IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社シイエム・シイの特許一覧

特許7256138電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラム
<>
  • 特許-電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラム 図1
  • 特許-電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラム 図2
  • 特許-電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230404BHJP
   E05B 19/00 20060101ALI20230404BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230404BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B19/00 J
E05B19/00 G
B60R25/24
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020014479
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021120530
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399007408
【氏名又は名称】株式会社シイエム・シイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】高田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】矢島 哲
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-215001(JP,A)
【文献】特開2011-247076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00-49/04
E05B 19/00
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
ハードウェアを有するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサが、
自装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、
自装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、
自装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にし、
前記所定状態は、前記車両の操作と関係のないアプリケーションプログラムが起動されている状態を含む、
電子キー装置。
【請求項2】
前記所定状態は、前記自装置が充電器に接続されている状態を含む、請求項1に記載の電子キー装置。
【請求項3】
前記アプリケーションプログラムは、睡眠及び/又は料理に関するアプリケーションプログラムである、請求項1又は2に記載の電子キー装置。
【請求項4】
前記所定状態は、前記自装置が前記車両の内部に位置する状態を含む、請求項1~のうち、いずれか1項に記載の電子キー装置。
【請求項5】
前記所定状態は、前記自装置が予め指定された領域内に位置する状態を含む、請求項1~のうち、いずれか1項に記載の電子キー装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記機能を実行可能か否かを示す情報を出力する、請求項1~のうち、いずれか1項に記載の電子キー装置。
【請求項7】
車両と、
通信部及びハードウェアを有するプロセッサを備える電子キー装置と、を備え、
前記プロセッサが、
電子キー装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、
電子キー装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、
電子キー装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にし、
前記所定状態は、前記車両の操作と関係のないアプリケーションプログラムが起動されている状態を含む、
電子キーシステム。
【請求項8】
前記所定状態は、前記電子キー装置が充電器に接続されている状態を含む、請求項に記載の電子キーシステム。
【請求項9】
前記アプリケーションプログラムは、睡眠及び/又は料理に関するアプリケーションプログラムである、請求項7又は8に記載の電子キーシステム。
【請求項10】
前記所定状態は、前記電子キー装置が前記車両の内部に位置する状態を含む、請求項のうち、いずれか1項に記載の電子キーシステム。
【請求項11】
前記所定状態は、前記電子キー装置が予め指定された領域内に位置する状態を含む、請求項10のうち、いずれか1項に記載の電子キーシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記機能を実行可能か否かを示す情報を出力する、請求項11のうち、いずれか1項に記載の電子キーシステム。
【請求項13】
ハードウェアを有するプロセッサに対して、
電子キー装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、
電子キー装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、
電子キー装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にすることを実行させ、
前記所定状態は、前記車両の操作と関係のないアプリケーションプログラムが起動されている状態を含む、
電子キー制御プログラム。
【請求項14】
前記所定状態は、前記電子キー装置が充電器に接続されている状態を含む、請求項13に記載の電子キー制御プログラム。
【請求項15】
前記アプリケーションプログラムは、睡眠及び/又は料理に関するアプリケーションプログラムである、請求項13又は14に記載の電子キー制御プログラム。
【請求項16】
前記所定状態は、前記電子キー装置が前記車両の内部に位置する状態を含む、請求項1315のうち、いずれか1項に記載の電子キー制御プログラム。
【請求項17】
前記所定状態は、前記電子キー装置が予め指定された領域内に位置する状態を含む、請求項1316のうち、いずれか1項に記載の電子キー制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子キーが、少なくとも3軸方向の磁気を検出する磁気センサを備え、磁気センサの検出結果に基づいて電子キーが定置状態にあると判断された場合、車載器との間で無線通信を行わないようにするスマートエントリシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-037795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートエントリシステムにおいて不正行為であるリレーアタックに対する対策が望まれている。また近年、ユーザの携帯端末装置を電子キーとして機能させることが検討されているが、電子キーと同様にリレーアタックに対する対策が望まれている。なお、本明細書中において、リレーアタックとは、車両及び電子キーの近くにそれぞれ電波中継器を設け、車両と電子キーとの間で電波を中継し、遠くにある電子キーを車両に認証させることによって車両のドアを不正に解錠する不正行為のことを意味する。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、リレーアタックに対するセキュリティ性を向上させた電子キー装置、電子キーシステム、及び電子キー制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電子キー装置は、通信部と、ハードウェアを有するプロセッサと、を備え、前記プロセッサが、自装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、自装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、自装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にする。
【0007】
本開示に係る電子キーシステムは、車両と、通信部及びハードウェアを有するプロセッサを備える電子キー装置と、を備え、前記プロセッサが、電子キー装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、電子キー装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、電子キー装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にする。
【0008】
本開示に係る電子キー制御プログラムは、ハードウェアを有するプロセッサに対して、電子キー装置の状態が、定置状態及び車両から所定距離以上離れている状態を除く所定状態にあるか否かを判別し、電子キー装置の状態が前記所定状態にある場合、通信部を介して前記車両との間で情報通信することにより前記車両を施解錠する機能の実行を無効にし、電子キー装置の状態が前記所定状態にない場合には、前記機能の実行を有効にすることを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リレーアタックに対するセキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の一実施形態である停止処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、本開示の一実施形態である設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステムについて詳細に説明する。
【0012】
〔構成〕
まず、図1を参照して、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステムの構成について説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステム1は、携帯端末装置2及び車両3を備え、携帯端末装置2と車両3とはインターネット回線網や携帯電話回線網等の電気通信回線4を介して相互に情報通信可能なように構成されている。
【0014】
携帯端末装置2は、本開示に係る電子キー装置として機能する。携帯端末装置2は、スマートフォンやスマートキー等の車両3と情報通信可能な装置によって構成されており、車両3に乗車するユーザによって所有されている。本実施形態では、携帯端末装置2は、移動体通信制御部21、近距離通信制御部22、充電制御部23、位置情報検出部24、磁気センサ25、インジケータ26、記憶部27、及び制御部28を備えている。
【0015】
移動体通信制御部21は、電気通信回線4を介した情報通信のための通信回路によって構成され、電気通信回線4を介した車両3やサーバ装置との間の情報通信を制御する。具体的には、移動体通信制御部21は、送信対象の信号を電気通信回線4の周波数帯に変調して送信すると共に、電気通信回線4の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。
【0016】
近距離通信制御部22は、NFC(Near Field radio Communication)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、IrDA(Infrared Data Association)等の規格に準拠した情報通信機能を有する電子回路によって構成され、車両3との間の近距離無線通信を制御する。具体的には、近距離通信制御部22は、送信対象の信号を変調して車両3に送信すると共に、車両3から信号を受信するとこれを復調する。
【0017】
充電制御部23は、携帯端末装置2が備えるバッテリ等の二次電池の外部電源による充電動作を制御する装置である。
【0018】
位置情報検出部24は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することにより携帯端末装置2の位置情報を検出する装置によって構成されており、検出した携帯端末装置2の位置情報を示す電気信号を制御部28に出力する。
【0019】
磁気センサ25は、例えば地磁気の方向を3軸方向で検出可能な磁気センサによって構成されており、検出した地磁気の方向を示す電気信号を制御部28に出力する。磁気センサ25を用いることにより例えば携帯端末装置2が定置状態にあるか否かを判別することができる。
【0020】
インジケータ26は、制御部28からの制御信号に従って点灯・点滅等することにより、スマートキー機能の動作状態をユーザに提示する。これにより、ユーザは、スマートキー機能の動作状態を常時確認することができる。ここで、“スマートキー機能”とは、携帯端末装置2と車両3との間で近距離無線通信を行うことにより、車両3のドアの開錠(アンロック)及び施錠(ロック)を行う機能のことを意味する。スマートキー機能には、携帯端末装置2を所持するユーザが車両3に近づいた際に、車両3側が情報通信を通じて携帯端末装置2の認証を行い、ユーザが車両3のドアノブ等に触れることにより、ドアの開錠等を行うスマートエントリ機能と、携帯端末装置2が備えるスイッチをユーザが操作することにより、ドアの開錠等を行うリモートキーレスエントリ機能とが含まれる。また、以下の説明では、近距離無線通信による車両3のドアの開錠を許可するために、スマートキー機能をオンにすることを“スマートキー機能を設定(復帰)”と表現し、近距離無線通信による車両3のドアの開錠を禁止するために、スマートキー機能をオフにすることを“スマートキー機能を停止(解除)”と表現する。
【0021】
記憶部27は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、及びリムーバブルメディア等の記録媒体から構成されている。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体を例示できる。記憶部27には、携帯端末装置2の動作に必要な各種コンピュータプログラム及び各種制御データが記憶されている。本実施形態では、記憶部27には、コンピュータプログラムである制御プログラム27a及び各種アプリケーションプログラム27bと、スマートキー機能に用いられるキー情報27cと、が記憶されている。
【0022】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM等からなる主記憶部と、を備えている。制御部28は、記憶部27に格納されているコンピュータプログラムを主記憶部の作業領域にロードし、コンピュータプログラムを実行することにより携帯端末装置2の各部を制御する。本実施形態では、制御部28は、記憶部27に格納されている制御プログラム27aを主記憶部の作業領域にロードし、制御プログラム27aを実行することにより状態判定部28a及びスマートキー制御部28bとして機能する。状態判定部28a及びスマートキー制御部28bの機能については後述する。
【0023】
車両3は、EV(Electric Vehicle),HV(Hybrid Vehicle),FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等の周知の車両により構成され、移動体通信制御部31、近距離通信制御部32、位置情報検出部33、ECU(Electric Control Unit)34、及び車両制御部35を備えている。
【0024】
移動体通信制御部31は、電気通信回線4を介した情報通信のための通信回路によって構成され、電気通信回線4を介した携帯端末装置2やサーバ装置との間の情報通信を制御する。具体的には、移動体通信制御部31は、送信対象の信号を電気通信回線4の周波数帯に変調して送信すると共に、電気通信回線4の周波数帯の信号を受信するとこれを復調する。車両3が移動体通信制御部31を備えることにより、電気通信回線4を介した携帯端末装置2やサーバ装置からのリモート操作により車両3のエンジンの始動を禁止するリモートイモビライザ機能を実現することができる。
【0025】
近距離通信制御部32は、NFC、BLE、IrDA等の規格に準拠した情報通信機能を有する電子回路によって構成され、携帯端末装置2との間の近距離無線通信を制御する。具体的には、近距離通信制御部32は、送信対象の信号を変調して携帯端末装置2に送信すると共に、携帯端末装置2から信号を受信するとこれを復調する。
【0026】
位置情報検出部33は、GPS衛星からの電波を受信することにより車両3の位置情報を検出する装置によって構成されており、検出した車両3の位置情報を示す電気信号をECU34に出力する。なお、車両3の位置情報を検出する方法として、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法を採用することもできる。
【0027】
ECU34は、CPU、DSP、FPGA等からなるプロセッサと、RAM、ROM等からなる記憶部34aと、を備えている。ECU34は、記憶部34aに格納されているコンピュータプログラムを実行することにより、車両3に搭載されている各種構成要素の動作を統括的に制御する。本実施形態では、ECU34は、携帯端末装置2から送信されたキー情報27cと記憶部34aに格納されているキー情報とを照合することにより携帯端末装置2を認証し、携帯端末装置2が認証された場合、車両制御部35を制御することにより車両3のドアを開錠又は施錠する。
【0028】
車両制御部35は、ECU34からの制御信号に従って車両3に搭載されている各種構成要素の動作を制御する。本実施形態では、車両制御部35は、ECU34からの制御信号に従って車両3のドアの施解錠を制御する。
【0029】
このような構成を有するスマートエントリシステム1では、携帯端末装置2が、以下に示す停止処理及び設定処理を実行することにより、リレーアタックに対するセキュリティ性を向上させる。以下、図2図3を参照して、停止処理及び設定処理を実行する際の携帯端末装置2の動作について説明する。
【0030】
〔停止処理〕
図2は、本開示の一実施形態である停止処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、スマートキー機能が設定されているか否かを示すスマートキー機能設定フラグの状態がスマートキー機能が設定されていることを示すオン状態にあるときに開始となり、停止処理はステップS1の処理に進む。この停止処理は、スマートキー機能設定フラグの状態がオン状態である間、前回の停止処理が終了してから所定時間が経過する度毎に繰り返し実行される。
【0031】
ステップS1の処理では、状態判定部28aが、充電制御部23の状態を検出することにより携帯端末装置2に充電器が接続されているか否かを判別する。判別の結果、携帯端末装置2に充電器が接続されている場合(ステップS1:Yes)、状態判定部28aは、携帯端末装置2は充電状態にあると判断し、停止処理をステップS3の処理に進める。一方、携帯端末装置2に充電器が接続されていない場合には(ステップS1:No)、状態判定部28aは、携帯端末装置2は充電状態にないと判断し、停止処理をステップS2の処理に進める。
【0032】
ステップS2の処理では、状態判定部28aが、記憶部27に記憶されているアプリケーションプログラム27bのうち、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されているか否かを判別する。車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されているか否かは、例えば予め各アプリケーションプログラムの種別を示したテーブルを作成しておき、状態判定部28aが、テーブルを参照して制御部28の主記憶部の作業領域にロードされているアプリケーションプログラムの種別が車両3の操作と関係するものであるか否かを判定することにより判別できる。車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムとしては、睡眠及び/又は料理に関するアプリケーションプログラムを例示することができる。
【0033】
判別の結果、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されている場合(ステップS2:Yes)、状態判定部28aは、停止処理をステップS3の処理に進める。一方、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されていない場合には(ステップS2:No)、状態判定部28aは、一連の停止処理を終了する。
【0034】
ステップS3の処理では、スマートキー制御部28bが、スマートキー機能の実行を無効にするようにスマートキー機能を停止する。これにより、ステップS3の処理は完了し、停止処理はステップS4の処理に進む。
【0035】
ステップS4の処理では、スマートキー制御部28bが、スマートキー機能設定フラグの状態をスマートキー機能が停止されていることを示すオフ状態に設定する。そして、スマートキー制御部28bは、インジケータ26の状態をスマートキー機能が停止されていることを示す状態に設定する。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の停止処理は終了する。
【0036】
〔設定処理〕
図3は、本開示の一実施形態である設定処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、スマートキー機能設定フラグの状態がオフ状態にあるときに開始となり、設定処理はステップS1の処理に進む。この停止処理は、スマートキー機能設定フラグの状態がオフ状態である間、前回の設定処理が終了してから所定時間が経過する度毎に繰り返し実行される。
【0037】
ステップS11の処理では、状態判定部28aが、充電制御部23の状態を検出することにより携帯端末装置2に充電器が接続されているか否かを判別する。判別の結果、携帯端末装置2に充電器が接続されている場合(ステップS11:Yes)、状態判定部28aは、携帯端末装置2は充電状態にあると判断し、一連の設定処理を終了する。一方、携帯端末装置2に充電器が接続されていない場合には(ステップS11:No)、状態判定部28aは、携帯端末装置2は充電状態にないと判断し、設定処理をステップS12の処理に進める。
【0038】
ステップS12の処理では、状態判定部28aが、記憶部27に記憶されているアプリケーションプログラム27bのうち、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されているか否かを判別する。判別の結果、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されている場合(ステップS12:Yes)、状態判定部28aは、一連の設定処理を終了する。一方、車両3の操作と関係のない所定のアプリケーションプログラムが起動されていない場合には(ステップS12:No)、状態判定部28aは、設定処理をステップS13の処理に進める。
【0039】
ステップS13の処理では、スマートキー制御部28bが、スマートキー機能の実行を有効にするようにスマートキー機能を設定する。これにより、ステップS13の処理は完了し、設定処理はステップS14の処理に進む。
【0040】
ステップS14の処理では、スマートキー制御部28bが、スマートキー機能設定フラグの状態をオン状態に設定する。そして、スマートキー制御部28bは、インジケータ26の状態をスマートキー機能が設定されていることを示す状態に設定する。これにより、ステップS14の処理は完了し、一連の設定処理は終了する。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本開示の一実施形態であるスマートエントリシステム1では、制御部28が、携帯端末装置2の状態が、定置状態及び車両3から所定距離以上離れている状態を除く、近距離通信制御部22を介して車両3との間で情報通信することにより車両3を施解錠するスマートキー機能を必要としない所定状態にあるか否かを判別し、携帯端末装置2の状態が所定状態にある場合、スマートキー機能の実行を無効にし、携帯端末装置2の状態が所定状態にない場合には、スマートキー機能の実行を有効にする。これにより、リレーアタックに対するセキュリティ性を向上させることができる。但し、“定置状態を除く”とは、“定置状態にあるか否かの判別をすることなく”という意味ではない。また、携帯端末装置2の状態が定置状態、且つ、充電状態である場合にスマートキー機能の実行を無効にする等の実施形態も可能である。
【0042】
なお、所定状態としては、上述したような、携帯端末装置2の充電状態や車両3の操作と関係のないアプリケーションプログラムが起動されている状態のほかに、携帯端末装置2が車両3の内部や予め指定された自宅等の領域内に位置する状態を例示できる。携帯端末装置2が車両3の内部に位置するか否かは、位置情報検出部24によって検出された携帯端末装置2の位置情報と位置情報検出部33によって検出された車両3の位置情報とを比較することにより判別できる。携帯端末装置2が予め指定された自宅等の領域内に位置するか否かは、位置情報検出部24によって検出された携帯端末装置2の位置情報と予め指定された領域の位置情報とを比較することにより判別できる。
【0043】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表し、且つ、記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものでなない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な開示の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 スマートエントリシステム
2 携帯端末装置
3 車両
21 移動体通信制御部
22 近距離通信制御部
23 充電制御部
24 位置情報検出部
25 磁気センサ
26 インジケータ
27 記憶部
27a 制御プログラム
27b アプリケーションプログラム
27c キー情報
28 制御部
28a 状態判定部
28b スマートキー制御部
31 移動体通信制御部
32 近距離通信制御部
33 位置情報検出部
34 ECU(Electric Control Unit)
34a 記憶部
35 車両制御部
図1
図2
図3