IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図1
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図2
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図3
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図4
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図5
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図6
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図7
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図8
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図9
  • 特許-トランスデューサアセンブリ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】トランスデューサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/03 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G01G19/03
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021565916
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020061871
(87)【国際公開番号】W WO2020225051
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】19172915.1
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プフルガー、キム
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/114821(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/017768(WO,A1)
【文献】特開平07-198462(JP,A)
【文献】特開2018-017733(JP,A)
【文献】国際公開第2015/104265(WO,A1)
【文献】特表2016-510876(JP,A)
【文献】特表2017-519230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路(9)内に取り付けられるトランスデューサアセンブリ(1)であって、
長手軸(Y)に沿って延びる中空異形材(2)と、力センサアセンブリ(6)と、前記中空異形材(2)の外側に配置された少なくとも1つの絶縁要素(3)とを備え、
前記絶縁要素(3)は取り付け後の当該トランスデューサアセンブリ(1)を当該トランスデューサアセンブリ(1)の側面に作用する転がり力(7)から絶縁し、
前記中空異形材(2)は空洞(11)を備え、前記力センサアセンブリ(6)は前記空洞(11)内に配置され、
取り付け後に当該トランスデューサアセンブリ(1)の前記力センサアセンブリ(6)は前記中空異形材(2)に加わる重量力を検出するように構成されており、
前記絶縁要素(3)は、嵌合接続によって前記中空異形材(2)に取り付けられており、
前記嵌合接続が、前記絶縁要素(3)が前記長手軸(Y)に垂直なすべての方向において前記中空異形材(2)に対して固定されるように、前記長手軸(Y)に垂直な方向に有効であり、前記長手軸(Y)、横軸(X)、および縦軸(Z)が、直交系を形成しており、
前記中空異形材(2)が、少なくとも1つの保持手段(4)を備え、前記保持手段(4)は、前記絶縁要素(3)と前記中空異形材(2)との間の前記嵌合接続を確立させるように構成されており、
前記中空異形材(2)が、板状の力導入要素(14)を備え、前記中空異形材(2)は、管状部分(15)を備え、前記管状部分(15)は、前記力導入要素(14)とアンカー要素(16)との間に配置され、前記管状部分(15)は、前記空洞(11)を囲んでおり、
前記アンカー要素(16)と前記管状部分(15)と前記力導入要素(14)とが、一体に作られており、前記管状部分(15)は、前記力導入要素(14)および前記アンカー要素(16)に一体的に接続されており、
前記保持手段(4)が、前記管状部分(15)と前記力導入要素(14)との間の凹部(41)、およびフック状の保持要素(42)からなり、前記絶縁要素(3)を、前記嵌合接続によって前記凹部(41)と前記保持要素(42)との間に取り付けることができる、トランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記絶縁要素(3)は、前記保持手段(4)による前記嵌合接続によって、前記長手軸(Y)に垂直な全方向において前記中空異形材(2)に対して固定され、前記長手軸(Y)に沿って摺動可能であり、前記絶縁要素(3)は、前記長手軸(Y)に沿って滑らせ前記保持手段(4)に挿入され得る、ことを特徴とする請求項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項3】
少なくとも2つの絶縁要素(3)が、嵌合接続によって前記中空異形材(2)に取り付けられ、横方向に関する前記中空異形材(2)の各側において、少なくとも1つの絶縁要素(3)が前記中空異形材(2)に嵌合接続される、ことを特徴とする請求項またはに記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの分離ストリップ(8)が、前記横軸(X)に関して前記力導入要素(14)に隣接して配置され、前記分離ストリップ(8)は、前記長手軸(Y)に沿って前記絶縁要素(3)の全長にわたって延びるとともに、前記絶縁要素(3)から縦方向(Z)に延び、前記力導入要素(14)に側方において接触して、前記道路の表面(90)まで延び、前記絶縁要素(3)と前記分離ストリップ(8)とは、一体に作られている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記絶縁要素(3)が、弾性材料で作られ、前記絶縁要素(3)の弾性材料は、前記中空異形材(2)の材料の弾性率よりも4倍小さい弾性率を有する、ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記絶縁要素(3)が、可逆の様相で弾性変形可能であり、前記保持手段(4)へと押し込むことが可能である、ことを特徴とする請求項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記力センサアセンブリ(6)が、前記中空異形材(2)に機械的に接触して、前記中空異形材(2)内に弾性的に予圧が加えられた状態で配置される、ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記中空異形材(2)が、金属または金属合金で作られ、前記中空異形材(2)は、前記横軸(X)に関する前記中空異形材(2)の両側に配置された少なくとも2つの保持手段(4)を備える、ことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記絶縁要素(3)が、発泡ポリエチレンまたは発泡ポリスチレンまたは押出ポリスチレンまたは発泡エチレン-プロピレン-ジエンゴムまたは発泡シリコーンまたは発泡ポリプロピレンで作られる、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記力センサアセンブリ(6)が、前記長手軸(Y)に沿って間隔を空けて配置された少なくとも2つの力センサ(61)を備え、前記力センサ(61)は、圧電力センサ(61)である、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記絶縁要素(3)が、少なくとも2つの絶縁ピース(3a~3i)から作られる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【請求項12】
移動している車両(51)の道路(9)に直接接触している少なくとも1つの車輪(5)の重量力を決定するための、請求項1~11のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)の使用。
【請求項13】
前記絶縁要素(3)が、弾性材料で作られ、前記絶縁要素(3)の弾性材料は、前記中空異形材(2)の材料の弾性率よりも10倍小さい弾性率を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に取り付けられ、取り付け後に道路に加わる重量力を検出する独立請求項の冒頭部分に記載のトランスデューサアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、道路の車線を走行しているときに、道路に重量力を及ぼす。重量力は、車両が道路へと地球の重力場の方向に及ぼす力を意味するように意図されている。一般に、重量力は、車両の車輪によって道路に加えられる。以下の説明は、地球の重力場に垂直な方向に広がる道路の表面に関する。しかしながら、説明は、地球の重力場に対して傾斜している道路にも容易に適用可能である。
【0003】
道路の損傷を回避し、安全性を高めるために、走行車両の数、輪荷重、軸重、総重量、およびタイヤ圧力の監視が、頻繁に行われる。この目的のために、トランスデューサアセンブリが道路に挿入され、トランスデューサアセンブリの上方を通過する各々の車両の重量力を検出する。トランスデューサアセンブリに配置された力センサアセンブリを使用することにより、通常の走行速度でトランスデューサアセンブリを横切る車両についても、重量力の信頼できる検出が保証される。
【0004】
道路に取り付けるためのそのようなトランスデューサアセンブリが、欧州特許第0654654号明細書に開示されている。トランスデューサアセンブリは、道路の溝に取り付けられ、打設化合物で打設される。トランスデューサアセンブリは、長手軸に沿って延びる中空異形材の形状を有する。中空異形材の管状の部分によって形成された中空異形材の空洞に、中空異形材に機械的に接触する力センサアセンブリが配置される。板状の力導入要素が、中空異形材に作用する力を力センサアセンブリに伝達する。さらに、欧州特許第0654654号明細書による先行技術のトランスデューサアセンブリは、管状部分に横方向に隣接して配置された2つの絶縁要素を備える。これらの絶縁要素は、力の分路を低減する。したがって、トランスデューサアセンブリに作用する力は、力センサアセンブリを介して伝達されるだけでなく、或る程度は管状部分の壁および管状部分に隣接して配置された絶縁要素も通って伝達される。絶縁要素の材料は、周囲の打設化合物よりも低い弾性率を有し、したがって、打設化合物によって直接囲まれた管状部分と比較して力の分路を低減する。さらに、絶縁要素は、中空異形材の側面に作用する力に起因する干渉も低減する。そのような力は、転がり力としても知られており、車両が道路に及ぼし、道路のたわみをもたらす力によって引き起こされる。道路のこのたわみは、道路内で車両に先行および追従する転がり力を引き起こす。中空異形材の側面に作用する転がり力は、力センサアセンブリによる重量力の測定を誤らせると考えられる。
【0005】
力センサアセンブリは、中空異形材の長手軸に沿った少なくとも1つの力センサの配置である。力センサアセンブリは、トランスデューサアセンブリの長手軸に沿った任意の地点において力導入要素に作用する力を検出するように構成される。
【0006】
道路内へのトランスデューサアセンブリの取り付けをより容易にするために、絶縁要素は、一般に、中空異形材に対する絶縁要素の滑りを回避するために、中空異形材に接着によって接合される。欠点は、接着剤が乾燥に長時間を必要とし、したがってトランスデューサアセンブリの製造がより高価になることである。さらに、接着剤は局所的な強化を呈するため、接着剤が中空異形材の全長にわたって均一に塗布されないと、力の分路に悪影響が及ぶ可能性がある。これにより、トランスデューサアセンブリの測定精度が低下する。
【0007】
接着剤が使用されない場合、絶縁要素を、トランスデューサアセンブリが道路に取り付けられるときの滑りを防止するために、一時的構造によって所定の位置に保持しなければならない。この場合、溝の最後の部分を、打設化合物の第1の部分が一時的構造を除去することができる程度にまで硬化して固まり、絶縁要素が第1の量の打設化合物によって固定された後でなければ、打設化合物で満たすことができない。これは、取り付けを複雑にし、取り付けプロセスのために車両に関して道路を閉鎖しなければならない時間を長くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第0654654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、絶縁要素をトランスデューサアセンブリの中空異形材により迅速かつより低いコストで固定することにより、製造コストを削減し、道路へのトランスデューサの取り付けを簡単にすることである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、トランスデューサアセンブリの測定精度を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的の少なくとも1つは、独立請求項の特徴によって達成されている。
本発明は、道路内に取り付けられるトランスデューサアセンブリであって、長手軸に沿って延びる中空異形材と、力センサアセンブリと、中空異形材の外側に配置された少なくとも1つの絶縁要素とを備えており、この絶縁要素は、取り付けられた状態のトランスデューサアセンブリをトランスデューサアセンブリの側面に作用する転がり力から絶縁し、前記中空異形材は空洞を備え、前記力センサアセンブリは前記空洞内に配置され、トランスデューサアセンブリの取り付け後、力センサアセンブリは中空異形材に加わる重量力を検出するように構成され、絶縁要素および中空異形材は、嵌合接続によって互いに接続される、トランスデューサアセンブリに関する。
【0012】
絶縁要素と中空異形材との間の嵌合接続は、道路にトランスデューサアセンブリを取り付ける際に絶縁要素が中空異形材に対してしっかりと固定されるという利点を有する。したがって、道路にトランスデューサアセンブリを取り付ける際に絶縁要素を中空異形材に対して固定するための接着剤が不要である。さらに、道路にトランスデューサアセンブリを取り付ける際に絶縁要素を中空異形材に対して固定するための一時的構造が不要である。
【0013】
以下で、本発明を、図面を参照して例としてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】トランスデューサアセンブリの一実施形態が配置された道路の一部分の概略図を示している。
図2図1による図を示しており、車輪をさらに示している。
図3】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図4】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の別の概略図を示している。
図5】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図6】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図7】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図8】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図9】トランスデューサアセンブリの一実施形態の一部分の概略図を示している。
図10】トランスデューサアセンブリが挿入された道路の一部分の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1が、道路9の一部分の概略図を示しており、トランスデューサアセンブリ1の一実施形態が道路9に配置されている。トランスデューサアセンブリ1が、長手軸Yに垂直な方向に切断した断面図にて示されている。図示の実施形態において、中空異形材2は、板状の力導入要素14と、板状のアンカー要素16とを備える。力導入要素14およびアンカー要素16の2つのより大きい寸法は、長手軸Yおよび横軸Xに沿って延びている。力導入要素14およびアンカー要素16の厚さ方向は、縦軸Zに沿って延びており、縦軸Zは、プレートの2つのより大きい寸法の方向に対して垂直である。長手軸Y、横軸X、および縦軸Zは、直交系を形成する。トランスデューサアセンブリ1が道路9に取り付けられると、縦軸Zは、道路の表面90に対して実質的に垂直であり、横軸Xおよび長手軸Yは、道路の表面90に実質的に平行である。少なくとも1つの絶縁要素3が、中空異形材2において横軸Xに関する横位置に配置される。
【0016】
一般に、トランスデューサアセンブリ1は、打設化合物98を使用することによって道路9に埋め込まれ、この打設化合物98は、トランスデューサアセンブリ1を、縦軸Zに関するトランスデューサアセンブリ1の下面の直下および横軸Xに関する側方において取り囲む。典型的には、分離ストリップ8が、横軸Xに関する力導入要素14の両側に配置され、このストリップは、長手軸Yに沿って絶縁要素3の前長にわたって延びるとともに、絶縁要素3から縦方向Zに延び、力導入要素14に側方において接触し、道路の表面90まで延びる。典型的には、力導入要素14は、縦軸Zに関する力導入要素14の上面の上方の上部打設化合物99を備える。上部打設化合物99および埋め込み打設化合物98は、分離ストリップ8によって互いに隔てられ、機械的に分離される。
【0017】
好都合には、分離ストリップは、ゴム、天然ゴム、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、押出ポリスチレン、発泡エチレン-プロピレン-ジエンゴム、発泡シリコーン、または発泡ポリプロピレンで作られる。
【0018】
トランスデューサアセンブリ1は、長手軸Yに沿って500mmから5000mmの間の寸法を有し、横軸Xに沿ったトランスデューサアセンブリ1の寸法は、20mmから100mmの間であり、縦軸Zに沿ったトランスデューサアセンブリ1の寸法は、20mmから150mmの間である。
【0019】
トランスデューサアセンブリ1の好ましい実施形態において、中空異形材2は、管状部分15を備え、管状部分15は、力導入要素14とアンカー要素16との間に配置される。管状部分15は、中空異形材2の空洞11を囲む。アンカー要素16と管状部分15と力導入要素14とは、一体に作られる。管状部分15は、力導入要素14およびアンカー要素16に一体的に接続される。
【0020】
力センサアセンブリ6は、中空異形材2に機械的に接触して中空異形材2の空洞11内に配置される。中空異形材2の板状の力導入要素14に作用する力は、主に力センサアセンブリ6を介して伝達される。したがって、力センサアセンブリ6は、中空異形材2に作用する力が主に伝達される力の流れの主方向に配置される。力センサアセンブリ6から、力はアンカー要素16を介して地下へと伝達される。中空異形材2の管状部分15および絶縁要素3は、力の一部をアンカー要素16を介して地下へと伝達する。管状部分15および絶縁要素3は、力の分路を形成する。
【0021】
力センサアセンブリ6は、例えば、長手軸Yに沿って延びる力感知光ファイバ、または長手軸Yに沿って延びるピエゾ抵抗素子、または長手軸Yに沿って延びる歪みゲージ、あるいは圧電力センサ、ピエゾ抵抗力センサ、歪みゲージ、容量式力センサ、または力を割り出すように構成された他のセンサなどの間隔を空けて配置されたいくつかの個別の力センサである。
【0022】
好ましい実施形態において、力センサアセンブリ6は、予圧力の下で中空異形材2内に収容され、この予圧力は、管状部分15の壁によって力センサアセンブリ6に加えられる。これは、中空異形材2と力センサアセンブリ6との間に明確な機械的接触を確立させるがゆえに好都合である。
【0023】
図2が、図1のトランスデューサアセンブリ1を示しており、転がり力7の影響が、図2において横向きの黒矢印によって示されている。中空異形材2の側面に作用する転がり力7は、中空異形材2と力センサアセンブリ6との間の機械的接触に影響を及ぼし、したがって、トランスデューサアセンブリ1に作用する重量力の検出を妨げる。重量力の検出の妨げは、中空異形材2において側方に配置された絶縁要素3によって最小限に抑えられる。
【0024】
図3および図4が、道路9に取り付けられる前の図1および図2のトランスデューサアセンブリ1を示している。本発明によれば、絶縁要素3と中空異形材2とが、嵌合接続によって互いに接続される。これは、中空異形材2に接着によって結合する先行技術による絶縁要素3と比べ、製造に必要な時間を短縮しつつ、転がり力による妨げが絶縁要素3によって依然として最小限に抑えられるという利点を有する。
【0025】
好ましい実施形態において、嵌合接続は、長手軸Yに垂直な方向において有効であるように構成される。長手軸Yに垂直な嵌合接続の効果は、絶縁要素3が長手軸Yに垂直なすべての方向において中空プロファイル2に対して固定されることを意味するように意図される。取り付けのために絶縁要素3を長手軸Yの方向に固定する必要はない。取り付けられるとき、トランスデューサアセンブリ1は、その長手軸Yを地球の重力場に対して実質的に垂直にして取り扱われる。これにより、例えば道路9の溝への輸送中に、たとえトランスデューサアセンブリ1がその長手軸Yを中心にして回転しても、絶縁要素3が重力に起因して嵌合接続から滑り落ちることが防止される。したがって、絶縁要素3を長手軸Yに垂直なすべての方向において中空異形材2に対して固定することによって、絶縁要素3は、トランスデューサアセンブリ1の取り付けのために固定され、絶縁要素3が取り付けの最中に中空異形材2から外れる可能性がない。
【0026】
好ましい実施形態において、絶縁要素3は、保持手段4による嵌合接続によって中空異形材2に接続される。この目的のために、中空異形材2は、少なくとも1つの保持手段4を備え、保持手段4は、絶縁要素3と中空異形材2との間の嵌合接続を確立させるように構成される。保持装置4を備える中空異形材2について可能な実施形態が、図1図6ならびに図8および図9に示されている。
【0027】
図1図9に示される実施形態において、保持手段4は、中空異形材2の長手軸Yに対して垂直に切断したときに、断面がU字形である。保持手段4のU字形は、間隔を空けて位置する2つの脚部を特徴とし、これらの脚部は、一端において基部によって互いに接続され、脚部のそれぞれの他端は自由である。さらに、U字形は、少なくとも異なる脚部上に位置する2つの地点間の第1の距離が、U字形の脚部の自由端の間の第2の距離よりも大きいようなU字形であり、ここで第1および第2の距離は互いに平行に延びている。したがって、中空異形材2の長手軸Yに垂直な断面で、絶縁要素3は、前記第1の距離を定める異なる脚部上に位置する2つの地点間と比べ、U字形の自由な脚部の間の領域において、より小さい寸法を有する。結果として、長手軸Yに垂直な平面内で絶縁要素3と中空異形材2との間に嵌合接続が確立される。
【0028】
一実施形態においては、図6に示されるように、絶縁要素3を、絶縁要素3を長手軸Yに沿って移動させることによって保持装置4に挿入することができる。このようにして、絶縁要素3を中空異形材2に迅速かつ容易に取り付けることができる。
【0029】
トランスデューサアセンブリ1の好ましい実施形態においては、少なくとも2つの絶縁要素3が、嵌合接続によって中空異形材2に接続され、横方向に関する中空異形材2の各側において、少なくとも1つの絶縁要素3が、嵌合接続によって中空異形材2に接続される。中空異形材2の各側に少なくとも1つの絶縁要素3を有するアセンブリは、転がり力が横方向に関するどちら側からトランスデューサアセンブリに作用するかにかかわらず、転がり力を最小にするために有利である。
【0030】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、保持手段4は、管状部分15と力導入要素14との間に形成された凹部41と、フック状の保持要素42とからなる。上述した保持手段4のU字形は、U字の一方の脚部を表すフック状の保持要素と、U字の基部を表す力導入要素14と、凹部41とによって定められ、凹部41において、管状部分15の一部分がU字の第2の脚部を表す。絶縁要素3を、嵌合接続によって凹部41と保持要素42との間に固定することができる。
【0031】
トランスデューサアセンブリ1の別の実施形態において、絶縁要素3は、弾性材料で作られる。絶縁要素3の弾性材料は、中空異形材2の材料の弾性率よりも4倍小さい弾性率を有する。トランスデューサアセンブリ1が取り付けられた状態にあるとき、絶縁要素3は、打設化合物98を通る力の分路が最小になるように、周囲の打設化合物98よりも低い弾性率を有する。さらに、絶縁要素3を通る力の分路をできるだけ小さく保つことも有利である。中空異形材2の管状部分15を通る力の分路は容易に決定可能であるため、絶縁要素3を通る力の分路が小さいと、力のうちのトランスデューサアセンブリ1を通って流れる部分を決定するうえで有利であり、したがってトランスデューサアセンブリ1による重量力の検出精度を維持するうえで有利である。
【0032】
トランスデューサアセンブリ1のとくに好都合な実施形態において、絶縁要素3は、中空異形材2の材料の弾性率よりも10倍小さい弾性率を有する弾性材料で作られる。
【0033】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、絶縁要素3は、可逆的に弾性変形可能であってよく、保持装置4へと押し込まれてよい。このようにして、図5に概略的に示されるように、絶縁要素3を迅速かつ容易に中空異形材2に固定することができる。図5において、黒矢印は、保持装置4へと押し込まれるそれぞれの絶縁要素3の移動の方向を示している。この固定のやり方が、図6に示した選択肢、すなわち絶縁要素3を保持装置4へと滑り込ませることによる固定の代案であることを、理解すべきである。絶縁要素3は、保持装置4の側面に押し付けられ、力の作用下で絶縁要素3の部分的な変形がもたらされ、その後に、部分的に変形した絶縁要素3の絶縁要素3の一部分を保持装置4に挿入することができる。絶縁要素3の対応する部分にて保持装置4に絶縁要素3を挿入した後に、絶縁要素3は元の形状に戻り、したがって、保持装置4への嵌合接続によって保持装置4に固定される。保持装置4へと押し込むことができる絶縁要素3を、保持装置4へと滑り込ませることもできるように、滑りおよび押し込みによって固定されるように構成された絶縁要素3を使用してもよい。
【0034】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、中空異形材2は、図7に示されるように、横軸Xに関する中空異形材2の各側に少なくとも1つの第2の保持手段4を備える。最初の保持手段と同様に、第2の保持手段4は、管状部分15と力導入要素14との間の凹部41と、フック状の保持要素42とを備えることができる。この実施形態において、絶縁要素3は、少なくとも2つの保持手段4によって固定される。これにより、横軸Xに関する中空異形材2の各側に1つの保持手段を備える中空異形材2と比較して、絶縁要素3の固定が改善される。
【0035】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、絶縁要素3は一体に作られる。これは、取り付けられる部品の数が少なく保たれるため、最大1000mmの長さのトランスデューサアセンブリ1にとって有利である。
【0036】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、絶縁要素3は、図8に示されるように、少なくとも2つの絶縁ピース3a~3iから組み立てられ、i=[b、・・・、z]である絶縁ピース3a~3iの寸法は異なっていてもよい。絶縁ピース3a~3iは、摩擦接続、嵌合接続、または材料の結合によって互いに接合されてよい。絶縁ピース3a~3iは、互いに接続されることなく長手軸Yに関して互いに並べられて、嵌合接続によって個別に中空異形材2に取り付けられてもよい。これは、複数の絶縁ピース3a~3iからなる絶縁要素3は、部品の数は増えるが、より容易に取り扱うことができ、したがって取り付けがより容易であるため、長手軸Yに沿って2000mm以上の長さを有するトランスデューサアセンブリ1にとって有利である。
【0037】
1000mm~2000mmの範囲の長さを有するトランスデューサアセンブリ1の場合、一体に作られた絶縁要素3または複数の絶縁ピース3a~3iからなる絶縁要素3が同様に有利である。
【0038】
トランスデューサアセンブリ1の好ましい実施形態において、絶縁要素3は、発泡ポリエチレンまたは発泡ポリスチレンまたは押出ポリスチレンからなる。さらに、絶縁要素3は、発泡エチレン-プロピレン-ジエンゴム、発泡シリコーン、または発泡ポリプロピレン、あるいは同様の材料で作られてもよい。これらの材料は、絶縁要素3を低いコストで製造することを可能にする。同時に、この材料は、トランスデューサアセンブリ1を取り囲む打設化合物98を通る力の分路を最小限に抑えるうえで好適である。さらに、この材料は、打設化合物98あるいは金属または金属合金と比較して、低い弾性率を有する。さらに、この材料は、力の作用下で変形することができ、この変形は、力が除去されたときに可逆である。これにより、この材料は、図5および図6に示されるような保持手段4への滑り込みおよび押し込みの両方が可能な絶縁要素3の製造に好適となる。
【0039】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態において、絶縁要素3は、横軸Xに関して中空異形材に面する側に、二次元接着フィルム(図示せず)を備える。絶縁要素3が保持手段4へと押し込まれたとき、絶縁要素3は、嵌合接続によってだけでなく、接着フィルムによる材料の結合によっても中空異形材2に固定される。これにより、例えば、トランスデューサアセンブリ1が道路9への取り付けのために取り扱われるときに絶縁要素3が硬い物体に衝突した場合に、保持手段に嵌合した絶縁要素3が長手軸Yに沿って移動することがない。
【0040】
トランスデューサアセンブリ1の一実施形態においては、図9に示されるように、絶縁要素3と分離ストリップ8とが一体に作られる。これにより、トランスデューサアセンブリ1の取り付けられる構成要素の数が少なくなり、取り付けがより容易、より迅速、かつより安価になる。分離ストリップは、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、押出ポリスチレン、発泡エチレン-プロピレン-ジエンゴム、発泡シリコーン、または発泡ポリプロピレンなどの可撓性材料で作られる。
【0041】
一実施形態において、力センサアセンブリ6は、中空異形材2に機械的に接触して、弾性的に予圧が加えられた様相で、中空異形材15内に配置される。これは、中空異形材2と力センサアセンブリ6との間に明確な機械的接触を好都合に確立させる。例えば中空異形材2と力センサアセンブリ6との間にすき間がある場合など、中空異形材2と力センサアセンブリ6との間の機械的接触が充分に定められない場合、力導入要素14に作用する力が、すき間の位置において力センサアセンブリ6に充分に伝達されない。これは、トランスデューサアセンブリ1に作用する力の決定を不利かつ不正確にする。したがって、力センサアセンブリ6に弾性的に予圧を加えることによって生み出される中空異形材2と力センサアセンブリ6との間の明確な機械的接触が有利であり、中空異形材2内で力センサアセンブリ6に予圧が加えられていないトランスデューサアセンブリ1と比較して、トランスデューサアセンブリ1に作用する力の検出の精度が向上する。
【0042】
好ましい実施形態において、力センサアセンブリ6は、長手軸Yに沿って間隔を空けて配置された少なくとも2つの力センサ61を備える。この実施形態において、力センサ61は、圧電力センサ61である。圧電力センサ61は、少なくとも数キロヘルツ(kHz)の検出周波数での動的な力の検出に適している。検出周波数は、重量力の値について可能な単位時間当たりの検出回数として定義される。少なくとも数キロヘルツの検出周波数は、例えば空間的な広がりが25mmであるトランスデューサアセンブリを100km/h以上の速度で横切る車両の重量力の検出を可能にする。良好な重量力の検出を保証するために、検出周波数は、車両の車輪がトランスデューサアセンブリを横切る間に重量力の5つ以上の値を検出するように構成されなければならない。これは、圧電力センサを使用することによって達成され得る。
【0043】
圧電力センサ61が、長手軸Yに沿って互いに間隔を空けて配置されることにより、力センサアセンブリ6は、トランスデューサアセンブリ1の長手軸Yに沿った任意の地点で力導入要素14に作用する力を検出するように構成される。好都合には、間隔を空けて配置された圧電力センサ61間の距離は、20mm~500mm、好ましくは40mm~100mmである。
【0044】
しかしながら、力センサアセンブリ6が少なくとも1つの力センサ61を備え、この力センサ61が、長手軸Yに沿って延びる光ファイバであるトランスデューサアセンブリ1を使用することも可能である。光ファイバを用いた力の検出は、当業者に知られている。光ファイバによって伝導される電磁放射が、光ファイバに作用する力によって変化する。この変化は、力の尺度である。光ファイバとは、例えば赤外線放射または紫外線放射用の導体など、不可視の電磁放射の導体も指す。
【0045】
しかしながら、容量式力センサ61または歪みゲージ61またはピエゾ抵抗力センサ61を力センサアセンブリ6に取り入れることも可能である。これらは、長手軸Yに沿って延びるように構成されてよく、あるいは個別の力センサ61として互いに間隔を空けて配置されてもよい。間隔を空けて配置される容量式力センサ61または歪みゲージ61またはピエゾ抵抗力センサ61間の距離は、好都合には20mm~500mm、好ましくは40mm~100mmである。
【0046】
好ましくは、中空異形材2は、金属または金属合金で作られ、例えばアルミニウム、鉄、チタン、銅、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、真鍮、あるいは同様の金属または金属合金で作られる。これらは、道路9内のトランスデューサ装置における使用に関して、良好な機械的抵抗を示す。さらに、力センサアセンブリ6を予圧を加えた様相で中空異形材2内に配置するために適した材料特性を有する。さらに、材料のこの選択は、複数年の長期間にわたる予圧の維持を保証する。
【0047】
好ましくは、トランスデューサ装置は、移動する車両51の少なくとも1つの車輪5の重量力を決定するために使用され、この車輪5は道路9に直接接触している。
【0048】
別個の実施形態の特徴を組み合わせてもよいことを、理解すべきである。しかしながら、上述の実施形態の2つ以上の特徴の組み合わせを含む新たな実施形態は、本発明の根底にある目的を達成するために等しく適している。
【符号の説明】
【0049】
1 トランスデューサアセンブリ
2 中空異形材
3 絶縁要素
3a、3i 絶縁ピース
4 保持手段
5 車輪
6 力センサアセンブリ
7 転がり力
8 分離ストリップ
9 道路
11 空洞
14 力導入要素
15 筒状部分
16 アンカー要素
41 凹部
42 保持要素
51 車両
61 力センサ
90 道路の表面
98 打設化合物
99 打設化合物
X 横軸
Y 長手軸
Z 縦軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10