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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】匍匐害虫用毒餌剤容器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/10 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A01M1/10 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022005880
(22)【出願日】2022-01-18
(62)【分割の表示】P 2018003546の分割
【原出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2022040302
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智基
(72)【発明者】
【氏名】若槻 健
(72)【発明者】
【氏名】雨貝 真実
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-30530(JP,A)
【文献】特許第5820797(JP,B2)
【文献】実開昭56-037891(JP,U)
【文献】実開昭51-016088(JP,U)
【文献】実開昭50-106384(JP,U)
【文献】米国特許第4244134(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
匍匐害虫を駆除するための毒餌剤を収容する匍匐害虫用毒餌剤容器において、
上記匍匐害虫用毒餌剤容器には、匍匐害虫の侵入口となる開口部が形成され、
上記匍匐害虫用毒餌剤容器の外面には、該匍匐害虫用毒餌剤容器が設置される設置面に沿って延びるように形成された設置面部が形成され、
上記設置面部が上記設置面に設置された状態で、上記開口部の下縁部は、当該下縁部の両端部に近づくほど下に位置するように湾曲するとともに、中央部に近づくほど上に位置するように湾曲している匍匐害虫用毒餌剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばゴキブリ等の匍匐害虫を駆除するための毒餌剤を収容し、匍匐害虫に毒餌剤を喫食させることによって匍匐害虫を駆除する匍匐害虫用毒餌剤容器の構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、匍匐害虫を駆除する方法としては、匍匐害虫を誘引する誘引物質を収容した捕獲器を使用して匍匐害虫を捕獲する方法、匍匐害虫を駆除するための毒餌剤を収容した容器を使用して匍匐害虫に毒餌剤を喫食させる方法等がある。匍匐害虫を捕獲する方法の場合、匍匐害虫を捕獲した後の捕獲器を処理する際に匍匐害虫が見えてしまい、不快であることから、毒餌剤を使用する方法が好まれるケースがある。毒餌剤を使用することで、匍匐害虫が毒餌剤の喫食後、巣やその周辺まで移動した後に死に至らしめることができるので、匍匐害虫を見ることなく、駆除を行うことができるようになる。
【0003】
この種の匍匐害虫用毒餌剤容器としては、例えば特許文献1に開示されているように、雨水の浸入を抑制するための土手状物を有する底板部と、底板部に結合可能な蓋部とで構成され、蓋部の側壁部には、匍匐害虫の出入り口となる開口部が形成されたものが知られている。開口部は、底板部に沿う方向に長い矩形状とされている。この容器の内部には、固形状又は半固形状の毒餌剤が収容されており、毒餌剤に誘引された匍匐害虫が側壁部の開口部から内部に侵入して毒餌剤を喫食することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5820797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の容器では、底板部に雨水の浸入を抑制するための土手状物を設けているので、設置時には、常に底板部が下に位置するように配置する必要がある。つまり、特許文献1の容器は設置時の姿勢が1つに定まっているので、使用者は定められた姿勢となるように容器を置かなければならず、使いやすさの面で改善の余地があると考えられる。例えば、容器を高い所から放り投げるようにして設置しようとすると、特許文献1の場合、底板部が縦になる姿勢で設置されてしまうことが考えられ、そうなると、開口部の長手方向が上下方向になるので、正規の姿勢で設置された場合と比べて匍匐害虫の侵入率に悪影響を及ぼすおそれがある。匍匐害虫の侵入率が低下すると毒餌剤を喫食する機会が減少し、ひいては駆除効果が低減してしまう。
【0006】
また、特許文献1の容器の天井部は上方へ膨出するような湾曲面で構成されていることから、例えば天井部が下になるような姿勢で設置面に設置された場合を想定すると、容器が不安定になってぐらつき易くなり、この場合も匍匐害虫の侵入率に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数通りの姿勢で設置可能にして使用者の利便性を向上させながら、いずれの姿勢にあっても匍匐害虫の侵入率を狙いとする侵入率に近づけることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、匍匐害虫用毒餌剤容器を第1の設置姿勢にする第1設置面部と、第2の設置姿勢にする第2設置面部とを当該容器の外面に形成し、第1の設置姿勢で設置面に沿う方向に長い第1侵入領域と、第2の設置姿勢で設置面に沿う方向に長い第2侵入領域とを有する侵入口を当該容器に形成した。
【0009】
第1の発明は、匍匐害虫を駆除するための毒餌剤を収容する匍匐害虫用毒餌剤容器において、上記匍匐害虫用毒餌剤容器には、匍匐害虫の侵入口となる開口部が形成され、上記匍匐害虫用毒餌剤容器の外面には、該匍匐害虫用毒餌剤容器が設置される設置面に沿って延びるように形成されかつ該設置面に載置された状態で該匍匐害虫用毒餌剤容器を第1の設置姿勢にする第1設置面部と、上記設置面に沿って延びるように形成されかつ該設置面に載置された状態で該匍匐害虫用毒餌剤容器を上記第1の設置姿勢とは異なる第2の設置姿勢にする第2設置面部とが形成され、上記開口部は、上記第1の設置姿勢で上記匍匐害虫用毒餌剤容器の下部に位置しかつ上記設置面に沿う方向に長い第1侵入領域と、上記第2の設置姿勢で上記匍匐害虫用毒餌剤容器の下部に位置しかつ上記設置面に沿う方向に長い第2侵入領域とを有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1設置面部が設置面に載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器が第1の設置姿勢になり、また第2設置面部が設置面に載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器が第2の設置姿勢になる。従って、匍匐害虫用毒餌剤容器を複数通りの姿勢で設置可能になるので、使用者は、設置時に1つの定まった姿勢で設置する必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
【0011】
そして、匍匐害虫用毒餌剤容器が第1の設置姿勢にあるときには、開口部の第1侵入領域が設置面に沿う方向に長くなり、また匍匐害虫用毒餌剤容器が第2の設置姿勢にあるときには、開口部の第2侵入領域が設置面に沿う方向に長くなる。つまり、いずれの設置姿勢であっても設置面に沿う方向に長い開口領域を有することになるので、設置面を匍匐している匍匐害虫が開口部から容器の内部に侵入し易くなり、その結果、匍匐害虫の侵入率が向上する。特に匍匐害虫がゴキブリである場合は、体が扁平であるため、設置面に沿う方向に長い侵入領域を確保しておくことで、容器の内部に侵入する確率(侵入率)がより一層高まる。匍匐害虫の侵入率とは、例えば容器の周辺に来た匍匐害虫が容器の内部に実際に入る確率のことであり、このとき、容器の内部には体の全部が入ってもよいし、頭部のみが入ってもよい。また、匍匐害虫の侵入率が向上するということは、喫食する機会が増えるということであり、喫食率が向上して駆除効果が高まる。
【0012】
第2の発明は、上記第1侵入領域と上記第2侵入領域とは、上記開口部の内部において互いに重複する部分を有していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1侵入領域の一部と第2侵入領域の一部とが互いに重複することになるので、開口部の開口面積を小さくしながら、第1侵入領域及び第2侵入領域を形成することが可能になる。
【0014】
第3の発明は、上記匍匐害虫用毒餌剤容器には、複数の開口部が互いに間隔をあけて形成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、匍匐害虫が匍匐害虫用毒餌剤容器の内部に侵入する確率をより一層高めることができる。
【0016】
第4の発明は、上記匍匐害虫用毒餌剤容器が上記第1の設置姿勢にあるときに上記開口部の下縁部となる縁部は、該縁部の長手方向中間部が両端部に比べて上に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、開口部の下縁部の長手方向中間部が上に位置していることで、開口部に例えば指等を差し込もうとした際に差し込みにくくなり、毒餌剤に誤って触れてしまうのを抑制することができる。
【0018】
第5の発明は、上記匍匐害虫用毒餌剤容器の外面には、上記設置面に沿って延びるように形成されかつ該設置面に載置された状態で該匍匐害虫用毒餌剤容器を上記第1及び第2の設置姿勢とは異なる第3の設置姿勢にする第3設置面部が形成され、上記開口部は、上記第3の設置姿勢で上記匍匐害虫用毒餌剤容器の下部に位置しかつ上記設置面に沿う方向に長い第3侵入領域を有していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第3設置面部が設置面に載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器が第1及び第2の設置姿勢とは異なる第3の設置姿勢になるので、匍匐害虫用毒餌剤容器を少なくとも3つの姿勢で設置可能になる。匍匐害虫用毒餌剤容器が第3の設置姿勢にあるときには、開口部の第3侵入領域が設置面に沿う方向に長くなるので、設置面を匍匐している匍匐害虫が開口部から容器の内部に侵入し易くなり、その結果、匍匐害虫の侵入率が高まる。
【0020】
第6の発明は、上記第3侵入領域と、上記第1侵入領域及び上記第2侵入領域とは、上記開口部の内部において互いに重複する部分を有していることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、第3侵入領域の一部と、第1侵入領域及び第2侵入領域の一部とが互いに重複することになるので、開口部の開口面積を小さくしながら、第1~第3侵入領域を形成することが可能になる。
【0022】
第7の発明は、上記匍匐害虫用毒餌剤容器の外面には、上記設置面に沿って延びるように形成されかつ該設置面に載置された状態で該匍匐害虫用毒餌剤容器を上記第1、第2及び第3の設置姿勢とは異なる第4の設置姿勢にする第4設置面部が形成され、上記第1、第2、第3及び第4設置面部は、仮想の正四面体を構成する4つの面にそれぞれ沿うように形成されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、第4設置面部が設置面に載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器が第1~第3の設置姿勢とは異なる第4の設置姿勢になるので、匍匐害虫用毒餌剤容器を少なくとも4つの姿勢で設置可能になる。そして、第1、第2、第3、第4設置面部が仮想の正四面体を構成する位置関係になるので、どの設置面部が設置面に載置されたとしても、他の設置面部との相対的な位置関係は同じになる。よって、第1~第4のいずれの設置姿勢で設置されても、匍匐害虫用毒餌剤容器の姿勢は外観上、殆ど同じになるようにすることができ、使用者は設置時の姿勢を気にする必要がなくなる。
【0024】
第8の発明は、上記開口部は、上記仮想の正四面体の4つの頂点部分にそれぞれ対応するように形成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、匍匐害虫用毒餌剤容器に少なくとも4つの開口部が形成されることになる。例えば、第1の設置姿勢にあるときには、少なくとも3つの開口部が当該容器の下部において開口し、少なくとも1つの開口部が当該容器の上部において開口することになる。よって、匍匐害虫が例えば匍匐害虫用毒餌剤容器の外面を登るように移動した場合に、上部に位置する開口部から当該容器の内部に侵入し易くなり、その結果、匍匐害虫の侵入率がより一層高まる。
【0026】
第9の発明は、上記毒餌剤は、固形状又は半固形状とされ、上記匍匐害虫用毒餌剤容器の内部には、上記毒餌剤の外面に接触して該毒餌剤を所定位置に位置決めするための位置決め部が該匍匐害虫用毒餌剤容器の内面から突出するように設けられ、上記匍匐害虫用毒餌剤容器の外部から上記開口部を見たとき、上記位置決め部が該開口部と重複するように位置していることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、毒餌剤が位置決め部によって匍匐害虫用毒餌剤容器の内部で所定位置に保持される。この状態で、位置決め部が開口部と重複するように位置しているので、例えば指等が外部から開口部に差し込まれたときに、位置決め部に当たり、毒餌剤には触れにくくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、匍匐害虫用毒餌剤容器を第1の設置姿勢にする第1設置面部と、第2の設置姿勢にする第2設置面部とを当該容器の外面に形成し、第1の設置姿勢で設置面に沿う方向に長い第1侵入領域と、第2の設置姿勢で設置面に沿う方向に長い第2侵入領域とを有する開口部を当該容器に形成したので、匍匐害虫用毒餌剤容器を複数通りの姿勢で設置可能にして使用者の利便性を向上させることができるとともに、いずれの姿勢にあっても匍匐害虫の侵入率を狙いとする喫食率に近づけて駆除効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態1に係る匍匐害虫用毒餌剤容器が連結された連結体を上方から見た斜視図である。
図2】連結体を下方から見た斜視図である。
図3】連結体の平面図である。
図4】連結体の底面図である。
図5】連結体の正面図である。
図6】連結体の左側面図である。
図7図3におけるVII-VII線断面図である。
図8】匍匐害虫用毒餌剤容器の個数を変更した場合を示す図1相当図である。
図9】匍匐害虫用毒餌剤容器の個数を変更した場合を示す図2相当図である。
図10】連結体の第1部材を上方から見た斜視図である。
図11図10におけるXI-XI線断面を示しており、第1部材をスタッキングした状態の図である。
図12】連結体の第2部材を下方から見た斜視図である。
図13図12におけるXII-XII線断面を示しており、第2部材をスタッキングした状態の図である。
図14】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器を上方から見た斜視図である。
図15】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の正面図である。
図16】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の第1開口部のみ拡大して示す図である。
図17】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の背面図である。
図18】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の右側面図である。
図19】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の平面図である。
図20】第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器の底面図である。
図21図19におけるXXI-XXI線断面図である。
図22図19におけるXXII-XXII線断面図である。
図23】本発明の実施形態2に係る匍匐害虫用毒餌剤容器が第1の設置姿勢にある場合の図14相当図である。
図24】本発明の実施形態2に係る匍匐害虫用毒餌剤容器が第1の設置姿勢にある場合の正面図である。
図25】本発明の実施形態2に係る匍匐害虫用毒餌剤容器が第1の設置姿勢にある場合の平面図である。
図26図25におけるXXVI-XXVI線断面図である。
図27図24におけるXXVII-XXVII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
(実施形態1)
図1図9は、本発明の実施形態1に係る匍匐害虫用毒餌剤容器1が複数個連結されて構成された連結体Aを示すものである。なお、匍匐害虫用毒餌剤容器1は、使用時においては個々に切り離して設置するものである(後述)が、本実施形態では、成形、組み立ておよび運搬時の効率等を鑑みて、このように複数個連結された連結体Aとして構成されている。図1図7に示す例では6個の匍匐害虫用毒餌剤容器1が連結されて連結体Aが構成され、また図8及び図9に示す例では8個の匍匐害虫用毒餌剤容器1が連結されて連結体Aが構成されている。
【0032】
6個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結した構成にする場合には、図3に示すように平面視で各匍匐害虫用毒餌剤容器1の中心が六角形の各頂点に位置するように配置することにより、6個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を環状に配置して連結することができる。6個の匍匐害虫用毒餌剤容器1が連結された連結体Aの中心部に、別の匍匐害虫用毒餌剤容器1を更に配置し、中心部の匍匐害虫用毒餌剤容器1を周囲の匍匐害虫用毒餌剤容器1に連結してもよい。
【0033】
図8及び図9に示すように8個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結した構成にする場合には、平面視で各匍匐害虫用毒餌剤容器1の中心が八角形の各頂点に位置するように配置することにより、8個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を環状に配置して連結することができる。8個の匍匐害虫用毒餌剤容器1が連結された連結体Aの中心部に、別の匍匐害虫用毒餌剤容器1を更に配置し、中心部の匍匐害虫用毒餌剤容器1を周囲の匍匐害虫用毒餌剤容器1に連結してもよい。
【0034】
連結体Aを構成する匍匐害虫用毒餌剤容器1の個数は特に限定されるものではなく、例えば5個、7個、9個、10個以上であってもよい。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1は4個以下であってもよく、4個の場合は平面視で各匍匐害虫用毒餌剤容器1の中心が正方形の各頂点に位置するように配置することができる。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1は複数個を連結することなく、単体であってもよい。
【0035】
匍匐害虫用毒餌剤容器1を店頭等で販売する際には、上記したように複数の匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結した連結体Aとして販売することもできるし、複数の匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結することなく、1つに包装して販売することもできる。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1の大きさは全て同じでなくてもよく、小さいものや大きいものが混在していてもよい。また、1つの匍匐害虫用毒餌剤容器1を包装して販売することもできる。
【0036】
複数個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結した構成にする場合、隣合う匍匐害虫用毒餌剤容器1を連結部100によって連結する。連結部100は、匍匐害虫用毒餌剤容器1と一体成形されており、連結部100を介して隣合う匍匐害虫用毒餌剤容器1を一体化することができる。
【0037】
隣合う匍匐害虫用毒餌剤容器1を分離させる際には、連結部100を折るように力を加えればよい。連結部100における中央部は、所定以上の力が加わると破断するように脆弱構造を有している。連結部100に設ける脆弱構造の例としては、例えば溝部や凹部、貫通孔等を挙げることができる。連結部100を折るように所定以上の力を加えることで、連結部100の中央部を起点として連結部100が破断し、その結果、隣合う匍匐害虫用毒餌剤容器1が分離する。隣合う匍匐害虫用毒餌剤容器1を分離する時に、匍匐害虫用毒餌剤容器1が損傷することのないように、連結部100の脆弱構造が設けられている。
【0038】
図14等に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1は、共に樹脂材からなる第1部材201と第2部材301とで構成されており、2分割構造とされている。第1部材201と第2部材301を構成する樹脂材は、特に限定されるものではないが、硬質樹脂等を用いることができる。
【0039】
図14では、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にある場合を示しており、第1の設置姿勢にある場合は、第1部材201が下に位置し、第2部材301が上に位置することになる。尚、匍匐害虫用毒餌剤容器1は、第1部材201と第2部材301とで構成することなく、単一部材からなる一体成形品であってもよいし、3つ以上の部材を組み合わせて構成してもよい。
【0040】
6個の匍匐害虫用毒餌剤容器1を環状に配置して連結した構成にする場合には、図10に示すように、第1部材201を連結部100によって6個連結した状態で射出成形法等の成形方法によって一体成形する。第2部材301については、図12に示すように連結部100によって6個連結した状態で同様に一体成形する。
【0041】
図11に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の製造時には、連結部100によって連結された第1部材201を上下方向に重ねておく。また、図13に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の製造時には、連結部100によって連結された第2部材301を上下方向に重ねておく。これをスタッキングというが、本実施形態ではスタッキング時に安定させるための構成も備えており、この構成については後述する。スタッキング時には多数の部材を重ねておくことができる。これにより、組み立て前の第1部材201および第2部材301を、効率よく保管および運搬することができる。
【0042】
組み立て時においては、スタッキングされている状態で第1部材201及び第2部材301を上から順に取って互いに結合することによって匍匐害虫用毒餌剤容器1を得ることができる。第1部材201及び第2部材301を結合する前に、毒餌剤400を第1部材201に載置しておけばよい。第1部材201及び第2部材301の結合構造としては、従来から周知のピン嵌合による結合構造や爪嵌合による結合構造、溶着による結合構造等を挙げることができる。
【0043】
(毒餌剤)
匍匐害虫用毒餌剤容器1は、匍匐害虫を駆除するための毒餌剤400(図7等に示す)を収容するためのものである。匍匐害虫用毒餌剤容器1に収容されている毒餌剤400を匍匐害虫に喫食させることで匍匐害虫を死に至らしめて駆除することができる。駆除対象となる匍匐害虫は、地面や床面等を匍匐、歩行、移動する害虫であり、例えば、ゴキブリ、アリ、ムカデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、ナメクジ等を挙げることができるが、これらに限定されるものはない。壁面を匍匐、歩行、移動する害虫も駆除対象害虫である。ゴキブリは、例えば、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等を挙げることができる。
【0044】
毒餌剤400は、固形状または半固形状とされていて、長期間に亘って所定の形状を維持することができる形状維持性を備えている。固形状または半固形状とする場合には、円柱状に成形することができる。毒餌剤400は、基材と、殺虫剤と、誘引剤とを含んでいる。
【0045】
殺虫剤としては、例えばフィプロニルが好適に用いられる。他にも、レスメトリン、ペルメトリン、サイフェノトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、トラロメスリンなどのピレスロイド系化合物、有機リン系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、シラフルオフェン、イミダクロプリド、クロルフェナピル、ホウ酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらを複数種類混合して用いても良い。殺虫剤と混合して用いられる他の成分としては、殺虫剤の溶解性、乾性、粘性、付着性、対象害虫への影響(忌避性または誘引性の有無)、安全性、経済性などを考慮して選択することができる。これらの成分としては、大豆油、ナタネ油、ゴマ油、落花生油、オリーブ油などの植物油脂、豚脂、牛脂などの動物油脂、灯油、エタノール、メタノール、ポリエチレングリコール、メチルジグリコール、グリセリンなどのアルコール類などが例示できる。
【0046】
誘引剤としては、上記した植物性油脂、動物性油脂の他、各種の食材、澱粉、糖類、チーズ、ハチミツ、フレーバー類、エキス類、フェロモンなどの中から選択することができるが、これらに限られるものではなく、常温で揮発性を有する各種誘引剤を使用することができる。
【0047】
殺虫剤及び誘引剤の担持体としては限定されるものではないが、殺虫剤及び誘引剤の保持力、製造性などの観点から、各種粉体、レーヨン、合成繊維、ガラス繊維などからなる不織布、コート紙、ボール紙などの紙、木綿、絹、羊毛などの天然繊維からなる布、水性および油性ゲル、吸液性ポリマーなどを用いることが好ましい。粉体を使用する場合には、固形化、または半固形化するための固形化剤または半固形化剤を混合させるのが好ましい。固形化剤及び半固形化剤は従来から周知のものである。
【0048】
毒餌剤400の形状は、例えば上下方向に長い円柱状にすることができるが、立方体形状、直方体形状、球状等であってもよい。またこの実施形態の匍匐害虫用毒餌剤容器1は、害虫が侵入するための4つの開口部11~14を有している(詳しくは後述)ので、毒餌剤400は、それぞれの開口部11~14からの距離が等しくなるように配置することが好ましい。図21に示すように本実施形態では、第1の設置姿勢において毒餌剤400が上下方向に長い形状とすることにより、開口部14から毒餌剤400までの距離を近づけている。結果として、何れの開口部11~14からでも毒餌剤400までの距離がほぼ等しくなっている。
【0049】
(匍匐害虫用毒餌剤容器1の形状)
図14等に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1は立体形状を有しており、図19に仮想線で示す仮想の正四面体の内方に収めることが可能な形状となっている。図14図15図17図20に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外面には、第1設置面部10と、第2設置面部20と、第3設置面部30と、第4設置面部40とが形成されている。第1設置面部10は、匍匐害虫用毒餌剤容器1が設置される設置面G(図15に仮想線で示す)に沿って延びるように形成されかつ該設置面Gに載置された状態で該匍匐害虫用毒餌剤容器1を第1の設置姿勢にする部分である。
【0050】
設置面Gは、例えば地面や床面等を挙げることができるが、匍匐害虫が匍匐しそうな面であればよく、これらに限定されるものではない。設置面Gは水平であってもよいし、匍匐害虫用毒餌剤容器1が転がらない程度の傾斜面であってもよい。また、設置面Gは平坦であってもよいし、多少の凹凸がある面、湾曲した面であってもよい。
【0051】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるとき、この実施形態の説明では、図15を正面図とし、図17を背面図とし、図18を右側面図とし、図19を平面図とし、図20を底面図とする。図15の左右方向を、第1の設置姿勢にあるときの匍匐害虫用毒餌剤容器1の左右方向とする。図18の右側を、第1の設置姿勢にあるときの匍匐害虫用毒餌剤容器1の後側とし、図18の左側を、第1の設置姿勢にあるときの匍匐害虫用毒餌剤容器1の前側とする。これは説明の便宜を図るために定義するだけであり、実際の使用時における方向や設置時における方向、製造時における方向を限定するものではない。
【0052】
第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の第1設置面部10は、設置面Gが水平であれば略水平に延びることになり、この第1設置面部10の上に、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40が位置することになる。以下の説明では、設置面Gが水平である場合について説明するが、上述したように設置面Gが傾斜していてもよい。
【0053】
第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の右側に位置するように第2設置面部20が形成され、また左側に位置するように第3設置面部30が形成され、また後側に位置するように第4設置面部40が形成されている。第1設置面部10と第2設置面部20とのなす角度、第1設置面部10と第3設置面部30とのなす角度、及び第1設置面部10と第4設置面部40とのなす角度は全て等しく設定されており、例えば60゜にすることができる。さらに、第2設置面部20と第3設置面部30とのなす角度、第3設置面部30と第4設置面部40とのなす角度、及び第4設置面部40と第2設置面部20とのなす角度も全て等しく設定されており、例えば60゜にすることができる。従って、第1設置面部10、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40は、図19に示す仮想の正四面体を構成する4つの面にそれぞれ沿うように形成されており、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外形状のベースは、正四面体となっている。匍匐害虫用毒餌剤容器1の外形状は、全体として正四面体の頂点部及び辺部を削除したような形状とされて丸みが付けられている。
【0054】
第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40もそれぞれ第1設置面部10と同様に水平な設置面Gに載置された場合に該設置面Gに沿って延びる形状とされており、この実施形態では、第1設置面部10、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40の形状が全て同じになっている。第2設置面部20を設置面Gに載置すると、第1設置面部10と第2設置面部20とのなす角度が所定の角度となっていることから、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢が第1の設置姿勢とは異なる第2の設置姿勢になる。つまり、第2設置面部20は、設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1を第2の設置姿勢にするための部分である。匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢になると、図示しないが、第2設置面部20が水平に延び、その第2設置面部20の上に、第1設置面部10、第3設置面部30及び第4設置面部40が位置することになる。
【0055】
第3設置面部30を設置面Gに載置すると、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢が第1の設置姿勢及び第2の設置姿勢とは異なる第3の設置姿勢になる。つまり、第3設置面部30は、設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1を第3の設置姿勢にするための部分である。匍匐害虫用毒餌剤容器1が第3の設置姿勢になると、図示しないが、第3設置面部30が水平に延び、その第3設置面部30の上に、第1設置面部10、第2設置面部20及び第4設置面部40が位置することになる。
【0056】
第4設置面部40を設置面Gに載置すると、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢が第2の設置姿勢、第2の設置姿勢及び第3の設置姿勢とは異なる第4の設置姿勢になる。つまり、第4設置面部40は、設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1を第4の設置姿勢にするための部分である。匍匐害虫用毒餌剤容器1が第4の設置姿勢になると、図示しないが、第4設置面部40が水平に延び、その第4設置面部40の上に、第1設置面部10、第2設置面部20及び第3設置面部30が位置することになる。したがって、匍匐害虫用毒餌剤容器1は4つの設置姿勢をとることが可能になっている。
【0057】
図20図22に示すように、第1設置面部10には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第1凹面部10aが形成されている。第1凹面部10aの周縁部の形状は略円形となっており、第1設置面部10における第1凹面部10aの周囲が設置面Gに設置する部分となっている。第1凹面部10aの中心部には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第1中心凹部10bが形成されている。第1凹面部10aには、第1中心凹部10bを囲むように、3つの凹部10c、10d、10eが形成されている。3つの小径凹部10c、10d、10eは、第1中心凹部10bの周方向に略等間隔に配置されている。小径凹部10c、10d、10eのうち、小径凹部10eの深さが、他の小径凹部10c、10dの深さに比べて深くなっている。小径凹部10c、10dの深さは略同じである。小径凹部10eの深さと、小径凹部10c、10dの深さとの差は、例えば1mm程度にすることができる。
【0058】
図14図15及び図19等に示すように、第2設置面部20には、第1設置面部10と同様に匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第2凹面部20aが形成されている。第2設置面部20における第2凹面部20aの周囲が設置面Gに設置する部分となっている。第2凹面部20aの中心部には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第2中心凹部20bが形成されている。
【0059】
また、第3設置面部30には、第1設置面部10や第2設置面部20と同様に匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第3凹面部30aが形成されている。第3設置面部30における第3凹面部30aの周囲が設置面Gに設置する部分となっている。第3凹面部30aの中心部には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第3中心凹部30bが形成されている。
【0060】
さらに、第4設置面部40には、第1設置面部10等と同様に匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第4凹面部40aが形成されている。第4設置面部40における第4凹面部40aの周囲が設置面Gに設置する部分となっている。第4凹面部40aの中心部には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内方へ向けて窪む第4中心凹部40bが形成されている。尚、上記第1凹面部10a、第2凹面部20a、第3凹面部30a及び第4凹面部40aは省略してもよい。
【0061】
この実施形態では、第1設置面部10、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40の全てが同じ形状であり、第1凹面部10a、第2凹面部20a、第3凹面部30a及び第4凹面部40aの全てが同じ形状となっている。従って、第1設置面部10、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40のうち、どの面部を設置面Gに載置したとしても、実際には匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢は異なっているのであるが、使用者は同じ姿勢であるように見える。尚、小径凹部10c、10d、10eが第1設置面部10にのみ設けられていて、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40には設けられていないので、第1設置面部10と、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40との間で外観上の多少の相違はあるが、小径凹部10c、10d、10eは小さなものであって目立ちにくいので、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢がどの姿勢であっても、使用者は同じ姿勢であるように見える。
【0062】
また、第1設置面部10、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40の全てが同じ形状であることから、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢がどの姿勢であっても匍匐害虫用毒餌剤容器1を同じように安定させることができる。
【0063】
匍匐害虫用毒餌剤容器1の外寸は、例えば35mm以上70mm以下に設定することができる。匍匐害虫用毒餌剤容器1の外寸を大きくすると、匍匐害虫用毒餌剤容器1の容積が大きくなり、その結果、第1~第4開口部11~14から侵入した匍匐害虫が、毒餌剤400を食べ終えた後も匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に居つき、そのまま死に至ることがある。例えばゴキブリのように比較的大きな害虫の場合、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部で死に至ると、開口部11~14を塞いでしまう可能性がある。このことを抑制するために、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外寸を上記した上限値以下にして匍匐害虫用毒餌剤容器1の容積を小さくすることで、毒餌剤400を食べ終えた匍匐害虫が匍匐害虫用毒餌剤容器1内に居つかないようするのが好ましい。
【0064】
(匍匐害虫用毒餌剤容器1の開口部)
匍匐害虫用毒餌剤容器1には、匍匐害虫の侵入口となる第1~第4開口部11~14が互いに間隔をあけて形成されている。小さな匍匐害虫の場合、その体全体が第1~第4開口部11~14のいずれかから匍匐害虫用毒餌剤容器1に侵入する場合がある。また、例えば大きなゴキブリ等の場合、頭と胴体の一部のみが第1~第4開口部11~14から匍匐害虫用毒餌剤容器1に侵入して体の全体が匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入しないことがあるが、この場合も体の一部が匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入していることから第1~第4開口部11~14を侵入口と呼ぶことができる。この場合も毒餌剤400を喫食することは可能である。
【0065】
この実施形態1では、第1~第4開口部11~14は、図19に示す仮想の正四面体の4つの頂点部分にそれぞれ対応するように形成されている。第1~第4開口部11~14は、互いに異なる方向に向けて開口している。また、第1~第4開口部11~14の形状は同じにすることもできるし、異なる形状にすることもできる。第1~第4開口部11~14の開口面積は同じにすることもできるし、異なる面積にすることもできる。第1~第4開口部11~14の大きさや開口面積を変えることで、複数種の匍匐害虫を駆除対象害虫とすることができる。
【0066】
第1~第4開口部11~14は、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に連通しており、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部空間を外部に開放するための部分でもある。匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に収容されている毒餌剤400の誘引剤は、揮発した後、第1~第4開口部11~14から匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部に流出することになるので、匍匐害虫の誘引効果を高めることができる。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1に複数の開口部11~14を形成しているので、外部の風が一の開口部から匍匐害虫用毒餌剤容器1に入った後、他の開口部から出ていき、このときに揮発した誘引剤が風に乗って匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部に流出する。よって、匍匐害虫の誘引効果をより一層高めることができる。
【0067】
尚、この実施形態では、匍匐害虫の侵入口となる開口部を匍匐害虫用毒餌剤容器1に4つ形成しているが、これに限られるものではなく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1には、匍匐害虫の侵入口となる開口部以外にも、例えば、誘引剤を匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部に流出させるための小さな開口部やスリット等を形成することもできる。
【0068】
図14及び図15に示すように、第1開口部11は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部において正面に位置しており、第1設置面部10、第2設置面部20及び第3設置面部30で囲まれた部分に開口している。図17及び図18に示すように、第2開口部12は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部において右後部に位置しており、第1設置面部10、第2設置面部20及び第4設置面部40で囲まれた部分に開口している。図17及び図20に示すように、第3開口部13は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部において左後部に位置しており、第1設置面部10、第3設置面部30及び第4設置面部40で囲まれた部分に開口している。図14及び図15に示すように、第4開口部14は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置しており、第2設置面部20、第3設置面部30及び第4設置面部40で囲まれた部分に開口している。
【0069】
従って、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときには、第1開口部11、第2開口部12及び第3開口部13が匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置する一方、第4開口部14が匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置することになる。この場合、設置面Gの匍匐する匍匐害虫は、第1開口部11、第2開口部12及び第3開口部13から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなる。一方、匍匐害虫用毒餌剤容器1に登るように移動した匍匐害虫は、第4開口部14から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなるので、匍匐害虫の侵入率を高めることができる。
【0070】
また、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢にあるときには、第1開口部11、第2開口部12及び第4開口部14が匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置する一方、第3開口部13が匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置することになる。この場合、設置面Gの匍匐する匍匐害虫は、第1開口部11、第2開口部12及び第4開口部14から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなり、匍匐害虫用毒餌剤容器1に登るように移動した匍匐害虫は、第3開口部13から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなる。
【0071】
また、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第3の設置姿勢にあるときには、第1開口部11、第3開口部13及び第4開口部14が匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置する一方、第2開口部12が匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置することになる。この場合、設置面Gの匍匐する匍匐害虫は、第1開口部11、第3開口部13及び第4開口部14から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなり、匍匐害虫用毒餌剤容器1に登るように移動した匍匐害虫は、第2開口部12から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなる。
【0072】
また、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第4の設置姿勢にあるときには、第2開口部12、第3開口部13及び第4開口部14が匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置する一方、第1開口部11が匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置することになる。この場合、設置面Gの匍匐する匍匐害虫は、第2開口部12、第3開口部13及び第4開口部14から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなり、匍匐害虫用毒餌剤容器1に登るように移動した匍匐害虫は、第1開口部11から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入し易くなる。
【0073】
図16は、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときの第1開口部11と設置面Gとの位置関係を示している。第1開口部11は、第1の設置姿勢で匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置しかつ設置面Gに沿う方向に長い第1侵入領域(符号S1で示す矩形枠で囲まれた領域)を有している。厳密には、矩形枠S1で囲まれた領域のうち、第1開口部11内に位置する領域、即ち矩形枠S1と第1開口部11とが重複する領域が第1侵入領域になるが、矩形枠S1のうち、第1開口部11外に位置する領域は極めて小さいため、この説明では、矩形枠S1で囲まれた領域を第1侵入領域というものとする。
【0074】
特に匍匐害虫がゴキブリである場合は、体が扁平であるため、設置面Gに沿う方向に長い侵入領域を確保しておくことで、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入する確率がより一層高まる。
【0075】
また、ゴキブリは自身の体の形状に合った隙間を好む性質があるため、第1開口部11の縁部の形状がゴキブリの体に接触し易い形状であれば侵入率が向上すると考えられる。この点、本実施形態の第1侵入領域S1の左右両側縁部は、左右方向(設置面Gに沿う方向)外側に向けて凸となるように湾曲している。第1侵入領域S1の高さHは、側縁部の上下方向の寸法とすることができ、6mm以上15mm以下の範囲で設定されている。第1侵入領域S1の高さHは7mm以上にするのが好ましい。また、第1侵入領域S1の高さH1は12mm以下にするのが好ましい。第1侵入領域S1の高さHを上記範囲内で設定することにより、設置面Gを匍匐しているゴキブリが第1開口部11の第1侵入領域S1に侵入する際に侵入し易くすることができる。すなわち、第1侵入領域S1の高さHをゴキブリの体高に合わせるとともに、左右の側縁部が左右方向(設置面Gに沿う方向)外側に向けて凸となるように湾曲することで、第1侵入領域S1の左右少なくとも何れか一方の側縁部がゴキブリの体側部に沿って密着し易くなる。これによりゴキブリは、第1開口部11のことを、自身にとって好ましい隙間と認識し易くなると考えられる。このように、侵入時のゴキブリの体が第1開口部11の側縁部に若干触れるようにしておくことで、ゴキブリを、その習性を利用して匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に誘き寄せることができる。
【0076】
第1侵入領域S1の幅Wは、第1侵入領域S1の左右両側縁部間の寸法とすることができ、15mm以上40mm以下の範囲で設定されている。第1侵入領域S1の幅Wは20mm以上30mm以下にするのが好ましい。第1侵入領域S1の幅Wを上記範囲内で設定することにより、例えば複数匹のゴキブリが同時に第1開口部11から匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部に侵入可能になる。
【0077】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときに、第1開口部11の下縁部となる縁部11aは、該縁部11aの長手方向中間部が両端部に比べて上に位置するように形成されている。従って、第1開口部11の縁部11aは、両端部に近づくほど下に位置するように形成される一方、中央部に近づくほど上に位置するように形成される。このように、第1開口部11の縁部11aの長手方向中間部が上に位置することで、第1開口部11に例えば指等を差し込もうとした際に差し込みにくくなり、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部の毒餌剤400に誤って触れてしまうのを抑制することができる。
【0078】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢になると、図16に示す第1開口部11の縁部11bが匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置し、第1開口部11の下縁部になる。縁部11bは、該縁部11bの長手方向中間部が両端部に比べて上に位置するように形成されている。第1開口部11は、第2の設置姿勢で匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置しかつ設置面Gに沿う方向に長い第2侵入領域(符号S2で示す矩形枠で囲まれた領域)を有している。この第2侵入領域S2は第1侵入領域S1と同じ形状である。第1侵入領域S1と第2侵入領域S2とは、第1開口部11の内部において互いに重複する部分を有している。
【0079】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第3の設置姿勢になると、図16に示す第1開口部11の縁部11cが匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置し、第1開口部11の下縁部になる。縁部11cは、該縁部11cの長手方向中間部が両端部に比べて上に位置するように形成されている。第1開口部11は、第3の設置姿勢で匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置しかつ設置面Gに沿う方向に長い第3侵入領域(符号S3で示す矩形枠で囲まれた領域)を有している。この第3侵入領域S3は第1侵入領域S1と同じ形状である。第3侵入領域S3と、第1侵入領域S1及び第2侵入領域S2とは、第1開口部11の内部において互いに重複する部分を有している。
【0080】
第1開口部11は、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢、第2の設置姿勢、第3の設置姿勢のいずれにあるときでも匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に配置される侵入口となる。そして、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢、第2の設置姿勢、第3の設置姿勢のいずれにあるときでも、設置面Gに沿う方向に長い侵入領域を形成することができるので、匍匐害虫用毒餌剤容器1の設置姿勢に関わらず、匍匐害虫の侵入率を高めることができる。
【0081】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢、第2の設置姿勢、第3の設置姿勢のいずれにあるときでも、設置面Gに沿う方向に長い侵入領域を形成するために、第1開口部11は大きく開口することになる。第1の設置姿勢にあるときには、第1開口部11の高さ方向の寸法は左右方向の中央部が最も長くなる。第1開口部11の左右方向の中央部の高さ寸法が最も長くなるのは、第2の設置姿勢及び第3の設置姿勢であっても同様である。
【0082】
第2開口部12、第3開口部13及び第4開口部14も同様に3つの設置姿勢のそれぞれに対応した3つの侵入領域を有している。
【0083】
(毒餌剤400の位置決め構造)
図21及び図22に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部には、毒餌剤400の外面に接触して該毒餌剤400を所定位置に位置決めするための第1~第3位置決め部2~4が該匍匐害虫用毒餌剤容器1の内面から突出するように設けられている。図10に示すように、第1~第3位置決め部2~4は、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときに底板部となる部分の内面から上方へ突出する柱状に形成されている。第1~第3位置決め部2~4は、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときに底板部となる部分の中心部を囲むように配置されており、第1~第3位置決め部2~4で囲まれた部分に毒餌剤400が配置される。第1~第3位置決め部2~4が毒餌剤400の外面に接触することで、毒餌剤400は3方向から支持されるとともに上下方向への移動が阻止されて保持される。
【0084】
また、第1~第3位置決め部2~4は、製造時等においてスタッキングされた第1部材201を相互に支えるための支柱を兼ねている。即ち、図11に示すように、第1部材201を上下方向に重ねてスタッキングする際、第1~第3位置決め部2~4の先端部がそれぞれ第1設置面部10の小径凹部10c、10d、10eに挿入されるように、第1~第3位置決め部2~4の先端部の位置及び形状が設定されている。なお、第1~第3位置決め部2~4の先端部と、第1設置面部10の小径凹部10c、10d、10eとが固着しないように、各部の寸法が設定されている。
【0085】
このように、スタッキングされた第1部材201を相互に支えるための支柱(第1~第3位置決め部2~4)を、第1部材201に3本設けているので、例えばスタッキング状態で上下方向の荷重が掛かった場合に、各第1部材201において荷重を分散し安定して支えることができる。これにより、スタッキング時の荷重が一箇所に集中することがないので、第1部材201およびそれらを繋ぐ連結部100の破損・変形等を未然に防止することができる。
【0086】
また、上記のように、下に位置する第1~第3位置決め部2~4の先端部を、上に位置する第1設置面部10の小径凹部10c、10d、10eに挿入することで、上の第1部材201と下の第1部材201とが水平方向にずれにくくなり、スタッキング状態を維持することができる。
【0087】
ところで水平方向のずれを防止するという観点からすると、第1~第3位置決め部2~4が小径凹部10c、10d、10eに挿入される深さは、十分に深い方が好ましい。ところが、前述のとおり、本実施形態の第1部材201は、複数個が連結された状態で成形されてスタッキングされる。例えば6個連結の場合、当該連結状態では、合計18本の支柱(第1~第3位置決め部2~4)を有することになり、スタッキング時にはそれぞれが小径凹部10c~10eに挿入されることになる。ここで仮に、当該18本の支柱が全て同じように深く挿入されていると、スタッキング状態の第1部材201を上から順に取り上げようとした際に、引っかかりが生じ易い。この場合、一番上の段だけ取り上げたいにもかかわらず、予期せずに複数段の第1部材201を一緒に取り上げてしまう等の弊害が生じる可能性があり、組み立て時の作業性が悪化するおそれがある。
【0088】
そこで本実施形態では、第1位置決め部2の高さは、第2位置決め部3及び第3位置決め部4の高さよりも高くなっている。第1位置決め部2の高さと、第2位置決め部3及び第3位置決め部4の高さとの差は、例えば1mm程度に設定することができる。第2位置決め部3及び第3位置決め部4の高さは同じである。そして、第1位置決め部2の先端部が、最も深い小径凹部10eに挿入される。
【0089】
即ち、本実施形態の第1部材201では、スタッキング状態で挿入される支柱(第1~第3位置決め部2~4)のうち、一部(第1位置決め部2)のみが比較的深く挿入され、それ以外(第2および3位置決め部3,4)は比較的浅く挿入されるように構成されている。これにより、全ての支柱が同じように深く挿入される場合に比べて、スタッキング状態の第1部材201を上から順に取り上げる際の引っかかりが低減し、一番上の段のみを取り上げやすい。結果として、組み立て時の作業性が向上する。
【0090】
なお本実施形態では、第1部材201が例えば6個連結された状態でスタッキングされるが、この場合、比較的深く挿入される支柱(第1位置決め部2)は計6本となる。このように複数本の支柱が比較的深く挿入されることにより、水平方向のずれを確実に防止できる。ただし、比較的深く挿入される支柱の数はこれに限らない。水平方向のずれを確実に防止するためには、第1部材201が複数個連結された状態において、少なくとも計3本の支柱が比較的深く挿入されるように構成されていることが好ましい。
【0091】
また、第1~第3位置決め部2~4は、ユーザーが誤って毒餌剤400に触れてしまうことを防止するガードの役割も兼ねている。即ち、図15に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部から第1開口部11を見たとき、第1位置決め部2が該第1開口部11と重複するように位置している。よって、例えば指等が外部から第1開口部11に差し込まれたときに、第1位置決め部2に当たり、毒餌剤400には触れにくくなる。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部から第2開口部12を見たとき、第2位置決め部3が該第2開口部12と重複するように位置しており、また、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外部から第3開口部13を見たとき、第3位置決め部4が該第3開口部13と重複するように位置している。よって、例えば指等が外部から第2開口部12や第3開口部13に差し込まれたときにも、毒餌剤400には触れにくくなる。
【0092】
(第2部材301のリブ)
図12等に示すように、第2部材301の内面には、3つのリブ6が形成されている。匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときに、リブ6は下方へ向けて突出することになる。3つのリブ6は、所定位置に保持されている毒餌剤400を囲むように配置されている。尚、リブ6の数は3つに限られるものではない。
【0093】
3つのリブ6のうち、1つのリブ6には切欠部6aが形成されている。図13に示すように、第2部材301を上下方向に重ねてスタッキングする際、下の第2部材301の上面が、上の第2部材301のリブ6の下端部に当接し、下の第2部材301の上面の一部がリブ6の切欠部6aに嵌まるようになっている。すなわち、リブ6の切欠部6aは、第2部材301の上面の一部が嵌合するような形状とされている。このように、下に位置する第2部材301を、上に位置する第2部材301のリブ6の切欠部6aに嵌めることで、上の第2部材301と下の第2部材301とが水平方向にずれにくくなり、スタッキング状態を維持することができる。
【0094】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る匍匐害虫用毒餌剤容器1によれば、第1設置面部10が設置面Gに載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢になり、また第2設置面部20が設置面Gに載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢になる。また、第3設置面部30が設置面Gに載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器1が第3の設置姿勢になり、また第4設置面部40が設置面Gに載置されると匍匐害虫用毒餌剤容器1が第4の設置姿勢になる。従って、匍匐害虫用毒餌剤容器1を複数通りの姿勢で設置可能になるので、使用者は、設置時に1つの定まった姿勢で設置する必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。例えば、匍匐害虫用毒餌剤容器1を上方から設置面Gに放り投げた場合には、匍匐害虫用毒餌剤容器1の姿勢が、上記4つの姿勢のうちの1つの姿勢に自然になるので、使用者は容易に設置することができる。
【0095】
そして、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるときには、第1開口部11の第1侵入領域S1が設置面Gに沿う方向に長くなり、また匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢にあるときには、第1開口部11の第2侵入領域S2が設置面に沿う方向に長くなる。つまり、いずれの設置姿勢であっても設置面Gに沿う方向に長い開口領域を有することになるので、設置面Gを匍匐している匍匐害虫が第1開口部11から容器1の内部に侵入し易くなる。その結果、匍匐害虫の侵入率が高まるので、駆除効果を高めることができる。
【0096】
また、匍匐害虫用毒餌剤容器1が正四面体をベースとした形状であることからいずれの設置姿勢であっても高さを十分に確保できる。従って、平面視における投影面積を大きくすることなく、大きな毒餌剤400を匍匐害虫用毒餌剤容器1に収容することができるので、設置面Gの面積が小さくても匍匐害虫用毒餌剤容器1を設置することができる。大きな毒餌剤400を収容することができるので、高い誘引効果及び殺虫効果を長期間に亘って持続させることができるとともに、広範囲に効力を発揮できる。
【0097】
(実施形態2)
図23図27は、本発明の実施形態2に係る匍匐害虫用毒餌剤容器1を示すものである。実施形態2は、設置面部が6つある点で実施形態1のものとは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0098】
実施形態2の匍匐害虫用毒餌剤容器1は、第1~第6設置面部10、20、30、40、50、60を有しており、実施形態1の場合と同様に2つの部材が組み合わされて構成されている。第1設置面部10が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢になり、また第2設置面部20が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第2の設置姿勢になり、また第3設置面部30が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第3の設置姿勢になり、また第4設置面部40が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第4の設置姿勢になり、また第5設置面部50が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第5の設置姿勢になり、また第6設置面部60が設置面Gに載置された状態で匍匐害虫用毒餌剤容器1が第6の設置姿勢になる。従って、実施形態2の匍匐害虫用毒餌剤容器1は、6つの設置姿勢をとることが可能に構成されている。
【0099】
匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるとき、第1設置面部10と第2設置面部20とのなす角度、第1設置面部10と第3設置面部30とのなす角度、第1設置面部10と第4設置面部40とのなす角度、第1設置面部10と第5設置面部50とのなす角度は全て等しく設定されており、例えば90゜にすることができる。また、匍匐害虫用毒餌剤容器1が第1の設置姿勢にあるとき、第6設置面部60と第2設置面部20とのなす角度、第6設置面部60と第3設置面部30とのなす角度、第6設置面部60と第4設置面部40とのなす角度、第6設置面部60と第5設置面部50とのなす角度は全て等しく設定されており、例えば90゜にすることができる。また、第1設置面部10と第6設置面部60とは略平行であり、第2設置面部20と第5設置面部50とは略平行であり、第3設置面部30と第4設置面部40とは略平行である。従って、第1~第6設置面部10、20、30、40、50、60は、仮想の立方体を構成する6つの面にそれぞれ沿うように形成されており、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外形状のベースは、立方体となっている。尚、図示しないが、第1~第6設置面部は、仮想の直方体を構成する6つの面にそれぞれ沿うように形成してもよく、この場合、匍匐害虫用毒餌剤容器1の外形状のベースは、直方体となる。
【0100】
匍匐害虫用毒餌剤容器1には、匍匐害虫の侵入口となる第1~第8開口部11~18が互いに間隔をあけて形成されている。この実施形態2では、第1~第8開口部11~18は、仮想の立方体の8つの頂点部分にそれぞれ対応するように形成されている。第1~第4開口部11~14は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の下部に位置しており、第5~第8開口部15~18は、第1の設置姿勢にある匍匐害虫用毒餌剤容器1の上部に位置している。各開口部15~18は、実施形態1の開口部と同様に、設置面Gに沿う方向に長い侵入領域を有している。
【0101】
図26に示すように、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内部には、毒餌剤400を支持する支持部15、65が設けられている。支持部15、65は、匍匐害虫用毒餌剤容器1の内面から突出し、突出方向先端部が毒餌剤400に接触するように形成されている。
【0102】
したがって、この実施形態2においても実施形態1と同様に匍匐害虫用毒餌剤容器1を複数通りの姿勢で設置可能になるので使用者の利便性が向上する。さらに、いずれの設置姿勢であっても設置面Gに沿う方向に長い開口領域を有することになるので、設置面Gを匍匐している匍匐害虫が第1開口部11から容器1の内部に侵入し易くなり、その結果、匍匐害虫の駆除効果を高めることができる。
【0103】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上説明したように、本発明に係る匍匐害虫用毒餌剤容器は、例えば床面や地面等に設置して匍匐害虫を駆除するのに使用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 匍匐害虫用毒餌剤容器
2 位置決め部
10 第1設置面部
11~14 第1~第4開口部
15~18 第5~第8開口部
20 第2設置面部
30 第3設置面部
40 第4設置面部
50 第5設置面部
60 第6設置面部
400 毒餌剤
S1~S3 第1~第3侵入領域
G 設置面
図1
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