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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】計器
(51)【国際特許分類】
   G01D 13/22 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G01D13/22 A
G01D13/22 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020051179
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021148722
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】594176028
【氏名又は名称】有限会社高橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 千昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 千里
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-092616(JP,U)
【文献】実開昭59-163916(JP,U)
【文献】実開平07-002927(JP,U)
【文献】登録実用新案第3120394(JP,U)
【文献】特開2014-098600(JP,A)
【文献】実開昭58-065522(JP,U)
【文献】実開昭64-033661(JP,U)
【文献】実公昭25-004489(JP,Y1)
【文献】特開昭53-037448(JP,A)
【文献】登録実用新案第3018872(JP,U)
【文献】特開2012-026872(JP,A)
【文献】実公昭39-034807(JP,Y1)
【文献】実公昭15-014852(JP,Y1)
【文献】実開昭48-093865(JP,U)
【文献】米国特許第02707931(US,A)
【文献】米国特許第05765501(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0139062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 1/00-21/02,
G01L 19/08-19/12,19/16,
G01F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定器が内蔵された計器本体と、前記計器本体の前面を覆う透光性を備えた透明カバーと、前記透明カバーに着脱自在に取り付け可能な設定指針と、を有する計器であって、
前記透明カバーは外周部の前面側に径方向の内側と外側とに同心円状に隣接配置された凸条と周溝とが設けられ、
前記設定指針は、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に交差する方向に突出する弾発部と、前記指示部と前記弾発部の間に設けられた凹溝部とを有し、
前記弾発部は閉じる方向に弾性変形可能なV字状の板ばねであり、
前記凹溝部は前記弾発部の突出方向に開いた凹部であり、前記凸条を挿入可能に構成され、
前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むと、前記透明カバーの前記凸条が前記設定指針の前記凹溝部に差し込まれ、この状態で計器の前面側から見ると、前記設定指針の前記弾発部と前記凹溝部とは矩形状であり、前記透明カバーの前記周溝と前記凸条とは円環状であり、
前記弾発部は前記周溝の中で3点支持されるとともに、前記凹溝部は前記凸条を挟むように3点支持され、前記設定指針は全体として前記透明カバーに対して5点支持されるように構成されることを特徴とする計器。
【請求項2】
前記設定指針の前記凹溝部は前記指示部の位置より前記弾発部の突出方向に対して反対側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の計器。
【請求項3】
前記透明カバーにおける前記凸条の径方向内側の壁面は前記凸条の基端から先端まで拡径するように傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の計器。
【請求項4】
前記設定指針において、前記指示部は第1の板状部からなり、前記凹溝部はU字状に連結した第2の板状部と第3の板状部と第4の板状部とからなり、前記弾発部はV字状に連結した前記第4の板状部と第5の板状部とからなり、前記第1の板状部と前記第2の板状部と前記第3の板状部と前記第4の板状部と前記第5の板状部とは順次連結しており 、
前記弾発部の突出方向における前記第5の板状部の長さは前記透明カバーの前記周溝の深さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の計器。
【請求項5】
前記設定指針は板状の金属部材を折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の計器。
【請求項6】
測定器が内蔵された計器本体と、前記計器本体の前面を覆う透光性を備えた透明カバーと、前記透明カバーに着脱自在に取り付け可能な設定指針と、を有する計器であって、
前記透明カバーは外周部の前面側に径方向の内側と外側とに同心円状に隣接配置された凸条と周溝とが設けられ、
前記設定指針は、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に交差する方向に突出する弾発部と、前記指示部と前記弾発部の間に設けられた凹溝部と有し、
前記弾発部は板状であり、円弧状に湾曲しており、前記透明カバーの前記周溝に差し込み可能に構成され、
前記凹溝部は、前記弾発部の突出方向に開いた凹部であり、円弧状に湾曲しており、前記透明カバーの前記凸条を挟持可能に構成され、曲率半径が前記凸条の曲率半径より小さく設定され、
前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むと、前記透明カバーの前記凸条が前記設定指針の前記凹溝部に差し込まれ、前記凹溝部が前記凸条に対して3点支持されるように構成されることを特徴とする計器。
【請求項7】
前記設定指針は合成樹脂の一体成形品であることを特徴とする請求項6に記載の計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計器における所定の目盛を指示する設定指針とそれを備えた計器に関する。特に圧力計に用いるのに好適な設定指針及びそれを備えた計器に関する。
【背景技術】
【0002】
設定指針は設定針やセイフティ針やセイフティマークやインジケーターなどと呼ばれ、回転する計器の指針とは別に目盛の設定値や下限値や上限値を指示するものである。この設定指針を計器に取り付ける仕方について従来から様々なものが考案されている。このうち、計器の文字板を覆う透明カバーに円環状の周溝を形成して、設定指針をこの周溝に差し込んだり周溝から引き抜いたりして透明カバーに対して着脱自在に取り付けるものが特許文献1と特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂の一体形成品であり、指針部と弾発部が直角に連結した平面視L字状のインジケーター(設定指針)が記載されている。このインジケーターの弾発部は透明カバーにおける環状の係合溝(周溝)の接線方向に伸びて、係合溝内の外周壁面に適宜の強さで接触してインジケーターを移動可能かつ所望の位置で停止保持可能に構成されている(特許公報1の図3参照)。
【0004】
特許文献2には、合成樹脂の一体形成品であり、指示体と垂下体が直角に連結した側面視略L字状の設定指針が記載されている。この設定指針の垂下体は透明板(透明カバー)の周溝の周方向に沿って円弧状に湾曲しており、周溝に抜き差し可能に装着できるように構成されている。また、設定指針を外れ難くするために垂下体に複数本のリブを形成したり、垂下体を指示体より円周方向に幅広に形成したりした変形例も記載されている(特許公報2の図1図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3120394号公報
【文献】登録実用新案第3018872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1と特許文献2に記載の設定指針は、両方とも合成樹脂の一体形成品であるので、設定指針の係合部や垂下体を透明カバーの周溝内に保持可能かつ周溝に沿って移動可能な大きさに形成することが難しいという問題がある。設定指針の係合部や垂下体の厚みが周溝の溝幅より大きいと設定指針の係合部や垂下体を周溝に挿入できないし、周溝の溝幅より小さ過ぎると設定指針の係合部や垂下体が周溝から抜け易くなってしまうからである。このため、設定指針の歩留まりが悪くなり、設定指針の製造コストが高くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、周溝に保持可能な設定指針を簡単かつ安価に製造することができる設定指針とそれを備えた計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の設定指針は、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に対して交差する方向に突出する弾発部とを有し、前記弾発部はV字状に開いた板ばねであり、閉じる方向に弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、設定指針は、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に対して交差する方向に突出する弾発部とを有し、前記弾発部はV字状に開いた板ばねであり、閉じる方向に弾性変形可能に構成されていることにより、前記弾発部を計器の周溝に差し込むと、前記弾発部が周溝の内壁によってばねの付勢力に抗って閉じるように弾性変形するので、周溝の溝幅にばらつきがある場合でも前記弾発部を周溝の中に保持できる。
【0010】
本発明において、前記設定指針は少なくとも前記弾発部が金属部材を折り曲げて形成されていることが好ましい。この発明によれば、前記設定指針は少なくとも前記弾発部が金属部材を折り曲げて形成されていることにより、前記設定指針が合成樹脂の一体形成品である場合に比べて、前記設定指針を簡単かつ安価に製造できるとともに、成形後に微調整できる。この場合において、前記設定指針は前記弾発部のみが金属部材をV字状に折り曲げて形成されていてもよいし、全体が金属部材を折り曲げて形成されていてもよい。
【0011】
本発明において、前記設定指針は合成樹脂の一体成形品であることが好ましい。この発明によれば、前記設定指針は合成樹脂の一体成形品である。この場合において、前記設定指針は全体が合成樹脂の一体成形品であってもよいし、前記指示部や前記弾発部などの一部が合成樹脂の一体成形品であってもよい。
【0012】
本発明の計器は、請求項1~3のいずれか一項に記載の設定指針と、円環状の周溝を含む透光性を備えた透明カバーと、を有し、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むことにより、前記設定指針が前記透明カバーに取り付けられるように構成されており、前記設定指針の前記弾発部はV字状に連結した2枚の板状部から構成され、前記2枚の板状部のうちの外側の板状部は前記弾発部の突出方向の長さが前記透明カバーにおける前記周溝の深さよりも小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、請求項1~3のいずれか一項に記載の設定指針と、円環状の周溝を含む透光性を備えた透明カバーと、を有し、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むことにより、前記設定指針が前記透明カバーに取り付けられるように構成されており、前記設定指針の前記弾発部はV字状に連結した2枚の板状部から構成され、前記2枚の板状部のうちの外側の板状部は前記弾発部の突出方向の長さが前記透明カバーにおける前記周溝の深さよりも小さくなるように形成されていることにより、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むと、前記弾発部における前記外側の板状部の端部が前記周溝の中に配置されて、前記弾発部のばね力によって前記周溝の内壁を押圧した状態となるので、前記外側の板状部の端部が前記周溝の内壁に引っ掛かり、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝から外れ難くすることができる。
【0014】
本発明の計器は、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に対して交差する方向に突出する弾発部と、前記指示部と前記弾発部との間に設けられた凹溝部と、を有する設定指針と、径方向の内側と外側に同心円状に隣接配置された円環状の凸条と周溝を含む透光性を備えた透明カバーと、を有し、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むと、前記透明カバーの前記凸条が前記設定指針の前記凹溝部に差し込まれて、前記設定指針の前記凹溝部が前記透明カバーの前記凸条を挟持可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、一方向に突出する指示部と、前記指示部の突出方向に対して交差する方向に突出する弾発部と、前記指示部と前記弾発部との間に設けられた凹溝部と、を有する設定指針と、径方向の内側と外側に同心円状に隣接配置された円環状の凸条と周溝を含む透光性を備えた透明カバーと、を有し、前記設定指針の前記弾発部を前記透明カバーの前記周溝に差し込むと、前記透明カバーの前記凸条が前記設定指針の前記凹溝部に差し込まれて、前記設定指針の前記凹溝部が前記透明カバーの前記凸条を挟持可能に構成されていることにより、前記指示部の前記弾発部が前記透明カバーの前記周溝に差し込まれると、前記透明カバーの前記凸条が前記設定指針の前記凹溝部に差し込まれるので、前記設定指針の前記弾発部が前記透明カバーの前記周溝に差し込まれるだけである場合に比べて、前記設定指針を前記透明カバーに対してより強固に連結できる。
【0016】
本発明において、前記設定指針の前記弾発部はV字状に開いた板ばねであり、閉じる方向に弾性変形可能の構成されていることが好ましい。この発明によれば、前記設定指針の前記弾発部はV字状に開いた板ばねであり、閉じる方向に弾性変形可能に構成されていることにより、前記設定指針の前記弾発部が前記透明カバーの前記周溝に差し込まれると、前記弾発部が前記周溝の内壁によってばねの付勢力に抗って閉じるように弾性変形するので、前記周溝の溝幅にばらつきがある場合でも前記弾発部を前記周溝の中に保持できる。
【0017】
本発明において、前記設定指針は金属部材を折り曲げて形成されていることが好ましい。この発明によれば、前記設定指針は金属部材を折り曲げて形成されていることにより、前記設定指針が合成樹脂の一体成形品である場合に比べて、前記設定指針を簡単かつ安価に製造できるとともに、成形後に微調整できる。この場合において、前記設定指針は全体が金属部材を折り曲げて形成されていてもよいし、前記指示部や前記弾発部や前記凹溝部や前記弾発部と前記凹溝部などの一部が金属部材を折り曲げて形成されていてもよい。
【0018】
本発明において、前記設定指針は合成樹脂の一体成形品であることが好ましい。この発明によれば、前記設定指針は合成樹脂の一体成形品である。この場合において、前記設定指針は全体が合成樹脂の一体成形品であってもよいし、前記指示部や前記弾発部や前記凹溝部などの一部が合成樹脂の一体成形品であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように本発明によれば、設定指針の弾発部はV字状に開いた板ばねであり、透明カバーの周溝の溝幅にばらつきがある場合でも前記弾発部を周溝に差し込むだけで設定指針を透明カバーに保持できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る設定指針を前方から見た状態を示す斜視図である。
図2】設定指針を後方から見た状態を示す斜視図である。
図3】設定指針の側面図である。
図4】第1の実施形態に係る計器の斜視図である。
図5】計器の正面図である。
図6】計器の分解斜視図である。
図7図4の二点鎖線iで囲まれる部分の拡大図である。
図8図5の二点鎖線iiで囲まれる部分の拡大図である。
図9】計器の一部断面斜視図である。
図10図9の二点鎖線iiiで囲まれる部分の拡大図である。
図11】設定指針と透明カバーの連結状態を示す一部断面拡大図と(a)、比較例の設定指針と透明カバーの連結状態を示す一部断面拡大図と(b)である。
図12】他の実施形態に係る計器の平面図である。
図13】別の実施形態に係る計器の平面図である。
図14】第2の実施形態に係る設定指針を前方から見た状態を示す斜視図である。
図15】設定指針を後方から見た状態を示す斜視図である。
図16】第2の実施形態に係る計器の斜視図である。
図17】計器の正面図である。
図18図16の二点鎖線ivで囲まれる部分の拡大図である。
図19図17の二点鎖線vで囲まれる部分の拡大図である。
図20】他の実施形態に係る計器の平面図である。
図21】別の実施形態に係る計器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
(設定指針)
以下、本発明に係る実施形態の設定指針について詳細に説明する。図1は第1の実施形態の設定指針を前方から見た状態を示す斜視図である。図2は設定指針を後方から見た状態を示す斜視図である。図3は設定指針の側面図である。図1乃至図3に示すように、設定指針10は指針部11と弾発部12と凹溝部13とを有する。
【0022】
なお、図中において、矢印Uで示す方向を上側とし(図1図4図6図7図9図11図14図16図18では紙面の上側であり、図5図8図12図13図17図19図21では紙面の表面側である。)、矢印Dで示す方向を下側とし(図1図4図6図7図9図11図14図16図18では紙面の下側であり、図5図8図12図13図17図19図21とでは紙面の背面側である。)、矢印Fで示す方向を先端側(前側)とし、矢印Bで示す方向を基端側(後側)とする。矢印Uと矢印Dで示す方向を上下方向とし、矢印Fと矢印Bで示す方向を前後方向とし、矢印Lと矢印Rで示す方向を幅方向とする。これら方向は相対的な位置関係を示すものであり、重力方向に対する絶対的な位置関係を示すものではない。
【0023】
指針部11は第1の板状部1を有する。この第1の板状部1は矢印Uと矢印Dで示す上下方向から見て三角形又はそれに近い形状の板状である。具体的には、第1の指針部1は上下方向に所定の厚みを備えており、矢印Fで示す先端側の先端1aが三角形の頂点側となり、矢印Bで示す基端側の基端1bが三角形の底辺側となり、第1の板状部1の矢印Lと矢印Rで示す幅方向の幅長が矢印Fと矢印Bで示す前後方向に第1の板状部1の先端1aから基端1bまで順次幅広となっている。これにより、第1の板状部1の先端1aが指示方向を示すようになっている。また、第1の板状部1(指針部11)は視認性及び識別性を向上させるために緑色や赤色等の所望の色が矢印Uで示す上側の上面又は全体に着色されていてもよいし、設定指針10の全体に緑色や赤色等の所望の色が着色されていてもよい。勿論、第1の板状部1の形状は一例であり、指示方向を表現できればよく、第1の板状部1を他の形状に設計変更することは自由である。
【0024】
次に、弾発部12はV字状に開いた板ばねである。この弾発部12は矢印Lと矢印Rで示す幅方向に所定幅を備えており、幅方向から見てV字状に形成され、閉じる方向に弾性変形可能に構成されている。これにより、弾発部12を溝に挿入すると、弾発部12が弾性変形して溝内に保持されるようになっている。
【0025】
より具体的には、弾発部12は第4の板状部4と第5の板状部5を有する。これら第4の板状部4と第5の板状部5は幅方向に所定幅を備えた板状である。第4の板状部4は上下方向に伸びており、その下端4dに第5の板状部5の下端が接続されて、第5の板状部5は矢印Bで示す基端側(後側)へ傾斜している。つまり、第4の板状部4と第5の板状部5は幅方向から見てV字状に連結している。この第5の板状部5は第4の板状部4へ接近するように弾性変形可能に構成されている。言い換えると、第5の板状部5はばねの付勢力に抗って第4の板状部4の下端4dに沿って幅方向に伸びる軸線Pの回りに回動可能に構成されている。この第4の板状部と第5の板状部5は上述の2枚の板状部に相当し、このうち第5の板状部5が上述の外側の板状部に相当する。
【0026】
凹溝部13は下側が開いた凹部であり、この凹部は上下方向に突出した凸条を挿入可能に構成されている。より具体的には、この凹溝部13は第2の板状部2と第3の板状部3と第4の板状部4とを有する。これら第2の板状部2と第3の板状部3と第4の板状部4は幅方向に所定幅を備えた板状である。このうち第2の板状部2と第4の板状部4は上下方向に伸びており、前後方向の前後に所定間隔を開けて配置されている。第3の板状部3は前後方向に伸びて、第2の板状部2と第4の板状部4のそれぞれの上端に接続されて、第2の板状部2と第4の板状部4との間に掛け渡されている。これにより、第2板状部2と第3板状部3と第4の板状部4とは幅方向から見てU字状に連結している。
【0027】
指針部11と弾発部12は幅方向から見てL字状に直交又は交差している。第1の板状部1が第3の板状部3の前側(先端側)に配置されており、第4の板状部4と第5の板状部5が第3の板状部3から下側へ伸びている。このため、弾発部12を透明カバー等の周溝に差し込むと指示部11が透明カバーの表面に沿う方向を指示するようになっている。
【0028】
設定指針10は指針部11と凹溝部13と弾発部12は連なるように順次連結している。指針部11と弾発部12は直接連結しておらず、指針部11と弾発部12の間に凹溝部13が介在されている。これにより、指針部11の動きが直接弾発部12へ伝達されないようになっている。
【0029】
指針部11と凹溝部13は連結している。より具体的には、第1の板状部1の基端1bと第2の板状部2の下端が接続されている。このため、指針部11は凹溝部13より弾発部12の突出方向に配置されている。言い換えると、指針部11の第1の板状部1が凹溝部13の第3の板状部3より第2の板状部2の上下方向の長さ分だけ下側に配置されている。これにより、指針部11は凹溝部13の上端位置より低い位置に配置されるので、指針部11を引っ掛け難くすることができ、設定指針10を透明カバー等から外れ難くすることができる。
【0030】
この反対に、凹溝部13は指針部11の位置より弾発部12の突出方向に対して反対側へ突出している。具体的には、凹溝部13は上側へ突出している。凹溝部13の上端部、つまり、第3の板状部3が指針部11の第1の板状部1の位置より第2の板状部2の上下方向の長さ分だけ上側に配置されている。これにより、凹溝部13の突出部分である第3の板状部3がつまみ易くなっており、この第3の板状部3をつまむことによって設定指針10を周溝に対して容易に抜き差しできるようになっている。
【0031】
また、凹溝部13と弾発部12は一部が重なるように連結している。つまり、弾発部12の第4の板状部4と凹溝部13の第4の板状部4とは同一物であり、この第4の板状部材4が凹溝部13と弾発部12の一部を兼ねている。具体的には、凹溝部13の第4の板状部4の下端に弾発部12の第5の板状部5が接続されている。言い換えると、弾発部12の第4の板状部4の上端に凹溝部13の第3の板状部3が連結している。
【0032】
これら指針部11と凹溝部13と弾発部12は連結している。つまり、第1の板状部1と第2の板状部2と第3の板状部3と第4の板状部4と第5の板状部5とが順次連結している。本実施形態では、指針部11と凹溝部13と弾発部12は一体形成されている。具体的には、設定指針10は金属等からなる所定の厚みを備えた一枚の板状部材を折り曲げて形成されている。すなわち、板状部材を折り曲げた折り目が各板状部の境界となるように、第1の板状部1と第2の板状部2と第3の板状部3と第4の板状部4と第5の板状部5とが形成されている。これにより、板状部材の折り曲げによって各板状部の大きさ等を容易に微調整できるようになっている。
【0033】
上述のように構成された設定指針10は、弾発部12を計器の文字板を覆う透明カバー等の円環状の周溝に対して抜き差しして使用する。
【0034】
本実施形態においては、設定指針10の弾発部12はV字状に開いた板ばねであり、閉じる方向に弾性変形可能に構成されていることにより、弾発部12を周溝に差し込むと、弾発部12が押し縮められた状態で周溝内に保持されるので、周溝の溝幅にばらつきがあっても設定指針10を容易に取り付けることができる。
【0035】
また、設定指針10の指針部11と凹溝部13と弾発部12とは連なるように順次連結されており、指針部11と弾発部12の間に凹溝部13が設けられていることにより、指針部11の揺れ等が弾発部12へ直接伝達されないので、設定指針10を周溝から外れ難くすることができる。
【0036】
設定指針10は板状の金属部材を折り曲げて形成されているので、折り曲げ具合によって各板状部の大きさ等を微調整できるので、合成樹脂からなる一体形成品に比べて、設定指針10を簡単かつ安価に製造できる。なお、この設定指針10は合成樹脂の一体成形品であってもよい。
(計器)
【0037】
次に、第1の実施形態に係る計器について詳細に説明する。図4は本発明に係る第1の実施形態の計器の斜視図である。図5は計器の平面図である。図6は計器の分解斜視図である。図4乃至図6に示すように、計器100は、圧力計等の測定器が内蔵された計器本体40と、計器本体40の前面を覆う透明カバー50と、透明カバー50に取り付ける設定指針10,10を有する。なお、この設定指針10,10は上述の設定指針10と同一物であり、その説明は省略する。計器100の上下方向は計器100の軸線Oに沿って伸びる方向と同一に設定されている。
【0038】
図9は計器の一部断面斜視図である。図9に示すように、計器本体40は円筒状のケース41と、ケース41の中に配置された円板状の文字板42と、ケース41と文字板42とで囲まれる内側に収容される計測機構44とを有する。例えば、この計測機構44は圧力計の機構であり、ブルドン管と回転軸とブルドン管の変位を回転軸に伝達する内機とを有する。回転軸は文字板42を貫通して矢印Uで示す上側へ突出しており、その上端部に指針43が取り付けられている。この指針43は文字板42の上側に配置され、計測機構44によって回転して文字板42の板面上に設けられた目盛42aを指示するように構成されている。
【0039】
図6に戻って、透明カバー50は合成樹脂からなる円形部材であり、平坦部51と幅厚部52とを有する。平坦部51は円板状であり、透明カバー50の中心点Cを中心とする径方向内側に設けられる。また、平坦部51は透光性を備えており、平坦部51の板面(上面と下面)を通して平坦部51の反対側を視認可能に構成されている。この平坦部51の板面は平滑に形成されている。
【0040】
透明カバー50の幅厚部52は、平坦部51の径方向外側に設けられ、平坦部51を周回状に取り囲んでいる。この幅厚部52は上下方向の厚みが平坦部51の上下方向の厚みより厚く形成され、平坦部51の板面より上側へ突出した上側部分52aと、下側へ突出した下側部分52bとを有する。
【0041】
図10図9の二点鎖線iiiで囲まれる部分の拡大図である。図6図10に示すように、幅厚部52の上側部分52aには、透明カバー50の径方向内側から外側へ向かって同心円状に凸条53と周溝54と外周部55とが順次設けられている。このうち、凸条53と外周部55は円環状に上側へ突出している。外周部55は透明カバー50の外周を構成しており、外周部55の外周には滑り止めのための縦溝55aが形成されている。この縦溝55aは円弧状に湾曲しており、透明カバー50の中心点Cを通る軸線Oの回りを周回するように互いに間隔を開けて複数形成されている。周溝54は円環状の凹溝であり、下側に凹んでおり、凸条53と外周部55の間に設けられている。言い換えると、凸条53と周溝54は円環状であり、透明カバー50の径方向の内側と外側とに隣接配置されている。なお、この凸条53と周溝54は上述の凸条と周溝にそれぞれ相当する。
【0042】
図4図9に示すように、透明カバー50は着脱自在に計器本体40の上部に取り付けられて、計器本体40のケース41の開口を閉鎖している。図10に示すように、より具体的には、透明カバー50の幅厚部52は上側部分52aの外径がケース41の内径より大きいとともに、幅厚部52の下側部分52bの外径がケース41の内径より僅かに小さく形成されている。このため、幅厚部52の上側部分52aは下側部分52bより径方向外側に張り出しており、幅厚部52の外周には上側部分52aと下側部分52bの間に段差Sが形成されている。透明カバー50をケース41の上部に取り付けると、幅厚部52の下側部分52bがケース41の内側に嵌入されて、段差Sがケース41の開口端(上端)に当接して、幅厚部52の上側部分52aがケース41の開口端上に載置される。これにより、透明カバー50は計器本体40の文字板42の上に配置され、透明カバー50の平坦部51を通して文字板42の目盛42aを視認できるようになる。なお、透明カバー50の下側部分52bとケース41の開口端部とがねじ結合するように構成されていてもよい。
【0043】
図7図4の二点鎖線iで囲まれる部分の拡大図である。図8図5の二点鎖線iiで囲まれる部分の拡大図である。図8では分かり易くするために周溝54の領域にハッチングを施してある。図7図8図10に示すように、設定指針10の弾発部12を上側から透明カバー50の周溝54に差し込むと、透明カバー50の凸条53が下側から設定指針10の凹溝部13に差し込まれて、設定指針10が透明カバー50に着脱自在に取り付けられる。
【0044】
このとき、設定指針10における弾発部12の突出方向と指針部11の突出方向とは直交又は交差している。このため、設定指針10の指針部11は透明カバー50の径方向内側へ突出して、透明カバー50の平坦部51の板面上に張り出している。この平坦部51の下側には文字板42が配置されている。すなわち、設定指針10の指針部11と透明カバー50の平坦部51と文字板42の目盛42aとが上下方向に配置される。したがって、設定指針10の指針部11は透明カバー50の平坦部51を介して文字板42の目盛42aを指示するようになっている。
【0045】
この状態において、弾発部12の第4の板状部4は周溝54の径方向内側の内壁54Aに沿って上下方向に伸びており、弾発部12の第5の板状部5は周溝54の径方向外側の内壁54Bによってばねの付勢力に抗って径方向内側へ弾性変形している。これにより、弾発部12は周溝54の中で透明カバー50の径方向に保持される。
【0046】
図7図8に示すように、弾発部12が周溝54に挿入した状態を上側から見ると、周溝54は円環状に湾曲しており、弾発部12は矩形状(四角形)となっている。このため、第4の板状部4の幅方向の中間部Xが周溝54の内壁54Aと当接し、第5の板状部5の上側の両端部Y,Zが周溝54の内壁54Bと当接する。つまり、弾発部12は周溝54の中で3点支持される。
【0047】
同様に、凹溝部13の凹部に凸条53が挿入された状態を上側から見ると、凸条53は円環状に湾曲しており、凹溝部13は矩形状(四角形)となっている。このため、第2の板状部2の幅方向の両端部V,Wが凸条53の径方向内側の壁面53Aと当接し、第4の板状部4の幅方向の中間部Xが周溝54の内壁54Aと当接する。つまり、凹溝部13は凸条53を挟むように凸条53に対して3点支持される。
【0048】
ここで、弾発部12と周溝54との支持点の1つである中間部Xと、凹溝部13と凸条53との支持点の1つである中間部Xとは同一箇所である。このため、設定指針10は全体として透明カバー50に対して5点支持される。この5点は第2の板状部2の両端部V,Wと、第4の板状部4の中間部Xと、第5の板状部5の両端部V,Wとである。これにより、設定指針10は透明カバー50に対して径方向と円周方向に保持され、周溝54に沿って円周方向にスライド可能かつ所望の位置で停止可能に構成されている。
【0049】
図10に戻って、弾発部12の第5の板状部5は弾発部12の突出方向の高さが透明カバー50の周溝54の深さよりも小さくなるように形成されている。言い換えると、弾発部12における第5の板状部5の上下方向の長さhは、周溝54の深さHより小さく設定されている(h<H)。このため、弾発部12を周溝54に挿入すると、第5の板状部5の上端が周溝54の内壁54Bの壁面上に配置され、ばねの付勢力によって内壁54Bの壁面を押圧する。この状態で、弾発部12を上側へ移動させると第5の板状部5の上端が内壁54Bに引っ掛かるようになっており、弾発部12は周溝54から外れ難くなっている。
【0050】
図11(a)は本実施形態の設定指針と透明カバーの連結状態を示す一部断面拡大図である。図11(b)は比較例の設定指針と透明カバーの連結状態を示す一部断面拡大図である。図11(a)と図11(b)に示すように、透明カバー50における凸条53の径方向内側の壁面53Aは下側から上側へ拡径するように傾斜している。比較例の設定指針10′は直角に連結する指針部11′と弾発部12′を有しており、設定指針10と異なり凹溝部13が設けられていない。なお、比較例の設定指針10′の指針部11′と弾発部12′は設定指針10の指針部11と弾発部12とそれぞれ同一であり、その説明を省略する。この連結状態において、透明カバー50の径方向において、設定指針10,10′の先端から凸条53の径方向内側の壁面53Aに当接するまでの長さは、本実施形態の設定指針10では、指針部11の先端から第2の板状部2の両端部V,Wまでの長さL1であり、比較例の設定指針10′では、設定指針10′の先端から凸条53の上端Rまでの長さL2である。このため、透明カバー50の径方向に両端部V,Wから上端Rまでの長さdLだけ設定指針10の長さL1が比較例の設定指針10′の長さL2より短くなっている(L1<L2)。このため、本実施形態と比較例の設定指針10,10′のそれぞれの先端に力Fを印加すると、本実施形態の設定指針10のモーメントN1は比較例の設定指針10′のモーメントN2より小さくなる(N1<N2、N1=L1・F、N2=L2・F)。したがって、本実施形態の設定指針10は比較例の設定指針10′より外れ難くなっている。
【0051】
図7図10に戻って、設定指針10の凹溝部13の凹部の中に透明カバー50の凸条53が下側から差し込まれた状態において、凹溝部13は円環状の凸条53の上に被さっており、この凸条53は周溝54と同心円状に形成されている。このため、凹溝部13を凸条53に沿って円周方向に移動させると、設定指針10が周溝54に沿って円周方向に移動するようになっている。これにより、設定指針10を周溝54に沿って円周方向に容易に移動させることができる。
【0052】
また、図4図5に戻って、設定指針10,10は透明カバー50の周溝54に2つ取り付けられる。これら設定指針10,10は計器100の軸線Oの回りに所定間隔を開けて配置されており、目盛42aの最小値と最大値をそれぞれ示している。
【0053】
上述のように構成された計器100は、設定指針10の弾発部12を透明カバー50の周溝54に上側から差し込むとともに、透明カバー50の凸条53が設定指針10の凹溝部13の中に下側から差し込まれて、設定指針10を透明カバー50に取り付けて使用する。
【0054】
第1の実施形態においては、設定指針10は指針部11と下側が開いた凹溝部13とばね板状の弾発部12とが連なるように連結しており、透明カバー50には径方向内側と外側とに円環状の凸条53と周溝54とが同心円状に隣接配置されており、設定指針10を透明カバー50に取り付けると、設定指針10の弾発部12が透明カバー50の周溝54に差し込まれるとともに、透明カバー50の凸条53が設定指針12の凹溝部13に差し込まれることにより、設定指針10の弾発部12がばね力によって周溝54の中に保持されるとともに、設定指針10の凹溝部13が凸条53によって透明カバー50の径方向に位置決めされるので、設定指針10の凹溝部13と透明カバー50の凸条53とが存在しない場合に比べて、設定指針10を透明カバー50に径方向により強固に保持できる。
【0055】
また、設定指針10の凹溝部13と弾発部14は矩形状であり、透明カバー50の凸条53と周溝54は円環状であり、設定指針10を透明カバー50に取り付けた状態において、設定指針10は透明カバー50に対して5点支持されることにより、設定指針10は透明カバー50に対して円周方向に保持され、設定指針10を周溝54に沿って円周方向にスライドできるとともに所望の位置で停止できる。
【0056】
この第1の実施形態においては、設定指針10は指針部11と弾発部12の間に凹溝部13が設けられ、この凹溝部13に透明カバー50の円環状の凸条53が差し込まれて、凹溝部13は凸条53の上に被さるので、凹溝部13を凸条53に沿って円周方向に移動させることにより、設定指針10を周溝54に沿って円周方向に容易に移動させることができるとともに、指針部11の上下方向の揺れが凹溝部13を介して弾発部12へ伝達され、弾発部12へ直接伝達しないので、設定指針10を透明カバー50から外れ難くすることができる。
【0057】
[第2の実施形態]
(設定指針)
次に、第2の実施形態の設定指針について詳細に説明する。図14は第2の実施形態の設定指針を前方から見た状態を示す斜視図である。図15は第2の実施形態の設定指針を後方から見た状態を示す斜視図である。第1の実施形態の設定指針10と同一の部分については設定指針10と同一であり、その説明を省略する。図14図15に示すように、第1実施形態における設定指針10の弾発部12は矢印Uで示す上側が開いて矢印Dで示す下側が閉じた側面視V字状のばね板であるが、第2の実施形態における設定指針20の弾発部22は矢印Uと矢印Dで示す上下方向に伸びる板状である。第2実施形態の指針部21は第1の実施形態の指針部11と同一であり、視認性と識別性を向上させるために緑色や赤色等の所望の色が矢印Uで示す上側の上面又は全体に着色されていてもよいし、設定指針20の全体に緑色や赤色等の所望の色が着色されていてもよい。
【0058】
第1の実施形態の設定指針10と同様に、第2の実施形態の設定指針20は、指針部21と弾発部22の間には凹溝部23が設けられている。この凹溝部23は矢印Dで示す下側が開いた凹部であり、矢印Uで示す上側に凹んでいる。凹溝部23の矢印Bで示す基端側の内壁が弾発部22の矢印Fで示す先端側の壁面と兼ねている。すなわち、凹溝部23と弾発部22は矢印Fと矢印Bで示す前後方向に隣接配置されており、弾発部22が凹溝部23の一部、つまり、矢印Bで示す基端側の部分を構成している。この設定指針20は合成樹脂の一体成形品である。
(計器)
【0059】
図16は本発明に係る第2の実施形態の計器の斜視図である。図17は計器の平面図である。図18図16の二点鎖線ivで囲まれる部分の拡大図である。図19図17の二点鎖線vで囲まれる部分の拡大図である。図19では分かり易くするために周溝54の領域にハッチングを施してある。第1の実施形態の計器100と同一の部分については計器100と同一であり、その説明を省略する。図16乃至図19に示すように、第1の実施形態の計器100は設定指針10を備えているが、第2の実施形態の計器400は設定指針20を備えている。この設定指針20は上述の設定指針20と同一であり、その説明を省略する。なお、第2実施形態における計器400の計器本体40と透明カバー50は第1の実施形態の計器100の計器本体40と透明カバー50とそれぞれ同一である。
【0060】
第1の実施形態における設定指針10の弾発部12と凹溝部13は矢印Uと矢印Dで示す上下方向から見ると矩形状であるが、第2の実施形態における設定指針20の弾発部22と凹溝部23は上下方向から見ると円弧状に湾曲している。換言すると、図14図15に戻って、設定指針20の弾発部22と凹溝部23は矢印Lと矢印Rで示す幅方向に円弧状に湾曲している。図18に示すように、設定指針20の弾発部22は透明カバー50の周溝54に差し込み可能に構成されているとともに、透明カバー50の凸条53は設定指針20の凹溝部23に差し込み可能に構成されており、設定指針20の凹溝部23は透明カバー50の凸条53を挟持可能に構成されている。
【0061】
図18図19に示すように、設定指針20の弾発部22と凹溝部23曲率と、透明カバー50における周溝54と凸条53の曲率とは互いに異なっている。より具体的には、設定指針20の凹溝部23の曲率は透明カバー50の凸条53の曲率より大きく設定されている。換言すると、設定指針20の凹溝部23の曲率半径は透明カバー50の凸条53の曲率半径より小さく設定されている。設定指針20の凹溝部23に透明カバー50の凸条53を差し込んだ状態において、凹溝部23の弾発部22の側の内壁23Bの両端部Y1,Z1が凸条53の径方向外側の壁面53B(周溝54の径方向内側の壁面)と当接するとともに、凹溝部23の指示部21の側の内壁23Aの中間部X1が凸条53の径方向内側の壁面53Aと当接する。このため、設定指針20は凹溝部23が凸条53を挟むように凸条53に対して3点支持される。これにより、設定指針20は透明カバー50に対して透明カバー50の径方向に保持されるとともに、凸条53に沿って円周方向にスライド可能かつ所望の位置で停止可能に構成される。
【0062】
上述のように構成された計器400は、設定指針20の凹溝部23の中に透明カバー50の凸条53を下側から差し込むと、設定指針20の弾発部22が透明カバー50の周溝54の中に上側から差し込まれて、設定指針20を透明カバー50に取り付けて使用する。
【0063】
第2の実施形態においては、設定指針20の凹溝部23は透明カバー50の凸条53を挟持可能に構成されており、設定指針20の凹溝部23の中に透明カバー50の凸条53を差し込むと、設定指針20の弾発部22が透明カバー50の周溝54の中に差し込まれることにより、設定指針20は透明カバー50に対して透明カバー50の径方向に保持されるとともに、凸条53又は周溝54に沿って円周方向にスライドさせることができるとともに、所望の位置で停止させることができる。
【0064】
尚、第1の実施形態の計器100と第2の実施形態の計器400とは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、第2の実施形態の計器400における設定指針20の弾発部22は、断面形状が円弧状に湾曲した上下方向に伸びる板状であるが、第1の実施形態の計器100における設定指針10の弾発部12と同様に、上側が開いて下側が閉じた側面視V字状の板ばねであってもよい。
【0065】
第1の実施形態の計器100には2つの設定指針10,10が設けられているが、設定指針10の数量は特に限定されず、図12に示すように、目盛42aの設定値を示すように1つの設定指針10が設けられる計器200でもよいし、図13に示すように、目盛42aの最小値と最大値とその間の設定値とをそれぞれ示すように3つの設定指針10,10,10が設けられる計器300でもよい。勿論、4つ以上の設定指針10が設けられる計器でもよい。
【0066】
同様に、第2の実施形態の計器400には、2つの設定指針20,20が設けられているが、設定指針20の数量は特に限定されず、図20に示すように、目盛42aの設定値を示すように1つの設定指針20が設けられる計器500でもよいし、図21に示すように、目盛42aの最小値と最大値とその間の設定値とをそれぞれ示すように3つの設定指針20,20,20が設けられる計器600でもよい。勿論、4つ以上の設定指針20が設けられる計器でもよい。
【符号の説明】
【0067】
100,200,300,400,500,600…計器、10,10′,20…設定指針、11,11′,21…指針部、12,12′,22…弾発部、13,23…凹溝部、1…第1の板状部、1a…先端、1b…基端、2…第2の板状部、3…第3の板状部、4…第4の板状部、4d…下端、5…第5の板状部、23A,23B…内壁、40…計器本体、41…ケース、42…文字板、42a…目盛、43…指針、44…計測機構、50…透明カバー、51…平坦部、52…幅厚部、52a…上側部分、52b…下側部分、53…凸条、53A,53B…壁面、54…周溝、54A,54B…内壁、55…外周部、55a…縦溝、B,D,F,L,R,U…矢印、C…中心点、F…力、h,L1,L2,dL…長さ、H…深さ、N1,N2…モーメント、O,P…軸線、R…上端、S…段差、X,X1…中間部、V,W,Y,Y1,Z,Z1…両端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21