IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イングの特許一覧 ▶ 阪和興業株式会社の特許一覧

特許7255825パネル搬送方法、および、パネル搬送システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】パネル搬送方法、および、パネル搬送システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
E04G21/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022035172
(22)【出願日】2022-03-08
(65)【公開番号】P2022138145
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2021037764
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(73)【特許権者】
【識別番号】594162515
【氏名又は名称】阪和興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】永木 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 悦二
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197154(JP,A)
【文献】特開平08-135199(JP,A)
【文献】特開平09-096110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/32
B60D 1/00-99/00
B61B 13/00-15/00
B61F 1/00-99/00
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の連結部材を介して固定されたレールに沿って移動可能なパネル搬送装置に、パネルを取り付けるパネル取付工程と、
前記レールに沿って、前記パネル搬送装置を移動させる移動工程と
を具備し、
前記パネル搬送装置は、前記レールから前記パネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記移動工程では、複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるか、あるいは、複数の前記脱線防止ローラの各々からの距離が60cm以下である複数の拘束領域のうちの少なくとも1つが、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持される
パネル搬送方法。
【請求項2】
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
複数の前記連結部材は、前記第1レールと前記第2レールとを連結する
請求項1に記載のパネル搬送方法。
【請求項3】
前記連結部材は、金属製のバンドを含み、
前記移動工程は、前記パネル搬送装置が前記バンドを乗り越えることを含む
請求項2に記載のパネル搬送方法。
【請求項4】
前記移動工程において、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとオーバーラップする前記拘束領域の数が、常時、2個以上である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパネル搬送方法。
【請求項5】
前記パネル搬送装置は、駆動台車に連結され、
前記移動工程は、前記駆動台車と前記パネル搬送装置との間の相対移動を、前記パネル搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換することを含む
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパネル搬送方法。
【請求項6】
前記移動工程は、前記レールに沿って、前記パネルの第1部分を支持する前記パネル搬送装置および前記パネルの第2部分を支持する第2のパネル搬送装置を移動させることを含み、
前記第2のパネル搬送装置は、前記レールから前記第2のパネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記移動工程では、前記パネル搬送装置が有する複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持され、かつ、前記第2のパネル搬送装置が有する複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持される
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパネル搬送方法。
【請求項7】
前記移動工程は、前記第2のパネル搬送装置が、前記パネルのみを介して、前記パネル搬送装置と連結されている状態で実行される
請求項6に記載のパネル搬送方法。
【請求項8】
前記パネル搬送装置はN個(「N」は、2以上の任意の自然数)の前記拘束領域を有し、
互いに隣接する2つの前記連結部材間の間隔をGと定義し、
複数の前記拘束領域のうち前記レールの第1端部に最も近いものを第1拘束領域と定義し、
「K」を2以上の任意の自然数とするとき、複数の前記拘束領域のうち前記レールの前記第1端部にK番目に近いものを第K拘束領域と定義し、
前記第1拘束領域の前記第1端部側の端から前記第K拘束領域の前記第1端部側の端までの距離をL(K)と定義し、
除算L(K)/Gの答えの整数部分をV(K)と定義するとき、
前記第1拘束領域を除くN-1個の前記拘束領域を、それぞれ、前記レールに沿って、GのV(K)倍の距離だけ仮想的に前記第1端部側に移動すると、前記第1拘束領域および仮想的に移動された後のN-1個の前記拘束領域によって長さがG以上の連続した仮想拘束領域が形成される
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパネル搬送方法。
【請求項9】
レールと、
前記レールを固定する複数の連結部材と、
前記レールに沿って移動可能なパネル搬送装置と
を具備し、
前記パネル搬送装置は、前記レールから前記パネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記パネル搬送装置が前記レールに沿って移動するとき、複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるか、あるいは、複数の前記脱線防止ローラの各々からの距離が60cm以下である複数の拘束領域のうちの少なくとも1つが、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されるように、前記レールに対する複数の前記連結部材の配置と、前記パネル搬送装置における複数の前記脱線防止ローラの配置または複数の前記拘束領域の配置とが設定されている
パネル搬送システム。
【請求項10】
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記パネル搬送装置は、前記脱線防止ローラを含む脱線防止アセンブリを備え、
前記脱線防止アセンブリの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記脱線防止ローラが通過可能な第1姿勢と、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記脱線防止ローラが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である
請求項9に記載のパネル搬送システム。
【請求項11】
前記パネル搬送装置は、
複数のサブ台車ユニットと、
複数の前記サブ台車ユニットを剛的に連結する連結フレームと
を有し、
複数の前記サブ台車ユニットの各々が前記脱線防止ローラを有する
請求項9または10に記載のパネル搬送システム。
【請求項12】
前記パネル搬送装置に連結される駆動台車と、
前記パネル搬送装置および前記駆動台車を含む主走行体の走行方向前方側に、前記主走行体とともに移動可能に設けられる衝突検知用の長尺部材と、
前記長尺部材の状態変化に応じて前記長尺部材への物体の衝突を検知する衝突検知センサと、
前記衝突検知センサから衝突検知信号を受信することに応じて、前記駆動台車の走行を停止させる制御装置と
を更に具備する
請求項9乃至11のいずれか一項に記載のパネル搬送システム。
【請求項13】
前記主走行体の走行方向の前端と前記長尺部材との間を埋める注意喚起用の可撓性面状体を更に具備する
請求項12に記載のパネル搬送システム。
【請求項14】
前記連結部材を位置補正可能に支持する連結部材支持部材を更に具備し、
前記パネル搬送装置の一側部から他側部に向かう方向を第3方向と定義するとき、前記連結部材は、摩擦力によって、前記第3方向に平行な方向に前記連結部材支持部材に対して位置決めされ、
前記連結部材に、前記第3方向に平行な方向に前記摩擦力よりも大きな荷重が作用することに応じて、前記連結部材は、前記第3方向に平行な方向に、前記連結部材支持部材に対して位置補正されるように構成される
請求項9乃至13のいずれか一項に記載のパネル搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建築、土木分野で使用されるパネル(例えば、建材パネル)を搬送するパネル搬送方法、および、パネル搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パネルを搬送する台車が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、資材搬送ユニットが開示されている。特許文献1に記載の資材搬送ユニットは、ガイドレールと、ガイドレールの下部に設置される振れ止めレールと、外装パネルを積載してガイドレールに沿って移動する台車本体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-68243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パネルを安定的に搬送可能なパネル搬送方法、および、パネル搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、パネル搬送方法、および、パネル搬送システムに関する。
【0007】
(1)複数の連結部材を介して固定されたレールに沿って移動可能なパネル搬送装置に、パネルを取り付けるパネル取付工程と、
前記レールに沿って、前記パネル搬送装置を移動させる移動工程と
を具備し、
前記パネル搬送装置は、前記レールから前記パネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記移動工程では、複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるか、あるいは、複数の前記脱線防止ローラの各々からの距離が60cm以下である複数の拘束領域のうちの少なくとも1つが、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持される
パネル搬送方法。
(2)前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
複数の前記連結部材は、前記第1レールと前記第2レールとを連結する
上記(1)に記載のパネル搬送方法。
(3)前記連結部材は、金属製のバンドを含み、
前記移動工程は、前記パネル搬送装置が前記バンドを乗り越えることを含む
上記(2)に記載のパネル搬送方法。
(4)前記移動工程において、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとオーバーラップする前記拘束領域の数が、常時、2個以上である
上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のパネル搬送方法。
(5)前記パネル搬送装置は、駆動台車に連結され、
前記移動工程は、前記駆動台車と前記パネル搬送装置との間の相対移動を、前記パネル搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換することを含む
上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載のパネル搬送方法。
(6)前記移動工程は、前記レールに沿って、前記パネルの第1部分を支持する前記パネル搬送装置および前記パネルの第2部分を支持する第2のパネル搬送装置を移動させることを含み、
前記第2のパネル搬送装置は、前記レールから前記第2のパネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記移動工程では、前記パネル搬送装置が有する複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持され、かつ、前記第2のパネル搬送装置が有する複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持される
上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載のパネル搬送方法。
(7)前記移動工程は、前記第2のパネル搬送装置が、前記パネルのみを介して、前記パネル搬送装置と連結されている状態で実行される
上記(6)に記載のパネル搬送方法。
(8)前記パネル搬送装置はN個(「N」は、2以上の任意の自然数)の前記拘束領域を有し、
互いに隣接する2つの前記連結部材間の間隔をGと定義し、
複数の前記拘束領域のうち前記レールの第1端部に最も近いものを第1拘束領域と定義し、
「K」を2以上の任意の自然数とするとき、複数の前記拘束領域のうち前記レールの前記第1端部にK番目に近いものを第K拘束領域と定義し、
前記第1拘束領域の前記第1端部側の端から前記第K拘束領域の前記第1端部側の端までの距離をL(K)と定義し、
除算L(K)/Gの答えの整数部分をV(K)と定義するとき、
前記第1拘束領域を除くN-1個の前記拘束領域を、それぞれ、前記レールに沿って、GのV(K)倍の距離だけ仮想的に前記第1端部側に移動すると、前記第1拘束領域および仮想的に移動された後のN-1個の前記拘束領域によって長さがG以上の連続した仮想拘束領域が形成される
上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のパネル搬送方法。
(9)レールと、
前記レールを固定する複数の連結部材と、
前記レールに沿って移動可能なパネル搬送装置と
を具備し、
前記パネル搬送装置は、前記レールから前記パネル搬送装置が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラを有し、
前記パネル搬送装置が前記レールに沿って移動するとき、複数の前記脱線防止ローラのうちの少なくとも1つと、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるか、あるいは、複数の前記脱線防止ローラの各々からの距離が60cm以下である複数の拘束領域のうちの少なくとも1つが、複数の前記連結部材のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されるように、前記レールに対する複数の前記連結部材の配置と、前記パネル搬送装置における複数の前記脱線防止ローラの配置または複数の前記拘束領域の配置とが設定されている
パネル搬送システム。
(10)前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記パネル搬送装置は、前記脱線防止ローラを含む脱線防止アセンブリを備え、
前記脱線防止アセンブリの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記脱線防止ローラが通過可能な第1姿勢と、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記脱線防止ローラが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である
上記(9)に記載のパネル搬送システム。
(11)前記パネル搬送装置は、
複数のサブ台車ユニットと、
複数の前記サブ台車ユニットを剛的に連結する連結フレームと
を有し、
複数の前記サブ台車ユニットの各々が前記脱線防止ローラを有する
上記(9)または(10)に記載のパネル搬送システム。
(12)前記パネル搬送装置に連結される駆動台車と、
前記パネル搬送装置および前記駆動台車を含む主走行体の走行方向前方側に、前記主走行体とともに移動可能に設けられる衝突検知用の長尺部材と、
前記長尺部材の状態変化に応じて前記長尺部材への物体の衝突を検知する衝突検知センサと、
前記衝突検知センサから衝突検知信号を受信することに応じて、前記駆動台車の走行を停止させる制御装置と
を更に具備する
上記(9)乃至(11)のいずれか一つに記載のパネル搬送システム。
(13)前記主走行体の走行方向の前端と前記長尺部材との間を埋める注意喚起用の可撓性面状体を更に具備する
上記(12)に記載のパネル搬送システム。
(14)前記連結部材を位置補正可能に支持する連結部材支持部材を更に具備し、
前記パネル搬送装置の一側部から他側部に向かう方向を第3方向と定義するとき、前記連結部材は、摩擦力によって、前記第3方向に平行な方向に前記連結部材支持部材に対して位置決めされ、
前記連結部材に、前記第3方向に平行な方向に前記摩擦力よりも大きな荷重が作用することに応じて、前記連結部材は、前記第3方向に平行な方向に、前記連結部材支持部材に対して位置補正されるように構成される
上記(9)乃至(13)のいずれか一つに記載のパネル搬送システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、パネルを安定的に搬送可能なパネル搬送方法、および、パネル搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるパネル搬送システムの一部分を模式的に示す概略断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の第1変形例におけるパネル搬送システムの一部分を模式的に示す概略断面図である。
図4A図4Aは、実験の概要を示す図である。
図4B図4Bは、実験の概要を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図6図6は、第1の実施形態または第1の実施形態の変形例におけるパネル搬送方法の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、拘束領域について説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態の第2変形例におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図9図9は、第1の実施形態の第2変形例におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図10図10は、複数の連結部材の配置と、複数の拘束領域の配置との関係について説明するための図である。
図11図11は、複数の連結部材の配置と、複数の拘束領域の配置との関係について説明するための図である。
図12図12は、第1の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図13図13は、台車ユニットの第1例を模式的に示す概略3面図である。
図14図14は、台車ユニットがレールに取り付けられる様子を模式的に示す図である。
図15図15は、台車ユニットの第2例を模式的に示す概略側面図である。
図16図16は、台車ユニットの第3例を模式的に示す概略側面図である。
図17図17は、台車ユニットの第4例を模式的に示す概略側面図である。
図18図18は、台車ユニットの第5例を模式的に示す概略側面図である。
図19図19は、パネル搬送装置の一例を模式的に示す概略側面図である。
図20図20は、パネル搬送装置の一部分を模式的に示す概略側面図である。
図21図21は、図20において円Jで囲まれた部分の拡大図である。
図22図22は、第1の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図23図23は、第2の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図24図24は、第2の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図25図25は、検知棒の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
図26図26は、検知板の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
図27図27は、パネル搬送システムが、連結部材を位置補正可能に支持する連結部材支持部材を具備する様子を模式的に示す概略側面図である。
図28図28は、図27の一部分を拡大して示す概略側面図である。
図29図29は、連結部材が、連結部材支持部材に対して、第3方向に平行な方向に位置補正可能である様子を模式的に示す概略断面図である。
図30図30は、連結部材が、連結部材支持部材に対して、第3方向に平行な方向に位置補正された後の状態を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態におけるパネル搬送方法、および、パネル搬送システム1について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(方向の定義)
本明細書において、レール91に沿って、レール91の第1端部911からレール91の第2端部912に向かう方向を第1方向DR1と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を第2方向DR2と定義する。第1方向DR1は、例えば、パネル搬送装置10の長手方向と一致する。また、本明細書において、パネル搬送装置10の一側部から他側部に向かう方向(換言すれば、パネル搬送装置10の幅方向)を第3方向DR3と定義する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至図22を参照して、第1の実施形態におけるパネル搬送方法、および、パネル搬送システム1について説明する。図1は、第1の実施形態におけるパネル搬送システム1Aを模式的に示す概略側面図である。図2は、第1の実施形態におけるパネル搬送システム1Aの一部分を模式的に示す概略断面図(レール91に垂直な面における断面図)である。図3は、第1の実施形態の第1変形例におけるパネル搬送システム1Bの一部分を模式的に示す概略断面図(レール91に垂直な面における断面図)である。図4Aは、実験の概要を示す図である。図4A(a)には、実験装置の構成が模式的に示され、図4A(b)には、実験結果がグラフで示されている。図4Bは、実験の概要を示す図である。図4B(a)には、実験装置の構成が模式的に示され、図4B(b)には、実験結果がグラフで示されている。図5は、第1の実施形態におけるパネル搬送システム1Aを模式的に示す概略側面図である。図6は、第1の実施形態または第1の実施形態の変形例におけるパネル搬送方法の一例を示すフローチャートである。図7は、拘束領域ARについて説明するための図である。図8および図9は、第1の実施形態の第2変形例におけるパネル搬送システム1Cを模式的に示す概略側面図である。図10および図11は、複数の連結部材93の配置と、複数の拘束領域ARの配置との関係について説明するための図である。図12は、第1の実施形態におけるパネル搬送システム1Aを模式的に示す概略側面図である。図13は、台車ユニット2の第1例を模式的に示す概略3面図である。図13の上段の左側には概略背面図が記載され、図13の上段の右側には概略側面図が記載され、図13の下段には概略底面図が記載されている。図14は、台車ユニット2がレール91に取り付けられる様子を模式的に示す図である。図15は、台車ユニット2の第2例を模式的に示す概略側面図である。図16は、台車ユニット2の第3例を模式的に示す概略側面図である。図17は、台車ユニット2の第4例を模式的に示す概略側面図である。図18は、台車ユニット2の第5例を模式的に示す概略側面図である。図19は、パネル搬送装置10の一例を模式的に示す概略側面図である。図20は、パネル搬送装置10の一部分を模式的に示す概略側面図である。図21は、図20において円Jで囲まれた部分の拡大図である。図22は、第1の実施形態におけるパネル搬送システム1を模式的に示す概略側面図である。
【0013】
パネル搬送システム1は、レール91と、連結部材93と、パネル搬送装置10とを備える。
【0014】
(レール91)
レール91は、パネル搬送装置10の軌道を規定する。図1に記載の例では、レール91は、第1端部911および第2端部912を有する。第1方向DR1に垂直な面におけるレール91の断面形状は、円形状であってもよいし、矩形形状であってもよいし、その他の形状(例えば、I型形状、H型形状、C型形状)であってもよい。図1に記載の例では、レール91は、直線軌道を規定する。レール91は、曲線部を有していてもよい。より具体的には、レール91の一部が直線軌道を規定し、レール91の他の一部が、曲線軌道を規定していてもよい。図2に記載の例では、パネル搬送システム1のレール91は、少なくとも2本のレール(第1レール91aおよび第2レール91b)を含む。代替的に、パネル搬送システム1のレール91は、モノレール(換言すれば、1本のみのレール)であってもよい。
【0015】
図2に記載の例では、第2レール91bは、第1レール91aに対して平行に配置されている。第1レール91aの中心軸と第2レール91bの中心軸とを含む平面は、水平面に対して平行であってもよいし、水平面に対して傾斜していてもよいし、鉛直面に対して平行であってもよい。
【0016】
(連結部材93)
パネル搬送システム1は、レール91を固定する複数の連結部材93を備える。レール91が、第1レール91aおよび第2レール91bを含む場合、第1レール91aと第2レール91bとは、複数の連結部材93を介して互いに固定されてもよい。付加的に、第1レール91aおよび第2レール91bの両方が、複数の連結部材93を介して建設現場の足場等に固定されてもよい。なお、複数の連結部材93によってレールが固定される固定対象物に制限はない。固定対象物は、他のレール(換言すれば、複数のレール間の相互固定)であってもよいし、足場等の構造部材であってもよいし、地面等に埋設される基礎であってもよい。
【0017】
図2に記載の例では、第1レール91aと第2レール91bとが、連結部材93を介して互いに固定されている。連結部材93は、ブラケット94と、第1バンド95aと、第2バンド95bとを含む。第1バンド95aの一部は、第1レール91aに掛け回され、第1バンド95aの他の一部は、ブラケット94に掛け回されている。また、第2バンド95bの一部は、第2レール91bに掛け回され、第2バンド95bの他の一部は、ブラケット94に掛け回されている。第1バンド95a、第2バンド95bは、例えば、金属製のバンドである。第1バンド95aの厚さは、例えば、1mm以下であり、第2バンド95bの厚さは、例えば、1mm以下である。
【0018】
図2に例示されるように、第1レール91aおよび第2レール91bの両方は、連結部材93を介して、足場等の固定対象物96に固定されてもよい。
【0019】
なお、パネル搬送システム1のレール91がモノレールである場合、当該モノレールは、複数の連結部材93を介して、建設現場の足場等に固定されてもよいし、地面に埋設された基礎等に固定されてもよい。
【0020】
(パネル搬送装置10)
パネル搬送装置10は、レール91に沿って移動することによりパネルPを搬送する。パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPは、例えば、金属パネル、木質パネル、ALCパネル等のコンクリートパネルである。パネルPの質量は、例えば、50kg以上、100kg以上、あるいは、200kg以上である。パネルPの質量は、例えば、500kg以下、あるいは、300kg以下である。パネルPの長さは、例えば、3m以上、5m以上、あるいは、9m以上である。パネルPの長さは、例えば、20m以下、15m以下、あるいは、12m以下である。パネルPの高さは、例えば、50cm以上2m以下、あるいは、50cm以上1m以下である。パネルPの厚さは、例えば、1cm以上、3cm以上、あるいは、5cm以上である。パネルPの厚さは、例えば、15cm以下、あるいは、10cm以下である。
【0021】
パネル搬送装置10は、例えば、パネルPの起立姿勢が維持された状態でパネルPを搬送する。なお、本明細書において、パネルPが起立姿勢であるとは、パネルPの主面PMの法線と、鉛直面との間のなす角度が、45度以上90度以下、60度以上90度以下、典型的には、75度以上90度以下であることを意味する。
【0022】
(脱線防止ローラ31)
図1に記載の例では、パネル搬送装置10は、複数の脱線防止ローラ31を備える。複数の脱線防止ローラ31は、レール91からパネル搬送装置10が脱線するのを防止する。
【0023】
図2に記載のパネル搬送装置10Aは、複数の脱線防止ローラ31に加えて、複数の主ローラ21を備える。代替的に、図3に例示されるように、複数の脱線防止ローラ31が、主ローラを兼用していてもよい。この場合、レール91に接触するローラは、複数の脱線防止ローラ31のみであってもよい。
【0024】
図1に記載の例では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるように、レール91に対する複数の連結部材93の配置と、パネル搬送装置10における複数の脱線防止ローラ31の配置とが設定されている。
【0025】
(実験例1)
図4A(a)に示されるように、パネル搬送装置10のパネル支持部材51に横荷重(第3方向DR3の荷重)を作用させた時の当該パネル支持部材51の傾きαを計測した。図4A(a)に記載の例では、レール91に、180cm間隔で連結部材93が配置され、パネル搬送装置10が1つの脱線防止ローラ31を備えるとのモデルケースで実験が行われた。横荷重を作用させる位置は、レール91からの高さが100cmの位置とし、横荷重の大きさを5kgfとした。
【0026】
上記の条件の下、第1方向DR1に沿う方向における特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが「0cm」、「10cm」、「20cm」、「30cm」、「40cm」、「50cm」、「60cm」、「70cm」、「80cm」、「90cm」、「100cm」、「110cm」、「120cm」、「130cm」、「140cm」、「150cm」、「160cm」、「170cm」であるときの各々について、横荷重を受けるパネル支持部材51の傾きαを求めた。図4A(b)は、実験結果を示すグラフである。
【0027】
図4A(b)に示されるように、特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが60cmを超えると、横荷重を受けるパネル支持部材51の傾きαが急激に大きくなることが判明した。他方、特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との距離xが60cm以下である場合には、パネル搬送装置10の揺動あるいは振動が効果的に抑制され、距離xが50cm以下、40cm以下、30cm以下、あるいは、20cm以下である場合には、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が更に効果的に抑制されると言える。
【0028】
図4A(b)に示されるように、特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが70cm以上になると、傾きαが5度を超える。傾きαが5度を超えることは、1mを超える高さを有するパネル支持部材51の頂部の横方向の変位(第3方向DR3への変位)が5cmを超えることを意味する。第1レール91aと第2レール91bとの間隔が15cm程度である場合、5cmを超える変位は、パネル支持部材51(あるいは、パネルP)と、他の部材との干渉リスクを増大させる。以上のことからも、少なくとも1つの連結部材93と少なくとも1つの脱線防止ローラ31との間の距離は、常時、60cm以下に維持されることが好ましいと言える。なお、図4A(b)において、距離xが90cmを超えてから傾きαが減少するのは、脱線防止ローラ31が、特定の連結部材93sの第1方向DR1側に配置された別の連結部材93に接近するためである。
【0029】
(実験例2)
図4B(a)に示されるように、パネル搬送装置10のパネル支持部材51に横荷重(第3方向DR3の荷重)を作用させた時の当該パネル支持部材51の傾きαを計測した。図4B(a)に記載の例では、レール91に、400cm間隔で連結部材93が配置され、パネル搬送装置10が1つの脱線防止ローラ31を備えるとのモデルケースで実験が行われた。横荷重を作用させる位置は、レール91からの高さが100cmの位置とし、横荷重の大きさを5kgfとした。
【0030】
上記の条件の下、第1方向DR1に沿う方向における特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが「0cm」、「10cm」、「20cm」、「30cm」、「40cm」、「50cm」、「60cm」、「70cm」、「80cm」、「90cm」、「100cm」であるときの各々について、横荷重を受けるパネル支持部材51の傾きαを求めた。図4B(b)は、実験結果を示すグラフである。
【0031】
図4B(b)からは、図4A(b)と類似した傾向が読み取れる。すなわち、特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが60cm以下である場合には、パネル搬送装置10の揺動あるいは振動が概ね抑制され、距離xが60cmを超えると、横荷重を受けるパネル支持部材51の傾きαがかなり大きくなる。特に、特定の連結部材93sと脱線防止ローラ31との間の距離xが50cm以下の領域では、特定の連結部材93sによるレール91の拘束力が非常によく効いていると思われる。このことは、距離xが50cm以下である場合には、パネル搬送装置10の揺動あるいは振動が顕著に抑制されることを意味する。もちろん、距離xが40cm以下、30cm以下、あるいは、20cm以下である場合には、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が更に顕著に抑制される。
【0032】
図4B(b)に示される実験結果から、距離xが60cm以下である場合に、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が抑制されるとの効果は、連結部材93間の間隔が180cmである場合に限定されないことがわかる。特に、距離xが50cm以下である領域は、連結部材93間の間隔が180cmである場合においても、連結部材93間の間隔が400cmである場合においても、連結部材93sによるレール91の拘束力が非常によく効く領域であるといえる。当該領域に、脱線防止ローラ31が位置する場合には、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が顕著に抑制される。
【0033】
第1の実施形態では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下(あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)に維持されるように、レール91に対する複数の連結部材93の配置と、パネル搬送装置10における複数の脱線防止ローラ31の配置とが設定される。この場合、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が抑制され、パネルPを安定的に搬送することができる。
【0034】
第1例として、図1に示されるように、複数の連結部材93が、レール91の延在方向に沿って180cm間隔で配置され、パネル搬送装置10Aが、レール91の延在方向に沿って、6個の脱線防止ローラ31を有する場合を想定する。図1に記載の例では、脱線防止ローラ31は、30cm間隔で配置されている。この場合、パネル搬送装置10Aがレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が、常時、15cm以下に維持される。
【0035】
よって、第1例では、パネル搬送装置10Aがレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が常時60cm以下に維持されるとの条件1が満たされ、当該距離が常時50cm以下に維持されるとの条件2が満たされ、当該距離が常時40cm以下に維持されるとの条件3が満たされ、当該距離が常時30cm以下に維持されるとの条件4が満たされ、当該距離が常時20cm以下に維持されるとの条件5が満たされる。
【0036】
以上のことから、第1例は、パネル搬送装置10Aの揺動、振動、あるいは、横動を抑制するための理想的配置の1つであると言える。
【0037】
第2例として、図5に示されるように、複数の連結部材93が、レール91の延在方向に沿って180cm間隔で配置され、パネル搬送装置10Aが、レール91の延在方向に沿って、3個の脱線防止ローラ31を有する場合を想定する。図5に記載の例では、脱線防止ローラ31は、60cm間隔で配置されている。この場合、パネル搬送装置10Aがレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が常時30cm以下に維持される。
【0038】
よって、第2例では、パネル搬送装置10Aがレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が常時60cm以下に維持されるとの条件1が満たされ、当該距離が常時50cm以下に維持されるとの条件2が満たされ、当該距離が常時40cm以下に維持されるとの条件3が満たされ、当該距離が常時30cm以下に維持されるとの条件4が満たされる。他方、当該距離が常時20cm以下に維持されるとの条件5は満たされない。
【0039】
以上のことから、第2例は、パネル搬送装置10Aの揺動、振動、あるいは、横動を抑制するための配置の1つであると言えるが、第1例と比較すると、パネル搬送装置10Aの揺動、振動、あるいは、横動の抑制効果は小さい。
【0040】
(パネル搬送方法)
続いて、第1の実施形態におけるパネル搬送方法について説明する。図6は、第1の実施形態におけるパネル搬送方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
第1ステップST1において、複数の連結部材93を介して固定されたレール91に沿って移動可能なパネル搬送装置10にパネルPが取り付けられる。第1ステップST1は、パネル取付工程である。図1には、パネル取付工程が実行された後の状態が示されている。
【0042】
図1に記載の例では、パネル取付工程は、パネルPの起立姿勢が維持されるようにパネルPをパネル搬送装置10に取り付けることを含む。
【0043】
第2ステップST2において、レール91に沿って、パネル搬送装置10が移動される(図1における矢印F1を参照。)。第2ステップST2は、移動工程である。パネル搬送装置10には、パネルPが取り付けられている。よって、第2ステップST2(移動工程)の実行によりパネルPが搬送される。図1に記載の例では、移動工程は、パネルPの起立姿勢が維持された状態で、パネル搬送装置10を移動させることを含む。
【0044】
第2ステップST2(移動工程)では、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が常時60cm以下(あるいは、あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)に維持される。その結果、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が抑制され、パネルPを安定的に搬送することができる。
【0045】
第2ステップST2(移動工程)は、パネル搬送装置10(より具体的には、主ローラ21)が金属製のバンド95(必要であれば、図2を参照。)を乗り越えることを含んでいてもよい。パネル搬送装置10が金属製のバンド95を乗り越えるときに、パネル搬送装置10の揺動、あるいは、振動が大きくなる可能性がある。しかし、第1の実施形態では、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるため、パネル搬送装置10が金属製のバンド95を乗り越える際のパネル搬送装置10の揺動、あるいは、振動も抑制される。
【0046】
(第1の実施形態の第2変形例)
図1に示されるパネル搬送システム1Aでは、パネル搬送装置10Aがレール91に沿って移動するとき、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持されるように、レール91に対する複数の連結部材93の配置と、パネル搬送装置10Aにおける複数の脱線防止ローラ31の配置とが設定される。これに対し、第1の実施形態の第2変形例におけるパネル搬送システム1C(図8を参照。)では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、後述される複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されるように、レール91に対する複数の連結部材93の配置と、パネル搬送装置10における複数の拘束領域ARの配置とが設定される。
【0047】
脱線防止ローラ31は、レール91によって規定される軌道からパネル搬送装置10がずれるのを防止する拘束部材として機能するため、脱線防止ローラ31の近傍領域は、レール91によって規定される軌道からのずれが小さい。そこで、本明細書では、第1方向DR1に沿う方向における脱線防止ローラ31(より具体的には、脱線防止ローラ31の中心)からの距離Eが、設定閾値TH(図7を参照。)以下の領域を拘束領域ARと定義する。なお、設定閾値THは、図4Aおよび図4Bに示される実験結果から、60cm、50cm、40cm、30cm、あるいは、20cmであることが好ましい。
【0048】
第1の実施形態の第2変形例では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されるように、レール91に対する複数の連結部材93の配置と、パネル搬送装置10における複数の拘束領域ARの配置とが設定される。詳細は後述される。なお、「複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする」とは、平面視または側面視において、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つと重なることと同義である。
【0049】
図8に記載の例では、パネル搬送装置10は、第1方向DR1に沿って、3つの脱線防止ローラ31を有する。3つの脱線防止ローラ31を、レール91の第1端部911から近い順に、第1の脱線防止ローラ31-1、第2の脱線防止ローラ31-2、第3の脱線防止ローラ31-3と呼ぶ。また、「K」を1、2、または、3とするとき、第1方向DR1に沿う方向において、第「K」の脱線防止ローラ31-K(より具体的には、第「K」の脱線防止ローラ31-Kの中心)からの距離が設定閾値TH以下の領域を第「K」拘束領域AR-Kと呼ぶ。さらに、複数の連結部材93について、第1端部911から近い順に、第1の連結部材93-1、第2の連結部材93-2、第3の連結部材93-3、第4の連結部材93-4、・・・と呼ぶ。
【0050】
図8に記載の例では、第2拘束領域AR-2が、第3の連結部材93-3とオーバーラップしている。また、図9に記載の例では、第3拘束領域AR-3が、第4の連結部材93-4とオーバーラップしている。
【0051】
図8および図9に記載の例では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、常時、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする。この場合、拘束領域ARがレール91を拘束することと、連結部材93がレール91の位置の保持することとの両方によって、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が抑制される。こうして、パネルPを安定的に搬送することが可能となる。
【0052】
(パネル搬送方法)
続いて、図6乃至図9を参照して、第1の実施形態の変形例におけるパネル搬送方法について説明する。図6は、第1の実施形態の変形例におけるパネル搬送方法の一例を示すフローチャートである。
【0053】
第1ステップST1において、複数の連結部材93を介して固定されたレール91に沿って移動可能なパネル搬送装置10にパネルPが取り付けられる。第1ステップST1は、パネル取付工程である。図8には、パネル取付工程が実行された後の状態が示されている。
【0054】
図8に記載の例では、パネル取付工程は、パネルPの起立姿勢が維持されるようにパネルPをパネル搬送装置10に取り付けることを含む。
【0055】
第2ステップST2において、レール91に沿って、パネル搬送装置10が移動される(図9における矢印F1を参照。)。第2ステップST2は、移動工程である。パネル搬送装置10には、パネルPが取り付けられている。よって、第2ステップST2(移動工程)の実行によりパネルPが搬送される。図9に記載の例では、移動工程は、パネルPの起立姿勢が維持された状態で、パネル搬送装置10を移動させることを含む。
【0056】
第2ステップST2(移動工程)では、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持される。その結果、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動が抑制され、パネルPを安定的に搬送することができる。
【0057】
(複数の連結部材93の配置と、複数の拘束領域ARの配置との関係)
図10に例示されるように、パネル搬送装置10が、N個(「N」は、2以上の任意の自然数)の拘束領域ARを有し、連結部材93が等間隔で配置されている場合において、複数の連結部材93の配置と、複数の拘束領域ARの配置との関係について説明する。なお、図10に記載の例において、隣接する2つの連結部材93間の間隔Gに特に制限はないが、間隔Gは、例えば、180cmである。
【0058】
図10に例示されるように、(1)複数の拘束領域ARのうちレール91の第1端部911に最も近いものを第1拘束領域AR-1と定義し、(2)「K」を2以上の任意の自然数とするとき、複数の拘束領域ARのうちレール91の第1端部911にK番目に近いものを第K拘束領域AR-Kと定義し、(3)第1拘束領域AR-1の第1端部911側の端T-1から第K拘束領域AR-Kの第1端部911側の端T-Kまでの距離をL(K)と定義し、(4)除算L(K)/Gの答えの整数部分をV(K)と定義する。
【0059】
この場合、図10に記載の例では、第1拘束領域AR-1を除くN-1個の拘束領域(AR-2、AR-3、・・・)を、それぞれ、レール91に沿って、GのV(K)倍の距離だけ仮想的に第1端部911側に移動すると、第1拘束領域AR-1および仮想的に移動された後のN-1個の拘束領域(AR-2’、AR-3’、・・・)によって長さがG以上の連続した仮想拘束領域ARCが形成される。なお、除算L(K)/Gの答えの整数部分V(K)がゼロである場合には、「GのV(K)倍の距離」はゼロとなるため、この場合には、対応する第K拘束領域を仮想的に距離ゼロだけ移動する(換言すれば、第K拘束領域を移動しない。)。
【0060】
より具体的には、図10に記載の例では、除算L(2)/Gの答えの整数部分V(2)は「1」であるため、第2拘束領域AR-2を、レール91に沿って、Gの1倍の距離だけ仮想的に第1端部911側に移動する。また、除算L(3)/Gの答えの整数部分V(3)は「2」であるため、第3拘束領域AR-3を、レール91に沿って、Gの2倍の距離だけ仮想的に第1端部911側に移動する。こうして、第1拘束領域AR-1と、仮想的に移動された後の第2拘束領域AR-2’と、仮想的に移動された後の第3拘束領域AR-3’とによって長さがG以上の連続した仮想拘束領域ARCが形成される。
【0061】
なお、図10に記載の例において、除算L(K)/Gの答えの整数部分V(K)、すなわち、除算L(K)/Gの「商」は、各拘束領域(AR-2、AR-3、・・・)が仮想的に移動される距離を規定する。これに対し、除算L(K)/Gの「余り」は、第1拘束領域AR-1に対する仮想移動後の各拘束領域(AR-2’、AR-3’、・・・)の相対位置を規定する。より具体的には、除算L(K)/Gの「余り」が大きいほど、仮想移動後の拘束領域の位置は、第1拘束領域AR-1の位置から遠くなる。図10に記載の例では、除算L(2)/Gの「余り」が、除算L(3)/Gの「余り」よりも大きいため、仮想移動後の第2拘束領域AR-2’の位置は、仮想移動後の第3拘束領域AR-3’と比較して、第1拘束領域AR-1の位置から遠い。
【0062】
第1拘束領域AR-1および仮想的に移動された後のN-1個の拘束領域(AR-2’、AR-3’、・・・)によって長さがG以上の連続した仮想拘束領域ARCが形成される場合には、移動工程(上述の第2ステップST2)において、常時、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持される。換言すれば、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、常時、複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されることとなる。オーバーラップ状態が維持される理由について、図11を参照して、より詳細に説明する。
【0063】
図11において、「S」、「A」、「B」、「C」、「D」が、それぞれ、拘束領域ARに相当するものとする。なお、便宜的に、「S」、「A」、「B」、「C」、「D」を台車形状に描いているが、拘束領域は、実際には、脱線防止ローラ31の近傍であることを示す仮想領域である。「S」は、基準となる拘束領域、換言すれば、複数の拘束領域のうちレール91の第1端部911に最も近いものを示す。
【0064】
図11に記載の例では、拘束領域Aは、拘束領域Sの左端からの距離がG以下である。拘束領域Bは、拘束領域Sの左端からの距離がG以上2G以下である。拘束領域Cは、拘束領域Sの左端からの距離が2G以上3G以下である。拘束領域Dは、拘束領域Sの左端からの距離が3G以上4G以下である。
【0065】
この場合、図11(a)に示されるように、拘束領域Aを距離ゼロだけ第1端部911側に仮想的に移動し(換言すれば、拘束領域Aを移動せずに維持し)、拘束領域Bを距離Gだけ第1端部911側に仮想的に移動し、拘束領域Cを距離2Gだけ第1端部911側に仮想的に移動し、拘束領域Dを距離3Gだけ第1端部911側に仮想的に移動すれば、図11(b)に示される配置となる。
【0066】
図11(b)に記載の例では、拘束領域Sと、仮想的に距離ゼロだけ移動された後の拘束領域A’と、仮想的に距離Gだけ移動された後の2つの拘束領域B’と、仮想的に距離2Gだけ移動された後の2つの拘束領域C’と、仮想的に距離3Gだけ移動された後の2つの拘束領域D’とによって長さがG以上の連続した仮想拘束領域ARCが形成されている。
【0067】
図11(b)に記載の例では、仮想拘束領域ARCの長さが、連結部材93間の間隔Gよりも大きいため、仮想拘束領域ARCは、必ず、いずれかの連結部材93とオーバーラップすることとなる。
【0068】
次に、図11(b)に示される配置から、拘束領域A’を距離ゼロだけ第2端部912側に移動し、拘束領域B’を距離2Gだけ第2端部912側に移動し、拘束領域C’を距離2Gだけ第2端部912側に移動し、拘束領域D’を距離3Gだけ第2端部912側に移動すれば、図11(c)に示される配置(換言すれば、図11(a)に示される元の配置)に戻る。
【0069】
図11(b)において、第1の連結部材93-1に対する拘束領域B’の相対配置は、図11(c)において、第2の連結部材93-2に対する拘束領域Bの相対配置と等価である。なぜなら、図11(c)において、第2の連結部材93-2は、第1の連結部材93-1から右側に距離Gだけの位置にあり、他方、図11(b)に示される位置から図11(c)に示される位置まで、拘束領域B’は、右側に距離Gだけ移動されているからである。
【0070】
同様に、図11(b)における第1の連結部材93-1に対する拘束領域C’の相対配置は、図11(c)における第3の連結部材93-3に対する拘束領域Cの相対配置と等価である。また、図11(b)における第1の連結部材93-1に対する拘束領域D’の相対配置は、図11(c)における第4の連結部材93-4に対する拘束領域Dの相対配置と等価である。
【0071】
以上のことから、図11(b)に示される配置において、拘束領域S、A’、B’、C’、D’によって形成される仮想拘束領域ARCが、必ず、いずれかの連結部材93とオーバーラップするのであれば、図11(c)に示される配置において、拘束領域S、A、B、C、Dのいずれかが、必ず、いずれかの連結部材93とオーバーラップすることとなる。こうして、図11(a)に示される複数の拘束領域S、A、B、C、Dの配置は、連結部材93とオーバーラップすることに関し、図11(b)に示される複数の拘束領域S、A’、B’、C’、D’の配置と等価であることがわかる。
【0072】
なお、図11(a)に例示されるように、隣接する2つの拘束領域間の距離は、他の隣接する2つの拘束領域間の距離と異なっていてもよい。また、隣接する2つの拘束領域間の距離は、間隔G以下であってもよいし、間隔G以上であってもよい。例えば、図11(a)に記載の例では、最も左の拘束領域Sと左から2番目の拘束領域Aとの間の距離が間隔G以下である。代替的に、最も左の拘束領域Sと左から2番目の拘束領域Aとの間の距離は間隔G以上であってもよい。
【0073】
図10あるいは図11(a)に記載の例では、隣接する2つの拘束領域間にスペースが存在する。それにも関わらず、図10あるいは図11(a)に記載の例では、長さがG以上の連続した仮想拘束領域ARCが形成される場合と等価な効果が奏される。
【0074】
続いて、図1乃至図22を参照して、第1の実施形態において、採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0075】
(連結部材93とオーバーラップする拘束領域ARの数)
第1の実施形態において、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとオーバーラップする拘束領域ARの数は、常時、2個以上、3個以上、あるいは、4個以上であることが好ましい。この場合、レール91によって規定される軌道からパネル搬送装置10がずれるのを防止する拘束領域ARが、パネル搬送装置10の走行方向に沿って2個以上存在することとなるため、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動がより一層抑制される。なお、上述のとおり、拘束領域ARとは、第1方向DR1に沿う方向における脱線防止ローラ31(より具体的には、脱線防止ローラ31の中心)からの距離が、設定閾値TH以下の領域を意味し、設定閾値THは、60cm(あるいは、50cm、40cm、30cm、または、20cm)である。
【0076】
図12に記載の例では、パネル搬送装置10がレール91に沿って移動するとき、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとオーバーラップする拘束領域ARの数は、常時、4個以上である。例えば、図12(a)において、第1拘束領域AR-1、および、第2拘束領域AR-2が、第1の連結部材93-1とオーバーラップし、第5拘束領域AR-5、および、第6拘束領域AR-6が、第2の連結部材93-2とオーバーラップしている。また、図12(b)において、第3拘束領域AR-3、第4拘束領域AR-4、第5拘束領域AR-5、および、第6拘束領域AR-6が、第2の連結部材93-2とオーバーラップしている。なお、図12に記載の例では、第1拘束領域AR-1、第2拘束領域AR-2、第5拘束領域AR-5、第6拘束領域AR-6の一部分は、実体としてのパネル搬送装置10が存在する領域を超えてはみ出している。当該はみ出している領域に実体としてのパネル搬送装置10が存在しないことは、パネルPの揺動、振動、あるいは、横動の抑制効果に何ら影響しない。よって、本明細書では、拘束領域ARが、実体としてのパネル搬送装置10が存在する領域を超えてはみ出しているか否かに関わらず、脱線防止ローラ31からの距離が、設定閾値TH(例えば、60cm)以下の領域を拘束領域ARと定義する。もちろん、拘束領域ARを実体としてのパネル搬送装置10が存在する領域に限定して定義することも可能であるが、そのような限定に特段の意義はないため、ここではそのような限定した定義はしない。
【0077】
(台車ユニット2)
パネル搬送装置10は、少なくとも1つの台車ユニット2を有する。以下、パネル搬送装置10において採用可能な台車ユニット2のいくつかの例について説明する。
【0078】
(台車ユニット2の第1例:台車ユニット2A)
図13に記載の例では、台車ユニット2Aは、台車本体20と、主ローラ21と、脱線防止ローラ31および脱線防止ローラ支持部材32を有する脱線防止アセンブリ30とを備える。
【0079】
図13に記載の例では、台車本体20は、板材(例えば、金属板)によって構成されている。台車本体20が板材によって構成される場合、台車本体20の重量を低減することができる。台車本体20は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。図13に記載の例では、台車本体20は、側部24(より具体的には、第1側部24a、および、第2側部24b)と、底部23とを有する。
【0080】
図13に記載の例では、台車ユニット2Aは、複数の主ローラ21を有し、複数の主ローラ21は、第1主ローラ21aと、第2主ローラ21bとを含む。また、複数の主ローラ21の各々は、台車本体20の側部24に支持されている。図13に記載の例では、第1主ローラ21aおよび第2主ローラ21bの各々は、脱線防止ローラ31よりも大きなサイズのローラである。
【0081】
第1主ローラ21aは、例えば、上方からレール91(より具体的には、第1レール91a)に接触する上段ローラであり(なお、「上方」には、斜め上方も含まれる。)、第2主ローラ21bは、例えば、上方からレール91(より具体的には、第2レール91b)に接触する上段ローラである(なお、「上方」には、斜め上方も含まれる。)。
【0082】
図13に例示されるように、複数の主ローラ21は、第3主ローラ21cと、第4主ローラ21dとを含んでいてもよい。
【0083】
脱線防止アセンブリ30は、脱線防止ローラ31と脱線防止ローラ支持部材32とを含むアセンブリ(換言すれば、組立体)である。脱線防止アセンブリ30は、台車本体20に連結される。脱線防止アセンブリ30は、操作レバー34を含んでいてもよい。
【0084】
図14に例示されるように、脱線防止アセンブリ30の姿勢は、第1姿勢(図14(a)を参照。)と、第2姿勢(図14(b)を参照。)との間で変更可能である。
【0085】
第1姿勢(図14(a)を参照。)は、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過可能な脱線防止アセンブリ30の姿勢である。第2姿勢(図14(b)を参照。)は、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過不能な脱線防止アセンブリ30の姿勢である。
【0086】
図14に記載の例では、脱線防止アセンブリ30の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である。この場合、脱線防止アセンブリ30の姿勢を第1姿勢にした状態で、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が横切るように脱線防止アセンブリ30を移動させ、その後、脱線防止アセンブリ30の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することができる。こうして、台車ユニット2Aを含むパネル搬送装置10をレール91に迅速に取り付けることができる。
【0087】
図14に記載の例では、台車ユニット2Aが有する脱線防止アセンブリ30の数は1個であるが、台車ユニット2Aが有する脱線防止アセンブリ30の数は、2個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0088】
図14に記載の例では、脱線防止ローラ31は、第1レール91aに接触する第1レール側脱線防止ローラ31aと、第2レール91bに接触する第2レール側脱線防止ローラ31bとを含む。第1レール側脱線防止ローラ31aおよび第2レール側脱線防止ローラ31bの各々は、例えば、下方からレール91に接触する下段ローラである(なお、「下方」には、斜め下方も含まれる。)。
【0089】
図13に記載の例では、第1方向DR1に沿う方向における脱線防止ローラ31の位置は、第1方向DR1に沿う方向における主ローラ21の位置とオーバーラップしていない。この場合、レール91間の継ぎ目に段差がある場合、あるいは、レール91の表面に他部材(必要であれば、図2のバンド95を参照。)が配置されている場合に、台車ユニット2Aが、当該段差あるいは当該他部材を乗り越えやすい。
【0090】
脱線防止ローラ31のレール接面は、例えば、金属によって構成される。代替的に、脱線防止ローラ31レール接面は、樹脂によって構成されていてもよい。
【0091】
脱線防止ローラ支持部材32は、脱線防止ローラ31を支持する。図14(b)に記載の例では、脱線防止ローラ支持部材32は、第1レール側脱線防止ローラ31aを支持する第1脚部322aと、第2レール側脱線防止ローラ31bを支持する第2脚部322bとを有する。
【0092】
脱線防止ローラ支持部材32は、第1軸AX1まわりを回動可能なように、台車本体20に取り付けられている。この場合、脱線防止ローラ支持部材32を、第1軸AX1まわりに、台車本体20に対して第1回転方向R1に相対回転させることにより、脱線防止アセンブリ30の姿勢を第1姿勢(図14(a)を参照。)から第2姿勢(図14(b)を参照。)に変更することができる。また、脱線防止ローラ支持部材32を、第1軸AX1まわりに、台車本体20に対して第2回転方向R2(換言すれば、第1回転方向R1とは反対の方向)に相対回転させることにより、脱線防止アセンブリ30の姿勢を第2姿勢(図14(b)を参照。)から第1姿勢(図14(a)を参照。)に変更することができる。
【0093】
操作レバー34は、脱線防止ローラ支持部材32を台車本体20に固定する操作、および/または、台車本体20に対する脱線防止ローラ支持部材32の固定を解除する操作を行うレバーである。図14(b)に記載の例において、操作レバー34が第1操作方向に操作されると、ネジ棒331がネジ棒の先端側に前進する。こうして、脱線防止ローラ支持部材32が台車本体20に固定される。また、図14(b)に記載の例において、操作レバー34が第2操作方向に操作されると、ネジ棒331がネジ棒の基端側に後退するする。こうして、台車本体20に対する脱線防止ローラ支持部材32の固定が解除される。
【0094】
図14(a)に記載の例では、台車ユニット2Aは、中段ローラ27を有する。中段ローラ27は、側方からレール91に接触する。中段ローラ27は、台車ユニット2Aの横動(換言すれば、第3方向DR3に平行な方向の移動)を抑制する。図14(a)に記載の例では、中段ローラ27は、台車本体20の底部23に支持されている。
【0095】
(台車ユニット2の第2例:台車ユニット2B)
図15に記載の例では、台車ユニット2Bは、台車本体20と、主ローラ21と、脱線防止ローラ31および脱線防止ローラ支持部材32を有する脱線防止アセンブリ30とを備える。また、台車ユニット2Bは、中段ローラ27を備える。台車ユニット2Bは、台車本体20が第1フレーム20aおよび第2フレーム20bを有する点、および、第1フレーム20aおよび第2フレーム20bの各々に、脱線防止アセンブリ(30;30b)が支持されている点で、台車ユニット2Aと異なる。その他の点では、台車ユニット2Bは、台車ユニット2Aと同様である。台車ユニット2Bに関しては、台車ユニット2Aと異なる点を中心に説明し、台車ユニット2Aに関して説明済みの事項についての繰り返しとなる説明を省略する。
【0096】
台車ユニット2Bにおいて、台車本体20は、第1フレーム20aと、第2フレーム20bとを有する。
【0097】
図15に記載の例では、第1フレーム20aは、主ローラ21を支持する。図15に記載の例では、第1フレーム20aによって支持される部材は、図13において台車本体20によって支持される部材と同一である。換言すれば、台車ユニット2Aの説明において、「台車本体20」を、「第1フレーム20a」に読み替えれば、第1フレーム20aによって支持される部材(主ローラ21、脱線防止アセンブリ30、中段ローラ27)の説明となる。
【0098】
第1フレーム20aは、第2フレーム20bに連結されている。図15に記載の例では、第1フレーム20aは、第2フレーム20bの第1部分201に、第1フレーム20aの幅方向(より具体的には、第3方向DR3)に平行な第1揺動軸AT1まわりに揺動可能に連結されている。第1フレーム20aが、第2フレーム20bに対して第1揺動軸AT1まわりを揺動可能な場合、第1フレーム20aによって支持されるローラ(例えば、主ローラ21)が、レール91の段差、あるいは、レール91の表面の他部材(必要であれば、図2のバンド95を参照。)を円滑に乗り越えることができる。なお、第2フレーム20bの第1部分201に対する第1フレーム20aの相対運動は、第1揺動軸AT1まわりの運動を除き、実質的に拘束されていてもよい(もちろん、第1揺動軸AT1まわりの運動を許容するために確保される遊びの範囲内での任意の方向の運動は許容される。)。
【0099】
図15に記載の例では、第2の脱線防止アセンブリ30bが、第2フレーム20bの第2部分202に連結(より具体的には、固定)されている。第2の脱線防止アセンブリ30bは、脱線防止ローラ31と、脱線防止ローラ31を支持する脱線防止ローラ支持部材32とを有する。第2の脱線防止アセンブリ30bの姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であることが好ましい。第2の脱線防止アセンブリ30bは、第1フレーム20aに固定される脱線防止アセンブリ30と同様の構造を有していてもよい。
【0100】
図15に記載の例において、第1フレーム20aおよび第2フレーム20bは、それぞれ、剛性フレームである。第1フレーム20aの長手方向に垂直な断面形状は、略L字形状であってもよく、略C字形状であってもよく、略矩形枠形状であってもよい。第2フレーム20bの長手方向に垂直な断面形状は、略L字形状であってもよく、略C字形状であってもよく、略矩形枠形状であってもよい。
【0101】
(台車ユニット2の第3例:台車ユニット2C)
図16に記載の例では、台車ユニット2Cは、台車本体20と、主ローラ21と、脱線防止アセンブリ30と、第2の脱線防止アセンブリ30bとを備える。また、台車ユニット2Cは、中段ローラ27を備える。台車ユニット2Cの台車本体20は、第1フレーム20aと、第2フレーム20bとを含む。
【0102】
台車ユニット2Cは、脱線防止アセンブリ30が第1フレーム20aではなく、第2フレーム20bに固定されている点で、台車ユニット2Bとは異なる。その他の点では、台車ユニット2Cは、台車ユニット2Bと同様である。
【0103】
(台車ユニット2の第4例:台車ユニット2D)
図17に記載の例では、台車ユニット2Dは、台車本体20と、主ローラ21と、脱線防止アセンブリ30と、第2の脱線防止アセンブリ30bとを備える。また、台車ユニット2Dは、中段ローラ27を備える。台車ユニット2Dの台車本体20は、第1フレーム20aと、第2フレーム20bと、第3フレーム20cとを含む。
【0104】
台車ユニット2Dは、第2の脱線防止アセンブリ30bが第2フレーム20bではなく、第3フレーム20cに固定されている点で、台車ユニット2Bとは異なる。その他の点では、台車ユニット2Dは、台車ユニット2Bと同様である。台車ユニット2Dに関しては、台車ユニット2Aおよび台車ユニット2Bと異なる点を中心に説明し、台車ユニット2Aまたは台車ユニット2Bに関して説明済みの事項についての繰り返しとなる説明を省略する。
【0105】
台車ユニット2Dにおいて、第1フレーム20aによって支持される部材(例えば、主ローラ21、脱線防止アセンブリ30等)については、台車ユニット2Bにおいて、第1フレーム20aによって支持される部材と同様である。また、台車ユニット2Dにおいて、第1フレーム20aと第2フレーム20bとの間の連結構造は、台車ユニット2Bにおける第1フレーム20aと第2フレーム20bとの間の連結構造と同様である。よって、第1フレーム20aによって支持される部材、および、第1フレーム20aと第2フレーム20bとの間の連結構造についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0106】
図17に記載の例では、第3フレーム20cは、主ローラ21を支持する。図17に記載の例では、第3フレーム20cによって支持される部材は、図13において台車本体20によって支持される部材と同一である。換言すれば、台車ユニット2Aの説明において、「台車本体20」を、「第3フレーム20c」に読み替えれば、第3フレーム20cによって支持される部材(主ローラ21、脱線防止アセンブリ30、中段ローラ27)の説明となる。
【0107】
第3フレーム20cは、第2フレーム20bに連結されている。図17に記載の例では、第3フレーム20cは、第2フレーム20bの第2部分202に、第3フレーム20cの幅方向(より具体的には、第3方向DR3)に平行な第2揺動軸AT2まわりに揺動可能に連結されている。第3フレーム20cが、第2フレーム20bに対して第2揺動軸AT2まわりを揺動可能な場合、第3フレーム20cによって支持されるローラ(例えば、主ローラ21)が、レール91の段差、あるいは、レール91の表面の他部材(必要であれば、図2のバンド95を参照。)を円滑に乗り越えることができる。なお、第2フレーム20bの第2部分202に対する第3フレーム20cの相対運動は、第2揺動軸AT2まわりの運動を除き、実質的に拘束されていてもよい(もちろん、第2揺動軸AT2まわりの運動を許容するために確保される遊びの範囲内での任意の方向の運動は許容される。)。
【0108】
図17に記載の例において、第1フレーム20a、第2フレーム20b、および、第3フレーム20cは、それぞれ、剛性フレームである。各フレーム(20a、20b、20c)の長手方向に垂直な断面形状は、略L字形状であってもよく、略C字形状であってもよく、略矩形枠形状であってもよい。
【0109】
(台車ユニット2の第5例:台車ユニット2E)
図18に示される台車ユニット2Eは、複数のサブ台車ユニットSDを、連結フレーム20dを介して連結することにより構成されている。より具体的には、複数のサブ台車ユニットSDの各々の第2フレーム20bが、ボルト等の締結部材28を介して、連結フレーム20dに固定されている。連結フレーム20dに固定される複数のサブ台車ユニットSDは、上述の台車ユニット(2B、2C、2D)であってもよく、他の台車ユニットであってもよい。また、連結フレーム20dに固定される複数のサブ台車ユニットSDは、すべて、同じタイプのサブ台車ユニットであってもよいし、2種類以上の異なるタイプのサブ台車ユニットを含んでいてもよい。
【0110】
なお、連結フレーム20dは、剛性フレームである。連結フレーム20dの長手方向に垂直な断面形状は、略L字形状であってもよく、略C字形状であってもよく、略矩形枠形状であってもよい。連結フレーム20dの長さは、例えば、60cm以上、120cm以上、あるいは、180cm以上である。
【0111】
図18に記載の例では、複数のサブ台車ユニットSDが、連結フレーム20dによって剛的に連結されることにより台車ユニット2Eが形成されている。なお、本明細書において、「剛的に連結」とは、連結される2つの物の相対位置および相対角度が実質的に変化しない連結を意味する。
【0112】
図18に記載の例では、パネル搬送装置10は、複数のサブ台車ユニットSDと、複数のサブ台車ユニットSDを剛的に連結する連結フレーム20dを有する。また、複数のサブ台車ユニットSDの各々が脱線防止ローラ31を有する。この場合、連結部材93から60cm以内に位置する1つの脱線防止ローラ31によって奏される揺動、振動、あるいは、横動の抑制効果が、他の脱線防止ローラ31にも及ぶ。よって、パネル搬送装置10の揺動、振動、あるいは、横動がより一層抑制され、パネルPをより安定的に搬送することが可能となる。特に、連結フレーム20dの長さが、120cm以上、あるいは、180cm以上である場合には、パネルPの搬送を安定化する効果が大きい。
【0113】
(台車本体20の長さ)
図15乃至図18に記載の例において、台車本体20は、レール91の延在方向に沿う方向に長尺な形状を有する。台車本体20のアスペクト比(換言すれば、台車本体20の長さを、台車本体20の最大幅で割ることにより得られる値)は、例えば、3以上、5以上、あるいは、8以上である。台車本体20の長さは、60cm以上であってもよく、120cm以上であってもよく、180cm以上であってもよい。
【0114】
(パネル支持部材51)
図19に記載の例では、パネル搬送装置10は、パネルPを起立姿勢で支持するパネル支持部材51を有する。図19に記載の例では、パネル搬送装置10は、長尺パネルPsの一端部を支持する。長尺パネルPsの他端部は、第2のパネル搬送装置10’によって支持されてもよい。パネル搬送装置10と第2のパネル搬送装置10’とは任意の連結具を介して連結されていてもよい。代替的に、パネル搬送装置10と第2のパネル搬送装置10’とは、長尺パネルPsのみを介して連結されていてもよい。換言すれば、搬送物である長尺パネルPsが、パネル搬送装置10と第2のパネル搬送装置10’とを連結する部材として機能してもよい。図19に記載の例では、パネル支持部材51は、パネル搬送装置10の台車本体20(より具体的には、連結フレーム20d)に取り付けられている。
【0115】
(駆動台車6)
第1の実施形態におけるパネル搬送システム1は、駆動台車6を有していてもよい。駆動台車6は、レール91(より具体的には、第1レール91aおよび第2レール91b)に沿って走行可能である。
【0116】
図20に記載の例では、駆動台車6は、駆動台車本体60と、駆動台車本体60に支持される主ローラ61と、脱線防止アセンブリ70と、を具備する。脱線防止アセンブリ70は、脱線防止ローラ71と、脱線防止ローラ支持部材72とを有する。脱線防止アセンブリ70は、駆動台車本体60に連結される。
【0117】
駆動台車6において、脱線防止アセンブリ70の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ71が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ71が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であることが好ましい。脱線防止アセンブリ70の姿勢が第2姿勢であるとき、駆動台車6は、レール91に沿って走行可能である。
【0118】
図20に記載の例では、駆動台車6は、モータ81と、モータ81の駆動を制御する制御装置83とを備える。モータ81は、主ローラ61のうちの少なくとも1つを駆動ローラとして駆動させる。駆動台車6は、モータ81に電力を供給するバッテリ、および/または、外部のコントローラからの制御指令を受信する受信機(より具体的には、アンテナ)を備えていてもよい。
【0119】
図20に記載の例では、駆動台車6は、パネル搬送装置10に連結可能な第1連結部62を有する。また、パネル搬送装置10は、第1連結部62に連結可能な第2連結部12を有する。駆動台車6の第1連結部62がパネル搬送装置10の第2連結部12に連結されることにより、パネル搬送装置10は、駆動台車6とともに、レール91に沿って移動することができる。
【0120】
図21(b)に例示されるように、駆動台車6がレール91に沿って第1方向DR1に走行するとき、パネル搬送装置10は、第2連結部12および第1連結部62を介して、駆動台車6をレール91に向かう方向(図21(b)中の矢印を参照。)に押圧するように構成されていることが好ましい。この場合、駆動台車6がレール91に沿って第1方向DR1に走行するときに、駆動台車6の主ローラ61が、レール91に対してスリップすることが抑制される。通常、パネル搬送装置10に搭載される搬送物の重量が大きくなるほど、駆動台車6の主ローラ61のスリップの可能性が増加する。これに対し、上記の構成では、パネル搬送装置10に搭載される搬送物の重量が大きくなるほど、パネル搬送装置10が、駆動台車6をレール91に向かう方向に押圧する押圧力が大きくなり、主ローラ61のスリップの可能性が低減されるとの利点がある。
【0121】
上記の構成は、例えば、第1連結部62および第2連結部12が、パネル搬送装置10に対する駆動台車6の第1方向DR1への相対移動を、パネル搬送装置10が駆動台車6をレール91に向けて押圧する押圧力に変換する第1変換機構Q1を有することによって実現される。当該第1変換機構Q1は、第2連結部12に設けられる第1傾斜面121(より具体的には、駆動台車6に近づくにつれて高さが低くなる第1傾斜面121)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車6がパネル搬送装置10から離れる方向に移動すると、駆動台車6の第1連結部62は、第1傾斜面121によって、下方に押圧される。代替的に、第1変換機構Q1は、第2連結部12に対する第1連結部62の相対移動を、第2連結部12が第1連結部62を下方に向けて押圧する力に変換する任意のリンク機構、歯車機構、あるいは、ばね機構を含んでいてもよい。
【0122】
図21(c)に例示されるように、駆動台車6がレール91に沿って第2方向DR2に走行するとき、パネル搬送装置10は、第2連結部12および第1連結部62を介して、駆動台車6をレール91に向かう方向(図21(c)中の矢印を参照。)に押圧するように構成されていることが好ましい。この場合、駆動台車6がレール91に沿って第2方向DR2に走行するときに、駆動台車6の主ローラ61が、レール91に対してスリップすることが抑制される。
【0123】
上記の構成は、例えば、第1連結部62および第2連結部12が、パネル搬送装置10に対する駆動台車6の第2方向DR2への相対移動を、パネル搬送装置10が駆動台車6をレール91に向けて押圧する押圧力に変換する第2変換機構Q2を有することによって実現される。当該第2変換機構Q2は、第2連結部12に設けられる第2傾斜面122(より具体的には、駆動台車6から離れるにつれて高さが低くなる第2傾斜面122)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車6がパネル搬送装置10に向かって移動すると、駆動台車6の第1連結部62は、第2傾斜面122によって、下方に押圧される。代替的に、第2変換機構Q2は、第2連結部12に対する第1連結部62の相対移動を、第2連結部12が第1連結部62を下方に向けて押圧する力に変換する任意のリンク機構、歯車機構、あるいは、ばね機構を含んでいてもよい。
【0124】
図21(a)に記載の例では、第2連結部12は、下方が開放された凹部120を有し、当該凹部120が、第1傾斜面121および第2傾斜面122を含む。また、第1連結部62は、第1傾斜面121および第2傾斜面122に対して摺動可能な摺動部材625を有する。この場合、凹部120を、上方から、摺動部材625に引っ掛けることにより、第1連結部62と第2連結部12とを連結することができる。よって、第1連結部62と第2連結部12との連結を短時間で行うことができる。なお、摺動部材625は、例えば、ピン部材である。
【0125】
(第2ステップST2:移動工程)
パネル搬送システム1が、上述の第1変換機構Q1および/または第2変換機構Q2を備える場合、パネル搬送装置10が移動する際に、駆動台車6は、パネル搬送装置10によってレール91に向けて押圧される。換言すれば、パネル搬送方法の上述の第2ステップST2(移動工程)は、駆動台車6とパネル搬送装置10との間の相対移動を、パネル搬送装置10が駆動台車6をレール91に向けて押圧する押圧力に変換することを含むこととなる。この場合、駆動台車6(より具体的には、主ローラ61)が、レール91に対してスリップすることが抑制される。
【0126】
(第2のパネル搬送装置10’)
図22に記載の例では、パネル搬送システム1は、駆動台車6と、パネルPの第1部分P1(例えば、駆動台車6側の端部)を支持するパネル搬送装置10と、パネルPの第2部分P2(駆動台車6とは反対側の端部)を支持する第2のパネル搬送装置10’とを有する。付加的に、パネル搬送システム1は、パネルPの第3部分を支持する第3のパネル搬送装置を有していてもよい。
【0127】
駆動台車6、パネル搬送装置10については既に説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0128】
第2のパネル搬送装置10’は、パネル搬送装置10と同一構造の搬送装置であってもよいし、その他の構造の搬送装置であってもよい。図22に記載の例では、パネル搬送装置10は、パネルPの第1部分P1を支持する第1のパネル支持部材51aを備え、第2のパネル搬送装置10’は、パネルPの第2部分P2を支持する第2のパネル支持部材51bを備える。
【0129】
第2のパネル搬送装置10’は、レール91から第2のパネル搬送装置10’が脱線するのを防止する複数の脱線防止ローラ31を有する。第2のパネル搬送装置10’は、台車本体20、および、脱線防止アセンブリ30を有していてもよく、中段ローラ27を有していてもよい。脱線防止ローラ31、台車本体20、脱線防止アセンブリ30、中段ローラ27については、既に説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0130】
第2のパネル搬送装置10’は、上述の台車ユニット(2A、2B、2C、2D)を有していてもよく、複数のサブ台車ユニットSDが、連結フレーム20dによって連結された台車ユニット2Eを有していてもよい。
【0131】
(第1ステップST1:パネル取付工程)
パネル搬送システム1が、パネル搬送装置10と、第2のパネル搬送装置10’とを有する場合、上述のパネル取付工程は、パネルPの第1部分P1を、第1のパネル支持部材51aを介して、パネル搬送装置10に取り付けることと、パネルPの第2部分P2を、第2のパネル支持部材51bを介して、第2のパネル搬送装置10’に取り付けることを含んでいてもよい。
【0132】
(第2ステップST2:移動工程)
パネル搬送システム1が、パネル搬送装置10と、第2のパネル搬送装置10’とを有する場合、上述の移動工程では、パネル搬送装置10および第2のパネル搬送装置10’がレール91に沿って移動するとき、(1)パネル搬送装置10が有する複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下(あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)に維持され、(2)第2のパネル搬送装置10’が有する複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下(あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)に維持されることが好ましい。
【0133】
パネル搬送装置10、および、第2のパネル搬送装置10’の各々について、複数の脱線防止ローラ31のうちの少なくとも1つと、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとの間の距離が60cm以下に維持される場合、パネルPの第1部分P1の揺動が抑制され、パネルPの第2部分P2の揺動が抑制される。その結果、長尺パネルPsを安定的に搬送することができる。
【0134】
代替的に、あるいは、付加的に、上述の移動工程では、パネル搬送装置10および第2のパネル搬送装置10’がレール91に沿って移動するとき、(1)パネル搬送装置10が有する複数の脱線防止ローラ31の各々からの距離が60cm以下(あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)である複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持され、(2)第2のパネル搬送装置10’が有する複数の脱線防止ローラ31の各々からの距離が60cm以下(あるいは、50cm以下、40cm以下、30cm以下、または、20cm以下)である複数の拘束領域ARのうちの少なくとも1つが、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つにオーバーラップする状態が維持されることが好ましい。
【0135】
なお、第2のパネル搬送装置10’がレール91に沿って移動するとき、複数の連結部材93のうちの少なくとも1つとオーバーラップする第2のパネル搬送装置10’における拘束領域ARの数は、常時、2個以上、3個以上、あるいは、4個以上であることが好ましい。
【0136】
図22に例示されるように、第2ステップST2(移動工程)は、第2のパネル搬送装置10’が、パネルPのみを介して、パネル搬送装置10と連結されている状態で実行されてもよい。代替的に、第2のパネル搬送装置10’は、任意の連結具を介してパネル搬送装置10Aに直接的に連結されていてもよい。
【0137】
(第2の実施形態)
図23乃至図26を参照して、第2の実施形態におけるパネル搬送システム1Dについて説明する。図23および図24は、第2の実施形態におけるパネル搬送システム1Dを模式的に示す概略側面図である。図25は、検知棒41a、41bの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。図26は、検知板41cの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
【0138】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0139】
第2の実施形態におけるパネル搬送システム1Dは、パネルPが搭載されるパネル搬送装置10と、パネル搬送装置10に連結される駆動台車6と、衝突検知用の長尺部材41と、衝突検知センサ43と、制御装置83とを備える。
【0140】
パネル搬送装置10および駆動台車6は、主走行体Mを構成する。換言すれば、主走行体Mには、パネル搬送装置10と、駆動台車6とが含まれる。パネル搬送装置10および駆動台車6については、第1の実施形態における説明を援用し、パネル搬送装置10および駆動台車6についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0141】
衝突検知用の長尺部材41は、主走行体Mの走行方向前方側に、主走行体Mとともに移動可能に設けられる。長尺部材41は、高さ方向に延在していることが好ましい。より具体的には、長尺部材41の長手方向は、鉛直方向に略平行であることが好ましい。この場合、長尺部材41の高さの範囲内で、主走行体Mの走行方向前方側に存在する物体Wを検知することができる。長尺部材41は、棒部材であってもよいし、板部材であってもよい。
【0142】
衝突検知センサ43は、長尺部材41の状態変化に応じて長尺部材41への物体Wの衝突を検知する。物体Wは、主走行体Mの走行方向前方側に進入し得る任意の物体である。物体Wは、作業者の身体の一部である可能性もあるし、現場に存在する部材、部品あるいは構造物である可能性もある。
【0143】
衝突検知センサ43が検知する長尺部材41の状態変化は、典型的には、長尺部材41の姿勢変化である。例えば、衝突検知センサ43は、長尺部材41が、予め設定される初期姿勢から転倒すること、あるいは、傾斜することを検知する。衝突検知センサ43は、長尺部材41から受ける衝撃力を検知してもよい。図23(a)に記載の例では、衝突検知センサ43は、長尺部材41の下端部に配置されている。
【0144】
制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号(換言すれば、長尺部材41の状態変化を示す信号)を受信する。衝突検知信号は、長尺部材41が転倒あるいは傾斜したことを示す信号であってもよいし、長尺部材41が閾値を超える衝撃力を受けたことを示す信号であってもよい。
【0145】
制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信することに応じて、駆動台車6の走行を停止させる。
【0146】
第2の実施形態におけるパネル搬送システム1Dが、上述の構成を有することにより、主走行体Mの走行方向前方側に任意の物体が進入した場合に、主走行体Mを速やかに停止させることができる。
【0147】
制御装置83が衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信してから主走行体Mが完全停止するまでに主走行体Mが走行する距離を、距離DTと定義するとき、主走行体Mの走行方向の前端Mpから長尺部材41までの距離D1は、距離DTより大きいことが好ましい。距離D1は、例えば、100cm以上、150cm以上、あるいは、200cm以上である。距離D1が、距離DTより大きいことにより、長尺部材41に衝突した物体Wが、主走行体Mと衝突することが防止される(図23(b)を参照。)。
【0148】
続いて、図23乃至図26を参照して、第2の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0149】
(注意喚起用の可撓性面状体)
パネル搬送システム1Dは、注意喚起用の可撓性面状体45を備えていてもよい。可撓性面状体45は、主走行体Mの走行方向の前端Mpと長尺部材41との間を埋める。可撓性面状体45には、「衝突注意」といった、注意を喚起する文字または図柄が表示されていることが好ましい。可撓性面状体45は、布によって構成されていてもよく(換言すれば、可撓性面状体45は、旗であってもよく)、色付きの樹脂フィルムによって構成されていてもよく、その他の材質によって構成されていてもよい。
【0150】
パネル搬送システム1Dは、足場と建築物との間のように見通しの悪い場所に設置される場合がある。このような場合、長尺部材41が通過した後に、主走行体Mの走行方向前方側に、作業者が不意に身体の一部を出す可能性を完全に排除することができない。そこで、図23(a)に記載の例では、主走行体Mの走行方向の前端Mpと長尺部材41との間を埋める可撓性面状体45が配置されていることにより、作業者に注意喚起を促す。
【0151】
主走行体Mの走行方向の前端Mpから長尺部材41までの距離を距離D1とするとき、主走行体Mの走行方向に沿う方向における可撓性面状体45の長さD2は、距離D1の2/3以上、3/4以上、あるいは、4/5以上であることが好ましい。この場合、可撓性面状体45は、主走行体Mの走行方向の前端Mpと長尺部材41との間の大部分を埋めることとなる。よって、長尺部材41が通過した後に、主走行体Mの走行方向前方側に、作業者が不意に身体の一部を出す可能性がなくなる。主走行体Mの走行方向に沿う方向における可撓性面状体45の長さD2は、例えば、100cm以上、150cm以上、あるいは、200cm以上である。
【0152】
可撓性面状体45の上端の高さは、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPの上端の高さよりも高いことが好ましい。可撓性面状体45の上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0153】
図23(b)に記載の例では、物体Wが長尺部材41に衝突すると、主走行体Mの走行方向における可撓性面状体45の長さD2は縮小する。当該長さの縮小は、面状体が可撓性であることにより実現される。
【0154】
(伸縮部材47)
図23(a)に記載の例では、パネル搬送システム1Dは、長尺部材41と主走行体Mの走行方向の前端Mpとの間の間隔を縮小可能にする伸縮部材47を備える。
【0155】
上述のとおり、物体Wが長尺部材41に衝突した後、主走行体Mが完全停止するまでに、主走行体Mは距離DTだけ走行する。パネル搬送システム1Dが、伸縮部材47を備える場合には、物体Wが長尺部材41に衝突する際の衝撃が緩和される。
【0156】
図23(a)に記載の例では、伸縮部材47は、第1棒部材47aと、第2棒部材47bと、第1棒部材47aと第2棒部材47bとを揺動可能に連結するジョイント47cとを含む。図23(b)に記載の例では、物体Wが長尺部材41に衝突すると、ジョイント47cが上方に移動し、第1棒部材47aと第2棒部材47bとが折り畳まれる方向に互いに対して揺動する。こうして、主走行体Mの走行方向における伸縮部材47の長さが縮小する。
【0157】
図23(a)に記載の例では、伸縮部材47は、揺動可能に連結された複数の棒部材を含む。代替的に、あるいは、付加的に、伸縮部材47は、主走行体Mの走行方向に伸縮可能なばねを含んでいてもよい。更に代替的に、伸縮部材47は、テレスコピックな部材を含んでいてもよい。
【0158】
図23(b)に記載の例では、物体Wが長尺部材41に衝突すると、主走行体Mの走行方向における伸縮部材47の長さが縮小するとともに、主走行体Mの走行方向における可撓性面状体45の長さも縮小する。
【0159】
(補助台車ユニット2F)
図23(a)に記載の例では、パネル搬送システム1Dは、補助台車ユニット2Fを備える。補助台車ユニット2Fは、主走行体Mの走行方向前方側を走行する補助走行体として機能する。補助台車ユニット2Fは、衝突検知用の長尺部材41、および/または、衝突検知センサ43を支持する。補助台車ユニット2Fは、可撓性面状体45の一端部を支持してもよい。また、補助台車ユニット2Fは、伸縮部材47の一端部を支持してもよい。図23(a)に記載の例では、補助台車ユニット2Fは、第1棒部材47aの端部を揺動可能に支持している。
【0160】
補助台車ユニット2Fは、上述の台車ユニット(2、2A、2B、2C、2D、2E)と同様のユニットであってもよい。図23(b)に記載の例では、補助台車ユニット2Fは、主ローラ21、および、脱線防止ローラ31を備える。補助台車ユニット2Fは、脱線防止ローラ31を含む脱線防止アセンブリ30を備えていてもよい。また、脱線防止アセンブリ30の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラ31が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であってもよい。
【0161】
(連結部49)
図23(b)に記載の例では、パネル搬送システム1Dは、補助台車ユニット2Fを、伸縮部材47を介して主走行体Mに連結する連結部49を備える。連結部49は、主走行体Mに配置された主走行体側連結部MCに対して着脱可能であることが好ましい。
【0162】
連結部49は、可撓性面状体45の他端部を支持してもよい。また、連結部49は、伸縮部材47の他端部を支持してもよい。図23(b)に記載の例では、連結部49は、第2棒部材47bの端部を揺動可能に支持している。
【0163】
図24(a)に示されるように、主走行体Mが、第1方向DR1に走行可能、かつ、第2方向DR2に走行可能である場合には、連結部49は、主走行体Mの第1方向DR1側の先端部に配置された第1の主走行体側連結部MC1に着脱可能、かつ、主走行体Mの第2方向DR2側の先端部に配置された第2の主走行体側連結部MC2に着脱可能とされてもよい。この場合、連結部49を、第1の主走行体側連結部MC1または第2の主走行体側連結部MC2に選択的に連結することにより、主走行体Mがどちらの方向に走行する場合でも、主走行体Mの走行方向前方側に進入する物体を検知して主走行体Mの走行を停止させることができる。
【0164】
代替的に、あるいは、付加的に、図24(b)に示されるように、パネル搬送システム1Dは、連結部49および伸縮部材47を介して主走行体Mの第1の主走行体側連結部MC1に連結される補助台車ユニット2Fに加え、連結部49’および伸縮部材47’を介して主走行体Mの第2の主走行体側連結部MC2に連結される第2の補助台車ユニット2F’を備えていてもよい。当該第2の補助台車ユニット2F’は、衝突検知用の長尺部材41’を支持していてもよいし、衝突検知センサ43’を支持していてもよいし、可撓性面状体45’の一端部を支持していてもよいし、伸縮部材47’の一端部を支持していてもよい。「衝突検知用の長尺部材41’」、「衝突検知センサ43’」、「可撓性面状体45’」、「伸縮部材47’」は、「衝突検知用の長尺部材41」、「衝突検知センサ43」、「可撓性面状体45」、「伸縮部材47」と同様の構成であるため、これらについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0165】
パネル搬送システム1Dが、主走行体Mの第1方向DR1側に補助台車ユニット2Fを備え、主走行体Mの第2方向DR2側に第2の補助台車ユニット2F’を備える場合、主走行体Mがどちらの方向に走行する場合でも、主走行体Mの走行方向前方側に進入する物体を検知して主走行体Mの走行を停止させることができる。
【0166】
(衝突検知用の長尺部材41)
図25に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bを含む複数の検知棒によって構成されている。
【0167】
図25に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPの全体は、第1検知棒41aと第2検知棒41bとの間に配置されている。この場合、物体が、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bによる検知をすり抜けて、パネルPに衝突することが防止または抑制される。当該パネルPとの衝突を防止または抑制する観点から、補助台車ユニット2Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aは、補助台車ユニット2Fの第1主ローラ21a(第1レール91aに接触する主ローラ21)の内縁210aよりも幅方向外側に位置することが好ましい。また、第2検知棒41bは、補助台車ユニット2Fの第2主ローラ21b(第2レール91bに接触する主ローラ21)の内縁210bよりも幅方向外側に位置することが好ましい。なお、ここでの「幅方向」は、補助台車ユニット2Fの幅方向を意味する。
【0168】
図25に記載の例では、補助台車ユニット2Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aの外縁と、第2検知棒41bの外縁との間の距離D3は、169mmであり、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4は、126mmである。補助台車ユニット2Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aの外縁と、第2検知棒41bの外縁との間の距離D3は、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4の1.0倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上、あるいは、1.3倍以上であってもよい。
【0169】
図25に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPの上端の高さは、第1検知棒41aの上端の高さよりも低く、第2検知棒41bの上端の高さよりも低い。この場合、物体が、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bによる検知をすり抜けて、パネルPに衝突することが防止または抑制される。第1検知棒41aの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上であり、第2検知棒41bの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0170】
図26に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、少なくとも1つの検知板41cによって構成されている。
【0171】
図26に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPの全体は、検知板41cの幅方向における2つの外縁(411c、412c)の間に配置されている。この場合、物体が、検知板41cによる検知をすり抜けて、パネルPに衝突することが防止または抑制される。第1外縁411cは、補助台車ユニット2Fの第1主ローラ21aの内縁210aよりも幅方向外側に位置することが好ましい。また、第2外縁412cは、補助台車ユニット2Fの第2主ローラ21bの内縁210bよりも幅方向外側に位置することが好ましい。
【0172】
図26に記載の例では、補助台車ユニット2Fの走行方向に沿う方向に見て、第1外縁411cと、第2外縁412cとの間の距離D5は、169mmであり、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4は、126mmである。補助台車ユニット2Fの走行方向に沿う方向に見て、第1外縁411cと、第2外縁412cとの間の距離D5は、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4の1.0倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上、あるいは、1.3倍以上であってもよい。
【0173】
図26に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPの上端の高さは、検知板41cの上端の高さよりも低い。この場合、物体が、検知板41cによる検知をすり抜けて、パネルPに衝突することが防止または抑制される。検知板41cの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0174】
図25および図26に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、パネル搬送装置10とともに、足場111と建築物112との間の空間SPを通過する。この場合、衝突検知用の長尺部材41および衝突検知センサ43は、足場111または建築物112から当該空間SPに突出する突出物、あるいは、足場111または建築物112の隙間から当該空間SPに突出する突出部を検知することができる。こうして、これらの突出物が、パネル搬送装置10によって搬送されるパネルPに衝突することが防止または抑制される。足場111と建築物112との間の空間SPの幅は、約30cmである。衝突検知用の長尺部材41は、このような狭い空間SPに突出する突出物を検出するのに最適である。
【0175】
(制御装置83)
制御装置83(例えば、図23(a)を参照。)は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信する。制御装置83と衝突検知センサ43とは、無線によって信号伝達可能に構成されていることが好ましい。制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信すると、駆動台車6の駆動ローラ(例えば、主ローラ61のうちの少なくとも1つ)の駆動を停止させる。制御装置83は、モータ81に停止信号を送信することにより駆動ローラを駆動するモータ81を停止させてもよい。
【0176】
実施形態におけるパネル搬送システム1において、レール91は、建設現場の足場に固定されるものであってもよい。建設現場の足場と建造物との間の隙間は、30cm程度であり、隙間は大きくない。しかし、上述の実施形態では、レール91を狭い隙間(例えば、建設現場の足場と建造物との間の隙間)に配置することができる。ただし、レール91は、建設現場の足場以外に固定されてもよいし、建設現場以外の場所に敷設されていてもよい。
【0177】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0178】
例えば、上述の実施形態において、台車ユニット2、補助台車ユニット(2F、2F’)、駆動台車6に関し、脱線防止アセンブリ(30、30b、70)の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラが通過可能な第1姿勢(図14(a)等を参照。)と、第1レール91aと第2レール91bとの間を脱線防止ローラが通過不能な第2姿勢(図14(b)等を参照。)との間で姿勢変更可能な例について説明された。この場合、脱線防止アセンブリ(30、30b、70)の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することにより、台車ユニット2、補助台車ユニット(2F、2F’)、駆動台車6を、敷設後のレール91に容易に取り付けることができる。
【0179】
代替的に、台車ユニット2等は、レール91の第1端部911(図1等を参照。)あるいは第2端部912(図1等を参照。)から、レール91に取り付けられてもよい。より具体的には、台車ユニット2等は、レール91の第1端部911あるいは第2端部912から、第1レール91aと第2レール91bとの間に挿入されてもよい。また、当該挿入後、第1端部911および/または第2端部912から、台車ユニット2等が脱落しないよう、第1端部911および/または第2端部912に任意のストッパが取り付けられてもよい。台車ユニット2等が、レール91の第1端部911および/または第2端部912からレール91に取り付けられる場合、脱線防止アセンブリ(30、30b、70)の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能にする機構を省略することができる。よって、台車ユニット2等の構造をシンプルにすることができる。
【0180】
更に代替的に、台車ユニット2等をレール91に配置することが、レール91全体の敷設完了に先行して行われるようにしてもよい。例えば、第1レール91aおよび第2レール91bのうちの一方が先行して敷設され、その後、台車ユニット2等が配置され、更にその後、台車ユニット2等が第1レール91aおよび第2レール91bによって挟まれるように、第1レール91aおよび第2レール91bのうちの他方が敷設されてもよい。あるいは、第1レール91aおよび第2レール91bの両方が敷設された第1敷設領域と、第1レール91aおよび第2レール91bのうちの一方のみが敷設された第2敷設領域とが設けられ、その後、第2敷設領域に台車ユニット2等が配置され、更にその後、台車ユニット2等が第1レール91aおよび第2レール91bによって挟まれるように、第2敷設領域に第1レール91aおよび第2レール91bのうちの他方が敷設されてもよい。これらの敷設方法が採用される場合、脱線防止アセンブリ(30、30b、70)の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能にする機構を省略することができる。よって、台車ユニット2等の構造をシンプルにすることができる。
【0181】
上述の任意の実施形態において、パネル搬送システム1は、連結部材93を位置補正可能に支持する連結部材支持部材97を具備していてもよい。図27に記載の例では、パネル搬送システム1は、複数の連結部材93を、それぞれ、位置補正可能に支持する複数の連結部材支持部材97を具備する。また、レール91(より具体的には、第1レール91aおよび第2レール91b)が、複数の連結部材93、および、複数の連結部材支持部材97を介して、固定対象物96(例えば、建設現場の足場等)に固定されている。
【0182】
図27に記載の例において、複数の連結部材93のうち、第1端部911(必要であれば、図1等を参照。)からU番目に近い連結部材のことを第Uの連結部材93-Uと定義する(なお、本明細書において、「U」は、1以上の任意の自然数である。)。図27に記載の例では、パネル搬送システム1は、第Uの連結部材93-Uを支持する第Uの連結部材支持部材97-Uを有する(「U」は、「1」であってもよいし、「2」であってもよいし、「3」であってもよいし、「4」であってもよいし、その他の自然数であってもよい。)。
【0183】
図28に記載の例では、パネル搬送装置の一側部から他側部に向かう方向を第3方向DR3と定義するとき、第Uの連結部材93-Uは、摩擦力によって、第3方向DR3に平行な方向に第Uの連結部材支持部材97-Uに対して位置決めされている。当該摩擦力は、例えば、第Uの連結部材93-Uを第Uの連結部材支持部材97-Uに固定する締結部材98(例えば、ボルト)によって付与される。図28に記載の例では、当該摩擦力を強化するために、第Uの連結部材支持部材97-Uが、第Uの連結部材93-Uと摩擦プレート99とによって挟持されている。代替的に、第Uの連結部材93-Uが、第Uの連結部材支持部材97-Uと摩擦プレート99とによって挟持されるようにしてもよい。
【0184】
図29および図30に記載の例では、第Uの連結部材93-Uに、第3方向DR3に平行な方向に、上述の摩擦力よりも大きな荷重Fが作用することに応じて、第Uの連結部材93-Uは、第3方向DR3に平行な方向に、第Uの連結部材支持部材97-Uに対して位置補正される。図29に記載の例において、固定対象物96(例えば、建設現場の足場111)が第1方向DR1に沿って正確に配置されていないこと等に起因して、レール91が、第1方向DR1に対して、蛇行して配置される場合が想定され得る。図29および図30に記載の例では、レール91が蛇行している場合、台車ユニット2が、レール91を走行することにより、当該レール91の蛇行が解消される。より具体的には、レール91が蛇行している場合、台車ユニット2が、レール91を走行することにより、台車ユニット2は、レール91を介して第Uの連結部材93-Uに、第3方向DR3に平行な方向に荷重Fを作用させる。その結果、第Uの連結部材93-Uは、第3方向DR3に平行な方向に、第Uの連結部材支持部材97-Uに対して位置補正され、レール91の蛇行が解消される。なお、位置補正の前後では、第Uの連結部材93-Uは、摩擦力によって、第Uの連結部材支持部材97-Uに対して位置決めされているため、第Uの連結部材93-Uがガタつくことはない。
【0185】
図29に記載の例では、第Uの連結部材支持部材97-Uには、第3方向DR3に平行な方向に延在する長孔部GUが形成されている。また、第Uの連結部材93-Uには、長孔部GUに沿って移動可能なピン部材ZUが配置されている。上述の長孔部GUは、第Uの連結部材93-Uが第Uの連結部材支持部材97-Uに対して位置補正される際に、第Uの連結部材93-Uに取り付けられたピン部材ZUの第3方向DR3に平行な方向への移動をガイドする。
【0186】
図29に記載の例では、第Uの連結部材支持部材97-Uに長孔部GUが形成され、第Uの連結部材93-Uに、長孔部GUに沿って移動可能なピン部材ZUが配置されている。代替的に、第Uの連結部材93-Uに長孔部GUが形成され、第Uの連結部材支持部材97-Uに、長孔部GUに沿って移動可能なピン部材ZUが配置されていてもよい。また、ピン部材ZUは、上述の締結部材98の一部によって構成されていてもよい。
【0187】
図28に記載の例では、レール91が、連結部材93、および、連結部材支持部材97を介して、固定対象物96(例えば、建設現場の足場等)に固定されている。連結部材93と固定対象物96との間に連結部材支持部材97が介在していることにより、連結部材93を、固定対象物96から相対的に離れた位置に配置することが可能となる。この場合、レール91にバンド95を配置する作業、より具体的には、連結部材93とレール91とをバンド95を介して連結する作業を行う際に、固定対象物96が邪魔になりにくい。よって、当該作業を、より容易に実施することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明のパネル搬送方法、および、パネル搬送システムを用いると、パネルを安定的に搬送することができる。したがって、パネルを搬送する作業を行う業者、および、パネル搬送システムを構築する業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0189】
1、1A、1B、1C、1D…パネル搬送システム、2、2A、2B、2C、2D、2E…台車ユニット、2F…補助台車ユニット、2F’…第2の補助台車ユニット、6…駆動台車、10、10A…パネル搬送装置、10’…第2のパネル搬送装置、11…レール、12…第2連結部、20…台車本体、20a…第1フレーム、20b…第2フレーム、20c…第3フレーム、20d…連結フレーム、21…主ローラ、21a…第1主ローラ、21b…第2主ローラ、21c…第3主ローラ、21d…第4主ローラ、23…底部、24…側部、24a…第1側部、24b…第2側部、27…中段ローラ、28…締結部材、30…脱線防止アセンブリ、30b…第2の脱線防止アセンブリ、31…脱線防止ローラ、31-K…第Kの脱線防止ローラ、31a…第1レール側脱線防止ローラ、31b…第2レール側脱線防止ローラ、32…脱線防止ローラ支持部材、34…操作レバー、41…衝突検知用の長尺部材、41a…第1検知棒、41b…第2検知棒、41c…検知板、43、43’…衝突検知センサ、45、45’…可撓性面状体、47、47’…伸縮部材、47a…第1棒部材、47b…第2棒部材、47c…ジョイント、49、49’…連結部、51…パネル支持部材、51a…第1のパネル支持部材、51b…第2のパネル支持部材、60…駆動台車本体、61…主ローラ、62…第1連結部、70…脱線防止アセンブリ、71…脱線防止ローラ、72…線防止ローラ支持部材、81…モータ、83…制御装置、91…レール、91a…第1レール、91b…第2レール、93…連結部材、93-1…第1の連結部材、93-2…第2の連結部材、93-3…第3の連結部材、93-4…第4の連結部材、93-U…第Uの連結部材、93s…特定の連結部材、94…ブラケット、95…バンド、95a…第1バンド、95b…第2バンド、96…固定対象物、97…連結部材支持部材、97-U…第Uの連結部材支持部材、98…締結部材、99…摩擦プレート、111…足場、112…建築物、120…凹部、121…第1傾斜面、122…第2傾斜面、201…第1部分、202…第2部分、210a、210b…内縁、322a…第1脚部、322b…第2脚部、331…ネジ棒、411c…第1外縁、412c…第2外縁、625…摺動部材、911…第1端部、912…第2端部、GU…長孔部、M…主走行体、MC…主走行体側連結部、MC1…第1の主走行体側連結部、MC2…第2の主走行体側連結部、Mp…前端、P…パネル、P1…パネルの第1部分、P2…パネルの第2部分、PM…パネルの主面、Ps…長尺パネル、Q1…第1変換機構、Q2…第2変換機構、SD…サブ台車ユニット、W…物体、ZU…ピン部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30