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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】CO2高含有氷を含有する洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/44 20060101AFI20230404BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C11D7/44
C11D17/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019061227
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020158687
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591107034
【氏名又は名称】日本液炭株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】杉原 圭彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕之
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-086925(JP,A)
【文献】特開平01-219460(JP,A)
【文献】特開2006-269714(JP,A)
【文献】特開昭60-067077(JP,A)
【文献】特表2018-524505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 99/00
H01L 21/304
H01L 21/463
CAplus (STN)
JSTPlus/JST5874/JST7580/JSTChina (JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大長が3mm以上の大きさで、かつ、CO含有率が3重量%以上のCO ハイドレートを含有することを特徴とする洗浄剤。
【請求項2】
CO含有率が重量%以上である請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項3】
さらに、界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤。
【請求項4】
CO含有率が3重量%以上のCO ハイドレートが、以下の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度が5百万個/mL以上となるように、ウルトラファインバブルを水の中に発生させることができるCO ハイドレートであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の洗浄剤。
(測定法P1)
水に、CO含有率が3重量%以上であるCO ハイドレートを300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法又はナノトラッキング法で測定する。
【請求項5】
CO含有率が3重量%以上のCO ハイドレートが、圧密化COハイドレートであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の洗浄剤。
【請求項6】
CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法。
【請求項7】
CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程が、CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる工程、又は、CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程である、請求項6に記載の洗浄用液体組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO含有率が3重量%以上の氷(本明細書において、「CO高含有氷」とも表示する。)を含有する洗浄剤や、該洗浄剤を用いた洗浄用液体組成物の製造方法や、かかる製造方法により製造される洗浄用液体組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
常圧下の水などの溶媒中での直径が1000nm以下の微細気泡は、「ウルトラファインバブル」(UFB)とも称される。かかるウルトラファインバブルは、直径が1mm以上である通常の気泡と比較して、(1)気泡界面表面積が著しく大きいこと、(2)気泡泡内圧力が大きいこと、(3)気体溶解効率が高いこと、(4)気泡上昇速度が遅いこと、などの優れた特質を有することから、例えば半導体の洗浄処理(特許文献1)、水浄化処理や殺菌処理、牡蠣や貝の養殖等で有用であると考えられている。また、その洗浄力を利用した用途は、家庭用洗濯(特許文献2)や、内視鏡の洗浄(特許文献3)など様々な用途にも拡がっている。しかし、従来、UFBを用いたこれらの洗浄には、UFBを生成するためのUFB発生装置が必須であるという制限があること、UFB発生装置でUFBを高濃度で発生させるには長時間を要すること、UFB発生装置には汚れの残存や微生物汚染の恐れがあるため人体の洗浄に用いることは衛生上の懸念があること等の問題があった。
【0003】
ところで、CO含有率の高い氷の一種として、COハイドレート(二酸化炭素ハイドレート)という物質が知られている。COハイドレートとは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた包接化合物をいう。結晶体を形成する水分子は「ホスト分子」、水分子の結晶体の空寸に閉じ込められている分子は「ゲスト分子」または「ゲスト物質」と呼ばれる。COハイドレートは、融解するとCO(二酸化炭素)と水に分解するため、融解時にCOを発生させる。COハイドレートのCO含有率は、COハイドレートの製法にもよるが、約3~28重量%程度とすることができ、炭酸水のCO含有率(約0.5重量%程度)と比較して顕著に高い。
【0004】
COハイドレートの用途として、COハイドレートを飲料に添加、混合することが知られている。例えば特許文献4には、COハイドレートを飲料に混合することにより、その飲料に炭酸を付与して、炭酸飲料を製造することが、特許文献5には、COハイドレートを氷で覆って形成した炭酸補充媒体を飲料に添加することによって、ぬるくなった飲料を冷却すると共に、気が抜けた飲料に炭酸ガスを補充することが開示されている。
【0005】
このように、CO含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCOハイドレート)を液体中に入れると、前述の氷(好ましくはCOハイドレート)から気泡が発生することは知られていたが、前述の氷(好ましくはCOハイドレート)からウルトラファインバブルが発生することはこれまで知られていなかった。また、COハイドレートをそのまま融解させたCOハイドレート融解液や、COハイドレートを水に添加して融解させたCOハイドレート水溶液(以下、「COハイドレート融解液とCOハイドレート水溶液をまとめて、「COハイドレート液」とも表示する。)が、高い洗浄効果を有していること、さらに界面活性剤を併用することで洗浄効果を高められることもこれまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-45808号公報
【文献】特開2007-105728号公報
【文献】特開2016-74851号公報
【文献】特開2005-224146号公報
【文献】特許第4969683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、簡便、迅速かつ安全に用いることができ、かつ、高い洗浄効果を有している洗浄剤や、かかる洗浄剤を用いた洗浄用液体組成物の製造方法や、かかる製造方法により製造される洗浄用液体組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討する中で、以下のこと等を見いだし、本発明を完成するに至った。
CO含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCOハイドレート)を水等の液体に添加して融解させると、UFB発生装置を必要とせずに、液体中にウルトラファインバブルを発生させることができること。
COハイドレートの中でも圧密化COハイドレートを用いると、液体中に発生させることができるUFBの濃度(個/mL)を顕著に高めることができること。
CO含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCOハイドレート)をそのまま融解させると、かかる氷を水等の液体に添加して融解させた場合よりも非常に高い濃度でUFBを含有する液体を得ることができること。
COハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCOハイドレート液の表面張力が低下すること。
COハイドレート液は、高い油脂洗浄効果を有していること。
COハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCOハイドレート液の油脂洗浄効果が高くなること。
COハイドレートと界面活性剤を併用すると、油脂洗浄効果について相乗効果が得られること。
COハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCOハイドレート液のタンパク質洗浄効果が高くなること。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)CO含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする洗浄剤;
(2)CO含有率が3重量%以上の氷が、COハイドレートである上記(1)に記載の洗浄剤;
(3)CO含有率が3重量%以上の氷が、最大長が3mm以上の大きさで、かつCO含有率が3重量%以上の氷である上記(1)又は(2)に記載の洗浄剤;
(4)CO含有率が3重量%以上の氷が、以下の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度が5百万個/mL以上となるように、ウルトラファインバブルを水の中に発生させることができる氷であることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の洗浄剤;
(測定法P1)
水に、CO含有率が3重量%以上である氷を300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法又はナノトラッキング法で測定する;
(5)CO含有率が3重量%以上の氷が、圧密化COハイドレートであることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかに記載の洗浄剤;
(6)CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法;
(7)CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程が、CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる工程、又は、CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程である、上記(6)に記載の洗浄用液体組成物の製造方法;又は、
(8)200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物;
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便、迅速かつ安全に用いることができ、かつ、高い洗浄効果を有している洗浄剤や、かかる洗浄剤を用いた洗浄用液体組成物の製造方法や、かかる製造方法により製造される洗浄用液体組成物等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、後述の実施例の試験2において作製したCOハイドレート融解液における気泡の粒径分布と発生頻度(濃度)を表す図である。横軸は気泡の粒子径(μm)を表し、縦軸は、気泡の発生頻度(濃度)(億個/mL)を表す。
図2図2は、後述の実施例の試験3において作製したCOハイドレート融解液や、COハイドレート水溶液の表面張力(N/m)を測定した結果を表す図である。縦軸は、各液体の表面張力(N/m)を表す。また、各棒グラフは、左から、「水」、「300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「100mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「500mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「圧密化COハイドレートを水に添加して融解させたCOハイドレート水溶液」の結果をそれぞれ表す。
図3図3は、後述の実施例4の試験4において行った油脂洗浄効果確認試験の結果を表す図である。縦軸は、油汚れモデル試験片の洗浄量(mg)を表す。また、各棒グラフは、左から、「水」、「300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「50mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「100mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液」、「100mg/mLの圧密化COハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCOハイドレート水溶液」、「電解水」の結果をそれぞれ表す。
図4図4は、後述の実施例4の試験5において行ったタンパク質洗浄効果確認試験の結果を表す図である。縦軸は、タンパク質汚れモデル試験片の洗浄量(mg)を表す。また、各棒グラフは、左から、「水」、「300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液」、「0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液」、「300mg/mLの圧密化COハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCOハイドレート水溶液」の結果をそれぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、
[1]CO含有率が3重量%以上の氷を含有することを特徴とする洗浄剤(以下、「本発明の洗浄剤」とも表示する。);や、
[2]CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程を含む、洗浄用液体組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも表示する。);や、
[3]200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物(以下、「本発明の洗浄用液体組成物」とも表示する。);
などの態様を含んでいる。
なお、本発明の洗浄剤は固体であるが、ウルトラファインバブルを高濃度で含む液体の状態(洗浄用液体組成物)となったときに洗浄効果を発揮する。本明細書において、本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄用物質又は洗浄用固体組成物と言い換えることもできる。
【0013】
(CO含有率が3重量%以上の氷)
本発明におけるCO含有率が3重量%以上の氷(CO高含有氷)は、COハイドレートではないCO高含有氷であってもよいが、より高い洗浄効果を得る観点から、COハイドレートであることが好ましく、圧密化COハイドレートであることがより好ましい。COハイドレートは、水分子の結晶体の空寸に二酸化炭素分子を閉じ込めた固体の包接化合物である。COハイドレートは、通常、氷状の結晶体であり、例えば標準気圧条件下で、かつ、氷が融解するような温度条件下に置くと、融解しながらCOを放出する。また、本発明におけるCO高含有氷として、COハイドレートを用いずに、COハイドレートではないCO高含有氷を用いてもよいし、COハイドレートではないCO高含有氷を用いずに、COハイドレートを用いてもよいし、COハイドレートではないCO高含有氷と、COハイドレートを併用してもよい。また、COハイドレートとして、圧密化COハイドレートを用いずに、圧密化していないCOハイドレートを用いてもよいし、圧密化していないCOハイドレートを用いずに、圧密化COハイドレートを用いてもよいし、圧密化していないCOハイドレートと圧密化COハイドレートを併用してもよい。
【0014】
本発明におけるCO高含有氷としては、以下の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)で、好ましくは5百万個/mL以上、より好ましくは1千万個/mL以上、さらに好ましくは2千万個/mL以上、より好ましくは2千5百万個/mL以上、さらに好ましくは3千万個/mL以上、より好ましくは3千5百万個/mL以上、さらに好ましくは5千万個/mL以上、より好ましくは7千5百万個/mL以上、さらに好ましくは1億個/mL以上、より好ましくは1億5千万個/mL以上、さらに好ましくは2億個/mL以上、より好ましくは2億5千万個/mL以上のウルトラファインバブルを水の中に発生させることができるCO高含有氷を好適に挙げることができる。
(測定法P1)
水に、CO含有率が3重量%以上である氷を300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
【0015】
上記測定法P1における溶液の温度としては特に制限されないが、例えば1~60℃、10~50℃、15~45℃、20~40℃などが挙げられる。
【0016】
本明細書において、ウルトラファインバブルの濃度をレーザー回折・散乱法で測定することとしては、ウルトラファインバブルの濃度を島津製作所社製 SALD-7500 ウルトラファインバブル計測システムで測定することが好ましく挙げられる。なお、SALD-7500 ウルトラファインバブル計測システムは、定量レーザー回折・散乱法による測定装置である。また、本明細書において、ウルトラファインバブルの濃度をナノトラッキング法で測定することとしては、ウルトラファインバブルの濃度をMalvern社製 ナノサイト NS300で測定することが好ましく挙げられる。
【0017】
本発明におけるCO高含有氷が、水の中に発生させることができるウルトラファインバブルの濃度の上限としては、特に制限されないが、前述の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度が、例えば100億個/mL以下、10億個/mL以下であることが挙げられる。
【0018】
本発明におけるCO高含有氷が、水の中に発生させることができるウルトラファインバブルのより具体的な濃度としては、測定法P1で測定した場合の濃度で、5百万~100億個/mL、5百万~10億個/mL、1千万~100億個/mL、1千万~10億個/mL、2千万~100億個/mL、2千万~10億個/mL、2千5百万~100億個/mL、2千5百万~10億個/mL、3千万~100億個/mL、3千万~10億個/mL、3千5百万~100億個/mL、3千5百万~10億個/mL、5千万~100億個/mL、5千万~10億個/mL、7千5百万~100億個/mL、7千5百万~10億個/mL、1億~100億個/mL、1億~10億個/mL、1億5千万~100億個/mL、1億5千万~10億個/mL、2億~100億個/mL、2億~10億個/mL、2億5千万~100億個/mL、2億5千万~10億個/mL等が挙げられる。
【0019】
本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)のCO含有率としては、3重量%以上である限り特に制限されないが、より高い洗浄効果を得る観点から、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、より好ましくは13重量%以上、さらに好ましくは16重量%以上、より好ましくは18重量%以上であることが挙げられる。また、上限値としては特に制限されないが、30重量%や、28重量%や、26重量%が挙げられる。CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)のより具体的なCO含有率としては、5~30重量%、7~30重量%、10~30重量%、13~30重量%、16~30重量%、18~30重量%、5~28重量%、7~28重量%、10~28重量%、13~28重量%、16~28重量%、18~28重量%、5~26重量%、7~26重量%、10~26重量%、13~26重量%、16~26重量%、18~26重量%等が挙げられる。
【0020】
本発明におけるCO高含有氷のCO含有率は、本発明におけるCO高含有氷を製造する際の「CO分圧の高低」などにより調整することができ、例えばCO分圧を高くすると、CO高含有氷のCO含有率を高くすることができる。また、CO高含有氷がCOハイドレートである場合は、COハイドレートを製造する際の「CO分圧の高低」、「脱水処理の程度」、「圧縮処理を行うか否か」、「圧縮処理する場合の圧縮の圧力の高低」などにより、COハイドレートのCO含有率を調整することができる。例えば、COハイドレートを製造する際の「CO分圧を高くし」、「脱水処理の程度を上げ」、「圧縮処理を行い」、「圧縮処理する場合の圧密の圧力を高くする」と、COハイドレートのCO含有率を高くすることができる。なお、COハイドレート等のCO高含有氷が融解すると、該COハイドレート等のCO高含有氷に含まれていたCOが放出され、その分の重量が減少するので、COハイドレート等のCO高含有氷のCO含有率は、例えば、COハイドレート等のCO高含有氷を常温で融解させた際の重量変化から、下記式(1)を用いて算出する事ができる。
式(1)
(CO含有率)=(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)/融解前のサンプル重量)
【0021】
また、本発明の洗浄剤が含有するCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)は、そのすべてが、3重量%以上のCO含有率であることが好ましいが、本発明の効果が得られる範囲において、CO含有率が3重量%未満の氷やCOハイドレートも含有していてもよい。本発明の洗浄剤が含有するCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)に対する、CO含有率が3重量%未満の氷やCOハイドレートの割合(重量%)としては、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下が挙げられる。
【0022】
本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の形状としては、適宜設定することができ、例えば、略球状;略楕円体状;略直方体形状等の略多面体形状;あるいは、これらの形状にさらに凹凸を備えた形状;などが挙げられる。また、本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)は、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の塊を適宜破砕して得られる様々な形状の破砕片(塊)であってもよい。
【0023】
本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の大きさとしては、特に制限されず、適宜設定することができる。本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の最大長の下限として、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7mm以上、より好ましくは10mm以上が挙げられ、最大長の上限として150mm以下、100mm以下、80mm以下、60mm以下が挙げられ、より具体的には3mm以上150mm以下、3mm以上100mm以下、3mm以上80mm以下、3mm以上60mm以下や、5mm以上150mm以下、5mm以上100mm以下、5mm以上80mm以下、5mm以上60mm以下、10mm以上150mm以下、10mm以上100mm以下、10mm以上80mm以下、10mm以上60mm以下などが挙げられる。
【0024】
本明細書において「CO高含有氷の最大長」とは、CO高含有氷のその塊の表面の2点を結び、かつ、その塊の重心を通る線分のうち、最も長い線分の長さを意味する。なお、CO高含有氷が例えば略楕円体状である場合は、前記最大長は長径(最も長い直径)を表し、略球状である場合は、前記最大長は直径を表し、略直方体形状である場合は、対角線の中で最も長い対角線の長さを表す。また、本明細書において「CO高含有氷の最小長」とは、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)のその塊の表面の2点を結び、かつ、その塊の重心を通る線分のうち、最も短い線分の長さを意味する。かかる最大長や最小長は、市販の画像解析式粒度分布測定装置などを用いて測定することもできるし、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の塊に定規をあてて測定することもできる。
【0025】
本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の好適な態様として、アスペクト比(最大長/最小長)が好ましくは1~5、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3であるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)が挙げられる。
【0026】
CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の大きさは以下の方法で調整することができる。例えば、COハイドレートではないCO高含有氷の最大長は、かかるCO高含有氷を製造する際の型の最大長を調整したり、製造後のCO高含有氷を破砕する際の破砕の程度を調整したりすることによって調整することができる。また、COハイドレートの最大長は、COハイドレートを圧縮成形する際に用いる型の最大長を調整したり、圧縮成形した後のCOハイドレートを破砕する際の破砕の程度を調整したりすることによって、調整することができる。また、最小長については、型の最小長を調整したり、製造後のCO高含有氷を破砕する際の程度を調整したりすることによって調整することができる。
【0027】
本発明におけるCO高含有氷の製造方法としては、CO高含有氷を製造できる限り特に制限されない。COハイドレートではないCO高含有氷の製造方法としては、COハイドレート生成条件を充たさない条件下で原料水中にCOを吹き込みながら原料水を冷凍する方法が挙げられる。また、COハイドレートの製造方法としては、COハイドレート生成条件を充たす条件下で原料水中にCOを吹き込みながら原料水を攪拌する気液攪拌方式や、COハイドレート生成条件を充たす条件下でCO中に原料水をスプレーする水スプレー方式等の常法を用いることができる。これらの方式で生成されるCOハイドレートは、通常、COハイドレートの微粒子が、未反応の水と混合しているスラリー状であるため、COハイドレートの濃度を高めるために、脱水処理を行うことが好ましい。脱水処理によって含水率が比較的低くなったCOハイドレート(すなわち、比較的高濃度のCOハイドレート)は、ペレット成形機で一定の形状(例えば球状や直方体状)に圧縮成形することが好ましい。圧縮成形したCOハイドレートは、本発明における圧密化COハイドレートの1種として好適に用いることができる。圧縮成形したCOハイドレートは、そのまま本発明に用いてもよいし、必要に応じてさらに破砕等したものを用いてもよい。なお、COハイドレートの製造方法としては、前述のように、原料水を用いる方法が比較的広く用いられているが、水(原料水)の代わりに微細な氷(原料氷)をCOと、低温、かつ、低圧のCO分圧という条件下で反応させてCOハイドレートを製造する方法を用いることもできる。
【0028】
COハイドレートは、COと水を、低温、かつ、高圧のCO分圧という条件にすることにより製造することができ、例えば、ある温度であること、及び、その温度におけるCOハイドレートの平衡圧力よりもCO分圧(CO圧力)が高いことを含む条件(すなわち、「COハイドレート生成条件」)において製造することができる。上記の「COハイドレートの平衡圧力よりもCO分圧が高い条件」は、J. Chem. Eng. Data (1991) 36, 68-71のFigure 2.や、J. Chem. Eng. Data (2008), 53, 2182-2188のFigure 7.やFigure 15.に開示されているCOハイドレートの平衡圧力曲線(例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す)において、かかる曲線の高圧側(COハイドレートの平衡圧力曲線において、例えば縦軸がCO圧力、横軸が温度を表す場合は、該曲線の上方)の領域内のCO圧力と温度の組合せの条件として表される。COハイドレート生成条件の具体例として、「-20~4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.8~4MPaの範囲内」の組合せの条件や、「-20~-4℃の範囲内」と「二酸化炭素圧力1.3~1.8MPaの範囲内」の組合せの条件が挙げられる。
【0029】
本発明において「圧密化COハイドレート」とは、COハイドレート率が40~90%(好ましくは50~90%、より好ましくは60~90%)であるCOハイドレートを意味する。COハイドレート率とは、COハイドレートの塊の重量に対するCOハイドレートの重量の割合(%)を意味する。かかるCOハイドレート率は、以下の式(2)により算出することができる。

式(2)
COハイドレート率(%)={(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)+(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)÷44×5.75×18}×100÷融解前のサンプル重量

式(2)を以下に説明する。(融解前のサンプル重量-融解後のサンプル重量)は、包蔵されるCOガス重量となる。COガスをハイドレートとして包接するために必要な水量は、理論水和数5.75、COの分子量44、水の分子量18を用いて算出し、それ以外の水は、ハイドレートを構成しない付着水とみなしている。
【0030】
本発明における好適な圧密化COハイドレートとしては、前述の測定法P1で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)で5千万~100億個/mL、5千万~10億個/mL、好ましくは7千5百万~100億個/mL、7千5百万~10億個/mL、さらに好ましくは1~100億個/mL、1~10億個/mL、より好ましくは1億5千万~100億個/mL、1億5千万~10億個/mL、さらに好ましくは2~100億個/mL、2~10億個/mL、より好ましくは2億5千万~100億個/mL、2億5千万~10億個/mLのウルトラファインバブルを水の中に発生させることができるCOハイドレートが挙げられる。また、本発明における好適な圧密化COハイドレートのCO含有率としては、より高い洗浄効果を得る観点から、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは13重量%以上、より好ましくは16重量%以上、さらに好ましくは18重量%以上であることが挙げられる。また、上限値としては特に制限されないが、30重量%や、28重量%や、26重量%が挙げられる。本発明における好適な圧密化COハイドレートのより具体的なCO含有率としては、7~30重量%、10~30重量%、13~30重量%、16~30重量%、18~30重量%、7~28重量%、10~28重量%、13~28重量%、16~28重量%、18~28重量%、7~26重量%、10~26重量%、13~26重量%、16~26重量%、18~26重量%等が挙げられる。
【0031】
本発明における圧密化COハイドレートの製造方法は特に制限されないが、例えば以下の製造方法を好ましく挙げることができる。
COハイドレート生成条件を充たす条件下で原料水中にCOを吹き込みながら原料水を攪拌する気液攪拌方式や、COハイドレート生成条件を充たす条件下でCO中に原料水をスプレーする水スプレー方式等の常法を用いることができる。これらの方式で生成されるCOハイドレートは、通常、COハイドレートの微粒子が、未反応の水と混合しているスラリー状である。かかるスラリーについて脱水処理及び圧縮処理を行うことにより、圧密化COハイドレートを製造することができる。COハイドレート粒子と水を含むスラリーの脱水処理及び圧縮処理は、例えば、スラリーの脱水処理を行った後、COハイドレート粒子の圧縮処理を行うなど、脱水処理と圧縮処理を別々に順次行ってもよいし、あるいは、スラリー中の水が排出され得る状況下でスラリーを圧縮処理するなどして、脱水処理と圧縮処理を同時に行ってもよいが、より高い洗浄効果を有するCOハイドレートを得る観点から、脱水処理と圧縮処理を同時に行うことが好ましく、中でも、COハイドレート生成条件下で脱水処理と圧縮処理を同時に行うことがより好ましい。COハイドレート粒子の圧縮処理や、スラリーの圧縮処理は、市販の圧密成形機等を用いて行うことができる。圧縮処理の際の圧力としては、例えば0.1~100Mpa、0.8~100Mpa、1~100Mpa、1~50Mpa、1~30Mpa、1~15Mpa、1~10Mpa、2.5~10Mpaなどを挙げることができる。なお、前述のスラリーについて、十分な脱水処理を行うと、COハイドレート率は通常約40%となり、十分な脱水処理後に2.5MpaでCOハイドレート粒子の圧縮処理を行うとCOハイドレート率は通常約60%となるとされている。
【0032】
本発明におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)は、COと氷のみからなるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)(以下、「任意成分を含有しないCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)」とも表示する。)であってもよいが、洗浄剤の用途に応じた任意成分をさらに含有するCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)であってもよい。なお、CO高含有氷における任意成分としては、後述の、本発明の洗浄剤における任意成分と同様に、界面活性剤、洗浄助剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、粘度調整剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0033】
1.<本発明の洗浄剤>
本発明の洗浄剤は、CO含有率が3重量%以上の氷(CO高含有氷)を含有する限り特に制限されない。本発明の洗浄剤は、「任意成分を含有しないCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)」、又は、「任意成分を含有するCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)」のみからなる洗浄剤であってもよいし、これらCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)以外に、任意成分をさらに含有していてもよい。
【0034】
本発明の洗浄剤におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の含有量としては、特に制限されないが、洗浄剤の総重量に対して、例えば5~100重量%、5~90重量%、5~80重量%、5~70重量%、30~100重量%、30~90重量%、30~80重量%、30~70重量%、40~100重量%、40~90重量%、40~80重量%、40~70重量%、50~100重量%、50~90重量%、50~80重量%、50~70重量%、60~100重量%、60~90重量%、60~80重量%、60~70重量%を挙げることができる。
【0035】
(本発明の洗浄剤の任意成分)
任意成分を用いるかどうか、及び、任意成分を用いる場合にどのような任意成分を用いるかは、本発明の洗浄剤の使用目的、使用態様に応じて当業者は適宜設定することができる。任意成分としては、界面活性剤、洗浄助剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、粘度調整剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0036】
(界面活性剤)
上記の界面活性剤としては、特に制限されず、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。また、これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
上記のアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0038】
上記のカチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3 ,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベン ジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0039】
上記の両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0040】
上記の非イオン性界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン類(例えば、ポリエチレングリコール-10ジメチコン、ポリエチレングリコール-12ジメチコン等);ポリグリセリン変性シリコーン類(例えば、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、(ポリグリセリル-3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等);ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等);グリセリンアルキルエーテル等の非親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリ ル、モノステアリン酸ポリグリセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等の親水性非イオン性界面活性剤も挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の洗浄剤が界面活性剤を含む場合、かかる界面活性剤の合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.001~50重量%、好ましくは0.01~24重量%、より好ましくは0.05~12重量%、さらに好ましくは0.1~8重量%などが挙げられる。
【0042】
(洗浄助剤)
上記の洗浄助剤(以下、ビルダーともいう。)としては、特に限定されず、無機ビルダー、有機ビルダーのいずれを用いてもよい。
【0043】
上記の無機ビルダーとしては、具体的には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、及びホウ酸等が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸塩(炭酸ナトリウムなど)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウムなど)、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウムなど)、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ホウ砂、ホウ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、洗浄効果を向上させる観点から、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が好ましい。
【0044】
上記の有機ビルダーとしては、具体的には、炭素数が2~10のカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸或いはヒドロキシポリカルボン酸又はその塩、アミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸又はその塩等が挙げられる。より具体的には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルコン酸、アジピン酸等の有機酸、及びそれらの塩やエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸等のアミノポリカルボン酸及びその塩等が挙げられ、また、ブドウ糖、蔗糖、果糖、乳糖等の糖類、尿素等が挙げられる。
【0045】
本発明のひとつの態様において、上記したこれらのビルダーは、単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。さらに、上記したビルダーは、洗浄助剤としての役割に加えて、pH調整剤としての役割を果たすこともある。
【0046】
本発明の洗浄剤がビルダーを含む場合、かかるビルダーの合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.01~12重量%、好ましくは0.1~6重量%、より好ましくは0.5~3重量%が挙げられる。
【0047】
(防腐剤)
上記の防腐剤としては、特に限定されず、例えば、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)をはじめとするパラオキシ安息香酸エステル、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、3,3,4’-トリクロロカルバニリド、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール、1,3-ブチレングリコール、イソプロピルメチルフェノール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。なお、前記塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0048】
本発明の洗浄剤が防腐剤を含む場合、かかる防腐剤の合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.001~10重量%などが挙げられる。
【0049】
(可溶化剤又は乳化剤)
上記の可溶化剤又は乳化剤としては、特に限定されず、例えば、ジメチルイソソルバイド、トランスクトール(transcutol)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒマシ油、イソプロピルミリステート、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、オレイルアルコール、オレイルセチルアルコール、中鎖長の植物性脂肪酸のトリグリセリド、例えばカプリル酸トリグリセリド及びカプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート及びジカプレートの混合物であるMiglyolsR、カプリル酸及びカプリン酸トリグリセリドの混合物、Neobee M-5、ポリソルベート(polysorbate)20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80等のポリソルベート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタントリオレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン、グリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、PEG-20グリセリルステアレート、セテアレス-12(ceteareth‐12)、セテアレス-20、セテアレス-30、PPG-2-セテアレス-9、オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、例えばオレス-5(oleth‐5)、オレス-10、オレス-5とオレス-10の混合物、ステアロール、例えばソヤ(soya)ステアロール、PEG-5 ソヤ ステアロール、PEG-10 ステアロール、PEG-16 ソヤ ステアロール、PEG-25 ソヤ ステアロール、ナトリウムステアリルサルフェート、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール等が挙げられる。これらの可溶化剤又は乳化剤は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
【0050】
本発明の洗浄剤が可溶化剤又は乳化剤を含む場合、かかる可溶化剤、乳化剤の合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.001~10重量%などが挙げられる。
【0051】
(粘度調整剤)
上記の粘度調整剤は、特に限定されず、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテオステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート様ビーガム、カルボマー、グリセリルステアレート、水添ヒマシ油、パルミチン酸セチル、ステアリン酸;合成及び半合成ワックスの組み合わせ;グリセリルステアレート、ステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、及びココグリセリド配合物の組み合わせ;又はグリセリルヒドロキシステアレート、パルミチン酸セチル及びトリヒドロキシステアリン配合物の組み合わせ等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、単独で、又は2種以上を組合せて用いてもよい。
【0052】
本発明の洗浄剤が粘度調整剤を含む場合、かかる粘度調整剤の合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.001~10重量%などが挙げられる。
【0053】
(酸化防止剤)
上記の酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸又はアスコルビン酸のリン酸エステル誘導体又はそれらの塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール又はそれらの誘導体、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ヒドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等が挙げられる。
【0054】
本発明の洗浄剤が酸化防止剤を含む場合、かかる酸化防止剤の合計含有量としては、洗浄剤の総重量に対して、例えば0.001~10重量%などが挙げられる。
【0055】
(容器)
本発明の洗浄剤は、容器に収容されていなくてもよいが、容器に収容されていることが好ましい。容器の形状や材質は特に制限されないが、容器の形状としては、略直方体状、略立方体状、略円柱形状、袋状などが挙げられ、容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ガラス;アルミニウム等の金属;などが好ましく挙げられる。
【0056】
(本発明の洗浄剤のウルトラファインバブル濃度)
本発明の洗浄剤としては、以下の測定法P2で測定した場合のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)で、好ましくは5百万個/mL以上、より好ましくは1千万個/mL以上、さらに好ましくは2千万個/mL以上、より好ましくは2千5百万個/mL以上、さらに好ましくは3千万個/mL以上、より好ましくは3千5百万個/mL以上、さらに好ましくは5千万個/mL以上、より好ましくは7千5百万個/mL以上、さらに好ましくは1億個/mL以上、より好ましくは1億5千万個/mL以上、さらに好ましくは2億個/mL以上、より好ましくは2億5千万個/mL以上のウルトラファインバブルを水の中に発生させることができる洗浄剤を好適に挙げることができる。
(測定法P2)
水に、洗浄剤を、CO含有率が3重量%以上の氷に換算して300mg/mL添加して調製した溶液中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
【0057】
上記測定法P2における溶液の温度としては特に制限されないが、例えば1~60℃、10~50℃、15~45℃、20~40℃などが挙げられる。
【0058】
本発明の洗浄剤が、液体(好ましくは水)の中に発生させることができるウルトラファインバブルのより具体的な濃度としては、測定法P2で測定した場合の濃度で、5百万~100億個/mL、5百万~10億個/mL、1千万~100億個/mL、1千万~10億個/mL、2千万~100億個/mL、2千万~10億個/mL、2千5百万~100億個/mL、2千5百万~10億個/mL、3千万~100億個/mL、3千万~10億個/mL、3千5百万~100億個/mL、3千5百万~10億個/mL、5千万~100億個/mL、5千万~10億個/mL、7千5百万~100億個/mL、7千5百万~10億個/mL、1億~100億個/mL、1億~10億個/mL、1億5千万~100億個/mL、1億5千万~10億個/mL、2億~100億個/mL、2億~10億個/mL、2億5千万~100億個/mL、2億5千万~10億個/mL等が挙げられる。
【0059】
(本発明の洗浄剤の使用方法)
本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄用液体組成物の状態で洗浄効果を発揮するため、本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物(好ましくは、洗浄対象物の洗浄対象箇所)を接触させることを少なくとも含む方法で使用する。本発明の洗浄剤は、本発明の洗浄剤を本発明の洗浄用液体組成物にした後、かかる本発明の洗浄用液体組成物を洗浄対象物に接触させてもよいし、本発明の洗浄剤を洗浄対象物に接触させた後、本発明の洗浄剤を本発明の洗浄用液体組成物にしてもよい。
【0060】
本発明の洗浄剤を本発明の洗浄用液体組成物にする方法は、後述の「本発明の洗浄用液体組成物の製造方法」の項目において詳細に説明するが、本発明の洗浄剤中のCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)を融解させる工程を含んでいる限り特に制限されない。当業者であれば、本願明細書を参照することにより、本発明の洗浄剤におけるCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)の含有量や、該CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)のCO含有率や、どの程度の濃度のウルトラファインバブルを必要とするか等に応じて、本発明の洗浄剤の使用量を調整することができる。
【0061】
(本発明の洗浄剤の流通、保管の際の条件)
本発明の洗浄剤の流通や保管の際の条件は以下のとおりである。
本発明の洗浄剤がCOハイドレート以外のCO高含有氷を含有する場合、かかる本発明の洗浄剤は、流通や保管の際に、氷が融解しない温度及び圧力で保持することが好ましい。かかる温度及び圧力として、例えば常圧(例えば1気圧)で0℃以下の条件が挙げられる。一方、COハイドレートの製法等によっては、その保存性や安定性に優れているものもある。したがって、本発明の洗浄剤がCO高含有氷としてCOハイドレートを含有する場合、かかる本発明の洗浄剤は、流通や保管の際に、常温(5~35℃)、常圧(例えば1気圧)で保持してもよいが、本発明の洗浄剤をより長期間、より安定的に保つ観点から、本発明の洗浄剤は、流通や保管等の際に、「低温条件下」、又は「高圧条件下」、又は「低温条件下かつ高圧条件下」で保持することが好ましい。保持の簡便性の観点から、これらの中でも、「低温条件下」で保持することが好ましく、常圧(例えば1気圧)で「低温条件下」で保持することがより好ましい。
【0062】
上記の「低温条件下」における上限温度としては、10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-15℃以下、より好ましくは-20℃、さらに好ましくは-25℃が挙げられ、上記の「低温条件下」における下限温度としては、-273℃以上、-80℃以上、-50℃以上、-40℃以上、-30℃以上などが挙げられる。
【0063】
上記の「高圧条件下」における下限圧力としては、1.036気圧以上、好ましくは1.135気圧以上、より好ましくは1.283気圧以上、さらに好ましくは1.480気圧以上が挙げられ、上記の「高圧条件下」における上限圧力としては、14.80気圧以下、11.84気圧以下、9.869気圧以下、7.895気圧以下、4.935気圧以下などが挙げられる。
【0064】
2.<本発明の洗浄用液体組成物>
本発明の洗浄用液体組成物としては、200ppm以上の炭酸を含み、かつ、5百万個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する液体組成物である限り特に制限されない。
【0065】
本明細書における「洗浄用液体組成物」は、必ずしもすべてが液体状である場合に限られず、固体状のCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)等と液体の混合物である場合も含まれる。
【0066】
(本発明の洗浄用液体組成物の炭酸濃度)
本発明の洗浄用液体組成物は200ppm以上の炭酸を含んでいる限り特に制限されないが、好ましくは500ppm(0.05重量%)以上、より好ましくは750ppm(0.075重量%)以上、さらに好ましくは900ppm(0.09重量%)以上、より好ましくは1000ppm(0.1重量%)の炭酸を含んでいることが好ましい。炭酸の上限は特に制限されないが、例えば4000ppm(0.4重量%)以下、3000ppm(0.3重量%)以下、2000ppm(0.2重量%)以下、1500ppm(0.15重量%)以下が挙げられる。本発明の洗浄用液体組成物における炭酸濃度としてより具体的には、500~4000ppm、750~4000ppm、900~4000ppm、1000~4000ppm、500~3000ppm、750~3000ppm、900~3000ppm、1000~3000ppm、500~2000ppm、750~2000ppm、900~2000ppm、1000~2000ppm、500~1500ppm、750~1500ppm、900~1500ppm、1500~2000ppm等が挙げられる。
【0067】
本発明の洗浄用液体組成物における炭酸濃度は、液温20℃又は40℃、かつ、常圧下で測定した濃度を意味する。
【0068】
(本発明の洗浄用液体組成物のウルトラファインバブル濃度)
本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルの濃度は、5百万個/mL以上である限り特に制限されないが、好ましくは1千万個/mL以上、より好ましくは2千万個/mL以上、さらに好ましくは2千5百万個/mL以上、より好ましくは3千万個/mL以上、さらに好ましくは3千5百万個/mL以上、より好ましくは5千万個/mL以上、さらに好ましくは7千5百万個/mL以上、より好ましくは1億個/mL以上、さらに好ましくは1億5千万個/mL以上、より好ましくは2億個/mL以上、さらに好ましくは2億5千万個/mL以上であることが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルの濃度の上限としては、特に制限されないが、例えば100億個/mL以下、10億個/mL以下であることが挙げられる。本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルのより具体的な濃度としては、5百万~100億個/mL、5百万~10億個/mL、1千万~100億個/mL、1千万~10億個/mL、2千万~100億個/mL、2千万~10億個/mL、2千5百万~100億個/mL、2千5百万~10億個/mL、3千万~100億個/mL、3千万~10億個/mL、3千5百万~100億個/mL、3千5百万~10億個/mL、5千万~100億個/mL、5千万~10億個/mL、7千5百万~100億個/mL、7千5百万~10億個/mL、1億~100億個/mL、1億~10億個/mL、1億5千万~100億個/mL、1億5千万~10億個/mL、2億~100億個/mL、2億~10億個/mL、2億5千万~100億個/mL、2億5千万~10億個/mL等が挙げられる。なお、本明細書の本発明において、ウルトラファインバブルは好ましくは、COのウルトラファインバブルである。
【0069】
本発明の洗浄用液体組成物におけるウルトラファインバブルの濃度の値は、ウルトラファインバブルの濃度を測定することができる、いかなる測定法の測定値であってもよいが、以下の測定法P3での測定値であることが好ましい。
(測定法P3)
洗浄用液体組成物中のウルトラファインバブルの濃度(個/mL)を、レーザー回折・散乱法(好ましくは定量レーザー回折・散乱法)又はナノトラッキング法で測定する。
【0070】
上記測定法P2における溶液の温度としては特に制限されないが、例えば1~60℃、10~50℃、15~45℃、20~40℃などが挙げられる。
【0071】
(本発明の洗浄用液体組成物の表面張力)
本発明の洗浄用液体組成物の20℃での表面張力としては、特に制限されないが、より高い洗浄効果を得る観点から、水よりも低いことが好ましく、プレート法(Wilhelmy法)で73N/m以下、好ましくは70N/m以下、より好ましくは68N/m以下、さらに好ましくは65N/m以下、より好ましくは63N/m以下、さらに好ましくは60N/m以下、より好ましくは58N/m以下、さらに好ましくは55N/m以下が挙げられる。
【0072】
(本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果)
本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果としては、特に制限されないが、水よりも高いことが好ましく、油汚れモデル(好ましくは、牛脂、大豆油、色素及びクロロホルムを含む油汚れモデル)試験片(油汚れモデル試験スライドガラス)とリーナッツ試験機を用いた油脂洗浄効果確認試験において、油汚れモデル試験片の洗浄量(mg)が、水を用いた場合のその洗浄量(mg)の好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.8倍以上、さらに好ましくは3.5倍以上、より好ましくは5倍以上が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果の上限としては、例えば、水を用いた場合の10倍以下などが挙げられる。上記の油汚れモデル試験片とリーナッツ試験機を用いた油脂洗浄効果確認試験としては、後述の実施例の試験4における試験方法が好ましく挙げられる。
【0073】
(本発明の洗浄用液体組成物のタンパク質洗浄効果)
本発明の洗浄用液体組成物のタンパク質洗浄効果としては、特に制限されないが、水よりも高いことが好ましく、タンパク質汚れモデル(好ましくはムチンを含むタンパク質汚れモデル)試験片(タンパク質汚れモデル試験スライドガラス)とリーナッツ試験機を用いた洗浄効果確認試験において、タンパク質汚れモデル試験片の洗浄量(mg)が、水を用いた場合のその洗浄量(mg)の好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物のタンパク質洗浄効果の上限としては、例えば、水を用いた場合の3倍以下などが挙げられる。上記のタンパク質汚れモデル試験片とリーナッツ試験機を用いたタンパク質洗浄効果確認試験としては、後述の実施例の試験5における試験方法が好ましく挙げられる。
【0074】
(本発明の洗浄用液体組成物の任意成分)
本発明の洗浄用液体組成物は、水とCOのみからなる組成物であってもよいが、さらに、界面活性剤、洗浄助剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、粘度調整剤、酸化防止剤などの任意成分を含んでいてもよい。本発明の洗浄用液体組成物が界面活性剤を含む場合、かかる界面活性剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~25重量%、好ましくは0.005~12重量%、より好ましくは0.025~6重量%、さらに好ましくは0.01~4重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物がビルダーを含む場合、かかるビルダーの合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.005~6重量%、好ましくは0.05~3重量%、より好ましくは0.25~1.5重量%が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が防腐剤を含む場合、かかる防腐剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が可溶化剤又は乳化剤を含む場合、かかる可溶化剤、乳化剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が粘度調整剤を含む場合、かかる粘度調整剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物が酸化防止剤を含む場合、かかる酸化防止剤の合計含有量としては、洗浄用液体組成物の総重量に対して、例えば0.0005~5重量%などが挙げられる。
【0075】
(容器)
本発明の洗浄用液体組成物は、容器に収容されていなくてもよいが、容器に収容されていることが好ましい。容器の形状や材質は特に制限されないが、容器の形状としては、略直方体状、略立方体状、略円柱形状、袋状などが挙げられ、容器の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ガラス;アルミニウム等の金属;などが好ましく挙げられる。
【0076】
(溶媒)
本発明の洗浄用液体組成物において、ウルトラファインバブルを含んでいる溶媒としては、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)をその溶媒中に含有させたときに、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)がウルトラファインバブルを発生させることができる溶媒が挙げられ、具体的には、(i)「親水性溶媒」、(ii)「疎水性溶媒」、(iii)「親水性溶媒と疎水性溶媒の混合溶媒」、「(i)~(iii)のいずれかの溶媒に任意の溶質を含んだ液体」等が挙げられる。本発明における「洗浄用液体組成物」が液体状である温度条件及び圧力条件は、溶媒の種類、洗浄用液体組成物の用途、洗浄用液体組成物の使用条件等によっても左右されるため一概に特定することはできないが、20℃、1気圧の条件下で液体状である洗浄用液体組成物が好ましく挙げられる。
【0077】
本発明に用いられる「親水性溶媒」としては、溶解度パラメーター(SP値)が20以上のものが好ましく、29.9以上がさらに好ましい。具体的には、水(47.9)、多価アルコール、低級アルコールからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。多価アルコールとして、エチレングリコール(29.9)、ジエチレングリコール(24.8)、トリエチレングリコール(21.9)、テトラエチレングリコール(20.3)、プロピレングリコール(25.8)等の2価アルコール、グリセリン(33.8)、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の4価以上のアルコール、ソルビトール等のヘキシトール、グルコース等のアルドース、ショ糖等の糖骨格を有する化合物、その他ペンタエリスリトール等が挙げられる。低級アルコールとしてはイソプロパノール(23.5)、ブチルアルコール(23.3)、エチルアルコール(26.9)が挙げられる。これらの親水性溶媒は2種以上を併用してもよい。なお括弧内は、溶解度パラメーターのδ値を示す。本発明における好ましい親水性溶媒としては、少なくとも水を含むことが好ましく、水であることがより好ましい。
【0078】
本発明に用いられる「疎水性溶媒」としては、好ましくは溶解度パラメーター(SP値)が、20.0未満の有機溶媒であり、具体的には、好ましくは炭化水素系溶剤もしくはシリコーン系溶剤またはそれらの混合物である。炭化水素系溶剤として、例えば、ヘキサン(14.9)、ヘプタン(14.3)、ドデカン(16.2)、シクロヘキサン(16.8)、メチルシクロヘキサン(16.1)、オクタン(16.0)、水添トリイソブチレン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン(18.8)、トルエン(18.2)、エチルベンゼン(18.0)、キシレン(18.0)等の芳香族炭化水素、クロロホルム(19.3)、1,2ジクロロエタン(19.9)、トリクロロエチレン(19.1)等のハロゲン系炭化水素等を例示することができ、シリコーン系溶剤として、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等が例示される。これらの中でヘキサン(14.9)、シクロヘキサン(16.8)が特に好ましい。これらの疎水性溶媒は、2種以上を併用してもよい。
【0079】
上記の「(i)~(iii)のいずれかの溶媒に任意の溶質を含んだ液体」における「溶質」としては、かかる液体中にCO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)を含有させたときに、CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)がウルトラファインバブルを発生させることができるものが挙げられる。「(i)~(iii)のいずれかの溶媒に任意の溶質を含んだ液体」として、具体的には、生理食塩水や、界面活性剤を含む生理食塩水が挙げられる。
【0080】
(本発明の洗浄用液体組成物の用途)
本発明の洗浄用液体組成物は、本発明の洗浄用液体組成物が洗浄効果を発揮し得る物(洗浄対象物)の洗浄に好適に用いることができ、より具体的には、機器・装置、配管、体表面、頭皮、生体内部、衣類、食器、食品、浴槽、便器、流し台、排水溝、排水管、床、壁、義歯などの洗浄に好適に用いることができる。上記の機器・装置としては、半導体など精密機器・装置の他、体液が付着する可能性が高い医療機器・装置が好ましく挙げられる。上記の医療機器としては、内視鏡、カテーテル、人工透析機(特に人工透析液の回路)が好ましく挙げられる。上記の内視鏡としては、喉頭内視鏡、気管内支鏡、上部消化器内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、胸腔鏡、腹腔鏡、膀胱鏡、胆道鏡、間接鏡、血管内視鏡等が挙げられる。また、本発明の洗浄用液体組成物は、界面活性剤を含んでいない態様でも十分に高い洗浄効果を有しているため、界面活性剤の使用をできるだけ避けたい場合(例えば、生体内部の洗浄など)などに、特に高い有用性を有している。なお、本発明の洗浄用液体組成物は、洗浄対象物が汚れる前に、洗浄対象物にあらかじめ接触させることにより、防汚用液体組成物としても用いることができる。したがって、本発明の洗浄剤は、防汚剤としても用いることができる。かかる防汚剤は、本発明の防汚用物質又は防汚用固体組成物と言い換えることもできる。
【0081】
(本発明の洗浄用液体組成物の使用方法)
本発明の洗浄用液体組成物の使用方法は、特に制限されず、目的とする用途に用いられる既知の洗浄用液体組成物の使用方法と同様の使用方法を用いることができる。本発明の洗浄用液体組成物の使用方法としては、本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物(好ましくは、洗浄対象物の洗浄対象箇所)を接触させることを少なくとも含む方法が挙げられ、より具体的には、本発明の洗浄用液体組成物中に洗浄対象物を浸漬する方法、本発明の洗浄用液体組成物の水流と洗浄対象物を接触させる方法(好ましくは、本発明の洗浄用液体組成物の水流中に洗浄対象物を置く方法、本発明の洗浄用液体組成物の水流を洗浄対象物に当てる方法)、本発明の洗浄用液体組成物を含む洗浄部材(ブラシ、スポンジ等)で洗浄対象物を擦る方法、及び、超音波振動を与えつつ本発明の洗浄用液体組成物と洗浄対象物を接触させる方法などが挙げられる。ただし、本発明の洗浄用液体組成物は、高い洗浄効果を有するウルトラファインバブルを高濃度で含んでいることから、洗浄部材や超音波振動を用いない場合であっても高い洗浄効果を得ることができる。
【0082】
本発明の洗浄用液体組成物の油脂洗浄効果は、任意成分である界面活性剤を含んでいる場合の方がより高い傾向があり、タンパク質洗浄効果は、界面活性剤を含んでいない場合の方がより高い傾向がある。したがって、洗浄対象物の汚れの種類に応じて、界面活性剤を併用するかどうか、あるいは界面活性剤の濃度などを検討することができる。また、洗浄対象物の油脂の汚れとタンパク質の汚れの両方に対してより高い洗浄効果を得る方法として、界面活性剤を含む本発明の洗浄用液体組成物で洗浄する工程と、界面活性剤を含まない本発明の洗浄用液体組成物で洗浄する工程を含む方法が好ましく挙げられる。
【0083】
本発明の洗浄用液体組成物を使用する際の液温としては、用途等に応じて適宜設定することができ、例えば0~80℃、2~70℃、5~60℃、10~50℃等が挙げられる。
【0084】
3.<本発明の洗浄用液体組成物の製造方法>
本発明の洗浄用液体組成物の製造方法(本発明の製造方法)としては、CO含有率が3重量%以上の氷(好ましくはCOハイドレート)を融解させる工程を含んでいる限り特に制限されない。CO高含有氷(好ましくはCOハイドレート)を融解させることにより、ウルトラファインバブルを含有する洗浄用液体組成物を製造することができる。かかる本発明の洗浄用液体組成物は、ウルトラファインバブルと溶媒を含んでいる。なお、本発明の洗浄用液体組成物には、例えば以下の(A)~(C)の液体が包含される。(A)~(C)の液体の溶媒としては、前述した溶媒が挙げられる。
(A)本発明におけるCO高含有氷を含有するウルトラファインバブル発生剤自体が融解した液体(以下、単に「融解液」とも表示する。);
(B)該融解液以外の他の液体(以下、単に「他の液体」とも表示する。);
(C)融解液と他の液体の混合液;
【0085】
本明細書において「CO含有率が3重量%以上の氷を融解させる工程」としては、「CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる工程」、及び、「CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程」などが好ましく挙げられ、より高い洗浄効果を得る観点から、「CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる工程」がより好ましく挙げられる。
【0086】
本明細書において「CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させることによって融解させる」方法としては、CO高含有氷が融解するような条件となるように、CO高含有氷を他の液体に接触させる方法である限り特に制限されず、CO高含有氷を他の液体に含有させる方法が好ましく挙げられ、中でも、CO高含有氷を他の液体に添加又は投入する方法や、CO高含有氷に他の液体を添加又は投入する方法がより好ましく挙げられ、中でも、CO高含有氷を他の液体に添加又は投入する方法がさらに好ましく挙げられる。
【0087】
本明細書において「CO含有率が3重量%以上の氷を他の液体に接触させずに融解させる」方法としては、CO高含有氷を他の液体に接触させることなく、CO高含有氷が融解するような条件にCO高含有氷をさらす方法である限り特に制限されず、CO高含有氷が融解するような条件下にCO高含有氷を置く方法が好ましく挙げられ、中でも、容器に入れたCO高含有氷を、CO高含有氷が融解するような条件下で静置する方法や、CO高含有氷が融解するような条件下で、CO高含有氷を洗浄対象物に接触させる方法がより好ましく挙げられる。
【0088】
上記の「CO高含有氷が融解するような条件」としては、CO高含有氷が融解するような条件である限り特に制限されないが、0℃以上、好ましくは0~70℃、より好ましくは5~60℃、さらに好ましくは10~50℃という温度条件が挙げられる。
【0089】
本発明の製造方法におけるCO高含有氷として、本発明の洗浄剤を用いてもよい。
【0090】
本発明の製造方法におけるCO高含有氷の使用量は、CO高含有氷を他の液体に接触させることによって融解させるか、CO高含有氷を他の液体に接触させずに融解させるか、CO高含有氷がCOハイドレートであるか否か、圧密化COハイドレートであるか否か、CO高含有氷のCO含有率、あるいは、どの程度の濃度のウルトラファインバブルを必要とするか等に応じて、当業者は適宜設定することができる。CO高含有氷を他の液体に接触させることによって融解させる場合のCO高含有氷の使用量(好ましくは添加量)(mg/mL)の下限として、例えば、10mg/mL以上が挙げられ、より高い洗浄効果を得る観点から、好ましくは20mg/mL以上、より好ましくは50mg/mL以上、さらに好ましくは100mg/mL以上、より好ましくは150mg/mL以上、さらに好ましくは200mg/mL以上が挙げられる。また、CO高含有氷の使用量(好ましくは添加量)(mg/mL)の上限としては特に制限されないが、例えば、5000mg/mL以下、3000mg/mL以下、2000mg/mL以下が挙げられる。より高い洗浄効果を得るための好適な態様として、圧密化COハイドレートを50~5000mg/mL、50~3000mg/mL、50~2000mg/mL、50~1000mg/mL、75~5000mg/mL、75~3000mg/mL、75~2000mg/mL、75~2000mg/mL、100~5000mg/mL、100~3000mg/mL、100~2000mg/mL、又は100~2000mg/mL使用することが挙げられる。なお、CO高含有氷の使用量(mg/mL)とは、液体1mLあたりに使用する(好ましくは添加する)、CO高含有氷の重量(mg)を意味する。
【0091】
CO高含有氷を液体に接触させる際の液体の温度としては、ウルトラファインバブルが発生する限り特に制限されず、例えば1~37℃の範囲内を挙げることができる。
【0092】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0093】
試験1.[各種COハイドレートの調製]
(1)通常COハイドレートの調製
4Lの水にCOガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCOハイドレート生成反応を進行させて、COハイドレート粒子が水中に懸濁しているCOハイドレートスラリーを得た。その後、かかるCOハイドレートスラリーを-20℃まで冷却して、最大長が3mm以上60mm以下の多面体形状のCOハイドレートを選択して回収し、以降の実験で「通常COハイドレート」として用いた。かかる「通常COハイドレート」のCO含有率は13重量%であり、COハイドレート率は約25%であった。
【0094】
(2)圧密化COハイドレートの調製
4Lの水にCOガスを3MPaとなるように吹き込み、撹拌をしながら1℃でCOハイドレート生成反応を進行させて、COハイドレート粒子が水中に懸濁しているCOハイドレートスラリーを得た。かかるCOハイドレートスラリーをシリンダー式の圧密成形機へ流し込み、圧密成形機内と脱水ドレンとの差圧(約1MPa)により脱水してCOハイドレート粒子の結晶を濃縮した。これらのCOハイドレート粒子の結晶を10MPaの圧搾圧で圧縮した後、-20℃まで冷却して、圧密成形機からCOハイドレートの円筒状の塊を回収した後、かかる円筒状の塊を破砕した。最大長が3mm以上60mm以下の多面体形状のCOハイドレートを選択して回収し、以降の実験で「圧密化COハイドレート」として用いた。かかる高圧圧密化COハイドレートのCO含有率は24重量%であり、COハイドレート率は約60%であった。
【0095】
試験2.[COハイドレートによるウルトラファインバブルの生成の確認]
COハイドレートをそのまま融解させたCOハイドレート融解液や、COハイドレートを水に添加して融解させたCOハイドレート水溶液における気泡がウルトラファインバブルであるか等を調べるために、以下の実験を行った。
【0096】
(1)COハイドレート融解液の調製
前述の試験1の(2)で作製した圧密化COハイドレートを容器に入れ、圧密化COハイドレートがすべて融解するまで常温で静置して、COハイドレート融解液を得た。なお、このCOハイドレート水溶液の炭酸濃度は、200ppm以上であった。
【0097】
(2)COハイドレート水溶液の調製
圧密化COハイドレート、又は、前述の試験1の(1)で作製した通常COハイドレートを、後述の表1に記載の添加量で水に添加して、COハイドレート水溶液を調製した。なお、このCOハイドレート水溶液の炭酸濃度は、200ppm以上であった。
【0098】
(3)気泡の濃度及び粒径の測定
上記(1)のCOハイドレート融解液と、上記(2)のCOハイドレート水溶液(COハイドレート融解液とCOハイドレート水溶液をまとめて、「COハイドレート液」とも表示する。)における気泡の濃度(個数)及び粒径(μm)を、島津製作所社製「SALD-7500nano」を使用してそれぞれ測定した。
【0099】
(4)結果
COハイドレート融解液における気泡の粒径分布と発生頻度(濃度)の結果を図1に示す。図1の結果から分かるように、圧密化COハイドレートをそのまま融解して得られたCOハイドレート融解液中の気泡は、粒径約60~300nmのウルトラファインバブルであることが示された。
【0100】
また、各種COハイドレート水溶液におけるウルトラファインバブル(UFB)の濃度(億個/mL)と、UFBのメディアン径(nm)を以下の表1にそれぞれ示す。
【0101】
【表1】
【0102】
表1の結果から、通常COハイドレートを水に添加して融解させたCOハイドレート水溶液、圧密化COハイドレートを水に添加して融解させたCOハイドレート水溶液、圧密化COハイドレートをそのまま融解させたCOハイドレート融解液のいずれにおいても、UFBが発生することが示された。また、COハイドレート水溶液において、COハイドレートの添加量に依存してUFB個数濃度が高くなることが示された。また、300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液におけるUFB個数濃度は、300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液におけるUFB個数濃度の約15倍であり、顕著に高い濃度であった。さらに、COハイドレート融解液におけるUFB個数濃度は、500mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液におけるUFB個数濃度の約3.7倍であり、顕著に高い濃度であった。
【0103】
試験3.[COハイドレート液の表面張力の確認]
界面活性剤を水に添加すると液体の表面張力が低下し、その結果、その液体の浸透力が高まるなどして、その液体の持つ洗浄力は向上することが知られている。すなわち、ある液体の表面張力は、その液体が有する洗浄力の指標の1つとして知られている。COハイドレート液の表面張力が水と比較してどのようであるかを調べるために、以下の実験を行った。
【0104】
(1)COハイドレート液の表面張力の測定
上記試験2に記載の方法と同じ方法で調製したCOハイドレート融解液とCOハイドレート水溶液を表面張力計(協和界面科学株式会社製)に供して、プレート法(Wilhelmy法)にて各COハイドレート液の表面張力(N/m)をそれぞれ測定した。なお、表面張力を測定するときのCOハイドレート液の液温は20℃とした。これらの測定結果を図2に示す。
【0105】
(2)結果
図2の結果から分かるように、300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の表面張力は、水の表面張力より少し低いものの、有意差は認められなかった。それに対して、圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の表面張力は、圧密化COハイドレートの添加量に依存して有意に低下し、圧密化COハイドレートをそのまま融解させたCOハイドレート融解液において表面張力が最も低くなった。図2の結果と、上記表1の結果を併せ考慮すると、COハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCOハイドレート液の表面張力が低下することが示された。また、COハイドレート液は、水よりも表面張力が低く、すなわち、濡れ性が向上しているため、水よりも高い洗浄効果を有していると考えられた。
【0106】
試験4.[COハイドレート液の油脂洗浄効果の確認]
COハイドレート液が実際に油脂洗浄効果を有しているかを調べるために、以下の実験を行った。
【0107】
(1)油汚れモデル試験片の作製
60gのクロロホルムが入ったビーカー内に10gの牛脂、10gの大豆油及び
0.1gの色素(オイルレッド)を添加して溶解して調製した汚垢液を、油汚れモデルとした。クリップでスライドガラスの端をつまみ、このスライドガラスを前述の汚垢液中に一定速度で入れた後引き上げ、スライドガラス表面上に一定の量及び厚みの汚垢を付着させた。その後、このスライドガラスをドラフトチャンバー内に1時間置いて乾燥させて、油汚れモデル試験片(以下、試験4において単に「試験片」とも表示する。)とした。
【0108】
(2)油脂洗浄効果の測定
洗浄液として以下の8種類の洗浄液を調製した。なお、クリアッシュ(登録商標)(ナガセ医薬品株式会社製)とは、界面活性剤を含む、内視鏡用くもり止めである。
[1] 水;
[2] 300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[3] 50mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[4] 100mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[5] 300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[6] 0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液;
[7] 100mg/mLの圧密化COハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCOハイドレート水溶液;
[8] 電解水;
【0109】
前述の8種類の洗浄液を40℃に調整した。前述の試験片の重量を測定した後、この試験片と洗浄液をリーナッツ試験機にセットし、100rpmの回転数で6分間洗浄を行った。洗浄後の試験片を乾燥させた後に重量を測定し、洗浄前の試験片の重量(mg)から洗浄後の試験片の重量(mg)を引いた数値(「洗浄量(mg)」)を、その洗浄液の洗浄力として評価した。その結果を図3に示す。
【0110】
(3)結果
図3の結果から分かるように、圧密化COハイドレートの添加量に依存して油脂洗浄効果が高くなること、すなわち、COハイドレート液中のUFB濃度(億個/mL)が高くなるほど、そのCOハイドレート液の油脂洗浄効果が高くなることが示された。また、水の洗浄力(洗浄量約3.5mg)よりも、300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の洗浄力(洗浄量約5.8mg)は高く(水の場合の約1.7倍)、300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の洗浄力(洗浄量約12.5mg)はそれよりもさらに高かった(水の場合の約3.6倍)。また、50mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)は、油脂洗浄効果が高いとされているクリアッシュ水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)とほぼ同等であり、100mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液の洗浄効果(洗浄量10.5mg)は、クリアッシュ水溶液の洗浄効果(洗浄量約5.8mg)よりも顕著に高かった。さらに、100mg/mLの圧密化COハイドレートと0.6重量%のクリアッシュを併用すると、それぞれ単独の場合の洗浄効果(洗浄量約10.5mg、約5.8mg)の合計(約16.3mg)よりも格段に高い洗浄効果(洗浄量20mg)が得られた。このことから、COハイドレートと界面活性剤を併用すると、油脂洗浄効果について相乗効果が得られることが示された。
【0111】
試験5.[COハイドレート液のタンパク質洗浄効果の確認]
COハイドレート液が実際にタンパク質洗浄効果を有しているかを調べるために、以下の実験を行った。
【0112】
(1)タンパク質汚れモデル試験片の作製
50gの水が入ったビーカー内に1gのムチンを添加して溶解して調製した汚垢液を、タンパク質汚れモデルとした。クリップでスライドガラスの端をつまみ、このスライドガラスを前述の汚垢液中に一定速度で入れた後引き上げ、スライドガラス表面上に一定の量及び厚みの汚垢を付着させた。その後、このスライドガラスをドラフトチャンバー内に1時間置いて乾燥させて、タンパク質汚れモデル試験片(以下、試験5において単に「試験片」とも表示する。)とした。
【0113】
(2)タンパク質洗浄効果の測定
洗浄液として以下の5種類の洗浄液を調製した。なお、クリアッシュ(登録商標)(ナガセ医薬品株式会社製)とは、界面活性剤を含む、内視鏡用くもり止めである。
[1] 水;
[2] 300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[3] 300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液;
[4] 0.6重量%のクリアッシュを含む水溶液;
[5] 300mg/mLの圧密化COハイドレート及び0.6重量%のクリアッシュを含むCOハイドレート水溶液;
【0114】
前述の5種類の洗浄液を40℃に調整した。前述の試験片の重量を測定した後、この試験片と洗浄液をリーナッツ試験機にセットし、100rpmの回転数で6分間洗浄を行った。洗浄後の試験片を乾燥させた後に重量を測定し、洗浄前の試験片の重量(mg)から洗浄後の試験片の重量(mg)を引いた数値(「洗浄量(mg)」)を、その洗浄液の洗浄力として評価した。その結果を図4に示す。
【0115】
(3)結果
図4の結果から分かるように、通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液、圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液のいずれも、水やクリアッシュ水溶液よりも、高いタンパク質洗浄効果を有することが示された。より具体的には、300mg/mLの通常COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液のタンパク質洗浄効果は、水のタンパク質洗浄効果の約1.4倍であり、300mg/mLの圧密化COハイドレートを含むCOハイドレート水溶液のタンパク質洗浄効果は、水のタンパク質洗浄効果の約1.8倍であった。これらのことから、クリアッシュを含んでいないCOハイドレート水溶液では、ウルトラファインバブル濃度が高くなるほど、その液体のタンパク質洗浄効果が高くなることが示された。一方、COハイドレートとクリアッシュ(界面活性剤)を併用すると、COハイドレートを単独で用いた場合よりも、タンパク質洗浄効果は低くなることが分かった。しかし、油脂洗浄効果は、前述したように、COハイドレートと界面活性剤を併用すると顕著に高まるため、併用した液は、洗浄対象や洗浄場面に応じて使用することができる。例えば、主に油脂を洗浄することを目的とする場合は、COハイドレートと界面活性剤を両方含む液で洗浄する方法や、主にタンパク質を洗浄することを目的とする場合は、COハイドレートを含み、界面活性剤含まない液で洗浄する方法が挙げられ、また、油脂とタンパク質の両方を洗浄することを目的とする場合は、COハイドレートと界面活性剤を両方含む液で洗浄することと、COハイドレートを含み、界面活性剤含まない液で洗浄することを、この順序で又は逆の順序で行う方法が好ましく挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明によれば、簡便、迅速かつ安全に用いることができ、かつ、高い洗浄効果を有している洗浄剤や、かかる洗浄剤を用いた洗浄用液体組成物の製造方法や、かかる製造方法により製造される洗浄用液体組成物等を提供することができる。
図1
図2
図3
図4