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特許7255993水分検出のための同期されたフェーズドアレイ及び赤外線検出器システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】水分検出のための同期されたフェーズドアレイ及び赤外線検出器システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/56 20060101AFI20230404BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20230404BHJP
   B64F 5/60 20170101ALI20230404BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20230404BHJP
【FI】
G01N25/56 B
B64C1/00 B
B64F5/60
G01J5/48 A
【請求項の数】 28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018196060
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2019113525
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】15/787,014
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サファイ, モルテザ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シアオシー
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/006559(WO,A1)
【文献】特表2009-516161(JP,A)
【文献】特開平01-119728(JP,A)
【文献】特表2012-517013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00-25/72
B64C 1/00
B64F 5/60
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビーム(216)のパルス(218)を放射するように構成されたフェーズドアレイ(210)と、
赤外線放射(222)の量を検出するように構成された赤外線検出器システム(212)と、
前記フェーズドアレイ(210)及び前記赤外線検出器システム(212)と通信するコントローラ(214)であって、前記フェーズドアレイ(210)を制御して、前記フェーズドアレイ(210)によって放射された前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)をビームステアリングし;前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)のタイミングを、前記赤外線放射(222)の量を検出するための前記赤外線検出器システム(212)によって使用される時間窓と同期させ;前記赤外線検出器システム(212)を制御して、前記時間窓内の前記赤外線放射(222)の量を検出するように構成されたコントローラ(214)と
を含み、
前記赤外線放射(222)の量が、航空宇宙機のための複合サンドイッチパネル(208)内の水分(206)のレベルを示し、前記コントローラ(214)が、前記フェーズドアレイ(210)を制御して、前記フェーズドアレイ(210)によって放射された前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記複合サンドイッチパネル(208)にビームステアリングし;前記複合サンドイッチパネル(208)を加熱するための前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)のタイミング(226)を、前記赤外線放射(222)の量を検出するための前記赤外線検出器システム(212)によって使用される前記時間窓(228)と同期させ;前記赤外線検出器システム(212)を制御して、前記複合サンドイッチパネル(208)が前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)によって加熱されるときに、前記時間窓(228)内の前記複合サンドイッチパネル(208)内の前記赤外線放射(222)の量を検出するように構成され、
前記コントローラ(214)が、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が前記複合サンドイッチパネル(208)を浸透する所望の深さ(232)に基づいて、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に対して複数の周波数(220)を選択する、水分検出システム(202)。
【請求項2】
前記コントローラ(214)が、前記フェーズドアレイ(210)を制御して、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記複合サンドイッチパネル(208)上の領域(230)にビームステアリングし、かつ前記赤外線検出器システム(212)を制御して、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が前記複合サンドイッチパネル(208)上の前記領域(230)を加熱するときに、前記時間窓内の領域(230)からの前記赤外線放射(222)の量を検出する、請求項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項3】
前記コントローラ(214)が、前記領域(230)で検出された前記赤外線放射(222)の量、及び前記複合サンドイッチパネル(208)上の前記領域(230)内に送られる前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)中のエネルギーを使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)内の水分(206)のレベルを決定するように構成される、請求項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項4】
前記コントローラ(214)が、前記赤外線検出器システム(212)を制御して、電磁放射システムが前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を送信する前に、背景赤外線放射(236)の量を検出するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項5】
前記コントローラ(214)が、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)中のエネルギー(234)、及び前記時間窓内で前記赤外線検出器システム(212)によって検出された前記赤外線放射(222)の量を使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)のための前記赤外線放射(222)の量の熱画像を生成するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項6】
前記コントローラ(214)が、熱画像を使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)内の水分(206)のマップを生成するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項7】
前記赤外線検出器システム(212)の感度が高くなるように、前記複合サンドイッチパネル(208)を加熱する前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に応じて、前記赤外線放射(222)の量を検出するように前記時間窓が選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項8】
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が、約300MHzから約300GHzまでの間で選択される複数の周波数(220)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項9】
前記複合サンドイッチパネル(208)が、第1の表面シート、第2の表面シート、及び前記第1の表面シートと前記第2の表面シートとの間に位置するコアを含み、前記コアが、フォームコア、連続気泡フォームコア、独立気泡フォームコア、又はハニカムコアのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項10】
航空宇宙機用の前記複合サンドイッチパネル(208)が、飛行機、航空機、民間航空機、回転翼航空機、宇宙船、民間宇宙船、及び宇宙飛行機のうちの1つから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項11】
航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するための方法であって、
電磁放射ビーム(216)のパルス(218)を前記複合サンドイッチパネル(208)にビームステアリングすることであって、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が、水分子によって吸収される複数の波長を有する、電磁放射ビーム(216)のパルス(218)をビームステアリングすることと、
前記複合サンドイッチパネル(208)を加熱するための前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)のタイミングを、赤外線放射(222)の量を検出するための赤外線検出器システム(212)の時間窓と同期させることと、
前記複合サンドイッチパネル(208)が前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)によって加熱されるとき、前記赤外線検出器システム(212)の前記時間窓内で前記複合サンドイッチパネル(208)内の前記赤外線放射(222)の量を検出することであって、前記赤外線放射(222)の量が、前記複合サンドイッチパネル(208)内の水分(206)のレベルを示す、前記赤外線放射(222)の量を検出することと
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が前記複合サンドイッチパネル(208)を浸透する所望の深さ(232)に基づいて、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に対して複数の周波数(220)を選択することと
を含む方法。
【請求項12】
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記複合サンドイッチパネル(208)にビームステアリングすることが、
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記複合サンドイッチパネル(208)上の領域(230)にビームステアリングすることと、
前記複合サンドイッチパネル(208)上の前記領域(230)が前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)によって加熱されるとき、前記赤外線検出器システム(212)の前記時間窓内で前記複合サンドイッチパネル(208)内の前記赤外線放射(222)の量を検出することと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記領域(230)で検出された前記赤外線放射(222)の量、及び前記複合サンドイッチパネル(208)上の前記領域(230)内に送られる前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)中のエネルギーを使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)内の前記水分(206)のレベルを決定すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電磁放射システムが前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を送信する前に、背景赤外線放射(236)の量を検出すること
をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)内のエネルギー、及び前記時間窓内で前記赤外線検出器システム(212)によって検出された前記赤外線放射(222)の量を使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)のための前記赤外線放射(222)の量の熱画像を生成すること
をさらに含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記熱画像を使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)内の前記水分(206)のマップを生成すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記赤外線検出器システム(212)の感度が高くなるように、前記複合サンドイッチパネル(208)を加熱する前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に応じて、前記赤外線放射(222)の量を検出するように前記時間窓が選択される、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複合サンドイッチパネル(208)が、第1の表面シート、第2の表面シート、及び前記第1の表面シートと前記第2の表面シートとの間に位置するコアを含み、前記コアが、フォームコア、連続気泡フォームコア、独立気泡フォームコア、又はハニカムコアのうちの少なくとも1つから選択される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記航空宇宙機が、飛行機、航空機、民間航空機、回転翼航空機、宇宙船、民間宇宙船、及び宇宙飛行機のうちの1つから選択される、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビーム(216)のパルス(218)を放射するように構成されたフェーズドアレイ(210)と、
多孔質材料中の水分(206)のレベルを示す赤外線放射(222)の量を検出するように構成された赤外線検出器システム(212)と、
前記フェーズドアレイ(210)を制御して、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記多孔質材料上の領域(230)にビームステアリングし;前記多孔質材料を加熱するための前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)のタイミング(226)を、前記赤外線放射(222)の量を検出するための前記赤外線検出器システム(212)の時間窓と同期させ;前記赤外線検出器システム(212)を制御して、前記多孔質材料が前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)によって加熱されるとき、前記時間窓内の前記多孔質材料上の前記領域(230)の前記赤外線放射(222)の量を検出するように構成されたコントローラ(214)と
を含み、
前記コントローラ(214)が、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が複合サンドイッチパネル(208)を浸透する所望の深さ(232)に基づいて、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に対して複数の周波数(220)を選択する、水分検出システム(202)。
【請求項21】
前記コントローラ(214)が、前記領域(230)で検出された前記赤外線放射(222)の量、及び前記多孔質材料上の前記領域(230)内に送られる前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)内のエネルギーを使用して、前記複合サンドイッチパネル(208)内の水分(206)のレベルを決定するように構成される、請求項20に記載の水分検出システム(202)。
【請求項22】
前記コントローラ(214)が、前記赤外線検出器システム(212)を制御して、電磁放射システムが前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記多孔質材料上の前記領域(230)内に送信する前に、前記領域(230)内の背景赤外線放射(236)の量を検出するように構成される、請求項20又は21に記載の水分検出システム(202)。
【請求項23】
前記コントローラ(214)が、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)内のエネルギー、及び前記時間窓内で前記赤外線検出器システム(212)によって検出された前記赤外線放射(222)の量を使用して、前記多孔質材料のための前記赤外線放射(222)の量の熱画像を生成するように構成される、請求項20から22のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項24】
前記コントローラ(214)が、熱画像を使用して、前記領域(230)内で前記多孔質材料中の水分(206)のマップを生成するように構成される、請求項20から23のいずれか一項に記載の水分検出システム(202)。
【請求項25】
多孔質材料中の水分(206)を検出するための方法であって、
水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビーム(216)のパルス(218)を前記多孔質材料上の領域(230)にビームステアリングすることと、
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)のタイミングを同期させることと、
前記多孔質材料上の前記領域(230)が前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)によって加熱されるとき、赤外線検出器システム(212)の時間窓内で前記多孔質材料上の前記領域(230)内の赤外線放射(222)の量を検出することであって、前記赤外線放射(222)の量が、前記多孔質材料中の水分(206)のレベルを示す、赤外線放射(222)の量を検出することと
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)が複合サンドイッチパネル(208)を浸透する所望の深さ(232)に基づいて、前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)に対して複数の周波数(220)を選択することと
を含む方法。
【請求項26】
前記領域(230)で検出された前記赤外線放射(222)の量、及び複合サンドイッチパネル(208)上の前記領域(230)内に送られる前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)内のエネルギーを使用して、複合サンドイッチパネル(208)内の前記水分(206)のレベルを決定すること
をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
電磁放射システムが前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)を前記多孔質材料上の前記領域(230)内に送信する前に、前記領域(230)内の背景赤外線放射(222)の量を検出すること
をさらに含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記電磁放射ビーム(216)の前記パルス(218)内のエネルギー、及び前記時間窓内で前記赤外線検出器システム(212)によって検出された前記赤外線放射(222)の量を使用して、前記多孔質材料のための前記赤外線放射(222)の量の熱画像を生成すること
をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に航空機に関し、特に航空機内の多孔質材料中の水分を検出することに関する。さらにより具体的には、本開示は、航空機中のパネル内の水分を検出するための方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の設計及び製造において複合材料の割合はより高くなっている。航空機の重量を減らすために、複合材料が航空機で使用される。この軽量化により、ペイロード能力及び燃費効率などの性能特徴が改善される。更に、複合材料により航空機の様々な構成要素の寿命が延びる。
【0003】
例えば、複合パネルのような複合部品は、民間航空機などの航空機の壁、クローゼット、ガレー、及び他の構造体又はモニュメント用に、航空機内で使用される。これらの複合パネルは、2つの表面シート間のコアからなる複合サンドイッチパネルでありうる。コアは、ハニカムコア、フォームコア、又は他の適切な種類のコアでありうる。さらに、化粧板をフェイスシート上に配置したり、フェイスシートとして使用したりすることもある。このようにして、複合サンドイッチパネルは、特定の航空会社のためのロゴ、色、又はデザインを有しうる。
【0004】
これらの複合サンドイッチパネル及び多孔質材料を有する他の構造体に関する1つの問題は水分である。複合サンドイッチパネルの水分は、気泡を発生させる可能性がある。気泡は、民間航空機内の客室内など、乗客に見える場所で発生すると、特に美的に望ましくない。
【0005】
客室内の構造においてこのようなことが発生すると、気泡が発見されたときに、問題となり、民間航空機の配送を妨害する可能性がある。さらに、民間航空機の製造中に複合サンドイッチパネル内に気泡が発見されると、遅延が生じる可能性がある。気泡を含む複合サンドイッチパネルを作り直すことは、飛行機を製造するための時間と費用を増加させる。生産ラインの混乱が生じる可能性がある。
【0006】
さらに、複合サンドイッチパネル内の水分は、気泡の形ですぐには現れないこともある。気泡が発見されると、再作業が行われる可能性がある。
【0007】
したがって、上記の問題点のうちの少なくともいくつかと、起こり得る他の問題点を考慮した、方法及び装置を手に入れることが望ましいだろう。例えば、複合サンドイッチパネルなどの多孔質構造中の水分を検出することによる制限を克服する方法及び装置を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一例は、水分検出システムを提供する。水分検出システムは、フェーズドアレイ、赤外線検出器システム、並びにフェーズドアレイ及び赤外線検出器と通信するコントローラからなる。フェーズドアレイは、電磁放射ビームのパルスを放射するように構成される。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。赤外線検出器システムは、赤外線放射の量を検出するように構成される。赤外線放射の量は、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分レベルを示す。コントローラは、フェーズドアレイを制御して、フェーズドアレイによって放射された電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネルにビームステアリングするように構成される。コントローラはまた、複合サンドイッチパネルを加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムによって使用される時間窓と同期させるように構成される。コントローラはまた、赤外線検出器システムを制御して、複合サンドイッチパネルが電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、時間窓内で複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量を検出するようにも構成される。
【0009】
本開示の別の実施形態は、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するための方法を提供する。電磁放射ビームのパルスが、複合サンドイッチパネルにビームステアリングされる。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。電磁放射ビームのパルスのタイミングは、複合サンドイッチパネルを加熱するために、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムの時間窓と同期される。複合サンドイッチパネルが電磁放射ビームのパルスによって加熱されるとき、複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量が、赤外線検出器システムの時間窓内で検出され、赤外線放射の量は、複合サンドイッチパネル内の水分レベルを示す。
【0010】
本開示のなお別の実施形態は、水分検出システムを提供する。水分検出システムは、フェーズドアレイ、赤外線検出器システム、及びコントローラからなる。フェーズドアレイは、電磁放射ビームのパルスを放射するように構成される。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。赤外線検出器システムは、赤外線放射の量を検出するように構成される。赤外線放射の量は、多孔質材料中の水分レベルを示す。コントローラは、フェーズドアレイを制御し、電磁放射ビームのパルスを多孔質材料上の領域にビームステアリングするように構成される。コントローラはまた、多孔質材料を加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するために赤外線検出器システムの時間窓と同期させるように構成される。コントローラはまた、赤外線検出器システムを制御し、多孔質材料が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、時間窓内に多孔質材料上の領域内の赤外線の量を検出するようにも構成される。
【0011】
本開示の別の実施形態は、多孔質材料中の水分を検出するための方法を提供する。電磁放射ビームのパルスが、多孔質材料上の領域にビームステアリングされる。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。電磁放射ビームのパルスのタイミングは、領域内の多孔質材料を加熱するために、領域からの赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システム内の時間窓と同期される。多孔質材料上の領域が電磁放射ビームのパルスによって加熱されると、多孔質材料上の領域内の赤外線量が、赤外線検出器システムの時間窓内に検出される。赤外線放射の量は、多孔質材料中の水分レベルを示す。
【0012】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な例において個別に実現可能であるか、又は、後述の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解できる、更に別の例において組み合わせてもよい。
【0013】
例示的な実施例の特徴と考えられる新規の特性は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、示される実施例並びに好ましい使用モード、更なる目的及びそれらの特徴は、添付の図面を参照して、本開示に示される実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】例示的な実施例による水分検出環境のブロック図の図解である。
図2】例示的な実施例による水分検出環境のブロック図の図解である。
図3】例示的な実施例による水分検出システムの図解である。
図4】例示的な実施例によるフェーズドアレイの図解である。
図5】例示的な実施例によるタイミング図の図解である。
図6】例示的な実施例による材料パラメータの表の図解である。
図7】例示的な実施例による多孔質材料中の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの図解である。
図8】例示的な実施例による、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの図解である。
図9】例示的な実施例による多孔質材料中の水分を検出するためのプロセスのフローチャートである。
図10】例示的な実施例による、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出する際に水分を検出するためのプロセスのフローチャートの図解である。
図11】例示的な実施例による、水分レベルの検出に応じて多孔質材料に関して実行される動作を管理するためのプロセスのフローチャートの図解である。
図12】例示的な実施例によるデータ処理システムのブロック図の図解である。
図13】例示的な実施例による航空機の製造及び保守方法のブロック図の図解である。
図14】例示的な実施例が実施されうる航空機のブロック図の図解である。
図15】例示的な実施例による製品管理システムのブロック図の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的な実施例は、一又は複数の異なる考慮事項を認識し考慮する。例えば、例示的な実施例は、泡又はハニカムコアを使用する複合サンドイッチ構造中の水分を測定することが所望よりも困難でありうることを認識し考慮する。例示的な実施例は、水分検出のための現在の技術が複合サンドイッチ構造中の水分のレベルを測定できないことを認識し考慮する。例示的な実施例は、現在の技術が複合サンドイッチ構造中の水分のレベルをマッピングできないことを認識し考慮する。
【0016】
したがって、例示的な実施例は、水分を検出するための方法、装置、及びシステムを提供する。例示的な実施例では、水分検出システムは、電磁放射システム、赤外線検出器システム、及びコントローラを含む。電磁放射システムは、電磁放射を送信するように構成され、赤外線検出器システムは、赤外線エネルギーの量を検出するように構成される。
【0017】
コントローラは、電磁放射システムを制御して、電磁放射のパルスを多孔質材料内に送信し、その中で電磁放射ビームのパルスが、水分子によって吸収される複数の波長を有する。コントローラはまた、赤外線検出器システムを制御して、多孔質材料が電磁放射のパルスによって加熱されるときに赤外線検出器システムが多孔質材料中の赤外線エネルギーの量を検出するように、電磁放射が多孔質材料を加熱するときを捕捉する時間窓を使用した電磁放射の多孔質材料への送信に応じて、多孔質材料の赤外線エネルギーの量を検出する。コントローラは、送信された電磁放射のエネルギー量と検出された赤外線エネルギー量を用いて、多孔質材料中の水分レベルを特定する。
【0018】
別の例示的な実施例では、水分検出システムは、フェーズドアレイ、赤外線検出器システム、及びコントローラを含む。フェーズドアレイは、電磁放射ビームのパルスを放射するように構成される。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。赤外線検出器システムは、赤外線エネルギーの量を検出するように構成される。赤外線エネルギー量は、多孔質材料中の水分レベルを示す。
【0019】
コントローラは、電磁放射ビームのパルスを多孔質材料上の領域にビームステアリングすることによってフェーズドアレイを制御し、多孔質材料を加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを赤外線エネルギーの量を検出するための赤外線検出器システム内の時間窓と同期させるように構成される。コントローラは、赤外線検出器システムを制御し、多孔質材料が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、時間窓内の多孔質材料上の領域内の赤外線エネルギーの量を検出するように構成される。
【0020】
ここで図面を参照すると、特に図1を参照すると、水分検出環境のブロック図の図解が例示的な実施例に従って示される。この例示的な実施例では、水分検出環境100は、多孔質材料104を検査するように動作する水分検出システム102を含む。この例では、多孔質材料104は、水分106のレベルについて検査することができる。図示されたように、水分106のレベルは、水分106の有無を示しうる。水分106が存在するとき、水分106のレベルはまた、どれだけの水分106が検出されるかを示すことができる。
【0021】
この例示的な実施例では、多孔質材料104は、液体又は気体が通過できる空間、穴、又は他の種類のチャネル若しくは空隙を有する材料である。例えば、多孔質材料104は、連続気泡フォーム又はハニカム構造とすることができる。別の例では、多孔質材料104は、いくつかのセルが閉じられておらず、気体又は液体を通過させることができる独立気泡フォームでありうる。
【0022】
例示的な実施例では、多孔質材料104は、複合サンドイッチパネル108の形態をとる。複合サンドイッチパネル108は、第1の表面シートと第2の表面シートとの間に位置するコアを含む。コアは、複数の異なる形態をとりうる。例えば、コアは、フォームコア、連続気泡フォームコア、独立気泡フォームコア、ハニカムコア、又は他の適切な種類のコアのうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0023】
本明細書で使用されているように、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、かつ列挙された各アイテムのうちの1つだけがあればよいということを意味する。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及びいくつかのアイテムが、列挙された中から使用されうることを意味するが、列挙されたアイテムのすべてが必要とされる訳ではないことを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、又はカテゴリでありうる。
【0024】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも一つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、若しくはアイテムBを含むことができる。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、若しくはアイテムB及びアイテムCも含むことができる。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在しうる。いくつかの例示的な実施例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、さらに他の適切な組み合わせであってもよい。
【0025】
図示されるように、複合サンドイッチパネル108内のコアの種類は、複合サンドイッチパネル108の異なる部分において異なる可能性がある。例えば、複合サンドイッチパネル108の一部は、複合サンドイッチパネル108の1つの領域におけるハニカムコア、及び複合サンドイッチパネル108の別の領域におけるフォームコアでありうる。1つの例示的な実施例では、複合サンドイッチパネル108は、航空機、飛行機、民間航空機、回転翼航空機、宇宙船、民間宇宙船、宇宙飛行機、又は他の何らかの種類の航空宇宙飛行体のうちの1つから選択される航空宇宙飛行体で使用するためのものである。
【0026】
この例示的な実施例では、水分検出システム102は、複数の異なる構成要素からなる。図示されたように、水分検出システム102は、電磁放射システム110、赤外線検出器システム112、及びコントローラ114を含む。
【0027】
電磁放射システム110は、電磁放射のパルス116を送信する。この例示的な実施例では、電磁放射のパルス116は、約300MHzから約300GHzまでで選択される複数の周波数118を有する。
【0028】
本明細書で使用されるとき、アイテムに関して使用されるときの「複数の(a number of)」は、一又は複数のアイテムを意味する。例えば、「複数の周波数118」は、一又は複数の周波数118である。この例では、電磁放射のパルス116は、マイクロ波のパルスの形態をとる。電磁放射のパルス116は、水分検出システム102を作動させながら電磁放射を連続的に送信するのとは対照的な、ある期間にわたり電磁放射を送信することである。
【0029】
この例示的な実施例では、赤外線検出器システム112は、赤外線放射122の量を検出するように構成される。図示されたように、赤外線放射122は、可視光の波長よりも長い波長を有する。この例示的な実施例では、赤外線放射122は、電磁放射のパルス116が水分106中の水分子124に遭遇すると生成される。
【0030】
赤外線検出器システム112は、複数の異なる種類の検出器を含む。例えば、赤外線検出器システム112は、赤外線センサ、熱センサ、光検出器、サーモグラフィカメラ、赤外線カメラ、熱画像カメラ、又は他の適切な種類の検出器のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0031】
この例示的な実施例では、コントローラ114は、電磁放射システム110及び赤外線検出器システム112と通信している。コントローラ114は、電磁放射システム110を制御して、電磁放射のパルス116を複合サンドイッチパネル108内に送信するように構成される。電磁放射のパルス116は、電磁放射のパルス116が複合サンドイッチパネル108の水分106中の水分子124を吸収するように、複数の波長126を有する。
【0032】
図示されたように、コントローラ114は、電磁放射のパルス116が複合サンドイッチパネル108を浸透する所望の深さ132に基づいて、電磁放射のパルス116の周波数118の数を選択するように構成される。浸透のレベルは、複合サンドイッチパネル108内で加熱が起こる深さに影響を与える。
【0033】
さらに、コントローラ114は、電磁放射システム110を制御して、電磁放射のパルス116をレンズアンテナ140を介して送信し、複合サンドイッチパネル108が複合サンドイッチパネル108の周囲温度を上回るまで加熱されるように、複合サンドイッチパネル108で方向付けられる電磁放射ビーム142を形成するように構成することができる。
【0034】
コントローラ114はまた、時間窓128を使用して電磁放射のパルス116を複合サンドイッチパネル108内に送信することに応じて生成された赤外線放射122の量を検出するように赤外線検出器システム112を制御する。図示されたように、複合サンドイッチパネル108が電磁放射のパルス116によって加熱されるときに、赤外線検出器システム112が複合サンドイッチパネル108内の赤外線放射122の量を検出するように、電磁放射のパルス116が複合サンドイッチパネル108を加熱するときに赤外線放射122の量を検出するように、時間窓128が選択される。赤外線放射122の量は、複合サンドイッチパネル108内の水分106のレベルを示す。
【0035】
この実施例では、赤外線検出器システム112の感度が増大するように、複合サンドイッチパネル108を加熱する電磁放射のパルス116に応じて、赤外線放射122の量を検出するように、時間窓128が選択される。この増加は、時間窓128が電磁放射のパルス116の全てを包含するように、時間窓128の幅を選択することによって起こりうる。
【0036】
コントローラ114は、電磁放射システム110が電磁放射のパルス116を送信する前に、背景赤外線放射130の量を検出するように赤外線検出器システム112を制御するように構成することができる。背景赤外線放射130の量は、電磁放射のパルス116が複合サンドイッチパネル108内に向けられることなく存在する赤外線放射122の量である。複合サンドイッチパネル108に電磁放射のパルス116を印加することから生じる赤外線放射122を決定するために検出された赤外線放射122の量から、背景赤外線放射130を減算することができる。
【0037】
背景赤外線放射130は、複合サンドイッチパネル108の周囲温度として測定することができる。この周囲温度は、複合サンドイッチパネル108が位置する環境に応じて変わりうる。例えば、複合サンドイッチパネル108は、格納庫の内側、航空機内、又は他の何らかの適切な場所に配置されうる。複合サンドイッチパネル108のサイズに応じて、パネルの一部を建物の内側に配置し、別の部分を建物の外側に配置してもよい。
【0038】
図示されたように、コントローラ114は、複合サンドイッチパネル108内の水分106のレベルを決定するように構成される。この例では、水分106のレベルは、検出された赤外線放射122の量と、複合サンドイッチパネル108に送られた電磁放射のパルス116のエネルギー120とを使用して決定される。
【0039】
コントローラ114は、時間窓128内で赤外線検出器システム112によって検出された赤外線放射122の量を用いて、複合サンドイッチパネル108についての赤外線放射122の可視化134を生成するように構成される。可視化134は、複合サンドイッチパネル108用の熱マップ、熱画像、又は赤外線放射122の別の可視化のうちの少なくとも1つから選択することができる。可視化134は、水分106が複合サンドイッチパネル108内のどこに位置し得るかをユーザ又は他の人が見ることができるようにする。
【0040】
多孔質材料中の水分を検出することに関する問題を克服する一又は複数の解決策が存在する。結果として、一又は複数の技術的解決策は、単に水分106が存在するかどうかを検出するのではなく、水分106のレベルを決定するという技術的効果を提供しうる。
【0041】
結果として、この例示的な実施例におけるコンピュータシステム144は、コンピュータシステム144内のコントローラ114が多孔質材料104内の水分106のレベルを検出可能にする特定用途コンピュータシステムとして動作する。特に、コントローラ114は、コントローラ114を持たない現在利用可能な一般的なコンピュータシステムと比較して、コンピュータシステム144を特定用途のコンピュータシステムに変換する。
【0042】
図2を参照すると、水分検出環境のブロック図の他の図が、例示的実施例に従って図示される。この例示的な例では、水分検出環境200は、多孔質材料204を水分206に関して検査するように構成された水分検出システム202を含む。水分検出システム202は、多孔質材料204を水分206のレベルについて検査するために利用することができる。図示されたように、多孔質材料204は、複合サンドイッチパネル208の形態をとる。
【0043】
この例示的な実施例では、水分検出システム202は、複数の異なる構成要素からなる。図示されたように、水分検出システム202は、フェーズドアレイ210、赤外線検出器システム212、及びコントローラ214を含む。
【0044】
図示されたように、フェーズドアレイ210は、電子的に走査されるアレイ、及びレンズアンテナを使用することに加えて又はその代わりにビームを形成することができる別の方法である。フェーズドアレイ210は、電磁放射ビーム216をパルス218として送信する。この例示的な実施例では、フェーズドアレイ210は、電磁放射ビーム216を生成するように制御されたアンテナのアレイとすることができ、これは、フェーズドアレイ210内のアンテナを物理的に動かすことなく、異なる方向に電子的にステアリングすることができる無線周波数波でありうる。
【0045】
この例示的な例では、電磁放射ビーム216のパルス218は、約300MHzから約300GHzまでから選択された複数の周波数220を有する。図示されたように、コントローラ214は、電磁放射ビーム216のパルス218が複合サンドイッチパネル208を浸透する所望の深さ232に基づいて、電磁放射ビーム216のパルス218に対する周波数220の数を選択することができる。
【0046】
図示されたように、赤外線検出器システム212は、赤外線放射222の量を検出するように構成される。赤外線検出器システム212は、図1の赤外線検出器システム112と同様に実施されうる。
【0047】
コントローラ214は、フェーズドアレイ210及び赤外線検出器システム212と通信している。コントローラ214は、コンピュータシステム215内に位置する。図示されたように、コントローラ214は、フェーズドアレイ210を制御して、フェーズドアレイ210から複合サンドイッチパネル208に送信される電磁放射ビーム216のパルス218をビームステアリングするように構成される。コントローラ214はまた、複合サンドイッチパネル208を加熱するための電磁放射ビーム224のパルス218のタイミング226を、赤外線放射222の量を検出するために赤外線検出器システム212によって使用される時間窓228に同期させるように構成される。パルス218の同期タイミング226はまた、これらの例示的な例におけるパルス218の持続時間に加えて、パルス218の走査又は移動を含みうる。
【0048】
同期化は、赤外線放射222の画像における感度を高める。例えば、コントローラ214は、赤外線検出器システム212を制御して、複合サンドイッチパネル208が電磁放射ビーム216のパルス218によって加熱されたときに、時間窓228内に複合サンドイッチパネル208内の赤外線放射222の量を検出するように構成される。
【0049】
電磁放射ビーム216のステアリングパルス218において、コントローラ214は、パルス218をビームステアリングして、複合サンドイッチパネル208上の領域230を覆うために、フェーズドアレイ210を制御する。電磁放射ビーム216のパルス218が複合サンドイッチパネル208上の領域230を加熱するとき、コントローラ214は、時間窓228内に領域230から放射される赤外線放射222の量を検出するために、赤外線検出器システム212を制御する。例示的な例では、赤外線検出器システム212の感度が増大するように、複合サンドイッチパネル208を加熱する電磁放射ビーム216のパルス218に応じて、赤外線放射222の量を検出するために、時間窓228が選択される。
【0050】
フェーズドアレイ210を使用すると、他の種類の放射線放出システムを使用する場合と比較して、領域230を決定する際の精度が向上する。フェーズドアレイ210により、ビームの位置がより正確にわかるように、ビームステアリングが実行されうる。結果として、領域230に印加されたエネルギー234を決定することがより正確である。
【0051】
この例示的な例では、コントローラ214は、領域230で検出された赤外線放射222の量と、複合サンドイッチパネル208上の領域230に送られた電磁放射ビーム216のパルス218のエネルギー234とを用いて、複合サンドイッチパネル208の水分206のレベルを決定するように構成される。
【0052】
コントローラ214は、赤外線検出器システム212を制御し、フェーズドアレイ210が電磁放射ビーム216のパルス218を送信する前に、背景赤外線放射236の量を検出するように構成することができる。背景赤外線放射236の量は、電磁放射ビーム216のパルス218が複合サンドイッチパネル208に向けられることなく存在する赤外線放射222の量である。電磁放射ビーム216のパルス218を複合サンドイッチパネル208に印加することから生じる赤外線放射222を決定するために、検出された赤外線放射222の量から背景赤外線放射236を減算することができる。
【0053】
さらに、コントローラ214は、複合サンドイッチパネル208で検出された赤外線放射222の量の可視化238を生成するように構成される。この例示的な例では、可視化238は、熱画像、熱マップ、又は他の何らかの種類の可視化のうちの少なくとも1つから選択されうる。例示的な例では、コントローラ214は、熱マップ又は熱画像などの可視化238を使用して、複合サンドイッチパネル108内の水分106のマップを生成するように構成される。
【0054】
複合サンドイッチパネルなどの多孔質構造中の水分を検出することに関する問題を克服する一又は複数の解決策が存在する。結果として、一又は複数の技術的解決策は、複合サンドイッチパネルを含む多孔質材料中の水分を検出する能力を提供しうる。コントローラは、電磁放射システム及び赤外線検出器システムの動作を制御して、時間窓を使用して領域内の水分レベルを検出する。時間窓の選択は、赤外線検出器システムの感度を高めることができる。
【0055】
結果として、この例示的な実施例におけるコンピュータシステム215は、コンピュータシステム215内のコントローラ214が電磁放射システム及び赤外線検出器システムの動作を制御して、時間窓を使用して領域内の水分レベルを検出可能にする特定用途コンピュータシステムとして動作する。特に、コントローラ114は、コントローラ214を持たない現在利用可能な一般的なコンピュータシステムと比較して、コンピュータシステム215を特定用途のコンピュータシステムに変換する。
【0056】
図1のコントローラ114及び図2のコントローラ214は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実装されうる。ソフトウェアが使用されるとき、これらのコントローラによって実行される動作は、プロセッサユニットなどのハードウェア上で動作するように構成されたプログラムコードで実装されうる。ファームウェアが使用されるとき、コントローラ114及びコントローラ214によって実行される動作は、プログラムコード及びデータにおいて実装され、プロセッサユニット上で実行するために永続的メモリに格納されうる。ハードウェアが採用されるとき、ハードウェアは、コントローラ114及びコントローラ214内の動作を実行するように動作する回路を含みうる。
【0057】
ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理装置、又は、いくつかの工程を実施するよう構成された他の何らかの適切な種類のハードウェアのうちの、少なくとも1つから選択された形態をとることができる。プログラマブル論理デバイスを用いる場合、デバイスは、幾つかの動作を実施するように構成することができる。デバイスは後で再構成されてもよく、いくつかの工程を実施するように恒久的に構成されていてもよい。プログラマブル論理デバイスは、例えば、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び、他の適切なハードウェア装置を含む。加えて、これらのプロセスは、無機構成要素に組み込まれた有機構成要素に実装されていてもよいし、全てが人間以外の有機構成要素でからなっていてもよい。例えば、これらのプロセスは、有機半導体の回路として実装されていてよい。
【0058】
図示されたように、コントローラ114は、コンピュータシステム144内に位置する。この例では、コンピュータシステム144は、物理的ハードウェアシステムであり、一又は複数のデータ処理システムを含む。2つ以上のデータ処理システムが存在する場合、これらのデータ処理システムは、通信媒体を使用して互いに通信している。通信媒体は、ネットワークでありうる。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット、又はその他何らかの適切なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択されうる。
【0059】
図1の水分検出環境100及び図2の水分検出環境200の図は、例示的な例が実施されうる方法に対する物理的又は構造的制限を暗示することを意味するものではない。図示した構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、不要であってもよい。また、一部の機能する構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。実施例において実装される場合、これらのブロックのうちの一又は複数が、組み合わされ、分割され、又は、組み合わされて異なるブロックに分割されうる。
【0060】
例えば、複合サンドイッチパネル108は、第1の表面シートと第2の表面シートとの間に2つのコアを有することができる。これら2つのコアは、表面シートと同様の層によって互いに分離することができる。別の例として、水分検出システム102を用いて、複合サンドイッチパネル108以外の水分106のレベル及び他の種類の多孔質材料104を検出することができる。他の種類の多孔質材料104は、例えば、ミサイル、ロケット、又は宇宙船の外部にある熱保護システム(TPS)を含みうる。熱保護システムは、多孔質で、水分を含む可能性がある。
【0061】
複合サンドイッチパネル108及び複合サンドイッチパネル208は、航空宇宙機以外の他のプラットフォームで利用することができる。プラットフォームは、例えば、移動式プラットフォーム、固定式プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、及び宇宙構造物でありうる。より詳細には、プラットフォームは、水上艦、戦車、人員運搬機、列車、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造施設、建造物、及び他の適切なプラットフォームでありうる。
【0062】
波長を選択することに加えて又はその代わりに、電力レベルを選択して加熱量を変更することができる。1つの例示的な例では、選択された波長を使用し、振幅を増大させると、捕捉された水分深さのより良好な表示が、多孔質材料104において識別できる。選択された波長及び熱散逸から浸透深さを知ることによって、捕捉された水分深さを決定することができる。言い換えれば、多孔質材料104内に水分が存在する深さを決定することができる。さらに、例示的な例は、水分が補足されるが逃げられないボイド又はチャネルを有する材料に適用することができる。
【0063】
図3を参照すると、水分検出システムの図が例示的な例に従って示されている。例示的な例では、水分検出システム300は、図1にブロック形式で示されている水分検出システム102の一実施態様の例である。
【0064】
図示されたように、水分検出システム300は、無線周波数発生器302、マグネトロン304、導波路306、及びレンズアンテナ308を含む。これらの構成要素は、マイクロ波送信器309を形成し、図1にブロック形式で示される電磁放射システム110において使用されうる構成要素の例である。
【0065】
図示されたように、無線周波数発生器302は、マイクロ波ビーム310を送信するための無線周波数を生成する。社会的な例では、マグネトロン304は、マイクロ波の形で電磁放射を生成する。導波管306は、マグネトロン304によって生成されたマイクロ波をレンズアンテナ308を介して案内する。レンズアンテナ308は、マイクロ波をマイクロ波ビーム310の中で送信させる。例示的な例では、マイクロ波ビーム310は、多孔質材料314上の領域312に向けられる。
【0066】
水分検出システム300はまた、赤外線カメラ316及び赤外線カメラトリガユニット318を含む。これら2つの構成要素は、図1のブロック形式で示される赤外線検出器システム112又は図2のブロック形式で示される赤外線検出器システム212を実装するために使用されうる構成要素の例である。図示されたように、赤外線カメラ316は、マイクロ波ビーム310による多孔質材料314の加熱に応じて、領域312からの赤外線放射320を検出するように配置される。
【0067】
図示されたように、同期回路322は、無線周波数発生器302及び赤外線カメラトリガユニット318の動作を制御する。このようにして、同期回路322は、マイクロ波ビーム310が多孔質材料314をいつ加熱するかに基づいて、赤外線カメラ316にタイミング窓内の赤外線放射320を検出させることができる。
【0068】
この例示的な例では、プロセッサ324は、赤外線カメラ316から画像326を受け取るように構成される。受信した画像326に基づいて、プロセッサ324は、水分インジケータ328を生成する。水分インジケータ328は、存在する水分の表示でありうる。他の例示的な実施例では、水分インジケータ328は、図1のブロック形式で示される可視化134又は図2のブロック形式で示される可視化238などの可視化でありうる。
【0069】
この例に示されるように、水分検出システム300のプロセッサ324は、同期回路322を制御してタイミング窓を選択し、マイクロ波ビーム310を送信する動作を赤外線カメラ316による赤外線放射の検出と同期させる。プロセッサ324は、図1のブロック形式で示されるコントローラ114又は図2のブロック形式で示されるコントローラ214を実装するために使用することができる構成要素の一例である。
【0070】
次に図4を参照すると、フェーズドアレイの図が例示的な例に従って示されている。図示された例では、フェーズドアレイ400は、図2にブロック形式で示したフェーズドアレイ210の一実施形態の例である。図3のマイクロ波送信器309の代わりに、フェーズドアレイ400を使用することができる。
【0071】
例示的な例では、フェーズドアレイ400は、送信器402、フェーズシフタ404、及びアンテナ素子406を含む。フェーズシフタ404は、図1のブロック形式で示されるコントローラ114、図2のブロック形式で示されるコントローラ214、又は図3のプロセッサ324などのコントローラによって制御することができる。図示されたように、フェーズシフタ404は、アンテナ素子406に、電子的に変更することができる方向にマイクロ波ビーム408を放射させるよう制御することができる。言い換えれば、マイクロ波ビーム408は、電子的にステアリング可能である。このようにして、マイクロ波ビーム408を方向付けるのに機械的部品又は可動部品が必要である。
【0072】
図3の水分検出システム300及び図4のフェーズドアレイの図は、図1にブロック形式で示される水分検出環境100及び図2にブロック形式で示される水分検出環境200内の構成要素のいくつかの実施態様の例として提供される。これらの例は、他の例示的な例が実施されうる方法を限定することを意味しない。例えば、送信器402に対して8つの送信器が示されているが、他の数の送信器が使用されてもよい。例えば、11、27、45、又は他の適切な数の送信器をが、他の例示的な例で使用されてもよい。
【0073】
次に図5を参照すると、タイミング図の図説が例示的な例に従って示されている。タイミング図500は、赤外線カメラフレームグラフ502、パルスグラフ504、画像記憶グラフ506、及びステアリンググラフ507を含む。
【0074】
赤外線カメラフレームグラフ502は、赤外線放射が赤外線カメラによって検出されるフレームのタイミングを示すグラフである。この例示的な例では、各フレームは、赤外線放射の画像を生成するために光子が検出される期間を表す。
【0075】
パルスグラフ504は、電磁放射パルスが電磁放射システムによって放射されるタイミングと、電磁放射ビームのパルスの間の持続時間とを示すグラフである。電磁放射線パルスの深さは、周波数に基づいて選択することができる。周波数を上げると、電磁放射線ビームのパルスの多孔質材料への浸透が増加し、周波数を下げると、その浸透が減少する。
【0076】
画像保存グラフ506は、赤外線カメラで生成されたフレームを保存する時間を示すグラフである。データが保存されると、赤外線カメラのセンサは光子を検出しない。
【0077】
ステアリンググラフ507は、電磁放射パルスのステアリングを示すグラフである。この例では、ステアリング信号509は、対象となる領域をカバーするために約0°から約45°までステアリングされている電磁放射のパルスを示す。
【0078】
図のように、2つの時間窓、時間窓508及び時間窓510が存在する。この例示的な例では、時間窓508は、フレーム512が生成され保存される期間である。時間窓508は、背景赤外線放射を識別するために使用される。この背景赤外線放射は、多孔質材料が位置する環境の周囲温度を反射しうる。時間窓510は、フレーム514及びフレーム516が赤外線カメラによって検出される期間である。
【0079】
パルスグラフ504のパルス518が発生すると、これらのフレームが発生するように同期が行われる。パルス518は、多孔質材料に向けられる、マイクロ波といった、電磁放射のパルスを表す。
【0080】
パルス518のタイミングは、フレーム514とフレーム516ができるだけ多くの赤外線放射を検出するようなものである。時間窓510の間、赤外線放射は、パルス518が時間T1で始まり時間T2で終わるときから増加する。時間窓510内のパルス518の送信と共に時間窓510を選択することによって、赤外線カメラは、パルス518によって引き起こされる最大量の赤外線放射を検出することができ、したがって赤外線カメラの感度が向上する。このようにして、赤外線カメラの感度は、可能な限り多くのパルス518を含むように時間窓510を選択することによって、向上させることができる。
【0081】
さらに、パルス518の長さ及び時間窓510のサイズは、画像として記憶するために赤外線カメラ内のセンサから信号を転送する前に、赤外線カメラによって光子が検出される時間をカバーするように選択される。その結果、データが赤外線カメラのセンサから読み取られている間、マイクロ波の継続的な送信は生じない。
【0082】
図6を参照すると、材料パラメータの表の説明図が例示的な例に従って図示される。表600は、電磁放射に対する所望の浸透深さを選択する際に使用されるパラメータを示す。例示的な例では、エントリ602は、複合サンドイッチパネル内のコアなどの例示的な多孔質材料のためのものである。このパネルは、厚さ約2mmの装飾用積層板、厚さ約1mmの外板パネル、及び厚さ約25mmのハニカム及びフォームコアを有する。
【0083】
列604は導電率を示し、列606は透磁率であり、列608は周波数であり、列610は浸透深さを特定する。列610の深さは、以下のように計算される。
は標準的な浸透深さ(mm)であり、
は3.14であり、
はテスト周波数(Hz)であり、
は透磁率(H/mm)であり、
は導電率(%IACS)である。
【0084】
この図示された例では、表600は、この例のコアの浸透深さを提供する。一般に、周波数が高くなるにつれて、浸透深さは深くなる。検査される多孔質材料の全ての特性は、浸透深さを決定する際に考慮することができる。例えば、多孔質材料が複合サンドイッチコアである場合、装飾積層板、パネル外板、並びにハニカムコア及びフォームコアもまた、より正確な浸透深さを得るために考慮することができる。
【0085】
次に図7を参照すると、多孔質材料中の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの説明図が例示的な例に従って示されている。図7に示すプロセスは、図1にブロック形式で示す水分検出システム102で実施することができる。このプロセスは、ハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実施されうる。プログラムコードの形態のソフトウェアが使用されるとき、プログラムコードは、異なる動作を実行するためにプロセッサユニットによって実行することができる。
【0086】
プロセスは、電磁放射を多孔質材料に送信することによって開始する(工程700)。動作700における電磁放射ビームは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。この例では、電磁放射に対する複数の周波数の選択は、電磁放射のパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいている。
【0087】
プロセスは、電磁放射が多孔質材料を加熱するときに赤外線放射の量を検出するために選択された時間窓を使用して、電磁放射を複合サンドイッチパネルに送信することに応じて、パネルの多孔質材料中の赤外線放射の量を検出する(工程702)。このプロセスは、送信された電磁放射のエネルギー量と検出された赤外線放射の量とを使用して、多孔質材料中の水分レベルを特定する(工程704)。その後、プロセスは終了する。
【0088】
図8を参照すると、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの図解が、例示的な実施例にしたがって示されている。このプロセスは、ハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実施されうる。プログラムコードの形態のソフトウェアが使用されるとき、プログラムコードは、プロセスにおいて、異なる動作を実行するためにプロセッサユニットによって実行することができる。
【0089】
このプロセスは、複合サンドイッチパネルが周囲温度を超えて加熱されるように、電磁放射のパルスを複合サンドイッチパネルに送信することによって開始する(工程800)。プロセスは、電磁放射のパルスが複合サンドイッチパネルを加熱するときに赤外線放射の量を検出するために選択された時間窓を使用して、電磁放射のパルスを複合サンドイッチパネルに送信することに応じて、複合サンドイッチパネルで生成される赤外線放射の量を検出する(工程802)。検出された赤外線放射の量は、複合サンドイッチパネル内の水分量を示す。
【0090】
プロセスは、検出された赤外線放射の量と、複合サンドイッチパネルに送られた電磁放射のパルス内のエネルギーとを使用して、複合サンドイッチパネル内の水分レベルを決定する(工程804)。プロセスは、次に水分レベルの可視化を生成する(工程806)。プロセスは、その後終了する。
【0091】
可視化は、熱画像、熱マップ、又は他の何らかの表示のうちの少なくとも1つから選択されうる。この可視化は、水分が存在する場所を特定するために使用されうる。さらに、可視化は、水分がそれらの位置に存在する深さを示しうる。
【0092】
検出された水分のレベルに基づいて、複合サンドイッチパネルに関して動作を実行することができる。この動作は、複合サンドイッチパネルの再加工又は交換から選択することができる。再加工は、例えば、複合サンドイッチパネル内の水分を減少させるために、追加の電磁放射を複合サンドイッチパネルに送ることを含みうる。他の水分減少技術もまた使用されうる。熱又は赤外線加熱が利用されてもよい。
【0093】
次に図9を参照すると、多孔質材料中の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの説明図が例示的な例に従って示されている。図9に示すプロセスは、図2にブロック形式で示す水分検出システム202で実施することができる。このプロセスは、ハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実施されうる。プログラムコードの形態のソフトウェアが使用されるとき、プログラムコードは、異なる動作を実行するためにプロセッサユニットによって実行することができる。
【0094】
このプロセスは、多孔質材料上の領域内で電磁放射ビームのパルスをビームステアリングすることによって開始する(工程900)。ビームステアリングは、領域をカバーするようにその領域を横切って電磁放射ビームのパルスを移動させる。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。
【0095】
プロセスは、領域内の多孔質材料を加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを赤外線検出器システム内の時間窓と同期させ、領域からの赤外線放射の量を検出する(工程902)。プロセスは、多孔質材料上の領域が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、赤外線検出器システムの時間窓内に多孔質材料上の領域内の赤外線放射量を検出する(工程904)。プロセスは、その後終了する。赤外線放射の量は、多孔質材料中の水分レベルを示す。
【0096】
図10を参照すると、航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するためのプロセスのフローチャートの図解が、例示的な実施例にしたがって示されている。図10に示すプロセスは、図2にブロック形式で示す水分検出システム202で実施することができる。このプロセスは、ハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実施されうる。プログラムコードの形態のソフトウェアが使用されるとき、プログラムコードは、異なる動作を実行するためにプロセッサユニットによって実行することができる。
【0097】
プロセスは、複合サンドイッチパネル上の領域を選択することにより開始する(工程1000)。この領域は、複合サンドイッチパネルの一部又は全部とすることができる。プロセスは、電磁放射のパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいて、電磁放射ビームのパルスのための複数の周波数を選択する(工程1002)。電磁放射ビームのパルスは、水分子によって吸収される複数の波長を有する。
【0098】
プロセスは、複合サンドイッチパネル上の領域に電磁放射ビームのパルスをビームステアリングする(工程1004)。全領域がパルスの間に覆われるように、又は複数のパルスがその領域を覆うために使用されうるように、ステアリングを実行することができる。プロセスは、複合サンドイッチパネルを加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムの時間窓と同期させる(工程1006)。
【0099】
プロセスは、複合サンドイッチパネルが電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、赤外線検出器システムの時間窓内の領域内の複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量を検出する(工程1008)。赤外線放射の量は、複合サンドイッチパネル内の水分レベルを示す。
【0100】
プロセスは、領域内で検出された赤外線放射の量と、複合サンドイッチパネル上の領域内に送信された電磁放射ビームのパルス内のエネルギーとを使用して、複合サンドイッチパネル上の領域内の水分レベルを決定する(工程1010)。
【0101】
複合サンドイッチパネル上の検査のために別の領域が存在するかどうかに関する判定が行われる(工程1012)。別の領域が存在する場合、プロセスは工程1000に戻る。そうでなければ、プロセスは、水分の可視化を生成する(工程1014)。プロセスは、その後終了する。
【0102】
可視化は、電磁放射ビームのパルス内のエネルギーと、時間窓内の領域内で赤外線検出器システムによって検出された赤外線放射の量とを使用した、熱画像又は多孔質材料に対する赤外線放射のマップとすることができる。
【0103】
図11を参照すると、水分レベルの検出に応じて多孔質材料に関して行われる動作を管理するためのプロセスのフローチャートの図解が、例示的な例に従って示されている。図10に示すプロセスは、図2にブロック形式で示す水分検出システム202で実施することができる。このプロセスは、ハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方で実施されうる。プログラムコードの形態のソフトウェアが使用されるとき、プログラムコードは、異なる動作を実行するためにプロセッサユニットによって実行することができる。
【0104】
プロセスは、多孔質材料についての複数の熱画像を受信することによって開始する(工程1100)。この例示的な例では、複数の熱画像は、多孔質材料内の一又は複数の対象となる領域に対するものでありうる。プロセスは、複数の熱画像を使用して水分のレベルを決定する(工程1102)。
【0105】
プロセスは、多孔質材料がマップを使用して再加工されるべきか交換されるべきかを判定する(工程1104)。多孔質材料を交換すべき場合、プロセスは、多孔質材料を交換するためのメッセージを生成する(工程1106)。プロセスは、その後終了する。
【0106】
再び工程1104を参照すると、多孔質材料を再加工すべきであると決定された場合、プロセスは、必要な再加工の程度を特定する(工程1108)。この範囲は、マップ上又は他の指示でグラフィカルに識別することができる。
【0107】
さらに、再加工の程度はまた、多孔質材料を再加工するために実行されるべき工程を特定しうる。この再加工は、加熱又は他の行為を含むことができる。例えば、再加工は、複合サンドイッチパネルから外板パネル又は装飾用積層板を除去すること、複合サンドイッチパネルを加熱すること、次いで外板パネル又は装飾用積層板を交換することを含みうる。
【0108】
プロセスは次に、実行されるべき再加工の程度を識別するメッセージを生成する(工程1110)。プロセスは、その後終了する。
【0109】
種々の実施例で図示されているフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施例の装置及び方法の、いくつかの可能な実施態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能又は、工程もしくはステップの一部のうちの、少なくとも1つを表わすことがある。例えば、一又は複数のブロックは、プログラムコード、ハードウェア又はプログラムコードとハードウェアの組合せとして実装されうる。ハードウェア内に実装された場合、ハードウェアは、例えば、フローチャート又はブロック図の一又は複数の工程を実施するように製造又は構成された、集積回路の形態をとりうる。プログラムコードとハードウェアの組み合わせとして実装された場合、この実施態様は、ファームウェアの形態をとりうる。フローチャート又はブロック図の各ブロックは、専用ハードウェアと、専用ハードウェアによって実行されるプログラムコードの種々の工程又はその組み合わせを実施する、専用ハードウェアシステムを用いて実装されうる。
【0110】
例示的な実施例のいくつかの代替的な実施態様では、ブロックに記載された一又は複数の機能が、図中に記載の順序を逸脱して起こることがある。例えば、場合によっては、連続して示される2つのブロックがほぼ同時に実施されること、又は時には含まれる機能に応じて、ブロックが逆の順序で実施されることもある。また、フローチャート又はブロック図に描かれているブロックに加えて、他のブロックが追加されてもよい。
【0111】
ここで、例示的な一実施例によるデータ処理システムのブロック図を示す、図12を参照する。データ処理システム1200は、図1のブロック形式で示されるコンピュータシステム144及び図2のブロック形式で示されるコンピュータシステム215を実装するために使用されうる。この例示的実施例では、データ処理システム1200は、通信フレームワーク1202を含み、これにより、プロセッサユニット1204、メモリ1206、固定記憶装置1208、通信ユニット1210、入出力(I/O)ユニット1212、及びディスプレイ1214の間の通信が行われる。この例では、通信フレームワーク1202は、バスシステムの形態をとりうる。
【0112】
プロセッサユニット1204は、メモリ1206に読み込まれてよいソフトウェアに対する命令を、実行する役割を果たす。プロセッサユニット1204は、具体的な実装態様に応じて、任意の数のプロセッサであるか、マルチプロセッサコアであるか、又は他の何らかの種類のプロセッサであってよい。
【0113】
メモリ1206及び固定記憶装置1208は、記憶デバイス1216の例である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、機能的な形態のプログラムコードなどの情報、又は他の適切な情報のうちの少なくとも1つを一時的に及び/又は永続的に記憶できる、任意のハードウェアである。記憶デバイス1216は、これらの実施例では、コンピュータ-可読記憶デバイスとも称されうる。これらの実施例で、メモリ1206は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の任意の好適な揮発性又は不揮発性の記憶デバイスであってもよい。固定記憶装置1208は、特定の実行態様に応じて様々な形態をとってもよい。
【0114】
例えば、固定記憶装置1208は、一又は複数の構成要素又はデバイスを含んでもよい。例えば、固定記憶装置1208は、ハードドライブ、ソリッドステートハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え型光学ディスク、書換え可能磁気テープ、又は上述の何らかの組み合わせであってもよい。固定記憶装置1208によって使用される媒体はまた、着脱可能なものであってもよい。例えば、着脱可能なハードドライブが、固定記憶装置1208に使用されうる。
【0115】
これらの例示的な実施例では、通信ユニット1210が、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの実施例では、通信ユニット1210は、ネットワークインタフェースカードである。
【0116】
入出力ユニット1212は、データ処理システム1200に接続されうる他の装置との間のデータの入出力を可能にする。例えば、入出力ユニット1212は、キーボード、マウス、又は他の何らかの適切な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供しうる。さらに、入出力ユニット1212は、プリンタに出力を送信しうる。ディスプレイ1214は、ユーザに対して情報を表示するための機構を提供する。
【0117】
オペレーティングシステム、アプリケーション、又はプログラムのうちの少なくとも1つに対する命令は、通信フレームワーク1202を介してプロセッサユニット1204と通信する記憶デバイス1216内に位置していてもよい。種々の実施例のプロセスは、メモリ1206といったメモリの中にあってよいコンピュータ実装命令を使用して、プロセッサユニット1204によって実行されてよい。
【0118】
これらの命令は、プロセッサユニット1204内のプロセッサによって読み取られ実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。種々の実施例におけるプログラムコードは、メモリ1206又は固定記憶装置1208といった、種々の物理的記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体上に具現化されうる。
【0119】
プログラムコード1218は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1220に機能的形態で置かれ、プロセッサユニット1204によって実行するためにデータ処理システム1200に読み込ませたり、転送したりしてもよい。プログラムコード1218とコンピュータ可読媒体1220は、これらの実施例では、コンピュータプログラム製品1222を形成する。一実施例では、コンピュータ可読媒体1220は、コンピュータ可読記憶媒体1224又はコンピュータ可読信号媒体1226でありうる。
【0120】
これらの実施例では、コンピュータ-可読記憶媒体1224は、プログラムコード1218を伝搬させるか又は送信する媒体というよりはむしろ、プログラムコード1218を記憶するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0121】
あるいは、プログラムコード1218は、コンピュータ可読信号媒体1226を用いてデータ処理システム1200に転送されてもよい。コンピュータ可読信号媒体1226は、例えば、プログラムコード1218を包含する伝搬されたデータ信号であってもよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体1226は、電磁信号、光信号、又は他の任意の適切な種類の信号のうちの少なくとも1つであってもよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、電線、又は他の任意の適切な種類の通信リンクといった少なくとも1つの通信リンクを介して伝送されうる。
【0122】
データ処理システム1200に関して図示されている種々の構成要素は、種々の実施例が実装されうる方法に対して構造的限定を設けることを意図していない。種々の例示的実施例は、データ処理システム1200に関して示されている構成要素に対する追加的又は代替的な構成要素を含む、データ処理システム内に実装されていてよい。図12に示した他の構成要素は、示されている例示的な実施例と異なることがある。プログラムコード1218を実行しうる任意のハードウェア装置又はシステムを使用して、種々の実施例が実装されてよい。
【0123】
本開示の実施例は、図13に示す航空機の製造及び保守方法1300、並びに図14に示す航空機1400に関連して、説明されうる。まず図13を参照するに、航空機の製造及び保守方法のブロック図が一実施例により示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法1300は、図14の航空機1400の仕様及び設計1302、並びに材料の調達1304を含みうる。
【0124】
製造段階では、航空機1400の構成要素及びサブアセンブリの製造1306と、システムインテグレーション1308とが行われる。その後、航空機1400は、認可及び納品1310を経て、運航1312に供されうる。顧客による運航1312中、航空機1400には、定期的な整備及び保守1314(改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含み得る)が予定される。
【0125】
航空機の製造及び保守方法1300の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、事業者、又はこれらのいくつかの組み合わせによって、実施又は実行されうる。これらの実施例では、事業者は顧客であってよい。本明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含みうるが、それらに限定される訳ではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるが、それらに限定される訳ではなく、事業者は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0126】
ここで図14を参照すると、実施例が実装されうる航空機のブロック図が示されている。この例では、航空機1400は、図13の航空機の製造及び保守方法1300によって製造され、かつ、複数のシステム1404及び内装1406を有する機体1402を含みうる。システム1404の例には、推進システム1408、電気システム1410、油圧システム1412、及び環境システム1414のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示しているが、種々の実施例は、自動車産業などの他の産業にも応用可能である。
【0127】
本明細書で具現化される装置及び方法は、図13の航空機の製造及び保守方法1300のうちの少なくとも1つの段階で採用されうる。
【0128】
一実施例では、図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306で製造される構成要素又はサブアセンブリは、図13の、航空機1400の運航1312の期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の様態で、作製又は製造されうる。図1にブロック形式で示す水分検出システム102及び図2にブロック形式で示す水分検出システム202は、構成要素及びサブアセンブの製造1306の間に又は航空機が運航中1312に製造された構成部品又はサブアセンブについて多孔質材料を検査するために利用されうる。
【0129】
さらに別の例としては、一又は複数の装置の例、方法の例、又はそれらの組み合わせが、図13の構成要素及びサブアセンブリの製造1306、及びシステムインテグレーション1308といった製造段階において利用されうる。図1の水分検出システム102及び図2の水分検出システム202は、構成要素及びサブアセンブリの製造1306、システムインテグレーション1308、並びに認可及び納品1310中に、構成要素又はサブアセンブリについて多孔質材料を検査するために利用されうる。これらの検査は、航空機1400を顧客に引き渡す前に実行されうる。他の例示的な実施例では、これらの検査は、整備及び保守1314中に実行されてもよい。
【0130】
一又は複数の装置の実施例、方法の実施例、又はこれらの組み合わせは、航空機1400の図13における運航1312中、整備及び保守1314中、又はその両方の最中に利用されうる。いくつかの異なる例示的な実施例を利用することによって、航空機1400の組み立ての大幅な効率化、航空機1400のコスト削減、又は航空機1400の組み立ての大幅な効率化と航空機1400のコスト削減の両方が可能になる。
【0131】
ここで、例示的な実施例による製品管理システムのブロック図を示す図15を参照する。製品管理システム1500は、物理的なハードウェアシステムである。この実施例では、製品管理システム1500は、製造システム1502、又は整備システム1504のうちの少なくとも一つを含みうる。
【0132】
製造システム1502は、図14の航空機1400などの製品を製造するように構成される。図示したように、製造システム1502は、製造設備1506を含む。製造設備1506は、加工設備1508又は組立設備1510のうちの少なくとも1つを含む。製造設備1506はまた、製造設備1506によって製造された構成要素を検査する際に使用するための図1の水分検出システム102及び図2の水分検出システム202を含みうる。
【0133】
加工設備1508は、航空機1400を形成するのに使用される部品用の構成要素を加工するために使用されうる設備である。例えば、加工設備1508は機械及びツールを含みうる。これらの機械及びツールは、ドリル、油圧プレス、加熱炉、金型、複合材テープレーヤー、真空システム、旋盤、又は他の適切な種類の設備のうちの少なくとも1つであってよい。加工設備1508を使用して、金属部品、複合材部品、半導体、回路、ファスナ、リブ、外板、スパー、アンテナ、又は他の適切な種類の部品のうちの少なくとも1つが加工されうる。
【0134】
組立設備1510は、航空機1400を形成する部品を組み立てるために使用される設備である。具体的には、組立設備1510を使用して、航空機1400を形成する構成要素及び部品が組み立てられてよい。組立設備1510は、機械及びツールもまた含みうる。このような機械及びツールは、ロボットアーム、クローラ、ファスナ設置システム、レールベースのドリルシステム、又はロボットのうちの少なくとも1つであってよい。組立設備1510を使用して、例えば、座席、水平安定板、翼、エンジン、エンジンハウジング、着陸ギアシステム等の部品、及び航空機1400の他の部品等の部品を組み立てることができる。
【0135】
この例示的な実施例では、整備システム1504は整備設備1512を含みうる。整備設備1512は、航空機1400の整備を実施するのに必要なあらゆる設備を含みうる。整備設備1512は、航空機1400の部品に種々の工程を実施するためのツールを含みうる。これらの工程は、部品の分解、部品の改修、部品の検査、部品の再加工、交換部品の製造、又は航空機1400の整備を実施するための他の工程のうちの、少なくとも1つを含みうる。これらの工程は、定期的整備、検査、アップグレード、改修、又は他の種類の整備工程であってよい。
【0136】
この例示的な実施例では、整備設備1512は、超音波検査装置、X線撮像システム、ビジョンシステム、ドリル、クローラ、及び他の適切な装置を含んでいてよい。例えば、整備設備1512はまた、複合サンドイッチパネル又は他の種類の適切な構成要素などの多孔質材料を検査する際に使用するための、図1にブロック形式で示される水分検出システム102及び図2にブロック形式で示される水分検出システム202を含みうる。ある場合には、整備設備1512は、整備に必要であり得る部品を生産し組み立てるための、加工設備1508、組立設備1510、又はこれらの両方を含みうる。
【0137】
製品管理システム1500は、制御システム1514もまた含む。制御システム1514は、ハードウェアシステムであり、ソフトウェア、又は他の種類の構成要素も含みうる。制御システム1514は、製造システム1502又は整備システム1504のうちの少なくとも1つの工程を制御するように構成される。具体的には、制御システム1514は、加工設備1508、組立設備1510、又は整備設備1512のうちの少なくとも1つの工程を制御しうる。
【0138】
制御システム1514のハードウェアは、コンピュータ、回路、ネットワーク、及び他の種類の設備を含みうるハードウェアを使用しうる。制御は、製造設備1506の直接制御の形態をとりうる。例えば、ロボット、コンピュータ制御機械、及び他の設備は、制御システム1514によって制御されうる。他の例示的な実施例では、制御システム1514は、図14における航空機1400の製造又は整備の実施において、作業人員1516によって実施される工程を管理しうる。例えば、制御システム1514は、任務を割り当てる、指示を与える、モデルを表示する、又は作業人員1516が実施する工程を管理するための他の工程を実施してよい。このような実施例は、航空機1400の製造又は整備のうちの少なくとも1つを管理するために、制御システム1514で実施されうる。
【0139】
例えば、管理は、図1のブロック形式で示される水分検出システム102及び図2のブロック形式で示される水分検出システム202を使用して行われる検査を含みうる。検出された水分のレベルに基づいて、制御システム1514は、検査された構成要素に関する再加工、交換、又は他の動作を開始するといった動作を実行しうる。さらに、水分検出システムは、複合サンドイッチパネルなどの構造内で検出された赤外線放射から水分のマップを生成しうる。熱画像中の赤外線放射の量は、構造中に存在する水分の量と相関している。
【0140】
このマップは、構成要素の再加工や交換が必要かどうかを判定するために使用されうる。さらに、再加工が発生するときに、マップはまた、再加工が実行されるべきかどうかを判定するために使用されてもよい。この判定は、他の設備を制御するために使用されるか、又は人間のオペレータ1516に送信される命令に変えられうる。
【0141】
種々の例示的な実施例において、作業人員1516は、製造設備1506、整備設備1512、又は制御システム1514のうちの少なくとも1つを操作しうるか、又は少なくとも1つと相互作用しうる。航空機1400を製造するために、この相互作用が実施されてよい。
【0142】
もちろん、製品管理システム1500は、航空機1400以外の他の製品を管理するように構成されてもよい。製品管理システム1500は、航空宇宙産業における製造に関連して記載されているが、製品管理システム1500は、他の産業の製品を管理するように構成されてもよい。例えば、製品管理システム1500は、自動車産業、及び任意の他の適切な産業の製品を製造するように構成することができる。
【0143】
更に、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
条項1. 水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビームのパルスを放射するように構成されたフェーズドアレイと;赤外線放射の量を検出するように構成された赤外線検出器システムと;フェーズドアレイ及び赤外線検出器システムと通信するコントローラであって、フェーズドアレイを制御して、フェーズドアレイによって放射された電磁放射ビームのパルスをビームステアリングし;電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムによって使用される時間窓と同期させ;赤外線検出器システムを制御して、時間窓内の赤外線放射の量を検出するように構成されたコントローラとを含む水分検出システム。
条項2. 赤外線放射の量が、航空宇宙機のための複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを示し、コントローラが、フェーズドアレイを制御して、フェーズドアレイによって放射された電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネルにビームステアリングし;複合サンドイッチパネルを加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムによって使用される時間窓と同期させ;赤外線検出器システムを制御して、複合サンドイッチパネルが電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、時間窓内の複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量を検出するように構成される、条項1に記載の水分検出システム。
条項3. コントローラが、フェーズドアレイを制御して、電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネル上の領域にビームステアリングし、かつ赤外線検出器システムを制御して、電磁放射ビームのパルスが複合サンドイッチパネル上の領域を加熱するときに、時間窓内の領域からの赤外線放射の量を検出する、条項2に記載の水分検出システム。
条項4. コントローラが、電磁放射ビームのパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいて、電磁放射ビームのパルスに対して複数の周波数を選択する、条項2又は3に記載の水分検出システム。
条項5. コントローラが、領域で検出された赤外線放射の量、及び複合サンドイッチパネル上の領域内に送られる電磁放射ビームのパルス中のエネルギーを使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを決定するように構成される、条項3又は4に記載の水分検出システム。
条項6. コントローラが、赤外線検出器システムを制御して、電磁放射システムが電磁放射ビームのパルスを送信する前に、背景赤外線放射の量を検出するように構成される、条項2から5のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項7. コントローラが、電磁放射ビームのパルス中のエネルギー、及び時間窓内で赤外線検出器システムによって検出された赤外線放射の量を使用して、複合サンドイッチパネルのための赤外線放射の量の熱画像を生成するように構成される、条項2から6のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項8. コントローラが、熱画像を使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のマップを生成するように構成される、条項2から7のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項9. 赤外線検出器システムの感度が高くなるように、複合サンドイッチパネルを加熱する電磁放射ビームのパルスに応じて、赤外線放射の量を検出するように時間窓が選択される、条項2から8のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項10. 電磁放射ビームのパルスが、約300MHzから約300GHzまでの間で選択される複数の周波数を有する、条項1から9のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項11. 複合サンドイッチパネルが、第1の表面シート、第2の表面シート、及び第1の表面シートと第2の表面シートとの間に位置するコアを含み、コアが、フォームコア、連続気泡フォームコア、独立気泡フォームコア、又はハニカムコアのうちの少なくとも1つから選択される、条項2から10のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項12. 航空宇宙機用の複合サンドイッチパネルが、飛行機、航空機、民間航空機、回転翼航空機、宇宙船、民間宇宙船、及び宇宙飛行機のうちの1つから選択される、条項2から11のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項13. 航空宇宙機用の複合サンドイッチパネル内の水分を検出するための方法であって、電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネルにビームステアリングすることであって、電磁放射ビームのパルスが、水分子によって吸収される複数の波長を有する、電磁放射ビームのパルスをビームステアリングすることと;複合サンドイッチパネルを加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムの時間窓と同期させることと;複合サンドイッチパネルが電磁放射ビームのパルスによって加熱されるとき、赤外線検出器システムの時間窓内で複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量を検出することであって、赤外線放射の量が、複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを示す、赤外線放射の量を検出することとを含む方法。
条項14. 電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネルにビームステアリングすることが、電磁放射ビームのパルスを複合サンドイッチパネル上の領域にビームステアリングすることと;複合サンドイッチパネル上の領域が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるとき、赤外線検出器システムの時間窓内で複合サンドイッチパネル内の赤外線放射の量を検出することとを含む、条項13に記載の方法。
条項15. 領域で検出された赤外線放射の量、及び複合サンドイッチパネル上の領域内に送られる電磁放射ビームのパルス中のエネルギーを使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを決定することをさらに含む、条項14に記載の方法。
条項16. 電磁放射ビームのパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいて、電磁放射ビームのパルスに対して複数の周波数を選択することをさらに含む、条項13から15のいずれか一項に記載の方法。
条項17. 電磁放射システムが電磁放射ビームのパルスを送信する前に、背景赤外線放射の量を検出することをさらに含む、条項13から16のいずれか一項に記載の方法。
条項18. 電磁放射ビームのパルス内のエネルギー、及び時間窓内で赤外線検出器システムによって検出された赤外線放射の量を使用して、複合サンドイッチパネルのための赤外線放射の量の熱画像を生成することをさらに含む、条項13から17のいずれか一項に記載の方法。
条項19. 熱画像を使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のマップを生成することをさらに含む、条項18に記載の方法。
条項20. 赤外線検出器システムの感度が高くなるように、複合サンドイッチパネルを加熱する電磁放射ビームのパルスに応じて、赤外線放射の量を検出するように時間窓が選択される、条項13から19のいずれか一項に記載の方法。
条項21. 複合サンドイッチパネルが、第1の表面シート、第2の表面シート、及び第1の表面シートと第2の表面シートとの間に位置するコアを含み、コアが、フォームコア、連続気泡フォームコア、独立気泡フォームコア、又はハニカムコアのうちの少なくとも1つから選択される、請求項13から20のいずれか一項に記載の方法。
条項22. 航空宇宙機が、飛行機、航空機、民間航空機、回転翼航空機、宇宙船、民間宇宙船、及び宇宙飛行機のうちの1つから選択される、条項13から21のいずれか一項に記載の方法。
条項23. 水分検出システムは、水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビームのパルスを放射するように構成されたフェーズドアレイと;多孔質材料中の水分のレベルを示す赤外線放射の量を検出するように構成された赤外線検出器システムと;フェーズドアレイを制御して、電磁放射ビームのパルスを多孔質材料の領域にビームステアリングし、多孔質材料を加熱するための電磁放射ビームのパルスのタイミングを、赤外線放射の量を検出するための赤外線検出器システムの時間窓と同期させ、赤外線検出器システムを制御して、多孔質材料が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるときに、時間窓内で多孔質材料上の領域内の赤外線放射の量を検出するように構成されたコントローラとを含む。
条項24. コントローラが、電磁放射ビームのパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいて、電磁放射ビームのパルスに対して複数の周波数を選択する、条項23に記載の水分検出システム。
条項25. コントローラが、領域で検出された赤外線放射の量、及び多孔質材料上の領域内に送られる電磁放射ビームのパルス中のエネルギーを使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを決定するように構成される、条項24に記載の水分検出システム。
条項26. コントローラが、赤外線検出器システムを制御して、電磁放射システムが電磁放射ビームのパルスを多孔質材料上の領域内に送信する前に、領域内の背景赤外線放射の量を検出するように構成される、条項23から25のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項27. コントローラが、電磁放射ビームのパルス中のエネルギー、及び時間窓内で赤外線検出器システムによって検出された赤外線放射の量を使用して、多孔質材料のための赤外線放射の量の熱画像を生成するように構成される、条項23から26のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項28. コントローラが、熱画像を使用して、領域内で多孔質材料中の水分のマップを生成するように構成される、条項23から27のいずれか一項に記載の水分検出システム。
条項29. 多孔質材料中の水分を検出するための方法であって、水分子によって吸収される複数の波長を有する電磁放射ビームのパルスを多孔質材料上の領域にビームステアリングすることと;電磁放射ビームのパルスのタイミングを同期させることと;多孔質材料上の領域が電磁放射ビームのパルスによって加熱されるとき、赤外線検出器システムの時間窓内で多孔質材料上の領域内の赤外線放射の量を検出することであって、赤外線放射の量が、多孔質材料中の水分のレベルを示す、赤外線放射の量を検出することとを含む方法。
条項30. 電磁放射ビームのパルスが複合サンドイッチパネルを浸透する所望の深さに基づいて、電磁放射ビームのパルスに対して複数の周波数を選択することをさらに含む、条項29に記載の方法。
条項31. 領域で検出された赤外線放射の量、及び複合サンドイッチパネル上の領域内に送られる電磁放射ビームのパルス中のエネルギーを使用して、複合サンドイッチパネル内の水分のレベルを決定することをさらに含む、条項29又は30に記載の方法。
条項32. 電磁放射システムが電磁放射ビームのパルスを多孔質材料上の領域内に送信する前に、領域内の背景赤外線放射の量を検出することをさらに含む、条項29から31のいずれか一項に記載の方法。
条項33. 電磁放射ビームのパルス内のエネルギー、及び時間窓内で赤外線検出器システムによって検出された赤外線放射の量を使用して、多孔質材料のための赤外線放射の量の熱画像を生成することをさらに含む、条項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
種々の例示的な実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものであって、網羅的な説明であること又は開示された形態の実施例に限定することが意図されているわけではない。動作又は工程を実行する構成要素が、種々の実施例によって説明される。例示的な実施例においては、構成要素は、記載された動作や工程を実行するように構成されうる。例えば、この構成要素は、実施例においてこの構成要素が実行すると記載されている動作又は工程を実行する能力をこの構成要素に提供する構造に対する構成又は設計を有しうる。
【0145】
したがって、例示的な実施例は、複合サンドイッチパネルなどの多孔質構造中の水分を検出することに関する問題を克服する一又は複数の解決策を提供する。一又は複数の解決策は、複合サンドイッチパネルを含む多孔質材料中の水分を検出する能力を提供しうる。コントローラは、電磁放射システム及び赤外線検出器システムの動作を制御して、時間窓を使用して水分レベルを検出する。時間窓の選択は、赤外線検出器システムの感度を高めることができる。
【0146】
当業者には、多くの修正形態及び変形形態が自明であるだろう。さらに、異なる実施例によって、他の実施例とは異なる特徴が提供されうる。選択された1つ以上の実施例は、実施例の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施例の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正例との理解を促すために、選択及び記述されている。
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