(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】薬剤管理システム及び薬剤管理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230404BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2021100287
(22)【出願日】2021-06-16
(62)【分割の表示】P 2019522074の分割
【原出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2017108293
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018090131
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】富士フイルム富山化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】高島 正伸
(72)【発明者】
【氏名】石丸 善章
(72)【発明者】
【氏名】高森 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】久本 学
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-123607(JP,A)
【文献】特開2016-024621(JP,A)
【文献】特開2016-179161(JP,A)
【文献】特開2007-073074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報読取部及び表示部を有するクライアント端末と、
分包薬を一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報であって、前記分包薬が収納された分包袋に付加されたユニーク識別情報に関連付けて前記分包薬の第1の患者情報を管理するクラウドサーバと、薬剤が配薬される患者の患者情報が管理されている院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバとから構成される、薬剤管理システムであって、
前記クライアント端末は、前記情報読取部が前記分包袋に付加されたユニーク識別情報を読み取ると、読み取った前記ユニーク識別情報を前記クラウドサーバに送信し、前記情報読取部が前記患者に対する患者識別情報であって、患者認識用リストバンドに付されている患者識別情報又は患者のベッドに付されている患者識別情報を読み取ると、読み取った前記患者識別情報を前記院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバに送信し、
前記クラウドサーバは、前記クライアント端末から前記ユニーク識別情報を受信すると、前記ユニーク識別情報に関連付けて管理している、前記分包薬の第1の患者情報を取得し、取得した前記第1の患者情報を前記クライアント端末に送信し、
前記院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバは、前記クライアント端末から前記患者識別情報を受信すると、前記患者識別情報に関連付けて管理している第2の患者情報を取得し、取得した前記第2の患者情報を前記クライアント端末に送信し、
前記クライアント端末は、前記クラウドサーバから受信した前記第1の患者情報と、前記院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバから受信した前記第2の患者情報とを照合可能に
し、
前記クラウドサーバは、前記クライアント端末から取得した前記ユニーク識別情報に基づいて前記ユニーク識別情報に関連付けて管理されている、分包薬の薬剤情報、及び、服用時期の少なくとも一方を、前記クライアント端末へ送信し、
前記クライアント端末は、前記クラウドサーバから取得した前記薬剤情報、及び、前記服用時期の少なくとも一方を前記表示部に表示する、
薬剤管理システム。
【請求項2】
前記ユニーク識別情報は、GS1識別コードである、
請求項1に記載の薬剤管理システム。
【請求項3】
前記クラウドサーバは、利用する医師、薬剤師、看護師、服用者、及びその他のユーザを含むアクセス者に応じて、前記クライアント端末による情報の閲覧に制限をかける、
請求項1
又は2に記載の薬剤管理システム。
【請求項4】
クライアント端末と、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報であって、前記分包薬が収納された分包袋に付加されたユニーク識別情報に関連付けて前記分包薬の第1の患者情報を管理するクラウドサーバと、薬剤が配薬される患者の患者情報が管理されている院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバとを使用した薬剤管理方法であって、
前記クライアント端末は、前記分包袋に付加されたユニーク識別情報を読み取ると、読み取った前記ユニーク識別情報を前記クラウドサーバに送信し、
前記クラウドサーバは、前記クライアント端末から前記ユニーク識別情報を受信すると、受信した前記ユニーク識別情報に関連付けて管理している前記第1の患者情報を前記クライアント端末に送信し、
前記クライアント端末は、前記クラウドサーバから受信した前記第1の患者情報を表示し、
前記クライアント端末は、前記患者に対する患者識別情報であって、患者認識用リストバンドに付されている患者識別情報又は患者のベッドに付されている患者識別情報を読み取ると、読み取った前記患者識別情報を前記院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバに送信し、
前記院内サーバ又は介護老人保健施設のサーバは、前記クライアント端末から前記患者識別情報を受信すると、前記患者識別情報に関連付けて管理している第2の患者情報を前記クライアント端末に送信し、
前記クライアント端末は、前記クラウドサーバから受信した前記第1の患者情報と、前記患者の施設のサーバから受信した前記第2の患者情報とを照合可能にし、
前記クラウドサーバは、前記クライアント端末から取得した前記ユニーク識別情報に基づいて前記ユニーク識別情報に関連付けて管理されている、分包薬の薬剤情報、及び、服用時期の少なくとも一方を、前記クライアント端末へ送信し、
前記クライアント端末は、前記クラウドサーバから取得した前記薬剤情報、及び、前記服用時期の少なくとも一方
を表示部に表示する、
薬剤管理方法。
【請求項5】
前記ユニーク識別情報は、GS1識別コードである、
請求項
4に記載の薬剤管理方法。
【請求項6】
前記クラウドサーバは、利用する医師、薬剤師、看護師、服用者、及びその他のユーザを含むアクセス者に応じて、前記クライアント端末による情報の閲覧に制限をかける、
請求項
4又は5に記載の薬剤管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤管理システム、クラウドサーバ、薬剤分包装置、薬剤分包監査装置、分包袋及び薬剤管理方法に係り、特に分包薬を一元管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、服用者が一回に服用する複数の薬剤を一つの分包袋に収納して一包化する一包化調剤が増加している。
【0003】
特許文献1には、一回の服用時期に対応する分包薬(薬包)が複数存在する場合における漏れのない薬包の服用を支援することが可能な配薬支援システムが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の配薬支援システムは、薬局の薬品分包装置及びプリンタ等と、介護老人保健施設(老健施設)の配薬支援装置及び携帯端末等とにより構成されている。
【0005】
薬局の薬品分包装置は、老健施設の入居者に対して処方データにしたがって一包化調剤を行い、薬包には一包ずつプリンタにより薬包コードを印字する。ここで、薬包コードは、薬包を識別可能な識別データであり、具体的には薬包番号、入居者ID(identification)、入居者名称、服用時期などの情報を含む一次元コード又は二次元コードなどである。
【0006】
老健施設の配薬支援装置は、老健施設に入居している入居者について入居者ID、入居者名、顔画像、病歴、又は薬歴などの情報を含む入居者マスタが記憶されているデータ記憶部を備えている。老健施設の配薬担当者は、自己の携帯端末で薬包に印字されている薬包コードを読み取ることにより、配薬支援装置から薬包コードに対応する情報を取得し、携帯端末の画面に入居者名及び顔画像を表示して薬包コードが示す入居者を照合することが可能であり、また、服用時期の確認が可能である。これにより、配薬担当者による配薬作業の効率化及び配薬作業における投薬ミスの抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の配薬支援システムは、分包薬(薬包)に薬包コードを印字し、薬包を一包ずつ識別可能にしているが、この薬包コードは、薬包番号、入居者ID、入居者名称、服用時期コード、服用時期などの情報を含む一次元コード又は二次元コードである。尚、薬包番号は、薬品分包装置を識別可能な号機番号と薬包であることを識別可能な薬種番号とを含む予め設定される3桁の数字であり、薬包を一意に特定するユニークIDではない。
【0009】
また、特許文献1に記載の配薬支援システムは、老健施設に代表される複数の服用者に対する配薬を支援するシステムであり、一包化された分包薬(薬包)の薬剤情報に関するトレーサビリティを可能にするものではない。
【0010】
本発明はこのような事情に照らし合わせてなされたもので、一包化された分包薬の薬剤情報を時間や場所にかかわらず簡単に入手することができ、さらに不特定の施設でそれぞれ一包化された分包薬に対しても、トレーサビリティが可能な薬剤管理システム、クラウドサーバ、薬剤分包装置、薬剤分包監査装置、分包袋及び薬剤管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために一の態様に係る発明は、一つ以上の施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理する薬剤管理システムであって、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報と少なくともユニーク識別情報に対応する分包薬の薬剤情報とを関連付けて管理するクラウドサーバと、施設に設置され、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化する薬剤分包部と、クラウドサーバに設置され、又は施設に設置され、ユニーク識別情報を発番する発番部と、発番部により発番されたユニーク識別情報を分包袋に付加する情報付加部と、ユニーク識別情報に関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報をクラウドサーバにアップロードする通信部と、を備える。
【0012】
本発明の一の態様によれば、一つ以上の施設の情報付加部は、薬剤分包部により薬剤が分包される分包袋に、一包ずつ発番部により発番された世界で唯一のユニーク識別情報を付加する。一つ以上の施設は、ユニーク識別情報が付加された分包薬の少なくとも薬剤情報を、ユニーク識別情報に関連付けてクラウドサーバにアップロードする。クラウドサーバは、一つ以上の施設からアップロードされた分包薬の薬剤情報を、ユニーク識別情報に関連付けて一元管理する。これにより、薬局等の施設により一包化された分包薬の素性(分包袋に収納された薬剤の薬剤情報)が不明であっても、分包袋に付加されたユニーク識別情報に基づいてクラウドサーバに問い合わせることにより、その分包薬の素性を入手することができ、分包薬のトレーサビリティが可能になる。
【0013】
本発明の他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、情報付加部は、ユニーク識別情報又はユニーク識別情報を示すバーコードを分包袋に付加し、ユニーク識別情報もしくはユニーク識別情報を示すバーコードを付加したラベルを分包袋に貼付し、又は分包袋に付加された電子タグにユニーク識別情報を記録することが好ましい。尚、ユニーク識別情報又はユニーク識別情報を示すバーコードは、暗号化されたものでもよい。また、バーコードは、一次元バーコードでもよいし、二次元バーコードでもよい。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、情報付加部は、分包薬の患者情報、服用時期及び薬剤情報のうちの少なくとも服用時期を分包袋に更に付加することが好ましい。朝食後、昼食後等の服用時期により分包薬に含まれる薬剤が異なる場合があり、また、1日2回服用する場合、1日3回服用する場合などがあるからである。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、通信部は、ユニーク識別情報に関連付けて処方データに記載された情報をクラウドサーバにアップロードし、クラウドサーバは、ユニーク識別情報に関連付けて処方データに記載された情報を更に管理することが好ましい。処方データに記載された情報としては、薬剤情報の他に、例えば処方年月日、患者情報、処方した病院、医師などの情報が含まれる。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、分包薬を、分包袋に収納して一包化する前又は一包化した後に撮像する撮像部と、撮像部により撮像された分包薬の画像に基づいて分包薬が処方データに対応する薬剤か否かを薬剤師が確認可能に支援する薬剤監査部と、を備えることが好ましい。薬剤師は、撮像部により撮像された分包薬の画像を見ることで、薬剤を直接目視する場合に比べて分包薬の細部(薬剤の刻印等)を容易に確認することが可能であり、又は薬剤監査部が画像に基づいて自動的に分包薬の監査を行う場合、薬剤師は、薬剤監査部による監査結果を使用することで、効率的で、より監査ミスのない監査作業が可能になる。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、通信部は、分包薬が、処方データに対応する薬剤であることが薬剤師により確認されると、ユニーク識別情報に関連付けて分包薬の薬剤情報として薬剤文字または記号情報と薬剤監査部での監査に使用された画像とをクラウドサーバにアップロードし、クラウドサーバは、ユニーク識別情報に関連付けて分包薬の薬剤情報及び画像を管理することが好ましい。これにより、分包薬の薬剤文字または記号情報に加えて監査に使用された画像を確認することができ、薬剤監査のトレーサビリティが可能である。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、クラウドサーバにアクセス可能なクライアント端末であって、分包袋に付加されたユニーク識別情報を読み取る情報読取部と、情報読取部により読み取ったユニーク識別情報に基づいて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、クラウドサーバから取得する薬剤情報取得部とを有するクライアント端末を、更に備えることが好ましい。
【0019】
医師、薬剤師、看護師、服用者、その他のユーザを含むアクセス者は、自己のクライアント端末を使用して分包袋に付加されたユニーク識別情報を読み取ることにより、クラウドサーバから分包袋に収納された分包薬の薬剤情報等を容易に入手することができる。尚、クラウドサーバは、個人情報等についてはアクセス者に応じて閲覧の制限をかけることが好ましい。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理システムにおいて、ユニーク識別情報は、GS1識別コードであることが好ましい。GS1識別コードは、GS1(General Specifications One)が定めている国際標準の識別コードである。
【0021】
本発明の更に他の態様に係るクラウドサーバは、上述の薬剤管理システムを構成する。
【0022】
更に他の態様に係る発明は、一つ以上の施設に設置される薬剤分包装置であって、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化する薬剤分包部と、薬剤分包部により一包化される分包薬に対し、一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報を発番する発番部からユニーク識別情報を取得するユニーク識別情報取得部と、ユニーク識別情報取得部が取得したユニーク識別情報を分包袋に付加する情報付加部と、ユニーク識別情報に関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理するクラウドサーバにアップロードする通信部と、を備える。
【0023】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包装置は、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化し、一包化した分包薬の分包袋にユニーク識別情報を付加する。ユニーク識別情報を発番する発番部は、クラウドサーバに設けられたものでもよいし、薬剤分包装置毎に設けられたものでもよい。薬剤分包装置の通信部は、ユニーク識別情報に関連付けて、少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報をクラウドサーバにアップロードする。ユニーク識別情報に関連付けて分包薬を一包ずつ一元管理するクラウドサーバにより、分包薬のトレーサビリティを可能にする。
【0024】
更に他の態様に係る発明は、一つ以上の施設に設置される薬剤分包装置であって、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化する薬剤分包部を備えた第1の薬剤分包装置と、第1の薬剤分包装置により一包化される分包薬に対し、一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報を発番する発番装置と、から構成され、第1の薬剤分包装置及び発番装置のうちの少なくとも一方は、第1の薬剤分包装置により一包化される分包薬に対し、発番装置から発番されたユニーク識別情報を分包袋に付加する情報付加部と、ユニーク識別情報に関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理するクラウドサーバにアップロードする通信部と、を備える。
【0025】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包装置は、独立型の第1の薬剤分包装置と薬剤分包装置向け発番装置とから構成され、ユニーク識別情報の発番は、発番装置により行われるため、第1の薬剤分包装置は、一般的な(既存の)ものを使用することが可能である。尚、ユニーク識別情報を分包袋に付加するブリンタ等の情報付加部、及びユニーク識別情報に関連付けられた分包薬の薬剤情報等をクラウドサーバにアップロードする通信部は、第1の薬剤分包装置及び薬剤分包装置向け発番装置のうちの少なくとも一方に設置すればよい。
【0026】
本発明の更に他の態様に薬剤分包装置において、情報付加部は、ユニーク識別情報又はユニーク識別情報を示すバーコードを分包袋に付加し、ユニーク識別情報もしくはユニーク識別情報を示すバーコードを付加したラベルを分包袋に貼付し、又は分包袋に付加された電子タグにユニーク識別情報を記録することが好ましい。
【0027】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包装置において、情報付加部は、分包薬の患者情報、服用時期及び薬剤情報のうちの少なくとも服用時期を分包袋に更に付加することが好ましい。
【0028】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包装置において、通信部は、ユニーク識別情報に関連付けて処方データをクラウドサーバにアップロードすることが好ましい。
【0029】
本発明の更に他の態様に係る分包袋は、上記の薬剤分包装置により一回に服用する薬剤が収納された分包袋であって、少なくともユニーク識別情報が付加されたものである。
【0030】
本発明の更に他の態様に係る分包袋において、ユニーク識別情報は、GS1識別コードであることが好ましい。
【0031】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包監査装置は、上述の薬剤分包装置と、分包薬を、分包袋に収納して一包化する前又は一包化した後に撮像する撮像部と、撮像部により撮像された薬剤の画像と処方データとに基づいて分包薬が、処方データに対応する薬剤か否かを薬剤師が確認可能に支援する薬剤監査部と、を備える。
【0032】
薬剤師は、撮像部により撮像された分包薬の画像を見ることで、薬剤を直接目視する場合に比べて分包薬の細部(薬剤の刻印等)を容易に確認することが可能であり、又は薬剤監査部が画像に基づいて自動的に分包薬の監査を行う場合、薬剤師は、薬剤監査部による監査結果を使用することで、効率的で、より監査ミスのない監査作業が可能になる。画像は薬剤の表および裏など複数の位置で撮像されたものが、監査の観点からは好ましい。
【0033】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包監査装置において、通信部は、分包袋に収納された薬剤が処方データに対応する薬剤であることが薬剤師により確認されると、ユニーク識別情報に関連付けて分包薬の薬剤情報と薬剤監査部での監査に使用された画像とをクラウドサーバにアップロードすることが好ましい。これにより、分包薬の薬剤情報に加えて監査に使用された画像を確認することができ、薬剤監査のトレーサビリティが可能である。
【0034】
更に他の態様に係る発明は、一つ以上の施設に設置される薬剤分包装置と一包化薬剤監査装置とにより構成された薬剤分包監査装置であって、薬剤分包装置は、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化する薬剤分包部を備え、一包化薬剤監査装置は、施設により一包化される分包薬に対し、一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報を発番する発番部からユニーク識別情報を取得するユニーク識別情報取得部と、ユニーク識別情報取得部が取得したユニーク識別情報を、分包袋に付加する情報付加部と、ユニーク識別情報に関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理するクラウドサーバにアップロードする通信部と、薬剤分包装置が、分包薬を、分包袋に収納して一包化する前又は一包化した後に撮像する撮像部と、撮像部により撮像された薬剤の画像と処方データとに基づいて分包薬が、処方データに対応する薬剤か否かを薬剤師が確認可能に支援する薬剤監査部と、を備える。
【0035】
本発明の更に他の態様によれば、薬剤分包装置と一包化薬剤監査装置とにより薬剤分包監査装置を構成することができ、特に薬剤分包装置は、一般的な(既存の)ものを使用することが可能である。
【0036】
本発明の更に他の態様に係る薬剤分包監査装置において、通信部は、分包袋に収納された薬剤が処方データに対応する薬剤であることが薬剤師により確認されると、ユニーク識別情報に関連付けて分包薬の薬剤情報と薬剤監査部での監査に使用された画像とをクラウドサーバにアップロードすることが好ましい。これにより、分包薬の薬剤情報に加えて監査に使用された画像を確認することができ、薬剤監査のトレーサビリティが可能である。
【0037】
本発明の更に他の態様に係る分包袋は、上記の薬剤分包監査装置により一回に服用する薬剤が収納された分包袋であって、少なくともユニーク識別情報が付加されたものである。
【0038】
本発明の更に他の態様に係る分包袋において、ユニーク識別情報は、GS1識別コードであることが好ましい。
【0039】
更に他の態様に係る薬剤管理方法は、一つ以上の施設に設置された薬剤分包部が、処方データにしたがって一回に服用する薬剤を分包袋に収納して一包化するステップと、発番部が、分包袋に収納された分包薬を一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報を発番するステップと、情報付加部が、発番されたユニーク識別情報を分包袋に付加するステップと、通信部が、ユニーク識別情報に関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報をクラウドサーバにアップロードするステップと、を含み、クラウドサーバにより一つ以上の施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理する。これにより、分包薬の素性が不明であっても、分包袋に付加されたユニーク識別情報に基づいてクラウドバーバに問い合わせることにより、その分包薬の素性を入手することができ、分包薬のトレーサビリティが可能になる。
【0040】
本発明の更に他の態様に係る薬剤管理方法において、クラウドサーバにアクセス可能なクライアント端末であって、分包袋に付加されたユニーク識別情報を読み取る情報読取部と、情報読取部により読み取ったユニーク識別情報に基づいて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、クラウドサーバから取得する薬剤情報取得部とを備え、利用する医師、薬剤師、看護師、服用者、その他ユーザ等のアクセス者に応じて情報の閲覧の制限をかけることが好ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、一つ以上の施設により一包化された分包薬であっても、分包薬の薬剤情報を簡単に入手することができ、分包薬のトレーサビリティが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は本発明に係る薬剤管理システムの概略の構成を示すシステム構成図
【
図2】
図2はクラウドサーバの実施形態を示すブロック図
【
図3】
図3は薬剤管理DBで管理されるデータ構造の一例を示す図
【
図4】
図4は薬局の内部構成の第1の実施形態を示すブロック図
【
図5】
図5はラベルプリンタによりユニークID及び処方データが印字されたラベルの一例を示す図
【
図6】
図6は本発明に係る分包袋の第1の実施形態を示す図
【
図7】
図7は本発明に係る薬剤管理方法の第1の実施形態を示すフローチャート
【
図8】
図8は本発明に係る薬剤管理方法の第2の実施形態を示すフローチャート
【
図9】
図9は薬局の内部構成の第2の実施形態を示すブロック図
【
図10】
図10は本発明に係る薬剤管理方法の第3の実施形態を示すフローチャート
【
図12】
図12は薬剤監査部により作成された画像の一覧表の一例を示す図
【
図13】
図13は薬局の内部構成の第3の実施形態を示すブロック図
【
図14】
図14は本発明に係る分包袋の第2の実施形態を示す図
【
図15】
図15は薬局の内部構成の第4の実施形態を示すブロック図
【
図16】
図16は薬剤管理システムに適用可能なクライアント端末の外観図
【
図18】
図18は分包薬の薬剤情報の取得方法の実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面に従って本発明に係る薬剤管理システム、薬剤分包装置、クラウドサーバ、薬剤分包監査装置、分包袋及び薬剤管理方法の好ましい実施形態について説明する。
【0044】
[薬剤管理システムの構成]
図1は、本発明に係る薬剤管理システムの概略の構成を示すシステム構成図である。
【0045】
この薬剤管理システム1は、クラウドサーバ10、一つ以上の施設20、及びクライアント端末100から構成され、インターネット等のネットワーク2により通信可能に接続されている。尚、ネットワーク2は、医療情報の安全管理に適したセキュアなネットワークであることが好ましい。
【0046】
[クラウドサーバ]
図2は、クラウドサーバ10の実施形態を示すブロック図である。
【0047】
図2に示すようにクラウドサーバ10は、一つ以上の施設20により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理するサーバであり、主としてCPU(Central Processing Unit)12、薬剤管理データベース(薬剤管理DB(Data Base))が格納される大容量の記憶部14、発番部として機能する発番サーバ16、及び通信部18から構成されている。
【0048】
CPU12は、クラウドサーバ10の各部を統括制御する部分であり、通信部18を介して入力する各種の情報の解析、薬剤管理DBで管理される情報の更新及び読出しの指示、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニーク識別情報(ユニークID(identification))の発番サーバ16への発番の依頼、及び通信部18での通信処理等を司る。
【0049】
図3は、薬剤管理DBで管理されるデータ構造の一例を示す図である。
【0050】
図3に示すように薬剤管理DBでは、分包薬の一包毎に発番されたユニークIDを主キーとして、ユニークIDに対応する分包薬の薬剤情報、分包薬の処方年月日、患者情報、処方した病院情報、一包化調剤した施設の施設情報が関連付けて記録され、管理されている。
【0051】
本例の分包薬の薬剤情報には、分包袋に収納された分包薬の薬剤毎の薬剤名、会社名(屋号)を示す記号、及び規格を示す薬剤文字または記号情報と、後述する薬剤分包監査装置22-2(
図9)での薬剤監査に使用された画像(薬剤画像)とを含んでいる。尚、薬剤分包装置22-1(
図4)は、薬剤画像は分包薬の薬剤情報として必須の情報ではないが、分包装置の内部に撮像部を有していれば薬剤画像情報を含んでいてもよい。さらに、一包化された包毎の薬剤情報や服用時期及び注意事項等の分包情報を含んでいてもよい。
【0052】
患者情報には、患者(服用者)の名前、性別、年齢等を含めることができるが、その他、住所、電話番号等の連絡先の情報を含めるようにしてもよい。病院情報には、処方した医師の所属する病院名の他、医師の名前を含めることができ、施設情報には、施設名(施設が薬局の場合には薬局名、病院薬剤部の場合には病院薬剤部の情報)の他、薬剤監査した薬剤師の名前を含めることができる。
【0053】
発番サーバ16は、本システムを利用する一つ以上の施設20から通信部18を介してユニークIDの発番要求を受け付けると、分包薬の分包個数分のユニークIDを発番し、通信部18を介して発番要求元の一つ以上の施設20に送信する。
【0054】
尚、本システムを利用する一つ以上の施設20から患者毎の処方データを通信部18を介して受け付けると、CPU12又は発番サーバ16は、処方データを解析することで、その処方データに対応する分包薬の分包個数を算出し、発番サーバ16は、算出された分包個数分のユニークIDを発番することができる。この場合、一つ以上の施設20から受信する処方データは、ユニークIDの発番要求に対応する。
【0055】
また、発番サーバ16により分包個数分のユニークIDが発番されると、分包個数分のユニークIDに基づいて、
図3に示した薬剤管理DBを更新することができる。例えば、一つ以上の施設20から患者毎の処方データを通信部18を介して受信している場合、CPU12は、処方データから
図3に示した薬剤管理DBで管理する情報を抽出し、ユニークIDに関連付けて薬剤管理DBを更新することができる。
【0056】
一つ以上の施設20から処方データを受信していない場合でも、一つ以上の施設20から分包個数分のユニークIDの発番要求があると、発番サーバ16は、分包個数分のユニークIDを発番して発番要求元の一つ以上の施設20に送信することができる。また、CPU12は、発番要求元の一つ以上の施設20に対して、薬剤管理DBで管理する処方データを要求することができ、分包個数分のユニークIDに関連付けて、処方データを薬剤管理DBにて管理させることができる。尚、この時点では、薬剤管理DBにおけるユニークIDに関連付けられる薬剤情報は、空欄のままになっている。
【0057】
また、発番サーバ16により発番される、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニークIDは、世界で唯一のIDであり、発番サーバ16は、例えば、発番要求元の一つ以上の施設20に設置されている薬剤分包装置22-1(
図4)を一意に特定する製品IDと、製品IDに対応する薬剤分包装置22-1により一包化される分包薬の個数の連続番号とを組み合わせて、ユニークIDを発番することができる。また、製品IDとタイムスタンプとを組み合わせてユニークIDを発番することができる。尚、このようなユニークIDの発番を行う場合、発番要求元の一つ以上の施設20は、発番要求時に製品IDをクラウドサーバ10に通知する必要がある。
【0058】
また、発番サーバ16は、UUID(Universally Unique Identifier)を発番するようにしてもよい。更に、ユニークIDは、ハッシュ値によりハッシュ化し、又は暗号化することが好ましいが、薬剤管理DBにおいて、ユニークIDと患者情報等の個人情報とが関連付けられていない場合には、ハッシュ化等を行う必要はない。
【0059】
[一つ以上の施設(薬局)の第1の実施形態]
図4は、一つ以上の施設(薬局)20の内部構成の第1の実施形態を示すブロック図である。
【0060】
図4に示すように一つ以上の施設(薬局)20には、薬剤分包装置22-1と、レセプトコンピュータ24とが設置されており、薬剤分包装置22-1とレセプトコンピュータ24とは一つ以上の施設(薬局)20内のLAN(Local Area Network)26により接続されている。尚、本例では、1台の薬剤分包装置22-1が設置されているが、複数台の薬剤分包装置22-1が設置されていてもよい。
【0061】
一つ以上の施設(薬局)20の薬剤分包装置22-1及びレセプトコンピュータ24は、通信部22C-2及びネットワーク2(
図1)を経由してクラウドサーバ10と通信が可能になっている。
【0062】
一つ以上の施設(薬局)20で行われる薬剤処方作業は、大別して、薬局担当者(薬局事務、薬剤師等)による処方データ入力作業と、薬剤師によるピッキング作業と分包作業と薬剤監査作業等の調剤とを含む。
【0063】
処方データ入力作業では、処方箋に記載されている情報(以下、「処方データ」という)を、薬局担当者がレセプトコンピュータ24に入力する。処方データの例として、患者の氏名、年齢等の患者情報、薬剤の薬種、若しくは薬剤の名称、薬剤の分量、薬剤の用法(服用時期)、及び薬剤の用量等の薬剤情報、処方データの発行年月日、処方した病院名、医師名等の病院情報を含む。薬局内の調剤機器連携は、調剤システム処方IF共有仕様であるNSIPS(New Standard Interface of Pharmacy-system Specifications)を使うのが好ましい。
【0064】
次いで、レセプトコンピュータ24から薬剤分包装置22-1に対して処方データを出力する。また、薬剤師は、レセプトコンピュータ24、又は処方データが入力された薬剤分包装置22-1を操作して、処方データや分包情報をクラウドサーバ10に送信する。
【0065】
ピッキング作業では、処方データに基づき、薬剤師が薬剤棚から薬剤情報に対応する薬剤をピッキングする。薬剤の例として、錠剤又はカプセル等が挙げられる。尚、ピッキング作業には、例えば、レセプトコンピュータに入力された処方データに基づき薬剤を自動的にピッキングする自動ピッキング装置を用いてもよい。
【0066】
また、ピッキングされた薬剤が処方データと合致しているか否かを監査支援システムにて自動判定し、ピッキングのミスを防止することが好ましい。薬剤は、一般に調剤包装単位コード(バーコード)を含む薬剤情報が付加された、PTP(Press Through Package)シートにて包装されている。監査支援システムは、ピッキングされたPTPシートがステージに載せられると、PTPシートに付加された薬剤情報を読み取り、また、PTPシートの撮影により薬剤の個数をカウントし、処方データと合致するか否かを判定し、その判定結果を出力する。
【0067】
薬剤分包装置22-1は、一回に服用する複数の薬剤を一つの分包袋に収納して一包化する装置であり、装置全体を統括制御するCPU22Aと、薬剤分包部22Bと、通信部22C-1,22C-2と、情報付加部として機能するラベルプリンタ(プリンタ)22Dとを備えている。
【0068】
この薬剤分包装置22-1は、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニークID等を、ラベルプリンタ22Dによりラベルに付加(印字)し、ユニークID等が印字されたラベルを分包薬の分包袋に貼付する機能を備えている。尚、本例の薬剤分包装置22-1は、ラベルプリンタ22Dを内蔵しているが、ラベルプリンタ22Dは、薬剤分包装置22-1の外部に設けられていてもよい。
【0069】
薬剤分包装置22-1を使用した分包作業は、以下のように行われる。ピッキング作業でピッキングされた薬剤を薬剤師が薬剤分包部22Bのトレイ(薬剤マス)に、1包分毎にセットする(手撒き作業)。薬剤分包部22Bは、薬剤マス内の薬剤を、連続している空の分包袋に収納し、その後、分包袋を閉じ、ミシン目等の付与により切り離し可能にすることで分包薬の一包化を行う。尚、この種の薬剤分包部22Bを備えた薬剤分包装置は、公知であるため、薬剤分包部22Bの詳細な構成の説明は省略する。
【0070】
また、この薬剤分包装置22-1は、薬剤師による手撒き作業が行われるが、PTPシートをセットすることでPTPシートから薬剤を自動的に除包する機能や、錠剤とカプセルをあらかじめ各々カセットに充填しておく機能を追加し、手撒き作業を省略することができる薬剤分包装置でもよい。薬剤は散薬でもよい。
【0071】
CPU22A(ユニーク識別情報取得部)は、分包作業に先立ってクラウドサーバ10から処方データに対応して発番された分包薬の分包個数分のユニークIDを通信部22C-2を介して取得し、また、レセプトコンピュータ24からLAN26及び通信部22C-1を介して処方データを取得する。
【0072】
CPU22Aは、取得したユニークID及び処方データに基づいて各分包薬に対するプリント用データを作成し、ラベルプリンタ22Dに出力する。
【0073】
ラベルプリンタ22Dは、入力するプリント用データによりユニークID及び処方データをラベルに印字する。ラベルプリンタ22Dへの印字方法は、感熱ラベルへの感熱印字、一般ラベルへの熱転写やUV((ultraviolet)インクや顔料インクによる印字、IJ(inkjet)ラベルへの染料や顔料インクによるIJ印字等適宜選択できる。
【0074】
図5は、ラベルプリンタ22DによりユニークID及び処方データが印字されたラベル40の一例を示す図である。
【0075】
図5に示すようにラベル40には、ユニークIDの文字情報42及びユニークIDを示すバーコード44(一次元バーコード)と、患者の名前(富士太郎)46と、服用時期(昼食後)47と、一包化されている薬剤毎の薬剤名等の薬剤文字情報48とが印字されている。尚、ラベル40には、ユニークIDの文字情報42、又はユニークIDを示すバーコード44のみを印字してもよい。また、処方データを印字する場合には、服用時期47のみでもよい。更に、ラベル40には、ユニークIDを示すバーコード44に加えて、分包薬の薬剤情報(薬剤文字情報48)及び患者情報(患者名46)のうちの少なくとも一方を印字してもよい。
【0076】
図5において、薬剤分包部22Bにより一包化された分包袋50には、5種類(4個の錠剤と1個のカプセル)の薬剤52が収納されており、ラベルプリンタ22DによりユニークID及び処方データが印字されたラベル40は、それぞれ対応する分包袋50に貼付される。尚、ラベルプリンタ22Dは、ラベル自動貼付機能を有し、薬剤分包部22Bにより順次一包化された分包薬の分包袋50に対して、それぞれ対応するプリント用データをCPU22Aから取得し、ラベル印字からラベル貼付までを連続して行う。
【0077】
図6は、本発明に係る分包袋の第1の実施形態を示す図であり、薬剤分包装置22-1により一包化調剤された一連の分包薬の一部を示す図である。同図に示すように薬剤が収納された分包袋50には、それぞれユニークIDを示すバーコード等が印字されたラベル40が貼付されている。
【0078】
薬剤監査作業では、薬剤師が分包袋50に分包された薬剤の薬種や個数が正しいか否か(即ち、処方データにしたがったものであるか否か)を目視で確認する薬剤監査を行う。
【0079】
薬剤師による薬剤監査作業が終了し、薬剤師が監査終了を入力すると、薬剤分包装置22-1は、ユニークIDに関連付けて少なくとも分包袋50に収納された分包薬の薬剤情報を、通信部22C-2からネットワーク2を介してクラウドサーバ10にアップロードする。このとき、処方データと分包情報も同時にアップロードするようにしてもよい。
【0080】
尚、薬剤分包装置22-1は、ラベルプリンタ22DによりユニークID等が印字されたラベルを、分包袋に貼付するようにしたが、これに限らず、例えば、ラベルプリンタ22Dの代わりに熱転写プリンタやIJプリンタを備え、これらのプリンタにより分包袋にユニークID等を直接印字するようにしてもよい。
【0081】
また、本例では一つ以上の施設(薬局)20の内部構成について説明したが、一つ以上の施設(自動受付管理システム、電子カルテシステム、入院管理システム、医事会計システム、薬局管理システム、診療予約システム等を含む病院情報システムHIS(Hospital Information Systems)で管理された病院薬剤部)20の内部構成も一つ以上の施設(薬局)20の内部構成と同様にすることができる。
【0082】
[薬剤管理方法の第1の実施形態]
図7は、本発明に係る薬剤管理方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。
【0083】
図7に示す第1の実施形態の薬剤管理方法は、前述したクラウドサーバ10と
図6に示した一つ以上の施設(薬局)20とを含む薬剤管理システムに適用される。
【0084】
一つ以上の施設(薬局)20の薬剤分包装置22-1は、レセプトコンピュータ24から処方データを受信し(ステップS10)、受信した処方データをクラウドサーバ10に送信する(ステップS12)。尚、処方データは、レセプトコンピュータ24からクラウドサーバ10に送信するようにしてもよい。
【0085】
クラウドサーバ10は、受信した処方データから薬剤を一包化する場合の分包薬の分包個数を算出する(ステップS14)。クラウドサーバ10の発番サーバ16は、分包個数分のユニークIDを発番し、通信部18は、発番サーバ16により発番された分包個数分のユニークIDを一つ以上の施設(薬局)20に送信する(ステップS16)。尚、本例では、クラウドサーバ10が、一つ以上の施設(薬局)20から受信した処方データに基づいて分包薬の分包個数を算出するが、一つ以上の施設(薬局)20側で処方データに基づいて分包薬の分包個数を自動的に算出し、又は手動で入力し、一つ以上の施設(薬局)20側が算出又は入力した分包個数分のユニークIDの発番をクラウドサーバ10に要求するようにしてもよい。また、一つ以上の施設(薬局)20は、発番サーバ16がユニークIDを発番するために使用する情報として、一包化調剤する薬剤分包装置22-1の製品IDをクラウドサーバ10に送信することが好ましい。
【0086】
薬剤分包装置22-1のラベルプリンタ22Dは、クラウドサーバ10から受信した分包個数分のユニークIDを示すバーコード、分包袋に収納される分包薬の薬剤情報、服用する患者情報等をラベルに印字し(ステップS18)、印字したラベルを分包袋に貼付する(ステップS20)。
【0087】
薬剤分包装置22-1の薬剤分包部22Bは、処方データにしたがって分包袋に薬剤を投入して一包化する(ステップS22)。尚、本例では、空の分包袋にユニークID等が印字されたラベルを貼付し、その後、分包袋に薬剤を投入して一包化するようにしているが、一包化された分包袋にユニークID等が印字されたラベルを貼付するようにしてもよい。
【0088】
一人分の一包化調剤が完了すると、薬剤分包装置22-1はユニークIDに関連付けて分包薬の薬剤情報等を、通信部22C-2からネットワーク2を介してクラウドサーバ10にアップロードする(ステップS24)。
【0089】
クラウドサーバ10は、一つ以上の施設(薬局)20からアップロードされたユニークIDに関連付けられた分包薬の薬剤情報等を薬剤管理DBに新規登録し、薬剤管理DBを更新する(ステップS26)。
【0090】
これにより、クラウドサーバ10は、一つ以上の施設(薬局)により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理することができる。
【0091】
[薬剤管理方法の第2の実施形態]
図8は、本発明に係る薬剤管理方法の第2の実施形態を示すフローチャートである。
【0092】
第2の実施形態が適用される薬剤分包装置は、装置自体が発番部を備え、その発番部から発番されたユニークIDを取得する点で、
図4に示した薬剤分包装置22-1と相違する。
【0093】
図8において、一つ以上の施設(薬局)20の薬剤分包装置は、レセプトコンピュータ24から処方データを受信し(ステップS30)、薬剤分包部は、処方データにしたがって分包袋に薬剤を投入して一包化する(ステップS32)。
【0094】
薬剤分包装置に設けられた発番部は、薬剤分包部により薬剤が一包化される毎に、その一包化された分包薬に対してユニークIDを、発番サーバ16と同様にして発番する(ステップS34)。
【0095】
薬剤分包装置に設けられたラベルプリンタは、発番されたユニークID等をラベルに印字し(ステップS36)、ユニークID等が印字されたラベルを分包袋に貼付する(ステップS38)。
【0096】
薬剤分包装置は、一人分の分包が終了したか否かを判別し(ステップS40)、一人分の分包が終了していないと判別されると(「No」の場合)、ステップS32に戻り、ステップS32からステップS40の処理を繰り返す。一方、一人分の分包が終了したと判別されると(「Yes」の場合)、ステップS42に遷移する。
【0097】
ステップS42では、薬剤分包装置はユニークIDに関連付けて分包薬の薬剤情報等を、LAN26及びネットワーク2を介してクラウドサーバ10にアップロードする。
【0098】
クラウドサーバ10は、一つ以上の施設(薬局)20からアップロードされたユニークIDに関連付けられた分包薬の薬剤情報等を薬剤管理DBに新規登録し、薬剤管理DBを更新する(ステップS44)。
【0099】
これにより、クラウドサーバ10は、一つ以上の施設(薬局)により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理することができる。
【0100】
[一つ以上の施設(薬局)20の第2の実施形態]
図9は、一つ以上の施設(薬局)20の内部構成の第2の実施形態を示すブロック図である。尚、
図4に示した一つ以上の施設(薬局)20の内部構成と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図9に示す第2の実施形態の一つ以上の施設(薬局)20は、
図4に示した第1の実施形態の一つ以上の施設(薬局)20と比較して、薬剤分包装置22-1の代わりに薬剤分包監査装置22-2が設置されている点で相違する。
【0102】
図9に示す薬剤分包監査装置22-2は、主として装置全体を統括制御するCPU22A、薬剤分包部22B、通信部22C-1、22C-2、撮像部22E、薬剤監査部22F、発番部22G、情報付加部として機能するプリンタ22H、表示部22I、及び操作部22Jを備えている。
【0103】
この薬剤分包監査装置22-2は、薬剤分包装置22-1と同様の分包機能の他に、分包薬の監査機能(主として撮像部22E、薬剤監査部22F等)と発番部22Gとを備えている点で、薬剤分包装置22-1と相違する。
【0104】
撮像部22Eは、薬剤分包部22Bにより一包化された分包薬(分包袋)を、表側から撮像する第1撮像部と裏側から撮像する第2撮像部とにより構成されている。これは、薬剤の形状、刻印等を正確に把握するためである。尚、撮像部22Eは、一包化される前の分包薬(例えば、薬剤分包部22Bのトレイ(薬剤マス)にセットされた分包薬、又は薬剤マスから薬剤撮像用トレイに落下させられた分包薬)を撮像するようにしてもよい。
【0105】
薬剤監査部22Fは、レセプトコンピュータ24からLAN26及び通信部22C-1を介して処方データが入力されると、撮像部22Eにより撮像された分包薬の画像(本例では、一包化された分包薬(分包袋)の表側から撮像された画像と裏側から撮像された画像)を入力し、入力した処方データと分包薬の画像とに基づいて各分包袋に収納された分包薬が正しいか否かの判定等を行う。
【0106】
例えば、処方データと分包薬の画像を画像解析して得られる情報(分包袋内の薬剤の数量、薬剤の形状、寸法、色、及び刻印等から得られる薬剤情報)とを照合し、分包薬が正しいか否かを判定する方法、あるいは分包袋内の薬剤のマスタ画像を取得し、マスタ画像と撮像された分包薬の画像とを1錠ずつ比較して分包薬が正しいか否かを判定する方法等が考えられる。マスタ画像としては、薬剤情報に対応して予め準備された画像を使用し、あるいは一包目(最初)の分包袋を撮像した画像を使用することが考えられる。
【0107】
また、薬剤監査部22Fは、薬剤師が分包薬の監査を容易にする監査用の画像を生成する機能も含む。薬剤監査部22Fは、監査結果を表示部22Iに表示させ、あるいは監査用の画像を表示させる。尚、監査用の画像の詳細については後述する。
【0108】
発番部22Gは、CPU22A又は薬剤分包部22Bからの発番要求に応じて、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニークIDを発番する。尚、発番要求は、薬剤分包部22Bでの分包タイミング、又はプリンタ22Hでの印字タイミングに合わせて一包ずつ出すことができる。
【0109】
発番部22Gにより発番されるユニークIDは、発番サーバ16により発番されるユニークIDと同様に世界で唯一のIDであり、例えば、薬剤分包監査装置22-2を一意に特定する製品IDと、薬剤分包監査装置22-2により一包化される分包薬の個数の連続番号、あるいはタイムスタンプとを組み合わせて、ユニークIDとすることができる。また、発番部22Gは、UUIDを発番するようにしてもよい。
【0110】
CPU22Aは、発番部22Gにより発番されたユニークIDを取得するとともに、レセプトコンピュータ24から取得した処方データに基づいて、各分包薬に対するプリント用データを作成し、プリンタ22Hに出力する。
【0111】
プリンタ22Hは、入力するプリント用データによりユニークID及び処方データを分包袋に印字する。
【0112】
表示部22Iは、薬剤監査部22Fによる監査結果及び監査用の画像を表示し、操作部22Jは、薬剤師による監査情報を入力するユーザインターフェースとして機能する。
【0113】
薬剤師による薬剤監査作業が終了し、薬剤師が操作部22Jにより監査終了を入力すると、薬剤分包監査装置22-2は、ユニークIDに関連付けて少なくとも分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、通信部22C-2からネットワーク2を介してクラウドサーバ10にアップロードする。このとき、処方データや分包情報も同時にアップロードするようにしてもよい。
【0114】
[薬剤管理方法の第3の実施形態]
図10は、本発明に係る薬剤管理方法の第3の実施形態を示すフローチャートである。
【0115】
図10に示す第3の実施形態の薬剤管理方法は、クラウドサーバ10と
図9に示した一つ以上の施設(薬局)20とを含む薬剤管理システムに適用される。
【0116】
図10において、一つ以上の施設(薬局)20の薬剤分包監査装置22-2は、レセプトコンピュータ24から処方データを受信し(ステップS50)、薬剤分包部22Bは、処方データにしたがって分包袋に薬剤を投入して一包化する(ステップS52)。
【0117】
撮像部22Eは、薬剤分包部22Bにより一包化された分包袋を撮像し、薬剤監査部22Fに分包薬の画像を出力する(ステップS54)。
【0118】
また、発番部22Gは、薬剤分包部22Bにより薬剤が一包化される毎に、その一包化された分包薬(分包袋)に対してユニークIDを発番する(ステップS56)。プリンタ22Hは、発番されたユニークID等を分包袋に印字する(ステップS58)。
【0119】
薬剤分包監査装置22-2は、一人分の分包が終了したか否かを判別し(ステップS60)、一人分の分包が終了していないと判別されると(「No」の場合)、ステップS52に戻り、ステップS52からステップS60の処理を繰り返す。一方、一人分の分包が終了したと判別されると(「Yes」の場合)、ステップS62に遷移する。
【0120】
ステップS62では、薬剤監査部22Fによる監査が実施される。
【0121】
図11は、ステップS62における薬剤監査の一例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【0122】
図11において、薬剤監査部22Fは、CPU22Aから処方データや分包情報を取得し(ステップS80)、処方データや分包情報に含まれる薬剤情報に基づいて、予め準備されている薬剤のマスタ画像群から分包薬の各薬剤に対応するマスタ画像を読み込む(ステップS82)。また、薬剤監査部22Fは、撮像部22Eにより撮像された分包薬の画像を取得する(ステップS84)。
【0123】
薬剤監査部22Fは、マスタ画像と分包薬の画像とを1錠ずつ照合する(ステップS86)。例えば、照合対象の画像から各薬剤の特徴量を抽出し、またマスタ画像から各薬剤の特徴量を抽出して、抽出した特徴量同士を比較することで、分包された薬剤の名称及びその数量を照合することができる。薬剤の特徴量としては、形状、大きさ、色、刻印及び文字等を挙げることができる。また、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)のような局所特徴量を抽出して照合に用いてもよい。
【0124】
ステップS86での照合の結果、分包薬が処方データや分包情報通りである場合(ステップS90でYes)は、ステップS92へ進んで照合結果(例えば「2番目の分包袋は処方データや分包情報通りに分包されています」)を表示部22Iに出力し、分包薬が処方データや分包情報通りでない場合(ステップS90でNo)はステップS94(警告工程)へ進んで警告を出力する。ステップS94での警告出力(表示部22Iへの表示)は、例えば「2番目の分包袋の分包薬が処方データや分包情報の内容と違う」旨のメッセージ、及び警告の具体的な内容(「分包袋に薬剤Bが入っておらず、不要な薬剤Cが入っている」)を示すメッセージを表示部22Iに出力することができる。
【0125】
照合結果(ステップS92)又は警告(ステップS94)が出力されると、薬剤監査部22Fは、患者一人の全分包袋について照合が終了したか否かを判別する(ステップS96)。判別が否定されたら(ステップS96でNo)、ステップS84へ戻って次の分包袋に対してステップS84からステップS96の処理を行い、判別が肯定されたら(ステップS96でYes)、ステップS98に遷移する。
【0126】
ステップS98では、薬剤監査部22Fは、薬剤師が一包化された分包薬の監査を容易にするための監査用の画像の一覧表を作成し、作成した一覧表を表示部22Iに表示させる。一覧表には、分包薬の薬剤マスタの名称や画像と、監査対象となる薬剤の名称及び、薬剤の表と裏の撮像画像を表示させるのが識別性の観点で好ましい。
【0127】
図12は、薬剤監査部22Fにより作成された監査用の画像の一覧表の一例を示す図である。
【0128】
図12に示す監査用の画像の一覧表は、列が各薬剤に対応し、行が各分包袋に対応している。例えば、処方データにおいて「薬1」から「薬5」までの5種類の薬剤が処方されているとする。また、薬は10日分処方されており、服用時点は朝、昼、夜の3つの時点であるとする。この場合、処方された薬剤は、3×10=30袋の分包袋に分包され、監査対象の分包袋は30袋存在する。
【0129】
一覧表の最上段には各列に対応する薬剤の名称(「薬1」、「薬2」、…、「薬5」)などを配置し、その次の段には各薬剤のマスタ画像を配置する。薬剤監査部22Fは、例えば30袋の分包袋のそれぞれの監査結果にしたがって、マスタ画像の各薬剤の列に、マスタ画像と一致すると判別された薬剤領域画像(監査用の画像)を配置する。例えば、「薬1」と判別された画像は「薬1」の列に配置し、「薬2」と判別された画像は「薬2」の列に配置する。
【0130】
図12には図示されていないが、一覧表は、薬剤師によるチェック欄を含んでいてもよい。また、一覧表は、薬剤監査部22Fによる監査結果(照合結果、警告)を表示する欄を含んでいてもよい。
【0131】
尚、薬剤分包監査装置22-2は、処方データに関連付けて監査用の画像の一覧表を含む監査結果を、図示しない記憶部に保存することが好ましい。
【0132】
図10に戻って、ステップS62での薬剤監査が行われた後、薬剤師は、表示部22Iに表示される監査用の画像の一覧表(
図12)を目視し、各分包袋に処方データや分包情報通りに薬剤が分包されているか否かを判別する(ステップS64)。尚、薬剤師は、表示部22Iに表示される監査用の画像の一覧表において、各分包薬に対応した列の画像同士を比較することで、各分包袋に処方データや分包情報通りに薬剤が分包されているか否かを容易に確認することができ、特に警告が発せられた分包袋については注意深く検査することができる。
【0133】
ステップS64において、処方データや分包情報通りに分包されていない分包袋(不正な分包袋)が発見された場合(「No」の場合)、エラー処理を行う(ステップS66)。エラー処理としては、薬剤師は、一連の分包袋から不正な分包袋を切り離し、新たに分包した適正な分包袋に差し替える。この場合、適正な分包袋には、不正な分包袋に印字されていたバーコード等を印字してもよいし、新たに発番したユニークIDを示すバーコード等を印字してもよい。
【0134】
ステップS64において、全ての分包袋が処方データや分包情報通りに分包されていることが薬剤師により確認されると(「Yes」の場合)、薬剤師による操作部22Jでの指示入力に基づいて薬剤分包監査装置22-2は、ユニークIDに関連付けて分包袋に収納された分包薬の薬剤情報を、通信部22C-2からネットワーク2を介してクラウドサーバ10にアップロードする(ステップS68)。
【0135】
薬剤情報として、
図3に示すように薬剤文字情報に加えて薬剤画像(分包袋を表裏から撮像した2枚の画像、及び/又は分包薬の画像)もアップロードすることが好ましい。また、処方データや分包情報も同時にアップロードするようにしてもよい。更に、クラウドサーバ10に薬剤画像をアップロードする場合、薬剤画像はリサイズされたもの、あるいは圧縮されたものでもよい。
【0136】
クラウドサーバ10は、一つ以上の施設(薬局)20からアップロードされたユニークIDに関連付けられた分包薬の薬剤情報等を薬剤管理DBに新規登録し、薬剤管理DBを更新する(ステップS70)。
【0137】
これにより、クラウドサーバ10は、一つ以上の施設により一包化された分包薬を一包ずつ一元管理することができる。
【0138】
[一つ以上の施設(薬局)20の第3の実施形態]
図13は、一つ以上の施設(薬局)20の内部構成の第3の実施形態を示すブロック図である。尚、
図4に示した第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0139】
図13に示す一つ以上の施設(薬局)20には、薬剤分包装置向け発番装置(発番装置)22-3と薬剤分包装置22-4とがそれぞれ独立して設置され、発番装置22-3、薬剤分包装置22-4及びレセプトコンピュータ24は、LAN26を介して相互に通信可能になっている。
【0140】
発番装置22-3は、薬剤分包装置22-4の薬剤分包部22Bにより薬剤が一包化される毎に、その一包化された分包薬に対してユニークIDを、発番サーバ16と同様にして発番する。
【0141】
発番装置22-3により発番されるユニークIDは、世界で唯一のIDであり、例えば、GS1(General Specifications One)が定めている国際標準の識別コードであるGS1識別コードを適用することができる。
【0142】
GS1識別コードには、GTIN(Global Trade Item Number)コード、GLN(Global Location Number)コード、GIAI(Global Individual Asset Identifier)コード、SSCC(Serial Shipping Container Code)、GRAI(Global Returnable Asset Identifier)コード、GSRN(Global Service Relation Number)コード、GDTI(Global Document Type Identifier)コード、及びGCN(Global Coupon Number)コードなどがあり、特にGSRNコード及びGIAIコードが好適である。
【0143】
GSRNコードは、サービスの提供者と利用者を管理するための識別コードであり、9桁のGS1事業者コード、8桁のサービス提供/利用者コードの他、10桁の拡張領域、15桁の任意に定義可能な独自コードの組み合わせで構成される。したがって、例えば、GSRNコードのサービス提供/利用者コードに薬剤分包装置又は薬剤分包監査装置等の製品ID(シリアル番号)を割り当て、拡張領域又は独自コードにその製品IDを有する薬剤分包装置又は薬剤分包監査装置により一包化される分包薬の個数の連続番号、あるいはタイムスタンプを割り当てることにより、GSRNコードを、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニークIDとすることができる。
【0144】
また、GIAIコードは、企業の資産を管理するための識別コードであり、9桁のGS1事業者コードと可変長の1~21桁の資産番号からなる最大30桁のコードである。したがって、GIAIコードの21桁の資産番号に薬剤分包装置又は薬剤分包監査装置等の製品ID及びその製品IDを有する薬剤分包装置又は薬剤分包監査装置により一包化される分包薬の個数の連続番号、あるいはタイムスタンプを割り当てることにより、GIAIコードを、分包薬を一包ずつ一意に特定するユニークIDとすることができる。
【0145】
CPU22A-1は、発番されたユニークIDと、レセプトコンピュータ24から取得した処方データとに基づいて、各分包薬に対するプリント用データを作成し、ラベルプリンタ22Dに出力する。
【0146】
ラベルプリンタ22Dは、入力するプリント用データによりユニークID及び処方データを印字する。印字されたラベルは、薬剤分包装置22-4の薬剤分包部22Bにより一包化された分包袋に自動または手動で付加する。また、ラベルプリンタ22Dは通常のプリンタ(IJプリンタや電子写真等)でもよく、一包化された分包袋に対応した各々のユニークIDおよび処方データ等の一覧を通常の紙に印字し、一包化された薬とセットにして提供してもよい。
【0147】
薬剤分包装置22-4は、CPU22A、薬剤分包部22B、及び通信部22Cを備え、主として薬剤マスに1包分毎にセットされた薬剤マス内の薬剤を、連続している空の分包袋に収納し、分包袋を閉じ、ミシン目等の付与により切り離し可能にすることで分包薬の一包化を行う。この薬剤分包装置22-4としては、一般的なもの(既存のもの)を適用することができる。
【0148】
第3の実施形態によれば、一般的な薬剤分包装置22-4に対して、LAN26等の通信回線を介して通信可能な薬剤分包装置向け発番装置22-3を設置することで、
図4に示した薬剤分包装置22-1と同等の構成とすることができる。
【0149】
本例では、ラベルプリンタ22D(プリンタ)、及びクラウドサーバ10と通信する通信部22C-2は、薬剤分包装置向け発番装置22-3側に設けられているが、薬剤分包装置22-4側に設けるようにしてもよい。
【0150】
また、
図14は、本発明に係る分包袋の第2の実施形態を示す図であり、一回に服用する薬剤が収納された一包分の分包袋の平面図である。
【0151】
図14に示す分包袋50-2は、薬剤分包部22Bにより一回に服用する複数の薬剤52-2が収納され、ラベルプリンタ22DによりユニークID及び処方データが印字されたラベル40-2が貼付されて構成されている。
【0152】
ラベル40-2には、ユニークID(本例では、GS1識別コードの一つであるGSRNコードからなるユニークID)を示す二次元バーコード44-2(例えば、QRコード(登録商標))と、患者の名前(富士太郎)46-2と、服用時期(朝食後)47-2と、一包化されている薬剤毎の薬剤名等の薬剤文字情報48-2とが印字されている。尚、処方データを印字する場合には、服用時期47-2のみでもよい。また、ラベル40-2には、ユニークIDを示す二次元バーコード44-2に加えて、分包薬の薬剤情報(薬剤文字情報48-2)及び患者情報(患者名46-2)のうちの少なくとも一方を印字してもよい。
【0153】
[一つ以上の施設(薬局)20の第4の実施形態]
図15は、一つ以上の施設(薬局)20の内部構成の第4の実施形態を示すブロック図である。尚、
図4に示した第1の実施形態、及び
図9に示した第2の実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0154】
図15に示す一つ以上の施設(薬局)20には、薬剤分包装置22-4と一包化薬剤監査装置22-5とがそれぞれ独立して設置され、薬剤分包装置22-4、一包化薬剤監査装置22-5、及びレセプトコンピュータ24は、LAN26を介して相互に通信可能になっている。
【0155】
薬剤分包装置22-4は、
図4に示した薬剤分包装置22-1と同様の分包機能を有し、一包化薬剤監査装置22-5は、CPU22A-1により統括制御され、一包化された分包薬の監査機能を有している。そして、薬剤分包装置22-4と一包化薬剤監査装置22-5とにより、
図9の第の2実施形態に示した薬剤分包監査装置22-2と同等の薬剤分包監査装置として機能する。
【0156】
薬剤分包装置22-4としては、一般的なもの(既存のもの)を適用することができる。
【0157】
第4の実施形態によれば、一般的な薬剤分包装置22-4に対して、LAN26等の通信回線を介して通信可能な一包化薬剤監査装置22-5を設置することで、
図9に示した薬剤分包監査装置22-2と同等の構成とすることができる。
【0158】
[クライアント端末]
図16は、薬剤管理システム1に適用可能なクライアント端末100の外観図であり、本例では、クライアント端末100としてスマートフォンを使用している。
【0159】
<クライアント端末の構成>
図16に示すクライアント端末100は、平板状の筐体102を有し、筐体102の一方の面に表示部としての表示パネル121と、入力部としての操作パネル122とが一体となって形成される表示入力部120が設けられる。また、その筐体102は、スピーカ131と、マイクロホン132と、操作部140と、カメラ部141(撮像部)とを備える。尚、筐体102の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立して設けられる構成を採用したり、折り畳み構造やスライド機構を有する構成、クライアント端末からWi-FiやBluetooth等の通信手段を介してコミュニケーション機構を有するロボット等を採用することもできる。
【0160】
図17は、
図16に示したクライアント端末100の内部構成を示すブロック図である。
【0161】
図17に示すように、クライアント端末100の主たる構成要素として、無線通信部110と、表示入力部120と、通話部130と、操作部140と、カメラ部141と、記憶部150と、外部入出力部160(出力部)と、GPS(global positioning system)受信部170と、モーションセンサ部180と、電源部190と、主制御部101とを備える。また、クライアント端末100の主たる機能として、基地局装置と移動通信網とを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
【0162】
無線通信部110は、主制御部101の指示に従って、移動通信網に接続された基地局装置との間で無線通信を行う。その無線通信が使用されて、音声データ及び画像データ等の各種ファイルデータや電子メールデータなどの送受信、及びウェブデータやストリーミングデータなどの受信が行われる。
【0163】
表示入力部120は、表示パネル121の画面上に配設された操作パネル122を備えたいわゆるタッチパネルであり、主制御部101の制御により、画像(静止画像及び動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達し、また表示した情報に対するユーザ操作を検出する。尚、操作パネル122を便宜上、タッチパネルとも称す。
【0164】
表示パネル121は、LCD(Liquid Crystal Display)又はOELD(Organic Electro-Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いる。操作パネル122は、表示パネル121の表示面上に表示される画像が視認可能な状態で設けられ、ユーザの指や尖筆によって操作される1又は複数の座標を検出するデバイスである。そのデバイスがユーザの指や尖筆によって操作されると、操作パネル122は、操作に起因して発生する検出信号を主制御部101に出力する。次いで、主制御部101は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル121上の操作位置(座標)を検出する。
【0165】
図16に例示されるクライアント端末100の表示パネル121と操作パネル122とは一体となって表示入力部120を構成し、操作パネル122が表示パネル121を完全に覆うような配置となっている。その配置を採用した場合、操作パネル122は、表示パネル121外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル122は、表示パネル121に重なる重畳部分についての検出領域(以下、「表示領域」という)と、それ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、「非表示領域」という)とを備えていてもよい。
【0166】
尚、表示領域の大きさと表示パネル121の大きさとを完全に一致させてもよいが、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、操作パネル122が、外縁部分及びそれ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。更に、その外縁部分の幅は、筐体102の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。更にまた、操作パネル122で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、及び静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式が採用されてもよい。
【0167】
通話部130は、スピーカ131及びマイクロホン132を備え、マイクロホン132を通じて入力されたユーザの音声を主制御部101にて処理可能な音声データに変換して主制御部101に出力したり、無線通信部110或いは外部入出力部160により受信された音声データを復号してスピーカ131から出力したりする。また、
図16に示すように、例えば、スピーカ131及びマイクロホン132を表示入力部120が設けられた面と同じ面に搭載することができる。
【0168】
操作部140は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付ける。例えば、
図16に示すように、操作部140は、クライアント端末100の筐体102の側面に搭載され、指などで押下されるとスイッチオン状態となり、指を離すとバネなどの復元力によってスイッチオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
【0169】
記憶部150は、主制御部101の制御プログラムや制御データ、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、ウェブブラウジングによりダウンロードしたウェブデータ、及びダウンロードしたコンテンツデータ等を記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶する。
【0170】
また、記憶部150は、内部記憶部151と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部152とにより構成される。尚、記憶部150を構成する内部記憶部151及び外部記憶部152のそれぞれは、フラッシュメモリタイプ、ハードディスクタイプ、マルチメディアカードマイクロタイプ、カードタイプのメモリ、RAM(Random Access Memory)、或いはROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
【0171】
外部入出力部160は、クライアント端末100に連結される全ての外部機器とのインターフェースの役割を果たし、通信等(例えば、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、無線LAN(Local Area Network)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により他の外部機器に直接的又は間接的に接続する。
【0172】
クライアント端末100に連結される外部機器としては、例えば、有線/無線ヘッドセット、有線/無線外部充電器、有線/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオビデオ機器、有線/無線接続される外部オーディオビデオ機器、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、及びイヤホンなどがある。外部入出力部160は、このような外部機器から伝送を受けたデータをクライアント端末100の内部の各構成要素に伝達したり、クライアント端末100の内部のデータが外部機器に伝送されたりするように構成されてもよい。
【0173】
GPS受信部170は、主制御部101の指示に従って、GPS衛星ST1、ST2~STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、クライアント端末100の緯度、経度及び高度によって特定される位置情報(GPS情報)を取得する。GPS受信部170は、無線通信部110及び/又は外部入出力部160(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる場合には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
【0174】
モーションセンサ部180は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部101の指示に従って、クライアント端末100の物理的な動きを検出する。クライアント端末100の物理的な動きを検出することにより、クライアント端末100の動く方向や加速度が検出される。その検出の結果は、主制御部101に出力される。
【0175】
電源部190は、主制御部101の指示に従って、クライアント端末100の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給する。
【0176】
主制御部101は、マイクロプロセッサを備え、記憶部150が記憶する制御プログラムや制御データに従って動作し、クライアント端末100の各部を統括して制御する。また、主制御部101は、無線通信部110を通じて音声通信及びデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能とを備える。
【0177】
アプリケーション処理機能は、記憶部150が記憶するアプリケーションソフトウェアに従って主制御部101が動作することにより実現される。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部160を制御することで対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、及びウェブページを閲覧するウェブブラウジング機能の他、本発明に係る薬剤管理システムを利用するための機能などがある。本発明に係る薬剤管理システムを利用するための機能は、クラウドサーバ10又は薬剤管理システム1を運営する事業所のサイト等から対応するアプリケーションソフトウェア(以下、「薬剤管理プログラム」という)をダウンロードすることにより実現することができる。
【0178】
また、主制御部101は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部120に表示する等の画像処理機能を備える。
【0179】
更に、主制御部101は、表示パネル121に対する表示制御と、操作部140や操作パネル122を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御とを実行する。
【0180】
表示制御の実行により、主制御部101は、薬剤管理プログラム等のアプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示したり、或いは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。尚、スクロールバーとは、表示パネル121の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
【0181】
また、操作検出制御の実行により、主制御部101は、操作部140を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル122を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、或いはスクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
【0182】
更に、操作検出制御の実行により主制御部101は、操作パネル122に対する操作位置が、表示パネル121に重なる重畳部分(表示領域)に該当するか、或いはそれ以外の表示パネル121に重ならない外縁部分(非表示領域)に該当するかを判定し、操作パネル122の感応領域やソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
【0183】
また、主制御部101は、操作パネル122に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、或いはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
【0184】
カメラ部141は、主制御部101の制御により、撮像によって得た画像データを例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの圧縮した画像データに変換し、その画像データを記憶部150に記録したり、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力したりすることができる。
図16に示すようにクライアント端末100において、カメラ部141は表示入力部120と同じ面に搭載されているが、カメラ部141の搭載位置はこれに限らず、表示入力部120が設けられる筐体102の表面ではなく筐体102の背面にカメラ部141が搭載されてもよいし、或いは複数のカメラ部141が筐体102に搭載されてもよい。尚、複数のカメラ部141が搭載されている場合には、撮像に供するカメラ部141を切り替えて単独のカメラ部141によって撮像が行われてもよいし、或いは複数のカメラ部141を同時に使用して撮像が行われてもよい。
【0185】
また、カメラ部141はクライアント端末100の各種機能に利用することができる。例えば、カメラ部141で取得した画像が表示パネル121に表示されてもよいし、操作パネル122の操作入力手法の一つとして、カメラ部141で撮像取得される画像が利用されてもよく、本例では、分包袋に付加されたユニークIDを示すバーコード(一次元バーコード又は二次元バーコード)の読み取りに利用される。また、GPS受信部170が位置を検出する際に、カメラ部141からの画像が参照されて位置が検出されてもよい。更には、カメラ部141からの画像が参照されて、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、クライアント端末100のカメラ部141の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部141からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
【0186】
その他、GPS受信部170により取得された位置情報、マイクロホン132により取得された音声情報(主制御部等により、音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっていてもよい)、及びモーションセンサ部180により取得された姿勢情報等などを静止画又は動画の画像データに付加して得られるデータを、記憶部150に記録したり、外部入出力部160や無線通信部110を通じて出力したりすることもできる。
【0187】
[分包薬の薬剤情報の取得方法]
病院の看護師が、入院患者に対して処方された薬剤が分包された分包薬を服用時期(朝食後、夕食後等)毎に配薬する場合、あるいは介護老人保健施設の配薬担当者が、介護老人保健施設に入居している入居者に分包薬を服用時期毎に配薬する場合に、配薬する分包薬が服用者のものか否かを確認する必要がある。
【0188】
このとき、分包袋に名前が印字されていない場合には、配薬する分包薬が服用者のものか否かを分包袋により確認することができず、また、分包袋に名前が印字されていても同じ名前の複数の服用者がいる場合には、分包薬の配薬ミスが発生し得る。
【0189】
また、分包袋に収納された分包薬の薬種等を確認したい場合があるが、分包袋に薬種等の情報が印字されていない場合には、分包薬の薬種等を薬剤の形状、刻印等からは容易に確認することはできない。
【0190】
また、この種の確認は、看護師、配薬担当者に限らず、服用者自身やその家族でも確認したい場合がある。更に飲み残しの分包薬がある場合、その分包薬の薬種等の薬剤情報を確認したい場合がある。例えば、病院を変えた結果、残薬となった分包薬を次の病院に持参することがある。次の病院の医師や薬剤師は、残薬となった分包薬(いままでに服用していた薬剤)の薬剤情報を確認したり、また、残薬となった分包薬を継続して服用することができるかどうかを判断することとなるが、一包化された分包薬の薬種等の薬剤情報は、薬剤の形状、刻印等からは容易に確認することができない。
【0191】
これに対し、分包薬を一包ずつ一元管理する薬剤管理システム1を利用することにより、看護師、配薬担当者、服用者、薬剤師及び医師等は、分包薬の薬剤情報等を簡単に入手することができる。
【0192】
図18は、分包薬の薬剤情報の取得方法の実施形態を示すフローチャートである。以下、病院の看護師が、入院患者に対して分包薬を配薬する場合について説明する。
【0193】
看護師は、自分のクライアント端末100の薬剤管理プログラムを起動し、薬剤管理システム1の利用(アクセス)を可能にする(ステップS100)。
【0194】
看護師は、入院患者に配薬する分包薬が収納された分包袋に付加されたバーコードを、クライアント端末100の情報読取部として機能するカメラ部141により撮像し、バーコード(バーコードが示すユニークID)の読み取りを行わせる(ステップS102)。クライアント端末100により読み取られたユニークIDは、薬剤管理プログラムにしたがって分包薬の薬剤情報等の取得要求とともに、クラウドサーバ10に送信される(ステップS104)。
【0195】
分包薬の薬剤情報等の取得要求とともにユニークIDを受信したクラウドサーバ10は、受信したユニークIDに基づいて薬剤管理DBを検索し、ユニークIDに関連付けて管理されている分包薬の薬剤情報を取得する(ステップS106)。尚、薬剤情報の他に、処方年月日、患者情報、服用時期等の処方データの取得も可能である。
【0196】
クラウドサーバ10は、ユニークIDに基づいて取得した薬剤情報等を、要求元のクライアント端末100に送信する(ステップS108)。
【0197】
クライアント端末100の薬剤情報取得部として機能する主制御部101及び無線通信部110は、薬剤管理プログラムにしたがってクラウドサーバ10から分包薬の薬剤情報等を受信(取得)し、クライアント端末100の表示パネル121に表示させる(ステップS110)。これにより、看護師は、配薬する分包薬の薬剤情報、服用する患者情報等を確認することができる。
【0198】
また、
図18には図示されていないが、患者認識用リストバンド又は患者のベッドに付されている患者IDをクライアント端末100で読み取り、患者IDにより院内サーバで管理されている患者情報を院内LANを介して取得し、クラウドサーバ10から取得した患者情報と、患者認識用リストバンド等に付された患者IDに基づいて取得した患者情報とを照合することが可能である。これにより、看護師による分包薬の配薬を支援することができる。即ち、クライアント端末100を使用して患者のリストバンド、看護師のネームプレート、及び薬剤ラベルを読みとる、いわゆる「三点認証」により投薬ミスと投薬履歴を管理する管理システムが存在するが、この場合、薬剤ラベルを読み取る代わりに、分包袋に付されたユニークIDを示すバーコードを読み取ることができる。
【0199】
また、クラウドサーバ10は、図示しない認証サーバと連携し、クラウドサーバ10にアクセスするクライアント端末100のユーザ(アクセス者)に対して、分包薬の情報に閲覧制限を設けることが可能である。例えば、医師又は薬剤師の場合は、ユニークIDに関連付けて登録された分包薬の薬剤情報の他に、患者情報、病院情報又は薬局情報の閲覧を可能にし、服用者は、薬剤情報及び処方年月日の閲覧を可能にし、個人情報の閲覧を制限(自分自身の情報は許可)することができる。尚、医師又は薬剤師の認証は、例えば、医療従事者に発行されているHPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)等の医療IDカードを使用して行うことができ、これにより「なりすまし」を回避することができる。
【0200】
更に、一つ以上の施設(薬局)20の薬剤師は、ユニークIDに関連付けて分包薬の薬剤情報等をクラウドサーバ10にアップロードする際に、例えば、HPKIカードを使って電子署名することで、アップロードした薬剤情報等を証明できるようにすることが好ましい。
【0201】
[その他]
本実施形態では、クラウドサーバ10内に設けられた記憶部14に薬剤管理DBを構築するようにしたが、これに限らず、一つ以上の施設(薬局)20のPC(personal computer)の記憶部に薬剤管理DB(例えば、その施設により一包化された分包薬に関する薬剤管理DB)を構築し、クラウドサーバ10が、一つ以上の施設に分散した薬剤管理DBを1つの薬剤管理DBとして取り扱うことができる分散型DBとしてもよい。
【0202】
また、本システムは、電子カルテ、臨床検査値、検査画像等をネットワークで結んだシステム、地域医療連携や介護連携など、他のクラウドストレージサービスシステムとデータ連携して、相互にデータを提供できるようにしてもよい。
【0203】
更に、本実施形態では、ユニーク識別情報又はユニーク識別情報を示すバーコードを分包袋に印字し、ユニーク識別情報もしくはユニーク識別情報を示すバーコードを印字したラベルを分包袋に貼付するようにしたが、これに限らず、分包袋に付加された(埋め込まれた)電子タグにユニーク識別情報を記録するようにしてもよい。この場合、電子タグは、メモリエリアに一度だけ書込み(ユニーク識別情報の書込み)ができ、その後はメモリの読み取りのみが可能なタイプであることが好ましい。
【0204】
また、本実施形態において、例えば、クラウドサーバ10のCPU12、薬剤分包装置22-1のCPU22A、薬剤分包監査装置22-2のCPU22A、薬剤監査部22F、発番部22Gの各処理部のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0205】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0206】
また、本実施形態では、クライアント端末100としてスマートフォンを例に説明したが、これに限らず、例えば、タブレット端末、携帯情報端末等を使用することができる。
【0207】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0208】
1 薬剤管理システム
2 ネットワーク
10 クラウドサーバ
12、22A、22A-1 CPU
14 記憶部
16 発番サーバ
18 通信部
20 一つ以上の施設(薬局)
22-1 薬剤分包装置
22-2 薬剤分包監査装置
22-3 薬剤分包装置向け発番装置(発番装置)
22-4 薬剤分包装置
22-5 一包化薬剤監査装置
22B 薬剤分包部
22C,22C-1,22C-2 通信部
22D ラベルプリンタ
22E 撮像部
22F 薬剤監査部
22G 発番部
22H プリンタ
22I 表示部
22J 操作部
24 レセプトコンピュータ
26 LAN
40、40-2 ラベル
42、42-2 文字情報
44 バーコード
44-2 二次元バーコード
46、46-2 患者名
47、47-2 服用時期
48、48-2 薬剤文字情報
50、50-2 分包袋
52、52-2 薬剤
100 クライアント端末
101 主制御部
102 筐体
110 無線通信部
120 表示入力部
121 表示パネル
122 操作パネル
130 通話部
131 スピーカ
132 マイクロホン
140 操作部
141 カメラ部
150 記憶部
151 内部記憶部
152 外部記憶部
160 外部入出力部
170 GPS受信部
180 モーションセンサ部
190 電源部
S10~S110 ステップ