(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示基板、有機発光ダイオード表示装置及び有機発光ダイオード表示基板を製造する方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/26 20060101AFI20230404BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230404BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230404BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230404BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230404BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230404BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20230404BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230404BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20230404BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230404BHJP
【FI】
H05B33/26 Z
G02B5/20 101
G09F9/00 342
G09F9/30 349A
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/12 E
H05B33/14 A
H05B33/28
H10K59/00
(21)【出願番号】P 2018558410
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2017103387
(87)【国際公開番号】W WO2019061015
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-06-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 フォンジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ツェン
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】関根 洋之
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-97925(JP,A)
【文献】特開2014-174319(JP,A)
【文献】特開2014-229356(JP,A)
【文献】特開2015-103280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/26,33/28,33/02,33/10,33/12
H10K 50/00,59/00
G02B 5/20
G09F 9/00,9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブピクセル領域と、サブピクセル間領域とを有する有機発光ダイオード表示基板を製造する方法であって、
ベース基板上に補助陰極を形成するステップを含み、
前記補助陰極を形成するステップは、透明導電サブ層を形成し、前記透明導電サブ層の前記ベース基板から遠い側に金属導電サブ層を形成するステップを含み、
前記金属導電サブ層は、前記サブピクセル間領域内に形成され、
前記透明導電サブ層を形成するステップは、室温堆積プロセスにて前記ベース基板上に透明導電材料を堆積させるステップを含み、前記室温堆積プロセスは、25度の温度で実行さ
れ、
前記方法は、カラーフィルタを形成するステップを更に含み、
前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成される、方法。
【請求項2】
前記ベース基板上にブラックマトリクス層を形成するステップを更に含み、
前記補助陰極を形成するステップは、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含み、
前記金属導電サブ層は、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板上における投影が前記金属導電サブ層の前記ベース基板上における投影を覆うように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記透明導電サブ層は、前記サブピクセル領域及び前記サブピクセル間領域内に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベース基板上にオーバーコート層を形成するステップを更に含み、
前記補助陰極を形成するステップは、前記オーバーコート層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成され、
前記透明導電サブ層は、前記オーバーコート層と接触するように形成される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記透明導電サブ層は、金属酸化物で作られている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記透明導電サブ層は、前記透明導電サブ層の前記ベース基板上における投影が前記カラーフィルタの前記ベース基板上における投影を覆うように形成される、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術に関し、特に、有機発光ダイオード表示基板、有機発光ダイオード表示装置及び有機発光ダイオード表示基板を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)表示装置は、自己発光装置であり、バックライトを必要としない。また、OLED表示装置は、従来の液晶表示(LCD)装置に比べて、より鮮やかな色彩及びより広い色域を提供する。更に、OLED表示装置は、一般的なLCDよりも、柔軟に且つ薄く軽く製造できる。一般的に、OLED表示装置は、陽極と、有機発光層を含む有機層と、陰極とを含む。OLEDは、ボトムエミッション型OLED又はトップエミッション型OLEDであってよい。ボトムエミッション型OLEDでは、陽極側から光を取り出す。ボトムエミッション型OLEDにおいて、陽極は、通常透明であり、一方、陰極は通常反射性である。トップエミッション型OLEDでは、陰極側から光を取り出す。トップエミッション型OLEDにおいて、陰極は光学的に透明であり、一方、陽極は反射性である。
【発明の概要】
【0003】
一側面において、本発明は、サブピクセル領域と、サブピクセル間領域とを有する有機発光ダイオード表示基板であって、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する補助陰極とを含み、前記補助陰極は、透明導電サブ層と、前記透明導電サブ層の前記ベース基板から遠い側に位置する金属導電サブ層とを含み、前記金属導電サブ層は、実質的に前記サブピクセル間領域に位置する、有機発光ダイオード表示基板を提供する。
【0004】
必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触する。
【0005】
必要に応じて、前記有機発光ダイオード表示基板は、前記ベース基板上に位置するブラックマトリクス層を更に含み、前記補助陰極は、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板から遠い側に位置し、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板上における投影は、前記金属導電サブ層の前記ベース基板上における投影を実質的に覆う。
【0006】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、前記サブピクセル領域及び前記サブピクセル間領域内に位置する。
【0007】
必要に応じて、前記有機発光ダイオード表示基板は、前記ベース基板上に位置するオーバーコート層を更に含み、前記補助陰極は、前記オーバーコート層の前記ベース基板から遠い側に位置する。
【0008】
必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触し、前記透明導電サブ層は、前記オーバーコート層と接触する。
【0009】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、金属酸化物を含む。
【0010】
必要に応じて、前記有機発光ダイオード表示基板は、カラーフィルタを含むカラーフィルタ基板である。
【0011】
必要に応じて、前記透明導電サブ層の前記ベース基板上における投影は、前記カラーフィルタの前記ベース基板上における投影を実質的に覆う。
【0012】
別の側面において、本発明は、有機発光ダイオード表示装置であって、複数の有機発光ダイオードを有するアレイ基板と、前記アレイ基板に対向する、上記の有機発光ダイオード表示基板のいずれか一つとを含み、前記アレイ基板は、前記複数の有機発光ダイオード用の陰極を含み、前記陰極は、前記有機発光ダイオード表示基板における前記補助陰極に電気的に接続される、有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【0013】
別の側面において、本発明は、サブピクセル領域と、サブピクセル間領域とを有する有機発光ダイオード表示基板を製造する方法であって、ベース基板上に補助陰極を形成するステップを含み、前記補助陰極を形成するステップは、透明導電サブ層を形成し、前記透明導電サブ層の前記ベース基板から遠い側に金属導電サブ層を形成するステップを含み、前記金属導電サブ層は、実質的に前記サブピクセル間領域内に形成される、方法を提供する。
【0014】
必要に応じて、前記透明導電サブ層を形成するステップは、室温堆積プロセスにて前記ベース基板上に透明導電材料を堆積させるステップを含む。
【0015】
必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成される。
【0016】
必要に応じて、前記方法は、前記ベース基板上にブラックマトリクス層を形成するステップを更に含み、前記補助陰極を形成するステップは、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含み、前記金属導電サブ層は、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板上における投影が前記金属導電サブ層の前記ベース基板上における投影を実質的に覆うように形成される。
【0017】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、前記サブピクセル領域及び前記サブピクセル間領域内に形成される。
【0018】
必要に応じて、前記方法は、前記ベース基板上にオーバーコート層を形成するステップを更に含み、前記補助陰極を形成するステップは、前記オーバーコート層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含む。
【0019】
必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成され、前記透明導電サブ層は、前記オーバーコート層と接触するように形成される。
【0020】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、金属酸化物で作られている。
【0021】
必要に応じて、前記方法は、カラーフィルタを形成するステップを更に含む。
【0022】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、前記透明導電サブ層の前記ベース基板上における投影が前記カラーフィルタの前記ベース基板上における投影を実質的に覆うように形成される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の図面は、単に開示された様々な実施例に係る説明のために用いられる例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0024】
【
図1】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
【0025】
【
図2】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
【0026】
【
図3】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
【0027】
【
図4】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
【0028】
【
図5】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示装置の構造を示す模式図である。
【0029】
【
図6A】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
【
図6B】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
【
図6C】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
【
図6D】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
【
図6E】本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、以下の実施例を参照しながら本開示をより具体的に記述する。注意すべきことは、幾つかの実施例に対する以下の説明は、単に例示及び説明の目的で本文に提示される。これは、網羅的であること、又は開示された正確な形式に限定されることを意図するものではない。
【0031】
従来の有機発光ダイオード表示装置、特に従来のトップエミッション型有機発光ダイオード表示装置において、有機発光層が生成する光の光透過率を確保できるように、有機発光ダイオード用の陰極は、通常インジウム-亜鉛酸化物のような透明導電材料又はマグネシウム:銀のような透明金属で作られている。これらの透明導電材料は、通常比較的高い比抵抗を有するが、これは、特に大型サイズの表示パネルに対し深刻な問題を引き起こす。従来の有機発光ダイオード表示装置における陰極の抵抗を低下させるため、補助陰極を用いる場合がある。
【0032】
幾つかの実施例において、補助陰極は、有機発光ダイオード表示装置のアレイ基板に対向する対向基板上に製作されてよい。一例において、補助陰極は、不透明金属材料で作られ、且つブラックマトリクス領域内に製作されてよい。このようにして、補助陰極は、相対的に低い比抵抗を有するように製作できるとともに、表示装置での光透過率に影響を与えない。対向基板における補助陰極は、アレイ基板における陰極に電気的に接続される。
【0033】
補助陰極は、対向基板における各種の層のうち任意の層上に堆積されてよい。一例において、補助陰極は、対向基板のオーバーコート層上に形成される。必要に応じて、補助陰極は、対向基板のブラックマトリクス上に形成される。対向基板のこれらの層は有機材料で作られ、金属補助陰極との良好な接着力を提供できない。対向基板上(例えば、対向基板のオーバーコート層上)に堆積された補助陰極の金属線の部分は、緩んだり、対向基板から脱落したりする場合がある。この問題点は、表示装置の開口率を向上させるため金属線の幅を小さく製作する時、特に深刻になる。
【0034】
従って、本開示は、とりわけ、関連技術の限界及び弱点による1つ以上の問題点を実質的に解消する有機発光ダイオード表示基板、有機発光ダイオード表示装置及び有機発光ダイオード表示基板を製造する方法を提供する。一側面において、本発明は、サブピクセル領域と、サブピクセル間領域とを有する有機発光ダイオード表示基板を提供する。幾つかの実施例において、有機発光ダイオード表示基板は、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する補助陰極とを含む。前記補助陰極は、透明導電サブ層と、前記透明導電サブ層の前記ベース基板から遠い側に位置する金属導電サブ層とを含む。前記金属導電サブ層は、実質的に前記サブピクセル間領域内に位置する。
【0035】
本文に使われているように、サブピクセル領域とは、液晶ディスプレイにおけるピクセル電極に対応する領域、或いは有機発光ダイオード表示パネルにおける発光層に対応する領域のような、サブピクセルの発光領域を指す。必要に応じて、ピクセルは、ピクセル内のいくつかのサブピクセルに対応するいくつかの分離した発光領域を含むことができる。必要に応じて、サブピクセル領域は、赤色サブピクセルの発光領域である。必要に応じて、サブピクセル領域は、緑色サブピクセルの発光領域である。必要に応じて、サブピクセル領域は、青色サブピクセルの発光領域である。必要に応じて、サブピクセル領域は、白色サブピクセルの発光領域である。本文に使われているように、サブピクセル間領域とは、液晶ディスプレイにおけるブラックマトリクスに対応する領域、或いは有機発光ダイオード表示パネルにおけるピクセル定義層に対応する領域のような、隣接するサブピクセル領域の間の領域を指す。必要に応じて、サブピクセル間領域は、同一ピクセル内の隣接するサブピクセル領域の間の領域である。必要に応じて、サブピクセル間領域は、隣接する二つのピクセルに由来する、隣接する二つのサブピクセル領域の間の領域である。必要に応じて、サブピクセル間領域は、赤色サブピクセルのサブピクセル領域と隣接する緑色サブピクセルのサブピクセル領域の間の領域である。必要に応じて、サブピクセル間領域は、赤色サブピクセルのサブピクセル領域と隣接する青色サブピクセルのサブピクセル領域の間の領域である。必要に応じて、サブピクセル間領域は、緑色サブピクセルのサブピクセル領域と隣接する青色サブピクセルのサブピクセル領域の間の領域である。
【0036】
図1は、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
図1を参照すると、幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板は、サブピクセル領域1と、サブピクセル間領域2とを有する。前記有機発光ダイオード表示基板は、ベース基板10と、ベース基板10上の補助陰極50とを含む。補助陰極50は、透明導電サブ層60と、透明導電サブ層60のベース基板10から遠い側に位置する金属導電サブ層70とを含む。金属導電サブ層70は、実質的にサブピクセル間領域2内に位置する。
【0037】
先ず、表示基板上に透明導電サブ層60を形成し、その後に透明導電サブ層60上に金属導電サブ層70を形成することで、補助陰極の特性及び性能が顕著に強化される。透明導電サブ層60は、有機材料層(例えば、オーバーコート層、ブラックマトリクス層又はカラーフィルタ)に対して比較的高い接着力を有する。同時に、金属導電サブ層70もまた、透明導電サブ層60に対して比較的高い接着力を有する。補助陰極50を、透明導電サブ層60上に金属導電サブ層70が積み重なるようにすることで、補助陰極の全体的な抵抗が更に低下し、金属が表示基板から脱落する問題が回避される。
【0038】
幾つかの実施例において、透明導電サブ層60は、金属酸化物材料で作られている。透明導電サブ層60を製作するための金属酸化物の例は、インジウムスズ酸化物、インジウム-亜鉛酸化物等を含むが、これらに限定されない。
【0039】
幾つかの実施例において、金属導電サブ層70は、金属又は合金で作られている。金属導電サブ層70を製作するのに適している金属又は合金の例は、銅、アルミニウム、銀、金、チタニウム、タングステン、ニッケル等を含むが、これらに限定されない。
【0040】
上記のように、金属導電サブ層70は、透明導電サブ層60に対して比較的高い接着力を有する。幾つかの実施例において、金属導電サブ層70は、透明導電サブ層60と接触する。
【0041】
図1を参照すると、幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板は、ベース基板10上に位置するブラックマトリクス層20を更に含む。必要に応じて、ブラックマトリクス層20は、サブピクセル間領域2内に位置し、且つサブピクセル領域1を定義する。必要に応じて、補助陰極50は、ブラックマトリクス層20のベース基板10から遠い側に位置する。例えば、透明導電サブ層60は、ブラックマトリクス層20のベース基板10から遠い側に位置し、金属導電サブ層70は、透明導電サブ層60のブラックマトリクス層20から遠い側に位置する。必要に応じて、ブラックマトリクス層20のベース基板10上における投影は、金属導電サブ層70のベース基板10上における投影を実質的に覆う。必要に応じて、ブラックマトリクス層20のベース基板10上における投影は、金属導電サブ層70のベース基板10上における投影と実質的に重なる。
【0042】
透明導電サブ層60は、透明材料で作られているので、ブラックマトリクス層20の領域に限定されない領域に設置できる。一例において、透明導電サブ層60は、サブピクセル領域1とサブピクセル間領域2の両方に設置できる。必要に応じて、透明導電サブ層60は、例えばパターン化せずに、実質的に対向基板全体に亘る層として形成できる。面積の大きい透明導電サブ層60を有することで、補助陰極50の抵抗を更に低下させることができる。
【0043】
幾つかの実施例において、有機発光ダイオード表示基板は、ベース基板10上に位置して表示基板の表面を平坦化するオーバーコート層40を更に含む。補助陰極50は、オーバーコート層40のベース基板10から遠い側に位置する。例えば、透明導電サブ層60は、オーバーコート層40のベース基板10から遠い側に位置し、金属導電サブ層70は、透明導電サブ層60のベース基板10から遠い側に位置する。
【0044】
上記のように、透明導電サブ層60は、金属材料と有機材料の両方に対して比較的高い接着力を有する。従って、透明導電サブ層60は、金属導電サブ層70とオーバーコート層40の間に位置する。また、透明導電サブ層60は、第1側で金属導電サブ層70と接触し、且つ前記第1側に対向する第2側でオーバーコート層40と接触する。
【0045】
幾つかの実施例において、有機発光ダイオード表示基板は、カラーフィルタ30を更に含む。カラーフィルタ30は、複数のカラーフィルタブロック(例えば、
図1におけるカラーフィルタブロック30a及び30b)を含むことができる。必要に応じて、カラーフィルタ30は、少なくとも部分的にサブピクセル領域1内に位置する。必要に応じて、透明導電サブ層60のベース基板10上における投影は、カラーフィルタ30のベース基板10上における投影を実質的に覆う。
【0046】
本開示によって各種の代替的な実施方式を実践することが可能である。例えば、補助陰極50は、オーバーコート層40以外の層に設置することができる。
図2は、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
図2を参照すると、有機発光ダイオード表示基板は、ベース基板10上に位置するブラックマトリクス層20と、カラーフィルタ30とを含む。補助陰極50は、ブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30上に直接設置される(例えば、
図2の有機発光ダイオード表示基板にはオーバーコート層が存在しない)。ブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30は、有機材料で作られている。透明導電サブ層60をブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30上に位置させ、且つ金属導電サブ層70を透明導電サブ層60のブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30から遠い側に位置させることで、金属導電サブ層70は、表示基板の有機層(ブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30)上に直接形成されない。透明導電サブ層60は、その第1側でブラックマトリクス層20とカラーフィルタ30の両方に対して比較的高い接着力を有し、且つその第2側で金属導電サブ層70に対して比較的高い接着力を有するので、金属脱落の問題を回避することができる。
【0047】
図3は、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
図3を参照すると、幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板は、
図1又は
図2に示すような実質的に対向基板全体にわたって延在する連続した透明導電サブ層60を有しない。その代わりに、透明導電サブ層60は、実質的にサブピクセル間領域2に限定される。透明導電サブ層60を実質的にサブピクセル間領域2に限定することで、本表示基板を有する表示装置の光透過率を更に改善することができる。同時に、透明導電サブ層60は、金属導電サブ層70と有機材料で作られた層の間に維持され、金属導電サブ層70は、表示基板にしっかりと接着でき、従来の表示基板における金属脱落の問題を回避する。
【0048】
図4は、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板の構造を示す模式図である。
図4を参照すると、幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板は、補助陰極50のベース基板10から遠い側に位置するオーバーコート層40を含み、金属脱落を更に防止する。当該構成において、補助陰極は、表示基板の一側から透明導電サブ層60を介してアレイ基板における陰極に電気的に接続できる。
【0049】
別の側面において、本開示は、本文に記載される有機発光ダイオード表示基板又は本文に記載される方法により製造される有機発光ダイオード表示基板を有する有機発光ダイオード表示装置を提供する。幾つかの実施例において、有機発光ダイオード表示装置は、複数の有機発光ダイオードを有するアレイ基板を更に含む。
図5は、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示装置の構造を示す模式図である。
図5を参照すると、前記有機発光ダイオード表示装置は、サブピクセル領域1と、サブピクセル間領域2とを有する。前記有機発光ダイオード表示装置は、アレイ基板Aと、アレイ基板Aに相対する対向基板Bとを含む。
図5における対向基板は、
図1に描かれている有機発光ダイオード表示基板と実質的に同一のものである。幾つかの実施例におけるアレイ基板Aは、複数の有機発光ダイオードOLEDを含む。複数の有機発光ダイオードOLEDは、実質的にサブピクセル領域1内に位置する。複数の有機発光ダイオードOLEDの各々は、陽極200と、有機発光層300と、陰極400とを含む。本有機発光ダイオード表示装置において、アレイ基板Aにおける陰極400は、対向基板Bにおける補助陰極50に電気的に接続される。必要に応じて、アレイ基板Aは、実質的にサブピクセル間領域2内に位置するピクセル定義層600を更に含む。必要に応じて、有機発光ダイオード表示装置は、トップエミッション型有機発光ダイオード表示装置である。
【0050】
アレイ基板Aにおける陰極400は、各種の適切な方法により対向基板Bにおける補助陰極50に電気的に接続できる。
図5を参照すると、幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示装置は、アレイ基板Aと対向基板Bの間に位置し且つアレイ基板Aと対向基板Bとを離間させる複数の柱状スペーサ500を更に含む。複数の柱状スペーサ500のうち1つ以上は、表面に導電材料が塗布されているため、陰極400と補助陰極50とを電気的に接続することができる。
【0051】
必要に応じて、陰極400と補助陰極50とは、他の方法により互いに電気的に接続されることが可能である。一例において、有機発光ダイオード表示装置は、アレイ基板Aと対向基板Bの間に位置し且つアレイ基板Aと対向基板Bとをセル状に封止するシーラント層を含む。必要に応じて、前記シーラント層は、複数の導電ビーズを含む。前記シーラント層は、(例えば、接触するか又は接続線により)陰極400と補助陰極50の両方に電気的に接続されることで、陰極400と補助陰極50とを電気的に接続する。本開示によって各種の代替的な実施方式を実践することができる。
【0052】
別の側面において、本開示は、サブピクセル領域と、サブピクセル間領域とを有する有機発光ダイオード表示基板を製造する方法を提供する。幾つかの実施例において、前記方法は、ベース基板上に補助陰極を形成するステップを含む。本方法に係る前記補助陰極を形成するステップは、透明導電サブ層を形成し、前記透明導電サブ層の前記ベース基板から遠い側に金属導電サブ層を形成するステップを含む。前記金属導電サブ層は、実質的に前記サブピクセル間領域内に形成される。必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成される。
【0053】
先ず前記表示基板上に透明導電サブ層を形成し、その後に前記透明導電サブ層上に金属導電サブ層形成することで、補助陰極の特性及び性能が顕著に強化される。前記透明導電サブ層は、有機材料層(例えば、オーバーコート層、ブラックマトリクス層又はカラーフィルタ)に対して比較的高い接着力を有する。同時に、前記金属導電サブ層もまた、前記透明導電サブ層に対して比較的高い接着力を有する。補助陰極を、透明導電サブ層上に金属導電サブ層が積み重なるようにすることで、補助陰極の全体的な抵抗が更に低下し、且つ金属が表示基板から脱落する問題が回避される。
【0054】
具体的には、幾つかの実施例における透明導電サブ層を形成するステップは、室温堆積プロセスにて、前記ベース基板上に透明導電材料を堆積させるステップを含む。本文に使われているように、用語「室温堆積」は、一般的に比較的に涼しく且つ意図的に加熱されていない堆積環境で実行される堆積プロセスを指す。例えば、堆積プロセスは、例えば約25度の温度のような環境条件下で、堆積チャンバー内で実行することができる。必要に応じて、室温堆積プロセスは、約(必ずしも正確である必要はない)室温で実行される室温スパッタリングプロセスである。別の例において、室温堆積は、基板又はチャンバーに追加的な加熱をせずに実行されるスパッタリングプロセスに関わる。室温堆積プロセスにて透明導電サブ層を形成することで、対向基板における有機材料で作られた層に対する損傷を最小化することができ、他の堆積方法に比べて、下層に対して優れた接着が可能になる。
【0055】
幾つかの実施例において、前記方法は、前記ベース基板上にブラックマトリクス層を形成するステップを更に含む。必要に応じて、前記補助陰極を形成するステップは、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含む。前記金属導電サブ層は、前記ブラックマトリクス層の前記ベース基板上における投影が前記金属導電サブ層の前記ベース基板上における投影を実質的に覆うように形成される。
【0056】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、前記サブピクセル領域と前記サブピクセル間領域の両方に形成される。必要に応じて、前記透明導電サブ層を形成するステップは、例えば、パターン化せずに、前記対向基板上に透明導電材料を堆積させるステップを含む。
【0057】
幾つかの実施例において、前記方法は、前記ベース基板上にオーバーコート層を形成するステップを更に含む。必要に応じて、前記補助陰極を形成するステップは、前記オーバーコート層の前記ベース基板から遠い側に前記補助陰極を形成するステップを含む。必要に応じて、前記金属導電サブ層は、前記透明導電サブ層と接触するように形成され、前記透明導電サブ層は、前記オーバーコート層と接触するように形成される。
【0058】
必要に応じて、前記透明導電サブ層は、金属酸化物で作られている。
【0059】
幾つかの実施例において、前記方法は、カラーフィルタを形成するステップを更に含む。必要に応じて、前記透明導電サブ層は、前記透明導電サブ層の前記ベース基板上における投影が前記カラーフィルタの前記ベース基板上における投影を実質的に覆うように形成される。
【0060】
図6A~6Eは、本開示に係る幾つかの実施例における有機発光ダイオード表示基板を製造する過程を示す。
図6Aを参照すると、ブラックマトリクス層20がベース基板10上に形成され、ブラックマトリクス層20は、実質的にサブピクセル間領域2内に形成される。
図6Bを参照すると、その次に、カラーフィルタ30がベース基板10上に形成される。カラーフィルタ30は、実質的にサブピクセル領域1内に形成され、且つ
図6Bにおけるカラーフィルタブロック30a及び30bのような複数のカラーフィルタブロックを有するように形成される。
図6Cを参照すると、ブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30を形成後、前記表示基板の表面を平坦化するように、オーバーコート層40が、ブラックマトリクス層20及びカラーフィルタ30のベース基板10から遠い側に形成される。
図6Dを参照すると、透明導電サブ層60が、オーバーコート層40のベース基板10から遠い側に形成される。透明導電サブ層60は、室温スパッタリングプロセスによって形成され、且つオーバーコート層40と接触するように形成される。透明導電サブ層60とオーバーコート層40の間の優れた接着が達成される。透明導電サブ層60は、サブピクセル領域1及びサブピクセル間領域2全体にわたって延在する連続した層として形成されることができる。
図6Eを参照すると、金属導電サブ層70が、透明導電サブ層60のベース基板10から遠い側に形成される。金属導電サブ層70は、実質的に前記サブピクセル間領域内に形成される。ブラックマトリクス層20のベース基板10上における投影は、金属導電サブ層70のベース基板10上における投影を実質的に覆う。
【0061】
本発明の実施例の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、或いは本発明を開示された正確な形式又は開示された例示的な実施例に限定することを意図したものではない。従って、前述の説明は、限定的なものではなく、説明的なものと見なされるべきである。明らかに、当業者にとって、多様な修正及び変更は自明なものとなる。本実施例は、本発明の原理及びその最適形態の実用的な適用を説明するために選択及び記載され、これにより、当業者は、本発明の特定用途又は意図される実施形態に適した様々な実施例及び様々な変形を理解できるようになる。本発明の範囲は、ここに添付される特許請求の範囲及びその均等物により定義されることが意図されており、その中で、すべての用語は、特に明記しない限り、その最も広い合理的な意味である。従って、「発明」、「本発明」等の用語は、必ずしも特許請求の範囲を具体的な実施例に限定するものではなく、本発明の例示的な実施例に対する言及は、本発明に対する限定を意味するものではなく、且つこのような限定が推論されるべきではない。本発明は、添付された請求項の範囲の精神及び範囲のみにより限定される。なお、これらの請求項は、名詞又は要素の前に「第1」、「第2」等の用語を使用してもよい。このような用語は、命名法として理解されるべきであり、既に具体的な数量が与えられていない限り、このような命名法により修飾される要素の数量に対する限定として解釈されるべきではない。記載された効果及び利点が本発明のすべての実施例に適用されるわけではない。理解すべきことは、当業者は、以下の請求項により限定される本発明の範囲を逸脱せずに、記載された実施例に対する変形を行うことができる。なお、本開示におけるいかなる要素及び構成部品も、該要素又は構成部品が以下の請求項に明示的に列挙されているか否かを問わず、公衆に捧げることを意図するものではない。