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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20230404BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20230404BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20230404BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20230404BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20230404BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230404BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20230404BHJP
   F24F 110/22 20180101ALN20230404BHJP
   F24F 110/64 20180101ALN20230404BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F3/044
F24F7/06 B
G06F1/16 311A
G06F1/20 C
H05K7/20 G
H05K7/20 K
F24F110:12
F24F110:22
F24F110:64
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019086829
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020183819
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507225562
【氏名又は名称】株式会社アイピーコア研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】品川 雅之
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009715(JP,A)
【文献】特開2007-019256(JP,A)
【文献】特開2013-148254(JP,A)
【文献】特開昭52-079543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/46
F24F 3/044
F24F 7/06
G06F 1/16
G06F 1/20
H05K 7/20
F24F 110/12
F24F 110/22
F24F 110/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を空調対象室に直接取り入れる直接外気空調運転と、前記外気を前記空調対象室に間接的に取り入れる間接外気空調運転とに切替可能な空調装置であって、
箱状に形成され、前記外気を取り入れる側に臨む第1室と前記空調対象室側に臨む第2室とに仕切る仕切部が設けられた空調装置本体と、
前記空調装置本体を通して前記空調対象室に取り込まれる、少なくとも外気の温度、湿度、粉塵、ガス量を検出する検出手段と、
前記仕切部に設置され、前記検出手段により検出された外気の温度、湿度、粉塵、ガス量があらかじめ設定された閾値を超えないときに開け、前記閾値を超えたときに閉じる開閉部材と、
前記空調装置本体内において前記仕切部と交差するように前記第1室及び前記第2室に臨み、前記外気の温度と前記冷却すべき前記空調対象室の内気の温度を熱交換して冷却可能に設置された熱交換器と、
外気温が一定温度以下の通常運転時は前記開閉部材を閉じて前記熱交換器を介して冷却された前記内気を前記空調対象室内に導入する前記間接外気空調運転により冷却するように切替制御するとともに、前記外気温が一定温度を超えて前記検出手段により検出された外気の温度、湿度、粉塵、ガス量があらかじめ設定された閾値を超えないときには前記開閉部材を開けて前記外気を前記空調対象室内に導入してこの空調対象室内を前記直接外気空調運転により冷却するように切替制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記第1室に第1開口部が形成され、この第1開口部に前記外気を導入する外気導入ファンが設置され、この外気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記第2室に第2開口部が形成され、この第2開口部に前記空調対象室内の内気を前記第2室に導入する内気導入ファンが設置され、この内気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記第2室に除湿及び加湿機能を備えた補助水冷板がさらに設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータセンタ内のサーバ等のIT(Information Technology)機器の発熱を外気空調により冷却する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クラウド、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、AI(Artificial Intelligence)等、ITの進化は人々に豊かな生活を与えるとともに、人々が気付かなかった無駄を高効率に変革し益々進歩している。今日のITは大半がデータセンタで稼働している。
【0003】
しかしながら、豊かさや高高効率と引換えにデータセンタの電力は増加の一途で、世界総電力エネルギの2%を超え(日本の総電力の次に大きい国家級の電力消費)、さらに年間10%の増加している。つまり、データセンタの電力エネルギを下げることはCO削減と同じ位重要なテーマである。電力は相応の熱を発生しデータセンタの冷却方法は大きく分けて二種類あり、機械式空調と外気空調である。
【0004】
機械式空調は、発熱した暖気を熱交換器で熱を吸収し、この吸収した熱をコンプレッサ+代替フロンの圧縮冷媒で冷却する方式(家庭エアコンと同じ空冷空調)とチラーと呼ぶ冷凍機を使い、冷たい水を作りその冷水で冷却する方式(水冷空調)がある。
【0005】
データセンタのエネルギ効率は「PUE(Power Usage Effectiveness)」と言う指標で表される。PUEは1.0が理想値で2.0は消費するIT機器電力と同量の電力消費で冷却していることを表す。機械式空調は最良でPUE=1.5程度であるが現実値は2.0から2.5の悪いデータセンタも多く存在する。数値で見ると実感がないが、10MW(1万kw)の大型データセンタでは20円/kwとすると、PUE=1.0では17.5億円/年の電気料金に対しPUE=2.5の機械式空調を使った電力料金は43.7億円/になり、無駄な電気料金を支払うのと、無駄な発電を強いていることが分かる。そこで、大型のデータセンタを中心に外気空調が求められた。
【0006】
外気空調は、空調装置電力を最小にするために最善の選択肢である。外気空調には、直接外気空調方式と間接外気空調方式の2方式がある。直接外気空調方式は、外気冷熱を室内に直接取込んで冷却している。実際には室内空気を冷却するのではなく、常に室内空気を外気と交換し見かけ上冷却したように見える方式である。直接外気空調は、外気に含まれる粉塵、ガス、水分、塩分等が全て室内に入るという不具合があり、これらはフィルターである程度は取り除くことができるものの、完全に除去することは困難である。特に水分を除去することが困難であるとともに、冬の冷たい外気を直接取り込めず、発熱した空気と外気とを混気する複雑な制御設備が必要となる。日本では一日の温湿度差が激しく、また西日本では黄砂やPM2.5の影響を受けやすく、直接外気空調を採用することは、電力性能上、最良であるが元来困難であった。
【0007】
そこで、この直接外気空調の不具合を解消するのが間接外気空調方式である。この間接外気空調は、発熱した暖気を熱交換器で熱を吸収し(ここまでは機械式空調と同じ)、この吸収した熱を外気で冷却し、冷却した熱交換器から冷気を放出するようにしている。間接外気空調では、室内の空気は常に同じ空気を使用し、外気は冷却のみに使用することから、外気の影響は全く受けない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-117737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した間接外気空調では、外気温度以下に温度を低下させることができず、外気が25℃を超えると、チラー等の別の冷熱源を必要とするため、現在は気化熱を利用した間接外気空調方式が主流である。
【0010】
この気化熱を利用した間接外気空調方式は、水を噴霧状態にして熱交換器に噴射することにより、その気化熱で熱交換効率を高めるようにしているが、気化熱は高温多湿の地域においては効率が極端に低下し、十分な性能を発揮することができないという問題があり、さらに噴霧用の水資源を確保する必要がある。
【0011】
間接外気空調は、外気温が約18℃以下の時は素晴らしい性能を発揮して機械式空調機に劣らない能力を発揮する。本州では年間総時間(1年で8760時間)の約70%が18℃以下である。さらに、最新のIT機器の多くは、従来の28℃耐久ではなく36℃耐久に温度耐性が強化されている。35℃のIT機器を使えば外気温が25℃程度までは間接外気空調で運用することができる。外気温が25℃以上になるのは年間の25%程度である。この15%の約1300時間のためだけに、間接外気空調でも気化熱冷却装置やチラーが必要になる。すなわち、1年間の85%は使用しないのに投資して設置し、その期間のPUEが悪くてもそれで運用せざるを得ないのがデータセンタである。
【0012】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、外気温が一定温度以下の通常運転時は間接外気空調で運用し、外気温が一定温度を超えた場合に直接外気空調に自動的に切り替え、空調電力を大幅に削減可能な空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、外気を空調対象室に直接取り入れる直接外気運転と、前記外気を前記空調対象室に間接的に取り入れる間接外気運転とに切替可能な空調装置であって、箱状に形成され、前記外気を取り入れる側に臨む第1室と前記空調対象室側に臨む第2室とに仕切る仕切部が設けられた空調装置本体と、前記空調装置本体を通して前記空調対象室に取り込まれる、少なくとも外気の温度、湿度、粉塵、ガス量を検出する検出手段と、前記仕切部に設置され、前記検出手段により検出された外気の温度、湿度、粉塵、ガス量があらかじめ設定された閾値を超えないときに開け、前記閾値を超えたときに閉じる開閉部材と、前記空調装置本体内において前記仕切部と交差するように前記第1室及び前記第2室に臨み、前記外気の温度と前記冷却すべき前記空調対象室の内気の温度を熱交換して冷却可能に設置された熱交換器と、外気温が一定温度以下の通常運転時は前記開閉部材を閉じて前記熱交換器を介して冷却された前記内気を前記空調対象室内に導入する前記間接外気空調運転により冷却するように切替制御するとともに、前記外気温が一定温度を超えて前記検出手段により検出された外気の温度、湿度、粉塵、ガス量があらかじめ設定された閾値を超えないときには前記開閉部材を開けて前記外気を前記空調対象室内に導入してこの空調対象室内を前記直接外気空調運転により冷却するように切替制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記第1室に第1開口部が形成され、この第1開口部に前記外気を導入する外気導入ファンが設置され、この外気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記第2室に第2開口部が形成され、この第2開口部に前記空調対象室内の内気を前記第2室に導入する内気導入ファンが設置され、この内気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の構成に加え、前記第2室に除湿及び加湿機能を備えた補助水冷部材がさらに設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、外気温が一定温度以下の通常運転時は開閉部材を閉じて熱交換器を介して冷却された内気を空調対象室内に導入する間接外気空調運転により冷却するように切替制御するとともに、外気温が一定温度を超えて検出手段により検出された外気の温度、湿度、粉塵量があらかじめ設定された閾値を超えないときに開閉部材を開けて外気を空調対象室内に導入してこの空調対象室内を直接外気空調運転により冷却するように切替制御するため、空調電力を大幅に削減することが可能になる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、第1室の第1開口部に外気を導入する外気導入ファンを設置し、この外気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることにより、必要な冷却能力を達成するためにファン回転数をプログラム又はAIで制御しファンの無駄な電力をも排除されているので、第1室に外気を効率よく導入することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、第2室の第2開口部に空調対象室内の内気を第2室に導入する内気導入ファンが設置され、この内気導入ファンの回転数が制御手段により制御されることにより、必要な冷却能力を達成するためにファン回転数をプログラム又はAIで制御しファンの無駄な電力をも排除されているので、第2室に空調対象室内の内気を効率よく導入することができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、第2室に除湿及び加湿機能を備えた補助水冷板がさらに設けられているので、外部熱源を併用することで、空調対象室内に送る空気温度を一段と冷却することが可能になるとともに、湿度を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る空調装置において間接外気空調運転時の状態を示す概略構成図である。
図2図1の空調装置において直接外気空調運転時の状態を示す概略構成図である。
図3図1の空調装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4図3の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1図4には、本発明の実施形態を示す。図1は、本発明の実施形態に係る空調装置において間接外気空調運転時の状態を示す概略構成図である。図2は、図1の空調装置において直接外気空調運転時の状態を示す概略構成図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態の空調装置本体10は、全体形状が直方体の箱状に形成されている。なお、直方体は、便宜上記載した形状であって形状が意味をなすものではなく、球体や多面体でも可能である。
【0025】
空調装置本体10は、外気を取り入れる側に臨む第1室11と空調対象室としてのデータセンタのサーバ室13側に臨む第2室12とを有する。これら第1室11と第2室12とは、仕切部14によって対角線状に仕切られている。
【0026】
仕切部14には、連通口14aが形成され、この連通口14aには、図2に示すように第1室11と第2室12との間において開閉部材としてのシャッタ15が開閉可能に設置されている。具体的に、シャッタ15は、巻き取り、繰り出し可能に構成され、後述するシャッタ開閉用モータを駆動することにより、一端から他端に向けて巻き取って開くとともに、他端から一端に向けて繰り出して閉じられる。このシャッタ15を開くことで、第1室11と第2室12との間は、連通口14aを通して連通状態となり、また閉じることで閉止状態となる。なお、図1ではシャッタ15の図示を省略している。
【0027】
シャッタ15は、直接外気空調運転時に開いて連通口14aを通して連通状態となり、間接外気空調運転時に連通口14aを閉じて閉止状態となる。ここで、本実施形態における直接外気空調運転とは、外気を空調対象室としてのサーバ室13内に直接導入する運転である。また、間接外気空調運転とは、外気を取り入れて後述するヒートパイプで熱交換してサーバ室13に間接的に外気冷熱を取り入れる運転である。
【0028】
空調装置本体10の内部には、仕切部14と交差するように熱交換器としてのヒートパイプ16が設置されている。このヒートパイプ16を境界として、第1室11が第3室17と第4室18とに区分けされる。同様に、第2室12もヒートパイプ16を境界として、第5室21と第6室22とに区分けされる。第2室12の第5室21内には、補助水冷板19が設置されている。この補助水冷板19は、第5室21内を流通する外気と、ヒートパイプ16によって熱交換されて冷却された内気をさらに冷却するとともに、湿度調整のための加湿、除湿機能を併せて備えている。
【0029】
第3室17と第4室18、第5室21と第6室22は、それぞれ空気が流通可能な連通状態にある。第3室17、第4室18、第5室21、及び第6室22には、それぞれ開口部17a,18a,21a,22aが形成されている。第3室17の開口部17aは、本実施形態の第1開口部を構成し、第6室22の開口部22aは、本実施形態の第2開口部を構成する。
【0030】
第3室17の開口部17aには、外気を導入するための外気導入ファン23が設置されている。この外気導入ファン23は、外気導入ファン駆動用モータ32を駆動することで、回転駆動する。また、第6室22の開口部22aには、サーバ室13内の内気を第2室12の第6室22内に導入するための内気導入ファン24が設置されている。この内気導入ファン24は、内気導入ファン駆動用モータ34を駆動することで、回転駆動する。サーバ室13には、第1開口部13aと、第2開口部13bが設けられている。
【0031】
第5室21の開口部21aと、サーバ室13の第1開口部13aは、第1連通路25を介して接続されて互いに連通状態にある。同様に、第6室22の開口部22aとサーバ室13の第2開口部13bは、第2連通路26を介して接続されて互いに連通状態にある。
【0032】
直接外気空調運転時には、図2に示すように仕切部14の連通口14aが開いており、外気導入ファン23は、第3室17の開口部17aから冷えた外気を取り入れ、仕切部14の連通口14a、第5室21の開口部21a、第1連通路25、及びサーバ室13の第1開口部13aを通してサーバ室13内に外気を直接導入するようにしている。
【0033】
また、内気導入ファン24は、直接外気空調運転時、サーバ室13内の暖まった内気を第2開口部13bから第6室22の開口部22aを通して取り入れ、仕切部14の連通口14a、第4室18の開口部18aを通して空調装置本体10の外部に排出する。
【0034】
間接外気空調運転時には、図1に示すように仕切部14の連通口14aが閉じており、外気導入ファン23は、第3室17の開口部17aから冷えた外気を取り入れ、ヒートパイプ16で熱交換して暖まった外気を第4室18の開口部18aから空調装置本体10の外部に排出する。
【0035】
また、内気導入ファン24は、間接外気空調運転時、サーバ室13内の暖まった内気を第2開口部13bから第6室22の開口部22aを通して取り入れ、ヒートパイプ16で熱交換して冷たくなった内気を第5室21の開口部21a、第1連通路25を通してサーバ室13の第1開口部13aからサーバ室13内に戻すようにしている。すなわち、間接外気空調運転時、内気導入ファン24は、サーバ室13と空調装置本体10の第2室12との間で内気を循環させるようにしている。
【0036】
次に、本実施形態の制御系の構成を説明する。
【0037】
図3は、図1の空調装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の空調装置は、検出手段としてのセンサ群30、切替制御手段としての制御装置31、外気導入ファン駆動用モータ32、モータ駆動装置33、内気導入ファン駆動用モータ34、モータ駆動装置35、シャッタ開閉用モータ36、及びシャッタ駆動装置37を備える。
【0039】
センサ群30は、図1及び図2に示すように外気導入ファン23の近傍に設置さている。センサ群30は、図3に示すように外気温度センサ30a、外気湿度センサ30b、及び外気粉塵センサ30c、及び外気空気品質(ガス)センサ30dを備えている。
【0040】
また、センサ群30は、空調装置本体10内に設置された複数の内気1温度センサ38a…、内気1温度センサ38n、複数の内気1湿度センサ39a…、内気1湿度センサ39nと、サーバ室13内に設置されたサーバ室温度センサ40a、サーバ室湿度センサ40bとを備えている。
【0041】
制御装置31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Disk)、I/O(Input / Output)等を備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成された制御装置である。
【0042】
このうち、上記ROM、フラッシュメモリやSSDは、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを記憶する。上記RAMは、データを一時的に格納する。上記CPUは、上記フラッシュメモリやSSDにインストールされているプログラムを実行することで各機能を実現する。
【0043】
また、ネットワークを接続することで、本冷却装置本体10とグループ内他空調装置本体10Nとで冷却装置本体同士の連携処理や設備上位システム42との強調動作、又はクラウドシステム43と連結することでより高機能な処理(例えばAI処理)やクラウドシステム43側で本装置の全ての制御を行うことが可能になる。
【0044】
制御装置31は、センサ群30の外気温度センサ30a、外気湿度センサ30b、及び外気粉塵センサ30c、及び外気空気品質(ガス)センサ30dによって検出された温度、湿度、粉塵、空気品質の各データを入力し、これらのデータと比較するため、温度データ、湿度データ、粉塵データ及び空気品質データのあらかじめ設定された閾値データと稼働しながら溜まったデータが記憶装置に記憶されている。なお、上記各データは、上記SSDのデータベースやクラウド上に記憶するようにしてもよい。上記閾値データは、例えば外気がサーバ室13内の機器に悪影響を与えないような値に設定し、稼働状況を常に記憶して最適な閾値を提供する。
【0045】
外気導入ファン駆動用モータ32は、モータ駆動装置33によって駆動し、内気導入ファン駆動用モータ34は、モータ駆動装置35によって駆動する。シャッタ15は、シャッタ開閉用モータ36によって開閉駆動し、このシャッタ開閉用モータ36は、シャッタ駆動装置37によって駆動する。
【0046】
次に、本実施形態の制御系の動作を説明する。
【0047】
図4は、図3の制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、外気温度センサ30a、外気湿度センサ30b、外気粉塵センサ30c、及び外気空気品質センサ30dは、それぞれ外気温度、外気湿度、外気の粉塵量、及び空気品質を検出する(ステップS1)。これらの温度データ、湿度データ、粉塵データ、及び空気品質データがそれぞれ制御装置31に出力される。
【0049】
制御装置31は、これらの温度データ、湿度データ、粉塵データ、及び空気品質データを入力する。制御装置31は、外気温度があらかじめ設定された一定温度以下か否かを判定し、一定温度以下の場合(ステップS2:YES)には、ステップS3に進む。また、一定温度を超えた場合(ステップS2:NO)には、ステップS5に進む。
【0050】
ステップS3,S4では、シャッタ15を閉止し、間接空調プログラム動作を実行し、間接外気空調運転を行う。この間接外気空調運転では、ヒートパイプ16を介して冷却された内気をサーバ室13内に導入して室内を冷却するようにしている。
【0051】
ステップS2で一定温度を超えた場合には、ステップS5に進み、外気の湿度、粉塵量、及び空気品質があらかじめ設定された閾値以下か否かを判定する。ステップS5で外気の温度、湿度、粉塵量、及び空気品質があらかじめ設定された閾値以下の場合(ステップS5:YES)には、ステップS6でシャッタ15を開放し、直接空調プログラム動作を実行し、直接外気空調運転を行う(ステップS7)。この直接外気空調運転では、外気をサーバ室13内に直接導入してサーバ室13内を冷却するようにしている。
【0052】
ステップS5で外気の温度、湿度、粉塵量、及び空気品質があらかじめ設定された閾値を超えている場合(ステップS5:NO)には、ステップS8に進む。ステップS8では、短時間であるならば直接空調動作が可能であるか否かを判定する。直接空調動作が可能である場合(ステップS8:YES)には、ステップS6に進み、上記と同様の処理を実行する。
【0053】
ステップS8で短時間であるならば直接空調動作が可能でない場合(ステップS8:NO)には、ステップS9に進む。ステップS9では、補助水冷板19による冷却及び湿度調整を行う補助冷熱プログラム動作を実行した後、ステップS6に進み、上記と同様の処理を実行する。
【0054】
そして、ステップS4の間接空調プログラム動作又はステップS7の直接空調プログラム動作が終了した後は、運転を停止しない場合(ステップS10:NO)には、ステップS1に戻り、再び上記と同様の処理を実行する。また、運転を停止する場合(ステップS10:YES)には、全体の処理を終了する。
【0055】
このように本実施形態によれば、外気温が一定温度以下の通常運転時はシャッタ15を閉じてヒートパイプ16を介して冷却された内気をサーバ室13内に導入する間接外気空調運転により冷却するように切替制御するとともに、外気温が一定温度を超えてセンサ群30の外気温度センサ30a、外気湿度センサ30b、外気粉塵センサ30c及び外気空気品質センサ30dにより検出された外気の温度、湿度、粉塵量、及び空気品質があらかじめ設定された閾値を超えないときにシャッタ15を開けて外気をサーバ室13内に導入してこのサーバ室13内を直接外気空調運転により冷却するように切替制御するため、空調電力を大幅に削減することが可能になる。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1室11の第3室17の第1開口部17aに外気を導入する外気導入ファン23が設置し、この外気導入ファン23の回転数が制御装置31により制御されることにより、必要な冷却能力を達成するためにファン回転数をプログラム又はAIで制御しファンの無駄な電力をも排除されているので、第1室に外気を効率よく導入することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第2室12の第6室22の開口部22aにサーバ室13内の内気を第2室12に導入する内気導入ファン24が設置され、この内気導入ファン24の回転数が制御手段により制御されることにより、必要な冷却能力を達成するためにファン回転数をプログラム又はAIで制御しファンの無駄な電力をも排除されているので、第2室に空調対象室内の内気を効率よく導入することができる。ているので、第2室12にサーバ室13内の内気を効率よく導入することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第2室12に除湿及び加湿機能を備えた補助水冷板19がさらに設けられているので、外部熱源を併用することで、空調対象室内に送る空気温度を一段と冷却することが可能になるとともに、湿度を一定に保つことができる。
【0059】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、センサ群30として外気温度センサ30a、外気湿度センサ30b、外気粉塵センサ30c、及び外気空気品質センサ30dを設けて外気の温度、湿度、粉塵、ガス量を検出する例について説明したが、これに限定することなく、例えば塩分濃度等を検出し、あらかじめ設定された閾値と比較するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、熱交換器としてヒートパイプ16を用いた例について説明したが、これに限らず熱交換可能なものであれば、他のものであってもよい。
【0062】
さらに、上述した実施形態では、空調対象室としてデータセンタのサーバ室13に適用した例について説明したが、これ以外に例えば各種工場にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 空調装置本体
10N グループ内他空調装置本体
11 第1室
12 第2室
13 サーバ室
13a 第1開口部
13b 第2開口部
14 仕切部
14a 連通口
15 シャッタ(開閉部材)
16 ヒートパイプ(熱交換器)
17 第3室
17a 開口部(第1開口部)
18 第4室
18a 開口部
19 補助水冷板
21 第5室
21a 開口部
22 第6室
22a 開口部(第2開口部)
23 外気導入ファン
24 内気導入ファン
25 第1連通路
26 第2連通路
30 センサ群
30a 外気温度センサ(検出手段)
30b 外気湿度センサ(検出手段)
30c 外気粉塵センサ(検出手段)
30d 外気空気品質センサ(検出手段)
31 制御装置(制御手段)
32 外気導入ファン駆動用モータ
33 モータ駆動装置
34 内気導入ファン駆動用モータ
35 モータ駆動装置
36 シャッタ開閉用モータ
37 シャッタ駆動装置
38a 内気1温度センサ(検出手段)
38n 内気N温度センサ(検出手段)
39a 内気1湿度センサ(検出手段)
39n 内気N湿度センサ(検出手段)
40a サーバ室温度センサ
40b サーバ室湿度センサ
41 グループ内他空調装置
42 上位設備システム
43 クラウドシステム
図1
図2
図3
図4