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特許7256335電池モジュール、装置及び故障した電池セルの故障処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電池モジュール、装置及び故障した電池セルの故障処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20230404BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230404BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20230404BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20230404BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20230404BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20230404BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20230404BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/209
H01M50/211
H01M50/213
H01M50/262 S
H01M50/505
H01M50/55
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022530972
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 CN2020131573
(87)【国際公開番号】W WO2021104332
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】201911205489.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲興▼地
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 名迪
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲靈▼▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 占宇
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0127540(US,A1)
【文献】中国実用新案第202395111(CN,U)
【文献】特開2003-132873(JP,A)
【文献】特開2008-034183(JP,A)
【文献】特開2000-133318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、前記電池モジュールは、
前記電池モジュールの長さ方向に沿って配置された複数の電池セルを含む電池セル配置構造であって、前記電池セルは、長さ方向に沿って設置されかつ前記電池モジュールの幅方向に向けられる電極端子を含み、前記電池セルは故障した電池セルを含む、電池セル配置構造と、
収容キャビティを有するボックスであって、前記電池セル配置構造は前記収容キャビティに位置する、ボックスと、
前記収容キャビティに位置し、かつ前記電池セル配置構造の幅方向に沿った端部に位置し、前記電池モジュールの高さ方向に沿って、第2上端面を有する取り付けビームと、
少なくとも一部が前記電池セル配置構造の高さ方向に沿った端部に位置し、かつ前記取り付けビームに取り外し可能に接続されるプレスプレートと、
前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を接続する導電性部材と、を含み、
高さ方向に沿って、前記導電性部材の少なくとも一部は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する電池モジュール。
【請求項2】
前記プレスプレートは本体部及び接続部を含み、前記本体部は前記電池セル配置構造の高さ方向に沿った端部に位置し、
前記接続部の一端は前記本体部に接続され、他端は前記取り付けビームに取り外し可能に接続される請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
高さ方向に沿って、最上層の前記電池セルは第1上端面を有し、前記本体部は前記第1上端面に接続され、
前記第1上端面の高さは前記第2上端面の高さより大きく、
前記接続部は、第1接続セグメントと、第2接続セグメントと、前記第1接続セグメントと前記第2接続セグメントを接続する遷移セグメントと、を含み、
前記第1接続セグメントは前記本体部に接続され、又は、前記第1接続セグメントは前記本体部及び前記第1上端面に接続され、
前記第2接続セグメントは前記第2上端面に取り外し可能に接続される請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池セルはトップカバープレートを有し、前記電極端子は前記トップカバープレートに設置され、
幅方向に沿って、前記トップカバープレートと前記取り付けビームとの間には予め設定された距離があり、
前記プレスプレートは前記取り付けビームに接続される場合、前記ボックス、前記取り付けビーム及び前記プレスプレートは収納空間を画定し、前記導電性部材は前記収納空間に位置する請求項1~3のいずれかに記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記本体部は前記第1上端面と接着され、
前記第1接続セグメントは前記本体部と当接され、かつ両者の当接の長さは10mm~200mmである請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項6】
幅方向に沿って、前記電池モジュールは1列の前記電池セル配置構造を含み、幅方向に沿って、前記本体部は前記電池セル配置構造を超えず、又は、
幅方向に沿って、前記電池モジュールは2列の前記電池セル配置構造を含み、かつ2列の前記電池セル配置構造の電極端子は互いに離れており、幅方向に沿って、前記本体部の一端は1列の前記電池セル配置構造を超えず、他端は別の列の前記電池セル配置構造を超えない請求項2又は3に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池モジュールは、前記電池セルの電極端子に接続される第1接続片及び第2接続片をさらに含み、
前記導電性部材は前記故障した電池セルに接続される第1接続片と第2接続片を接続し、
前記高さ方向に沿って、前記第1接続片及び前記第2接続片の少なくとも一部は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する請求項1~6のいずれかに記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記高さ方向に沿って、前記導電性部材と第1接続片との接続位置は前記第2上端面と前記プレスプレートとの間に位置し、前記導電性部材と第2接続片との接続位置は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する請求項1~7のいずれかに記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電池セル配置構造は第1電池セル配置構造及び第2電池セル配置構造を含み、高さ方向に沿って、前記第1電池セル配置構造は前記第2電池セル配置構造の上方に位置し、 前記第1接続片は前記第1電池セル配置構造の電池セルと前記第2電池セル配置構造の電池セルを接続し、前記第2接続片は前記第1電池セル配置構造の電池セルと前記第2電池セル配置構造の電池セルを接続する請求項7又は8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
電池セルを電源として使用する装置であって、前記装置は、
前記装置に駆動力を提供するための動力源と、
前記動力源に電気エネルギーを提供するように構成される請求項1~9のいずれかに記載の電池モジュールと、を含む装置。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の電池モジュールにおける故障した電池セルの故障処理方法であって
記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームから取り外すステップと、 前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を導電性部材を介して電気的に接続するステップと、を含む故障処理方法。
【請求項12】
前記プレスプレートは本体部及び接続部を含み、前記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームから取り外すとき、前記故障処理方法は、
前記接続部を前記取り付けビームから取り外すステップを含む請求項11に記載の故障処理方法。
【請求項13】
前記故障した電池セルの2つの電極端子はそれぞれ第1接続片及び第2接続片に接続され、前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を導電性部材を介して電気的に接続するとき、前記故障処理方法は、
前記故障した電池セルに接続される前記第1接続片と前記第2接続片を前記導電性部材を介して電気的に接続するステップを含む請求項11又は12に記載の故障処理方法。
【請求項14】
前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を前記導電性部材を介して電気的に接続した後、前記故障処理方法は、
前記取り付けビームから取り外した前記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームに取り付けるステップをさらに含む請求項11~13のいずれかに記載の故障処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2019年11月29日に提出された、名称が「電池モジュール、装置及び故障した電池セルの故障処理方法」である中国特許出願第201911205489.5号を援用し、当該出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願はエネルギー貯蔵装置技術分野に関し、特に電池モジュール、装置及び故障した電池セルの故障処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電池モジュールは互いに積み重ねられた複数の電池セルを含み、かつ複数の電池セルは電気的に接続され、それにより電池モジュールの電気エネルギーの出力が実現され、電力消費機器に給電する。電池セルの充放電過程において、故障リスクがあり、かつある電池セルが故障した場合、電池モジュールの回路全体は故障し、電池モジュールは正常に動作できなくなる。現在では、電池セルが故障した場合、通常、電池モジュール全体を交換することで解決するが、該電池モジュールのある電池セルが故障した場合、他の電池セルは依然として正常に動作でき、電池モジュール全体を直接交換するという方式は資源の浪費をもたらし、かつ電池モジュールの着脱に必要な時間が長いため、作業効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は電池モジュール、装置及び故障した電池セルの故障処理方法を提供し、電池モジュールのメンテナンスプロセスを簡略化し、メンテナンスコストを削減するとともに、電池モジュールの作業効率(利用率)を向上させることができる。
【0005】
本願の実施例の第1態様は電池モジュールを提供し、前記電池モジュールは、前記電池モジュールの長さ方向に沿って配置された複数の電池セルを含む電池セル配置構造であって、前記電池セルは、長さ方向に沿って設置されかつ前記電池モジュールの幅方向に向けられる電極端子を含み、前記電池セルは故障した電池セルを含む電池セル配置構造と、収容キャビティを有するボックスであって、前記電池セル配置構造は前記収容キャビティに位置するボックスと、前記収容キャビティに位置し、かつ前記電池セル配置構造の幅方向に沿った端部に位置し、前記電池モジュールの高さ方向に沿って、第2上端面を有する取り付けビームと、少なくとも一部が前記電池セル配置構造の高さ方向に沿った端部に位置し、かつ前記取り付けビームに取り外し可能に接続されるプレスプレートと、前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を接続する導電性部材と、を含み、高さ方向に沿って、前記導電性部材の少なくとも一部は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する。
【0006】
従って、電池モジュールの動作過程において1つ又は複数の電池セルが故障した場合、導電性部材を介して故障した電池セルの電極端子を接続すればよく、電池モジュール全体をメンテナンス又は交換する必要がない。同時に、上記処理後、故障した電池セルを流れる電流が小さく、それにより該電池モジュールの電池容量が大幅に低下することはなく、電池モジュールは正常に動作できる。
【0007】
同時に、該導電性部材の少なくとも一部が取り付けビームの上方に位置する場合、導電性部材と故障した電池セルの電極端子との接続操作は容易に実現でき、すなわち取り付けビームを撤去する必要がなく、電池セル配置構造を収容キャビティから取り出す必要もなく、それによりさらにメンテナンスプロセスを簡略化してメンテナンスコストを削減することができる。
【0008】
可能な設計では、前記プレスプレートは本体部及び接続部を含み、前記本体部は前記電池セル配置構造の高さ方向に沿った端部に位置し、前記接続部の一端は前記本体部に接続され、他端は前記取り付けビームに取り外し可能に接続される。
【0009】
プレスプレートの接続部は取り付けビームに取り外し可能に接続される場合、プレスプレートを取り付けビームに取り付け、電池セルの収容キャビティでの安定性を向上させることができるだけでなく、接続部を取り付けビームから容易に取り外し、導電性部材の接続を行うことができる。
【0010】
可能な設計では、高さ方向に沿って、最上層の前記電池セルは第1上端面を有し、前記本体部は前記第1上端面に接続され、前記第1上端面の高さは前記第2上端面の高さより大きく、前記接続部は第1接続セグメントと、第2接続セグメントと、前記第1接続セグメントと前記第2接続セグメントを接続する遷移セグメントとを含み、前記第1接続セグメントは前記本体部に接続され、又は、前記第1接続セグメントは前記本体部及び前記第1上端面に接続され、前記第2接続セグメントは前記第2上端面に取り外し可能に接続される。
【0011】
上記接続方式により、接続部と電池セル及び本体部との接続信頼性は高くなる。
【0012】
可能な設計では、前記電池セルはトップカバープレートを有し、前記電極端子は前記トップカバープレートに設置され、幅方向に沿って、前記トップカバープレートと前記取り付けビームとの間には予め設定された距離があり、前記プレスプレートは前記取り付けビームに接続される場合、前記ボックス、前記取り付けビーム及び前記プレスプレートは収納空間を画定し、前記導電性部材は前記収納空間に位置する。
【0013】
トップカバープレートと取り付けビームとの間の予め設定された距離は、電池セルの電極端子と取り付けビームとの間の電気的ギャップを提供することに用いられ、それにより電池セルと取り付けビームとの電気的接続を回避し、電池モジュールが正常に動作できることを確保する。同時に、ボックス、取り付けビーム及びプレスプレートは収納空間を画定することにより、導電性部材の接続は容易に実現できる。
【0014】
可能な設計では、前記本体部は前記第1上端面と接着され、前記第1接続セグメントは前記本体部と当接され、かつ両者の当接長さは10ミリメートル(mm)~200ミリメートル(mm)である。
【0015】
当接長さの範囲を設定することにより、当接長さが大きい場合、接続部と本体部との間の接続信頼性は高くなる。
【0016】
可能な設計では、幅方向に沿って、前記電池モジュールは1列の前記電池セル配置構造を含み、幅方向に沿って、前記本体部は前記電池セル配置構造を超えず、又は、幅方向に沿って、前記電池モジュールは2列の前記電池セル配置構造を含み、かつ2列の前記電池セル配置構造の電極端子は互いに離れており、幅方向に沿って、前記本体部の一端は1列の前記電池セル配置構造を超えず、他端は別の列の前記電池セル配置構造を超えない。
【0017】
このように、導電性部材を接続するとき、本体部を撤去しなくても、該本体部は導電性部材の接続操作に影響を与えない。
【0018】
可能な設計では、前記電池モジュールは、前記電池セルの電極端子に接続される第1接続片及び第2接続片をさらに含み、前記導電性部材は前記故障した電池セルに接続される第1接続片と第2接続片を接続し、前記高さ方向に沿って、前記第1接続片及び前記第2接続片の少なくとも一部は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する。
【0019】
故障した電池セルの電極端子に接続される第1接続片及び第2接続片の少なくとも一部が取り付けビームの第2上端面の上方に位置する場合、導電性部材と該第1接続片及び第2接続片との接続が容易であり、かつ導電性部材が電極端子と直接接続される場合に比べて、導電性部材は接続片に接続される場合、両者の接続面積が大きく、それにより両者の間の過電流面積を増加させ、接続位置の温度が高すぎるというリスクを低減させることができる。
【0020】
可能な設計では、前記高さ方向に沿って、前記導電性部材と前記第1接続片との接続位置は前記第2上端面と前記プレスプレートとの間に位置し、前記導電性部材と前記第2接続片との接続位置は前記第2上端面と前記プレスプレートの最高点との間に位置する。
【0021】
導電性部材と第1接続片及び第2接続片との接続位置は取り付けビームの第2上端面の上方に位置し、それにより導電性部材と第1接続片及び第2接続片との間の接続が容易に実現できる。
【0022】
可能な設計では、前記電池セル配置構造は第1電池セル配置構造及び第2電池セル配置構造を含み、高さ方向に沿って、前記第1電池セル配置構造は前記第2電池セル配置構造の上方に位置し、前記第1接続片は前記第1電池セル配置構造の電池セルと前記第2電池セル配置構造の電池セルを接続し、前記第2接続片は前記第1電池セル配置構造の電池セルと前記第2電池セル配置構造の電池セルを接続する。
【0023】
該接続方式により、下層に位置する第2電池セル配置構造の電池セルに接続される第1接続片及び第2接続片において、2つの接続片の少なくとも一部はいずれも取り付けビームの第2上端面の上方に位置し、それにより導電性部材を介して接続することができ、すなわち該接続方式により、電池モジュールは二層の電池セル配置構造を含み、かつ下層に位置する第2電池セル配置構造の電池セルが故障しても、導電性部材を介して該故障した電池セル(下層に位置する)を接続することができ、それにより電池セル配置構造を取り外さずに故障した電池セルのメンテナンスを実現することができる。
【0024】
本願の実施例の第2態様は電池セルを電源として使用する装置を提供し、前記装置は、前記装置に駆動力を提供する動力源と、前記動力源に電気エネルギーを提供するように構成される上記電池モジュールと、を含む。
【0025】
該装置は、電池モジュールの動作過程において1つ又は複数の電池セルが故障するとき、導電性部材を介して故障した電池セルの電極端子を接続すればよく、電池モジュール全体をメンテナンス又は交換する必要がなく、該装置は車両である場合、車両全体を工場に返送して処理したり、新しい電池モジュールを交換したりすることなく、4Sショップで車両を直接修理でき、それにより電池モジュールの作業効率を向上させ、かつメンテナンスプロセスを簡略化してメンテナンスコストを削減する。
【0026】
本願の実施例の第3態様は故障した電池セルの故障処理方法を提供し、電池セル配置構造は複数の電池セルを含み、前記電池セルは故障した電池セルを含み、前記故障した電池セルは正極端子及び負極端子を含み、前記電池セル配置構造の幅方向に沿った端部には取り付けビームが設置され、前記電池セル配置構造の高さ方向に沿った端部にはプレスプレートが設置され、前記故障処理方法は、前記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームから取り外すステップと、前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を前記導電性部材を介して電気的に接続するステップと、を含む。
【0027】
上記方法で、電池モジュールの動作過程において1つ又は複数の電池セルが故障した場合、導電性部材を介して故障した電池セルの電極端子を接続すればよく、電池モジュール全体をメンテナンス又は交換する必要がない。
【0028】
可能な設計では、前記プレスプレートは本体部及び接続部を含み、前記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームから取り外すとき、前記故障処理方法は、前記接続部を前記取り付けビームから取り外すステップを含む。
【0029】
故障した電池セルをメンテナンスするとき、プレスプレート全体を取り外す必要がなく、接続部を取り外すことのみにより故障した電池セルの少なくとも一部を露出させることができ、それによりメンテナンスが容易に実現できる。
【0030】
可能な設計では、前記故障した電池セルの2つの電極端子はそれぞれ第1接続片及び第2接続片に接続され、前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を前記導電性部材を介して電気的に接続するとき、前記故障処理方法は、前記故障した電池セルに接続される前記第1接続片と前記第2接続片を前記導電性部材を介して電気的に接続するステップを含む。
【0031】
導電性部材は故障した電池セルの2つの電極端子を間接的に接続し、それにより故障した電池セルの短絡を実現し、かつ導電性部材は2つの接続片に接続されるとき、両者の接続面積が大きく、それにより過電流面積を増加させ、導電性部材と接続片との接続位置の温度が高すぎるというリスクを低減させる。
【0032】
可能な設計では、前記故障した電池セルの正極端子と負極端子を前記導電性部材を介して電気的に接続した後、前記故障処理方法は、前記取り付けビームから取り外した前記プレスプレートの少なくとも一部を前記取り付けビームに取り付けるステップをさらに含む。
【0033】
取り外した接続部を取り付けビームに改めて取り付けた後、故障した電池セルのメンテナンスを完了でき、かつ該電池モジュールにおいて、電池セル配置構造はさらにプレスプレート及び取り付けビームにより制限されてもよい。
【0034】
理解されるべきであるように、以上の一般的な説明及び以下の細部説明は例示的なものに過ぎす、本願を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本願に係る装置の1つの具体的な実施例における構造模式図である。
図2図1における電池モジュールの1つの具体的な実施例での構造模式図であり、ここで、プレスプレートは取り付けビームに接続される。
図3図2におけるI部分の部分拡大図である。
図4図2の分解図である。
図5図2のプレスプレートを除去した接続部の構造模式図である。
図6図5における導電性部材を介して第1接続片と第2接続片を接続する構造模式図である。
図7図6におけるII部分の部分拡大図である。
図8図2の分解図であり、ここで、導電性部材は第1接続片と第2接続片を接続する。
図9図8におけるIII部分の部分拡大図である。
図10図3の断面図である。
図11図10におけるIV部分の第1具体的な実施例での部分拡大図である。
図12図10におけるIV部分の第2具体的な実施例での部分拡大図である。
図13図2の電池モジュールにおける電池セル配置構造の他の具体的な実施例での構造模式図である。
図14図13におけるV部分の部分拡大図である。
図15図13におけるVI部分の部分拡大図である。
図16】導電性部材の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここでの図面は明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本願に合致する実施例を示し、かつ明細書とともに本願の原理を解釈することに用いられる。
【0037】
発明を実施するための形態
【0038】
本願の技術案を効果的に理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0039】
明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的労働を必要とせずに取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0040】
本願の実施例で使用される用語は特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するためのものではない。特に断らない限り、本願の実施例及び添付特許請求の範囲で使用される単数形の「一種」、「前記」及び「当該」は複数形を含むことを意味する。
【0041】
理解すべきであるように、本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在していることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、及びBが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本明細書の文字「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0042】
なお、本願の実施例で説明される「上」、「下」、「左」、「右」等の方位語は図面に示される角度から説明するものであり、本願の実施例に対する限定ではないと理解すべきである。また、文脈では、さらに理解されるように、1つの素子が別の素子「上」又は「下」に接続されることを記載するとき、それは別の素子「上」又は「下」に直接接続されてもよく、中間素子を介して別の素子「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0043】
本願の実施例は電池セル13を電源として使用する装置D及び電池モジュールMを提供し、ここで、電池セル13を電源として使用する装置Dは車両、船舶、小型飛行機等の移動機器を含み、該装置Dは動力源を含み、該動力源は装置Dに駆動力を提供することに用いられ、かつ該動力源は装置Dに電気エネルギーを提供する電池モジュールMとして構成されてもよい。該装置Dの駆動力は全て電気エネルギーであってもよく、電気エネルギー及び他のエネルギー(たとえば機械的エネルギー)を含んでもよく、該動力源は電池モジュールMであってもよく、該動力源は電池モジュールM及びエンジン等であってもよい。従って、電池セル13を電源として使用することができる装置であれば、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0044】
図1に示すように、車両を例として、本願の実施例における装置Dは新エネルギー自動車であってもよく、該新エネルギー自動車は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。ここで、該車両が電池モジュールM及び車両本体を含んでもよく、該電池モジュールMは車両本体に設置され、該車両本体には駆動モーターがさらに設置され、かつ駆動モーターは電池モジュールMに電気的に接続され、電池モジュールMから電気エネルギーが提供され、駆動モーターは伝動機構を介して車両本体上の車輪に接続され、それにより車両が走行するように駆動する。具体的には、該電池モジュールMは車両本体の底部に水平に設置されてもよい。
【0045】
図2に示すように、電池モジュールMはボックス5(図2に示されたボックス5が上カバーを省略した構造である)を含んでもよく、かつ該ボックス5は収容キャビティ51を有し、該収容キャビティ51は電池セル13を置くことに用いられ(図4を参照)、かつ複数の電池セル13は収容キャビティ51内に積み重ねられる。ボックス5のタイプは制限されず、枠状ボックス、円盤状ボックス又は箱形ボックス等であってもよい。具体的には、図2に示す実施例では、該ボックス5は長方体構造のボックス5であってもよい。
【0046】
具体的には、図4に示すように、該電池モジュールMは1つ又は複数の電池セル配置構造1を含み(図10を参照)、該電池セル配置構造1は長さ方向Xに沿って配置された複数の電池セル13を含み、すなわち該電池セル配置構造1において、各電池セル13の電極端子131は長さ方向Xに沿って設置され、かつ幅方向Yに向けられる。幅方向Yとは、電池モジュールMの幅方向Yを指す。同時に、該電池モジュールMにおいて、幅方向Yに沿って、1つの電池セル配置構造1を含んでもよく、2つの電池セル配置構造1を含んでもよい。電池モジュールMは2つの電池セル配置構造1を含む場合、2つの電池セル配置構造1における電池セル13の電極端子131は互いに離れており、両者の底部は互いに接近する。すなわちそのうちの1つの電池セル配置構造1における電池セル13の電極端子131は幅方向Yのうちの1つの方向に向けられ、他方の電池セル配置構造1における電池セル13の電極端子131は幅方向Yの他の方向に向けられ、かつ、2つの電池セル配置構造1は幅方向Yに沿って互いに接近し又は当接する。
【0047】
また、該電池モジュールMにおいて、高さ方向Zに沿って、一層の電池セル配置構造1を含んでもよく、二層の電池セル配置構造1を含んでもよく、各層はいずれも幅方向Yに沿って設置された2つの電池セル配置構造1を含んでもよい。図4に示された実施例において、該電池モジュールMは二層の電池セル配置構造1を含み、それぞれ第1電池セル配置構造11及び第2電池セル配置構造12であり、両者は高さ方向Zに沿って互いに積み重ねられる。
【0048】
同時に、各電池セル13はいずれも正極端子131a及び負極端子131bを含み(図9を参照)、電池モジュールMにおいて、複数の電池セル13は電気的に接続され、電池モジュールMの回路が形成され、各電池セル13の間は具体的に直列接続及び/又は並列接続等の接続方式を使用することができ、かつ電池セル13の間は接続片(第1接続片2及び第2接続片3)を介して接続され、たとえば、電池セル13は直列接続される場合、1つの電池セル13の正極端子131aは他の電池セル13の負極端子131bと接続片を介して接続される。
【0049】
該電池モジュールMの動作過程において、各電池セル13は連続的に充放電し、かつ充放電過程において、電池セル13は故障(たとえば熱暴走)するリスクがあり、それにより、該電池セル13が正常に動作できなくなり、この場合、故障することで故障した電池セル13は、すなわち故障した電池セル133であり(図7を参照)、その結果、該電池モジュールMの回路が故障し、正常に給電できない。該技術問題を解決するために、本願は故障した電池セル133を短絡し、かつ回路を改めて形成することにより該技術問題を解決する。
【0050】
具体的には、図4~6に示すように、該電池モジュールMのボックス5は取り付けビーム52をさらに含み、該取り付けビーム52はボックス5の収容キャビティ51内に位置し、かつ電池セル配置構造1の幅方向Yに沿った端部に位置し、すなわち上記電池セル配置構造1の電極端子131は該取り付けビーム52に向けられる。同時に、該電池モジュールMはプレスプレート4をさらに含んでもよく、該プレスプレート4の少なくとも一部は電池セル配置構造1の高さ方向Zに沿った端部に位置し、かつ該プレスプレート4は取り付けビーム52に取り外し可能に接続され、両者は接続した後、該プレスプレート4は電池セル配置構造1を高さ方向Zに沿って制限することに用いることができ、それにより収容キャビティ51での安定性を向上させる。
【0051】
同時に、該電池モジュールMは導電性部材6をさらに含んでもよく、電池セル13が故障して、故障した電池セル133が発生する場合、該導電性部材6は故障した電池セル133の正極端子131a及び負極端子131bに直接的に又は間接的に接続することに用いられ、該導電性部材6は故障した電池セル133の内部に該故障した電池セル133の電極端子131に接続されてもよく、故障した電池セル133の外側に該故障した電池セル133の電極端子131に接続されてもよく、かつ該導電性部材6は故障した電池セル133の電極端子131に直接接続されてよく、又は、該電極端子131が接続片に接続されるとき、該導電性部材6は電極端子131に接続される接続片に接続されてもよく、それにより導電性部材6を介して故障した電池セル133の正極端子131aと負極端子131bの間の短絡を実現でき、それにより、該故障した電池セル133を電池モジュールMの充放電回路から除去する。
【0052】
また、本願の実施例に関する電池セル13はパウチ電池であってもよく、四角形電池又は円筒形電池等であってもよく、対応して、該電池セル13の電極端子131(正極端子131a及び負極端子131bを含む)はパウチ電池の電極端子131であってもよく、四角形電池及び円筒形電池の電極端子131であってもよく、同時に、該電池セル13の端柱とタブとはアダプタを介して接続される場合、該電極端子131は端柱とアダプタを接続する構造であってもよい。
【0053】
従って、電池モジュールMの動作過程において1つ又は複数の電池セル13が故障した場合、導電性部材6を介して故障した電池セル133の電極端子131を接続すればよく、電池モジュールM全体を交換する必要がない。該電池モジュールMは車両に適用され、1つ又は複数の電池セル13が故障した場合、車両全体を工場に返送して処理したり、新しい電池モジュールMを交換したりすることなく、4Sショップで車両を直接修理でき、それによりメンテナンスの作業効率及び電池モジュールMの作業効率(利用率)を向上させ、かつメンテナンスプロセスを簡略化してメンテナンスコストを削減する。同時に、上記処理後、故障電池ユニット133を流れる電流が小さく、それにより該電池モジュールMの電池容量が大幅に低下することはなく、電池モジュールMが正常に動作することができる。
【0054】
また、電池セル13は構造接着剤でボックス5の収容キャビティ51内に張り付けられるという構造については、ある電池セル13が故障するとき、該故障した電池セル133を収容キャビティ51内から取り外すという操作は実現されにくく、従って、本実施例では、導電性部材6で故障した電池セル133を短絡させるという処理方式は操作しやすくて、効率が高い。
【0055】
同時に、図6図7に示された電池モジュールMについて、電池モジュールMの高さ方向Zに沿って、導電性部材6の少なくとも一部は取り付けビーム52とプレスプレート4の最高点との間に位置し、プレスプレート4の最高点は、高さ方向Zに沿って、プレスプレート4の高さが最も高い位置(同じ平面を基準とし、たとえば、電池モジュールMのボックス5の底面を基準とする)である。
【0056】
図4図11及び図12に示された実施例を例として、プレスプレート4は本体部41及び接続部42を含み、本体部41は平板構造(各箇所の高さが同じである)であり、接続部42は第1接続セグメント421、第2接続セグメント422及び遷移セグメント423を含んでもよく、幅方向Yに沿って、該遷移セグメント423は第1接続セグメント421と第2接続セグメント422を接続し、第1接続セグメント421は本体部41に接続され、第2接続セグメント422は取り付けビーム52に接続され、従って、第1接続セグメント421の高さは第2接続セグメント422の高さより大きく、遷移セグメント423は高さ方向Zに沿って延伸し、それにより該接続部42の断面はほぼZ字型であり、該構造の接続部42は取り付けビーム52及び本体部41との接続を容易に実現することができる。
【0057】
接続部42の第1接続セグメント421は本体部41の上方に当接され、この場合、該プレスプレート4の最高点は第1接続セグメント421であり、従って、本実施例では、高さ方向Zに沿って、導電性部材6の少なくとも一部は取り付けビーム52の第2上端面521とプレスプレート4の第1接続セグメント421との間に位置し、すなわち第2上端面521の上方(必ずしも第2上端面521と接触しない)、第1接続セグメント421の下方(必ずしも第1接続セグメント421と接触しない)に位置し、すなわち該導電性部材6と取り付けビーム52及びプレスプレート4とは接続されなくてもよく、又は、導電性部材6と取り付けビーム52とは他の部材で接続されて絶縁され、導電性部材6と第1接続セグメント421とは他の部材で接続されて絶縁される。
【0058】
本実施例では、該導電性部材6の少なくとも一部が第2上端面521の上方に位置する場合、導電性部材6と故障した電池セル133の電極端子131との接続及び取り外し操作が容易に実現でき、すなわち取り付けビーム52を撤去する必要がなく、電池セル配置構造1を収容キャビティ51から取り出す必要もなく、それによりメンテナンスプロセスをさらに簡略化してメンテナンスコストを削減することができる。
【0059】
具体的には、図6図7に示すように、該電池モジュールMは、電池セル13の電極端子131に接続される第1接続片2及び第2接続片3をさらに含み、上記導電性部材6は故障した電池セル133に接続される第1接続片2と第2接続片3を接続し、すなわち本実施例では、導電性部材6は故障した電池セル133の2つの電極端子131を間接的に接続することができる。同時に、接続後、高さ方向Zに沿って、該第1接続片2及び第2接続片3の少なくとも一部は取り付けビーム52とプレスプレート4の最高点との間に位置する。
【0060】
本実施例では、故障した電池セル133の電極端子131に接続される第1接続片2及び第2接続片3の少なくとも一部が取り付けビーム52の第2上端面521の上方に位置する場合、導電性部材6と該第1接続片2及び第2接続片3とが容易に接続でき、かつ導電性部材6が電極端子131に直接接続される場合に比べて、導電性部材6は接続片に接続される場合、両者の接続面積が大きく、それにより両者の間の過電流面積を増加させ、接続位置の温度が高すぎるというリスクを低減させることができる。
【0061】
具体的には、高さ方向Zに沿って、該導電性部材6と第1接続片2との接続位置は取り付けビーム52とプレスプレート4との間に位置し、導電性部材6と前記第2接続片3との接続位置は取り付けビーム52とプレスプレート4の最高点との間に位置し、すなわち導電性部材6と第1接続片2及び第2接続片3との接続位置は取り付けビーム52の第2上端面521の上方に位置し、それにより導電性部材6と第1接続片2及び第2接続片3との間の接続が容易に実現できる。
【0062】
図9図11及び図12に示すように、該電池セル13はトップカバープレート134を有し、上記電極端子131は該トップカバープレート134に設置され、幅方向Yに沿って、該トップカバープレート134と取り付けビーム52との間には予め設定された距離があり、該予め設定された距離は電池セル13の電極端子131と取り付けビーム52との間の電気的ギャップを提供することに用いられ、それにより電池セル13と取り付けビーム52との電気的接続を回避し、電池モジュールMが正常に動作できることを確保する。
【0063】
同時に、プレスプレート4が取り付けビーム52に接続される場合、ボックス5、取り付けビーム52及びプレスプレート4は収納空間53を画定し、導電性部材6は該収納空間53に位置し、該収納空間53は導電性部材6と第1接続片2及び第2接続片3との間の接続を容易に実現できる。
【0064】
別の具体的な実施例では、図13~15に示すように、該導電性部材6は電極端子131に接続され、具体的には、故障した電池セル133が最上層の電池セル配置構造1に位置する場合、該導電性部材6は該故障した電池セル133の電極端子131と直接接続することができ、図14に示すように、該故障した電池セル133の正極端子131aは第1接続片2に接続され、負極端子131bは第2接続片3に接続され、従って、導電性部材6は正極端子131a及び負極端子131bと直接接続される場合、幅方向Yに沿って、導電性部材6の少なくとも一部は2つの接続片と該故障した電池セル133のトップカバープレート134との間に位置し、それにより正極端子131a及び負極端子131bに接続することができる。
【0065】
故障した電池セル133は下層の電池セル配置構造1に位置する場合、該故障した電池セル133は取り付けビーム52の第2上端面521の下方に位置し、導電性部材6が該故障した電池セル133と直接接続されることは実現されにくく、該故障した電池セル133の正極端子131aは第1接続片2に接続され、負極端子131bは第2接続片3に接続され、同時に、該第1接続片2はさらに上層に位置する電池セル11に接続され、第2接続片3はさらに上層に位置する電池セル11に接続され、従って、導電性部材6はさらに、上層に位置し第1接続片2に接続される電極端子131及び第2接続片3に接続される電極端子131と接続することができ、それにより故障した電池セル133の電極端子131に間接的に接続される。
【0066】
具体的には、導電性部材6が電極端子131に接続される場合、両者は溶接して接続されてもよく、もちろん、その他の構造を介して接続されてもよい。たとえば、図16に示すように、該導電性部材6は長さ方向Xに沿って間隔をおいて設置された2つの嵌合溝61を含み、2つの嵌合溝61の間の距離は該導電性部材6に接続される2つの電極端子131の間の距離と同じである。図14を例として、該導電性部材6は該故障した電池セル133の正極端子131a及び負極端子131bに接続されるとき、2つの電極端子131の少なくとも一部はそれぞれ対応する嵌合溝61内に位置し、それにより導電性部材6と電極端子131との間の接続が実現される。
【0067】
具体的には、高さ方向Zに沿って、該嵌合溝61は下向きの開口と、該開口に対向して設置された上壁612とを有し、同時に、長さ方向Xに沿って、該嵌合溝61は対向して設置された2つの側壁611を含み、電極端子131の少なくとも一部が該嵌合溝61内に位置する場合、該電極端子131は上壁612に当接され、かつ該電極端子131はさらに2つの側壁611に当接され、それにより電極端子131は嵌合溝61に一致し、導電性部材6と電極端子131との間の接続信頼性が向上する。
【0068】
また、該導電性部材6と対応する電極端子131とはさらに溶接して接続されてもよく、又は導電性接着剤を介して接続されてもよい。
【0069】
1つの具体的な実施例では、図3図11に示すように、該プレスプレート4は本体部41及び接続部42を含んでもよく、該本体部41は電池セル配置構造1の高さ方向Zに沿った端部に位置し、接続部42の一端は本体部41に接続され、他端は取り付けビーム52に取り外し可能に接続され、それによりプレスプレート4と取り付けビーム52との間の接続が実現される。
【0070】
ただし、本実施例では、高さ方向Zに沿って、プレスプレート4の接続部42と取り付けビーム52とは直接接続されてもよく、両者の間はさらにラバーパッドを含んでもよく、すなわち接続部42と取り付けビーム52とはラバーパッドを介して接続されてもよく、従って、電池モジュールMが振動するとき、該ラバーパッドは接続部42と取り付けビーム52との間の振動を緩衝して、プレスプレート4と取り付けビーム52との間の接続信頼性を向上させることができる。
【0071】
また、該プレスプレート4の接続部42は取り付けビーム52に取り外し可能に接続されると、プレスプレート4を取り付けビーム52に取り付け、電池セル13の収容キャビティ51での安定性を向上させることができるだけでなく、接続部42を取り付けビーム52から容易に取り外し、第1接続片2及び第2接続片3の少なくとも一部を取り付けビーム52から露出させることができ、それにより、導電性部材6を介して第1接続片2と第2接続片3を接続する。同時に、プレスプレート4の本体部41と電池セル13とは固定して接続される(たとえば貼り付けられる)場合、取り付けビーム52に取り外し可能に接続される接続部42は容易に取り外すことができ、それにより導電性部材6と第1接続片2及び第2接続片3との接続が容易に実現できる。
【0072】
具体的には、図11図12に示すように、高さ方向Zに沿って、最上層の電池セル13は第1上端面132を有し、かつ該本体部41は第1上端面132に接続され、両者は具体的に構造接着剤で貼り付けられてもよく、又は、両者はその他の方式で接続されてもよい。同時に、高さ方向Zに沿って、取り付けビーム52は第2上端面521を有し、かつ該第1上端面132の高さは第2上端面521の高さより大きく、すなわち該第1上端面132は第2上端面521の上方に位置する。
【0073】
図11に示された実施例では、該第1接続セグメント421は本体部41の上端面に接続されてもよく、それにより両者の間の接触面積を向上させ、該第1接続セグメント421は本体部41の上端に当接され、かつ該第1接続セグメント421と本体部41とはねじで固定して接続されてもよく、又は、両者は構造接着剤等の方式で接続されてもよく、同時に、該第2接続セグメント422は取り付けビーム52の第2上端面521に取り外し可能に接続され、両者は具体的にボルトでロックされてもよい。
【0074】
図12に示された実施例では、該接続部42はさらにプレスブロック424を含んでもよく、かつ該プレスブロック424は第1接続セグメント421の下方に接続され、かつ該プレスブロック424の高さ方向Zに沿った厚さは本体部41の厚さと同じであり、第1接続セグメント421は本体部41に当接される場合、プレスブロック424は電池セル13の第1上端面132に当接することができ、すなわち該第1接続セグメント421は本体部41及び第1上端面132の両方に接続され、同時に、第2接続セグメント422は取り付けビーム52の第2上端面521に取り外し可能に接続される。該実施例では、接続部42と電池セル13及び本体部41との接続信頼性は高い。
【0075】
上記各実施例では、該プレスプレート4は2つの接続部42を含んでもよく、かつ幅方向Yに沿って、2つの接続部42は本体部41の両端に接続され、それにより該プレスプレート4の幅方向Yに沿った両端はいずれも取り付けビーム52に接続される。
【0076】
ここで、該第1接続セグメント421は本体部41と当接され、かつ両者の当接長さは10mm~200mmであり、たとえば、該当接長さは150mm、180mm等であってもよく、かつ両者の当接長さが大きい場合、接続部42と本体部41との間の接続信頼性は高い。
【0077】
一方、幅方向Yに沿って、該電池モジュールMは1列の電池セル配置構造1を含む場合、幅方向Yに沿って、該本体部41は電池セル配置構造1を超えず、それにより本体部41は導電性部材6が第1接続片2及び第2接続片3に接続されることに影響を与えない。又は、図10に示された実施例では、幅方向Yに沿って、該電池モジュールMは2列の電池セル配置構造1を含む場合、幅方向Yに沿って、該本体部41の一端は1列の電池セル配置構造11を超えず、他端は別の列の電池セル配置構造12を超えず、すなわち該本体部41の幅は2列の電池セル配置構造1の幅の合計未満である。
【0078】
本実施例では、該プレスプレート4において、本体部41を撤去しなくても、該本体部41は導電性部材6と第1接続片2及び第2接続片3との接続操作に影響を与えない。
【0079】
また、図8図9に示された実施例では、高さ方向Zに沿って、該電池モジュールMは二層の電池セル配置構造1を含み、具体的には、第1電池セル配置構造11及び第2電池セル配置構造12であり、かつ高さ方向Zに沿って、該第1電池セル配置構造11は第2電池セル配置構造12の上方に位置し、上記第1接続片2は第1電池セル配置構造11の電池セル13と第2電池セル配置構造12の電池セル13を接続し、第2接続片3は第1電池セル配置構造11の電池セル13と第2電池セル配置構造12の電池セル13を接続し、すなわち該第1電池セル配置構造11の電池セル13と第2電池セル配置構造12の電池セル13とは第1接続片2及び第2接続片3を介して直列接続され、従って、該第1接続片2及び第2接続片3は高さ方向Zに沿って傾斜して設置される。
【0080】
本実施例では、該接続方式により、下層に位置する第2電池セル配置構造12の電池セル13に接続される第1接続片2及び第2接続片3において、2つの接続片の少なくとも一部はいずれも取り付けビーム52の第2上端面521の上方に位置し、それにより導電性部材6を介して接続することができ、すなわち該接続方式により、電池モジュールMは二層の電池セル配置構造1を含み、かつ下層に位置する第2電池セル配置構造12の電池セル13が故障するときにも、導電性部材6を介して該故障した電池セル133(下層に位置する)を接続することができ、それにより電池セル配置構造1を取り外さずに故障した電池セル133のメンテナンスを実現できる。
【0081】
また、本願の実施例はさらに故障した電池セル133の故障処理方法を提供し、該故障処理方法はステップS1と、ステップS2と、ステップS3と、を含む。
【0082】
S1:プレスプレート4の少なくとも一部を取り付けビーム52から取り外す。
【0083】
該ステップにおいて、プレスプレート4の少なくとも一部を取り外した後、故障した電池セル133の少なくとも一部を露出させ、それにより故障した電池セル133に対して対応する操作を容易に行うことができる。
【0084】
S2:故障した電池セル133の正極端子131aと負極端子131bを導電性部材6を介して電気的に接続し、導電性部材6は正極端子131a及び負極端子131bと直接接続されてもよく、正極端子131a及び負極端子131bと間接的に接続されてもよい(たとえば第1接続片2及び第2接続片3を介して接続される)。
【0085】
ここで、導電性部材6は具体的に金属片等の構造であってもよく、それにより正極端子131aと負極端子131bとの間の短絡が実現可能であり、かつ該導電性部材6の断面積は電池モジュールMの過電流要件を満たすべきであり、それにより導電性部材6の温度が高すぎることを回避する。
【0086】
具体的には、上記のように、プレスプレート4は本体部41及び接続部42を含んでもよく、該本体部41は接続部42に接続され、かつ該プレスプレート4において、本体部41は電池セル配置構造1に接続され、接続部42は取り付けビームに接続され、従って、上記ステップS1は、具体的にステップS11を含んでもよい。
【0087】
S11:接続部42を取り付けビーム52から取り外す。
【0088】
本実施例では、該接続部42は取り付けビーム52及び本体部41に取り外し可能に接続され、故障した電池セル133をメンテナンスするとき、プレスプレート全体4を取り外す必要がなく、接続部42を取り外すことのみにより故障した電池セル133の少なくとも一部を露出させることができ、それによりメンテナンスが容易に実現できる。
【0089】
具体的には、該故障した電池セル133の2つの電極端子131はそれぞれ第1接続片2及び第2接続片3に接続され、従って、上記ステップS2は具体的にステップS21を含んでもよい。
【0090】
S21:故障した電池セル133に接続される第1接続片2及び第2接続片3を導電性部材6を介して電気的に接続する。
【0091】
本実施例では、導電性部材6は故障した電池セル133の2つの電極端子131と間接的に接続され、それにより故障した電池セル133の短絡が実現され、かつ導電性部材6は2つの接続片に接続されるとき、両者の接続面積が大きく、それにより過電流面積を増加させ、導電性部材6と接続片との接続位置の温度が高すぎるというリスクを低減させる。
【0092】
また、導電性部材6と2つの接続片とは具体的に溶接方式で接続されてもよく、又は、ボンディング、鋲接等のその他の方式で接続されてもよい。
【0093】
具体的には、上記ステップ2の後、該故障処理方法はさらにステップS3を含んでもよい。
【0094】
S3:取り付けビーム52から取り外したプレスプレート4の少なくとも一部を取り付けビーム52に取り付ける。
【0095】
ステップS1において、取り付けビーム52から取り外したプレスプレート4の少なくとも一部が接続部42である場合、該ステップS3は具体的にステップS31を含んでもよい。
【0096】
S31:取り付けビーム52から取り外した接続部42を取り付けビーム52に取り付ける。
【0097】
該ステップにおいて、取り外した接続部42を取り付けビーム52に改めて取り付けた後、故障した電池セル133のメンテナンスを完了でき、かつ該電池モジュールMにおいて、電池セル配置構造1はさらにプレスプレート4及び取り付けビーム52により制限されてもよい。
【0098】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、当業者であれば、本願に対して様々な修正や変更を行うことができる。本願の精神及び原則内に、行われた任意の修正、均等な置換、及び改良等は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0099】
1 電池セル配置構造
11 第1電池セル配置構造
12 第2電池セル配置構造
13 電池セル
131 電極端子
131a 正極端子
131b 負極端子
132 第1上端面
133 故障した電池セル
134 トップカバープレート
2 第1接続片
3 第2接続片
4 プレスプレート
41 本体部
42 接続部
421 第1接続セグメント
422 第2接続セグメント
423 遷移セグメント
424 プレスブロック
5 ボックス
51 収容キャビティ
52 取り付けビーム
521 第2上端面
53 収納空間
6 導電性部材
61 嵌合溝
611 側壁
612 上壁
D 装置
M 電池モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16