(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】逆マッシュルームインサート形状を有するスプレーおよび洗浄用途のコンパクトな低流量流体ノズル
(51)【国際特許分類】
F15D 1/08 20060101AFI20230404BHJP
B05B 1/10 20060101ALI20230404BHJP
B05B 1/26 20060101ALI20230404BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230404BHJP
F15C 1/22 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F15D1/08 B
B05B1/10
B05B1/26 A
B08B3/02 G
F15C1/22
(21)【出願番号】P 2019566322
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 US2018035983
(87)【国際公開番号】W WO2018226641
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516300944
【氏名又は名称】ディエルエイチ・ボウルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】dlhBOWLES Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ハン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン,シュリダル
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ,チュンリン
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018847(JP,A)
【文献】特開2005-225263(JP,A)
【文献】特表2002-527235(JP,A)
【文献】独国実用新案第202016104170(DE,U1)
【文献】仏国特許出願公開第02915251(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0090036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/08
B05B 1/00- 3/18; 7/00- 9/08
B60S 1/00- 1/68
B08B 3/00- 3/14
F15C 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約7.5mm以下の幅(W)および約8mm以下の長さ(L)を有する流体ノズルインサート構造体;ならびに
約0.5mmから約2mmの範囲の
半径を有するコンパクトな湾曲状の底壁
(W
C
)を備えたマッシュルーム形の形状を有する流体振動
子
を含み、
前記流体振動子は、少なくとも一対の流体ジェットから脈動または振動流体ジェットを生成するための相互作用領域を含み、前記脈動または振動流体ジェットを出口スロートを通して放出するように構成されており、
前記出口スロートは、
前記出口スロートのスロート幅(T
W)の0から約0.8
倍の範
囲の長さ(T
L)
(但し、ゼロの長さを除く)を有する
ように規定さ
れており、前記相互作用領域の幅(I
W)は、パワーノズルの幅(P
W)の約5倍から約10倍であり
、前記相互作用領域の高さ(I
H)は、前記パワーノズルの幅(P
W)の約4倍から約8倍であり
、スロートオフセット(T
O)は、前記相互作用領域の高さ(I
H)の約0.05から約0.3倍の範囲内である
、流体ノズルインサート。
【請求項2】
少なくとも1つの圧力下流体源、
前記少なくとも一対の流体ジェットを前記
相互作用領域へ発射するための前記少なくとも1つの圧力下流体源に接続された少なくとも一対のパワーノズル(PN1、PN2)、および
前記脈動または振動流体ジェットを利用点または周囲へ放出するための前記
相互作用領域からの
前記出口
スロートをさらに含み、共通の流体マニホールドはパワーノズル(PN1、PN2)に接続されている
、請求項1に記載の流体ノズルインサート。
【請求項3】
パワーノズルマニホールドの形状は、
前記相互作用領域を画定する壁のうちの前記相互作用領域のフラットトップ
の表面を画定す
る1つを形成し
、流体回路の少なくとも1つにおいて、その長さは、既存のハウジングに合うように調整でき
る、請求項1または2に記載の流体ノズルインサート。
【請求項4】
前記出口スロートは、
液体スプレー
ファンの左方向または右方向のヨー角を動かすために左または右にわずか
に中心スプレー軸と同軸である対称の中心軸を外れ
ており
、前記出口スロート
は、左または右に所定の角度のヨー角を生成するよう
前記相互作用領域を通る前記中心軸から左または右にわずかにオフセットされることができる、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項5】
前記出口スロートの幅は
、約10°から約30°の範囲の挟角で規定さ
れる、請求項1から4のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項6】
前記流体ノズルインサート構造体は、約7mm以下の幅(W)および約7.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項7】
前記流体ノズルインサート構造体は、約6.5mm以下の幅(W)および約7mm以下の長さ(L)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項8】
前記流体ノズルインサート構造体は、約6mm以下の幅(W)および約6.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項9】
前記流体ノズルインサート構造体は、約5.5mm以下の幅(W)および約6mm以下の長さ(L)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項10】
前記流体ノズルインサート構造体は、約5mm以下の幅(W)および約5.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体ノズルインサート。
【請求項11】
流体ノズルアセンブリであって、
ノズルポスト
であって、前記ノズルポストは取り付け可能に設計されてい
る、ノズルポスト;
流体ノズルインサートレセプタクル
であって、前記
流体ノズルインサートレセプタクルは、その中に形成された少なくとも1つの空洞に少なくとも1つの流体ノズルインサートを受け入れるように設計されて
いる、流体ノズルインサートレセプタクル;ならびに
ノズル本体
であって、前記ノズル本体は、前記ノズルポストと前
記流体ノズルインサートレセプタクルとの間に位置し
、それら両方を接続する、
ノズル本体
を
含み、
前記流体ノズルインサートは、
約7.5mm以下の幅(W)および約8mm以下の長さ(L)を有する流体ノズルインサート構造体;および
約0.5mmから約2mmの範囲の
半径を有するコンパクトな湾曲状の底壁
(W
C
)を備えたマッシュルーム形の形状を有する流体振動
子
を含み、
前記流体振動子は、少なくとも一対の流体ジェットから脈動または振動流体ジェットを生成するための相互作用領域を含み、前記脈動または振動流体ジェットを出口スロートを通して放出するように構成されており、
前記出口スロートは、
前記出口スロートのスロート幅(T
W)の0から約0.8
倍の範
囲の長さ(T
L)
(但し、ゼロの長さを除く)を有するように規定されており、
前記相互作用領域の幅(I
W)は、パワーノズルの幅(P
W)の約5から約10倍であり
、前記相互作用領域の高さ(I
H)は、前記パワーノズルの幅(P
W)の約4から約8倍であり
、スロートオフセット(T
O)は、前記相互作用領
域の高さ
(I
H
)の約0.05から約0.3倍の範囲内である
、流体ノズルアセンブリ。
【請求項12】
少なくとも1つの圧力下流体源、
前記少なくとも一対の流体ジェットを前記
相互作用領域へ発射するための前記少なくとも1つの圧力下流体源に接続された少なくとも一対のパワーノズル(PN1、PN2)、および
前記脈動または振動流体ジェットを利用点または周囲へ放出するための前記
相互作用領域からの
前記出口
スロートをさらに含み、共通の流体マニホールドはパワーノズル(PN1、PN2)に接続されている
、請求項11に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項13】
パワーノズルマニホールドの形状は、
前記相互作用領域を画定する壁のうちの前記相互作用領域のフラットトップ
の表面を画定す
る1つを形成し
、流体回路の少なくとも1つにおいて、その長さは、既存のハウジングに合うように調整でき
る、請求項11または12に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項14】
前記出口スロートは、
液体スプレー
ファンの左方向または右方向のヨー角を動かすために左または右にわずか
に中心スプレー軸と同軸である対称の中心軸を外れ
ており
、前記出口スロート
は、左または右に所定の角度のヨー角を生成するよう
前記相互作用領域を通る前記中心軸から左または右にわずかにオフセットされることができる、請求項11から13のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項15】
前記出口スロートの幅は
、約10°から約30°の範囲の挟角で規定
される、請求項11から14のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項16】
前記流体ノズルインサート構造体は、約7mm以下の幅(W)および約7.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項11から15のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項17】
前記流体ノズルインサート構造体は、約6.5mm以下の幅(W)および約7mm以下の長さ(L)を有する、請求項11から15のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項18】
前記流体ノズルインサート構造体は、約6mm以下の幅(W)および約6.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項11から15のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項19】
前記流体ノズルインサート構造体は、約5.5mm以下の幅(W)および約6mm以下の長さ(L)を有する、請求項11から15のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項20】
前記流体ノズルインサート構造体は、約5mm以下の幅(W)および約5.5mm以下の長さ(L)を有する、請求項11から15のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項21】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、少なくとも前
記流体ノズルインサートレセプタクルの少なくとも1次元での移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項22】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、少なくとも前
記流体ノズルインサートレセプタクルの少なくとも2次元での移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項23】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、少なくとも前
記流体ノズルインサートレセプタクルの3次元すべてでの移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項24】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、取り付け可能なノズルアセンブリのすべての少なくとも1次元での移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項25】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、取り付け可能なノズルアセンブリのすべての少なくとも2次元での移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項26】
前記ノズルポスト、前
記流体ノズルインサートレセプタクル、および前記ノズル本体は、取り付け可能なノズルアセンブリのすべての3次元すべてでの移動を許容するよう一緒に作動する、請求項11から20のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項27】
前記流体ノズルアセンブリが少なくとも1つの追加のデバイスまたはセンサを洗浄できるように、前記ノズル本体は、前記少なくとも1つの追加のデバイスまたはセンサを受け入れて固定するように設計されている、請求項11から26のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【請求項28】
前記流体ノズルインサートは、前
記流体ノズルインサートレセプタクル
に逆向きに配向されている、請求項11から27のいずれか一項に記載の流体ノズルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本PCT出願は、2017年6月5日に出願された米国仮特許出願第62/515,358号の優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、広範囲のスプレーおよび洗浄用途に有用な逆マッシュルーム形のマッシュルームインサート形状を有する様々な低流量流体ノズルインサートに関する。一実施形態では、本発明は、形状的および寸法的制限を有する低流量で機能することができる流体ノズルインサートに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、低流量での小規模用途の流体ノズルアセンブリで所望の性能レベルを達成する方法を提供するコンパクトな流体ノズルインサートに関する。
【背景技術】
【0003】
米国運輸省道路交通安全局(「NHTSA」)は、2018年の時点で、すべての新しい車両に「バックオーバー」の可能性を最小限に抑えるために、リアビューまたは「バックアップ」カメラシステムを備えなければならないことを義務付けた。バックオーバーは、明確に定義されたタイプの事故であり、ここでは車両の非乗員(歩行者または自転車乗り)が後方に移動する車両に衝突する。したがって自動車の相手先商標製品の製造業者(OEM)は、すべての新しい車に外部リアビューカメラを追加している。加えてOEMは、車両の周辺(後方、側面、または前方)にある他の死角をより多くのカメラで見ることを望んでおり、そしてこれらのカメラはすべて、路面の汚れや泥などで最終的に汚れる外部レンズ表面を必然的に備えている。装飾およびスタイリングの理由から、車両のOEMは、車両に対する自動車設計者のビジョンを損なうことのない機能的なカメラと対応するレンズクリーニングデバイスを望んでおり、したがって、完全に見えないカメラとカメラレンズのクリーニングシステムが理想的である。視覚的に目立たず、そして車両のデザインに入り込まない方法で車両の外部トリム内に収まる、アセンブリ内の付随レンズクリーニングシステムを有するカメラシステムを提供することは困難なことである。
【0004】
外部ビュー(例えば、フロントバンパー、サイドビュー、リアビュー、またはバックアップ)カメラがRV車および自動車に追加され、運転者の視界を強化し、安全性を向上させている。次第に多くの車やSUVが、車内の運転者、オペレーター、その他の乗員や使用者に表示する画像を生成する多数の統合ビデオカメラを備えている。車両メーカーによる自動車およびSUVのフロントバンパー、サイドビュー、およびバックビューカメラの最近の導入により、運転者は、バックミラーまたはナビゲーションシステム画面に取り付けられた表示画面を使用して、障害物が車両を囲んでいるかどうかを確認できる。
【0005】
バックアップまたはリアビューカメラとして知られているような外部イメージセンサは、通常、目立たないように取り付けられ、車両の後部ネームプレートなどの既存の機構に組み込まれる。これらの外部カメラは車両の過酷な環境にさらされており、多くの場合、レンズに蓄積する泥、塩水噴霧、またはダートによって汚される。ダートやごみがたまると、多くの場合、運転者が見ている画像を歪め、したがって不明瞭な画像に頼ることによる判断力の低下により、混乱、不満、または安全上の問題が生じる。
【0006】
自動車の仕様を満たすことができるビデオディスプレイのコスト/パフォーマンス比の改善を組み合わせた固体センサ技術(例えば、CMOSピクセルセンサ技術)を使用した低コストで信頼性の高いイメージングデバイスの出現、および自動車ナビゲーションシステムなどのビデオモニターディスプレイの適用率の増加は、一般的に「死角」と呼ばれる、運転者の通常の直接視界にない車両の周囲の領域の視界を運転者に与えるように設計されたカメラまたは撮像センサの使用増加につながっている。これらの領域には、通常、車両の前部構造によって見えなくしている車両の前部に近い領域、車両の助手席側に沿った領域、運転者の後方の車両の運転者側に沿った領域、およびバックミラーシステムを通して直接または間接的に見ることができない車両のすぐ後方の領域が含まれる。カメラまたは撮像センサは、後方(または側方または他の死角領域)の視野の画像をキャプチャすることができ、そして画像は車両の運転者に表示されて、運転者が車両をバックアップするか、後退させるか、さもなければ運転または操縦するのを支援することができる。
【0007】
車両撮像システムで電子カメラを使用すると、低速操縦の前および最中に、車両の間近の周囲の空間に関する入念な運転者の認識を大幅に向上させることができ、したがってそのような操縦の安全な完了に貢献する。したがって、運転者に外景の画像を提供するために、車両にカメラまたは撮像センサを設けることが知られている。そのようなカメラは、カメラまたはセンサの周りを包囲し、留め具またはネジなどを介して互いに固定され得る保護ハウジング内に配置され得る。例えば、アルミニウムまたは亜鉛などのダイカストハウジングなどの金属保護ハウジングが設けられてもよい。特に、車両の外部に取り付けられたカメラセンサについては、雨、雪、道路のしぶきおよび/またはその同等物の環境影響に対する保護、ならびに道路のこみ、ダート、ほこりおよび/またはその同等物に対する物理的な保護は重要である。したがって、例えば、既知の外部カメラセンサマウントでは、熱分注ブチルシールなどのブチルシール、またはOリング、またはその他のシール部材もしくは材料またはその同等物は、ハウジングの各部品の間に設けられ、ハウジングを密閉するのを支援して、水または他の混入物質がハウジングに入り、その中に配置されたカメラまたはセンサを損傷するのを防ぐ。しかしながら、そのようなハウジングは、通常、実質的に水密なシールをもたらさず、したがって水滴がハウジングに入ることがあり得る。さらに、カメラセンサの過度の振動は、その配置(車両の外部など)により、車両の運転者に表示される画像の望ましくない不安定性につながることがあり得る。また、そのようなカメラまたはセンサは、製造および車両への実装に費用がかかる。
【0008】
そのような車両ビジョンシステムは、多くの場合、車両の外部部分にカメラまたは撮像センサを配置して、外部光景の画像をキャプチャする。したがって、カメラ、特に後方視界システム用のカメラは、通常、カメラおよび/またはカメラのレンズにダートが高く蓄積しやすい場所に配置または取り付けられ、カメラおよび/またはレンズを簡単に掃除する容易な方法がない。そのようなカメラのレンズ上のダートまたは湿気の蓄積を減らすために、先行技術の開発者は、レンズに親水性または疎水性コーティングを使用することを提案している。しかしながら、レンズ上でのそのような親水性または疎水性コーティングの使用は、特に密閉されたハウジング内のレンズを横切る空気の流れがないため、通常効果的ではない。また、加熱装置または素子を使用して、密閉されたハウジング内のレンズの湿気を減らすことも提案されている。しかしながら、このような用途での加熱されたレンズの使用は、レンズの結露や曇りを軽減しながらも、湿気や水に存在し得る汚染物によりレンズ上のフィルムの形成を促進することがあり得る。また、車両の後方部分でのそのようなカメラの外観は、車両のスタイリングにとってしばしば問題となる。
【0009】
消費者の嗜好と、少なくとも画像から重要な(例えば、子供の位置)情報を抽出するための認識改善された性能に基づき、通常の人間の視覚によって認識される外部光景を表す画像を運転者に提示することが望まれている。また、車両のイメージング装置またはシステムがすべての条件、特にすべての天候および照明条件で有用であることが望ましい。しかしながら、特に運転中に、悪天候で鮮明な画像を提供できる撮像センサを提供することはしばしば困難である。これは、カメラの対物レンズが蓄積したゴミ(たとえば、蓄積したダート、ほこり、泥、道路の塩、またはその他の蓄積したゴミ)によって部分的に遮られている場合、従来の撮像システムでは通常、光景情報を解像するのが難しいことによる。
【0010】
すべての気象条件でカメラに基づく可視性システムを効果的に使用するために、カメラレンズ(または対物レンズを保護するハウジング表面)を綺麗に保つ効果的な方法があることが望ましいが、さまざまな従来技術のデバイスにおける湿気の潜在的な悪影響が残っている。悪天候時に車両を運転または操作する場合、運転者はカメラのレンズを見つけて検査するために車両を出ることは特に気が進まない。
【0011】
現代の車両では、カメラや赤外線画像センサなどの他のセンサがますます組み込まれ、運転者に追加情報を提供している。これらの検知デバイスの多くは、運転環境でよく見られるダートやゴミで汚れたり遮られたりする可能性があり、最終的には検知デバイスの効率を低下させたり、場合によっては使用不能にしたり、または望ましくない外観をもたらしたりする。したがって、これらの検知デバイスを定期的に洗浄して、遮るゴミの蓄積を低減または排除することが望ましい。しかしながら、従来のウォッシャーノズルの使用を限定する特定のセンサ洗浄用途に固有の制限がある。バックアップカメラまたはその他のセンサは、車両のブランドバッジまたはその他の外観上重要な特徴に近接する、車両の中心線上またはその近くに配置する必要がある場合があり、この美観的に重要な領域に目に見えるウォッシャーノズルを追加することは望ましくない。もう1つの制限は、センサが最大180°までまたはこれを超える非常に広い視野を持つ可能性があり、したがって従来のレンズウォッシャーノズル構成は、許容できる洗浄を提供する角度でレンズに流体を向けることができるように、センサの視野内にウォッシャーノズルを配置する方法でレンズ上に出なければならない。
【0012】
センサの視野内に配置されると、センサがモニタリングできる領域のかなりの部分を遮る可能性がある。センサ洗浄用途に影響する第3の制限は、フロントグリルやリアリフトゲートなど、一般的なウォッシャーノズルの取り付け位置よりも高いレベルの汚染が見られる車両の領域に、センサがしばしば配置される可能性があることである。これらの場所にあるウォッシャーノズルは、センサを覆い隠すのと同じ材料により詰まるリスクがより高くなる可能性がある。したがって、外部対物レンズまたは広角センサの外部表面を、好ましくは遠隔制御により洗浄するための効果的かつ視覚的に目立たないシステムおよび方法についての必要がある。
【0013】
さらに、現代の多くの用途では、形状的および寸法的な制限にて低流量で実行できる流体ノズルを必要としている。例えば、自動車のセンサおよびカメラ洗浄の用途では、望まれる仕様で性能を発揮しながら、流体ノズルの形状を制限するさまざまな要因を考慮しなければならない。流体ノズルの大部分は、小規模な操作で実行するようには設計されていない。より小規模な設計では、スプレープロファイルの不安定性、スプレーファンの崩壊、および高粘度条件での性能低下を含む、機能しない程度にまで流体ノズルの性能において低下がある。コンパクトな流体ノズルは、低流量での小規模用途で望ましい性能仕様を達成する方法を提供する。
【0014】
本出願は、2011年3月10日に提出された共有の米国仮特許出願第61/451,492号および2014年4月11日に提出された米国仮特許出願第61/978,775号;2012年3月10日に提出されたPCT出願番号PCT/US12/28828;2013年11月21日に提出された米国特許出願第14/086,746号;および米国特許第6,253,782号に関連し、それらの開示全体は、背景および実施可能性のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
したがって、本発明の目的は、限定されるものではないが、流体ノズルが形状的および寸法的な制限がある低流量で機能することが望まれる場合を含む、外部の対物レンズまたは広角センサの外面を洗浄して、蓄積されたゴミ(例えば、蓄積されたダート、ほこり、泥、道路の塩またはその他の蓄積したゴミ)を除去する効果的かつ視覚的に目立たないシステムおよび方法を提供することにより、上述の困難を克服することである。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、広範囲のスプレーおよび洗浄用途に有用な逆マッシュルーム形のマッシュルームインサート形状を有する様々な低流量流体ノズルインサートに関する。一実施形態では、本発明は、形状的および寸法的な制限にて低流量で機能することができる流体ノズルインサートに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、低流量での小規模用途の流体ノズルアセンブリで所望の性能レベルを達成する方法を提供するコンパクトな流体ノズルインサートに関する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのコンパクトな流体ノズルインサート(例えば、幅が約5.5mm以下、長さが5mm以下のもの)をその中に有する流体ノズルアセンブリに関する。1つ以上のコンパクトな流体ノズルインサートを含むノズルアセンブリは、視認性/美観上の理由からスペースが非常に限られている用途に非常に効果的であることがわかる。通常、流体ノズルインサートは、次にスプレーを生成する、流体振動を正常に生成するための最小サイズ要件によって制限されている。本発明のコンパクトな流体ノズルインサートは、(以前に知られているまたは利用可能なもの)より小さなサイズの流体動作を可能にして、低流量でスプレーファンを生成することを可能にする新規な特徴を有する。典型的な流量は、25psiで300mL/分未満である。また、高速、大きな液滴、均一な分布、高粘度操作の改善によっても特徴付けられる。
【0018】
1つの特定の例では、本発明のコンパクトな流体ノズルアセンブリは、流体源への液体連通を受け入れ、向けて、提供するように構成されたコンパクトなハウジング、および組み立てられたときにより小規模流体ノズルで発生する性能問題を軽減する特徴を組み込んだ流体ノズルインサートまたはチップを含む。これらの特徴には、スプレーの不安定性の低減と高粘度性能の改善が含まれる。
【0019】
出願人がコンパクトな流体ノズルアセンブリに見る最大の欠点または性能問題の1つは、著しい不安定性、崩壊するファン、ヨー、ロール、および高粘度性能の著しい低下があることである。この問題の主な原因は、小さい流体形状と低い流量であり、その両方とも低いレイノルズ数(Re)を生成する。低Reでは、流体振動は開始、維持がより難しく、そしてまた不安定である。典型的な(例えば、出願人自身の以前の)流体設計は、流体振動およびスプレーを可能にするより大きな相互作用領域を有する。これらの問題を解決するには、サイズと「低Re」の制限を克服する新規な特徴を備えた新しい流体構成の開発と試験を要した。本発明のコンパクトな流体ノズルアセンブリ、およびその対応する流体ノズルインサートは、自動車のセンサおよびカメラ洗浄用途などの用途において重要な高速液滴を生成する。
【0020】
本発明のコンパクトな流体ノズルアセンブリ、およびその中に配置される1つ以上の流体ノズルインサートは、噴霧分布および高粘度条件の両方で性能を改善する特定の特徴を備えて設計されている。流体ノズルインサートの相互作用領域(「IR」)は、コンパクトな流体ノズルのサイズがより小さいことから生じるスプレープロファイルに見られる望ましくないヨーとロールの量を最小限にするために重要である。出願人の以前の研究では、相互作用領域はドーム型であり(出願人の共有の米国特許第6,253,782号でさらに説明および図示されている特徴を示す
図1を参照)、一方で本発明は通常、フラットトップ相互作用領域で動作するように設計されている。フラットトップ相互作用領域は、渦が形成するより大きなコーナー領域を提供し、その結果、振動ジェットはより望ましいスプレーファンを生成する。パワーノズルの角度、またはジェット角度は、その2つのジェットが交差する場所J
Aを決定する(
図3を参照)。
【0021】
出願人は、プロトタイプの開発と試験を通じて、最適な性能構成または流体形状では、ジェット交差角(JA)が100°から150°の範囲にあり、所望のスプレーファンを実現し、発生するヨーの量を最小限に抑えることを見出した。また、出願人の以前の流体形状が水平の直線的な(例えば、まっすぐな横断)スロート壁を含んでおり、本発明の最近の開発作業には、凹状または湾曲状の壁セグメントがより良い性能を提供するという発見が含まれる。
【0022】
一実施形態では、本発明は、流体ノズルインサートであって、約7.5mm以下の幅(W)および約8mm以下の長さ(L)を有する流体ノズルインサート構造体;および約0.5mmから約2mmの範囲のコンパクトな湾曲状の底壁半径(WC)を有する流体振動子形状、ここでエッジブロックは、スロート幅(TW)に対してスロート幅(TW)の0から約0.8倍ほどの範囲であり得るエッジブロックの長さ(TL)を持つように規定されており、ここで相互作用領域の幅(IW)は、パワーノズルの幅(PW)の約5倍から約10倍であり、ここで相互作用領域の高さ(IH)は、パワーノズルの幅(PW)の約4倍から約8倍であり、そしてここでスロートオフセット(TO)は、相互作用領域の高さ(IH)の約0.05から約0.3倍の範囲内である、を含む流体ノズルインサートに関する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、ノズルポスト、ここでノズルポストは取り付け可能に設計されており;上げられた流体ノズルインサートレセプタクル、ここでノズルインサートレセプタクルは、その中に形成された少なくとも1つの空洞に少なくとも1つの流体ノズルインサートを受け入れるように設計されており;ならびにノズル本体、ここでノズル本体は、ノズルポストと上げられた流体ノズルインサートレセプタクルとの間に位置し、そしてそれら両方を接続する、を備えた流体ノズルアセンブリ、ここで流体ノズルインサートは、約7.5mm以下の幅(W)および約8mm以下の長さ(L)を有する流体ノズルインサート構造体;および約0.5mmから約2mmの範囲のコンパクトな湾曲状の底壁半径(WC)を有する流体振動子形状を含み、ここでエッジブロックは、スロート幅(TW)に対してスロート幅(TW)の0から約0.8倍ほどの範囲であり得るエッジブロックの長さ(TL)を有するように規定されており、ここで相互作用領域の幅(IW)は、パワーノズルの幅(PW)の約5から約10倍であり、ここで相互作用領域の高さ(IH)は、パワーノズルの幅(PW)の約4から約8倍であり、そしてここでスロートオフセット(TO)は、相互作用領域(IH)の高さの約0.05から約0.3倍の範囲内である、を備えた流体ノズルアセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、従来技術の流体ノズルインサートの断面図である。
【0025】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による流体ノズルインサート設計の断面図である。
【0026】
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態による流体ノズルインサート設計の断面図である。
【0027】
【
図4】
図4は、本発明による流体ノズルインサートの断面斜視図である。
【0028】
【
図5】
図5は、本発明による流体ノズルインサートの側面断面図である。
【0029】
【
図6】
図6は、
図2から
図5の実施形態による少なくとも1つの流体ノズルインサートを組み込んだ流体ノズルアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【0030】
【
図7】
図7は、
図2から
図5の実施形態による1つの流体ノズルインサートを組み込んだ流体ノズルアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、広範囲のスプレーおよび洗浄用途に有用な逆マッシュルーム形のマッシュルームインサート形状を有する様々な低流量流体ノズルインサートに関する。一実施形態では、本発明は、形状的および寸法的な制限にて低流量で機能することができる流体ノズルインサートに関する。さらに別の実施形態では、本発明は、低流量での小規模用途の流体ノズルアセンブリで所望の性能レベルを達成する方法を提供するコンパクトな流体ノズルインサートに関する。
【0032】
本明細書で使用される場合、近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく変化する可能性のある任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」や「実質的に」などの用語によって修正された値は、場合によっては特定された正確な値に限定されないことがあり得る。
【0033】
ここで
図2から
図5を参照すると、一例では7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、またはさらに5mmより小さい幅を有するコンパクトな流体ノズルインサート100が示されている。一実施形態では、本発明の流体ノズルインサートは、約5.15mmの幅を有する。すべての例において、本発明の流体ノズルインサートは、視認性/美観上の理由により非常に限られたスペースでの用途に対して非常に効果的であることが見出されている。上記のように、流体ノズルインサートとそれに対応する流体ノズルアセンブリ(
図6および7を参照、ここで流体ノズルアセンブリが一実施形態では幅8mm、長さ8mmである)は通常、次にスプレーを生成する流体振動を正常に生成するための最小サイズ要件によって制限される。本発明のコンパクトなノズルは、低流量でスプレーファンを生成するため(従来知られているまたは利用可能なものよりも)より小さなサイズのノズルで流体動作を可能にする新しい構造方向性を有する。典型的な流量は25psiで約300mL/分未満であり、スプレーファンは約20°から約60°の角度を有する。本発明の流体ノズルはまた、高速、大きな液滴、均一な分布、および改善された高粘度動作によって特徴付けられる。この結果は、流体ノズルインセット200に関して以下で説明する独特の特徴と設計要素による。
【0034】
本発明のコンパクトな流体ノズルアセンブリ(
図6および7を参照)は、流体源への流体連通を受け入れ、向けて、そして提供するように構成されたコンパクトなハウジング、および組み立てると、より小規模の流体ノズルで生じる性能問題を軽減する特徴が組み込まれている流体ノズルインサートまたはチップを含む。これらの特徴には、スプレーの不安定性の低減および高粘度性能の改善が含まれる。
【0035】
出願人がコンパクトな流体ノズルアセンブリで見る最大の欠点または性能問題の1つは、著しい不安定性、崩壊するファン、ヨー、ロール、および高粘度性能での著しい低下が存在することである。この問題の主な原因は、小さい流体形状と低い流量であり、両方とも低いレイノルズ数(Re)を生成する。低Reでは、流体振動は開始、維持が難しく、不安定でもある。典型的な(例えば、出願人自身の以前の)流体設計は、流体振動とスプレーを可能にするより大きな相互作用領域を有している。これらの問題を解決するには、サイズと「低Re」の制限を克服する新しい特徴を備えた新しい流体構成の開発と試験を必要とした。本発明のコンパクトな流体ノズルアセンブリ、およびその対応する流体ノズルインサート200は、高速の液滴を生成し、これは自動車のセンサやカメラ洗浄用途などの用途で重要である。
【0036】
本発明のコンパクトな流体ノズルインサートは、噴霧分布および高粘度条件の両方で性能を改善する特定の特徴を備えて設計されている。流体ノズルインサートの相互作用領域(「I
R」、
図2を参照)は、コンパクトな流体ノズルアセンブリのより小さなサイズから生じるスプレープロファイルに見られる、望まれないヨーおよびロールの量を最小限に抑えるために重要である。出願人の以前の制作では、相互作用領域はドーム型であり(出願人の共同所有の米国特許第6,253,782号でさらに説明および図示されている特徴を示す、
図1を参照)、一方で本発明は典型的には、フラットトップ相互作用領域で動作するように設計されている(例えば、
図2から4を参照)。
【0037】
本発明の流体振動子は、振動誘発チャンバ、少なくとも1つの圧力下流体源、少なくとも一対の流体ジェットを振動チャンバに発射するための少なくとも1つの圧力下流体源に接続された少なくとも一対のパワーノズル(PN1、PN2)、および脈動または振動流体ジェットを利用点または周囲に放出するための振動チャンバからの少なくとも1つの出口オリフィスを有する流体ノズルインサートまたはチップ部材200の内部に規定される、またはそれを含む。共通の流体マニホールドは、パワーノズルPN1、PN2に接続されている。パワーノズルマニホールドの形状は、「フラットトップ」相互作用または振動チャンバを画定する壁の1つを形成する。いくつかの流体回路では、既存のハウジングに合うように長さを調整できる。パワーノズルは、所望の方向に応じて、左または右への液体スプレーファンの角度でヨー角を生成するオフセットを有することができる。いくつかの実施形態では、流出スロートは、スプレーの左方向または右方向のヨー角を動かすために左または右にわずかに軸から外れて(中央のスプレー軸と同軸の対称の中心軸から外れて)いる。出口スロートは、望まれることに応じて、左または右に所定の角度のヨー角を生成するよう、縦軸に沿ってわずかにオフセットされてもよい。したがって、ほとんどの用途に適した上記の技術の組み合わせを使用して、ヨーの回路を構築できる。
【0038】
フラットトップ相互作用領域は、渦が形成するより大きなコーナー領域を提供し、その結果、出口オリフィスから放出する振動ジェットがより望ましいスプレーファンを生成する。パワーノズル角度、またはジェット角度は、2つのジェットが交差する場所J
Aを決定する(
図3を参照)。所望のスプレーファンを実現し、発生するヨーの量を最小限に抑えるためジェットの交差角J
Aが約100°から約150°の範囲にあることが重要であることを出願人は見出している。従来の流体形状が水平スロート壁を含んでいたところでは、本発明の最近の開発活動において、再設計された(現在は凹状または湾曲状の)壁セグメント、W
Cと表記、が最適に機能する(
図2から4などを参照)という発見が含まれる。湾曲状の壁(W
C)セグメントの半径は、約0.5から約2mmの範囲にすることができる。湾曲状の壁はT
Oによって規定され、スロートオフセットは本発明に組み込まれた新しい特徴である。スロートオフセットは、流体の粘度を決定する暖かい状態と冷たい状態の両方で、本発明による1つ以上の流体ノズルインサートまたはチップ部材を使用するコンパクトな流体ノズルの動作を改善する上で重要な役割を果たす。湾曲状の壁がないと、スプレーの分布が不安定になり、著しいロールが存在することになる。高粘度状態では、不安定性、ヨー、およびロールの問題が拡大する。伸長したスロート、T
Lと表記の、大きなエッジブロックは、特に高粘度条件下で、スプレープロファイルを安定させ、発生するロールの量を減らすことにおいて重要である。エッジブロックの理想的な範囲は、スロートの幅の0パーセントから約80パーセントであることが判明した。エッジブロックはまた、角度γで規定され、約10°から約30°の範囲とすることができる(たとえば、
図3を参照)。伸長したスロートは、流れる流体により多くの時間を与えて振動させ、所望のスプレー分布を生成し、最小限のヨーとロールが、低流量および高粘度条件での性能向上をもたらす。
【0039】
この新しい流体形状が、コンパクトな構成、ここで「コンパクト」とは、約5.00mm以下の幅W(但し、一部の実施形態では以下に示すように幅を大きくすることが可能)および約5.50mm以下の長さL(但し、一部の実施形態では以下に示すように長さを長くすることが可能)を有することを意味する、を有する驚くべき特徴の組み合わせにより向上した性能をもたらすことを当業者であれば認めるであろう。コンパクトな湾曲状の底壁半径(WC)は、約0.5mm以上の理想的な範囲が実験的にわかっている。エッジブロックの長さ(TL)は、スロート幅(TW)に対して、スロート幅の0.0から約0.8倍ほどの範囲にすることができる。相互作用領域の幅(IW)は、理想的にはパワーノズル幅(PW)の約5倍から約10倍である。イヤーの幅は、好ましくは、最小でパワーノズルの幅の3倍であり、最大で相互作用領域(IW)である。相互作用領域の高さ(相互作用の高さ-IH)は、理想的にはパワーノズル幅(PW)の約4倍から約8倍であり、そしてスロートオフセットTOは、好ましくはIHの約0.05から約0.3倍の範囲内である。
【0040】
図1を個別に参照すると、
図1は、1つの従来技術の流体ノズルインサート10の断面図を示している。流体ノズルインサート10は、複数のパワーノズル14および16(それぞれPN1’およびPN2’とさらに表示)を有する相互作用チャンバ12(IC)を含む。そのような流体ノズルインサート10が利用される流体ノズルアセンブリチャンバ内の流れは、本質的に不安定な4渦システム(米国特許第6,253,782号を参照)を作り出す。これにより、米国特許第6,253,782号に示されているように、流出または出口の開口部で広範囲ジェットが生じる。加えて、
図1の実施形態は、内部通路とともに使用される単一の供給マニホールド18(SFM)を使用する。
【0041】
図1に示される実施形態は、出口20(EX7’)から概ね離れて向かうように方向が逆にされているが、さらに相互作用チャンバ12内で衝突してアウトプットジェットに振動を生成する複数のインプットパワーノズル14および16(PN1’およびPN2’)を有する。
図1において、2つのパワーノズル14および16(PN1’およびPN2’)はジェット22および24(それぞれJ1’およびJ2’とさらに表記)を発し、これらはドーム形状のチャンバ、および振動流を生成するのに必要な条件で流出/出口20(EX7’)に向かって流れを誘導するために加えられているデフレクタ26および28(それぞれD1’およびD2’とさらに表記)に向かって配置および方向付けまたは角度付けされている。
【0042】
図2から5を参照すると、以下の用語が使用されている:I
w=(4.0から8.0)・P
w(トータル)(相互作用幅);I
H=(5.0から10.0)・P
w(トータル)(相互作用高さ);γはエッジブロック角度を表す;J
Aはジェット角度を表す;T
L=(0.0から0.8)・T
w(エッジブロックの長さ);T
O=(0.05から0.3)・I
H(スロートオフセット);Lは回路の長さを表す;Wは回路の幅を表す;P
Wはパワーノズルの幅を表す;T
Wはスロート幅を表す;I
Rは相互作用領域(相互作用チャンバーとも称する)を表す;そしてW
Cは湾曲状の壁を表す。さまざまな実施形態において、本発明の流体ノズルインサートは、約10.5mm、約10mm、約9.5mm、約9mm、約8.5mm、またはさらには約8mm以下の幅(W)、および約10.5mm、約10mm、約9.5mm、約9mm、約8.5mm、またはさらには約8mm以下の長さ(L)を有するコンパクトな流体ノズルアセンブリを形成するために使用される。一実施形態では、本発明の流体ノズルインサートまたはチップ部材は、約7.5mm、約7mm、約6.5mm、約6mm、約5.5mm、またはさらに約5mm以下の幅(W)、および約8mm、約7.5mm、約7mm、約6.5mm、約6mm、またはさらに約5.5以下の長さ(L)を有する。形状的関係のいずれか1つのセットに限定されることを望むものではないが、一般的に言えば、流体ノズルアセンブリ(例えば、
図6および
図7の流体ノズルアセンブリ604)の幅は、本発明の流体ノズルインサート200の幅よりも約3mm大きい。
【0043】
図2を参照すると、
図2は、本発明による流体ノズルインサートまたはチップ部材200の一実施形態の断面図を示す。流体ノズルインサート200は、複数のパワーノズル204および206(それぞれPN1およびPN2とさらに表記)を有する相互作用チャンバ202(相互作用領域とも称され、I
Rと表記)を含む。
図2に示される実施形態は、出口208(EX)から概ね離れるように方向が逆にされているが、相互作用チャンバ202内で衝突してアウトプットジェットに振動を生成する、複数のインプットパワーノズル204および206(PN1およびPN2)をさらに含む。
図2において、2つのパワーノズル204および206(PN1およびPN2)はジェット210と212(それぞれさらにJ1およびJ2と表記)を発し、これらは、チャンバのドーム形状、および振動流を生成するのに必要な条件で流出/出口208(EX)に向かって流れを誘導するために加えられているデフレクタ214および216(それぞれさらにD1およびD2と表記)に向かって配置および方向付けまたは角度付けられている。さらに
図1の実施形態は、内部通路とともに使用される単一の供給マニホールド18(SFM)を使用する。さらに
図2の実施形態は、内部通路とともに使用される単一の供給マニホールド218(SFM)を使用する。
【0044】
再び、
図2の流体ノズルインサート200は、
図2の様々な測定項目を使用して、流体ノズル200の幅(W)および/または長さ(L)によって決定される以下の関係を有する:I
w=(4.0から8.0)・P
w(トータル)(相互作用の幅);I
H=(5.0から10.0)・P
w(トータル)(相互作用の高さ);γはエッジブロック角度を表す;J
Aはジェット角度を表す;T
L=(0.0から0.8)・T
w(エッジブロックの長さ);T
O=(0.05から0.3)・I
H(スロートオフセット);Lは回路の長さを表す;Wは回路の幅を表す;P
Wはパワーノズルの幅を表す;T
Wはスロート幅を表す;I
Rは相互作用領域を表す;およびW
Cは湾曲状の壁を表す。さまざまな実施形態において、本発明の流体ノズルインサートは、約7.5mm、約7mm、約6.5mm、約6mm、約5.5mm、またはさらに約5mm以下の幅(W)、および約8mm、約7.5mm、約7mm、約6.5mm、約6mm、またはさらに約5.5以下の長さ(L)を有するコンパクトなノズルインサートである。
【0045】
図3を参照すると、
図3は、本発明による流体ノズルインサート200の一実施形態の断面図を示し、ここでパワーノズル角度、またはジェット角度250(J
A)は、2つのジェット210と212(J1とJ2)が交差する場所を決定する。出願人は、所望のスプレーファンを達成し、発生するヨーの量を最小限に抑えるために、ジェット交差角250(JA)が約100°から約150°の範囲にあることが重要であることを見出した。さらに
図3はγを示し、γはエッジブロック角度252を表す。
【0046】
図4および5を参照すると、
図4は、本発明による流体ノズルインサート200の断面斜視図であり、一方
図5は、本発明による流体ノズルインサート200の側面断面図である。
【0047】
図6を参照すると、
図6は、
図2から
図5の実施形態による少なくとも1つの流体ノズルインサートまたはチップ部材200を組み込んだ流体ノズルハウジングアセンブリ600の一実施形態の斜視図である。流体ノズルハウジングアセンブリ600は、流体ノズルハウジングアセンブリを車両または他の何らかの物体に取り付けるためのポスト602、
図2から
図4のいずれかによる少なくとも1つの流体ノズルインサート200を受け入れるように設計された少なくとも1つの流体ノズルインサート開口部608(
図7参照)を備えた少なくとも1つの流体ノズルインサートレセプタクル606を有する上げられた流体ノズルアセンブリ604、およびポスト602を上げられた流体ノズルレセプタクル604に接続する流体ノズルハウジングアセンブリ本体610を有する。602ポストとともに、上げられた流体ノズルアセンブリ604およびノズルハウジングアセンブリ本体610は、いくつかの場合またはすべての場合において、少なくとも1次元、少なくとも2次元、または3次元すべてでの上げられた流体ノズルアセンブリ604の移動を促進することができる。別の実施形態では、ポスト602、上げられた流体ノズルアセンブリ604およびノズルハウジングアセンブリ本体610は、いくつかの場合またはすべての場合において、少なくとも1次元、少なくとも2次元、またはさらには3次元すべてにおいて、ノズルハウジングアセンブリ600のすべての移動を促進することができる。別の実施形態では、前記1つ以上の追加のデバイス(図示せず)が、流体ノズルインサート200を有する流体ノズルアセンブリ604がその情報収集レンズを洗浄できるような方式で配向されるように、ノズルハウジングアセンブリ600のハウジング本体610を使用して、カメラやその他のタイプのセンサ(視覚的またはその他による)などの1つ以上の追加のデバイスを固定することができる。
【0048】
図7を参照すると、
図7は、
図2から
図5の実施形態による1つの流体ノズルインサート200を逆向きに組み込んだノズルハウジングアセンブリ600の一実施形態の斜視図である。
【0049】
新しいコンパクトなノズルアセンブリ、流体インサート形状、および改善された方法の好ましい実施形態を説明したが、本明細書に記載された教示を考慮して、他の修正、変形および変更が当業者に示唆されると考えられる。したがって、そのような変形、修正、および変更はすべて、本発明の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0050】
本明細書に詳述される特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、他の実施形態は、同じまたは類似の結果を達成することができる。本発明の変形および修正は当業者には明らかであり、本発明はそのようなすべての修正および均等物を網羅することが意図されている。