(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】自動ドア装置の検査システム、自動ドア装置の検査装置、自動ドア装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/70 20150101AFI20230404BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20230404BHJP
【FI】
E05F15/70
G01M99/00 Z
(21)【出願番号】P 2019137025
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/091491(WO,A1)
【文献】特開2009-176275(JP,A)
【文献】特開2008-296735(JP,A)
【文献】特開2012-158922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置と、
前記自動ドア装置の複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の他の構成要素の機能を停止させる停止信号を送信する停止信号送信部と、
前記対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号を送信する検査信号送信部と、
前記対象の構成要素から発信される反応信号を取得する反応信号取得部と
を備える自動ドア装置の検査システム。
【請求項2】
前記検査信号は、前記自動ドア装置が稼働していた場合に前記他の構成要素が前記対象の構成要素に発信する信号を模擬する模擬信号である
請求項1に記載の自動ドア装置の検査システム。
【請求項3】
前記検査信号および前記反応信号は、前記複数の構成要素が互いに通信する伝送路で伝送される
請求項1または2に記載の自動ドア装置の検査システム。
【請求項4】
前記反応信号に基づいて前記対象の構成要素が正常に稼働しているか否かを推定する推定部を有する
請求項1から3のいずれかに記載の自動ドア装置の検査システム。
【請求項5】
前記推定部の推定結果を表示する表示部を有する
請求項4に記載の自動ドア装置の検査システム。
【請求項6】
互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置の前記複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の構成要素の機能を停止させる停止信号を送信する停止信号送信部と、
前記対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号を送信する検査信号送信部と、
前記対象の構成要素から発信される反応信号を取得する反応信号取得部と、
を備える自動ドア装置の検査装置。
【請求項7】
互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置の前記複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の構成要素の機能を停止させる停止信号を送信するステップと、
前記対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号を送信するステップと、
前記対象の構成要素から発信される反応信号を取得するステップを含む自動ドア装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置の検査システム、自動ドア装置の検査装置および自動ドア装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動開閉する扉を備えた自動ドアが知られている。例えば、特許文献1には自動ドアの開閉制御装置が記載されている。この、開閉制御装置は、開閉移動する扉を制御するコントローラと、モード切換手段と、衝突検出部を備える。このコントローラは、モード切換手段により開閉モードと測定モードとを切り換え可能に構成される。コントローラは、開閉モードでは、衝突検出部から衝突検出信号が入力されたら通常の開閉動作を中止して安全確保動作する。また、コントローラは、測定モードでは、衝突検出信号が入力されても扉が通常の開閉動作するように制御し続けて扉の開閉力を測定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、自動ドア装置の構成要素の検査について以下の認識を得た。コントローラやセンサ等の複数の構成要素からなる自動ドア装置に動作異常がある場合は、主要な構成要素をすべて新しいものと交換することが考えられる。しかし、この場合、構成要素を交換する手間と交換部品のロスが大きいという問題がある。このため、動作異常がある場合には、自動ドアの設置現場において構成要素ごとに検査し、その検査結果に基づいて適切な対策を講じることが望ましい。しかし、自動ドア装置に装着された状態で構成要素を検査するには高い知識と技能が必要なため、設置現場での検査対応は困難である。
【0005】
構成要素を検査するために、構成要素に検査用信号を入力してその反応を確認することが考えられる。しかし、装着された状態で検査用信号が入力されると、検査対象外の構成要素も反応して自動ドア装置が意図しない動作をし、検査作業を妨げるという問題がある。
以上のことから、本発明者らは、自動ドア装置には、その構成要素の検査を容易にするという観点で改善の余地があることを認識した。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、検査を容易に行うことが可能な自動ドア装置の検査システムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア装置の検査システムは、互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置と、自動ドア装置の複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の他の構成要素の機能を停止させる停止信号を送信する停止信号送信部と、対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号を送信する検査信号送信部と、対象の構成要素から発信される反応信号を取得する反応信号取得部とを備える。
【0008】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査を容易に行うことが可能な自動ドア装置の検査システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る自動ドア装置の検査システムを概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1の自動ドア装置の検査システムを概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図1の検査システムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1の検査システムの第2動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
[第1実施形態]
図1、
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置の検査システム1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る自動ドア装置の検査システム1を概略的に示す正面図である。
図2は、自動ドア装置の検査システム1を概略的に示すブロック図である。
【0014】
図2に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
図1、
図2に示すように、この検査システム1は、建物の開口部に設置された自動ドア装置100と、検査部40を備える。自動ドア装置100は、ドアエンジン10に駆動される駆動機構14によって扉12を開閉動作させる。自動ドア装置100は、伝送路36を介して互いに通信する複数の構成要素を有する。検査部40は、複数の構成要素のうち検査対象外の他の構成要素(以下、「第2構成要素」という)に停止信号を与えてその機能を停止させたのち、複数の構成要素のうち検査対象の構成要素(以下、「第1構成要素」という)に検査信号を与えてその反応信号を取得する。検査部40からの検査信号、停止信号及び第1構成要素からの反応信号は、伝送路36を介して伝送される。まず、自動ドア装置100について説明し、検査部40については後述する。
【0016】
(自動ドア)
本実施形態の自動ドア装置100は、複数の構成要素として、コントローラ30、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26および電気錠28を有する。コントローラ30、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26および電気錠28は伝送路36に接続され、伝送路36を介して互いに通信し情報交換する。
図1の例では、扉12は水平な可動方向に開閉駆動される。ドアエンジン10は、コントローラ30によって制御され、駆動機構14を介して扉12を開閉させる動力源として機能する。
【0017】
外側起動センサ20と、内側起動センサ22と、保護センサ24とは無目80などに取り付けられ、通行人などの通行体を検知する。外側起動センサ20と内側起動センサ22は、自動ドア装置100が設置された開口の外側と内側とにおいて所定の起動領域を監視する。起動センサ20、22は、起動領域で通行体を検知したら、伝送路36を介して検知結果を送信する。コントローラ30は、起動センサ20、22の検知結果に応じてドアエンジン10を制御して扉12を開閉する。
【0018】
保護センサ24は、閉動作中に扉12が通行体と衝突する可能性がある領域を監視する。保護センサ24は、閉動作中に通行体を検知したら、伝送路36を介して検知結果を送信する。コントローラ30は、保護センサ24の検知結果に応じてドアエンジン10を制御して閉じ始めた扉12を再び開く。
【0019】
補助センサ26は、扉12の軌道上を監視する。一例として、補助センサ26は、軌道上の所定の高さに設けられた投光部26bと受光部26cとの間の遮光物の有無を検知する光電センサであってもよい。補助センサ26は、軌道上において通行体を検知したら、伝送路36を介して検知結果を送信する。コントローラ30は、補助センサ26の検知結果に応じてドアエンジン10を制御して扉12の閉動作を禁止し、または閉じ始めた扉12を再び開く。
【0020】
電気錠28は、停電等の所定の事態が生じたときや所定の時刻が到来したときに解錠または施錠する。コントローラ30は、伝送路36を介して電気錠28に施錠または解錠を行う指令信号を送信する。電気錠28は、指令信号を取得し、指令信号に基づいて施錠または解錠を行う。電気錠28は、伝送路36を介してコントローラ30に施錠状態を送信する。
【0021】
(伝送路)
上述したように、伝送路36は、コントローラ30、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26および電気錠28と、検査部40との間で検査信号や反応信号等の情報信号を伝送するための媒体である。
図1に示すように、伝送路36は、コントローラ30、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26、電気錠28および検査部40にそれぞれ接続される。伝送路36は、信号を伝達可能な伝達手段であればよく、データバスであってもよいし、ネットワークであってもよい。この例の伝送路36は、シリアルバスを採用している。伝送路36は、有線通信、無線通信、光通信またはそれらの組み合わせによって構成することができる。
【0022】
本実施形態では、コントローラ30、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26および電気錠28は伝送路36を介して通信をしている。特に、コントローラ30は、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24、補助センサ26または電気錠28に対して所定の指令信号を送信し、これらから所定の検知情報やステータス情報を受信する。
【0023】
図2に示すように、外側起動センサ20、内側起動センサ22、保護センサ24および補助センサ26は、センサ本体部20b、22b、24b、26bと、処理部20p、22p、24p、26pと、を有する。電気錠28は、電気錠本体部28bと、処理部28pと、を有する。コントローラ30は、コントローラ本体部30bと、処理部30pと、を有する。
【0024】
処理部20p~30pは、各本体部20b~30bからの情報信号を伝送路36に送信する。処理部20p~30pは、伝送路36からの情報信号を受信して各本体部20b~30bに与える。
【0025】
特に、コントローラ30は、センサ20~26に対して、検知情報信号Diを送信させるための指令信号Tcを送信し、センサ20~26は、指令信号Tcを受信する。処理部20p~26pは、受信した指令信号Tcに基づいて、センサ本体部20b~26bの検知情報から検知情報信号Diを生成する。センサ20~26は、処理部20p~26pにより、伝送路36を介して検知情報信号Diをコントローラ30に送信する。
【0026】
コントローラ30は、電気錠28に対して、施錠または解錠させるための指令信号Tcや、状態情報を送信させるための指令信号Tcを送信し、電気錠28は、指令信号Tcを受信する。処理部28pは、受信した指令信号Tcに基づいて、施錠、解錠を実行し、または電気錠本体部28bの状態情報(施錠、解錠状態に関する情報)から状態情報信号Siを生成する。電気錠28は、処理部28pにより、伝送路36を介して状態情報信号Siをコントローラ30に送信する。
【0027】
コントローラ30は、検知情報信号Diおよび状態情報信号Siを受信する。コントローラ30は、受信された検知情報信号Diに基づいてドアエンジン10を制御するとともに、ドアエンジン10の制御情報信号Ciを伝送路36に送信する。コントローラ30は、自動ドア装置100の機器名、設定値などの設定情報を記憶するとともに、記憶されている設定情報から設定情報信号Ecを生成し伝送路36に送信する。
【0028】
(検査部)
次に、検査部40を説明する。
図2に示すように、本実施形態の検査部40は、伝送路接続部42と、検査本体部44と、を含む。検査本体部44は、伝送路接続部42を介して伝送路36に検査信号Etを送信し、反応信号Rsを取得する。本実施形態では、伝送路接続部42は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって検査本体部44と接続されている。
【0029】
検査本体部44は、検査用のソフトウエアを搭載したデスクトップ型やノート型のPCであってもよい。本実施形態の検査本体部44は、タッチパネル一体型の液晶ディスプレイを備え、検査用のアプリケーションを搭載したタブレット型の携帯端末である。検査本体部44は、反応信号取得部44aと、停止信号送信部44cと、検査信号送信部44gと、推定部44eと、記憶部44mと、表示部44dと、操作部44bと、出力部44fと、を含む。
【0030】
反応信号取得部44aは、伝送路36から反応信号Rsを取得する。停止信号送信部44cは、伝送路36を介して停止信号Spを送信する。検査信号送信部44gは、伝送路36を介して検査信号Etを送信する。推定部44eは、取得された反応信号Rsに基づいて、反応信号Rsを送信した構成要素の状態を推定する。記憶部44mは、推定部44eの推定結果および反応信号Rsを時系列的に記憶する。
【0031】
表示部44dは、推定部44eの推定結果または、記憶部44mに記憶された情報を携帯端末の液晶ディスプレイに表示する。操作部44bは、携帯端末のタッチパネルから検査員の操作を取得する。出力部44fは、推定部44eの推定結果または、記憶部44mに記憶された情報を外部に出力する。例えば、出力部44fは、インターネット等の通信媒体を介して遠隔地に設置されたサーバに所定の情報を出力してもよい。
【0032】
(停止信号)
停止信号Spは、コントローラ30、センサ20~26および電気錠28のうち、検査対象外である第2構成要素の機能の一部または全部を停止させるための信号である。停止信号Spは、第2構成要素および停止すべき機能に関する情報を含む。停止信号Spが伝送路36に送信されると、第2構成要素は停止信号Spを受信し、停止信号Spに基づいて機能を停止する。例えば、第2構成要素は検知情報信号Di、状態情報信号Si、指令信号Tc、制御情報信号Ci、設定情報信号Ec等の信号の送信機能を停止する。
【0033】
また、停止信号Spは、システム1を通常モードから検査モードに切り替えるためのモード切替信号であってもよい。検査モードでは、第2構成要素は検知情報信号Di、状態情報信号Si、指令信号Tc、制御情報信号Ci、設定情報信号Ec等の信号送信機能を停止してもよい。停止信号Spは、処理部20p~30pによって受信される。
【0034】
(検査信号)
検査信号Etは、コントローラ30、センサ20~26および電気錠28のうち、検査対象である第1構成要素に与える信号である。検査信号Etは、第1構成要素に所定の反応信号を出力させることができる信号であればよい。本実施形態の検査信号Etは、第2構成要素が第1構成要素に与える信号を模擬する模擬信号である。例えば、第1構成要素がセンサ20~26および電気錠28のいずれかである場合、検査信号Etは、コントローラ30から送信される指令信号Tcを模擬する信号であってもよい。例えば、第1構成要素がコントローラ30である場合、検査信号Etは、センサ20~26のいずれかから送信される検知情報信号Diを模擬する信号であってもよい。検査信号Etは、処理部20p~30pによって受信される。
【0035】
(反応信号)
反応信号Rsは、受信した検査信号Etに基づいて第1構成要素が送信する信号である。例えば、第1構成要素がセンサ20~26および電気錠28のいずれかである場合、反応信号Rsは、検知情報信号Diまたは状態情報信号Siであってもよい。例えば、第1構成要素がコントローラ30である場合、反応信号Rsは、指令信号Tc、制御情報信号Ciまたは設定情報信号Ecであってもよい。反応信号Rsは、処理部20p~30pによって送信される。
【0036】
処理部20p~30pの動作を説明する。処理部20p~30pは、伝送路36を介して検査部40からの検査信号Etを受信すると、受信した検査信号Etに基づいて、各本体部20b~30bの検知情報、状態情報、設定情報または指令情報から上述の反応信号Rsを生成する。また、処理部20p~30pは、伝送路36を介して生成された反応信号Rsを検査部40に送信する。
【0037】
以上のように構成された検査システム1の第1の動作例を説明する。
図3は、検査システム1の第1動作例を示すフローチャートである。この図は、外側起動センサ20を第1構成要素として検査する検査方法S80を示す。検査方法S80は、検査員が携帯端末の操作部44b(タッチパネル)からセンサ20の検査を開始するための操作を行うことにより開始される。
【0038】
検査方法S80が開始されると、検査部40は、外側起動センサ20を第1構成要素として決定する(ステップS81)。第1構成要素が決定されたら、検査部40は、第2構成要素の機能を停止するために停止信号Spを伝送路36に送信する(ステップS82)。
【0039】
停止信号Spが送信されたら、第2構成要素は停止信号Spを受信して機能を停止する(ステップS83)。この例では、コントローラ30、電気錠28およびセンサ22~26の機能が停止される。
【0040】
第2構成要素の機能が停止されたら、検査部40は、センサ20を検査するための検査信号Etを伝送路36に送信する(ステップS84)。この例では、検査信号Etは検知情報信号Diを送信させるための指令信号Tcを模擬する信号である。
【0041】
検査信号Etが送信されたら、センサ20の処理部20pは検査信号Etを受信するとともに、検査信号Etに基づいて反応信号Rsを生成する(ステップS85)。この例では、反応信号Rsは検知情報信号Diである。
【0042】
反応信号Rsが生成されたら、処理部20pは反応信号Rsを伝送路36に送信する(ステップS86)。反応信号Rsが送信されたら、検査部40は反応信号Rsを取得する(ステップS87)。次に、取得した反応信号Rsに基づいてセンサ20の状態を推定する(ステップS88)。例えば、検査部40は反応信号Rsに基づいてセンサ20が正常に稼働しているか否かを推定してもよい。
【0043】
このステップにおける推定は、センサ20が正常であるときの検知情報信号Diを基準信号として記憶部44mに予め記憶しておき、検査部40は、受信した反応信号Rsを基準信号と比較してその比較結果に基づいて実行されてもよい。例えば、反応信号Rsと基準信号との相違が所定範囲内であるときに正常と推定できる。
【0044】
また、反応信号Rsのパターンで想定されるエラー原因を用意して記憶部44mに予め記憶させてもよい。この場合、反応信号Rsのパターンを分析することにより自動的にエラー原因を推定できる。また、反応信号Rsのパターンに異常がなければ、設定に問題があると推定できる。
【0045】
ステップS88は、センサ20の起動領域(監視領域)に模擬通行体を配置して行われてもよい。検査部40は、模擬通行体の配置に対応する反応信号Rsを取得した場合に、センサ20は正常と推定し、それ以外の場合にセンサ20は正常ではない(異常)と推定してもよい。また、検査部40は、所定期間内に反応信号Rsが送信されない場合、センサ20は正常ではない(異常)と推定してもよい。
【0046】
センサ20の状態が推定されたら、検査部40は推定結果を表示部44d(液晶ディスプレイ)に表示する(ステップS89)。検査員は表示部44dの表示結果に応じて次の検査に移行したり、センサ20を交換したりすることができる。
【0047】
ステップS89を完了することで、この検査方法S80は終了する。上述の検査方法S80はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。検査方法S80は、センサ22~26および電気錠28にも同様に適用できる。
【0048】
次に、検査システム1の第2の動作例を説明する。
図4は、検査システム1の第2動作例を示すフローチャートである。この図は、コントローラ30を第1構成要素として検査する検査方法S90を示す。検査方法S90は、検査員が携帯端末の操作部44b(タッチパネル)からコントローラ30の検査を開始するための操作を行うことにより開始される。
【0049】
検査方法S90が開始されると、検査部40は、コントローラ30を第1構成要素として決定する(ステップS91)。第1構成要素が決定されたら、検査部40は、第2構成要素の機能を停止するために停止信号Spを伝送路36に送信する(ステップS92)。
【0050】
停止信号Spが送信されたら、第2構成要素は停止信号Spを受信して機能を停止する(ステップS93)。この例では、センサ20~26および電気錠28の機能が停止される。
【0051】
第2構成要素の機能が停止されたら、検査部40は、コントローラ30を検査するための検査信号Etを伝送路36に送信する(ステップS94)。この例では、検査信号Etは、外側起動センサ20が通行体を検知したときの検知情報信号Diを模擬する信号である。この場合、コントローラ30は、検知情報信号Diを模擬する検査信号Etを受信することにより、扉12を開動作する際の制御情報信号Ciを送信することが期待される。したがって、コントローラ30が正常であるときの制御情報信号Ciを基準信号として記憶部44mに予め記憶しておいてもよい。
【0052】
検査信号Etが送信されたら、コントローラ30の処理部30pは検査信号Etを受信するとともに、検査信号Etに基づいて反応信号Rsを生成する(ステップS95)。この例では、反応信号Rsは制御情報信号Ciであることが期待される。
【0053】
反応信号Rsが生成されたら、処理部30pは反応信号Rsを伝送路36に送信する(ステップS96)。反応信号Rsが送信されたら、検査部40は反応信号Rsを取得する(ステップS97)。次に、取得した反応信号Rsに基づいてコントローラ30の状態を推定する(ステップS98)。例えば、検査部40は反応信号Rsに基づいてコントローラ30が正常に稼働しているか否かを推定してもよい。
【0054】
このステップにおいて、検査部40は、反応信号Rsが制御情報信号Ciである場合に、コントローラ30は正常と推定し、それ以外の場合にコントローラ30は正常ではない(異常)と推定してもよい。また、検査部40は、所定期間内に反応信号Rsが送信されない場合、コントローラ30は正常ではない(異常)と推定してもよい。
【0055】
このステップにおける推定は、受信した反応信号Rsを記憶部44mに記憶された基準信号と比較してその結果に基づいて実行されてもよい。例えば、反応信号Rsと基準信号との相違が所定範囲内であるときに正常と推定できる。
【0056】
また、反応信号Rsのパターンで想定されるエラー原因を用意して記憶部44mに予め記憶させてもよい。この場合、反応信号Rsのパターンを分析することにより自動的にエラー原因を推定できる。また、反応信号Rsのパターンに異常がなければ、設定に問題があると推定できる。
【0057】
コントローラ30の状態が推定されたら、検査部40は推定結果を表示部44d(液晶ディスプレイ)に表示する(ステップS99)。検査員は表示部44dの表示結果に応じて次の検査に移行したり、コントローラ30を交換したりすることができる。
【0058】
ステップS99を完了することで、この検査方法S90は終了する。上述の検査方法S90はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0059】
次に、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置の検査システム1の特徴を説明する。自動ドア装置の検査システム1は、互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置100と、自動ドア装置100の複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の他の構成要素の機能を停止させる停止信号Spを送信する停止信号送信部44cと、対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号Etを送信する検査信号送信部44gと、対象の構成要素から発信される反応信号Rsを取得する反応信号取得部44aとを備える。対象の構成要素は、第1構成要素によって例示され、例えば外側起動センサ20であり、他の構成要素は、第2構成要素によって例示され、例えばコントローラ30である。
【0060】
この構成によれば、他の構成要素の機能を停止させるので、他の構成要素から余計な信号が出て無駄に扉12が開閉動作しないので作業が容易になる。反応信号Rsに基づいて対象の構成要素の状態を診断することができる。対象の構成要素を取り付けたままでも検査できるので、取り外して検査する場合に比べて作業工数を少なくできる。
【0061】
対象の構成要素は検査信号Etに基づいて反応信号Rsを生成する処理部20p~30pを有してもよい。この場合、検査対象の構成要素を取り外さなくてもその対象の構成要素を検査できる。
【0062】
検査信号Etは、自動ドア装置100が稼働していた場合に他の構成要素が対象の構成要素に発信する信号を模擬する模擬信号であってもよい。この場合、対象の構成要素を実際の稼働状況に近い状態で検査できる。
【0063】
検査信号Etおよび反応信号Rsは、複数の構成要素が互いに通信する伝送路36で伝送されてもよい。この場合、検査用の伝送路36を用いて伝送するため、伝送路36とは別の通信用の伝送路が不要になる。
【0064】
反応信号Rsに基づいて対象の構成要素が正常に稼働しているか否かを推定する推定部44eを有してもよい。この場合、対象の構成要素を検査するために特別なスキルを要しないので、設置現場で簡単に対象の構成要素の状態を把握できる。
【0065】
推定部44eの推定結果を表示する表示部を有してもよい。この場合、推定部44eの推定結果を適確に把握できるので、容易に検査できる。
以上が第1実施形態の説明である。
【0066】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0067】
本発明の第2実施形態は、自動ドア装置の検査装置である。この検査装置は、互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置100の複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の構成要素の機能を停止させる停止信号Spを送信する停止信号送信部44cと、対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号Etを送信する検査信号送信部44gと、対象の構成要素から発信される反応信号Rsを取得する反応信号取得部44aと、を備える。例えば、対象の構成要素は外側起動センサ20であり、対象の構成要素以外の構成要素はコントローラ30である。この場合、反応信号Rsに基づいて対象の構成要素の状態を推定できる。
【0068】
この構成によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0069】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0070】
本発明の第3実施形態は、自動ドア装置の検査方法である。この検査方法S80は、互いに通信する複数の構成要素を有する自動ドア装置100の複数の構成要素のうち検査対象の構成要素以外の構成要素の機能を停止させる停止信号Spを送信するステップ(S82)と、対象の構成要素の稼働状態を検査する検査信号Etを送信するステップ(S84)と、対象の構成要素から発信される反応信号Rsを取得するステップ(S87)を含む。例えば、対象の構成要素は外側起動センサ20であり、対象の構成要素以外の構成要素はコントローラ30である。この場合、反応信号Rsに基づいて第1構成要素の状態を推定できる。
【0071】
この方法によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0073】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0074】
第1実施形態の説明では、検査本体部44がPCやタブレット端末である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、検査本体部44は、プログラムスイッチであってもよい。また、検査本体部44は、コントローラ30と同一の筐体内または同一の基板上に設けられてもよい。
【0075】
第1実施形態の説明では、表示部44dおよび操作部44bが検査本体部44に一体的に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部44dと操作部44bの一方又は両方は検査本体部44とは別の芭蕉に設置されてもよい。例えば、表示部44dと操作部44bの一方又は両方はコントローラ30と同一の筐体内に設けられてもよい。例えば、表示部44dと操作部44bの一方又は両方は自動ドア装置100の設置場所とは別室に設けられてもよい。
【0076】
第1実施形態の説明では、伝送路接続部42が近距離無線通信によって検査本体部44と接続される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、検査本体部44は、伝送路接続部42と一体であってもよいし、有線で接続されてもよいし、別方式の無線で接続されてもよいし、ネットワークを介して接続されてもよい。
【0077】
第1実施形態の説明では、検査員が設置現場で自動ドア装置100を検査する例を示したが、本発明はこれに限定されない。インターネットなどのネットワークを介して、遠隔地に設置された検査本体部44と伝送路接続部42とを接続し、検査員は遠隔地で自動ドア装置100を検査してもよい。
【0078】
第1実施形態の説明では、検査部40が自動ドア装置100に常時接続されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。検査部40は、検査をする際に自動ドア装置100に接続されてもよい。また、伝送路接続部42が自動ドア装置100に常に接続され、検査本体部44は、検査をするときに伝送路接続部42に接続されてもよい。
【0079】
第1実施形態の説明では、検査信号Etを与えたときのコントローラ30の反応信号Rsに基づいてコントローラ30の状態を推定する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コントローラ30に検査信号Etを与えたときの扉12の動作状況に応じてコントローラ30の状態を推定してもよいし、反応信号Rsと扉12の動作状況とに応じて状態を推定してもよい。
【0080】
第1実施形態の説明では、コントローラ30の反応信号Rsが指令信号Tc、制御情報信号Ci、設定情報信号Ecである例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コントローラ30の反応信号Rsは、保守情報や稼働情報等に関する情報信号を含んでもよい。
【0081】
第1実施形態の説明では、コントローラ30の設定情報を変更せずに第1構成要素を検査する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コントローラ30の設定情報を動作試験用の値に変更した状態で第1構成要素を検査してもよい。この場合、検査後にコントローラ30の設定情報を元に戻してもよい。
【0082】
第1実施形態の説明では、全ての第2構成要素の送信機能を停止した状態で第1構成要素を検査する例を示したが、本発明はこれに限定されない。一部の第2構成要素の送信機能を停止させることなく検査をしてもよい。
【0083】
上述の変形例は、第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0084】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0085】
1・・・検査システム、20・・・外側起動センサ、22・・・内側起動センサ、24・・・保護センサ、26・・・補助センサ、28・・・電気錠、30・・・コントローラ、20p~30p・・・処理部、36・・・伝送路、40・・・検査部、42・・・伝送路接続部、44・・・検査本体部、44a・・・反応信号取得部、44b・・・操作部、44c・・・停止信号送信部、44d・・・表示部、44e・・・推定部、44g・・・検査信号送信部、100・・・自動ドア装置。