(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 7/00 20060101AFI20230404BHJP
G03G 13/045 20060101ALI20230404BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230404BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20230404BHJP
H01T 19/04 20060101ALI20230404BHJP
H05F 3/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G03G7/00 B
G03G13/045
G03G15/00 303
G03G7/00 L
H01T23/00
H01T19/04
H05F3/02 F
(21)【出願番号】P 2021070294
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2019079031の分割
【原出願日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】518204349
【氏名又は名称】owlking株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】芝原 祐太
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-157581(JP,A)
【文献】特開2002-254549(JP,A)
【文献】国際公開第2018/097324(WO,A1)
【文献】特開2016-110780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 7/00
G03G 13/045
G03G 15/00
H01T 23/00
H01T 19/04
H05F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向における一方側に電子写真方式の印刷がなされる印刷面
として、トナーの粒子を付着及び定着させる樹脂フィルムの表面が露出した樹脂層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層とを、ラミネート加工で一体化して2層構造のシート状体と
し、
前記シート状体を組み合わせることにより、内部に空間を有し、前記不織布層が前記空間に面するように位置することで印刷物の外観に影響を与えないようにした袋状であって、前記印刷面が前記袋状の内部ではなく外部に露出したものとする、電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法。
【請求項2】
前記シート状体における前記樹脂層が、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを含む、請求項
1に記載の電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法。
【請求項3】
厚み方向における一方側に電子写真方式の印刷がなされる印刷面
として樹脂フィルムの表面が露出した樹脂層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層とを、ラミネート加工で一体化して2層構造のシート状体
とし、
前記シート状体を組み合わせることにより、内部に空間を有し、前記不織布層が前記空間に面するように位置することで印刷物の外観に影響を与えないようにした袋状であって、前記印刷面が前記袋状の形状における内部ではなく外部に露出した印刷媒体とする印刷媒体形成工程と、
電子写真方式印刷機に前記印刷媒体を通し、帯電させた感光ドラムの外周面に付着させたトナー
の粒子を前記印刷媒体
の前記印刷面に転写
して付着及び定着させることにより前記印刷面に印刷を行う印刷工程と、
前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体排出部において、イオン粒子を発生させ、当該イオン粒子を印刷完了後の前記印刷媒体
における前記袋状の外面に供給することで、
前記不織布層による前記袋状の内面での帯電低減に加えて、前記印刷媒体の
前記袋状の外面の帯電状態を低減させる除電工程と、を含む印刷物の製造方法。
【請求項4】
前記除電工程にて、前記イオン粒子を気流で拡散させつつ前記印刷媒体に供給する、請求項
3に記載の印刷物の製造方法。
【請求項5】
前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体供給部の供給方向上流側において、前記印刷媒体の前記印刷面に粗面を形成するためのトップコート剤を付着させるコート工程を更に含む、請求項
3または
4に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂層を有する電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法及び当該印刷媒体を用いた印刷物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式印刷機(一般に「デジタル印刷機」とも呼ばれている)が広く用いられている。この電子写真方式印刷機の基本構造は、事務用等で広く普及しているコピー機の構造と同じである。この電子写真方式印刷機では、感光ドラムの外周面に付着させたトナー(着色微粒子)をシート状である印刷媒体(紙等)に転写し、その後トナーを定着させることで、印刷媒体に印刷を行う。この電子写真方式印刷機では、感光ドラムの外周面において、印刷画像に対応してトナーを付着させるべき部分の潜像を静電気で形成する。この電子写真方式印刷機は、従来の印刷機(オフセット印刷機等)に比べると、印刷版を作成する必要がないため、同一品種の印刷量が少ない小ロット印刷に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この電子写真方式印刷機(以下、単に「印刷機」とも記載する)では、潜像形成のために感光ドラムを帯電させることから、これに伴い印刷媒体も帯電してしまう。また、印刷機の内部構造と印刷媒体との摩擦によっても印刷媒体が帯電する。このため、樹脂層を有するシートを印刷媒体とする場合、当該シートは帯電しやすいことから、帯電した印刷媒体が印刷機内部で頻繁に詰まってしまい、スムーズな印刷が困難であるとの問題があった。しかしながら、カタログ等を入れるために広く用いられている軟質樹脂製の袋については、需要者から小ロット(例えば1000枚以下のロット)での発注希望も多い。このため、樹脂層を有するシートを印刷媒体とし、電子写真方式印刷機を用いて印刷することが希望されていた。
【0005】
ここで印刷機における静電気対策に関し、特許文献1では、印刷済みのシートを除電することが提案されている。特許文献1に係る発明は、印刷機に除電ユニットを設ける構成を備えている。
【0006】
ところが本願の出願人は、電子写真方式印刷機を用いた印刷システムの構築を試みた結果、印刷機に除電ユニットを設ける構成だけでは、樹脂層を有するシートである印刷媒体を印刷しようとしても、印刷機内部での詰まりを実用可能なレベルまで低減できず、前記希望に応えられないとの知見を得た。
【0007】
本発明は、本願の出願人が鋭意努力の末に創作されたものであって、その課題は、樹脂層を有するシートを印刷媒体とする場合であっても電子写真方式印刷機で印刷できるようにするための、電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法及び印刷物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、厚み方向における一方側に電子写真方式の印刷がなされる印刷面が露出した樹脂層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層とを、ラミネート加工で一体化して2層構造のシート状体とする、電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法である。
【0009】
この構成によれば、製造された印刷媒体が不織布層を備えたシート状体であることにより、印刷中及び印刷後の帯電を低減できる。
【0010】
また、前記シート状体を組み合わせることにより、内部に空間を有し、前記不織布層が前記空間に面するように位置した袋状とすることもできる。
【0011】
この構成によれば、不織布層が袋状体の内面に位置することになるので、帯電を低減する不織布層が印刷物の外観に影響を与えにくい。
【0012】
また、前記シート状体における前記樹脂層が延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを含むものであってもよい。
【0013】
この構成によれば、前記シート状体に耐熱性があるため、電子写真方式印刷機の内部の熱によって変形しにくい。
【0014】
そして本発明は、厚み方向における一方側に電子写真方式の印刷がなされる印刷面が露出した樹脂層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層とを、ラミネート加工で一体化して2層構造のシート状体である印刷媒体とする印刷媒体形成工程と、電子写真方式印刷機に前記印刷媒体を通し、帯電させた感光ドラムの外周面に付着させたトナーを前記印刷媒体に転写することにより前記印刷面に印刷を行う印刷工程と、前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体排出部において、イオン粒子を発生させ、当該イオン粒子を印刷完了後の前記印刷媒体に供給することで、前記印刷媒体の帯電状態を低減させる除電工程と、を含む印刷物の製造方法である。
【0015】
この構成によれば、帯電を低減できる不織布層を備えたシート状体を用いて印刷を行い、更に、印刷完了後の印刷媒体にイオン粒子を供給することで、印刷媒体上の電荷を中和して帯電を効果的に低減できる。
【0016】
また、前記除電工程にて、前記イオン粒子を気流で拡散させつつ前記印刷媒体に供給するものであってもよい。
【0017】
この構成によれば、イオン粒子を拡散して印刷媒体に当てることができるので、印刷媒体の帯電を更に効果的に低減できる。
【0018】
また、前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体供給部の供給方向上流側において、前記印刷媒体の前記印刷面に粗面を形成するためのトップコート剤を付着させるコート工程を更に含むものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、コート工程により印刷媒体の印刷面にトップコート剤で粗面を形成することにより、印刷を美しく行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、電子写真方式印刷機用印刷媒体の製造方法の提供により印刷媒体の帯電を効果的に低減できる。また、印刷物の製造方法の提供により、印刷媒体の帯電を効果的に低減できる。よって、樹脂層を有するシートを印刷媒体とする場合であっても、電子写真方式印刷機で印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子写真方式印刷機用印刷媒体を示す、斜視の概略図である。
【
図2】前記電子写真方式印刷機用印刷媒体を示す、縦断面視の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る印刷システムを示す側面視の概要図である。
【
図4】前記電子写真方式印刷機用印刷媒体であって、一枚物のシート状体とされた場合を示す、平面視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。
【0023】
図3に示すように、本実施形態の印刷システム1は、内部構成については図示しないが、帯電させた感光ドラムの外周面に付着させたトナーを転写することにより印刷媒体5の印刷面511に印刷を行う電子写真方式印刷機2(以下、単に「印刷機」とも記載する)を備える。この印刷機2は従来周知の印刷機と同じ構成を有している。
【0024】
印刷システム1は除電装置3を備える。除電装置3は、印刷機2が有する印刷媒体排出部に設けられる。具体的には、印刷機2の外部であって、印刷媒体排出部21の搬送方向下流側の位置に設けられる。
【0025】
除電装置3自体は公知の構成を有するから簡単に説明する。除電装置3は、複数の放電電極針を備えた電極バーに高電圧をかけることで、プラスイオン及びマイナスイオンの粒子を発生させる装置である。発生したイオン粒子は、除電対象物(本実施形態では印刷完了後の印刷媒体5)に供給することで印刷媒体5の表面に到達させられる。このため、印刷媒体5における電荷を中和して帯電を低減させる。
【0026】
本実施形態の除電装置3は、イオン粒子を気流で拡散させつつ印刷媒体5に供給することで、イオン粒子を印刷媒体5の表面に到達させる気流発生装置31を備える。気流発生装置31としては、送風機や送風ノズル等の種々の装置を用いることができる。気流発生装置31として汎用の装置を用いることで、低コストで所望の印刷システム1を構築できる。
【0027】
この気流発生装置31により、イオン粒子を拡散して印刷媒体5に当てることができるので、イオン粒子を確実に印刷媒体5に到達させることができる。このため、印刷媒体5の帯電を効果的に低減できる。
【0028】
また、本実施形態の印刷システム1はコート装置4を備える。コート装置4は、印刷機2が有する印刷媒体供給部22の供給方向上流側に設けられる。具体的には、印刷機2の外部であって、印刷媒体供給部22(給紙部等)の搬送方向上流側の位置に設けられる。このコート装置4では、印刷媒体5の表面、具体的にはトナーが転写される面である印刷面511に粗面を形成するためのトップコート剤を付着させる。トップコート剤は液状であって印刷媒体5の表面に塗布される。これにより、印刷媒体5の表面に、粗面を有するコート層が形成される。このコート装置4による印刷媒体5の印刷面511への粗面形成により、印刷面511にトナーを良好に転写させられ、印刷を美しく行うことができる。なお、コート装置4は本発明において必須ではなく、設けないこともできる。
【0029】
本実施形態の印刷システム1において用いられる印刷媒体5は、
図1または
図2に示すような、多層構造のシート状体である。印刷媒体5は少なくとも2層構造とされており(
図2参照)、厚み方向における一方側に樹脂層51を備える。この樹脂層51の一方面が露出していて、電子写真方式の印刷がなされる印刷面511となっている。
【0030】
樹脂層51は(2軸)延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを含む。このため、樹脂層51が耐熱性を有する層となる。よって、トナーを定着させる際の熱によって、印刷媒体5における特に印刷面511に皺等の変形が発生してしまうことを防止できる。従って、美しい印刷が可能である。(2軸)延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムは、例えばフィルム厚が30~60μmである。上市されている材料の一例として、東洋紡株式会社製の商品名「パイレン(登録商標)フィルム-OT P2271」のフィルムが挙げられる。
【0031】
印刷媒体5は、厚み方向における他方側に露出した不織布層52を備える。本実施形態の不織布層52は、ポリエチレンテレフタレート(PET)にポリエチレン(PE)が被覆された樹脂繊維が絡み合うようにして形成された不織布を含んでいる。このように印刷媒体5に不織布層52を備えさせることで、印刷中及び印刷後の印刷媒体5の帯電を低減できる。帯電低減の詳細なメカニズムは、現時点でつきとめられてはいないが、本願の出願人による試行錯誤により、静電気の悪影響が発生せず、良好な印刷結果が実際に得られていることから、有用であることは確認できている。ちなみに、不織布層52を設けることにより、印刷媒体5の強度(引張強度等)を向上させる効果も発揮する。不織布層52に用いられる不織布は、例えば目付(単位面積当たりの繊維重量)が20~60g/m2である。上市されている材料の一例として、株式会社ツジトミの商品名「シルファ SF-4070」が挙げられる。
【0032】
前述の樹脂層51と不織布層52の2層は、各層が重ね合された状態でラミネート加工されて一枚物のシート状体とされる。一枚物の状態は
図4に示したような状態で、一方面(表面)側に樹脂層51が位置し、他方面(裏面)側に不織布層52が位置する。前記一方面(表面)が印刷面511である。
【0033】
本実施形態の印刷媒体5は、
図1に示すような、持ち手孔53を有する手提げバッグ状とされている。これは、
図2に示すように、前記シート状体が組み合わされて形成されたことにより、内部に空間5Sを有した袋状であって、図示したように、不織布層52が前記空間5Sに面するように位置している。例えば、樹脂層51と不織布層52を有する一枚物のシート状体(
図4参照)を、不織布層52が向かい合うようにして2枚対向させ、端縁を熱溶着することで袋状に形成できる。このように印刷媒体5を袋状に形成することにより、不織布層52が袋状体の内面に位置するので、帯電低減のために設けられる不織布層52が印刷物の外観に影響を与えないメリットがある。
【0034】
また、前述の除電装置3が発生させるイオン粒子は印刷媒体5の表面に到達するため、印刷媒体5が袋状であると、内面についてはイオン粒子が直接的に当たりにくいことから、電荷の中和が行われにくい。これに対して本実施形態では、不織布層52が袋状体の内面に位置するから、除電装置3によるものとは別に、印刷媒体5自体の構造(具体的には不織布層52)により、静電気への対策を行うことができる。
【0035】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、樹脂層51が(2軸)延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを含むものであったが、これに限定されない。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを含むものとすることもできる。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した場合、前記実施形態と同様に、樹脂層51が耐熱性を有する層となる。そして更に、印刷媒体5の帯電を低減させる作用も奏する。このため、不織布層52との組み合わせで、印刷中及び印刷後の印刷媒体5の帯電を更に低減できる。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、例えばフィルム厚が12~30μmである。上市されている材料の一例として、東洋紡株式会社製の商品名「エスペット(登録商標)フィルム T6140」のフィルムが挙げられる。
【0037】
また、前記実施形態の印刷媒体5は2層構造とされていたが、積層態様はこれに限られず、3層以上の構造であってもよい。3層以上とする場合、特定の機能を有する層を追加することで、印刷媒体5に特定の機能を付加することができる。
【0038】
また、前記実施形態の印刷媒体5は、印刷を行う状態で
図1に示すような袋状とされていた。しかしこれに限られず、
図4に示すような一枚物のシート状のまま印刷媒体5として用いてもよい。この場合、一枚物のシート状である印刷媒体5に印刷を行った後に製袋を行い、袋状とすることもできる。
【0039】
また、印刷媒体5を袋状とする場合、底部や側部にマチを備えてもよい。また、例えば比較的重量のある内容物を入れる袋を形成する場合には、底部または持ち手孔53の周囲につき、印刷媒体5を構成するシート状体を二重以上に重ねることもできる。また、例えばブックカバー等、一枚物のシート状体を部分的に重ね合わせた形状とすることもできる。また、クリアホルダーのように、二つの端縁が開放された袋状とすることもできる。
【0040】
また、前記実施形態では、除電装置3が印刷機2の外部で印刷媒体排出部21の搬送方向下流側の位置に設けられていた。ただしこれに限定されず、除電装置3が印刷機2の内部に設けられていてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、印刷媒体5の表面(印刷面511)にトップコート剤を付着させることで、粗面を有するコート層が形成されていた。ただしこれに限定されず、例えばコロナ放電を利用したりブラスト処理を行ったりすることで、印刷媒体5の表面(印刷面511)に直接的に粗面を形成することもできる。
【0042】
また、本発明は、多層構造のシート状体であって、厚み方向における一方側に電子写真方式の印刷がなされる印刷面が露出した樹脂層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層と、を備える、電子写真方式印刷機用印刷媒体であってよい。
【0043】
この構成によれば、印刷媒体が不織布層を備えたシート状体であることにより、印刷中及び印刷後の帯電を低減できる。
【0044】
また、前記シート状体が組み合わされて形成されたことにより、内部に空間を有した袋状であって、前記不織布層が前記空間に面するように位置しているものであってもよい。
【0045】
この構成によれば、不織布層が袋状体の内面に位置することになるので、帯電を低減する不織布層が印刷物の外観に影響を与えにくい。
【0046】
また、前記樹脂層が延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを含むものであってもよい。
【0047】
この構成によれば、耐熱性があるため、電子写真方式印刷機の内部の熱によって変形しにくい。
【0048】
また、本発明は、多層構造のシート状体であって、厚み方向における一方側に印刷面が露出した樹脂シート層と、厚み方向における他方側に露出した不織布層と、を備える印刷媒体を通し、帯電させた感光ドラムの外周面に付着させたトナーを前記印刷媒体に転写することにより前記印刷面に印刷を行う電子写真方式印刷機と、前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体排出部に設けられ、発生させたイオン粒子を印刷完了後の前記印刷媒体に供給することで、前記印刷媒体の帯電状態を低減させる除電装置と、を備える印刷システムであってよい。
【0049】
この構成によれば、帯電を低減できる不織布層を備えたシート状体を用いて印刷を行い、更に、印刷完了後の印刷媒体にイオン粒子を供給することで、印刷媒体上の電荷を中和して帯電を効果的に低減できる。
【0050】
また、前記除電装置が、前記イオン粒子を気流で拡散させつつ前記印刷媒体に供給する気流発生装置を備えるものであってもよい。
【0051】
この構成によれば、気流発生装置によりイオン粒子を拡散して印刷媒体に当てることができるので、印刷媒体の帯電を更に効果的に低減できる。
【0052】
また、前記電子写真方式印刷機が有する印刷媒体供給部の供給方向上流側に設けられ、前記印刷媒体の前記印刷面に粗面を形成するためのトップコート剤を付着させるコート装置を備えるものであってもよい。
【0053】
この構成によれば、コート装置により印刷媒体の印刷面にトップコート剤で粗面を形成することにより、印刷を美しく行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 印刷システム
2 電子写真方式印刷機、印刷機
21 印刷媒体排出部
22 印刷媒体供給部
3 除電装置
31 気流発生装置
4 コート装置
5 印刷媒体
5S 空間
51 樹脂層
511 印刷面
52 不織布層
53 持ち手孔