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特許7255832パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のマンナナーゼ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のマンナナーゼ
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/26 20060101AFI20230404BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230404BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12N9/26 Z
C11D3/386
C12N15/56 ZNA
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017501229
(86)(22)【出願日】2015-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 US2015040057
(87)【国際公開番号】W WO2016007929
(87)【国際公開日】2016-01-14
【審査請求日】2018-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/082034
(32)【優先日】2014-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509240479
【氏名又は名称】ダニスコ・ユーエス・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】アダムス、クリスチャン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジルニカール、ルーパ
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】ジン、リリン
(72)【発明者】
【氏名】コルクマン、マルク
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ゼン
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】長井 啓子
【審判官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/146317(WO,A1)
【文献】Biosci.Biotech.Biochem., vol.62,pp.514-520(1998)
【文献】PLOS One,vol.6,e14608(pp.1-12)(2011)
【文献】J.Microbiol.Biotech., vol.18,pp.160-166(2008)
【文献】Appl.Biochem.Biotech.,vol.159,pp.85-94(2009)
【文献】Microbial.Cell Factories,vol.9,Art.no.20(pp.1-13)(2010)
【文献】Cellulase(glycosyl hydrolase family5)[Paenibacillus sp.HGF5],GenBank accession EGG34454,(Apr.15,2011),[retrieved on 2019-06-24],Retrieved from the Internet,URL,https://www.ncbi.gov/nuccore/EGG34454.1?report=girevhist
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Asn33-Asp34-Leu35を含み、かつマンナナーゼ活性を有するNDLクレードのポリペプチドを含む洗浄組成物であって、
前記ポリペプチドが、配列番号30、31、および73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記ポリペプチドがエンド-β-マンナナーゼであり、
前記ポリペプチドが、0.005% Tween-80で希釈した状態で、クエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウム緩衝液を用いて緩衝化したローカストビーンガムを基質として用いて、50℃、10分間で、pH6.5~8.5において、マンナナーゼ活性用アッセイによって決定されるとき、その最大マンナナーゼ活性の少なくとも70%を保持し(この活性を、至適pHでの活性を100%とした場合の相対活性として報告する)、
前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、洗浄組成物。
【請求項2】
前記ポリペプチドが組換えポリペプチドである、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、30~39番目の位置にWXaKNDLXXAIモチーフを更に含み、このときXがF又はYであり、Xが任意のアミノ酸であり、前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、請求項1または2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、30~39番目の位置にWXKNDLXAIモチーフを更に含み、このときXがF又はY、XがN、Y又はA、XがA又はTであり、前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
前記NDLクレードのポリペプチドが、262~273番目の位置にL262263XXXGPXGXL272273モチーフを更に含み、このときXが任意のアミノ酸であり、前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
前記NDLクレードのポリペプチドが、262~273番目の位置にL262263M/LV/AT/AGPXGX272273モチーフを更に含み、このときXがN、A又はSであり、XがS、T又はNであり、前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
前記NDLクレードのポリペプチドが、262~273番目の位置にLDLA/VA/TGPS/NGNLTモチーフを更に含む、NDLクレード2のポリペプチドであり、このとき前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、請求項1~6のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、プロテアーゼの存在下でマンナナーゼ活性を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項9】
前記ポリペプチドが、グアーガム、ローカストビーンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基質の加水分解が可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、炭水化物結合モジュールを更に含まない、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項11】
Asn33-Asp34-Leu35を含み、かつマンナナーゼ活性を有するNDLクレードのポリペプチドを含む、洗浄組成物であって、
前記ポリペプチドが、配列番号27、35、39、43、47、51および59から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも9%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記ポリペプチドがエンド-β-マンナナーゼであり、
前記ポリペプチドが、0.005% Tween-80で希釈した状態で、クエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウム緩衝液を用いて緩衝化したローカストビーンガムを基質として用いて、50℃、10分間で、pH6.5~8.5において、マンナナーゼ活性用アッセイによって決定されるとき、その最大マンナナーゼ活性の少なくとも70%を保持し(この活性を、至適pHでの活性を100%とした場合の相対活性として報告する)、
前記ポリペプチドのアミノ酸の位置が、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている、洗浄組成物。
【請求項12】
界面活性剤;少なくとも1種の補助成分;並びに/又は、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-β-1,4-グルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルノニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酵素;を更に含む、請求項1~1に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
前記洗浄組成物が、洗濯用洗剤、布地柔軟化洗剤、食器用洗剤、及び硬質面洗浄用洗剤からなる群から選択される洗剤組成物である、請求項1~1のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
前記洗浄組成物が、液体、粉末、粒状固形物、錠剤、シート、及び一回用量型からなる群から選択される形態である、請求項1~1のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
前記組成物がリン酸塩を含まない、請求項1~1のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項16】
前記組成物がホウ素を含まない、請求項1~1のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項17】
衣類の洗浄方法であって、汚れた衣類を、請求項1~1のいずれか一項に記載の洗浄組成物と接触させ、清浄衣類をもたらすことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、国際出願PCT/CN2014/082034号(2014年7月11日出願)の優先権を主張するものであり、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、パエニバチルス(Paenibacillus)又はバチルス(Bacillus)種由来のエンド-β-マンナナーゼ、かかるエンド-β-マンナナーゼをコードするポリヌクレオチド、かかるマンナナーゼを含有する組成物、及びその使用方法に関する。かかるエンド-β-マンナナーゼを含有する組成物は、洗剤、並びに布地及び硬質面の洗浄、並びに様々なその他工業用途として使用するのに好適である。
【0003】
エンド-β-マンナナーゼ等のマンナナーゼ酵素は、マンナンの加水分解によりゴムの染みを除去するため、洗剤洗浄組成物に使用されている。天然には、例えば、直鎖マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、及びグルコガラクトマンナン等の、様々なマンナンがある。かかるマンナンはそれぞれ、最大33%がグルコース残基で置換され得る、β-1,4結合したマンノース残基の主鎖を含む、ポリサッカライドからなる(Yeoman et al.,Adv Appl Microbiol,Elsivier)。ガラクトマンナン又はグルコガラクトマンナンでは、ガラクトース残基は、α-1,6結合でマンナン主鎖に結合されている(Moreira and Filho,Appl Microbiol Biotechnol,79:165,2008)。したがって、マンナンの構成糖への加水分解は、1,4-β-マンノシダーゼによって更にモノサッカライドまで分解される短鎖マンノ-オリゴサッカライドを生成するために、主鎖結合を加水分解するエンド-1,4-β-マンナナーゼが必要である。
【0004】
エンド-β-マンナナーゼは、工業用酵素の技術分野において既知であるが、特定の条件及び使用に好適な、更なるエンド-β-マンナナーゼの必要性が残っている。
【0005】
具体的には、本開示は、組換えポリペプチド、又は、NDLクレードを含むその活性フラグメントを提供する。一実施形態は、本明細書に記載される、ポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む、NDLクレードを目的とする。別の実施形態は、本明細書に記載される、組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む、NDLクレードを目的とする。いくつかの実施形態では、ポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、エンド-β-マンナナーゼである。いくつかの実施形態では、組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、エンド-β-マンナナーゼである。一実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、Asn33-Asp-34-Leu35(NDL)を含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、上記任意の組換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、Asn33-Asp-34-Leu35(NDL)を含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。別の実施形態では、NDLクレードは、30~38番目の位置にWXaKNDLXXAIモチーフを含み、XはF又はYであり、このときXは任意のアミノ酸であり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、30~38番目の位置にWXKNDLXAIモチーフを含み、このときXはF又はYであり、XはN、Y又はAであり、XはA又はTであり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、30~38番目の位置にWXKNDLXAIモチーフを含み、このときXはF又はYであり、XはN、Y又はAであり、XはA又はTであり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。更なる実施形態では、NDLクレードは、262~273番目の位置にL262263XXXGPXGXL272273モチーフを含み、このときXは任意のアミノ酸であり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。なお更なる実施形態では、NDLクレードは、262~273番目の位置にL262263M/LV/AT/AGPXGX272273モチーフを含み、このときXはN、A又はSであり、XはS、T又はNであり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。更なる一実施形態は、262~273番目の位置にLDM/LATGPA/NGS/TLTモチーフを含むNDLクレード1を目的とし、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。なお更なる実施形態は、262~273番目の位置にLDLA/VA/TGPS/NGNLTモチーフを含むNDLクレード2を目的とし、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。別の実施形態は、262~273番目の位置にLDL/VS/AT/NGPSGNLTモチーフを含むNDLクレード3を目的とし、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。別の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、マンナナーゼ活性、例えばローカストビーンガムガラクトマンナン又はコンニャクグルコマンナンへの活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、界面活性剤の存在下でマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、4.5~9.0のpH範囲で、その最大マンナナーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、40℃~70℃の温度範囲で、その最大マンナナーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、洗剤組成物中で洗浄活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、プロテアーゼの存在下でマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、グアーガム、ローカストビーンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基質の加水分解が可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、炭水化物結合モジュールを更に含まない。
【0006】
別の実施形態は、前段落の少なくとも1つのポリペプチドを含む、洗浄組成物を目的とする。本開示で更に提供されるのは、前段落の少なくとも1つの組換えポリペプチドを含む、洗浄組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含む。いくつかの好ましい実施形態では、界面活性剤はイオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-β-1,4-グルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルノニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、酵素を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、プロテアーゼ及びアミラーゼを更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、洗剤は、洗濯用洗剤、布地柔軟化洗剤、食器用洗剤、及び硬質面洗浄用洗剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、粒状、粉末、固形、バー状、液体、錠剤、ゲル、ペースト、フォーム、シート、又は一回用量型組成物である。いくつかの実施形態では、洗剤は、液体、粉末、粒状固形物、及び錠剤からなる群から選択される形態である。本開示は更に、清浄表面を得るために表面を洗剤組成物と接触させることを含む、表面上の汚れ又は染み中に存在するマンナン基質を加水分解する方法を提供する。更に提供されるのは、清浄衣類を得るために汚れた衣類を洗剤組成物と接触させることを含む、衣類の洗浄方法である。
【0008】
更に、本開示は、前段落のポリペプチドをコードする核酸又は単離核酸を提供する。加えて、本開示は、前段落の組換えポリペプチドをコードする核酸又は単離核酸を提供する。更に提供されるのは、作動可能に制御配列に連結された本明細書に記載される核酸を含む、発現ベクターである。また提供されるのは、作動可能に制御配列と組み合わせて本明細書に記載される核酸を含む、発現ベクターである。加えて、本明細書に記載される発現ベクターを含む宿主細胞が提供される。別の実施形態は、本明細書に記載される組換えポリペプチドをコードする核酸を含む、宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は細菌細胞又は真菌細胞である。
【0009】
本開示は更に、好適な条件下の培養培地中で宿主細胞を培養し、本発明のエンド-β-マンナナーゼを含む培養物を産生することを含む、本発明のエンド-β-マンナナーゼを産生する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、遠心分離によって培養物から宿主細胞を除くことと、濾過によって10kDa未満の細片を除去し、エンド-β-マンナナーゼを濃縮した上清を得ることと、を更に含む。
【0010】
本開示は更に、マンノースを含むポリサッカライドを上清と接触させ、マンノースを含むオリゴサッカライドをもたらすことを含む、ポリサッカライドを加水分解する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ポリサッカライドは、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトグルコマンナン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
本発明の組成物及び方法のこれら及びその他の態様は、以下の説明より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】p2JM-PspMan4のプラスミドマップを提供する。
図2A】pH8、20分における、ローカストビーンガム(CS-73)に対するパエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のマンナナーゼの洗浄性能を示す。
図2B】pH8、20分における、ローカストビーンガム(CS-73)に対するパエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のマンナナーゼの洗浄性能を示す。
図3A】BciMan1、BciMan3、BciMan4、PamMan2、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、PspMan9、及びPtuMan2を含む、マンナナーゼのCLUSTAL W(1.83)多重整列を示す。
図3B】BciMan1、BciMan3、BciMan4、PamMan2、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、PspMan9、及びPtuMan2を含む、マンナナーゼのCLUSTAL W(1.83)多重整列を示す。
図3C】BciMan1、BciMan3、BciMan4、PamMan2、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、PspMan9、及びPtuMan2を含む、マンナナーゼのCLUSTAL W(1.83)多重整列を示す。
図4】他のマンナナーゼからのNDLクレードマンナナーゼの枝分かれ、並びにNDLクレード1及びNDLクレード2の分化を示す、BciMan1、BciMan3、BciMan4、PamMan2、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、PspMan9、及びPtuMan2を含む、マンナナーゼの系統樹を示す。
図5】保存された一次配列番号を用いる、30~38番目の位置のNDLクレードマンナナーゼのモチーフを示す。
図6】保存された一次配列番号を用いる、保存されたLeu262-Asp263(LD)と保存されたLeu272-Thr273(LT)残基との間の、NDLクレード1及びNDLクレード2マンナナーゼを含むNDLクレードマンナナーゼのモチーフを示す。
図7】NDLクレードマンナナーゼにおいて見いだされる、モチーフの変化の結果として可能性のある構造を示す。バチルス(Bacillus)種JAMB-602(1WKY)の最も近い既知のマンナナーゼ構造を黒で示し、一方、PspMan4、PspMan9及びPpaMan2のモデリングした構造を灰色で示す。欠失モチーフの位置を矢印でハイライトしている。欠失モチーフは、それが位置するループの構造に影響を及ぼすと考えられる。
図8】pH7.2、30分における、ローカストビーンガム(CS-73)に対するPamMan3及び規準マンナナーゼの洗浄性能を示す。
図9A】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図9B】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図9C】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図9D】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図9E】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図9F】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型の様々なマンナナーゼの複数の配列のアライメントを示す。
図10】近接結合法を用いて作成され、Geneious Tree Builderプログラムを用いて描出された、成熟型の様々なマンナナーゼのアミノ酸配列の系統樹を示す。
図11A】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型のNDLクレードマンナナーゼの配列アライメントを示す。
図11B】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型のNDLクレードマンナナーゼの配列アライメントを示す。
図11C】CLUSTALWソフトウェアを用いて作成された、成熟型のNDLクレードマンナナーゼの配列アライメントを示す。
【0013】
本明細書に記載されるのは、パエニバチルス(Paenibacillus)又はバチルス(Bacillus)種由来のエンド-β-マンナナーゼ、かかるエンド-β-マンナナーゼをコードするポリヌクレオチド、かかるマンナナーゼを含有する組成物、及びその使用方法である。一実施形態では、本明細書に記載されるパエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のエンド-β-マンナナーゼは、洗剤組成物の存在下でグリコシルヒドロラーゼ活性を有する。この本明細書に記載されるエンド-β-マンナナーゼの特徴によって、例えば、洗剤組成物に含まれている界面活性剤及び他の成分の存在下で、この酵素がマンナンを加水分解することができる、様々な洗浄及び他の工業用用途で使用するのによく適するようになる。
【0014】
以下の用語は、明確にするために定義される。定義されない用語及び略語は、当該技術分野において用いられるそれらの通常の意味を有するものとする。
【0015】
本明細書で使用するとき、「マンナンエンド-1,4-β-マンノシダーゼ」、「エンド-1,4-β-マンナナーゼ」、「エンド-β-1,4-マンナーゼ」、「β-マンナナーゼB」、「β-1,4-マンナン4-マンナノヒドロラーゼ」、「エンド-β-マンナナーゼ」、「β-D-マンナナーゼ」、「1,4-β-D-マンナンマンナノヒドロラーゼ」、又は「エンド-β-マンナナーゼ」(EC 3.2.1.78)は、マンナン、ガラクトマンナン及びグルコマンナン中の1,4-β-D-マンノシド結合をランダムに加水分解することが可能な酵素を指す。エンド-1,4-β-マンナナーゼは、GH26及びGH5を含む、いくつかのファミリーのグリコシルヒドロラーゼのメンバーである。具体的には、エンド-β-マンナナーゼは、マンナンを分解し、マンノース単位を含有する多糖鎖を切断可能な(すなわち、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン及びガラクトグルコ-マンナン中のグリコシド結合を切断可能な)酵素を意味する、ポリサッカラーゼ群を構成する。本開示の「エンド-β-マンナナーゼ」は、追加の酵素活性(例えば、エンド-1,4-β-グルカナーゼ、1,4-β-マンノシダーゼ、セロデキストリナーゼ活性等)を持ってよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「マンナナーゼ」、「マンノシド酵素」、「マンナン分解酵素」、「マンナナーゼ酵素」、「マンナナーゼポリペプチド」、又は「マンナナーゼタンパク質」は、マンナン分解能を呈する酵素、ポリペプチド、又はタンパク質を指す。マンナナーゼ酵素は、例えば、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、又はグリコシルヒドロラーゼであってよい。本明細書で使用するとき、マンナナーゼ活性は、当該技術分野において既知の任意の手順に従って測定できる(例えば、Lever,Anal.Biochem,47:248,1972;米国特許第6,602,842号;及び、国際公開第95/35362A1号を参照されたい)。
【0017】
本明細書で使用するとき、「マンナン」は、β-1,4結合したマンノースからなる主鎖を有するポリサッカライドであり、「グルコマンナン」は、ほぼ規則的に交互にβ-1,4結合したマンノース及びグルコースの主鎖を有するポリサッカライドであり、「ガラクトマンナン」及び「ガラクトグルコマンナン」は、α-1,6結合したガラクトース側枝を有するマンナン及びグルコマンナンである。これらの化合物をアセチル化してよい。ガラクトマンナン及びガラクトグルコマンナンの分解は、ガラクトース側枝を完全に又は部分的に除去することによって促進される。更に、アセチル化マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン及びガラクトグルコマンナンの分解は、完全に又は部分的脱アセチル化によって促進される。アセチル基は、アルカリによって、又はマンナンアセチルエステラーゼによって除去できる。マンナナーゼから、又はマンナナーゼ及びα-ガラクトシダーゼ及び/若しくはマンナンアセチルエステラーゼの組み合わせによって放出されるオリゴマーは、β-マンノシダーゼ及び/又はβ-グルコシダーゼによって更に分解され、遊離のマルトースを放出できる。
【0018】
本明細書で使用するとき、「触媒活性」又は「活性」は、定められた反応条件下におけるある基質の変換を、定量的に説明するものである。用語「残留活性」は、ある条件下における酵素の触媒活性と、異なる条件下における触媒活性との比率として定義される。用語「比活性」は、定められた反応条件下における酵素量に対する触媒活性を、定量的に説明するものである。
【0019】
本明細書で使用するとき、「pH安定性」は、安定性が最適であるpHから大きく外れたpH値への限定的曝露に耐える(例えば、至適pHより1単位を超えて上下させ、活性が測定可能な条件下でその活性を損なわない)、タンパク質の特性を説明するものである。
【0020】
本明細書において使用するところの「洗剤安定性」なる語句は、洗剤組成物混合物中の特定の洗剤組成物成分(加水分解酵素等)の安定性のことを指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「ペルヒドロラーゼ」は、洗浄、漂白、及び消毒等の用途に適した過酸を生成する反応を触媒する能力を有する酵素である。
【0022】
本明細書において使用するところの、「水性組成物」及び「水性環境」といった語句で用いられる「水性」なる用語は、少なくとも50%が水で構成された組成物のことを指す。水性組成物は、少なくとも50%の水、少なくとも60%の水、少なくとも70%の水、少なくとも80%の水、少なくとも90%の水、少なくとも95%の水、少なくとも97%の水、少なくとも99%の水、又は更には少なくとも99%の水を含み得る。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、当該技術分野において、界面活性作用を有するものとして一般的に認識されている任意の化合物のことを指す。界面活性剤には一般的に、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び両性イオン性化合物が含まれるが、これらについては更に後述する。
【0024】
本明細書で使用するとき、「表面特性」は、静電荷、並びにタンパク質の表面が示す疎水性及び親水性等の特性に関して使用される。
【0025】
用語「酸化安定性」は、例えば漂白剤又は酸化剤に曝露又は接触させられる際に、マンノシド分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書に開示される他のプロセス中に、一般的な条件下で一定の時間にわたって所定量の酵素活性を維持する本開示のエンド-β-マンナナーゼのことを指す。いくつかの実施形態では、エンド-β-マンナナーゼは、所定の時間、例えば少なくとも約1分、約3分、約5分、約8分、約12分、約16分、約20分といった時間にわたって漂白剤又は酸化剤に接触させられた後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のエンド-β-マンナナーゼ活性を維持する。
【0026】
用語「キレート化安定性」は、例えばキレート化剤に曝露又は接触させられる際に、マンノシド分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書に開示される他のプロセス中に、一般的な条件下で一定の時間にわたって所定量の酵素活性を維持する本開示のエンド-β-マンナナーゼのことを指す。いくつかの実施形態では、エンド-β-マンナナーゼは、所定の時間、例えば少なくとも約10分、約20分、約40分、約60分、約100分といった時間にわたってキレート化剤に接触させられた後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のエンド-β-マンナナーゼ活性を維持する。
【0027】
用語「熱安定性」及び「熱安定的」は、例えば温度変化に曝される際に、マンノシド分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書に開示される他のプロセス中に、一般的な条件下で一定の時間にわたって特定の温度に曝された後、所定量の酵素活性を維持する本開示のエンド-β-マンナナーゼのことを指す。変化した温度には、温度の上昇又は低下が含まれる。いくつかの実施形態では、エンド-β-マンナナーゼは、所定の時間、例えば、少なくとも約60分、約120分、約180分、約240分、約300分といった時間にわたって温度変化に曝露された後に、少なくとも約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のエンド-β-マンナナーゼ活性を維持する。
【0028】
用語「洗浄活性」は、マンノシド分解プロセス、加水分解プロセス、洗浄プロセス又は本明細書に開示される他のプロセス中に、一般的な条件下でエンド-β-マンナナーゼによって得られる洗浄性能のことを指す。いくつかの実施形態では、洗浄性能は、食品、家庭用剤、又はパーソナルケア製品から生じる酵素感応性の染みに関する様々な洗浄アッセイを応用することによって決定される。染みを標準的洗浄条件にかけた後、様々なクロマトグラフ法、分光光度法、又はその他定量法によって測定される、これらの染みの一部としては、例えば、アイスクリーム、ケチャップ、BBQソース、マヨネーズ、スープ、チョコレートミルク、チョコレートプディング、冷菓、シャンプー、ボディローション、日焼け止め製品、練り歯磨き、ローカストビーンガム、又はグアーガムが挙げられる。代表的なアッセイには、これらに限定されるものではないが、国際公開第99/34011号、米国特許第6,605,458号、及び同第6,566,114号(これら全ては参照することによって本明細書に組み込まれる)に述べられるもの、並びに実施例に含まれる方法が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「清浄表面」及び「清浄衣類」は、汚れた表面又は衣類の少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、又は40%の染み除去率を有する、表面又は衣類をそれぞれ指す。
【0030】
用語、エンド-β-マンナナーゼの「洗浄有効量」は、特定の洗浄組成物中の所望の酵素活性のレベルを実現する本明細書に記載されるエンド-β-マンナナーゼの量のことを指す。このような有効量は、当業者によって容易に確認され、使用される特定のエンド-β-マンナナーゼ、洗浄用途、洗浄組成物の具体的な組成、及び必要とされる組成物が液体又は乾燥形態(例えば、粒状、バー状、粉末、固形、液体、錠剤、ゲル、ペースト、フォーム、シート、又は一回用量型)のいずれであるのか、等の多くの要因に基づくものである。
【0031】
用語「洗浄添加物質」は、本明細書で使用するとき、所望の洗浄組成物の具体的な種類、及び製品の形態(例えば、液体、顆粒、粉末、バー状、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、一回用量型、シート、又はフォーム組成物)に対して選択される任意の液体、固体又は気体状物質を意味し、これらの物質はまた、組成物中に用いられるエンド-β-マンナナーゼ酵素と適合性を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、粒状組成物は「圧縮」形態であり、他の実施形態では、液体組成物は「濃縮」形態である。
【0032】
本明細書で使用するとき、「洗浄組成物」及び「洗浄配合物」は、布地、食器、コンタクトレンズ、他の固体表面、毛髪、皮膚、歯等の洗浄しようとする物品からの望ましくない化合物(例えば、汚れ又は染み)の除去において有用な化学成分の混合物のことを指す。組成物又は配合物は、洗浄しようとする表面、物品又は布地、及び組成物又は配合物の所望の形態に応じて、液体、ゲル、顆粒、粉末、バー状、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、一回用量型、シート、又はフォームの形態であってよい。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「洗剤組成物」及び「洗剤配合物」は、汚れた対象物の洗浄用の洗浄媒質中での使用を目的とした化学成分の混合物のことを指す。洗剤組成物/配合物は一般的に少なくとも1種の界面活性剤を含み、更に必要に応じて、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤及び蛍光染料、凝固防止剤、マスキング剤、酵素活性化剤、酸化防止剤、及び可溶化剤が含まれる。
【0034】
本明細書で使用するとき、「食器洗い用組成物」は、粒子及び液体状形態を含むがこれらに限定されない、カトラリー類を含む食器を洗浄するための組成物のあらゆる形態のことを指す。いくつかの実施形態では、食器洗い用組成物は、自動食器洗い機において有用な「自動食器洗い用」組成物である。本開示が任意の特定の種類又は食器用組成物に限定されることは意図するところではない。実際、本開示は、セラミック、プラスチック、金属、陶磁器、ガラス、アクリル等を含むがこれらに限定されない任意の材料の食器(例えば、プレート、カップ、グラス、ボール等を含むがこれらに限定されない皿類)及びカトラリー(例えば、スプーン、ナイフ、フォーク、給仕器具等の器具)の洗浄において有用なものである。用語「食器」は、本明細書で皿類及びカトラリーの両方に対して使用される。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「漂白」は、材料(例えば、布地、洗濯物、パルプ等)の光沢化(すなわち、増白)及び/又は洗浄を行ううえで充分な長さの時間、かつ適当なpH及び温度条件下で行われる材料又は表面の処理のことを指す。漂白に好適な化学物質の例としては、ClO、H、過酸、NO等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用するとき、変異型エンド-β-マンナナーゼの「洗浄性能」とは、洗剤組成物に更なる洗浄性能を与える、洗浄に対する変異型エンド-β-マンナナーゼの寄与のことを指す。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。
【0037】
用語「関連する洗浄条件」は、本明細書において、特に、食器又は洗濯洗剤市場区分において家庭で実際に使用される洗浄温度、時間、洗浄機器、泡濃度、洗剤の種類及び水の硬度といった条件を示すために使用される。
【0038】
本明細書で使用するとき、用語、「消毒」は、汚染物質を表面から除去すること、並びに、物品の表面上の微生物の阻害又は死滅を指す。本開示が、特定の表面、物品、又は除去しようとする汚染物質若しくは微生物に限定されることは意図するところではない。
【0039】
本明細書における洗浄組成物の「圧縮」形態とは、密度に最もよく反映され、組成物の観点からは無機充填剤塩の量に反映される。無機塩充填剤は、粉末形態の洗剤組成物の通常の成分である。通常の洗剤組成物では、塩充填剤は、相当量で、典型的には組成物全体の約17~約35重量%で存在する。対照的に、コンパクト組成物では、塩充填剤は、組成物全体の約15重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩充填剤は、組成物の約10重量%以下、より好ましくは約5%重量以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、無機塩充填剤は、硫酸アルカリ塩及びアルカリ土類金属塩、並びアルカリ塩化物及びアルカリ土類金属塩化物から選択される。いくつかの実施形態では、好ましい充填剤塩は硫酸ナトリウムである。
【0040】
用語「衣類」又は「衣類材料」は、織布、並びに紡糸、衣類、編物、及び不織布への転換又はそれらとしての使用に適したステープルファイバー及びフィラメントのことを指す。この用語には、天然及び合成(例えば、製造された)繊維から製造される紡糸が含まれる。
【0041】
核酸又はポリヌクレオチドが、例えば他のタンパク質、核酸、細胞等が挙げられるがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されているとき、核酸又はポリヌクレオチドは「単離され」ている。同様に、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドが、例えば他のタンパク質、核酸、細胞等が挙げられるがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されているとき、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドは「単離され」ている。単離された種は、モルベースで、組成物中に他の分子種よりも豊富に含まれている。例えば、単離された種は、含まれている全ての高分子種の(モルベースで)少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%を構成し得る。好ましくは、対象とする種は、本質的に均一に精製される(すなわち、通常の検出手法により組成物中で汚染種が検出されることはない)。純度及び均一性は、当該技術分野で周知の多数の技術、例えば核酸又はタンパク質試料のそれぞれアガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動後の染色による可視化を用いて決定することができる。必要に応じて、高解像度の技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は同様の手法を用いて材料を精製することができる。
【0042】
核酸又はポリペプチドに使用される場合、用語「精製された」は、概して、当業者に周知の解析技術により決定したときに、核酸又はポリペプチドが他の成分を本質的に含まないことを意味する(例えば、精製ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフィー溶出液、及び/又は密度勾配遠心分離にかけた培養液中で、別個のバンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲルで本質的に1本のバンドのみが生じる核酸又はポリペプチドは、「精製されている」。精製されている核酸又はポリペプチドは、少なくとも純度約50%のものであり、通常、少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、又は約99.8%以上(例えば、モル重量による純度)のものである。関連する意味で、精製又は濃縮技術の適用後に分子の濃度が実質的に増加している場合、組成物はその分子について濃縮されている。用語「濃縮された」とは、化合物、ポリペプチド、細胞、核酸、アミノ酸、又は他の特定の材料若しくは成分が開始組成物よりも高い相対濃度又は絶対濃度で組成物中に存在することを指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して連結された複数のアミノ酸を含む分子を指す。「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、互換可能に用いられる。タンパク質は必要に応じて修飾される(例えば、グリコシル化、リン酸化、アシル化、ファルネシル化、プレニル化、スルホン化等)ことによって、官能基が付加されてもよい。このようなアミノ酸配列は「酵素」として参照することのできる活性を示す。アミノ酸残基には一般的な1文字又は3文字表記を使用し、アミノ酸配列は、標準的な、アミノ末端からカルボキシ末端へと向かう配向(すなわち、N→C)で表される。
【0044】
「ポリヌクレオチド」なる用語には、DNA、RNA、ヘテロ2本鎖、及びポリペプチドをコードすることが可能な合成分子が含まれる。核酸は1本鎖であっても又は2本鎖であってもよく、化学修飾されていてもよい。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、互換可能に用いられる。遺伝子コードは縮重性であるため、特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンが用いられ得るものであり、本発明の組成物及び方法には、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。特に断らない限り、核酸配列は5’から3’末端に向かう方向で示される。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「野生型」及び「天然型」は、自然界で見出されるポリペプチド又はポリヌクレオチドのことを指す。
【0046】
ポリペプチドに関しての用語「野生型」、「親の」、又は「参照」は、1つ以上のアミノ酸位において人工的な置換、挿入、又は欠失を含まない、天然型ポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関しての用語「野生型」、「親の」、又は「参照」は、人工的なヌクレオシドの変化を含まない、天然型ポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型、親の、又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然型ポリヌクレオチドに限定されるわけではなく、野生型、親の、又は参照ポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドが包含される。
【0047】
本明細書において使用される場合、「変異型ポリペプチド」は、典型的には組換えDNA技術によって、1つ又はそれ以上のアミノ酸の置換、付加、又は欠失により親(又は参照)ポリペプチドから誘導されるポリペプチドを指す。変異型ポリペプチドは、親ポリペプチドと小数のアミノ酸残基だけ異なり得るものであり、親ポリペプチドとの一次アミノ酸配列の相同性/同一性のレベルによって定義される。好ましくは変異型ポリペプチドは、親ポリペプチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のアミノ酸配列の同一性を有する。
【0048】
配列同一性は、標準パラメーターを用いた、BLAST、ALIGN、及びCLUSTAL等の既知のプログラムを使用して決定され得る(例えば、Altschul et al.[1990]J.Mol.Biol.215:403~410;Henikoff et al.[1989]Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915;Karin et al.[1993]Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873;及びHiggins et al.[1988]Gene 73:237~244を参照されたい)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)より公的に入手可能である。FASTA(Pearson et al.[1988]Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444~2448)を用いて、データベースを検索してもよい。第1のポリペプチドが第2のポリペプチドと免疫学的に交差反応することは、2つのポリペプチドが実質的に同一であることの1つの指標になる。典型的に、保存的アミノ酸置換が異なるポリペプチドは、免疫学的に交差反応する。したがって、例えば、2つのポリペプチドが保存置換のみが異なるポリペプチド場合は実質的に第2ポリペプチドと同一である。
【0049】
本明細書で使用するとき、「変異型ポリヌクレオチド」とは、変異型ポリペプチドをコードするか、親ポリヌクレオチドと特定の程度の相同性/同一性を有するか、あるいは、親ポリヌクレオチド又はその相補体とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものである。好ましくは、変異型ポリヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は更には少なくとも99%のヌクレオチド配列の同一性を有する。一致率(%)を求めるための方法は当該技術分野では周知のものであり、直前に述べた通りである。
【0050】
「~に由来する」という用語は、「~を起源とする」、「~から得られる」、「~から得ることができる」、「~から単離される」、及び「~から作出される」という用語を包含し、ある特定の材料が、別の特定の材料を起源とするか、又は別の特定の材料に関連して述べられ得る特徴を有することを一般に示す。
【0051】
本明細書で使用するとき、用語「ハイブリダイゼーション」は、当技術分野において公知のように、核酸の鎖が塩基対形成によって相補鎖と結合するプロセスを指す。
【0052】
本明細書において使用するところの「ハイブリダイゼーション条件」なる語句とは、ハイブリダイゼーション反応が行われる条件のことを指す。これらの条件は、ハイブリダイゼーションが測定される条件の「ストリンジェンシー」の程度によって一般に分類される。ストリンジェンシーの程度は、例えば、核酸結合複合体又はプローブの融解温度(Tm)に基づいたものであり得る。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、典型的には、約Tm-5℃(プローブのTmの5℃下)、「高ストリンジェンシー」は、Tmの約5~10℃下、「中ストリンジェンシー」は、プローブのTmの約10~20℃下、「低ストリンジェンシー」は、Tmの約20~25℃下で起こる。これに代えるかあるいはこれに加えて、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション及び/又は1回以上のストリンジェンシー洗浄の塩又はイオン強度条件に基づいたものであってもよく、例えば、6×SSC=極めて低いストリンジェンシー、3×SSC=低~中度のストリンジェンシー、1×SSC=中度のストリンジェンシー、及び0.5×SSC=高ストリンジェンシーである。機能的には、最大ストリンジェンシー条件を用いて、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性、又はほぼ厳密な同一性を有する核酸配列を同定でき、一方高ストリンジェンシー条件を用いて、プローブと約80%以上の配列同一性を有する核酸配列を同定する。高い選択性が求められる用途では、典型的には、比較的ストリンジェントな条件を用いてハイブリッドを形成させることが望ましい(例えば、比較的低い塩濃度及び/又は高い温度条件が用いられる)。本明細書において使用するところのストリンジェントな条件とは、50℃で0.2×SSCとして定義される(1×SSC=0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0)。
【0053】
少なくとも2個の核酸又はポリペプチドに関して、語句「実質的に同様」及び「実質的に同一」は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、親配列又は参照配列と少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には少なくとも約99%の同一性を有する配列を含むか、官能性を付与することなく本開示の記載を回避する目的のみで行われるアミノ酸の置換、挿入、欠失、又は修飾を有さないことを意味する。
【0054】
本明細書で使用するとき、「発現ベクター」は、特定のポリペプチドをコードしており、好適な宿主においてそのポリペプチドを発現させることができる好適な調節配列に作動可能に連結されたDNA配列を含む、DNA構築物を指す。このような調節配列としては、転写を引き起こすプロモーター、こうした転写を調節する、場合により存在するオペレーター配列、適当なmRNAのリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び翻訳の停止を調節する配列がある。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、又は単純に潜在的なゲノムインサートであってよい。適当なホスト内に形質転換されると、ベクターは複製され、ホストのゲノムとは独立して機能するか、場合によってはゲノム自体に組み込まれ得る。
【0055】
用語「組換え」は、例えば、コード配列に突然変異を導入することで変化したポリペプチドを生成すること、コード配列を別の遺伝子のコード配列と融合させること、遺伝子を異なるプロモーターの制御下に置くこと、遺伝子を異種生物内で発現させること、遺伝子の発現レベルを低下又は上昇させること、遺伝子をその自然の発現プロファイルとは異なる発現プロファイルで条件的又は構成的に発現させること等により、配列又は発現特性を変化させるように改変された遺伝物質(すなわち、核酸、核酸がコードするポリペプチド、並びにこうしたポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞)のことを指す。一般に組換え核酸、ポリペプチド、及びこれらに基づく細胞は、関連する核酸、ポリペプチド、及び天然に見られる細胞と同一ではなくなるよう人為的に操作されている。
【0056】
「シグナル配列」とは、ポリペプチドのN末端部分に結合したアミノ酸の配列のことを指し、タンパク質の成熟型の細胞からの分泌を促進するものである。細胞外タンパク質の成熟型は、分泌プロセスの際に切断されるシグナル配列は有していない。
【0057】
用語「選択的マーカー」又は「選択可能なマーカー」は、導入された核酸又はベクターを含むホストの選択を容易にする、宿主細胞において発現させることが可能な遺伝子のことを指す。選択可能なマーカーの例としては、これらに限定されるものではないが、抗菌物質(例えば、ヒグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)及び/又は、宿主細胞に栄養的優位性のような代謝的優位性を与える遺伝子が挙げられる。本明細書において使用するところの「選択可能なマーカー」又は「選択可能な遺伝子産物」なる用語は、選択可能なマーカーが発現される細胞に抗生物質又は薬剤に対する耐性を与える酵素活性をコードする遺伝子の使用のことを指す。
【0058】
本明細書において使用するところの「調節要素」なる用語は、核酸配列の発現の特定の側面を調節する遺伝子要素のことを指す。例えばプロモーターは、作動可能に連結されたコード領域の転写の開始を促進する調節エレメントである。更なる調節エレメントとしては、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び終結シグナルが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用するとき、「宿主細胞」は一般に、当該技術分野において既知の組換えDNA技術を用いて構築されたベクターを形質転換又はトランスフェクトした原核生物又は真核生物の宿主である。形質転換された宿主細胞は、タンパク質変異体をコードするベクターを複製するか、あるいは所望のタンパク質変異体を発現することが可能である。タンパク質変異体のプレ型又はプロ型をコードするベクターの場合、かかる変異体は、典型的には、発現されるとき宿主細胞から宿主細胞培地中に分泌される。
【0060】
細胞に核酸配列を挿入することに関連して「導入された」なる用語は、形質転換、形質導入、又はトランスフェクションを意味する。形質転換の手段として、当技術分野において公知の通り、プロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、ネイキッドDNA等が挙げられる(Chang及びCohen[1979]Mol.Gen.Genet.168:111~115;Smith et al.[1986]Appl.Env.Microbiol.51:634;並びに、Ferrari et al.による総説(Harwood,Bacillus,Plenum Publishing Corporation,pp.57~72,1989)を参照されたい)。
【0061】
他の技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する(例えば、Singleton及びSainsbury、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2d Ed.,John Wiley and Sons,NY 1994;並びにHale及びMarham、The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)を参照されたい)。
【0062】
単数形「a」、「an」、及び「the」には、内容的に明らかに示されていない限り、複数の対象物が含まれる。
【0063】
本明細書で数値に関して使用するとき、用語「約」は、その数値の-10%~+10%の範囲を指す。例えば、語句「pH値約6」は、pH値が5.4~6.6であることを指す。
【0064】
各見出しは、便宜上示されるものであって、限定的に解釈されるべきではない。1つの見出しの下に含まれる説明は、明細書全体に適用され得るものである。
【0065】
パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種のポリペプチド
一実施形態は、本明細書に記載される、ポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む、NDLクレードを目的とする。別の実施形態は、本明細書に記載される、組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む、NDLクレードを目的とする。いくつかの実施形態では、ポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、エンド-β-マンナナーゼである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、Asn33-Asp-34-Leu35(NDL)を含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。
【0066】
一態様では、本明細書に記載される組成物又は方法は、NDLクレード内のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む。別の態様では、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、本明細書に記載される方法又は組成物において使用される。
【0067】
一態様では、本発明の組成物及び方法は、NDLクレード内の組換えエンド-β-マンナナーゼポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を提供する。なお更なる態様では、本発明の組成物及び方法は、NDLクレード内の組換えエンド-β-マンナナーゼポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む。更になお追加の態様では、本発明の組成物及び方法は、NDLクレード内のエンド-β-マンナナーゼポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を含む。なお更なる態様は、NDLクレード内のポリペプチド若しくは組換えポリペプチドエンド-β-マンナナーゼ若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を目的とする。一実施形態は、エンド-β-マンナナーゼポリペプチドのNDLクレードを目的とする。別の実施形態は、エンド-β-マンナナーゼポリペプチドのNDLクレード1を目的とする。なお別の実施形態は、エンド-β-マンナナーゼポリペプチドのNDLクレード2を目的とする。なお更なる実施形態は、エンド-β-マンナナーゼポリペプチドのNDLクレード3を目的とする。
【0068】
いくつかの実施形態では、NDLクレードはAsn33-Asp-34-Leu35を含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。別の実施形態では、NDLクレードは、30~38番目の位置にWXaKNDLXXAIモチーフを含み、XはF又はYであり、このときXは任意のアミノ酸であり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、NDLクレードは、30~38番目の位置にWXKNDLXAIモチーフを含み、このときXはF又はYであり、XはN、Y又はAであり、XはA又はTであり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。
【0069】
更なる実施形態では、NDLクレードは、262~273番目の位置にL262263XXXGPXGXL272273モチーフを含み、このときXは任意のアミノ酸であり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。なお更なる実施形態では、NDLクレードは、262~273番目の位置にL262263M/LV/AT/AGPXGX272273モチーフを含み、このときXはN、A又はSであり、XはS、T又はNであり、ポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、NDLクレード1は、262~273番目の位置にLDM/LATGPN/AGS/TLTモチーフを含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。いくつかの実施形態では、NDLクレード2は、262~273番目の位置にLDLA/VA/TGPS/NGNLTモチーフを含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。なお別の実施形態では、NDLクレード3は、262~273番目の位置にLDL/VS/AT/NGPSGNLTモチーフを含み、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされており、保存された一次配列番号に基づいている。
【0070】
一態様では、本発明の組成物及び方法は、本明細書に記載されるパエニバチルス(Paenibacillus)又はバチルス(Bacillus)種のエンド-β-マンナナーゼポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を提供する。代表的なパエニバチルス(Paenibacillus)又はバチルス(Bacillus)種のポリペプチドとして、BciMan1(配列番号2)(B.シルクランス(B. circulans)K-1から単離)、BciMan3(配列番号4)(B.シルクランス(B. circulans)196から単離)、BciMan4(配列番号6)(B.シルクランス(B. circulans)CGMCC1554から単離)、PpoMan1(配列番号8)(パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)E681から単離)、PpoMan2(配列番号10)(パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)SC2から単離)、PspMan4(配列番号12)(パエニバチルス(Paenibacillus)種A1から単離)、PspMan5(配列番号14)(パエニバチルス(Paenibacillus)種CH-3から単離)、PamMan2(前駆体タンパク質は配列番号16であり、成熟タンパク質は配列番号17である、パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)から単離)、PamMan3(配列番号63)(パエニバチルス(Paenibacillus)種NO21株から単離)、PpaMan2(前駆体タンパク質は配列番号19である、パエニバチルス・パブリ(Paenibacillus pabuli)から単離)、PspMan9(前駆体タンパク質は配列番号21である、パエニバチルス(Paenibacillus)種FeL05から単離)、及びPtuMan2(前駆体タンパク質は配列番号23であり、成熟タンパク質は配列番号24である、パエニバチルス・ツンドラエ(Paenibacillus tundrae)から単離)が挙げられる。これらの及びその他単離されたPspMan4ポリペプチドが、本発明の組成物及び方法に包含される。
【0071】
別の実施形態は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、本明細書に記載されるポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を目的とする。別の実施形態は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、本明細書に記載される組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型を目的とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。なお更なる実施形態では、NDLクレードのポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。また更なる実施形態では、NDLクレードの組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。別の実施形態では、NDLクレード1の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。なお別の実施形態では、NDLクレード1のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。なお更なる実施形態では、NDLクレード2のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード2の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。更にまたなお更なる実施形態では、NDLクレード3のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード3の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。
【0072】
別の実施形態では、上記の内任意のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する。なお更なる実施形態では、NDLクレードのポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。別の実施形態では、NDLクレード1のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード2のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード3のポリペプチド(polyppeptide)若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有する、アミノ酸配列を含む。
【0073】
別の実施形態では、上記の内任意のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性を有する。なお更なる実施形態では、NDLクレードのポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。別の実施形態では、NDLクレード1のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード2のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード3のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも80%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。
【0074】
別の実施形態では、上記の内任意のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する。なお更なる実施形態では、NDLクレードのポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。別の実施形態では、NDLクレード1のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード2のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード3のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。
【0075】
別の実施形態では、上記の内任意のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の同一性を有する。なお更なる実施形態では、NDLクレードのポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。別の実施形態では、NDLクレード1のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード2のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。またなお更なる実施形態では、NDLクレード3のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型は、配列番号74及び81から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の同一性を有する、アミノ酸配列を更に含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。なおまた更なる実施形態では、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。なお更なる実施形態では、本発明は、配列番号4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、NDLクレードのポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。別の実施形態では、本発明は、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、NDLクレード1のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。またなお更なる実施形態では、本発明は、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、NDLクレード2のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。またなお更なる実施形態では、本発明は、配列番号74及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、NDLクレード3のポリペプチド若しくは組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型である。
【0077】
配列同一性は、例えば、本明細書に記載されるBLAST、ALIGN、又はCLUSTAL等のプログラムを使用して、アミノ酸配列アライメントにより決定することができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは単離ポリペプチドである。
【0078】
一実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドはマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドはマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、マンナナーゼ活性は、マンナンガムに対する活性である。いくつかの実施形態では、マンナナーゼ活性は、ローカストビーンガムガラクトマンナンに対する活性である。いくつかの実施形態では、マンナナーゼ活性は、コンニャクグルコマンナンに対する活性である。
【0079】
一実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このとき界面活性剤の存在下でマンナナーゼ活性がある。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、このとき界面活性剤の存在下でマンナナーゼ活性がある。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、4.5~9.0のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、4.5~9.0のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、5.5~8.5のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、5.5~8.5のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、6.0~7.5のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、6.0~7.5のpH範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、3.0、3.5、4.0又は4.5を超えるpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、3.0、3.5、4.0又は4.5を超えるpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、10.0、9.5、又は9.0を下回るpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、10.0、9.5、又は9.0を下回るpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、40℃~70℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、45℃~65℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、50℃~60℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃を超える温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、90℃、85℃、80℃、75℃、又は70℃を下回る温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、40℃~70℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、45℃~65℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、50℃~60℃の温度範囲において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、20℃、25℃、30℃、35℃、又は40℃を超える温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、90℃、85℃、80℃、75℃、又は70℃を下回る温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも70%を保持する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは洗剤組成物中で洗浄活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは洗剤組成物中で洗浄活性を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは洗剤組成物中で洗浄活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、プロテアーゼの存在下でマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、グアーガム、ローカストビーンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基質の加水分解が可能である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは洗剤組成物中で洗浄活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、プロテアーゼの存在下でマンナナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、グアーガム、ローカストビーンガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基質の加水分解が可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意のポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、炭水化物結合モジュールを更に含まない。いくつかの実施形態では、本発明は、上記実施形態のうち任意の組換えポリペプチド若しくはフラグメント、活性フラグメント、又はその変異型であり、このポリペプチドは、炭水化物結合モジュールを更に含まない。
【0087】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは組換えによって産生されるが、一方他の実施形態では、本発明のポリペプチドは合成によって産生され、又は天然源から精製される。
【0088】
特定の別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、ポリペプチドの構造及び/又は機能に実質的に影響しない置換を含む。代表的な置換は、表Iにまとめたような保存的突然変異である。
【0089】
【表1】
【0090】
天然に存在するアミノ酸が関与する置換は、本発明の組換えポリペプチドをコードする核酸に突然変異を導入し、次いでこの変異体ポリヌクレオチドを生物で発現させることにより一般に行われる。非天然型アミノ酸が関与する置換、又はアミノ酸に対する化学修飾は、本発明の組換えポリペプチドが特定の生物によって合成された後に化学的に修飾することにより一般的に行われる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明の変異型単離ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、又は60と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能、又は発現に大きく影響しない、アミノ酸置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の変異型単離ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能、又は発現に大きく影響しない、アミノ酸置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の変異型単離ポリペプチドは、配列番号6、12、14、16、17、19、21、23、24、34、35、36、38、39、40、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、及び71と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能、又は発現に大きく影響しない、アミノ酸置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の変異型単離ポリペプチドは、配列番号4、8、10、30、31、32、42、43、44、46、47、48、72、及び73と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能、又は発現に大きく影響しない、アミノ酸置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の変異型単離ポリペプチドは、配列番号74及び81と実質的に同一であり、これは、ポリペプチドの構造、機能、又は発現に大きく影響しない、アミノ酸置換、挿入、又は欠失を含まないことを意味する。このような本発明の変異型単離ポリペプチドには、本発明の記載を回避する目的でのみ設計されたものが含まれる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド(その変異型を含む)は、マンナナーゼ、エンド-1,4-β-D-マンナナーゼ、エキソ-1,4-β-D-マンナナーゼガラクトマンナナーゼ、及び/又はグルコマンナナーゼ活性を含む、1,4-β-D-マンノシドヒドロラーゼ活性を有する。1,4-β-D-マンノシドヒドロラーゼ活性は、本明細書に記載されるアッセイを用いるか、又は当該技術分野において既知の他のアッセイによって決定及び測定することができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、洗剤組成物の存在下で活性を有する。
【0093】
本発明のポリペプチドは、1,4-β-D-マンノシドヒドロラーゼ活性を保持する、「完全長」ポリペプチドのフラグメントを含む。こうしたフラグメントは、完全長ポリヌクレオチドの活性部位を保持していることが好ましいが、重要ではないアミノ酸残基の欠失を有してもよい。フラグメントの活性は、本明細書において述べるアッセイを用いるか、又は当該技術分野では周知の他のアッセイによって容易に決定することができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドのフラグメントは、洗剤組成物の存在下で1,4-β-D-マンノシドヒドロラーゼ活性を保持する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列及び誘導体は、例えば、抽出、検出及び/若しくは精製を補助するため、並びに/又は機能性を本発明のポリペプチドに付加するために、N及び/又はC末端融合タンパク質として産生される。融合タンパク質パートナーの例として、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)、FLAG、MYC、BCE103(国際公開第2010/044786号)、又は当業者に周知の他のタグが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、タンパク質分解による切断部位を、融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間に設けて、融合配列を除去できるようにする。好ましくは、融合タンパク質は、本発明のポリペプチドの活性を妨げない。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、リーダーペプチド、プロペプチド、1つ若しくは2つ以上の結合ドメイン(モジュール)及び/又は触媒ドメインを含む、機能的ドメインと融合される。好適な結合ドメインとして、本発明のポリペプチドの適用中に存在する炭水化物成分への親和性を向上する、様々な特異性を有する炭水化物結合モジュール(例えば、CBM)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、本発明のポリペプチドのCBM及び触媒ドメインは、操作可能に連結される。
【0096】
炭水化物結合モジュール(CBM)は、炭水化物結合活性を有する目立たない折り畳み部位を持つ、炭水化物活性酵素内に近接するアミノ酸配列として定義される。若干の例外は、セルロソームスキャフォールディンタンパク質中のCBMであり、珍しい例では、独立した推定CBMである。より大きい酵素内のモジュールとして存在するCBMの要件により、このクラスの炭水化物結合タンパク質が、レクチン等の他の非触媒糖結合タンパク質、及び糖輸送タンパク質から区別される。CBMは、セルロースに結合したいくつかのモジュールが初期に発見されたことから、以前はセルロース結合ドメイン(CBD)に分類されていた(Tomme et al.,Eur J Biochem,170:575~581,1988;及びGilkes et al.,J Biol Chem,263:10401~10407,1988)。しかしながら、炭水化物活性酵素中に、そうでなければCBMの基準に合致する、セルロース以外の炭水化物に結合する追加のモジュールが続いて発見されているため、より包括的な用語を用いてこれらのポリペプチドを再分類する必要がある。セルロース結合ドメインの以前の分類は、アミノ酸類似性に基づくものであった。CBDのグループを「型」と呼び、ローマ数字で番号を付けた(例えば、I型又はII型CBD)。グリコシドヒドロラーゼ分類に沿って、これらのグループを今ではファミリーと呼び、アラビア数字で番号を付けている。ファミリー1~13は、I型~XIII型と同じである(Tomme et al.,Enzymatic Degradation of Insoluble Polysaccharides(Saddler,J.N.&Penner,M.,eds.),Cellulose-binding domains:classification and properties.pp.142~163,American Chemical Society,Washington,1995)。CBMの構造及び結合様式の詳細な総説は、(Boraston et al.,Biochem J,382:769~81,2004)に記載されている。CBMのファミリー分類により、CBMの同定を助ける、一部の例では、結合特異性を予測する、機能的残基の同定を助ける、進化的関係を明らかにする、及び、場合によっては、ポリペプチドの折り畳みを予測することが見込まれる。タンパク質の折り畳みは、その配列よりも良好に保存されているため、CBMファミリーの一部は、スーパーファミリー又はクランに分類することができる。現在のCBMファミリーは1~63である。CBM/CBDは、非加水分解性ポリサッカライド結合タンパク質として、藻類、例えば、紅藻類であるポルフィラ・プルプレア(Porphyra purpurea)にも見つかっている。しかしながら、CBDの多くは、セルラーゼ及びキシラナーゼ由来である。CBDは、タンパク質のN末端及びC末端にあり、又は内部にある。酵素ハイブリッドは、当該技術分野において既知であり(例えば、国際公開第90/00609号及び同第95/16782号)、本発明の開示されるポリペプチドをコードするDNA配列に、リンカーと共に又は伴わずにライゲーションされた、セルロース結合ドメインをコードするDNAの少なくともフラグメントを含むDNA構築物によって、宿主細胞を形質転換し、宿主細胞を増殖して融合遺伝子を発現させることによって、調製することができる。酵素ハイブリッドは、以下の式によって記載されてよい。
CBM-MR-X又はX-MR-CBM
【0097】
上記式において、CBMは、少なくとも炭水化物結合モジュールに相当するアミノ酸配列のN末端若しくはC末端領域であり;MRは、中間領域(リンカー)であり、結合部、若しくは好ましくは約2~約100個の炭素原子、より好ましくは2~40個の炭素原子の短い連結基であってよく;好ましくは約2~約100個のアミノ酸、より好ましくは2~40個のアミノ酸であってよく;Xは、マンナナーゼ触媒活性を有する本発明のポリペプチドのN末端又はC末端領域である。加えて、マンナナーゼは、2つ以上のCBM又は、非糖分解機能の他のモジュール/ドメインを含有してよい。用語「モジュール」及び「ドメイン」は、本開示において互換的に使用される。
【0098】
好適な酵素活性ドメインは、所望の生成物の産生において、本発明のポリペプチドの作用を支持する活性を有する。触媒ドメインの非限定例として、セルラーゼ、キシラナーゼ等のヘミセルラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、グルカナーゼ、アラビナーゼ、ガラクトシダーゼ、ペクチナーゼ、並びに/又はその他活性、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、酸ホスファターゼ及び/若しくはその他、又はそれらの機能的フラグメントが挙げられる。融合タンパク質は、所望により、いずれの構成要素の特性に大きく影響を与えずに、本発明のポリペプチド及び融合ドメインを単純に連結するリンカー配列、又は所望により、目的の用途において機能的重要性を有するリンカーによって、本発明のポリペプチドに連結される。
【0099】
あるいは、本明細書に記載される本発明のポリペプチドは、1つ又は2つ以上の追加の所望のタンパク質と連結して使用される。所望のタンパク質の非限定例として、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-β-1,4-グルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルノニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ及び/又はその他酵素が挙げられる。
【0100】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの細胞外分泌を指示するシグナルペプチドと融合される。例えば、特定の実施形態では、シグナルペプチドは、本発明のポリペプチドの天然シグナルペプチドである。別の実施形態では、シグナルペプチドは、B.ズブチリス(B. subtilis)AprEシグナルペプチド等の非天然シグナルペプチドである。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、成熟型とシグナルペプチドとの間に、Ala-Gly-LysのN末端伸長を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、異種生物、すなわち、パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種以外の生物内で発現される。代表的な異種生物は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、ゲオバチルス(Geobacillus)(以前のバチルス(Bacillus))ステロサーモフィラス(stearothermophilus)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシェンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、又はストレプトマイセス・ムリナス(Streptomyces murinus)等のグラム陽性菌;エシェリキア・コライ(Escherichia coli)等のグラム陰性菌;サッカロマイセス(Saccharomyces)種又はシゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)種等の酵母、例えばサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae);及び、アスペルギルス(Aspergillus)種等の糸状菌、例えば、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)又はアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、及びトリコデルマ・レーシ(Trichoderma reesei)である。これらの生物内に核酸を形質転換するための方法は当該技術分野では周知のものである。アスペルギルス(Aspergillus)宿主細胞の形質転換に適した方法が、欧州特許第238 023号に記載されている。
【0102】
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは異種生物内で分泌型ポリペプチドとして発現され、その場合、本組成物及び方法には、本発明のポリペプチドを異種生物内で分泌型ポリペプチドとして発現させるための方法が含まれる。
【0103】
本発明のポリヌクレオチド
本明細書に開示される別の態様は、本発明のポリペプチド(変異型及びそのフラグメントを含む)をコードするポリヌクレオチドである。一態様では、本明細書において特定されているもの等の、異種生物における本発明のポリペプチドの発現を指示するための発現ベクターと関連して、ポリヌクレオチド(polynucleuatide)が提供される。本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コードされたポリペプチドの発現を助けるための調節エレメント(例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー等)と作動可能に連結させることができる。
【0104】
本発明のポリペプチドをコードする代表的なポリヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61又は64のヌクレオチド配列を有する。本発明のポリペプチドをコードする代表的なポリヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、又は57のヌクレオチド配列を有する。本発明のポリペプチド及び変異型をコードする実質的に同一のものを含む同様のポリヌクレオチドは、例えば、B.agaradhaerensの他の株又は単離物等、自然に存在し得る。遺伝子コードの縮重を考慮して、異なるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、同じ本発明のポリペプチド、変異型、又はフラグメントをコードし得ることが理解されるであろう。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする例示されるポリヌクレオチドに対して、特定の程度のアミノ酸配列同一性、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、60、62、63、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、及び81からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする例示されるポリヌクレオチドに対して、特定の程度のアミノ酸配列同一性、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、17、19、21、23、24、26、27、28、30、31、32、34、35、36、38、39、40、42、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有する。相同性は、例えば本明細書に記載されるBLAST、ALIGN、又はCLUSTAL等のプログラムを使用した、アミノ酸配列アライメントにより決定することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本発明の例示されるポリヌクレオチドに対して、特定の程度のヌクレオチド配列同一性、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61又は64からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有してよい。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、本発明の例示されるポリヌクレオチドに対して、特定の程度のヌクレオチド配列同一性、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、又は57からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を有してよい。相同性は、例えば本明細書に記載されるBLAST、ALIGN、又はCLUSTAL等のプログラムを使用した、アミノ酸配列アライメントにより決定することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの細胞外分泌を指示するためのシグナルペプチドのコード配列の後ろ(すなわち、その下流)にインフレームで融合される。異種シグナル配列には、細菌のセルラーゼ遺伝子から得られるものが含まれる。発現ベクターは、本発明のポリペプチドを発現させるのに好適な、又は好適な宿主細胞中に発現ベクターを導入する前に発現ベクターを増殖させるのに好適な異種宿主細胞において提供されてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定のハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、57、61又は64(又はその相補)の例示のポリヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、特定のハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、18、20、22、25、29、33、37、41、45、49、53、又は57(又はその相補)の例示のポリヌクレオチドにハイブリダイズする。代表的な条件は、本明細書において述べられるストリンジェントな条件、及び高ストリンジェント条件である。
【0109】
本発明のポリヌクレオチドは、は天然に存在するものであっても、又は合成(すなわち人工)のものであってもよく、異なる宿主内での発現のためにコドン最適化させてもよく、突然変異させてクローニング部位を導入してもよく、又は別の方法で変更して機能を付加してもよい。
【0110】
ベクター及び宿主細胞
本発明の開示されるポリペプチドを生成するために、ポリペプチドをコードしているDNAを、公開されている配列から化学合成することができ、又はその遺伝子を有する宿主細胞から直接(例えばcDNAライブラリースクリーニング又はPCR増幅によって)得ることができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、発現カセット中に含まれ、かつ/又は標準的な分子クローニング技術によって好適な発現ベクター中にクローニングされる。そのような発現カセット又はベクターは、転写の開始及び終結を助ける配列(例えば、プロモーター及びターミネーター)を含有し、また通常は、選択可能マーカーを含有する。
【0111】
発現カセット又はベクターを好適な発現宿主細胞中に導入し、次いで、対応する本発明のポリヌクレオチドを発現させる。特に好適な発現宿主は、エシェリキア(Escherichia)(例えば、エシェリキア・コライ(Escherichia coli))、シュードモナス(Pseudomonas)(例えば、P.フルオレセンス(P. fluorescens)又はP.スタットゼリ(P. stutzerei))、プロテウス(Proteus)(例えば、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis))、ラルストニア(Ralstonia)(例えば、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha))、ストレプトマイセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、S.カルノサス(S. carnosus))、ラクトコッカス(Lactococcus)(例えば、L.ラクティス(L. lactis))、又はバチルス(Bacillus)(ズブチリス(subtilis)、メガテリウム(megaterium)、リケニフォルミス(licheniformis)等)等の、細菌発現宿主属である。また特に好適であるのは、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリヴェロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、又はピチア・パストリス(Pichia pastoris)等の酵母発現宿主である。特に好適であるのは、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、クリソスポリウム・ラックノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、アスペルギルス(Aspergillus)(例えば、A.オリザエ(A. oryzae)、A.ニゲル(A. niger)、A.ニデュランス(A. nidulans)等)又はトリコデルマ・レーシ(Trichoderma reesei)等の真菌発現宿主である。哺乳動物発現宿主、例えば、マウス(例えば、NS0)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)又はベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系等もまた適している。他の真核生物宿主、例えば、昆虫細胞又はウイルス発現系(例えば、M13、T7ファージ又はλ等のバクテリオファージ、又はバキュロウイルス等のウイルス)等もまた、本発明のポリペプチドを産生させるために適している。
【0112】
目的の特定の宿主における分泌型タンパク質と関連したプロモーター及び/又はシグナル配列は、その宿主又は他の宿主におけるエンド-β-マンナナーゼの異種産生及び分泌において使用するための候補である。例として、糸状菌系では、セルビオヒドロラーゼI(cbh1)、グルコアミラーゼA(glaA)、TAKA-アミラーゼ(amyA)、キシラナーゼ(exlA)、gpd-プロモーターcbh1、cbhII、エンドグルカナーゼ遺伝子EGI-EGV、Cel61B、Cel74A、egl1-egl5、gpdプロモーター、Pgk1、pki1、EF-1α、tef1、cDNA1及びhex1の遺伝子を駆動するプロモーターが特に好適であり、多くの異なる生物(例えば、A.ニゲル(A. niger)、T.レーシ(T. reesei)、A.オリザエ(A. oryzae)、T.アワモリ(A. awamori)及びA.ニデュランス(A. nidulans))由来であってよい。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドを細胞外(又はペリプラズム)空間へ分泌させ、それにより細胞上清(又はペリプラズム空間又は溶解物)中で酵素活性を直接検出することを可能にする、好適な同種又は異種シグナル配列をコードしているポリヌクレオチドと、組換えにより関連させる。エシェリキア・コライ(Escherichia coli)、他のグラム陰性菌及び当技術分野において既知の他の生物に、特に好適なシグナル配列として、HlyA、DsbA、Pbp、PhoA、PelB、OmpA、OmpT又はM13ファージGill遺伝子の発現を駆動するものが挙げられる。バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、グラム陽性生物及び当技術分野において既知の他の生物では、特に好適なシグナル配列として更に、Apre、NprB、Mpr、AmyA、AmyE、Blac、SacBの発現を駆動するものが挙げられ、S.セレヴィシエ(S. cerevisiae)又は他の酵母では、キラートキシン、Bar1、Suc2、接合因子α、Inu1A又はGgplpシグナル配列が挙げられる。シグナル配列は、多くのシグナルペプチダーゼにより切断して、発現されたタンパク質の残部から除去することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドの残りは、単独で又はN末端若しくはC末端に位置する他のペプチド、タグ若しくはタンパク質(例えば、6×His、HA又はFLAGタグ)との融合体として発現させる。好適な融合として、アフィニティ精製又は検出を容易にするタグ、ペプチド又はタンパク質(例えば、BCE103、6×His、HA、キチン結合タンパク質、チオレドキシン又はFLAGタグ)、並びに標的エンド-β-マンナナーゼの発現、分泌又はプロセシングを容易にするものが挙げられる。好適なプロセシング部位として、エンテロキナーゼ、STE13、Kex2又はインビボ若しくはインビトロでの切断のための他のプロテアーゼ切断部位が挙げられる。
【0113】
本発明のポリヌクレオチドは、エレクトロポレーション、脂質を用いた形質転換又は遺伝子導入(「リポフェクション」)、化学的に媒介される遺伝子導入(例えば、CaCl及び/又はCaP)、酢酸リチウムに媒介される形質転換(例えば、宿主細胞プロトプラストの形質転換)、バイオリスティック「遺伝子銃」形質転換、PEGに媒介される形質転換(例えば、宿主細胞プロトプラストの形質転換)、プロトプラスト融合(例えば、細菌又は真核生物のプロトプラストを使用した融合)、リポソームに媒介される形質転換、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アデノウイルス又は他のウイルス又はファージによる形質転換又は形質導入が挙げられるがこれらに限定されない、多くの形質転換方法によって、発現宿主細胞中に導入される。
【0114】
あるいは、本発明のポリペプチドを細胞内に発現させてよい。任意に、酵素変異型の細胞内発現、又は上記で述べたもの等のシグナル配列を使用したペリプラズム空間への分泌の後に、透過化又は溶解工程を使用して、ポリペプチドを上清中に放出することができる。膜バリアの破壊は、超音波、加圧処理(フレンチプレス)、キャビテーション等の機械的手段を使用して、又はリゾチーム等の膜消化酵素又は酵素混合物を使用して行うことができる。更なる選択肢として、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、好適な無細胞発現系を用いて発現させてよい。無細胞系では、目的のポリヌクレオチドは通常、プロモーターの補助により転写させるが、ライゲーションして環状発現ベクターを形成させるかは任意である。別の実施形態では、RNAを外因的に加えるか、又は無細胞系において転写及び翻訳を伴わずに生成する。
【0115】
本明細書に開示される本発明のポリペプチドは、広範なpH条件にわたって酵素活性を有し得る。特定の実施形態では、本発明の開示されるポリペプチドは、約pH4.0~約pH11.0、又は約pH4.5~約pH11.0で酵素活性を有する。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、約pH4.0~11.0、pH4.5~11.0、pH4.5~9.0、pH5.5~8.5、又はpH6.0~7.5で、実質的な酵素活性、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%の活性を有する。本明細書において述べるpHの値は、±0.2だけ変化し得ることに注意されたい。例えば、約8.0のpHの値は、pH7.8~pH8.2で変化し得る。
【0116】
本明細書に開示される本発明のポリペプチドは、広範な温度、例えば、約20℃以下から90℃、30℃~80℃、40℃~70℃、45℃~65℃、又は50℃~60℃にわたって、酵素活性を有し得る。特定の実施形態では、ポリペプチドは、約20℃以下~90℃、30℃~80℃、40℃~70℃、45℃~65℃、又は50℃~60℃の温度範囲において、実質的な酵素活性、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は100%の活性を有する。本明細書において述べる温度の値は、±0.2℃だけ変化し得ることに注意されたい。例えば、約50℃の温度は、49.8℃~50.2℃で変化し得る。
【0117】
本発明のポリペプチドを含む洗剤組成物
本明細書に開示される組成物及び方法の一態様は、本発明の単離ポリペプチド(その変異体又はフラグメントを含む)を含む洗剤組成物、及び洗浄用途においてこうした組成物を使用するための方法である。洗浄用途としては、洗濯物又は衣類のクリーニング、洗濯物又は衣類の柔軟化、食器洗い(手洗い及び自動)、染みの前処理等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の用途は、マンナン(例えば、ローカストビーンガム、グアーガム等)が除去すべき汚れ又は染みの成分であるような用途である。洗剤組成物は、典型的には、本明細書に記載される本発明のポリペプチドの任意の有効量、例えば、少なくとも0.0001重量パーセント、約0.0001~約1、約0.001~約0.5、約0.01~約0.1重量パーセント、又は更に約0.1~約1重量パーセント、又はそれ以上を含む。洗剤組成物中の本発明のポリペプチドの有効量は、マンナン含有基質、例えばローカストビーンガム、グアーガム、又はこれらの組み合わせを加水分解するのに十分な酵素活性を有する、本発明のポリペプチドをもたらす。
【0118】
加えて、約0.4g/L~約2.2g/L、約0.4g/L~約2.0g/L、約0.4g/L~約1.7g/L、約0.4g/L~約1.5g/L、約0.4g/L~約1g/L、約0.4g/L~約0.8g/L、又は約0.4g/L~約0.5g/Lの濃度を有する洗剤組成物を、本発明の単離ポリペプチドの有効量と混合してよい。洗剤組成物は、約0.4mL/L~約2.6mL/L、約0.4mL/L~約2.0mL/L、約0.4mL/L~約1.5m/L、約0.4mL/L~約1mL/L、約0.4mL/L~約0.8mL/L、又は約0.4mL/L~約0.5mL/Lの濃度で存在してもよい。
【0119】
特に断りのない限り、本明細書に提供される成分又は組成物のレベルは全て、成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。酵素成分の重量は活性タンパク質の合計に基づくものである。百分率(%)及び比率は全て、特に断りのない限り、重量で計算している。全ての百分率(%)及び比率は、特に断りのない限り、総組成物に対し計算している。例示された洗剤組成物において、酵素レベルは、組成物の合計重量に基づき純粋な酵素濃度として表現され、かつ特に断りのない限り、洗剤成分は組成物の合計重量に基づき表記される。
【0120】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、非イオン性、半極性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、又はこれらの組み合わせ及び混合物でありうる、1以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、通常、約0.1重量%~60重量%の濃度で存在する。代表的な界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12~14パレス-7、C12~15パレス-7、C12~15パレス硫酸ナトリウム、C14~15パレス-4、ラウレス硫酸ナトリウム(例えばSteol CS-370)、水添ヤシ脂肪酸ナトリウム、C12エトキシレート(Alfonic 1012-6、Hetoxol LA7、Hetoxol LA4)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えばNacconol 90G)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。
【0121】
本明細書において述べる洗剤組成物と共に使用することが可能なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸エステル(脂肪アルコール硫酸エステル)(AS)、アルコールエトキシ硫酸エステル(AEOS又はAES)、2級アルカンスルホン酸塩(SAS)、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-若しくはアルケニルコハク酸、又は石鹸が挙げられる。これは、アルコールエトキシレート(AEO又はAE)、カルボキシルアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、国際公開第92/06154号に述べられる)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物等の0~40%の非イオン性界面活性剤を更に含み得る。
【0122】
本明細書において述べる洗剤組成物と共に使用することが可能な非イオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばTWEEN類)、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレンイソアルコール、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、TRITON類及びBRIJ)、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレン-p-tert-オクチルフェノール又はオクチルフェニル-エチレンオキシド縮合物(例えば、Nonidet P40)、エチレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物(例えば、Lubrol)、ポリオキシエチレンノニルフェノール、ポリアルキレングリコール(Synperonic F108)、糖ベースの界面活性剤(例えば、グリコピラノシド、チオグリコピラノシド)、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。
【0123】
本明細書において開示される洗剤組成物は、これらに限定されるものではないが、5~15%のアニオン性界面活性剤、<5%の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ホスホネート、石鹸、酵素、香料、ブチルフェニルメチルプロピオネート、ゲラニオール、ゼオライト、ポリカルボキシレート、ヘキシルシンナマル、リモネン、カチオン性界面活性剤、シトロネロール、及びベンズイソチアゾリノンを含む混合物を有し得る。
【0124】
洗剤組成物は更に、1以上の洗剤ビルダー又はビルダーシステム、錯化剤、ポリマー、漂白システム、安定化剤、起泡促進剤、泡抑制剤、腐蝕防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、ヒドロトロープ、変色防止剤、蛍光増白剤、柔軟剤、及び香料を更に含んでもよい。洗剤組成物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、ペクチン分解酵素、キシログルカナーゼ、又は更なるカルボン酸エステル加水分解酵素を含むがこれらに限定されない、酵素を更に含んでもよい。洗剤組成物のpHは、本明細書において述べるように中性~塩基性でなければならない。
【0125】
少なくとも1種のビルダーを組み込むいくつかの実施形態では、洗剤組成物は、洗浄組成物の重量に基づいて、少なくとも約1重量%、約3重量%~約60重量%、又は更には約5重量%~約40重量%のビルダーを含む。ビルダーとしては、例えば、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、ケイ酸アルカリ金属塩、炭酸のアルカリ土類金属塩及びアルカリ金属塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸塩化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸)、並びにメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩等のポリカルボン酸類を挙げてよいが、これらに限定されない。実際、任意の適当なビルダーが本開示の異なる実施形態において有用であると考えられる。
【0126】
いくつかの実施形態では、ビルダーは水溶性の硬度イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)、例えば、クエン酸塩及びポリリン酸塩等(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合物等)を形成する。当該技術分野では既知のものを含む(例えば、欧州特許第2 100 949号を参照)任意の適当なビルダーが、本開示において有用であると考えられる。
【0127】
本明細書において示されるように、いくつかの実施形態では、本明細書において述べる洗浄組成物は、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白剤活性剤、漂白剤触媒、他の酵素、酵素安定システム、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、移染剤、分散剤、泡抑制剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性剤、蛍光剤、柔軟剤、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、シワ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、変色防止及び/又は腐蝕防止剤、アルカリ性付与剤、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調整剤を含む添加物質を更に含む(例えば、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014及び同第5,646,101号を参照)。具体的な洗浄組成物材料の実施形態を以下に詳細に例示する。洗濯組成物中で、洗浄添加物質が本発明のポリペプチドと適合するものでない実施形態では、これら2種の構成成分を組み合わせることが適切になるまでの間、洗浄添加物質及びエンド-β-マンナナーゼを別々に保管する(すなわち、互いに接触させない)好適な方法が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離等)。
【0128】
本明細書において述べる洗浄組成物は、例えば、洗濯用途、硬質面の洗浄、食器洗い用途、並びに入れ歯、歯、毛髪及び皮膚等の美容用途において効果的に使用することができる。加えて、本明細書に記載されるポリペプチドは、低温溶液中において高い効果を示すという特有の効果のために、洗濯及び布地柔軟化用途に特に適している。更に本発明のポリペプチドは、粒状及び液体組成物において有用である。
【0129】
本明細書に記載されるポリペプチド又は単離ポリペプチドは、添加用製品における洗浄用途に使用することもできる。いくつかの実施形態では、低温溶液を用いるクリーニング用途において有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、本発明の開示されるポリペプチドを少なくとも1種含む洗浄添加用製品を提供し、当該洗浄添加用製品は、更に漂白効果が所望される場合に、洗浄グプロセスに含めるために理想的に適している。このような場合の例としては、限定するものではないが、例えば、低温溶液を用いるクリーニング用途が挙げられる。いくつかの実施形態では、添加用製品は最も単純な形態の1種又は2種以上のエンド-β-マンナナーゼである。いくつかの実施形態では、添加剤は、クリーニングプロセスに添加される剤形にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、添加剤は、過酸化物供給源が用いられかつ漂白効果の増加が所望されるクリーニングプロセスに添加される剤形にパッケージングされる。これらに限定されるものではないが、ピル、錠剤、ジェルキャップ、又は予め計量された粉末若しくは液体等の他の一回用量単位を含む、任意の適当な一回容量単位の形態が、本開示と共に使用するのに有用である。いくつかの実施形態では、このような組成物を増量するために充填剤又はキャリア材料を含める。好適な充填剤又はキャリア材料としては、限定するものではないが、例えば、様々な硫酸塩、炭酸塩及びケイ酸塩並びにタルク、及びクレイ等が挙げられる。液体組成物に好適な充填剤又はキャリア材料としては、限定するものではないが、例えば、水、又はポリオール及びジオール等の低分子量の一級及び二級アルコールが挙げられる。このようなアルコールの例としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、このような材料を約5%~約90%含有する。酸性充填剤はpHを低下させるために有用である。あるいは、いくつかの実施形態では、洗浄添加剤として、以下により詳細に記載されるような補助成分が挙げられる。
【0130】
一実施形態では、本発明の洗浄組成物又は洗浄添加剤は、本明細書に記載される少なくとも1つのポリペプチドの有効量を、所望により他のエンド-β-マンナナーゼ及び/又は追加の酵素と組み合わせて含有する。特定の実施形態では、追加の酵素として、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-β-1,4-グルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルノニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの酵素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
必要とされる酵素濃度は、1種又は2種以上の本発明の開示されるポリペプチドを添加することによって達成される。典型的には、本発明の洗浄組成物は、少なくとも約0.0001重量パーセント、約0.0001~約10、約0.001~約1、又は更に約0.01~約0.1重量パーセントの、少なくとも1種の本発明の開示されるポリペプチドを含むであろう。
【0132】
本明細書の洗浄組成物は、典型的には、水性洗浄操作での使用中に、洗浄水のpHが約3.0~約11となるように配合される。液体製品の配合は、典型的には、未希釈時pHが約5.0~約9.0を有するように配合される。粒状洗濯製品は、典型的にはpHが約8.0~約11.0になるよう配合される。推奨される使用レベルでpHを調節する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられ、これらは当業者には周知のものである。
【0133】
好適な低pH洗浄組成物は、典型的には、未希釈時pHが約3.0~約5.0又は更に約3.5~約4.5を有する。低pH洗浄組成物は、典型的には、かかるpH環境中で加水分解する界面活性剤を含まない。このような界面活性剤としては、エチレンオキシド部分を少なくとも1つ又は更にはエチレンオキシド約1~約16モルを含むアルキル硫酸ナトリウム界面活性剤が挙げられる。このような洗浄組成物は、典型的には、未希釈時pHが約3.0~約5.0である洗浄組成物をもたらすのに十分な量のpH調整剤、例えば、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、又は塩酸等を含む。このような組成物は、典型的には、酸に安定な酵素を少なくとも1種含む。一部の実施形態では、組成物は液体であるが、他の実施形態では、組成物は固体である。このような液体組成物のpHは、典型的には原液のpHとして測定される。このような固形組成物のpHは、上記組成物の10%固体溶液として測定され、ここで、その溶媒は蒸留水である。これらの実施形態では、別途記載のない限り、pHの測定は全て20℃で行われる。
【0134】
好適な高pH洗浄組成物は、典型的には、未希釈時pHが約9.0~約11.0、又は更に正味pHが9.5~10.5を有する。このような洗浄組成物は、典型的には、未希釈時pHが約9.0~約11.0である洗浄組成物をもたらすのに十分な量のpH調整剤、例えば、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、又は塩酸等を含む。このような組成物は、典型的には、塩基に安定な酵素を少なくとも1種含む。一部の実施形態では、組成物は液体であるが、他の実施形態では、組成物は固体である。このような液体組成物のpHは、典型的には原液のpHとして測定される。このような固形組成物のpHは、上記組成物の10%固体溶液として測定され、ここで、その溶媒は蒸留水である。これらの実施形態では、別途記載のない限り、pHの測定は全て20℃で行われる。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドが粒状組成物又は液体中で使用される場合、本発明のポリペプチドは、保管時に粒状組成物の他の成分から本発明のポリペプチドを保護するためにカプセル化された粒子の形態であることが望ましい。更にカプセル化は、洗浄プロセスの際に本発明のポリペプチドの利用性を調節する手段でもある。いくつかの実施形態では、カプセル化によって、本発明のポリペプチド及び/又は追加の酵素の性能が高められる。この点に関し、本開示の本発明のポリペプチドは、当該技術分野において既知の任意の好適なカプセル材によってカプセル化される。いくつかの実施形態では、カプセル材は、典型的には、本明細書に記載される本発明のポリペプチドに関する触媒の少なくとも一部を封入する。典型的には、カプセル材は、水溶性及び/又は水分散性である。一部の実施形態では、封入剤のガラス転移温度(Tg)は0℃以上である。ガラス転移温度については、国際特許出願公開第97/11151号により詳細に述べられている。カプセル材は、典型的には、炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン、キトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。カプセル材が炭水化物である場合、典型的には、単糖、オリゴ糖、多糖、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの典型的な実施形態では、カプセル材はデンプンである(例えば、欧州特許第0 922 499号;米国特許第4,977,252号、同第5,354,559号、及び同第5,935,826号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、カプセル材は、熱可塑性物質、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル及びこれらの混合物等のプラスチックから製造されるマイクロスフェアであり、有用な市販のマイクロスフェアとして、EXPANCEL(登録商標)(Stockviksverken,Sweden)、並びにPM6545、PM6550、PM7220、PM7228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q-CEL(登録商標)、及びSPHERICEL(登録商標)(PQ Corp.,Valley Forge,PA)として供給されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
用語「粒状組成物」は、分離している固形の巨視的粒子の集塊を指す。粉末は、粒径が小さいことによる特殊な等級の粒状物質であり、より凝集し、より容易に懸濁されるようになる。
【0137】
洗浄用途における本発明のポリペプチドを含む洗剤組成物の使用に際しては、布地、衣類、食器、又は洗浄しようとする他の表面を、ポリペプチドが、汚れ又は染み中に存在する、ローカストビーンガム、グアーガム、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないマンナン基質を加水分解するのに充分な時間にわたって本発明のポリペプチドを有する洗剤組成物の存在下でインキュベートした後、典型的には、水又は別の水性溶媒で洗い流すことによって、加水分解されたマンナンと一緒に洗剤組成物を除去する。
【0138】
本明細書に記載されるように、本発明のポリペプチドは、洗濯用洗剤及び食器用洗剤が挙げられるが、これらに限定されない、洗浄産業において特に有用である。これらの用途では、酵素を様々な環境ストレス下に置く。本発明のポリペプチドは、様々な条件下における安定性のため、多くの現在使用されている酵素と比較して優れた利点を与えるものである。
【0139】
実際に、多様な洗剤の配合、多様な洗浄水の体積、多様な洗浄水の温度、及び多様な洗浄時間の長さ等の様々な洗浄条件が存在し、洗浄に関与するエンド-β-マンナナーゼはこれらの条件に晒される。加えて、異なる地域で使用される洗剤配合物では、クリーニング水中に、関連する成分が異なる濃度で存在する。例えば、欧州の洗剤は一般的には4500~5000ppmの洗剤成分をクリーニング水中に有するが、日本の洗剤は一般的には667ppmの洗剤成分をクリーニング水に有する。北アメリカ、特に合衆国では、一般的には約975ppmの洗剤成分をクリーニング水中に有する。
【0140】
低濃度洗剤系には、約800ppm未満の洗剤成分がクリーニング水に存在する洗剤が包含される。日本の洗剤は、クリーニング水中におよそ667ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に低濃度洗剤系とみなされる。
【0141】
中濃度洗剤は、洗浄水中に約800ppm~約2000ppmの洗剤構成成分が存在するように洗剤を含む。北アメリカの洗剤は、洗浄水中におよそ975ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に中間濃度の洗剤系であるとみなされる。ブラジルでは、典型的にクリーニング水中におよそ1500ppmの洗剤成分が存在する。
【0142】
高濃度洗剤系には、約2000ppm超の洗剤成分が洗浄水中に存在している洗剤が包含される。欧州の洗剤は、クリーニング水中におよそ4500~5000ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に高濃度洗剤系であるとみなされる。
【0143】
ラテンアメリカの洗剤は、概して高起泡性のリン酸塩ビルダー洗剤であり、クリーニング水中に1500~6000ppmの範囲の洗剤成分が存在していることから、ラテンアメリカで使用されている洗剤の範囲は、中間濃度及び高濃度洗剤の両方に包含される。上記のように、ブラジルでは、クリーニング水中に典型的におよそ1500ppmの洗剤成分が存在する。しかしながら、例えば、他のラテンアメリカの国々に限定されないが、高起泡性のリン酸ビルダー洗剤が使用されている他の地域では、クリーニング水中に、洗剤成分が最大で約6000ppm存在している高濃度洗剤系が使用されている場合がある。
【0144】
前述の内容を考慮すると、世界中の典型的な洗浄液中の洗剤組成物の濃度は、約800ppm未満の洗剤組成物(「低濃度洗剤地域」)、例えば、日本の約667ppmのものから、約800ppm~約2000ppmの洗剤組成物(「中間濃度の洗剤地域」)、例えば、米国の約975ppm及びブラジルの約1500ppmのもの、そして約2000ppm超の洗剤組成物(「高濃度洗剤地域」)、例えば、欧州の約4500ppm~約5000ppmのもの、及び高起泡性リン酸ビルダーの地域では約6000ppmのものまで様々であることが明白である。
【0145】
典型的な洗浄液の濃度は経験的に決定される。例えば、米国では、典型的な洗濯機の洗浄液容量は約64.4Lである。したがって、クリーニング溶液中に約975ppmの洗剤濃度を得るためには、64.4Lのクリーニング液に約62.79gの洗剤組成物を添加しなくてはならない。この量は、消費者が、洗剤に付属された計量カップを用いてクリーニング水に量り入れる典型的な量である。
【0146】
更なる例として、異なる地域では異なるクリーニング温度が使用される。日本で使用されているクリーニング水の温度は、一般的に、欧州で使用される温度よりも低い。例えば、北アメリカ及び日本の洗浄水の温度は、典型的には約10~約30℃(例えば、約20℃)であるが、欧州の洗浄水の温度は、典型的には約30~約60℃(例えば、約40℃)である。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される洗剤組成物は、約10℃~約60℃、又は約20℃~約60℃、又は約30℃~約60℃、又は約40℃~約60℃、並びに約40℃~約55℃の範囲内の全てのその他組み合わせ、並びに10℃~60℃内の全ての範囲の温度において利用できる。しかしながら、エネルギーの節約の観点から、多くの消費者は冷水洗浄の使用に切り替えている。加えて、いくつかの更なる地域では、典型的に洗濯だけでなく食器洗浄用途にも冷水が使用されている。いくつかの実施形態では、本開示の「冷水洗浄」は、約10℃~約40℃、又は約20℃~約30℃、又は約15℃~約25℃、並びに約15℃~約35℃の範囲内の全てのその他組み合わせ、並びに10℃~40℃内の全ての範囲の温度における洗浄を利用する。
【0147】
更なる例として、異なる地域では、典型的に、異なる硬度の水が用いられている。水の硬度は、通常、Ca2+/Mg2+の合計のグレイン/ガロン単位で表される。硬度は、は、水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。米国ではほとんどの水は硬水であるが、硬度の程度は様々である。中硬水(60~120ppm)~硬水(121~181ppm)は、60~181ppm(ppmをグレイン/USガロン単位に変換する場合、ppm数を17.1で除したものがグレイン/ガロンに相当する)の鉱物を含有する。
【0148】
【表2】
【0149】
欧州の水硬度は、典型的には、約0.150(例えば約0.150~約0.285)グラム毎リットル(約10.5(例えば、約10.5~約20.0)グレイン毎ガロン)超となるようCa2+/Mg2+が混在している(例えば、約0.21グラム毎リットル(約15グレイン毎ガロン)のCa2+/Mg2+が混在している)。北アメリカの水硬度は、一般的には日本の水硬度よりも高いものの、欧州の水硬度より低い。例えば、北米の水の硬度は約0.04~約0.14グラム、約0.04~約0.1グラム又は約0.09グラム(約3~約10グレイン、約3~約8グレイン又は約6グレイン)であり得る。日本の水の硬度は一般的に北米の水の硬度よりも低く、Ca2+/Mg2+が、通常、約0.06未満、例えば、約0.04グラム毎リットル(通常、約4未満、例えば、約3グレイン毎ガロン)混在している。
【0150】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1組の洗浄条件(例えば、水温、水の硬度、及び/又は洗剤濃度)において驚くべき洗浄性能を示す本発明のポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドの洗浄性能は、他のエンド-β-マンナナーゼと同程度である。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、市販されている現行のエンド-β-マンナナーゼの洗浄性能を上回る洗浄性能を呈する。すなわち、いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に提供される本発明のポリペプチドは、高い酸化安定性、高い熱安定性、異なる条件下での高い洗浄能力、及び/又は高いキレート剤安定性を示す。加えて、本発明のポリペプチドは、単独でも又はビルダー及び安定化剤との組み合わせとしても、洗剤を含まない洗浄組成物において有用であり得る。
【0151】
本開示のいくつかの実施形態では、洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の本開示の少なくとも1種の本発明のポリペプチドと、洗浄添加物質からなる組成物の残部(例えば、組成物の約99.999重量%~約90.0重量%)と、を含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度の少なくとも1種の本発明のポリペプチドと、洗浄添加物質からなる洗浄組成物の残部(例えば、約99.9999重量%~約90.0重量%、約99.999重量%~約98重量%、約99.995重量%~約99.5重量%)とを含む。
【0152】
本明細書に提供される本発明のポリペプチドに加え、任意のその他好適なエンド-β-マンナナーゼは、単独で、又は本明細書に記載されるポリペプチドと組み合わせて、本明細書に記載される組成物において有用である。好適なエンド-β-マンナナーゼとして、GH26ファミリーのグリコシルヒドロラーゼであるエンド-β-マンナナーゼ、GH5ファミリーのグリコシルヒドロラーゼであるエンド-β-マンナナーゼ、酸性エンド-β-マンナナーゼ、中性エンド-β-マンナナーゼ、及びアルカリ性エンド-β-マンナナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。アルカリ性エンド-β-マンナナーゼの例として、米国特許第6,060,299号、同第6,566,114号、及び同第6,602,842号;国際公開第9535362A1号、同第9964573A1号、同第9964619A1号、及び同第2015022428号に記載されるものが挙げられる。加えて、好適なエンド-β-マンナナーゼとして、動物、植物、真菌、又は細菌起源のものが挙げられるが、これらに限定されない。化学的又は遺伝子的に改変された突然変異体は本開示に含まれる。
【0153】
有用なエンド-β-マンナナーゼの例として、バチルス(Bacillus)エンド-β-マンナナーゼ、例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,060,299号、及び国際公開第9964573A1号参照)、B.種I633エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、バチルス(Bacillus)種AAI12エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、B種AA349エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、B.アガラドハエレンス(B. agaradhaerens)NCIMB40482エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、B.ハロデュランス(B. halodurans)エンド-β-マンナナーゼ、B.クラウシイ(B. clausii)エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、フミコーラ(Humicola)エンド-β-マンナナーゼ、例えば、H.インソレンス(H. insolens)エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)、及びカルディセルロシルプター(Caldocellulosiruptor)エンド-β-マンナナーゼ、例えば、C.種エンド-β-マンナナーゼ(例えば、米国特許第6,566,114号及び国際公開第9964619A1号参照)が挙げられる。
【0154】
更に、多くの同定されたマンナナーゼ(すなわち、エンド-β-マンナナーゼ及びエキソ-β-マンナナーゼ)が本開示のいくつかの実施形態において有用であり、これらには、アガリクス・ビスポラス(Agaricus bisporus)マンナナーゼ(Tang et al.,[2001]Appl.Environ.Microbiol.67:2298~2303参照)、アスペルギルス・タマリイ(Aspergillu tamarii)マンナナーゼ(Civas et al.,[1984]Biochem.J.219:857~863参照)、アスペルギルス・アキュリタス(Aspergillus aculeatus)マンナナーゼ(Christgau et al.,[1994]Biochem.Mol.Biol.Int.33:917~925参照)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)マンナナーゼ(Setatiet al.,[2001]Protein Express Purif.21:105~114参照)、アスペルギルス・フミガーツフ(Aspergillus fumigatus)マンナナーゼ(Puchart et al.,[2004]Biochimica et biophysica Acta.1674:239~250参照)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)マンナナーゼ(Ademark et al.,[1998]J.Biotechnol.63:199~210参照)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)NRRLマンナナーゼ(Regalado et al.,[2000]J.Sci.Food Agric.80:1343~1350参照)、アスペルギルス・サルフレウス(Aspergillus sulphureus)マンナナーゼ(Chen et al.,[2007]J.Biotechnol.128(3):452~461参照)、アスペルギルス・テルス(Aspergillus terrus)マンナナーゼ(Huang et al.,[2007]Wei Sheng Wu Xue Bao.47(2):280~284参照)、パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)種マンナナーゼ(米国特許第6,376,445号参照)、バチルス(Bacillus)AM001マンナナーゼ(Akino et al.,[1989]Arch.Microbiol.152:10~15参照)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)マンナナーゼ(Araujo及びWard,[1990]J.Appl.Bacteriol.68:253~261参照)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)K-1マンナナーゼ(Yoshida et al.,[1998]Biosci.Biotechnol.Biochem.62(3):514~520参照)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)マンナナーゼ(Araujo及びWard,[1990]J.Appl.Bacteriol.68:253~261参照)、バチルス(Bacillus)種JAMB-750マンナナーゼ(Hatada et al.,[2005]Extremophiles.9:497~500参照)、バチルス(Bacillus)種M50マンナナーゼ(Chen et al.,[2000]Wei Sheng Wu Xue Bao.40:62~68参照)、バチルス(Bacillus)種N16-5マンナナーゼ(Yanhe et al.,[2004]Extremophiles8:447~454参照)、バチルス・ステアロサーモフィル(Bacillus stearothermophilu)マンナナーゼ(Talbot及びSygusch,[1990]Appl.Environ.Microbiol.56:3505~3510参照)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)マンナナーゼ(Mendoza et al.,[1994]World J.Microbiol.Biotechnol.10:51~54参照)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)B36マンナナーゼ(Li et al.,[2006]Z.Naturforsch(C).61:840~846)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)BM9602マンナナーゼ(Cui et al.,[1999]Wei Sheng Wu Xue Bao.39(1):60~63参照)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)SA-22マンナナーゼ(Sun et al.,[2003]Sheng Wu Gong Cheng Xue Bao.19(3):327~330参照)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)168マンナナーゼ(Helow及びKhattab,[1996]Acta Microbiol.Immunol.Hung.43:289~299参照)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)マンナナーゼ(Gherardini et al.,[1987]J.Bacteriol.169:2038~2043参照)、バクテロイデス・ルミニコラ(Bacteroides ruminicola)マンナナーゼ(Matsushita et al.,[1991]J.Bacteriol.173:6919~6926参照)、カルディバチルス・セルロボランス(Caldibacillus cellulovorans)マンナナーゼ(Sunna et al.,[2000]Appl.Environ.Microbiol.66:664~670参照)、カルディセルロシルプター・サッカロリティクス(Caldocellulosiruptor saccharolyticus)マンナナーゼ(Morris et al.,[1995]Appl.Environ.Microbiol.61:2262~2269参照)、カルドセラム・サッカロリティカム(Caldocellum saccharolyticum)マンナナーゼ(、Bicho et al.,[1991]Appl.Microbiol.Biotechnol.36:337~343参照)、セルロモナス・フィミ(Cellulomonas fimi)マンナナーゼ(Stoll et al.,[1999]Appl.Environ.Microbiol.65(6):2598~2605参照)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)/ベイジェリンキ(beijerinckii)マンナナーゼ(Nakajima及びMatsuura,[1997]Biosci.Biotechnol.Biochem.61:1739~1742参照)、クロストリジウム・セルロリティカム(Clostridium cellulolyticum)マンナナーゼ(Perret et al.,[2004]Biotechnol.Appl.Biochem.40:255~259参照)、クロストリジウム・テルチウム(Clostridium tertium)マンナナーゼ(Kataoka及びTokiwa,[1998]J.Appl.Microbiol.84:357~367参照)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)マンナナーゼ(Halstead et al.,[1999]Microbiol.145:3101~3108参照)、ディクチオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)マンナナーゼ(Gibbs et al.,[1999]Curr.Microbiol.39(6):351~357参照)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種マンナナーゼ(Zakaria et al.,[1998]Biosci.Biotechnol.Biochem.62:655~660参照)、ガストロポダ・プルモナタ(Gastropoda pulmonata)マンナナーゼ(Charrier及びRouland,[2001]J.Expt.Zool.290:125~135参照)、リットリナ・ブレビクラ(Littorina brevicula)マンナナーゼ(Yamamura et al.,[1996]Biosci.Biotechnol.Biochem.60:674~676参照)、リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)マンナナーゼ(Filichkin et al.,[2000]Plant Physiol.134:1080~1087参照)、パエニバチルス・クルドラノリティクス(Paenibacillus curdlanolyticus)マンナナーゼ(Pason及びRatanakhanokchai,[2006]Appl.Environ.Microbiol.72:2483~2490参照)、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)マンナナーゼ(Han et al.,[2006]Appl.Microbiol Biotechnol.73(3):618~630参照)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)マンナナーゼ(Wymelenberg et al.,[2005]J.Biotechnol.118:17~34参照)、ピロマイセス(Piromyces)種マンナナーゼ(Fanutti et al.,[1995]J.Biol.Chem.270(49):29314~29322参照)、ポマセア・インスラース(Pomacea insulars)マンナナーゼ(Yamamura et al.,[1993]Biosci.Biotechnol.Biochem.7:1316~1319参照)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)亜種セルロースマンナナーゼ(Braithwaite et al.,[1995]Biochem J.305:1005-1010参照)、ロドサーマス・マリヌス(Rhodothermus marinus)マンナナーゼ(、Politz et al.,[2000]Appl.Microbiol.Biotechnol.53(6):715~721参照)、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)マンナナーゼ(Sachslehner et al.,[2000]J.Biotechnol.80:127~134参照)、ストレプトマイセス・ガルバス(Streptomyces galbus)マンナナーゼ(Kansoh及びNagieb,[2004]Anton.van.Leeuwonhoek.85:103~114参照)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)マンナナーゼ(Arcand et al.,[1993]J.Biochem.290:857~863参照)、サーモアナエロバクテリウム・ポリサッカロリティカム(Thermoanaerobacterium Polysaccharolyticum)マンナナーゼ(Cann et al.,[1999]J.Bacteriol.181:1643~1651参照)、サーモモノスポラ・フスカ(Thermomonospora fusca)マンナナーゼ(Hilge et al.,[1998]Structure 6:1433~1444参照)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)マンナナーゼ(Parker et al.,[2001]Biotechnol.Bioeng.75(3):322~333参照)、サーモトガ・ネアポリチタナ(Thermotoga neapolitana)マンナナーゼ(Duffaud et al.,[1997]Appl.Environ.Microbiol.63:169~177参照)、トリコデルマ・ハルザニウム(Trichoderma harzanium)株T4マンナナーゼ(Franco et al.,[2004]Biotechnol Appl.Biochem.40:255~259参照)、トリコデルマ・レーシ(Trichoderma reesei)マンナナーゼ(Stalbrand et al.,[1993]J.Biotechnol.29:229~242参照)、及びビブリオ(Vibrio)種マンナナーゼ(Tamaru et al.,[1997]J.Ferment.Bioeng.83:201~205参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
追加の好適なエンド-β-マンナナーゼとして、市販のエンド-β-マンナナーゼ、例えば、HEMICELL(登録商標)(Chemgen);GAMANASE(登録商標)及びMANNAWAY(登録商標)、(Novozymes A/S、Denmark);PURABRITE(商標)及びMANNASTAR(商標)(Genencor,A Danisco Division(Palo Alto,CA));及びPYROLASE(登録商標)160及びPYROLASE(登録商標)200(Diversa)が挙げられる。
【0156】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の追加のエンド-β-マンナナーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部と、を更に含む。本開示の他の態様では、本開示の洗浄組成物はまた、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のエンド-β-マンナナーゼも含む。
【0157】
本開示のいくつかの実施形態では、任意の適当なプロテアーゼを使用することもできる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、好ましくはアルカリ性の微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼである。様々なプロテアーゼは、国際公開第95/23221号及び同第92/21760号;米国特許出願公開第2008/0090747号;及び米国特許第5,801,039号;同第5,340,735号;同第5,500,364号;同第5,855,625;同第RE34,606号;同第5,955,340号;同第5,700,676号;同第6,312,936号;同第6,482,628号;及び様々なその他特許に記載されている。いくつかの更なる実施形態では、国際公開第07/044993号に述べられる中性メタロプロテアーゼを含むがこれに限定されない、メタロプロテアーゼが本開示において有用である。本発明において有用な市販のプロテアーゼ酵素として、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えばP100、P110、P280)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えばP1000、P1050、P2000)、EXCELLENZ(商標)プロテアーゼ(例えばP1000)、ULTIMASE(登録商標)、及びPURAFAST(商標)(DuPont);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)及びBLAP(商標)変異型(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien(Duesseldorf,Germany))、及びKAP(B.alkalophilus サブチリシン;Kao Corp.(Tokyo,Japan))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
本開示のいくつかの実施形態では、任意の適当なアミラーゼを使用することもできる。いくつかの実施形態では、アルカリ性溶液に使用するのに好適である任意のアミラーゼ(例えば、α及び/又はβ)も有用である。好適なアミラーゼとしては、限定するものではないが、細菌由来のもの又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。本開示において有用なアミラーゼとして、B.リケニフォルミス(licheniformis)から得られるα-アミラーゼが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、英国特許第1,296,839号を参照)。本開示において有用な市販のアミラーゼとして、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)、及びBAN(商標)(Novozymes A/S、Denmark)、並びにPURASTAR(登録商標)、POWERASE(商標)、RAPIDASE(登録商標)、及びMAXAMYL(登録商標)P(Genencor,A Danisco Division(Palo Alto,CA))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本開示のいくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の追加のアミラーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部と、を更に含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のアミラーゼを含む。
【0160】
本開示のいくつかの実施形態では、任意の好適なペクチン分解酵素を使用することができる。本明細書で使用するとき、「ペクチン分解酵素」は、アラビナナーゼ(EC 3.2.1.99)、ガラクタナーゼ(EC 3.2.1.89)、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、エキソ-ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.67)、エキソ-ポリ-α-ガラクツロニダーゼ(EC 3.2.1.82)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)、ペクチンエステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチン酸リアーゼ(EC 4.2.2.2)、エキソ-ポリガラクツロン酸リアーゼ(EC 4.2.2.9)、並びにヘミセルラーゼ、例えばエンド-1,3-β-キシロシダーゼ(EC 3.2.1.32)、キシラン-1,4-β-キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)及びα-L-アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)を包含する。ペクチン分解酵素は、上記酵素活性の天然混合物である。したがって、ペクチン酵素として、ペクチンメチルエステル結合を加水分解するペクチンメチルエステラーゼ、ガラクツロン酸分子間のグリコシド結合を切断するポリガラクツロナーゼ、及び、ペクチン酸に作用してα-1,4グリコシド結合の非加水分解切断をもたらし、ガラクツロン酸の不飽和誘導体を形成するペクチントランスエリミナーゼ又はリアーゼが挙げられる。
【0161】
好適なペクチン分解酵素として、植物、真菌、又は微生物由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。いくつかの実施形態では、ペクチン分解酵素は、アルカリ性ペクチン分解酵素であり、すなわち、約7.0~約12のpHにおいて、最大活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%の酵素活性を有する酵素である。特定の別の実施形態では、ペクチン分解酵素は、約7.0~約12において、最大活性を有する酵素である。アルカリ性ペクチン分解酵素は、好アルカリ性微生物、例えば、バチルス(Bacillus)種等の細菌、真菌、及び酵母微生物によって産生される。いくつかの実施形態では、微生物は、日本特許第56131376号及び同第56068393号に記載されるような、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、及びバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)である。アルカリ性ペクチン分解酵素として、ガラクツロン-1,4-α-ガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.67)、ポリ-ガラクツロナーゼ活性(EC 3.2.1.15)、ペクチンエステラーゼ(EC 3.1.1.11)、ペクチン酸リアーゼ(EC 4.2.2.2)及びこれらのイソ酵素を挙げてよいが、これらに限定されない。アルカリ性ペクチン分解酵素を、エルウィニア(Erwinia)種によって産生することができる。いくつかの実施形態では、アルカリ性ペクチン分解酵素は、E.クリサンテミ(E. chrysanthemi)、E.カロトボラ(E. carotovora)、E.アミロボラ(E. amylovora)、E.ヘルビコラ(E. herbicola)、及びE.ディソルベンス(E. dissolvens)(日本特許第59066588号、同第63042988号、及びWorld J.Microbiol.Microbiotechnol.(8,2,115~120)1992に記載)によって産生される。特定の別の実施形態では、アルカリ性ペクチン酵素は、日本特許第73006557号及びAgr.Biol.Chem.(1972),36(2)285~93に開示されるように、バチルス(Bacillus)種によって産生される。
【0162】
本開示のいくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の追加のペクチン分解酵素と、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部と、を更に含む。本開示の別の態様では、洗浄組成物はまた、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のペクチン分解酵素も含む。
【0163】
いくつかの別の実施形態では、任意の好適なキシログルカナーゼが本開示の洗浄組成物において有用である。好適なキシログルカナーゼとして、植物、真菌、又は細菌由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。本明細書で使用するとき、「キシログルカナーゼ」は、Wageningen UniversityのVincken及びVoragenによって記載される酵素ファミリーを包含し[Vincken et al(1994)Plant Physiol.,104,99~107]、Hayashi et al(1989)Plant.Physiol.Plant Mol.Biol.,40,139~168に記載されるようなキシログルカンを分解することができる。Vinckenらは、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)から精製されたキシログルカナーゼ(エンド-IV-グルカナーゼ)による、単離されたリンゴ細胞壁のセルロースからの、キシログルカンコーティングの除去を証明した。この酵素は、細胞壁内のセルロースの酵素的分解を促進し、ペクチン酵素と相乗的に作用する。Gist-BrocadesのRapidase LIQ+は、キシログルカナーゼ活性を含む。
【0164】
本開示のいくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の追加のキシログルカナーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部と、を更に含む。本開示の別の態様では、洗浄組成物はまた、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のキシログルカナーゼも含む。特定の別の実施形態では、特定の用途向けのキシログルカナーゼは、アルカリ性キシログルカナーゼ、すなわち、7~12の範囲のpHにおいて、その最大活性の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%の酵素活性を有する酵素である。特定の別の実施形態では、キシログルカナーゼは、約7.0~約12において、最大活性を有する酵素である。
【0165】
いくつかの更なる実施形態では、任意の適当なセルラーゼが本開示の洗浄組成物において有用である。好適なセルラーゼとしては、限定するものではないが、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。好適なセルラーゼとして、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(例えば、米国特許第4,435,307号参照)が挙げられるが、これらに限定されない。特に適当なセルラーゼは、カラーケア効果を有するセルラーゼである(例えば、欧州特許第0 495 257号参照)。本開示において有用な市販のセルラーゼとして、ENDOLASE(登録商標)、CELLUCLEAN(登録商標)、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)(Novozymes A/S、Denmark)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の市販のセルラーゼとして、PURADEX(登録商標)(Genencor,A Danisco Division(Palo Alto,CA))及びKAC-500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられる。いくつかの実施形態では、セルラーゼは、N-末端部分が欠失している成熟野生型又は変異体セルラーゼの部分又はフラグメントとして組み込まれる(例えば、米国特許第5,874,276号参照)。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の更なるセルラーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のセルラーゼを含む。
【0166】
なお更なる実施形態では、洗剤組成物中での使用に好適な任意のリパーゼも、本開示において有用である。好適なリパーゼとしては、限定するものではないが、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。有用なリパーゼの例として、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(例えば、欧州特許第258 068号、及び同第305 216号参照)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例えば、欧州特許第238 023号参照)、カンジダ(Candida)リパーゼ、例えば、C.アンタルチカ(C. antarctica)リパーゼ(例えば、C.アンタルチカ(C. antarctica)リパーゼA又はB;例えば、欧州特許第214 761号参照)、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)リパーゼ及びP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)リパーゼ(例えば、欧州特許第218 272号参照)、P.セパシア(P. cepacia)リパーゼ(例えば、欧州特許第331 376号参照)、P.スタットゼリ(P. stutzeri)リパーゼ(例えば、英国特許第1,372,034号参照)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)リパーゼ、バチルス(Bacillus)リパーゼ(例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)リパーゼ[Dartois et al.,(1993)Biochem.Biophys.Acta 1131:253~260];B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)リパーゼ[例えば、特表昭第64/744992号参照];及びP.プミルス(B. pumilus)リパーゼ[例えば、国際公開第91/16422号参照])が挙げられる。更に、ペニシリウム・カメンベルティー(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al.,[1991]Gene 103:61~67参照)、ジオトリカム・カンディダム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al.,[1989]J.Biochem.106:383~388参照)、及び様々なリゾプス(Rhizopus)リパーゼ、例えば、R.デレマー(R. delemar)リパーゼ(Hass et al.,[1991]Gene 109:117~113参照)、R.ニベウス(R. niveus)リパーゼ(Kugimiya et al.,[1992]Biosci.Biotech.Biochem.56:716~719)、及びR.オリザエ(R. oryzae)リパーゼが挙げられるが、これらに限定されない、多くのクリーニングされたリパーゼが、本開示のいくつかの実施形態において有用である。シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(国際公開第88/09367号参照)、及び、フザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(国際公開第90/09446号参照)が挙げられるが、これらに限定されない、クチナーゼ等の別の種類の脂肪分解酵素も、本開示のいくつかの実施形態において有用である。追加の好適なリパーゼとして、M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(Genencor,A Danisco Division(Palo Alto,CA));LIPEX(登録商標)、LIPOCLEAN(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes A/S、Denmark);及びLIPASE P(商標)「Amano」(Amano Pharmaceutical Co.Ltd.,Japan)等の市販のリパーゼが挙げられる。
【0167】
いくつかの実施形態では、開示される洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の追加のリパーゼと、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の別の態様では、洗浄組成物はまた、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度のリパーゼも含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物中に、ペルオキシダーゼが、過酸化水素又はその供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、又は過硫酸塩)と組み合わせて使用される。いくつかの代替的な実施形態では、オキシダーゼは酸素と組み合わせて使用される。いずれのタイプの酵素も「溶液を漂白する」(すなわち、布地を一緒にクリーニング液でクリーニングする場合に、繊維製品の染料が、その染料で染色されている布から他の布へと色移りするのを予防する)ために、好ましくは増感剤と共に使用される(例えば、国際公開第94/12621号及び同第95/01426号を参照されたい)。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、限定するものではないが、植物、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の濃度の更なるペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素と、洗浄添加物質からなる組成物の重量の残部とを含む。本開示の他の態様では、洗浄組成物は更に、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%、約0.005重量%~約0.5重量%の濃度の更なるペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼ酵素を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、ペルヒドロラーゼを含むがこれに限定されない、更なる酵素が有用である(例えば、国際公開第05/056782号を参照)。更に、いくつかの特に好ましい実施形態では、上記に述べた酵素、特に、1種又は2種以上の更なるプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、及び/又は少なくとも1種のセルラーゼの混合物が本明細書に含まれる。実際、これらの酵素の様々な混合物が本開示において有用であると考えられる。本発明のポリペプチド及び1種又は2種以上の追加の酵素の濃度は、いずれも独立して約10%までの範囲で変化し、洗浄組成物の残部は洗浄添加物質からなることも想到される。具体的な洗浄添加物質の選別は、洗浄される表面、物品、又は布地、並びに使用時(例えば、洗剤を用いた洗浄中)の洗浄条件に所望される組成物の形態を考慮することで容易になされる。
【0170】
適当な洗浄添加物質の例としては、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、他の酵素、酵素安定化システム、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、移染剤、移染防止剤、触媒物質、過酸化水素、過酸化水素の供給源、予め生成された過酸(preformed peracis)、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去剤、構造弾性化剤、分散剤、泡抑制剤、染料、香料、着色剤、充填剤塩、ヒドロトロープ、光活性剤、蛍光剤、柔軟仕上げ剤、柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、顔料、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、収縮防止剤、シワ防止剤、殺菌剤、防カビ剤、カラースペックル(color speckles)、シルバーケア(silvercare)、変色防止及び/又は腐蝕防止剤、アルカリ性付与剤、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調整剤が挙げられる(例えば、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号、及び同第5,646,101号を参照)。具体的な洗浄組成物材料の実施形態を以下に詳細に例示する。洗浄組成物中で、洗浄添加物質が本発明の開示されるポリペプチドと適合するものでない実施形態では、これら2種の構成成分を組み合わせることが適切になるまでの間、洗浄添加物質及びエンド-β-マンナナーゼを別々に保管する(すなわち、互いに接触させない)好適な方法が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離等)。
【0171】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書において提供される1種又は2種以上の本発明のポリペプチドの有効量が、染みを除去する必要のある様々な表面を洗浄するうえで有用な組成物中に含まれる。このような洗浄組成物としては、硬質表面、布地、及び皿のクリーニング等の用途向けの洗浄組成物が挙げられる。実際、いくつかの実施形態では、本開示は衣類洗浄用組成物を提供するものであるが、他の実施形態では、本開示は衣類以外の洗浄用組成物を提供する。特に、本開示は、口腔ケア(歯磨き剤、歯磨き粉、マウスウォッシュ等、並びに入れ歯洗浄用組成物)を含むパーソナルケアに適した洗浄組成物、皮膚及び毛髪洗浄用組成物を更に提供する。加えて、更に別の実施形態では、本開示は布地柔軟化組成物を提供する。本開示は、任意の形態(すなわち、液体、粒状、バー状、固形、半固形、ゲル、ペースト、乳濁液、錠剤、カプセル、一回用量型、シート、フォーム等)の洗剤組成物を包含することを意図する。
【0172】
例として、本発明の開示されるポリペプチドが有用ないくつかの洗浄組成物を以下に詳細に記載する。開示される洗浄組成物が、洗濯機による洗浄方法における使用に適した組成物として配合されるいくつかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種のビルダー化合物、並びに、有機ポリマー化合物、漂白剤、更なる酵素、泡抑制剤、分散剤、石灰石鹸分散剤、汚れ懸濁及び再付着防止剤、及び腐蝕防止剤から好ましくは選択される1種又は2種以上の洗浄添加物質を含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、洗濯用組成物は柔軟剤も含有する(すなわち、追加の洗浄添加物質として)。本開示の組成物は、固体又は液体の形態の洗剤添加用製品においても有用である。このような添加剤は、従来の洗剤組成物の性能を補う及び/又は強化することが意図されるものであり、クリーニングプロセスの任意の段階で添加できる。一部の実施形態では、20℃で測定した場合、本発明の洗濯洗剤組成物の密度は約400~約1200g/リットルの範囲であり、一方で他の実施形態では約500~約950g/リットルの範囲である。
【0173】
手による食器洗いの方法において使用するための組成物として配合された実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤、並びに、好ましくは、有機ポリマー化合物、起泡促進剤、II族の金属イオン、溶媒、ヒドロトロープ、及び更なる酵素から選択される少なくとも1種の更なる洗浄添加物質を含むことが好ましい。
【0174】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,605,458号に提供されるような様々な洗浄組成物は、本発明のポリペプチドと共に使用される。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、コンパクトな粒状布地洗浄組成物である一方、別の実施形態では、組成物は、着色された布地を洗濯するのに有用な粒状布地洗浄組成物であり、更なる実施形態では、組成物は、洗浄能を通して柔軟効果を提供する粒状布地洗浄組成物であり、追加の実施形態では、組成物は、強力液体布地洗浄組成物である。いくつかの実施形態では、本開示の少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に述べられるような布地洗浄組成物である。加えて、本発明のポリペプチドは、欧州又は日本の洗浄条件(例えば、米国特許第6,610,642号参照)下で特に有用である粒状洗濯用洗剤組成物への使用が見いだされる。
【0175】
いくつかの代替的実施形態では、本開示は、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む、硬質面用洗浄組成物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号、同第6,376,450号、及び同第6,376,450号に記載されるもの等の硬質面用洗浄組成物である。
【0176】
なお更なる実施形態では、本開示は、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む、食器用洗浄組成物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に記載されるもの等の硬質面用洗浄組成物である。いくつかのなお更なる実施形態では、本開示は、本明細書に提供される少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む、食器用洗浄組成物を提供する。いくつかの更なる実施形態では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,376,450号及び同第6,605,458号のもの等の口腔ケア組成物を含む。上記米国特許第6,376,450号、同第6,605,458号、及び同第6,610,642号に含まれる化合物及び洗浄添加物質の処方及び説明が、本発明のポリペプチドと共に使用される。
【0177】
なお更なる実施形態では、少なくとも1種の本発明のポリペプチドを含む組成物は、英国特許第A1 400898号、同第A1 514 276号、欧州特許第0 011 340号、同第0 026 528号、同第0 242 919号、同第0 299 575号、同第0 313 146号、及び米国特許第5,019,292号のもの等の布地柔軟化組成物を含む。上記英国特許第A1 400898号、同第A1 514 276号、欧州特許第0 011 340号、同第0 026 528号、同第0 242 919号、同第0 299 575号、同第0 313 146号、及び米国特許第5,019,292号に含まれる化合物及び柔軟化剤の処方及び説明が、本発明のポリペプチドと共に使用される。
【0178】
本開示の洗浄組成物は、任意の適当な形態に配合され、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製されるものであり、その非限定的な例が、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392、及び同第5,486,303号に述べられている。低pHの洗浄組成物が所望される場合、かかる組成物のpHは、モノエタノールアミン又は酸性材料(例えば、HCl)等の追加の材料により調整される。
【0179】
いくつかの実施形態では、本発明の洗浄組成物は、錠剤、カプセル、分包剤、パウチ、シート、及び多区画パウチ等の一回用量形状で提供される。いくつかの実施形態では、一回用量形状は、多区画パウチ(又は他の一回用量形状)内の成分を制御放出するよう設計される。好適な一回用量型及び制御放出形式は、当該技術分野において既知である(例えば、欧州特許第2 100 949号、国際公開第02/102955号、米国特許第4,765,916号及び同4,972,017号、並びに、一回用量型及び制御放出形式に使用するための好適な材料については国際公開第04/111178号を参照)。いくつかの実施形態では、一回用量形状は、水溶性フィルムで包装された錠剤又は水溶性パウチとして提供される。様々な一回用量形状が、欧州特許第2 100 947号及び国際公開第2013/165725号(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されており、当該技術分野において既知である。
【0180】
本開示の目的において不可欠ではないが、以下に示す添加物質の非限定的な一覧は、本発明の洗浄組成物における使用に適したものである。いくつかの実施形態では、これらの助剤は、例えば、クリーニング性能を補助又は強化させるために、クリーニングされる基材を処理するために、あるいは香料、着色剤、又は染料等の場合には洗浄組成物の美観を改善するために組み込まれる。こうした助剤は、本発明のポリペプチドに追加されるものであることは理解される。このような追加成分の正確な性質及びその添加レベルは、組成物の物理的形態、及び組成物が使用されるクリーニング操作の性質によって決まる。好適な助剤としては、限定するものではないが、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、付着助剤、分散剤、追加の酵素、及び酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、漂白増進剤、過酸化水素、過酸化水素供給源、予形成された過酸、高分子分散剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は色素が挙げられる。以下の開示に加え、このような他の助剤の好適な例及び使用レベルは、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号、及び同第6,326,348号に記載されており、これら公報は参照により組み込まれる。上記の補助成分は、本開示の洗浄組成物の残部を構成してよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示に従う洗浄組成物は、少なくとも1種の界面活性剤及び/又は界面活性剤系を含み、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。いくつかの低pH洗浄組成物の実施形態(例えば、未希釈時pHが約3~約5の組成物の場合)では、界面活性剤がこのような組成物の酸性成分により加水分解される恐れがあると考えられることから、典型的には当該組成物はエトキシル化アルキル硫酸塩を含まない。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗浄組成物の重量に基づいて、約0.1重量%~約60重量%のレベルで存在する一方、代替的な実施形態では約1重量%~約50重量%のレベルで、あるいは更に他の実施形態では約5重量%~約40重量%のレベルで存在する。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は少なくとも1種のキレート剤を含む。好適なキレート剤としては、これらに限定されるものではないが、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種のキレート剤が用いられる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、本発明の洗浄組成物の約0.1重量%~約15重量%、又は更には約3.0重量%~約10重量%のキレート剤を含む。
【0183】
いくつかの更なる実施形態では、本明細書で提供される洗浄組成物は、少なくとも1種の付着助剤を含有する。好適な付着助剤としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボン酸塩、ポリテレフタル酸等の汚れ剥離ポリマー、カオリナイト等のクレイ、モンモリロナイト、アタパルジャイト(atapulgite)、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0184】
本明細書において示されるように、いくつかの実施形態では、再付着防止剤が本開示のいくつかの実施形態において有用である。いくつかの好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤が有用である。例えば、自動食器クリーニング機の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、表面改質の目的で、特にシーチングのために、フィルミングとスポッティングを防止するため、及び光沢を改善するために有用である。これらの非イオンの界面活性剤は、また、汚れの再付着の防止にも有用である。いくつかの好ましい実施形態では、再付着防止剤は、当該技術分野では周知の非イオン性界面活性剤である(例えばば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、1種又は2種以上の移染防止剤を含む。好適なポリマー移染防止剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種の移染防止剤が用いられる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、洗浄組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%、又は更には約0.1重量%~約3重量%を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物にはケイ酸塩が含まれる。このようないくつかの実施形態では、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶質フィロケイ酸塩)は有用である。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は約1%~約20%のレベルで存在する。いくつかの好ましい実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約5重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0187】
いくつかの更なる実施形態では、本開示の洗浄組成物は更に分散剤を含む。好適な水溶性有機材料には、ホモポリマー型若しくはコポリマー型の酸又はそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されず、このうち、ポリカルボン酸は、炭素原子2個以内の程度で互いに離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
【0188】
いくつかの更なる実施形態では、洗浄組成物に使用される酵素は任意の好適な技術により安定化されている。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される酵素は、最終組成物中にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源を存在させて、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給することで安定化する。一部の実施形態では、酵素安定化剤としては、オリゴ糖類、多糖類、及び二価の無機金属塩、例えばアルカリ土類金属塩(カルシウム塩等)が挙げられる。酵素安定化のための様々な技術が本開示において有用であるものと考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で使用される酵素は、最終組成物中に、亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンの水溶性供給源、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV)イオン)の水溶性供給源を存在させて当該イオンを酵素に供給することで安定化される。塩酸塩及び硫酸塩も本開示のいくつかの実施形態において有用である。好適なオリゴサッカライド及びポリサッカライド(例えば、デキストリン)の例は、当該技術分野において既知である(例えば、国際公開第07/145964号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、例えば、ホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸塩、4-ホルミルフェニルボロン酸)及び/又はトリペプチドアルデヒド等の可逆的プロテアーゼ阻害剤もまた、所望により更に安定性を改善させるために有用である。
【0189】
いくつかの実施形態では、漂白剤、漂白活性化剤、及び/又は漂白触媒が、本開示の組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は無機及び/又は有機漂白化合物を含む。無機漂白剤としては、これらに限定されるものではないが、過水和物塩(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩)が挙げられる。いくつかの実施形態では、無機ペルハイドレート塩はアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、無機ペルハイドレート塩が、更なる保護はされずに結晶質の固体として含まれるが、他のいくつかの実施形態では、この塩はコーティングされる。当該技術分野において既知の任意の好適な塩が、本開示において有用である(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0190】
いくつかの実施形態では、漂白活性化剤が本開示の組成物中に使用される。漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度にてクリーニング過程で漂白作用を増強させる有機過酸前駆体である。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下で、好ましくは約1~約10個の炭素原子、特に約2~約4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸及び/又は選択的に置換された過安息香酸を生じる化合物が挙げられる。更なる漂白活性化剤は当該技術分野において既知のものであり、本開示において有用である(例えば、欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0191】
更に、いくつかの実施形態では、また、本明細書において更に述べるように、本開示の洗浄組成物は少なくとも1種類の漂白触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、並びにコバルト錯体、銅錯体、マンガン錯体、及び鉄錯体も有用である。追加の漂白触媒も本開示において有用である(例えば、米国特許第4,246,612号、同第5,227,084号、同第4,810,410号、国際公開第99/06521号、及び欧州特許出願公開第2 100 949号を参照)。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は1以上の触媒金属錯体を含む。いくつかの実施形態では、金属系漂白触媒は有用である。いくつかの好ましい実施形態では、金属系漂白触媒には、所定の漂白触媒活性を有する遷移金属カチオン(例えば銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンカチオン)、漂白触媒活性をわずかしか有さない又は全く有さない補助金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムカチオン)、及び触媒型及び補助金属カチオンに関して所定の安定性定数を有する金属イオン封鎖剤、具体的には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系が含まれる(例えば、米国特許第4,430,243号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物はマンガン化合物によって触媒される。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野において既知である(例えば、米国特許第5,576,282号を参照されたい)。更なる実施形態では、コバルト漂白触媒が本開示の洗浄組成物において有用である。様々なコバルト漂白触媒が当該技術分野において既知であり(例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号を参照されたい)、既知の手順により容易に調製される。
【0193】
いくつかの更なる実施形態では、本開示の洗浄組成物は、巨大多環式剛性配位子(macropolycyclic rigid ligand)(MRL)の遷移金属錯体を含む。実用上の問題として、限定するものではないが、いくつかの実施形態において、本開示により提供される組成物及び洗浄プロセスは、水性洗浄媒質中に少なくとも約1億分の1のオーダーの活性MRL種を与えるように調整され、いくつかの好ましい実施形態では、約0.005ppm~約25ppm、より好ましくは約0.05ppm~約10ppm、最も好ましくは約0.1ppm~約5ppmのMRLを洗浄液中に与えるように調整される。
【0194】
いくつかの実施形態では、本発明の遷移金属漂白触媒中の好ましい遷移金属としては、これらに限定されるものではないが、マンガン、鉄及びクロムが挙げられる。好ましいMRLとしては、これらに限定されるものではないが、架橋された特殊な超剛性配位子が挙げられる(例えば、5,12-ジエチル-1,5,8,12-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン)。好適な遷移金属MRLは、既知の手順により容易に調製される(例えば、国際公開第2000/32601号及び米国特許第6,225,464号を参照されたい)。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は金属ケア剤を含む。金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、及び非鉄金(例えば、銀及び銅)を包含する金属の、変色、腐食、及び/又は酸化の予防及び/又は軽減に有用である。好適な金属ケア剤としては、欧州特許出願公開第2 100 949号、国際公開第94/26860号及び同第94/26859号に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、金属ケア剤は亜鉛塩である。更なるいくつかの実施形態では、本開示の洗浄組成物は、約0.1重量%~約5重量%の1以上の金属ケア剤を含む。
【0196】
上記に述べたように、本開示の洗浄組成物は、任意の適当な形態に配合され、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製されるものであり、その非限定的な例が、いずれも本明細書に援用するところの米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,516,448号、同第5,489,392、及び同第5,486,303号に述べられている。低pHの洗浄組成物が所望される他のいくつかの実施形態では、このような組成物のpHは、HCl等の酸性材料を添加することで調整される。
【0197】
本明細書において開示される洗浄組成物は、所定の場所(例えば、表面、食器、又は布地)を洗浄するうえで有用である。典型的には、このような部位の少なくとも一部を、原液又は洗浄液で希釈した本発明の洗浄組成物と接触させ、そしてその後、場合により、その部位を洗浄及び/又はすすぎ洗いする。本開示の目的において、「洗浄」には、これらに限定されるものではないが、こすり洗い、及び機械的な攪拌が含まれる。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、典型的には溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水温は、典型的には、約5℃~約90℃の範囲であり、部位が布地を含む場合、水と布地との質量比は、典型的には、約1:1~約30:1である。
【0198】
化学試薬としての本発明のポリペプチド
マンノース単位(マンナン、ガラクトマンナン、及びグルコマンナンが挙げられるが、これらに限定されない)を含有するポリサッカライド鎖の加水分解に、本発明のポリペプチドが好ましいことが、本発明のポリペプチドを、1,4-β-D-マンノシド結合を含むポリサッカライド基質が関与する、マンナンの加水分解反応を行うのに特に有用にする。
【0199】
大まかに言えば、ドナー分子を、本明細書に記載される単離ポリペプチド若しくはポリペプチド、若しくはフラグメント、又はその変異型の存在下、マンナン加水分解反応を行うのに好適な条件下でインキュベートした後、必要に応じて反応から生成物を単離する。あるいは、食品に関連したものである場合、生成物は単離されずに食品の成分となり得る。特定の実施形態では、ドナー分子は、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、及びガラクトグルコマンナンが挙げられるが、これらに限定されない、マンノース単位を含むポリサッカライド鎖である。
【0200】
食品加工及び/又は動物飼料用の本発明のポリペプチド
一実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドを含む組成物を用いて、動物飼料又はヒト用食品を加工、及び/又は製造する。なお更なる実施形態では、本発明のポリペプチドは、非ヒト動物用飼料の添加剤であってよい。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、ヒト用食品の添加剤として等、ヒト用食品において有用であってよい。
【0201】
いくつかの栄養素は、動物飼料及びヒト用食品の調製に使用できる安価な植物材料の量を限定する場合がある。例えば、マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びガラクトグルコマンナン等のオリゴマンナンを含有する植物材料は、動物において、無機質、ビタミン、糖、及び脂肪等の栄養物質の消化及び吸収能を低下させる場合がある。これらの負の効果は、マンナン含有ポリマーの高い粘度と、マンナン含有ポリマーによる栄養物質の吸収能に特に起因する。これらの効果は、本明細書に記載されるエンド-β-マンナナーゼ酵素等のマンナン含有ポリマーを分解する酵素を食品中に含め、それによって、典型的には、食品中に含まれる安価な植物材料中にある、高い割合のマンナン含有ポリマーを利用できるようにすることによって低下させることができ、究極的には食品のコストを低減する。加えて、本明細書に記載されるポリペプチドは、マンナン含有ポリマーをより単純な糖に分解でき、追加のエネルギーをもたらすために容易に吸収できる。
【0202】
更なる実施形態では、植物材料を含有する動物飼料を、本明細書に記載されるポリペプチド及び/若しくは単離ポリペプチド、若しくはフラグメント、又はその変異型の存在下、マンナン含有ポリマーの分解に好適な条件下でインキュベートする。
【0203】
別の実施形態では、製パン改良組成物は、本明細書に記載されるポリペプチドを、所望によりマンナン又はグルコマンナン又はガラクトマンナン源と組み合わせて、及び、更に所望により1種又は2種以上の別の酵素と組み合わせて含む。
【0204】
用語、非ヒト動物は、全ての非反芻動物及び反芻動物を含む。特定の実施形態では、非反芻動物は、ウマ、並びに、これらに限定されないが、ブタ、家禽、家畜ブタ及び魚類等の単胃動物からなる群から選択されるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、ブタは、これらに限定されないが、子ブタ、育成ブタ、及び雌ブタであってよく、家禽は、これらに限定されないが、七面鳥、アヒル及びニワトリ(ブロイラー及び産卵鶏を非限定的に含む)であってよく、魚類は、サケ、マス、ティラピア、ナマズ、及びコイを非限定的に含み、甲殻類は、小エビ及びエビを非限定的に含む。更なる実施形態では、反芻動物は、畜牛、幼若牛、ヤギ、羊、キリン、バイソン、ヘラジカ、エルク、ヤク、水牛、シカ、ラクダ、アルパカ、リャマ、レイヨウ、エダツノレイヨウ、及びニルガイからなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドを用いて、飼料添加物の代わりに飼料を前処理する。いくつかの好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドを加え、又は用いて、離乳ブタ、新生ブタ、子ブタ、肥育ブタ、育成ブタ、仕上げブタ、産卵鶏、ブロイラー、及び七面鳥用の飼料の前処理をする。
【0206】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドを加え、又は用いて、パーム核、ココナツ、コンニャク、ローカストビーンガム、ガムグアー、大豆、大麦、オーツ麦、亜麻、コムギ、トウモロコシ、亜麻仁、シトラスパルプ、綿実、落花生、菜種、ヒマワリ、エンドウ、及びハウチワマメ等の植物材料由来の飼料の前処理をする。
【0207】
本発明によるポリペプチドは、熱安定的であり、その結果、本明細書に開示されるポリペプチドを、ペレット化工程に先立って飼料混合物に熱を加える、ペレット飼料の製造プロセスで使用できる。別の実施形態では、ペレット化工程前、又はペレット化工程後(すなわち、既に形成された飼料ペレット)のいずれかにおいて、本発明のポリペプチドを他の飼料成分に加える。
【0208】
なお別の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドを含有する食品加工又は飼料用サプリメント組成物は、所望により、着色剤、香料化合物、安定化剤、ビタミン、無機質、及び他の飼料又は食品強化酵素から選択される、他の置換物質を更に含んでよい。これは、特にいわゆるプレミックスに適用される。
【0209】
また更なる実施形態では、本発明による食品添加物を、適当な量の、例えば、穀物又は植物タンパク質等の別の食品構成要素と組み合わせ、加工食品を形成してよい。
【0210】
一実施形態では、動物飼料組成物及び/又は動物飼料添加剤組成物及び/又はペットフードは、本明細書に記載されるポリペプチドを含む。
【0211】
別の実施形態は、本明細書に記載されるポリペプチドを、1種又は2種以上の動物飼料成分及び/又は動物飼料添加剤成分及び/又はペットフード成分と混合することを含む、動物飼料組成物及び/又は動物飼料添加剤組成物及び/又はペットフードを調製する方法に関する。
【0212】
更なる実施形態は、動物飼料組成物及び/又は動物飼料添加剤組成物及び/又はペットフードを調製するための、本明細書に記載されるポリペプチドの使用に関する。語句「ペットフード」は、イヌ、ネコ、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、高級ラット、モルモット、飼育用鳥類(カナリア、インコ、及びオウム等)、飼育用爬虫類(亀、とかげ、及びヘビ等)、並びに飼育用水生生物(熱帯魚、及び蛙等)であるがこれらに限定されない家庭内飼育用動物のための飼料を意味する。
【0213】
用語、動物飼料組成物、飼料原料、及び飼葉は、互換的に使用され、かつa)シリアル類、例えば、小粒(例えば、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、及びこれらの組み合わせ)及び/又はトウモロコシ若しくはソルガム等の大粒;b)シリアル、例えば、トウモロコシグルテンミール、醸造乾燥粒可溶化物(DDGS)(特にコーンベースの醸造乾燥粒可溶化物(cDDGS)、小麦ふすま、ホイートミドリングス、小麦ショート、米ふすま、もみ殻、オーツ殻、パーム核、及びシトラスパルプからの生成物;c)大豆、ヒマワリ、落花生、ハウチワマメ、エンドウ、そら豆、綿、キャノーラ、魚肉、乾燥結晶タンパク質、肉骨粉、じゃがいもタンパク質、乳清、コプラ、及び胡麻等の資源から得られたタンパク質;d)植物及び動物資源から得られる油脂;並びに、e)ミネラル及びビタミンからなる群から選択される1種以上の試料成分を含ませることができる。
【0214】
一態様では、食品組成物又は添加剤は、液体又は固体であってよい。
【0215】
ビール等の発酵飲料用の本発明のポリペプチド
本発明のある態様では、食品組成物は、本明細書に記載されるポリペプチドを含む、これらに限定されないが、ビール及びワイン等の発酵飲料等の飲料である。
【0216】
本発明の文脈において、用語「発酵飲料」は、微生物発酵、例えば、細菌及び/又は酵母発酵等の発酵プロセスを含む方法により生産される、任意の飲料を含むことを意味する。
【0217】
本発明の態様において、発酵飲料はビールである。用語「ビール」は、デンプンを含有する植物材料の発酵/醸造により生産される任意の発酵麦汁を含むことを意味する。多くの場合、ビールは、麦芽若しくは副原料、又は麦芽及びデンプンを含有する植物材料としての副原料の任意の組み合わせから産生される。本明細書で使用するとき、用語「麦芽」は、任意の麦芽入り穀物、麦芽入り大麦又は小麦であると理解される。
【0218】
本明細書で使用するとき、用語「副原料」は、大麦麦芽又は小麦麦芽等の麦芽ではない、任意のデンプン及び/又は糖含有植物材料を指す。副原料の例として、例えば、一般的なコーングリッツ、精製コーングリッツ、醸造者により粉砕された酵母、米、ソルガム、精製コーンデンプン、大麦、大麦デンプン、脱穀された大麦、小麦、小麦デンプン、炒って加熱処理された穀草、穀草フレーク、ライ麦、オーツ麦、ジャガイモ、タピオカ、及びシロップ、例えばトウモロコシシロップ、サトウキビシロップ、反転型糖シロップ、大麦及び/又は小麦シロップが挙げられ、同様のものをデンプン源として使用できる。
【0219】
本明細書で使用するとき、用語「マッシュ」は、任意のデンプン及び/又は糖含有植物材料、例えば、製粉用穀物(例えば、破砕大麦麦芽、破砕大麦、及び/若しくはその他の副原料、又はこれらの組み合わせを含む)等の水性スラリーを指し、このスラリーは、水と混合した後に、麦汁及び粕に分離される。
【0220】
本明細書で使用するとき、用語「麦汁」は、マッシュ中の製粉用穀物の抽出後に放出される未発酵の液体を指す。
【0221】
別の態様では、本発明は、本発明の任意のポリペプチドを麦芽及び/又は副原料と混合することを含む、ビール等の発酵飲料の製造方法に関する。
【0222】
ビールの例には、フルモルトビール、「ビール純粋令」に従って醸造されたビール、エール、IPA、ラガー、ビター、発泡酒(第2のビール)、第3のビール、ドライビール、ニアビール、ライトビール、低アルコールビール、低カロリービール、ポーター、ボックビール、スタウト、麦芽酒、ノンアルコールビール、ノンアルコール麦芽酒、及び同様物、並びに、別の穀物及び麦芽飲料、例えば、果実風味の麦芽飲料(例えばレモン、オレンジ、ライム、又はベリー風味といったシトラス風味の麦芽飲料)、酒風味の麦芽飲料(例えば、ウォッカ、ラム、又はテキーラ風味の麦芽酒)、あるいはコーヒー風味の麦芽飲料(カフェイン風味の麦芽酒)、及び同様物が含まれる。
【0223】
本発明の一態様は、ビール等の発酵飲料の製造における、本発明の任意のポリペプチドの使用に関する。
【0224】
別の態様は、マッシュ及び/又は麦汁を、本発明の任意のポリペプチドと接触させる工程と含む、発酵飲料を提供する方法に関与する。
【0225】
更なる態様は、(a)マッシュを調製する工程と、(b)マッシュを濾過して麦汁を得る工程と、(c)麦汁を発酵させてビール等の発酵飲料を得る工程と、を含み、本発明の任意のポリペプチドを、(i)工程(a)のマッシュ、及び/又は(ii)工程(b)の麦汁、及び/又は(iii)工程(c)の麦汁に加える、発酵飲料を提供する方法に関する。
【0226】
更に別の態様によると、(1)マッシュ及び/又は麦汁を本発明の任意のポリペプチドと接触させる工程、及び/又は(2)(a)マッシュを調製する工程と、(b)マッシュを濾過して麦汁を得る工程と、(c)麦汁を発酵させてビール等の発酵飲料を得る工程と、を含み、本発明の任意のポリペプチドを、(i)工程(a)のマッシュ、及び/又は(ii)工程(b)の麦汁、及び/又は(iii)工程(c)の麦汁に加える、工程を含む方法により、ビール等の発酵飲料が製造され、又は提供される。
【0227】
コーヒー抽出物の処理用の本発明のポリペプチド
本明細書に記載される本発明のポリペプチドを、液体コーヒー抽出物中に存在するガラクトマンナンの加水分解のためにも使用できる。一態様では、本発明のポリペプチドを用いて、液体コーヒー抽出物の凍結乾燥中のゲル形成を抑制する。抽出物の粘度を下げると、乾燥中のエネルギー消費が低下する。特定の別の態様では、本発明のポリペプチドは、酵素消費を抑え、コーヒー抽出物の汚染を防ぐために、固定化形態で適用される。この用途は、欧州特許第676 145号に更に開示されている。
【0228】
一般的には、本発明のポリペプチド及び/若しくは単離ポリペプチド若しくはフラグメント、又はその変異型の存在下、液体コーヒー抽出物中に存在するガラクトマンナンの加水分解に好適な条件下で、コーヒー抽出物をインキュベートする。
【0229】
焼成食品用の本発明のポリペプチド
別の態様では、本発明は、本発明の任意のポリペプチドをドウに加え、続いてそのドウを焼成することを含む、焼成製品の調製方法に関する。焼成製品の例は、当業者に周知であり、パン、ロール、パフペストリー、甘味付き発酵ドウ、バンズ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ビスケット、ワッフル、ウエハース、トルティーヤ、朝食用シリアル、絞り出し製品等が挙げられる。
【0230】
任意の本発明のポリペプチドを、製パン改良組成物の一部としてドウに加えてよい。製パン改良剤は、ドウの特性、並びに焼成製品、例えばパン及びケーキの品質を改善する、様々な成分を含有する組成物である。多くの場合、有益な効果、例えばドウの安定性、並びにパンのテクスチャー及びかさのため、製パン改良剤を工業的焼成プロセスに加える。製パン改良剤は、通常、油脂、並びに、乳化剤、酵素、抗酸化剤、酸化剤、安定化剤、及び還元剤等の添加剤を含有する。本発明の任意のポリペプチドに加え、パン改良剤中にも存在してよい、又はそうでない場合は、本発明の任意のポリペプチドと共に使用してよいその他酵素として、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、デンプン分解複合体、リパーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、プルラナーゼ、非デンプンポリサッカライド分解酵素、及び、グルコースオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ又はアスコルビン酸オキシダーゼ等の酸化還元酵素が挙げられる。
【0231】
本発明の好ましい焼成用態様では、コンニャクガム、グアーガム、ローカストビーンガム(イナゴマメ)、コプラミール、アイボリーナットマンナン(ゾウゲヤシ)、海草マンナン抽出物、ココナツミール、及び醸造用酵母の細胞壁(乾燥、又は醸造用酵母抽出物の形態で使用されてよい)等の、グルコマンナン及び/又はガラクトマンナン源も含む、製パン改良組成物の一部として、本発明の任意のポリペプチドをドウに加えてよい。本発明での使用に許容されるその他のマンナン誘導体として、非分枝状のβ-1,4結合したマンナンホモポリマー及びマンノ-オリゴサッカライド(マンノビオース、マンノトリオース、マンノテトラオース、及びマンノペントエース)が挙げられる。任意の本発明のポリペプチドは更に、ドウの耐性、ドウの柔軟性及び/若しくはドウの粘着性、並びに/又は、パンくず構造、並びにパン老化の遅延性を改善するため、単独で、又は、グルコマンナン及び/若しくはガラクトマンナン及び/若しくはガラクトグルコマンナンと組み合わせて使用してよい。別の態様では、マンナナーゼ加水分解産物は、マンノ-オリゴサッカライド(MOS)等の可溶性プレバイオティクスとして働き、結腸中に好ましい密度で存在するとき、良好な健康状態に一般的に関連する、乳酸菌の増殖を促進する。
【0232】
一態様では、本発明の任意のポリペプチドが加えられるドウは、精製小麦粉に加え、又はその代わりに、フスマ又はオーツ麦、コメ、キビ、トウモロコシ、又は豆果粉を含む(すなわち、精白粉のドウではない)。
【0233】
酪農食品用の本発明のポリペプチド
本発明の一態様では、本発明の任意のポリペプチドを、グルコマンナン及び/又はガラクトマンナンも添加されている、牛乳又は任意のその他酪農製品に加えてよい。典型的なグルコマンナン及び/又はガラクトマンナン源は、焼成用態様において上述しており、グアー又はコンニャクガムが挙げられる。本発明の任意のポリペプチドをグルコマンナン及び/又はガラクトマンナンと組み合わせると、マンナナーゼ加水分解産物(マンノオリゴサッカライド)を遊離し、これは、大腸又は結腸中に好ましい密度で存在するとき、良好な健康状態に一般的に関連する、プロバイオティクス細菌(特にビフィズス菌(Bifidobacteria)及びラクトバチルス(Lactobacillus)乳酸菌)の選択的生育及び増殖を促進することによって、可溶性プレバイオティクスとして作用する。
【0234】
別の態様は、本発明の任意のポリペプチド、及び、任意のグルコマンナン又はガラクトマンナン又はガラクトグルコマンナンを加えることを含む、牛乳又は酪農製品の調製方法に関する。
【0235】
別の態様では、プレバイオティクスマンナン加水分解産物を含む、酪農系食品を製造するため、酪農系食品に加える前、又は後に、本発明の任意のポリペプチドを、任意のグルコマンナン又はガラクトマンナンと組み合わせて使用する。更なる態様では、このように製造されたマンノオリゴサッカライド含有酪農製品は、有益なヒト腸管微生物叢の集団を増やすことができ、また更なる態様では、酪農系食品は、任意のグルコマンナン及び/又はガラクトマンナン及び/又はガラクトグルコマンナン源と共に、本発明の任意のポリペプチドと、ヒト大腸中での効果が既知である、摂取に十分な量の少なくとも1種の細菌株(例えば、ビフィズス菌(Bifidobacteria)又はラクトバチルス(Lactobacillus))と、を含んでよい。一態様では、酪農系食品は、ヨーグルト又は牛乳飲料である。
【0236】
紙パルプ漂白用の本発明のポリペプチド
本明細書に記載されるポリペプチドは、化学パルプ、セミケミカルパルプ、クラフトパルプ、機械パルプ、及び亜硫酸法によって作製されたパルプ等の、紙パルプの酵素による漂白に更に有用である。大まかに言えば、紙パルプを、紙パルプの漂白に好適な条件下で、本明細書に記載されるポリペプチド及び/若しくは単離ポリペプチド若しくはフラグメント、又はその変異型と共にインキュベートする。
【0237】
いくつかの実施形態では、パルプは、酸素、オゾン、ペルオキシド又はペルオキシ酸で漂白された、塩素を含まないパルプである。いくつかの実施形態では、低リグニン含量を呈する、改変又は連続パルプ化法によって製造されたパルプの酵素による漂白に、本発明のポリペプチドを使用する。いくつかの別の実施形態では、本発明のポリペプチドを、単独で、又は好ましくはキシラナーゼ及び/若しくはエンドグルカナーゼ及び/若しくはα-ガラクトシダーゼ及び/若しくはセルビオヒドロラーゼ酵素と組み合わせて適用する。
【0238】
増粘剤分解用の本発明のポリペプチド
グアーガム及びローカストビーンガム等のガラクトマンナンは、増粘剤として、例えば、食品、及び、Tシャツのプリント等の衣類捺染用捺染糊中で広く使われている。したがって、本明細書に記載されるポリペプチドはまた、マンナン含有基質の濃度又は粘度を低下させるのにも有用である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドを、加工装置中の残留食品の粘度を低下させ、それによって加工後の洗浄を容易にするために使用する。特定の別の実施形態では、本明細書に開示されるポリペプチドを、捺染糊の粘度を低下させ、それによって衣類プリント後の余剰の捺染糊を容易に洗い流すために使用する。大まかに言えば、マンナン含有基質を、本明細書に記載されるポリペプチド及び/若しくは単離ポリペプチド若しくはフラグメント、又はその変異型と、マンナン含有基質の粘度の低下に好適な条件下でインキュベートする。
【0239】
本発明の組成物及び方法の他の態様及び実施形態は、上記の説明及び以下の実施例より明らかとなるであろう。
【実施例
【0240】
以下の実施例は、本開示の特定の好ましい実施形態及び態様を実証及び例示する目的で示されるものであって、限定と解釈されるべきものではない。
【0241】
(実施例1)
バチルス(Bacillus)及びパエニバチルス(Paenibacillus)マンナナーゼの同定
バチルス(Bacillus)及びパエニバチルス(Paenibacillus)種によってコードされるマンナナーゼについて、次のヌクレオチド及びアミノ酸配列をNCBIデータベースから抽出した。
【0242】
BciMan1遺伝子のヌクレオチド配列(NCBI参照配列AB007123.1)(B.シルクランス(B. circulans)K-1から単離)を、配列番号1と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0243】
BciMan1遺伝子によってコードされる前駆体タンパク質BciMan1のアミノ酸配列(NCBI登録番号:BAA25878.1)を、配列番号2と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0244】
BciMan3遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列AY907668.1、430~1413、相補)(B.シルクランス(B. circulans)196から単離)を、配列番号3と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0245】
BciMan3遺伝子によってコードされる前駆体タンパク質BciMan3のアミノ酸配列(NCBI登録番号:AAX87002.1)を、配列番号4と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0246】
BciMan4遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列AY913796.1、785~1765)(バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)CGMCC1554から単離)を、配列番号5と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0247】
BciMan4遺伝子によってコードされる前駆体タンパク質BciMan4のアミノ酸配列(NCBI登録番号:AAX87003.1)を、配列番号6と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0248】
PpoMan1遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列NC_014483.1、649134~650117、相補)(パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)E681から単離)を、配列番号7と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0249】
PpoMan1遺伝子によってコードされるタンパク質PpoMan1のアミノ酸配列(NCBI登録番号:YP_003868989.1)を、配列番号8と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0250】
PpoMan2遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列NC_014622.1、746871~747854、相補)(パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)SC2から単離)を、配列番号9と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0251】
PpoMan2遺伝子によってコードされる仮説タンパク質PpoMan2のアミノ酸配列(NCBI登録番号:YP_003944884.1)を、配列番号10と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0252】
PspMan4遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列GQ358926.1)(パエニバチルス(Paenibacillus)種A1から単離)を、配列番号11と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0253】
PspMan4遺伝子によってコードされるタンパク質PspMan4のアミノ酸配列(NCBI登録番号:ACU30843.1)を、配列番号12と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0254】
PspMan5遺伝子の核酸配列(NCBI参照配列JN603735.1、536~1519)(パエニバチルス(Paenibacillus)種CH-3から単離)を、配列番号13と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0255】
PspMan5遺伝子によってコードされるタンパク質PspMan5のアミノ酸配列(NCBI登録番号:AEX60762.1)を、配列番号14と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0256】
更に、マンナナーゼを、パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)DSM11730、DSM15211、及びDSM11747、パエニバチルス・パブリ(Paenibacillus pabuli)DSM3036、パエニバチルス(Paenibacillus)種FeL05(パエニバチルス・フナネンシス(Paenibacillus hunanensis)DSM22170に改名)、及びパエニバチルス・ツンドラエ(Paenibacillus tundrae)(Culture Collection DuPont)のゲノムを配列決定することによって、同定した。これらの生物の全ゲノムを、Illuminaの次世代シーケンス技術を用いて、BaseClear(Leiden,The Netherlands)が配列決定し、その後BaseClearがまとめた。コンティグはBioXpr(Namur,Belgium)により注釈付した。
【0257】
PamMan2遺伝子のヌクレオチド配列(パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)から単離)を、配列番号15と定める(DSM11730、DSM15211、及びDSM11747に同一配列が見つかり、予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0258】
PamMan2前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号16と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0259】
完全にプロセシングを受けた成熟PamMan2タンパク質の配列(297残基のアミノ酸)を、配列番号17と定める:
【0260】
PpaMan2遺伝子のヌクレオチド配列(パエニバチルス・パブリ(Paenibacillus pabuli)DSM3036から単離)を、配列番号18と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0261】
PpaMan2前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号19と定める(予測される天然シグナルペプチドをイタリックかつ太字で示す):
【0262】
PspMan9遺伝子のヌクレオチド配列(パエニバチルス(Paenibacillus)種FeL05から単離)を、配列番号20と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0263】
PspMan9前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号21と定める(予測される天然シグナルペプチドをイタリックかつ太字で示す):
【0264】
PtuMan2遺伝子のヌクレオチド配列(パエニバチルス・ツンドラエ(Paenibacillus tundrae)から単離)を、配列番号22と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0265】
PtuMan2前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号23と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0266】
完全にプロセシングを受けた成熟PtuMan2の配列(303残基のアミノ酸)を、配列番号24と定める:
【0267】
(実施例2)
マンナナーゼの異種発現
成熟型のBciMan1、BciMan3、BciMan4、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、及びPspMan9遺伝子のDNA配列を合成し、Generay Biotech(Shanghai,China)によってB.ズブチリス(B. subtilis)発現ベクターp2JM103BBI(Vogtentanz,Protein Expr Purif,55:40~52、2007)内に挿入して、aprEプロモーター、B.ズブチリス(B. subtilis)内で標的タンパク質の分泌の誘導に使用されるaprEシグナル配列、ペプチドAla-Gly-Lysをコードし、標的タンパク質の分泌を促進するオリゴヌクレオチドAGK-proAprE、及び、対象とする遺伝子の成熟領域をコードする合成ヌクレオチド配列を含む、発現プラスミドを得た。PspMan4発現プラスミド(p2JM-PspMan4)の代表的なプラスミドマップを図1に示す。
【0268】
好適なB.ズブチリス(B. subtilis)宿主株を、それぞれの発現プラスミドによって形質転換し、形質転換細胞を、5ppmのクロラムフェニコールと添加したルリア寒天プレート上に播種した。上記マンナナーゼのそれぞれを産生させるため、プラスミドを含むB.ズブチリス(B. subtilis)形質転換体を、250mLの振盪フラスコにおいて、追加の5mM CaClを添加したMOPS系合成培地中で増殖した。
【0269】
発現プラスミドp2JM-BciMan1中の合成BciMan1遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号25と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0270】
p2JM-BciMan1プラスミドから発現されるBciMan1前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号26と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0271】
p2JM-BciMan1プラスミドから発現されるBciMan1成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号27と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0272】
天然に存在する配列の予測切断に基づくBciMan1成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号28と定める:
【0273】
p2JM-BciMan3プラスミド中の合成BciMan3遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号29と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0274】
p2JM-BciMan3プラスミドから発現されるBciMan3前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号30と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0275】
p2JM-BciMan3から発現されるBciMan3成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号31と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長を太字で示す):
【0276】
天然に存在する配列の予測切断に基づくBciMan3成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号32と定める:
【0277】
発現プラスミドp2JM-BciMan4中の合成BciMan4遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号33と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0278】
プラスミドp2JM-BciMan4から発現されるBciMan4前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号34と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0279】
p2JM-BciMan4から発現されるBciMan4成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号35と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長を太字で示す):
【0280】
天然に存在する配列の予測切断に基づくBciMan4成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号36と定める:
【0281】
プラスミドp2JM-PpaMan2中の合成PpaMan2遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号37と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0282】
プラスミドp2JM-PpaMan2から発現されるPpaMan2前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号38と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0283】
p2JM-PpaMan2から発現されるPpaMan2成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号39と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0284】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPpaMan2成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号40と定める:
【0285】
プラスミドp2JM-PpoMan1中の合成PpoMan1遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号41と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0286】
プラスミドp2JM-PpoMan1から発現されるPpoMan1前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号42と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0287】
p2JM-PpoMan1から発現されるPpoMan1成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号43と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長を太字で示す):
【0288】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPpoMan1成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号44と定める:
【0289】
プラスミドp2JM-PpoMan2中の合成PpoMan2遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号45と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0290】
プラスミドp2JM-PpoMan2から発現されるPpoMan2前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号46と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0291】
p2JM-PpoMan2から発現されるPpoMan2成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号47と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0292】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPpoMan2成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号48と定める:
【0293】
プラスミドp2JM-PspMan4中の合成PspMan4遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号49と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0294】
プラスミドp2JM-PspMan4から発現されるPspMan4前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号50と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0295】
p2JM-PspMan4から発現される確認されたPspMan4成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号51と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0296】
天然に存在する配列の予測切断に基づく、確認されたPspMan4成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号52と定める:
【0297】
プラスミドp2JM-PspMan5中の合成PspMan5遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号53と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0298】
プラスミドp2JM-PspMan5から発現されるPspMan5前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号54と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0299】
p2JM-PspMan5から発現されるPspMan5成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号55と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0300】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPspMan5成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号56と定める:
【0301】
プラスミドp2JM-PspMan9中の合成PspMan9遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号57と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基付加(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0302】
プラスミドp2JM-PspMan9から発現されるPspMan9前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号58と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0303】
p2JM-PspMan9から発現されるPspMan9成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号59と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0304】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPspMan9成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号60と定める:
【0305】
(実施例3)
マンナナーゼの精製
BciMan1、BciMan4、及びPspMan4タンパク質を、陰イオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからなる2つのクロマトグラフィー工程によって精製した。濃縮され、脱塩された粗タンパク質サンプルを、緩衝液A(Tris-HCl、pH7.5、20mM)で予め平衡化した、70mLのQ-Sepharose High Performanceカラムにのせた。カラムの洗浄後、カラムの5倍量の、1M NaClを含む緩衝液Aの0~50%勾配によって、タンパク質を溶出した。標的タンパク質は素通り画分内にあった。次に、硫酸アンモニウムを、最終濃度が0.8~1Mになるまで素通り画分に加えた。この溶液を、0.8~1Mの硫酸アンモニウムを含む、20mM Tris pH7.5(緩衝液B)で予め平衡化したPhenyl-Sepharose Fast Flowカラムにのせた。カラムの4倍量の勾配溶出(0~100%緩衝液A)の後、カラムの3倍量の段階溶出(100%緩衝液A)を行い、最終的に目的とするタンパク質を溶出した。画分の純度をSDS-PAGEを用いて検出し、その結果、標的タンパク質が完全に精製されていることが示された。活性画分をプールし、10kDa Amicon Ultra-15装置を用いて濃縮した。サンプルの純度は90%超であり、使用するまで-20℃~-80℃の40%グリセロール中で保存した。
【0306】
BciMan3、PpoMan1、PpoMan2タンパク質を、陰イオン交換、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及びゲル濾過精製法の3工程を用いて精製した。振盪フラスコの700mLの粗培養液を、VIVAFLOW 200(カットオフ10kDa)で濃縮し、20mM Tris-HCl(pH7.5)に緩衝液交換を行った。次に、この液体を、20mM Tris-HCl、pH7.5(緩衝液A)で予め平衡化した50mLのQ-Sepharose High Performanceカラムにのせた。このカラムを、カラムの3倍量の0~50%緩衝液B(1M NaClを含む緩衝液A)の直線勾配と、その後の、カラム3倍量の100%緩衝液Bによって溶出した。目的とするタンパク質は勾配溶出部に検出され、純粋画分をプールした。続いて、3M硫酸アンモニウム溶液を活性画分に加えて最終濃度を1Mとし、その後、前処理した画分を、1M硫酸アンモニウムを含む20mM Tris-HCl(pH7.5)で平衡化した50mLのPhenyl-Sepharose Fast Flowカラムにのせた。カラム4倍量の勾配溶出(0~100%緩衝液A)の後、3倍量の段階溶出(100%緩衝液A)を行い、比較的純粋な画分をプールした。回収した画分を10mLに濃縮し、0.15M NaCl(pH7.0)を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液で予め平衡化したHiLoad(商標)26/60,Superdex-75カラム(カラム容量=320mL)にのせた。純粋画分をプールし、10kDa Amicon Ultra-15装置を用いて濃縮した。精製したサンプルを、40%グリセロールを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中で、-20℃において使用するまで保存した。
【0307】
PspMan5及びPspMan9タンパク質を精製するため、硫酸アンモニウムを、最終濃度が1Mになるまで粗サンプルに加えた。この溶液を、20mM Tris(pH8.5)、1M硫酸アンモニウム(緩衝液A)で予め平衡化したHiPrep(商標)16/10 Phenyl FFカラムにのせた。標的タンパク質を、1~0M硫酸アンモニウムの直線塩勾配を用いてカラムから溶出した。活性画分をプールし、VivaFlow 200限外濾過装置(Sartorius Stedim)を用いて濃縮し、20mM Tris(pH8.5)への緩衝液交換を行った。得られた溶液を、20mM Tris(pH8.5)で予め平衡化したHiPrep(商標)Q XL 16/10カラムにのせた。標的タンパク質を、緩衝液A中の0~0.6M NaClの直線塩勾配を用いてカラムから溶出した。続いて、得られた活性タンパク質画分をプールして、10kDa Amicon Ultra装置を用いて濃縮し、使用するまで-20℃の40%グリセロール中で保存した。
【0308】
PpaMan2を、疎水性相互作用クロマトグラフィー及び陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。800mLの粗培養液を、VIVAFLOW 200(カットオフ10kDa)で濃縮し、硫酸アンモニウムを最終濃度が0.8Mになるように加えた。次に、このサンプルを、緩衝液A(0.8M硫酸アンモニウムを含む20mM酢酸ナトリウム、pH5.5)で予め平衡化した50mLのPhenyl-Sepharose High Performanceカラムにのせた。このカラムを、カラムの5倍量の0~100%緩衝液B(20mM酢酸ナトリウム、pH5.5)の勾配溶出と、その後の、カラム3倍量の100%緩衝液Bによって処理した。比較的純粋な活性画分をプールし、緩衝液Bへの緩衝液交換を行った。溶液は混濁し、それを50mL容チューブに分注して、3800rpmで20分間遠心分離を行った。上清及び沈殿物を回収した。SDS-PAGEゲル解析の結果によると、標的タンパク質は上清中に同定され、それを続いて、SP-Sepharose Fast Flowカラムにのせ、カラム4倍量の0~50%緩衝液C(1M塩化ナトリウムを含む20mM酢酸ナトリウム)による直線勾配溶出の後、3倍量の段階溶出(100%緩衝液C)を行った。各画分の純度を、SDS-PAGEで評価した。純粋画分をプールし、10kDa Amicon Ultra-15装置を用いて濃縮した。精製したサンプルを、40%グリセロールを含む20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中で、-20℃において保存した。
【0309】
(実施例4)
マンナナーゼの活性
0.5%ローカストビーンガムガラクトマンナン(Sigma G0753)及びコンニャクグルコマンナン(Megazyme P-GLCML)を基質として用いて、マンナナーゼのβ1-4マンナナーゼ活性を測定した。50mM酢酸ナトリウム、pH5、及び50mM HEPES、pH8.2の2種の緩衝液系を用いて、50℃にて10分間アッセイを実施した。両設定のアッセイにおいて、PAHBAH(p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド)アッセイ(Lever,Anal Biochem,47:248、1972)を用いて、遊離した還元糖を定量した。マンノースを用いて、各緩衝液について検量線を作製し、酵素活性単位の算出に使用した。このアッセイでは、1マンナナーゼ単位は、1分あたりに1マイクロモルのマンノース還元糖等価物を生成するのに要する酵素量として定義する。マンナナーゼの比活性を表1にまとめる。
【0310】
【表3】
【0311】
(実施例5)
マンナナーゼのpH特性
基質としてローカストビーンガムを用いて、50℃、10分間で、2~9の範囲の様々なpH値において、マンナナーゼ活性用アッセイによってマンナナーゼのpH特性を決定した。タンパク質を、用量反応曲線に基づく適当な濃度まで、0.005% Tween-80で希釈した。様々なpHのクエン酸ナトリウム/リン酸ナトリウム緩衝液を用いて緩衝化した基質溶液を、50℃のサーモミキサーで5分間予備インキュベートした。この反応は、マンナナーゼの添加により開始した。混合液を50℃で10分間インキュベートした後、100マイクロリットルのPAHBAH溶液を含む96ウェルのPCRプレートに、10マイクロリットルの反応混合液を移すことによって反応を停止した。Bio-Rad DNA Engine内で、PCRプレートを95℃で5分間加熱した。その後、新しい96ウェルプレートに、各ウェルから100マイクロリットルを移した。分光光度計において、410nmの吸光度を測定することによって、基質からの還元糖の遊離を定量した。各pHにおける酵素活性を、至適pHでの活性を100%とした場合の相対活性として報告する。これらのアッセイ条件下におけるマンナナーゼの至適pH及び≧70%活性の範囲を、表2に示す。
【0312】
【表4】
PpaMan2及びPspMan9は、pH9超でマンナナーゼ活性を示した。
【0313】
(実施例6)
マンナナーゼの温度特性
pH6.0の50mMクエン酸ナトリウム緩衝液中で、様々な温度で10分間、基質としてローカストビーンガムを用いて、マンナナーゼ活性用アッセイによってマンナナーゼの温度特性を決定した。この活性を、至適温度での活性を100%とした場合の相対活性として報告する。これらのアッセイ条件下におけるマンナナーゼの至適温度及び≧70%活性の温度範囲を、表3に示す。
【0314】
【表5】
【0315】
(実施例7)
パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)マンナナーゼの熱安定性
パエニバチルス(Paenibacillus)及びバチルス(Bacillus)マンナナーゼの温度安定性を、pH6.0の50mMクエン酸ナトリウム緩衝液中で決定した。40℃~90℃の範囲の温度で2時間、サーモサイクラー内で酵素をインキュベートした。残存酵素活性を、基質としてローカストビーンガムを用いて測定した。氷上に保持された試料の活性を100%の活性として定義した。これらのアッセイ条件下で、2時間インキュベートした後に、酵素が50%活性(T50)を保持する温度を表4に示す。
【0316】
【表6】
【0317】
(実施例8)
マンナナーゼの洗浄性能
人工汚れからのガラクトマンナンの除去を測定するために開発されたハイスループットアッセイを用いて、洗浄性能を測定した。このアッセイは、ローカストビーンガムを含有する人工汚れからのローカストビーンガムの遊離を測定する。BCA試薬は、ブランク(酵素を含まない)対照と比較して、マンナナーゼ酵素の存在下で遊離されたオリゴサッカライドの還元端を測定する。この測定値は、酵素の洗浄性能と相関する。マンナナーゼはガラクトマンナンを加水分解するため、新たな還元端を持つ様々な長さのオリゴサッカライドが綿スウォッチから遊離される。次いで、Cu1+が、Cu2+の還元により生成されるため、BCA試薬中のビシンコニン酸が、好感度の比色検出を可能にする。
【0318】
2枚の直径5.5cmのローカストビーンガムCS-73マイクロスウォッチ(CFT(Vlaardingen,Holland))を、底部が平らな非結合96ウェルアッセイプレートの各ウェルに置いた。酵素を、50mM MOPS、pH7.2、0.005%Tween-80で希釈した。希釈した酵素及びマイクロスウォッチアッセイ緩衝液(25mM HEPES、pH8、2mM CaCl、0.005% Tween-80)を合わせて100マイクロリットルにして、各ウェルに加えた。プレートに封をし、1150rpmで20分間撹拌しながら25℃のiEMS機器内でインキュベートした。生成した新たな還元端を測定するため、100マイクロリットルのBCAアッセイ試薬(Thermo Scientific Pierce(Rockford,IL))をピペッティングして、新しいPCRプレートの各ウェルに加えた。インキュベート時間が完了した後、マイクロスウォッチアッセイプレートの各ウェルから15マイクロリットルの洗浄液を取り出し、BCA試薬を含むプレートに移した。プレートに封をし、95℃のPCR機器内で2~3分間インキュベートした。プレートを25℃に冷却した後、100マイクロリットルの上清を新しい底部が平らなマイクロタイターアッセイプレートに移し、分光光度計で562nmにおける吸光度を測定した。図2A及び2Bは、このアッセイにおけるマンナナーゼの反応を示す。試験した全てのマンナナーゼが、ガラクトマンナン除去活性を示した。
【0319】
(実施例9)
相同なマンナナーゼの同定
成熟タンパク質のアミノ酸配列であるPpaMan2(配列番号40)、PspMan4(配列番号52)、及びPspMan9(配列番号60)を用いて、NCBI非冗長タンパク質データベースに対するBLAST検索(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389~402、1997)によって、関連タンパク質を同定し、その結果の一部をそれぞれ表5A、6A、及び7Aに示す。検索パラメーターをデフォルト値に設定し、クエリ配列として成熟タンパク質のアミノ酸配列であるPpaMan2(配列番号40)、PspMan4(配列番号52)、及びPspMan9(配列番号60)を用いて、Genome Quest Patentデータベースに対する類似性検索を行い、その結果の一部をそれぞれ表5B、6B、及び7Bに示す。いずれの検索セットに関しても、同一性パーセント(PID)は、ペアワイズアライメントにおいて、同一残基数をアライメントした残基の数で除したものとして定義する。「配列長」と称されたカラムは、一覧の登録番号に関連するタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指し、一方「アライメント長」と称されたカラムは、PID計算に使用されたアライメントしたタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指す。
【0320】
【表7】
【0321】
【表8】
【0322】
【表9】
【0323】
【表10】
【0324】
【表11】
【0325】
【表12】
【0326】
(実施例10)
相同配列の解析
成熟BciMan1(配列番号28)、BciMan3(配列番号32)、BciMan4(配列番号36)、PamMan2(配列番号17)、PpaMan2(配列番号40)、PpoMan1(配列番号44)、PpoMan2(配列番号48)、PspMan4(配列番号52)、PspMan5(配列番号56)、PspMan9(配列番号60)、及びPtuMan2(配列番号24)マンナナーゼのアミノ酸配列と、表5A、6A、及び7Aマンナナーゼの成熟型の配列(NCBI検索により同定)の一部とのアライメントを、図3に示す。完全長のトリミングされていない配列を、CLUSTALWソフトウェア(Thompson et al.,Nucleic Acids Research,22:4673~4680,1994)をデフォルトのパラメーターで用いてアライメントしたが、図3には、アミノ酸番号1~300のアライメントを示し、完全長のトリミングされていない配列のアライメントではない。
【0327】
図3のアライメントしたマンナナーゼのアミノ酸配列の系統樹を作製し、図4に示す。完全長のトリミングされていない配列をVector NTI Advance suiteに入力し、近隣結合(NJ)法を用いて樹形図を作成した(Saitou and Nei,Mol Biol Evol,4:406~425,1987)。樹形構成は、以下のパラメーターと、配列距離について木村の相関を用い、ギャップ位置を無視して計算した。AlignXは、図4に示される系統樹上に表示された分子名に続いて、カッコ内に計算した距離値を表示する。
【0328】
(実施例11)
NDLクレードマンナナーゼの独特の特徴
実施例10に記載されるマンナナーゼのアライメントを行うと、BciMan3、BciMan4、PamMan2、PpaMan2、PpoMan1、PpoMan2、PspMan4、PspMan5、PspMan9、及びPtuMan2マンナナーゼにおいて共通の特徴が保存されていた。1つには、Trp30~Ile39間の残基において共通のパターンの保存されたアミノ酸があり、このときポリペプチドのアミノ酸の位置は、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされている。NDLマンナナーゼは、後にNDLクレードと名付けられるクレードを構成するための特徴を共有しており、この用語NDLは、N末端付近の完全に保存された残基NDL(Asn-Asp-Leu33~35)に由来している。示されるマンナナーゼの残基の番号は、連続した一次配列であり、配列番号32に定められるアミノ配列に対応して番号付けされている。NDLクレードに関連する保存されたアミノ酸のパターンを、図5にハイライトして示しており、WXKNDLXXAI(XはF又はYであり、Xは任意のアミノ酸である)、WXKNDLXAI(XはF又はYであり、XはN、Y又はAであり、XはA又はTである)、又は、WF/YKNDLXT/AAI(XはN、Y又はAである)として記載できる。
【0329】
実施例10に記載される系統樹は、NDLクレードマンナナーゼと他のマンナナーゼとの間の分化を示している。このクレードは、NDLクレード1及びNDLクレード2に更に区別され、NDLクレード1はPtuMan2、PamMan2、PspMan4、BciMan4、PpaMan2、PspMan9及びPspMan5を含み、一方NDLクレード2はBciMan3、PpoMan2及びPpoMan1を含む。
【0330】
NDLクレードの全てのメンバーは、バチルス(Bacillus)種JAMB-602及び他の参照マンナナーゼ配列には存在しない欠失を特徴とする、保存されたモチーフ(以下、「欠失モチーフ」)を有する。欠失モチーフは、図6に定められるアミノ酸配列の保存された一次配列中の262番目の位置から始まり、配列LDXXXGPXGXLT(Xは任意のアミノ酸である)又はLDM/LV/AT/AGPXGXLT(XはN、A又はSであり、XはS、T又はNである)を含む。この配列は、NDLクレード1マンナナーゼでは、LDM/LATGPN/AGS/TLT、NDLクレード2マンナナーゼでは、LDLA/VA/TGPS/NGNLT、及び、NDLクレード3マンナナーゼでは、LDL/VS/AT/NGPSGNLTに更に区別される。NDLクレードの全てのメンバーは、バチルス(Bacillus)種JAMB-602_BAD99527.1、B.ネアルソニイ(B_nealsonii)_AGU71466.1、及びBciman1_B.シルクランス(B_circulans)_BAA25878.1マンナナーゼ配列には見られない、保存された欠失モチーフを有する。図6に定められるNDLクレードの欠失モチーフ(すなわち、LDM/LV/AT/AGPXGXLT(XはN、A又はSであり、XはS、T又はNである)は、保存残基Leu262-Asp263(LD)とLeu272-Thr273(LT)との間に起こる。
【0331】
NDLクレードマンナナーゼに最も近い関連構造は、バチルス(Bacillus)種JAMB-602(1WKY.pdb)由来のものであり、そのため、これを対照として用いて、NDLクレードマンナナーゼの特徴の分化から予測される結果を理解する。図7は、バチルス(Bacillus)種JAMB-602(黒色)、並びにNDLクレードマンナナーゼPspMan4、PspMan9及びPpaMan2のモデル(灰色)の構造を示す。PspMan4、PspMan9及びPpaMan2の構造を、Molecular Operating Environment(MOE)ソフトウェア(Chemical Computing Group(Montreal,Quebec,Canada))の「アライン」オプションを用いてモデリングし、構造類似性を確認した。アライメントは、従来の配列アライメントに対する追加のガイドとして、保存された構造モチーフを適用する。MOEの2012.10配布版にある標準的なデフォルトプログラムを用いて、このアライメントを行った。欠失モチーフセグメントを矢印で示す。欠失モチーフは、C末端の構造中のループ内に位置する。バチルス(Bacillus)種JAMB-602マンナナーゼのC末端領域は、アルカリ性環境におけるこれらのマンナナーゼの相互作用の仕方を理解するのに重要であると考えられている(Akita et al.,Acta Cryst,60:1490~1492,2004)。この欠失により、ループの構造、長さ及び柔軟性に影響し、そのため、NDLクレードマンナナーゼの活性及び性能に影響すると想定される。
【0332】
(実施例12)
パエニバチルス(Paenibacillus)種NO21からの追加のマンナナーゼの同定
パエニバチルス(Paenibacillus)種NO21株(DuPont Culture Collection)の全ゲノムの配列を、合成法によるILLUMINA(登録商標)配列ケッチ法を利用して決定した。配列決定、アセンブリ及び注釈付後、この株から同定された遺伝子のうちの1つ、PamMan3は、NDLクレードマンナナーゼのメンバーに対する相同性を示した。
【0333】
PamMan3遺伝子のヌクレオチド配列(パエニバチルス(Paenibacillus)種NO21から単離)を、配列番号61と定める(予測される天然シグナルペプチドをコードする配列を太字で示す):
【0334】
PamMan3前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号62と定める(予測される天然シグナルペプチドを太字で示す):
【0335】
完全にプロセシングを受けた成熟PamMan3タンパク質の配列(297残基のアミノ酸)を、配列番号63と定める:
【0336】
(実施例13)
PamMan3の発現
成熟型のPamMan3遺伝子のDNA配列を合成し、PamMan3タンパク質を、実施例2に記載されるように発現させた。
【0337】
プラスミドp2JM-PamMan3中の合成PamMan3遺伝子のヌクレオチド配列を、配列番号64と定める(遺伝子は、別の開始コドン(GTG)を有しており、3残基のアミノ末端延長(AGK)をコードするオリゴヌクレオチドを太字で示す):
【0338】
プラスミドp2JM-PamMan3から発現されるPamMan3前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号65と定める(予測シグナル配列をイタリックで示し、3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0339】
p2JM-PamMan3プラスミドから発現されるPamMan3成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号66と定める(予測切断部位に基づく3残基のアミノ末端延長(AGK)を太字で示す):
【0340】
天然に存在する配列の予測切断に基づくPamMan3成熟タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号67と定める:
【0341】
(実施例14)
PamMan3の精製
PamMan3を、2つのクロマトグラフィー工程、すなわち、疎水性相互作用クロマトグラフィー及び陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。濃縮され脱塩された粗タンパク質サンプルを、2.0M硫酸アンモニウムを含む20mM HEPES(pH7.4)で予め平衡化したPhenyl-Sepharose High Performanceカラムにのせた。勾配溶出を行い、酵素活性を有する画分をプールして、緩衝液A(20mM HEPES、pH7.4)で予め平衡化した30mLのQ-Sepharose High Performanceカラムにのせた。このカラムを、カラムの5倍量の0~50%緩衝液B(1M塩化ナトリウムを含む緩衝液A)の勾配溶出と、その後の、カラム4倍量の100%緩衝液Bにかけた。各画分の純度をSDS-PAGEによって分析し、その結果、標的タンパク質が効率よく精製されていることが示された。高純度の画分をプールし、Amicon Ultra-15装置を10K MWCOで用いて濃縮した。最終精製タンパク質を、40%グリセロール中、-20℃で使用するまで保存した。
【0342】
(実施例15)
PamMan3のマンナナーゼ活性
PamMan3のβ1-4マンナナーゼ活性を、実施例4に記載されるように測定した。精製したPamMan3の比活性を表8にまとめる。
【0343】
【表13】
【0344】
(実施例16)
PamMan3のpH特性
PamMan3のpH特性を、実施例5に記載されるように決定した。これらのアッセイ条件下におけるPamMan3の至適pH及び≧70%活性の範囲を、表9に示す。
【0345】
【表14】
【0346】
(実施例17)
PamMan3の温度特性
PamMan3の温度特性を、実施例6に記載されるように決定した。
【0347】
これらのアッセイ条件下におけるPamMan3の至適温度及び≧70%活性の温度範囲を、表10に示す。
【0348】
【表15】
【0349】
(実施例18)
PamMan3の熱安定性
PamMan3の温度安定性を、実施例7に記載されるように決定した。これらのアッセイ条件下で、2時間インキュベートした後に、PamMan3が50%活性(T50)を保持する温度を表11に示す。
【0350】
【表16】
【0351】
(実施例19)
PamMan3の洗浄性能
PamMan3の洗浄性能を、人工汚れからのガラクトマンナンの遊離を測定するために開発されたハイスループットマイクロスウォッチアッセイで評価した。PAHBAH(p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド)アッセイ(Lever,Anal Biochem,47:248、1972)を用いて、遊離した還元糖を定量した。
【0352】
2枚の直径5.5cmのローカストビーンガムCS-73(CFT(Vlaardingen,Holland))マイクロスウォッチを、底部が平らな非結合96ウェルアッセイプレートの各ウェルに置いた。酵素を、50mM MOPS、pH7.2、0.005% Tween-80で希釈した。希釈した酵素及びマイクロスウォッチアッセイ緩衝液(25mM HEPES、pH8、2mM CaCl、0.005%Tween-80)を合わせて100マイクロリットルにして、各ウェルに加えた。プレートに封をし、1150rpmで30分間撹拌しながら25℃のiEMS機器内でインキュベートした。10マイクロリットルの反応混合液を、各ウェルにつき100マイクロリットルのPAHBAH溶液を含むPCRプレートに移した。プレートに封をし、95℃のPCR機器内で5分間インキュベートした。プレートを4℃に冷却した後、80マイクロリットルの上清を新しい底部が平らなマイクロタイタープレートに移し、分光光度計で410nmにおける吸光度を測定した。図8は、基準(市販のマンナナーゼ、Mannaway(登録商標))に対するPamMan3の洗浄反応を示す。
【0353】
(実施例20)
相同なマンナナーゼの同定
成熟型のPamMan3(配列番号67)のアミノ酸配列(297残基)を、NCBI非冗長タンパク質データベースに対するBLAST検索(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389~402,1997)にかけた。クエリ配列として配列番号67を用いて、検索パラメーターをデフォルト値に設定して、Genome Quest Patentデータベースに対する類似性検索を行った。検索結果のサブセットを表12A及び12Bに示す。いずれの検索セットに関しても、同一性パーセント(PID)は、ペアワイズアライメントにおいて、同一残基数をアライメントした残基の数で除したものとして定義した。「配列長」と称されたカラムは、一覧の登録番号に関連するタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指し、一方「アライメント長」と称されたカラムは、PID計算に使用されたアライメントしたタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指す。
【0354】
【表17】
【0355】
【表18】
【0356】
(実施例21)
相同なマンナナーゼ配列の解析
図5に定めるトリミングしたアミノ酸配列、並びに、PamMan3(配列番号67)、パエニバチルス(Paenibac.)種_ETT37549.1(配列番号68)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_024633848.1(配列番号70)、BleMan1(配列番号75)、バチルス(Bac.)種_WO2015022428-0015(配列番号78)、2WHL_A(配列番号79)及びP_ムシラギノサス(P_mucilaginosus)_YP_006190599.1(配列番号81)マンナナーゼのトリミングした成熟アミノ酸配列を用いて、複数のマンナナーゼアミノ酸配列アライメントを作製したものを、図9に示す。これらの配列を、CLUSTALWソフトウェア(Thompson et al.,Nucleic Acids Research,22:4673~4680,1994)をデフォルトのパラメーターで用いてアライメントした。NDLクレードに特異的な残基(図9参照)をカバーする領域において配列アライメントを確認すると、P_ムシラギノサス(P_mucilaginosus)_YP_006190599.1(配列番号81)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_019912481.1(配列番号74)、BciMan3(配列番号32)、パエニバチルス(Paenibac.)種WP_009593769.1(配列番号73)、PpoMan1(配列番号44)、PpoMan2(配列番号48)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017427981.1(配列番号72)、PspMan9(配列番号60)、PspMan5(配列番号56)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017813111.1(配列番号71)、PpaMan2(配列番号40)、PtuMan2(配列番号24)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_024633848.1(配列番号70)、PamMan3(配列番号67)、BciMan4(配列番号36)、PspMan4(配列番号52)、PamMan2(配列番号17)、パエニバチルス(Paenibac.)種_ETT37549.1(配列番号68)、及びパエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017688745.1(配列番号69)の全てのマンナナーゼが、NDLクレードに所属していることが示され、そのうち、トリミングしたアミノ酸配列の更なる配列アライメントを、CLUSTALWソフトウェア(Thompson et al.,Nucleic Acids Research,22:4673~4680,1994)をデフォルトのパラメーターで用いて提供したものを、図11に示す。
【0357】
NDLクレードは、NDLクレード1、NDLクレード2、及びNDLクレード3に更に区別できる。NDLクレード1は、PtuMan2、PamMan2、PamMan3、PspMan4、BciMan4、PpaMan2、PspMan9、PspMan5、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017813111.1、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_024633848.1、パエニバチルス(Paenibac.)種_ETT37549.1、及びパエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017688745.1を含む。NDLクレード2は、BciMan3、パエニバチルス(Paenibac.)種WP_009593769.1、PpoMan1、PpoMan2、及びパエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017427981.1を含む。NDLクレード3は、P_ムシラギノサス(P_mucilaginosus)_YP_006190599.1及びパエニバチルス(Paenibac.)種_WP_019912481.1を含む。
【0358】
NDLクレードマンナナーゼである、BciMan1(配列番号28)、BciMan3(配列番号32)、BciMan4(配列番号36)、PamMan2(配列番号17)、PpaMan2(配列番号40)、PpoMan1(配列番号44)、PpoMan2(配列番号48)、PspMan4(配列番号52)、PspMan5(配列番号56)、PspMan9(配列番号60)、及びPtuMan2(配列番号24)、PamMan3(配列番号67)、パエニバチルス(Paenibac.)種_ETT37549.1(配列番号68)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017688745.1(配列番号69)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_024633848.1(配列番号70)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017813111.1(配列番号71)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_017427981.1(配列番号72)、パエニバチルス(Paenibac.)種WP_009593769.1(配列番号73)、パエニバチルス(Paenibac.)種_WP_019912481.1(配列番号74)、BleMan1(配列番号75)、バチルス・ネアルソニイ(Bac.nealsonii)_AGU71466.1(配列番号76)、バチルス(Bac.)種_BAD99527.1(配列番号77)、バチルス(Bac.)種_WO2015022428-0015(配列番号78)、及び2WHL_A(配列番号79)及びP_ムシラギノサス(P_mucilaginosus)_YP_006190599.1(配列番号81)の、トリミングしたアミノ酸配列の系統樹を作製したものを、図10に示す。トリミングした配列を、Vector NTI Advance suiteに入力し、続いて、アライメントファイルをThe Geneious Tree Builderプログラム(Geneious8.1.2)にインポートして、The Geneious Tree Builderを近隣結合作製法で用いて図10に示される系統樹を作製した。これらの配列間の配列同一性パーセントを計算したものを、表13に示す。
【0359】
【表19】
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11A
図11B
図11C
【配列表】
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