IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電工デバイス・イノベーション株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20230404BHJP
   H01S 5/02315 20210101ALI20230404BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H01S5/02315
H01S5/026 616
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018101402
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019071402
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2017194974
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】山路 和宏
(72)【発明者】
【氏名】藤村 康
(72)【発明者】
【氏名】三澤 太一
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107920(JP,A)
【文献】特開平09-172221(JP,A)
【文献】米国特許第06100775(US,A)
【文献】特開2003-101125(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152152(WO,A1)
【文献】特開2003-215371(JP,A)
【文献】特開平11-054563(JP,A)
【文献】特開2006-013083(JP,A)
【文献】特開2002-299501(JP,A)
【文献】特開2007-207803(JP,A)
【文献】特開2017-083626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
H01L 21/60-21/607
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器の第1電極、及び、前記第1電極と電気的に接続されており前記第1電極に変調信号を入力する第1電極パッドが表面に設けられる半導体レーザチップと、
前記変調信号を伝送する第1信号線路と、前記第1信号線路の両側に設けられる第1グランドパターン及び第2グランドパターンと、を含む第1コプレーナ線路が表面に設けられ、前記第1信号線路の延在方向に交差する第1方向に沿って前記第1グランドパターンと前記第1信号線路と前記第2グランドパターンとがこの順に配置されると共に、前記延在方向に沿った第2方向に沿って前記第1グランドパターンの先端に対して前記第2グランドパターンの先端が前記第1信号線路の先端よりも大きくシフトするように、それぞれの先端の位置がシフトしてなる第1伝送部材と、
前記第1コプレーナ線路に対向して配置され、前記変調信号を伝送し前記第1方向に延在する第2信号線路と、前記第2信号線路の両側に設けられて互いに電気的に接続された第3グランドパターン及び第4グランドパターンと、を含む第2コプレーナ線路が表面に設けられる第2伝送部材と、
を備え、
前記第2信号線路の先端は、前記第1信号線路の先端と対向して電気的に接続されており、
前記第1グランドパターンの先端は、前記第3グランドパターンの先端と対向して電気的に接続されており、
前記第2グランドパターンは、前記第4グランドパターンと対向して電気的に接続されてなる、光モジュール。
【請求項2】
前記第2伝送部材は、前記第2信号線路の一端部と前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンとの間に配置される終端抵抗を更に有し、
前記終端抵抗は、前記第2信号線路、前記第3グランドパターン、及び前記第4グランドパターンと電気的に接続されている、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記半導体レーザチップの前記表面と前記第2伝送部材の前記表面との間に配置され、前記半導体レーザチップの前記表面と前記第2伝送部材の前記表面とを互いに平行にする第1パッド部を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第2伝送部材は、前記第2方向に沿って前記第3グランドパターンと前記第2信号線路と前記第4グランドパターンとがこの順に配置されると共に、前記第1方向に沿って前記第3グランドパターンの先端に対して前記第4グランドパターンの先端が前記第2信号線路の先端よりも大きくシフトするように、それぞれの先端の位置がシフトしてなり、
前記第グランドパターンの先端は、前記第グランドパターンの先端と対向して電気的に接続されてなる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第2信号線路は、前記第1方向に沿って延びており、
前記半導体レーザチップは、第5グランドパターンである第2電極を更に有し、
前記第2電極は、前記第1方向に沿って前記第1電極と並んで配置され、
前記第1電極は、前記第1方向において前記第2信号線路の他端部上の領域と前記第2電極との間に位置し、
前記第1パッド部は、前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンを含むグランドパターン部前記第2電極との間に配置される第1パッドを有し、
前記第2信号線路の他端は、前記第1電極と対向して電気的に接続されており、
前記第2グランドパターン及び前記第4グランドパターンの他端は、前記第2電極と対向して電気的に接続されてなる、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記半導体レーザチップの前記表面は、別のパターンを含み、
前記第1パッド部の少なくとも一部は、前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンと前記別のパターンとの間に配置され、前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンと前記別のパターンとを接続している、請求項3又は請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第2信号線路は、前記第1方向に沿って延びており、
前記第1パッド部は、前記第1方向に沿って前記第1電極パッドと並んで配置される第1パッドを有し、
前記第1電極パッドは、前記第1方向において、前記第1パッドと、前記第2信号線路の他端部上の領域との間に位置する、請求項3、請求項5、及び請求項6のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第2信号線路は、前記第1方向に沿って延びており、
前記第1パッド部は、前記第2方向において前記第1電極パッドの両側にそれぞれ位置する第2パッド及び第3パッドを有する、請求項3、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記半導体レーザチップは、レーザダイオードの第3電極、及び、前記半導体レーザチップの前記表面上に設けられて前記第3電極と電気的に接続されており前記第3電極にバイアス電流を入力する第2電極パッドを更に含み、
前記第2電極パッドは、前記第2方向において前記第1電極パッドと並んで配置され、
前記第2パッドは、前記第2電極パッド上に位置する、請求項8に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記半導体レーザチップは、レーザダイオードの第3電極、及び、前記半導体レーザチップの前記表面上に設けられて前記第3電極と電気的に接続されており前記第3電極にバイアス電流を入力する第2電極パッドを更に含み、
前記第2電極パッドは、前記第2方向に沿って前記第1電極と並んで配置されており前記レーザダイオードのレーザ共振器上に設けられる第1部分、及び、前記第1方向において前記第1部分の両側に設けられる第2部分を含み、
前記第1部分は、前記第2方向において前記第2部分から前記第1電極に向かって突出しており、
前記第2パッドは、前記第1方向において前記第1部分と並んで配置され、前記第2方向において前記第2部分と前記第1電極パッドとの間に位置する、請求項8に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記第1パッド部は、前記第2信号線路の一端部と前記第1電極パッドとの間に位置する第4パッドを有し、
前記第4パッドは、金属層を含み、前記第2信号線路の一端部と前記第1電極パッドとを電気的に接続している、請求項3、請求項5から請求項10のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記第1伝送部材の前記表面と前記第2伝送部材の前記表面との間に配置される第2パッド部を更に備え、
前記第2パッド部は、前記第2信号線路の他端部と前記第1信号線路との間に位置する第5パッド、並びに、前記第5パッドの両側にそれぞれ配置され且つ前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンと前記第1グランドパターン及び前記第2グランドパターンとの間に位置する第6パッド及び第7パッドを有し、
前記第5パッド、前記第6パッド、及び前記第7パッドは、金属層を含み、
前記第5パッドは、前記第2信号線路と前記第1信号線路とを電気的に接続しており、
前記第6パッド及び前記第7パッドは、前記第3グランドパターン及び前記第4グランドパターンと、前記第1グランドパターン及び前記第2グランドパターンと、を電気的に接続している、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記第2伝送部材の前記表面と前記第1伝送部材の前記表面との間に配置される第2パッド部を更に備え、
前記第2伝送部材の前記表面と前記半導体レーザチップの前記表面との距離は、前記第2伝送部材の前記表面と前記第1伝送部材の前記表面との距離よりも小さく、
前記第1パッド部が有するパッドの厚さは、前記第2パッド部が有するパッドの厚さよりも小さい、請求項3、請求項5から請求項11のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項14】
前記第1パッド部が有するパッド、及び前記第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、前記第1金属層と前記第2伝送部材の前記表面との間に設けられる第2金属層とを含み、
前記第1金属層の厚さは、前記第2金属層の厚さよりも厚い、請求項13に記載の光モジュール。
【請求項15】
前記第1パッド部が有するパッド、及び前記第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、前記第1金属層と前記第2伝送部材の前記表面との間に設けられる第2金属層とを含み、
前記第2金属層の厚さは、前記第1金属層の厚さよりも厚い、請求項13に記載の光モジュール。
【請求項16】
前記第2伝送部材の前記表面と前記第1伝送部材の前記表面との間に配置される第2パッド部を更に備え、
前記第2伝送部材の前記表面と前記第1伝送部材の前記表面の距離は、前記第2伝送部材の前記表面と前記半導体レーザチップの前記表面との距離よりも小さく、
前記第2パッド部が有するパッドの厚さは、前記第1パッド部が有するパッドの厚さよりも小さい、請求項3、請求項5から請求項11のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項17】
前記第1パッド部が有するパッド、及び前記第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、前記第1金属層と前記第2伝送部材の前記表面との間に設けられる第2金属層とを含み、
前記第1金属層の厚さは、前記第2金属層の厚さよりも厚い、請求項16に記載の光モジュール。
【請求項18】
前記第1パッド部が有するパッド、及び前記第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、前記第2伝送部材の前記表面側に設けられる第1金属層と、前記第1金属層に対して前記第2伝送部材の前記表面と対向する前記半導体レーザチップの前記表面又は前記第1伝送部材の前記表面に設けられる第2金属層とを含み、
前記第2金属層の厚さは、前記第1金属層の厚さよりも厚い、請求項16に記載の光モジュール。
【請求項19】
第1電極、及び、前記第1電極と電気的に接続されており前記第1電極に変調信号を入力する第1電極パッドが表面に設けられる光変調器と、
前記変調信号を伝送する第1信号線路と、前記第1信号線路の両側に設けられる第1グランドパターン及び第2グランドパターンと、を含む第1コプレーナ線路が表面に設けられ、前記第1信号線路の延在方向に交差する第1方向に沿って前記第1グランドパターンと前記第1信号線路と前記第2グランドパターンとがこの順に配置されると共に、前記延在方向に沿った第2方向に沿って前記第1グランドパターンの先端に対して前記第2グランドパターンの先端が前記第1信号線路の先端よりも大きくシフトするように、それぞれの先端の位置がシフトしてなる第1伝送部材と、
前記第1コプレーナ線路に対向して配置され、前記変調信号を伝送し前記第1方向に延在する第2信号線路と、前記第2信号線路の両側に設けられて互いに電気的に接続された第3グランドパターン及び第4グランドパターンと、を含む第2コプレーナ線路が表面に設けられる第2伝送部材と、
を備え、
前記第2信号線路の先端は、前記第1信号線路の先端と対向して電気的に接続されており、
前記第1グランドパターンの先端は、前記第3グランドパターンの先端と対向して電気的に接続されており、
前記第2グランドパターンは、前記第4グランドパターンと対向して電気的に接続されてなる、光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波信号を入力して光信号を出力するレーザダイオードを備える光モジュールが開示されている。この光モジュールでは、第1の伝送線路と第2の伝送線路とが、互いに平行で異なる一対の平面上をそれぞれ延在している。レーザダイオードは、第1の伝送線路と第2の伝送線路とが延在する一対の平面の間に配置されている。レーザダイオードの一方の電極は、該一方の電極と第1の伝送線路との間に介在する金属ブロックによって第1の伝送線路と電気的に接続される。レーザダイオードの他方の電極は、第2の伝送線路上に載置されており、第2の伝送線路と電気的に接続される。
【0003】
特許文献2には、半導体レーザと半導体電界吸収型(EA)光変調器とが半導体基板上に形成された半導体集積光源を実装基板に実装したレーザモジュールが開示されている。このレーザモジュールは、その表面が実装基板の表面に接面するようにジャンクションダウン実装されている。このとき、レーザモジュールの表面に形成されたEA光変調器駆動電極及びスタッド電極は、実装基板の表面に形成された電極(高周波信号入力が加えられる電極)及び接地用電極にそれぞれ接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-198035号公報
【文献】特開2002-280662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速光通信の為の光モジュールには、レーザダイオード及び光変調器を有する半導体レーザチップと、光変調器に変調信号を供給する伝送線路(例えばコプレーナ線路)を有する伝送部材とを備えるものがある。このような光モジュールでは、半導体レーザチップと伝送線路とは、例えばワイヤにより互いに接続される。
【0006】
しかしながら、このようにワイヤを用いて半導体レーザチップと伝送線路とを接続すると、ワイヤのインダクタンス成分の影響によって特性インピーダンスの不整合が発生しやすい。特性インピーダンスの不整合が生じると、特性インピーダンス不整合点での信号の反射及び/又は伝送ロスが生じてしまい、伝送特性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、伝送特性の低下を抑えることができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態の光モジュールは、第1主面、光変調器の第1電極、及び、第1主面上に設けられて第1電極と電気的に接続されており第1電極に変調信号を入力する第1電極パッドを有する半導体レーザチップと、変調信号を伝送する第1信号線路、及び第1信号線路の両側に設けられる第1グランドパターンを含み且つ第1主面と並んで配置される第2主面を有する第1伝送部材と、変調信号を伝送する第2信号線路、及び第2信号線路の両側に設けられる第2グランドパターンを含み且つ第1主面及び第2主面と対向して配置される第3主面を有する第2伝送部材と、を備え、第2信号線路の一端部は、第1電極パッドと対向して電気的に接続されており、第2信号線路の他端部は、第1信号線路と対向して電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による光モジュールによれば、伝送特性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態の光モジュールの内部構造を示す斜視図である。
図2図1の一部を拡大して示す平面図である。
図3図1の発光部を拡大して示す斜視図である。
図4図2の発光部を拡大して示す平面図である。
図5】発光部を示す概略構成図である。
図6図5の基板を第3主面側から見た平面図である。
図7図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図7の一部を拡大して示す断面図である。
図9図5のIX-IX線に沿った断面図である。
図10】第1変形例による発光部を示す概略構成図である。
図11】第2変形例による発光部を示す概略構成図である。
図12】第3変形例による発光部を示す概略構成図である。
図13図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14】第4変形例による発光部を示す概略構成図である。
図15】第5変形例による発光部を拡大して示す斜視図である。
図16図15の発光部を示す断面図である。
図17図15の発光部の製造工程を示す図である。
図18図15の発光部の製造工程を示す図である。
図19】(a)及び(b)は、図15の発光部の作用・効果を説明する為の図である。
図20】第5変形例の別の例による発光部を示す斜視図である。
図21図20の発光部の製造工程を示す図である。
図22】第5変形例の別の例による発光部の基板を示す斜視図である。
図23】第5変形例の別の例による発光部を示す斜視図である。
図24図23の発光部の製造工程を示す図である。
図25】(a)は、比較例として発光部を示す概略構成図である。(b)は、(a)のXXVb-XXVb線に沿った断面図である。
図26】比較例としての別の例の発光部を示す概略構成図である。
図27図26のXXVII-XXVII線に沿った断面図である。
図28図26のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態の光モジュールは、第1主面、光変調器の第1電極、及び、第1主面上に設けられて第1電極と電気的に接続されており第1電極に変調信号を入力する第1電極パッドを有する半導体レーザチップと、変調信号を伝送する第1信号線路、及び第1信号線路の両側に設けられる第1グランドパターンを含み且つ第1主面と並んで配置される第2主面を有する第1伝送部材と、変調信号を伝送する第2信号線路、及び第2信号線路の両側に設けられる第2グランドパターンを含み且つ第1主面及び第2主面と対向して配置される第3主面を有する第2伝送部材と、を備え、第2信号線路の一端部は、第1電極パッドと対向して電気的に接続されており、第2信号線路の他端部は、第1信号線路と対向して電気的に接続されている。
【0012】
この光モジュールにおいて、第1信号線路及び第1グランドパターンにより構成される第1伝送線路から供給された変調信号は、第2信号線路及び第2グランドパターンにより構成される第2伝送線路を伝送したのち、第1電極に入力される。このように、第1伝送線路と光変調器の第1電極とを、ワイヤを介して電気的に接続するのではなく、第2伝送線路を介して電気的に接続しているので、インダクタンスを低減し、特性インピーダンスの不整合を抑えることができる。これにより、変調信号の反射及び/又は伝送ロスの発生を抑えることができるので、伝送特性の低下を抑えることができる。
【0013】
また、上記の光モジュールでは、第2伝送部材は、第2信号線路の一端部と第2グランドパターンとの間に配置される終端抵抗を更に有し、終端抵抗は、第2信号線路及び第2グランドパターンと電気的に接続されていてもよい。これにより、第2信号線路の一端部の電位が安定化され、その一端部における変調信号の反射を抑制することができる。その結果、伝送特性の低下を更に抑えることができる。
【0014】
また、上記の光モジュールは、第1主面と第3主面との間に配置される第1パッド部を更に備えてもよい。これにより、第3主面と第1主面との接触を抑えることができるので、第3主面と第1主面とが接触することによる短絡の発生を抑えることができる。その結果、光モジュールの動作不良の発生を抑えることができる。この場合、第1パッド部は、第1主面と第3主面とを互いに平行にしてもよい。これにより、上記の効果を顕著に奏することができる。
【0015】
また、上記の光モジュールでは、第1主面は、第3グランドパターンを含み、第1パッド部の少なくとも一部は、第2グランドパターンと第3グランドパターンとの間に配置され、第2グランドパターンと第3グランドパターンとを電気的に接続していてもよい。また、第2信号線路は、第1方向に沿って延びており、半導体レーザチップは、第3グランドパターンである第2電極を更に有し、第2電極は、第1方向に沿って第1電極と並んで配置され、第1電極は、第1方向において第2信号線路の他端部上の領域と第2電極との間に位置し、第1パッド部は、第2グランドパターンと第2電極との間に配置される第1パッドを有してもよい。また、第2信号線路は、第1方向に沿って延びており、第1パッド部は、第1方向に沿って第1電極パッドと並んで配置される第1パッドを有し、第1電極パッドは、第1方向において、第1パッドと、第2信号線路の他端部上の領域との間に位置してもよい。また、第2信号線路は、第1方向に沿って延びており、第1パッド部は、第1方向に沿って第1電極パッドと並んで配置される第1パッドを有し、第1電極パッドは、第1方向において、第1パッドと、第2信号線路の他端部上の領域との間に位置してもよい。
【0016】
例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、第2伝送部材の第3主面が、半導体レーザチップの第1主面に対して第1方向に傾斜してしまうことがある。この場合、第3主面(例えば第2グランドパターン)と、第1主面(例えば第1電極)とが接触することで、短絡が発生するおそれがある。そこで、上記のように第1パッドを配置して第1パッドの厚さを調整することにより、第2伝送部材の第1方向における傾斜を抑え、第3主面と第1主面との接触を抑えることができる。これにより、上記短絡の発生を抑えることができ、光モジュールの動作不良の発生を抑えることができる。また、第1パッドが、第2グランドパターンと第2電極(第3グランドパターン)とを電気的に接続することで、第2グランドパターンの基準電位と第2電極の基準電位とを共通化することができる。その結果、伝送特性を向上することができる。
【0017】
また、上記の光モジュールでは、第2信号線路は、第1方向に沿って延びており、第1パッド部は、第1方向と交差する第2方向において第1電極パッドの両側にそれぞれ位置する第2パッド及び第3パッドを有してもよい。また、半導体レーザチップは、レーザダイオードの第3電極、及び、第1主面上に設けられて第3電極と電気的に接続されており第3電極にバイアス電流を入力する第2電極パッドを更に含み、第2電極パッドは、第2方向において第1電極パッドと並んで配置され、第2パッドは、第2電極パッド上に位置してもよい。例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、第2伝送部材の第3主面が、半導体レーザチップの第1主面に対して第2方向に傾斜してしまうことがある。この場合、第3主面(例えば第2グランドパターン)と、第1主面(例えば第1電極)とが接触することで、短絡が発生するおそれがある。そこで、上記のように第2パッド及び第3パッドを配置して第2パッド及び第3パッドの厚さを調整することにより、第2伝送部材の第2方向における傾斜を抑え、第3主面と第1主面との接触を抑えることができる。これにより、上記短絡の発生を抑えることができ、光モジュールの動作不良の発生を抑えることができる。
【0018】
また、上記の光モジュールでは、第1主面は、別のパターンを含み、第1パッド部の少なくとも一部は、第2グランドパターンと別のパターンとの間に配置され、第2グランドパターンと別のパターンとを接続していてもよい。
【0019】
また、上記の光モジュールでは、半導体レーザチップは、レーザダイオードの第3電極、及び、第1主面上に設けられて第3電極と電気的に接続されており第3電極にバイアス電流を入力する第2電極パッドを更に含み、第2電極パッドは、第2方向に沿って第1電極と並んで配置されておりレーザダイオードのレーザ共振器上に設けられる第1部分、及び、第1方向において第1部分の両側に設けられる第2部分を含み、第1部分は、第2方向において第2部分から第1電極に向かって突出しており、第2パッドは、第1方向において第1部分と並んで配置され、第2方向において第2部分と第1電極パッドとの間に位置してもよい。これにより、第1部分の長さ(すなわち、レーザダイオードのレーザ共振器長)を確保しつつ、第2パッドを介して、例えば第2グランドパターンと、レーザダイオードの第2電極パッドとが短絡することを抑えることができる。その結果、光モジュールの動作不良の発生を抑えることができる。
【0020】
また、上記の光モジュールでは、第1パッド部は、第2信号線路の一端部と第1電極パッドとの間に位置する第4パッドを有し、第4パッドは、金属層を含み、第2信号線路の一端部と第1電極パッドとを電気的に接続していてもよい。この第4パッドの厚さを調整することにより、第3主面と第1主面とが接触することによる短絡の発生を抑えることができる。また、第4パッドが第1信号線路の一端部と第1電極パッドとを電気的に接続しているので、第2信号線路の一端部から第1電極パッドへ変調信号を適切に入力することができる。
【0021】
また、上記の光モジュールは、第2主面と第3主面との間に配置される第2パッド部を更に備え、第2パッド部は、第2信号線路の他端部と第1信号線路との間に位置する第5パッド、並びに、第5パッドの両側にそれぞれ配置され且つ第2グランドパターンと第1グランドパターンとの間に位置する第6パッド及び第7パッドを有し、第5パッド、第6パッド、及び第7パッドは、金属層を含み、第5パッドは、第2信号線路の他端部と第1信号線路とを電気的に接続しており、第6パッド及び第7パッドは、第2グランドパターンと第1グランドパターンとを電気的に接続していてもよい。これらのパッドの厚さを調整することにより、例えば、第2信号線路の他端部と、第1グランドパターンとが接触することによる短絡の発生を抑えることができる。また、第5パッドが、第2信号線路と第1信号線路とを電気的に接続しており、第6パッド及び第7パッドが、第2グランドパターンと第1グランドパターンとを電気的に接続しているので、第1伝送線路から第2伝送線路へ変調信号を適切に入力することができる。
【0022】
また、上記の光モジュールは、第3主面と第2主面との間に配置される第2パッド部を更に備え、第3主面と第1主面との距離は、第3主面と第2主面との距離よりも小さく、前記第1パッド部が有するパッドの厚さは、第2パッド部が有するパッドの厚さよりも小さくてもよい。また、第1パッド部が有するパッド、及び第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、第1金属層と第3主面との間に設けられる第2金属層とを含み、第1金属層の厚さは、第2金属層の厚さよりも厚くてもよい。また、第1パッド部が有するパッド、及び第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、第1金属層と第3主面との間に設けられる第2金属層とを含み、第2金属層の厚さは、第1金属層の厚さよりも厚くてもよい。
【0023】
例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、第2主面の高さが第1主面の高さよりも低くなり、第3主面と第1主面との距離が、第3主面と第2主面との距離よりも小さくなる場合がある。このような場合であっても、上記の光モジュールでは、第1パッド部が有するパッドの厚さが、第2パッド部が有するパッドの厚さよりも小さいので、第2パッド部が有するパッドを第3主面から第2主面まで届かせることができる。その結果、第1パッド部を介して第2伝送部材を半導体レーザチップに接続させると共に、第2パッド部を介して第2伝送部材を第1伝送部材に接続させることができる。つまり、上記の光モジュールによれば、第2主面の高さが第1主面の高さよりも低くなった場合であっても、第2伝送部材を半導体レーザチップ及び第1伝送部材の両方に接続することができる。
【0024】
また、上記の光モジュールは、第3主面と第2主面との間に配置される第2パッド部を更に備え、第3主面と第2主面との距離は、第3主面と第1主面との距離よりも小さく、第2パッド部が有するパッドの厚さは、第1パッド部が有するパッドの厚さよりも小さくてもよい。また、第1パッド部が有するパッド、及び第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第1金属層と、第1金属層と第3主面との間に設けられる第2金属層とを含み、第1金属層の厚さは、第2金属層の厚さよりも厚くてもよい。また、第1パッド部が有するパッド、及び第2パッド部が有するパッドのそれぞれは、第3主面側に設けられる第1金属層と、第1金属層に対して第3主面と対向する第1主面又は第2主面に設けられる第2金属層とを含み、第2金属層の厚さは、第1金属層の厚さよりも厚くてもよい。
【0025】
例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、第1主面の高さが第2主面の高さよりも低くなり、第3主面と第2主面との距離が、第3主面と第1主面との距離よりも小さくなる場合がある。このような場合であっても、上記の光モジュールでは、第2パッド部が有するパッドの厚さが、第1パッド部が有するパッドの厚さよりも小さいので、第1パッド部が有するパッドを第3主面から第1主面まで届かせることができる。その結果、第2パッド部を介して第2伝送部材を第1伝送部材に接続させると共に、第1パッド部を介して第2伝送部材を半導体レーザチップに接続させることができる。つまり、上記の光モジュールによれば、第1主面の高さが第2主面の高さよりも低くなった場合であっても、第2伝送部材を第1伝送部材及び半導体レーザチップの両方に接続することができる。
【0026】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、一実施形態の光モジュール1の内部構造を示す斜視図である。図2は、図1の一部を拡大して示す平面図である。光モジュール1は、直方体状の筐体2と、フランジを有し円柱状の光結合部3とを備える発光モジュール(TOSA;Transmitter Optical SubAssembly)である。光モジュール1は、筐体2内に、N個(Nは2以上の整数)の発光部11a~11d、N個の第1レンズ12a~12d、キャリア13、N個の受光素子(フォトダイオード、PD)14a~14d、N個の第2レンズ15a~15d、及び合波光学系19を備える。一例では、光モジュール1は、4チャネル(N=4)の発光モジュールである。発光部11a~11d、第1レンズ12a~12d、キャリア13、第2レンズ15a~15d、光学部品21、及び合波光学系19は、筐体2の内部に設けられたベース部材7の平坦な主面上に配置されている。
【0028】
また、筐体2はフィードスルー2Bを有する。フィードスルー2Bは、Y方向(第2方向)における筐体2の後壁を貫通している。筐体2の外側のフィードスルー2Bの部分には、外部機器との電気的な接続の為の複数の端子25が、Y方向と交差するX方向(第1方向)に並んで設けられている。筐体2の内側のフィードスルー2Bの部分には、複数の端子24、及びコプレーナ線路を構成するN本の信号線路23が設けられている。N本の信号線路23及び複数の端子24は、それぞれ対応する端子25と電気的に接続されている。
【0029】
光モジュール1では、光源として機能する発光部11a~11dが各々独立して駆動され、発光部11a~11dが個別に信号光を出力する。発光部11a~11dへの駆動信号は、光モジュール1の外部から提供される。信号光は、駆動信号に応じて変調された光である。発光部11a~11dの詳細な構成については、後述する。第1レンズ12a~12dは、それぞれ発光部11a~11dと光学的に結合されている。発光部11a~11dから出力された信号光は、それぞれ第1レンズ12a~12dに入力する。
【0030】
キャリア13は、信号光の各光軸と交差する方向を長手方向として延びる直方体状の部材であり、第1レンズ12a~12dと第2レンズ15a~15dとの間の光路上に配置されている。なお、キャリア13は、信号光の各光軸に対して傾斜する誘電体多層膜(ビームスプリッタ)を内部に有しており、この誘電体多層膜を信号光が通過する際に、信号光の各一部を分岐する。
【0031】
PD14a~14dは、一つのキャリア13の搭載面上に搭載され、分岐された信号光の各一部を受光することにより、信号光の光強度を検出する。PD14a~14dは、それらの裏面とキャリア13の搭載面とが互いに対向するように、キャリア13上に実装されている。PD14a~14dは、誘電体多層膜によって分岐された信号光の一部を、裏面において受ける。第2レンズ15a~15dは、キャリア13を挟んで第1レンズ12a~12dと光学的に結合されている。第1レンズ12a~12dから出力された信号光は、キャリア13を通過し、ビームウエストを形成したのち、再び拡がりつつ光学部品21に入力する。光学部品21は、キャリア13を通過した信号光を透過し、第2レンズ15a~15d以降の反射点からの戻り光を遮断する。光学部品21を通過した信号光は、第2レンズ15a~15dにそれぞれ入力する。
【0032】
合波光学系19は、第2レンズ15a~15dと光学的に結合され、信号光を互いに合波する。図1に示されるように、合波光学系19は、第1WDMフィルタ16、第2WDMフィルタ17、ミラー18、及び偏波合成器20を含む。ミラー18は、第2レンズ15a及び15bと光学的に結合されている。ミラー18の光反射面は、第2レンズ15a及び15bの光軸上に位置し、これらの光軸に対して傾斜している。第1WDMフィルタ16は、第2レンズ15cと光学的に結合されている。第1WDMフィルタ16の波長選択面は、第2レンズ15cの光軸上に位置し、該光軸に対して傾斜している。第1WDMフィルタ16は、第2レンズ15cからの信号光を透過させるとともに、ミラー18によって反射された信号光を反射する。これにより、第2レンズ15aからの信号光、及び第2レンズ15cからの光路が互いに一致し、これらの信号光が互いに合波される。
【0033】
第2WDMフィルタ17は、第2レンズ15dと光学的に結合されている。第2WDMフィルタ17の波長選択面は、第2レンズ15dの光軸上に位置し、該光軸に対して傾斜している。第2WDMフィルタ17は、第2レンズ15dからの信号光を透過させるとともに、ミラー18によって反射された、第2レンズ15bからの信号光を反射する。これにより、第2レンズ15bからの信号光の光路と、第2レンズ15dからの信号光の光路とが互いに一致し、これらの信号光が互いに合波される。偏波合成器20は、光透過性の板状の部材である。偏波合成器20は、第1WDMフィルタ16を通過して合波された信号光と、第2WDMフィルタ17を通過して合波された信号光とを合波する。この合波された信号光は、筐体2のY方向における前壁に設けられた窓を介して筐体2外に出力される。
【0034】
光結合部3は、レンズ22及びファイバスタブを有する同軸モジュールである。なお、図1において、光結合部3は、YZ断面にて示されている。レンズ22は、合波光学系19と光学的に結合される。ファイバスタブは、光ファイバを保持する。レンズ22は、偏波合成器20から出力される信号光を集光して光ファイバの端面に導く。光結合部3は、この信号光の光軸に対して調芯されたのち、筐体2の前壁に溶接により固定される。なお、光結合部3は、外部からの光を遮断する光アイソレータを更に有してもよい。
【0035】
図3は、図1の発光部11a~11d(以降、これらをまとめて「発光部11」と称する)を拡大して示す斜視図である。図4は、図2の発光部11を拡大して示す平面図である。図3及び図4に示されるように、発光部11は、チップキャリア30と、チップキャリア30上に搭載されたEMLチップ31(半導体レーザチップ)及びキャリア32(第1伝送部材)と、EMLチップ31及びキャリア32上に配置されている基板33(第2伝送部材)とを有する。チップキャリア30は、絶縁体によって構成される。チップキャリア30は、ベース部材7上に搭載されている。EMLチップ31は、チップキャリア30上に設けられているグランドパターン34上に実装され、EMLチップ31の裏面電極(カソード)がグランドパターン34と導電接続される。
【0036】
また、図4に示されるように、チップキャリア30上に設けられているグランドパターン34上には、デカップリングコンデンサ35が実装されている。デカップリングコンデンサ35の下面電極は、半田等の導電性接着材を介してグランドパターン34と電気的に接続されている。デカップリングコンデンサ35の上面電極は、ワイヤ70を介して、EMLチップ31のレーザダイオードと電気的に接続されている。また、デカップリングコンデンサ35の上面電極は、ワイヤ71を介して、筐体2のフィードスルー2Bに設けられた複数の端子24(図2参照)の何れかと電気的に接続されている。
【0037】
図5は、発光部11を示す概略構成図である。なお、図5では、チップキャリア30は省略されている。EMLチップ31は、Y方向に沿って延びている。EMLチップ31は、レーザダイオードと光変調器とが共通基板上に集積されたモノリシック構造を有する。EMLチップ31は、Z方向と交差しておりXY平面に沿った主面31a(第1主面)、レーザダイオードのアノード電極31b(第3電極)、及び光変調器のアノード電極31c(第1電極)を有する。主面31aの一部は、絶縁膜31d(例えば窒化シリコン)によって覆われている。一例では、レーザダイオードのアノード電極31b、及び光変調器のアノード電極31cは、主面31aから露出している。レーザダイオードのアノード電極31bは、主面31aのX方向における中央付近に位置しており、レーザダイオードのレーザ共振器上に設けられている。光変調器のアノード電極31cは、Y方向に沿って延びており、Y方向に沿ってレーザダイオードのアノード電極31bと並んで配置されている。
【0038】
また、EMLチップ31は、光変調器のアノード電極31cと電気的に接続されている電極パッド31e(第1電極パッド)、及び、レーザダイオードのアノード電極31bと電気的に接続されている電極パッド31f(第2電極パッド)を有する。電極パッド31e及び電極パッド31fは、主面31a上に設けられている。電極パッド31eは、X方向においてアノード電極31cと並んで配置されている。電極パッド31eは、高周波の変調信号を受け、該変調信号を光変調器のアノード電極31cに入力する。電極パッド31fは、Y方向においてアノード電極31c及び電極パッド31eと並んで配置されている。電極パッド31fは、レーザ駆動のための直流バイアス電流を受け、該直流バイアス電流をレーザダイオードのアノード電極31bに入力する。
【0039】
電極パッド31fは、Y方向に沿って延びる部分31g(第1部分)、及び、X方向において部分31gの両側に設けられる部分31h(第2部分)を含む。部分31gは、レーザダイオードのアノード電極31b上に配置されている。すなわち、部分31gは、主面31aのX方向における中央付近に位置しており、レーザダイオードのレーザ共振器上に設けられている。部分31gは、Y方向において光変調器のアノード電極31cと並んで配置されており、Y方向において部分31hから光変調器のアノード電極31cに向かって突出している。部分31gの一方側に設けられる部分31hは、Y方向において、電極パッド31eと並んでいる。
【0040】
キャリア32は、Y方向に沿って延びており、X方向においてEMLチップ31と並んで配置されている。キャリア32は、Z方向と交差する主面32a(第2主面)を有する。主面32aは、XY平面に沿っており、X方向において主面31aと並んで配置されている。主面32aは、コプレーナ線路32bを含む。コプレーナ線路32bは、伝送線路であり、EMLチップ31のアノード電極31cに向けて変調信号を伝送する。具体的には、コプレーナ線路32bは、信号線路32c(第1信号線路)及びグランドパターン32d(第1グランドパターン)を含んで構成される。
【0041】
信号線路32cは、変調信号を導波する導電性金属膜であって、Y方向に沿って延びている。信号線路32cのY方向における一端部は、X方向から見て電極パッド31eと同じ位置にある。信号線路32cの他端部は、図4に示されるワイヤ72を介して、図2に示される筐体2のフィードスルー2Bに設けられたコプレーナ線路の信号線路23と電気的に接続されている。図5に示されるように、信号線路32cは、Z方向から見て、基板33に重なる部分と、基板33に重ならない部分とを有する。基板33に重なる部分は、信号線路32cのY方向における一端部を含む部分である。基板33に重なる部分のX方向における幅は、基板33に重ならない部分のX方向における幅よりも狭い。グランドパターン32dは、信号線路32cの両側に所定の間隔をあけて設けられた導電性金属膜であって、基準電位を与えられる。
【0042】
基板33は、X方向に延びており、Z方向においてキャリア32及びEMLチップ31と対向して配置されている。基板33は、信号線路32cと電極パッド31eとを電気的に接続する。従って、信号線路32cは、基板33及び電極パッド31eを介して、光変調器のアノード電極31cと電気的に接続される。基板33は、Z方向と交差する主面33a(第3主面)、Y方向において互いに対向する端面33b及び33c、並びにX方向において互いに対向する端面33d及び33eを有する。主面33aは、XY平面に沿っており、Z方向において主面31a及び32aと対向して配置されている。
【0043】
図6は、図5の基板33を主面33a側から見た平面図である。図5及び図6に示されるように、主面33aは、コプレーナ線路36(ハッチング部分)を含む。コプレーナ線路36は、伝送線路であり、光変調器のアノード電極31cに向けて変調信号を伝送する。具体的には、コプレーナ線路36は、信号線路37(第2信号線路)及びグランドパターン38(第2グランドパターン)を含んで構成される。信号線路37は、変調信号を導波する導電性金属膜であって、X方向に沿って延びている。図5に示されるように、信号線路37のX方向における端面33e寄りの一端部37aは、Z方向において電極パッド31eと対向している。また、信号線路37のX方向における端面33d寄りの他端部37bは、Z方向において信号線路32cの一端部と対向している。また、信号線路37の一端部37aは、端面33eから離間しており、信号線路37の他端部37bは、端面33dから離間している。
【0044】
なお、図4から図6に示すキャリア32のグランドパターン32dは、基板33が重なる部分について、一部抜いたパターン形状をしている。また、基板33のグランドパターン38が一部抜いたパターン形状をしている。さらに、キャリア32の信号線路32cは、基板33が重なる部分について、一部線路の幅が狭いパターン形状をしているが、これらは、基板33を接続後に特性インピーダンスをマッチングさせるように構成しているためである。
【0045】
グランドパターン32dが、一部抜いたパターン形状をしているとは、具体的には、図5に示されるように、グランドパターン32dが、Z方向において信号線路37と対向する位置を除いて、信号線路32cを取り囲んでいることをいう。従って、Z方向において信号線路37と対向する位置にはグランドパターン32dが設けられておらず、当該位置においてグランドパターン32dが分割されている。グランドパターン32dがこのような形状を有することにより、Z方向において基板33とキャリア32とが互いに近接した場合であっても、グランドパターン32dと信号線路37との間に生じる容量結合が増大するのを抑制することができる。その結果、この容量結合を精度良く調整することができるので、信号線路37の特性インピーダンスを所望の値(例えば50Ω)に維持することが容易となる。
【0046】
また、グランドパターン38が、一部抜いたパターン形状をしているとは、具体的には、グランドパターン38が、Z方向において信号線路32cと対向する位置を除いて、信号線路37を取り囲んでいることをいう。従って、Z方向において信号線路32cと対向する位置においてグランドパターン38が設けられておらず、当該位置においてグランドパターン38が分割されている。グランドパターン38がこのような形状を有することにより、Z方向において基板33とキャリア32とが互いに近接した場合であっても、グランドパターン38と信号線路32cとの間に生じる容量結合が増大するのを抑制することができる。その結果、この容量結合を精度良く調整することができるので、信号線路32cの特性インピーダンスを所望の値(例えば50Ω)に維持することが容易となる。
【0047】
また、信号線路32cが、一部線路の幅が狭いパターン形状をしているとは、前述したように、信号線路32cの基板33に重なる部分のX方向における幅が、信号線路32cの基板33に重ならない部分のX方向における幅よりも狭いことをいう。基板33及びキャリア32は、通常、高い比誘電率を有するセラミック材料により構成される。このため、このような材料が有する高い比誘電率の影響によって、信号線路32cの基板33に重なる部分の特性インピーダンスが変動しやすい。これに対し、基板33に重なる部分の幅を上述したように調整することによって、信号線路32cの基板33に重なる部分の特性インピーダンスの変動を考慮した上で、信号線路32cの特性インピーダンスを所望の値(例えば50Ω)に維持することができる。
【0048】
グランドパターン38は、信号線路37の両側に所定の間隔をあけて設けられた導電性金属膜であって、基準電位を与えられる。グランドパターン38は、信号線路37の両側において、端面33b及び33cと接している。グランドパターン38のX方向における端面33e寄りの部分は、信号線路37の一端部37aを囲んでいる。具体的には、グランドパターン38の端面33e寄りの部分は、端面33b、33c、及び33eに接するとともにX方向における端面33d側に向けて開口するU字状を呈しており、その内側に信号線路37の一端部37aが位置している。グランドパターン38のX方向における端面33d寄りの部分は、端面33b及び端面33dに接するL字状を呈している。端面33dに接するグランドパターン38の一端は、端面33cに達しており、X方向において端面33cに接するグランドパターン38とは離間している。
【0049】
また、基板33は、変調信号を終端する終端抵抗39を有する。終端抵抗39は、X方向において、信号線路37の一端部37aと、グランドパターン38との間に配置されている。終端抵抗39は、信号線路37及びグランドパターン38と電気的に接続されている。
【0050】
また、発光部11は、パッド部40(第1パッド部)、及びパッド部50(第2パッド部)を有する。図6には、パッド部40及び50が、基板33と併せて示されている。パッド部40は、Z方向において主面31aと主面33aとの間に配置されている。パッド部40は、主面31aと主面33aとのZ方向における距離を確保しつつ、主面31aに対する主面33aの傾斜を調整する。一例では、パッド部40は、主面31aと主面33aとをZ方向において互いに平行にする。パッド部40は、パッド41(第4パッド)、パッド42(第1パッド)、パッド43(第2パッド)、及びパッド44(第3パッド)を有する。これらのパッド41、42、43、及び44は、例えば、Z方向に延びる円柱状を呈している。
【0051】
図7は、図5のVII-VII線に沿った断面図である。パッド41は、図7に示されるように、Z方向において電極パッド31eと信号線路37の一端部37aとの間に配置されている。パッド41は、電極パッド31eと、信号線路37の一端部37aとを電気的に接続している。パッド41のZ方向における厚さは、例えば5μm~40μmである。図8は、図7の一部を拡大して示す断面図である。パッド41は、図7及び図8に示されるように、電極パッド31e側(すなわち主面31a側)に設けられる金属層41a、信号線路37側(すなわち主面33a側)に設けられる金属層41b、及び、Z方向において金属層41aと金属層41bとの間に設けられる導電性接着材60(例えば半田)を含んで構成されている。なお、金属層41aは、例えばメッキ法により、電極パッド31e上に形成される。また、金属層41bは、例えばメッキ法により、信号線路37の一端部37a上に形成される。金属層41aと金属層41bとは、導電性接着材60により、互いに固定されている。
【0052】
パッド42は、図5及び図7に示されるように、X方向に沿って電極パッド31e及びパッド41と並んで配置されている。パッド42は、電極パッド31e及びパッド41に対して、主面33aのX方向における端面33e寄りに位置する。換言すれば、電極パッド31e及びパッド41は、X方向において、パッド42と、信号線路37の他端部37b上の領域(具体的にはパッド51)との間に位置している。パッド42のZ方向における厚さは、主面31aを基準として、グランドパターン38とパッド42とが互いに接する界面B2の高さが、信号線路37とパッド41とが互いに接する界面B1の高さに略一致するように調整されている。パッド42のZ方向における厚さは、例えば5μm~40μmである。
【0053】
パッド42は、図7に示されるように、絶縁膜31d側(すなわち主面31a側)に設けられる金属層42a、金属層42a上に設けられる金属層42b、グランドパターン38側(すなわち主面33a側)に設けられる金属層42c、及び、Z方向において金属層42bと金属層42cと間に設けられる導電性接着材60を含んで構成されている。なお、金属層42aは、例えばメッキ法を用いて、主面31aの絶縁膜31d上に形成される。金属層42bは、例えばメッキ法により、金属層42a上に形成される。金属層42cは、例えばメッキ法により、グランドパターン38上に形成される。金属層42bと金属層42cとは、導電性接着材60により、互いに固定されている。
【0054】
パッド43及び44は、図5に示されるように、Y方向において電極パッド31e及びパッド41の両側にそれぞれ位置している。一例では、パッド43及び44は、Y方向において、電極パッド31e及びパッド41に対して互いに対称な位置に設けられる。電極パッド31e及びパッド41と、パッド43と、パッド44とは、Y方向に沿って並んで配置されている。パッド43は、電極パッド31e及びパッド41に対して、Y方向における端面33c寄りに位置している。パッド43は、Y方向において、電極パッド31fの部分31hと、電極パッド31e及びパッド41との間に位置している。パッド43は、X方向において電極パッド31fの部分31gと並んで配置されている。
【0055】
パッド43のY方向における幅は、他のパッド41及び42のY方向における幅よりも小さくなっている。これは、パッド43と部分31hとが短絡しないように、パッド43と部分31hとのY方向における距離を確保する為である。パッド43と対称な位置に設けられるパッド44のY方向における幅は、パッド43のY方向における幅と等しい。図9は、図5のIX-IX線に沿った断面図である。パッド43及び44のZ方向における厚さは、パッド42のZ方向における厚さと等しい。すなわち、図9に示されるように、パッド43及び44のZ方向における厚さは、主面31aを基準として、グランドパターン38とパッド43とが互いに接する界面B3の高さ、及びグランドパターン38とパッド44とが互いに接する界面B4の高さが、界面B1及び界面B2(図7参照)の高さに略一致するように調整されている。
【0056】
パッド43及び44は、図9に示されるように、Z方向においてグランドパターン38と、主面31aの絶縁膜31dとの間に配置されている。パッド43及び44のそれぞれは、パッド42と同様の構成を有している。すなわち、パッド43は、図9に示されるように、絶縁膜31d側(すなわち主面31a側)に設けられる金属層43a、金属層43a上に設けられる金属層43b、グランドパターン38側(すなわち主面33a側)に設けられる金属層43c、及び、Z方向において金属層43bと金属層43cと間に設けられる導電性接着材60を含んで構成されている。また、パッド44は、絶縁膜31d側(すなわち主面31a側)に設けられる金属層44a、金属層44a上に設けられる金属層44b、グランドパターン38側(すなわち主面33a側)に設けられる金属層44c、及び、Z方向において金属層44bと金属層44cと間に設けられる導電性接着材60を含んで構成されている。なお、パッド43及び44は、パッド42と同様に形成される。
【0057】
再び、図5を参照する。パッド部50は、Z方向において主面32aと主面33aとの間に配置されている。パッド部50は、Z方向における主面32aと主面33aとの距離を確保しつつ、主面32aに対する主面33aの傾斜を調整する。一例では、パッド部50は、主面32aと主面33aとを互いに平行にする。パッド部50は、図5に示されるように、パッド51(第5パッド)、パッド52(第6パッド)、パッド53(第7パッド)、パッド54(第6パッド)、及びパッド55(第7パッド)を有する。これらのパッド51、52、53、54、及び55は、例えば、Z方向に延びる円柱状を呈している。
【0058】
パッド51は、図7に示されるように、Z方向において、信号線路32cと、信号線路37の他端部37bとの間に位置している。パッド51は、信号線路32cと、信号線路37の他端部37bとを電気的に接続している。パッド51のZ方向における厚さは、主面31aを基準として、信号線路37とパッド51とが互いに接する界面B5の高さが、界面B1及びB2、並びに界面B3及びB4(図9参照)の高さに略一致するように調整されている。パッド51のZ方向における厚さは、例えば5μm~40μmである。パッド51は、信号線路37側(すなわち主面33a側)に設けられる金属層51b、及び、Z方向において信号線路32cと金属層51bとの間に設けられる導電性接着材60を含んで構成されている。金属層51bは、例えばメッキ法により、信号線路37の他端部37b上に形成される。信号線路32cと金属層51bとは、導電性接着材60により、互いに固定されている。
【0059】
再び、図5を参照する。パッド52、53、54、及び55は、Z方向において、グランドパターン38とグランドパターン32dとの間に位置しており、グランドパターン38とグランドパターン32dとを電気的に接続している。パッド52及び54は、図5に示されるように、パッド51を通るXZ平面に対して、Y方向における端面33c寄りに位置しており、パッド53及び55は、そのXZ平面に対して、Y方向における端面33b寄りに位置している。また、パッド54は、パッド52に対して、X方向における端面33d寄りに位置しており、パッド55は、パッド53に対して、X方向における端面33d寄りに位置している。パッド52、53、54、及び55のそれぞれの厚さは、パッド51の厚さと同様である。また、パッド52、53、54、及び55のそれぞれは、パッド51と同様の構成を有しており、パッド51と同様に形成される。
【0060】
以上に説明した、本実施形態の光モジュール1によって得られる効果を、比較例が有する課題と共に説明する。図25の(a)は、比較例として発光部110を示す概略構成図である。図25の(b)は、図25の(a)のXXVb-XXVb線に沿った断面図である。発光部110は、EMLチップ31と、キャリア32と、ワイヤ200及び201とを有する。発光部110と本実施形態の発光部11との相違点は、発光部110が基板33の代わりにワイヤ200及び201を有する点である。電極パッド31fの形状については、部分31hのY方向における電極パッド31e側の一端が、部分31gのY方向におけるアノード電極31c側の一端と揃っている点で、電極パッド31fの形状とは異なっている。この比較例では、図25の(a)及び(b)に示されるように、EMLチップ31の電極パッド31eは、ワイヤ200を介して、キャリア32のコプレーナ線路32bと電気的に接続されている。また、電極パッド31eは、ワイヤ201及び終端抵抗150を介して、グランドパターン151と電気的に接続されている。
【0061】
しかしながら、このように、ワイヤ200を用いて、電極パッド31eとコプレーナ線路32bとを接続すると、ワイヤ200のインダクタンス成分の影響によって特性インピーダンスの不整合が発生しやすい。このインダクタンス成分の影響により、特性インピーダンスの不整合が生じると、特性インピーダンス不整合点での信号の反射及び/又は伝送ロスが生じてしまい、伝送特性が低下するおそれがある。
【0062】
これに対し、本実施形態の光モジュール1では、コプレーナ線路32bから供給された変調信号は、コプレーナ線路36を伝送したのち、電極パッド31eを介して光変調器のアノード電極31cに入力される。このように、コプレーナ線路32bと光変調器のアノード電極31cとを、上記のワイヤ200を介して電気的に接続するのではなく、コプレーナ線路36を介して電気的に接続しているので、インダクタンスを低減し、特性インピーダンスの不整合を抑えることができる。これにより、変調信号の反射及び/又は伝送ロスの発生を抑えることができるので、伝送特性の低下を抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態の光モジュール1では、終端抵抗39が、信号線路37の一端部37aとグランドパターン38との間に配置され、信号線路37及びグランドパターン38と電気的に接続されていてもよい。これにより、信号線路37の一端部37aの電位が安定化され、その一端部37aにおける変調信号の反射を抑制することができる。その結果、伝送特性の低下を更に抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態の光モジュール1では、パッド部40が、X方向に沿って電極パッド31eと並んで配置されるパッド42を有し、電極パッド31eが、X方向において、パッド42と、信号線路37の他端部37b上の領域との間に位置してもよい。図26は、比較例としての別の例の発光部110Aを示す概略構成図である。図27は、図26のXXVII-XXVII線に沿った断面図である。発光部110Aは、EMLチップ31と、キャリア32と、基板33とを有する。発光部110Aのパッド部140は、パッド42、43、及び44を有しておらず、パッド41のみを有している。
【0065】
この発光部110Aでは、例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、基板33の主面33aが、EMLチップ31の主面31aに対してX方向に傾斜してしまうことがある。この場合、図27に示されるように、主面33aのグランドパターン38と、主面31aのアノード電極31c及び/又は電極パッド31fとが接触することで、短絡が発生するおそれがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、パッド42を図5図6、及び図7に示される位置に配置してパッド42の厚さを調整することにより、基板33のY方向における傾斜を抑え、主面33aと主面31aとの接触を抑えることができる。これにより、主面33aのグランドパターン38と、主面31aのアノード電極31c及び/又は電極パッド31fとの接触による短絡の発生を抑えることができ、光モジュール1の動作不良の発生を抑えることができる。
【0067】
また、本実施形態の光モジュール1では、パッド部40は、X方向において電極パッド31eの両側にそれぞれ位置するパッド43及び44を有してもよい。図28は、図26のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。発光部110Aでは、例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、基板33の主面33aが、半導体レーザチップの主面31aに対してX方向に傾斜してしまうことがある。この場合、図17に示されるように、主面33aのグランドパターン38と、主面31aのアノード電極31c及び/又は電極パッド31fとが接触することで、短絡が発生するおそれがある。
【0068】
そこで、本実施形態では、図5図6、及び図9に示されるようにパッド43及び44を配置してパッド43及び44の厚さを調整することにより、基板33のX方向における傾斜を抑え、主面33aと主面31aとの接触を抑えることができる。これにより、主面33aのグランドパターン38と、主面31aのアノード電極31c及び/又は電極パッド31fとの接触による短絡の発生を抑えることができ、光モジュール1の動作不良の発生を抑えることができる。
【0069】
また、本実施形態の光モジュール1では、部分31gは、X方向において部分31hからアノード電極31cに向かって突出しており、パッド43は、X方向において部分31gと並んで配置され、Y方向において部分31hと電極パッド31eとの間に位置してもよい。これにより、部分31gの長さ(すなわち、レーザダイオードのレーザ共振器長)を確保しつつ、パッド43を介して、例えばグランドパターン38と、レーザダイオードの電極パッド31fとが短絡することを抑えることができる。その結果、光モジュール1の動作不良の発生を抑えることができる。
【0070】
また、本実施形態の光モジュール1では、パッド部40は、信号線路37の一端部37aと電極パッド31eとの間に位置するパッド41を有し、パッド41は、信号線路37の一端部37aと電極パッド31eとを電気的に接続していてもよい。このパッド41の厚さを調整することにより、主面33aと主面31aとが接触することによる短絡の発生を抑えることができる。また、パッド41が信号線路37の一端部37aと電極パッド31eとを電気的に接続しているので、信号線路37の一端部37aから電極パッド31eへ変調信号を適切に入力することができる。
【0071】
また、本実施形態の光モジュール1では、パッド部40は、主面31aと主面33aとを互いに平行にしてもよい。これにより、主面33aと主面31aとが接触することによる短絡の発生を抑え、光モジュール1の動作不良の発生を抑えることができるという上述した効果を顕著に奏することができる。
【0072】
また、本実施形態の光モジュール1では、パッド部50は、信号線路37の他端部37bと、信号線路32cとの間に位置するパッド51、並びに、パッド51の両側にそれぞれ配置され且つグランドパターン38とグランドパターン32dとの間に位置するパッド52及びパッド53を有し、パッド51は、信号線路37と信号線路32cとを電気的に接続しており、パッド52及びパッド53は、グランドパターン38とグランドパターン32dとを電気的に接続していてもよい。これらのパッド51、52、及び53の厚さを調整することにより、例えば、信号線路37の他端部37bと、グランドパターン32dとが接触することによる短絡の発生を抑えることができる。また、パッド51が、信号線路37の他端部37bと、信号線路32cとを電気的に接続しており、パッド52及びパッド53が、グランドパターン38とグランドパターン32dとを電気的に接続しているので、コプレーナ線路32bからコプレーナ線路36へ変調信号を適切に入力することができる。
【0073】
(第1変形例)
図10は、第1変形例による発光部11Aを示す概略構成図である。本変形例では、発光部11Aのコプレーナ線路32bがX方向に沿って延びている。これに応じて、基板33Aの構成が上記実施形態の基板33の構成とは異なっており、パッド部50Aの構成が上記実施形態のパッド部50とは異なっている。本変形例では、基板33Aのコプレーナ線路36Aの信号線路37Aの他端部37bは、端面33dに達している。コプレーナ線路36Aのグランドパターン38Aは、L字状を呈する部分を有しておらず、端面33b及び33cに接するグランドパターン38Aの一端が、端面33dに達している。
【0074】
また、本変形例では、発光部11Aのパッド部50Aが、パッド54及び55を有していない。そして、パッド部50Aのパッド52及び53は、Y方向においてパッド51の両側にそれぞれ設けられている。具体的には、パッド53は、Y方向においてパッド51に対して端面33b寄りに位置しており、パッド52は、Y方向においてパッド51に対して端面33c寄りに位置している。このような形態であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0075】
(第2変形例)
図11は、第2変形例による発光部11Bを示す概略構成図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、EMLチップの構成である。すなわち、本変形例のEMLチップ31Aは、光変調器のカソード電極31i、及びトレンチ31jを更に有する。光変調器のカソード電極31iは、主面31a上に露出している。カソード電極31iは、基準電位を与えられる。カソード電極31iは、X方向に沿って光変調器のアノード電極31cと並んで配置されている。カソード電極31iは、光変調器のアノード電極31cに対して、X方向における端面33e寄りに位置している。換言すれば、アノード電極31cは、X方向において、カソード電極31iと、信号線路37の他端部37b上の領域(例えばパッド51)との間に位置している。なお、カソード電極31iは、本実施形態における別のパターンとしての第3グランドパターンである。
【0076】
パッド部40の一部であるパッド42は、Z方向において、カソード電極31iと、グランドパターン38との間に配置されている。パッド42は、カソード電極31iと、グランドパターン38とを電気的に接続している。トレンチ31jは、Y方向に沿って延びる溝であり、X方向において光変調器のカソード電極31iとアノード電極31cとの間に位置する。トレンチ31jは、Z方向において主面31aから光変調器のカソード側の半導体層まで延びている。トレンチ31jの壁面及び底面には、金属層が設けられており、この金属層は、光変調器のカソード側の半導体層から、トレンチ31jの壁面及び底面を経てカソード電極31iに達している。このトレンチ31jの金属層によって、カソード電極31iと当該半導体層とが電気的に接続されている。従って、パッド42、トレンチ31jの金属層、及びカソード電極31iを介して、グランドパターン38と当該半導体層とが電気的に接続されている。
【0077】
このように、パッド42、及びトレンチ31jの金属層を介して、グランドパターン38とカソード電極31iとを電気的に接続することで、グランドパターン38の基準電位と、カソード電極31iの基準電位とを共通化することができる。その結果、伝送特性を向上することができる。また、EMLチップ31Aがこのような構成を有する場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0078】
(第3変形例)
図12は、第3変形例による発光部11Cを示す概略構成図である。図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、本変形例の電極パッド31fの形状が、上記実施形態とは異なる点、並びに、上記実施形態のパッド43に代えて、パッド43Aを備える点である。本変形例では、部分31gが部分31hから突出しておらず、電極パッド31fの部分31hのY方向における一端は、部分31gのY方向における一端と揃っている。また、基板33Bは、Y方向に沿って延びる延在部分33fを更に有している。延在部分33fは、Y方向においてグランドパターン38から端面33cまで延びる部分である。
【0079】
パッド43Aは、電極パッド31fの部分31h上に配置されている。具体的には、パッド43Aは、Z方向において、部分31hと、基板33Bの延在部分33fとの間に配置されている。パッド43Aは、Y方向において、グランドパターン38と、端面33cを含むXZ平面との間に位置している。パッド43Aは、図13に示されるように、金属層43a、43b、及び43c、並びに導電性接着材60に加えて、絶縁層43dを含んでいる。絶縁層43dは、Z方向において金属層43aと部分31hとの間に位置している。また、基板33Bは、延在部分33fと金属層43Cとの間に金属層33gを更に含んでいる。パッド43AのZ方向における厚さは、主面31aを基準として、金属層33gとパッド43Aとが互いに接する界面B6の高さが、界面B1及びB4、界面B2(図7参照)、並びに界面B3(図9参照)の高さに略一致するように調整されている。このような形態であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
(第4変形例)
図14は、第4変形例による発光部11Dを示す概略構成図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、キャリアのグランドパターンの形状である。すなわち、本変形例のキャリア32Aのコプレーナ線路32eにおいて、グランドパターン32fは、Z方向において信号線路37と対向する位置に設けられる部分P1を含む。部分P1は、Y方向に沿って延びており、グランドパターン32fの部分P1を除く他の部分P2を繋いでいる。部分P1は、キャリア32のX方向におけるEMLチップ31寄りの側面に接している。部分P1のX方向における幅は、他の部分P2のX方向における幅よりも小さい。部分P1がこのように幅を有することにより、特定の周波数での電界の共振を抑制するように、部分P1と信号線路37との間に生じる結合容量の大きさを調整することができる。その結果、高周波特性の劣化を抑制することができる。
【0081】
(第5変形例)
図15は、第5変形例による発光部11を拡大して示す斜視図である。図16は、図15の発光部11を示す断面図である。図16は、図5のVII-VII線に沿った断面に相当する断面図を示している。本変形例では、パッド部40のパッド41、42、43、及び44のそれぞれが、主面33aと主面31aとの間においてZ方向に圧縮されているか、又は、パッド部50の各パッド51、52、53、54、及び55のそれぞれが、主面33aと主面31aとの間においてZ方向に圧縮されている。各パッド41~44は、主面33a及び主面31aに接触しており、各パッド51~55は、主面33a及び主面32aに接触している。本変形例では、各パッド41~44の主面33a側の金属層(第2金属層)と、各パッド51~55の主面33a側の金属層(第2金属層)とが厚膜化されている。本変形例では、図16に示されるように、パッド41は金属層41aを含まず、主面33a側の金属層41bと、主面31a側の電極パッド31eとが導電性接着材60(第1金属層)により互いに固定される。また、金属層41bのZ方向における厚さは、導電性接着材60のZ方向における厚さよりも厚い。パッド41がZ方向に圧縮される場合、厚膜化された金属層41bが、信号線路37と導電性接着材60とによってZ方向に圧縮される。金属層41bの厚さは、例えば5μm~25μmであり、導電性接着材60の厚さは、例えば1μm~10μmである。一例では、金属層41bの厚さは、15μmであり、導電性接着材60の厚さは、8μmである。
【0082】
金属層41bは、例えばAu又はCuを含んで構成されている。本変形例では、金属層41bは、Pt層と第1Au層と第2Au層とを含んで構成される。Pt層は信号線路37上に設けられ、第1Au層はPt層上に設けられ、第2Au層は第1Au層上に設けれる。Pt層の厚さは、第1Au層の厚さよりも薄く、第2Au層の厚さよりも厚い。Pt層の厚さは、例えば0.1μm~1μmであり、第1Au層の厚さは、例えば1μm~5μmであり、第2Au層の厚さは、例えば0.1μm~0.5μmである。一例では、Pt層の厚さは、0.5μmであり、第1Au層の厚さは、厚さ5.0μmであり、第2Au層の厚さは、0.1μmである。また、本変形例では、電極パッド31eは、TiW層と第3Au層と第4Au層を含んで構成される。TiW層は主面31a上に設けられ、第3Au層はTiW層上に設けられ、第4Au層は第3Au層上に設けれる。TiW層の厚さは、第3Au層の厚さと同じであり、第4Au層の厚さよりも薄い。TiW層の厚さは、例えば0.05μm~0.5μmであり、第3Au層の厚さは、例えば0.05μm~0.5μmであり、第4Au層の厚さは、例えば1.0μm~5.0μmである。一例では、TiW層の厚さは、0.1μmであり、第3Au層の厚さは、厚さ0.1μmであり、第4Au層の厚さは、3.0μmである。なお、電極パッド31eにおいて、第3Au層は、例えばスパッタ法によりTiW層上に形成され、第4Au層は、例えばメッキ法により、第3Au層上に形成される。導電性接着材60は、例えばAuSnを含む半田であり、例えばZ方向を軸方向とする円柱状を呈している。
【0083】
また、パッド42~44のそれぞれは、パッド41と同様の構成を有する。すなわち、図16に示されるように、パッド42は、図9に示される金属層42bを含まず、主面33a側の金属層42cと主面31a側の金属層42aとが導電性接着材60により互いに固定される。そして、金属層42cは、金属層41bと同様に厚膜化され、金属層41bと同様の構成を有する。パッド42がZ方向に圧縮される場合、厚膜化された金属層42cがZ方向に圧縮される。また、パッド43は、図9に示される金属層43bを含まず、主面33a側の金属層43cと主面31a側の金属層43aとが導電性接着材60により互いに固定される。そして、金属層43cは、金属層41bと同様に厚膜化され、金属層41bと同様の構成を有する。パッド43がZ方向に圧縮される場合、厚膜化された金属層43cがZ方向に圧縮される。また、パッド44は、図9に示される金属層44bを含まず、主面33a側の金属層44cと主面31a側の金属層44aとが導電性接着材60により互いに固定される。そして、金属層44cは、金属層41bと同様に厚膜化され、金属層41bと同様の構成を有する。パッド44がZ方向に圧縮される場合、厚膜化された金属層44cがZ方向に圧縮される。
【0084】
また、図16に示されるように、パッド51の金属層51bは金属層41bと同様の構成を有する。パッド51がZ方向に圧縮される場合、厚膜化された金属層51bがZ方向に圧縮される。パッド52,53,54,及び55は、前述したように、パッド51と同様の構成を有している。なお、本変形例では、図16において、基板33及びキャリア32は、例えばAlNによって構成され、基板33のZ方向における厚さは、例えば110μmである。EMLチップ31は、例えば、厚さ3μmを有するn型のInPによって構成される。信号線路37及び信号線路32cのそれぞれは、例えば、Ti層とPt層とAu層とを含んで構成される。Pt層の厚さは、Ti層の厚さよりも厚く、Ti層の厚さは、Au層の厚さよりも厚い。一例では、Ti層の厚さは、0.1μmであり、Pt層の厚さは、厚さ0.2μmであり、Au層の厚さは、0.5μmである。絶縁膜31dの厚さは、例えば1.4μmである。
【0085】
図17及び図18は、図15の発光部11の製造工程を示す図である。図17は、基板33の一部を主面33a側から見た斜視図を示している。発光部11を製造する際には、チップキャリア30上にEMLチップ31及びキャリア32を搭載したのち、図17に示されるように、基板33の主面33aに、パッド51~55と、パッド41~44(図15及び図16参照)とを形成する。各パッド42~44,51~55の主面33a側の金属層は、例えばメッキ法により、主面33a上に形成される。その後、導電性接着材60が、例えば蒸着法により、主面33a上に形成された金属層上に形成される。
【0086】
続いて、EMLチップ31及びキャリア32に基板33を実装する。このとき、図18に示されるように、主面33aと、主面31a及び主面32aとが対向するように、基板33をEMLチップ31及びキャリア32の上に配置する。その後、基板33をEMLチップ31及びキャリア32の上に搭載して、加熱(例えば320℃)により導電性接着材60を溶解し、EMLチップ31及びキャリア32に対して基板33を押圧(例えば荷重2N)する。そして、その状態で導電性接着材60が固化し、本変形例の発光部11が得られる。
【0087】
本変形例の発光部11によって得られる効果を説明する。図19の(a)及び(b)は、図15の発光部11の作用・効果を説明する為の図である。図19では、簡単の為、パッド部40のパッド41以外のパッドを省略し、パッド部50のパッド51以外のパッドを省略している。図19の(a)は、各パッド41,51がZ方向に圧縮されていない場合を例示している。この例において、各パッド41,51は、圧縮前(すなわち基板33の実装前)において同じ厚さを有しており、各パッド41,51の主面33a側の金属層は厚膜化されていない。この例では、例えば寸法公差や製造上の誤差等によるばらつきにより、主面31aの高さが主面32aの高さよりも低くなり、基板33の実装時において、主面33aと主面31aとの距離が主面33aと主面32aとの距離よりも大きくなっている。例えば、EMLチップ31の厚さの公差、キャリア32の厚さの公差のそれぞれが±10μmである場合、主面33aの高さと主面31aの高さとのずれの大きさ(主面33aと主面31aとのZ方向における距離)は、最大20μmとなる。この場合、図19の(a)に示されるように、パッド41が主面31aに届かずに主面31aから離間することがある。
【0088】
図19の(b)は、パッド51がZ方向に圧縮されている場合を例示している。この例において、パッド51は、圧縮前におけるパッド41の厚さと同じ厚さを有しており、パッド51の主面33a側の金属層が厚膜化されている。厚膜化された当該金属層が圧縮されることで、パッド51をZ方向に圧縮させることができる。圧縮後において、図19の(b)に示されるように、パッド51の厚さは、パッド41の厚さよりも薄くなっている。このようにパッド51の厚さがパッド41の厚さよりも薄くなっていることにより、パッド41を主面33aから主面31aまで届かせることができる。その結果、パッド51を介して基板33をキャリア32に接続させると共に、パッド41を介して基板33をEMLチップ31に接続させることができる。つまり、本変形例の発光部11によれば、主面31aの高さが主面32aの高さよりも低くなった場合であっても、基板33をキャリア32及びEMLチップ31の両方に接続することができる。また、主面32aの高さが主面31aの高さよりも低くなった場合は、パッド41の主面33a側の金属層も厚膜化されるので、主面33aと主面31aとの間においてパッド41をZ方向に圧縮させることができる。この場合、圧縮後において、パッド41の厚さは、パッド51の厚さよりも薄くなる。このようにパッド41の厚さがパッド51の厚さよりも薄くなることにより、パッド51を主面33aから主面32aまで届かせることができる。その結果、パッド41を介して基板33をEMLチップ31に接続させると共に、パッド51を介して基板33をキャリア32に接続させることができる。つまり、本変形例の発光部11によれば、主面32aの高さが主面31aの高さよりも低くなった場合であっても、基板33をEMLチップ31及びキャリア32の両方に接続することができる。パッド41,51以外の他のパッド42~44,52~55についても、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0089】
図20は、本変形例の別の例による発光部11を示す斜視図である。図20に示されるように、各パッド41~44,51~55の主面33a側の金属層がボールバンプであってもよい。この場合、導電性接着材60は、主面33aと当該金属層との間に設けられる。ボールバンプは、例えばAuを含んで構成される。この場合、主面33aと主面31aとの間のボールバンプがZ方向に圧縮されるか、又は、主面33aと主面32aとの間のボールバンプがZ方向に圧縮される。図21は、図20の発光部11の製造工程を示す図である。図21に示されるように、図20の発光部11を製造する際には、各パッド41~44の金属層(ボールバンプ)が主面31a上に形成され、各パッド51~55の金属層(ボールバンプ)が主面32a上に形成される。その後、図15の発光部11と同様に、基板33が実装される。このような形態であっても、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0090】
図22は、本変形例の別の例による発光部11の基板33を示す斜視図である。図22に示されるように、各パッド41~44,51~55の導電性接着材60が厚膜化されていてもよい。この場合、各パッド41~44,51~55の主面33a側の金属層は厚膜化されていない。この場合、各パッド41~44の導電性接着材60がZ方向に圧縮されるか、又は、各パッド51~55の導電性接着材60がZ方向に圧縮される。図22の発光部11では、各パッド41~44,51~55の導電性接着材60の厚さは、各パッド41~44,51~55の主面33a側の金属層の厚さよりも厚い。導電性接着材60の厚さは、例えば3μm~30μmであり、主面33a側の金属層の厚さは、例えば5μm~30μmである。一例では、導電性接着材60の厚さは、7.5μmであり、主面33a側の金属層の厚さは、5.6μmである。図22の発光部11の製造工程は、図15の発光部11の製造工程と同様である。このような形態であっても、上述した効果と同様の効果を奏する。図23は、本変形例の別の例による発光部11を示す斜視図である。図23に示されるように、厚膜化された導電性接着材60は、半田ボールであってもよい。半田ボールは、半田により構成されており、球体状をなしている。図24は、図23の製造工程を示す斜視図である。図23の発光部11を製造する際には、図24に示されるように、主面33a上に形成された金属層上に導電性接着材60を形成したのち、図15の発光部11と同様に、基板33が実装される。このような形態であっても、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0091】
本発明の光モジュールは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、上述した実施形態及び各変形例では、各パッドが円柱形状を呈していたが、これに限られず、他の形状であってもよい。また、上述した実施形態及び各変形例では、各パッドが金属層を含んでいたが、これに限られず、他の材料からなる層を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…光モジュール、2…筐体、2B…フィードスルー、3…光結合部、7…ベース部材、11,11A~11D,11a~11d…発光部、12a~12d…第1レンズ、15a~15d…第2レンズ、13…キャリア、16…第1WDMフィルタ、17…第2WDMフィルタ、18…ミラー、19…合波光学系、20…偏波合成器、21…光学部品、22…レンズ、23,32c,37,37A…信号線路、24,25…端子、30…チップキャリア、31,31A…EMLチップ、31a,32a,33a…主面、31b,31c…アノード電極、31d…絶縁膜、31e,31f…電極パッド、31g,31h…部分、31i…カソード電極、31j…トレンチ、32,32A…キャリア、32b,32e,36…コプレーナ線路、32d,32f,34,38,38A…グランドパターン、33,33B…基板、33b,33c,33d,33e…端面、33f…延在部分、35…デカップリングコンデンサ、37a…一端部、37b…他端部、39…終端抵抗、40,50,50A…パッド部、41~44,43A,51~55…パッド、41a,41b,42a~42c,43a~43c,44a~44c,51b…金属層、43d…絶縁層、60…導電性接着材、70,71,72…ワイヤ、B1,B2,B3,B4,B5,B6…界面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28