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特許7256093探査システム、シールド掘削機及び探査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】探査システム、シールド掘削機及び探査方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20060101AFI20230404BHJP
   E21D 9/093 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
G01V1/00 C
E21D9/093 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019147805
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028604
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 隆
(72)【発明者】
【氏名】西村 知晃
(72)【発明者】
【氏名】竹田 茂嗣
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-168796(JP,A)
【文献】特開昭62-15496(JP,A)
【文献】特開昭62-138779(JP,A)
【文献】特開平6-307187(JP,A)
【文献】特開昭58-178799(JP,A)
【文献】特開昭53-111630(JP,A)
【文献】米国特許第4167290(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-15/00;99/00
E21D 9/093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘削機の胴体部において外殻や隔壁を構成する鋼製部材の機内側に取付けられ、機外に向けて音波を送信するとともに、前記機外で反射した反射波を受信する送受信器と、
前記送受信器における少なくとも受信情報に基づいて、地中における掘削範囲を演算する演算器とが設けられ、
該演算器が、
前記音波を送信してから前記反射波を受信するまでの第1時間と、
前記音波が前記鋼製部材を伝播する第2時間と、
前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度とに基づいて、
前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する
探査システム。
【請求項2】
前記音波がパルス波である
請求項1に記載の探査システム。
【請求項3】
前記伝播速度は、前記シールド掘削機で掘削した掘削土における前記伝播速度である
請求項1又は2に記載の探査システム。
【請求項4】
前記送受信器は、前記隔壁に取付けられるとともに、前方に向かって前記音波を送信する構成とし、
前記演算器は、
前記胴体部の前方において回転し、掘削するカッター部と前記隔壁との間のチャンバー内部に取り込まれた前記掘削土を前記音波が伝播する第3時間と、前記カッター部と前記隔壁との距離とに基づいて前記伝播速度を算出する
請求項3に記載の探査システム。
【請求項5】
前記送受信器で送受信する前記音波が前記鋼製部材を伝播しやすくなるように前記送受信器を前記鋼製部材の機内側に取付ける取付手段が設けられた
請求項1乃至4のうちいずれかに記載の探査システム。
【請求項6】
前記送受信器は、
前記鋼製部材の機内側に取付けられ、前記機外に向けて前記音波を送信する送信器と、
前記鋼製部材の機内側に取付けられ、前記機外で反射した前記反射波を受信する受信器とで別体構成された
請求項1乃至5のうちいずれかに記載の探査システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれかに記載の探査システムにおける前記送受信器が前記鋼製部材の機内側に取付けられた
シールド掘削機。
【請求項8】
シールド掘削機の胴体部において外殻や隔壁を構成する鋼製部材の機内側に取付けられた送受信器から機外に向けて音波を送信するとともに、前記機外で反射した反射波を受信し、
前記音波を送信してから前記反射波を受信するまでの第1時間と、
前記音波が前記鋼製部材を伝播する第2時間と、
前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度とに基づいて、
前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する
探査方法。
【請求項9】
前記音波がパルス波である
請求項8に記載の探査方法。
【請求項10】
前記伝播速度は、前記シールド掘削機で掘削した掘削土における前記伝播速度である
請求項8又は9に記載の探査方法。
【請求項11】
前記隔壁に取付けられた前記送受信器から、前方に向かって前記音波を送信し、
前記胴体部の前方において回転し、掘削するカッター部と前記隔壁との間のチャンバー内部に取り込まれた前記掘削土を前記音波が伝播する第3時間と、前記カッター部と前記隔壁との距離とに基づいて前記伝播速度を算出する
請求項10に記載の探査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前記シールド掘削機の機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する探査システム、シールド掘削機及び探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に隧道を構築する密閉型のシールド掘削機では、掘削面が全て掘進機で覆われており、地山状況を目視で確認することができず、切羽崩壊の兆候を捉えることが困難であるため、土被りや地質調査資料を基に算出した切羽設定圧を維持しながら施工する。
【0003】
また、実際にはシールド掘削機の推力やカッター部の回転トルクなどの運転データや掘削排土量、地表面変位量などの計測結果に基づいて、適宜その設定圧を調整しながら掘削する。しかしながら、シールド掘削機の運転データは、土質変化を判断する間接的な指標でしかなく、掘削排土量は土質によりほぐし率が異なるため土質変化を伴う区間では切羽設定圧と、掘削状況に応じた適正な切羽圧との乖離を評価することが難しかった。そのため、地表面や埋設物、近接構造物の変位を観察してその乖離を評価することも行われているが、地表面等に変状が現われるまでには時間差があるため、広範囲にわたって沈下又は隆起を及ぼす可能性があった。
【0004】
そこで、例えば、カッターヘッドに電磁波レーダを搭載して、シールド掘削機近傍の地山状態の直接的に計測することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の電磁波レーダは、機外のカッターヘッドに取付けられているため、シールド掘削機の発進後は加圧下の泥水(または泥土)中であるため、計測器の増設、取付け位置の変更等を行うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平08-278371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、発進後であっても送受信器を取付けたり、位置調整したりして、シールド掘削機の機外における地中の未掘削領域までの距離を算出できる探査システム、シールド掘削機及び探査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、シールド掘削機の胴体部において外殻や隔壁を構成する鋼製部材の機内側に取付けられ、機外に向けて音波を送信するとともに、前記機外で反射した反射波を受信する送受信器と、前記送受信器における少なくとも受信情報に基づいて、地中における掘削範囲を演算する演算器とが設けられ、該演算器が、前記音波を送信してから前記反射波を受信するまでの第1時間と、前記音波が前記鋼製部材を伝播する第2時間と、前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度とに基づいて、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する探査システム、及び前記探査システムを備えたシールド掘削機であることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、シールド掘削機の胴体部において外殻や隔壁を構成する鋼製部材の機内側に取付けられた送受信器から機外に向けて音波を送信するとともに、前記機外で反射した反射波を受信し、前記音波を送信してから前記反射波を受信するまでの第1時間と、前記音波が前記鋼製部材を伝播する第2時間と、前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度とに基づいて、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する探査方法であることを特徴とする。
【0009】
上記シールド掘削機は、土圧バランス式、加泥式、土圧加水式などの泥土圧式シールド掘削機や泥水加圧式シールド掘削機であってもよく、さらには、密閉式であればTBM等であってもよい。
上記送受信器は、音波を送信する送信機能と受信する受信機能とを有する一体型送受信器であってもよいし、音波を送信する送信器と受信する受信機とが別体構成されていてもよい。また、上記送受信器は1台であってもよいし、複数台を併用してもよい。
【0010】
上述の前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度は、試掘等で掘削した施工箇所の土質を伝播する伝播速度のように予め設定された伝播速度であってもよいし、施工によって掘削された掘削土を伝播する伝播速度やあるいは音速であってもよい。
上記未掘削領域は、切削ビットによる掘削に伴って地山が緩んだ箇所及び余掘り部分を除き、地山において緩んでいない領域を指す。
【0011】
この発明により、発進後であっても送受信器を取付けたり、位置調整したりして、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出することができる。
詳述すると、シールド掘削機の胴体部において外殻や隔壁を構成する鋼製部材の機内側に取付けられた送受信器から機外に向けて音波を送信するとともに、機外の未掘削領域で反射した反射波を受信し、前記送受信器における少なくとも受信情報に基づいて、地中における掘削範囲を演算する演算器とが設けられ、該演算器が、前記音波を送信してから前記反射波を受信するまでの第1時間と、前記音波が前記鋼製部材を伝播する第2時間と、前記音波が掘削土を伝播する速度である伝播速度とに基づいて、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出するため、機外において掘削に伴って緩んだ箇所や余掘り部分などの余掘り領域の大きさを把握することができる。したがって、地山崩壊の兆候の有無を評価する。
【0012】
また、送受信器をシールド掘削機の機内に取付けるため、施工中の送受信器の点検、交換などのメンテナンス、送受信器の取付け位置の変更などに柔軟に対応することができる。
【0013】
また、上記構成により、送受信器による計測や、送受信器の取付けに関して、シールド掘削機に特別な構造を要することなく、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出することができる。
【0014】
なお、特別な構造としては、掘削土や未掘削領域に送受信器を直接接触させるための窓や孔、あるいはそれらの止水構造、さらには、音波の伝達効率を向上するための、材質の異なる導波材を鋼製部材に組込むことなどが挙げられる。
【0015】
この発明の態様として、前記音波がパルス波であってもよい。
この発明により、前記送受信器でパルス波を送受信して、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を精度よく算出することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記伝播速度は、前記シールド掘削機で掘削した掘削土における前記伝播速度であってもよい。
上記掘削土は、チャンバー内の掘削土、排土された掘削土、排土管などの管内で搬送される掘削土であってもよい。
【0017】
この発明により、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離をさらに精度よく算出することができる。
詳述すると、施工によって掘削された掘削土を前記音波が伝播する伝播速度に基づいて、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出するため、予め設定された伝播速度に基づいて算出する場合に比べて精度よく算出することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記送受信器は、前記隔壁に取付けられるとともに、前方に向かって前記音波を送信する構成とし、前記演算器は、前記胴体部の前方において回転し、掘削するカッター部と前記隔壁との間のチャンバー内部に取り込まれた前記掘削土を前記音波が伝播する第3時間と、前記カッター部と前記隔壁との距離とに基づいて前記伝播速度を算出してもよい。
【0019】
この発明により、機外の地山状況により近い、チャンバー内の掘削土の伝播速度に基づいて、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出するため、より高精度で算出することができる。
【0020】
なお、前記第3時間と、前記カッター部と前記隔壁との距離とに基づいて前記伝播速度を算出する演算器は、前記第1時間、前記第2時間、及び前記伝播速度に基づいて前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を算出する演算器と同じ演算器であってもよいし、別の演算器であってもよい。
【0021】
またこの発明の態様として、前記送受信器で送受信する前記音波が前記鋼製部材を伝播しやすくなるように前記送受信器を前記鋼製部材の機内側に取付ける取付手段が設けられてもよい。
前記取付手段は、前記シールド掘削機の機内において前記鋼製部材に対して密着するように押し当てて取付ける螺子止め可能な取付台やマグネット式の取付け治具などであってもよい。なお、この場合の鋼製部材に対する押付け反力は数百kN程度であればよい。さらには、前記鋼製部材と前記送受信器との間にジェル状の取付け材を介在させて、密着させるように構成された取付手段であってもよい。
【0022】
この発明により、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を高精度で確実に算出することができる。
詳述すると、前記取付手段によって前記送受信器を前記鋼製部材の機内側に取付けることで、前記送受信器で送受信する前記音波が前記鋼製部材を伝播しやすくなるため、例えば、前記送受信器と前記鋼製部材との間に隙間が生じるような不具合の発生を防止し、前記シールド掘削機の前記機外における地中の未掘削領域までの距離を高精度で確実に算出することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記送受信器は、前記鋼製部材の機内側に取付けられ、前記機外に向けて前記音波を送信する送信器と、前記鋼製部材の機内側に取付けられ、前記機外で反射した前記反射波を受信する受信器とで別体構成されてもよい。
この発明により、施工中であっても、前記送信器と前記受信器とをより音波の送受信しやすい位置にそれぞれ容易に機内において位置調整することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、本発明は、発進後であっても送受信器を取付けたり、位置調整したりして、シールド掘削機の機外における地中の未掘削領域までの距離を算出できる探査システム、シールド掘削機及び探査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】地中における泥土圧式シールド掘削機の概略縦断面図。
図2図1におけるA-A矢視図。
図3】探査システムの概略ブロック図。
図4】探査システムによる未掘削領域までの距離の計測方法を説明する概略断面図。
図5】探査システムによるチャンバー内の掘削土の伝播速度の計測方法を説明する説明図。
図6】泥水加圧式シールド掘削機の概略縦断面図。
図7図6におけるB-B矢視図及び探査システムによる流体輸送管内の掘削土の伝播速度の計測方法を説明する概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態を、図1乃至図5とともに説明する。
なお、図1は地中における泥土圧式シールド掘削機1の概略縦断面図を示し、図2図1におけるA-A矢視図を示し、図3は探査システム100の概略ブロック図を示している。図4は探査システム100による地山Xまでの距離の計測方法を説明する概略断面図を示し、図5は探査システム100によるチャンバー40内の掘削土の伝播速度Cの計測方法を説明する説明図を示している。
【0027】
具体的には、図5(a)は探査システム100によってチャンバー40内の掘削土の伝播速度Cの計測する際のカッターヘッド10(スポーク13)の向きを破線で示す図1におけるA-A矢視図である。また、図5(b)は探査システム100によってチャンバー40内の掘削土の伝播速度Cの計測する際の図1のa部拡大図を示している。
なお、図1において後述する前胴20に対するカッターヘッド10の側を前方Fとし、前胴20に対する後胴30の側を後方Bとしている。
【0028】
図1,2に示す泥土圧式シールド掘削機1は、中折れ後胴押し方式の泥土圧式シールド掘削機である。泥土圧式シールド掘削機1は、ベントナイトなどの添加材を注入しながら地山Xを回転するカッターヘッド10で切削し、切羽の土圧に対して泥土圧式シールド掘削機1の推進力や排土量等で土圧バランスをとりながら掘進する。泥土圧式シールド掘削機1は、前方Fから後方Bに向かって、カッターヘッド10、前胴20、後胴30で構成され、側面視円形状である。
【0029】
カッターヘッド10は、径外側のリング部11と、リング部11と中央軸部12とを径方向に結ぶ複数本のスポーク13とで構成され、スポーク13とリング部11とに所定間隔を隔てて複数の切削ビット14が設けられている。なお、複数の切削ビット14は、スポーク13においてカッターヘッド10の中心からの位置が調整され、回転するカッターヘッド10の全面を切削することができる。
【0030】
さらに、中央軸部12の前方Fにフィッシュテール15が設けられている。このように構成されたカッターヘッド10は、図示省略するが、カッターヘッド10の前方Fに添加材を注入する注入口が設けられている。
【0031】
前胴20は、倒位の円筒状である鋼製のスキンプレート21と、スキンプレート21における前方Fの端部より後方Bに所定分入り込んだ位置に設けられた隔壁22とで構成されている。なお、隔壁22の前方Fであって、カッターヘッド10の後方Bの空間にチャンバー40を構成している。
【0032】
隔壁22の側面視中央には、カッターヘッド10の中央軸部12が貫通しており、その周囲にカッターヘッド10を回転させるモータ23が同芯状に複数配置されている。
また、隔壁22の下方に接続され、後胴30の後方まで延びるスクリューコンベア24が設けられている。スクリューコンベア24は、前方Fが隔壁22を貫通し、前方Fから後方Bに向かって上方に傾斜している。スクリューコンベア24は、前方Fの端部がチャンバー40まで延びる軸付スクリュー241を内部に備えている。
【0033】
また、スキンプレート21の内側には、複数本の中折れジャッキ25を備えている。
中折れジャッキ25は、前方Fが隔壁22の後方Bに軸支され、後方Bが後述する後胴30の前方Fに軸支される態様で周方向に複数配置され、中折れジャッキ25の伸縮量によって、後胴30に対する前胴20の向きを調整するためのジャッキである。
また、隔壁22の上方には、開放することで機外となるチャンバー40に通じ、密閉可能に封止するハッチ27を備えている。
【0034】
後胴30は、内部でセグメントSを組み付ける円筒状の鋼製部材であるスキンプレート31の内部に、複数ピースに分割されたセグメントSを組み付けるためのエレクター32を前方Fに備えている。また、後胴30は、スキンプレート31の後方Bの内周面に、組み付けられたSの外面との隙間を埋める周方向に連続するテールブラシ33を前後方向に複数段設けている。
【0035】
また、スキンプレート31の内側には、複数本の推進ジャッキ34を備えている。
推進ジャッキ34は、後胴30の内部で組み付けられたセグメントSの前方Fの端面に押付けて、セグメントSを反力として泥土圧式シールド掘削機1を前方Fに前進させるためのジャッキであり、周方向に所定間隔を隔てて複数配置している。なお、推進ジャッキ34は、前胴20に設けてもよい。
【0036】
このように構成された泥土圧式シールド掘削機1の後方Bには、組み付けたセグメントSの内部に、後続台車が設けられ、スクリューコンベア24から排出された掘削土を搬出するズリ台車が走行する軌道等の設備が設けられる。また、組み付けたセグメントSの真円度を確保するための形状保持装置や、換気設備など適宜の装置や設備が設けられてもよい。
【0037】
このように構成された泥土圧式シールド掘削機1は、図示省略する注入口から切羽に向かって添加材を注入しながらカッターヘッド10を回転させ、回転する切削ビット14で地山Xを切削する。
【0038】
切削ビット14によって切削された掘削土は、チャンバー40で攪拌され、チャンバー40の内部まで延びる軸付スクリュー241によってスクリューコンベア24から機内に取り込まれる。スクリューコンベア24から排出された掘削土をズリ台車で坑道外に搬出する。
【0039】
なお、スクリューコンベア24から排出された掘削土の搬出は、ズリ台車だけでなく、スクリューコンベア24の後方にベルトコンベアや、圧送管(排土管)に接続された圧送ポンプ等を設置して、ベルトコンベアや圧送管で搬出してもよい。
【0040】
このようなカッターヘッド10による地山Xの掘削に伴って推進ジャッキ34を伸長制御し、組み付けられたセグメントSを反力として、泥土圧式シールド掘削機1を前進させる。泥土圧式シールド掘削機1がセグメントSのリング長分前進すると、カッターヘッド10によるセグメントSの切削を停止し、後胴30の内部において、複数に分割されたピースをエレクター32で組み付けてセグメントSを完成させる。
【0041】
泥土圧式シールド掘削機1は、このような施工を1サイクルとして繰り返して掘進する。なお、カッターヘッド10による地山Xの掘削において、通常、切削ビット14の軌跡(図1に示す軌跡ラインL参照)で切羽が切削される。しかしながら、地山Xの地質状態によっては、例えば、切削ビット14の軌跡を越えて余分に掘削される。このように、切削ビット14の軌跡を越えて余分に掘削されると、泥土圧式シールド掘削機1の上部などに、掘削に伴って緩んだ箇所や余掘り部分などの緩み部Xaが形成されることがある。
【0042】
緩み部Xaが大きくなると、切羽が崩壊するおそれがあるため、密閉型である泥土圧式シールド掘削機1の機外に形成され、泥土圧式シールド掘削機1の機内から目視できない緩み部Xaの大きさを把握することは重要である。そこで、緩み部Xaを探査する探査システム100について以下で説明する。
【0043】
探査システム100は、図3に示すように、ソーナーと呼ばれる複数の送受信器101、マルチプレクサ102、プリアンプ103、パルサーレシーバ104、及びパーソナルコンピュータ105(以下においてPC105という)で構成されている。
マルチプレクサ102は、複数の送受信器101、プリアンプ103及びパルサーレシーバ104に接続される。
【0044】
プリアンプ103は、マルチプレクサ102に接続されるとともに、パルサーレシーバ104に接続され、マルチプレクサ102から伝達された受信波信号Rを増幅してパルサーレシーバ104に伝達する。
パルサーレシーバ104は、マルチプレクサ102及びプリアンプ103に接続されるとともに、PC105に接続される。
【0045】
さらに詳述すると、送受信器101(101a,101b)は、図1及び図2に図示するように、スキンプレート21及び隔壁22に取付けられ、主としてパルス波形を示す音波(以下においてパルス波という)を送信する。また、送受信器101(101a,101b)は、緩み部Xaと地山Xとの境界面Xb等で反射した反射波を受信するよう構成されている。
【0046】
具体的には、送受信器101aは、泥土圧式シールド掘削機1における隔壁22の機内側上部に取付けられ、前方Fに向かってパルス波である送信波を送信する。また、送受信器101aは、前方Fの地山Xやカッターヘッド10のスポーク13の裏面で反射したパルス波である反射波を受信する。
【0047】
また、送受信器101bは、スキンプレート21の内周面の上部に取付けられ、前胴20の前方Fの上部に形成される緩み部Xaに向けてパルス波である送信波を送信する。また、送受信器101bは、緩み部Xaの外側の地山Xとの境界面Xbで反射したパルス波である反射波を受信する。なお、送受信器101bは、図2に図示するように、周方向に所定間隔を隔てて複数設けている。
【0048】
このように、隔壁22やスキンプレート21の内面に取付けられる送受信器101は、隔壁22の機内側面や、スキンプレート21の内周面に対して、隙間が空かないように密着させて取付けている。
そのため、送受信器101の取付面を、隔壁22の機内側面やスキンプレート21の内周面の形状に沿うように形成している。また、数百kN程度の反力が生じるように螺子止め可能な取付台(図示省略)やマグネット式の取付け治具(図示省略)で、隔壁22やスキンプレート21に対して送受信器101を取付ける。なお、隔壁22の隔壁22の機内側面やスキンプレート21の内周面と送受信器101との間にジェル状のシート(図示省略)を介在させて取付けてもよい。
【0049】
マルチプレクサ102は、接続された複数の送受信器101に対して、パルス超音波の送信波信号Tを伝達するとともに、送受信器101で受信されたパルス超音波の受信波信号Rをプリアンプ103に伝達するように構成されている。なお、マルチプレクサ102は、多重器、多重装置、多重化装置、合波器とも呼ばれる。
【0050】
パルサーレシーバ104は、PC105に接続され、PC105の制御によって、送信波信号Tとしてのパルス波を発生させてマルチプレクサ102に伝達するように構成している。また、パルサーレシーバ104は、マルチプレクサ102から伝達され、プリアンプ103で増幅されたパルス波である受信波信号RをPC105に伝達するように構成している。
【0051】
PC105は、パルサーレシーバ104に対して出力した送信制御情報やパルサーレシーバ104から伝達された受信波信号R等に基づいて緩み部Xaの外側の地山Xの境界面Xbまでの距離や掘削土の伝播速度を算出する演算器として機能する。
【0052】
なお、探査システム100のうち送受信器101は泥土圧式シールド掘削機1の機内に配置される。これに対し、マルチプレクサ102、プリアンプ103、及びパルサーレシーバ104は機内に配置されていても、坑道内に配置されてもよい。また、PC105は機内や坑道内のみならず、坑道外の管理室に配置されてもよい。
【0053】
このように構成された探査システム100は、PC105の送信制御により、パルサーレシーバ104がパルス波である送信波信号Tを発生させ、マルチプレクサ102に伝達する。パルサーレシーバ104から送信波信号Tを伝達されたマルチプレクサ102は、複数の送受信器101に対して送信波信号Tを伝達する。
【0054】
送信波信号Tが伝達された送受信器101aは、隔壁22を介して前方Fに向けてパルス波である送信波を送信する。同様に、送信波信号Tが伝達された送受信器101bは、スキンプレート21を介して前胴20の機外に向けて送信波を送信する。
【0055】
緩み部Xaとその外側の固結した地山Xとでは音響インピーダンスが異なる。そのため、送受信器101から送信された送信波は、緩み部Xaを通り、緩み部Xaと地山Xとの境界面Xbで反射する。緩み部Xaと地山Xとの境界面Xbで反射したパルス波である反射波を隔壁22やスキンプレート21を介して送受信器101で受信する。
【0056】
送受信器101で受信した反射波を受信波信号Rとしてマルチプレクサ102に伝達し、マルチプレクサ102は伝達された受信波信号Rをプリアンプ103で増幅し、パルサーレシーバ104に伝達する。PC105は、パルサーレシーバ104は伝達された受信波信号Rに基づいて、緩み部Xaの長さを算出する。
【0057】
具体的には、PC105は、図4に示すように、第1時間(t)と、第2時間(通過時間t)と、伝播速度Cとに基づいて、スキンプレート21や隔壁22から地山Xまでの距離、つまり緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出する。
【0058】
なお、第1時間(t)はパルス波である送信波を送信してから反射波を受信するまでの時間である。第2時間(通過時間t)はパルス波(送信波及び反射波)がスキンプレート21や隔壁22を伝播する時間である。伝播速度Cはパルス波(送信波及び反射波)が掘削土を伝播する速度である。
【0059】
詳述すると、数式1に示すように、パルス波である送信波を送信してから反射波を受信するまでの第1時間(t)は、スキンプレート21や隔壁22をパルス波が伝達する第2時間(通過時間t)と緩み部Xaをパルス波が伝達する第3時間(通過時間t)とで表すことができ、
【0060】
【数1】
となり、
緩み部Xaをパルス波が伝達する第3時間(通過時間t)は、
【0061】
【数2】
となる。
【0062】
ここで、緩み部Xaの長さ(区間長l)は、数式3で示すように、緩み部Xaにおける掘削土を伝播する伝播速度Cと、既知のスキンプレート21や隔壁22の厚さlと、スキンプレート21や隔壁22を伝播する伝播速度cに基づいて、
【0063】
【数3】
して算出することができる。
【0064】
なお、掘削土を伝播する伝播速度Cは、試掘等によって採取した施工箇所の土質に基づいて予め設定してもよいが、チャンバー40内部の掘削土を伝播する伝播速度を用いてもよい。
【0065】
具体的には、図5(a)に示すように、送受信器101aの前方Fにスポーク13が位置するカッターヘッド10の向きで、図5(b)に示すように、送受信器101aから送信波を、隔壁22を介して前方Fに送信する。隔壁22を介して前方Fに送信された送信波はチャンバー40の掘削土を伝達し、スポーク13の裏面側で反射した反射波を送受信器101aで受信する。
【0066】
そして、数式1に示すように、パルス波である送信波を送信してから反射波を受信するまでの第1時間(t)と隔壁22をパルス波が伝達する第2時間(通過時間t)とに基づき、第3時間(通過時間t)を算出する。第3時間(通過時間t)はチャンバー40内部の掘削土をパルス波が伝達する時間である。
【0067】
そして、チャンバー40内部の掘削土を伝播する伝播速度Cは、隔壁22とスポーク13との既知の間隔(区間長l)と、既知の隔壁22の厚さlと、隔壁22を伝播する伝播速度cに基づいて算出することができる。このように、チャンバー40内部の掘削土を伝播する伝播速度Cを、緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出するために用いてもよい。
【0068】
上述したように、泥土圧式シールド掘削機1の前胴20におけるスキンプレート21や隔壁22に取付けられ、機外に向けてパルス波を送信するとともに、機外で反射した反射波を受信する送受信器101が設けられている。また、送受信器101における少なくとも受信波信号Rに基づいて、地中における緩み部Xaの長さ(区間長l)を演算するPC105が設けられている。
【0069】
PC105が、第1時間(t)と、通過時間tと、パルス波が掘削土を伝播する伝播速度Cとに基づいて、泥土圧式シールド掘削機1の機外における地中の地山Xまでの距離を算出する。なお、第1時間(t)はパルス波を送信してから反射波として受信するまでの時間であり、通過時間tはパルス波がスキンプレート21や隔壁22を伝播する時間である。
【0070】
つまり、PC105は、上述のパラメータによって、掘削に伴って緩んだ箇所や余掘り部分などの緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出でき、緩み部Xaの大きさを把握することができる。したがって、地山崩壊の兆候の有無を評価することができる。
【0071】
また、送受信器101を泥土圧式シールド掘削機1の機内に取付けるため、発進後であっても、送受信器101の点検、交換などのメンテナンス、送受信器101の取付け位置の変更などに柔軟に対応することができる。
【0072】
また、上記構成により、送受信器101による計測や、送受信器101の取付けに関して、特別な構造を要することなく、泥土圧式シールド掘削機1の機外における地中の地山Xまでの緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出することができる。なお、特別な構造としては、掘削土や地山Xに送受信器101を直接接触させるための窓や孔、あるいはそれらの止水構造、さらには、音波の伝達効率を向上するための、材質の異なる導波材をスキンプレート21や隔壁22に組込むことなどがあげられる。
【0073】
また、音波としてパルス波を送受信するため、送受信器101でパルス波を送受信して、緩み部Xaの長さ(区間長l)を精度よく算出することができる。
また、泥土圧式シールド掘削機1で掘削した掘削土における伝播速度Cを用いて算出するため、緩み部Xaの長さ(区間長l)をさらに精度よく算出することができる。
【0074】
詳述すると、施工によって掘削された掘削土をパルス波が伝播する伝播速度Cに基づいて、緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出するため、予め設定された伝播速度に基づいて算出する場合に比べて精度よく算出することができる。
【0075】
また、送受信器101aを隔壁22に取付け、前方Fに向かってパルス波を送信する構成である。PC105は、第3時間(通過時間t)と、隔壁22とスポーク13との既知の間隔(区間長l)とに基づいて伝播速度Cを算出する。なお、第3時間(通過時間t)は、前胴20の前方Fにおいて回転し、掘削するカッターヘッド10と隔壁22との間のチャンバー40の内部に取り込まれた掘削土をパルス波が伝播する時間である。
そのため、機外の地山状況により近い、チャンバー40の内の掘削土の伝播速度Cに基づいて、緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出でき、より高精度で算出することができる。
【0076】
また、パルス波がスキンプレート21や隔壁22を伝播しやすくなるように送受信器101をスキンプレート21や隔壁22に対して密着させて取付けるため、緩み部Xaの長さ(区間長l)を高精度で確実に算出することができる。
【0077】
詳述すると、送受信器101をスキンプレート21や隔壁22に密着させて取付けることで、送受信器101で送受信するパルス波がスキンプレート21や隔壁22を伝播しやすくなる。そのため、例えば、送受信器101とスキンプレート21や隔壁22との間に隙間が生じるような不具合の発生を防止し、緩み部Xaの長さ(区間長l)を高精度で確実に算出することができる。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明のシールド掘削機は泥土圧式シールド掘削機1に対応し、
以下同様に、
胴体部は前胴20に対応し、
外殻はスキンプレート21に対応し、
隔壁は隔壁22に対応し、
鋼製部材はスキンプレート21や隔壁22に対応し、
送受信器は送受信器101に対応し、
受信情報は受信波信号Rに対応し、
掘削範囲は緩み部Xaに対応し、
演算器はパーソナルコンピュータ105(PC105)に対応し、
第1時間は第1時間(t)に対応し、
第2時間は第2時間(通過時間t)に対応し、
伝播速度は伝播速度Cに対応し、
未掘削領域は地山Xに対応し、
探査システムは探査システム100に対応し、
前方は前方Fに対応し、
カッター部はカッターヘッド10に対応し、
チャンバーはチャンバー40に対応し、
第3時間は第3時間(通過時間t)に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0079】
例えば、上述の説明では、機外に向けてパルス波を送信する送信機能と、機外で反射した反射波を受信する受信機能とを備えた送受信器101を用いたが、スキンプレート21や隔壁22に取付けられ、機外に向けてパルス波を送信する送信器と、機外で反射した反射波を受信する受信器とで別体構成してもよい。
【0080】
また、チャンバー40の内部の掘削土をパルス波が伝播する伝播速度CをPC105で算出したが、緩み部Xaの長さ(区間長l)を算出するPC105とは別に、チャンバー40内部の掘削土をパルス波が伝播する伝播速度Cを算出するPC(演算器)を設けてもよい。
【0081】
また、上述の説明では、複数の送受信器101と、それぞれ別体構成したマルチプレクサ102、プリアンプ103、パルサーレシーバ104及びパーソナルコンピュータ105で探査システム100を構成している。これに対し、探査システム100のうちマルチプレクサ102、プリアンプ103、パルサーレシーバ104及びパーソナルコンピュータ105を一体構成してもよい。さらには、探査システム100のうちマルチプレクサ102、プリアンプ103及びパルサーレシーバ104を一体構成してもよい。
【0082】
上記泥土圧式シールド掘削機1は、泥土圧式のシールド掘削機であったが、図6及び図7に図示するように泥水加圧式の泥水加圧式シールド掘削機1aであってもよい。
なお、図6は泥水加圧式シールド掘削機1aの概略縦断面図を示し、図7(a)は図6におけるB-B矢視図を示し、図7(b)は探査システム100による流体輸送管60内の掘削土の伝播速度Cの計測方法について説明する断面図を示している。
【0083】
図6,7に示す泥水加圧式シールド掘削機1aは、軟弱地盤である地山Xに対し、カッターヘッド10で掘削した掘削土に水を混ぜ、圧力を作用させて切羽の崩壊を防止しながら掘進するシールド掘削機である。なお、泥水加圧式シールド掘削機1aにおいて泥土圧式シールド掘削機1と同機能を果たす構成について同じ符号を付してその説明を省略する。
【0084】
掘削土をスクリューコンベア24で排土し、後方Bの軌道を走行するズリ台車等で掘削土を搬出する泥土圧式シールド掘削機1と異なり、泥水加圧式シールド掘削機1aは、スクリューコンベア24の代わりに、流体輸送管60(図7(b)参照)から泥水を切羽に送る送泥管28と、掘削土を泥水とともにチャンバー40から流体輸送管60まで排出する排泥管29とが備えられている。
【0085】
泥水加圧式シールド掘削機1aでは、上述の泥土圧式シールド掘削機1と同様に、隔壁22とスキンプレート21とに送受信器101を取付けて、緩み部Xaと地山Xとの境界面Xbまでの距離、つまり緩み部Xaの大きさを検出することができる。
【0086】
なお、チャンバー40内においてスポーク13の裏面で反射する反射波を用いて掘削土を伝播する伝播速度Cを算出した上述の泥土圧式シールド掘削機1に対し、泥水加圧式シールド掘削機1aにおいて同様の方法で伝播する伝播速度Cを算出してもよい。
【0087】
あるいは、図7(b)に示すように、流体輸送管60にパルス波を送信する送信器106とパルス波を受信する受信器107とを対向するように配置する。このように配置した送信器106から、流体輸送管60を導通する泥水にパルス波を送信し、受信器107で受信して、流体輸送管60で排出される泥水を伝播する伝播速度Cを算出してもよい。
【0088】
もちろん、送受信器101を流体輸送管60に取付けて流体輸送管60における対向部分の内周面で反射する反射波を受信するように構成してもよい。さらには、泥土圧式シールド掘削機1におけるスクリューコンベア24の後方に設置されたベルトコンベアや圧送管に、送信器106及び受信器107とを対向配置して搬出する掘削土を伝播する伝播速度Cを算出してもよい。
なお、泥土圧式シールド掘削機1や泥水加圧式シールド掘削機1a以外でも、密閉式であればTBM等であってもよい。
【0089】
また、上述の泥土圧式シールド掘削機1のスキンプレート21や隔壁22に対して送受信器101を螺子止めやマグネット式の取付け治具などで取付けしたが、接着性のあるジェル状の取付け材を介在させて、密着させるように送受信器101を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…泥土圧式シールド掘削機
1a…泥水加圧式シールド掘削機
10…カッターヘッド
20…前胴
21…スキンプレート
22…隔壁
40…チャンバー
100…探査システム
101…送受信器
105…パーソナルコンピュータ(PC)
F…前進側
R…受信波信号
X…地山
Xa…緩み部
…伝播速度
,t…通過時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7