(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】接続材及び熱的な不整合防止用の接続装置
(51)【国際特許分類】
F01D 9/04 20060101AFI20230404BHJP
F01D 25/28 20060101ALI20230404BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20230404BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F01D9/04
F01D25/28 Z
F16B7/18 Z
F16B11/00 D
(21)【出願番号】P 2021548214
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2020132059
(87)【国際公開番号】W WO2021227443
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】202010392432.7
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519383452
【氏名又は名称】中国航発商用航空発動機有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】AECC COMMERCIAL AIRCRAFT ENGINE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3998, South Lianhua Road, Minhang District, Shanghai 200241, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】郭 洪宝
(72)【発明者】
【氏名】李 開元
(72)【発明者】
【氏名】洪 智亮
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10619514(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第03379039(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0195403(US,A1)
【文献】中国実用新案第203822819(CN,U)
【文献】中国実用新案第204553493(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108699918(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0175572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
F01D 25/28
F16B 7/18
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド部を含む接続材であって、
前記ロッド部は、材料除去式透かし彫りセクションと柱状セクションとを含み、
前記材料除去式透かし彫りセクションは、
中心軸と、
前記中心軸の外周面から外側に延在し、且つ前記中心軸の径方向に対して傾斜する複数の支持リブ板と、
前記中心軸の回りに配置された複数の外輪板と、を備え、
隣接する前記外輪板の間には、周方向隙間が設けられ、
前記支持リブ板は、前記中心軸と前記外輪板とを接続しており、
前記中心軸は、前記柱状セクションと繋がっていることを特徴とする接続材。
【請求項2】
前記複数の支持リブ板は前記中心軸に沿って回転対称に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の接続材。
【請求項3】
前記中心軸と前記柱状セクションとは、ネジ接続構造により接続され、又は溶接されたことを特徴とする請求項1に記載の接続材。
【請求項4】
前記複数の外輪板の外面は同一の柱状面に位置しており、
前記柱状面は前記柱状セクションの外面の軸方向の延在方向に位置していることを特徴とする請求項1に記載の接続材。
【請求項5】
金属製の請求項1乃至4の何れかに記載の接続材と、
外周が外凸環状リブ板を有するCMCタービン外輪部材と、
内周が内凸環状リブ板を有する金属中間層ケースと、を備え、
前記外凸環状リブ板はCMC接続孔を有し、前記内凸環状リブ板は金属製接続孔を有しており、
前記接続材の柱状セクションは前記内凸環状リブ板の金属製接続孔と結合されており、
前記接続材の前記材料除去式透かし彫りセクションは前記CMC接続孔に挿入されており、前記複数の外輪板は、前記支持リブ板に取付用仮締め力が生じるように、前記CMC接続孔と密着して結合されたことを特徴とする熱的な不整合防止用の接続装置。
【請求項6】
前記金属中間層ケースには、2つのストッパーリングが提供されており、
前記CMCタービン外輪部材には、2つの前記外凸環状リブ板が提供されており、
2つの前記外凸環状リブ板は2つの前記ストッパーリングの間に位置しており、
2つの前記外凸環状リブ板の外縁は、それに隣接する前記ストッパーリングにそれぞれに当接したことを特徴とする請求項5に記載の接続装置。
【請求項7】
前記金属中間層ケースには、3つの前記内凸環状リブ板が提供されており、
2つの前記外凸環状リブ板と3つの前記内凸環状リブ板とは、2つの前記外凸環状リブ板の何れか1つが2つの前記内凸環状リブ板の間に位置するように、エンジンの軸方向に沿って間隔をあけて交互に配置されたことを特徴とする請求項6に記載の接続装置。
【請求項8】
前記金属中間層ケースには、複数の前記内凸環状リブ板が提供されており、
1つの前記接続材と組付けるための対応する複数の前記内凸環状リブ板の前記金属製接続孔は丸孔であり、その他の前記金属製接続孔はトラック状接続孔である
ことを特徴とする請求項5に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機用タービンエンジンのタービン外輪部材の分野に関し、特に、材料除去式透かし彫りセクションが付く接続材及び熱的な不整合防止用の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの主なタービン静止部品として、タービン外輪部材はサービス状態では高い環境温度にある。現在のタービン外輪部材は主に高温合金材料を用いて作製されているが、温度が高い環境において、高温合金材料はその強度及び剛性が著しく低下するようになり、タービン外輪部材の使用温度上限に影響を与え、最終的に、ガスタービンエンジン全体の性能の向上が制限される。高温合金材料に代えて、セラミック基複合材料(CMC)を用いてガスタービンエンジンのタービン外輪部材を作製することにより、CMCが具備する低い密度、優れた高温力学性能及び良好な熱安定性という特徴が十分に発揮され、タービン外輪部材の使用温度上限が高められ、それに応じて冷却ガスの量が減少するようになる。ガスタービンエンジン全体の性能の著しい向上及び汚染の排出の減少には、これは重要な役割を発揮する。しかし、セラミックス基複合材料よりも、金属材料の方は熱膨張係数が大きいため、温度の変化において、CMCタービン外輪部材の熱膨張量は金属製ピンと金属製中間層ケース部材と異なるので、両者の間の熱変形の差によって上記接続取付構造の内部に熱変形による不整合(すなわち、熱的不整合)が著しく生じるという問題がある。例えば、室温で取り付ける場合、振動による衝突を回避するために、金属製ピンとCMC取付用貫通孔とを、両者の間に嵌め合い用隙間を予め設置しないように、緊合して取り付けることは求められる。ところが、温度の上昇において、CMC取付用貫通孔よりも、金属製ピンの方は径方向の膨張量が大きくなり、両者の間の熱変形による不整合は、両者の接触面間に非常に高い接触応力が生じて、CMCの構造強度が失効(低下)して破損することに繋がっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、接続された部品の間の熱変形による不整合を防止できる接続材を提供することを目的とする。
【0004】
本発明の別の目的は、熱的な不整合防止用の接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、ロッド部を含み、前記ロッド部は、材料除去式透かし彫りセクションと柱状セクションとを含み、前記材料除去式透かし彫りセクションは、中心軸と、前記中心軸の外周面から外側に延在し、且つ前記中心軸の径方向に対して傾斜する複数の支持リブ板と、前記中心軸の回りに配置された複数の外輪板と、備え、隣接する前記外輪板の間には、周方向隙間が設けられ、前記支持リブ板は、前記中心軸と前記外輪板とを接続しており、前記中心軸は、前記柱状セクションと繋がっている接続材を提供する。
【0006】
前記接続材の1つ又は複数の実施の形態において、前記複数の支持リブ板は前記中心軸に沿って回転対称に設けられた。
【0007】
前記接続材の1つ又は複数の実施の形態において、前記中心軸と前記柱状セクションとは、ネジ接続構造により接続された、又は溶接された。
【0008】
前記接続材の1つ又は複数の実施の形態において、前記複数の外輪板の外面は同一の柱状面に位置しており、前記柱状面は前記柱状セクションの外面の軸方向の延在方向に位置する。
【0009】
熱的な不整合の問題を防止する目的を達成するために、前記接続材と、外周が外凸環状リブ板を有するCMCタービン外輪部材と、内周が内凸環状リブ板を有する金属中間層ケースと、を備え、前記外凸環状リブ板はCMC接続孔を有し、前記内凸環状リブ板は金属製接続孔を有しており、前記接続材の柱状セクションは前記内凸環状リブ板の金属製接続孔と結合されており、前記接続材の前記材料除去式透かし彫りセクションは前記CMC接続孔に挿入されており、前記複数の外輪板は、前記支持リブ板に取付用仮締め力が生じるように、前記CMC接続孔と密着して結合されたことを特徴とする熱的な不整合防止用の接続装置を提供する。
【0010】
前記熱的な不整合防止用の接続装置の1つ又は複数の実施の形態において、前記金属中間層ケースには、2つのストッパーリングが提供されており、前記CMCタービン外輪部材には、2つの前記外凸環状リブ板が提供されており、2つの前記外凸環状リブ板は2つの前記ストッパーリングの間に位置しており、2つの前記外凸環状リブ板の外縁は、それぞれに隣接する前記ストッパーリングに当接した。
【0011】
前記熱的な不整合防止用の接続装置の1つ又は複数の実施の形態において、前記金属中間層ケースには、3つの前記内凸環状リブ板が提供されており、2つの前記外凸環状リブ板と3つの前記内凸環状リブ板とは、2つの前記外凸環状リブ板の何れか1つが2つの前記内凸環状リブ板の間に位置するように、エンジンの軸方向に沿って間隔をあけて交互に配置された。
【0012】
前記熱的な不整合防止用の接続装置の1つ又は複数の実施の形態において、前記金属中間層ケースには、複数の前記内凸環状リブ板が提供されており、1つの前記接続材と組付けて対応する複数の前記内凸環状リブ板の前記金属製接続孔は丸孔であり、他の前記金属製接続孔はトラック状接続孔である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は下記の有益な効果を有する。
【0014】
接続材の材料除去式透かし彫りセクションの外面は、CMC接続孔と結合して接触した時に、比較的小さい径方向の変形剛性を有するので、径方向の弾性変形が発生しやすくなる。これにより、昇温において、材料除去式透かし彫りセクションの外面は、CMC接続孔の内輪面によって膨張変形が制限されると同時に、両者の間に大きな接触応力が発生せず、温度の変化において両者の熱変形による不整合の問題が緩和され、構造の強度が失効して破損することを回避することができる。また、金属製中間層ケースには、1つの組の丸孔及び複数の組のトラック状接続孔が設計加工された。丸孔は、1つの接続材と緊合して取り付けることによってCMCタービン外輪部材の正確な取り付け及び位置決めを実現するためのものである。トラック状接続孔は、当該トラック状接続孔と緊合して取り付けられた接続材が所定の方向に沿って摺動するのを許容して、位置がCMC接続孔によって完全に規制固定された接続材と金属製中間層ケースの金属製接続孔との間の熱変形による不整合問題を解決するためのものである。
【0015】
上記のような材料除去式透かし彫りセクションを有する接続材及び熱的な不整合防止用の接続装置を設計することにより、CMCタービン外輪部材とタービンエンジンの金属製中間層ケースとの間の正確な取付け及び位置決めが実現され、振動による衝突の発生が回避されることができる。これと同時に、環境温度が変化した場合、CMCタービン外輪部材及び金属製中間層ケースと接続材との間の熱変形による不整合問題が緩和されて、構造強度の失効又は構造の緩みによる機能の失効の問題が回避され、CMCタービン外輪部材は、設計のニーズに十分な取付剛性を具備することも確保される。接続取付構造の便利性は、CMC外輪部材の作製成形、以降の加工及び取付の実施などの技術及び操作の難易度に有利する。
以下、図面を参照して実施例を説明することにより、本発明の上記および他の特徴、性質並びに利点はより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1のA方向に見た熱的な不整合防止用の接続装置の概略図
【
図6】第1の実施の形態にかかる接続材の断面概略図
【
図8】第2の実施の形態にかかる接続材の断面概略図
【
図9】接続材の材料除去式透かし彫りセクションの斜視図
【
図10】接続材の材料除去式透かし彫りセクションの側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、当業者が本発明をよりよく理解して実施できるように、具体的な実施形態および図面に基づいて本発明をさらに説明するが、挙げられた実施の形態は本発明を制限するものではない。
【0018】
熱的な不整合防止用の接続装置は
図1及び
図2に示している。
図1及び
図2は、CMCタービン外輪部材1、接続材2及び金属製中間層ケース3を具体的に示している。
【0019】
また、
図1及び
図2は、CMC接続孔11、金属製接続孔31、外凸環状リブ板12、内凸環状リブ板13、ストッパーリング32及び接続材の帽子部23をさらに示している。
図1及び
図2は、CMCタービン外輪部材1、金属製中間層ケース3のタービンの径方向に沿って切断された部分のみを示しており、外凸環状リブ板12及び内凸環状リブ板13は、タービンの中心を周る環状部品である。
【0020】
CMCタービン外輪部材1には、2つの外凸環状リブ板12が提供されており、金属製中間層ケースに3は、3つの内凸環状リブ板13が提供されている。2つの外凸環状リブ板12と3つの内凸環状リブ板13とは、2つの外凸環状リブ板12の何れか1つが2つの内凸環状リブ板13の間に位置するように、エンジンの軸方向に間隔をあけて交互に配置されている。
図1および
図2に示す接続構成には、均一且つ確実な接続を提供するように、接続材2によって接続された複数の接続点が提供された。金属製中間層ケース3には、2つのストッパーリング32が提供されており、ストッパーリング32は連続的な環状構造であってもよく、金属製中間層ケース3に沿って配置される複数の支持点であってもよい。2つの外凸環状リブ板12は、2つのストッパーリング32の間に位置しており、2つの外凸環状リブ板12の外縁はそれぞれに隣接するストッパーリング32に当接するので、CMCタービン外輪部材1のエンジンの軸方向の自由度が制限される。ストッパーリング32は、CMCタービン外輪部材1のエンジンの軸方向の位置規制及び位置決めの機能を有すれば、他の幾何的な形で金属製中間層ケース3における他の位置に配置されてもよい。
【0021】
図3はCMCタービン外輪部材1の構成概略図を示しており、CMCタービン外輪部材1における外凸環状リブ板12のCMC接続孔11はいずれも丸孔である。
【0022】
図4は金属製中間層ケース3の構成を示す概略図であり、金属製中間層ケース3には、複数の内凸環状リブ板13が提供されている。
図1に示すように、接続材2ごとに、複数の内凸環状リブ板13のそれぞれには、金属製接続孔31が提供されており、これらの金属製接続孔は、当該金属製の接続材2が貫通するように、一つの組として構成されているので、金属製中間層ケース3の全周方向には、複数の組の金属製接続孔31が配置されている。しかし、
図1~
図4には、2つの組の金属製接続孔31のみが表示されている。好ましい実施の形態として、そのうちの1つの組の金属製接続孔31は丸孔311であり、残りの組の金属製接続孔31はトラック状接続孔312である。
【0023】
図5及び
図6は、接続材2の第1の実施の形態を示しており、当該接続材は一体加工により成形された構造を有している。接続材2は、ロッド部24を備える。一例では、接続材2は、その軸方向の自由度を制限するための帽子部23を更に備えているが、他の例では、接続材2の軸方向の自由度は、帽子部で制限されるのではなく、ねじとナットとの嵌め合いという特徴によって、又は隣接する部品との間において端部で当接するような形式によって、その位置が制限して固定される。前記ロッド部24は、材料除去式透かし彫りセクション21と柱状セクション22とを含み、柱状セクション22は中空であってもよく、中実であってもよい。
【0024】
接続材2の第1実施の形態において、一体加工により成形された構造は、精密鋳造又は3Dプリンティング加工方法などの方法を用いて加工作製するのに適する。
【0025】
図7および
図8は、セグメント加工により成形された構造を有する接続部2の第2の実施の形態を示している。材料除去式透かし彫りセクション21と柱状セクション22は、独立して加工するように作製されており、材料除去式透かし彫りセクション21はワイヤカット加工などの方法によって速やかに且つ低いコストで作製されてもよい。隣接する材料除去式透かし彫りセクション21と柱状セクション22との間は、
図8に示すネジ接続構造で接続されてもよいが、溶接で接続されてもよい。
【0026】
図9および
図10は、接続材2の材料除去式透かし彫りセクション21の詳細な構成特徴を示している。材料除去式透かし彫りセクション21は、中心軸211と、複数の支持リブ板212と、複数の外輪板213と、複数の周方向隙間214とを含む。支持リブ板212は、中心軸211の外周面から外側に延び、中心軸211の径方向に対して、例えば螺旋状に広がるように傾斜して、中心軸211に沿って回転対称に設けられている。外輪板213は、中心軸211の周りに配置され、隣接する外輪板213の間には、周方向隙間214が介在する。ここで、支持リブ板212は、中心軸211と外輪板213とを接続しており、中心軸211と接続材2の柱状セクション22は、ネジ接続構造で又は溶接で接続されている。中心軸211の外輪面直径と、支持リブ板212の広がり形状、径方向寸法及び数と、外輪板213の断面形状、表面直径及び数と、周方向間隙214の形状、幅及び数とは、構造設計の必要に応じて変更すればよく、材料除去式透かし彫りセクション21の直径寸法と一定の対応関係を維持する必要がない。確保する必要が有るサイズ関係は、室温で取り付ける状態で外輪板213の表面とCMC取付用貫通孔11の内輪面とを密着して一定の接触力を生成することである。通常、支持リブ板212、外輪板213および周方向隙間214の数は同じである。
【0027】
以下、
図1及び
図2を参照して取り付け手順を説明する。まず、CMCタービン外輪部材1と金属中間層ケース3とを組み付ける。CMCタービン外輪部材1には、2つの外凸環状リブ板12が提供されており、金属製中間層ケース3には、3つの内凸環状リブ板13が提供されている。2つの外凸環状リブ板12と3つの内凸環状リブ板13とは、2つの外凸環状リブ板12の何れか1つが2つの内凸環状リブ板13の間に位置するように、エンジンの軸方向に間隔をあけて交互に配置されている。金属製中間層ケース3には、2つのストッパーリング32がさらに提供されており、2つのCMCタービン外輪部材1の外凸環状リブ板12は2つのストッパーリング32の間に位置している。2つの外凸環状リブ板12の外縁はそれぞれに隣接するストッパーリング32に当接し、当接による位置規制の特徴によって、CMCタービン外輪部材1のエンジンの軸方向の自由度が規制される。
【0028】
室温で取り付ける状態で、金属製中間層ケース3の金属製接続孔31とCMCタービン外輪部材1のCMC接続孔11とを順次交互に通過するように接続材2を挿入することで、CMCタービン外輪部材1と金属製中間層ケース3とを取り付けて固定する。
【0029】
接続材2のロッド部24は、材料除去式透かし彫りセクション21と柱状セクション22とを含み、柱状セクション22は、材料除去式透かし彫りセクション21の中心軸211とネジ接続又は溶接により接続される。
【0030】
接続材2の材料除去式透かし彫りセクション21の外面を、材料除去式透かし彫りセクション21の中心軸211の周りに配置された複数の外輪板213の表面とCMC取付用貫通孔11の内輪面とが密着して所定の接触力及び取付用仮締め力が生じるように、外凸環状リブ板13のCMC接続孔11と結合して取り付けることにより、嵌め用隙間を予め設置することによる振動衝突の問題が回避されることができる。外輪板213と中心軸211との間には、中心軸外周面から外周面に延び、且つ中心軸の径方向に対して傾斜する複数の支持リブ板212が配置されている同時に、隣接する外輪板213の間には、複数の周方向隙間214が設けられている。通常、支持リブ板212、外輪板213および周方向隙間214の数は同じである。温度の上昇において、CMCタービン外輪部材1の熱膨張量は、接続材2と金属製中間層ケース3と異なるが、接続材2の材料除去式透かし彫りセクション21の外面は、CMC接続孔11と結合して接触した時に、比較的小さい径方向の変形剛性を有するので、径方向の弾性変形が発生しやすくなる。これにより、昇温において、材料除去式透かし彫りセクション21の外面は、CMC接続孔11の内輪面によって膨張変形が制限されると同時に、両者の間に大きな接触応力が発生せず、温度の変化において両者の熱変形による不整合の問題が緩和され、構造の強度が失効して破損することを回避することができる。これと同時に、材料除去式透かし彫りセクション21の存在は、接続材全体の変形剛性が著しく低下することを招かず、熱的な不整合防止用の接続装置全体の剛性を確保して設計のニーズを満たすことができる。
【0031】
接続材2の柱状セクション22の外面を、内凸環状リブ板12の金属製接続孔31と緊合して取り付ける。金属製接続孔31の一種類である丸孔311は、対応する一番目の接続材2の柱状セクション22と緊合して取り付けることにより、CMCタービン外輪部材1の正確な取り付け及び位置決めが実現される。金属製接続孔31の他の種類であるトラック状接続孔312は、対応する二番目の接続材2の柱状セクション22と緊合して取り付ける。トラック状接続孔312によって、当該トラック状接続孔312と緊合して取り付けられた二番目の接続材2が所定の方向に沿って当該トラック状接続孔312に対して摺動するのが許容されるので、位置がCMC接続孔11によって完全に規制固定された接続材2と金属製中間層ケース3の金属製接続孔31との間の熱変形による不整合問題が緩和される。
【0032】
材料除去式透かし彫りセクション21を有する接続材2と熱的な不整合防止用の接続装置とを設計することにより、CMCタービン外輪部材のガスタービンエンジンへの機械的接続及び取り付けが実現され、CMCタービン外輪部材及び金属製中間層ケースと接続材との間の接続構造の熱変形による不整合問題が緩和されて、熱的な不整合の応力が高すぎることによる構造強度の失効又は構造の緩み、及び隙間を予め設置することによる振動衝突の問題が回避される。これは、CMCタービン外輪部材の工学上の応用に重要な価値を持つ。
【0033】
本発明は、好ましい実施形態で上記のように開示されたが、本発明を制限するものではない。当業者は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、可能な変更および修正を行うことができる。したがって、本発明にかかる技術案の内容から逸脱しないものであれば、本発明の技術的実質に基づいて上記実施形態に対して行うすべての修正、均等的変化及び変更は、いずれも本発明の請求の範囲に規定される保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1、CMCタービン外輪部材 2、接続材 3、金属製中間層ケース 11、CMC接続孔 12、外凸環状リブ板 13、内凸環状リブ板 21、材料除去式透かし彫りセクション 22、柱状セクション 23、帽子部 24、ロッド部 31、金属製接続孔 32、ストッパーリング 211、中心軸 212、支持リブ板 213、外輪板 214、周方向隙間 311、丸孔 312、トラック状接続孔。