(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】サドル付分水栓
(51)【国際特許分類】
F16L 41/06 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
F16L41/06
(21)【出願番号】P 2019025404
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】山下 和宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-122770(JP,U)
【文献】実開昭58-133682(JP,U)
【文献】特開平11-230461(JP,A)
【文献】特開2013-148147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水管に設けられた取水孔に重なるサドル貫通孔を備えるサドルと、
前記サドル貫通孔に挿入される筒部、前記サドルに固定される固定部、および前記筒部の内周面に設けられた雌ねじを備える中間部材と、
前記サドル貫通孔に連通する流入管を備える分水栓と、
前記サドルが前記配水管に重ねられたときに当該配水管に接触して前記取水孔を囲むパッキンと、を有し、
前記流入管は、前記雌ねじに螺合する雄ねじを備え、前記筒部にねじ込まれており、
前記サドルを前記配水管に重ねたときに前記配水管が位置する側を第1方向、前記サドルが位置する側を第2方向とすると、
前記流入管は、前記筒部の所定の位置まで捩じ込まれており、前記所定の位置において前記筒部から前記第1方向に突出する突出部を備え、
前記所定の位置は、前記流入管を更に前記第1方向に捩じ込むことが可能な位置であり、
前記パッキンは、
前記突出部に取り付けられており、前記流入管の軸線方向から見た場合に、前記雄ねじと前記雌ねじとが螺合する螺合部分、前記筒部、および前記サドルにおける前記サドル貫通孔の外周縁と重なり、
前記筒部の前記第1方向の端面の全面に接触していることを特徴とするサドル付分水栓。
【請求項2】
前記突出部には、環状溝が設けられており、
前記パッキンは、前記環状溝に嵌め込まれた環状の嵌め込み部を備えることを特徴とする請求項
1に記載のサドル付分水栓。
【請求項3】
前記流入管と前記筒部との間に配置された弾性の環状シール部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載のサドル付分水栓。
【請求項4】
前記サドルは、前記サドル貫通孔の内壁面にサドル側雌ねじを備え、
前記中間部材は、前記筒部の外周面に前記サドル側雌ねじに螺合する中間部材側雄ねじを備え、
前記固定部は、前記中間部材側雄ねじであることを特徴とする請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載のサドル付分水栓。
【請求項5】
前記固定部に塗布されて前記サドルと前記中間部材とを接着する第1接着剤と、
前記雄ねじと前記雌ねじとの螺合部分に塗布されて、前記第1接着剤よりも弱い接着力で前記分水栓と前記中間部材とを接着する第2接着剤と、
を有することを特徴とする請求項
4に記載のサドル付分水栓。
【請求項6】
前記中間部材は、前記筒部から外周側に広がるフランジ部を備え、
前記固定部は、前記フランジ部であり、
前記サドルは、前記サドル貫通孔の外周側に前記フランジ部が固定されるサドル側固定部を備えることを特徴とする請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載のサドル付分水栓。
【請求項7】
前記中間部材と前記分水栓との相対回転を防止する回転防止機構を有し、
前記回転防止機構は、前記中間部材に設けられた中間部材側係止部と、前記分水栓に設けられた分水栓側係止部と、前記中間部材側係止部および前記分水栓側係止部に着脱可能に係止されて前記中間部材と前記分水栓との相対回転を防止する係止部材と、を備えることを特徴とする請求項1から
6のうちのいずれか一項に記載のサドル付分水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配水管を流通する水を分岐させるサドル付分水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
配水管に載せられる鞍形状のサドルと、サドルに固定された分水栓と、を有するサドル付分水栓は特許文献1に記載されている。同文献では、サドルは、配水管の取水孔に重ねられる筒部を備える。筒部の内周面には雌ねじが設けられている。分水栓は、雌ねじに螺合する雄ねじを備える水の流入管を備える。流入管は、筒部にねじ込まれて取水孔に連通する。また、分水栓は、流入管からの水を当該流入管の軸線と交差する方向に流出させる流出口を備える。流出口には給水管が接続される。流出口に接続された給水管は配水管と交差する方向に延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サドル付分水栓は、配水管および給水管とともに地中に埋設される。従って、地震などに起因して地盤が変動すると、互いに交差する方向に延びる配水管および給水管に作用する外力によって、分水栓がサドルに対して回転しようとする場合がある。
【0005】
ここで、分水性をサドルに固定する際には、分水栓とサドルとが相対回転しないように分水栓をサドル貫通孔に捩じ込んでいる。従って、従来のサドル付分水栓では、配水管および給水管からサドル付分水栓に外力が働いたときに、その力を逃がすことができず、サドル付分水栓に損傷が発生することがある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、分水栓を回転させる外力が加わった場合に破損を防止できるサドル付分水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のサドル付分水栓は、配水管に設けられた取水孔に重なるサドル貫通孔を備えるサドルと、前記サドル貫通孔に挿入される筒部、前記サドルに固定される固定部、および前記筒部の内周面に設けられた雌ねじを備える中間部材と、前記サドル貫通孔に連通する流入管を備える分水栓と、前記サドルが前記配水管に重ねられたときに当該配水管に接触して前記取水孔を囲むパッキンと、を有し、前記流入管は、前記雌ねじに螺合する雄ねじを備え、前記筒部にねじ込まれており、前記パッキンは、前記流入管の軸線方向から見た場合に、前記雄ねじと前記雌ねじとが螺合する螺合部分、前記筒部、および前記サドルにおける前記サドル貫通孔の外周縁と重なることを特徴とする。
【0008】
本発明では、分水栓は、サドル貫通孔に挿入された中間部材の筒部に流入管をねじ込むことによりサドルに固定される。従って、分水栓をサドルに固定する際にサドル貫通孔の内壁面に雌ねじを設けて流入管を当該サドル貫通孔にねじ込んだ従来のサドル付分水栓と比較して、流入管の外径寸法を小さくできる。よって、流出口に接続された給水管などを介して分水栓を流入管の軸線回りに回転させる力が加わったときには、従来のサドル付分水栓と比較して、分水栓が回転しやすい。この結果、サドル分水栓に外力が加わった場合
には、分水栓が回転して、この力を逃がすことができる。従って、サドル付分水栓に損傷が発生することを防止できる。また、取水孔を囲むパッキンは、流入管の雄ねじと筒部の雌ねじとが螺合する螺合部分と重なる。従って、中間部材に対して分水栓が回転したときに、螺合部分から水漏れが発生することを防止或いは抑制できる。
【0009】
また、本発明は、前記サドルを前記配水管に重ねたときに前記配水管が位置する側を第1方向、前記サドルが位置する側を第2方向とすると、前記流入管は、前記筒部の所定の位置まで捩じ込まれており、前記所定の位置は、前記流入管を更に前記第1方向に捩じ込むことが可能な位置であることを特徴とする。従って、サドル分水栓に外力が加わった場合に、分水栓は、第1方向に移動する回転方向および第2方向に移動する回転方向の双方に回転することができる。
【0010】
さらに、本発明は、前記流入管は、前記所定の位置において前記筒部から前記第1方向に突出する突出部を備え、前記パッキンは、前記突出部に取り付けられており、前記筒部の前記第1方向の端面の全面に接触していることを特徴とする。従って、流入管の軸線方向から見た場合に、パッキンを、流入管の雄ねじと中間部材の筒部の雌ねじとの螺合部分とを重なる位置に配置することが容易である。また、パッキンが流入管の外周側に支持されるので、サドル付分水栓を配水管に重ねる際に、パッキンが脱落することがない。
【0011】
本発明において、前記突出部には、環状溝が設けられており、前記パッキンは、前記環状溝に嵌め込まれた環状の嵌め込み部を備えるものとすることができる。このようにすれば、パッキンによって、流入管の雄ねじと中間部材の筒部の雌ねじとの螺合部分を、止水しやすい。
【0012】
本発明において、前記流入管と前記筒部との間に配置された弾性の環状シール部材を有するものとすることができる。このようにすれば、流入管と筒部との間を確実に止水できる。
【0013】
本発明において、前記サドルは、前記サドル貫通孔の内壁面にサドル側雌ねじを備え、前記中間部材は、前記筒部の外周面に前記サドル側雌ねじに螺合する中間部材側雄ねじを備え、前記固定部は、前記中間部材側雄ねじであるものとすることができる。このようにすれば、中間部材をサドルに固定することが容易である。
【0014】
本発明において、前記固定部に塗布されて前記サドルと前記中間部材とを接着する第1接着剤と、前記雄ねじと前記雌ねじとの螺合部分に塗布されて、前記第1接着剤よりも弱い接着力で前記分水栓と前記中間部材とを接着する第2接着剤と、を有するものとすることができる。このようにすれば、中間部材とサドルとを確実に固定できる。この一方で、外力が加わったときに、分水栓を回転させることが容易である。
【0015】
本発明において、前記中間部材は、前記筒部から外周側に広がるフランジ部を備え、前記固定部は、前記フランジ部であり、前記サドルは、前記サドル貫通孔の外周側に前記フランジ部が固定されるサドル側固定部を備えるものとすることができる。このようにすれば、中間部材をサドルに固定することが容易である。
【0016】
本発明において、前記中間部材と前記分水栓との相対回転を防止する回転防止機構を有し、前記回転防止機構は、前記中間部材に設けられた中間部材側係止部と、前記分水栓に設けられた分水栓側係止部と、前記中間部材側係止部および前記分水栓側係止部に着脱可能に係止されて前記中間部材と前記分水栓との相対回転を防止する係止部材と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、配水管および給水管に対してサドル付分水栓を設置する施工時には、係止部材を中間部材側係止部および分水栓側係止部に係止して
中間部材と分水栓とが相対回転することを防止できる。また、サドル付分水栓を配水管および分水栓とともに地中に埋設する際に係止部材を中間部材側係止部および分水栓側係止部から取り外しておけば、その後にサドル分水栓に外力が加わったときに分水栓が回転して、この力を逃がすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分水栓を流入管の軸線回りに回転させる外力が加わった場合に、分水栓を回転させることができる。従って、外力によりサドル付分水栓が破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】サドル付分水栓に外力が加わった場合の説明図である。
【
図4】実施例1の変形例のサドル付分水栓の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態のサドル付分水栓を説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は実施例1のサドル付分水性の平面図である。
図2は実施例1のサドル付分水栓の説明図である。
図2において、サドル付分水栓の中心線の左側はサドル付分水栓の外観図であり、右側は部分断面図である。
【0021】
図1に示すように、サドル付分水栓1Aは、配水管2に固定されて配水管2を流通する水を給水管3に分岐させる。配水管2は金属製または樹脂製である。配水管2は、配水管2の管軸L0方向の所定の位置に分水のための取水孔を備える。サドル付分水栓1Aは、配水管2の取水孔と重なる位置に固定される。サドル付分水栓1Aは、配水管2および給水管3とともに地中に埋設される。
【0022】
図2に示すように、サドル付分水栓1Aは、配水管2に重ねられたサドル5と、分水栓6と、サドル5と分水栓6との間に位置する中間部材7と、パッキン8と、を備える。また、サドル付分水栓1Aは、配水管2を間に挟んでサドル5とは反対側に位置するサドル固定具11と、サドル5とサドル固定具11とを締結するサドル締結具12を備える。サドル5およびサドル固定具11は、複数のサイズのものの中から配水管2の径寸法に適合する専用のサイズのものが選択されて用いられる。
【0023】
以下では、配水管2にサドル付分水栓1Aを重ねた姿勢に基づいて、サドル付分水栓1Aを説明する。従って、
図2に示すように、サドル5と配水管2とが重なる重なり方向を上下方向Zとする。また、サドル5を配水管2に重ねたときに配水管2が位置する側を下方Z1(第1方向)、サドル5が位置する側を上方Z2(第2方向)とする。また、配水管2の管軸L0に沿った方向をサドル付分水栓1Aの前後方向Yとする。上下方向Zおよび前後方向Yと直交する方向をサドル付分水栓1Aの左右方向Xとする。
【0024】
サドル5は、青銅鋳物である。サドル5は、中間部材7を介して分水栓6が取り付けられる分水栓接続部21と、分水栓接続部21から左右方向Xの一方側および他方側に向かって下側に湾曲する左右一対のサドル湾曲部22と、各サドル湾曲部22の下端部分から
外側に延びる左右一対のサドルフランジ部23と、を備える。
【0025】
分水栓接続部21は、小径筒部25と、小径筒部25の下方Z1に連続する大径筒部26と、を備える。大径筒部26の内径寸法は小径筒部25の内径寸法よりも大きい。また、大径筒部26の外径寸法は小径筒部25の外径寸法よりも大きい。小径筒部25の中心孔および大径筒部26の中心孔は、サドル5を上下方向Zに貫通するサドル貫通孔27である。サドル5が配水管2に重ねられたときに、サドル貫通孔27と取水孔4とは、上下方向Zで重なる。サドル貫通孔27は、小径筒部25の内周面である小径内周面28と、大径筒部26の内周面である大径内周面29と、小径筒部25の小径内周面28と大径筒部26の大径内周面29とを接続する環状面30と、を備える。環状面30は下方Z1を向いている。小径筒部25の内周面にはサドル側雌ねじ31が設けられている。
【0026】
一対のサドル湾曲部22は、それぞれ大径筒部26の下端部分から左右方向Xに延びる。各サドル湾曲部22は、板状であり、配水管2の外周面に沿って湾曲する。一対のサドルフランジ部23のそれぞれには、サドル締結具12を挿入するための締結具貫通孔33が設けられている。
【0027】
中間部材7は、青銅鋳物、或は、ステンレス鋼製である。中間部材7は、サドル貫通孔27に挿入される筒部35と、サドル5に固定される固定部36と、を備える。筒部35は、上端部に外周側に突出する環状突部37を備える。筒部35の内周面には中間部材側雌ねじ38(雌ねじ)が設けられている。中間部材側雌ねじ38のピッチは1mmから2mmである。筒部35の外周面には、中間部材側雄ねじ39が設けられている。中間部材側雄ねじ39は、筒部35がサドル貫通孔27に挿入される際に、サドル側雌ねじ31に捩じ込まれる。中間部材7の中間部材側雄ねじ39は、サドル5に固定される固定部36である。
【0028】
中間部材7がサドル5に固定された状態では、筒部35の環状突部37の下端面がサドル5の小径筒部25の上端面(分水栓接続部21の上端面)に当接する。筒部35の下端面は、サドル5の分水栓接続部21の環状面30と同一の高さ位置にある。
【0029】
分水栓6は、青銅鋳物である。分水栓6は、水を流出させる流出口41を備える分水栓本体部42と、分水栓本体部42から下方Z1に突出する流入管43と、を備える。分水栓本体部42の内部には、流出口41と流入管43とを連通させる不図示の流路が設けられている。流入管43は、外周面に中間部材側雌ねじ38に螺合する分水栓側雄ねじ45(雄ねじ)を有する。分水栓側雄ねじ45のピッチは、1mmから2mmである。分水栓6は、流入管43が中間部材7の筒部35にねじ込まれることにより、中間部材7を介してサドル5に取り付けられる。筒部35にねじ込まれた流入管43の軸線Lは上下方向Zに延びる。
【0030】
流入管43は、筒部35の所定の位置43Aまで捩じ込まれて、サドル貫通孔27に連通する。所定の位置43Aは、流入管43を、更に、下方Z1に捩じ込むことが可能な位置である。すなわち、流入管43が所定の位置43Aまで捩じ込まれた状態では、分水栓6の分水栓本体部42と中間部材7との間には上下方向Zで隙間が設けられている。言い換えれば、流入管43が所定の位置43Aまで捩じ込まれたときに、分水栓6と中間部材7とは、上下方向Zで当接していない。流入管43は、所定の位置43Aに捩じ込まれた状態で、筒部35から下方Z1に突出する突出部47を備える。突出部47には、軸線L回りの環状溝48が設けられている。環状溝48は分水栓側雄ねじ45の下方Z1に隣り合う位置に形成されている。
【0031】
流出口41は配水管2からの水を流入管43の軸線Lと交差する方向に流出させる。流
出口41は流入管43の軸線Lと直交する左右方向Xの一方側に向いている。流出口41には給水管3が接続される。
【0032】
パッキン8は合成ゴムなどからなる。パッキン8は円環状である。パッキン8の周方向の一部分を上下方向Zに切断した断面形状は、全体として上下方向Zに長い長方形形状である。パッキン8の内周面の上側部分には、外周側に窪むパッキン環状溝51が設けられている。パッキン8におけるパッキン環状溝51より上側の内周端部分は、流入管43の環状溝48に嵌め込まれる環状の嵌め込み部52となっている。
【0033】
パッキン8は、嵌め込み部52が環状溝48に嵌め込まれて、流入管43の突出部47に取り付けられる。また、パッキン8は流入管43の外周面に密着する。これにより、パッキン8は流入管43の外周側に支持される。従って、サドル付分水栓1Aを配水管2に重ねる際に、パッキン8が脱落することがない。
【0034】
ここで、パッキン8が突出部47に取り付けられた状態では、パッキン8の上面は、中間部材7の筒部35の下端面に接触する。また、パッキン8の上面は、サドル5の分水栓接続部21の環状面30に接触する。そして、パッキン8の上側部分は、径方向でサドル5の大径筒部26と流入管43との間に位置する。従って、流入管43の軸線L方向から見た場合に、パッキン8は、流入管43の雄ねじと中間部材7の筒部35の雌ねじとが螺合する螺合部分55、中間部材7の筒部35、およびサドル5におけるサドル貫通孔27の開口縁27aと重なる。パッキン8の下端部分は、大径筒部26から下方Z1に突出する。
【0035】
次に、サドル固定具11は、配水管2の外周面に沿って湾曲する固定具側湾曲部56と、固定具側湾曲部56の左右方向Xの両端部分から突出する左右一対の固定具側フランジ部57と、を備える。固定具側湾曲部56は、配水管2を間に挟んで、サドル5の分水栓接続部21およびサドル湾曲部22の反対側に位置する。固定具側フランジ部57はサドル5のサドルフランジ部23と対向する。固定具側フランジ部57はサドル締結具12を挿入するための固定部側貫通孔58を備える。
【0036】
サドル5とサドル固定具11とはサドル締結具12により締結される。サドル締結具12は、ボルト61およびナット62を備える。ボルト61は、固定具側フランジ部57の締結具貫通孔33を介してサドル5のサドルフランジ部23の締結具貫通孔33を上方Z2に貫通する。ナット62は、サドルフランジ部23の上方Z2からボルト61に捩じ込まれる。サドル5とサドル固定具11とがサドル締結具12により締結されると、サドル付分水栓1Aは、配水管2に固定される。
【0037】
サドル付分水栓1Aが配水管2に固定された状態を上下方向Zから見た場合には、配水管2の取水孔4とサドル5のサドル貫通孔27とは重なる。従って、中間部材7を介してサドル5に固定された分水栓6の流入管43と取水孔4とは連通する。よって、サドル付分水栓1Aを配水管2に固定することにより、配水管2を流れる水を、給水管3に分岐させることができる。
【0038】
ここで、パッキン8は、サドル5が配水管2に重ねられたときに当該配水管2に接触して取水孔4を囲む。また、パッキン8は、サドル付分水栓1Aが配水管2に固定されると、中間部材7と配水管2との間、およびサドル5の分水栓接続部21と配水管2との間、で圧縮された状態となる。ここで、パッキン8は、流入管43の軸線L方向から見た場合に、分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38とが螺合する螺合部分55、中間部材7の筒部35、中間部材側雄ねじ39とサドル側雌ねじ31との螺合部分60、およびサドル5におけるサドル貫通孔27の開口縁27aと重なっている。従って、配水管2から分
水栓6を経由して給水管3に流れる水がサドル付分水栓1Aから漏れることはない。
【0039】
(作用効果)
図3はサドル付分水栓1Aに外力が働いた場合の説明図である。サドル付分水栓1Aは配水管2および給水管3とともに地中に埋設される。従って、地震などに起因して地盤が変動すると、互いに交差する方向に延びる配水管2および給水管3に作用する外力によって、分水栓6がサドル5に対して回転しようとする場合がある。一例として、地盤の変動が大きい場合には、
図3に示すように、分水栓6は、
図1に示す埋設時の角度位置から、軸線回りLの一方側に45°、他方側に45°回転することが想定される。
【0040】
このような場合に、本例では、分水栓6は、サドル貫通孔27に挿入された中間部材7の筒部35に流入管43をねじ込むことによりサドル5に固定されている。従って、分水栓6をサドル5に固定する際にサドル貫通孔27の内壁面に雌ねじを設けて流入管43を当該サドル貫通孔27にねじ込んだ場合と比較して、流入管43の外径寸法を小さくできる。これにより、流出口41に接続された給水管3などを介して分水栓6を流入管43の軸線L回りに回転させる力が加わったときには、分水栓6が回転しやすくなる。よって、サドル付分水栓1Aに外力が加わった場合には、分水栓6が回転して、この力を逃がすことができる。従って、サドル付分水栓1Aに損傷が発生することを防止できる。
【0041】
また、流入管43は、筒部35の所定の位置43Aまで捩じ込まれており、所定の位置43Aは、流入管43を更に第1方向に捩じ込むことが可能な位置である。従って、サドル付分水栓1Aに外力が加わった場合に、分水栓6は、第1方向に移動する回転方向および第2方向に移動する回転方向の双方に回転することができる。すなわち、サドル付分水栓1Aに外力が加わった場合には、分水栓6を、埋設時の角度位置から、軸線回りLの一方側および他方側に回転させることができる。
【0042】
さらに、パッキン8は、流入管43の雄ねじと筒部35の雌ねじとが螺合する螺合部分55と重なる。従って、パッキン8によって、流入管43の雄ねじと中間部材7の筒部35の雌ねじとの螺合部分55を、止水できる。よって、分水栓6がサドル5に対して回転した場合でも、水漏れの発生を抑制できる。ここで、分水栓側雄ねじ45のピッチ、すなわち、中間部材側雌ね38のピッチは、1mmから2mmである。従って、分水栓6が埋設時の角度位置から一方側或いは他方側に45°回転した場合でも、分水栓6の軸線L方向への移動は、0.5mm以下であり、僅かである。よって、分水栓6がサドル5に対して回転した場合でも、水漏れの発生を防止できる。
【0043】
(変形例1)
ここで、
図1に二点鎖線で示すように、中間部材側雄ねじ39とサドル側雌ねじ31との螺合部分60に塗布されて中間部材7とサドル5とを接着する第1接着剤63を備えるとともに、分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38との螺合部分55に塗布されて分水栓6とサドル5とを接着する第2接着剤64を備えることができる。第2接着剤64は、第1接着剤63よりも接着力が弱いものを用いる。
【0044】
このようにすれば、中間部材7とサドル5とを確実に固定できる。この一方で、サドル付分水栓1Aに外力が加わった場合に、分水栓6が回転して、この力を逃がすことができる。従って、サドル付分水栓1Aに損傷が発生することを防止できる。なお、第1接着剤63を用いる場合に、第2接着剤64を省略してもよい。
【0045】
また、分水栓6の流入管43と中間部材7の筒部35との間に配置された弾性の環状シール部材を有してもよい。
図4は、環状シール部材を有する変形例のサドル付分水栓の説明図である。なお、変形例のサドル付分水栓1Bは、実施例1のサドル付分水栓1Aと対
応する構成を備えるので、環状シール部材65および環状シール部材65の配置を説明して、他の説明は省略する。
【0046】
図4に示すように、本例では、中間部材7は、筒部35の内周面の上端部分に環状の切欠き部66を備える。切欠き部66は、内周側を向く切欠き部環状壁66aと、切欠き部環状壁66aの下端から内周側に延びる切り欠き部環状面66bと、を備える。切り欠き部環状面66bは上方Z2(第2方向)を向く。また、分水栓6の外周面における分水栓側雄ねじ45の上方Z2に隣り合う位置には、第2の環状溝67が設けられている。環状溝48には、弾性の環状シール部材65が取り付けられている。環状シール部材65は、弾性部材であり、例えば、Oリングである。Oリングは、第2の環状溝67に取り付けられた状態で、その外周側部分が分水栓側雄ねじ45よりも外周側に突出する。
【0047】
流入管43が所定の位置43Aまで筒部35に捩じ込まれた状態では、環状シール部材65は、上下方向Zから見た場合に、分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38とが螺合する螺合部分55と重なる。また、環状シール部材65は、流入管43と中間部材7との間で径方向に圧縮される。すなわち、環状シール部材65は、流入管43における第2の環状溝67の底面(内周側の壁面)と、中間部材7における切欠き部環状壁66aと、の間に挟まれて、径方向に圧縮される。
【0048】
本例では、環状シール部材65とパッキン8とによって分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38との螺合部分55を止水する。従って、分水栓6が中間部材7に対して回転した場合でも、水漏れが発生することがない。
【0049】
(実施例2)
図5は、実施例2のサドル付分水栓の平面図である。
図6は実施例2のサドル付分水栓の説明図である。
図6において、サドル付分水栓の中心線の左側はサドル付分水栓の外観図であり、右側は部分断面図である。本例のサドル付分水栓1Cは、実施例1のサドル付分水栓1Cと対応する構成を備える。従って、対応する部分には同一の符号を付して、説明する。
【0050】
図5、
図6に示すように、サドル付分水栓1Cは、配水管2に重ねられたサドル5と、分水栓6と、サドル5と分水栓6との間に位置する中間部材7と、環状シール部材65と、パッキン8と、を備える。また、サドル付分水栓1Cは、配水管2を間に挟んでサドル5とは反対側に位置するサドル固定具11と、サドル5とサドル固定具11とを締結するサドル締結具12を備える。
【0051】
サドル5は、青銅鋳物である。
図6に示すように、サドル5は、中間部材7を介して分水栓6が取り付けられる分水栓接続部21と、分水栓接続部21から左右方向Xの一方側および他方側に向かって下側に湾曲する左右一対のサドル湾曲部22と、各サドル湾曲部22の下端部分から外側に延びる左右一対のサドルフランジ部23と、を備える。
【0052】
図5に示すように、分水栓接続部21を上下方向Zから見た形状は正方形形状である。
図6に示すように、分水栓接続部21は、中心に上下方向Zに貫通する円形のサドル貫通孔27を備える。サドル貫通孔27は、円形の上側内周面71と、上側内周面71の下方Z1で上側内周面71よりも内径寸法が大きい円形の下側内周面72と、上側内周面71と下側内周面72とを接続する環状面73と、によって規定されている。すなわち、分水栓接続部21は、上側内周面71、下側内周面72および環状面73によって規定されたサドル貫通孔27を備える。環状面73は下方Z1を向いている。ここで、分水栓接続部21の上端面、すなわち、分水栓接続部21においてサドル貫通孔27の外周側に位置する部分は、中間部材7が固定されるサドル側固定部74である。
【0053】
一対のサドル湾曲部22は、分水栓接続部21の下端部分から左右方向Xに延びる。各サドル湾曲部22は、板状であり、配水管2の外周面に沿って湾曲する。一対のサドルフランジ部23のそれぞれには、サドル締結具12を挿入するための締結具貫通孔33が設けられている。
【0054】
中間部材7は、青銅鋳物、或は、ステンレス鋼製である。中間部材7は、サドル貫通孔27に挿入される筒部35と、筒部35の上端部分から外周側に広がる正方形形状のフランジ部75と、筒部35およびフランジ部75の上面から上方Z2に突出する円形の環状突出部分76と、を備える。中間部材7のフランジ部75は、サドル5に固定される固定部36である。筒部35の内周面には、中間部材側雌ねじ38(雌ねじ)が設けられている。上下方向Zから見た場合に、環状突出部分76は、中間部材側雌ねじ38を外周側から囲む。筒部35は、環状突出部分76の内周側に環状面35aを備える。
【0055】
中間部材7は、フランジ部75がサドル5の分水栓接続部21の上面(サドル側固定部74)に載せられ、ボルト78によってサドル5に固定される。中間部材7がサドル5に固定された状態では、筒部35の下端面は、分水栓接続部21の環状面73と同一の高さ位置にある。
【0056】
分水栓6は、水を流出させる流出口41を備える分水栓本体部42と、分水栓本体部42から下方Z1に突出する流入管43と、を備える。分水栓本体部42の内部には、流出口41と流入管43とを連通させる不図示の流路が設けられている。流入管43は、外周面に中間部材側雌ねじ38に螺合する分水栓側雄ねじ45(雄ねじ)を有する。分水栓側雄ねじ45のピッチは、1mmから2mmである。また、分水栓6は、流入管43の外周面の分水栓側雄ねじ45の上方Z2に隣り合う位置に、上側環状溝80(第2の環状溝)を備える。環状溝48には、弾性の環状シール部材65が取り付けられている。環状シール部材65は、例えば、Oリングである。Oリングは、上側環状溝80に取り付けられた状態で、その外周側部分が分水栓側雄ねじ45よりも外周側に突出する。
【0057】
分水栓6は、流入管43が中間部材7の筒部35にねじ込まれることにより、サドル5に取り付けられる。流入管43が筒部35にねじ込まれた状態で、流入管43の軸線Lは上下方向Zに延びる。
【0058】
流入管43は、筒部35の所定の位置43Aまで捩じ込まれている。所定の位置43Aは、流入管43を、更に、下方Z1に捩じ込むことが可能な位置である。流入管43は、所定の位置43Aに捩じ込まれた状態で、筒部35から下方Z1に突出する突出部47を備える。突出部47には、軸線L回りの環状溝48が設けられている。環状溝48は分水栓側雄ねじ45の下方Z1に隣り合う位置に形成されている。
【0059】
また、流入管43が所定の位置43Aまで捩じ込まれた状態では、環状シール部材65は、上下方向Zから見た場合に、分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38とが螺合する螺合部分55と重なる。また、環状シール部材65は、流入管43と中間部材7との間で径方向に圧縮される。すなわち、環状シール部材65は、流入管43における上側環状溝80の底面(内周側の壁面)と、中間部材7における環状突出部分76と、の間に挟まれて、径方向に圧縮される。
【0060】
流出口41は配水管2からの水を流入管43の軸線Lと交差する方向に流出させる。本例では、流出口41は、流入管43の軸線Lと直交する方向に向いている。流出口41には、給水管3が接続される。
【0061】
パッキン8は、円環状であり、合成ゴムなどからなる。パッキン8の周方向の一部分を上下方向Zに切断した断面形状は、全体として上下方向Zに長い長方形形状である。パッキン8の内周面の上側部分には、外周側に窪むパッキン環状溝51が設けられている。パッキン8におけるパッキン環状溝51より上側の内周端部分は、流入管43の環状溝48に嵌め込まれる環状の嵌め込み部52となっている。
【0062】
パッキン8は、嵌め込み部52が環状溝48に嵌め込まれて、流入管43の突出部47に取り付けられる。また、パッキン8は流入管43の外周面に密着する。これにより、パッキン8は流入管43の外周側に支持される。従って、サドル付分水栓1Cを配水管2に重ねる際に、パッキン8が脱落することがない。
【0063】
ここで、パッキン8が突出部47に取り付けられた状態では、パッキン8の上面は、中間部材7の筒部35の下端面に接触する。また、パッキン8の上面は、サドル5の分水栓接続部21の環状面73に接触する。そして、パッキン8の上側部分は、径方向でサドル5の下側内周面72と流入管43との間に位置する。従って、流入管43の軸線L方向から見た場合に、パッキン8は、流入管43の雄ねじと中間部材7の筒部35の雌ねじとが螺合する螺合部分55、中間部材7の筒部35、およびサドル5におけるサドル貫通孔27の開口縁27aと重なる。パッキン8の下端部分は、分水栓接続部21よりも下方Z1に突出する。
【0064】
次に、サドル固定具11は、配水管2の外周面に沿って湾曲する固定具側湾曲部56と、固定具側湾曲部56の左右方向Xの両端部分から突出する左右一対の固定具側フランジ部57と、を備える。固定具側湾曲部56は、配水管2を間に挟んで、サドル5の分水栓接続部21およびサドル湾曲部22の反対側に位置する。固定具側フランジ部57はサドル5のサドルフランジ部23と対向する。固定具側フランジ部57はサドル締結具12を挿入するための固定部側貫通孔58を備える。
【0065】
サドル5とサドル固定具11とはサドル締結具12により締結される。サドル締結具12は、ボルト61およびナット62を備える。ボルト61は、固定具側フランジ部57の締結具貫通孔33を介してサドル5のサドルフランジ部23の締結具貫通孔33を上方Z2に貫通する。ナット62は、サドルフランジ部23の上方Z2からボルト61に捩じ込まれる。サドル5とサドル固定具11とがサドル締結具12により締結されると、サドル付分水栓1Aは、配水管2に固定される。
【0066】
サドル付分水栓1Cが配水管2に固定された状態を上下方向Zから見た場合には、配水管2の取水孔4とサドル5のサドル貫通孔27とは重なる。従って、中間部材7を介してサドル5に固定された分水栓6の流入管43と取水孔4とが連通する。よって、サドル付分水栓1Cを配水管2に固定することにより、配水管2を流れる水を、給水管3に分岐させることができる。
【0067】
ここで、パッキン8は、サドル5が配水管2に重ねられたときに当該配水管2に接触して取水孔4を囲む。また、パッキン8は、サドル付分水栓1Cが配水管2に固定されると、中間部材7と配水管2との間、および、サドル5の分水栓接続部21と配水管2との間で、圧縮された状態となる。ここで、パッキン8は、流入管43の軸線L方向から見た場合に、分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38とが螺合する螺合部分55、中間部材7の筒部35、およびサドル5におけるサドル貫通孔27の開口縁27aと重なっている。従って、配水管2から分水栓6を経由して給水管3に流れる水がサドル付分水栓1Cから漏れることはない。また、本例では、環状シール部材65とパッキン8とによって分水栓側雄ねじ45と中間部材側雌ねじ38との螺合部分55を止水する。従って、分水栓6がサドル5に対して回転した場合でも、水漏れの発生を確実に防止できる。
【0068】
本例においても、互いに交差する方向に延びる配水管2および給水管3に作用する外力によって、分水栓6がサドル5に対して回転しようとした場合には、分水栓6が回転して、この力を逃がすことができる。従って、サドル付分水栓1Cに損傷が発生することを防止できる。
【0069】
なお、本例において、環状シール部材65は、省略することができる。
【0070】
(実施例3)
上記のサドル付分水栓1A、1B、1Cにおいて、中間部材7と分水栓6との相対回転を防止する回転防止機構を有してもよい。
図7(a)は実施例3のサドル付分水栓の平面図であり、
図7(b)はサドル付分水栓の実施例3の説明図である。なお、本例のサドル付分水栓1Dは、回転防止機構81を除く他の構成は、実施例1のサドル付分水栓1Aと同一である。従って、回転防止機構81を説明して、他の説明を省略する。また、
図7において、サドル固定具11の図示を省略する。
【0071】
図7に示すように、回転防止機構81は、中間部材7に設けられた中間部材側係止部82と、分水栓6に設けられた分水栓側係止部83と、中間部材側係止部82および分水栓側係止部83に着脱可能に係止されて中間部材7と分水栓6との相対回転を防止する係止部材84と、を備える。
【0072】
分水栓側係止部83は、分水栓本体部42の下端部分から流入管43の軸線Lと直交する方向に平行に突出する2つの突起85を備える。2つの突起85は、流出口が左右方向の一方を向いている状態で、前後方向に突出する。中間部材側係止部82は、中間部材7の上面に設けられた係止孔86である。上下方向から見た場合に、2つの突起85の間の隙間と係止孔86とは重なる。係止部材84は、上方から下方に向かって大径軸部84aと、大径軸部84aよりも外径寸法の小さい小径軸部84bとをこの順に備える。大径軸部84aは、2つの突起85の間に着脱可能に挿入可能である。小径軸部84bは係止孔86に着脱可能に挿入可能である。
【0073】
本例では、配水管2および給水管3に対してサドル付分水栓1Dを設置する施工時には、係止部材84を中間部材側係止部82および分水栓側係止部83に係止して中間部材7と分水栓6とが相対回転することを防止する。また、サドル付分水栓1Cを配水管2および分水栓6とともに地中に埋設する際には、係止部材84を中間部材側係止部82および分水栓側係止部83から取り外す。従って、地中に埋設されたサドル付分水栓1Cに外力が加わったときに分水栓6が回転して、この力を逃がすことができる。よって、サドル付分水栓1Cに損傷が発生することを防止できる。
【0074】
なお、パッキン8は、流入管43に嵌め込まれて流入管43の外周面に密着していれば、螺合部分55を止水できる。従って、流入管43のパッキン環状溝51およびパッキン8の嵌め込み部52は省略してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1A、1B、1C、1D…サドル付分水栓、2…配水管、3…給水管、4…取水孔、5…サドル、6…分水栓、7…中間部材、8…パッキン、11…サドル固定具、12…サドル締結具、21…分水栓接続部、22…サドル湾曲部、23…サドルフランジ部、25…小径筒部、26…大径筒部、27…サドル貫通孔、27a…サドルにおけるサドル貫通孔の開口縁、28…小径内周面、29…大径内周面、30…環状面、33…締結具貫通孔、35…筒部、35a…環状面、36…固定部、37…環状突部、41…流出口、42…分水栓本体部、43…流入管、43A…流入管の所定の位置、47…突出部、48…環状溝、
51…パッキン環状溝、52…嵌め込み部、55…螺合部分、56…固定具側湾曲部、57…固定具側フランジ部、58…固定部側貫通孔、60…螺合部分、61…ボルト、62…ナット、63…第1接着剤、64…第2接着剤、65…環状シール部材、66…切欠き部、66a…切欠き部環状壁、66b…切り欠き部環状面、67…第2の環状溝、71…上側内周面、72…下側内周面、73…環状面、74…サドル側固定部、75…フランジ部、76…環状突出部分、78…ボルト、80…上側環状溝、81…回転防止機構、82…中間部材側係止部、83…分水栓側係止部、84…係止部材、84a…大径軸部、84b…小径軸部、85…突起、86…係止孔。