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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019124257
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021010280
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 孝宣
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-031473(JP,A)
【文献】特開2004-187475(JP,A)
【文献】特開2017-022848(JP,A)
【文献】特開2013-038907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0100496(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0114698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側に一次側巻線が設けられ、二次側に二次側巻線が設けられたトランスと、
前記二次側において、負荷として接続されるダミー抵抗と、
前記二次側において、前記ダミー抵抗と直列に接続され、制御信号を受信することで初期状態である閉路状態から開路状態への切り替えが可能なb接点スイッチと、
前記b接点スイッチを前記開路状態に切り替え制御するための前記制御信号を出力する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記トランスからの出力として前記二次側から出力される出力電源の電圧が閾値電圧以上となることで前記制御信号を出力し、前記b接点スイッチを前記閉路状態から前記開路状態に切り換え制御する機能を有する
電源回路。
【請求項2】
前記b接点スイッチは、前記初期状態が前記閉路状態であり、前記制御信号により前記閉路状態から前記開路状態への切り替えが可能なb接点リレーを含んで構成される
請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記b接点スイッチは、前記初期状態が前記閉路状態であり、前記制御信号により前記閉路状態から前記開路状態への切り替えが可能なnチャンネルデプレッション型FETを含んで構成される
請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記制御回路は、マイクロコントローラで構成される
請求項1からのいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記出力電源の電圧を入力とする時定数回路で構成される
請求項1からのいずれか1項に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷条件に応じてダミー抵抗を開路状態とすることができる電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、装置の小型化およびマイコンの高性能化に伴い、装置内部の発熱軽減のために、装置の低消費電力化が求められている。
【0003】
スイッチング電源回路において、出力側の負荷が無負荷あるいは軽負荷になると、電源回路のスイッチングのON時間が徐々に短くなっていき、ON時間が最小の時間となる。一定の出力を二次側へ供給するための最小ON時間を下回ると、間欠発振に切り替えるか、あるいは発振周波数を可変するものがあった。
【0004】
無負荷時あるいは軽負荷時における消費電力を抑制し、また間欠発振によるトランスなどの部品から発生する可聴音を抑制し、バースト状のノイズを低減するために、スイッチング電源の二次側に並列に接続されるダミー抵抗を設ける方法がある。
【0005】
電源の起動後に、マイコンの制御によりダミー抵抗を接続し、起動後に負荷が増加した際にダミー抵抗を切り離すことで、重負荷時の損失を抑える従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-187475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1では、電源出力の上昇に伴い、トランジスタがオンすることでダミー抵抗を接続状態とし、その後、マイコンにより判断してダミー抵抗を切り離す必要があった。ダミー抵抗を接続するための制御回路を有し,制御回路によってダミー抵抗をオンさせるため,電源の起動時には、トランジスタが直ちにオンできない。このため、起動直後にはダミー抵抗へ電流が流れず、電源が0Vの状態からダミー抵抗を使うことができず,過渡状態の急峻なオーバーシュートを抑制できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、外部制御回路からの制御信号なしに、電源の起動直後からダミー抵抗を使用できる電源回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電源装置は、一次側に一次側巻線が設けられ、二次側に二次側巻線が設けられたトランスと、二次側において、負荷として接続されるダミー抵抗と、二次側において、ダミー抵抗と直列に接続され、制御信号を受信することで初期状態である閉路状態から開路状態への切り替えが可能なb接点スイッチと、b接点スイッチを開路状態に切り替え制御するための制御信号を出力する制御回路とを備え、制御回路は、トランスからの出力として二次側から出力される出力電源の電圧が閾値電圧以上となることで制御信号を出力し、b接点スイッチを閉路状態から開路状態に切り換え制御する機能を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源回路の二次側へダミー抵抗とb接点スイッチによる負荷を接続することで、0Vから制御回路なくダミー抵抗を有効にでき、かつ制御信号によりb接点スイッチを切断し、ダミー抵抗を切り離す構成を備えている。この結果、外部制御回路からの制御信号なしに、電源の起動直後からダミー抵抗を使用できる電源回路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る電源回路の回路構成例を示した図である。
図2】本発明の実施の形態2に係る電源回路において、b接点スイッチとしてb接点リレーを含むb接点回路部を用いた場合の例示図である。
図3】本発明の実施の形態3に係る電源回路において、b接点スイッチとしてnチャンネルデプレッション型FETを含むb接点回路部を用いた場合の例示図である。
図4】本発明の実施の形態4に係る電源回路において、b接点スイッチとしてb接点半導体スイッチを含むb接点回路部を用いた場合の例示図である。
図5】本発明の実施の形態5において、ダミーロード断信号を時定数回路で生成する場合の説明図である。
図6】本発明の実施の形態6において、ダミーロード断信号をマイコンからの信号として生成する場合の説明図である。
図7】本発明の実施の形態7に係る電源回路を、非絶縁の降圧スイッチングレギュレータ回路に適用した場合の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の電源回路の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源回路の回路構成例を示した図である。本実施の形態1に係る電源回路は、ダミー抵抗6が接続された状態を初期状態とし、負荷条件に応じてダミー抵抗6を開放することができる構成を備えている点を技術的特徴としている。図1は、フライバック方式のスイッチング電源に対して、本発明の技術的特徴である、負荷条件に応じてダミー抵抗6を開放する回路を適用した例示図である。
【0014】
図1において、一次側に一次側巻線が設けられ、二次側に二次側巻線が設けられたトランス2の一次側には、直流電源である入力電源101が接続されているとともに、入力電源101と直列にスイッチ13が接続されている。さらに、トランス2の一次側には、スイッチ13のON/OFFを制御するスイッチング制御回路1が設けられている。
【0015】
一方、トランス2の二次側には、ダイオード3およびコンデンサ4からなる整流回路が接続されている。ダイオード3のカソードは、電源出力端子102に接続されている。電源出力端子102には、電源回路から電力の供給を受ける装置が負荷として接続されることになる。
【0016】
また、トランス2の二次側には、b接点スイッチ7とダミー抵抗6とからなる直列回路が、コンデンサ4と並列に設けられている。なお、「b接点スイッチ」とは、スイッチを操作しない場合に短絡状態(閉路状態)となり、スイッチを操作した場合に開放状態(開路状態)となる接点をいう。
【0017】
このようなb接点スイッチ7は、ダミーロード断回路20からダミーロード断信号103が出力されていない場合には、短絡状態となってダミー抵抗6が接続された閉路状態となる。一方、b接点スイッチ7は、ダミーロード断回路20から出力されたダミーロード断信号103を受信した場合には、開放状態となって、ダミー抵抗6が切り離された開路状態となる。
【0018】
すなわち、ダミーロード断回路20は、b接点スイッチ7を、初期状態である閉路状態から開路状態へ切り替えるための制御信号であるダミーロード断信号103を出力することができる機能を有する制御回路に相当する。
【0019】
以上のように構成された本実施の形態1に係る電源回路の動作について、詳細に説明する。スイッチング制御回路1は、入力電源101が印加されると、入力電源101の電流に応じてスイッチ13をON/OFFするデューティ比を変更する。スイッチング制御回路1によりスイッチ13がONされることで、トランス2に電流が流れ、電流が流れることでトランス2が励起され、二次側に電圧が出力される。
【0020】
トランス2の二次側に出力された電圧は、ダイオード3を通じて、電源出力端子102に供給される。
【0021】
ここで、電源出力端子102に接続される装置の負荷が、装置の定常稼動時に想定される負荷である場合には、ダミー抵抗6は、無駄な電力消費を招くものであり、接続していない方が望ましい。従って、この場合には、ダミーロード断回路20からダミーロード断信号103が出力される。ダミーロード断信号103が出力されることにより、b接点スイッチ7は開放状態となり、ダミー抵抗6は、トランス2の二次側から切り離された開路状態となる。
【0022】
すなわち、ダミーロード断回路20は、トランス2の二次側に設けられた電源出力端子102から出力される出力電源の電圧が閾値電圧以上となることで、電源出力端子102に接続される装置の負荷が定常稼動時に想定される負荷以上になったと判断することができる。そして、ダミーロード断回路20は、定常稼動時に想定される負荷以上になったと判断できた場合には、制御信号であるダミーロード断信号103を出力することで、b接点スイッチ7を閉路状態から開路状態に切り換え制御する。
【0023】
このように、ダミー抵抗6が不要な場合には、ダミーロード断回路20からダミーロード断信号103を出力させることで、b接点スイッチ7を駆動して非導通状態とし、ダミー抵抗6を非接続とすることができる。この結果、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0024】
なお、ダミーロード断信号103は、レベル信号であり、b接点スイッチ7を切り替え制御するための信号として、ハイレベルまたはローレベルの信号であればよい。従って、ダミーロード断信号103としては、時定数回路で生成される信号、マイクロコントローラ(以下、マイコンと称す)からのポート信号などが適用可能である。換言すると、ダミーロード断信号103を出力するためのダミーロード断回路20の構成は、特定のものに限られない。
【0025】
一方、電源出力端子102に接続される装置の負荷が、想定よりも軽い軽負荷、あるいは負荷を取り外した等の無負荷の状態となった場合には、出力電圧の上昇、あるいは間欠発振を抑えるために、ダミー抵抗6を接続することが必要となる。
【0026】
従って、この場合には、ダミーロード断回路20は、ダミーロード断信号103を出力しないようにする。このダミーロード断信号103が出力されないことで、b接点スイッチ7は導通状態となり、ダミー抵抗6は、トランス2の二次側へ接続された閉路状態となる。
【0027】
このように、ダミー抵抗6が必要な場合には、ダミーロード断回路20からダミーロード断信号103を出力させないことで、b接点スイッチ7が駆動されず、導通状態とすることができる。この結果、ダミー抵抗6が接続された閉路状態とすることができ、出力電圧の上昇、および間欠発振を抑制できる。
【0028】
本実施の形態1においては、スイッチング制御回路1の動作状態にかかわらず、ダミーロード断信号103が出力されない限り、b接点スイッチ7を介してダミー抵抗6が接続された状態が維持される。従って、電源出力端子102が0Vの状態から、ダミー抵抗6が接続された状態とし、一定の負荷を与えることができる。そのため、電源起動時から、外部信号を必要とせず、一定の負荷を接続することができ、軽負荷あるいは無負荷時に起こる電圧上昇および可聴音を抑制できる。
【0029】
また、ダミー抵抗6は、ダミーロード断信号103によってトランス2の二次側から切り離されると、電流が流れなくなる。このため、定常状態においては、ダミー抵抗6が損失要因にはならず、部品の発熱を抑制できる。
【0030】
一方、軽負荷時においては、電源起動時の0Vからダミー抵抗6へ電流を流すことができる。この結果、スイッチングノイズが低周波数となることによるリップル発生が抑制される。
【0031】
また、定常時においては、ダミーロード断信号103がダミーロード断回路20から出力されることで、b接点スイッチ7が開路となる。この結果、軽負荷時から定常状態へ移行した際に、ダミー抵抗6を切り離し、ダミー抵抗6へ流れる電流を遮断することができ、ダミー抵抗6の損失を低減することができる。
【0032】
さらに、本実施の形態1におけるb接点スイッチ7とダミー抵抗6との直列回路を備えた構成は、トランス2の有無に関わらず、適用できる。従って、非絶縁の回路に対しても、本実施の形態1に係る回路構成を適用できる。
【0033】
以上のように、実施の形態1によれば、電源起動後の0Vの状態からダミー抵抗へ電流を流すことができ、出力電力の上昇および可聴音の発生を抑制できる。また、制御信号によって定常時はダミー抵抗を完全に切断することができ、消費電力を抑えることができる。
【0034】
なお、上述した実施の形態1では、フライバック方式の絶縁電源回路への適用例を説明した。しかしながら、本発明に係る電源回路は、フォワード方式、プッシュプル方式など、種々の方式に対しても適用可能であり、トポロジは問わない。
【0035】
また、本発明はダミー抵抗6をb接点スイッチ7によって開放させることを特徴とするものである。このため、電源回路のフィードバックの方式は、問わない。
【0036】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、ダミー抵抗6と直列に接続され、ON/OFF切り替えが可能な回路を、単に「b接点スイッチ7」として説明した。本実施の形態2では、b接点スイッチ7として、b接点リレーを含むb接点回路部を用いた構成について、詳細に説明する。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態2に係る電源回路において、b接点スイッチ7としてb接点リレー30を含むb接点回路部8を用いた場合の例示図である。本実施の形態2に係る電源回路は、図1に示した電源回路のうち、コンデンサ4よりも電源出力端子102側の構成部分を、図2の構成に置換したものであり、その他の構成は図1に示したものと同様である。
【0038】
b接点リレー30の制御側へ、NPNトランジスタ10のコレクタが接続され、ダミーロード断信号103の信号線がNPNトランジスタ10のベースに接続されている。また、b接点リレー30のスイッチ側には、ダミー抵抗6が直列に接続されている。
【0039】
このような構成の電源回路においても、先の実施の形態1と同様、ダミーロード断信号103がNPNトランジスタ10のベースに入力されない限り、b接点リレー30を介してダミー抵抗6が接続された閉路状態が維持される。従って、電源装置の起動直後等の、電源出力端子102が0Vの状態のときから、ダミー抵抗6が接続され、一定の負荷を与える閉路状態にしておくことができる。
【0040】
また、本実施の形態2の構成では、b接点スイッチ7として、b接点リレー30を用いることで、ダミーロード断信号103が入力されない限り、ダミー抵抗6に大電流を流すことができる。
【0041】
実施の形態3.
本実施の形態3では、b接点スイッチ7としてnチャンネルデプレッション型FET(Field Effect Transistor)を含むb接点回路部8を用いた構成について、詳細に説明する。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態3に係る電源回路において、b接点スイッチ7としてnチャンネルデプレッション型FET5を含むb接点回路部8を用いた場合の例示図である。本実施の形態3に係る電源回路は、図1に示した電源回路のうち、コンデンサ4よりも電源出力端子102側の構成部分を、図3の構成に置換したものであり、その他の構成は図1に示したものと同様である。
【0043】
本実施の形態3に係るb接点回路部8は、nチャンネルデプレッション型FET5、電流制限抵抗9、およびトランジスタ10を含んで構成されている。トランジスタ10のベースには、ダミーロード断信号103の信号線が接続されている。トランジスタ10のコレクタには、電流制限抵抗9が接続されている。さらに、トランジスタ10のコレクタには、nチャンネルデプレッション型FET5のゲートが接続されている。
【0044】
また、nチャンネルデプレッション型FET5のソースは、電源出力端子102と接続され、nチャンネルデプレッション型FET5のドレインは、ダミー抵抗6の一端と接続されている。この結果、nチャンネルデプレッション型FET5がON状態のときにダミー抵抗6に電圧が印加される構成となっている。
【0045】
従って、ダミーロード断回路20から出力されたダミーロード断信号103に応じて、ダミー抵抗6に電圧が印加されることとなる。具体的には、nチャンネルデプレッション型FET5は、ゲート電圧が印加されていない場合、すなわち、ゲートの電位がソースと同程度の場合には、ソースとドレインとの間に電流が流れる閉路状態となる。また、nチャンネルデプレッション型FET5は、ゲートに正電圧が印加された場合、すなわち、ソースよりもゲート電圧が低くなった場合には、ソースとドレインとの間が開路状態となる。
【0046】
このような構成の電源回路においても、先の実施の形態1、2と同様に、ダミーロード断信号103が入力されない限り、nチャンネルデプレッション型FET5を介してダミー抵抗6が接続された状態が維持される。従って、電源装置の起動直後等の、電源出力端子102が0Vの状態から、ダミー抵抗6が接続された状態とし、一定の負荷を与える閉路状態にしておくことができる。
【0047】
また、本実施の形態3の構成では、b接点スイッチとして、nチャンネルデプレッション型FET5を用いることで、ダミーロード断信号103が入力されない限り、ダミー抵抗6に電流を流すことができる。
【0048】
実施の形態4.
本実施の形態4では、b接点スイッチ7としてb接点半導体スイッチを含むb接点回路部8を用いた構成について、詳細に説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態4に係る電源回路において、b接点スイッチ7としてb接点半導体スイッチ40を含むb接点回路部8を用いた場合の例示図である。本実施の形態4に係る電源回路は、図1に示した電源回路のうち、コンデンサ4よりも電源出力端子102側の構成部分を、図4の構成に置換したものであり、その他の構成は図1に示したものと同様である。
【0050】
b接点半導体スイッチ40の制御側へ、NPNトランジスタ10のコレクタが接続され、ダミーロード断信号103の信号線がNPNトランジスタ10のベースに接続されている。また、b接点半導体スイッチ40の駆動側には、ダミー抵抗6が直列に接続されている。
【0051】
このような構成の電源回路においても、先の実施の形態1と同様、ダミーロード断信号103がNPNトランジスタ10のベースに入力されない限り、b接点半導体スイッチ40を介してダミー抵抗6が接続された閉路状態が維持される。従って、電源装置の起動直後等の、電源出力端子102が0Vの状態から、ダミー抵抗6が接続され、一定の負荷を与える状態にしておくことができる。
【0052】
実施の形態5.
本実施の形態5では、ダミーロード断信号103を生成するための具体的な回路構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態5において、ダミーロード断信号103を時定数回路で生成する場合の説明図である。すなわち、本実施の形態5では、制御回路に相当するダミーロード断回路20が時定数回路によって構成されている。
【0053】
図5に示したダミーロード断回路20は、電流制限抵抗11とコンデンサ12とを直列接続することにより構成された時定数回路により、ダミーロード断信号103を生成し、b接点スイッチ7に対して出力する。
【0054】
図5に示したダミーロード断回路20は、ダミーロード断信号103を、時定数回路のコンデンサ12の電圧として生成している。従って、電源出力端子102から出力される電圧に基づいて、時定数回路によって規定される時定数の経過後に、b接点スイッチ7を開放するためのダミーロード断信号103を出力することが可能となる。このため、実施の形態5によれば、時定数回路の回路定数により時定数を所望の値に設定することができ、かつマイコンなどの制御装置からの信号が不要となることで、回路の小型化が可能である。
【0055】
実施の形態6.
本実施の形態6では、先の実施の形態5とは異なる回路構成により、ダミーロード断信号103を生成するための具体的な回路構成について説明する。図6は、本発明の実施の形態6において、ダミーロード断信号103をマイコンからの信号として生成する場合の説明図である。すなわち、本実施の形態6では、制御回路に相当するダミーロード断回路20がマイコンによって構成されている。
【0056】
マイコンは、ダミーロード断信号103を生成し、ポートを介して出力する。例えば、マイコンは、電源出力端子102の電圧をモニタすることで、起動後に、一定以上の負荷があると考えられる場合には、ポートからダミーロード断信号103を出力することができる。この結果、図6に示した回路構成によっても、b接点スイッチ7を開放し、ダミー抵抗6への電流を遮断することができる。
【0057】
実施の形態7.
本実施の形態7では、本発明の係る電源回路の具体的な適用例として、非絶縁の降圧スイッチングレギュレータ回路に適用する場合について説明する。
【0058】
図7は、本発明の実施の形態7に係る電源回路を、非絶縁の降圧スイッチングレギュレータ回路14に適用した場合の例示図である。図7においては、降圧スイッチングレギュレータ回路14の2次側に、ダミー抵抗6、b接点スイッチ7、およびダミーロード断回路20を含んで構成された電源回路が接続されている。
【0059】
降圧スイッチングレギュレータ回路14が起動後、軽負荷である場合には、ダミーロード断回路20は、ダミーロード断信号103をオフに制御することで、b接点スイッチ7を導通状態とする。この結果、軽負荷時にはダミー抵抗6へ電流が流れる。
【0060】
一方、降圧スイッチングレギュレータ回路14の負荷が一定以上になった場合には、ダミーロード断回路20は、ダミーロード断信号103をオンに制御することで、b接点スイッチ7を開放状態とする。この結果、負荷が一定以上になった場合には、ダミー抵抗6へ電流が流れなくなる。
【0061】
なお、本実施の形態7では、具体的な適用例として、非絶縁の降圧スイッチングレギュレータ回路14を例示したが、昇圧、反転など、トポロジは問わない。
【0062】
実施の形態1~7で詳述した本発明に係る電源回路は、安定性または高効率と、負荷応答性との両立が求められるスイッチング電源回路において、適用可能である。また、PLC(Programmable Logic Controller)を適用対象とする場合には、マイコン用電源回路、リモートユニットの電源回路、アナログ入出力回路の絶縁電源回路などに、本発明に係る電源回路を使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 スイッチング制御回路、2 トランス、3 ダイオード、4 コンデンサ、5 nチャンネルデプレッション型FET、6 ダミー抵抗、7 b接点スイッチ、8 b接点回路部、9 電流制限抵抗、10 NPN型トランジスタ、11 電流制限抵抗、12 コンデンサ、13 スイッチ、14 降圧スイッチングレギュレータ回路、20 ダミーロード断回路(制御回路)、30 b接点リレー、31 保護ダイオード、40 b接点半導体スイッチ、101 入力電源、102 電源出力端子、103 ダミーロード断信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7