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特許7256180合成ガス発酵中のテールガスをエタノールへとリサイクルする方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】合成ガス発酵中のテールガスをエタノールへとリサイクルする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/06 20060101AFI20230404BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230404BHJP
   C12M 1/107 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12P7/06
C12M1/00 D
C12M1/107
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020517770
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2018036801
(87)【国際公開番号】W WO2018231663
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】62/518,295
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/876,198
(32)【優先日】2018-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518403425
【氏名又は名称】ランザテク,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】ウィンター,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン,ジェロッド
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 7/06
C12M 1/00
C12M 1/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭質供給原料を合成ガス発酵産物へと転化する方法であって:
(a)適切なガス化条件下にて、炭質供給原料及び酸化剤をガス化装置に導入して、CO、H、及びCOを含む未処理合成ガスストリームを生成すること;
(b)任意選択的に、前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部を合成ガスクリーンアップユニットへと供給して、中間合成ガスストリームを生成すること;
(c)前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部及び/又は前記中間合成ガスストリームの少なくとも一部を、存在する場合には、酸性気体除去ユニットへ供給して、前記COの少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成すること;
(d)適切な発酵条件下にて、且つ適切な微生物及び栄養素の存在下にて、前記コンディショニングされた合成ガスストリームの少なくとも一部を発酵槽へと供給して、CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物及び少なくともCO及び未転化CO又はHを含むテールガスストリームへと生物学的に転化すること
(e)前記発酵槽に前記テールガスの第1の量を、R、すなわち前記第1の量と前記テールガスの体積比によって示される量でリサイクルすること;及び
(f)前記酸性気体除去ユニットに前記テールガスの第2の量を、R、すなわち前記第2の量と前記テールガスの体積比によって示される量でリサイクルすること;を含み、
+Rは0を超え;且つ
+Rは1を超えない、方法。
【請求項2】
前記炭質供給原料がバイオマスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、空気、酸素、及び蒸気の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸性気体除去ユニットがさらに、存在する場合には少なくともいくらかのHSを除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a)前記テールガスの前記第1の量が、前記発酵槽へとリサイクルされる前に圧縮される、または
(b)前記テールガスの前記第2の量が、前記酸性気体除去ユニットへとリサイクルされる前に圧縮される、または
(c)前記テールガスの前記第1の量及び前記第2の量が、前記発酵槽及び前記酸性気体除去ユニットにそれぞれリサイクルされる前に別々に圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
供給原料タイプ、酸化剤プロファイル、合成ガス産生デザイン若しくは性能、合成ガスクリーンアップデザイン若しくは性能、及び酸性気体除去デザイン若しくは性能からなる群から選択される1つ又は複数の上流パラメーターに応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
温度、圧力、滞留時間、pH、酸化還元電位、栄養素濃度、細胞生存率、及び細胞活力からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽パラメーターに応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CO転化率、H転化率、CO転化率、エタノール選択率、エタノール生産率、エタノール力価、及び酢酸選択率からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽変数に応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記発酵槽への供給物中のCO濃度を制御するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記発酵槽への前記供給物中の酸性気体モル比、すなわち(CO+H)/(CO+HS)を制御するための、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
圧縮されたテールガスリサイクルが、前記発酵槽内の圧力を増加し、それによってバイオコンバージョン用の液相により多くの合成ガスが入ることが可能となる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ガス化装置と前記酸性気体除去工程との間に配置された改質装置をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記発酵槽から前記ガス化装置へと細胞をリサイクルすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
及びRの両方が0に等しい同等の方法で得られるCOとHの総転化率よりも、COとHの総転化率が少なくとも5パーセントポイント高い、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H、及びCOを含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、前記ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)前記COの少なくともいくらかを除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、前記合成ガスクリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、前記ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、前記酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)前記発酵槽と連通されたテールガス導管;及び
(f)テールガスをリサイクルするための、テールガス導管と連通されたリサイクル導管であって、第1の量のテールガスを発酵槽へリサイクルする第1の導管と、第2の量のテールガスを酸性気体除去ユニットにリサイクルする第2の導管と、を含むリサイクル導管;
を備えた装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月12日出願の米国仮特許出願第62/518,295号、及び2018年1月21日出願の米国特許出願第15/876,198号への優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、合成ガスをエタノールなどの産物へと転化するプロセスの分野、プロセス構成、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
合成ガス(synthesis gas)(以降、合成ガス(syngas)と呼ばれる)は、水素(H)と一酸化炭素(CO)の混合物である。合成ガスは原則的に、炭素を含有する実質的にすべての材料から製造することができる。炭質材料は通常、天然ガス、石油、石炭、及び亜炭などの化石資源;並びにリグノセルロース系バイオマス及び種々の炭素豊富な廃棄物などの再生可能資源を含む。化石資源に伴う経済的、環境的及び社会的コストの上昇のために、合成ガスを生成するために再生可能資源を利用することが好ましい。
【0004】
合成ガスは、化学及びバイオリファイニング産業におけるプラットフォーム中間体であり、且つ莫大な数の用途を有する。合成ガスは、アルカン、オレフィン、含酸素化合物、及びアルコールに転化され得る。これらの化学物質は、ディーゼル燃料、ガソリン、及び他の液体燃料中にブレンドすることができ、又はディーゼル燃料、ガソリン、及び他の液体燃料として直接使用することができる。例えば、メタノール合成、混合アルコール合成、フィッシャー・トロプシュ法(Fischer-Tropsch chemistry)及びエタノールへの合成ガス発酵によって、合成ガスを液体燃料へと転化することができる。合成ガスを直接燃焼させて、熱及び力を産生することもできる。
【0005】
以下の全反応:
6CO+3HO→COH+4CO
6H+2CO→COH+3H
に従って、特定の微生物が、一酸化炭素、水素、及び二酸化炭素の組み合わせをエタノールへと発酵させ得ることは公知である。
【0006】
これらの反応による発酵には、無気的条件が用いられることが多い。生物及び反応条件(例えば、pH)に応じて、酢酸、酪酸、又はブタノールなどの様々な他の産物が生成され得る。嫌気性微生物の一部の株は、高い選択性でエタノール、n-ブタノール又は他の化学物質へと合成ガスを転化することが報告されている。
【0007】
エタノール及び酢酸などの産物への合成ガスの発酵は、かなり高い選択率を達成し得るが、物質移動の制限があり、且つ反応器の単位体積当たりの活量が低いことから、反応器が非常に大きい傾向がある。完全混合型(well-mixed)反応器における合成ガス転化は一般に制限される。
【0008】
さらに、合成ガスからエタノールが生産された結果、COが同時に生成される。このCOは、発酵槽のテールガス中に、つまり発酵槽からの蒸気ストリーム中に存在する。テールガスは一般に、いずれかの未転化合成ガス、発酵で生成されたCO、及び発酵槽への合成ガス供給物に最初に含有される不活性成分(COを含む)を含有する。テールガスは通常、未転化合成ガス中のエネルギー、並びにコンディショニングされた合成ガスストリーム中に含有される他のいずれかの可燃性成分、例えばメタン中のエネルギーを回収するために燃焼される。
【0009】
未転化合成ガスを単にリサイクルして消滅させることはできない。発酵槽中で生成された不活性成分及びCOは、プロセス全体から除去しなければならない。発酵槽下流の個々のユニットにおけるテールガスからCOを除去するのは、比較的費用がかかる。また、不活性ガス及び他の化学種(メタンなど)から未転化合成ガスを分離することは望ましくない。
【0010】
合成ガスの発酵に伴うこれらの問題を考慮して、必要なことは、エタノールなどの対象の液体生成物を生成するために、合成ガス成分がより効率的に利用される、改善されたプロセス構成である。好ましくは、かかる改善によって、プラントの総資本経費の増加は起こらない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
一部の変形形態において、本発明は、炭質供給原料を合成ガス発酵産物へと転化する方法であって:
(a)適切なガス化条件下にて、炭質供給原料及び酸化剤をガス化装置に導入して、CO、H、及びCOを含む未処理(raw)合成ガスストリームを生成すること;
(b)任意選択的に、未処理合成ガスストリームの少なくとも一部を合成ガス-クリーンアップユニットへと供給して、中間合成ガスストリームを生成すること;
(c)未処理合成ガスストリームの少なくとも一部及び/又は中間合成ガスストリームの少なくとも一部を、存在する場合には、酸性気体除去ユニットへ供給して、COの少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成すること;
(d)適切な発酵条件下にて、且つ適切な微生物及び栄養素の存在下にて、コンディショニングされた合成ガスストリームの少なくとも一部を発酵槽へと供給して、CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化すること;
(e)発酵槽の出口からテールガスを捕捉することであって、テールガスは少なくともCO及び未転化CO又はHを含むこと;
(f)R、すなわち第1の量とテールガスの体積比(ここで、Rは0~1から選択される)によって示される量で、発酵槽に第1の量のテールガスをリサイクルすること;及び
(g)R、すなわち第2の量とテールガスの体積比(ここで、Rは0~1から選択される)によって示される量で、酸性気体除去ユニットに第2の量のテールガスをリサイクルすること;を含み、
+Rは0を超え;且つ
+Rは1を超えない、方法。
【0012】
炭質供給原料は、バイオマスを含み得る、又はバイオマスから本質的になり得る。酸化剤は、空気、酸素、及び蒸気のうちの1つ又は複数を含み得る。一部の実施形態において、ガス化装置は流動床ガス化装置である。
【0013】
一部の実施形態において、方法は、合成ガスクリーンアップユニットへ未処理合成ガスストリームの少なくとも一部を供給して、中間合成ガスストリームを生成することを含む。酸性気体除去ユニットは、存在する場合には、少なくともいくらかのHSをさらに除去するように配置され得る。
【0014】
一部の実施形態において、第1の量のテールガスは、発酵槽にリサイクルされる前に圧縮される。これらの、又は他の実施形態において、第2の量のテールガスは、酸性気体除去ユニットにリサイクルされる前に圧縮される。任意選択的に、テールガスの第1の量及び第2の量は、それぞれ発酵槽及び酸性気体除去ユニットにリサイクルされる前に別々に圧縮される。
【0015】
一部の実施形態において、Rは、0~約0.5、又は0~約0.2から選択される。一部の実施形態において、Rは、0~約0.8、又は約0.2~約0.5から選択される。一部の実施形態において、R+Rの合計は、約0.001~約0.8から、例えば約0.25~約0.5から選択される。
【0016】
この方法は、供給原料タイプ、酸化剤プロファイル、合成ガス産生デザイン若しくは性能、合成ガスクリーンアップデザイン若しくは性能、及び酸性気体除去デザイン若しくは性能からなる群から選択される1つ又は複数の上流パラメーターに対応するように、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含み得る。
【0017】
この方法は、温度、圧力、滞留時間、pH、酸化還元電位、栄養素濃度、細胞生存率、及び細胞活力からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽パラメーターに対応するように、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含み得る。一部の実施形態はさらに、発酵槽からガス化装置に細胞をリサイクルすることを含む。
【0018】
この方法は、CO転化率、H転化率、CO転化率、エタノール選択率、エタノール生産率、エタノール力価、及び酢酸選択率からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽変数に対応するように、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含み得る。
【0019】
特定の実施形態において、この方法は、発酵槽への供給物中のCO含有率を制御するように、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む。例えば、発酵槽への供給物中のCO含有率は、R及び/又はRを調整することによって、CO約5~約50体積%、例えば約10~40体積%又は約20~30体積%から選択されるレベルに制御され得る。
【0020】
特定の実施形態において、この方法は、発酵槽への供給物中の酸性気体モル比、すなわち(CO+H)/(CO+HS)を制御するように、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む。例えば、発酵槽への供給物中の酸性気体モル比は、約2~約10以上、又は約10~約20から選択される値へと制御され得る。
【0021】
種々の実施形態において、テールガスは、未処理合成ガスストリーム中に含有される合成ガスを約2~約10%含有する。一部の実施形態において、テールガスリサイクルは、発酵槽内の物質移動を改善する。これらの又は他の実施形態において、圧縮テールガスのリサイクルによって発酵槽内の圧力が上昇し、それによって、バイオコンバージョンのための液相に、より多くの合成ガスが入ることが可能となる。
【0022】
ガス化装置と酸性気体除去工程の間に改質装置が配置され得る。改質装置を利用して、メタン、タール、又は他の成分を転化又は分解し、バイオコンバージョンのための更なる合成ガスが生成され得る。
【0023】
本発明の一部の実施形態において、CO及びHの総転化率は、少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%である。他の実施形態では、必ずしも合成ガス転化率を最大限にすることを試みるわけではなく、むしろ、プラントエネルギー要求に対して生成物への合成ガス転化を最適化する。
【0024】
好ましい実施形態において、CO及びHの総転化率は、R及びRがどちらも0に等しい同等な方法で達成される、CO及びHの総転化率よりも少なくとも5パーセントポイント高い。さらに好ましい実施形態において、CO及びHの総転化率は、R及びRがどちらも0に等しい同等な方法で達成される、CO及びHの総転化率よりも少なくとも10又は15パーセントポイント高い。
【0025】
これらの方法はさらに、発酵槽から合成ガス発酵産物を回収することを含み得る。一部の実施形態において、合成ガス発酵産物はエタノールである。しかしながら、本発明は、全くエタノールに限定されない。他の例示的な合成ガス発酵産物は、1-ブタノールなどのブタノールである。
【0026】
本発明の他の変形形態は、合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H、及びCOを含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)COの少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、合成ガスクリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)発酵槽と連通されたテールガス導管;及び
(f)発酵槽にテールガスをリサイクルするための、テールガス導管と連通されたリサイクル導管;
を備えた装置を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の変形形態は、合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H、及びCOを含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)COの少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、合成ガスクリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)発酵槽と連通されたテールガス導管;及び
(f)酸性気体除去ユニットにテールガスをリサイクルするための、テールガス導管と連通されたリサイクル導管;
を備えた装置を提供する。
【0028】
本発明のまた他の変形形態は、合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H、及びCOを含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)COの少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、合成ガスクリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H、又はCOの1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)発酵槽と連通されたテールガス導管;
(f)テールガスをリサイクルするための、テールガス導管と連通されたリサイクル導管であって、第1の量のテールガスを発酵槽へリサイクルする第1の導管と、第2の量のテールガスを酸性気体除去ユニットにリサイクルする第2の導管と、を含むリサイクル導管;
を備えた装置を提供する。
【0029】
ガス化装置は例えば、流動床ガス化装置であり得る。一部の装置はさらに、ガス化装置と酸性気体除去ユニットの間に配置される改質装置を含む。好ましい装置は、リサイクル導管と連通された1つ又は複数の圧縮機を含む。一部の装置はさらに、発酵槽から合成ガス発酵産物を精製状態で回収するための精製ユニットを含む。
【0030】
合成ガス発酵産物は、エタノール、ブタノール、酢酸、酪酸、又はCO、H、及び/又はCOを消費することができる1種又は複数種の微生物の産生又は増殖に伴う、他のいずれかの生物学的産物であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図面の簡単な説明
図1】本発明の一部の実施形態を示すブロックフロー図である。
図2】一部の実施形態を示すブロックフロー図である。
図3】特定の実施形態を示すブロックフロー図である。
図4】本発明の一部の実施形態を示すブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態の詳細な説明
本明細書によって、当業者が本発明を製造及び使用することが可能となり、本明細書には、本発明を実施するための最良の形態であると現在考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適応、変形形態、代替法及び使用が記述されている。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つ(a)」、「1種類の(an)」及び「その(the)」は、文脈に明確に別段の指定がない限り、複数の指示対象を包含する。例えば、「発酵槽」は、直列又は並列での複数の実際の発酵槽を包含する。特に定義されていない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0034】
別段の指定がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される、反応条件、化学量論、成分の濃度等を表すすべての数は、「約」という用語によってすべての場合に修飾されると理解されるべきである。したがって、それと反対に別段の指定がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメーターは、特定の分析的技術に少なくとも応じて変化し得る近似値である。
【0035】
本発明を実施するための装置及び方法の両方に関する、図1に示すプロセス構成を参照することによって、本発明の一部の変形形態を説明することができる。方法「工程」のいずれかの言及は、工程を実施するのに適した装置「ユニット」又は機器の言及、及びその逆も包含する。
【0036】
合成ガス産生工程において、バイオマスなどの炭質供給原料が1種又は複数種の酸化剤でガス化されて、少なくとも合成ガス(CO及びH)を含む未処理合成ガスストリームが生成される。未処理合成ガスストリーム中の他のガス種は、酸性気体CO及びHS、比較的不活性な種、例えばCH及びN、並びにタール、灰、及び微粒子などの微量の成分を含み得る。
【0037】
合成ガス産生からの未処理合成ガスストリームは、1つ又は複数の浄化工程にかけられて、微粒子などの特定の汚染物質が除去され得て、それによって、中間合成ガスストリームが形成される。未処理合成ガスストリーム及び/又は中間合成ガスストリーム(いくらかの量のリサイクルを含み得る)は任意選択的に、酸性気体除去工程にかけられて、大部分のCO及び/又はHSが除去され得て、それによってコンディショニングされた合成ガスストリームが形成される。通常、少なくともCO(及びHO)が酸性気体除去ユニットで除去されるが、HSの除去も望まれ得る。HSも除去されるべきか否か、及びどの程度までかは通常、炭質供給原料中にどの程度の量の硫黄が存在するか(あるとすれば)に応じて異なり、下流操作での硫黄含有化合物、及びHS除去は、CO除去に対して影響を有し得る。
【0038】
リサイクルストリーム(あるとすれば)の添加の上流の、中間ストリームは通常、CO約5~30体積%を有する。リサイクルストリーム(あるとすれば)の添加の上流の、コンディショニングされた合成ガスストリームは通常、一部の実施形態においてCO約1~25体積%、又はCO2~20体積%を有する。様々なリサイクルのシナリオでのテールガスストリームは通常、CO約10~90体積%、例えばCO約20~80体積%、又はCO25~75体積%を有する。種々のストリームにおけるCO含有率の他の範囲は、多くの因子に応じて可能である。
【0039】
コンディショニングされた合成ガスストリームは、直接的な生物学的転化プロセスに適しており、そのプロセスでは、微生物(本明細書に記載の微生物など)が直接、H、CO、及びCOの1つ又は複数をエタノール、酢酸、酪酸、ブタノール、又は他の発酵産物へと転化する。合成ガスを含むテールガスがリサイクルされる場合、エタノール又は他の産物へと生物学的に転化するために、合成ガスに他の経路が与えられる。
【0040】
図1に図示する一部の変形形態において、テールガスの少なくとも一部が、発酵槽供給物へ、又は発酵槽供給物の上流のCO除去工程へ、又はこれらの位置の両方へとリサイクルされ得る。CO除去ユニットが既に所定の位置にある場合、更なるユニット操作が不必要となることから、そのユニットへのリサイクルは特に有利である。
【0041】
本発明の一部の変形形態は、合成ガスの産生及び生産されるユニット産物当たりのバランスオブプラント(balance-of-plant)資本が実際に低減され得るようにリサイクルストリームを調整することができるという実現を前提とする。引き続き図1を参照すると、Rは、それぞれが体積をベースとする、総テールガスフローによって割られる、テールガスリサイクルと発酵槽供給物の比である。Rは、それぞれが体積をベースとする、総テールガスフローによって割られる、テールガスリサイクルと酸性気体除去ユニットの比である。
【0042】
リサイクル比R及びRは、0~1の負ではない数である。R+Rの合計は1を超えることはできない。R+R=1は、テールガスの総リサイクルを表すのに対して、R+R=0は、図1に示すいずれの位置へのテールガスのリサイクルを表さない。物質収支によって、リサイクルされないテールガスの分率+R+Rは1に等しくならなければならない。
【0043】
は、0~約1、好ましくは0~約0.5、さらに好ましくは0~約0.2の様々な値から選択され得る。Rは、0~約1、好ましくは約0.2~約0.8、さらに好ましくは約0.2~約0.5からの様々な値から選択され得る。R+Rの合計は、0を超える(例えば、0.001以上)~約1、好ましくは約0.2~約0.8、さらに好ましくは約0.25~約0.5の様々な値から選択され得る。
【0044】
発酵槽に戻るテールガスの総リサイクルによって、CO、他の不活性物質、及び合成ガスの蓄積が生じるために、Rは、定常状態で1に等しくない、又は1に近似しないはずである。しかしながら、特定の動的状況において、又は機器問題(例えば、テールガス燃焼ユニットでの問題)のために、発酵槽供給物にテールガスのすべてを若干の時間で、リサイクルすることが可能である(R=1)。
【0045】
酸性気体除去ユニットが、不活性物質(例えば、CH又はN)及びシステムからどこかにパージされなければならない何かもまた除去するように機能的にデザインされていない限り、Rも一般に、定常状態で1に等しくない、又は1に近似しないはずである。また、特定の動的状況において、酸性気体除去ユニットへのテールガスの総リサイクルを若干の時間で行うことが可能である。これらの動的状況は、下流の機器問題、プロセスにおける供給ストリームの稼動率問題、発酵問題(例えば、合成ガスの転化が著しく低下する静止期)等を含み得る。
【0046】
リサイクル比R及びRは、動的又は定常状態プロセス制御の様々な手段にかけられ得る。公知のように、多くのフィードフォーワード及びフィードバック制御ストラテジーが可能である。R及びRは独立して、所望の定常状態に対する、又は所望の若しくは既知の非定常状態に対する制御ポイントに設定され得る。プロセスの分野の当業者であれば、RとRの比、R及びRの時間に関する導関数、R及びRの時間導関数の比、R及びRに関するプロセス変数(CO若しくはH転化率、又はエタノール生産率)の導関数等が、様々な制御ストラテジーにおいて利用され得ることも理解されよう。
【0047】
以下は単に例示的な制御例であり、制限的なものとして、又は適用される特定のいずれかの基礎に関連するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、時間の経過にしたがって、又はプロセスにおける他の条件の関数として変化するように、R及び/又はRが設定され得ることを実証する。
【0048】
一部の実施形態において、R及び/又はRは、供給原料のタイプ、酸化剤プロファイル、合成ガス産生デザイン若しくは性能、合成ガスクリーンアップデザイン若しくは性能、又は酸性気体除去デザイン若しくは性能などの1つ又は複数の上流パラメーターに応じて、連続的に、又は少なくとも動的に(例えば、一定間隔をあけて、又は間欠的に)調節される。
【0049】
一部の実施形態において、R及び/又はRは、温度、圧力、滞留時間、pH、酸化還元電位、栄養素濃度、微生物生存率又は活力等の1つ又は複数の発酵槽パラメーターに応じて、連続的に、又は少なくとも動的に(例えば、一定間隔をあけて、又は間欠的に)調節される。
【0050】
一部の実施形態において、R及び/又はRは、CO転化率、H転化率、CO転化率、エタノール選択率、エタノール生産率、エタノール力価、及び酢酸選択率などの1つ又は複数の発酵槽デザイン若しくは性能変数に調節される。かかる調節は、上記に挙げられるパラメーターなど、発酵槽パラメーターに応じて組み合わせられ得る。
【0051】
特定の実施形態では、発酵槽供給物中のCO含有率を変える、又は最適化するために、R及び/又はRを調節する。発酵槽供給物中のCOレベルは、R及び/又はRを調節することによって、CO約5~50体積%、例えばCO約10~40体積%、又はCO約20~30体積%に変化させることができる。特定の実施形態では、Rに対してRを増加し、その結果、酸性気体除去工程でより多くのCOを除去し、発酵槽供給物中のCOレベルを低減することができる。
【0052】
一部の実施形態では、R及び/又はRを調節して、プロセスにおける1つ又は複数のポイントで、合成ガスと酸性気体のモル比、すなわち(CO+H)/(CO+HS)を変化させる、又は最適化する。特定の好ましい実施形態では、R及び/又はRを調節して、発酵槽に入る供給物ストリーム中の合成ガスと酸性気体のモル比、すなわち(CO+H)/(CO+HS)を変化させる、又は最適化する。発酵槽に入る合成ガスと酸性気体のモル比は、R及び/又はRを調節することによって、約2~約10以上に、例えば約11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20に変化させることができる。
【0053】
発酵槽への合成ガス供給は通常、テールガス圧力よりも高い圧力にて行われる。その理由は、上流操作(ガス化及び酸性気体除去)では一般に、発酵に比べて高い圧力が有利に働くためである。例えば、発酵槽への供給圧力は約2~40bargであり得るが、テールガスの圧力は約0.1~2barg(通常、1bargを超えない)であり得る。より高い圧力にある上流ポイントへガスストリームをリサイクルするために、リサイクルされるガスストリームの圧力を上昇させる必要がある。テールガスからCOを除去し、残りを圧縮し、次いで発酵槽へそれをリサイクルするのではなく、本発明は、テールガスの一部をリサイクルし、その成分を分離することなく、それを圧縮することを企図する。つまり、この文脈におけるテールガスストリームの「一部(portion)」とは、いくつかの分離手段によって分割される成分ではなく、いくつかのフロー分割(flow-splitting)手段(例えば、バルブ)によってのみ分割されたフローを意味する。
【0054】
図1において、リサイクルされたテールガスは、R/R分割の上流で圧縮される。他の実施形態において、リサイクルされたテールガスは、2つ以上のリサイクルストリームに分割され得て、次いでこれらのストリームのそれぞれが圧縮され得る。これによっていくらかの費用が加わるが、所望であれば、リサイクルストリームにおける圧力上昇を個々に調節することが可能となる。
【0055】
圧縮の量を変化させてもよいが、リサイクルストリームの圧力は、対象のストリーム内へのその導入を可能にするのに十分な圧力へと少なくとも上げられるべきである。特に酸性気体除去ユニットにリサイクルされる場合、合わせたストリームの圧力が実際に上昇するように、リサイクルされたテールガスを圧縮することが可能である。これには運転費が加わるが、CO除去が改善され得る。
【0056】
一部の実施形態において、合成ガスの転化率は約90~98%(CO及びHのモル転化率)である。合成ガスの転化率は、コンディショニングされた合成ガスストリーム中の不活性物質のレベル、並びに温度、pH、混合、及び物質移動、競合微生物の存在等の発酵槽条件を含む多くの因子によって影響を受け得る。一部の実施形態において、合成ガス転化率は、本明細書に記載のテールガスをリサイクルした場合には90~98%であり、テールガスのリサイクルなしで90%未満(75~85%のみなど)であり、他のすべての因子は一定に保たれている。好ましくは、合成ガス転化率は、本明細書で教示されるリサイクル方法の1つ又は複数を実現することによって、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15パーセントポイント、又はそれ以上高い。
【0057】
合成ガスの総転化率が高いほど、テールガスが含有する、最初に産生された合成ガスは少ないことを意味する。テールガスサイクルを用いた一部の実施形態において、テールガスは、未処理合成ガスストリーム中に含有される合成ガスを約2~約10%含有するのに対して、テールガスリサイクル(R,R=0)なしの場合には、テールガスは、未処理合成ガスストリーム中に含有される合成ガスを約10~約25%含有する。酸性気体除去工程からCOを除去することができるため、テールガスストリームの合成ガス濃度及びエネルギー含有量は、テールガスサイクルが用いられた場合には必ずしも低くない。リサイクルされていないテールガスの流量は、一部の実施形態において低減され得る。
【0058】
これらのリサイクル方法を用いて、生成物の選択率は低下しないと予想されるため、合成ガス転化率が高いほど、対象の生成物の収率が高くなる。発酵槽に供給されるCOが少ない場合に、生成物の選択率が実際に向上し得て、さらに生成物の収率が増加する。
【0059】
図2~4は、本発明の他の変形形態を示すために提供される。図2において、炭質供給原料はバイオマスであり、酸化剤は酸素富化空気であり、且つ対象の生成物はエタノールである。図3において、発酵槽へテールガスの一部がリサイクルされるが、酸性気体除去ユニットへのリサイクルはない(R=0)。図4において、酸性気体除去ユニットへテールガスの一部がリサイクルされるが、発酵槽へのリサイクルはない(R=0)。これらの構成の他のすべての態様は、本明細書における図1を参照して記述されるように選択又は特徴付けられ得る。
【0060】
合成ガス産生ユニット又は工程は、ガス化装置などの公知のいずれかの手段から選択され得る。ガス化装置は、限定されないが、流動床であることができる。脱揮発(devolatilization)又はガス化する公知のいずれかの手段を用いることができる。変形形態において、ガス化装置のタイプは、噴流層式スラッギング、噴流層式非スラッギング、輸送、バブリング流動床、循環流動床、又は固定床であり得る。一部の実施形態では、公知のガス化触媒が用いられる。「ガス化」及び「脱揮発」とは一般に、本明細書において、酸素、空気、及び/又は蒸気を酸化剤として用いた、少なくともCO、CO、及びHの混合物の反応性生成を意味する。
【0061】
ガス化が不完全である場合、供給材料中に最初に炭素の一部を含有する、固体ストリームが生成し得る。ガス化工程から産生される固体ストリームは、灰、金属、未反応チャコール、及び未反応性耐火性タール及びポリマー種を含み得る。一般的に言えば、バイオマスなどの供給原料は、熱分解、脱揮発、又はガス化中に容易に放出されない、シリカ及び様々な金属などの不揮発性種を含有する。当然のことながら、無灰供給原料を用いることが可能であり、その場合には、ガス化工程からの固体ストリーム中に相当量の灰が存在すべきではない。
【0062】
流動床ガス化装置が脱揮発ユニットとして用いられる場合、ガスによって流動される熱い砂の床内に供給原料を導入することができる。本明細書において「砂」の言及は、類似の、実質的に不活性の材料、例えばガラス粒子、回収された灰粒子等も包含すべきである。流動砂からの高い熱伝達率によって、供給原料が迅速に加熱される。砂粒子での摩擦によって、いくらかの消耗があり得る。加熱は通常、熱い燃焼ガスがそれを通って流れる熱交換器チューブによって提供される。
【0063】
脱揮発ユニットとして、循環流動床反応器を用いることができ、そのユニットでは、ガス、砂、及び供給原料が共に移動する。例示的な輸送ガスとしては、再循環生成ガス、燃焼ガス、又はリサイクルガスが挙げられる。砂からの高い熱伝達率によって、供給原料の迅速な加熱が確実となり、且つ消耗が、通常の流動床よりも強いと予想される。砂及びチャコール粒子から生成ガスを分離するために、セパレーターを用いることができる。砂粒子を流動バーナー容器中で再加熱し、反応器へとリサイクルすることができる。
【0064】
向流固定床反応器がガス化装置として使用される一部の実施形態において、反応器は供給原料の固定床からなり、それを通ってガス化剤(蒸気、酸素、及び/又はリサイクルガスなど)が向流形態で流れる。灰は、乾燥状態で、又はスラッグとして除去される。
【0065】
並流固定床反応器がガス化装置として使用される一部の実施形態において、反応器は向流タイプと類似しているが、ガス化剤ガスが、供給原料と並流形態で流れる。少量の供給原料を燃焼させることによって、又は外部熱源のいずれかから、熱を床の上部に加える。生成されたガスは高温で反応器を出て、この熱の多くは、床の上に添加されたガス化剤に伝達され、その結果、エネルギー効率が良くなる。タールはこの形態でチャコールの熱い床を通過することから、タールのレベルは、向流タイプを用いた場合よりも低いと予想される。
【0066】
流動床反応器がガス化装置として使用される一部の実施形態において、供給原料は、リサイクルガス、酸素、空気、及び/又は蒸気中で流動化される。灰は、乾燥状態で、又は非流動化する重い凝集物として除去される。固体のリサイクル、又はそれに続く燃焼を用いて、転化率を高めることができる。スラッギング反応器の壁に損傷を与えるであろう非常に腐食性の灰を形成する供給原料に、流動床反応器は有用である。
【0067】
流動床ガス化装置の第一の流動化剤は、場合により発酵槽テールガスの一部を含むリサイクルガスであり得る。流動床の熱伝達特性が高いため、リサイクルガスは、炭素含有供給原料粒子へのその顕熱の一部を冷却し、失うだろう。入ってくるバイオマス粒子の床を流動化するために熱いリサイクルガスを用いると、総エネルギー効率が向上する。
【0068】
噴流層式反応器がガス化装置として使用される一部の実施形態において、チャコールは、酸素、空気、又はリサイクルガスを用いて並流フローでガス化される。ガス化反応は、非常に微細な粒子の濃い雲状物中で行われる。高い温度を用いてもよく、それによって、生成ガス中のタール及びメタンの量が少なくなる。
【0069】
作業温度は通常、灰の溶融温度をかなり超えることから、噴流層式反応器では、スラグとして灰の大部分が除去される。灰の少量部分は、非常に微細な乾燥フライアッシュとして、又はフライアッシュスラリーとして生成される。一部の供給原料、特に特定のタイプのバイオマスは、腐食性であるスラグを形成し得る。特定の噴流床反応器は、一部固化したスラグで覆われた内部水冷又は蒸冷壁を有する。
【0070】
特定の実施形態において、プロセス構成はさらに、ガス化装置と、任意の合成ガスクリーンアップ工程又は酸性気体除去工程との間に配置される改質装置を含む。改質装置を用いて、一部の実施形態では任意選択的にリフォーミング触媒で、タール及びメタンを転化又は分解し、更なる合成ガスが生成され得る。
【0071】
図1~4の合成ガス産生ユニット内と見なされ得る任意の改質装置は、合成ガスを生成する少なくとも1種類の化学反応を生じさせることができる、いずれかの反応器である。当技術分野でよく知られている従来の蒸気改質装置は、触媒を使用して、又は触媒を使用せずに、使用され得る。他の可能性としては、自熱式改質装置、部分酸化反応器、及びいくつかの反応メカニズムを合わせた多段反応器(例えば、部分酸化に続いて水性ガスシフト)が挙げられる。反応器の構成は、固定床、流動床、多数のマイクロチャネル、又は一部の他の構成であり得る。
【0072】
例えば、プロセスに添加される酸素から生じる酸化反応によってなど、多くの方法で改質装置反応器に熱を供給することができる。一部の実施形態において、酸素と燃料の両方が直接反応器に注入されて、熱を提供し、且つ改質及びクラッキング反応を援助する、直火式部分酸化反応器が用いられる。
【0073】
改質装置は、均一な(非触媒)部分酸化、触媒部分酸化、又はその両方を含み得る。蒸気改質反応もまた触媒され得る。改質及び/又は部分酸化触媒としては、限定されないが、ニッケル、酸化ニッケル、ニッケル合金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、及び白金が挙げられる。かかる触媒は、例えばγ-アルミナなどの1種又は複数種の担体材料(マグネシウム、ランタン、又はバリウムなどの安定化元素で任意選択的にドープされた)上に被覆又は付着され得る。
【0074】
改質装置が用いられる場合、改質装置の下流の熱の回収に適したレベルで、下流改質装置への固体のキャリーオーバーを維持するために、フリーボードの適切な配置又は内部サイクロンの使用によって、ガス化装置チャンバをデザインすることができる。未反応チャコールを脱揮発チャンバの底から抜き取り、冷却し、次いで、このストリームの残りの発熱量(heating value)を取り戻すために、事業用ボイラーに供給することができる。
【0075】
合成ガスクリーンアップユニットは、そのデザインに特に制限はない。例示的な合成ガスクリーンアップユニットとしては、サイクロン、遠心機、フィルター、膜、溶剤型システム、並びに微粒子及び/又は他の特定の汚染物質を除去する他の手段が挙げられる。
【0076】
酸性気体除去ユニットもまた、特に制限されず、合成ガスから少なくともCOを除去するための当技術分野で公知のいずれかの手段であり得る。例としては、COに対する1種又は複数種の溶媒でのCOの除去、又は圧力スイング吸着ユニットによるCOの除去が挙げられる。反応性溶剤型酸性気体の除去に適した溶媒としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、及びアミノエトキシエタノールが挙げられる。物理的溶剤型酸性気体の除去に適した溶媒としては、ポリエチレングリコールのジメチルエーテル(例えば、Selexol(登録商標)プロセスにおいて)及び冷却メタノール(例えば、Rectisol(登録商標)プロセスにおいて)が挙げられる。
【0077】
酢酸、エタノール、又は他の生成物へのCO又はH/COのバイオコンバージョンがよく知られている。例えば、かかるバイオコンバージョンの合成ガス生化学的経路及びエネルギー論が、Das and Ljungdahl, “Electron Transport System in Acetogens”によって、且つDrake and Kusel, “Diverse Physiologic Potential of Acetogens”によって要約されており、それぞれBiochemistry and Physiology of Anaerobic Bactera, L. G. Ljungdahl eds,. Springer (2003)のチャプター14及び13として記載されている。
【0078】
個々に、若しくは互いに併用して、又は通常は合成ガス中に存在する他の成分と共に、CO、H、又はCOを転化する能力を有する、いずれかの適切な微生物が用いられ得る。その唯一の炭素源としてCOで成長する微生物の能力は最初に、百年以上前に発見された。カルボキシド栄養性(carboxydotrophic)、光合成、メタン生成、及び酢酸産生生物などの多数の嫌気性生物が、様々な最終産物へとCOを代謝することが示されている。
【0079】
クロストリジウム(Clostridium)属の細菌などの嫌気性細菌は、アセチルCoA生化学的経路を介してCO、H、又はCOからエタノールを産生することが実証されている。例えば、ガスからエタノールを産生するクロストリジウム・リュングダール(Clostridium ljungdahlii)の様々な菌株が、米国特許第5,173,429号、米国特許第5,593,886号、及び米国特許第6,368,819号に記載されている。クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)種の細菌もまた、ガスからエタノールを産生することが知られている(Aribini et al., Archives of Microbiology 161, pp. 345-351 (1994))。
【0080】
一般的に言えば、本発明の文脈における合成ガス発酵に適した微生物は、クロストリジウム(Clostridium)、ムーレラ(Moorella)、カルボキシドテルムス(Carboxydothermus)、アセトゲニウム(Acetogenium)、アセトバクテリウム(Acetobacterium)、ブチリバクテリウム(Butyribacterium)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)、及びジオバクター(Geobacter)を含む多くの属から選択され得る。本発明における合成ガス発酵に適した微生物種は、クロストリジウム・リュングダール(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、ユウバクテリウム・リモサム(Eurobacterium limosum)、及びその遺伝子操作、突然変異、又は進化形態から選択され得る。かかる新規な微生物が、CO、H、又はCOのうちの1つ又は複数を対象の生成物へと転化することができるという条件で、将来に遺伝子操作される、作製される、又は提供される微生物は本発明に適用可能であるだろう。
【0081】
選択された微生物は、少なくともある程度まで、発酵槽内でそれ自体が増殖され得るか(同時の増殖及び生産)、或いは別々の成長容器又はトレイン(train)で増殖され得る。別々の細胞増殖を用いる場合、合成ガスであり得るが、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、マンノース、及び他のC又はC糖などの様々な糖でもあり得る、いずれかの炭素基質から、微生物細胞を増殖させることができる。
【0082】
発酵槽(1つの)、又は複数の発酵槽(直列又は並列での)は特に制限されないが、一般に、機械攪拌反応器、バブルカラム、充填カラム、プレートカラム、スプレーカラム、ガスリフト反応器、及び膜反応器から選択されるだろう。一部の実施形態において、ガス又は液体の内部リサイクルが用いられて、発酵槽内の物質移動が加えられる。混合及び物質移動を高めるために、様々な実施形態において、界面活性剤、水共溶媒、及びマイクロバブルすべてが用いられ得る。
【0083】
特定の実施形態において、テールガスリサイクルは、発酵槽内の物質移動を高める。特定の実施形態において、圧縮テールガスリサイクルは、発酵槽内の圧力を高め、それによって、より多くの合成ガスがバイオコンバージョン用の液相に入ることが可能となる。
【0084】
一部の実施形態では、発酵槽へと戻す細胞リサイクルを用いる。一部の実施形態は、ガス化装置へと戻す、細胞又は発酵スラッジのリサイクルを用いる。スラッジのリサイクルによって、使用済み微生物を合成ガスへと転化することが可能となる。
【0085】
テールガスリサイクルストリームの実行に必要な機械的技法は十分に確立されている。非制限的な図1を参照すると、必要とされる物は、テールガスストリームにおけるフロースプリッター、少なくとも1つの圧縮機、R及びRを調節するフロースプリッター、並びに適切なパイプ及びバルブである。
【0086】
圧縮機は限定されないが、その体積を低減することによってテールガスの圧力を高める機械装置であるべきである。適切な圧縮機としては、遠心圧縮機、斜流圧縮機、軸流圧縮機、往復圧縮機、回転スクリュー圧縮機、回転羽根式圧縮機、スクロール圧縮機、及びダイヤフラム圧縮機が挙げられる。
【0087】
本発明の方法及び装置は、種々のタイプ、サイズ、及び含水量の広範囲の供給原料を適応させ得る。本発明の目的での「バイオマス」とは、化石資源に由来せず、且つ少なくとも炭素、水素、及び酸素を含むいずれかの材料である。バイオマスとしては、例えば、植物及び植物由来材料、植生、農業廃棄物、林業廃棄物、木屑、紙屑、動物由来廃棄物、家禽由来廃棄物、及び自治体固形廃棄物が挙げられる。他の例示的な供給原料には、セルロース、炭化水素、炭水化物、又はその誘導体、及び木炭が含まれる。
【0088】
バイオマスを用いた本発明の様々な実施形態において、バイオマス供給原料は、木材収穫残留物、軟木チップ、堅木チップ、木の枝、木の切株、葉、樹皮、おがくず、規格外製紙用パルプ、トウモロコシ、トウモロコシの茎及び葉(corn stover)、麦稈、稲わら、サトウキビのバガス、アメリカクサキビ、ススキ、動物肥料、自治体ゴミ、自治体汚水、商業廃棄物、葡萄の搾りかす、アーモンドの外皮、ペカンの外皮、ココナツ外皮、コーヒーかす、ガラスペレット、乾草ペレット、木材ペレット、厚紙、紙、プラスチック、及び布から選択される1種又は複数種の材料を含み得る。
【0089】
本発明は、化石燃料(例えば、石炭若しくは石油コーク)、又はバイオマスと化石燃料とのいずれかの混合物など、バイオマス以外の炭素含有供給原料に対しても使用することができる。疑義を避けるために明記すると、本明細書に記載のいずれかの方法、装置、又はシステムは、いずれかの炭質供給原料と共に使用することができる。
【0090】
特定の供給原料又は供給原料の選択は技術的に重要であるとみなされないが、経済的なプロセスに有利に働く傾向がある手法で行われる。通常、選択される供給原料にかかわらず、望ましくない材料を除去するためのスクリーニングがある。供給原料は任意選択的に、処理前に乾燥され得る。任意選択的に、粒径の低減が、合成ガスへの供給原料の転化前に用いられ得る。しかしながら、粒径は、本発明にとって重要であるとみなされない。
【0091】
複数の供給原料(例えば、バイオマス-石炭混合物)が使用される場合、それらはいずれかの比で使用され得て、且つそれらは同一又は異なる位置で導入され得る。供給原料比の具体的な選択は、経済的側面(供給原料価格及び入手可能性)、プロセス最適化(供給原料組成プロファイルに応じて)、効用最適性、設備最適化等の多くの因子によって影響を受け得ることは理解されよう。
【0092】
図1~4又は本発明の他の変形形態のユニットの操作それぞれに、様々な操作温度、圧力、流量、及び滞留時間を用いることができる。当業者には公知のように、各ユニットの最適条件は、他のユニットの条件によって影響を受けるだろう。
【0093】
本発明の一部の実施形態は、プラントエネルギー収支との統合に関する。記載のリサイクルループは、合成ガスのエタノールへの転化を制御するように実行され得て、エネルギー源としての合成ガスの定常状態又は動的エネルギー需要を調節する。本発明は、合成ガスがプロセス全体でどのように利用されるかのリアルタイム調節を可能にし、それによって、プラントの効率及び経済性が高まる。
【0094】
一般に、プロセス内で生成されるか、又は存在する固体、液体、及びガスストリームは、独立して次の工程へと移されるか、或いはいずれかのポイントでプロセスから除去/パージされ得る。また、存在するストリーム又は材料のいずれかが、熱付加又は除去、質量付加又は除去、混合、種々の測定及びサンプリング等の更なる処理にかけられ得る。
【0095】
この詳細な説明では、本発明の複数の実施形態、及び本発明がいかに理解され、実施され得るかに関する非制限的な実施例に言及している。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の特徴及び利点のすべてを提供するわけではない他の実施形態を用いてもよい。本発明は、本明細書に記載の方法及びシステムの通常の実験法及び最適化を組み込む。かかる修正形態及び変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされる。
【0096】
本明細書に記載のすべての出版物、特許、及び特許出願は、出版物、特許、又は特許出願のそれぞれが本明細書に具体的及び個々に記載されているがごとく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示す場合、当業者であれば、特定の工程の順序を修正してもよいこと、並びにかかる修正が、本発明の変形形態に従っていることを認識されよう。さらに、特定の工程は、可能である場合には並行プロセスで同時に行われ得るだけでなく、逐次的にも行われ得る。
【0098】
したがって、開示内容の精神内にあるか、又は添付の特許請求の範囲に記載の本発明に等しい、本発明の変形形態が存在する程度まで、この特許はこれらの変形形態も包含することを意図する。本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
炭質供給原料を合成ガス発酵産物へと転化する方法であって:
(a)適切なガス化条件下にて、炭質供給原料及び酸化剤をガス化装置に導入して、CO、H 、及びCO を含む未処理合成ガスストリームを生成すること;
(b)任意選択的に、前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部を合成ガスクリーンアップユニットへと供給して、中間合成ガスストリームを生成すること;
(c)前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部及び/又は前記中間合成ガスストリームの少なくとも一部を、存在する場合には、酸性気体除去ユニットへ供給して、前記CO の少なくとも一部を除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成すること;
(d)適切な発酵条件下にて、且つ適切な微生物及び栄養素の存在下にて、前記コンディショニングされた合成ガスストリームの少なくとも一部を発酵槽へと供給して、CO、H 、又はCO の1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化すること;
(e)前記発酵槽の出口からテールガスを捕捉することであって、前記テールガスは少なくともCO 及び未転化CO又はH を含むこと;
(f)前記発酵槽に前記テールガスの第1の量を、R 、すなわち前記第1の量と前記テールガスの体積比(ここで、R は0~1から選択される)によって示される量でリサイクルすること;及び
(g)前記酸性気体除去ユニットに前記テールガスの第2の量を、R 、すなわち前記第2の量と前記テールガスの体積比(ここで、R は0~1から選択される)によって示される量でリサイクルすること;を含み、
+R は0を超え;且つ
+R は1を超えない、方法。
[請求項2]
前記炭質供給原料がバイオマスを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記酸化剤が、空気、酸素、及び蒸気の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項4]
前記ガス化装置が流動床ガス化装置である、請求項1に記載の方法。
[請求項5]
前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部を合成ガスクリーンアップユニットへと供給し、中間合成ガスストリームが生成されることを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項6]
前記酸性気体除去ユニットがさらに、存在する場合には少なくともいくらかのH Sを除去する、請求項1に記載の方法。
[請求項7]
前記テールガスの前記第1の量が、前記発酵槽へとリサイクルされる前に圧縮される、請求項1に記載の方法。
[請求項8]
前記テールガスの前記第2の量が、前記酸性気体除去ユニットへとリサイクルされる前に圧縮される、請求項1に記載の方法。
[請求項9]
前記テールガスの前記第1の量及び前記第2の量が、前記発酵槽及び前記酸性気体除去ユニットにそれぞれリサイクルされる前に別々に圧縮される、請求項1に記載の方法。
[請求項10]
供給原料タイプ、酸化剤プロファイル、合成ガス産生デザイン若しくは性能、合成ガスクリーンアップデザイン若しくは性能、及び酸性気体除去デザイン若しくは性能からなる群から選択される1つ又は複数の上流パラメーターに応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項11]
温度、圧力、滞留時間、pH、酸化還元電位、栄養素濃度、細胞生存率、及び細胞活力からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽パラメーターに応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項12]
CO転化率、H 転化率、CO 転化率、エタノール選択率、エタノール生産率、エタノール力価、及び酢酸選択率からなる群から選択される1つ又は複数の発酵槽変数に応答するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項13]
前記発酵槽への供給物中のCO 濃度を制御するために、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項14]
前記発酵槽への前記供給物中の酸性気体モル比、すなわち(CO+H )/(CO +H S)を制御するための、テールガスリサイクル制御ストラテジーを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項15]
圧縮されたテールガスリサイクルが、前記発酵槽内の圧力を増加し、それによってバイオコンバージョン用の液相により多くの合成ガスが入ることが可能となる、請求項1に記載の方法。
[請求項16]
前記ガス化装置と前記酸性気体除去工程との間に配置された改質装置をさらに含む、請求項1に記載の方法。
[請求項17]
前記発酵槽から前記ガス化装置へと細胞をリサイクルすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
[請求項18]
及びR の両方が0に等しい同等の方法で得られるCOとH の総転化率よりも、COとH の総転化率が少なくとも5パーセントポイント高い、請求項1に記載の方法。
[請求項19]
合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H 、及びCO を含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、前記ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)前記CO の少なくともいくらかを除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、前記合成ガスクリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、前記ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H 、又はCO の1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、前記酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)前記発酵槽と連通されたテールガス導管;及び
(f)前記発酵槽にテールガスをリサイクルするための、前記テールガス導管と連通されたリサイクル導管;
を備えた装置。
[請求項20]
合成ガス発酵産物へと炭質供給原料を転化する装置であって:
(a)CO、H 、及びCO を含む未処理合成ガスストリームを生成するための、炭質供給原料を酸化剤でガス化するガス化装置;
(b)前記未処理合成ガスストリームの少なくとも一部から中間合成ガスストリームを生成するための、前記ガス化装置と連通された任意の合成ガスクリーンアップユニット;
(c)前記CO の少なくともいくらかを除去し、且つコンディショニングされた合成ガスストリームを生成するための、存在する場合には、前記合成ガス-クリーンアップユニットと連通された;又は合成ガスクリーンアップユニットが存在しない場合には、前記ガス化装置と連通された、酸性気体除去ユニット;
(d)CO、H 、又はCO の1つ又は複数を合成ガス発酵産物へと生物学的に転化するための、前記酸性気体除去ユニットと連通された発酵槽;
(e)前記発酵槽と連通されたテールガス導管;及び
(f)前記酸性気体除去ユニットにテールガスをリサイクルするための、前記テールガス導管と連通されたリサイクル導管;
を備えた装置。
図1
図2
図3
図4