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特許7256124成長基板の裏面をエッチングするステップを含む光電子デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】成長基板の裏面をエッチングするステップを含む光電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20230404BHJP
   H01L 33/24 20100101ALI20230404BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/24
H01L31/10 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019534658
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2017053817
(87)【国際公開番号】W WO2018122517
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】1663409
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515151273
【氏名又は名称】アレディア
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】プルキエ エリック
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535434(JP,A)
【文献】特開平08-148659(JP,A)
【文献】国際公開第2016/108021(WO,A1)
【文献】特開平03-265157(JP,A)
【文献】特開2001-053257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)互いに対向する表面(10s)及び裏面(10i)を含む、半導体材料からなる、成長基板(10)を供給し、
b)前記表面(10s)上に、複数のダイオード(20)を形成し、各ダイオード(20)は前記成長基板(10)上に載置された下面(20i)を含み、
c)少なくとも前記ダイオード(20)の一部の前記下面(20i)を解放するために、前記成長基板(10)の少なくとも一部分を前記裏面(10i)から除去し、除去された一部分は、最初は前記ダイオード(20)の一部の反対側に配置され、
-ステップa)は、前記ダイオード(20)の反対側にそれぞれ延在する前記成長基板(10)の下部(11)及び上部(12)を製造することを含み、前記下部(11)及び前記上部(12)は、同一の導電型に従ってドープされており、前記下部(11)は第1ドーピングレベルを有し、前記上部(12)は前記第1ドーピングレベルより低い第2ドーピングレベルを有し、前記表面(10s)から前記下部(11)に向かって均一な厚さ(eref)で延び、
-ステップc)は、前記上部(12)に対して選択的化学エッチングによって前記下部(11)を除去することを含み、
-ステップb)において、前記ダイオード(20)は、該ダイオード(20)の複数の別々のアセンブリ(D)として空間的に分散され、
-前記上部(12)は、前記表面(10s)に平行な平面内で、側部(14)によって互いに分離された中央部(13)を含み、各中央部(13)は、前記ダイオード(20)の前記アセンブリ(D)に対向して位置し、前記側部(14)は前記ダイオード(20)の前記アセンブリ(D)の間に位置し、
-ステップc)は、前記表面(10s)に平行な平面内で、前記上部(12)を部分的に除去して前記中央部(13)を取り除き、前記側部(14)を保存して、保持側壁(15)を形成することを含み、
前記成長基板(10)の少なくとも一部分は、前記上部(12)及び前記中央部(13)を含む、
ことを特徴とする、
光電子デバイス(1)を製造する方法。
【請求項2】
ステップc)は、前記表面(10s)と平行な平面内で、化学エッチングによって前記成長基板(10)の前記上部(12)を完全に又は部分的に除去するステップをさらに含み、前記ダイオード(20)の前記下面(20i)を解放する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各ダイオード(20)は、前記ダイオード(20)のp-n接合を形成することに関与する半導体素子(21)を含み、各ダイオード(20)の前記下面(20i)は、前記半導体素子(21)に電気的に接触しており、
前記方法は、前記ダイオード(20)の一部の前記下面(20i)と接触する少なくとも1つの第1導電スタッド(41)を形成するステップd)を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
-ステップb)において、各アセンブリ(D)は前記光電子デバイス(1)の画素(Px)を形成することを意図しており、
-ステップd)において、複数の別々の第1導電スタッド(41)が形成され、各第1導電スタッド(41)は同一のアセンブリ(D)の前記ダイオード(20)の前記下面(20i)と接触している、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)において、前記中央部(13)がウェット又はドライエッチングによってエッチングされる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-ステップa)は、前記中央部(13)が前記第1ドーピングレベル以上のドーピングレベルを有するように、前記上部(12)の局所的ドーピングによって前記中央部(13)を製造することを含み、前記側部(14)は前記第2ドーピングレベルを有し、各中央部(13)は前記側部(14)の1つによって隣接する前記中央部(13)から分離され、各中央部(13)は前記上部(12)の厚さ(eref)より厳密に小さい厚さ(e13)を有し、
-ステップc)は、前記下部(11)の除去に続いて、前記裏面(10i)が前記中央部(13)上に解放される(open)ように、前記成長基板(10)を薄くし、次いで前記中央部(13)を前記側部(14)に対する選択的化学エッチングによって除去するステップを含み、前記ダイオード(20)の前記アセンブリ(D)の前記下面(20i)を解放し(free)、前記側部(14)が前記保持側壁(15)を形成する、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記上部(12)の前記厚さ(eref)が0.5μmから20μmの間であり、ステップc)の終わりに、前記保持側壁(15)は0.5μmから20μmの高さを有する、
請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
-ステップb)は、電気絶縁材料で形成された核形成層(23)から始まる前記半導体素子(21)のエピタキシーを含み、
-ステップc)は、ステップd)の終わりに、前記第1導電スタッド(41)が、前記ダイオード(20)の前記下面(20i)を形成する前記半導体素子(21)の下面(21i)と接触するように、前記核形成層(23)の一部を除去することをさらに含む、
請求項4から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
-ステップb)は、導電性材料又は半導体性材料により形成された核形成層(23)から始まる半導体要素(21)のエピタキシーを含み、ステップd)の終わりに、前記第1導電スタッド(41)が、前記ダイオード(20)の前記下面(20i)を形成する前記核形成層(23)の下面に接触する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)は、全ての前記ダイオード(20)を覆う、少なくとも部分的に透明な導電性電極層(25)を堆積させることを含み、第2導電スタッド(42)が前記電極層(25)と電気的に接触している、
請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2導電スタッド(42)が、前記下面(20i)の方を向いている前記電極層(25)の下面側に配置されているか、又は、該下面側とは反対側の前記電極層(25)の上面側に配置されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)は、前記成長基板(10)の前記表面(10s)上又は前記核形成層(23)上に誘電体層(24)を堆積させることを含み、1つ以上の第1導電スタッド(41)が、前記ダイオード(20)の前記下面(20i)と接触し、前記誘電体層(24)によって前記電極層(25)から電気的に絶縁されている、
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
各ダイオード(20)が三次元半導体素子(21)を含む、
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記成長基板(10)の前記半導体材料は、p型又はn型の導電性でドープされたシリコンである、
請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、発光ダイオード又はフォトダイオードを有する光電子デバイスを製造する方法の技術分野である。本発明は特に、ディスプレイスクリーン及びイメージプロジェクタのような発光ダイオードのマトリックスを有するデバイスの分野、並びに光検出器及びイメージセンサーのようなフォトダイオードのマトリックスを有するデバイスの分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを有する光電子デバイスを製造する方法は、ダイオードが形成された成長基板を完全に又は部分的に除去するステップを含み得る。これは、ディスプレイスクリーン又はイメージプロジェクタを製造するために、発光ダイオードの画素化を実行したいときに特に当てはまる。
【0003】
この種の光電子デバイスの発光ダイオードはそれぞれ、第1ドープ部分を形成する、例えばワイヤ等の三次元半導体素子を含み、その一部は少なくとも1つの量子井戸を含む活性領域及び第2ドープ領域によって覆われており、第1及び第2ドープ部分はp-n接合を形成する。
【0004】
従って、国際公開第2011/048318号は、発光スクリーンを得る目的で、ワイヤ発光ダイオードを有する光電子デバイスを製造する方法の一例を記載している。この方法は、特に、成長基板を供給すること、成長基板から出発して複数の発光ダイオードを形成すること、次いで、発光ダイオードの解放端(free end)をアクティブマトリックスと組み立てた後に、成長基板を、この場合完全に、除去することを含む。成長基板は化学エッチング又はエロ―ジョンによって除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/048318号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この文献に記載されているように、基板を除去することは、光電子デバイスの少なくとも一部の構造的劣化を招く可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に改善することであり、具体的には、以下のステップを含む光電子デバイスの製造方法を提案する。
a)互いに対向する表面及び裏面を含む、半導体材料からなる、いわゆる成長基板を供給し、
b)前記表面上に、複数のダイオードを形成し、各ダイオードは前記基板上に載置された下面を含み、
c)少なくとも前記ダイオードの一部の前記下面を解放するために、前記基板の少なくとも一部分を前記裏面から除去し、除去された一部分は、最初は前記ダイオードの一部の反対側に配置され、
-ステップa)は、前記ダイオードの反対側にそれぞれ延在する前記基板の下部及び上部を製造することを含み、前記下部及び前記上部は、同一の導電型に従ってドープされており、前記下部は第1ドーピングレベルを有し、前記上部は前記第1ドーピングレベルより低い第2ドーピングレベルを有し、前記表面から前記下部に向かって均一な厚さで延び、
-ステップc)は、前記上部に対して選択的化学エッチングによって前記下部を除去することを含む。
【0008】
この製造方法の特定の、好ましいが非限定的な態様は以下の通りである。
【0009】
ステップc)は、前記表面と平行な平面内で、化学エッチングによって前記基板の前記上部を完全に又は部分的に除去するステップをさらに含み、前記ダイオードの前記下面を解放する。
【0010】
各ダイオードは、前記ダイオードのp-n接合を形成することに関与する半導体素子を含み、各ダイオードの前記下面は、前記半導体素子に電気的に接触している。前記製造方法は、前記ダイオードの一部の前記下面と接触する少なくとも1つの第1導電スタッドを形成するステップd)を含む。
【0011】
ステップb)において、前記ダイオードは、該ダイオードの複数の別々のアセンブリとして空間的に分散され、各アセンブリは前記光電子デバイスの画素を形成することを意図している。
【0012】
ステップd)において、複数の別々の第1導電スタッドが形成され、各第1導電スタッドは同一のアセンブリの前記ダイオードの前記下面と接触している。
【0013】
前記上部は、前記表面に平行な平面内で、いわゆる側部によって互いに分離されたいわゆる中央部を含み、各中央部は、前記ダイオードの前記アセンブリの反対側に位置し、前記側部は前記ダイオードの前記アセンブリの間に位置する。
【0014】
ステップc)は、前記表面に平行な平面内で、前記上部を部分的に除去して前記中央部を取り除き、前記側部を保存して、保持側壁を形成することを含む。
【0015】
ステップc)において、中央部はウェット又はドライエッチングによってエッチングされ得る。
【0016】
ステップa)は、前記中央部が前記第1ドーピングレベル以上のドーピングレベルを有するように、前記上部の局所的ドーピングによって前記中央部を製造することを含み、前記側部は前記第2ドーピングレベルを有し、各中央部は前記側部の1つによって隣接する前記中央部から分離され、各中央部は前記上部の厚さより厳密に小さい厚さを有する。
【0017】
ステップc)は、前記下部の除去に続いて、前記裏面が前記中央部上に解放される(open)ように、前記基板を薄くし、次いで前記中央部を前記側部に対する選択的化学エッチングによって除去するステップとを含み、前記ダイオードの前記アセンブリの前記下面を解放し(free)、前記側部が前記保持側壁を形成する。
【0018】
前記上部の前記厚さが0.5μmから20μmの間であり、ステップc)の終わりに、前記保持側壁は0.5μmから20μmの高さを有する。
【0019】
ステップb)は、電気絶縁材料で形成された核形成層から始まる前記半導体素子のエピタキシーを含み、ステップc)は、ステップd)の終わりに、前記第1導電スタッドが、前記ダイオードの前記下面を形成する前記半導体素子の下面と接触するように、核形成層の一部を除去することをさらに含む。
【0020】
ステップb)は、導電性材料又は半導体性材料により形成された核形成層から始まる半導体要素のエピタキシーを含み、ステップd)の終わりに、前記第1導電スタッドが、前記ダイオードの前記下面を形成する前記核形成層の下面に接触する。
【0021】
ステップb)は、全ての前記ダイオードを覆う、少なくとも部分的に透明な導電性電極層を堆積させることを含み、第2導電スタッドが前記電極層と電気的に接触している。
【0022】
前記第2導電スタッドは、前記下面の方を向いている前記電極層のいわゆる下面側に配置されていてもよく、又は、該下面側とは反対側の前記電極層のいわゆる上面側に配置されていてもよい。
【0023】
ステップb)は、前記成長基板の前記表面上又は核形成層上に誘電体層を堆積させることを含み、1つ以上の第1導電スタッドが、前記ダイオードの前記下面と接触し、前記誘電体層によって電極層から電気的に絶縁されている。
【0024】
各ダイオードは三次元半導体素子を含むことができる。
【0025】
前記成長基板の半導体材料は、p型又はn型導電性でドープされたシリコンであってもよい。
【0026】
本発明の他の態様、目的、利点及び特徴は、非限定的な例として与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】光電子デバイスの少なくとも一部の構造劣化をもたらす製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図1B】光電子デバイスの少なくとも一部の構造劣化をもたらす製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図1C】光電子デバイスの少なくとも一部の構造劣化をもたらす製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2A】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2B】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2C】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2D】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2E】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2F】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図2G】第1実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図3A図2Gに示す光電子デバイスの変形例の概略断面図である。
図3B図2Gに示す光電子デバイスの変形例の概略上面図である。
図3C図3Aに示すデバイスの変形例の概略断面図である。
図4A】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図4B】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図4C】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5A】第3実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5B】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5C】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5D】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5E】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5F】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図5G】第2実施形態に係る製造方法の異なるステップに対する光電子デバイスの概略部分断面図である。
図6A図4Cに示す光電子デバイスの変形例の概略断面図である。
図6B図4Cに示す光電子デバイスの変形例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面及び以下の説明では、同じ参照符号は同一又は類似の要素を表す。さらに、図の明確さを確実にするために、異なる要素は一定の縮尺で描かれていない。さらに、異なる実施形態及び変形例は互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができる。特記しない限り、用語「ほぼ(approximately)」、「約(about)」及び「程度(of the order of)」は、10%以内を意味する。
【0029】
本発明は、ダイオード20を有する光電子デバイス1を製造する方法に関し、ダイオード20が最初に載置される基板10の少なくとも一部をその全厚にわたって除去するステップを含む。
【0030】
図1A図1Cに示すように、光電子デバイス1を製造する方法は、ダイオード20の少なくとも一部の構造劣化を引き起こす可能性がある。上述の方法は、以下を含む。
-例えばシリコンから形成される成長基板10の表面10sから出発して、例えば、窒化ガリウム(GaN)から形成される複数のダイオード20を形成する。
-全てのダイオード20を封入する誘電体層31を堆積し、次いで、ここでは接着剤33を用いて保持用のグリップ32を封入層上に固定する。
-ダイオード20の下面20iを解放するために基板10の少なくとも一部をその全厚にわたって除去する。除去された部分は、最初はダイオード20の少なくとも一部と反対側に位置する。
-任意選択で、ダイオード20の解放された下面20i上に少なくとも1つの導電スタッド(図示せず)を形成する。
【0031】
図1Aを参照すると、グリップ32を固定するステップの終わりに、成長基板10、発光ダイオード20及び接着剤33の層によって封入層31に接着されたグリップ32から形成されたスタックが、成長基板10の裏面10iのレベルで、特に、スタックの各層のXY平面における厚さの不等から生じる平坦性不良をもたらす可能性があることが分かる。この例では、平坦性不良は、成長基板10の裏面10iを通る平面とグリップ32の上面32sを通る平面との平行性の不良に反映されている。
【0032】
図1Bを参照すると、成長基板10の一部を除去するステップは、例えば従来の研削技術によって成長基板10をその表面全体にわたって薄くし、成長基板10の薄い厚さの残留層10.1を残す、予備的ステップを含んでもよい。その後、基板10の除去を、残留層10.1の化学エッチングによって実行することができる。研削は、一般に、グリップ32を工具ホルダに固定し、図1Bに示す矢印に従って、回転研削工具を基板10の裏面10iに当てることからなる。研削ステップの終わりに、初期の平坦性不良が残留層10.1を得る際に反映され、その厚さはXY平面において不均一性Δexyを有することが分かる。従って、残留層10.1は、最大値emaxと最小値eminとの間で局所的に変動する厚さを有する。
【0033】
図1Cを参照すると、エッチング時間がエッチングされるべき残留層10.1の最大厚さemaxと本質的に相関しているので、化学エッチングによる残留層10.1の除去中に、厚さeminを有する領域において発光ダイオード20のオーバーエッチングが起こる可能性がある。このオーバーエッチングは、光電子デバイス1(ハッチング領域)の局所的な構造劣化を招く可能性がある。
【0034】
前述の例では、平坦性不良は、スタックを形成する異なる層の厚さの不均一性に関連している。しかしながら、残留層10.1の厚さΔexyの不均一性はまた、研削ステップ中の工具ホルダと研削工具との間の平行性の不良に起因し得る。さらに、研削ステップの変形例としての、又はそれを補足するための、薄化ステップは、エッチングすべき残留層10.1が得られるまで成長基板10の化学エッチングを実行するステップを含むことができる。化学エッチングによる基板10の薄化はまた、残留層10.1の厚さΔexyの不均一性を招きやすく、それは光電子デバイス1の構造的劣化を招き得る。
【0035】
デバイス1の構造劣化の危険性を低減するために、以下に説明する実施形態に係る製造方法は、p型又はn型の第1導電型に従ってドープされた半導体材料からなる成長基板10を形成することを特定する。基板10は、第1ドーピングレベルを有するいわゆる下部11と、下部11と成長基板10の表面10sとの間に位置する、第1レベルより低い第2ドーピングレベルを有するいわゆる上部12とを含む。後に詳細に説明するように、上部12は表面10sから出発して均一な厚さerefを有し、上部12に対して下部11を選択的に化学エッチングするステップによって、XY平面内に一定の厚さの残留層10.1を得ることが可能になり、それによって、上述の起こり得る劣化から実質的に保護された光電子デバイス1を製造することが可能になる。
【0036】
好ましくは、光電子デバイス1は、ダイオード20の複数の別々のアセンブリD内に空間的に分散されたダイオード20を含み、アセンブリDは互いに独立して分極可能であり、従って別々の画素Pxを形成する。ダイオード20は発光性であり、光電子デバイス1はディスプレイスクリーン又は画像投影装置を形成し得る。
【0037】
ダイオード20は、ダイオードのp-n接合の形成に関与する半導体素子21を含む。言い換えれば、各ダイオードは、反対の導電型に従ってドープされた2つの半導体素子から形成された半導体接合を含む。この接合は、p-n型又はp-i-n型であり得る。
【0038】
一実施形態によれば、ダイオード20は、縦軸に沿った細長い形状、すなわち縦軸に沿った縦寸法が横寸法よりも大きい、三次元半導体素子21を備える。三次元要素は、「ワイヤ」、「ナノワイヤ」又は「マイクロワイヤ」と呼ばれる。ワイヤ21の横寸法、すなわち縦軸に直交する平面におけるそれらの寸法は、10nmから10μmの間、例えば100nmから10μmの間、好ましくは100nmから5μmの間であり得る。ワイヤ21の高さ、すなわち縦軸に沿ったそれらの縦寸法は、横寸法よりも大きく、例えば2倍、5倍、好ましくは少なくとも10倍大きい。
【0039】
縦軸に直交する平面内のワイヤ21の断面は、様々な形状、例えば円形や楕円形、又は、例えば三角形、正方形、長方形、さらには六角形の多角形を有することができる。ここで、直径は、断面のレベルでワイヤ21の周囲に関連する量として定義される。それは、ワイヤ21の断面と同じ面積を有するディスクの直径であり得る。局所的直径は、縦軸に沿った所与の高さでのワイヤ21の直径である。平均直径は、ワイヤ21又はその一部に沿った局所的直径の平均、例えば算術平均である。
【0040】
以下の説明において、ワイヤ21が、ダイオードのコアを形成し、活性領域と第2pドープ部分とからなるシェル22によって囲まれている、例えばn型の第1ドープ部分であるという意味で、ダイオード20は、いわゆるコア/シェル構成で製造された発光ダイオード20である。あるいは、発光ダイオード20は、活性領域及び第2ドープ部分が、ワイヤ21を取り囲むことなく、縦軸に沿って、本質的にワイヤ21の延長部に位置する軸方向構成で形成されてもよい。
【0041】
ワイヤ21は、核形成面からエピタキシャル成長させた結晶材料で形成することができ、各核形成面は、成長基板10の表面、又は成長基板10とは異なる材料で形成された核形成層もしくはスタッド23の表面とすることができる。ワイヤ21の材料は、主に、III-V族化合物、特にIII-N族化合物、II-VI族化合物、又はIV族化合物もしくは元素から選択することができる第1半導体化合物を含む。例えば、III-V族化合物は、GaN、InGaN、AlGaN、AlN、InN又はAlInGaNなどの化合物、あるいはAsGa又はInPなどの化合物であり得る。II-VI化合物は、CdTe、HgTe、CdHgTe、ZnO、ZnMgO、CdZnO、CdZnMgOであり得る。IV元素又は化合物は、Si、C、Ge、SiC、SiGe、GeCであり得る。従って、ワイヤ21は、ダイオード20の第1部分を形成し、1つの種類の導電性、ここではn型に従ってドープされる。この例では、ワイヤは、n型ドーピング、特にシリコンを含むGaNからなる。ここでは、それらは10nmから10μmの間、例えば100nmから5μmの間の平均直径を有し、ここではそれはほぼ500nmに等しい。ワイヤ21の高さは、100nmから100μmの間、例えば500nmから50μmの間であってよく、ここではほぼ5μmに等しい。
【0042】
活性領域は、ダイオード20からの光放射の大部分が放射されるレベルのダイオード20の部分である。それは、ワイヤ及び第2ドープ部分よりも低い禁制帯エネルギーを有する半導体化合物で形成された少なくとも1つの量子井戸を含み得る。それは、コア/シェル構成において、ワイヤ21の上部エッジ及び側方エッジを覆い得る。それは、障壁層の間に挿入された層又はドットの形態の単一の量子井戸又は複数の量子井戸を含んでもよい。あるいは、活性領域は量子井戸を含む必要はない。その場合、それはワイヤ及び第2ドープ部分とほぼ等しい禁制帯エネルギーを有することができる。それは、意図的にドープされていない半導体化合物で形成されてもよい。
【0043】
第2ドープ部分は、コア/シェル構成において、少なくとも部分的に活性領域を覆い、取り囲む層を形成する。それは、ワイヤとは反対の導電型、すなわちここではp型に従ってドープされた第2半導体化合物で形成されている。第2半導体化合物は、ワイヤ21の第1半導体化合物と同一であり得るか、又は第1半導体化合物並びに1つ以上の追加の合金元素を含み得る。この例では、第2ドープ部分は、p型ドーピング、特にマグネシウムを含むGaN又はInGaNであり得る。第2ドープ部分の厚さは、20nmから500nmの間であってもよく、約150nmに等しくしてもよい。もちろん、第1部分と第2部分の導電型を逆にしてもよい。
【0044】
図2A~2Gは、第1実施形態に係る光電子デバイス1の製造方法のステップを示す。光電子デバイス1は、成長基板10から出発してエピタキシーによって製造された、ここでは発光であるダイオード20の別々のアセンブリDを有利に含む。この方法は、成長基板10の少なくとも一部を除去するステップを含む。ここで、光電子デバイス1はディスプレイスクリーン又は画像投影装置を形成する。
【0045】
ここでは、以下の説明のために、直接三次元座標系(direct three-dimensional coordinate system)(X、Y、Z)が定義される。ここで、X軸及びY軸は、発光ダイオード20のアセンブリDが延びる主平面に平行な平面を形成する。Z軸は主平面に対してほぼ直角に向けられている。以下の説明では、用語「垂直(vertical)」及び「垂直に(vertically)」は、Z軸にほぼ平行な向きに関するものとして理解されるべきであり、用語「水平(horizontal)」及び「水平に(horizontally)」は、XY平面にほぼ平行な向きに関するものとして理解されるべきである。さらに、用語「下方」及び「上方」は、+Z方向に沿って増加する位置に関するものとして理解されるべきである。
【0046】
図2Aは、発光ダイオード20が製造される成長基板10を供給するステップを示す。成長基板10は、モノリシック半導体材料、好ましくは結晶質、有利には単結晶質で形成されている。好ましくは、半導体材料は、ここではp型の、第1導電型を有するシリコンであるが、本発明は、n型ドーピングのシリコンにも適用される。成長基板10は、互いに対向する表面10sと裏面10iとを有する。表面10sは、発光ダイオード20が製造される基板10の面である。成長基板10は、例えば200μmから1500μmの間、好ましくは725μmの、初期厚さ、すなわち、薄化及び部分の除去前の厚さを有することができる。
【0047】
最初に、好ましくは均一、すなわちZ軸に沿ってXY平面内でほぼ一定の第1ドーピングレベルを有する、いわゆる下部11が製造される。好ましくは、第1ドーピングレベルは、下部11の電気抵抗率が1mΩ・cmから50mΩ・cmの間であるようなものである。ドーピング元素の例は、ホウ素(B)及びアルミニウム(Al)である。下部11は、XY平面内で連続的に延在し、ダイオード20の各アセンブリDに対向するように意図されている。この例では、下部11はp+ドープされていると言われる。「反対(Opposite)」とは、一般に、下部がダイオードのアセンブリに対して垂直に(plumb with)、すなわち垂直に(perpendicular)配置されていることを意味する。
【0048】
次に、第1ドーピングレベルより低い、好ましくは均一な、第2ドーピングレベルを有する、いわゆる上部12が製造される。好ましくは、第2ドーピングレベルは、上部12の電気抵抗率が1Ω・cmから100Ω・cmの間になるようなものである。上部12もまたXY平面内で連続的に延び、ダイオード20の各アセンブリDに対向するように意図されている。それは下部11と表面10sとの間に位置し、表面10sと同一平面上にあり、すなわち表面上で解放されている。それは均一な厚さerefを有し、すなわち基板10の表面10sから測定された上部12の厚さはXY平面において一定である。例として、厚さは、約0.5μmから20μmの間であり得る。この例では、上部12はp-ドープされていると言われる。それは、p+ドープ下部11から始まるエピタキシーによって製造され得る。
【0049】
図2Bは、成長基板10の表面10s上に、ダイオード20の複数の別々のアセンブリDを形成することを示している。各ダイオード20は、以後ワイヤと呼ばれる三次元半導体素子21を含む。ダイオード20の各アセンブリDは、他の画素とは無関係に作動させることができる画素Pxを形成するように意図された領域にわたってXY平面内に延在する。ここでは、第1ダイオード20の第1アセンブリDと第2ダイオード20の第2アセンブリDが示されている。ダイオード20のアセンブリDは、各アセンブリDがp-ドープ上部12に対して垂直に配置されているという意味で、成長基板10のp-ドープ上部12の反対側に配置されている。
【0050】
核形成層23は、成長基板10の表面10s上に接触して、特に発光画素を形成するように意図された表面10sの領域Pのレベルに堆積される。層23はワイヤ21の核形成を促進するものであるため、このステップは特に任意選択的である。核形成層23は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(例えば、Al)、窒化マグネシウム(Mg)、遷移金属の窒化物又は炭化物、又は他の適切な材料から形成され得る。核形成層23の厚さは、数ナノメートルから数十又は数百ナノメートル程度であり得る。この例では、核形成層23は電気絶縁材料、例えばAlNから形成されている。変形例として、図3Aを参照して後述するように、材料は導電性であり得る。核形成層23は、表面10sを覆う連続層の形態、又は、例えばフォトリソグラフィ及び核形成層23のエッチングの従来のステップによって得られる、互いに分離した複数の核形成スタッドの形態であり得る。
【0051】
次に、誘電体層24が核形成層23上に堆積され、核形成層23上の局所的開口部から始まるワイヤ21の局所的エピタキシャル成長を可能にする成長マスクを形成する。誘電体層24は、例えば、酸化ケイ素(例えばSiO)又は窒化ケイ素(例えばSi)、あるいは酸窒化ケイ素のような電気絶縁材料から形成され得る。誘電体層24の厚さは、5nmから800nmの間、例えば約30nmに等しい。
【0052】
次いで、核形成層23から始まるエピタキシャル成長によって、例えば有機金属化学気相成長法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)によって、それぞれ三次元半導体素子21を含む発光ダイオード20が製造される。この場合、三次元要素21は、第1ドープ部分とも呼ばれるワイヤであり、これは核形成層23からZ軸に対してほぼ垂直に延びる。各ダイオード20はさらに、活性領域と第2ドープ部分とを含むシェル22と、シェル22の第2ドープ部分と接触している導電性電極層25とを含む。ワイヤ21、及び一般に発光ダイオード20は、本明細書の不可欠な部分を形成すると考えられ、国際公開第2012/136665号に記載されているものと同一又は類似の方法によって形成することができる。従って、ワイヤ21はエピタキシャル成長によって製造され、シェル22はそれぞれ活性領域及び第2ドープ部分から形成される。
【0053】
第2ドープ部分は、活性領域との界面に位置する介在電子阻止層(図示せず)をさらに含み得る。この場合、電子阻止層は、有利にはpドープされたIII-N三元化合物、例えばAlGaN又はAlInNから形成することができる。これにより、活性領域における放射再結合のレベルを上げることが可能になる。
【0054】
次いで、いわゆる導電性電極層25が堆積される。これは、この場合、異なるアセンブリDのすべての発光ダイオード20を覆う。電極層25は、後述する第2導電スタッドによって、同一の値の電気分極をダイオード20に印加するのに適している。それは、ダイオード20によって放射された光に対して少なくとも部分的に透明な材料、例えば酸化インジウムスズ(indium tin oxide:ITO)又はZnOで、任意に(例えばガリウム又はアルミニウムで)ドープされるもので形成される。それは、数ナノメートルから数十又は数百ナノメートル程度の厚さ、例えば5nmから500nmの間、好ましくは10nmから100nmの間、例えば約50nmに等しい厚さを有することができる。
【0055】
次に、いわゆる上部導電層26が、ダイオード20のシェル22によって形成された発光面を覆わないように、導電性電極層25の上に堆積される。それは、アルミニウム、銀、金、銅、ルテニウム、または任意の他の適切な材料から選択される1つ以上の導電材料からなり、例えば20nmから1500nmの間、好ましくは400nmから800nmの間の厚さを有する。導電層26は、電気抵抗を低減することを可能にし、それによって電極層25内の電流の循環を改善する。
【0056】
図2Cは、封入層31を堆積するステップ、次いで、ここでは接着剤の層(図示せず)を用いて、グリップ32を固定するステップを示す。封入層31は、すべてのダイオード20、特に電極層25を覆っている。従って、封入層31は、250nmから50μmの間の厚さを有する。それは電気絶縁材料で形成され、ダイオード20によって放射される放射線に対して少なくとも部分的に透明であり、例えば酸化シリコン(例えばSiO)もしくは酸化アルミニウム(例えばAl)、シリコンもしくは窒化アルミニウム又は他の適切な無機材料、あるいは、シリコーン、エポキシド、又はアクリル系のポリマー、あるいは他の適切な有機材料である。封入層31は、ダイオード20によって放射された光の少なくとも一部を他の波長の光に変換するのに適した蛍光体を含むことができる。
【0057】
グリップ32は一時的なものでも恒久的なものでもよい。それは、ダイオード20によって放射される放射線に対して少なくとも部分的に透明な材料、例えばガラス、又はホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、又はサファイアから形成され得る。グリップ32は、例えば、温度又は紫外線への暴露によって架橋することができる接着剤を用いた接着によって、又は分子接着によって、封入層31に固定することができる。
【0058】
図2Dは、裏面10iから成長基板10を薄くして、p+ドープ下部11の厚さを薄くするステップを示す。薄化後のp+ドープ下部11の局所的厚さは、依然としてゼロではなく、pドープ上部12の厚さerefは一定のままである。薄化は、ウェット又はドライ化学エッチングの技術によって、又は研削技術によって実行され得る。上述のように、例えば成長基板10、封入された複数のダイオード20及びグリップ32から形成されたスタックの平行性の初期不良、及び/又は、使用される機械的又は化学的薄化技術のために、薄化された成長基板10はXY平面において厚さの不均一性Δexyを有する。従って、薄化基板10は、最大値emaxと最小値eminとの間で局所的に変化する厚さeを有する。
【0059】
図2Eは、p-ドープ上部12に対する選択的化学エッチングによるp+ドープ下部11の除去を示す。この化学エッチングはウェット又はドライであってよく、この場合、1つ以上の協賛又は弱酸、例えば、とりわけ、フッ化水素酸(HF)、硝酸(HNO)又は酢酸(CH-CO-OH)から選択されるエッチング剤を用いてウェットで行われる。実際、このようなエッチング剤は、高濃度ドープシリコンの下部11と低濃度ドープシリコンの上部12との間のエッチング速度に大きな差がある。このように、p+ドープ下部11はp-ドープ上部12よりも少なくとも50倍、さらには100倍速くエッチングされ、これは部分11、12間のエッチングの特定の選択性に反映される。p+ドープ下部11を除去する工程後には、薄化基板10はp-ドープ上部12のみを含み、その厚さerefはXY平面内で一定である。従って、平坦性の初期不良及び/又は機械的又は化学的薄化のステップに関連する成長基板10の厚さの不均一性は、大部分除去された。
【0060】
図2Fは、この例では核形成層23に関して選択的な、ウェット又はドライ化学エッチングによるp-ドープ上部12の除去を示す。この場合、化学エッチングはウェットであり、エッチング剤は酸又は塩基から選択することができ、それらは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化カリウム(KOH)であり得る。この例では、p-ドープ上部12は完全に除去されている。従って、核形成層23の下面は解放されたままであり、すなわちそれは材料で覆われておらず、より正確にはもはや成長基板10の材料と接触していない。
【0061】
この例では、核形成層23の材料は電気絶縁性である。従って、核形成層23の除去もまた、XY平面内で完全に行われるか、又は、XY平面内、例えばダイオード20のアセンブリDの領域内で局所的に部分的に行われる。この例では、核形成層23は、この場合、ウェット又はドライ化学エッチングにより、ワイヤ21の材料及び誘電体層24の材料に対して選択的に完全に除去される。従って、これにより、この場合ワイヤ21の下面によって形成されたダイオード20の下面20iが解放される。ダイオード20の下面は、ワイヤ21が電気的に接触しているダイオード20の面である。それは、ワイヤがエピタキシャルに成長した導電性材料又は半導体性材料におけるワイヤ21の下面又は核形成層の下面に対応し得る。
【0062】
図2Gは、複数の第1導電スタッド41の形成を示す。各導電スタッド41は、ダイオード20の異なるアセンブリDの反対側に配置され、問題となっているアセンブリDのダイオード20の下面20iと接触している。各導電スタッド41は、ダイオード20の下面20iと確実にオーミック接触するように選択された1つ以上の複数の導電材料、例えばGaNのワイヤの場合にはTi/Al/Ni/Au型のスタック、又は他の適切な材料からなり、例えば1μmから10μmの間、例えば約5μmの厚さを有する。第2導電スタッド42は、ダイオード20のアセンブリDのエッジに配置され、誘電体層24に形成された貫通孔を介して電極層25と接触している。
【0063】
このようにして、成長基板10に導入された厚さΔexyの不均一性がp+ドープ下部11の選択的化学エッチングの間に除去され、p-ドープ上部12によって形成された一定の厚さerefの残留成長層を与えるという事実によって、製造プロセス中に構造が保存された光電子デバイス1が得られる。
【0064】
さらに、この場合、成長基板10が完全に除去されているため、光電子デバイス1の耐熱性が低下し、それにより、動作中にデバイス1によって生成される熱の抽出が改善される。さらに、この例では、光電子デバイス1は、本質的に透明グリップ32の厚さと組み合わされた封入層31の厚さによって提供される機械的耐久性を有する。変形例として、グリップは一時的なものでもよく、製造プロセスの次のステップで取り外されてもよい。その場合、光電子デバイス1の機械的耐久性は、本質的に封入層31の厚さによって、そして好ましくは光電子デバイスにハイブリッド形成された制御チップによって提供され得る。
【0065】
種々の導電スタッド41、42の配置は、光電子デバイス1を、ダイオード20の異なるアセンブリDを互いに独立して分極するのに適した制御チップ(図示せず)に固定することを可能にする。導電スタッド41、42と制御チップとの間の固定は、可溶性材料、例えばインジウム、SnAgのビーズ、銅又は金のスタッド、さらには銅/銅型の分子結合、又は他の任意のハイブリダイゼーション技術によって、行うことができる。
【0066】
図3Aは、図2Gに示した光電子デバイス1の変形例を示しており、グリップ32が取り除かれている点と、核形成層から得られる核生成部分23がダイオード20の各アセンブリDのレベルで保持されている点で本質的に異なる。この場合、核形成材料は導電性又は半導体性である。この変形例では、核形成材料は、ワイヤ21の核形成を促進する、及び、ワイヤ21内の電荷キャリアの注入を可能にするのに適している。核形成材料は遷移金属を含むことができる。それは、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル及びタングステン、又は、遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タンタルの窒化物又は炭化物、あるいは、これらの化合物の組み合わせから選択することができる。遷移金属、並びにそれらの窒化物及び炭化物は、ワイヤの核形成を可能にし、かつ金属の導電性に近い導電性を有するという利点を提供する。
【0067】
好ましくは、各核形成部分23は、2016年6月28日に出願された仏国出願第16/56008に記載されているものと類似又は同一の構造を有することができ、それは本説明の不可欠な部分を形成すると考えられる。従って、核形成部分23は、結晶材料の下部サブレイヤからエピタキシャル成長した、遷移金属を含む材料の上部サブレイヤを含むことができる。下部サブレイヤは、例えば成長基板10の表面からエピタキシャル成長したものである。
【0068】
図3Bは、図2G又は図3Aに示す光電子デバイス1の上面図である。ダイオード20の各アセンブリDは、光電子デバイス1の画素Pxを形成する。ダイオード20のアセンブリDは、第1導電スタッド41(点線で示される)のいずれとも電気的に接触しない介在エッジ2によってXY平面内で互いに分離される。光電子デバイス1は、ダイオード20のアセンブリDに対して側方エッジ3を含み、そのレベルに第2導電スタッド42が配置されている。
【0069】
図3Cは、図3Aに示した光電子デバイス1の変形例を示しており、第2導電スタッド42が導電層26の上面26s上にあり、電極層25と電気的に接触している点で本質的に異なる。変形例として、導電層26がこの領域で電極層25の上に延びておらず、第2導電スタッド42が電極層25と直接接触する。
【0070】
図4A図4Cは、第2実施形態に係る光電子デバイス1を製造する方法のいくつかのステップを示している。この製造方法は、成長基板10のp-ドープ上部12の部分の局所的エッチングによる保持側壁15の形成を含むという点で、本質的に図2A~2Gを参照して説明したものとは異なる。保持側壁15は、ダイオード20の画素化を可能にしながら、光電子デバイス1の機械的耐久性を強化することを特に可能にし、また電子機能を備えることもできる。
【0071】
この実施形態に係る方法の最初のステップは、図2A図2Eを参照して説明したものと同一であり、再度説明することはしない。
【0072】
図4Aは、図2Eを参照して上述したように、p-ドープ上部12に対して選択的化学エッチングによってp+ドープ下部11を除去するステップの終わりに得られた光電子デバイス1を示す。従って、予備薄化ステップ後の成長基板10の厚さの不均一性Δexyが除去され、それによって光電子デバイス1の構造劣化の危険性を低減することが可能になる。
【0073】
図4Bは、いわゆる側部14を保存するようにp-ドープ上部12のいわゆる中央部13を局所的化学エッチングすることによって保持側壁15を形成するステップを示し、これが次に保持側壁15を形成する。
【0074】
除去された各中央部13は、最初はダイオード20のアセンブリDの反対側に配置されている、すなわち、考慮されるアセンブリDの各ダイオード20は、中央部13の垂線上に配置されている。中央部13は互いに分離しており、側部14によって対をなして分離されている。従って、側部14は、ダイオード20の2つの隣接するアセンブリDの間に配置されている、すなわち、2つの隣接するアセンブリDの範囲を定める介在エッジ2の反対側に配置されている。
【0075】
中央部13は、中央部13を形成する領域の従来のフォトリソグラフィ及び化学エッチングのステップによって除去される。中央部13は、p-ドープ上部12のドーピングレベルと同一のドーピングレベルを有する。これらは、例えば、塩基性媒体(例えば、KOH又はTMAH)中でのウェットエッチングによって、又は、(図4Bに示すように)適用可能であれば、核形成層23に対してあるいはワイヤ21及び誘電体層24に対して選択的な、プラズマドライエッチング(RIE、ICPなど)によってエッチングされる。
【0076】
次に、エッチングされていない側部14は、p-ドープ側部14の初期厚さerefにほぼ等しい平均高さを有する保持側壁15を形成する。従って、側部14の厚さは、0.5μm~20μmであることが好ましく、保持側壁15はこの初期厚さにほぼ等しい高さを有する。側壁15は、例えばハニカム形状でダイオード20の各アセンブリDを囲む連続グリッドを形成することが好ましく、グリッドの各貫通孔は光電子デバイス1の画素Pxに対応する。
【0077】
この例では、核形成層23が電気絶縁材料で作られているので、ワイヤ21が電気的に接触しているダイオード20の下面20iを解放するために核形成層23の局所的エッチングが行われる。
【0078】
図4Cは、第1導電スタッド41の形成を示している。各第1導電スタッド41は、ダイオード20の異なるアセンブリDの反対側に堆積されている。第1導電スタッド41は、XY平面において、保持側壁15によって対で分離されている。この例では、誘電体層24に形成された貫通孔を介して電極層25と接触している光電子デバイス1の側方エッジ3に配置された第2導電スタッド42の形成が考えられる。
【0079】
保持側壁15は機能化されてもよく、ダイオード20のアセンブリDの一部又は全部に接続された能動又は受動電子回路を含んでもよい。従って、電子回路は、例えばツェナーダイオードを含むことによってESD保護を形成することができ、ダイオードのアセンブリDの分極のために電気回路を監視又は制御する機能を有することもできる。ツェナーダイオードの他に、ショットキーダイオード又はMOS型トランジスタが保持側壁15に特に配置されてもよい。
【0080】
従って、第2実施形態に係るこの方法は、平坦性の初期不良のために、又は、用いられた薄化技術により成長基板10にもたらされた厚さの不均一性Δexyを排除することによって、光電子デバイス1の構造劣化を制限することを可能にする。このようにして、上部12によって形成された一定の厚さerefの残留層が得られる。それはさらに、光電子デバイス1の機械的耐久性を強化することができる保持側壁15を製造することを可能にする。さらに、側壁が、ある側壁15から次の側壁までほぼ同一の平均高さを有するということが、機械的応力の空間分布はそれ自体光電子デバイス1内でほぼ均一であり、応力集中の領域を制限することを可能にし、従って光電子デバイスの機械的耐久性をさらに向上させる。さらに、この方法は、側方保持壁によって画定された貫通孔がダイオード20のアセンブリDのレベルに配置される連続グリッドを得ることを可能にし、それは貫通孔を介して第1導電スタッド41を形成することによってダイオード20の画素化を可能にする。
【0081】
図5A図5Fは、第3実施形態に係る光電子デバイス1を製造する方法のステップを示す。この製造方法は、中央部13が成長基板10を供給するステップの間にp-ドープ上部12の局所的ドーピングによって予め形成され、p-ドープ上部12に位置するp+ドープチャンバ13を得るという点で、図4A~4Cを参照して説明したものと本質的に異なる。
【0082】
図5A及び図5Bは、同一の導電型、ここではp型でドープされた半導体材料、好ましくは結晶シリコンからなる成長基板10を供給することを示す。図5Aを参照すると、いわゆるp+ドープ下部11及びいわゆるp-ドープ上部12が基板10に形成されている。このステップは、図2Aを参照して説明したステップと類似又は同一であり、再度説明しない。p-ドープ上部12は、XY平面内で一定の厚さerefを有する。
【0083】
次に、図5Bを参照すると、いわゆる中央部13及びいわゆる側部14が、p-ドープ上部12内に形成される。中央部13は、イオン注入又は熱拡散により、p-ドープ上部12を局所的にドーピングすることによって、すなわち、ドーパントを上部12に局所的に挿入することによって形成され、第1の導電型、ここではp型、に従ってドープされた、第1ドーピングレベルとほぼ等しい又はそれ以上のドーピングレベルの、別々の部分13が得られる。従って、中央部13は、下部11と全く同じように、p+ドープ型であると言われる。p+ドープ中央部13の厚さe13は、この場合、p-下部の厚さerefより厳密に小さい。その結果、各p+中央部は、z軸に沿ったドーピングレベルの空間的不連続性によってp+ドープ下部11から分離される。
【0084】
側部14は、ドーピングレベルが変更されていないp-ドープ上部12の領域に対応する。そのため、それらは第2ドーピングレベルに等しいドーピングレベルを有し、p-ドープされていると言われる。側部の厚さはほぼ一定であり、上部の厚さerefに等しい。側部14は、XY平面内でドーピングレベルの空間的連続性を形成するように互いに接触しており、各中央部13を囲んでいる。
【0085】
図5Cは、成長基板10の表面10s上に、ダイオード20の複数の別々のアセンブリDを形成することを示している。このステップは、図2Bを参照して説明したものと類似又は同一であり、再度詳細には説明しない。ダイオード20の各アセンブリDは、p+ドープ中央部13の反対側にあり、p-ドープ側部14は、2つの隣接するアセンブリDを隔てる介在エッジ2の反対側に配置されている。
【0086】
次に、全てのダイオード20を封入する層31の堆積、次いでグリップ32の固定が行われる。このステップは、図2Cを参照して説明したものと類似又は同一であり、再度詳細には説明しない。
【0087】
次に、図5Dは、p+ドープ下部11の厚さを減少させるために、ウェット又はドライ化学エッチングによって、又は研削によって、裏面10iから成長基板10を薄くする第1段階を示す。図2Dを参照して上述したように、p+ドープ下部11はその厚さ全体にわたって除去されていないので、薄化基板10は、XY平面において、p-ドープ上部12の厚さerefよりも大きい、非ゼロ厚さeを有する。すなわち、薄化基板10は、平行性の初期不良による、又は、用いられる機械的あるいは化学的薄化技術による、厚さの不均一性Δexyを有する傾向がある。従って、薄くされた基板10は、最大値emaxと最小値eminとの間で局所的に変化し得る厚さeを有する。
【0088】
図5Eは、p-ドープされた側部に対する、選択的化学エッチングによるp+ドープ下部11の除去を示す。上述のように、化学エッチングはウェットでもドライでもよく、この場合、1つ以上の強酸及び/又は1つ以上の弱酸から選択されるエッチング剤を用いてウェットで行われる。このエッチング剤は、p+ドープ下部11とp-ドープ上部12との間のエッチング速度に大きな差、例えば50の比、さらには100の比を有するため、p-ドープの上部12ではなく、p+ドープの下部11のみが除去される。さらに、p+ドープ下部11とp+ドープ中央部13との間にはZ軸に沿ったドーピングレベルの空間的不連続があるため、p+ドープ中央部13はエッチングされない。このステップの終わりに、薄化された成長基板10は、XY平面において一定の厚さerefを有し、それはp+ドープ中央部13の厚さe13より厳密に大きい。
【0089】
図5Fは、成長基板10を薄くして、基板10の裏面10iをp+ドープ中央部13上に開口させる第2段階を示す。この薄化段階は、非選択的ウェット又はドライ化学エッチング技術によって、又は、研削技術によって実行することができる。p+ドープ中央部13の厚さe13とp-ドープ上部12の厚さerefとの間には、例えば1ミクロン~数ミクロン程度、例えば約1μmの小さな差があるため、第2薄化段階は、薄化成長基板10に厚さΔexyの実質的な不均一性を導入する可能性は低い。
【0090】
図5Gは、p-ドープ側部14に関する、この場合核形成層23に関する、選択的化学エッチングによるp+ドープ中央部13の除去を示している。エッチング剤は、図5Eを参照して用いられたものと同一又は類似であり得る。このようにして、核形成層23の下面を解放するために、p+ドープ中央部13がそれらの全厚にわたってエッチングされる。これにより、前述のものと類似又は同一の保持側壁15が得られる。
【0091】
製造方法の以下のステップは、図4B及び図4Cを参照して説明したものと同一又は類似であり、再度説明しない。
【0092】
従って、第1及び第2実施形態に係る方法と同様に、この第3実施形態に係る方法は、厚さの不均一性Δexyを制限することを可能にする薄化成長基板10を得ることによって、光電子デバイス1の構造劣化を制限することに加えて、p+ドープ中央部13の選択的化学エッチングにより保持側壁15を形成することを可能にする。
【0093】
図6A及び図6Bは、図4Gに示した光電子デバイス1の2つの変形例を示している。図6Aに示す変形例は、グリップ32が取り除かれている点と、核形成層から得られる核形成部分23が保存されている点で本質的に異なり、核形成材料は導電性又は半導体性である。図3Aを参照して上述したように、核形成材料は遷移金属を含むことができ、核形成部分は仏国出願第16/56008に記載されているものと類似又は同一の構造を有することができる。さらに、図6Bに示される変形例は、第2導電スタッド42が導電層26の上にあり、電極層25と電気的に接触しているという点で、図6Aの光電子デバイス1と本質的に異なる。
【0094】
特定の実施形態について説明した。当業者には様々な変形例及び修正例が明らかであろう。
【0095】
このように、本製造方法によって得られた発光ダイオード20を有する光電子デバイス1の様々な例が記載されており、光電子デバイス1は有利にはディスプレイスクリーン又はイメージプロジェクタを形成する。しかしながら、本発明は、入射光を受光して検出し、それを電気信号に変換するためのフォトダイオード20の分野にも適用される。
【0096】
ワイヤ型のダイオード20が記載されているが、本発明は、Z軸に沿った高さがXY平面におけるそれらの横寸法と同程度の大きさである三次元スタッドの形態の三次元半導体素子、また、必要に応じて切頂された、ピラミッドの形をした三次元要素にも適用される。それは、メサ構造のダイオードにも適用される。「メサ構造」とは、エッチングステップの終わりに、成長基板の上方に突出して位置する、p-n接合を形成する半導体部分のスタックから形成された構造を意味する。
【0097】
p型ドーピングを有する半導体材料からなる成長基板も記載されているが、本発明は、n型ドーピングを有する、例えばシリコンである半導体材料にも適用される。この場合、下部11はn+ドープされ、上部12はn-ドープされる。本製造方法の第3実施形態に関連して、中央部13はn+ドープされてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B