(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】半導体装置用焼結接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230404BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230404BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01L21/52 D
B22F1/00 L
B22F7/04 D
(21)【出願番号】P 2018196371
(22)【出願日】2018-10-18
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0016522
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒヨシ ミチアキ
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121648(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057645(WO,A1)
【文献】特開2017-041645(JP,A)
【文献】特開2015-018675(JP,A)
【文献】特開2007-080720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
B22F 1/00
B22F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板上に半導体チップを接合する焼結接合方法であって、
酸化第1銅(Cu
2O)ナノ粒子と、前記酸化第1銅ナノ粒子より大きい粒径を有する純銅(Cu)粒子と、を混合した銅ペーストを、前記金属基板上に塗布する塗布ステップと、
前記銅ペースト上に前記半導体チップを搭載する搭載ステップと、
前記半導体チップが搭載された金属基板の銅ペーストを還元雰囲気で加圧及び加熱する焼結ステップと、
を含み、
前記焼結ステップは、チャンバ内で
0.3MPa~1.0MPaの圧力を形成した還元雰囲気の下で実施されることを特徴とする半導体装置用焼結接合方法。
【請求項2】
前記銅ペーストは、10nm~100nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子と、を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項3】
前記銅ペーストは、10nm~100nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子、及び1.0
μm~10.0μmの粒径を有する純銅粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項4】
前記銅ペーストは、全含有量100重量%中に、前記酸化第1銅ナノ粒子の含有量が0.1重量%~5.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項5】
前記銅ペーストは、前記純銅粒子87.6~91.6重量%、前記酸化第1銅ナノ粒子0.1~5.0重量%、及び溶剤6.0~10.0重量%を混合して組成したものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項6】
前記焼結ステップでは、250℃~300℃の温度で前記銅ペーストを加熱して焼結させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項7】
前記銅ペーストは、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子とを含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【請求項8】
前記銅ペーストは、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子、及び1.0μm~10.0μmの粒径を有する純銅粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置用焼結接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用焼結接合方法に係り、より詳しくは、半導体チップを金属基板上に接合するための半導体装置用焼結接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、SiCパワーモジュール(Power Module)などの高温連続使用半導体に対するニーズが増加するにつれ、半導体のチップ(Chip)接合部の、高耐熱性、高信頼性がより優れた接合技術が求められている。それに従って、高耐熱性の接合技術として、銅ナノ粒子をバインダー内に分散させた銅ペーストの接合に用いる技術が広範に用いられてきている。
【0003】
通常、金属粒子は、粒子の大きさが小さくなるにつれて表面の原子数の比率が急増して不安定になり、粒子同士の接合が容易になる。したがって、焼結反応の低温化のためには、金属粒子を微細化させることが極めて有効である。
【0004】
ところが、純粋な銅粒子の場合には、微細化により銅粒子の酸化及び凝集反応も起こり易くなって、銅粒子の取り扱いが容易でなくなる。そのため、ナノ粒子としては、純銅でないものが好ましい。
亜酸化銅ナノ粒子は、酸化物であるので、極微細なサイズであっても極めて安定で材料の取り扱いが容易である。
【0005】
但し、亜酸化銅ナノ粒子は、材料が高価な上に、焼結性を高めるために、還元性雰囲気中で焼結を行う必要があり、また、粒径が極微細であるため、溶剤に分散させたペーストの銅密度が低く、焼結反応で体積収縮率が高いという欠点がある。更に、焼結反応と収縮反応が同時に進行するため、焼結接合層の内部に空孔、クラックなどが発生しやすいという問題が存在する。
また、亜酸化銅ナノ粒子の場合、緻密な焼結接合層を得るためには、接合部に個別的に高荷重の印加が必要であり、特に大面積を接合する半導体チップの接合材として適合しない。本出願は、2018年2月9日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0016522号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第2009-0037332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであって、高温で連続使用される半導体チップを金属基板上に接合させる時に、材料費を節減すると同時に、還元性雰囲気で銅ペーストを加熱して焼結させる時に、空孔やクラックの発生を抑制し、最適な高耐熱接合を実現できる半導体装置焼結接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、金属基板上に半導体チップを接合する焼結接合方法であって、酸化第1銅(Cu2O)ナノ粒子と、前記酸化第1銅ナノ粒子より大きい粒径を有する純銅(Cu)粒子とを混合した銅ペーストを金属基板上に塗布する塗布ステップと、前記銅ペースト上に半導体チップを搭載する搭載ステップと、前記半導体チップが搭載された金属基板の銅ペーストを還元雰囲気で加圧及び加熱する焼結ステップと、を含み、前記焼結ステップは、チャンバ内で0.3MPa~1.0MPaの圧力を形成した還元雰囲気の下で実施されることを特徴とする半導体装置用焼結接合方法を提供する。
【0009】
具体的には、前記銅ペーストは、10nm~100nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子とを含有するように組成され、より具体的には、前記銅ペーストは、10nm~100nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子と、1.0μm~10.0μmの粒径を有する純銅粒子と、を含有するように組成される。
【0010】
好ましくは、前記銅ペーストは、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子とを含有するように組成され、より好ましくは、前記銅ペーストは、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅粒子及び1.0μm~10.0μmの粒径を有する純銅粒子とを含有するように組成される。
【0011】
この時、前記銅ペーストは、全含有量100重量%中に、酸化第1銅ナノ粒子の含有量が0.1重量%~5.0重量%であり、具体的には、純銅粒子87.6~91.6重量%と、酸化第1銅ナノ粒子0.1~5.0重量%、及び溶剤6.0~10.0重量%を混合して組成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粒径の異なる純銅粒子と、酸化第1銅ナノ粒子と、を混合して銅密度を高めた低価格の銅ペーストを接合材として用い、これによって、銅ペーストの材料費を節減すると同時に、還元性雰囲気で銅ペーストを加熱して焼結させる時、空孔やクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る半導体装置の焼結接合方法を示す概念図である。
【
図2】本発明に係る半導体装置の焼結接合方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明に係る同一条件の銅ペーストを、水素100%雰囲気及び大気圧で、温度条件のみを変化させて焼結させた実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を当該技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように説明する。
【0015】
本発明は、SiCパワーモジュール(Power Module)などのように高温で連続使用される半導体チップを金属基板上に接合する焼結接合方法に係り、高温で連続使用される半導体チップを金属基板上に接合する時、純銅粒子と、酸化第1銅ナノ粒子とを混合して銅密度を高めた銅ペーストを接合材として用いることにより、銅ペーストの材料費を節減すると同時に、還元性雰囲気で銅ペーストを加熱して焼結する時に、空孔やクラックの発生を抑制し、最適な高耐熱接合を実現することができる。
【0016】
図1は、本発明に係る半導体装置の焼結接合方法を示す概念図であり、
図2は、本発明に係る半導体装置の焼結接合方法を示すフローチャートである。
図1及び
図2に示すように、まず、酸化第1銅(Cu
2O)ナノ粒子と、純銅(Cu)粒子とを混合した銅ペーストを、金属基板上に塗布する(S10)。
【0017】
銅ペーストは、酸化第1銅ナノ粒子と、純銅粒子、及び溶剤を混合して組成したものであって、純銅粒子は、酸化第1銅ナノ粒子より大きい粒径を有する1種又は2種の純銅粒子を用いることができ、酸化第1銅ナノ粒子は、純銅粒子より小さい粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子を用いる。
【0018】
更に、純銅粒子は、粒子の大きさを基準として1種又は2種の純銅マイクロ粒子を用いることができる。具体的には、1種の純銅粒子を用いる場合は、0.10μm~0.15μmの粒径を有する純銅マイクロ粒子を用いることができ、2種の純銅粒子を用いる場合には、0.10μm~0.15μmの相対的に小さい粒径を有する純銅マイクロ粒子と、1.0μm~10.0μmの相対的に大きい粒径を有する純銅マイクロ粒子と、を混合使用することができる。
【0019】
そして、酸化第1銅ナノ粒子は、銅ペーストの銅密度を高めるために、100nm以下、具体的には、10nm~100nmの粒径を有するものを用いることができ、好ましくは、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子を用いることができる。
【0020】
このように、純銅粒子より非常に小さい粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子を純銅粒子と混合して銅ペーストを組成することにより、銅ペーストの銅密度を増大させることができる。また、粒子の大きさの異なる2種の純銅粒子を混合して酸化第1銅ナノ粒子と共に用いる場合、銅ペーストの銅密度をより効果的に増大させることができる。
【0021】
銅ペーストは、銅ペーストの全含有量を100重量%とした場合に、0.1~5.0重量%の酸化第1銅ナノ粒子で満たされ、残りが純銅粒子と溶剤とで満たされる。
具体的な例として、純銅(Cu)粒子87.6~91.6重量%、酸化第1銅(Cu2O)ナノ粒子0.1~5.0重量%、及び溶剤6.0~10.0重量%を混合して組成した銅ペーストを挙げることができる。
【0022】
より具体的には、銅ペーストは、0.1μm~10.0μmの粒径を有する純銅粒子87.6~91.5重量%、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅(Cu2O)ナノ粒子0.1~5.0重量%、及び溶剤6.0~10.0重量%を混合して組成することができる。
【0023】
また、銅ペーストは、1.0μm~10.0μmの粒径を有する大きい純銅粒子43.8~45.8重量%、0.10μm~0.15μmの粒径を有する小さい純銅粒子43.8~45.8重量%、30nm~60nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子0.1~5.0重量%、及び溶剤6.0~10.0重量%を混合して組成することができる。
【0024】
この時、溶剤としては、アルファ-テルピネオール(α-Terpineol)などを用いることができる。
【0025】
このように組成された銅ペーストは、高価格の酸化第1銅ナノ粒子のみを用いる場合より低価格で組成可能であり、粒子が大きい純銅粒子のみを用いる場合より銅(Cu)含有量を高密度で組成可能であり、また、焼結時に空孔やクラックの発生を抑制し、高密度の緻密な接合材を得ることができるので、半導体チップを金属基板に接合するに際して最適な高耐熱接合を提供することができる。
【0026】
更に、互いに異なる粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子と純銅粒子とを最適な配合で混合することにより、銅ペーストの銅密度を効果的に増大させて、溶剤の含有量を減少させ、銅密度を高めた低価格の銅ペーストを提供することができる。
【0027】
このように銅密度が高い銅ペーストを用いた場合には、焼結接合後も銅密度が高く持続され、金属基板と半導体チップとの間の焼結接合層(銅ペースト)が空孔やクラックの発生なしに緻密に形成されて、焼結接合層の接合強度が増大するという特徴がある。ここで、酸化第1銅ナノ粒子は、熱プラズマ法で製造されたものを用いることが好ましく、金属基板は、銅基板などを用いることができる。
【0028】
酸化第1銅ナノ粒子の一般的な製造法は液状法であって、加水分解法、水熱合成法、液中還元法、晶析法などに分類されるが、このような製造法は、粒子の製造時に、粒子が汚染されやすく、粒子同士がくっつきやすく、また、粒径及び形状のばらつきが大きく、酸化されやすいという欠点がある。
【0029】
これに対して、熱プラズマ法で酸化第1銅ナノ粒子を製造する場合は、粒子の汚染が少なく、粒径及び形状が均一であり、価格が安いという利点があり、また、溶剤に対する分散性が良く、銅ペーストの組成時には、2種類の粒子の混合分散性を向上させることができるという特徴がある。
【0030】
更に、半導体チップは、通常、金属基板に接合される側の表面が、Ni層、及びAu薄膜層又はAg薄膜層からなり、酸化第1銅ナノ粒子は、還元反応によって半導体チップのNi層と良好に接合され、界面が強化される。
【0031】
次に、銅ペーストを塗布した金属基板上に半導体チップを搭載し(S11)、半導体チップを実装した金属基板を、還元雰囲気を形成したチャンバ内に投入して還元雰囲気中で加圧する(S12)。
【0032】
本発明は、銅ペーストの銅密度が高いため、別途の圧力を加えない無荷重状態(すなわち、大気圧)に維持されても銅ペーストを空孔やクラックの発生なしに緻密に焼結させることができるが、チャンバ内に0.3MPa~1.0MPaの圧力を形成することにより、より効果的な還元反応を誘導することが好ましい。
【0033】
次に、銅ペーストをチャンバ内の還元雰囲気中で250~300℃の温度で加熱して、酸化第1銅ナノ粒子を還元することにより(S13)、酸化第1銅ナノ粒子の銅ナノ粒子と純銅粒子とを焼結させる(S14)。 この時、酸化第1銅ナノ粒子が還元されて生成した銅ナノ粒子同士が焼結されるか、又は還元された銅ナノ粒子と純銅粒子とが焼結されて、金属基板と半導体チップとの接合が行われる。
【0034】
図3は、本発明に係る同一条件の銅ペーストを、水素100%雰囲気及び大気圧で、温度条件のみを変化させて焼結させた実験の結果を示すグラフである。
図3に示すように、銅ペーストは、280~300℃の温度で加熱される方が、剪断強度が最大になって好ましい。
【0035】
上記のように大気圧以上の還元雰囲気中で銅ペーストに個別的な付加荷重を加えずに直接に焼結接合する場合は、次の利点がある。
【0036】
1.還元雰囲気を提供する高圧チャンバ内で、ラック上に半導体チップを複数配列し、一括して焼結処理して金属基板に接合することが可能であり、それによって、高い生産性を確保することができる。
2.ペースト乾燥などの予備工程が不必要であり、30分以内に焼結接合処理が可能である。
3.銅ペーストに付加荷重を加えるためのプレス機構を用いる必要がなく、プレス機構に銅ペーストの加熱のために付着させたヒータを用いて銅ペーストを焼結させる必要がない。ヒータを用いた焼結時には、半導体装置の生産性が低くなり、費用も上昇する。
4.従来のプレス機構を用いる場合、銅ペーストに付加荷重を加える過程で半導体チップの表面にクラックなどによってえぐられたようなダメージを与える可能性が高く、高品質の維持が困難で、また半導体チップ内の圧力分布にばらつきが発生することがあるが、本発明では、プレス機構を用いる場合と同水準の接合強度を確保しながら、プレス機構を用いることによって生じる品質の低下及び性能の低下を防止することができる。
5.大気圧よりやや高い圧力の還元雰囲気下で半導体チップの中央部の溶剤を外部に排出することができるので、大面積の半導体チップの焼結接合に適合する。
【0037】
同時に、本発明では、銅ペーストの代わりに銀ペーストを金属基板上に塗布し、銀ペースト上に半導体チップを搭載して焼結接合することも可能である。
【0038】
更に、銀ペーストは、酸化第1銀(Ag2O)ナノ粒子と、酸化第1銀ナノ粒子より大きい粒径を有する純銀(Ag)粒子と、を混合組成したものが用いられる。そして、酸化第1銀(Ag2O)ナノ粒子と純銀(Ag)粒子の含有量及び粒径などの特徴は、酸化第1銅ナノ粒子と純銅粒子の含有量及び粒径などの特徴が同一に適用可能である。
【0039】
一方、下記表1は、互いに異なる粒径を有する2種の純銅粒子及び酸化第1銅ナノ粒子を混合して銅ペーストを製造した場合(A)と、互いに異なる粒径を有する2種の純銅粒子を混合して銅ペーストを製造した場合(B)と、における、焼結処理による焼結接合層(焼結された銅ペースト)の剪断強度を比較して示すものである。
【0040】
【0041】
表1に示すように、2種の純銅粒子を混合して製造した銅ペースト(B)に比べて、2種の純銅粒子及び酸化第1銅ナノ粒子を混合して製造した銅ペースト(A)の剪断強度がはるかに高いことを確認することができた。
【0042】
また、下記表2は、互いに異なる粒径を有する2種の純銅粒子及び酸化第1銅ナノ粒子を混合して銅ペーストを製造するが、酸化第1銅ナノ粒子の配合比(含有量)を変化させて製造した銅ペースト(A’、C)の焼結処理による焼結接合層(焼結された銅ペースト)の剪断強度を比較して示すものである。この時、300℃で60分間加熱して焼結処理をした。
【0043】
【0044】
表2に示すように、相対的に酸化第1銅ナノ粒子の配合比が小さい銅ペースト(A’)に比べて、酸化第1銅ナノ粒子の配合比が大きい銅ペースト(C)の剪断強度がはるかに高いことを確認することができた。更に、銅ペーストの製造時、酸化第1銅ナノ粒子の含有量の最適化によって、銅ペーストの焼結による焼結接合層(金属基板と半導体チップとの間の焼結接合層)の剪断強度の極大化が可能であることを確認することができた。
【0045】
この時、銅ペースト(A’)は、0.13μmの粒径を有する純銅粒子43.8重量%、1μmの粒径を有する純銅粒子43.8重量%、30nmの粒径を有する酸化第1銅ナノ粒子4.4重量%、溶剤8.0重量%を混合して組成された銅ペーストを用いた。
【0046】
一方、表2の銅ペースト(A’)は、表1の銅ペースト(A)と粒子配合比は同一であるが、焼結処理時の温度及び時間条件などが異なるため、銅ペースト(A)と銅ペースト(A’)とに剪断強度の差が存在するのである。