IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フエロ コーポレーションの特許一覧

特許7256260窒化ケイ素及び他の基板用の導電性厚膜ペースト
<>
  • 特許-窒化ケイ素及び他の基板用の導電性厚膜ペースト 図1
  • 特許-窒化ケイ素及び他の基板用の導電性厚膜ペースト 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】窒化ケイ素及び他の基板用の導電性厚膜ペースト
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/09 20060101AFI20230404BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20230404BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20230404BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20230404BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20230404BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H05K1/09 A
H05K3/46 H
H01B1/00 L
H01B1/22 A
H01B1/20 A
H01B1/00 J
H01B13/00 503D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021512377
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049838
(87)【国際公開番号】W WO2020051390
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/728,382
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503468695
【氏名又は名称】フエロ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ウメッシュ
(72)【発明者】
【氏名】マロニー,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ブラッドフォード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パラニサミー,ポヌサミー
(72)【発明者】
【氏名】スリダーラン,スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】サコスケ,ジョージ イー.
(72)【発明者】
【氏名】グラディ,ジョージ イー.ジュニア.
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-504667(JP,A)
【文献】特開平03-046705(JP,A)
【文献】特開2017-135242(JP,A)
【文献】特開平07-135394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/09
H05K 3/46
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 1/20
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約20~約49%の第1のCu、
(b)約20~約34%の第2のCu、
(c)約3~約12%のCuO、
(d)約8~約25%のAg、並びに
(e)約8~約25%の、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素
を重量%で含み、並びに、
(f)鉛を含まず、かつカドミウムを含まず、
前記第1のCuは、約0.1~8ミクロンのD50を有し、
前記第2のCuは、約10~20ミクロンのD50を有する、厚膜ペースト。
【請求項2】
前記厚膜ペーストが
(a)約21~約36%の前記第1のCu、
(b)約20~約30の前記第2のCu、
(c)約3~約12%のCuO、
(d)約8~約20%のAg、並びに
(e)約8~約20%の、Ti、V、Zr、Cr、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素を含む、請求項1に記載の厚膜ペースト。
【請求項3】
前記厚膜ペーストが
(a)約23~約29%の第1のCu、
(b)約20~約25%の第2のCu、
(c)約4~約9%のCuO、
(d)約8~約17%のAg、並びに
(e)約10~約16%の、Ti及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素
を含む、請求項1に記載の厚膜ペースト。
【請求項4】
約10~約20%の有機成分部分をさらに含む、請求項1に記載の厚膜ペースト。
【請求項5】
ガラス成分と、銅成分と、を含み、
前記ガラス成分は、重量%で:
(a)約10~約70%の少なくとも1つのアルカリ土類酸化物、
(b)約0.01~約10%の少なくとも1つのアルカリ酸化物、
(c)約22~約70%の(B+SiO)、及び
(d)約0.01~約15%のAl
を含み、
前記アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択され;
前記アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbOからなる群から選択され、
前記成分は、重量%で:
(a)約14~約23%の第1のCu、
(b)約20~約28%の第2のCu、
(c)約15~約24%の第3のCu、及び
(d)約5~約11%のCuO、
を含み、
前記第1のCuのD50は約5ミクロンであり、前記第2のCuのD50は約1.5ミクロンであり、前記第3のCuのD50は約10ミクロンであり、
前記ガラス成分及び前記Cu成分は、約1:15~約1:30の重量比で存在する、
鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペースト。
【請求項6】
前記アルカリ土類酸化物がMgO、CaO、及びZnOから選択される、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項7】
前記アルカリ土類酸化物がCaO及びZnOから選択される、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項8】
前記ガラス成分のD50が約0.5~約20ミクロンである、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項9】
前記銅成分が、重量%で:
(a)約15~約23%の前記第1のCu、
(b)約22~約28%の前記第2のCu、
(c)約17~約24%の前記第3のCu、及び
(d)約6~約10%のCu
を含む、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項10】
前記銅成分が、重量%で:
(a)約17~約22%の前記第1のCu、
(b)約23~約26%の前記第2のCu、
(c)約18~約24%の前記第3のCu、及び
(d)約7~約10%のCu
を含む、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項11】
約10~約30重量%の有機成分部分をさらに含む、請求項5に記載の厚膜ペースト。
【請求項12】
(a)請求項1に記載の少なくとも1つの厚膜ペーストを基板に塗布して、前記基板上に厚膜を形成する工程と、
(b)前記厚膜を乾燥して乾燥導電性厚膜を形成する工程と、
(c)前記乾燥導電性厚膜を焼成して、前記基板上に焼成導電性厚膜を形成する工程であり、焼成はN雰囲気で行う工程と、
を含み、
前記基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素からなる群から選択される、基板上に焼成導電性厚膜を形成する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の前記厚膜ペースト、及び請求項5に記載の前記導電性厚膜ペーストのうちの少なくとも1つが、積層造形加工、スクリーン印刷、シリンジ堆積、及びデジタル印刷技術からなる群から選択される1つによって塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
焼成が約850~約1050℃の温度で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
焼成が約850~約900℃の温度で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記雰囲気が10ppm未満のOを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
焼成が還元性雰囲気で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記還元性雰囲気がNを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(a)基板と、
(b)前記基板の少なくとも一部に配された鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜と、
を備え、
前記鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜は、少なくとも第1の導電性厚膜及び第2の導電性厚膜を備え、
前記基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素からなる群から選択され、
前記第1の導電性厚膜は、請求項1に記載の前記厚膜ペーストを含み、前記第2の導電性厚膜は、請求項に記載の前記導電性厚膜ペーストを含む、電子デバイス。
【請求項20】
窒素を含む界面が、前記基板と前記鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜との間に形成される、請求項19に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化アルミニウム基板、アルミナ基板及び窒化ケイ素基板上に回路及び電子デバイスを製造する際に使用するための鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性銅厚膜ペースト(lead- and cadmium- free conductive copper thick film pastes)に関する。
【背景技術】
【0002】
厚膜回路は、モノリシック集積マイクロエレクトロニクス回路のよく知られた形態の1つである。このタイプの回路は、多数の受動部品が必要な場合、又はやや高い消費電力が必要な場合に特に有用である。厚膜回路は、製造コストが低く、組成及び寸法特性に応じて、薄膜回路よりも広い範囲の抵抗値を得ることができる。
【0003】
厚膜回路の製造は、シルクスクリーン印刷の周知の技術の改良である。厚膜回路は、特定の基板に印刷された導体、抵抗及び他の受動回路部品のパターンからなる。最も知られているプロセスにおいては、特定の印刷パターンのスクリーン又はテンプレートを通して様々なペーストが基板又は連続回路層に塗布される。連続層は、印刷後に乾燥され、ベルト炉で焼成して材料が焼結される。
【0004】
典型的な厚膜回路においては、基板は多くの場合、アルミナ等のセラミック材料である。しかしながら、極端な温度変化が通常である自動車用電子機器等の過酷な用途においては、機械的特性が改善された他のセラミック材料が検討され得る。シリコンデバイスに接続して厚膜回路が形成される用途においては、熱膨張係数も重要となり得る。これらの用途においては、基板上に形成される厚膜ペーストには多くの改善の余地がある。厚膜ペーストは、通常、ガラス粒子、金属及び/又は金属酸化物粒子と、有機溶媒、樹脂、及びチキソトロープ剤(thixotropes)として知られる粘度制御剤との組成物である。これらの厚膜ペーストの組成物は、印刷される受動電気部品の種類に依存する。
【0005】
ハイブリッドマイクロエレクトロニクス部品(hybrid microelectronic components)において使用される抵抗体、誘電体、及び導体を形成するのに有用な様々な金属含有厚膜組成物(すなわち、ペースト、インク、テープ等)が、ハイブリッドマイクロエレクトロニクスの分野で開発されてきた。一般に、このような組成物、特にペースト又はインク組成物は、導体(例えば、銀、パラジウム、銅、アルミニウム、金、白金等、及びこれらの異なる金属の各種合金)、抵抗性成分もししくは誘電性成分、バインダもしくは無機フラックス材料(例えば、ガラス又は無機酸化物)、並びに一般に溶媒と、樹脂及びチキソトロープ剤及び/もしくは湿潤剤(wetting agent)とを含む有機成分又はビヒクルを含む。
【0006】
上記のペースト又はインク組成物は、所望の構成(configuration)又はパターンで適当な基板上に塗布されて、ハイブリッドマイクロエレクトロニクス部品として使用するための所望の回路を形成する。
【発明の概要】
【0007】
窒化アルミニウム基板、アルミナ基板及び窒化ケイ素基板上に回路及び電子デバイスを製造する際に使用するための導電性銅厚膜ペーストが記載されている。ペーストは、ガラス及び/又は金属成分と有機成分(一般的にはバインダ又はビヒクル、及び有機溶媒)との未処理(raw)、未焼成(素地(green)又は「ウェット」)混合物である。
【0008】
窒化ケイ素は、高温においてさえ、高い強度及び破壊靭性を有する。そのため、自動車エンジン、ガスタービン、及び燃焼器部品用の高温構造部品として使用される。
【0009】
さらに、シリコンの熱膨張係数に匹敵するその低い熱膨張係数のために、窒化ケイ素は、高出力回路における電子スイッチとして使用される絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のシリコン系回路デバイスの直接結合に理想的に適合する。これらのデバイスのパッケージは、高電力の急変により、急激な温度変化にさらされることがよくある。高い曲げ強度及びかなり高い熱伝導率を兼ね備えた窒化ケイ素の低い熱膨張係数により、窒化ケイ素は高い耐熱衝撃性を必要とする用途に適している。
【0010】
窒化ケイ素は非常に非反応性の材料であるため、窒化ケイ素上に回路を形成するのに利用可能な適当な金属導電性厚膜ペースト組成物は知られていない。
【0011】
本開示は、そのような回路を形成するのに適した銅、銀、及びチタンの金属粉末を含むスクリーン印刷可能な金属性厚膜ペースト組成物の詳細を提供する。焼成フィルムは、非常に良好な電気伝導性及び基板への接着性を示した。インクジェット印刷、デジタル印刷、積層造形加工(アディティブマニュファクチャリング;additive manufacturing)(3D印刷)の塗布方法も想定されている。他の処理技術と条件には;スクリーン印刷、ステンシル印刷、シリンジ堆積(syringe deposition);デジタル印刷技術によって堆積された1つ又は2つの層;周囲(ambient)、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトン、窒素(N)及びこれらの組み合わせを含む焼成雰囲気;が含まれる。層は個別に又は合わせて焼成することができる。最終的な焼成部品の厚さを構築するために複数の焼成を行ってもよい。層は同時焼成(co-fired)することができる(1、2、3、又はそれ以上)。
【0012】
窒化ケイ素(SiN又はSi)基板に加えて、本主題は、AlNにも適用される。対象となる他の基板には、AlN、SiON、BN、及びアルミナが含まれる。
【0013】
本発明の物は、MLCC、LTCC、コンデンサ、抵抗器、携帯電話、コンピュータ、コンピュータ部品、立体音響設備、家電製品、自動車部品、テレビ及び他の電子製品に使用することができる。
【0014】
Ag、Cu及びTi金属粉末を含む合金は、窒化ケイ素をシリコン、ステンレス鋼等の他の材料に接合するための好適な候補として特定された。これらの組成物は、融点の直上で非常に流動性がある。さらに、これらは真空又はアルゴン(不活性)雰囲気でのみ使用される。
【0015】
厚膜回路を形成するために、乾燥させたスクリーン印刷パターンが空気又はN雰囲気のいずれかにおいてベルト炉で焼成される。導体の一部としてCuを含むいずれの組成物はN雰囲気において焼成される。厚膜処理の工業的標準は850~900℃である。焼成後、x-y方向のパターン寸法は変化すべきではない。焼成フィルムは、緻密化し、基板に非常によく接合させる必要がある。調製物(formulation)が良好な電気的伝導性を目的としている場合、抵抗率は可能な限り低くする必要があり、通常は数ミリオーム/スクエア(mΩ/sq)(milli-ohms per square)である。
【0016】
これらの目的を考慮して、Ag、Cu、及びTi粉末を含むいくつかの組成物が試験された。共融領域から離れた個々の金属粉末濃度は、875~900℃での液体形成の量を制御するように選択された。良好な接着性と低い電気抵抗率を備えた、N雰囲気における875~900℃での焼成に適した組成物が特定された。
【0017】
焼成後、焼成された表面は、非常に良好なはんだの濡れを示さなかった。はんだ付けを改善するために、好適なガラスを含む別の銅ペーストを上層として塗布した。抵抗率と接着性のデータは2層構造で収集した。
【0018】
本発明者らの知識の範囲内で、接合操作は、真空中又はアルゴン等の不活性雰囲気のいずれかにおいて実施される。典型的な活性金属ろう付け合金組成物(active metal brazing alloy compositions)は、Ti等の少量の活性金属を含むAg-Cu共晶で作製される。
【0019】
一態様において、本主題は、20~40wt%(重量%)の第1のCu(銅金属)、20~23wt%の第2のCu(銅金属)、3~12wt%のCu2O、0.01~25wt%のAg、0.01~25wt%の、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素、並びに5~20wt%の有機成分を含む、鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペースト(lead-free and cadmium-free conductive thick film paste)を提供する。第1のCuは、ミクロン(μm)単位で、約2~12、3~11、4~10、5~9、6~8、及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。他の実施形態において、第1のCuは、ミクロン単位で、約0.01~8、0.01~5、もしくは0.5~3、又はこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。第2のCuは、ミクロン単位で、約12~30、14~27、16~25、17~24、18~23、19~22、20~21の範囲及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。他の実施形態において、第2のCuは、ミクロン単位で、約0.01~8、0.01~5、もしくは0.5~3又はこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。
【0020】
第2のCuは、ミクロン単位で、約12~30、14~27、16~25、17~24、18~23、19~22、20~21の範囲及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。ペーストは未焼成の組成物である。
【0021】
別の態様において、本主題は、ガラス成分及び銅(Cu)成分を含む、鉛及びカドミウムを含まない導電性厚膜ペーストを提供する。ガラス成分は、15~65wt%のアルカリ土類酸化物、0.01~10wt%のアルカリ酸化物、22~70wt%の(B+SiO)、及び0.01~15wt%のAlを含む。アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択される。アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbOからなる群から選択される。
【0022】
さらに別の態様において、本主題は、基板上に導電性厚膜を形成する方法を提供する。この方法は、第1の導電性厚膜ペースト及び第2の導電性厚膜のうちの少なくとも1つの層を塗布して、基板上に導電性厚膜を形成することを含む。第1の導電性厚膜ペーストは、重量%で、20~40wt%の第1のCu、20~23wt%の第2のCu、3~12wt%のCuO、0.01~25wt%のAg、0.01~25wt%の、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素、並びに12~20wt%の有機成分を含む。第1のCuは、ミクロン単位で、約2から12、3~11、4~10、5~9、6~8及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。第2のCuは、ミクロン単位で、約12~30、14~27、16~25、17~24、18~23、19~22、20~21及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。第2の導電性厚膜ペーストは、ガラス成分及び銅(Cu)成分を含む。ガラス成分は、15~65wt%のアルカリ土類酸化物、0.01~10wt%のアルカリ酸化物、22~70wt%の(B+SiO)、及び0.01~15wt%のAlを含む。アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群から選択される。ZnOがアルカリ土類酸化物成分に含まれていてもよい。Ca、Ba、及びZnの酸化物が好ましく、Ca及びZnの酸化物が最も好ましい。アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbO並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。この方法は、基板上の第1及び第2の導電性厚膜ペーストを乾燥させることをさらに含む。この方法は、乾燥した第1の導電性厚膜ペースト及び乾燥した第2の導電性厚膜ペーストを焼成して、基板上に焼成した導電性厚膜を形成することをさらに含む。基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び窒化ホウ素からなる群から選択される。
【0023】
さらに別の態様において、本主題は、基板、及び基板の少なくとも一部に配された焼成導電性厚膜を含む電子デバイスを提供する。焼成導電性厚膜は、少なくとも1つの第1の焼成導電性厚膜及び1つの第2の焼成導電性厚膜を含む。基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素からなる群から選択される。第1の焼成導電性厚膜は、20~40wt%の第1のCu、20~23wt%の第2のCu、3~12wt%のCuO、0.01~25wt%のAg、0.01~25wt%の、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnから選択される少なくとも金属元素、並びに12~20wt%の有機成分を含む導電性厚膜ペーストを含む。第1のCuは、ミクロン単位で、約2~12、3~11、4~10、5~9、6~8及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。第2のCuは、ミクロン単位で、約12~30、14~27、16~25、17~24、18~23、19~22、20~21及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲のD50粒子径を有する。第2の焼成導電性厚膜は、ガラス成分及び銅(Cu)成分を含む導電性厚膜ペーストを含む。ガラス成分は、15~65wt%のアルカリ土類酸化物、0.01~10wt%のアルカリ酸化物、22~70wt%の(B+SiO)、及び0.01~15wt%のAlを含む。アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択される。アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbOからなる群から選択される。
【0024】
主題発明の前述及び他の特徴は、以下において、より完全に説明され、特に特許請求の範囲で指摘され、以下の説明は、主題の特定の例示的な実施形態を詳細に述べるが、これらは、本主題の原理を採用することができる様々な方法のうちのいくつかを示すにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、窒化ケイ素上の焼成ペーストAのSEM写真及びEDSマッピングである。
図2図2は、窒化アルミニウム上の焼成ペーストAのSEM写真及びEDSマッピングである。
【発明の詳細な説明】
【0026】
本発明は、広い温度範囲にわたってハイブリッドマイクロエレクトロニクス部品を製造する際に使用するための、鉛フリー及びカドミウムフリーの銅含有導電性厚膜ペーストを提供する。銅を含むこの厚膜ペーストは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素上に焼結せずに形成され、比較的低い焼成温度で流動するガラス成分を含む。
【0027】
自動車産業、オプトエレクトロニクス産業、又は軍隊は、電子システム内に複数のシリコン系回路デバイスを必要とする。シリコン系回路デバイスの1つには、例えば、高電力回路の電子スイッチとして使用される絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が含まれる。IGBTを含む電子システムは、時折、高電力の急変による急激な温度変化にさらされることが要求される。IGBTは、酸化アルミニウム(アルミナ)及び窒化アルミニウム等のセラミック基板上に作製される。銅の薄層がアルミナ基板上に金属化される。
【0028】
現在使用されているセラミック基板に加えて、900℃以上で焼成又は予備焼成された抵抗体との相互作用を最小限に抑え、これにより熱抵抗係数(TCR;Thermal Coefficient of Resistance)及び抵抗率のシフトを最小限に抑える信頼性をさらに提供するために、これらの新しい導体をより低い温度、例えば約750℃以下、約700℃以下、又は最も好ましくは約650℃以下で焼成することが好ましい。このような焼成温度の実際的な下限は当業者に知られている。他の用途では、約800℃又は約850℃での焼成が必要になるだろう。したがって、広い処理窓(650~850℃)を有する本発明の厚膜は従来技術に対して利点を有する。本発明の厚膜は、良好なはんだ付け性(すなわち、優れたはんだ濡れ性)、良好なワイヤ結合性、低抵抗率等の付加的な望ましい特性を有し、96%アルミナ及びガラス被覆ステンレス鋼基板を含む様々な基板に対する優れた接着性に加えて、低抵抗率、及び緻密で実質的に細孔のない焼成後の微細構造も提供する。
【0029】
銅は、高い導電率、高い熱伝導率を有し、はんだ食われ(solder leaching)に対して強く、銀等の他の導体よりもはるかに優れてエレクトロマイグレーションを抑制し、高い電流密度を処理することができるため、厚膜及び電力電子用途に理想的な導体材料である。従来技術の低温焼成銅厚膜システムは、一般的な基板への最小限の接着性を示し、はんだ付け性が低く、鉛やカドミウム等の望ましくない金属を含むことが多い。
【0030】
述べたように、本発明のペースト組成物は導電性である。導体と抵抗体との境界は不明確であることもあるが、本発明のペースト組成物は、約2.1~3.1ミリオーム/スクエア/ミル(miliohm/sq/mil)のシート抵抗率を有する。また、最大抵抗率は約20ミリオーム/スクエア(mOhm/square)である。
【0031】
本主題はまた、電子デバイスに塗布されると共に焼成され、電気回路を形成する鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜を有する電子デバイスを提供する。鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜を塗布して焼成できる電子デバイスには、ハイパワー回路における電子スイッチとして使用される絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のシリコン系回路デバイスの直接ボンディングが含まれる。本明細書全体及び添付の特許請求の範囲において、用語「電子デバイス(electronic device)」は、少なくとも本明細書に開示される焼成温度に耐え、鉛フリー及びカドミウムフリーの厚膜ペースト組成物によって提供される導電性回路構成要素から利点を得るだろう厚膜及び/又はハイブリッド厚膜回路構成要素(circuitry)を含むいずれかの電子デバイスを意味する。
【0032】
一般に、本主題は、少なくともCu金属成分及びガラス成分を有する鉛及びカドミウムを含まない導電性厚膜ペーストを提供する。金属成分は銅を含む。ガラス成分は、第1のガラス及び第2のガラスを含み、鉛、カドミウム、並びに鉛及びカドミウムの化合物を含まない。
【0033】
本主題の鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペーストは、一般に、1つもしくは複数の回路又は他の電子部品(例えば、トランジスタ、コンデンサ、及び抵抗)を形成してきた電子デバイスの表面に塗布される。以下でより完全に説明するように、導電性厚膜ペーストを乾燥及び焼成して、基板上に鉛及びカドミウムを含まない電気回路を形成することが好ましい。本明細書及び添付の特許請求の範囲を通して使用されるように、フレーズ「鉛フリー及びカドミウムフリー(鉛及びカドミウムを含まない)(lead-free and cadmium-free)」は、鉛、又はPbO、カドミウム、又はCdOが組成物に意図的に添加されておらず、組成物が焼成後約0.1重量%未満のPb又はCdを含むことを意味する。
【0034】
特に、本発明の導電性厚膜ペーストは、スクリーン印刷、シリンジ堆積、及びデジタル印刷技術によって基板に塗布(適用)することができる。ペーストは、有機成分又はビヒクルを含み、スクリーンを通過するために適切な粘度を提供することができる。また、ペーストは、良好な解像度を与えるようにスクリーンされた後に迅速にセットアップするためにチキソトロピー材料を含むことができる。レオロジー特性が最も重要であるが、有機成分は、固体及び基材の適切な濡れ性、良好な乾燥速度、雑な取り扱いに耐えるのに十分な乾燥フィルム強度、及び良好な焼成特性を与えるように調製されると好ましい。焼成組成物の満足のいく外観も重要である。
【0035】
前述の基準のすべてを考慮して、多種多様な不活性液体を有機成分に使用することができる。ほとんどの導電性厚膜ペーストの有機成分は、一般的には、溶媒に溶解した樹脂の溶液であり、多くの場合、樹脂とチキソトロープ剤の両方を含む溶媒溶液である。溶媒は通常、約130℃から約350℃の範囲内で沸騰する。この目的で最も頻繁に使用される樹脂はエチルセルロースである。しかしながら、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、低級アルコールのポリメタクリレート及びエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテル等の樹脂も使用することができる。厚膜用途に最も広く使用されている溶媒は、アルファ-もしくはベータ-テルピネオール等のテルペン、又はこれらと他の溶媒、例えばケロシン、フタル酸ジブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、テキサノール、並びに高沸点アルコール及びアルコールエステル等、との混合物である。これらの溶媒と他の溶媒の様々な組み合わせが、各用途に必要な所望の粘度及び揮発性を得るように調製された。
【0036】
一般的に使用されるチキソトロープ剤の中には、例えば、硬化ヒマシ油及びその誘導体等の有機系チキソトロープ剤がある。いずれかの懸濁液に固有のずり減粘(shear thnning)と結び付けられた溶媒/樹脂特性がこの点に関して単体で適することもあり得るので、もちろん、チキソトロープ剤を組み込む必要は必ずしもない。さらに、脂肪酸エステル、例えば、N-タロウ-1,3-ジアミノプロパンジオレエート、N-タロウトリメチレンジアミンジアセテート、N-ココトリメチレンジアミン、ベータジアミン、N-オレイルトリメチレンジアミン、N-タロウトリメチレンジアミン、及び/又はN-タロウトリメチレンジアミンジオレエート、等の湿潤剤(wetting agent)を使用することができる。
【0037】
本発明の導電性組成物中の固体に対する有機成分の比率は、大きく変えることができ、導電性組成物が塗布される方法及び使用される有機成分の種類に依存する。通常、良好な被覆を達成するために、導電性組成物は、60~90重量%の固体及び40~10重量%の液体有機成分を含むことができる。このような導電性組成物は、通常、半流体の粘稠度(semi-fluid consistency)であり、一般に「ペースト」と称される。
【0038】
本主題の目的のために、第1の導電性厚膜ペーストは、好ましくは、約75重量%~約94重量%の固体及び約6~約25重量%の液体有機成分を含む。さらに、本主題に係る第1の導電性厚膜ペーストの固体部分における成分の好ましい範囲は、以下の通りである(表1):a)第1の銅、第1の導電性厚膜ペーストの好ましくは約20.0~約40.0%、より好ましくは約20.0~約36.0%、最も好ましくは約23.0~約29.0%;b)第2の銅、第1の導電性厚膜ペーストの好ましくは約20.0~約36.0%、より好ましくは約20.0~約30.0%、最も好ましくは約20.0~約25.0%;c)酸化第一銅(CuO)、第1の導電性厚膜ペーストの好ましくは約0.01~約12.0%、より好ましくは約4.0~約12.0%、最も好ましくは約4.0~約9.0%を含む;d)銀(Ag)、第1の導電性厚膜ペーストの好ましくは約0.01~約25.0%、より好ましくは約2.0~約20.0%、最も好ましくは約8.0~約17.0%;e)少なくとも1つの金属元素、第1の導電性厚膜ペーストの好ましくは約0.01~約25.0%、より好ましくは約1.0~約20.0%、最も好ましくは約10.0~約16.0%。少なくとも1つの金属元素は、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnからなる群から選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属元素は、Ti、V、Zr、Cr、及びSnから選択される群から選択される。より好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属元素は、Ti及びSnから選択される群から選択される。最も好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属元素はTiである。
【0039】
【表1】
【0040】
有機成分に関して、本発明に係る好ましい組成物は以下の通りであることが見出されている:1)少なくとも約90重量パーセントの有機溶媒;2)最大約15重量パーセントの樹脂;3)最大約4重量パーセントのチキソトロープ剤;及び4)最大約2重量パーセントの湿潤剤。例示的なビヒクルは、すべてフエロ社(Ferro Corporation)から入手可能なEV2803、235及びノーフローm7(No flow m7)であり、テルピネオール及びテキサノールに溶解されたエチルセルロースからなる。銅金属は、粉末及び/又はフレークの形態で有利に提供される。
【0041】
本主題の目的のために、第2の導電性厚膜ペーストは、好ましくは、約70重量%~約94重量%の固体及び約8~約30重量%の液体有機成分を含む。さらに、本主題による第2の導電性厚膜ペーストの固体部分における成分の好ましい範囲は、以下の通りである(表2):a)第1の銅、第2の導電性厚膜ペーストの好ましくは約14~約23%、より好ましくは約15~約23%、最も好ましくは約17~約22%;b)第2の銅、第2の導電性厚膜ペーストの好ましくは約20~約28%、より好ましくは約22~約28%、最も好ましくは約23~約26%;c)第3の銅、第2の導電性厚膜ペーストの好ましくは約15~約24%、より好ましくは約15~約24%、最も好ましくは約18~約24%;d)酸化第一銅(CuO)、第2の導電性厚膜ペーストの好ましくは約0.1~約11%、より好ましくは約6~約10%、最も好ましくは約7~約10%を含む。
【0042】
【表2】
【0043】
第2の導電性厚膜ペーストの固体部分は、通常、1つ又は複数のガラス粉末の形態で当初提供されるガラス成分も含む。一実施形態において、本主題は導電性厚膜ペーストを提供し、前記ペーストは、Pb及びCdを含まないガラス成分を含み、前記ガラス成分は、モル%で、約15~約65%のアルカリ土類酸化物、約0.01~約10%のアルカリ酸化物、約22~約70%の(B+SiO)、及び約0.01~約15%のAlを含む。少なくとも1つのアルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOから選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1つのアルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、及びZnOから選択される。最も好ましい実施形態において、少なくとも1つのアルカリ土類酸化物は、CaO及びZnOから選択される。少なくとも1つのアルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbOからが選択される。
【0044】
前述の組成範囲は好ましいものであり、これらの範囲に限定されることを意図するものではなく、当業者は、これらの範囲が特定の用途、特定の成分、並びに最終製品を処理及び形成する条件に応じて可変であることを認識するだろうということに留意すべきである。下端がゼロで境界付けられた数値範囲の各開示について、その開示は、下端0.01又は0.1の値を有するものとしても読まれる。
【0045】
本発明に係るペーストは、3ロールミル(three-roll mill)上で調製することができ、利便性がよい。使用される有機成分の量及び種類は、主に、最終的に望ましい調製物粘度、ペーストの粉砕の細かさ、及びウェットプリントの厚さによって決定される。本主題に係る組成物を調製する際に、粒子状無機固体は、有機成分と混合され、3ロールミル等の適当な装置で分散されて懸濁液を形成し、得られる組成物において、せん断速度9.6/秒で、ブルックフィールド粘度計2HBT、スピンドルCP-51、25℃で測定された粘度は、約50~約200kcps、好ましくは約100~約150kcpsの範囲となるであろう。
【0046】
本主題に係る回路基板は、好ましくは、本主題の第1の導電性厚膜ペーストを、通常はスクリーン印刷のプロセスによって、所望のウェット厚(wet thickness)、例えば、約60~約80ミクロン、まで基板に塗布することによって製造される。自動スクリーン印刷技術は、80~325メッシュスクリーンを使用して行うことができる。次に、印刷されたパターンは、200℃未満、例えば、好ましくは約175℃で約20~40分間乾燥される。続いて、本主題の第2の導電性厚膜ペーストが、乾燥された第1の導電性厚膜ペーストの上に塗布される。次に、印刷されたパターンは、焼成前に、200℃未満、例えば、好ましくは約175℃で約20~40分間乾燥される。ガラスは溶融され、金属は、制御された非酸化性雰囲気のベルトコンベヤー炉で焼結される。焼成は、一般に、約300℃~約550℃で有機物の燃焼を可能にする温度プロファイル、約5~15分続く、約850℃~約1050℃のピーク温度期間、続いて、過剰焼結、中間温度での不要な化学反応、又は基板の冷却が速すぎる場合に発生する可能性のある基板の破壊を防ぐように制御された冷却サイクルに従って行われる。窒素、アルゴン、又はこれらの混合物等の非酸化性雰囲気を使用して、室温でさえ空気中で酸化する傾向がある金属、特に銅、の酸化を防止する。本発明の目的のために、窒素雰囲気が好ましい。例えば、窒素中の酸素の量は、好ましくは10ppm未満に制御され得る。焼成温度に到達するのに約25~30分、焼成温度で約5~15分、そして冷却で約30~40分で、全体的な焼成手順は、好ましくは、約60~85分の時間に及ぶだろう。
【0047】
例示的な焼成サイクルは、20℃の室温を想定して、約30℃/分でピーク温度900℃まで昇温し、900℃で12分間保持し、そして60℃/分で約15分間冷却し、約60℃の炉から取り出す。
【0048】
以下の実施例は、本発明を例示することのみを意図しており、特許請求の範囲に限定を課すものとして解釈されるべきではない。以下の実験方法、条件及び機器を使用して、以下に詳述する例示的なペーストを調製した。
【0049】
導電性厚膜ペースト(Conductive thick film pastes)
【0050】
導電性厚膜ペーストは、第1の導電性厚膜ペースト及び第2の導電性厚膜ペーストを含む。一実施形態において、第1の導電性厚膜ペーストは、基板の上に直接形成され、第2の導電性厚膜ペーストは、第1の導電性厚膜ペーストの上に直接形成され、第1の導電性厚膜ペーストは乾燥状態にある。
【0051】
第1の導電性厚膜ペーストは、2つの異なる粒子径の銅粉末、銀粉末、酸化第一銅(CuO)粉末、少なくとも1つの金属元素、ホウ酸、トリトンX-100(Triton X-100)、エタノックス702(Ethanox 702)を有機ビヒクルと共に適量、最初に均質化のためのプラネタリーミキサーで、次に、50未満、好ましくは<40、より好ましくは<30、さらにより好ましくは<20、さらにより好ましくは<10μmの粉砕の細かさを達成するように3ロールミルで混合することによって作製した。
【0052】
第2の導電性厚膜ペーストは、3つの異なる粒子径の銅粉末、CuO粉末、及びガラス粉末、ホウ酸、トリトンX-100、エタノックス702を有機ビヒクルと共に、最初に均質化のためのプラネタリーミキサーで、次に、20μm未満の粉砕の細かさを達成するように3ロールミルで混合することによって作製した。第1及び第2の導電性厚膜ペーストの粘度は、スピンドルCP-51を使用して、ブルックフィールドHBT粘度計2HB、2.5rpm、25℃で測定された。未焼成ペースト(green pastes)の貯蔵寿命は良好である。
【0053】
ガラス
【0054】
第2の導電性厚膜ペーストは、Pbフリー及びCdフリーのガラス粉末を含む。ガラス粉末調製物は、約15~65%のアルカリ土類酸化物、約0.01~10wt%のアルカリ酸化物、約22~70wt%の(B+SiO)、及び約0.01~15wt%のAlを含む。アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択される1つ又は複数である。アルカリ酸化物は、LiO、NaO、KO、及びRbOからなる群から選択される1つ又は複数である。フエロ社から市販されている好適なガラスには、EG0026、EG0028、EG2807、EG3046、LF256;EG2810、BBS2が含まれる。
【0055】
銅粉末
【0056】
金属成分は銅金属を含む。銅金属は、一般的には、粉末及び/又はフレークのうちの少なくとも1つの形態で提供される。銅粉末は、異なる粒子径分布及び/又は粒子形態(particle morphology)を有する複数の銅粉末を有することができる。特に、複数のサイズ範囲の銅粒子を第1及び第2の導電性厚膜ペーストそれぞれに使用することができる。例えば、第1の導電性厚膜ペーストの場合、銅粉末は、約5ミクロンのD50、及び比表面積(SSA)を有する第1の銅粉末を含むことができる。第1の銅粉末は商品名ICP UF-5-ACで販売されており、マーキンUK(Makin-UK)から入手可能である。第2の銅粉末は、約0.3~0.5ミクロンのD50を有する。第2の銅粉末は、CNPCから製品名CU-F400で販売されている。
【0057】
第2の導電性厚膜ペーストの場合、銅粉末は、約5ミクロンのD50を有する第1の銅粉末を含むことができる。第1の銅粉末はICP UF-5-ACの名前で販売されており、マーキンUKから入手できる。第2の銅粉末は約1.5ミクロンのD50、及び0.65m/gの比表面積(SSA)を有する。第2の銅粉末はCu22-201で販売されており、テクニック社(Technic Corporation)から入手可能である。第3の銅粉末は約10ミクロンのD50を有する。第3の銅粉末はCu-APC0412000CX00で販売されており、サフィーナ社(Safina Corporation)から入手可能である。
【0058】
他の金属及び酸化物
第1の導電性厚膜は、9ミクロン未満のD50を有するフレーク形状の銀(Ag)粉末を含む。比表面積(SSA)の範囲は0.65~1.35m/gである。Ag粉末は、Silver Flake SF-4で販売されており、エイムズ社(Ames Corporation)から入手可能である。チタン(Ti)粉末は、20ミクロン未満のD100を有し、Ti-101で販売されており、AEE社(AEE Corporation)から入手可能である。市販の酸化第一銅(CuO)は、第1及び第2の導電性厚膜の両方の形成に使用される。
【0059】
方法
【0060】
基板:使用した基板は:(1)窒化ケイ素(マルワ(Maruwa)、日本)、(2)窒化アルミニウム(マルワ、日本)、及び(3)96%アルミナ(クワーズテック(CoorsTek)、米国)であった。
【0061】
スクリーン印刷:80メッシュスクリーン並びに抵抗率及び接着性を試験するのに適したパターンを使用して、第1の導電性厚膜ペーストを基板上にスクリーン印刷した。印刷したペーストをボックスオーブン内で175℃で30分間乾燥させた。続いて、80メッシュのスクリーン及び抵抗率及び接着性を試験するのに適したパターンを使用して、乾燥した第1の導電性厚膜ペースト上に第2の導電性厚膜ペーストをスクリーン印刷した。印刷した第2の導電性厚膜ペーストをボックスオーブン内で175℃で30分間乾燥させた。スクリーン印刷された未焼成ペーストの厚さは約80~120μmであり、乾燥により50~65μmに減少した。様々な実施形態において他の厚さが可能であり、例えば、ミクロンで、10~50(325メッシュスクリーンを用いて)、70~130、75~125、85~115、90~110、95~105、及びこの文の範囲から選択された値の間にある指定されていない範囲の未焼成厚さが可能である。様々な実施形態において他の焼成後の厚さが可能であり、例えば、ミクロンで、5~25、40~90、45~85、50~80、55~75、60~70、及びこの文の範囲から選択された上限及び下限を有する範囲の焼成後の厚さである。
【0062】
焼成プロファイル及び条件:1.88インチ(4.78cm)/分のベルト速度で、ベルト炉を使用した。サンプルを28分かけてピーク温度まで加熱した。サンプルをピーク温度で10~30分間保持した。制御された速度で約60℃までサンプルを冷却し、この冷却には約38分要した。Oが10ppm未満の窒素雰囲気でサンプルを焼成した。ピーク温度は650℃、又は1050℃、又はその間の他の値であった。
【0063】
実施した試験には、電気的特性、基板への初期接着性、及び基板への経時接着性(aged adhension)が含まれた。電気試験には、ミリオーム/スクエアで表された抵抗率の測定が含まれ、200スクエアを有する幅500ミクロン、焼成後の厚さ約30μm、その後25.4μmに正規化されたジグザクパターン(serpentine pattern)の測定抵抗から算出された。
【0064】
接着性をディップはんだ付け(dip soldering)によって測定し、62Sn/36Pb/2Agはんだ及びケスター(KESTER(登録商標))RMAはんだフラックス197を使用して、0.080インチ×0.080インチの正方形パッドに22AWG Cu-Snワイヤをはんだ付けした。ケスター(登録商標)は、ケスターソルダー(Kester Solder)、デスプレーンズ、III 60018-2675の登録商標である。次に、ワイヤを90°で引っ張り、シェパード・クルック法(Shepard Crook method)を使用して破断させた。接着強度は、ワイヤを切断するのに必要な力のポンドとして表した。はんだ接合部を150℃の温度に48時間さらした後、経時接着性を測定した。
【0065】
上記の温度で焼成した後、接合の性質を決定するため、基板と焼成された導電性厚膜との間の界面を走査型電子顕微鏡(FEI-Quanta FEG 450)によって調べた。基板及び導電性厚膜の化学的マッピングをエネルギー分散型分光法(Oxford X-max 50)によって行った。特に、Ti及びNの化学的マッピングを、基板上に形成された導電性厚膜の断面について記録した。
【0066】
界面SEM及びTi及びNの化学的マッピングを以下に複写する。
【0067】
図1 窒化シリコン/ペーストA界面におけるSEM/EDS観察
【0068】
図1は、Tiが界面で連続層として検出されることを示し、界面反応及び基板への接合を示している。
【0069】
さらに、ペーストの組み合わせを窒化アルミニウム基板について試験した。表4に記録されているように、非常に良好な電気伝導性と接着性が観察された。SEM/EDSによる界面分析は反応領域を非常に明確に示した。
【0070】
図2 窒化アルミニウム/ペーストA界面におけるSEM/EDS観察
【0071】
図1及び図2のそれぞれにおいて、焼成ペーストは反応領域の上にあり、基板は反応領域の下にある。
【実施例
【0072】
実施例1
本発明の厚膜ペースト、ペーストA、ペーストB、及びペーストCの組成を表3に記載する。窒化ケイ素及び窒化アルミニウムを基板として使用した。ペーストA又はペーストBのいずれかを接着層として基板上に直接形成する。ペーストA又はペーストBのいずれかを乾燥させた後、ペーストCをペーストA又はペーストBのいずれかの上に形成する。ペーストA及びペーストBの詳細な組成は、基板上のCu厚膜の接着性を調整するために互いにわずかに異なることに留意する。ペーストCを乾燥させた後、乾燥した導電性厚膜スタックをN雰囲気において900℃で焼成した。焼成後窒化ケイ素及び窒化アルミニウム上の、ペーストA上のペーストCを含むスタックの選択された電気的及び機械的特性を表4に示す。一般的に、少なくとも3ポンドの力の経時接着性が基板上に形成された厚膜に許容できると考えられる。経時接着性は許容レベルを上回り、5~6ポンドの力の範囲であり、長期間の使用が見込まれている。焼成された導電性厚膜のシート抵抗率は、2.1~3.1ミリオーム/sqの範囲であった。一般的に1~5ミリオーム/sqが良好な導体であると考えられていることを考慮すると、本主題に係る導電性厚膜は窒化ケイ素及び窒化アルミニウム上の厚膜回路構成要素として機能することが期待される。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
実施例2
表3の本発明の厚膜ペーストB及びCを選択して、厚膜スタックを形成した。窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及びアルミナを基板として使用した。厚膜ペーストB及びCは、ペーストBが基板と直接接触するように各基板上に形成する。ペーストBを実施例1のペーストAと同様の温度で乾燥させた後、ペーストCをペーストB上に形成し、乾燥させる。厚膜スタックは、N雰囲気において900℃で焼成した。焼成導電性厚膜スタックの選択された電気的及び機械的特性を表5に示す。焼成導電性厚膜のシート抵抗率は、使用した基板に関係なく、3.0~3.1ミリオーム/sqの範囲であり、導電性回路要素として許容範囲内であった。また、初期接着力と経時接着力の両方が、少なくとも3ポンドの力という一般的な基準をはるかに上回っていることも測定された。特に、本主題に係る導電性厚膜スタックは、窒化アルミニウム及びアルミナを含む他の基板よりも窒化ケイ素基板上での改善された接着性(初期及び経時の両方)を示した。
【0076】
本発明の様々な粉末及び成分は市販されており、以下の特定性を有する。
【0077】
上記成分は、以下の供給業者から入手可能である:
【0078】
Makin Metal Powder (UK) Ltd. Buckley Road, Rochdale Lancashire, UK OL12 9DT
【0079】
Technic Inc. 1 Spectacle St., Creston, RI 02910 USA)
【0080】
Safina, a.s. Videnska 104, 252 50 Vestec Czech republic
【0081】
AEE:Atlantic Equipment Engineers 13 Foster St. Bergenfield, NJ 07621
【0082】
Ames Advanced Materials Corporation 3900 South Clinton Ave. South Plainfield, NJ 07080
【0083】
CNPC Powder Group Co., Ltd., Room 1211, No. 8 Office Bldg., Wanda Plaza, 58 He Xuan Road, Shanghai, China 201803
【0084】
ベース-JT Baker/Avantar Performance Materialsからの酸化第一銅;受け取った粉末-粗い(d50)が情報はない。
【0085】
【表5】
【0086】
本発明は、以下の項によってさらに規定される。
【0087】
項A-1
(a)約20~約49%の第1のCu、
(b)約20~約34%の第2のCu、
(c)約3~約12%のCu2O、
(d)約8~約25%のAg、並びに
(e)約8~約25%の、Ti、V、Zr、Mn、Cr、Co、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素、
を重量%(wt.%)で含み、
前記第1のCuは、約0.1~8ミクロン、好ましくは0.5~5ミクロンのD50を有し、
前記第2のCuは、約10~20ミクロン、好ましくは12~20ミクロンのD50を有する、鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペースト。
【0088】
項A-2
前記厚膜ペーストが:
(a)約21~約36%の前記第1のCu、
(b)約20~約30の前記第2のCu、
(c)約3~約12%のCu2O、
(d)約8~約20%のAg、及び
(e)約8~約20%の、Ti、V、Zr、Cr、及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素を含む、項A-1の厚膜ペースト。
【0089】
項A-3
前記厚膜ペーストが:
(a)約23~約29%の第1のCu、
(b)約20~約25%の第2のCu、
(c)約4~約9%のCu2O、
(d)約8~約17%のAg、並びに
(e)約10~約16%の、Ti及びSnから選択される少なくとも1つの金属元素
を含む、項A-1又は項A2の厚膜ペースト。
【0090】
項A-4
有機成分部分をさらに含み、
前記ペーストが約10~約20重量%の有機成分部分を含む、
項A-1又はA-2又はA-3のいずれかの厚膜ペースト。
【0091】
項B-1
ガラス成分と、銅(Cu)成分と、を含み、
前記ガラス成分は、重量%で:
(a)約10~約70%、好ましくは約15~約65%、より好ましくは約20~約60%の少なくとも1つのアルカリ土類酸化物、
(b)約0.01~約10%、好ましくは約0.1~約8%、より好ましくは約1~約8%の少なくとも1つのアルカリ酸化物、
(c)約22~約70%、好ましくは約25~約65%、より好ましくは約25~約65%の(B2O3+SiO2)、及び
(d)約0.01~約15%、好ましくは約0.1~約13%、より好ましくは約0.5~約12%のAl2O3、
を含み、
前記アルカリ土類酸化物は、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOからなる群から選択され;
前記アルカリ酸化物は、Li2O、Na2O、K2O、及びRb2Oからなる群から選択され、
前記Cu成分は、重量%で:
(a)約14~約23%の第1のCu、
(b)約20~約28%の第2のCu、
(c)約15~約24%の第3のCu、及び
(d)約5~約11%のCu2O、
を含み、
前記第1のCuのD50は約5ミクロンであり、前記第2のCuのD50は約1.5ミクロンであり、前記第3のCuのD50は約10ミクロンであり、
前記ガラス成分及び前記Cu成分は、約1:15~約1:30の重量比で存在する、
鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペースト。
【0092】
項B-2
前記アルカリ土類酸化物がMgO、CaO、及びZnOから選択される、項B-1の厚膜ペースト。
【0093】
項B-3
前記アルカリ土類酸化物がCaO及びZnOから選択される、項B-2又は項B-2の厚膜ペースト。
【0094】
項B-4
前記ガラス成分のD50が約0.5~約20ミクロンである、項B-1、B-2又はB-3のいずれかの厚膜ペースト。
【0095】
項B-5
前記Cuが、重量%で:
(a)約15~約23%の前記第1のCu、
(b)約22~約28%の前記第2のCu、
(c)約17~約24%の前記第3のCu、及び
(d)約6~約10%のCu2O
を含む、項B-1、B-2、B-3、又はB-4のいずれかの厚膜ペースト。
【0096】
項B-6
前記Cuが、重量%で:
(a)約17~約22%の前記第1のCu、
(b)約23~約26%の前記第2のCu、
(c)約18~約24%の前記第3のCu、及び
(d)約7~約10%のCu2O
を含む、項B-1の厚膜ペースト。
【0097】
項B-7
有機成分部分をさらに含み、
前記ペーストが約10~約30重量%の有機成分部分を含む、項B-1の厚膜ペースト。
【0098】
項C-1
(a)項A-1~A-4のいずれかの前記導電性厚膜ペースト及び項B-1~B-7のいずれかの前記導電性厚膜ペーストのうちの少なくとも1つを塗布して、基板上に導電性厚膜を形成する工程と、
(b)項A-1~A-4のいずれかの前記導電性厚膜ペースト、及び項B-1~B-7のいずれかの導電性厚膜ペーストを乾燥させる工程と、
(c)項A-1~A-4のいずれかの前記乾燥導電性厚膜ペースト、及び項B-1~B-7のいずれかの前記導電性厚膜ペーストを焼成して、基板上に焼成導電性厚膜を形成する工程であり、焼成はN2雰囲気で行われる工程と、
を含み、
基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素からなる群から選択される、基板上に焼成導電性厚膜を形成する方法。
【0099】
項C-2
項A-1~A-4のいずれかの前記導電性厚膜ペースト、及び項B-1~B-7のいずれかの前記導電性厚膜ペーストのうちの少なくとも1つが、積層造形加工(アディティブマニュファクチャリング)、スクリーン印刷、シリンジ堆積、及びデジタル印刷技術からなる群から選択される1つによって塗布される、項C-1の方法。
【0100】
項C-3
前記焼成が約850~約1050℃の温度で行われる、項C-1又はC-2の方法。
【0101】
項C-4
前記焼成が約850~約900℃の温度で行われる、項C-1~C-3のいずれかの方法。
【0102】
項C-5
前記雰囲気が10ppm未満の酸素を含む、項C-1~C-4のいずれかの方法。
【0103】
項C-6
前記焼成が還元性雰囲気中で行われる、項C-1~C-4のいずれかの方法。
【0104】
項C-7
前記還元性雰囲気が窒素(N2)を含む、項C-1~C-6のいずれかの方法。
【0105】
項D-1
(a)基板、及び
(b)前記基板の少なくとも一部に配された鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜
を備え、
前記鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜は、少なくとも第1の導電性厚膜及び第2の導電性厚膜を含み、
前記基板は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素からなる群から選択され、
前記第1の導電性厚膜は、項A-1の導電性厚膜ペーストを含み、前記第2の導電性厚膜は、項A-1~A-4又は項B-1~B-7のいずれかの導電性厚膜ペーストを含む、電子デバイス。
【0106】
項D-2
窒素を含む界面が、前記基板と前記鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜との間に形成される、項D-1の電子デバイス。
【0107】
項D-3
前記界面がさらにTiを含む、項D-1又は項D-2の電子デバイス。
【0108】
項D-4
前記第1の導電性厚膜が前記基板上に直接配されている、項D-1~D-3のいずれかの電子デバイス。
【0109】
項D-5
前記第2の導電性厚膜が前記第1の導電性厚膜上に配されている、項D-1~D-4のいずれかの電子デバイス。
【0110】
項D-6
前記鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜が、約850~約1050℃の温度で焼成されることによって形成される、項D-1~D-5のいずれかの電子デバイス。
【0111】
前の実施例においては、使用された基材は窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及びアルミナに限定されていたが、本発明の厚膜ペーストは、限定はされないが、磁器エナメル被覆鋼、ベリリア基板、ガラス基板、チタン酸バリウム基板、シリコン基板、窒化ホウ素基板、及び炭化ケイ素基板を含む種々の基板と共に利用することができることは理解されるだろう。さらに、前の実施例において利用されたスクリーン印刷技術に加えて、本発明の厚膜ペーストは、スプレー、ブラッシング、浸漬(ディッピング)、インクジェット又はドクターブレードを含む、その分野に公知の種々の付加的技術を使用して塗布することができることも理解されるだろう。
【0112】
本明細書において使用される「ガラス」という用語は、広範な解釈が可能であることを意図しており、したがって、ガラス、及びある程度の結晶化を顕出するガラスセラミックの両方を包含することも理解されるだろう。
【0113】
付加的な利点及び変更は、当業者に容易に生じるであろう。したがって、そのより広範な態様における本発明は、本明細書に示され、記載された特定の詳細及び例示的な例に限定されない。したがって、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定される総体的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。
図1
図2