(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】データ収集装置、データ収集システム、データ収集方法および端末装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230404BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230404BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230404BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/01 A
G08G1/13
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2019027774
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木ノ下 寛
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-083815(JP,A)
【文献】特開2012-155516(JP,A)
【文献】特開2002-257556(JP,A)
【文献】特開2009-211509(JP,A)
【文献】特開2017-016483(JP,A)
【文献】特開2009-134704(JP,A)
【文献】特開2018-181226(JP,A)
【文献】特開2016-095184(JP,A)
【文献】特開2005-115687(JP,A)
【文献】特開2008-021181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06T 1/00
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G07C 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えたデータ収集装置であって、
前記制御部は、
各車両に搭載された車載装置から、車両に関し動的に変化する
複数種の車両データを収集
し、
収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像
であって、前記車両の乗員を模したキャラクタを含むアニメーション画像を端末装置に表示させ
、
複数種の前記車両データのそれぞれの変化に応じて、1つの前記キャラクタにおいて前記車両データに対応する部位を変化させること
を特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
制御部を備えたデータ収集装置であって、
前記制御部は、
各車両に搭載された車載装置から、車両に関し動的に変化する車両データ
であって、前記車両のアクセルペダルの操作量を示すデータ、前記車両のブレーキペダルの操作量を示すデータおよび前記車両のハンドルの操舵角を示すデータを含む車両データを収集
し、
収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像
であって、前記車両の乗員を模したキャラクタを含むアニメーション画像を端末装置に表示させ
、
複数種の前記車両データのそれぞれの変化に応じて、1つの前記キャラクタにおいて前記車両データに対応する部位を変化させること
を特徴とするデータ収集装置。
【請求項3】
制御部を備えたデータ収集装置であって、
前記制御部は、
各車両に搭載された車載装置から、車両に関し動的に変化する車両データ
であって、前記車両において検出された振動を示す振動データを含む車両データを収集
し、
収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像を端末装置に表示させ
、
収集された前記振動データに応じて前記端末装置を振動させること
を特徴とするデータ収集装置。
【請求項4】
前
記制御部は、
前記車両データを示すグラフ画像を、前記アニメーション画像とともに前記端末装置に表示させること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記車両データは、
前記車両の周囲を撮像した動画データを含み、
前
記制御部は、
前記動画データを、前記アニメーション画像とともに前記端末装置に表示させること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前
記制御部は、
地図上において前記車両データが収集された位置に前記アニメーション画像を表示させるとともに、前記アニメーション画像を前記車両データが収集された車両の進行方向に対応するように表示させること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記車両データは、
前記車両において検出された音を示す音データを含み、
前記制御部は、
収集された前記音データに応じて前記端末装置から音を出力させる
こと
を特徴とする請求項1~
6のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項8】
前記制御部は、
収集された前記車両データに応じた音を生成し、生成された音を前記端末装置から出力させる
こと
を特徴とする請求項1~
7のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記車両データにおいてユーザによって選択された範囲を示す選択範囲情報を前記端末装置から受け付け
、
受け付けた前記選択範囲情報に含まれる範囲の前記車両データに応じて変化する前記アニメーション画像を表示させること
を特徴とする請求項1~
8のいずれか一つに記載のデータ収集装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一つに記載のデータ収集装置と、
前記データ収集装置に対して、車両に関し動的に変化する車両データを送信する車載装置と、
前記データ収集装置によって収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像を表示する端末装置と
を備えることを特徴とするデータ収集システム。
【請求項11】
各車両に搭載された車載装置から、車両に関し動的に変化する
複数種の車両データを収集する収集工程と、
前記収集工程によって収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像
であって、前記車両の乗員を模したキャラクタを含むアニメーション画像を端末装置に表示させる表示制御工程と
を含
み、
前記表示制御工程は、
複数種の前記車両データのそれぞれの変化に応じて、1つの前記キャラクタにおいて前記車両データに対応する部位を変化させること
を特徴とするデータ収集方法。
【請求項12】
各車両に搭載された車載装置から収集された車両に関する車両データであって、動的に変化する
複数種の車両データに応じて変化
し前記車両の乗員を模したキャラクタを含むアニメーション画像を
、複数種の前記車両データのそれぞれの変化に応じて、1つの前記キャラクタにおいて前記車両データに対応する部位を変化させて表示する表示部
を備えることを特徴とする端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集装置、データ収集システム、データ収集方法および端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各車両に搭載された車載装置から道路情報を収集するデータ収集装置が知られている。かかるデータ収集装置では、各車両の位置情報に基づき、道路情報の収集対象となる車両を選別することで、所望する位置の道路情報を収集する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、データ収集装置によって収集された各種のデータは、例えば、データ利用者の端末装置に提供されて表示される。このとき、従来技術にあっては、収集されたデータが波形などのグラフ画像で端末装置に表示されることから、データ利用者は、かかるグラフ画像を見ながら、車両の挙動や車両に発生した事象など車両の状態の分析を行っていた。
【0005】
しかしながら、データ利用者は、波形などのグラフ画像からでは、車両の状態を直感的に把握しにくかった。このように、従来技術には、収集された車両データに基づく車両の状態の把握を容易にするという点で、さらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、収集された車両データに基づく車両の状態の把握を容易にすることができるデータ収集装置、データ収集システム、データ収集方法および端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、データ収集装置において、収集部と、表示制御部とを備える。収集部は、各車両に搭載された車載装置から、車両に関し動的に変化する車両データを収集する。表示制御部は、前記収集部によって収集された前記車両データに応じて変化するアニメーション画像を端末装置に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収集された車両データに基づく車両の状態の把握を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、利用者端末の画面の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、アニメーション画像の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、アニメーション画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、アニメーション画像の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るデータ収集装置が実行する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1変形例に係るデータ収集装置の構成を示すブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、第2変形例における利用者端末の画面の一例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、第2変形例における利用者端末の画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するデータ収集装置、データ収集システム、データ収集方法および端末装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、実施形態に係るデータ収集システムの概要について、
図1A~
図1Cを用いて説明する。
図1A~
図1Cは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【0012】
図1Aに示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車両V-1,V-2,V-3…にそれぞれ搭載された車載装置100-1,100-2,100-3…と、利用者端末200とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置100」と、それぞれ記載する。
【0013】
また、以下では、車両Vが自動運転車両であり、各車両Vにそれぞれ搭載された車両制御モデルによって自動運転制御されるものとするが、これに限定されるものではない。すなわち、車両Vは、自動運転制御されない車両であってもよい。
【0014】
データ収集装置10は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、データ利用者から車両Vに関するデータ(以下、車両データと記載する)の収集要求を受け付けるとともに、受け付けた収集要求に基づき、各車載装置100から車両データを収集する。そして、データ収集装置10は、収集された車両データを利用者へ提供する。なお、車両データには、後述するように、車両Vのハンドルの操舵角やアクセルペダルの操作量など、車両Vの走行等に伴い動的に変化するデータが含まれる。
【0015】
車載装置100は、例えばカメラ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ、車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、操舵角センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置であって、データ収集装置10が受け付けた収集要求を取得し、かかる収集要求に応じた車両データを車両Vから取得する。
【0016】
上記したカメラは、例えば車両Vの周囲を撮像して動画データを出力することができる。また、加速度センサは車両Vに作用する加速度を検出し、GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。車速センサは、車両Vの車速を検出する。また、アクセルセンサは、アクセルペダルの操作量を検出し、ブレーキセンサは、ブレーキペダルの操作量を検出する。また、操舵角センサは、車両Vのハンドルの操舵角を検出する。なお、車載装置100としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。
【0017】
また、車載装置100は、取得した車両データをデータ収集装置10へ適宜アップロードする。このようにドライブレコーダを車載装置100として兼用することによって、車両Vへ搭載する車載部品を効率化することができる。なお、兼用することなく、車載装置100とドライブレコーダとを別体で構成してもよい。
【0018】
利用者端末200は、データ利用者が利用する端末であり、例えばノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップ型PC、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)などである。なお、利用者端末200は、端末装置の一例であり、データ利用者は、ユーザの一例である。
【0019】
実施形態に係るデータ収集システム1では、利用者端末200を介して指定された収集条件を元に、データ収集装置10が車載装置100から車両データを収集し、利用者端末200へ提供することができる。そして、利用者端末200のデータ利用者は、提供された車両データを用いることで、車両データを収集した車両Vの挙動や車両Vに発生した事象などを分析することができる。
【0020】
以下、
図1A~
図1Cを用いて、データ収集システム1においてデータ利用者へ車両データが提供されるまでの一連の流れについて説明する。
図1Aに示すように、まずデータ利用者は、データ収集装置10と接続された利用者端末200により収集条件を指定する。
【0021】
ここで、上記した収集条件には、収集のトリガとなる条件など各種パラメータが含まれ、かかる収集のトリガとなる条件の一例としては、例えば車両Vにおいて自動運転が実行されている状態から自動運転が解除された状態になった場合であるが、これに限られない。すなわち、トリガとなる条件は、車速が所定速を超えた場合などその他の条件であってもよい。
【0022】
また、収集条件が指定される際に、データ収集装置10は、収集することとなる実データR(車両データの一例)に付加され、かかる実データRの検索や概要把握に用いられるインデックスデータとしての特性を有するタグデータTの生成用データを生成する。すなわち、タグデータTとは、実データRがメタ情報化されたメタデータである。なお、かかるタグデータTの生成用データは、利用者端末200あるいはデータ収集装置10に記憶されたプログラムや生成用データを用いつつ、データ利用者の操作に基づいて生成される。
【0023】
そして、指定された収集条件や、生成されたタグデータTの生成用データは、データ収集装置10に記憶されるとともに、データ収集の対象となる車両Vへ配信されて、車載装置100にも記憶される。
【0024】
次に、各車載装置100は、各種センサの出力データを監視し、記憶している収集条件を満たすイベント(ここでは、例えば自動運転の解除)が発生した場合に、出力データや動画データ等の実データRを記憶デバイスに記憶する。
【0025】
各車載装置100は、記憶しているタグデータTの生成用データと実データRとに基づき、当該実データRに対応するタグデータTを生成して記憶する。そして、各車載装置100は、タグデータTをデータ収集装置10にアップロードし、データ収集装置10はそのタグデータTを記憶する。なお、このとき、実データRは、データ収集装置10へはアップロードされない。つまり、
図1Aに示すように、データ収集装置10は、タグデータTのみを保有した状態となる。
【0026】
そして、データ利用者が、利用者端末200により、収集状況の確認や実データRの収集のためにデータ収集装置10と接続すると、データ収集装置10により収集されたタグデータTに基づくメタ情報が利用者端末200に表示される。
【0027】
そして、
図1Bに示すように、データ利用者が、利用者端末200により、収集する実データRに対応するタグデータTを指定すると、データ収集装置10を介して該当の車載装置100へ実データRを指定する指示データが送信される。
【0028】
その後、
図1Cに示すように、指定された実データRが、各車載装置100からデータ収集装置10へアップロードされ、データ収集装置10に記憶される。そして、データ利用者が、利用者端末200により、データ収集装置10に記憶された実データRにアクセスして、かかる実データRの閲覧やダウンロードなどを行う。
【0029】
ここで、利用者端末200に提供された実データRが、例えば波形などのグラフ画像のみで表示されると、データ利用者は、かかるグラフ画像を見ながら、車両Vの挙動などの車両Vの状態を把握しなければならず、データ利用者によっては把握がむずかしいことがあった。
【0030】
そこで、本実施形態に係るデータ収集装置10にあっては、収集された実データRに基づく車両Vの状態の把握を容易にするような構成とした。具体的には、データ収集装置10は、動的に変化する実データR(車両データの一例)に応じて変化するアニメーション画像を利用者端末200に表示させるようにした。なお、アニメーション画像については、
図4などを用いて後述する。
【0031】
これにより、データ利用者は、実データRに応じて変化するアニメーション画像を確認することで、車両Vの状態を直感的に、容易に把握することが可能になる。
【0032】
なお、車載装置100のデータ容量の観点からは、データ収集装置10にアップロードされた実データRおよびこれに対応するタグデータTは、データ収集装置10へのアップロード後に車載装置100から削除されることが好ましい。
【0033】
また、タグデータTは、実データRの一部を単純に抜粋したようなデータではなく、データ利用者が参照したときに実データRの概要を把握し、実データRの要否を判断できる程度にメタ情報化されていることが好ましい。
【0034】
以下、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0035】
図2は、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0036】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0037】
また、
図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0038】
図2に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車載装置100と、利用者端末200とを含む。
【0039】
まず、データ収集装置10から説明する。データ収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0040】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置100や、利用者端末200との間で情報の送受信を行う。
【0041】
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集条件情報DB12aと、収集データDB12bとを記憶する。
【0042】
収集条件情報DB12aは、利用者端末200から指定され、後述する受付部13aによって受け付けられた収集条件が蓄積される。すなわち、収集条件情報DB12aは、収集条件に関する過去の実績を含む。
【0043】
収集条件には、車両データの収集に関する各種パラメータが含まれる。例えば、各種パラメータは、対象となる車両Vの識別子や、収集対象となるデータの種別、収集のトリガとなる条件、収集する期間などである。
【0044】
収集データDB12bは、後述する収集部13cによって各車載装置100から収集された収集データが蓄積される。すなわち、収集データDB12bは、収集データの過去の実績を含む。なお、収集データは、前述のタグデータTや実データRなどを含む。
【0045】
ここで、
図3を用いて、収集データDB12bに格納される収集データについて説明する。
図3は、収集データの一例を示す図である。
図3に示すように、収集データには、「タグID」、「車両ID」、「車速」、「アクセル」、「ブレーキ」、および「操舵角」等の項目が含まれる。
【0046】
「タグID」は、タグデータTを識別する識別情報である。「車両ID」は、車両Vを識別する識別情報である。「車速」は、車両Vの車速を示す情報である。なお、
図3に示す例では、便宜上、「車速」を「車速D1」といったように抽象的な記載とするが、「車速D1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0047】
「アクセル」は、アクセルペダルの操作量を示す情報であり、「ブレーキ」は、ブレーキペダルの操作量を示す情報である。また、「操舵角」は、車両Vのハンドルの操舵角を示す情報である。
【0048】
図3に示す例において、タグID「T1」で識別されるデータは、車両IDが「A01」、車速が「車速D1」、アクセルが「E1」、ブレーキが「ブレーキF1」、操舵角が「操舵角G1」であることを示している。
【0049】
図2の説明に戻ると、制御部13は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、データ収集装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0050】
制御部13は、受付部13aと、配信部13bと、収集部13cと、提供部13dと、表示制御部13eとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0051】
受付部13aは、データ利用者により、利用者端末200から指定された収集条件を通信部11を介して受け付け、配信部13bへ通知する。また、受付部13aは、データ利用者により指定された収集条件を収集条件情報DB12aへ格納する。
【0052】
また、受付部13aは、後述するように、実データRにおいてデータ利用者によって選択された範囲N1(
図4参照)を示す選択範囲情報を利用者端末200から受け付ける。受付部13aは、受け付けた選択範囲情報を表示制御部13eへ通知する。
【0053】
配信部13bは、収集条件情報DB12aへ格納され、データ利用者によって指定された収集条件を、対象車両となる車両Vへ、例えばファイル形式で通信部11を介して配信する。
【0054】
収集部13cは、配信部13bによって配信された収集条件に基づいて取得された車両データであって、車載装置100からアップロードされるタグデータTや実データRを、通信部11を介して収集し、収集データとして収集データDB12bへ蓄積する。
【0055】
提供部13dは、収集データDB12bに蓄積された収集データを、例えば利用者端末200に対して提供する。例えば、提供部13dは、指定された実データRを利用者端末200へ提供する。
【0056】
表示制御部13eは、収集された実データRに応じて変化するアニメーション画像を利用者端末200に表示させる。
【0057】
ここで、
図4を用いて、アニメーション画像などが表示された利用者端末200について説明する。
図4は、アニメーション画像が表示された利用者端末200の画面201の一例を示す図である。
【0058】
図4に示すように、利用者端末200の画面201には、アニメーション画像210、地図情報211、動画データ220およびグラフ画像230などが表示される。なお、画面201は、表示部の一例である。
【0059】
アニメーション画像210は、上記したように、実データRに応じて変化する。例えば、アニメーション画像210は、車両Vの乗員(ここではドライバ)を模したキャラクタHを含む。
【0060】
例えば、表示制御部13eは、実データRに含まれる操舵角のデータが変化すると、操舵角の変化に応じてキャラクタHのハンドルを握る腕を変化させる。また、表示制御部13eは、実データRに含まれるアクセルのデータが変化すると、アクセルの変化に応じてキャラクタHの右足を変化させる。詳しくは、表示制御部13eは、アクセルのデータがアクセルペダルを踏み込まれるように変化した場合、キャラクタHの右足が伸びるように変化させる。
【0061】
同様に、表示制御部13eは、実データRに含まれるブレーキのデータが変化すると、ブレーキの変化に応じてキャラクタHの左足を変化させる。詳しくは、表示制御部13eは、ブレーキのデータがブレーキペダルを踏み込まれるように変化した場合、キャラクタHの左足が伸びるように変化させる。
【0062】
このように、表示制御部13eは、実データRに応じてキャラクタHを変化させるようにしたので、データ利用者による車両Vの状態の把握を容易にすることが可能になる。
【0063】
また、表示制御部13eは、上記したように、複数種の実データR(ここでは、操舵角、アクセルおよびブレーキ)にそれぞれ対応して1つのキャラクタHを変化させるようにした。詳しくは、表示制御部13eは、複数種の実データR(ここでは、操舵角、アクセルおよびブレーキ)にそれぞれ対応して1つのキャラクタHにおける実データ種対応部位(ここでは、腕、右足および左足)を変化させるようにした。
【0064】
これにより、データ利用者は、例えば、操舵角、アクセルおよびブレーキの3つの情報を1つのキャラクタHを見るだけで把握することが可能になり、結果として車両Vの状態を容易に把握することができる。また、実データRの種類ごとにキャラクタHの動く部位が決まっているので、データ利用者は変化しているのはどの情報かと言った点を混乱なく把握できる。
【0065】
また、表示制御部13eは、地図情報211の地図上において実データRが収集された位置にアニメーション画像210(すなわちキャラクタH)を表示させるようにした。これにより、データ利用者は、実データRが収集された位置を容易に把握することができる。
【0066】
また、表示制御部13eは、アニメーション画像210(すなわちキャラクタH)を実データRが収集された車両Vの進行方向に対応するように表示させるようにした。かかる点について
図5Aおよび
図5Bを参照して説明する。
【0067】
図5Aおよび
図5Bは、アニメーション画像210の一例を示す図である。なお、
図5Aおよび
図5Bにおいて示す矢印は、車両Vの進行方向を示しているものとする。また、
図5Aおよび
図5Bでは、北の方角が常に地図の上方となる、いわゆるノースアップ表示を例に挙げている。
【0068】
図5Aに示すように、車両Vの進行方向が地図上の左である場合、表示制御部13eは、アニメーション画像210のキャラクタHが左向きになるように表示させる。また、
図5Bに示すように、車両Vの進行方向が地図上の下になった場合、表示制御部13eは、アニメーション画像210のキャラクタHが下向きになるように表示させる。
【0069】
このように、表示制御部13eは、アニメーション画像210を車両Vの進行方向に対応するように表示させることで、車両Vの向きを含めて車両Vの状態の把握を容易にすることができる。
【0070】
なお、上記では、アニメーション画像210がキャラクタHを含むようにしたが、これに限定されるものではない。
図6は、アニメーション画像210の変形例を示す図である。
【0071】
図6に示すように、例えば、車両Vの進行方向が上向きで固定されるような地図情報である、いわゆるヘッドアップ表示である場合、表示制御部13eは、キャラクタHに代えて、ハンドルKとアクセルペダルLとブレーキペダルMなどを含むアニメーション画像210などを用いてもよい。かかる構成であっても、車両Vの状態の把握を容易にすることができる。
【0072】
なお、
図6の例では、アニメーション画像210にキャラクタHが表示されないようにしたが、これに限られず、後ろ向きのキャラクタHを表示させるようにしてもよい。
【0073】
図4の説明に戻ると、データ利用者の利用者端末200への操作により、範囲N1が選択されると、表示制御部13eは、選択された範囲N1の実データRに応じてアニメーション画像210のキャラクタHを変化させるようにしてもよい。
【0074】
これにより、データ利用者は、確認したい実データRを範囲N1で絞り込んで、キャラクタHを見ることで、車両Vの状態をより一層容易に把握することができる。
【0075】
動画データ220は、実データRに含まれるデータであり、車両Vの周囲を撮像したデータである。また、動画データ220は、表示制御部13eによってアニメーション画像210とともに、同じ画面201に表示される。
【0076】
これにより、データ利用者は、アニメーション画像210および動画データ220の両方を確認することができ、よって車両Vの状態を把握し易くすることが可能になる。
【0077】
グラフ画像230は、実データRに含まれるデータであり、車両Vの車速やアクセルなどのデータである。また、グラフ画像230は、表示制御部13eによってアニメーション画像210とともに、同じ画面201に表示される。なお、
図4においてグラフ画像230として、車速、アクセル、ブレーキおよび操舵角を示したが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0078】
これにより、データ利用者は、アニメーション画像210およびグラフ画像230の両方を確認することができ、よって車両Vの状態を把握し易くすることが可能になる。
【0079】
次に、
図2に示す車載装置100について説明する。車載装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100は、上述したように、カメラ、加速度センサ、GPSセンサなどの各種センサ150が接続される。
【0080】
通信部101は、通信部11と同様に、例えばNIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、データ収集装置10との間で情報の送受信を行う。また、通信部101は、各種センサ150の出力データを受信する。
【0081】
記憶部102は、記憶部12と同様に、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集条件情報102aと、車両データ情報102bとを記憶する。
【0082】
収集条件情報102aは、データ収集装置10から配信された収集条件を含む情報である。車両データ情報102bは、後述する採取部103cによって採取された車両データを含む情報である。なお、車両データは、前述のタグデータTおよび実データRを含む。
【0083】
制御部103は、制御部13と同様に、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、車載装置100内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0084】
制御部103は、取得部103aと、検出部103bと、採取部103cと、生成部103dと、アップロード部103eとを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0085】
取得部103aは、データ収集装置10から配信された収集条件を取得し、収集条件情報102aへ格納する。検出部103bは、各種センサ150からの出力データを監視し、収集条件においてトリガとなる事象の発生を検出する。
【0086】
例えば検出部103bは、収集条件において車両データを採取するトリガとなる事象の発生を検出した場合に(ここでは自動運転の解除が行われた場合に)、採取部103cに車両データを採取させる。また、例えば検出部103bは、収集条件において車両データをデータ収集装置10へアップロードさせるトリガとなる事象の発生を検出した場合に、アップロード部103eに車両データをアップロードさせる。
【0087】
採取部103cは、検出部103bによって車両データを採取するトリガの発生が検出された場合に、各種センサ150の出力データに基づく車両データを採取して車両データ情報102bへ格納する。また、採取部103cは、検出部103bによって車両データの採取を停止するトリガの発生が検出された場合に、車両データの採取を停止する。
【0088】
アップロード部103eは、検出部103bによって車両データをアップロードするトリガの発生が検出された場合に、車両データ情報102bに格納された車両データをデータ収集装置10へアップロードする。なお、アップロード部103eは、送信部の一例である。
【0089】
次に、
図7を用いて、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理の処理手順を示すフローチャートであり、詳しくはデータ収集装置10が実行するアニメーション画像210の表示処理などの手順を示すフローチャートである。
【0090】
図7に示すように、まず、データ収集装置10の制御部13は、車両データを車載装置100から収集する(ステップS10)。そして、制御部13は、収集された車両Vに基づいてアニメーション画像210、例えばキャラクタHを生成する(ステップS11)。
【0091】
次いで、制御部13は、生成されたアニメーション画像210を利用者端末200に表示させる(ステップS12)。
【0092】
上述してきたように、実施形態に係るデータ収集装置10は、収集部13cと、表示制御部13eとを備える。収集部13cは、各車両に搭載された車載装置100から、車両Vに関し動的に変化する車両データを収集する。表示制御部13eは、収集部13cによって収集された車両データに応じて変化するアニメーション画像210を利用者端末200に表示させる。これにより、収集された車両データに基づく車両Vの状態の把握を容易にすることができる。
【0093】
なお、上記では、データ収集装置10は、アニメーション画像210を用いて車両の状態の把握を容易にするようにしたが、これに限定されるものではない。かかる点について、
図8を参照して説明する。
図8は、第1変形例に係るデータ収集装置10の構成を示すブロック図である。
【0094】
図8に示すように、第1変形例に係るデータ収集装置10の制御部13は、振動制御部13fと、音制御部13gとをさらに備える。
【0095】
ここで、車載装置100は、車両Vの振動を検出する振動センサや車両Vの音を集音するマイクセンサなどを含む各種センタに接続される。そして、車両データには、車両Vにおいて検出された振動を示す振動データや、車両Vにおいて検出された音を示す音データが含まれる。かかる振動データや音データは、実データRとしてデータ収集装置10に収集される。
【0096】
データ収集装置10の振動制御部13fは、利用者端末200のバイブレーション機能を利用し、振動データに応じて利用者端末200を振動させることができる。これにより、データ利用者は、車両の状態を触覚で容易に把握することが可能になる。
【0097】
音制御部13gは、利用者端末200のスピーカ機能を利用し、音データに応じて利用者端末200から音を出力させることができる。これにより、データ利用者は、車両の状態を聴覚で容易に把握することが可能になる。
【0098】
また、音制御部13gは、収集された実データRに応じた音を生成し、生成された音を利用者端末200から出力させるようにしてもよい。例えば、音制御部13gは、実データRに含まれる車速が比較的高いときは高い音を、車速が比較的低いときは低い音を生成し、生成された音を利用者端末200から出力させてもよい。
【0099】
これにより、上記したマイクセンサなどが不要になるとともに、データ利用者に対し、車両の状態を聴覚で容易に把握させることが可能になる。
【0100】
次に、第2変形例に係るデータ収集装置10について
図9Aおよび
図9Bを参照して説明する。
図9A,
図9Bは、第2変形例において、アニメーション画像210が表示された利用者端末200の画面201の一例を示す図である。
【0101】
第2変形例では、車両Vが自動運転であるか、手動運転であるかを示す運転状態情報が実データR(車両データの一例)に含まれるものとする。かかる運転状態情報は、車載装置100からデータ収集装置10(
図2参照)へ収集される。そして、データ収集装置10の表示制御部13e(
図2参照)は、
図9A等に示すように、運転状態情報に応じたアニメーション画像210やグラフ画像230aを利用者端末200の画面201に表示させる。
【0102】
図9Aに示すように、グラフ画像230aは、車両Vが自動運転であるか、手動運転であるかを示すデータである。なお、
図9Aの例では、グラフ画像230aは、車両Vにおいて自動運転が実行されている状態から途中で手動運転に切り替わったこと(すなわち自動運転が解除されたこと)を示している。
【0103】
運転状態情報に応じたアニメーション画像210としては、例えば、車両Vが自動運転であるか手動運転であるかに応じて変化するキャラクタHaを用いることができる。表示制御部13e(
図2参照)は、
図9Aに示すように、時点J1において車両Vが自動運転である場合、例えば自動運転であることを示すロボット型マークをキャラクタHaとして利用者端末200の画面201に表示させる。
【0104】
他方、表示制御部13eは、
図9Bに示すように、時点J2において車両Vが手動運転である場合、例えば手動運転であることを示す人型マークをキャラクタHaとして利用者端末200の画面201に表示させる。
【0105】
これにより、データ利用者は、キャラクタHaを含むアニメーション画像210を確認することで、車両Vが自動運転であるか手動運転であるかを容易に把握することが可能になる。
【0106】
なお、上記した第2変形例では、キャラクタHaをロボット型マークや人型マークとしたが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではなく、その他のキャラクタを用いてもよい。また、車両Vが自動運転であるか手動運転であるかを、アニメーション画像210における色を変えて表示させたり、アニメーション画像210の枠の色を変えて表示させたりするなど、その他の手法によって表示させてもよい。
【0107】
なお、上記した実施形態や各変形例では、キャラクタHをドライバとしたが、これに限定されるものではなく、例えば助手席の乗員などをアニメーション画像210のキャラクタHとして表示させてもよい。
【0108】
また、上記では、車両データに応じてキャラクタHの腕などを動かすようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、車両データに応じ、例えばキャラクタHの腕や足の色を変化させたり、大きさを変化させたりしてもよい。
【0109】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 データ収集システム
10 データ収集装置
13a 受付部
13c 収集部
13e 表示制御部
13f 振動制御部
13g 音制御部
100 車載装置
200 利用者端末