IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネオフルーイディクス,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許7256198液滴操作のための統合された流体回路およびデバイスならびにその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】液滴操作のための統合された流体回路およびデバイスならびにその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20230404BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230404BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
B01J19/00 321
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020544361
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018060104
(87)【国際公開番号】W WO2019094775
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】62/584,710
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520160842
【氏名又は名称】ネオフルーイディクス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ディーパック ソロモン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-515630(JP,A)
【文献】特開2004-163104(JP,A)
【文献】国際公開第2017/180949(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
B01J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体デバイスであって、
基板内に形成されている流体回路であって、
少なくとも2つの試料捕捉セクションを備える試料捕捉分岐であって、各試料捕捉セクションが、
試料捕捉狭窄チャネルを介して、試料捕捉バルブの出口端部と流れ連通している出口端部を備える試料捕捉トラップ、
前記試料捕捉トラップの入口端部と流れ連通している第1の端部、ならびに前記試料捕捉バルブの入口端部と流れ連通している第2の端部を有する試料充填バイパスチャネル、
第1の試料充填チャネルを介して前記試料充填バイパスチャネルの前記第1の端部と流れ連通している第1の試料充填チャンバ、ならびに第2の試料充填チャネルを介して前記バイパスチャネルの前記第2の端部と流れ連通している第2の試料充填チャンバを備える、試料捕捉分岐と、
前記試料捕捉分岐の前記少なくとも2つの試料捕捉セクションと流れ連通している試料合流分岐であって、前記試料合流分岐が、
前記少なくとも2つの試料捕捉セクションの各試料捕捉トラップと流れ連通している試料収束チャネルであって、各試料収束チャネルが、試料収束入口チャンバと流れ連通している、試料収束チャネル、
前記試料収束入口チャンバと流れ連通している試料合流トラップ、を備える、試料合流分岐と、
前記試料合流分岐と流れ連通している流量制御分岐であって、前記流量制御分岐が、
前記試料合流トラップおよび流量制御一次チャネルと流れ連通している流量制御バイパスチャネルであって、前記流量制御一次チャネルが、流量制御一次チャネルチャンバと流れ連通している、流量制御バイパスチャネル、および
前記流量制御一次チャネルと、かつ流量制御バルブ狭窄チャネルと流れ連通している流量制御バルブを備える、流量制御分岐と、を備える、流体回路を備える、流体デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年11月10日に出願された、米国特許第62/584,710号、発明の名称「INTERGRATED FLUIDIC CIRCUIT AND DEVICE FOR DROPLET MANIPULATION AND METHODS THEREOF」の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、流体取り扱い、生物試験法を実行すること、または流体デバイスを使用する試料加工のための流体デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピコリットルからナノリットルのスケールで、精密かつ測定可能な体積の液滴操作を容易にする技術進歩により、様々な分析プラットフォーム、例えば、生物学的アッセイプラットフォームおよび医薬品試験プラットフォームに関する強化された有用性を提供することができる。例えば、かかるスケールでの精密かつ測定可能な液滴操作のいくつかの例示的な利点は、試薬および試料体積の低減、ならびに分析時間の短縮化を含み、それにより処理能力の増加の可能性を提供する。その点に関して、自動化システムに容易に統合することができる、ピコリットルからナノリットルのスケールでの液滴操作の技術により、候補医薬物質のスクリーニング、および次世代シーケンシング用ライブラリの準備などの高処理能力用途に使用することができる大規模な多重化を実行する能力が利用可能になる。このため、そのような技術は、人間の病気を治療するための重要な新薬の発見、および人間の病気の検出、予後、監視に役立てるための、重要な新規の診断試験の開発を促進するのに役立ち得る。
【0004】
ピコリットルからナノリットルのスケールでのデバイス上の合流および液滴の分割を実現するための様々な現行アプローチでは、電気、磁気、または音響源を統合して、デバイス上の液体取り扱いを実現するための駆動力を加えるため、システムの複雑化を必要とする場合がある。さらに、高処理能力分析プラットフォームに適合可能となり得るスケールでの、液滴の液体取り扱いに関する他の様々な現行アプローチは、非混和性流体プラグを利用して、デバイス上の様々な液体を分離することができる。かかるアプローチは、精密な液体取り扱いシステムを必要とし、液滴の効果的な分離を提供する非混和性流体を見つけるための課題を提示し、分離プラグを提供するために選択された、液体または気体、もしくはそれらの組み合わせの流体取り扱いに関する付加的な必要性により、流体取り扱いの複雑化を増加させる可能性がある。
【0005】
信頼性の高い分析における、ナノリットルスケールでの精密液体取り扱いの衝撃を考慮して、液体の相互汚染を最小限に抑え、高処理能力分析に適合可能であり、一貫した分析結果を提供する精密液体取り扱いが当技術分野で必要である。本教示の流体デバイスおよび方法の様々な実施形態は、標準的な実験室液体取り扱い機器によって提供され得る圧力を使用して、液滴の充填、融合、混合、および分割を含む、精密なデバイス上の液体の取り扱いを提供し得る。
【発明の概要】
【0006】
本教示の例示的な態様は、例えば、ナノリットルスケールでの精密な液体の取り扱いなどの液体取り扱いに効果的であり、受動的液滴合流およびかかる合流液滴の分裂における第2相非混和性流体としての油の必要性を軽減し、このため、油自体からの汚染の可能性を緩和し、ならびに受動的な液滴合流および分裂中に必要な複雑さ、時間、およびリソースを低減させる。本明細書で提供される流体構成要素、回路、およびデバイスの例示的な態様は、制御された汚染物質のない環境で、外部の電気、磁気、または音響駆動力を使用せずに、2ピコリットルおよび/またはナノリットルスケールの液滴を融合することが可能である。さらに、例示的な実施形態に含まれる受動流体バルブは、液滴の適切な制御および操作のための外部バルブの導入の複雑さを低減させる。
【0007】
例示的な態様では、本明細書で提供されるのは、液滴を操作する(例えば、液滴の充填、融合、混合、および/または分割、ならびにそれらの様々な組み合わせ)ために効果的な、流体回路、流体構成要素、またはそれらを備える流体デバイス、もしくは流体回路、流体構成要素、または流体デバイスを使用する方法である。例示的な実施形態では、流体構成要素、流体回路、もしくはそれらを備える流体デバイス、またはそれらを使用する方法は、第1の液体試料の一部分および第2の液体試料の一部分を、例示的な実施形態において合流液滴とされる、合流試料に融着させるために有効および/または適合される。さらに、ある実施形態では、流体回路、流体構成要素、流体デバイス、またはそれらを使用する方法は、合流試料(例えば、合流液滴)を混合することに有効および/もしくは適合し、ならびに/または合流試料(例えば合流液滴)を複数のサブアリコットへ分離することに有効および/もしくは適合している。
【0008】
この開示から当業者によって理解されるように、他の態様および実施形態もまた企図される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の特徴および利点のより良い理解は、本教示を限定するのではなく、例示することが意図される添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0010】
図1図1は、本教示の流体回路の概略上面図である。
図2図2は、本教示の流体回路の試料捕捉分岐の拡大上面概略図である。
図3図3は、本教示の流体回路の試料合流分岐の拡大上面概略図である。
図4図4は、本教示の流体回路の試料合流分岐および流量制御分岐の拡大上面概略図である。
図5図5は、本教示の流体回路の試料混合チャネルおよび試料サブアリコット分岐の拡大上面概略図である。
図6図6は、本教示の液滴の精密な液体取り扱いのための流体デバイスの斜視図を図示する。
図7図7は、本教示の流体回路の拡大斜視図であり、流体回路に外部からアクセス可能なポートとの流れ連通を図示する。
図8A図8Aは、本教示のデバイス上に複数の試料を充填することを図示する。
図8B図8Bは、本教示のデバイス上に複数の試料を充填することを図示する。
図9A図9Aは、本教示のデバイス上で複数の試料を融合して、結合試料を形成することを図示する。
図9B図9Bは、本教示のデバイス上で複数の試料を融合して、結合試料を形成することを図示する。
図10A図10Aは、本教示のデバイスの流量制御分岐の液体バルブの充填を図示する。
図10B図10Bは、本教示のデバイスの流量制御分岐の液体バルブの充填を図示する。
図11A図11Aは、試料合流トラップ内の合流試料(すなわち、結合試料)を、混合チャネルを通して、複数の分裂トラップに混合および移送し、サブアリコット分岐内に分裂試料を作成するための本教示の例示的な方法を図示する。
図11B図11Bは、試料合流トラップ内の合流試料(すなわち、結合試料)を、混合チャネルを通して、複数の分裂トラップに混合および移送し、サブアリコット分岐内に分裂試料を作成するための本教示の例示的な方法を図示する。
図12A図12Aは、サブアリコット分岐を充填および洗浄するための本教示の例示的な方法を図示する。
図12B図12Bは、サブアリコット分岐を充填および洗浄するための本教示の例示的な方法を図示する。
図13図13は、本教示に従って実行することができる例示的な分析のためのアッセイワークフロー図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、標準的な実験室用液体取り扱い機器によって外部から作動され得る圧力を使用して、液滴の精密なデバイス上の充填、融合、混合、および分割を提供することができる。本教示の流体デバイスの様々な実施形態は、液滴の充填から液滴の分割までの各工程について、ピコリットルからナノリットルのスケールで、正確かつ精密な液滴体積のデバイス上の操作を提供することができる。本教示の流体要素の様々な実施形態、例えば、これに限定されないが、本教示の流体トラップの様々な実施形態は、制約された測定可能な幾何学形状を有することができ、デバイス上の液体取り扱いプロセスを通して、各液滴体積の正確かつ精密な調整を可能にする。
【0012】
本教示に従って、デバイス上の液体取り扱いは、固体または液体置換を利用する手動または自動ピペッティングシステムなどの、手動または自動標準実験室用液体取り扱い機器を使用して、手動または自動モードで外部から作動させることができ、これは約720トール~約800トールの圧力を提供することができ、1つの標準気圧から約+/-40トールである。本明細書でより詳細に開示されるように、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態に従い、ポートまたはポート間に加えられる圧力は、例えば、流体回路の1つの分岐から流体回路の別の分岐に液体を移動させるための原動力として使用することができる。本教示に従い、デバイス上の液体取り扱いのための原動力は、ポートもしくはポート間に低減された、もしくは負圧を加えることにより、またはポートもしくはポート間に増加した、もしくは正圧を加えることにより、外部から作動され得る。
【0013】
図1は、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態に従う、例示的な流体回路100を図示し、これは、様々な製造プロセスで、多くの異なる材料において形成することができる。本明細書でより詳細に開示されるように、図1の流体回路の様々な実施形態は、液滴のデバイス上での液体取り扱いを提供し、様々な試料調製方法、ならびに様々な分析方法に必要な液滴操作を容易にすることができる。本明細書で使用されるように、別様に指定がない限り、試料は、図1の流体回路100などの、本教示の構成要素の実施形態を利用するデバイスなど、デバイス上に充填できる任意の液体であり得る。いくつかの例示的な試料液体は、標的分析のための試験試料、例えば、緩衝液、希釈剤などの試料調製を含む分析で使用される試薬、もしくはイオン強度またはpHなどの分析条件を調整するために使用される試薬、ならびに、例えば検出に使用される任意の試薬などの、分析に使用される任意の試料液体であり得る。例示的な試験試料は、細胞培養試料、ならびに被験者からの組織試料、腫瘍試料、または血液(もしくは血清または血漿などのその任意の画分)試料を含むことができる。
【0014】
図1の流体回路100は、少なくとも2つの試料捕捉セクションを有することができる試料捕捉分岐10を有することができ、それらのうちの2つは、第1の試料捕捉セクション20および第2の試料捕捉セクション30として図1に図示されている。本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、例えば、1~約10の付加的な試料捕捉セクションのような、付加的な試料捕捉セクションを利用することができる。
【0015】
図1および図2の第1の試料捕捉セクション20は、試料捕捉狭窄チャネル27を介して、試料捕捉バルブ28の出口端部28と流れ連通する出口端部26を伴う試料捕捉トラップ26を有することができる。試料捕捉トラップ26および試料捕捉バルブ28に加えて試料捕捉セクションは、試料捕捉トラップ26の入口端部26と流れ連通する第1の端部、および試料捕捉バルブ28の入口端部28と流れ連通する第2の端部を有することができる試料充填バイパスチャネル25を有することができる。第1の試料捕捉セクション20の試料充填に関して、第1の試料充填チャンバ21は、第1の試料充填チャネル22を介してバイパスチャネル25の第1の端部と流れ連通することができる。付加的に、第1の試料捕捉セクション20は、第2の試料充填チャンバ23を有することができ、これは第2の充填チャネル24を介してバイパスチャネル25の第2の端部と流れ連通することができる。
【0016】
類似の様式で、図1および図2の第2の試料捕捉セクション30は、試料捕捉狭窄チャネル37を介して、試料捕捉バルブ38の出口端部38と流れ連通する出口端部36を伴う試料捕捉トラップ36を有することができる。試料捕捉トラップ36および試料捕捉バルブ38に加えて第2の試料捕捉セクション30は、試料捕捉トラップ36の入口端部36と流れ連通する第1の端部、および試料捕捉バルブ38の入口端部38と流れ連通する第2の端部を有することができる試料充填バイパスチャネル35を有することができる。第2の試料捕捉セクション30の試料充填に関して、第1の試料充填チャンバ31は、第1の試料充填チャネル32を介してバイパスチャネル35の第1の端部と流れ連通することができる。付加的に、第2の試料捕捉セクション30は、第2の試料充填チャンバ33を有することができ、これは第2の充填チャネル34を介してバイパスチャネル35の第2の端部と流れ連通することができる。
【0017】
本明細書でより詳細に開示されるように、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉バルブ28および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉バルブ38は、それぞれ、試料捕捉トラップ26から試料収束チャネル41へ、および試料捕捉トラップ36から試料収束チャネル43への試料液滴移送のプロセスを支援することができる。本明細書でさらに詳細に付加的に開示されるように、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26に試料を充填するための充填工程、または第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36に試料を充填することにおいて、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉バルブ28および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉バルブ38もまた、充填またはプライミングされることに留意すべきである。
【0018】
図1の流体回路100は、試料捕捉分岐10と流れ連通する試料合流分岐40を有することができる。図2に図示されるように、第1の試料収束チャネル41は、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26の出口端部26と流れ連通することができ、一方で第2の試料収束チャネル43は、第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36の出口端部36と流れ連通することができる。第1の試料収束チャネル41および第2の試料収束チャネル43は、試料収束入口チャンバ42と流れ連通することができる。試料収束入口チャンバ42は、試料合流トラップ44と流れ連通する。
【0019】
図1に図示されるように、試料捕捉分岐10および試料合流分岐40に加えて、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、試料合流分岐40および試料のサブアリコット分岐90と流れ連通することができる流量制御分岐50を有することができる。本明細書でより詳細に開示されるように、図1の流量制御分岐50などの流量制御分岐は、試料を各試料捕捉セクションから試料合流分岐の試料合流トラップに移送するプロセス、ならびに合流試料を試料サブアリコット分岐内の各分裂トラップに移送するプロセスの両方で利用することができる。
【0020】
図1の流量制御分岐50は、流量制御バイパスチャネル45を含むことができ、これは試料合流トラップ44と流れ連通する。プリセットの教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態では、流量制御一次チャネル52は、流量制御一次チャネルチャンバ51、ならびに流量制御二次チャネル54と流れ連通することができる。図1に図示されるように、流量制御二次チャネル54は、流量制御二次チャネルチャンバ53と流れ連通することができる。図1の流量制御分岐50は、流量制御バルブ56を含むことができ、これは、流量制御一次チャネル52および流量制御バルブ狭窄チャネル55と流れ連通する。流量制御バルブ56および流量制御バルブ狭窄チャネル55は、合流試料が画定された体積にサブアリコットされ得る、試料サブアリコット分岐に合流試料を移送するプロセスにおいて、流体抵抗を提供することができる。
【0021】
その点に関して、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態では、図1の試料サブアリコット分岐90は、試料サブアリコットチャネル92を介して、流量制御バルブ56および流量制御バルブ狭窄チャネル55と流れ連通することができる。試料サブアリコット分岐90は、少なくとも2つの分裂トラップセクションを有することができ、図1には、第1の分裂トラップセクション70および第2の分裂トラップセクション80として図示される。図5に図示されるように、第1の分裂トラップセクションは、試料サブアリコットチャネル92と流れ連通する入口端部72を有する試料分裂トラップ72を有することができる。第1の分裂トラップセクション70の試料分裂トラップ72は、試料分裂トラップ狭窄チャネル71と流れ連通する出口端部72を有することができる。第1の分裂トラップセクション70の試料分裂トラップ出口チャンバ74は、試料分裂トラップ出口チャンバ狭窄チャネル73を通して、分裂トラップ狭窄チャネル71と流れ連通することができる。同様の様式で、図5に図示されるような第2の分裂トラップセクション80は、試料サブアリコットチャネル92と流れ連通する入口端部82を有する試料分裂トラップ82を有することができる。第2の分裂トラップセクション80の試料分裂トラップ82は、試料分裂トラップ狭窄チャネル81と流れ連通する出口端部82を有することができる。第2の分裂トラップセクション80の試料分裂トラップ出口チャンバ84は、試料分裂トラップ出口チャンバ狭窄チャネル83を通して、分裂トラップ狭窄チャネル81と流れ連通することができる。
【0022】
本明細書でさらに詳細にこの後開示されるように、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26、第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36、試料合流分岐40の試料合流トラップ44、第1の分裂トラップセクション70の試料分裂トラップ72および第2の分裂トラップセクション80の試料分裂トラップ82は、画定された既知の確度および精度の試料体積を提供する測定可能な幾何学形状を有することができる。画定された既知の確度および精度の試料体積を提供するかかる測定可能な幾何学形状は、本教示の様々な構成要素およびデバイスを製造するために使用される、材料およびプロセスの少なくとも一部の機能であり得る。付加的に、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、以前に開示されたもの以外の他の流体的特徴を有することができる。例示的な実施形態における試料捕捉トラップは、1ピコリットル(pl)~100マイクロリットル(ul)、1pl~1ul、10pl~1ul、10pl~100ナノリットル(nl)、100pl~100nl、1nl~1ul、1nl~100nl、10nl~1ul、10nl~250nl、または10nl~100nlを保持することができる。このため、本明細書で提供される方法では、これらの体積を、試料捕捉トラップに充填することができる。例示的な実施形態における試料合流トラップは、試料捕捉トラップの体積の2倍~10倍、または2倍~5倍を保持することができる。例示的な実施形態における試料合流トラップは、1ピコリットル(pl)~250マイクロリットル(ul)、2pl~200ul、2pl~2ul、20pl~2ul、20pl~200nl、200pl~200nl、2nl~2ul、2nl~200nl、20nl~2ul、20nl~500nl、または20nl~200nlを保持することができる。例示的な実施形態における試料分裂トラップは、1/2~1/100、または1/2~1/20、または1/2~1/10、または1/2~1/5、または1/5~1/20の試料捕捉トラップの体積を保持することができる。例示的な実施形態における試料合流トラップは、1ピコリットル(pl)~100マイクロリットル(ul)、または1pl~1ul、2pl~50ul、または10pl~1ul、または10pl~100nl、または100pl~100nl、または1nl~1ul、または1nl~100nl、または10nl~1ul、または10nl~50nl、または10nl~100nlを保持することができる。
【0023】
例えば、図1の流体回路100は、入口端部で試料合流分岐40および流量制御バルブ狭窄チャネル55と、ならびに出口端部で試料サブアリコットチャネル92と流れ連通している混合チャネル60を備えて図示される。本教示の構成要素、デバイス、および方法のいくつかの実施形態に関して、合流した試料が少なくとも2つの分裂トラップでアリコットに分裂される、試料合流トラップおよび試料サブアリコット分岐への試料の移送において、試料混合を効果的に行うことができる。本教示の構成要素、デバイス、および方法の代替的な実施形態では、合流した試料を少なくとも2つの分裂トラップにおいてアリコットに分割される前に、合流した試料を混合チャネルに流すことにより、試料混合を実行することができる。
【0024】
その点に関して、本教示の流体回路の様々な実施形態に関して、試料捕捉分岐10、試料合流分岐40、流量制御分岐50、試料混合チャネル60、および試料サブアリコット分岐90などの流体分岐の様々な組み合わせは、基板内に製造することができる。例えば、流体回路の様々な実施形態は、試料捕捉分岐10、試料合流分岐40、および流量制御分岐50を含む流体回路で、試料充填ならびに合流を提供することができる。流体回路の他の様々な例示的な実施形態は、試料合流分岐40、流量制御分岐50、および試料サブアリコット分岐90を含む流体回路で、試料サブアリコットを提供することができる。さらに、流体回路の様々な例示的な実施形態は、試料捕捉分岐10、試料合流分岐40、流量制御分岐50、および試料混合チャネル60を含む流体回路で、試料合流および試料混合を提供することができる。したがって、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、例示的実施形態では液滴である流体の充填、合流、混合、および分割、ならびにそれらの様々な組み合わせを含むことができる精密なオンデバイス液体取り扱いを提供し得る。
【0025】
図2は、図1の流体回路100などの本教示の流体回路の試料捕捉分岐の拡大上面概略図を図示する。先に本明細書に開示されるように、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉バルブ28および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉バルブ38は、それぞれ、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26から第1の試料収束チャネル41へ、および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36から第2の試料収束チャネル43への流体試料(例えば、液滴)移送のプロセスを支援することができる。第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉バルブ28は、試料捕捉狭窄チャネル27と流れ連通することができる。同様に、第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉バルブ38は、試料捕捉狭窄チャネル37と流れ連通することができる。
【0026】
本教示に従い、試料捕捉バルブと狭窄チャネルとの組み合わせは、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26の出口端部の26、および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36の出口端部の36などの、各試料トラップの出口端部において均一な低圧力を提供するように支援することができる。各試料トラップの出口端部に均一な低圧力を提供することは、試料トラップに充填された各試料を試料合流トラップに同時に移送できるように支援することができる。さらに、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉バルブ28および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉バルブ38などの、充填またはプライミングされたバルブによって提供される流体抵抗は、試料捕捉トラップの画定された体積に対する比率として、試料捕捉バルブの画定された体積によって調整することができる。付加的に、プライミングされた試料捕捉トラップによって提供される流体抵抗と連動して、流体抵抗はまた、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉狭窄チャネル27および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉狭窄チャネル37などの、試料捕捉狭窄チャネルによって提供される。第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉狭窄チャネル27および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉狭窄チャネル37などの試料捕捉狭窄チャネルの流体抵抗は、チャネルの寸法を調整することによって調整することができる。
【0027】
例えば、図1の第1の試料捕捉セクション20または第2の試料捕捉セクション30などの例示的な試料捕捉セクションでは、180μ(ミクロン)の一定の高さで形成される流体特徴について、試料捕捉トラップは、約520μ(ミクロン)の幅、約1mmの長さであり得、一方で試料捕捉バルブは、約520μ(ミクロン)の幅、約520μ(ミクロン)の長さであり得る。そのため、例示的な試料捕捉セクションに関して、試料捕捉トラップ体積の試料捕捉バルブ体積に対する比は、約2:1であり得る。そのような例示的な試料捕捉セクションでは、試料捕捉狭窄チャネルは、約80μ(ミクロン)の幅、および約7mmの長さであり得る。本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態では、試料捕捉トラップ体積の試料捕捉バルブ体積に対する比は、上限で約5:1から下限で約1:1の範囲であり得る。本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態では、試料捕捉狭窄チャネルは、約15μ(ミクロン)~約100μ(ミクロン)の幅、約2mm~約10mmの長さであり得る。原則として、例示的な試料捕捉セクションによって与えられる流体抵抗を提供する、試料捕捉トラップ、試料捕捉バルブ、および試料捕捉狭窄チャネルの寸法における任意の変化は、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態に従って機能すべきある。本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態において処理することができる液体の動的粘度範囲は、20℃で、約1.0×10-3Pas s~約6.0×10-3Pas秒の範囲であり得ることに留意されたい。
【0028】
図2の第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26および第2の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36などの試料捕捉トラップは、試料充填バイパスチャネルと流れ連通することができる。第1の試料充填バイパスチャネル25および第2の試料充填バイパスチャネル35は、420μ(ミクロン)~約620μ(ミクロン)の幅、約5mm~約7mmの長さであり得る。試料充填バイパスチャネルは、第1の試料捕捉セクション20の第1の試料充填チャネル22および第2の充填チャネル24、および第2の試料捕捉セクション30の第1の試料充填チャネル32および第2の充填チャネル34などの、第1の試料充填チャネルおよび第2の試料充填チャネルと流れ連通することができ、これは320μ(ミクロン)~約480μ(ミクロン)の幅、約1.8mm~約2.7mmの長さであり得る。各試料充填チャネルは、第1の試料捕捉セクション20の第1の試料充填チャンバ21および第2の充填チャンバ23、および第2の試料捕捉セクション30の第2の試料充填チャンバ31および第2の充填チャンバ33などの、試料充填チャンバと流れ連通することができ、これは、例えば、約500μ(ミクロン)~約1mmの直径を有することができる。
【0029】
本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態に従って、本教示の試料捕捉分岐の流体特徴の幾何学形状の確度および精度に対する許容差は、10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0030】
図3は、図1の流体回路100などの、本教示の流体回路の試料合流分岐40の拡大上面概略図を図示する。図3に図示されるように、第1の試料収束チャネル41は、第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26の出口端部26と流れ連通し、第2の試料収束チャネル43は、第1の試料捕捉セクション30の試料捕捉トラップ36の出口端部36と流れ連通する。第1の試料収束チャネル41の入口端部において、第1の試料収束チャネル入口狭窄セクション41ri、および第1の試料収束チャネル入口セクション41があり、第1の試料収束チャネル中央セクション41が続き、次いで第1の試料収束チャネル出口セクション41がある。同様に、第2の試料収束チャネル43の入口端部において、第2の試料収束チャネル入口狭窄セクション43ri、および第2の試料収束チャネル入口セクション43があり、第2の試料収束チャネル中央セクション43が続き、次いで第2の試料収束チャネル出口セクション43がある。各収束チャネルは、試料収束入口チャンバ42と流れ連通することができる。試料収束入口チャンバ42は、試料収束入口チャンバ入口端部42および試料収束入口チャンバにおいて試料収束入口チャンバの出口狭窄チャネル42roを有することができる。例示的な実施形態では、図3に図示されるように、試料収束チャネルは、1~12の、または例示的な実施形態では、2~6の屈曲、ループ、またはターンを有することができる。
【0031】
本教示に従って、試料合流分岐40は、試料捕捉トラップ内の各試料を、図3の試料合流トラップ44などの試料合流トラップに、ほぼ同期、同期、ほぼ同時に、または同時の移送を提供することができる。第1の試料収束チャネル入口狭窄セクション41riおよび第2の試料収束チャネル入口狭窄セクション43riは、各試料トラップ内に充填された試料に対して初期流体抵抗を提供することができる。第1の試料収束チャネル入口狭窄セクション41riおよび第2の試料収束チャネル入口狭窄セクション43riは、50μ(ミクロン)~約150μ(ミクロン)、例示的な実施形態では、65μ(ミクロン)~約100μまたは95μ(ミクロン)の幅、約100μ(ミクロン)~約250μ(ミクロン)、および例示的な実施形態では、120μυ(ミクロン)~180μ(ミクロン)の長さであり、長さは通常幅よりも大きいが、試料収束チャネルの全長は、約2.5~約10mm、または例示的な実施形態では、4.5mm~5.5mmである。付加的に、試料収束チャネルは、約100μ(ミクロン)~約200μ(ミクロン)の幅で先細りになり得、例示的な実施形態では、試料収束チャネルの入口セクションにおいて130μμ(ミクロン)~160μ(ミクロン)、約50μ(ミクロン)~約150μ(ミクロン)、例示的な実施形態では、試料収束チャネル中央セクションにおいて95μ(ミクロン)~145μ(ミクロン)、最後に、約25μ(ミクロン)~約125μ(ミクロン)、および例示的な実施形態では、試料収束チャネル出口セクションにおいて65μ(ミクロン)~95μ(ミクロン)である。試料収束チャネルのこのような先細りは、特に、各試料が、図3の試料収束入口チャンバ入口端部42などの、入口端部で試料収束入口チャンバに入る際、試料収束トラップを通して試料捕捉トラップから各試料を同時に移送することを提供することができ、同時に、試料収束入口チャンバの均一な充填を提供することができる。
【0032】
試料収束入口チャンバ42は、約500μ(ミクロン)~約1.5mmの幅、例示的な実施形態では、試料収束入口チャンバ入口端部42の基部において約800μ(ミクロン)~1.2mm、から約25μ(ミクロン)~約75μ(ミクロン)の幅、例示的な実施形態では、収束入口チャンバ入口42の最も狭い部分において、30μ(ミクロン)~50μ(ミクロン)を有することができる。同様に、収束入口チャンバ入口42の最も狭い部分と流れ連通している出口狭窄チャネル42roは、約25μ(ミクロン)~約75μ(ミクロン)の幅を有し、例示的な実施形態では、30μ(ミクロン)~50μ(ミクロン)であり、および約400μ(ミクロン)~約600μ(ミクロン)の長さ、または約425μ(ミクロン)~約500μ(ミクロン)、例示的な実施形態では、450μ(ミクロン)~470μ(ミクロン)を有することができる。試料収束入口チャンバ42の全高は、約1mm~5mmであり得、例示的な実施形態では、2.5mm~3.5mmであり得、そのうち、試料収束入口チャンバ出口狭窄チャネルは、約250μ(ミクロン)~約750μ(ミクロン)の長さ、例示的な実施形態では、350μ(ミクロン)~550μ(ミクロン)であり得る。本教示の図3の流体特徴の幾何学形状の許容差は、10%以内、または例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0033】
図4は、本教示の流体回路の試料合流分岐および流量制御分岐の拡大上面概略図を図示する。本教示に従って、流量制御分岐は、試料捕捉分岐の各試料を合流トラップに移送するプロセスで使用することができ、合流試料を試料サブアリコット分岐に移送するプロセスで使用することができる。
【0034】
図4に図示されるように、試料合流トラップ44は、漏斗状の試料合流トラップ入口端部44および試料合流トラップ出口端部44において、試料合流トラップ狭窄チャネル44roを有することができる。試料合流トラップ出口端部44は、第1の試料混合チャネルセクション入口端部62と流れ連通することができる(図5も参照)。混合チャネルを利用しない本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態について、試料合流トラップ出口端部44は、試料サブアリコットチャネルと流れ連通することができる。最も幅の広い部分において、試料合流トラップ入口端部44は、約250μ(ミクロン)~約600μ(ミクロン)の幅、例示的な実施形態では、320μ(ミクロン)~480μ(ミクロン)であり、試料収束入口チャンバ出口狭窄チャネル42roの幅に向かって漏斗部分で先細りになり得、約10μ(ミクロン)~約75μ(ミクロン)の幅、または例示的な実施形態では、30μ(ミクロン)~50μ(ミクロン)である。漏斗形状の試料合流トラップ入口端部44の長さは、約0.5mm~約2.0mm、または1.0~1.5mm、例示的な実施形態では、1.1mm~1.2mmであり得る。試料合流トラップ44は、約500μ(ミクロン)~約2mmの幅、例示的な実施形態では、800μ(ミクロン)~約1.2mm、および約0.75mm~約2.0mmの長さ、例示的な実施形態では、1.1mm~1.5mmの長さを有することができる。試料合流トラップ入口端部44は、流量制御バイパスチャネル45と流れ連通することができ、約100μ(ミクロン)~約300μ(ミクロン)の幅、例示的な実施形態では、190μ(ミクロン)~210μ(ミクロン)、および約2.5mm~約5.0mmの長さ、例示的な実施形態では、3.2mm~3.8mmの長さを有することができる。試料合流トラップ出口端部44は、試料合流トラップ狭窄路44roと流れ連通することができ、約50μ(ミクロン)~約200μ(ミクロン)の初期の幅を有し、例示的な実施形態では、100μ(ミクロン)~140μ(ミクロン)であり得、約20μ(ミクロン)~約60μ(ミクロン)の幅に、例示的な実施形態では、30μ(ミクロン)~40μ(ミクロン)に先細りし得、150μ(ミクロン)~約250μ(ミクロン)の長さ、および例示的な実施形態では、180μ(ミクロン)~220μ(ミクロン)を有することができる。本教示の図4の流体特徴の幾何学形状の許容差は、10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0035】
図4の流量制御分岐50の流体特徴の寸法に関して、流量制御バイパスチャネル45は、約390μ(ミクロン)~約410μ(ミクロン)の幅、約3mm~約5mmの長さを有することができる、流量制御一次チャネル52と流れ連通している。流量制御一次チャネル52は、約450μ(ミクロン)~約510μ(ミクロン)の幅および約1mm~約2mmの長さを有することができる、流量制御二次チャネル54と流れ連通することができる。流量制御一次チャネルチャンバ51および流量制御二次チャネルチャンバ53は、約500μ(ミクロン)~約1mmの直径を有することができる。流量制御一次チャネル52は、約270μ(ミクロン)~約330μ(ミクロン)の幅および長さを有する、流量制御バルブ56と流れ連通することができる。流量制御バルブ56は、約15μ(ミクロン)~約100μ(ミクロン)の幅および約2mm~約5mmの長さを有することができる流量制御バルブ狭窄チャネル55と流れ連通することができる。流量制御バルブ狭窄チャネル出口端部55は、第1の試料混合チャネルセクション入口端部62と流れ連通することができる。流量制御バルブ狭窄チャネル出口端部55と試料合流トラップ出口端部44との間の距離は、約480μ(ミクロン)~約720μ(ミクロン)とすることができる。本教示の流量制御分岐の幾何学形状に対する許容差は、10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0036】
図5は、本教示の流体回路の試料混合チャネルおよび試料サブアリコット分岐の拡大上面概略図を図示する。試料混合チャネル60は、第1の試料混合チャネルセクション62、第2の試料混合チャネルセクション64、および第3の試料混合チャネルセクション66を有することができる。第1の試料混合チャネルセクション62は、第1の試料混合チャネルセクション入口端部62および第1の試料混合チャネルセクション出口端部62を有することができる。第1の試料混合チャネルセクション入口端部62は、試料流体が混合チャネルに徐々に入るように先細りになっており、これにより、試料混合チャネル内での混合および試料サブアリコット分岐90内での試料流体のトラッピングが、一貫する。第1の試料混合チャネルセクション入口端部62は、初期に、第1の試料混合チャネルセクション62の先細り端部で約35μ(ミクロン)~約45μ(ミクロン)の幅で先細りになっている。試料混合チャネル60は、先細り部分の後約135μ(ミクロン)~約165μ(ミクロン)の幅、および約5mm~約15mmの全長を有することができる。試料混合チャネル60内の蛇行コイルの数は、約2~約6コイルであり得る。本教示の試料混合チャネルの幾何学形状の許容差は、10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0037】
試料混合チャネル60は、試料サブアリコットチャネル92と流れ連通することができる。試料サブアリコットチャネル92は、約190μ(ミクロン)~約210μ(ミクロン)の幅、および約7mm~約8mmの長さを有することができる。図5に図示されるように、試料サブアリコットチャネル92と流れ連通しているのは、第1の分裂トラップセクション70および第2の分裂トラップセクション80である。第1の分裂トラップセクション70は、第1の分裂トラップ72を有することができ、第2の分裂トラップセクション80は、第2の分裂トラップ82を有することができ、各分裂トラップは、315μ(ミクロン)~約385μ(ミクロン)の幅であり、約450μ(ミクロン)~約550μ(ミクロン)の長さであり得る。第1の分裂トラップ72および第2の分裂トラップ82は、それぞれ、第1の分裂トラップ入口端部72、および第2の分裂トラップ入口端部82を有することができ、各入口端部は、約215μ(ミクロン)~約235μ(ミクロン)の幅を有することができる。第1の分裂トラップ72および第2の分裂トラップ82は、それぞれ、第1の分裂トラップ狭窄チャネル71および第2の分裂トラップ狭窄チャネル81と流れ連通することができ、各分裂トラップ狭窄チャネルは、70μ(ミクロン)~約90μ(ミクロン)の幅、および約190μ(ミクロン)~約230μ(ミクロン)の長さであり得る。第1の分裂トラップ狭窄チャネル71および第2の分裂トラップ狭窄チャネル81は、それぞれ、第1の試料分裂トラップ出口チャンバ狭窄チャネル73および第2の試料分裂トラップ出口チャンバ狭窄チャネル83と流れ連通しており、各試料分裂トラップ出口チャンバ狭窄チャネルは、20μ(ミクロン)~約30μ(ミクロン)の幅、および約750μ(ミクロン)~約1.75mmの長さであり得る。第1の分裂トラップチャンバ93、第2の分裂トラップチャンバ95、第1の試料分裂トラップ出口チャンバ74、第2の試料分裂トラップ出口チャンバ84、および試料アリコットチャンバ97は、約500μ(ミクロン)~約1mmの直径を有することができる。第1の分裂トラップチャンバ93および第2の分裂トラップチャンバ95は、それぞれ、第1の分裂トラップチャンバチャネル94および第2の分裂トラップチャンバチャネル96と流れ連通しており、各第1の分裂トラップチャンバチャネルは、190μ(ミクロン)~約210μ(ミクロン)の幅、および約1mm~約2mmの長さであり得る。本教示の試料サブアリコット分岐の流体特徴の幾何学形状の許容差は、10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。
【0038】
本教示に従って、図2図5の様々な流体要素について開示される例示的な寸法について、例示的な高さ寸法は、約160μ(ミクロン)~約200μ(ミクロン)であり得、許容誤差は10%以内であり得、例示的な実施形態では、5%以内であり得る。任意の図の任意の要素を含む、任意の要素について本明細書で提供される任意の寸法は、ある実施形態では10%以内、例示的な実施形態では、指示された測定値の5%以内、または測定範囲の上限もしくは下限の許容範囲を有することができる。
【0039】
図1の流体回路100の様々な実施形態、およびその様々な分岐の組み合わせを使用して導出された流体回路の様々な実施形態は、例えば、これらに限定されるものではないが、様々なソフトリソグラフィーマイクロエンボス技術を使用して製造することができる。本教示によるデバイスの様々な実施形態では、図1の基板15などの基板は、光学的に透過性のポリマーであり得、例えば、約400nm~約800nmの波長範囲にわたる少なくとも約85%~90%の光透過などの良好な光透過を提供する。本教示の流体回路の様々な実施形態の製造のための良好な光透過特性を有するポリマー材料の例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレンポリマー、ポリカーボネートポリマー、およびアクリレートポリマーなどの有機ケイ素ポリマーを含む。本教示に従って、例えば、限定されるものではないが、マイクロミリング、マイクロスタンピング、およびマイクロモールディングを利用する様々な製造マイクロフォーミング方法が、基板材料特性に適合させることができる。
【0040】
図6は、本教示の流体(例えば、液滴)の精密な液体取り扱いのための流体デバイスの斜視図を図示する。図6の流体回路100A1などの流体回路は、線形または2次元アレイなどの様々な配置でパターン化することができる。図6の流体デバイス200について図示されるように、流体回路は、100A1から100F1によって画定される行などの、行および100A1から100A4によって画定される列などの、列によって画定される二次元アレイで図示される。このようなアレイは、様々なマイクロタイタープレートフォーマットなど、生物学的試験でよく知られている他のフォーマットとの統合に役立ち得るが、いずれのタイプの実験プロトコルのために基板上の流体チャンバのいずれの配置も、製造することができる。例えば、アレイは、本明細書で提供される4~256、4~128、4~64、8~48、12~48、または24の流体回路を含むことができる。基板215は、第1の表面を有することができ、その上に、図6の流体デバイス200のカバー220などの、光透過カバーを使用して覆うことができる流体チャンバが製造され、これが光学検出を容易に可能にし得る。「カバー」は、流体デバイスの下部または上部にあり得、このため、デバイスは、図6に示されるようであり得るか、またはカバーが上部にあるように裏返され得ることに注目すべきである。様々な光透過カバーが、図1の流体回路100の基板15および図6の流体デバイス200の基板215の光透過と少なくとも同じ光透過を有することができ、光透過は、約400nm~約800nmの波長範囲にわたって、少なくとも約85%~90%であり得る。図6のカバー220などの様々なカバーは、ガラススライドなどの様々なガラス材料から選択することができ、または図1の流体回路100の基板15および図6の流体デバイス200の基板215に対して好適な、任意の例示的ポリマー材料などの、ポリマー材料であり得、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレンポリマー、ポリカーボネートポリマー、およびアクリレートポリマーなどの有機ケイ素ポリマーを含むことができる。図1の流体回路100および図6の流体デバイス200の様々な実施形態の基板の厚さは、約700μ(ミクロン)~約1300μ(ミクロン)であり得る。
【0041】
本教示の流体回路の様々な実施形態を形成することができる第1の基板表面の反対側で、図6の第2の基板表面212が、基板の本体を通して製造された、様々なポートを有することができ、図6の代表的な流体回路100A1で図示されるように、本教示の流体回路の様々な下部構造体に外部流れ連通を提供し、その中の、図1の流体回路100などの代表的な流体回路が、図7に拡大斜視図で示されている。例えば、図1の試料捕捉分岐10などの試料分岐のための外部流れ連通に関して、図6および図7の第1の試料捕捉セクション充填ポート121は、図1の第1の試料捕捉セクション20の第1の試料充填チャンバ21に外部流れ連通を提供することができ、一方で図6および図7の第1の試料充填ポート131は、図1の第2の試料捕捉セクション30の第1の試料充填チャンバ31に外部流れ連通を提供することができる。同様に、図6および図7の第2の試料充填ポート123は、図1の第1の試料捕捉セクション20の第2の試料充填チャンバ23に外部流れ連通を提供することができ、一方で図6および図7の第2の試料充填ポート133は、図1の第2の試料捕捉セクション30の第2の試料充填チャンバ33に外部流れ連通を提供することができる。図1の流量制御分岐50などの流量制御分岐のための外部流れ連通に関して、図6および図7の流量制御ポート151は、図1の流量制御分岐50の流量制御一次チャネルチャンバ51に外部流れ連通を提供することができ、それにより流量制御一次チャネル52に外部流れ連通を提供する。同様に、図6および図7の流量制御ポート153は、図1の流量制御分岐50の流量制御二次チャネルチャンバ53に外部流れ連通を提供することができ、それにより流量制御二次チャネル54に外部流れ連通を提供する。図1の試料サブアリコット分岐90などの試料サブアリコット分岐のための外部流れ連通に関して、分裂トラップチャンバポート193は、図1の試料サブアリコット分岐90の第1の分裂トラップチャンバ93に外部流れ連通を提供することができる。同様に、分裂トラップチャンバポート195は、図1の試料サブアリコット分岐90の第2の分裂トラップチャンバ95に外部流れ連通を提供することができる。最終的に、試料アリコットポート197は、図1の試料アリコット分岐90の試料アリコットチャンバ97に外部流れ連通を提供することができる。さらに、図には示されていないが、分裂トラップ出口チャンバポート174および184は、それぞれ、分裂トラップ出口チャンバ74および84に外部流れ連通を提供することができる。
【0042】
本教示に従って、デバイス上の液体取り扱いは、標準的な実験室用液体取り扱い機器を使用して、手動または自動モードで外部から作動させることができる。本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態に従って、ポートに、またはポート間に加えられる圧力は、例えば、流体回路の1つの分岐から流体回路の別の分岐に液体を移動させるための原動力として使用することができる。本教示に従い、デバイス上の液体取り扱いのための原動力は、ポートまたはポート間に低減された、または負圧を加えることにより、もしくはポートまたはポート間に増加した、または正圧を加えることにより、外部から作動され得る。定義による完全な真空が、圧力の欠如、例えば0トールであり、1つの標準気圧が、例えば760トールであるとすると、負圧が、例えば760トール未満の減少した圧力であり、正圧が、例えば760トールを超える増加した圧力である。その点に関して、本教示の構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態のデバイス上の液体取り扱いは、固体または液体置換を利用する手動または自動ピペッティングシステムなどの、手動または自動標準実験室液体取り扱い機器を使用して、外部から作動させることができ、これは約720トール~約800トールの圧力を提供することができ、1つの標準気圧から約+/-40トールである。
【0043】
図8A図12Bは、概して、本教示の流体構成要素およびデバイスの実施形態を使用するための様々な例示的な方法を示す。図8A図12Bについて、黒いチャンバは、開いている外部ポートと流れ連通しているチャンバを表現し、白いチャンバは、閉じている外部ポートと流れ連通しているチャンバを表現する。
【0044】
図8Aおよび図8Bは、概して、その中で試料捕捉セクションの試料捕捉トラップおよび試料捕捉値が、充填される、試料充填に関する本教示の例示的な方法を示す。図8Aでは、第1の試料は、第1の試料捕捉セクション20の第1の試料充填チャンバ21または第1の試料捕捉セクション20の第2の試料充填チャンバ23のいずれかに送達され、第1の試料充填バイパスチャネル25を完全に充填し、ならびに第1の試料捕捉トラップ26および第1の試料捕捉バルブ28を充填することができる。同様に、第2の試料は、第2の試料捕捉セクション30の第1の試料充填チャンバ31または第2の試料捕捉セクション30の第2の試料充填チャンバ33に送達され、第2の試料充填バイパスチャネル35を完全に充填し、ならびに第2の試料捕捉トラップ36および第2の試料捕捉バルブ38を充填することができる。図8Bでは、試料捕捉トラップが充填され、試料捕捉バルブが充填またはプライミングされたまま、過剰な試料が、バイパスチャネルから除去され得る。その点に関して、過剰な第1の試料は、第1の試料捕捉トラップ26が充填され、第1の試料捕捉バルブ28が充填またはプライミングされたまま、第1の試料捕捉セクション20の第1の試料充填チャンバ21または第1の試料捕捉セクション20の第2の試料充填チャンバ23のいずれかを通して、第1試料捕捉セクション20の第1の試料充填バイパスチャネル25から除去することができる。同様に、過剰な第2の試料は、第2の試料捕捉トラップ36が充填され、第2の試料捕捉バルブ38が充填またはプライミングされたまま、第2の試料捕捉セクション30の第1の試料充填チャンバ31または第2の試料捕捉セクション30の第2の試料充填チャンバ33のいずれかを通して、第2の試料捕捉セクション30の第2の試料充填バイパスチャネル35から除去することができる。前述のように、試料捕捉トラップおよび試料捕捉バルブを充填するためのすべての工程は、手動または自動モードで実行でき、第1または第2の充填チャンバからの試料の順次または同時の充填または除去を提供する。
【0045】
図9Aおよび図9Bは、概して、図8Aおよび図8Bについて本明細書で先に開示されたように充填された第1および第2の試料から合流試料を形成するための本教示の例示的な方法を示す。図9Aでは、他のすべての外部ポートを閉じた状態で、約1トール~約40トールの減圧または負圧を、他のすべての外部ポートを閉じた状態で図7の流量制御ポート151に加えることができ、第1の試料捕捉トラップ26からの第1の試料を第1の試料収束チャネル41に引き込み、および第2の試料捕捉トラップ36からの第2の試料を第2の試料収束チャネル43に引き込み、次いで試料収束入口チャンバ42に引き込む。第1の試料捕捉バルブ28および第1の試料捕捉狭窄チャネル27は、第1の試料収束チャネル41と流れ連通している。同様に、第2の試料捕捉バルブ38および第2の試料捕捉狭窄チャネル37は、第2の試料収束チャネル43と流れ連通している。本明細書で先に開示されたように、試料捕捉バルブおよび試料捕捉狭窄チャネルは、第1の試料収束チャネルを通る、第1の試料捕捉トラップからの第1試料、および第2の試料収束チャネルを通る第2の試料捕捉トラップからの第2試料の、試料収束入口チャンバへの同時移送のプロセスを支援する流体抵抗を提供することができる。図9Bでは、第1の試料および第2の試料から形成された合流試料は、試料収束入口チャンバ42から試料合流トラップ44に完全に移送されたところが示される。
【0046】
図10Aおよび図10Bは、概して、図10Aおよび図10Bの流量制御バルブ56などの流量制御バルブをプライミングするための本教示の例示的な方法を示す。図10Aでは、例えば、限定されるものではないが、脱イオン水、緩衝液、または他の希釈剤などのプライミング液を用いて、流量制御二次チャネル54に流れ込むまで、流量制御一次チャネルチャンバ51および流量制御一次チャネル52に充填することができる。図10Bでは、過剰なプライミング液が流量制御一次チャネル52および流量制御二次チャネル54から除去された後、流量制御分岐50は、試料合流トラップ44内の合流試料をサブアリコット分岐に移送するプロセスのために有効にされる。
【0047】
図11Aおよび図11Bは、概して、試料合流トラップ内の合流試料を、混合チャネルを通してサブアリコット分岐に移送するための本教示の例示的な方法を示す。図11Aに図示されるように、図10Aおよび図10Bについて記載されたように流量制御バルブ56がプライミングされた後、約1トール~約40トール増加した圧力または正圧が、図7の試料サブアリコットポート197に加えられ得、一方で図7の流量制御ポート151は開き、他のすべての外部ポートが閉じて、合流トラップ44内の合流試料を試料混合チャネル60の第1の試料混合チャネルセクション62、および第2の試料混合チャネルセクション64に引き込む。本明細書で先に開示されたように、流体構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態では、合流分岐で起こり得る混合が、十分であり得る一方で、流体構成要素、デバイス、および方法の他の実施形態では、混合チャネル60は、均質な合流試料を提供する必要があり得る。図11Aには示されていないが、試料サブアリコット分岐を通して試料サブアリコットチャンバに引き込まれた合流試料は、サブアリコット分岐の各試料分裂トラップを充填することができ、ならびに試料のサブアリコットチャネルの少なくとも一部を充填することができる。図11Bに図示されるように、過剰な合流試料のすべてを試料サブアリコットチャネル92から除去した後、試料分裂トラップ72および試料分裂トラップ82は、合流試料の画定された部分で充填される。
【0048】
図12Aおよび図12Bは、概して、サブアリコット分岐を充填および洗浄するための本教示の例示的な方法を示す。図12Aでは、図7の試料サブアリコットポート197および図7の分裂トラップチャンバポート193が開いた状態で、試験試料、検出試薬などの試薬溶液、または洗浄溶液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝液は、試料サブアリコットポート197を通して送達されて、分裂トラップチャンバ93と試料サブアリコットチャンバ97との間のサブアリコット分岐90のセクションを充填することができる。図12Bでは、約1トール~約40トールの減圧または負圧が、図7の試料サブアリコットポート197に加えられ得、一方で図7の分裂トラップチャンバポート193が開き、他の全ての外部ポートが閉じられ、サブアリコット分岐90から充填または洗浄溶液を引き込み、第1の分裂トラップセクション70の分裂トラップ72および第2の分裂トラップセクション80の分裂トラップ82を、充填または洗浄溶液で充填したままとする。図12Aおよび図12Bは、分裂トラップチャンバ93と試料サブアリコットチャンバ97との間のサブアリコット分岐90からのセクション全体の充填および洗浄を図示するが、第1の分裂トラップセクション70の分裂トラップ72および第2の分裂トラップセクション80の分裂トラップ82などの各分裂トラップは、別個に充填または洗浄され得る。例えば、第1の分裂トラップセクション70の分裂トラップ72は、図7の分裂トラップチャンバポート193および分裂トラップチャンバポート195を使用して、図12Aおよび図12Bに開示される例示的な方法を適用することによって、充填または洗浄することができる。同様に、第2の分裂トラップセクション80の分裂トラップ82は、図7の分裂トラップチャンバポート195およびサブアリコットポート197を使用して、図12Aおよび図12Bに開示される例示的な方法を適用することによって、充填または洗浄することができる。
【0049】
図8A図12Bによって例示される様々な液体取り扱いプロセスに加えて、本教示の流体構成要素、デバイス、および方法の様々な実施形態は、様々な生物学的アッセイおよび製薬分析に使用することができる。
【0050】
生物学的および生化学的用途
【0051】
本明細書で提供される流体デバイスは、2つの試料が合流され、および/または試料(例えば、合流した試料)が、サブアリコットされる、任意の生物学的または生化学的方法で使用することができる。当業者は、そのような方法が多数存在することを認識するであろう。したがって、本明細書で提供される流体デバイスの試料捕捉トラップおよび/または試料分裂トラップに多数の試料を送達することができる。かかる試料は、核酸試料、タンパク質試料、炭水化物試料、緩衝液、試薬、小さい有機候補薬物化合物などの有機化合物、またはこれらと他の生化学物質の混合物である生物学的試料などの組み合わせを含むことができる。かかる生物学的試料は、非限定的な例として、例えば、血漿または血清、組織、腫瘍生検、痰、脳脊髄液、および細胞培養上清などの血液またはその断片を含むことができる。加えて、かかる生物学的または生化学的方法で使用される試薬も含む。かかる生物学的または生化学的方法は、例えば、サンドイッチイムノアッセイ、試料調製法、核酸の単離および/または精製、細胞培養および画像化、核酸アッセイ、医薬品候補試験、または抗薬物抗体(ADA)アッセイを含む、イムノアッセイ(例えば、ELISA)などの免疫学的方法を含むことができる。
【0052】
ある実施形態では、本明細書で提供される流体デバイスを使用する生物学的アッセイの実施のために、光学検出システムなどの検出システムは、試料分裂トラップと光学的に連通することができる。かかる実施形態の場合、光学検出システムが光学的に連通しているデバイスカバーは、理想的には透明、例えば、透明なガラスまたは透明なプラスチックである。
【0053】
ある実施形態では、第1の分裂トラップおよび第2の分裂トラップを充填することができ、かかるトラップの表面は、第1の試験試料および第2の試験試料でコーティングされる。標的抗体または抗原が、例えば、そのような第1の試験試料または第2の試験試料中に存在する場合、第1の分裂トラップおよび第2の分裂トラップの表面をコーティングすることができる。次いで、コーティングされた分裂トラップを、任意に、PBSなどの緩衝液、またはイムノアッセイで使用される任意の緩衝液ですすぐことができ、その後分裂トラップの表面を、当技術分野で既知のイムノアッセイ遮断試薬で遮断することができる。次いで、第1の被験者からの血液(またはその一部、例えば、血漿または血清)などの第1の試験試料、および第2の被験者からの血液試料であり得る、または非限定的な例では、制御試料であり得る、第2の試験試料は、コーティングされた分裂トラップに送達され、インキュベートされ得る。任意に、別の後退が、コーティングされた分裂トラップに送達され、インキュベートされる場合もある。次いで、コーティングされた抗体または抗原に結合した試験試料内の構成要素(存在する場合)に結合する抗体または抗原が、コーティングされた分裂トラップに送達される。図11Bおよび図12に示されるように、分裂トラップおよび関連付けられた流体トラップセクション内のこの流体処理は、分裂トラップチャンバを通して分裂トラップに試料を送達することによって達成することができる。
【0054】
別の非限定的な例として、本明細書に提供される流体装置を使用して、ADAアッセイを実施することができる。当業者は、本明細書に提供される流体デバイスが、ADAアッセイを実行するために様々な方法で使用され得ることを理解するであろう。非限定的な例として、生物療法用抗体などの生物療法用薬物が、第1の分裂トラップに送達され得、対照抗体が、分裂トラップポートを通して、本明細書で提供されたマイクロ流体デバイス上のマイクロ流体回路のアレイの各分裂トラップチャンバに試料を送達することにより、第2の分裂トラップに送達され得る。生物療法用抗体および対照抗体(使用する場合)は、分裂トラップ内でインキュベートされて、生物療法用抗体および対照抗体が、分裂トラップの表面をコーティングすることを可能にし得る。
【0055】
ADAアッセイのさらなる工程として、生物療法用抗体が投与された被験者からの血清試料は、ADAアッセイで理解されるように、各々酸性試薬と混合され、酸性化された血清試料は、各々第1の試料充填ポートを通して、第1の試料充填チャンバに酸性化された血清試料を送達することにより、マイクロ流体デバイス上の異なるマイクロ流体回路の第1の試料捕捉トラップに送達される。生物医薬品抗体を認識する蛍光標識抗体を備えるpH中和試薬は、検出試薬と称され、第2の試料充填ポートを通して、第2の試料充填チャンバに検出試薬を送達することにより、第2の試料捕捉トラップの各々に加えられる。試料捕捉トラップは、図8Aおよび図8Bで、本明細書で提供されるような方法工程を使用して、充填される。各第1の試料捕捉トラップ内の捕捉された酸性化血清試料液滴および各第2の試料捕捉トラップ内の検出試薬の捕捉された液滴は、試料合流トラップに送達され、そこで合流して、図9Aおよび図9Bに提供される方法工程を使用して、合流試料液滴を形成する。次いで、各流量制御バルブは、図10Aおよび図10Bに示される方法を使用してプライミングされる。次いで、各合流試料液滴は、試料混合チャネルに移動され、図11Aに示されるように、そこで混合され、混合された合流試料液滴は、上記のように、それぞれ、生物医薬品抗体および対照抗体でコーティングされた第1の分裂トラップと第2の分裂トラップにサブアリコットされる。第1の分裂トラップおよび第2の分裂トラップに到達する前に、合流した試料液滴のpHは、抗体が、酸性化した血清の試料液滴とpH中和をする検出試薬の混合に起因して、それらの同種抗原と結合するpHまで増加される。抗薬物抗体が被験者の血清試料中に存在する場合、それは、第1の分裂トラップの分裂トラップ表面上に固定化された生物療法抗体に結合するが、第2の分裂トラップの対照抗体でコーティングされた表面には結合しないはずである。次いで、分裂トラップを、すすぎ、緩衝液で補充する。次いで、光源からの光が、流体回路のアレイの第1の分裂トラップおよび第2の分裂トラップに、スキャン方式か、または同時のいずれかで通され、蛍光検出器によって蛍光が検出される。対照抗体でコーティングされた試料分裂トラップではなく、生物医薬品でコーティングされた試料分裂トラップからの正の蛍光は、そのマイクロ流体回路に加えられた被験者試料中の抗薬物抗体の存在を示す。
【0056】
別の非限定的な例では、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイスは、次世代(すなわち、大規模並列)シーケンスワークフローで1つ以上の試料調製工程を実行するために使用され得る。例えば、複数の試料は、各々、本明細書で提供されるマイクロ流体デバイス上のアレイとしてパターン化された、本明細書で提供される異なるマイクロ流体回路内で別々に処理することができる。例えば、異なる被験者からの核酸試料が、断片化され、リン酸化される。次いで、核酸試料は、各々、第1の試料充填ポートを通して第1の試料充填チャンバに核酸試料を送達することにより、マイクロ流体デバイス上の異なるマイクロ流体回路の第1の試料捕捉トラップに送達される。Yアダプタライゲーション試薬と称される、核酸Yアダプタおよびライゲーション試薬を含む試薬が、第2の試料充填ポートを通して、第2の試料充填チャンバにYアダプタライゲーション試薬を送達することにより、第2の試料捕捉トラップの各々に加えられる。試料捕捉トラップは、図8Aおよび図8Bで、本明細書で提供されるような方法工程を使用して、充填される。各第1の試料捕捉トラップ内の捕捉された核酸試料液滴および各第2の試料捕捉トラップ内のYアダプタライゲーション試薬の捕捉された液滴は、試料合流トラップに送達され、そこで合流して、図9Aおよび図9Bに提供される方法工程を使用して、合流試料液滴を形成する。次いで、各流量制御バルブは、図10Aおよび図10Bに示される方法を使用してプライミングされる。次いで、各合流試料液滴は、試料混合チャネルに移動され、そこで図11Aに示されるように混合され、混合された合流試料液滴は、各々が標的増幅のためのプライマー対の異なるセットを含有する複数の分裂トラップにサブアリコットされて、分裂トラップの各々内に複数の標的増幅反応混合物を作成する。次いで、標的の増幅反応混合物は、ピペッタを使用して、トラップから引き出すことによって、分裂トラップから除去されて、典型的には流体デバイス上の他のすべてのポートを閉じた後に、分裂トラップの各々と流れ連数する出口チャンバ(例えば、図1の分裂トラップ出口チャンバ74および84)と流れ連通するポートを通して負圧差を作り出すことができる。かかる方法は、各分裂トラップ内の流体体積を引き出すのに十分に小さいピペットを使用することによって促進され、これは例示的な実施形態では、35nlであり、例えば、20nl~250nl、25nl~200nl、30nl~100nl、または30nl~50nlであり得る。増幅反応混合物(または分裂トラップ内に捕捉された任意の液体)をデバイスから除去する方法の別の例として、分裂トラップ内の液体の体積よりも大きい最小容量を有するピペッタの場合の実施例において、分裂トラップ出口チャンバ(例えば、74、84など)と流れ連通しているポート、および分裂トラップチャンバ93と流れ連通しているポートを除いて、図1の流体デバイス上の全てのポートを閉じて、分裂トラップ72から内容物を除去し、もしくは分裂トラップチャンバ95またはサブアリコット出口チャンバ97と流れ連通するポートを閉じて、分裂トラップ84から内容物を除去し、デバイスにピペットで移された内容物が他のサブアリコットトラップと混合しないことを確実とするのに役立てることができる。次いで、緩衝液または水などの少量(例えば、1ul、2ul、5ul、1ul~5ul、または1ul~10ul)の液体を、分裂トラップと流れ連通している出口チャンバと流れ連通するポートを通して、ピペッタで分裂トラップに加えて、分裂トラップの流体内容物と混合することができ、次いで、加えられた液体および分裂トラップ内容物の混合物は、ピペッタを使用して同じポートを通してデバイスから引き出すことができる。一度デバイスから引き出されると、増幅反応混合物は、次いで、マイクロタイタープレートのウェルにピペットで移して、処理された試料上でシーケンス反応を実行する前に、増幅反応および/または他の次世代シーケンス処理を実行することができる。代替的に、等温増幅反応を、分裂トラップ内で実行してから、増幅産物を、上記のように分裂トラップから除去して、次世代(例えば、大規模多重化)シーケンスワークフローでさらに処理することができる。
【0057】
さらなる考察および実施形態
【0058】
本教示の例示的な実施形態は、受動的液滴合流およびかかる合流液滴の分裂における第2相非混和性流体としての油の必要性を軽減し、このため、油自体からの汚染の可能性を緩和し、ならびに受動的な液滴合流および分裂中に必要な複雑さ、時間、およびリソースを低減させる。本明細書で提供される流体構成要素、回路、およびデバイスの例示的な実施形態は、制御された汚染物質のない環境で、外部の電気、磁気、または音響駆動力を使用せずに、2ピコリットルおよび/またはナノリットルスケールの液滴を融合することが可能である。さらに、例示的な実施形態に含まれる受動流体バルブは、液滴の適切な制御および操作のための外部バルブの導入の複雑さを低減させる。
【0059】
例示的な態様では、本明細書で提供されるのは、液滴を操作する(例えば、液滴の充填、融合、混合、および/または分割、ならびにそれらの様々な組み合わせ)ために効果的な、流体回路、流体構成要素、またはそれらを備える流体デバイス、もしくは流体回路、流体構成要素、または流体デバイスを使用する方法である。例示的な実施形態では、流体構成要素、流体回路、もしくはそれらを備える流体デバイス、またはそれらを使用する方法は、第1の液体試料の一部分および第2の液体試料の一部分を、合流試料に融着させるために有効および/または適合される。さらに、ある実施形態では、流体回路、流体構成要素、流体デバイス、またはそれらを使用する方法は、合流試料を混合することに有効および/もしくは適合し、ならびに/または合流試料を複数のサブアリコットへ分離することに有効および/または適合している。
【0060】
したがって、合流およびサブアリコット機能を含む実施形態に関して、かかる構成要素、回路、およびデバイスは、それぞれ、液滴合流および分裂構成要素、回路、またはデバイスと称することができる。本明細書で提供されるかかる流体構成要素、流体回路、または流体デバイスは、非混和性相(例えば、油を含む非混和性相)を使用せずに、融着および分離(典型的にはサブアリコット)を行うのに典型的には効果的である。図1図6は、そのような流体構成要素および流体回路の非限定的な例を示す。図6図7は、そのような流体デバイスの非限定的な実施例を示す。図1図7に示される要素のいずれかについての特定の構造、ならびにそれらの構造に対して開示された例示的な寸法および関連付けられた体積は、限定されるものではないが、直下のセクション内のような、任意の図を明示的に表さない章において、本明細書に提供された例示的な実施形態および態様内で提供される構成要素、回路、およびデバイスの他の構造に対するより一般的な教示のいずれかと別個に組み合わせることができる。
【0061】
本明細書で提供される例示的な実施形態では、流体回路、およびそれを備える流体構成要素または流体デバイスは、例えば、電子ピペッタまたはシリンジポンプであり得る、例えば、標準的な実験室用マイクロピペッタなどの、標準的な実験室用液体取り扱い機器によって提供されるものなどの静水圧差によって駆動され得る、少なくとも1つ、典型的には複数のバルブを含む。したがって、例示的な実施形態では、電気的、磁気的、または音響的方法などの外力駆動方法は、流体構成要素、流体回路、または流体デバイス内で液滴を移動させるために使用されず、流体構成要素の例示的な実施形態、本明細書の流体回路および流体デバイスの実施形態では、これらのタイプの力駆動型の方法を実行するための特殊な構造は含まれない。むしろ、静水圧差は、例示的な実施形態で使用される。さらに、例示的な実施形態では、外部バルブは、流体構成要素、流体回路、または流体デバイス内に含まれない。
【0062】
したがって、本明細書の1つの例示的な態様は、少なくとも2つの試料捕捉セクションを含む試料捕捉分岐であって、各試料捕捉セクションは、試料捕捉トラップを備え、任意に、各試料捕捉トラップは、試料捕捉バルブ、試料捕捉狭窄チャネル、試料充填バイパスチャネル、および第1の試料充填チャンバと関連付けられる、試料捕捉分岐と、少なくとも2つの試料捕捉セクションの各々の試料捕捉トラップと流れ連通している合流トラップを備える試料合流/流量制御分岐であって、任意で、試料合流トラップは、流量制御バルブ、流量制御バルブ狭窄チャネル、流量制御バイパスチャネル、および流量制御一次チャネルチャンバと関連付けられる、試料合流/流量制御分岐と、を含む、流体回路(およびそれを含む流体構成要素と流体装置)を提供する。
【0063】
流体構成要素のある実施形態では、流体回路は、流量制御一次チャネルチャンバに圧力を加えることにより、圧力差を試料捕捉分岐に加えることができるように構成される。ある実施形態では、試料捕捉分岐は、圧力差が、試料捕捉トラップ、試料捕捉バルブ、関連付けられた試料捕捉狭窄チャネルに加えられると、少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%の流体が流出し、および/または試料捕捉トラップから強制的に出され、および/または押出され、ある例示的な実施形態では、10%、5%、1%、または0.1%未満の流体が流出し、および/または試料捕捉バルブから強制的に出され、および/または押出される。ある実施形態では、試料捕捉トラップと試料合流トラップとの間の流路に付加的なトラップはない。ある実施形態では、流体回路は、1つ以上のトラップ、関連付けられた狭窄チャネル、および流体チャネル内のバルブのいずれかに静水圧差を加えることができるように構成されており、そのため流体が、静水圧差の適用の際、トラップから強制的に出される。ある実施形態では、流体回路は、液滴合流(すなわち、液滴融合)効率が、少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%、もしくは90%~100%、95%~100%、95%~99%、98%~99%、または99%~100%であるように構成される。
【0064】
ある流体構成要素の実施形態では、流体回路は、試料合流トラップと流れ連通する試料サブアリコット分岐をさらに備え、試料サブアリコット分岐が、少なくとも2つの分裂トラップセクションを備え、各分裂トラップセクションが、試料分裂トラップを備える。例示的な実施形態では、各試料分裂トラップは、試料分裂トラップ狭窄チャネルと関連付けられ、さらなる実施形態では、試料分裂トラップ出口チャンバと関連付けられる。例示的な実施形態では、試料サブアリコット分岐は、試料サブアリコットチャンバをさらに備える。ある実施形態では、流体回路は、サブアリコット(すなわち、分割)効率が、少なくとも90%、95%、96%、97%、または98%、もしくは90%~98%、95%~98%、または96%~98%であるように構成される。
【0065】
流体構成要素のある実施形態では、流体回路は、試料合流分岐および試料サブアリコット分岐と流れ連通している、試料混合チャネルをさらに備える。例示的な実施形態では、試料混合チャネルは、例えば、2~12の蛇行コイルなど、少なくとも2つの完全な蛇行コイルを有する。ある実施形態では、流体回路は、分割効率が90%または91%、もしくは、少なくとも75%、80%、85%、90%、または91%、もしくは80%~90%、80%~91%、85%~90%、90%~91%であるように構成される。
【0066】
本明細書の流体デバイスの例示的な実施形態は、直前の流体回路態様を含み、流体デバイスは、流体チャネルの1つ以上のチャンバと流れ連通する1つ以上のポートをさらに備える。例示的な実施形態では、流体デバイスは、複数のポートを備え、各ポートは、流体回路内のチャンバの1つと流れ連通している。
【0067】
さらなる例示的な実施形態では、流体回路、およびそれを備える流体構成要素ならびに流体デバイスは、それらの変形であり、例えば、任意の個々の要素内で組み合わされ得、または、例えば直前のセクションにおける態様および実施形態を含む、本明細書の他の態様を有する要素の組み合わせは、第1および第2の液体試料をそれぞれ受容するために、第1および第2の試料捕捉セクションの各々の第1の試料充填チャンバを含む。典型的には、本明細書の流体デバイスでは、かかる試料充填チャンバは、ポートを通して充填される。試料充填チャンバは、一連の流体トラップの入口と流れ連通しており、各流体トラップは、狭窄チャネルの入口(毛細血管狭窄チャネルとも称される場合があり、典型的に直径が、接続されているトラップの直径の半分未満であり、特定の例示的な実施形態では、疎水性である)、バイパスチャネル、流体バルブ、およびチャンバと関連付けられ、流れ連通する。トラップおよび関連付けられた狭窄チャネルならびにバルブの構造は、トラップおよび関連付けられたバルブが流体で充填されるとき、トラップの抵抗が関連付けられたバルブおよび関連付けられた狭窄チャネルの合計抵抗よりもはるかに小さくなるようになっている。このため、圧力差がトラップおよび関連付けられたバルブならびに狭窄チャネルに加えられるとき、流体は、トラップから引き出されるが、バルブからは引き出されない(および典型的に、関連付けられたチャンバを有する流体構成要素または回路の次のトラップに引き込まれ、それを通してより低い圧力差が加えられる)。ある実施形態では、流体構成要素、流体回路、または流体デバイスの動作中に異なるチャンバが開閉されて、液滴の移動を強制するために、異なるトラップおよびバルブで圧力差を生成することが可能である。各試料充填チャンバの出口は、試料捕捉トラップの入口と隣接して流れ連通しており、各試料捕捉トラップの出口は、同じ試料合流トラップの同じ入口と隣接して流れ連通している。「隣接する流れ連通」にあると言われるトラップ間の流体経路内に位置付けられる付加的なトラップはない。例示的な実施形態では、収束チャネルは、試料捕捉トラップと試料合流トラップとを接続する。さらなる例示的な実施形態では、収束チャネルは、蛇行構成を有する。ある例示的な実施形態では、収束チャネルと試料合流トラップとの間に、本明細書の図に示されているような、試料収束入口チャンバがある。例示的な実施形態における収束チャネルは、本明細書の図に示される構成を有する。
【0068】
ある例示的な実施形態では、本明細書の図に示されるように、試料合流トラップは、関連付けられた流量制御バルブ、流量制御バルブ狭窄チャネル、流量制御一次チャネルチャンバ、および流量制御バイパスチャネルを有する。ある例示的な実施形態では、流体構成要素、流体回路、およびそれらを備える流体デバイスは、各々が試料分裂トラップを含む、少なくとも2つの分裂トラップセクションをさらに含み、その各々は、典型的に試料サブアリコットチャネルを通して、試料合流トラップの出口で試料合流トラップと流れ連通している。サブアリコットチャネルは、典型的に、試料合流トラップに最も近い端部の反対側のサブアリコットチャネルの端部において試料サブアリコットチャンバを含む。試料分裂トラップは、各々典型的に、関連付けられた試料分裂トラップ狭窄チャネル、試料分裂トラップ出口、および試料分裂トラップチャンバを有する。しかしながら、分裂トラップは、典型的に関連付けられたバルブは含まない。
【0069】
ある例示的な実施形態では、流体回路、または流体構成要素、またはそれらを備える流体デバイスは、混合チャネルの入口を通る試料合流トラップの出口、および混合チャネルの出口端部を通る試料分裂トラップの入口の両方と流れ連通し、典型的には、隣接して流れ連通する混合チャネルをさらに含む。混合チャネルは、典型的には直線チャネル以外で構成される試料混合セクションを含み、そのため乱流を作り出し、それによりそこを通過する液体の混合を作り出す。例示的な実施形態では、試料混合セクションは、蛇行構成を有し、例えば、少なくとも2つの完全な蛇行コイルを含むことができる。
【0070】
ある例示的な実施形態において、流体回路は、合流、混合、および/またはサブアリコットが5秒以内に実行することができるように構成される。いくつかの実施形態では、流体回路は、混合が、5、4、3、または2秒以内に実行することができるように構成される。いくつかの実施形態では、流体回路は、サブアリコット(すなわち、分割)が、5、4、3、2、または1秒以内に起こり得るように構成される。
【0071】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、流体回路を備える流体構成要素であって、
a.少なくとも2つの試料捕捉セクションを備える試料捕捉分岐であって、各試料捕捉セクションが、試料捕捉トラップを備える、試料捕捉分岐と、
b.試料合流分岐であって、
i.少なくとも2つの試料捕捉セクションの各々の試料捕捉トラップと流れ連通している合流トラップ、
ii.試料捕捉トラップの各々と流体連通している、少なくとも2つの試料チャネル、任意に、試料収束チャネル、
iii.少なくとも2つの試料チャネルの各々と流れ連通している試料収束入口チャンバ、および
iv.試料合流トラップであって、収束入口チャンバが、収束入口チャンバ入口から試料合流トラップと流体連通している出口狭窄チャネルまで幅が収束する、試料合流トラップを備える、試料合流分岐と、を備える、流体構成要素。
【0072】
流体回路を含む、本明細書で提供される多くの態様に関するいくつかの実施形態では、流体回路が、試料合流トラップと流れ連通している試料サブアリコット分岐をさらに備え、任意に試料サブアリコット分岐が、少なくとも2つの分裂トラップセクションを備え、各分裂トラップセクションが、試料分裂トラップ狭窄チャネルと関連付けられている試料分裂トラップ、および試料分裂トラップ出口チャンバを備える。
【0073】
流体回路を含む、本明細書で提供される多くの態様に関するいくつかの実施形態では、流体回路は、試料合流分岐および試料サブアリコット分岐と流れ連通している、試料混合チャネルをさらに備える。
【0074】
流体回路を含む、本明細書で提供される多くの態様のいくつかの実施形態では、試料混合チャネルは、少なくとも2つの完全な蛇行コイル、または例えば2~10の蛇行コイルを有する。流体回路を含む、本明細書で提供される多くの態様に関するいくつかの実施形態では、試料サブアリコット分岐は、試料サブアリコットチャンバをさらに備える。
【0075】
試料合流分岐の一部として1つ以上の試料チャネルを含む、本明細書で提供される多くの態様に関するいくつかの実施形態では、試料チャネルは、任意に2~6の屈曲、ループ、またはターンを含む、試料収束チャネルであり、例示的な実施形態では、試料合流分岐は、試料捕捉トラップ内の各試料のほぼ同時の、および任意に同時の試料合流トラップへの移送を提供する。
【0076】
試料合流分岐を含む、本明細書で提供される多くの態様に関するいくつかの実施形態では、試料合流トラップは、試料収束入口チャンバの任意の出口狭窄チャネルを通して、試料収束入口チャンバに接続された漏斗形状の入口端部を有する。例示的な実施形態では、漏斗形状の入口端部の最も狭い端部は、出口狭窄チャネルに直接接続される。
【0077】
本明細書のある例示的な実施形態では、流体回路、またはそれを備える流体構成要素および/または流体デバイスは、マイクロメートル以下のスケールでほとんどのチャネル幅寸法を有し、このため、マイクロ流体回路、マイクロ流体構成要素、またはマイクロ流体デバイスと見なされる。本明細書のある例示的な実施形態では、流体回路、またはそれを備える流体構成要素および/または流体デバイスは、マイクロメートル以下のスケールですべてのチャネル幅寸法を有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、流体デバイスは、流体構成要素のアレイを備えて本明細書で提供される。
【0079】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、流体回路における試料処理のための方法であって、
a.第1の試料捕捉トラップおよび第1の試料捕捉バルブに第1の流体試料および第2の流体試料捕捉トラップを充填し、第2の試料捕捉バルブに第2の流体試料を充填することであって、第1の試料捕捉トラップおよび第2の試料捕捉トラップが、試料合流トラップと流れ連通している、充填することと、
b.第1の流体試料および第2の流体試料を、試料合流トラップに引き込み、それにより、結合試料を形成することと、
c.結合流体試料を少なくとも2つの分裂トラップに引き込み、それによって結合試料を少なくとも2つの分裂トラップ試料にサブアリコットすることと、を含む。
【0080】
本明細書で提供される任意の方法の態様のいくつかの実施形態では、第1の流体試料および第2の流体試料を試料合流トラップに引き込んだ後、結合流体試料は、混合チャネルを通して引き込まれる。例示的な実施形態では、結合流体試料は、液滴である。
【0081】
本明細書で提供される任意の方法の態様のいくつかの実施形態では、試料合流トラップは、各試料捕捉トラップについて画定された、結合試料体積に対する容量を有する体積を有するように構成される。本明細書で提供される任意の方法の態様のいくつかの実施形態では、少なくとも2つの分裂トラップの各々について、分裂トラップは、画定された分裂トラップ試料体積を提供する測定可能な幾何学形状を有する。
【0082】
本明細書で提供される任意の方法態様のいくつかの実施形態では、第1の流体試料および第2の流体試料は、試料合流トラップと流れ連通している流量制御一次チャネルチャンバに圧力を加えることによって、試料合流トラップに引き込まれて、合流液滴を形成する。例えば、圧力は、ピペットまたはシリンジポンプなどの標準的な実験室用液体取り扱いデバイスを使用して加えることができる。本明細書で提供される任意の方法の態様のいくつかの実施形態では、1トール~約40トールの減圧が、流量制御一次チャネルチャンバに加えられる。
【0083】
別途記載のない限り、本明細書で使用される用語および語句は、当業者によって同じと理解されると理解されるべきである。例えば、本明細書で使用される用語および語句は、例えば、Tenth Edition of Merriam Webster’s Collegiate Dictionary(1997)などの標準的な辞書によって提供される定義と一致して使用することができる。「約」、「およそ」などの用語は、数値または範囲のリストが先にある場合、リストまたは範囲内の各個々の値は、独立して、リストまたは範囲内の各個々の値がその用語の直前にあるように表す。同じものに対して参照する値は、正確に、それに近い、またはそれに類似している(例えば、互いに約1~約10パーセント以内)。本明細書では、範囲は、約1つの特定の値から、および/または約別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表現されるとき、別の態様は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表されるとき、約またはおよそという前置詞を使用することにより、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の端点は、他の端点との関係でも、他の端点とは無関係でも重要であることは理解されよう。範囲(例えば、90~100%)は、各値が個別にリストされているかのように、範囲自体ならびに範囲内の各独立した値を含むことを意味する。この開示内で引用されたすべての参考文献は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0084】
ある実施形態は、以下の実施例においてさらに開示される。これらの実施形態は、例としてのみ提供され、決して特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【実施例
【0085】
実施例1例示的なプロトタイプ流体デバイス
【0086】
プロトタイプのマイクロ流体チャネルおよびデバイスを作製し、試験する。図6によるプロトタイプ流体デバイスは、ソフトリソグラフィー技術を使用して作製される。SU-8 2100フォトレジストを、シリコンウエハ上に500RPMで10秒間、1750RPMで30秒間、スピンコーティングする。次いで、ホットプレート上で、65℃で7分間、さらに95℃で37分間焼く。次いで、フォトマスクを使用して、ウエハとフォトマスクを、1分間UV光に露光する。露光後、再び65℃で5分間、さらに95℃で15分間焼く。次に、それをホットプレートから取り除き、約5分間冷却した後、SU-8現像液とともにガラス皿に入れ、Belly Dancer shakerで15分間攪拌する。古い現像液を除去しかつ交換し、同じプロセスを、15分間繰り返す。完全に現像されたウエハを、イソプロパノールで洗浄し、すべての現像液およびイソプロパノールが除去されるまで、強制空気で乾燥させる。完全に現像され、乾燥したデザインを、デシケーター内に設置し、シラン処理して、2時間表面を機能化する。最後に、10:1の割合でPDMSを注ぎ、75℃で2時間焼く。次いで、PDMS金型を切り取り、入口/出口ポートに穴を開け、デバイスをガラススライドに固定して試験する。
【0087】
プロトタイプ流体デバイスの液滴融着機能を、トラップされた内容物の効果的な融合を確実とするために、蒸留水中の食用色素の溶液を使用して最適化する。融合能力を判定するために、一方の一次トラップを、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で充填し、他方のトラップをPBSで充填する。次いで、標準として使用する2つの一次トラップの強度を測定する。したがって、第1のFITCトラップは、100%に正規化され、PBSを使用したトラップには信号がないため、ゼロである。一度2つの液滴が融合されると、合流トラップの強度を測定する。これを、実施例の直前に示されているように作製された16の同一のプロトタイプ流体デバイスで試験する。
【0088】
混合を測定するために、合流液滴の測定された強度を、サブアリコットされた液滴の強度と比較する。これを、同じ16のプロトタイプ流体デバイス上で行う。分割を、2つの三次トラップの体積比で測定する。最後に、サブアリコット分岐の洗浄能力を、サブアリコット後の試料分裂(すなわち、三次)トラップのFITCを測定し、次いで、洗浄を実行した直後にFITCを測定することによって分析する。様々な工程のタイミングを、ストップウォッチを使用して測定する。
【0089】
融合能力、混合、および液滴の分割、分離、またはサブアリコットのためのマイクロ流体チャネルの様々な構成の能力の試験に基づいて、図6および図7に示される機能を備えたプロトタイプマイクロ流体デバイスを設計し、上記の発明を実施するための形態で提供された範囲内の寸法で、本実施例内において上記で提供されるように作成する。試料捕捉セクションを、約180ミクロンの高さで形成し、試料トラップが、約520ミクロンの幅および約1mmの長さであり、試料捕捉バルブが、約520ミクロンの幅、約520ミクロンの長さである。バイパスチャネルは、約520ミクロンの幅、約6.25mmの長さを有し、充填チャネルは、約400ミクロンの幅、および約2.25mmの長さを有する。充填チャンバ23、33は、直径1mmである。混合チャネルおよび他の構造は、例示的な実施形態についての詳細な説明のセクションで提供される寸法内で、図1に示される構造を有する。
【0090】
プロトタイプ流体デバイスを試験し、表1に報告される性能を得た。液滴融合に関して、図8Aおよび図8Bに提供される方法を使用して、FITCを有する液滴を、第1の試料捕捉セクションの第1の試料捕捉トラップに引き込み、PBSの液滴を、第2の試料捕捉セクションの第1の試料捕捉トラップに送達する。FITCは、100%の正規化強度が与えられ、PBSは強度0%を有する。試料捕捉トラップ内のPBSおよびFITCの液滴を、本明細書で提供される方法(図9Aおよび図9B)を使用して、合流トラップに融合し、元のFITC液滴の強度の50%の測定値を生じさせる。このため、液滴を融合するために使用するデバイスおよび方法は、液滴を100%またはほぼ100%で融合する効率を備え、非常に効果的である。
【0091】
混合効率を測定するために、合流FITC/PBS液滴は、本明細書で提供される方法を使用して混合チャネルを通して送達される(図11A)。サブアリコット液滴の測定強度は、合流液滴の強度と比較して91%である。したがって、効果的な混合がデバイスで行われている。しかしながら、強度のいくらかの損失が、試料のサブアリコットチャネル92から吸引された過剰な流体において、観察される。理論に制限されるものではないが、これは混合チャネル内の拡散時間が不足しているためであると考えられる。したがって、蛇行コイルが多いほど、このプロセスの効率はさらに高くなる。
【0092】
混合液滴を、図11Bに提供された方法を使用して、サブアリコット(すなわち、分割)する。分割を、2つのサブアリコットトラップの体積比で測定する。1つの試料の分裂トラップの体積が、他の体積の98%である。つまり、一方の試料の分裂トラップの体積が、35nlで、他方の試料の分裂トラップの体積が、34.3nlである。
【0093】
最後に、図12Aおよび図12Bに従って実行された洗浄と洗浄効率を、サブアリコット後の試料分裂トラップのFITCを測定し、次いで、洗浄を実行した直後にFITCを測定することによって分析する。第1の洗浄後、洗浄された分裂トラップ内の試料からの信号は、開始強度が100を有し、8の強度を有する。これを2回目の洗浄後に再試験し、値0(洗浄効率100%)を生じさせる。
【0094】
表1プロトタイプのマイクロ流体デバイスの性能
【0095】
実施例2プロトタイプ流体デバイスを使用する例示的なELISAアッセイ
【0096】
図6のデバイス200による流体デバイスを作製し、ELISAアッセイで試験する。この実験的記述は、図13を参照し、図13は、本教示に従って実行することができる例示的なELISA分析のための例示的なアッセイワーク流量300を図示する。実行される例示的なELISA分析では、マウスIL-6抗原標準を、0.5μg/ml(マイクログラム/ml)および1μg/ml(マイクログラム/ml)のマウスIL-6抗原で調製することをのぞき、BioLegend ELISA MAX(商標)マウスIL-6キットの試薬を使用し、キットに付属の説明書に記載されているように調製する。ワークフロー300は、図6の流体デバイス200など、本教示の例示的なデバイスを利用することができる。
【0097】
図12Aおよび図12Bについて本明細書で前述したように、各分裂トラップを充填または洗浄するための例示的な方法を使用して、図13に図示されるようなアッセイワークフロー300の工程310について、0.5μg/mlのマウスIL-6抗原標準の試料を、図5の第1の分裂トラップセクション70などの第1の分裂トラップに、図6の流体回路100A1~流体回路100F1の各々などの流体回路の各々について充填する。同様に、1.0μg/mlのマウスIL-6抗原標準の試料を、図6の流体回路100F2を通る各流体回路100A2などの各流体回路について、図5の第1の分裂トラップセクション70などの第1の分裂トラップに充填する。図5の第2の分裂トラップセクション80などの第2の分裂トラップの各々に、アッセイで使用される各流体回路について、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を対照として充填する。アッセイワークフロー300の工程320について図13に図示されるように、デバイスを、室温で2時間インキュベートし、その後37℃で20分間インキュベートする。試料のインキュベーションが完了した後、図12Aおよび図12Bについて本明細書で前述されるように、各分裂トラップを充填または洗浄するための例示的方法を使用して、第1の分裂トラップおよび第2の分裂トラップを、Tween-20を有する5μl(マイクロリットル)のPBSで2回洗浄する。アッセイワークフロー300の工程310および工程320が完了した後、各第1の分裂トラップを、マウスIL-6抗原標準の標的溶液を使用してコーティングし、PBSを使用して対照として調製された第2の分裂トラップに近接させる。
【0098】
アッセイワークフロー300の工程330で図13に図示されるように、図8Aおよび図8Bについて本明細書で前述した試料充填に関する例示的な方法を使用して、図1の第1の試料捕捉セクション20の試料捕捉トラップ26などの第1の試料トラップセクションの各試料捕捉トラップは、アッセイ内で使用されるすべての流体回路に、PBSで1:200に希釈されたマウスIL-6検出抗体試薬の溶液を充填する。同様に、図1の第2の試料捕捉(すなわち、トラップ)セクション30の試料捕捉トラップ36などの、第2の試料捕捉セクションの各試料捕捉トラップは、アッセイ内で使用されるすべての流体回路に対して、PBSで1:1000に希釈された溶液アビジン-HRP試薬を充填する。アッセイワークフロー300の工程340について図13に図示されるように、アッセイ内で使用される各流体回路の各試料捕捉セクションの各試料捕捉トラップ内の各試薬を、図9Aおよび図9Bについて本明細書で前述したように、合流試料を形成するための例示的な方法を使用して、図1の試料合流トラップ44などの、アッセイ内で使用される各流体回路のそれぞれの試料合流トラップに移送する。デバイスを、室温で20分間インキュベートして、アッセイ内で使用される各流体回路の試料合流トラップで抗体-HRPコンジュゲート試薬を形成させる。
【0099】
アッセイワークフロー300の工程350について図13に図示されるように、抗体-HRPコンジュゲート試薬を、図11Aおよび図11Bについて本明細書で前述したように、試料合流トラップ内の合流試料を、混合チャネルを通して、サブアリコット分岐に移送するための例示的な方法を使用して、アッセイ内で使用される各流体回路の各分裂トラップに移送する。デバイスを、室温で20分間インキュベートする。試料のインキュベーションが完了した後、アッセイで使用される各流体回路の試料サブアリコット分岐を、図12Aおよび図12Bについて本明細書で前述したように、サブアリコット分岐を充填および洗浄するための例示的な方法を使用して、5μl(マイクロリットル)のPBSで2回洗浄する。アッセイワークフロー300の工程330から工程350が完了した後、アッセイ内で使用される各流体回路の各分裂トラップ内の各試験試料および各対照を、工程340で調製された抗体-酵素コンジュゲート試薬と反応させる。
【0100】
図13に図示されるようなアッセイワークフロー300の工程350について、図12Aおよび図12Bについて本明細書で前述したように、サブアリコット分岐を充填および洗浄するための例示的な方法を使用して、アッセイ内で使用される各流体回路の各分裂トラップに、BioLegend ELISA MAX(商標)マウスIL-6キットで提供される3.3‘、5.5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液を充填し、デバイスを室温で2分間インキュベートさせる。図13に図示されるように、アッセイワークフロー300の工程360について、例えば、CCDカメラを使用して、各組の試験および対照分裂トラップに対して光学的検出を実行することができる。予想通り、0.5μg/mlマウスIL-6抗原標準を使用した各試験試料は、1.0μg/mlマウスIL-6抗原標準を使用した各試験試料よりも低い色の強度を示し、一方で各対照は検出可能な色の強度を表示しない。
【0101】
ある実施形態を例示的な実施形態に関して説明してきたが、変形および修正が当業者に生じるであろうことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲に含まれるすべてのかかる同等の変形をカバーすることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13