IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7255983回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置
<>
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図1
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図2
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図3
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図4
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図5A
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図5B
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図5C
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図6
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図7
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図8
  • 特許-回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】回転可能なキャビテーションピーニングの方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 17/00 20060101AFI20230404BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
B23P17/00 A
B23Q17/00 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018157897
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2019069508
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】15/693,409
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サンダーズ, ダニエル ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ソーレソン, アマンダ ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ディエップ, ハーリー テ
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-362124(JP,A)
【文献】特開平11-169804(JP,A)
【文献】特開昭64-067289(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157619(WO,A1)
【文献】特開2006-102871(JP,A)
【文献】特開2002-291923(JP,A)
【文献】特開昭57-127403(JP,A)
【文献】特開2013-082030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 17/00
B23P 9/00
B23Q 17/00
B24C 1/00 - 11/00
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビテーションピーニングの方法であって、
柔軟な導管を通じて、第1のチャネルと第2のチャネルを有する携帯可能なノズルに移動可能な流体源を連結すること、
加工対象物の処理表面に隣接して前記ノズルを位置決めすること
前記第1のチャネルを通して第1の流体の流れを、且つ、前記第1のチャネルの周りで同心円状に位置決めされている第2のチャネルを通して第2の流体の流れを、前記処理表面に向けて放出すること、ここで、前記第1の流体の流れが第1の流体圧力を有し、前記第2の流体の流れが第2の流体圧力を有し、前記第1の流体圧力が前記第2の流体圧力より高く、前記第1の流体の流れと前記第2の流体の流れが組み合わされて、キャビテーション泡のクラウドを生成し、及び
前記ノズルを、前記キャビテーション泡のクラウドの長さの2倍の距離だけ前記処理表面から離して維持すること
を含む方法。
【請求項2】
前記処理表面にわたり前記ノズルを一定の離間距離で平行移動させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理表面に垂直なZ軸に沿って前記ノズルを平行移動させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ノズルを、前記処理表面内の湾曲に合わせて調節するために回転させることを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記位置決めすることが手動で実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決めすることがロボットによって実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ノズルにより、前記第1の流体の流れと前記第2の流体の流れ、処理方向に前記処理表面へ向けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記位置決めすることが、60度から120度の範囲内にある前記処理表面との角度を形成するように、前記第1及び第2の流体の流れの前記処理方向を手動で方向付けることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ノズルが先端部分を有し、前記位置決めすることが、前記ノズルの前記先端を15.24cmから25.4cm(6インチから10インチの範囲内にある前記処理表面からの離間距離に維持することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記位置決めすることが、前記キャビテーション泡のクラウドを前記処理表面から7.62cmから12.7cm(3インチから5インチの範囲内にある距離だけ離して維持することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ノズルがレーザーガイドデバイスを有し、前記位置決めすることが、前記レーザーガイドデバイスを前記処理表面へ向けること、及び前記ノズルの先端と前記処理表面との間の離間距離を決定することを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記放出することが、前記ノズルを通過する前記第1の流体の流れの前記第1の流体圧力をモニタリングすることを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ノズル内で感知された圧力データをコントローラに通信することを更に含み、前記コントローラが、前記流体源における流体圧力を調整するようにプログラムされている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ノズルを通過する流体の温度をモニタリングすることを更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
加工対象物を処理する方法であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法に従って、実質的に一定の離間距離において、加工対象物上の静止した処理領域にわたりキャビテーション泡のクラウドを手動で平行移動させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャビテーションピーニングのためのシステム及び方法に関する。特に、開示される実施例は、静止した加工対象物をキャビテーションピーニングするための移動可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
疲労強度を高め、応力腐食割れ(SCC)に対する抵抗性を高め、材料内に残留圧縮応力を誘起する方法として、ショットピーニングが良く知られている。例えば、航空機の修理は構成要素を研磨することを含む。それは引張応力を増加させ得る。修理される構成要素のピーニングは、引張応力を軽減させ、引張応力を有益な圧縮応力で置き換えることができる。ショットピーニングでは、球状のショットが高速で推進され、材料の表面に衝撃を与え、塑性変形をもたらす。
【0003】
しかし、ショットピーニングは、表面粗面化をもたらし、特定のショット媒体(例えば、キャストショット)については処理される表面に傷を付け得る。使い捨てのショットは、高価であり、オペレータに対する実質的な安全性のリスクももたらす。水噴射キャビテーションピーニングは、低費用且つ低い操作上のリスクで、傷を付けるよりもむしろ清掃する代替的な工程として有望である。
【0004】
現在使用されているキャビテーションピーニングシステムは、概して、加工対象物が水のタンク内に沈められることを要求する。ピーニング装置は、部品が製造される場所、又は修理される部品がピーニングされるために送られる場所に恒久的に位置付けられる。修理を速くし且つ部品がそれらの所定位置の中又は近くでピーニングされることを可能にするために、現場でのピーニングを可能とする装置が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
キャビテーションピーニングの方法は、柔軟な導管を介して移動可能な水源を携帯可能なノズルに連結することを含み得る。該方法は、処理表面に隣接してノズルを位置決めすること、並びに、第2のチャネルが第1のチャネルの周りで同心円状に位置決めされている状態で、ノズルの第1及び第2のチャネルを通して流体の第1及び第2の流れを放出することを含み得る。第1の流れは第1の圧力を有し、第2の流れは第2の圧力を有し得る。第1の圧力は第2の圧力より高く、2つの流れは組み合わされてキャビテーション泡のクラウド(cloud)を生成する。
【0006】
本開示は、キャビテーションピーニングに関するシステム、装置、及び方法を提供する。ある実施例では、キャビテーションピーニングシステムが、携帯可能なノズルアセンブリと移動可能な流体源を含み得る。ある実施例では、ノズルアセンブリが、キャビテーション泡のクラウドを生成するように構成された並行流ノズルを含み得る。ある実施例では、キャビテーションピーニングの方法が、実質的に一定の離間距離において、加工対象物上の静止した処理領域にわたりキャビテーション泡のクラウドを平行移動させることを含み得る。
【0007】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施例で個別に実現され得るか、又は、後述の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解可能である、更に別の実施例において組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】航空機の脚支柱をピーニングするために使用されている携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの概略図である。
図2】別の携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの概略図である。
図3】例示的なノズルアセンブリの概略図である。
図4図3のノズルアセンブリの等角図である。
図5A図3のノズルアセンブリの上面図である。
図5B】例示的な離間距離のインジケータの概略図である。
図5C】別の離間距離のインジケータの概略図である。
図6図3のノズルアセンブリの概略図である。
図7】例示的なソースアセンブリの概略図である。
図8】別の携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの概略図である。
図9】キャビテーションピーニングの方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ノズルアセンブリ及び流体源を有するキャビテーションピーニングのためのシステムの様々な態様及び実施例が、関連する方法と共に、以下で説明され添付図面内で示される。特段の定めがない限り、キャビテーションピーニングのためのシステム及び/又はその様々な構成要素は、本明細書で説明され、例示され、且つ/又は本明細書に組み込まれた、構造体、構成要素、機能、及び/又は変形例のうちの少なくとも1つを包含し得るが、必ずしもそれらを包含することが必要なわけではない。更に、特に除外されない限り、本教示に関連して本明細書で説明され、例示され、且つ/又は組み込まれている工程ステップ、構造、構成要素、機能、及び/又は変形例は、他の類似のデバイス及び方法に含まれ得るが、開示された実施例の間で相互交換可能であることを含む。様々な実施例における下記の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途、又は利用を限定することを意図するものではない。加えて、以下で説明される実施例によって提供される利点は、本質的に例示的であり、全ての実施例が、同じ利点又は同程度の利点を提供するわけではない。
【0010】
定義
それ以外のものが示されなければ、以下の定義が本明細書で適用される。
【0011】
「実質的に」は、特徴又は構成要素が正確に一致する必要がないように、その用語によって修正される特定の寸法、範囲、形状、概念、又は他の態様に概ね一致することを意味する。例えば、「実質的に円筒状の」物体は、その物体が、円筒に似ているが真正の円筒から1以上の逸脱を有し得ることを意味する。
【0012】
「備える」、「含む」、並びに有する(及びそれらの結合)は、含むが必ずしもそれに限定されず、更なる列挙されていない要素又は方法ステップを排除することを意図しないオープンエンドな用語であるように、相互交換可能に使用される。
【0013】
「第1の」、「第2の」、及び「第3の」は、群のうちの様々なメンバーを区別又は特定するように使用され、順序の又は数値的な限定を示すことを意図していない。
【0014】
「連結され」は、直接的にか又は介入する構成要素を通じて間接的に、恒久的に又は着脱可能なようにの何れかで、接続されていることを意味する。
【0015】
概要
概して、キャビテーションピーニングシステムは、柔軟な導管によって移動可能な流体源に連結された携帯可能なノズルアセンブリを含み得る。キャビテーションピーニングシステムを使用する方法は、処理表面に隣接してノズルアセンブリを位置決めするステップ、及び、第1の流体の流れと第2の流体の流れを組合わせてキャビテーション泡のクラウドを生成するように、第1の流体の流れと第2の流体の流れを放出するステップを含み得る。
【0016】
実施例、構成要素、及び代替手段
以下の各セクションは、例示的な携帯可能なキャビテーションピーニングシステム、ノズルアセンブリ、並びに流体源、更には関連するシステム及び/又は方法の選択された態様を説明する。これらのセクションの実施例は、例示を目的としており、本開示の範囲全体を限定するものと解釈すべきではない。各セクションは、1以上の注目すべき実施形態若しくは実施例、並びに/又は、文脈的な若しくは関連する情報、機能、及び/若しくは構造を含み得る。
【0017】
A.第1の例示的なシステム
図1は、処理表面14に向けられたノズルアセンブリ12を含む、概して10で示される、例示的な携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの概略図を示している。2つの柔軟な導管16、18が、圧縮された流体をノズルアセンブリに供給する。タンク20は、2つのポンプ、すなわち、導管16に連結された第1のポンプ22と導管18に連結された第2のポンプ24に流体を供給する。第1のポンプ22は、流体を第1の圧力まで圧縮し、第2のポンプ24は、流体を第2のより低い圧力まで圧縮する。
【0018】
ノズルアセンブリ12は、流体の第1の流れ26を第1の圧力で放出し、第2の流れ28を第2の圧力で放出する。その2つの流れは、その2つの流れが組み合わされてキャビテーション泡のクラウドを生成するように、同心円状に放出される。オペレータは、処理表面14からある距離を置いてノズルアセンブリ12を維持し得る。その距離は、クラウドの長さの近似的に2倍に等しくなり得る。ノズルアセンブリ12は、手動で操作され、又は自動システムに連結され得る。
【0019】
センサの集合30が、関連したパラメータに対して流体をモニタするために、タンク20の流体内に沈められる。例えば、その集合は、温度及び酸素含有量に対するセンサを含み得る。センサデータは、タンクの外面上の視覚的インジケータによって表示され得る。そのデータは、電子コントローラにも出力され、又は視覚的、音響的、若しくは他の手段によってオペレータに通信され得る。
【0020】
B.第2の例示的なシステム
図2は、使用中の携帯可能なキャビテーションピーニングシステム110の図である。オペレータ126は、航空機の着陸装置を一定に保つために、ノズルアセンブリ112を支柱128に向ける。ノズルアセンブリは、キャビテーション泡のクラウドを生成し、水の流れ130を支柱に放出する。支柱128は、ピーニング中に着陸装置に配置されたままであり、オペレータ126は、支柱128の処理領域114に隣接してノズルアセンブリ112を運ぶために、リフト132の上に立つ。オペレータ126は、その領域が十分に処理されてしまうまでノズルアセンブリ112を処理領域114に向け、その後、ノズルを次の処理領域に向けることができる。オペレータは、支柱128が完全に処理されてしまうまで、ノズルアセンブリを新しい処理領域へ平行移動させ続け得る。
【0021】
ノズルアセンブリ112は、オペレータ126によって握られるハンドル、及びスタンド134を含む。そのスタンドは、オペレータ126がノズルアセンブリの重量を支持することなしにノズルアセンブリ112を向けることを可能とするように、リフト132のレール上に載置される。更に、そのスタンドは、支柱128からの正確な離間距離、及び水の流れ130と処理領域114との間の正確な角度を維持することにおいて、オペレータ126を支援し得る。
【0022】
一組のホース116、118が、ポンプ122、124からノズルアセンブリ112に水を供給する。ポンプ122は、近似的に、平方インチ当たり1,000と5,000ポンド(PSI)の間の、好適には、約3,000PSIの、又は任意の適切な圧力まで水を圧縮し得る。ポンプ124は、より低い圧力、例えば、50PSIまで水を圧縮し、若しくは水を大気圧にし、又は任意の適切な圧力における水の層流を供給し得る。
【0023】
ホース116、118は、個別にノズルアセンブリ113に連結されるが、オペレータ126による移動を容易にするために束ねられる。それらのホースは、間隔を置いて結ばれ、導管内に封入され、又はそれ以外のやり方で配置される。電気ケーブル、データケーブル、又は他のケーブルも、ホース116、118と共に束ねられ、ノズルアセンブリ112に連結され得る。
【0024】
ポンプ122、124は、水貯蔵タンク120から水を汲み上げる。描かれている実施例では、タンク120が、第1の区画と第2の区画の2つの区画を有し、ポンプ122は第1の区画から汲み上げ、ポンプ124は第2の区画から汲み上げる。ある実施例では、第1及び第2の区画が、異なる圧力又は温度で水を収容し、又は異なる流体を保有し得る。
【0025】
タンク120とポンプ122、124は、冷却ユニット138を有する車輪が付けられたプラットフォーム136上に取り付けられている。タンク120は、冷却器138を介して満たされ得る。冷却器138は、入って来る水を冷却しフィルタリングし得る。入って来る水の温度と不純物準位(impurity level)を制御することは、キャビテーションクラウド(cavitation cloud)の形成のためにノズルアセンブリ112における最適な状態を提供するのに望ましいだろう。水の温度が許容可能な運転温度を過ぎて上昇したときに、収容されている水が冷却器138を通って循環することを可能にするための機構が、タンク120内に含まれ得る。
【0026】
冷却器138又はタンク120は、空港の水源と連結するのに適切なポート又はコネクタを含み得る。タンクは、航空機の着陸装置に近い作業領域へ移動される前に水源において満たされてしまうか、又は、作業領域において水源が利用可能であるならば、ピーニング中にタンクが満たされ続けることも可能である。タンク120は、効果的な処理時間のために十分な水を保有するようなサイズであり得る。例えば、処理領域114のピーニングが20分間を必要とし、ノズルアセンブリ112が分当たり3ガロンの流量で水を放出するならば、タンク120は少なくとも60ガロンの容積を有し得る。
【0027】
車輪が付けられたプラットフォーム136は、キャビテーションピーニングシステム110の統合された構成要素であり、又は作業現場で設けられる輸送手段であり得る。例えば、空港では、システム110が電動輸送体上で輸送され得る。作業領域において、タンク120、ポンプ122、124、及び冷却器138は、ピーニング中に輸送体上にあるままであり、航空機の構成要素へのアクセスのために必要に応じて輸送体により移動され得る。そのような実施例に対して、タンク120、ポンプ122、124、及び冷却器138は、容易な積み込み及び積み下ろしを可能とするように、シャーシ又はフレーム内に着脱可能に取り付けられ得る。他の実施例では、タンク120が、底面上にキャスターを含み、ポンプ122、124は、タンクの上面に固定され得る。任意の効果的で移動可能な構成が使用され得る。
【0028】
図2で示されているように、ポンプ122、124と冷却器138は、個別にアクセス可能である。そのような構成は、部品の現場交換を容易にすることができる。例えば、キャビテーションピーニングシステム110は、厳しい条件が摩耗を加速し得る又は修理のためのダウンタイムが望ましくない、遠隔領域において実行される修理のために有用であり得る。ポンプ122の内部構成要素が機能不全を起こしたならば、適切な圧力及び流量のパラメータを有する別のモデル又は種類のポンプが、ポンプ122を修理をしている間に代替し得る。
【0029】
他の実施例では、ポンプ122、124と冷却器138は、輸送及び取り扱いを容易にするために、タンク120を有する単一のユニット内に囲まれ得る。全ての構成要素のための制御、及び任意のセンサからのデータの表示は、その単一のユニットの外装上で利用可能であり得る。
【0030】
キャビテーションピーニングシステム110は、ピーニングのために使用され、他の用途のためにも使用され得る。例えば、該システムは、表面を清掃するために使用され、又は制御された変形のために使用され得る。キャビテーションクラウドの中へ研磨媒体を導入することによって、該システムは粗い表面を滑らかにするためにも使用され得る。
【0031】
C.第3の例示的なシステム
図3は、キャビテーションピーニングのためのノズルアセンブリ210の概略図を示している。該アセンブリは、並行流ノズル212、本体部分214、及びハンドル216を含む。ノズル212は、較正パック218に向けられ、流体の内側の流れ220と外側の流れ222を放出して、キャビテーション泡のクラウドを生成する。2つの柔軟な導管、すなわち、内側の流れ220のための第1の圧力における流体を有する第1の導管224と外側の流れ222のための第2の圧力における流体を有する第2の導管226が、ノズルアセンブリ210に流体を供給する。
【0032】
ノズルアセンブリ210は、制御部228、ゲージ230、及びガイドデバイス232を更に含む。制御部228は、並行流ノズル212からの流体の流れを停止又は開始する。制御部は、内側の流れ220と外側の流れ222に同時に影響を与え、又は個別の制御部が、各流れに対して設けられ得る。制御部228は、ノズルアセンブリ210又はそれと共にノズルアセンブリ210が使用されるところのキャビテーションピーニングシステムの任意の他の機能も含み得る。例えば、制御部228は、オペレータが、内側の流れ220及び/又は外側の流れ222の温度又は圧力を調整することを可能にし得る。制御部228は、キャビテーションピーニングシステムの電子コントローラと動作可能に接続され得る。
【0033】
1以上のセンサ234は、放出のポイントの近くの流体の特性を測定するために、並行流ノズル212内に取り付けられている。それらのセンサは、それらのセンサが、流体の流れを妨げず、並行流ノズルによるキャビテーションクラウドの形成に干渉せず、又はさもなければ並行流ノズルの有効性を低減させないように、取り付けられ得る。ある実施例では、センサ234の一部又は全部が、ノズルアセンブリ210の本体部分214内に配置され得る。ある実施例では、センサが、ノズルアセンブリの外装上に配置され得る。
【0034】
センサ234は、内側の流れ220、外側の流れ222、及び/又は外部環境の特性を測定し得る。測定される特性は、圧力、温度、流量、溶存酸素、不純物準位、周囲ノイズ、極超音速ノイズ、又は振動を含み得るが、それらに限定されるものではない。各センサからの測定データは、例えば、ゲージ230によってノズルアセンブリ210上に表示され、又は電子コントローラに通信され得る。
【0035】
較正パック218が、加工対象物のピーニングの前に使用され得る。パックは、ノズルアセンブリ210によって生成された衝撃圧力を測定するための1以上のセンサ236を含む。センサは、ロードセル、圧電トランスデューサ、感圧フィルム、又は任意の効果的なセンサを含み得る。パック218は、較正中の質量損失(mass loss)を制限するために、キャビテーションの衝撃による浸食に対する抵抗性を有する材料も含み得る。他の実施例では、パック218が、既知の材料特性を有する交換可能なインサート又はテスト基板を含み得る。オペレータは、ノズルアセンブリ210のキャビテーション強度を測定するために、インサート上で浸食テストを実行し得る。パック218は、ノズルアセンブリ210から放出された流体のキャビテーション又はピーニング特性をテストするために適切な任意の恒久的又は交換可能なテスト構成要素も含み得る。
【0036】
オペレータ又はコントローラは、導管224、226によって供給される流体を調整するために、較正パックからの測定された衝撃圧力又はキャビテーション強度、及び、ノズルアセンブリ210からのセンサデータを使用し得る。絶対圧力、圧力比、流量、温度、又は溶存酸素濃度などの、流体パラメータを調整することによって、ノズルアセンブリ210を用いて実行されるピーニングが、所望の強度に最適化され得る。
【0037】
図4は、本体部分214によって既定された長手軸(elongate axis)238を示すノズルアセンブリ210の等角図である。ハンドル216が、長手軸238に垂直な旋回軸240の周りで旋回するように、本体に取り付けられている。それによって、手動のオペレータは、ノズルアセンブリ210を処理表面に対して所望の角度で方向付け、一方、オペレータとハンドル216との間の快適な角度を維持する。広い範囲のハンドル216の動きは、オペレータが、他の構成要素の下、上、又は周りの処理領域にアクセスすることを可能とするためにも望ましいだろう。
【0038】
ハンドル216は、効果的な若しくは人間工学的な握りを補助し、又は長い時間にわたりノズルアセンブリ210を使用することによるオペレータの繰り返し圧力損傷を妨げるための特徴も含み得る。例えば、ハンドル216は、ハンドルを所望の旋回位置で選択的に固定するためのカムレバーを含み、又はハンドル216は、湿っているときに効果的な握りを提供するゴムのような材料を含み得る。ある実施例では、ハンドル216が、圧縮された流体又はキャビテーションクラウドから伝達される振動を吸収するための当て物(padding)を含み得る。
【0039】
図3図5Aでは、ノズルアセンブリ210が、旋回ハンドルを有するように示されているが、任意の効果的なハンドルが使用され得る。ある実施例では、ハンドル216が、CNCアームなどのロボットシステムと連結されるように構成され得る。手動操作のために適切な実施例は、本体部分214とピストル形状を形成するハンドル216、又は本体部分214の両側に取り付けられ且つ長手軸238に垂直に延在する2つのハンドルを含み得る。ある実施例において、本体部分214は、オペレータが処理領域からより離れたままでいることを可能にするための棒形状を有し得る。本体部分214は、オペレータが、特定の加工対象物又は作業領域に適切な長さを選択することを可能にするための入れ子状の構成要素を含み得る。本体214は、狭い空間又はアクセスすることが困難な領域内でのノズルアセンブリの使用を容易にするためのジョイント又は柔軟な構成要素を含み得る。三脚又は他のスタンドと篏合するように構成されたコネクタが、本体部分214含まれてもよく、又はツールベルト若しくはストラップに取り付けるためのクリップであってもよい。他の効果的なノズル構成が、当業者に知られており、任意の構成がノズルアセンブリ210のために使用され得る。
【0040】
図5Aは、ガイドデバイス232及びゲージ230をより明瞭に示している。ガイドデバイス232は、並行流ノズル212と処理表面との間の離間距離を測定するように構成されたレーザー距離センサである。ガイドデバイスは、並行流ノズル212の先端242から、ノズルからの流体の内側の流れが処理表面と接触するポイントへの距離を決定するように較正され得る。ゲージ230は、測定された距離を表示し、正しい又は所望の離間距離又は距離範囲に関する情報を提供するインジケータを含み得る。
【0041】
図5B図5Cは、2つの例示的なゲージを示している。図5Bでは、円形のゲージが、好適な244距離、許容可能だが高い246又は低い248距離のバッファー、及び許容不可能な250距離を、表す6つのセクションへ分割されている。インジケータの矢印は、ガイドデバイスによって測定された現在の距離を示している。6つのセクションは、ラベルが付けられ又は色分けされていてもよい。例えば、好適な244は緑であり、バッファー246、248は黄色であり、許容不可能な250は赤であり得る。図5Cは、インジケータの矢印を有する代替的な垂直ゲージを示し、更に、5つのセクションが、好適な244、バッファー246、248、及び許容不可能な250を含んでいる。オペレータは、ノズルアセンブリ210を位置決めする間に、ゲージ230を観察し、インジケータの矢印が好適なセクション244に入るまで、ノズルを処理表面に近づけたり又は処理表面から離したりして調整することができる。
【0042】
ある実施例では、離間距離を測定し又は示す他の手段が使用され得る。例えば、LEDの1以上の組が、並行流ノズル212に取り付けられ、ノズルからの流体の流れの方向に対して平行に輝くように方向付けられ得る。LEDの各組は、赤、黄色、及び緑の設定を有し、測定された離間距離に従って設定を変更するように構成され得る。すなわち、LEDは、並行流ノズル212が最適な範囲内の離間距離にあるときは処理表面上で緑のパターンで輝き、ノズルが許容可能な範囲内の距離にあるときは黄色のパターンで輝き、ノズルが許容可能な範囲の外側にあるときは赤のパターンで輝き得る。
【0043】
離間距離ゲージ230に加えて、ノズルアセンブリ210は、オペレータに関するノズル又はキャビテーションピーニングシステムの任意のパラメータのためのゲージ又はインジケータを含み得る。例えば、アセンブリは、電子コントローラ、流体源内の流体の水位のインジケータ、温度ゲージ、又は圧力ゲージのためのディスプレイスクリーンを含み得る。
【0044】
ノズルアセンブリ210は、アルミニウム又はチタニウムなどの金属から作られ、任意の適切な材料から成り、又は複数の材料を含み得る。ノズルアセンブリの一部又は全部は、プラスチック、ゴム、又はシリコーンなどの、保護コーティングによってカバーされ得る。保護コーティングは、衝撃吸収材料を含み、ノズルアセンブリ210の端部、角部、又は脆弱な領域に配置され又はそれらの領域においてより厚くてもよい。ある実施例では、ノズルアセンブリ又は保護コーティングが、断熱材料を含み得る。天候状態、放出された流体の跳ね返り、又は塵及び砂粒の侵入からアセンブリを保護するために適切な任意の材料、カバー、又はコーティングが使用され得る。ある実施例では、ノズルアセンブリ210が、厳しい現場条件で操作され、繰り返し衝撃、及び泥、塵、又は埃っぽい環境へ曝されることに耐えるように構成され得る。
【0045】
図6は、静止した処理表面254に対して処理方向256において流体を放出する並行流ノズル212の概略図である。ノズルは、内側の流れ220のための内側チャネル258とノズルの先端242へ導かれる外側の流れ222のための外側チャネル260を含む。
【0046】
並行流ノズル212の外壁262は、外側チャネル260を画定し、内側チャネル258を囲む。外壁262は、示されているように内向きに角度が付けられ、平行であり、又は外向きに角度が付けられ得る。内側チャネル258は、内側ノズル264によって画定されている。内側ノズル264は、キャビテータ、スペーサ、及びノズルプレートを有するように示されている。内側ノズル264は、任意の効果的な幾何学的形状も有し得る。例えば、ノズルは円筒状であり又は円錐状であってもよい。
【0047】
図3で示された柔軟な導管224、226は、ノズルアセンブリ210を介して並行流ノズル212に流体を供給する。導管224は、内側チャネル258に連結され、第1の圧力で流体を供給し、一方、導管226は、外側チャネル260に連結され、第2の圧力で流体を供給する。導管224、226は、内側チャネルと外側チャネルへ個別に流体の流れを導くように構成され得る。第1の圧力は、第2の圧力より高く、少なくとも1,000PSIを超えて高く、少なくとも2,000PSIを超えて高く、又は任意の効果的な圧力であり得る。
【0048】
並行流ノズル212は、内側の流れ220の周りで同心円状に外側の流れ222を放出し、処理方向256に沿って同軸状に流れを放出し得る。ノズルは、2つの流体の流れを混合し、キャビテーション泡のクラウド266を生成する。
【0049】
並行流ノズル212は、処理表面254から離間距離268を置いて位置決めされ、処理方向256は、表面との角度270を形成する。処理表面254によって経験されるキャビテーション強度は、離間距離に依存し得る。したがって、所与の許容誤差内で実質的に一定の離間距離を維持することが望ましいだろう。例えば、離間距離268は、6から10インチの範囲内に維持され得る。キャビテーションの衝撃は、キャビテーションクラウド自身を超えてより効果的であり得るので、描かれている実施例では、キャビテーションクラウド266が、処理表面254への略中間までしか延在していないことに留意されたい。キャビテーション強度は、キャビテーションクラウド266を処理表面から3から5インチまでの範囲内に維持することによっても保たれ得る。
【0050】
矢印Aによって示されているように、オペレータは、処理表面254にわたり並行流ノズル212又はノズルアセンブリを平行移動させ得る。図6で示されているように、処理表面254は、湾曲しており平坦ではない。したがって、ノズル212が平行移動される際に、オペレータは、矢印Bによって示されているようにノズルを回転させもし得る。オペレータは、それによって、角度270を維持し得る。角度は、近似的に90度、又は60から120度までの範囲内に維持され得る。
【0051】
処理表面254は、平坦であり、不規則であり、又は複雑な構造を有し得る。ノズル212は、表面254の輪郭に従うようにオペレータによって操作され得る。すなわち、ノズルは、処理表面254内の湾曲を受け入れるように、オペレータによって三次元で移動され且つ回転され得る。
【0052】
処理方向256が表面と出会うポイントにおいて、処理表面254に垂直なz軸が規定され得る。このポイントにおいて処理表面と接し且つz軸に垂直なxy平面も規定され得る。図6で示されている実施例では、処理方向256がz軸と一致し、矢印Aがxy平面に平行である。
【0053】
ノズル212は、矢印Aに平行な表面254に沿って、又はxy平面に平行な任意の方向において平行移動され得る。離間距離を一定に保つために、ノズル212は、z軸に沿って上下方向にも平行移動され得る。ノズル212は、矢印Bによって示されている平面内で、又はz軸を含む任意の平面内で回転され得る。ノズル212は、処理表面254に対する正確な距離及び配向を実現するために必要な任意のやり方で、水平に、垂直に平行移動され、又は回転され得る。
【0054】
ノズル212は、手動で又は自動システムによって操作され得る。ある実施例では、ノズルアセンブリのハンドルを掴んでいるオペレータが、湾曲を受け入れるために目で正確な平行移動及び回転を推測し得る。他の実施例では、ノズルの正確な平行移動及び回転を実行するようにロボットシステムがプログラムされ得る。加工対象物の表面に関する情報が、自動システムの中へ入力され得る。それによって、該システムは、表面に垂直な処理方向256及び実質的に一定な離間距離を維持しながら、加工対象物の全ての表面にわたりノズル212を平行移動及び回転させ得る。
【0055】
ある実施例では、研磨媒体が、キャビテーションクラウド266の中へ導入され得る。例えば、広い角度のノズルが、クラウドの端部に位置決めされ、クラウドによってエネルギーを与えられた研磨媒体を分散させ得る。そのような実施例では、処理表面254が、ピーニングされ且つ清掃されるのみならず、滑らかにされ得る。
【0056】
D.第4の例示的なシステム
図7は、携帯可能なキャビテーションピーニングシステム内で使用されるための(概して310で示されている)流体源の概略図である。本実施例では、流体源310が水を供給する。他の実施例では、キャビテーションピーニングのために適切な任意の1以上の流体が供給され得る。流体源310は、輸送されるように構成され得る。例えば、源は、車輪が付けられたプラットフォーム上に、又はキャリーハンドルを有するハウジング内に取り付けられ得る。
【0057】
図7で示されているように、タンク312は、2つのポンプ314、316及び温度制御ユニット318に連結されている。第1のポンプ314は、柔軟な導管320に沿って第1の圧力で水を供給し、第2のポンプ316は、柔軟な導管322に沿って第2の圧力で水を供給する。ポンプ314、316は、同じであるか又は異なっており、任意の種類のポンプであってよい。ある実施例では、タンク312が第2の圧力で維持され、柔軟な導管322はタンクから直接的に水を供給し得る。ある実施例では、所望の第1の圧力を実現するために、第1のポンプ314に加えて増圧ポンプ(booster pump)が柔軟な導管320に連結され得る。
【0058】
柔軟な導管320、322は、第1及び第2の圧力のために適切な任意のホース又はパイプであり得る。導管は、タンク312から取り付けられたノズルアセンブリへの最適な流体温度を維持するための熱的カバーを含み得る。図7で示されているように、センサ324が各導管に連結されている。センサは、導管内の水の圧力、温度、又は任意の関連するパラメータを測定し得る。ある実施例では、導管320、322の一方又は両方が、流量制御弁又は圧力制御弁を含み得る。
【0059】
タンク312は、水の流入及び流出のための複数のアクセスポイントを含む。複数のアクセスポイントは、ポート、弁、タップ、ドレイン、蓋、又は任意の効果的な機構を含み得る。図7で描かれている実施例では、タンク312が7つのアクセスポイントを有するが、任意の数のアクセスポイントが含まれ得る。流入弁326は、タンク312の上端部分に含まれている。流入弁326は、一般的に使用されているインターフェース規格に準拠し得る。例えば、流入弁326は、空港で使用されている水供給ホースに準拠し得る。
【0060】
タンク312は、蓋328も含む。蓋は、タンクの内側に取り付けられている流体源310の構成要素の清掃又は保守のために、タンク312の内装にアクセスすることを可能にし得る。蓋328は、タンク312が、任意の利用可能な水源又はホースから満たされることも可能にし得る。タンク312は、ドレイン330を含む。ドレインは、インターフェース規格に準拠しており、他の装備によって使用されるために又は他の目的のために、余剰の水を排出することを可能にする。ドレイン330は、ピーニング作業が完了したときに、タンク312が急速に空にされることも可能にし得る。タンク312を空にすることは、源310を軽くし、より容易な輸送を可能にする。
【0061】
流入弁326、蓋328、及びドレイン330は、全て緊密にシールすることが可能であり得る。すなわち、使用されていないときに、タンク312の任意のアクセスポイントは、タンクの輸送からもたらされる動き及び力による漏れを妨げるために十分にシールされ得る。タンク312は、ポンプ314、316及び温度制御ユニット318と連結されている間の輸送のためにシールされ得るか、又は個別に輸送されるようにシールされ得る。
【0062】
タンク312は、任意の有用な容量を有し得る。例えば、分当たり2ガロンの流量で流体を放出し且つ平均で1時間のピーニングを必要とする部品のピーニングを企図している携帯可能なキャビテーションピーニングシステムと共に使用されるときに、タンク312は150ガロンの容量を有し得る。代替的に、タンク312は75ガロンの容量を有し、ユーザが作業の途中でタンクを補給し得る。好適には、タンクが満たされたときに、電動輸送体の上に持ち上げることによって、台車によって、又は取り付けられた車輪上での何れかで、一人又は二人の作業者によって適切に移動され得るような容量をタンク312が有し得る。
【0063】
タンク312は、プラスチック、繊維ガラス、ステンレススチール、又は任意の耐久性がある材料から成り得る。好適には、タンク312が、タンクの重量を制限し且つ容易な輸送を促進するために適切な1以上の材料から成り得る。タンク312は、円筒状であってよく、薄い材料のための改良された構造的統合性を提供するために畝が付けられていてもよく、又は任意の効果的な形状であってよい。
【0064】
温度制御ユニット318は、流入導管332及び流出導管334を介して、タンク312に連結され得る。ユーザが水の流れを視認できるように、点検窓336が、流出導管334に配置されている。他の実施例では、そのような点検窓が、柔軟な導管320若しくは322内、又は流体源310内の任意の有用なポイントにおいて含まれ得る。温度センサ338が、各導管332、334に連結されている。センサは、導管内の水の任意の関連するパラメータも測定し得る。ある実施例では、導管332、334の一方又は両方が、流量制御弁又は圧力制御弁を含み得る。
【0065】
ユニット318の中へ統合されたポンプによって、流入導管332に連結されたポンプによって、水がタンク312から引き出され、水は重力によって送り出され、又は任意の効果的な機構によって移動され得る。水は、同様に又は異なったやり方で、ユニット318からタンク312へ戻され得る。温度制御ユニット318は、加熱要素、冷却要素、又はそれらの両方を含み得る。ある実施例では、温度制御ユニット318が、タンク312内に取り付けられた加熱及び/又は冷却要素を備え得る。
【0066】
温度制御ユニット318は、フィルタ340を含む。フィルタ340は、ユニットを通って循環する水からミネラル、デブリ、又は汚染物質をフィルタリングし得る。タンク312内に収容された水から不純物をフィルタリングすることは、効果的なピーニングを容易にし、携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの構成要素の摩耗を低減させ得る。フィルタリングは、未知の品質を有する源からの水の安全な使用も可能にし得る。ある実施例では、フィルタ340が、入って来る水をフィルタリングするために、タンク312の流入弁326と統合され、又はさもなければタンク312に取り付けられ得る。
【0067】
センサの集合342が、タンク312内に取り付けられ、収容されている水をモニタする。その集合は、温度、酸素濃度、汚染物質、又は任意の関連するパラメータのためのセンサを含み得る。センサの集合342、センサ324、及びセンサ338からのデータは、タンク312の外面又は流体源310のハウジング上の視覚的インジケータによって表示され得る。そのデータは、コントローラモジュールにも出力され、又は視覚的、音響的、若しくは他の手段によってオペレータに通信され得る。
【0068】
ある実施例では、流体源310が、研磨媒体の源も含み得る。ホッパー又は他のコンテナが、タンク312上に取り付けられ、柔軟な導管によって携帯可能なキャビテーションピーニングシステムのノズルアセンブリに連結され得る。研磨媒体の導管は、導管320、322と束ねられ得る。
【0069】
E.第5の例示的なシステム
図8は、概して410で示されている携帯可能なキャビテーションピーニングシステムの概略図である。該システムは、ノズルアセンブリ412、及び流体タンク420を有する流体源、並びに2つのポンプ422、424を含む。流体源は、柔軟な導管416、418によってノズルアセンブリ412に連結され、タンク420は、温度コントローラユニット426に連結されている。センサの集合428が、ノズルアセンブリ412内に取り付けられ、別の集合430が、タンク420内に取り付けられている。
【0070】
携帯可能なキャビテーションピーニングシステム410は、システムの残りのものと有線又は無線で通信する電子コントローラ432も含む。コントローラは、プロセッサとメモリ、及び制御スクリーン434を含む。メモリは、プロセッサによって実行されるプログラムされた指示命令を含み得る。任意の種類のコントローラが使用され得る。そして、ある実施例では、コントローラが、プロセッサ又はメモリがないアナログであり得る。
【0071】
コントローラ432は、集合428、430のセンサ及び温度センサ436から、リアルタイムのセンサデータを受信する。データは、流体温度、流体圧力、流体の酸素含有量、流体源の水位、周囲温度、振動、極超音速ノイズ、又は任意の有用なパラメータを含み得る。ある実施例では、センサデータが、規則的な間隔で又はコントローラからのリクエストによって通信され得る。レーザーガイドデバイスが、ノズルアセンブリ412から処理領域414への離間距離の測定値をコントローラ432へ通信し得る。任意の種類のセンサも、データを収集するために適切なシステム410内の任意のポイントに取り付けられ得る。ある実施例では、更なるセンサが、加工対象物上の処理領域の近傍に置かれ得る。
【0072】
制御スクリーン434は、受信したセンサデータを表示し得る。ある実施例では、コントローラ432が、収集されたデータの数学的又は統計的解析を実行し、その解析の結果を制御スクリーン434上に表示し得る。例えば、制御スクリーン434は、ノズルアセンブリ412内で測定された温度と圧力、及び処理表面414への離間距離を表示し得る。制御スクリーンは、測定された温度、圧力、及び離間距離に基づいて、計算されたキャビテーション強度の推定値を更に表示し得る。
【0073】
コントローラのメモリは、キャビテーションピーニングシステムのための許容可能な運転範囲を含み得る。例えば、許容可能な作動流体源の水位は、20と150ガロンの間であり得る。制御スクリーン434は、許容可能な運転範囲を表示し、又は受信したセンサデータが許容可能な運転範囲の外側にあるときに警告を動的に表示し得る。例えば、流体の水位のインジケータは、流体の水位が19ガロンであると測定されたときに赤として示され得る。コントローラ432は、警告をシステム410のオペレータに通信するための、聴覚的警報若しくはアラーム、ノズルアセンブリ412上に取り付けられたライト若しくはインジケータ、又は任意の他の効果的な手段も使用し得る。制御スクリーン434は、オペレータが、許容可能な運転範囲を入力することを可能にするようにも構成され得る。オペレータは、測定された量に対する、又は計算された量に対する、許容可能なレベルを特定し得る。
【0074】
コントローラ432は、ポンプ422、424及び温度制御ユニット426と動作可能に接続されている。コントローラは、ポンプを起動及び起動解除し、圧力を調整し、温度制御ユニットを通して水を循環させ、そのユニットの加熱若しくは冷却要素を起動又は起動解除するように構成されている。ノズルアセンブリ412は、システム410のための制御部を含み得る。その制御部は、コントローラ432と通信し得る。コントローラ432は、データを送受信し、制御部を起動若しくは起動解除し、又は任意の適切な機能を実行するために、携帯可能なキャビテーションピーニングシステム410の任意のシステムと統合されもし得る。ある実施例では、コントローラ432が、研磨媒体のノズルアセンブリへの搬送を駆動し得る。
【0075】
コントローラ432は、携帯可能なキャビテーションピーニングシステム410のパラメータを許容可能な運転範囲内に維持するように構成され得る。例えば、流体温度が許容可能なものより高いと測定されたときに、コントローラは、温度制御ユニット426の冷却要素を起動し、そのユニットを通してタンク420の水を循環させ得る。別の一実施例に対しては、ノズルアセンブリ412の内側の流れの圧力が許容可能なものより低いと測定されたときに、コントローラは、ポンプ422の圧力設定を調整し得る。コントローラ432は、計算される量を最適なレベルに維持するようにも構成され得る。例えば、ユーザは、最適なキャビテーション強度を制御スクリーン434に入力し、コントローラ432は、入力された強度を維持するために必要とされるようにシステムのパラメータを調整し得る。
【0076】
ある実施例では、コントローラ432が、処理表面の特性に基づいて、測定され又は計算される量に対する最適なレベルを決定するように構成され得る。オペレータは、処理されるべき加工対象物の特性を制御スクリーン424に入力し、又はコントローラのメモリ内に記憶された加工対象物及び関連する特性のデータベースから加工対象物を選択し得る。続いて、加工対象物の処理の全体を通して、コントローラ432は、決定された最適な1以上のレベルを維持するために必要とされるように、流体放出パラメータを変更し得る。
【0077】
F.例示的な方法
このセクションは、図9を参照しながら、キャビテーションピーニングのための例示的な方法のステップを説明する。携帯可能なキャビテーションピーニングシステム、ノズルアセンブリ、及び流体源の態様は、以下で説明される方法ステップ内で利用され得る。適切な場合には、各ステップを実行することにおいて使用され得る構成要素及びシステムに対する参照が行われ得る。これらの参照は例示のためのもので、本方法の任意の特定のステップを実行するのに可能な方法を限定することを意図していない。
【0078】
図9は、例示的な方法で実行されるステップを示すフローチャートであり、本方法の完全な工程又は全てのステップを列挙しているわけではない。方法500の様々なステップが後述され、図9で描かれているが、ステップは必ずしも全て実行する必要があるわけではなく、場合によっては、同時に又は図示された順序とは異なる順序で実施することもある。
【0079】
ステップ502では、該方法が、移動可能な水源を携帯可能なノズルに連結することを含む。水源は、タンク及び2つのポンプを含み得る一方で、ノズルは、ノズル本体の遠位端において並行流ノズルであり得る。ノズルは、一組の柔軟な導管によって水源に連結され得る。水源、ノズル、及び導管は、共に携帯可能なキャビテーションピーニングシステムを形成し得る。携帯可能なキャビテーションピーニングシステムは、電子コントローラ及び温度制御ユニットなどの、他の構成要素を更に含み得る。ノズルは、作業現場へ輸送される前に水源に連結され、又は処理を開始する前に作業現場で連結され得る。
【0080】
方法のステップ504は、静止した表面に隣接してノズルを位置決めすることを含む。ノズル本体は、ハンドルを含み得る。そして、オペレータは、そのハンドル使用してノズルを表面の近傍に運ぶことができる。オペレータは、ノズルが、処理することが必要な表面の全ての領域に到達し得るように、移動可能な水源も表面の近くに位置決めし得る。この目的のために、水源は、車輪を含み又は車輪が付けられたカート上に置かれ得る。一組の柔軟な導管は、移動可能な水源が適切な距離に位置決めされている間に、ノズルが処理領域に到達することを可能にするのに十分な長さを有し得る。
【0081】
例えば、航空機の着陸装置の支柱を処理するために、オペレータは、水源をリフトの隣のターマック(tarmac)上に位置決めし得る。オペレータは、リフトの上に立ち、ハンドルによってノズルを支柱へ向けて保持し得る。柔軟な導管は、水源からリフトまで、そして、ノズルまで延在し得る。システムは、束ねられた柔軟な導管又は水源の車輪のブレーキなどの、位置決め工程を容易にするための特徴も含み得る。
【0082】
ステップ506では、該方法が、ノズルを通して流体の第1及び第2の流れを放出することを含む。並行流ノズルは、第1のチャネルと第2のチャネルを含み、第1のチャネルは、一組の柔軟な導管のうちの第1のものに連結され、第2のチャネルは、一組の柔軟な導管のうちの第2のものに連結されている。
【0083】
水源の第1のポンプは第1の圧力で水を供給し、第2のポンプは第2の圧力で水を供給し得る。それによって、第1の流体の流れが第1の圧力で放出され、第2の流体の流れが第2の圧力で放出される。第1の圧力は、第2の圧力より高くなり得る。
【0084】
並行流ノズルは、第1の流体の流れが、第2の流体の流れと同心円状に放出されるように構成され得る。すなわち、第1の流体の流れは、第2の流体の流れに囲まれていてもよい。2つの流れは、処理方向に沿って同軸状に放出され、混合され又は組み合わされてキャビテーション泡のクラウドを生成し得る。
【0085】
オペレータは、ノズル本体上に取り付けられた制御部を使用することによって、流体の流れを開始し得る。内側の流れと外側の流れは、単一の制御部によって起動され得るか、又は個別に開始され得る。制御部は、流体の動きを開始するためにポンプと直接的に通信し得る。或いは、制御部が、多数のステップを含むスタートアップシーケンスを実行し得る電子コントローラに接続され得る。
【0086】
処理を継続する前に、オペレータは、放出される流体、水源、又はシステムの他の構成要素の状態を評価し得る。水源、導管、及びノズルは、各々、システム内の流体をモニタリングするセンサを含み得る。ノズルは、周囲状態、又は振動若しくは極超音速ノイズなどのキャビテーションによって誘起される効果を測定するためのセンサを更に含み得る。オペレータは、電子コントローラの制御スクリーンを視認することによって、又はセンサに直接的に接続されたインジケータを視認することによって、センサからのデータにアクセスし得る。
【0087】
処理工程は、特定のキャビテーション強度又は強度範囲を要求し得る。流体圧力、温度、溶存気体などの要因は、携帯可能なキャビテーションピーニングシステムによって実現されるキャビテーション強度に影響を与え得る。キャビテーション強度を最適化するために、オペレータは、センサからのデータを評価し、温度制御ユニットを起動させること、フィルタを通して流体を循環させること、ポンプを調整すること、又はシステムに対する他の変更によって、流体の状態を調整する。ある実施例では、オペレータが、所望の強度を電子コントローラの中へ入力し得る。電子コントローラは、センサデータを受信し、流体の状態を調整するように構成され得る。
【0088】
ある実施例では、オペレータが、較正パックを使用することによって、携帯可能なキャビテーションユニットの効果的なキャビテーション強度又は衝撃圧力を評価し得る。そのパックは、キャビテーションの衝撃による浸食に対する抵抗性を有する材料から作られ、パックによって経験された衝撃を報告するための1以上のセンサを含み得る。オペレータは、ノズルによって放出される流体をパックに向け、収集されたデータを使用して、キャビテーションピーニングシステムのキャビテーションクラウドを所望の強度に較正し得る。
【0089】
ステップ508は、手動で、流体の流れの処理方向を表面に垂直に方向付けることを含む。オペレータは、ノズルのハンドルを使用して、流体が約90度で又は60から120度までの範囲内で表面と接触するように、ノズルを回転させ又は角度を付けることができる。オペレータは、目で角度を評価し、又は測定デバイスを使用して角度を計算し得る。
【0090】
ステップ510では、該方法が、レーザーガイドを表面に向けることを含む。レーザーガイドは、ノズル上に取り付けられ、ノズルを表面に向けることも、効果的にレーザーガイドを方向付け得る。ガイドは、ノズルの先端から表面までの距離を計算するように構成され得る。この離間距離は、ノズル本体上のゲージによって報告され、又は電子コントローラに通信され得る。
【0091】
オペレータは、ノズルの位置を調整し、離間距離が許容可能な範囲内にあるまで、ノズルの先端を表面に近づけるように運び、又はノズルの先端を後ろへ戻し得る。オペレータは、ノズル本体上のゲージの色分けされたガイドを使用して、正しい離間距離を見つけ、正しい離間距離に関して訓練され、又は電子コントローラから視覚的若しくは聴覚的なガイダンスを受け得る。
【0092】
ある実施例では、オペレータが、ノズルから流体を放出する前に、ノズルを正しい離間距離へと調整し得る。ある実施例では、オペレータが、より低い圧力の流体の外側の第2の流れを開始し、キャビテーション泡のクラウドを生成するために高い圧力の流体の内側の第1の流れを開始する前にステップ508及びステップ510を実行し得る。キャビテーション泡のクラウドを生成する前にノズルを正しく位置決めすることは、表面の開始領域に対して要求される処理時間のより精密な計算を可能にし得る。
【0093】
ステップ512は、手動で、ノズルを表面にわたり平行移動させることを含む。オペレータは、第1の処理領域に隣接してノズルを位置決めし、その後、ノズルを次の処理領域へ平行移動させる。ある実施例では、オペレータが、一定の速度で表面領域にわたりノズルを走査(scan)し得る。他の実施例では、オペレータが、ノズルを第1の領域に静止した状態で保持し、第2の領域に隣接するように移動させ、再びノズルを静止した状態で保持し得る。処理の任意の効果的なパターン又はタイミングが使用され得る。
【0094】
ステップ514は、離間距離をモニタリングすることを含み、ステップ516は、離間距離を約8インチに維持することを含む。オペレータがノズルを表面にわたり平行移動させる際に、レーザーガイドは、処理表面に向けられたままであり、離間距離を測定し続けることができる。オペレータは、ガイドによって報告された距離をモニタし、ノズルを実質的に一定の離間距離に保持し得る。
【0095】
距離が許容誤差内で一定であり得ることに留意されたい。すなわち、オペレータが、不注意で離間距離を変えてしまい、その後、正しい距離へ戻すようにノズルを調整するならば、ずれが所定の許容誤差内にあるとすれば、オペレータは、更なる修正動作なしに処理を続けることができる。
【0096】
ステップ518では、該方法が、流体の第1の流れの圧力をモニタリングすることを含む。流体圧力を測定するために、センサがノズルの第1のチャネル内に取り付けられ得る。ステップ520は、圧力データをコントローラに通信することを含む。コントローラは、流体源における流体圧力を調整するように構成され得る。すなわち、コントローラは、第1のポンプと動作可能に接続され、第1の流体の正しい圧力を維持するために、必要に応じてポンプを調整し得る。
【0097】
オペレータは、表面に対する流体の流れの処理方向の角度もモニタし、表面に垂直な処理方向を維持し得る。オペレータは、他のセンサデータを更にモニタし、キャビテーションピーニングシステムが処理を通して最適な強度で運転されることを保証するために、必要に応じて流体の状態を調整し得る。
【0098】
ある実施例では、電子コントローラが、センサデータをモニタし得る。そのような実施例では、コントローラが、許容可能な流体のパラメータをプログラムされ得る。測定された状態が許容可能なレベルを超えて変動したときに、コントローラは、流体のパラメータを調整し、オペレータに警告し、又はそれらの両方であり得る。例えば、電子コントローラは、放出される流体の温度をモニタし得る。流体温度が、許容可能なレベルを超えて上昇したときに、コントローラは、水源内の冷却ユニットを起動し、オペレータに聞こえるような警報音を生成し得る。
【0099】
ある実施例では、オペレータが、ノズルの制御部を使用して、研磨媒体の搬送を起動し得る。ノズルは、キャビテーション泡のクラウドの端部の近傍で、流体の放出される流れの中へ研磨媒体を注入し得る。オペレータは、ピーニング処理中に研磨媒体を加え、又は研磨媒体を有するキャビテーションピーニングシステムを使用して、表面の平滑化を実行し又は一旦ピーニング処理が完了したら更に清掃を実行し得る。
【0100】
G.更なる実施例及び例示的な組み合わせ
このセクションでは、携帯可能なキャビテーションピーニングシステム及び方法の更なる態様及び特徴を説明するが、これらは、非限定的に一連の段落として提示され、一連の段落の一部又は全部は、明確性及び効率性のために英数字で指定され得る。これらの段落の各々は、任意の適切なやり方で、1以上の他の段落と、及び/又は関連出願の参照により組み込まれる資料を含む本出願の他の部分からの開示と、組み合わせることができる。以下の段落の幾つかは、明確に他の段落に言及し、更に他の段落を限定することにより、非限定的に、好適な組み合わせの幾つかの実施例を提供するものである。
【0101】
独立条項A
キャビテーションピーニングの方法であって、
柔軟な導管を通じて、第1のチャネルと第2のチャネルを有する携帯可能なノズルに移動可能な流体源を連結すること、
加工対象物の処理表面に隣接して前記ノズルを位置決めすること、及び
前記第1のチャネルを通して第1の流体の流れを、且つ、前記第2のチャネルを通して第2の流体の流れを、前記処理表面に向けて放出することを含み、
前記第2のチャネルが前記第1のチャネルの周りで同心円状に位置決めされ、前記第1の流体の流れが第1の流体圧力を有し、前記第2の流体の流れが第2の流体圧力を有し、前記第1の流体圧力が前記第2の流体圧力より高く、前記第1の流体の流れと前記第2の流体の流れが組み合わされて、キャビテーション泡のクラウドを生成する、方法。
A1.
前記処理表面にわたり前記ノズルを一定の離間距離で平行移動させることを更に含む、Aに記載の方法。
A2.
前記処理表面に垂直なZ軸に沿って前記ノズルを平行移動させることを更に含む、A1に記載の方法。
A3.
前記処理表面内の湾曲を受け入れるように前記ノズルを回転させることを更に含む、Aに記載の方法。
A4.
前記位置決めステップが手動で実行される、Aに記載の方法。
A5.
前記位置決めステップがロボットによって実行される、Aに記載の方法。
A6.
前記ノズルが、前記第1の流体の流れと前記第2の流体の流れを、処理方向において前記処理表面へ向ける、Aに記載の方法。
A7.
前記位置決めステップが、60度から120度の範囲内にある前記処理表面との角度を形成するように、前記流体の流れの前記処理方向を手動で方向付けることを含む、A6に記載の方法。
A8.
前記ノズルが先端部分を有し、前記位置決めステップが、前記ノズルの前記先端を6インチから10インチの範囲内にある前記処理表面からの離間距離に維持することを含む、Aに記載の方法。
A9.
前記位置決めステップが、前記キャビテーション泡のクラウドを前記処理表面から3インチから5インチの範囲内にある距離だけ離して維持することを含む、Aに記載の方法。
A10.
前記ノズルがレーザーガイドデバイスを有し、前記位置決めステップが、前記レーザーガイドデバイスを前記処理表面へ向けること、及び前記ノズルの先端と前記処理表面との間の離間距離を決定することを含む、Aに記載の方法。
A11.
前記放出ステップが、前記ノズルを通過する前記第1の流体の流れの前記第1の流体圧力をモニタリングすることを含む、Aに記載の方法。
A12.
前記ノズル内で感知された圧力データをコントローラに通信することを更に含み、前記コントローラが、前記流体源における流体圧力を調整するようにプログラムされている、A11に記載の方法。
A13.
前記モニタリングステップが、前記第1の流体圧力を前記ノズルに連結されたゲージ上に表示することを含む、A11に記載の方法。
A14.
前記ノズルを通過する流体の温度をモニタリングすることを更に含む、Aに記載の方法。
A15.
前記ノズル内で感知された流体温度データをコントローラに通信することを更に含み、前記コントローラが、前記流体源における流体圧力を調整するようにプログラムされている、A14に記載の方法。
独立条項B
キャビテーションピーニングのための装置であって、
流体源、
前記流体源から第1の流体の流れを受け入れるように構成された第1のポンプデバイス、
前記流体源から第2の流体の流れを受け入れるように構成された第2のポンプデバイス、及び
加工対象物上の静止した処理領域にわたり平行移動するように構成されたノズルアセンブリを備え、
前記ポンプの各々が、柔軟な導管を介して前記ノズルに連結され、前記ノズルが、前記第1のポンプと前記第2のポンプから受け入れた流体を混合させて、キャビテーション泡のクラウドを生成するように構成されている、装置。
B1.
前記ノズルアセンブリが、前記ノズルの手動の操作のために構成されたハンドルを含む、Bに記載の装置。
B2.
前記第1のポンプデバイスが、前記第1の流体の流れを第1の圧力で汲み出し、前記第2のポンプデバイスが、前記第2の流体の流れを第2の圧力で汲み出し、前記第1の圧力が前記第2の圧力より高い、Bに記載の装置。
B3.
前記第1の圧力が、前記第2の圧力より少なくとも1000p.s.i.を超えて高い、B2の装置。
B4.
前記第1の圧力が、前記第2の圧力より少なくとも2000p.s.i.を超えて高い、B2の装置。
B5.
前記ノズルアセンブリが、前記第1の流体の流れからの流体の周りで同心円状に前記第2の流体の流れからの流体を放出するように構成されている、Bに記載の装置。
B6.
前記第1の流体の流れと前記第2の流体の流れを運ぶ前記柔軟な導管が、少なくとも部分的に共に束ねられている、Bに記載の装置。
B7.
前記ノズルアセンブリが、先端、及び前記先端と加工対象物の処理表面との間の離間距離を検出するように構成されたレーザーデバイスを有する、Bに記載の装置。
B8.
前記ノズルアセンブリが、前記離間距離を示すゲージを有する、Bに記載の装置。
B9.
前記ノズルアセンブリが、前記第1の流体の流れの圧力レベルを示すゲージを有する、Bに記載の装置。
B10.
前記ノズルアセンブリが、長手軸を有する本体部分を含む、Bに記載の装置。
B11.
前記ハンドルが、前記本体部分とピストル形状を形成する、B10に記載の装置。
B12.
前記ハンドルが、前記長手軸に垂直な軸の周りで旋回可能である、B10に記載の装置。
B13.
前記ハンドルが、前記本体部分の両側から側方に延在する掴むことができる2つの突出部分を含む、B10に記載の装置。
独立条項C
キャビテーションピーニングのための流体搬送システムであって、
流体の流れ内でキャビテーション泡のクラウドを生成し、加工対象物上の静止した処理領域にわたり手動で平行移動されるように構成された、並行流ノズル、及び
第1の柔軟な導管と第2の柔軟な導管を介して前記ノズルアセンブリに連結された携帯可能な流体源を備える、流体搬送システム。
C1.
前記流体源が、前記第1の柔軟な導管に連結された第1のポンプ、及び前記第2の柔軟な導管に連結された第2のポンプを含み、前記ノズルアセンブリが内側チャネルと外側チャネルを有し、前記第1のポンプが流体を第1の流体圧力で前記内側チャネルに搬送するように構成され、前記第2のポンプが流体を第2の流体圧力で前記外側チャネルに搬送するように構成され、前記第1の流体圧力が前記第2の流体圧力より高い、Cに記載の流体搬送システム。
独立条項D
加工対象物を処理する方法であって、
実質的に一定の離間距離において、加工対象物上の静止した処理領域にわたりキャビテーション泡のクラウドを手動で平行移動させることを含む、方法。
D1.
携帯可能なノズルアセンブリを通して第1の流体の流れと第2の流体の流れを放出することを更に含む、Dに記載の方法。
D2.
前記第1の流体の流れが、前記第2の流体の流れより高い圧力で放出される、D1に記載の方法。
D3.
前記第1の流体の流れの温度と圧力をモニタリングすることを更に含む、D2に記載の方法。
独立条項E
キャビテーションピーニングのための分配システムであって、
携帯可能なノズルアセンブリを備え、前記ノズルアセンブリが、
長手軸、第1のチャネル、及び遠位先端部分へ至る第2のチャネル、を有する本体部分、並びに
前記本体部分に連結されたハンドル部分であって、前記本体部分の前記長手軸を加工対象物上の静止した処理領域へ向け、一定の離間距離で前記処理領域にわたり平行移動されるように構成された、ハンドル部分を含む、分配システム。
E1.
前記第2のチャネルが前記第1のチャネルを前記先端部分内に囲み、前記第1のチャネルと前記第2のチャネルが、前記処理領域をピーニングするためのキャビテーション泡のクラウドを生成するように構成されている、Eに記載の分配システム。
E2.
前記ハンドルが、人間のオペレータによる手動操作のために構成されている、Eに記載の分配システム。
E3.
前記ハンドルが、前記本体部分とピストル形状を形成する、E2に記載の分配システム。
E4.
前記ハンドル部分が、前記長手軸に垂直な軸の周りで旋回可能である、E2に記載の分配システム。
E5.
前記ハンドル部分が、前記本体部分の両側から側方に延在する掴むことができる2つの突出部分を含む、E2に記載の分配システム。
E6.
前記ノズルアセンブリの前記ハンドル部分と連結するように構成され、前記本体部分を前記加工対象物上の前記静止した領域に向け且つ一定の離間距離で前記処理領域にわたり平行移動させるために操作するようにプログラムされている、ロボットシステムを更に備える、Eに記載の分配システム。
E7.
前記ノズルアセンブリが、前記本体部分に連結され且つ前記先端部分と前記処理表面との間の離間距離を検出するように構成された、レーザーガイドを有する、Eに記載の分配システム。
E8.
前記ノズルアセンブリが、前記離間距離を示すゲージを有する、Eに記載の分配システム。
E9.
前記ノズルアセンブリが、第1の流体の流れの圧力レベルを示すゲージを有する、Eに記載の分配システム。
E10.
前記処理領域を処理する前に、前記ノズルアセンブリから放出されるキャビテーションクラウドを較正するように構成されている、パックを更に備える、Eに記載の分配システム。
E11.
前記第1のチャネルに連結された第1の柔軟な導管と前記第2のチャネルに連結された第2の柔軟な導管を更に備え、前記第1の柔軟な導管と前記第2の柔軟な導管が、分離した流体の流れを前記第1のチャネルと前記第2のチャネルに導くように構成されている、E10に記載の分配システム。
独立条項F
携帯可能な流体供給装置であって、
輸送のために構成された基部、
前記基部によって支持された流体容器、
前記容器内に含まれた流体の所望の温度を維持するための温度制御デバイス、
前記容器から流体を受け入れ、前記流体を第1の流体圧力で第1の柔軟な導管の中へ汲み出すように構成された、第1のポンプデバイス、及び、前記容器から流体を受け入れ、前記流体を第2の流体圧力で第2の柔軟な導管の中へ汲み出すように構成された、第2のポンプデバイス、並びに
前記第1の柔軟な導管と前記第2の柔軟な導管によって運ばれる流体の所望の温度と圧力を維持するようにプログラムされたコントローラを備え、
キャビテーション泡のクラウドが、前記第1の柔軟な導管と前記第2の柔軟な導管の遠位端に連結された並行流ノズルアセンブリを通して生成されることとなるように、前記第1の流体圧力が前記第2の流体圧力より高い、装置。
F1.
前記基部に、場所と場所との間で前記装置を移動させるための車輪が装備されている、Fに記載の装置。
F2.
前記コントローラが、前記ノズルアセンブリ内で感知された温度データを受信する、Fに記載の装置。
F3.
前記コントローラが、前記ノズルアセンブリ内で感知された圧力データを受信する、Fに記載の装置。
F4.
前記コントローラが、処理されている加工対象物の特性の特定に少なくとも部分的に基づいて、流体放出パラメータを変更するようにプログラムされている、Fに記載の装置。
【0102】
利点、特徴、便益
本明細書で説明される携帯可能なキャビテーションピーニングシステム及び方法の種々の実施形態及び実施例は、ピーニングのための既知の解決策を超えた幾つかの利点を提供する。例えば、本明細書で説明される例示的な実施形態及び実施例は、加工対象物が単一の工程でピーニングされ且つ清掃されることを可能にする。
【0103】
更に、他の便益の中でとりわけ、本明細書で説明される例示的な実施形態及び実施例は、構成要素が現場で且つ適所でピーニングされることを可能にする。
【0104】
更に、他の便益の中でとりわけ、本明細書で説明される例示的な実施形態及び実施例は、消耗品の費用を低減させ、オペレータの安全性を高める。
【0105】
特に現場条件において、これらの機能を実行することができる既知のシステム又はデバイスは存在しない。したがって、本明細書で説明される例示的な実施形態及び実施例は、特に、修理のピーニングのために有用である。しかし、本明細書で説明される全ての実施形態及び実施例が、同じ利点または同一程度の利点を提供するわけではない。
【0106】
結論
上述の開示は、個別の有用性を備えた複数の個々の実施例を包括し得る。これらの各々は、その好適な形態(複数可)で開示されているが、本明細書で開示され例示されているそれらの具体的な実施形態は、数多くの変形例が可能であることから、限定的な意味で捉えるべきものではない。本開示の範囲内でセクションの見出しが使用される限りにおいて、そのような見出しは、構成のための目的のみである。本開示の主題は、本明細書で開示されている様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、新規的且つ進歩的な組み合わせ及び部分的組み合わせの全てを含む。下記の特許請求の範囲は、新規的かつ進歩的であると見なされる、ある組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び/又は特性のその他の組み合わせ及び部分的な組み合わせは、この出願又は関連出願からの優先権を主張する出願において特許請求され得る。更に、そのような特許請求の範囲は、出願当初の特許請求の範囲より広いか、狭いか、等しいか、又はそれと異なるかにかかわらず、本開示の主題の範囲内に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9