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特許7255783光学ユニット及びその光学ユニットを使った街路灯用のLED照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】光学ユニット及びその光学ユニットを使った街路灯用のLED照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 13/04 20060101AFI20230404BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20230404BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230404BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20230404BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20230404BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230404BHJP
【FI】
F21V13/04 500
F21S8/08 110
F21S8/08 200
F21V5/04 200
F21V7/04
F21V31/00 200
F21Y115:10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018242320
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020107403
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月21日ウェブサイト「https://iotnews.jp/archives/111598」掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】315018554
【氏名又は名称】株式会社スリーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 邦善
(72)【発明者】
【氏名】島崎 宗久
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072081(JP,A)
【文献】特開2014-093233(JP,A)
【文献】特開2016-225060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0110083(US,A1)
【文献】特開2017-010676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 13/04
F21S 8/08
F21V 5/04
F21V 7/04
F21V 31/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料からなる透明光学部材とこの透明光学部材に重ねて配置され反射材料で形成された反射光学部材とを備える光学ユニットであって、
前記透明光学部材は、
LEDを収容するように凹んだ第1凹み部と、
前記第1凹み部とは反対側で前記LEDの光軸に対して半球体に形成された第1外郭部と、
前記半球体の第1縁部に形成されるとともに、前記第1外郭部よりも高く形成された第2外郭部と、
前記第2外郭部内に形成された第3凹み部と、を有し、
前記反射光学部材は、
平面視で前記第1外郭部の大きさの開口を有する枠部と、
前記枠部から立ち上がり前記第2外郭部の側面に隣接した側壁と、
前記側壁から前記第2外郭部の屋根面を覆うよう天井壁と、を有し、
前記透明光学部材と前記反射光学部材とで、前記LEDからの光を所定方向に導く光学ユニット。
【請求項2】
前記透明光学部材の断面は、前記第1縁部の方向には前記凹み部から前記第1外郭部までの厚さが薄く、前記第1縁部の反対側の第2縁部の方向には前記凹み部から前記第1外郭部までの厚さが厚く形成されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記半球体は、平面視で楕円形状又はトラック形状を含み、前記楕円形状又はトラック形状の長手方向が前記第1縁部に接する請求項1又は請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記凹み部の径は、前記第2外郭部の幅と同じである請求項1又は請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記反射光学部材の前記側壁は、曲面に形成されている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
基板に前記LEDがN(Nは1以上の自然数)行M(Mは2以上の自然数)列に配置される際に、
前記透明光学部材は、一枚の透明平板にN行M列で形成され、
前記反射光学部材は、一枚の反射平板にN行M列で形成されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
野外の壁や柱に固定される街路灯用のLED照明器具であって、
LEDを配置した基板と、
前記基板に重ねて配置され、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学ユニットと、
前記光学ユニットを覆い防水する防水カバーと、を備え、
前記光学ユニットは、前記第2外郭部が前記壁又は前記柱の側に配置されている街路灯用のLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱等に取り付けられる街路灯用のLED照明器具、及びそれに使用される光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
LED(レーザー発光ダイオード)を用いた街路灯は、車道を広範囲に照明しつつ省電力化が図られている。例えば特許文献1のLED照明装置は、照明器具にLEDに半球状のレンズが取り付けられた照明ユニットに角度変更部が取り付けられている。そしてその角度変更部によっていろいろな角度方向に照明光が指向するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-258007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の照明された状態を確認しながら照明ユニットの角度を変更することは手間がかかる作業である。また複数の照明ユニットの角度を変更することによって明るい領域と暗い領域とが混在すると歩行者にとって不快なグレアとなる。そしてLEDの照射光量を有効に活用できないという問題もあった。
【0005】
そこで本発明は、上記課題を解決するため、効率的な有効光束を照射することができる光学ユニットを提供する。またその光学部材を使った街路灯用のLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は、透明材料からなる透明光学部材とこの透明光学部材に重ねて配置され反射材料で形成された反射光学部材とを備える光学ユニットである。そして光学ユニットの透明光学部材は、LEDを収容するように凹んだ凹み部と、凹み部とは反対側でLEDの光軸に対して半球体に形成された第1外郭部と、半球体の第1縁部に形成されるとともに、第1外郭部よりも高く形成された第2外郭部と、を有する。また、光学ユニットの反射光学部材は、平面視で第1外郭部の大きさの開口を有する枠部と、枠部から立ち上がり第2外郭部の側面に隣接した側壁と、を有する。透明光学部材と反射光学部材とで、LEDからの光を所定方向に導く。
【0007】
また実施形態の透明光学部材の断面は、第1縁部の方向には凹み部から第1外郭部までの厚さが薄く、第1縁部の反対側の第2縁部の方向には凹み部から第1外郭部までの厚さが厚く形成されていることが好ましい。また半球体は、平面視で楕円形状又はトラック形状を含み、楕円形状又はトラック形状の長手方向が第1縁部に接することが好ましい。また、透明光学部材の凹み部の径は、第2外郭の幅と同じであることが好ましい。
【0008】
反射光学部材は、側壁から第2外郭部の屋根面を覆うよう天井壁を有することが好ましい。反射光学部材の側壁は曲面に形成されることが好ましい。
【0009】
基板にLEDがN(Nは1以上の自然数)行M(Mは2以上の自然数)列に配置される際には、透明光学部材は、一枚の透明平板にN行M列で形成され、反射光学部材は、一枚の反射平板にN行M列で形成されることが好ましい。
【0010】
本実施形態は、野外の壁や柱に固定される街路灯用のLED照明器具である。そののLED照明器具は、LEDを配置した基板と、基板に重ねて配置される光学ユニットと、光学ユニットを覆い防水する防水カバーと、を備える。そして光学ユニットは、第2外郭部が壁又は柱の側に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学ユニットは、効率的な有効光束を照射することができる。またその光学ユニットを使ったLED照明器具も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】街路灯用のLED照明器具の斜視図である。
図2】街路灯用のLED照明器具のブロック図である。
図3】(a)は、照明ユニットをY軸方向で切断した断面図であり、(b)は(a)のB-B断面図である。
図4】(a)は、Y軸方向で切断した透明光学部材の拡大断面図であり、(b)はX軸方向で切断した透明光学部材の拡大断面図である。
図5】(a)は、透明光学部材の-Z軸方向から全体平面図であり、(b)は+Y軸方向からみた全体側面図であり、(c)は+X軸方向からみた全体側面図である。
図6】反射光学部材の拡大斜視図である。
図7】(a)は、反射光学部材の-Z軸方向から全体平面図であり、(b)は+Y軸方向からみた全体側面図であり、(c)は+X軸方向からみた全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る街路灯用のLED照明器具について説明する。以下の実施形態において、LED照明器具は、一般道又は高速道路等に配置される街路灯用のLED照明器具として説明する。なお、説明に用いる各図はこれら発明を理解できる程度に概略的に示してあり、大きさ、角度又は厚み等は誇張して描いている。また説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。
【0014】
<LED照明器具の概略>
街路灯用のLED照明器具100は、屋外の壁や柱に取り付けられて、一般道などを照らす街路灯の役目を果たす。LED照明器具100は、例えば6m幅の道路に40~60m間隔で配置される。図1に示すように、街路灯用のLED照明器具100は、本体カバー95の下側(-Z軸側)に配置された照明ユニット10と、本体カバー95の下側に配置された制御ユニット20と、本体カバー95の上側(+Z軸側)に配置された太陽光発電を行うソーラーパネル30(図2を参照)と、本体カバー95の下側に配置された監視カメラ50と、LoRaアンテナ60とを備えている。制御ユニット20の筐体には、支柱に対して本体カバー95の傾きを変える角度調整部90が設けられている。なお本体カバー95は、風雨に耐えられるようにアルミニウム合金等で形成されている。
【0015】
また街路灯用のLED照明器具100は、光の光量が増えると電気抵抗が下がるフォトレジスタCDSと、人間等の接近や所在を感知する人感センサHDSとが本体カバー95の下側に有している。そしてLED照明器具100は、制御ユニット20の筐体に設けられた角度調整部90を介して、支柱(不図示)又は壁に固定される。支柱又は壁は、たとえばその内部に交流100V用の電線(図2の外部電源AC)を挿通可能に構成されていることが好ましい。
【0016】
1つの照明ユニット10は、例えば消費電力15Wであり、例えば三段階調光可能なLED調光部27(図2を参照)が採用されている。図1では照明ユニット10が2つ配置され30Wの照明になっているが、配置地域や用途に応じて、照明ユニット10を1つ(15W)にしたり3以上(45W,60W……)にしたりしてもよい。照明ユニット10は、支柱に取り付けられる角度調整部90を基準にして前方(+X軸方向)で且つ下方(-Z軸方向)を照らすように構成されている。上述した角度調整部90が支柱に対して90度に取り付けられていても、照明ユニット10から照射される光の大半は支柱に対して前方(+X軸方向)に向けられ、光は後方(-X軸方向)にはあまり届かない。なお図1では、照明ユニット10は防水カバーが取り外された状態で描かれている。
【0017】
監視カメラ50は、半球形の防水カバー内に広角レンズを有した例えば1000万画素のデジタルカメラである。監視カメラ50は、定期的に静止画像を撮像したり動画像を撮影したりする。静止画像もしくは動画像は、デジタルデータとして取得される。また、監視カメラ50は、制御部21及び通信部29(図2を参照)を介して、基地局へ画像を送信してもよいし、内蔵の記憶媒体(不図示)に画像を記憶してもよい。街路灯用のLED照明器具100は、防犯上の設備として、監視カメラ50の画像に基づいて回転する防犯赤色灯や警報ブザーを装着してもよい。
【0018】
LoRaアンテナ60は、基地局と通信するため、LPWAN(Low Power Wide Area Network)技術を用いて通信する際に使われるアンテナである。「LPWAN」とは、低消費電力で広域無線通信を行うことができる技術であり、LoRa通信は、LPWAN技術の伝送技術の一種である。LoRaアンテナ60は、監視カメラ50が撮影した画像等を基地局に無線送信することができる。なお、本実施形態ではLoRa通信を前提とするが、これに限られず通信方式はどのようなものであってもよく有線通信であってもよい。
【0019】
フォトレジスタCDSは、外部の明るさを検知して、その信号を出力する。フォトレジスタCDSは、図1では照明ユニット10の前側(+X軸側)に配置されているが、後側(-X軸側)に配置されていてもよい。
【0020】
人感センサHDSは、超音波や赤外線を使って人間等の接近や所在を感知する。人感センサHDSは、図1では照明ユニット10の前側(+X軸側)に配置されているが、照明ユニット10の後側(-X軸側)に配置されていてもよい。人間等を感知し易い位置であれば、本体カバー95のどの位置に人感センサHDSが取り付けられてもよい。
【0021】
本体カバー95上側(+Z軸側)ソーラーパネル30(不図示)は、パネル表面に複数のセルが並列された太陽電池モジュールを含んでいる。太陽電池モジュールは、パネルの両面にセルが設けられた両面受光型を採用することが好ましいが、太陽電池モジュールは、パネルの片面にセルが設けられた片面受光型であってもよい。
【0022】
<制御ユニットの概略>
次に図2を使って制御ユニット20を説明する。図2は街路灯用のLED照明器具のブロック図であり、図2において、一点鎖線で囲まれている範囲が制御ユニット20である。制御ユニット20は、メイン制御部21、ソーラー充電回路23、AC/DC充電回路25、LED調光部27、通信部29及びバッテリBATなどを有している。また図2において、二重線は電源を供給する電源線を示しており、実線は命令又はデータなどの信号を送受信する信号線を示している。なお、LED調光部27は制御ユニット20内ではなく、照明ユニット10の回路基板に設けられても良い。
【0023】
メイン制御部21は、実線である信号線で示されているように、フォトレジスタCDS及び人感センサHDSから信号を受け取る。またメイン制御部21は、ソーラー充電回路23、AC/DC充電回路25、LED調光部27、通信部29、及び監視カメラ50に対して信号もしくはデータを送受信する。
【0024】
バッテリBATは、鉛電池、リチウムイオン電池又は固体電池等が適用でき、本実施形態ではリチウムイオン電池を使用している。二重線である電源線で示されているように、バッテリBATは、ソーラーパネル30又は外部電源ACにより充電され、メイン制御部21等へ給電する。
ソーラー充電回路23は、停電が発生していない通常時においては、バッテリBATの充電量が常に満充電となるように充電を行う。なお、常に満充電とするのではなく、バッテリBATの充電量が一定値以下になった場合に、電気供給を開始して満充電まで充電するようにしてもよい。ソーラー充電回路23は、メイン制御部21からの信号を受信して、外部電源ACよりもソーラーパネル30からの供給電力を優先してバッテリに充電する。ソーラー充電回路23は、日射量の増加と共にソーラーパネル30で発生する出力電圧が上昇し、その出力電圧がバッテリBATの充電許容電圧に達したとき、バッテリBATの回路との接続を切り離してバッテリBATへの給電を停止させるかあるいはその回路の短絡によってバッテリBATへの給電を停止させる。一方、監視カメラ50及び通信部29等が稼働しており、これらの直流負荷によってバッテリBATの電圧は徐々に低下し、この電圧がソーラー充電回路23の充電開始点に達したとき、ソーラー充電回路23は、バッテリBATへの充電を再開する。
【0025】
外部電源ACは、交流100Vの商用電源であり、ソーラーパネルから得られる電流が少なくバッテリBATの充電容量が少ない場合に、外部電源ACからバッテリBATに充電される。特にバッテリBATの容量が大きい場合や、バッテリBATの容量が少なくなっても問題が少ない場合には、AC/DC回路25が不要でありバッテリBATに外部電源ACから充電しなくてもよい。
【0026】
AC/DC回路25は、交流100Vを直流に変換する回路である。またAC/DC回路25は、メイン制御部21からの信号を受信して、ソーラーパネル30からの充電が少なくバッテリBATの容量が所定値より少なくなった場合等に、バッテリBATを充電させる。
【0027】
フォトレジスタCDSは、外部の明るさの信号をメイン制御部21に送信する。メイン制御部21は、その信号に基づいて、外部が暗くなれば照明ユニット10を自動点灯させ、明るくなれば自動消灯させるための信号をLED調光部27に送信できる。
【0028】
人感センサHDSは、人間等の接近の信号をメイン制御部21に送信する。メイン制御部21は、その感知信号に基づいて、照明ユニット10がより明るくなるように調光する信号をLED調光部27に送信したりできる。またメイン制御部21は、感知信号に応じて、静止画像の撮像枚数を増やしたりする信号、もしくは静止画像から動画像へと変更したりする信号を監視カメラ50に送信できる。
【0029】
LED調光部27は、照明ユニット10の明るさを調光できる。メイン制御部21からの信号に基づいて、例えば、外部の明るさ、時間帯又はバッテリの残量に応じて二段階、三段階、四段階等で調光することができる。
【0030】
監視カメラ50は、撮影した静止画像もしくは動画像をJPEG、MXcodec等のフォーマットで画像圧縮できる。また監視カメラ50は、画像圧縮した画像データをメモリなどの記憶装置に記憶することができる。また監視カメラ50は、AI(artificial intelligence)機能を有しても良く、荷物の置きっぱなし等の検知をすることもできる。なお、画像圧縮等のすべてを監視カメラ50で実行するのではなく、一部又は全部をメイン制御部21で担ってもよい。また図示しない基地局からの指示に応じてメイン制御部21は、静止画像の撮影周期を変えたり、静止画像から動画像へ又はその逆に変更したりする信号を監視カメラ50に送信してもよい。
【0031】
通信部29は、クラウド又はオンプレミスのサーバなどの基地局とLoRaアンテナ60を使って通信する。照明ユニット10の照射状態などの信号を送信したりLED監視カメラ50が撮影した画像等を基地局に無線送信したりすることができる。また通信部29は、基地局からの命令信号などを受信してその命令信号をメイン制御部21に送信することもできる。
【0032】
<照明ユニット10の構成>
以下、図3を使って、照明ユニット10について説明する。
【0033】
図3(a)はLED素子125を通過するY軸方向で切断した照明ユニット10の断面図である。図3(b)は(a)のB-B断面図であり、LED素子125を通過するX軸方向で切断した照明ユニット10の断面図である。照明ユニット10は、+Z軸側から-Z軸方向に順に、放熱板110、LED基板120、透明光学部材130、反射光学部材140、及び防水カバー150が重ねて設けられている。本実施形態では、透明光学部材130及び反射光学部材140が光学ユニットを構成する。LED基板120には、LED実装端子126の上に封止樹脂等で封止された10個のLED125が載っている。なお、LED実装端子126とLED125との形状に関しては、図3で示されるように、LED基板120に載って-Z軸方向に突き出た形状ではなく、LED基板120の内部にLED125等が形成されて、-Z軸方向に突き出ない形状であっても良い。
【0034】
放熱板110は、アルミダイキャスト等からなり複数のフィンが形成されている。LED基板120は、LED125を例えば5行×2列で10個有している。透明光学部材130は透明ガラス又は透明プラスチック(ポリカーボネートもしくはアクリル(PMMA)等)で構成されることが好ましい。10個のLED125に対して10個のレンズ131を有する1つの透明光学部材130が設けられている。しかし、1個のLED125に対して1個のレンズ131のみからなる1個の透明光学部材130を配置しても良い。反射光学部材140は、鏡面を有するアルミダイカストであってもよく、プラスチック樹脂にニッケルメッキ等を施したものでもよい。10個のLED125に対して10個の反射鏡141を有する1つの反射光学部材140が設けられている。しかし、1個のLED125に対して1個の反射鏡141のみからなる1個の反射光学部材140を配置しても良い。防水カバー150透明ガラス又は透明プラスチック(ポリカーボネートもしくはアクリル(PMMA)等)で構成されることが好ましい。特に防水カバー150はゴムパッキンやOリングでLED基板120を封止することが望ましい。
【0035】
図3(b)に示されるように、LED基板120、透明光学部材130、及び反射光学部材140はそれぞれ孔部HLを有しており、位置決めされてからネジなどの締結部SCで締結される。透明光学部材130及び反射光学部材140は、LED素子125から-Z軸方向を中心に照射される放射状の光を-Z軸に対して前方(+X軸方向)に照射する。その前方への傾き角度は、-Z軸に対して5度から40度程度である。つまり光学ユニットである透明光学部材130及び反射光学部材140は、LED素子125から照射される放射状の光を-Z軸に対して後方(-X軸方向)に照射しないようにしている。
【0036】
<透明光学部材の概略>
本実施形態の透明光学部材130は、10個のレンズ131を有する。図4及び図5を使って、透明光学部材130を詳述する。図4(a)は、Y軸方向で切断した透明光学部材130の1個のレンズ131の拡大断面図である。(b)はX軸方向で切断した透明光学部材130の1個のレンズ131の拡大断面図である。
【0037】
図4(a)に示されるように、LED基板120に搭載されたLED125(図3)をレンズ131内に収納するための第1凹み部132及び第2凹み部133が中空で形成されている。第1凹み部132はZ軸側から見ると円形もしくは楕円形であり、第2凹み部133はZ軸側から見ると円形、楕円形又は矩形状である。第2凹み部133は、LED基板120から-Z軸方向に突き出ているLED実装端子126用に凹んで形成されているため、LED実装端子126がLED基板120から突き出ていなければ無くても良い。
【0038】
また、レンズ131は第1外郭136を有しており、X軸方向から見ると、第1外郭136は楕円形状又はトラック形状を半分にした外周である。つまり、第1外郭136は短径の外周136aと長径の外周136bとを有している。このような楕円形状又はトラック形状を半分にした外周を有する第1外郭136は、LED125が照射する光をY軸方向に広がりやすくしている。街路灯用のLED照明器具100は、例えば道幅6mの片側に配置されるため、X軸方向には6m前後を明るく照明すればよい。そして街路灯用のLED照明器具100は40から60m間隔に配置されるため、1つのLED照明器具100は道路の伸びる方向(Y軸方向)に20m以上明るく照明できることが好ましい。この第1外郭136を有するレンズ131で、Y軸方向に光を照射しやすくしている。
【0039】
図4(b)に示されるように、第1凹み部132は、+X軸側と-X軸側とで凹み深さが異なっており、+X軸側では凹み132aが浅く、-X軸側とで凹み132bが深くなっている。レンズ131の第1外郭136は、-Y軸方向から見るとほぼ円形であり、第1外郭136は斜視方向から見ると半球体である。このため、+X軸側でレンズ131の凹み部132から第1外郭部136までの厚さD1が厚く、-X軸側でレンズ131の凹み部132から第1外郭部136までの厚さD2が薄くなっている。これはLED125から-Z軸方向を中心として放射状に照射される光を、できるだけ+X軸方向に屈折させるためである。
【0040】
第1外郭136の-X軸方向である半球体の縁部には、第2外郭138が形成される。第2外郭138は屋根面138a、第1側面138b及び第2側面138cを有している。また第2外郭138の内部には第3凹み部134が形成される。この第3凹み部134は光を反射させるため、またレンズ131が樹脂製の場合には“ヒケ”もしくは“ソリ”を防ぐために形成される。実施形態では屋根面138aは平面であるが、-Z軸方向に膨らんだ曲面であっても良い。図4(a)に示されるように、第2外郭138の幅は、第1外郭136の幅よりも小さく第1凹み部132の幅とほぼ同じである。これはグレアを抑えるためであり、これより幅が広くなるとグレアが発生しやすくなる。
【0041】
基準となる平板135の天面からの第2外郭138の高さH2は、第1外郭136の高さH1よりも高く、第2外郭138の高さH2は第1外郭136の高さH1の約1.3倍から1.7倍である。これはLED125から-X軸方向に放射された光をできるだけ+X軸方向に反射させるためである。この-X軸方向に放射された光には、第1凹み部132及び第1外郭136を透過屈折して第1側面138bに照射される光がある。この光の一部が空気と第1側面138bとの境界で反射される。また、第1凹み部132又は第2凹み部133を透過屈折して第3凹み部134の側面に照射される光がある。この光の一部が第2外郭138と第3凹み部134の空気との境界で反射される。
【0042】
図5(a)は、10個のレンズ131を有する1つの透明光学部材130の全体平面図であり、図5(b)は+Y軸方向からみた全体側面図であり、図5(c)は+X軸方向からみた全体側面図である。LED基板120(図3)に対して位置決めするために、透明光学部材130は、レンズ131に共通する平板135に切り欠き部139を有しており、その平板135の底面(+Z側)にLED基板130に入るピンPNを有している。これにより、それぞれのLED125から放射される光は、照明すべき方向に向けられる。また透明光学部材130の平板135の天面(-Z側)には、反射光学部材141のピンPNを入れるための位置決め穴PHが形成されている。また10個のレンズ131を1枚の透明光学部材として製造すると、製造工程や製作コストを下げることができる。
<反射光学部材の概略>
本実施形態の反射光学部材140は、10個の反射鏡141を有する。図6及び図7を使って、反射光学部材140を詳述する。図6は、斜視方向から見た反射光学部材140の1個の反射鏡141の拡大断面図である。
【0043】
図6に示されるように、反射鏡141は枠144を有しておりその枠内に1つの円形もしくは楕円形の開口142を有している。この開口142はレンズ131を重ねた場合にレンズ131が入る大きさに形成されている。また枠144は、+X軸側の厚みH3が低く、-X軸側が徐々に高くなるように形成されている。+X軸側の厚みH3はできるだけ低くすることが好ましい。反射鏡141の開口142の周囲には、Z軸方向からみると円形もしくは楕円形に曲がった側壁143を有している。枠部144の厚みから理解できるように、+X軸方向の側壁143aは厚みが薄く(高さが低く)、-X軸方向の側壁143bは厚みが厚く(高さが高く)形成される。-X軸方向の側壁143bの-Z軸方向には天井壁146が形成されている。この天井壁146は、レンズ131の第2外郭138を覆うように-X軸方向の側壁143bからX軸方向に幅W1で形成されている(図7(a)も参照)。また平板145の底面からこの天井壁146は高さH4で形成されている(図7(b)も参照)。この天井壁146の高さH4は、第2外郭138の高さH2よりも高いもしくほぼ同じである。
【0044】
側壁143及び天井壁146は光を反射させる鏡面に仕上げられている。例えば反射光学部材140がアルミダイカストであれば、少なくとも側壁143及び天井壁146が鏡面仕上げされることが好ましい。また反射光学部材140がプラスチック樹脂にニッケルメッキ等を施したものであれば、少なくとも側壁143及び天井壁146が鏡面仕上げされることが好ましい。
【0045】
図4で説明したように、レンズ131から-X軸方向に放射された一部の光は、第2外郭138の第1側面138bで反射されたり、第2外郭138内の第3凹み部134の側面で反射されたりする。反射されなかった残りの光は、第1側面138b及び第2側面138cを通過する。反射鏡141の側壁143及び天井壁146は、このように第2外郭138を通過した光を、反射させて+X軸方向に向かわせる。
【0046】
図7(a)は、10個の反射鏡141を有する1つの反射光学部材140の全体平面図であり、図7(b)は+Y軸方向からみた全体側面図であり、図7(c)は+X軸方向からみた全体側面図である。レンズ131と反射鏡141との位置関係を示すために、図7(a)の左下に、レンズ131を一点鎖線で描いている。
【0047】
透明光学部材130(図5)に対して位置決めするために、反射光学部材140は、反射鏡141に共通する平板145に平板に切り欠き部149を有しており、その平板145の底面(+Z側)に透明光学部材130の位置決め穴PHに入るピンPNを有している。これにより、それぞれのLED125から放射される光は、照明すべき方向に正確に反射させられる。また10個の反射鏡141を1枚の反射光学部材として製造すると、製造工程や製作コストを下げることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…照明ユニット
20…制御ユニット
21…メイン制御部、 23…ソーラー充電回路、 25…AC/DC充電回路、 27…LED調光部、 29…通信部
30…ソーラーパネル、 50…監視カメラ、 60…LoRaアンテナ
100…LED照明器具
110…放熱板
120…LED基板、 125…LED
130…透明光学部材
131…レンズ、 132…第1凹み部、 133…第2凹み部、 134…第3凹み部、
135…平板、 136…第1外郭(136a…短径の外形、136b…長径の外形)、 138…第2外郭(138a…屋根面、138b…第1側面、138c…第2側面)、 139…切り欠き部
140…反射光学部材
141…反射鏡、 142…開口、 143…側壁、 144…枠部、 145…平板、 146…天井壁、 149…切り欠き部
150…防水カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7