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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】モータユニットおよび駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20230404BHJP
   F16H 25/18 20060101ALI20230404BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20230404BHJP
   E06B 9/74 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H25/18 A
E06B9/72
E06B9/74 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019547005
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2018037160
(87)【国際公開番号】W WO2019070015
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2017195910
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】笠井 信也
(72)【発明者】
【氏名】船越 慎二
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭二
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-255833(JP,A)
【文献】特開2006-262688(JP,A)
【文献】特開2004-027841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 25/18
E06B 9/72
E06B 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びる出力軸と、
前記出力軸に連結される減速機と、
前記減速機に設けられ、ロックピンの軸方向移動に伴って前記出力軸と前記モータとの動力伝達状態を切り換える切換機構と、
前記減速機に連結されるモータと、
前記ロックピンに接続され、前記ロックピンの軸方向位置を維持する位置ロック機構と、
を備え、
前記位置ロック機構は、
前記ロックピンの前記減速機と反対側に接続される連結ロッドと、
前記ロックピンの前記連結ロッド側に設置され、前記ロックピンを軸方向に押すコイルスプリングと、
前記連結ロッドに連結され、前記連結ロッドを前記軸方向に移動するハートカム装置と、
を有し、
前記ハートカム装置は、
前記連結ロッドに連結されて前記ロックピンを操作する操作部と、
環状の溝からなるカム部を有する筐体と、
前記カム部内に位置するカムフォロアと、
前記カムフォロアと前記操作部とを連結するリンクと、
を有し、
前記操作部と前記連結ロッドと前記ロックピンとが、軸方向から見て重なる位置に配置され、
前記カム部は、
前記操作部が前記減速機側に進出する進出位置において前記カムフォロアが配置される第1位置と、
前記操作部が前記進出位置よりも後退する後退位置において前記カムフォロアが配置される第2位置と、
前記進出位置から前記後退位置への切り換え時に、前記第1位置から前記第2位置に移動する前記カムフォロアが通過する第1通路と、
前記第1通路の前記第1位置よりも前記第2位置側に接続され、前記後退位置から前記進出位置への切り換え時に、前記第2位置から前記第1位置に移動する前記カムフォロアが通過する第2通路と、
前記第1通路と前記第2通路との接続部分よりも前記減速機側に位置し、前記カムフォロアを収容可能な逃げ溝部と、
を有し、
前記第1通路の幅は、前記接続部分において前記逃げ溝部よりも広く、前記接続部分から前記第2位置に向かうに従って狭くなる、
モータユニット。
【請求項2】
前記コイルスプリングを収容し前記減速機に固定されるスプリングケースを有し、
前記コイルスプリングの軸方向一方側の端部は前記スプリングケースの内面に接触し、
前記コイルスプリングの軸方向他方側の端部は前記ロックピンの端面に接触する、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータユニットと、
前記モータユニットを収容し軸方向に延びる筒状のユニットケースと、
前記ユニットケースの径方向外側に配置され前記出力軸と連結される円筒状の回転筒と、を備える
駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットおよび駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】

従来、電動シャッターの開閉等に用いられる駆動装置として、ブレーキ解除機構を備えた駆動装置が知られる(特許文献1参照)。このようなブレーキ解除機構は、例えば、停電時、故障時、災害時といった非常時等において、シャッターを手動で迅速に開放させるために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【文献】特開2006-097267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

しかしながら、従来の駆動装置では、ブレーキ解除時の荷重を低減するために減速機の径方向外側にトルクを減少させる機構が配置されていたため、装置全体が大型化する問題があった。
【0005】

本発明は、上記問題点に鑑みて、装置を大型化することなく、小さい力で出力軸とモータとの連結状態の切り替えを可能とするモータユニットおよび駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、中心軸に沿って延びる出力軸と、前記出力軸に連結される減速機と、前記減速機に設けられ、ロックピンの軸方向移動に伴って前記出力軸と前記モータとの動力伝達状態を切り換える切換機構と、前記減速機に連結されるモータと、前記ロックピンに接続され、前記ロックピンの軸方向位置を維持する位置ロック機構と、を備え、前記位置ロック機構は、前記ロックピンの前記減速機と反対側に接続される連結ロッドと、前記ロックピンの前記連結ロッド側に設置され、前記ロックピンを軸方向に押すコイルスプリングと、前記連結ロッドに連結され、前記連結ロッドを前記軸方向に移動するハートカム装置と、を有し、前記ハートカム装置は、前記連結ロッドに連結されて前記ロックピンを操作する操作部と、環状の溝からなるカム部を有する筐体と、前記カム部内に位置するカムフォロアと、前記カムフォロアと前記操作部とを連結するリンクと、を有し、前記操作部と前記連結ロッドと前記ロックピンとが、軸方向から見て重なる位置に配置され、前記カム部は、前記操作部が前記減速機側に進出する進出位置において前記カムフォロアが配置される第1位置と、前記操作部が前記進出位置よりも後退する後退位置において前記カムフォロアが配置される第2位置と、前記進出位置から前記後退位置への切り換え時に、前記第1位置から前記第2位置に移動する前記カムフォロアが通過する第1通路と、前記第1通路の前記第1位置よりも前記第2位置側に接続され、前記後退位置から前記進出位置への切り換え時に、前記第2位置から前記第1位置に移動する前記カムフォロアが通過する第2通路と、前記第1通路と前記第2通路との接続部分よりも前記減速機側に位置し、前記カムフォロアを収容可能な逃げ溝部と、を有し、前記第1通路の幅は、前記接続部分において前記逃げ溝部よりも広く、前記接続部分から前記第2位置に向かうに従って狭くなる
【0007】

本発明の駆動装置の一つの態様は、上記のモータユニットと、前記モータユニットを収容し軸方向に延びる筒状のユニットケースと、前記ユニットケースの径方向外側に配置され前記出力軸と連結される円筒状の回転筒と、を備える。
【発明の効果】
【0008】

本発明の態様によれば、小さい力で出力軸とモータとの連結状態の切り替えを可能とするモータユニットおよび駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】

図1図1は、本実施形態のシャッター装置の部分を前側から視た断面図である。
図2図2は、本実施形態のモータユニットを示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態のモータユニットの部分を示す斜視図である。
図4図4は、減速機の概略構成を示す断面図である。
図5図5は、減速機の要部構成を示す斜視図である。
図6図6は、位置ロック機構の概略構成を示す図である。
図7図7は、ハートカム装置の概略構成を示す図である。
図8図8は、カム部を前側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】

以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。

各図に示すXYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向とする。X軸方向およびY軸方向は、Z軸方向と直交する水平方向とし、互いに直交する方向とする。以下の説明においては、Z軸方向と平行な方向を「上下方向Z」と呼ぶ。Z軸方向の正の側を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側を「下側」と呼ぶ。なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等はこれらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】

図1に示すように、本実施形態の駆動装置10は、シャッター装置1用の駆動装置である。シャッター装置1は、駆動装置10と、駆動装置10によって昇降されるシャッター80と、を備える。駆動装置10は、モータユニット10aと、回転筒11と、接続部材12と、ベアリング70と、を備える。
【0012】

モータユニット10aは、全体として一方向に延びる円筒状である。モータユニット10aの一端は、固定部材Waを介して壁Wに固定される。モータユニット10aは、出力シャフト(出力軸)34と、ケース(ユニットケース)20と、モータ30と、減速機32と、ブレーキ装置33と、連結切換部(位置ロック機構)60と、回路基板50と、複数の電子部品51,52と、電源装置40と、を備える。
【0013】

出力シャフト34は、一方向に延びる中心軸Jに沿って配置される。本実施形態において中心軸Jは、水平方向のうちX軸方向と平行な方向に延びる。以下の説明において、中心軸Jと平行な方向、すなわちX軸方向と平行な方向を「軸方向X」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、モータユニット10aの各部の配置関係の説明において、軸方向Xにおけるモータユニット10aが壁Wに固定される側、すなわちX軸方向の負の側を「基端側」と呼び、軸方向Xにおける基端側の逆側、すなわちX軸方向の正の側を「先端側」と呼ぶ。
【0014】

ケース20は、軸方向Xに延びる。図1乃至図3に示すように、本実施形態においてケース20は、中心軸Jを中心とする円筒状である。なお、本明細書においてケースが円筒状であるとは、ケースが厳密に円筒状である場合に加えて、ケースが略円筒状である場合も含む。ケースが略円筒状であるとは、ケースの外周面の一部が平坦面である場合等を含む。ケース20は、モータ30、減速機32、ブレーキ装置33、位置ロック機構60と、回路基板50、電子部品51,52、および電源装置40を収容する。
【0015】

図2に示すように、ケース20は、上側ケース21と、下側ケース22と、蓋部23と、を有する。上側ケース21は、上側湾曲板部21aと、一対の上側平板部21bと、を有する。上側湾曲板部21aは、軸方向Xに延び、かつ、周方向に沿って湾曲する板状である。上側湾曲板部21aの軸方向Xに沿って視た形状は、上側に凸となる半円弧状である。一対の上側平板部21bは、上側湾曲板部21aの周方向両端、すなわち本実施形態では上側湾曲板部21aの下端からそれぞれ下側に延びる平板状である。上側平板部21bは、軸方向Xに沿って、上側湾曲板部21aの基端側の端部から先端側の端部まで延びる。なお、図3では、上側ケース21の図示を省略する。
【0016】

図3に示すように、下側ケース22は、下側湾曲板部22aと、一対の下側平板部22bと、を有する。下側湾曲板部22aは、軸方向Xに延び、かつ、周方向に沿って湾曲する板状である。下側湾曲板部22aの軸方向Xに沿って視た形状は、下側に凸となる半円弧状である。一対の下側平板部22bは、下側湾曲板部22aの周方向両端、すなわち本実施形態では下側湾曲板部22aの上端からそれぞれ上側に延びる平板状である。下側平板部22bは、軸方向Xに沿って、下側湾曲板部22aの基端側の端部から先端側の端部まで延びる。下側平板部22bは、下側平板部22bの他の部分よりも径方向内側に突出して配置される突出平板部22cを有する。
【0017】

上側平板部21bと下側平板部22bとは、径方向に重ね合わされてネジで固定される。これにより、上側ケース21と下側ケース22とが固定されて、軸方向Xの両側に開口する円筒状のケース20が構成される。
【0018】

蓋部23は、円板状の部材である。蓋部23は、上側ケース21と下側ケース22とによって構成された筒部の内部における基端側の端部に配置される。蓋部23は、筒部の基端側の開口を塞ぐ。蓋部23は、下側ケース22の内側面にネジで固定される。図1に示すように、蓋部23は、固定部材Waに固定される。
【0019】

図3に示すように、回路基板50は、ケース20の内部において基端側の部分に配置される。回路基板50は、軸方向Xに延びる長方形板状である。回路基板50の基板面50aは、上下方向Zと直交する。基板面50aは、回路基板50の上面である。基板面50aには、図示しないプリント配線が設けられる。
【0020】

電源装置40は、モータ30および回路基板50に電力を供給する。電源装置40は、図2に示す電源ケーブル44を介して図示しない外部電源に接続される。電源装置40は、例えば、外部電源から供給される電力の電圧を変換する変圧器である。図1に示すように、電源装置40は、ケース20の内部において基端側の部分に配置される。本実施形態において基板面50aと電源装置40とは、上下方向Zに隙間を介して対向する。電源装置40は、後述のハートカム装置61を介してケース20に固定される。
【0021】

複数の電子部品51,52は、回路基板50に取り付けられる。電子部品51は、軸方向Xにおける電源装置40と異なる位置において基板面50aに取り付けられる。本実施形態では、電子部品51は、電源装置40よりも先端側において基板面50aに取り付けられる。
【0022】

例えば、電子部品51は、無線通信用の部品である。例えば、電子部品51は、モータユニット10aが外部から送信される信号を受信するための電子部品である。これにより、モータユニット10aの遠隔操作が可能となる。
【0023】

電子部品52は、基板面50aにおける電源装置40と対向する部分に配置される。すなわち、複数の電子部品の少なくとも一部は、基板面50aにおける電源装置40と対向する部分に配置される。そのため、基板面50a上を有効に利用することができる。
【0024】

モータ30は、ケース20の内部において先端側の部分に配置される。モータ30は、モータシャフト31を有する。モータシャフト31は、例えば、中心軸Jを中心として軸方向Xに延びる。モータシャフト31は、減速機32に接続される。すなわち、減速機32はモータ30に連結される。モータ30の先端側の端部は、減速機32の基端側の端部に固定される。本実施形態においてモータ30は、ケース20の内側面から径方向内側に離れて配置される。
【0025】

減速機32は、ケース20の内部において先端側の端部に配置される。減速機32は、上側ケース21と下側ケース22とによって構成された筒部の先端側の開口を塞ぐ。減速機32は、ケース20の内側面に固定される。減速機32には出力シャフト34が接続される。モータシャフト31は、減速機32を介して出力シャフト34に連結される。モータシャフト31の回転は、減速機32を介して減速されて出力シャフト34に伝達される。これにより、モータ30は、モータシャフト31を介して出力シャフト34を回転させる。
【0026】

ブレーキ装置33は、モータ30の基端側の端部に固定される。本実施形態においてブレーキ装置33は、ケース20の内側面から径方向内側に離れて配置される。ブレーキ装置33は、モータ30の回転を制動する。
【0027】

本実施形態においてモータ30は、ケース20に対して、直接的には固定されず、減速機32を介して固定される。また、ブレーキ装置33は、ケース20に対して、直接的には固定されず、モータ30および減速機32を介して固定される。そのため、例えば、ケース20が変形した場合であっても、モータ30と減速機32とブレーキ装置33との相対的な配置関係を保持しやすい。
【0028】

図4は減速機32の概略構成を示す断面図である。 図4に示すように、減速機32は、フランジ部35と、減速機ケース36と、スプリングケース37と、切換機構55とを有する。
【0029】

減速機32は、減速機ケース36に収容された遊星歯車機構2をさらに有する。本実施形態において、遊星歯車機構2は、第1遊星歯車機構3と、第2遊星歯車機構4と、第3遊星歯車機構5とを含む。これら第1遊星歯車機構3、第2遊星歯車機構4および第3遊星歯車機構5は、軸方向一方側(基端側)から軸方向他方側(先端側)に向かってこの順に連結されている。すなわち、本実施形態において、減速機32は、3段構成の遊星歯車機構2を有している。
【0030】

第1遊星歯車機構3は、第1内歯歯車3aと、複数の第1遊星歯車3bと、第1遊星キャリア部3cとを含む。第1遊星歯車機構3の各構成要素は樹脂製である。第1内歯歯車3aは、径方向外側に設けられたつば部を減速機ケース36およびフランジ部35間に挟持することで配置されている。これにより、第1内歯歯車3aは、減速機ケース36に対して固定されている。
【0031】

本実施形態において、第1遊星歯車3bは、回転軸3b1を介して第1遊星キャリア部3cの一方面に回転可能に支持される。複数の第1遊星歯車3bは、第1内歯歯車3aの内周面に設けられた歯3a1およびモータシャフト31に設けられた歯(不図示)に噛み合った状態とされている。第1遊星キャリア部3cは、他方面(第1遊星歯車3bが設けられた面と反対側の面)に出力軸3c1を有している。
【0032】

第1遊星歯車機構3は、モータシャフト31の回転によって複数の第1遊星歯車3bが第1内歯歯車3aに沿って中心軸J回りに移動することで、第1遊星キャリア部3c(出力軸3c1)を所定の回転数で回転させる。
【0033】

第2遊星歯車機構4は、第1遊星歯車機構3の出力軸3c1に連結されている。第2遊星歯車機構4は、第2内歯歯車4aと、第2遊星歯車4bと、第2遊星キャリア部4cとを含む。第2遊星歯車機構4の各構成要素は概ね樹脂製である。本実施形態において、第2内歯歯車4aは、後述する切換機構55によって、減速機ケース36に対する固定状態が切り替え可能とされている。ここで、減速機ケース36に対する固定状態の切換とは、減速機ケース36に対して固定されることで減速機ケース36に対して回転できない状態と、減速機ケース36に対して固定されないことで減速機ケース36に対して回転可能な状態との切り替えを意味する。
【0034】

第2遊星歯車4bは、回転軸4b1を介して第2遊星キャリア部4cの一方面に回転可能に支持される。複数の第2遊星歯車4bは、第2内歯歯車4aの内周面に設けられた歯4a1および第1遊星歯車機構3の出力軸3c1に設けられた歯(不図示)に噛み合った状態とされている。第2遊星キャリア部4cは、他方面(第2遊星歯車4bが設けられた面と反対側の面)に出力軸4c1を有している。
【0035】

第2遊星歯車機構4は、第1遊星歯車機構3の出力軸3c1の回転によって複数の第2遊星歯車4bが第2内歯歯車4aに沿って中心軸J回りに移動することで、第2遊星キャリア部4c(出力軸4c1)を所定の回転数で回転させる。
【0036】

第3遊星歯車機構5は、第2遊星歯車機構4の出力軸4c1に接続されている。第3遊星歯車機構5は、第3内歯歯車5aと、第3遊星歯車5bと、第3遊星キャリア部5cとを含む。第3遊星歯車機構5の各構成要素は樹脂製である。本実施形態において、第3内歯歯車5aは、減速機ケース36に嵌め込まれることで該減速機ケース36に固定されている。
【0037】

第3遊星歯車5bは、回転軸5b1を介して第3遊星キャリア部5cの一方面に回転可能に支持される。複数の第3遊星歯車5bは、第3内歯歯車5aの内周面に設けられた歯5a1および第2遊星歯車機構4の出力軸4c1に設けられた歯(不図示)に噛み合った状態とされている。第3遊星キャリア部5cはリング状の部材からなり、出力シャフト34の一端側に嵌め込まれている。
【0038】

出力シャフト34は、第3遊星キャリア部5cの他方面(第3遊星歯車5bが設けられた面と反対側の面)に突出している。出力シャフト34はベアリング等の保持部材6を介して減速機ケース36の外側に引き出されている。
【0039】

切換機構55は、ロックピン39の軸方向移動に伴って、出力シャフト34とモータシャフト31とが連結される連結状態と、出力シャフト34とモータシャフト31とが分離される非連結状態と、を切り換える。すなわち、切換機構55は、出力シャフト34とモータ30との動力伝達状態を切り替える。
【0040】

切換機構55は減速機32に設けられ、歯車側凹部4R1と、ケース側凹部36aと、ロックピン39とを有する。本実施形態において、切換機構55は、遊星歯車機構2のうちの軸方向の中央に位置する第2遊星歯車機構4の第2内歯歯車4aに設けられている。
【0041】

図5は減速機32の要部構成を示す斜視図である。なお、図5では第2遊星歯車機構4の要部構成および減速機ケース36を見やすくするため、第1遊星歯車機構3の図示を省略している。
【0042】

図5に示すように、歯車側凹部4R1は、第2遊星歯車機構4の第2内歯歯車4aの外周端から径方向内側へ凹み、第2内歯歯車4aの軸方向一方側(基端側)に開口する。歯車側凹部4R1の開口は半円状である。
【0043】

第2内歯歯車4aは、筒状の歯車本体4Aと、歯車本体4Aの軸方向一方側(基端側)の端面に固定されるクラッチリング4Rとを有する。筒状の歯車本体4Aの内周面に歯4a1(図4参照)が設けられている。クラッチリング4Rは複数の歯車側凹部4R1を有する。クラッチリング4Rおよび歯車本体4Aは、互いに嵌め合わされることでねじ部材などを用いることなく固定されている。
【0044】

本実施形態において、クラッチリング4Rは金属製であり、歯車本体4Aは樹脂製である。これにより、クラッチリング4Rの強度が向上するので、ロックピン39の歯車側凹部4R1への抜き差しによるクラッチリング4Rの破損をより低減できる。また、第2内歯歯車4aの構成要素の一部である歯車本体4Aを樹脂で成形することで、第2内歯歯車4aにおいて負荷がかかる部分の機械的強度を保ちつつ、軽量化を図ることができる。
【0045】

ケース側凹部36aは、第2内歯歯車4aの外周面と径方向に対向する減速機ケース36の内周面から径方向外側へ凹み、軸方向一方側(基端側)に開口する。ケース側凹部36aの開口は半円状である。
【0046】

図4に示したように、ロックピン39は、歯車側凹部4R1とケース側凹部36aとが径方向に対向する位置において歯車側凹部4R1およびケース側凹部36aから構成される穴部8に軸方向に抜き差しされる。
【0047】

図4に示したように、歯車本体4Aは、軸方向一方側の端部に、歯車側凹部4R1よりも径方向内側に窪んだ窪み部7を有する。窪み部7は歯車側凹部4R1よりも径方向内側に位置するため、後述するように歯車側凹部4R1に挿入されるロックピン39に接触しない。これにより、歯車本体4Aは、ロックピン39の挿入を阻害しない。かつ歯車本体4Aとロックピン39との接触による破損や摩耗の発生を低減できる。
【0048】

なお、図5に示す状態は、第2内歯歯車4a(クラッチリング4R)が減速機ケース36に対して回転しており、歯車側凹部4R1とケース側凹部36aとが径方向に対向していない。
【0049】

本実施形態において、第2内歯歯車4aが複数の歯車側凹部4R1を有するため、歯車側凹部4R1とケース側凹部36aとが径方向において対向しない場合でも、第2内歯歯車4aを1回転させずに少し回転させることで歯車側凹部4R1とケース側凹部36aとを径方向において対向させることができる。よって、ロックピン39を穴部8に挿入する際の第2内歯歯車4aおよび減速機ケース36の位置合わせが容易となる。
【0050】

ロックピン39の軸方向位置は位置ロック機構60によって維持される。図6は位置ロック機構60の概略構成を示す図である。 図6に示すように、位置ロック機構60は、コイルスプリング38と、連結ロッド68dと、ハートカム装置61と、を有する。なお、図6では、連結ロッド68dの先端に接続されるロックピン39と、コイルスプリング38を減速機32に取り付けるスプリングケース37も合わせて図示している。
【0051】

本実施形態において、コイルスプリング38は、図4に示したように、スプリングケース37に収容される。スプリングケース37は略筒状の部材であって、減速機32の軸方向一方側(基端側)に沿って設けられている。スプリングケース37は、フランジ部35に設けられた穴35aを介して減速機32の軸方向一方側に引き出された状態に設けられる。スプリングケース37は、フランジ部35および第1内歯歯車3aに挟持されることで減速機32に固定される。
【0052】

図4に示したように、スプリングケース37は、軸方向他方側(先端側)に設けられた収容空間37aを有する。収容空間37aはコイルスプリング38を収容する。コイルスプリング38の軸方向一方側(先端側)の端部はロックピン39の端面に接触し、コイルスプリング38の軸方向他方側(基端側)の端部はスプリングケース37の内面に接触する。コイルスプリング38はロックピン39を先端側に押す付勢力を生じるようにスプリングケース37の収容空間37aに収容されている。これにより、コイルスプリング38によってロックピン39を軸方向に押す構成が実現されている。ロックピン39の一部(軸方向他方側の端部)はスプリングケース37の収容空間37aに収容されている。
【0053】

連結ロッド68dの先端側はロックピン39の減速機32と反対側に接続される。連結ロッド68dは、軸方向一方側がロックピン39に設けられた穴に嵌め込まれることでロックピン39に連結され、軸方向他方側がコイルスプリング38を挿通するように引き出されている。連結ロッド68dはスプリングケース37に設けられた貫通孔37bを介してスプリングケース37の外側へと引き出される。貫通孔37bの内径はロックピン39の外径よりも小さい。
【0054】

ロックピン39は、連結ロッド68dによって軸方向に移動することで穴部8に対して抜き差し可能とされる。なお、ロックピン39は、第1遊星歯車機構3の第1内歯歯車3aに設けられた穴3a2を挿通することで穴部8に対して抜き差し可能とされる。
【0055】

図7はハートカム装置61の概略構成を示す図である。 図7に示すように、ハートカム装置61は、操作部68と、筐体61Aと、カムフォロア65と、リンク64と、を有する。
【0056】

操作部68は、フック部68aと、操作ワイヤ68bと、被覆チューブ68cと、を有する。フック部68aの基端側はハートカム装置61の内部に挿入され、フック部68aの先端側には連結ロッド68dの基端側の端部が接続される(図6参照)。
【0057】

操作ワイヤ68bは、フック部68aの基端側の端部に接続される。操作ワイヤ68bは、フック部68aから基端側に延びて、ケース20の外部に引き出される。ケース20の外部に引き出された操作ワイヤ68bは、図1に示したように駆動装置10から下側に引き出され、プルスイッチ68eを構成する。
【0058】

被覆チューブ68cは、ハートカム装置61に接続される。被覆チューブ68cは、ハートカム装置61から基端側に延びて、ケース20の外部に引き出される。被覆チューブ68cの内部には、操作ワイヤ68bが通される。
【0059】

図7に示すように、筐体61Aは、前側に開口する底板を有する矩形箱状である。図3に示すように、筐体61Aは突出平板部22cの径方向内側面にネジで固定される。
【0060】

筐体61Aはカム部62を有する。カム部62は、筐体61Aの内側面のうち前側を向く内側面61aから後側に窪んだ凹部63aと凹部63a内に位置する略ハート形状の凸部63bとで構成される環状の溝である。
【0061】

リンク64は、フック部68aの基端側の端部に、前後方向Yと平行な軸周りに回動可能に接続される。本実施形態のリンク64はコイルスプリング38の付勢力によって先端側のみに付勢力が付与されている。そのため、本実施形態のリンク64には、基端側を上方に付勢する力は付与されていない。
【0062】

カムフォロア65は、リンク64の基端側の端部に接続される。カムフォロア65は、カム部62内に配置される。カムフォロア65は、操作部68の操作に伴って、環状のカム部62内を移動する。すなわち、リンク64はカムフォロア65と操作部68(フック部68a)とを連結している。
【0063】

本実施形態において、操作部68と連結ロッド68dとロックピン39とは、図6に示すように、軸方向から見て重なる位置に配置されている。すなわち、操作部68と連結ロッド68dとロックピン39とは軸方向において直線状に配置されている。
【0064】

図8はカム部62を前側から視た図である。 図8に示すように、前後方向Yに沿って視て、カム部62の外縁側の形状は、略ハート形状である。カム部62は、第1部分62aと、第2部分62bと、第3部分62cと、第4部分62dと、を有する。第1部分62aは、基端側斜め上方に向かって凸となる略円弧状である。第1部分62aの底部である第1底部66aの前後方向Yの位置は、第1部分62aの先端側の端部から基端側の端部に向かうまでの間に前側に変化する。
【0065】

第2部分62bは、第1部分62aの基端側の端部の下側に接続される。第2部分62bの底部である第2底部66bの前後方向Yの位置は、第1底部66aの基端側の端部よりも後側である。そのため、第1底部66aと第2底部66bとの接続部においては、第1段差部67aが設けられる。
【0066】

第3部分62cは、第2部分62bの先端側に接続される。第3部分62cの底部である第3底部66cの前後方向Yの位置は、第2底部66bよりも後側である。そのため、第2底部66bと第3底部66cとの接続部においては、第2段差部67bが設けられる。
【0067】

第4部分62dは、第3部分62cの先端側斜め下方に接続される。第4部分62dは、第4部分62dの下端部から上側やや斜め先端側に向かって延びる。第4部分62dの下端部は、凹部63aの下端部である。第4部分62dの上端部は、第1部分62aの先端側の下端部に接続される。第4部分62dの底部である第4底部66dの下端部の前後方向Yの位置は、第3底部66cよりも後側である。そのため、第3底部66cと第4底部66dとの接続部においては、第3段差部67cが設けられる。第4底部66dの前後方向Yの位置は、第4底部66dの下端部から上端部に向かうまでの間に前側に変化する。第1底部66aの先端側の端部と接続される第4底部66dの上端部の前後方向Yの位置は、第1底部66aの先端側の端部と同じである。
【0068】

本実施形態において、カム部62は、操作部68が減速機32側に進出する進出位置においてカムフォロア65が配置される第1位置P1と、操作部68が進出位置よりも後退する後退位置においてカムフォロア65が配置される第2位置P2とを有する。
【0069】

ここで、操作部68が減速機32側に進出する進出位置とは、ロックピン39を穴部8に差し込まれる位置にあることを意味する。すなわち、カムフォロア65が第1位置P1に配置されると、ロックピン39が穴部8に差し込まれた状態となる。第1位置P1は、上述した第1部分62aの先端部に相当する。
【0070】

また、操作部68が進出位置よりも後退する後退位置とは、ロックピン39が穴部8から引き抜かれる位置にあることを意味する。すなわち、カムフォロア65が第2位置P2に配置されると、ロックピン39が穴部8から引き抜かれた状態となる。
【0071】

また、カム部62は、進出位置から後退位置への切り換え時に第1位置P1から第2位置P2に移動するカムフォロア65が通過する第1通路T1と、後退位置から進出位置への切り換え時に第2位置P2から第1位置P1に移動するカムフォロア65が通過する第2通路T2と、を有する。
【0072】

第1通路T1は、第1底部66aの一部(第1部分62aの先端上側部分)と、第2底部66bと、第3底部66cの一部(第3部分62cの基端側部分)とで構成される。 また、第2通路T2は、第3底部66cの残りの一部と、第4底部66dと、第1底部66aの残りの一部(第1部分62aの先端斜め下側部分)とで構成される。第2通路T2は、第1通路T1の第1位置P1(第1部分62aの先端部)よりも第2位置P2側(基端側)の位置に接続されている。
【0073】

また、カム部62は、第1通路T1と第2通路T2との接続部分Rよりも減速機32側に位置し、カムフォロア65を収容可能な逃げ溝部69を有する。逃げ溝部69は第1部分62aの先端側に設けられる。逃げ溝部69の先端部が上記第1位置P1に相当する。 なお、図8においては、第1部分62aのうち第1通路T1および第2通路T2を兼ねる部位を上記接続部分Rとした。
【0074】

本実施形態において、第1通路T1の幅W1は、第2通路T2との接続部分Rにおいて逃げ溝部69よりも広く、接続部分Rから第2位置P2に向かうに従って狭くなる。図8においては、最大の幅W1を符号W1maxで示した。すなわち、第1通路T1の幅W1を規定する凸部63bの上側壁面63b2は逃げ溝部69の下側の壁面よりも下側に位置している。
【0075】

以下、本実施形態のシャッター装置1における位置ロック機構60の動作について説明する。はじめに、ロックピン39は減速機32の穴部8に挿入された状態となっているものとする。
【0076】

例えば、操作者がプルスイッチ68eを引くと、操作ワイヤ68bが基端側に引かれて、フック部68aおよび連結ロッド68dを介してロックピン39が基端側に移動する。ロックピン39に取り付けられたコイルスプリング38はスプリングケース37内で圧縮された状態となる。
【0077】

このとき、図8中の二点鎖線で示すように、カムフォロア65は、第1位置P1から第3位置P3まで移動する。第1位置P1は逃げ溝部69内の先端であり、第3位置P3は、第2部分62b内である。
【0078】

操作者がプルスイッチ68eを引く力を解除すると、スプリングケース37内で圧縮されたコイルスプリング38の復元力によって操作ワイヤ68b、フック部68a、連結ロッド68dおよびロックピン39が先端側に移動する。このとき、カムフォロア65は、第3位置P3から第2位置P2に移動する。第2位置P2は、第3部分62c内である。第2位置P2においてカムフォロア65は、凸部63bの下側壁面63b1と接触する。
【0079】

本実施形態において、ロックピン39はコイルスプリング38によって先端側に付勢されるため、ロックピン39に連結された連結ロッド68dおよびフック部68aも先端側に付勢されている。また、フック部68aに連結されたリンク64およびリンク64に取り付けられたカムフォロア65も先端側に付勢されている。そのため、カムフォロア65は、凸部63bの下側壁面63b1に押圧された状態とされるので、カムフォロア65の先端側への移動が良好に阻害される。
【0080】

このようにして、操作ワイヤ68b、フック部68a、連結ロッド68dおよびロックピン39の先端側への移動が阻害され、ロックピン39が穴部8から退避した状態が維持される。このとき、第2内歯歯車4aは減速機ケース36に対して回転可能な状態となるので、第2遊星歯車機構4はモータシャフト31から第1遊星歯車機構3への入力を第3遊星歯車機構5側に伝達しない。すなわち、出力シャフト34とモータシャフト31との連結が解除された非連結状態が維持される。 非連結状態においては、出力シャフト34がモータシャフト31の状態によらず自由に回転可能となるため、操作者は、手動でシャッター80を昇降させることが可能になる。
【0081】

本実施形態では、遊星歯車機構2のうちの軸方向の中央に位置する第2遊星歯車機構4の第2内歯歯車4aに切換機構55を設けるため、出力シャフト34から離れた第1内歯歯車3a(第1遊星歯車機構3)に切換機構55を設ける場合に比べて、手動でシャッター80を昇降させる際の負荷が低減される。よって、手動によるシャッター80の昇降動作が容易となる。
【0082】

ところで、操作者がプルスイッチ68eを基端側にゆっくり引いた場合について考える。本実施形態のリンク64には、基端側を上方に付勢する力は付与されていないため、カムフォロア65が基端側に移動する際、リンク64とともにカムフォロア65が下方に落下するおそれがある。
【0083】

ここで、逃げ溝部69を設けない場合について考える。逃げ溝部69を設けない場合、リンク64とともにカムフォロア65が基端側に移動し始めた際、カムフォロア65がリンク64とともに下方に落下することで第1通路T1ではなく、第2通路T2(第4部分62d)に入り込んでしまうおそれがある。すると、カムフォロア65は第1位置P1から第4位置P4に移動した後、操作者がプルスイッチ68eを引く力を解除すると、再び第1位置P1へと戻ってくる。この場合、カムフォロア65を第1位置P1から第2位置P2へと移動させることができない。
【0084】

これに対し、本実施形態によれば、リンク64とともにカムフォロア65が基端側に移動し始めた際、カムフォロア65が逃げ溝部69内に沿ってガイドされるため、カムフォロア65の下方への落下が抑制される。これにより、カムフォロア65の第2通路T2(第4部分62d)への入り込みが抑制される。
【0085】

また、本実施形態において、第1通路T1の幅W1を規定する凸部63bの上側壁面63b2は逃げ溝部69の下側の壁面よりも下側に位置するため、基端側に移動する際に多少下方に落下した場合でも、カムフォロア65は凸部63bの上側壁面63b2の第5位置P5に移動する。そのため、カムフォロア65における第2通路T2への入り込みを抑制することができる。
【0086】

したがって、本実施形態のシャッター装置1によれば、カムフォロア65を第1位置P1から第2位置P2へと安定して移動させることができる。よって、連結状態から非連結状態への切り替えを安定して行うことができる。
【0087】

一方、非連結状態において、操作者がさらにプルスイッチ68eを引くと、カムフォロア65は、第2位置P2から基端側に移動する。しかし、第2段差部67bが設けられるため、カムフォロア65は、第2部分62bに戻ることが抑制され、第2段差部67bの段差面および凹部63aの外縁側の側面に沿って移動する。そして、カムフォロア65は、第2通路T2を通って第4位置P4へと移動する。第4位置P4は、第4部分62dの下端部内である。
【0088】

この状態において操作者がプルスイッチ68eを引く力を解除すると、コイルスプリング38の付勢力によってカムフォロア65は第2通路T2を通って、再び逃げ溝部69の先端に位置する第1位置P1へと戻る。
【0089】

これにより、ロックピン39が穴部8に再び挿入された状態となる。ロックピン39が穴部8に挿入された状態において、第2内歯歯車4aは減速機ケース36に対して固定された状態となる。このとき、第2遊星歯車機構4は、モータシャフト31から第1遊星歯車機構3への入力を第3遊星歯車機構5側に伝達可能となる。すなわち、再び出力シャフト34とモータシャフト31とが連結状態となる。
【0090】

本実施形態のシャッター装置1によれば、位置ロック機構60においてハートカム装置61により連結ロッド68dを介して軸方向に移動させたロックピン39を減速機32に抜き差しすることで出力シャフト34とモータシャフト31との連結状態の切り替えを行うことができる。 よって、位置ロック機構60が減速機32の径方向の外側に位置しないので、減速機32の径方向における寸法を大型化させることがない。そのため、この減速機32を備えたモータユニット10aは、ユニットの大型化が抑制される。
【0091】

また、本実施形態によれば、操作部68(操作ワイヤ68b)と連結ロッド68dとロックピン39とが軸方向において直線状に配置されるので、プルスイッチ68eへの引っ張り力がフック部68aおよび連結ロッド68dを介してロックピン39に伝達され易い。よって、操作者は、プルスイッチ68eを比較的小さい力で引くことでロックピン39を移動させることができる。すなわち、本実施形態によれば、小さい力で出力シャフト34とモータシャフト31との連結状態の切り替えを行うことができる。
【0092】

したがって、本実施形態によれば、ユニットの大型化を抑制するとともに、小さい力で出力シャフト34とモータシャフト31との連結状態の切り替えを可能としたモータユニット10aを提供できる。
【0093】

図1に示したように、回転筒11は、軸方向Xに延び、ケース20の径方向外側に配置される円筒状である。回転筒11は、例えば、中心軸Jを中心とする。回転筒11は、モータユニット10aの基端側の端部から、モータユニット10aの先端側の端部よりもさらに先端側(+X側)まで延びる。回転筒11における軸方向Xの一方側(-X側)の端部は、ベアリング70を介してケース20に連結される。図示は省略するが、回転筒11における軸方向Xの他方側(+X側)の端部は、壁に対して回転可能に支持される。これにより、回転筒11は、中心軸J周りに回転可能に、軸方向Xの両端を支持される。
【0094】

回転筒11は、接続部材12を介して出力シャフト34と連結される。図2に示したように、接続部材12は、出力シャフト34に固定される略矩形板状の部材である。図1に示したように、接続部材12は、回転筒11の内周面に固定される。これにより、出力シャフト34が回転すると、接続部材12を介して、回転筒11も回転する。すなわち、回転筒11は、出力シャフト34の回転に伴って回転する。このような回転筒11を備えるため、本実施形態の駆動装置10はシャッター装置用の駆動装置、または搬送ローラ用の駆動装置等として用いることができる。
【0095】

具体的に、本実施形態のシャッター装置1に用いられる駆動装置10においては、回転筒11を回転させることで、回転筒11に対してシャッター80を巻き取り、シャッター80を上昇させることができる。また、回転筒11を逆回転させることで、回転筒11に巻き取られたシャッター80を巻き出し、シャッター80を降下させることができる。
【0096】

モータユニット10aが、本実施形態のように回転筒11が設けられる駆動装置10に設けられる場合、モータユニット10aのケース20を円筒状とすることで、ケース20を角筒状とするよりも、ケース20内の空間を大きくすることができる。すなわち、ケース20を円筒状とすることで、回転筒11を備える駆動装置10に好適に用いることができるモータユニット10aが得られる。
【0097】

シャッター装置1においては、例えば、回転筒11内におけるモータユニット10aが収容される部分以外に、他の装置が配置される。そのため、モータユニット10aの軸方向Xの寸法が大型化すると、他の装置が配置できない問題がある。したがって、上述したモータユニット10aが大型化することを抑制できる効果は、シャッター装置1用の駆動装置10に適用する場合に特に有用である。
【0098】

なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。 上述した実施形態のモータユニット10aの用途は限定されず、シャッター装置1用の駆動装置10以外のいかなる機器に搭載されてもよい。また、上述した実施形態の駆動装置10は、シャッター装置1以外のいかなる機器に搭載されてもよい。また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0099】

1…シャッター装置、10a…モータユニット、11…回転筒、20…ケース(ユニットケース)、30…モータ、32…減速機、34…出力シャフト(出力軸)、37…スプリングケース、38…コイルスプリング、39…ロックピン、55…切換機構、60…位置ロック機構、61…ハートカム装置、61A…筐体、62…カム部、64…リンク、65…カムフォロア、68…操作部、68d…連結ロッド、69…逃げ溝部、J…中心軸、P1…第1位置、P2…第2位置、R…接続部分、T1…第1通路、T2…第2通路、W1…幅、X…軸方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8