することができる。その場合でも、コネクタは、少なくとも機能的に基板フィルムを貫通して設けられていると言うことができる。
【0074】
したがって、コネクタの電気接触要素は、好ましくは、意図されたように、基板の片面又は両面の上における領域(複数可)に対して物理的及び電気的に接続する。モールドされたプラスチック層は、コネクタを保護することに加えて、さらに、コネクタを基板に固定するために利用されてもよい。
【0075】
実施形態に応じて、カスタムメイドのコネクタと、一般に入手可能なコネクタの両方を、本発明と併せて利用してもよい。コネクタは、プリント配線パッド又はフィルム上に設けられた回路設計の他の導電性領域に対して接続するための接触要素として、例えば複数のピンを含んでもよい。導体要素のピンなどの、接触要素のバネの力は、基板フィルム上の導電性接触領域を対象とするように構成されてもよく、これにより、接触要素と導電性領域との間の物理的接触、したがって電気的接触も、増強又は確保することができる。いくつかの実施形態では、ピンなどの屈曲可能な接触要素を適用することにより(曲げることにより)、例えば関連するバネの力によって、基板上の導電性領域に対する接触を増強することができる。基板上の導電性領域に対して接触要素によって印加される力は、当業者であれば理解されるように、圧縮力を含むことができる。
【0076】
一般に、コネクタ要素は、好ましくは、好適な金属(銀、銅、金、等)又は例えば導電性ポリマーなどの導電性材料を含むものとする。これらの導電性材料は、多層構造の1つ又は複数の基板上、すなわち一般的には1つ又は複数の層上の回路設計に対する電気接続を確立するために使用される、また、コネクタ要素の内部接続(複数可)を確立するために使用される、さらに、外部デバイスのコネクタやその接続ケーブルなどの外部接続要素の互換性のある相手側要素に対しての接続を確立するために使用される。様々な実施形態では、コネクタ要素内に設けられる同じ接触要素は、多層構造の回路設計と外部コネクタ/デバイスとの両方に対して電気的結合を実施するように構成される場合がある。例えば、いくつかの細長い接触要素は、例えば、プラスチック、セラミック、ゴム、又は他の材料からなり電気的絶縁性であり得るコネクタ本体内の、例えば中央部分から少なくとも部分的に囲まれた状況で、その一端部を又は一端部により近い部分を、多層構造の回路設計に対して結合し得ると共に、他端部を外部接続要素に対して結合されてもよい。本質的に多層構造の外部に配置された専用ハウジングを有する複雑でスペースを必要とするコネクタは省略されてもよい。コネクタ要素(複数可)の配置は、柔軟に決定されてもよく、コネクタを多層構造の例えば側方の端部に配置する絶対的な必要性はもはや存在しない。このことは、構造及びホストデバイスに関して、または、これらが配置され得る製品に関して、構造的多様性を、潜在的には機能的多様性をも、大幅に追加する。
【0077】
コネクタは、好ましくは、例えばその本体内に及び/又は接触要素などの電気導体内に、金属、プラスチック、又はセラミック材料などの、構造的に十分に耐久性があり、よって、コネクタに対しての外部コネクタなどの外部要素の繰り返される取り付け及び取り外しを許容する1つ又は複数の材料をさらに含む。
【0078】
さらに、コネクタ要素を、多層構造における(返し付き)突起、突出部、及び/又は突出部と基部との組合せなどの、いくつかの係止部材によって補足してもよい。例えば、1つ又は複数の穴又は他の領域を、基板フィルム内に構築してもよく、モールド時には、このような1つ又は複数の穴又は他の領域を通して、モールドされたプラスチックが流れ、係止部材を形成する。係止部材の1つの潜在的な機能は、一体型コネクタとの嵌合時に外部コネクタなどの外部要素を適正な位置に保持すること、及び、例えば意図せずに外部要素が緩んでしまうことを防止することであり得る。
【0079】
なお、コネクタを基板に対して固定(例えば、モールドのために、及び/又は、一般的に)及び/又はアライメントするために、いくつかの相手側要素、すなわち一般的には固定要素、例えば係止フレームを設けてもよい。例えば、コネクタが、基板フィルムの一方の側から基板フィルムの反対側の面へと設けられ、それにより、例えば基板フィルムの穴を介して、基板フィルムを部分的に通している場合、相手側要素を、コネクタの突出部分に対して接触するように、任意選択的に基板自体と接触するように、反対側の面上に設けてもよい。このような固定要素又はフレームは、コネクタのピンなどの接触要素によって基板上の導電性(接触)領域に対して印加されるバネの力に対して支持を提供する場合があり、接触要素と導電性領域との間の関連する物理的/電気的接続を固定することに寄与する。フレームは、これに代えてあるいはこれに加えて、射出成形中に封止部材として利用されてもよい。モールドされたプラスチックを受け入れるために、モールドフローキャビティ又は穴を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フレームは、篏合された外部コネクタのための固定及び/又は案内特徴部を構築するように構成されてもよい。
【0080】
様々な実施形態では、コネクタ又はその構成部品/構成部分(例えば、本体)は、例えば防水タイプ若しくは防塵タイプ、又は他の態様で環境的に密閉されたタイプなどの、密閉されたタイプのものであってもよく、これにより、一般的に、選択された固体や流体や気体や液体等に関して、所望のレベルの保護(例えば、所望のIP保護等級、International Protection (国際保護)/Ingress Protection(侵入に対する保護))を提供する。
【0081】
提案された多層構造を外部構造及び/又はホストデバイスに対して固定するに際し、モールドされた特徴部、ネジ、又はリベットなどの他の特徴部を適用してもよい。多層構造は、例えば、穴、すなわち、より詳細には、ネジなどの選択されたネジ山付き固定要素に応じて寸法決めされたネジ付き穴を、画定してもよい。
【0082】
オーバーモールドを適用する提案された製造方法は、比較的単純であり、有益と考えられるものは、印刷された電子機器及びインモールドされた電子機器の関連で充分な接続性を生み出すためだけに、完全に新しい又は異なる製造技術を採用する必要がないことである。基板フィルム上に導体及び任意選択的に他の電子機器を設けた後で、基板フィルムを実質的に平面状としたままで、1つ又は複数のフィルムを所望の3D形状に成形することにより、基板上の電子機器に関する潜在的に面倒でエラーが発生しやすい3Dアセンブリの必要性を低減、又は取り除くことができる。
【0083】
同様のコネクタは、電気接続が潜在的に不要であるが、例えば、光学的接続及び/又は熱的接続が望ましい他の状況においても、用途が見いだされる。導電性材料、電気配線、又は印刷トレースに代えてあるいはそれらに加えて、コネクタは、例えば光ファイバを含んでいてもよい。
【0084】
得られた多層構造は、車両又は特に車両用(車載)電子機器、車両照明を含めた照明機器、車両及び他の場所におけるユーザインターフェース、ダッシュボード電子機器、車載エンターテイメント用のデバイス及びシステム、車両の内装パネル又は外装パネル、インテリジェントな衣服(例えば、シャツ、ジャケット、ズボン、あるいは、例えば、圧迫衣服)、他のウェアラブル電子機器(例えば、リストトップデバイス、帽子、又は履物)、パーソナル通信デバイス(例えば、スマートフォン、ファブレット、又はタブレット)、及び、他の電子機器、などの様々なホスト要素において、所望のデバイス又はモジュールを構築するために使用されてもよい。得られた構造の統合レベルは、高い場合があり、得られた構造の厚さなどの所望の寸法は、小さい場合がある。
【0085】
使用されるフィルム(複数可)は、グラフィックス、及び、他の視覚的及び/又は触覚的に検出可能な特徴部を、フィルム上に含むことができ、その結果、フィルムは、電子機器に対するホスト機能及び保護機能に加えて、美的な及び/又は有益な効果を有することができる。フィルム(複数可)は、少なくとも場所によっては、半透明又は不透明であってもよい。フィルムは、所望の色を呈してもよく、あるいは、構造の対応する部分に対して所望の色を呈する部分を含んでもよい。よって、得られた多層構造には、テキスト、画像、記号、パターン等のグラフィックスを任意選択的に決定する1つ又は複数の色/色付き層を組み込んでもよい。これらの層は、例えば、特定の色(複数可)の専用フィルムによって実装されてもよく、既存のフィルム(複数可)、モールドされた層(複数可)、及び/又は他の表面上におけるコーティングとして(例えば、印刷によって)設けられてもよい。多層構造の外部フィルム(複数可)は、関連するホスト製品又はホスト構造の、外面及び/又は内面の少なくとも一部を構築するように構成されてもよい。
【0086】
パターンや着色などの視覚的特徴部は、例えば、(基板)フィルムのモールドされたプラスチックに面している側の面上に、内部層を介して提供されてもよく、これにより、特徴部は、環境の脅威に対してフィルムがどちら向きで配置されるかに応じて、少なくともフィルムの厚さの分だけ及び任意選択的にモールドされた層の厚さの分だけ、環境の影響から隔離されかつ保護されたままである。したがって、例えば塗装された、印刷された、又は取り付けられた表面特徴部を容易に損傷させる可能性がある様々な衝撃、摩擦、化学薬品等が、特徴部に対して影響を与えたり、特徴部へと到達したりすることはない。フィルムは、モールドされた材料などの直下の特徴部を露出するために、穴又はノッチなどの必要な特徴を備えた所望の形状へと、任意選択的には切断されて、容易に製造又は加工することができる。
【0087】
モールドされたプラスチック材料(複数可)は、コネクタ及び/又は様々な電子機器を固定することを含めた様々な目的のために、最適化され得る。さらに、材料(複数可)は、多層構造内に含まれるコネクタ、電子機器、及び/又は他の特徴部を、例えば、湿気、熱、寒さ、汚れ、衝撃等の環境条件から保護するように構成し得る。材料は、例えば、光透過率及び/又は弾性の観点から、所望の特性をさらに有することができる。埋め込まれた電子機器が、光又は他の放射線を放出又は受光する部品を含む場合には、1つ又は複数の材料は、少なくとも選択的に(例えば、特定の波長に関して)、材料を通しての光/放射線の透過を可能とし得るだけの充分な透過率を有し得る。
【0088】
「いくつかの(a number of)」という表現は、本明細書では、1から始まる任意の正の整数を指す場合がある。
【0089】
また、「複数の(a plurality of)」という表現は、2から始まる任意の正の整数を指す場合がある。
【0090】
「第1」及び「第2」という用語は、本明細書では、ある構成要素を他の構成要素から識別するために使用するものであり、特に明記しない限り、それらに対して特別な優先順位付けをしたり順序付けをしたりするものではない。
【0091】
多層構造、関連する製造方法、又はそこに含まれる特徴部に関しての、「異なる」又は「様々な」実施形態が、本明細書において参照される際には、それら実施形態は、相互に補足的なものであると見なされ、したがって、特に明記しない限り、また、関係する解決策どうしがそれら解決策のまさに同じ特徴点を実施するに際して、明確に排他的な代替可能な解決策であることが当業者に自明でない限り、共通の実施形態において実現され得る。
【0092】
本発明の異なる実施形態が、添付の従属請求項に開示されている。
【0093】
次に、添付図面を参照して、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】
図1は、側面図によって、一体型コネクタ部材を組み込んだ、本発明による多層構造の一般的な実施形態を図示する。
【
図2】
図2は、最初にその上に設けられたコネクタの一実施形態を有する多層構造の一実施形態の基板フィルムを図示する。
【
図3】
図3は、基板フィルムの反対側から見た、
図2の実施形態を図示する。
【
図4A】
図4Aは、コネクタの一部分が、基板の表面から離れるように曲げられている
図2~
図3の実施形態を図示する。
【
図4B】
図4Bは、
図2~
図3の実施形態に関する2つの変形例を図示し、基板フィルムの互いに対向する両面には、基板フィルムを通して互いに結合されたコネクタ又はコネクタ部分が設けられている。
【
図4C】
図4Cは、基板の両面上に互いに接続されたコネクタ部分又は(サブ)コネクタを有するコネクタをさらに図示する。
【
図4D】
図4Dは、
図2~
図3の実施形態のもう1つの変形例を図示し、基板フィルムの両面上のコネクタ部分どうし又はコネクタどうしが、基板フィルムを直接通した接続に加えて、又はそのような接続に代えて、基板の縁を取り囲んで互いに接続されている。
【
図5A】
図5Aは、基板フィルムの上にモールドされたプラスチック層を有する上記の実施形態を図示する。
【
図5B】
図5Bは、概して
図4Dの解決策による、プラスチック層のモールド後の、基板フィルムの対向する両面上におけるコネクタどうしの間の、又はコネクタ部分どうしの間の接続を図示する。
【
図6】
図6は、多層構造の一体型コネクタと嵌合した外部接続要素の実施形態を図示する。
【
図7】
図7は、本明細書に開示する多層構造とともに適用可能なコネクタの一実施形態を図示する。
【
図8】
図8は、部分的に基板の穴を通して配置された、
図7のコネクタを図示する。
【
図9】
図9は、部分的にその上にモールドされたプラスチック層を有する基板を貫通して配置され、これにより、本明細書に記載の多層構造の一実施形態を本質的に形成する、
図7~
図8のコネクタを図示する。
【
図11】
図11は、本明細書に開示される多層構造とともに適用可能なコネクタの他の実施形態を図示する。
【
図13】
図13は、接触要素の端部が基板と平行に延びるように曲げられて、基板上の導電性材料に対する接触が増強された、部分的に基板を通して配置される、
図11~
図12のコネクタを図示する。
【
図14】
図14は、部分的にその上に成形されたプラスチック層を有する基板を貫通して配置され、これにより、本明細書に記載の多層構造の一実施形態を本質的に形成する、
図13のコネクタを図示する。
【
図15】
図15は、基板上の導電性領域と、本発明と共に適用可能なコネクタの接触要素の、本質的には曲げられたピンである2つの実施形態との間の接触における拡大図を提供する。
【
図16】
図16は、本明細書に開示される多層構造と共に適用可能なコネクタのさらに別の実施形態を示す図であって、コネクタは、このコネクタの接触要素が基板を通して延在しかつ少なくとも基板の反対側の面上の導電性領域に対して接続するように、基板上に配置されている。
【
図17】
図17は、基板の反対側の面上に設けられた、好ましくはバネ状要素が組み込まれた、相手側要素を伴う
図16のコネクタを図示する。
【
図18】
図18は、本発明による方法の一実施形態に関するフロー図である。
【
図19】
図19は、本発明によるコネクタ及び関連する多層構造の他の実施形態を図示する。
【
図20】
図20は、本発明によるコネクタ及び関連する多層構造のさらに別の実施形態を図示する。
【
図21A】
図21Aは、本発明による多層構造におけるコネクタ及び基板のもう1つの実施形態を図示する。
【
図22】
図22は、本発明による多層構造のコネクタ及び基板の他の実施形態を図示する。
【
図23】
図23は、本発明による多層構造のコネクタ及び基板の他の実施形態を図示する。
【
図24】
図24は、本発明による多層構造におけるコネクタ及び基板の他の実施形態を図示する。
【
図25A】
図25Aは、本発明による多層構造のコネクタ及び基板の、互いの構成及び取り付けに関する一実施形態を図示する。
【
図27A】
図27Aは、本発明による多層構造のコネクタ及び基板の実施形態を図示する。
【
図27B】
図27Bは、コネクタが基板の貫通孔を通して部分的に配置された時の、基板のもう一方の側から見た
図27Aの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、(断面)側面図を介して、本発明による多層構造の実施形態100を図示する。
【0096】
多層構造100は、それ自体が、例えば電子デバイスなどの最終製品を構築してもよく、あるいは、例えば、集合部品又はモジュールとして、ホストデバイス、ホストシステム、又はホスト構造120に対して、その内部に配置されてもよく、又は少なくともそれに対して接続されてもよい。多層構造100は、図示の明瞭化という理由のために図面内に明示的に示されてはいないいくつかの他の要素又は層を含んでもよい。
【0097】
多層構造100は、既に上述したように、2つの互いに対向する面102A、102Bを有する、少なくとも1つのいわゆる第1基板フィルム102を含む。
【0098】
部品104は、フィルム102上にモールドされたプラスチック層を指す。いくつかの実施形態では、構造100内に、図に示すように、例えば、フィルム102のもう一方の反対側の面102B上に、少なくとも1つの他の補足的な又は代替的なモールドされたプラスチック層あるいは他の方法で構築された層105があってもよい。層105は、例えば、保護、固定、及び/又は美的外観の目的を有してもよい。一般的に、本発明の様々な実施形態では、基板に対して、具体的には例えば基板上の回路設計に対して、コネクタなどの特徴部を固定するために、導電性又は非導電性の接着剤(複数可)を利用してもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、もう一方のプラスチック層105の少なくとも一部分は、第1の層104のプラスチック材料が、モールド中に、例えば、フィルムの中の薄くされた部分又は事前に準備された穴を通して、フィルム104の反対側へと浸透しかつ流入することによって形成されてもよい。したがって、層105は、フィルム102上で、固定又は保護特徴部などの所望の(機能的な)形態及び特徴部を構築する場合がある。
【0100】
モールドされたプラスチック層104のもう一方の面上に、他の(基板)フィルム103を設けてもよい。第1フィルム102と同じ又はそれとは異なる材料からなるこの任意選択的なフィルム103は、例えば、電子機器、グラフィックス、及び/又は、有利であると考えられる他の特徴部を収容してもよい。
【0101】
それにもかかわらず、第1フィルム102は、102A、102Bのいずれか片面又は両面の上に回路設計を収容することが好ましい。また、そのそれぞれの表面は、スクリーン印刷、タンポ印刷、フレキソ印刷、又はインクジェットなどのプリンテッド・エレクトロニクス技術によって、好ましくはその面上に追加的に生成された、接触パッド及び配線/電気導体などのいくつかの導電性領域106を備える。
【0102】
電子部品、及び/又は、光学要素(光ガイド、反射器、マスク、グラフィック要素、等)及び/又は熱的(例えば、絶縁性又は導電性の)要素などの他の機能的要素/装飾要素109などの、いくつかの追加的な要素を、構造100内に、例えば、フィルム102上にさらに設けて、任意選択的に回路設計全体の一部を形成してもよい。例えば、いくつかの導電性ビアを、基板フィルム(複数可)102、103、及び/又は、例えばモールドされた層(複数可)104、105などの他の層を貫通して配設して、例えば、異なる材料層の回路又は他の特徴部を互いに接続してもよく、あるいは外部要素へと接続してもよい。
【0103】
部品110は、好ましくは、電気コネクタ又はコネクタ要素を指す。いくつかの実施形態では、コネクタ110は、例えば、モノリシック構造又は複合構造の本体部材111を含んでもよい。その本体部材111などのコネクタ110は、例えば、前述したように、選択されたプラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリイミド)、あるいはセラミック材料などの電気的に実質的に絶縁性の材料を含んでもよい。しかしながら、電気的接続性を提供するという点において、コネクタ110は、任意選択的に本体111から突出しているピン又は他の特徴部などの、いくつかの導電性接触要素118を備えることが好ましい。例えば、対応する接触要素119を備えた別のコネクタ112などの外部接続要素を、多層構造100の回路設計(典型的には、回路設計の選択された導電性領域106)に電気的に(ガルバニックに)結合するために、接触要素118が利用される。外部接続要素112は、多層構造100の内部と、この多層構造に関連した外部デバイス又はホストデバイス(複数可)との間に、例えばケーブル113を介して電気接続を提供してもよい。
【0104】
コネクタ110は、フィルム102の両面102A、102Bまで延在するように、基板フィルム102に対して設けられるか、あるいは組み立てられる。例えば、コネクタ要素110の一部分は、事前に準備された(例えば、穴開け、切断、エッチング、又はモールドによって)あるいは動的に作製された(例えば、コネクタ110の穿孔/圧着時に)穴116を使用して、基板フィルム102を通して方向付けられていてもよい。これにより、有利なことに、コネクタ部材の少なくとも1つ又は複数の接触要素118は、基板フィルム102の当初の設置面102A、102Bから反対側の面102B、102Aへと移動することができ、基板フィルム102を通した電気的結合を可能とする場合がある。
【0105】
回路設計は、任意選択的にブリッジ、回路、及び/又は他のデバイスを含むいくつかの(内部)接続部品108であって、例えばピンなどの例えば複数の接触要素118どうしを、少なくとも動作可能(電気的になど)に互いに接続するように構成されたいくつかの(内部)接続部品108をさらに備えており、それらを通して大電流が流れるようにしてもよい。接続部品108は、導電性領域(複数可)106に対して(直接的に)結合されてもよく、また、例えば、導電性領域上に、あるいはそれらに隣接して配置されてもよい。
【0106】
様々な実施形態では、基板フィルム102上に配設された1つ又は複数の穴があってもよく、例えば、コネクタ110の本体111から延びる各接触要素118の端部は、フィルム102を貫通するための専用又は共用の穴と関連付けられてもよい。
【0107】
しかしながら、コネクタ110要素の本体111は、フィルム102のいずれかの面102A、102B上に、実質的に完全に配置されてもよい。他の実施形態(例えば、
図1に概略図示された形態)では、本体111自体もまた、フィルム102を通して部分的に配置されていてもよい。
【0108】
コネクタ110をさらに固定するために、例えば、コネクタ110を係止する相手側(counterpart)及び/又は係止フレームタイプの1つ又は複数の係止要素114、115を、基板102の102A、102Bのいずれか片面又は両面に設けてもよい。
【0109】
よって、上記に基づいて、コネクタ110は、本体111及び接触要素118などのコネクタの一体的特徴部の構成及び寸法、その上にモールドされるプラスチック104、105などの追加的な固定特徴部の使用、係止要素114、115の使用、及び/又は、例えば、非導電性接着剤、導電性接着剤、ペースト等の使用を勘案し、様々な手段を使用して、基板フィルム102に固定されてもよい。
【0110】
例えば、コネクタ110と穴116の縁との間に過度の弛み又は実質的な弛みが生じ得ないように、及び/又は、少なくとも穴116及び潜在的に他の周囲の特徴部を拡張させることなしには、コネクタ110を一方向又は双方向にフィルム102を少なくとも完全に通して提供することができないように、本体111及び/又は接触要素118は、最初に、あるいは、例えば、コネクタ110の一部をフィルム102を貫通させて配置した後で、寸法決定及び/又は成形されていてもよい。いくつかの実施形態では、穴116を封止するために、モールドされたプラスチック104、105を使用してもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ110は、すなわち、具体的にはコネクタの本体111は、穴116を通して完全に嵌合することを防止するための、フランジあるいは一般的には膨出部分を含んでもよい。
【0111】
様々な実施形態では、コネクタ110は、すなわち、例えば、具体的には上記のコネクタの本体111は、実質的に剛直(rigid)にあるいは硬く(stiff)されてもよい。それにより、例えば、外部コネクタ112のその接触部への物理的な取り付けと、外部コネクタ112のその接触部からの物理的な取り外しと、の繰り返しに対して、それぞれの耐久性が向上し得る。取り付け及び取り外しは、単純な押すタイプ及び引くタイプの動作を指す場合もあれば、例えば、後述するように、手順に追加的な係止部材の使用を含む場合には、より複雑な操作を必要とする場合がある。コネクタ110の剛性、すなわち一般的には耐久性は、適切な材料によって、及び材料の厚さなどの関連する寸法によって、得られる場合がある。コネクタ110は、剛直部分に加えてあるいは剛直部分に代えて、例えば、コネクタの接触要素118もしくは本体111に、弾性(elastic)部分、可撓性(flexible)部分、及び/又はバネ状(springy)部分を含んでもよい。
【0112】
なお、多層構造100、あるいは特に多層構造のコネクタ110は、外部コネクタ112を固定するための1つ又は複数の機械的係止部材(明瞭化の理由から
図1には示されていない)を含んでもよい。そのような部材(複数可)は、例えば、モールドされたプラスチックから構築されてもよい。1つの適用可能な係止部材の実施形態については、
図5A及び
図5Bを参照して以下においてより詳細に説明する。
【0113】
様々な実施形態では、モールドされた層(複数可)104、105は、好ましくは、回路設計及びコネクタ118の少なくとも一部を埋め込む。
【0114】
例えば、印刷されたバージョンに加えてあるいは印刷されたバージョンに代えて、要素及び/又は電子部品109は、いわゆる表面実装要素などの、基板102上に(表面)実装される既製の部品を含んでもよい。例えば、基板上に電子機器を機械的に固定するために、接着剤を利用してもよい。導電性接着剤及び/又は半田などの追加的な導電性材料(複数可)を適用して、導電性領域106などの選択された特徴部と部品109との間に、電気的な接続、及び機械的な接続も、確立することができる。
【0115】
部品109は、それによって、受動部品、能動部品、光電子(あるいは、光電気)部品、IC(集積回路)、スクリーン印刷物などの印刷された部品、及び/又は電子的サブアセンブリを含んでもよい。例えば、1つ又は複数の部品109は、最初に、例えばFPC(フレキシブルプリント回路)基板、あるいは、例えば剛直な(例えば、FR4タイプ(難燃性))基板などの、別個の基板上に構成されてもよく、その後全体として(すなわち、サブアセンブリとして)、目的の基板102に対して取り付けられてもよい。
【0116】
一般に、多層構造100は、例えば、少なくとも1つの電子部品、他の機能要素、又は、以下のものからなる群から選択される他の特徴部を、含むことができるか、又は実装することができる。すなわち、電子部品、電気機械部品、電気光学部品、放射線放出部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、側方放射LED又は他の光源、上方放射LED又は他の光源、下方放射LED又は他の光源、放射線検出部品、光検出部品又は感光性部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光起電力デバイス、センサ、マイクロメカニカル部品、スイッチ、タッチスイッチ、タッチパネル、近接スイッチ、タッチセンサ、大気センサ、温度センサ、圧力センサ、水分センサ、ガスセンサ、近接センサ、静電容量性スイッチ、静電容量性センサ、投影型静電容量性センサ又はスイッチ、単一電極型静電容量性のスイッチ又はセンサ、静電容量性ボタン、多電極型静電容量性のスイッチ又はセンサ、自己静電容量性センサ、相互静電容量性センサ、誘導性センサ、センサ電極、マイクロメカニカル部品、UI要素、ユーザ入力要素、振動要素、音生成要素、通信要素、送信機、受信機、トランシーバ、アンテナ、赤外線(IR)式の受信機又は送信機、無線通信要素、無線タグ、ラジオタグ、タグリーダ、データ処理要素、データストレージ要素、電子的サブアセンブリ、光誘導要素、光ガイド、レンズ、及び反射器。
【0117】
いくつかの実施形態では、外部コネクタ112の係合の後に、結果的に得られる集合構造100、112のうちの、例えば接続領域も含めた所望の部分(複数可)には、他の潜在的な目的の中でもとりわけ接続要素及び関連要素をさらに保護及び/又は固定するために、追加的な材料が提供されてもよい。例えば、この目的のために、低圧モールド又は樹脂ディスペンシング(エポキシの供給)が利用されてもよい。
【0118】
フィルム(複数可)102、103は、各使用の状況に応じて設定される要件に従って成形されてもよい。したがって、例えば、フィルム102、103に、例えばポケット形状などの所望の3D形状を少なくとも局所的に提供するために、任意選択的に、導電性領域、コネクタ、及び/又は回路設計の部品などの少なくともいくつかの特徴部をフィルム上に設けた後に、熱成形などの成形をフィルム102、103に対して適用してもよい。
【0119】
図1の概略図に関して記載した特徴は、特に明記しない限り、又は、例えば、明らかに相互に排他的な特徴であることが別の方法で当業者に自明でない限り、一般的に、以下においてさらに詳細に説明する解決策を含めた、本発明のコネクタ要素及び多層構造の様々な実施形態に関連して自由にかつ選択的に適用可能である。さらに、以下に説明する実施形態の様々な特徴は、当業者であれば容易に理解されるように、同様に自由に、選択的に相互に組合せ可能である。
【0120】
図2は、200において、最初の段階において、コネクタ210がその上に提供された多層構造の一実施形態の基板フィルム102を図示する。コネクタ210は、基板102に圧着されてもよく、又は別の方法で基板102に取り付けられてもよく、これにより、例えば、コネクタの接触要素は、基板を突き通している。
【0121】
図3は、300において、基板フィルム102の反対側の面102Aから見た、
図2の実施形態を図示する。この図は、例えば、フィルム102を通して設けられたコネクタ210の接触要素118のための、接触領域306を含む導電性領域106を示す。接触要素118及び/又はコネクタ210の潜在的な本体111などの他の要素は、フィルム102上にオーバーハング及び/又は返し付き突起310を画定してもよく、これらは、特にプラスチック層104、105によってオーバーモールドされた時に、プラスチック層に対してのコネクタ210の固定を増強する。
【0122】
図4Aは、400において、コネクタ要素210の一端が基板フィルム102の表面から離れるように曲げられた、
図2及び
図3の実施形態を図示し、一方、
図5Aは、500において、少なくとも1つのプラスチック層104、105が基板102上にさらにモールドされた、
図2~
図4の実施形態を概して図示する。例えば、プラスチック材料の1つの層は、基板フィルム102の一方の側でかつそれぞれの表面102Aの上にモールドされていてもよく、その面から任意選択的に、既製のあるいは動的に形成される穴(複数可)を介して、他方の側の面102Bの上に突出していてもよい。これに代えて、少なくとも1つのプラスチック層は、面102Bの上へと直接的にモールドされていてもよい。
【0123】
図4Aでは、例えば、コネクタ210の接触要素118の屈曲部分どうしを適切な間隔で互いに整列した状態に維持するための離隔要素430が、依然として存在しているものの、
図4B~
図4D及び
図5A~
図5Bでは、そのような特徴部430は除去されている。これに代えてあるいはこれに加えて、特徴部430は、例えば、外部接続要素と接続するための接続要素を表す可能性があり、よって、この接続部分を、製造後にコネクタ内に残すことができる。
【0124】
外部コネクタ112を固定するために、返し部分/オーバーハング部分を潜在的に備えた有利なことに可撓性の1つ又は複数の係止部材504が、任意選択的に少なくとも部分的にモールドされたプラスチック104、105によって画定され、フィルム102上に設けられてもよい。
【0125】
図4Bでは、コネクタ210の2つの変形例450、460が、基板102と一緒に示されている。そのような類似の実施形態では、コネクタ210は、少なくとも当初は、複数の部材からなるという特性であってもよい。
【0126】
450では、コネクタ210は、2つの部分(例えば、コネクタ部品又はコネクタ半体)、すなわち、本質的に(サブ)コネクタ210A、210Bを備える。これらは、基板フィルム102の互いに対向する面102A、102B上に配置され、例えば、圧着によってフィルム102を通して一緒に接続452されてもよい。210A、210Bのいくつかの一体的な特徴部又は材料、あるいは専用の別個の接続特徴部は、一般的に、そのような接続を提供するように構成されてもよい。
【0127】
コネクタ部分又は(サブ)コネクタ210A、210Bは、互いに実質的に同じものであってもよく(図示のように)、類似するものであってもよく、あるいは、より根本的に互いに異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、部分210A、210Bは、増強された相互接続性のために、互いに対応する、例えばオス型及びメス型の、接続部分を有してもよい。好ましくは、部分210A、210Bは、本明細書における他のところで想定されるように、導電性材料であるか、あるいは少なくとも導電性材料を含む。部分210A、210Bは、基板フィルム102の両面102A、102B上の、(外部)コネクタなどの対応する接続部材に対する接続能力を提供するように構成されてもよい。
【0128】
導電性領域106は、図面内では面102A上にのみ図示されているが、回路設計の導電性領域106は、基板フィルム102のいずれか片面又は両面102A、102B上に存在してもよく、コネクタ210に接続してもよい。よって、コネクタ210は、いくつかの実施形態では、基板102の互いに対向する面102A、102B上の回路設計の導電性領域106どうしを互いに電気的に結合するように構成されてもよい。
【0129】
460では、概して同様の解決策が図示されているが、部分210Aは、ここでは、接続要素に接続するための接触要素118は省略されており、あるいは少なくとも部分210Bとは明らかに異なる接触要素118を含んでいる。
【0130】
取られたアプローチにもかかわらず、部分210A、210Bの使用は、例えば、基板102に対してコネクタ210をより容易に又はより効果的に固定することを可能にする場合があり、あるいは、選択された圧着方法などの、コネクタ210を設けるために選択された取り付け方法の利用を可能にする場合がある。
【0131】
図4Cにおける470では、例えば、上述した原理に従う、両面での、当初は複数の部材からなるコネクタ構造の、他の単に例示的な概略図が示されている。
【0132】
図4Dにおける480では、基板フィルム102の互いに対向する面102A、102B上に配置されたコネクタ部分どうしを接続するための、代替的な又は追加的な構成が図示されている。基板の一方の側の面から他方の側の面へと延在し、基板フィルム102の縁(境界)を取り囲んで進む、いくつかの配置された又は印刷された導電性の部材であって潜在的には細長い要素などの、導電性接続ブリッジ構造482が示されている。構造482は、一般的に、例えば、曲げによって部分(複数可)102A、102Bと元々は一体的であった特徴部、及び/又は、別個の接続特徴部から構築することができる。いくつかの実施形態では、部分102A、102B、及び構造482は、基板102に設けられたときに既にモノリシック又は一体型構造であってもよい。したがって、接続構造482によって提供される接続が、例えば基板内の貫通孔を介してなど、少なくとも単に基板を物理的に直接的に通して構築されたものではない場合でさえも、コネクタ210を、基板フィルム102を介して(すなわち、一方の側から他方の側へと)機能的に設けることができる。
【0133】
図5Bは、510において、基板フィルム102上にプラスチック層(複数可)104、105がモールドされた
図4Dの実施形態を概して図示している。
【0134】
図6は、600において、多層構造の一体型コネクタ210上に嵌合し、好ましくは、例えば、図示のように、係止部材504(係止部材のオーバーハング部分/返し部分が、コネクタ112の凹部によって収容されてもよい)によって追加的に固定される、外部接続要素(この例では本質的にコネクタ)112の一実施形態を図示している。
【0135】
例えばガスケット(例えば、ゴム又はプラスチックを含み、好ましくは、弾性材料を含む)の形態の封止部材624が、外部コネクタ112に面し、かつ接触するように基板102上に設けられていてもよい。
【0136】
図7は、700において、本明細書において提案される多層構造とともに適用可能なコネクタ要素710の一実施形態を図示する。いわゆるTMMコネクタを連想させるコネクタ710は、図示のように本体711を貫通して突出する細長くて曲げられた(L字形状の)ピンの形態の複数の接触要素118を備える。寸法は、実施形態ごとに異なる場合があるが、例えば、程度に応じて、数ミリメートル~数十ミリメートルという大きさのオーダであり得る。本体711は、係止フレームなどの、相手側の係止部材114、115の対応する突起を収容するための凹部などの係止特徴部724を含んでもよい。本体711は、これに加えてあるいはこれに代えて、本体の固定をさらに増強し得るよう、モールドされたプラスチックを収容するためのキャビティ722を含んでもよい。
【0137】
図8は、800において、描かれた矢印の向きで、基板の孔116を部分的に通して配置された
図7のコネクタを図示する。したがって、接触要素118は、この例では、基板フィルム上で、本質的にトレースの形状の導電性領域106との物理的及び電気的接続を形成している。接触要素118は、細長いピンという特性を有し、接触要素の端部は、フィルム上において実質的に平行にトレース106を追従するように曲げられているので、両者の間の接触面積は、したがって確立された電気的接触も、例えば実質的に点タイプの接触領域と比較して、増強される。
【0138】
図9は、900において、断面図を介して、その上にモールドされたプラスチック層104を有する基板を貫通して部分的に配置され、それにより本明細書に記載の多層構造の一実施形態を本質的に形成するような、
図7及び
図8のコネクタ710を図示する。プラスチック層104は、コネクタ要素を追加的に保護しつつ、コネクタ部材を基板に対して固定する。
図10は、1000において、その側面図を示す。
【0139】
図11は、1100において、本明細書において開示する多層構造に関連して適用可能なコネクタ1110の他の実施形態を図示する。コネクタ1110は、本体を有し、この本体からは、本質的にピンタイプの複数の細長い接触要素118、あるいは複数の細長い接触要素118の少なくとも相反する端部が、実質的に反対向きの2つの方向に延びている。
【0140】
図12は、1200において、例えば、圧着により、穿孔により、及び/又は、コネクタ1110内の接触要素どうしの間隔などの構成に適合する事前に準備された孔の利用により、コネクタの接触要素118に関して、基板を通して部分的に配置される、
図11のコネクタ1110を図示する。したがって、基板上の導電性領域106への物理的かつ電気的な接続が確立されている。
【0141】
図13は、1300において、導電性材料からなる導電性領域106が設けられた基板の表面に接続しかつ追従するように、接触要素118の端部が追加的に曲げられた、
図11及び
図12のコネクタを図示する。よって、示された解決策は、
図12の基本的な解決策と比較してより大きい接触面積のために、コネクタと基板上の回路設計との間の電気的接触を増強するために利用される。
【0142】
図14は、1400において、その上にモールドされたプラスチック層104を有する基板を通して部分的に配置され、それにより本明細書において一般的に記載される多層構造の一実施形態を本質的に形成するような、
図13のコネクタを図示する。
【0143】
図15は、1500及び1510において、基板上の導電性領域と、本発明の様々なコネクタ要素110での使用に適用可能な接触要素の異なる(それでもなお単に例示的な)実施形態(例えば、曲げられた、角度付きのピン)と、の間の接触の最適化における拡大図を提供する。
【0144】
左側では、1500に示すように、ピンなどの接触要素118(端部118Bを参照されたい)が曲げられ、かつ基板102に向けて圧着され、もしくは概して押しつけられ、これにより角度付きの形状を確立し、かつ、例えば、バネタイプの力(基板102に向けた圧縮力)を基板102上に、特に基板上の導電性領域(複数可)106の上に効果的に印加して、確立された物理的かつ電気的な接触を増強し確保する。好ましくは、例えば、接触要素118の金属材料もしくは他の導電性材料は、基板/導電性領域からの望ましくない反発効果が排除されるように、あるいは少なくとも低減されるように、選択される。
【0145】
右側においては、1510に示すように、コネクタ110の2つの接触要素118が、基板/導電性領域(複数可)106上へと圧縮力(矢印Fを参照されたい)を印加するバネ118Cを本質的に画定する。
【0146】
さらに、相手側要素/係止要素もしくは係止フレームの一実施形態115が示され、これは、係止部材あるいは係止フレームを、バネタイプの接触要素と一緒に、又はバネタイプの接触要素からは分離してコネクタ要素110を基板102に対してさらに固定するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、その正に同じ相手側要素/係止要素115が、前述のように、外部コネクタのための係止特徴部及び/又は位置合わせ特徴部を、さらに画定する場合がある。
【0147】
図16は、1600において、基板上に配置され、これにより本体から突出しているこのコネクタ部材の接触要素118が、基板102を通して延在し、かつ少なくとも基板の反対側で導電性領域106に接続するようにした、本明細書に開示する多層構造と共に適用可能なコネクタ要素1610のさらに別の実施形態を図示する。
【0148】
考察される他の実施形態にも適用可能であるこの実施形態では、基板フィルム102は、コネクタ1610の位置と実質的に一致する細長い凹部/凸部、すなわち、ポケット形状1622を含むようにして形成されている。例えば、
図17において符号1700において示すように、凹部/凸部1622は、少なくともコネクタ1610の一部とコネクタの相手側要素/係止部材114とを収容してもよい。
【0149】
相手側要素114は、基板102及び例えば基板上の導体領域106に対する、コネクタ1610の電気的結合を固定及び/又は増強するように構成されてもよい。相手側要素114は、この目的のために、例えば、板バネ又は他のタイプのバネ1730を本質的に画定するいくつかのバネ状部材を備えてもよい。
【0150】
相手側要素114は、部分断面図によって描写され、すなわち端部シェル部分が除去されて示されているが、実際には、プラスチック又はセラミック材料などの適切な材料のしっかりした上面、側面、及び/又は端部を備えていてもよい。相手側要素114は、一方で要素114の少なくとも部分的に開放した底部を介して接触要素118に接続する、潜在的にバネ状であるいくつかの接続増強部材1730を収容する。
【0151】
少なくとも1つのプラスチック層が、例えば、固定及び保護の目的で、相手側要素114及び基板102の関連する面上に、モールドされてもよい(明示的には図示されていない)。加えて、基板102の反対側には、モールドされたプラスチック層が設けられる可能性がある。
【0152】
図19は、1900において、本発明による本質的に剛直なコネクタ1910及び関連する多層構造の他の実施形態を図示する。コネクタ1910の少なくとも一部分は、基板フィルム102の3次元的に形成された特徴部1920内(あるいは、形成は、基板102上にコネクタ1910を配置した後に行ってもよい)、例えば凹部又は「ポケット」内に配置されてもよい。この特徴部は、その後、プラスチック104によってオーバーモールドされてもよい。
【0153】
図示された設計は、フィルム102内に、穴、すなわち具体的には、例えば切り欠きを組み込んでおり、その穴又は切り欠きを貫通して、コネクタ1910及び例えばコネクタの接触要素118が突出して環境に向かって延在する。
【0154】
回路設計の導電性領域106は、例えば、導電性インクの導体トレース/接触領域を画定して、コネクタ1910への接続、及びこのコネクタを介した外部のシステム、デバイス、又は構造への接続を可能にすることができる。コネクタ1910のピンなどの接触要素118は、好ましくは、例えば、電気的結合の増強及び/又は基板102上の高さの低減に寄与するように、接触要素がフィルム102及び例えばポケット内の導電性領域106に対して平行となるように構成される(例えば、角度を付けて、あるいは曲げられて;図におけるピンの直角を参照されたい)。
【0155】
この実施形態及び他の実施形態では、コネクタ1910は、標準的なピックアンドプレース方法及び機器を介して取り付けることができる。取付材料は、実施形態固有に決定されてもよい。例えば、カスタムツーリングジグ(custom tooling jig)を、適切な部品配置を可能とするように設計してもよく、また部品が硬化プロセスを通過することを可能とするように設計してもよい。
【0156】
必要に応じて、図示された実施形態及び他の実施形態では、樹脂又は特定の接着剤(例えば、エポキシ又は接着剤)などの選択された封止材をコネクタ1910の接触要素(ピンなど)に塗布又はディスペンスして、モールドプロセス中に確実な取り付けを確保してもよい。よって、例えばモールドされたプラスチック104の側面上に、封止材が提供されてもよい。接触要素118と導電性領域106との間の電気的結合は、導電性エポキシなどの導電性接着剤を使用することによって、さらに強化することができる。これに代えてあるいはこれに加えて、保護材料及び/又は固定材料を、例えば、封止材又は他のモールドされた層を参照して、基板102のコネクタ1910とは反対側に提供してもよい。いくつかの実施形態では、そのようなさらなる材料の提供の前に、外部接続要素をコネクタ1910へと接続(嵌合)して、基板102及びコネクタ1910に対して外部接続要素も保護及び/又は固定してもよい。
【0157】
図20は、2000において、本発明によるコネクタ2010及び関連する多層構造の他の実施形態を図示する。コネクタ2010は、例えば、コネクタの本体部材内に、所望の湾曲面、傾斜面、又は角度付き表面を呈するように、カスタムメイド又はカスタム形状としてもよい。そのような湾曲面又は角度付き面は、基板102の表面などの、選択されたより大きな設計の輪郭に従うように設計することができ、これは、例えば、関連した表面を均一(平坦)に維持するため、あるいはその厚さを一定に維持するために好ましい場合がある。この場合にも、基板フィルム102は、コネクタが少なくとも部分的にすり抜けることを可能とするための貫通孔を備えていてもよい。コネクタ1910は、上記のピックアンドプレースタイプの解決策などの適用可能な機器及び方法を使用して配置されてもよい。カスタムツーリングジグを、適切な部品配置を可能とするように、あるいは部品が残りのプロセスを通過することを可能とするように設計してもよい。
【0158】
封止材、導電性接着剤、複数のモールドされた層などの潜在的な使用については、
図19の実施形態に関する上記のコメントがこの場合にも適用可能である。
【0159】
図21Aは、2100において、本発明による多層構造のコネクタ及び基板のもう1つの実施形態を図示する。
【0160】
この実施形態及び同様の実施形態(例えば、
図4B~
図4D及び
図5Bも参照されたい)では、コネクタは、少なくとも元々は、本質的に複数部材タイプであってもよく、その場合少なくとも2つの当初は別個の部材が、基板の異なる側の面上に配置され、かつ互いに接続される。これに代えて、コネクタは、1つの要素から成る可能性があり、あるいはその側壁を画定する部分の間に基板を収容する、本質的に「U」字形状プロファイルを有して設けられた部品を少なくとも含む可能性がある。
【0161】
上記において想定されているように、係止フレームなどのいわゆる相手側要素を、コネクタとともに利用してもよい。相手側要素は、電気絶縁材料を含んでいてもよく、また任意選択的にバネ状部材などの導電性特徴部も含んでいてもよい。しかしながら、
図21Aの実施形態では、コネクタ構造は、本質的に半体である、少なくとも2つの好ましくは導電性の、対向する(反対側に構成された)接触部分又は接触部品2110A、2110Bから構築される。これらは、任意選択的に、組み合わせで、あるいはそれらのいずれかによって、基板102から及び多層積層体全体から例えば側方へと延在する突出部分又は突起形態で、外部接続要素のための結合部分又は接続部分2110Cをさらに画定する。
【0162】
よって、部分2110Cは、外部構造、外部デバイス、又は外部システムの外部接続要素が本発明の多層構造に対して接続することを可能することができ、かつ基板102のいずれかの面102A、102Bの真上にあるコネクタによって提供される接続特徴部に代えてあるいはそのような接続特徴部に加えて、基板102に対して本質的に隣接して配置することができる。部分2110Cは、基板102の縁を超えて延在する。部分2110Cは、外部接続要素のための穴(図示のもの)又は突起などのいくつかの接続特徴部を画定してもよい。部分2110Cが、部分2110A、2110Bの両方の部分によって画定される場合、部分2110Cは、基板102を通して実現される結合に加えてあるいはそのような結合に代えて、2つの部分2110A、2110Bを一緒にさらに接続してもよい。これに代えてあるいはこれに加えて、部分2110Cは、他の潜在的な用途の中でもとりわけ、例えば、部分2110A、2110Bをアライメントするための設置ツールとして使用することができ、また、例えば、その後に除去することができる。
【0163】
第1部分2110Aは、例えば導電性ストリップ又は導電性プレートの形態で、1つ又は複数の導電性接触領域を形成することができる。これにより、第1部分2110Aは、例えば、実質的に平面状に及び/又は細長くすることができる。接触領域は、基板102上の回路設計の導電性トレース106に接触するように構成されてもよい。基板102の反対側の面上にある対向する第2部分2110Bは、例えば、ストリップの形態の1つ又は複数の導電性領域をさらに画定してもよい。そのような領域は、(もしあれば)基板102上に設けられた導電性トレース106に接触するように構成されてもよい。
【0164】
第2部分2110Bは、一般的に、例えば平面状及び/又は細長い形状であってもよく、好ましくは、返し付き突起、スパイク様突起、及び/又は湾曲突起などのいくつかの導電性突起を画定する。そのような突起は、例えば、圧着又は他の設置操作に応答して、基板102の材料、及び基板上の回路設計の、例えばプリントされた導体/導電性領域106を貫通するように構成されてもよく、及び/又は基板内の既製の貫通孔へと進入するように構成されてもよく、また反対側の第1部分2110Aへと接続する一方で、その第1部分を通過する(貫通する、あるいは予め用意された穴に入る)ように構成されてもよい。
【0165】
一般的に、導体106は、基板102の面102A、102Bのいずれか片面もしくは両面上、及び基板102の関連付けられた表面上に設けられてもよい。よって、図示されるコネクタ構造は、外部システム及び外部デバイスに対する電気的接続性を提供することに加えて、適用可能である場合に、両面上の導体どうしを一緒に接続するように構成されてもよい。圧着に代えてあるいは圧着に加えて、部分2110A、2100Bを結合するために、例えば、レーザビーム溶接又はスポット溶接を適用することができる。その後、得られた構造は、そのいずれかの面上に、モールドされた層などの他の特徴部を備えていてもよい。
【0166】
図21Bは、別の角度から
図21Aの実施形態を図示し、基板102の第2面102Bを図示する。この例では、第2面102Bは、コネクタの第2部分2110Bに接続するための導電性領域を備えていないが、上記において示唆したように、他の実施形態では、第2面102Bは、部分2110Bに接触する導電性領域をさらに含むことができる。いくつかの他の実施形態では、基板102の第2面102Bのみが、コネクタのための導電性接触領域を備えることができる。
【0167】
図22は、2200において、本発明による多層構造のコネクタ及び関連する基板の他の実施形態を図示する。一般的に、上記の実施形態に関するコメントは、ここでも適用可能である。1つの相違点は、
図21A及び
図21Bの解決策では、コネクタ部分2110Bの突起が、基板102及び導電性領域(導体)106を通過していたのに対し、ここでは部品2110Bのいくつかが、部品2110Aに、また任意選択的に導体106に本質的にその側方から接続されており、よって、単に基板102を通過しているものの実質的に例えば導体106を通過していないので、部分2110Bのすべての突起が、導体106又は部品2210Aを貫通して方向付けられているわけではないことである。いくつかの実施形態では、そのような構成により、コネクタの突起を収容するために導体106に穿孔する、又は導体内に既製の穴を設けることを、完全に回避することができる。したがって、コネクタと導体106との間の結合領域を最大化することができ、かつ導体106内に貫通孔を構築することを最低限度まで減らすことができる。いくつかの実施形態では、部品2110Bの突起に対応する位置において、部品2110Aには、突起、ひいては部品2110Aを収容し、かつ任意選択的に、それらをより良好に固定するために、凹部又はくぼみ(その実施形態は、図に示されている)などのいくつかの特徴部をさらに備えることができる。
【0168】
図21A、
図21B、及び
図22の実施形態、及び本明細書において考察される様々な他の実施形態のコネクタは、代替的には、当業者であれば理解されるように、周縁に代えて、例えば基板フィルム102の中心の近く、又は基板フィルム102の本質的に中心などの、任意の場所に配置されてもよい。
【0169】
図23は、2300において、本発明による多層構造におけるコネクタ及び関連する基板の他の実施形態を図示する。上記のコメントは、一般的に、ここでは、積層されたコネクタ部分2310A、2310Bが、基板102を通して延在し、かつ好ましくはスポット溶接又はレーザビーム溶接などの溶接によって構築された特徴部2310Dによって一緒に接続されていることを区別した上で、適用される。したがって、部分2310A、2310Bは、好ましくは、中間の基板102及びその上の導体106の上へと圧縮圧力を印加して、それらの間の接続を増強する。コネクタは、側方延長部2110Cをさらに画定してもよい。
【0170】
図24は、2400において、本発明による多層構造におけるコネクタ及び関連する基板の他の実施形態及び変形例を図示する。一般的に、上記の実施形態に関するコメントは、ここでも適用可能である。ここで、コネクタの対向する平面状部分又は平面状部品どうしは、例えば、基板を通して方向付けられた特徴部(複数可)を介して一緒に接続されると共に、図示するように、例えば「U」字形状の接続中間ブリッジ部分2410Cであって、基板の一方の側から他方の側へと基板の縁(境界)を超えて延在し、好ましくは縁と接触しているか、又は少なくとも縁に近接している中間ブリッジ部分2410Cを介して一緒に接続される。コネクタの対向する部分と中間ブリッジ部分とは、実質的にモノリシックであってもよい。
【0171】
図25Aは、2500において、本発明による多層構造におけるコネクタ及び基板の一実施形態を図示する。一般的に、上記の実施形態に関するコメントは、ここにおいて適用可能である。コネクタ(コネクタは、モノリシックであってもよく、また当初は、例えば「A」字形状又は円弧形状を画定してもよい)の第2部分又は第2部品2510Bは、基板を通して方向付けられたピン、リベット、又はスタッドなどの突起を備えており、これにより、その内部に構築された貫通孔などの対応する凹部が設けられた第1部分又は第1部品2510Aを、その後、押圧動作又は圧着動作などの適用可能な動作によって、第2部分に対して固定することができ、その結果、部分2510Aは、その後、
図25Bに示すように、実質的に基板の表面に沿って延在する。この実施形態及び他の実施形態では、コネクタを基板に対して又は基板上の導体に対して固定するための、あるいは、いくつかのコネクタ部分/コネクタ部品どうしを一緒に固定するための追加的な固定選択肢も、それだけでなく、例えば、様々な非導電性接着剤又は導電性接着剤に関連して、完全に適用可能である。
【0172】
図18は、1800において、本発明による方法の実施形態のフロー図を含む。
【0173】
多層構造を製造するための方法の始めには、開始段階1802を実行してもよい。開始の際に、材料、構成部品、及びツールの選択、取得、較正、及び他の構成作業などの必要な作業を実行してもよい。個々の要素及び材料の選択が協働し、選択された製造及び設置プロセスに耐えることに特別な注意を払う必要があり、製造及び設置プロセスは、当然、例えば、製造プロセスの仕様と構成部品のデータシートとに基づいて、又は製造された試作品を調査して試験することより、事前に確認されることが好ましい。よって、とりわけ、モールド/IMD(インモールド加飾)、ラミネーション、ボンディング、(熱)成形、電子機器の組立、切削、穴開け、及び/又は印刷のための機器などの使用機器は、この段階で稼働状態にまで立ち上げられてもよい。
【0174】
1804では、任意選択的に可撓性であり、電子機器を収容するための、プラスチック又は他の材料の少なくとも1つの基板フィルムを入手する。基板フィルムは、当初は実質的に平面状のものであってもよく、あるいは、例えば、湾曲したものであってもよい。例えば、プラスチックフィルムのロール又はシートなどの既製の要素を、基板材料として使用するために入手してもよい。いくつかの実施形態では、基板フィルム自体は、最初に、選択された出発材料(複数可)からモールド又は他の方法によって、社内で製造されてもよい。必要に応じて、基板フィルムは、この段階でさらに加工されてもよい。これには、例えば、上述したような、穴、ノッチ、凹部、切れ目、等を設けてもよい。
【0175】
1806では、回路設計を構築するための、例えば、導体ライン(トレース)及び/又は接触パッドを画定するいくつかの導電性領域を、好ましくはプリンテッド・エレクトロニクス技術の1つ又は複数の追加技法によって、基板フィルム(複数可)のいずれか片面又は両面に設ける。例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はオフセット平版印刷を利用してもよい。また、例えば、フィルム上のグラフィックス、視覚的インジケータ、光学要素等の印刷又は一般的な設置を含む、フィルム(複数可)を加工するさらなる操作を、ここで行ってもよい。
【0176】
1808(任意選択的)では、様々なSMDsなどの電子部品を含む1つ又は複数の典型的な既製部品を、例えば、半田及び/又は接着剤によって、フィルム(複数可)上の接触領域に対して取り付けてもよい。これに代えてあるいはこれに加えて、OLEDsなどの構成部品の少なくとも一部をフィルム(複数可)の上へと直接的に実際に製造するために、プリンテッド・エレクトロニクス技術を適用してもよい。したがって、当業者であれば理解されるように、項目1806、1808の実行は、時間的に重なっていてもよい。
【0177】
項目1810は、基板への電気コネクタの配設を表しており、対応する手順の潜在的な段階が、1820においてより詳細に示されている。コネクタは、標準的なピックアンドプレース方法/機器(適用可能である場合)などの任意の実現可能な位置決め技法又は設置技法を利用して、基板に設けられてもよい。適用可能な結合技法(例えば、接着剤又は他の結合物質を使用)、接着技法、及び/又は他の固定技法を追加的に利用してもよい。
【0178】
1822では、上述したように、いくつかの予め用意された貫通孔あるいは少なくとも薄肉部分(複数可)を、ホスト基板フィルム内に配設してもよく、これにより本体及び/又はコネクタの電気接触要素(例えばピン)などのコネクタの一部分を、回路設計との接触を確立するためにそれらを通して方向付けてもよい。いくつかの実施形態では、予め用意された穴(複数可)を使用することに加えて、あるいはそれに代えて、必要な穴(複数可)を、圧着又は他の適切な方法に応答して、例えば、コネクタの接触要素によって基板を穿孔する際に動的に確立してもよい。コネクタは、基板フィルムのいずれか片面又は両面上で回路設計に対して接触するように構成されてもよい。
【0179】
手順は、例えば、実施形態に応じて、接触要素の端部をフィルムの表面及びフィルム上の導電性領域に対して実質的に平行に延ばすように(そうでない場合、実際にはフィルムの表面に向けてわずかに傾斜して)、及び/又は外部コネクタとのより良好なインタフェースのために接触要素の端部をフィルムの表面に対して垂直に延ばすように、例えば、接触要素の端部を曲げることをさらに含んでもよい。
【0180】
なお、いくつかの実施形態では、上述したように、基板フィルムを物理的に通してコネクタ又はコネクタの一部を設けることに加えて、あるいはそれに代えて、コネクタは、基板の対向する面上の、例えば、2つの部分又は部品(当初は別個のもの、あるいは、当初から一体的なもの)を含んでもよい。2つの部分又は部品は、基板の一方の側からもう一方の側へと基板の縁を超えて延在する少なくとも1つの中間特徴部(例えば、1つのブリッジ特徴部、あるいは、例えば、基板のそれぞれの面上における2つの接続用側方延長部分)によって互いに結合される。よって、そのような配設は、コネクタ構造が、例えば、穴を介して直接的に物理的に基板を貫通していない場合であっても、少なくとも機能的に基板を通して延在することを可能とする。
【0181】
1824では、基板へのコネクタの固定を増強し(例えば、コネクタの当初の据え付け方向/据え付け側とは反対側の、基板の面/表面の方向から/その面上で)、かつ可能であれば、上述した板ばねを参照してバネ状部材などの、含まれている電気接触を可能化又は増強する部材によって、基板上の回路設計に対しての電気接触を増強するように、係止フレームなどの少なくとも1つの任意選択的な相手側要素/係止要素を据え付けてもよい。
【0182】
項目1809は、1つ又は複数のサブシステムあるいは「サブアセンブリ」の可能な取り付けを指し、ここで、サブシステム又は「サブアセンブリ」には、IC(複数可)及び/又は様々な構成部品などの電子機器を備えた、当初は別個の二次基板を組み込んでもよい。多層構造の電子機器の少なくとも一部は、そのようなサブアセンブリを介して、1つ又は複数の基板フィルムに設けられてもよい。任意選択的に、サブアセンブリは、主基板に対しての取り付けの前に、保護プラスチック層によって少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。例えば、接着剤、圧力、及び/又は熱を、サブアセンブリの一次(ホスト)基板に対する機械的結合のために、使用してもよい。半田、配線、及び導電性インクは、サブアセンブリの要素どうし、及び主基板上の残りの電気要素との電気接続を提供するための、適用可能な選択肢の例である。項目1809は、また、項目1806又は項目1810を行う際に、実行されてもよい。その示された位置は、主に例示に過ぎない。
【0183】
いくつかの実施形態では、モールド段階の前あるいはモールド段階において、基板フィルム(複数可)は、好ましくは、既に、例えば、印刷された導電性領域及び任意の電子部品などの回路設計の少なくとも一部、及び/又はコネクタを含んでおり、例えば熱成形又は冷間成形を使用して、1812において成形されて、所望の3次元(本質的に非平面)形状などの所望の形状を呈してもよい。(例えば項目1808と項目1810との間において、あるいは、項目1806又は項目1808の前にさえ、成形を代替的に又は追加的に行う可能性があるという事実を強調している双方向の湾曲した矢印を参照されたい。)したがって、適切な成形可能な材料を含む基板を、いくつかの例(凹部/「ポケット」)を参照して上記に説明したように、目標の環境/目標のデバイスに対してより良好に適合するように、及び/又は電気コネクタなどの特徴部をより良好に収容するように成形されてもよい。これに加えてあるいはこれに代えて、既に構築された多層積層体がそのような処理に耐えるように設計されている場合には、成形は、モールド後に行うことができる。
【0184】
1814では、少なくとも1つのプラスチック層、好ましくは熱可塑性層を、好ましくはモールド材料内に電気コネクタ要素を少なくとも部分的に埋め込むように、基板フィルムの第1面及び/又は第2面上にモールドする。例えば、モールドされたプラスチックは、任意選択的に、例えば、外部コネクタが多層構造と嵌合された時に、外部コネクタとは反対側の基板フィルムの面上にある電気コネクタ要素の部分を、完全に埋め込んでもよい。その代わり、外部コネクタに面しかつ外部コネクタを受け入れることが意図される基板の面では、電気コネクタの残りの部分は、モールドされたプラスチックを有しないままとされてもよく、あるいは外部コネクタのこれを介した多層構造への接続を妨げない範囲でのみ、モールドされたプラスチック内に埋め込まれてもよい。上述したように、モールド材料が、基板フィルムの両面上に提供される場合には、モールド材料は、いくつかのモールドの工程又はショットを使用して提供されてもよく、あるいは、フィルム内に用意された穴を介して、又は例えば基板材料自体を貫通することによって、基板フィルムの一方の側から反対側へとモールドされた材料が流れる単一の工程を介して、提供されてもよい。
【0185】
実際には、基板フィルムは、射出成型プロセスにおけるインサートとして使用されてもよい。基板フィルムの一方の側の面は、いくつかの実施形態では、モールドされたプラスチックを有しないままにしておいてもよい。
【0186】
2枚のフィルムを使用する場合には、フィルムの両方を、それぞれの金型の半体の中に挿入してもよく、これによりプラスチック層はそれらの間に射出される。これに代えて、第2フィルムを、適切な積層技法によって、第1フィルムとプラスチック層との集合体に対して、後から取り付けることができる。
【0187】
得られた積層多層構造の結果的な全体的厚さは、例えば、使用される材料に依存すると共に、製造及びその後の使用の視点から必要な強度を提供する関連する最小材料厚さに依存する。これらの観点は、ケースバイケースで考慮される必要がある。例えば、構造の全体的な厚さは、約1mm又は数ミリメートルである可能性があるが、これよりも著しく厚い、又は著しく薄い実施形態も実現可能である。
【0188】
項目1816は、可能な後処理作業を指す。積層あるいは適切なコーティング(例えば、堆積)手順によって、他の層を、多層構造へと追加してもよい。それらの層は、保護的価値、指標的価値、及び/又は美的価値(グラフィックス、色、図、テキスト、数値データ、等)を有するものであってもよく、また別のプラスチックに代えてあるいはそれに加えて、例えば、布、革、又はゴム材料、を含んでいてもよい。電子機器などの追加的な要素を、基板の外面などの、構造の外面(複数可)に設置してもよい。成形/切断を行なってもよい。コネクタ要素は、外部のデバイス、システム、又は構造の外部コネクタなどの、所望の外部接続要素に接続されてもよい。例えば、これらの2つのコネクタは、プラグアンドソケットタイプの接続を一緒に形成する場合がある。
【0189】
多層構造の内部の一体型コネクタ要素に対して外部接続要素を接続した後に、確立された接続及び関連する要素を、プラスチックの低圧モールドもしくは樹脂ディスペンシング(エポキシ)などの追加的な処理によって、さらに固定及び/又は保護してもよく、この時点で、結果として得られる層は、例えば、接続領域内に所望の要素を少なくとも部分的に封入し得る。低圧モールド又は樹脂ディスペンシングを、電気部品などの構造の他の要素を保護及び/又は固定するために利用してもよい。
【0190】
1818において、方法の実行を終了する。
【0191】
本発明の範囲は、その均等物とともに添付の特許請求の範囲によって決定される。当業者であれば、開示された実施形態が単に例示の目的のためだけに構築されたこと、及び上記の原理の多くを適用した他の構成が、それぞれの潜在的な使用状況に最も良く適合するように容易に準備することができることがを、理解するであろう。例えば、プラスチックを基板の上へと直接的にモールドすることに代えてあるいはそれに加えて、プラスチック層を、前もって準備することができ、その後、例えば、接着剤、機械的取付手段(ネジ、ボルト、釘、等)、圧力、及び/又は熱を適用する適切な積層技法によって、基板に対して取り付けることができる。最後に、いくつかの状況では、モールドに代えて、適切な堆積方法あるいは他の代替可能な方法を使用して、プラスチック又は同様の機能の他の層を、基板上に生成することができる。なお、印刷されたトレースに代えて、トレースを、その他の方法で生成/提供することができる。例えば、他の選択肢の中でも、エッチングを利用して製造された導体フィルムを適用することができる。
【0192】
図26Aは、本発明によるコネクタ2610の他の実施形態を図示する。
図26Bは、断面図として、
図26Aの実施形態を図示する。コネクタ2610は、いくつかの導電性接触要素118を含んでもよい。コネクタ2610は、基板フィルム102へと提供又は配設されてもよく、これにより、コネクタは、このコネクタの導電性要素118などによって、基板フィルム102の第1面102Aと第2面102Bとの両方へと延在する。いくつかの導電性接触要素118は、基板102上の導体又は導電性領域106などの、回路設計の1つ又は複数の導電性領域へと接続してもよい。必要に応じて、1つ又は複数の接触要素118は、例えば、少なくとも1つの導電性領域106上に、例えば、任意選択的にバネの力を通して圧縮力を印加するように構成される。コネクタ2610は、外部接続要素を基板フィルム102の第1面又は第2面上のコネクタに対して嵌合したことに応答して、外部接続要素112に対して電気的に結合するようにさらに構成されてもよい。
【0193】
図26A及び
図26Bからわかるように、フィルムを通してフィルムの第1面及び/又は第2面へと延在する、導電性接触要素118などのコネクタ2610の部分を収容するように構成された貫通孔116が配設されてもよい。
【0194】
図26A及び
図26Bには示されていないが、コネクタ2610を少なくとも部分的に覆うように、任意選択的に外部接続要素112に対向する接続面102Bとは反対側を向いた基板の面102Aの上にあるコネクタの一部を実質的に完全に埋め込むように、及び基板フィルム102に対するコネクタ2610の固定を増強するように、基板フィルムの第1面102A及び/又は第2面102Bの上へとモールドされた、好ましくは熱可塑性材料からなる、少なくとも1つのプラスチック層を設けてもよい。
【0195】
図27Aは、本発明による多層構造のコネクタ2610及び基板102の実施形態を図示する。コネクタ2610は、原理的には、例えば
図26A及び
図26Bに示されたものと同様である。
図27Bは、コネクタが基板を部分的に通して配設された時の
図27Aの実施形態を、基板のもう一方側の面から図示する。
図27Cは、コネクタが基板上に配設された時の
図27Aの実施形態を、側面図で図示する。
図27Dは、
図27Cの実施形態を、斜視図で図示する。破線で描かれた要素は、観察者に対して基板102の反対側にある。
【0196】
図27A~
図27Dは、コネクタ2610を基板102に対して配設するプロセスにおける様々な段階を示す。導電性部材118は、
図27A~
図27Dに示すようにコネクタ2610が基板102に対して配設された場合に、有利なことに、基板102上の導体又は導電性領域106に対して接触して、それらの間に電気接続を形成する場合がある。コネクタ2610は、貫通孔116が存在する場合には、貫通孔116を通して導電性要素118を配設することにより、基板102に対して配設されてもよい。