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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】二層ナノ粒子接着フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20230405BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20230405BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20230405BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20230405BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20230405BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230405BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L23/50 G
H01L21/52 E
H01L21/56 H
B82Y30/00
B82Y40/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019531942
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2017066495
(87)【国際公開番号】W WO2018112247
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】15/378,236
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スタッセン クック
(72)【発明者】
【氏名】ヨン リン
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171271(JP,A)
【文献】特開2014-179541(JP,A)
【文献】特開2009-182159(JP,A)
【文献】特開2014-127537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0123263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B82Y 5/00-99/00
H01L 21/52
H01L 21/56
H01L 23/28-23/31
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1の表面を有する第1の材料の基板を提供することと、
前記第1の材料と異なる第2の材料のナノ粒子を含む第1の溶剤ペーストの層を前記第1の表面上に付加的に堆積することと、
第1の液状ネットワーク構造を形成するために前記第2の材料のナノ粒子を共に焼結し、前記基板に結合するために前記第1の表面の下の前記基板の領域に前記第2の材料の一部を拡散させるように前記第1の溶剤ペーストにエネルギーを印加することと、
前記第1の液状ネットワーク構造を固化することと、
前記第2の材料の焼結したナノ粒子上に第3の材料のナノ粒子を含む第2の溶剤ペーストの層を付加的に堆積することであって、前記第3の材料が前記第2の材料と異なる化学化合物を含み、前記第3の材料のナノ粒子と前記第2の材料のナノ粒子との間の分子間力によって前記第3の材料のナノ粒子が前記第2の材料のナノ粒子に付着する、前記付加的に堆積することと、
第2の液状ネットワーク構造を形成するために前記第3の材料のナノ粒子を共に焼結するように前記第2の溶剤ペーストにエネルギーを印加することと、
前記第2の液状ネットワーク構造を固化することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板が、金属基板と半導体デバイスに用いられる金属リードフレームと絶縁層と交互にされる金属層を含む積層基板とを含む群から選択される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の材料が、銅と銅合金とアルミニウムとアルミニウム合金と鉄ニッケル合金とを含む群から選択される、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記第1の材料が、スズと銀とニッケルとパラジウムと金とを含む群から選択される金属のめっき層を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記付加的に堆積することが、スクリーン印刷とフレキソ印刷とグラビア印刷と浸漬コーティングとスプレーコーティングとインクジェット印刷とを含む群から選択され、前記インクジェット印刷が、圧電と熱と音響と静電とのインクジェット印刷を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の材料が、金属と金属酸化物と酸化物とセラミックスとを含む群から選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3の材料が、ポリマーと酸化物とセラミックスと金属と金属酸化物とを含む群から選択される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の材料のナノ粒子を焼結するためのエネルギーが、熱エネルギーと光子エネルギーと電磁エネルギーと化学エネルギーとを含む群から選択される、方法。
【請求項9】
方法であって、
第2の材料のナノ粒子を含む第1の溶剤ペーストの層を前記第2の材料と異なる第1の材料の基板の第1の表面上に付加的に堆積することと、
第1の液状ネットワーク構造を形成するために前記第2の材料のナノ粒子を共に焼結し、前記基板に結合するために前記第1の表面の下の前記基板の領域に前記第2の材料の一部を拡散させるように前記第1の溶剤ペーストにエネルギーを印加することと、
前記第1の液状ネットワーク構造を固化することと、
第3の材料のナノ粒子を含む第2の溶剤ペーストの層を前記第2の材料の焼結したナノ粒子上に付加的に堆積させることであって、前記第3の材料が前記第2の材料と異なる化学化合物を含み、前記第3の材料のナノ粒子と前記第2の材料のナノ粒子との間の分子間力によって前記第3の材料のナノ粒子が前記第2の材料のナノ粒子に付着する、前記付加的に堆積することと、
第2の液状ネットワーク構造を形成するために前記第3の材料のナノ粒子を共に焼結するように前記第2の溶剤ペーストにエネルギーを印加することと、
前記第2の液状ネットワーク構造を固化して、それにより2層ナノ粒子膜を形成することと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記基板が、銅と銅合金とアルミニウムとアルミニウム合金と鉄ニッケル合金とを含む群から選択される前記第1の材料を備える半導体デバイスに用いるための金属リードフレームである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記第1の材料が、スズと銀とニッケルとパラジウムと金とを含む群から選択される金属のめっき層を含む、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、
前記第2の材料が、金属と金属酸化物と酸化物とセラミックスとを含む群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、
前記第3の材料が、ポリマーと酸化物とセラミックスと金属と金属酸化物とを含む群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、
前記2層ナノ粒子膜を第4の材料内に封止することを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記封止することの前に、前記封止することの後に半導体チップがパッケージ内に位置するように前記基板上に前記半導体チップをアセンブルすることを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記第4の材料が、エポキシベースのモールディング化合物のような重合体化合物を含む、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記第4の材料が、前記第3の材料と混ざり合う前記第4の材料によって前記第3の材料のナノ粒子と結合する、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、
前記第3の材料のナノ粒子が、前記第4の材料の物体に結合する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に半導体デバイス及びプロセスに関し、より詳細には、異なる材料間の界面の接着性を改善するため、パッケージ化された半導体デバイスに適用される二層ナノ粒子接着フィルムの構造及び製造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージは、それらの機能に基づいて、様々な異なる材料を含む。リードフレーム及びボンドとして形成される金属が、機械的安定性、及び電気及び熱伝導のために用いられる。ポリマーモールディング化合物などの絶縁体は、封止及びフォームファクタ(form factor)のために用いられる。パッケージ製造の間、複数の半導体チップをリードフレームのストリップに取り付け、チップをそれらのそれぞれのリードに接続し、アセンブルされたチップをパッケージ内に封止することが一般的である。パッケージは、機械的な損傷や湿気や光などの環境の影響に対して、封止された部品を保護する。
【0003】
一般的な封止手法は、トランスファモールディング法である。取り付け及び接続されたチップを備えるリードフレームストリップが、各々アセンブルされたチップの周りのキャビティを形成する、スチールモールド内に置かれる。半粘性熱硬化性重合体化合物が、リードフレームストリップにわたりランナーを介して押され、ゲートを介して各キャビティに入る。キャビティを充填した後、化合物は、重合により固化され得る。最終的に、ディゲート工程において、ランナーにおける化合物は、キャビティを充填する化合物から各ゲートにおいて外される。
【0004】
パッケージの均一性及び整合性を確実にするため、金属性及び非金属材料は、製品寿命の間、互いに接着することが期待される。接着不良は、パッケージに湿気を侵入させ、電気的リーク及び化学的腐食によるデバイス欠陥を引き起こす。これは更に、半導体チップの基板に対する取り付けの欠陥、ワイヤボンドの破損、及びはんだバンプのクラック、及び劣化した熱的及び電気エネルギー放散につながり得る。
【0005】
今日の半導体技術は、多様化された材料間の接着性を改善するために多くの方法を採用しており、これにより、パッケージは、剥離なしに、加速された試験及び使用条件をパスする。こういった方法には、モールディング化合物を化学的に精製すること、(例えばプラズマによってモールディング工程の直前に)リードフレーム金属表面を活性化すること、及び、ベース金属を酸化することによりポリマー化合物に対するリードフレーム金属の親和性を向上させることが含まれる。また、くぼみ、グルーブ又は突起、突出部、及びその他の三次元特徴などの設計特徴が、パッケージ材料との改善された連結のために、リードフレーム表面に付加される。
【0006】
半導体パッケージにおいて、リードフレーム、チップ、及び封止化合物間の接着を増大させるための従来の技術の別の例は、金属シートからパターンをスタンピング又はエッチングした後リードフレーム表面を化学的にエッチングすることによる、リードフレーム表面全体の粗化である。化学的エッチングは、エッチャントを用いるサブトラクティブプロセスである。化学的エッチングは、およそ1μm又はそれ以下の粗さの微晶質金属表面をつくる。リードフレームの一つの表面のみを粗化するため、粗化されていないリードフレームに対して、約10~15%のコストを付加する。
【0007】
粗い表面を達成するための更に別の方法は、粗い金属(ニッケルなど)層を堆積するための、ニッケルめっき槽などの特殊金属めっき槽の利用である。この方法はアディティブプロセスである。つくられる表面粗さはおよそ1~10μmである。リードフレーム表面の粗化は、幾つかの歓迎されない副次的作用を有し得る。視覚システムは、粗化された表面を見るのが困難であるため、表面の一般的な粗化はワイヤボンディングに負の影響を与える。粗い表面はキャピラリ寿命を短縮させ、粗い表面上の微細汚染物質は、ボンディング整合性を劣化させる。概して、レジン構成要素が、チップ取り付け化合物のバルクから分離し、チップパッドの表面の上に広がるとき、粗い表面は、よりブリーディングを起こす傾向がある。樹脂ブリードは、湿気レベル感度を劣化させ得、チップパッド上のダウン接合と干渉し得る。選択的粗化手法が用いられることもあるが、これは、再利用可能なシリコーンラバーマスク又はガスケットに関与し、従って、選択的粗化は高価である。例えば、化学的粗化を選択されたリードフレームエリアに制限するための保護マスクは、粗化されないリードフレームに対して約35~40%のコストを付加する。
【0008】
特に、デバイス小型化の別の縮小工程が実装されるとき接着性効率が更に低減するので、こういった労力の全てにおける成功は限定されてきている。
【発明の概要】
【0009】
表面を有する第1の材料の基板の説明される例において、表面は、二層ナノ粒子フィルムを堆積させることによって改変される。フィルムは、表面の頂部上にあり、表面と接する第2の材料のナノ粒子層と、第2の材料のナノ粒子層の頂部上にあり、第2の材料のナノ粒子層と接する第3の材料のナノ粒子層とを含む。第3の材料のナノ粒子は、第2の材料のナノ粒子に付着する。表面に隣接する基板領域が、第1の材料における第2の材料の混合物を含む。第4の材料が、第3の材料のナノ粒子層に接し、化学的/機械的に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施例に従った、異種材料の対象間の接着性を高めるための付加的二層ナノ粒子接着フィルムを作成するプロセスフローを要約する図である。
【0011】
図2】第1の材料の基板の表面上の第2の材料のナノ粒子の付加的層の形成を含む実施例を図示する。
【0012】
図3図2のノズルを備えるシリンジの一部の拡大図を図示し、シリンジは、一実施例に従った溶剤における第2の材料のナノ粒子のペーストで充填されている。
【0013】
図4】一実施例に従った、第2の材料を基板表面に隣接する基板領域に拡散させるのと同時に、第2の材料のナノ粒子を焼結した後の付加的層を示す。
【0014】
図5】一実施例に従った、第2材料の焼結ナノ粒子の層の表面上の第3材料のナノ粒子の付加的層の形成を図示する。
【0015】
図6図5のノズルを有するシリンジの一部の拡大図を示し、シリンジは、一実施例に従った溶剤における第3の材料のナノ粒子のペーストで充填されている。
【0016】
図7】一実施例に従った、第3の材料の付加的層のボイドを充填するパッケージング化合物による付加的な二層ナノ粒子接着フィルムの封止を示す。
【0017】
図8】第2の材料のナノ粒子と第3の材料のナノ粒子との混合物を含む溶剤を用いるナノ粒子の付加的層の形成を含む別の実施例を図示する。
【0018】
図9図8のノズルを有するシリンジの一部の拡大図を示し、シリンジは、一実施例に従って第2の材料のナノ粒子と第3の材料のナノ粒子との混合物を含むペーストで充填される。
【0019】
図10】一実施例に従った、リードフレームとプラスチックパッケージとの間の接着を高める、二層ナノ粒子接着フィルムで覆われたリードフレームの部分を有する例示のパッケージ化された半導体デバイスを示す。
【0020】
図11】いずれも一定の縮尺で描かれる、異なる疎水性のリガンド分子を有する従来のナノ粒子コアを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施例において、多様な材料間の接着性及び機械的結合を高める方法が記載される。本方法は、材料間の2つの重ね合わされた(又は、相互に噛み合わされた)ナノ粒子層で構成される付加的接着フィルムの形成及び固定を含む。図1は、実施例を要約する図である。付加的フィルムが上に構築される材料を本明細書では基板と呼び、基板との接着を必要とする別の材料を本明細書ではパッケージと称される。例として、図2には基板が201と示され、図7においてパッケージが701と示されている。
【0022】
図1に示すプロセスフローの適用は、半導体デバイスの製造技術に適用することができる。半導体技術において、基板は、通常、金属リードフレーム、又は、複数の交互の電気絶縁層及び導電層で構成される積層基板のいずれかである。図1のプロセス101において、第1の材料でつくられ、二次元に延在する表面を有する基板が選択される。
【0023】
基板がリードフレームである場合(図10参照)、このようなリードフレームは、好ましくは、120~250μmの通常の厚さの範囲で、銅、銅合金、鉄ニッケル合金、アルミニウム、及びコバール(商標)などのベース金属の薄いシートからエッチング又は打ち抜かれる。本明細書で用いられる場合、ベース金属という用語は、開始材料の含蓄を有し、化学的特性を示唆しない。リードフレームには、ベース金属の完全な又は部分的な表面エリア上にメッキされた付加的な金属層を有するものがあり、その例は、銅リードフレーム上のメッキされたニッケル、パラジウム、及び金の層である。
【0024】
リードフレームは、半導体チップ(1010)をしっかりと位置決めするための安定した支持パッド(図10の1001)を提供する。また、リードフレームは、様々な導電体をチップに近接させるため、多数の導電リード(1003)を提供する。リードの先端とチップ端子との間の任意の残りのギャップは、通常、ボンディングワイヤ(1030)によって橋渡しされる。或いは、フリップチップ技術において、チップ端子は、金属バンプによってリードに接続され得る。
【0025】
リードフレーム特性が、取り付けられたチップ及びパッケージング化合物(図10における1070)に対する信頼性の高い接着を容易にすることが重要である。モールディング化合物とリードフレームの金属仕上げとの間の化学親和性の他に、特に、接着のためのより低い表面エリアを提供する、パッケージ寸法の縮小の技術的傾向に鑑みて、接着にはリードフレーム表面粗さが必要となることがある。また、鉛フリーはんだを使用する必要性が、リフロー温度範囲を約260℃近辺に強いるので、高温でのリードフレームへの金型コンパウンド接着を維持することがより困難となる。
【0026】
図1のプロセスフローを参照すると、プロセス102において、プロセスフローのステップ102の間、第2の材料のナノ粒子を含む分散剤又は溶剤を含む溶剤ペーストが提供される。溶剤ペーストの一例が図3に図示され、301で示される。分散剤に溶解したナノ粒子は、第2の材料のナノ粒子302と称される。この説明では、原子又は分子、無機又は有機化学的化合物、一次元ワイヤ、二次元結晶及び小板、及びナノチューブによって構成される、球形又はその他の三次元クラスタを含む。
【0027】
ナノ粒子302は、金属、金属酸化物、酸化物、及びセラミックスを含む群から選択され得る。金属は、金、銀、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛、及びビスマスを含み得る。金属酸化物は、変化する比を有する第二銅及び第一銅酸化物の混合物として、銅よりも良好なモールディング化合物に対する化学的接着を提供する、銅酸化物を含み得る。
【0028】
図1のプロセスフローのステップの間、第2の材料のナノ粒子を含む溶剤ペースト301の層200が、図2に示される基板201の表面201a上に付加的に堆積される。層200は、利用可能な二次元表面エリアにわたって延在し得、又は溶剤ペーストの液滴サイズに依存して約0.1μm~100μmのアイランドなどの表面エリアの一部のみを覆い得る。
【0029】
溶剤ペーストを堆積させるための装置は、ノズル211を備えた移動するシリンジ210を備えたコンピュータ制御インクジェットプリンタを含み、このノズル211から、ペーストの個別の液滴310が放出される。多数の市販されているプリンタから自動化されたインクジェットプリンタを選択され得る。或いは、特定のペーストを扱うため、カスタマイズされたインクジェットプリンタを設計することができる。或いは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、浸漬コーティング、スプレーコーティング、及び多くの他の方法を含む、任意のアディティブ方法を用いることができる。
【0030】
上述したように、堆積された層200は、基板201の横方向の寸法に沿って延在し得、又は、例示の長さ202、203として図2に示されているように、約0.1μm~100μmの長さ延在するアイランドを含み得る。金属リードフレームでは、層200が、一つ又は複数のリードのリードフレーム表面エリア全体を、又は、チップ取り付けパッドなどの選択された部品を覆い得る。シリンジ210の反復される範囲のまとめられた液滴から高さを構築することで、層200は、約100nm~500nmの高さ200aを有し得るが、それより薄くても、又は著しく厚くてもよい。
【0031】
図1に示すプロセスのステップ104の間、第2の材料のナノ粒子を共に焼結するための温度まで高めるため、及び同時に、第2の材料を第1の表面に隣接する基板領域に拡散させ、それにより、第2の材料の焼結されたナノ粒子を第1の表面に固定するために、エネルギーが提供される。必要とされるエネルギーは、熱エネルギー、光エネルギー、電磁エネルギー、及び化学エネルギーなど、複数のソースによって提供され得る。共に焼結するとき、ナノ粒子302は、液状ネットワーク構造402内へ粒子間で狭窄(neck)する。液状ネットワーク構造402は、図4の層400を形成する。
【0032】
第2の材料のナノ粒子402の焼結と同時に、或る第2の材料は、基板201の表面201a(第1の表面)に隣接する領域の第1の材料への原子相互拡散によって拡散する。図4において、基板201の表面201a付近の領域に相互拡散された第2の材料は、402aで示される。拡散深さは図4において402bで示される。基板への原子相互拡散は相互拡散結合を生成し、相互拡散結合は、焼結された第2のナノ粒子の層400を基板201に固定する。
【0033】
焼結プロセスの後、第2の材料の液状ネットワーク構造402は固化して、第2の材料402の固体層400をつくる。硬化したネットワーク構造400は固体層として基材表面に残るので、第2の材料のナノ粒子402は、構造的ナノ粒子である。
【0034】
図1に示すプロセスのステップ105の間、第3の材料のナノ粒子を含む分散剤又は溶剤を含む、別の溶剤ペーストが提供される。溶剤ペーストの一例は図5に図示され、501で示される。分散剤に溶解したナノ粒子は、第3の材料のナノ粒子502と称される。第3の材料は、ポリマー、酸化物、セラミックス、金属、及び金属酸化物を含む群から選択され得る。金属は、金、銀、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛、及びビスマスを含み得、金属酸化物は、変化する比を有する第二銅及び第一銅酸化物の混合物として、銅よりも良好なモールディング化合物に対する化学的接着を提供する、銅酸化物を含み得る。
【0035】
第2の材料のナノ粒子の選択に関連して、第3の材料のナノ粒子は、第2の材料のナノ粒子への接着を有するように動作可能であるように選択される。分子間力により、第3の材料のナノ粒子は、第2の材料のナノ粒子に付着する。関連する効果において、表面張力の増加、又は表面エネルギーが、接着性の増大及び表面への濡れを生じさせる。
【0036】
ナノ粒子の表面が、処理されたナノ粒子が或る所望の機能を果たすことが可能になるように処理される場合、そのような処理は、機能化(functionalization)と称される。例えば、ナノ粒子が互いから分離していることが望まれる場合、ナノ粒子は、凝固を防止するためリガンドで処理され得る(それらは「機能化」される)。図2に示す例において、第2の材料のナノ粒子への改善された接着性のために、第3の材料のナノ粒子の表面を機能化することが有利である。図11は、一定の縮尺で描かれ、コア1101の表面に取り付けられた、異なる疎水性リガンド分子と共に、直径5nmの滑らかな球体として理想化されるコア1101を有するナノ粒子1100を図示している。図11のリガンド分子には、分子1102(トリオクチルホスフィンオキサイド、TOPO)、分子1104(トリフェニルホスフィン、TPP)、分子1106(ドデカンチオール、DDT))、分子1108(テトラオクチルアンモニウムブロマイド、TOAB)、及び分子1110(オレイン酸、OA)が含まれる。
【0037】
他のナノ粒子のコアは、コア表面に取り付けられる親水性リガンド分子を有し得る。例としては、メルカプト酢酸(MAA)、メルカプトプロピオン酸(MPA)、メルカプトウンデカン酸(MUA)、メルカプトコハク酸(MSA)、ジヒドロリポ酸(DHLA)、ビススルホン化トリフェニルホスフィン(mPEG‐SH、mPEG45‐SH)、及び配列CALNNの短いペプチドが含まれる。コアの表面上に取り付けられる不活性な分子鎖などのリガンド分子が、凝集に対してナノ粒子を安定化させ得る一方、表面上に取り付けられる他のリガンド分子が、対象との接着性を高め得る。
【0038】
一例として、銅酸化物(CuO及びCuOの両方)ナノ粒子の分子の共有結合を促進するため、シロキサン、シラン、又はアミン基をコア表面に取り付けて、銅酸化物ナノ粒子を機能化し得る。
【0039】
いくつかの用途において、第3の材料が第2の材料と同一の化学元素であるが、異なる多孔度、又は異なる表面機能をもたらす異なる化合物配合物を有するとき、第3の材料の層と第2の材料の層との間の接着を達成し得る。一例として、第3の材料は、第2の材料と同じ元素のアミン基又はシラン基の化合物であり得、又は第3の材料は、CuO対CuOなど、異なる酸化物配合物に属し得る。別の例として、材料密度、又は多孔性のサイズ若しくは密度(規則的対ランダム構成)は異なり得る。さらに別の例では、第3の材料は、粒子境界又は格子欠陥に沿って固体中への異なる拡散特性を有し得る。
【0040】
図1において示されるプロセスフローのステップ106の間、第3の材料のナノ粒子を含む溶剤ペースト501の層500が、第2の材料の焼結ナノ粒子の層200上に付加的に堆積される。このプロセスは図5に示され、第3の材料のナノ粒子の層500の厚みは500aである。層500は、基板201の利用可能な二次元表面エリア上にわたって延在してもよく、又は、例示的な長さ503及び504として図5に示されるように、溶剤ペーストの液滴サイズに依存して、約0.1μm~100μmのアイランドなど、表面エリアの一部のみを覆ってもよい。
【0041】
本堆積のための装置は、ペーストの個別の液滴610が不連続に放出される、ノズル511を備える移動シリンジ510を備えるコンピュータ制御インクジェットプリンタを含む。自動インクジェットプリンタが、多数の市販されているプリンタから選択され得る。或いは、カスタマイズされたインクジェットプリンタが、特定のペーストのために機能するように設計され得る。或いは、スクリーン印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、浸漬コーティング、スプレーコーティング、並びに、圧電性、熱的、音響、及び静電気インクジェット印刷を含むインクジェット印刷を含む、任意のアディティブ方法が用いられ得る。
【0042】
上述したように、堆積された層500は、基板201全体の横方向寸法に沿って延在してもよく、又は、図5に示すように、約0.1μm~100μm長さにわたって延在するアイランドを含んでもよい。金属性リードフレームでは、層500は、一つ又は複数のリードのみのリードフレーム表面エリア全体、又は、チップ取り付けパッドなどの選択された部品、を覆い得る。シリンジ510の反復される範囲のまとめられた液滴から高さを構築することで、層500は、約100nm~500nmの高さ500aを有し得るが、それより薄くても、又は著しく厚くてもよい。
【0043】
図1において示されたプロセスフローのステップ107の間、第3の材料のナノ粒子を共に焼結するための温度を高めるために、エネルギーが提供される。必要なエネルギーは、熱エネルギー、光エネルギー、電磁エネルギー、及び化学エネルギーなど、複数のソースによって提供され得る。共に焼結するとき、ナノ粒子502は、液状ネットワーク構造内へ粒子間で狭窄する。狭窄接続では、溶融粒子の表面は、粒子間の狭窄(neck)に似た、しぼられた(constricted)範囲を示す。液状ネットワーク構造は、図4における層500を形成している。焼結プロセスの後、第3の材料の液状ネットワーク構造を凝固させて、第3の材料の固体層400がつくられる。
【0044】
第3の材料のナノ粒子が焼結され、固化され、第2の材料の焼結ナノ粒子に付着することにより、二層ナノ粒子フィルム520が形成される。二層フィルム520の厚み520aは、好ましくは、約0.1μmから10μmの間である。
【0045】
図1において示されたプロセスフローのステップ108の間、固体二層ナノ粒子フィルム520は、第1の材料の基板201の少なくとも一部と共に、重合体化合物のパッケージに封止される。このプロセスは図7で示されており、重合体化合物は701で示されている。重合体化合物による封止のための方法の一つは、熱硬化性エポキシベースのモールディング化合物を用いるトランスファモールド技術である。この化合物は、モールディングプロセスの間の高温で低粘性を有するので、重合体化合物は、第3の材料の層500における如何なる細孔(pore)/ボイド502aをも容易に充填し得る。細孔/ボイドの重合体材料による充填は、それらが整然としたパターンで配列されるか又はランダムな分布に配列されるか、及び、それらが狭いエントランスを備える球形の窪みに似た細孔/ボイドを含む、浅い又はランダムな三次元構成であるか、にかかわらず、任意の細孔に対して成される。
【0046】
化合物が重合され、周囲温度まで冷却された後、重合体化合物701は、パッケージ内及び細孔/ボイド内で硬化される。プラスチック材料の硬化の後、重合体で充填された細孔/ボイドは、ナノ粒子層500におけるパッケージの固定を表し、パッケージ(第4の材料)及び二層ナノ粒子フィルム(第3の材料)の界面に強度を与える。また、上述したように、層500は、ナノ粒子層400に対する接着性を有し、二層フィルム強度を与える。次に、層400は、金属相互拡散402aによって金属性基板201に固定され、基板に対する二層フィルムの界面に強度を与える。全体的な結果として、二層ナノ粒子フィルムは、プラスチックパッケージ701と金属性基板201との間の接着を改善する。桁違いの接着改善が測定されている。
【0047】
物体間の機械的接着に加えて、2つの異なる材料間の全体的な接着は、化学的接着によって改善され得る。その結果、第2の材料及び第3の材料のナノ粒子は、化学的接着を高めるように選択され得る。一例として、銅酸化物ナノ粒子は、金ナノ粒子よりも重合体のモールディング化合物に対するより良好な化学的ボンディングを有する。
【0048】
別の実施例は、図8に示すようなナノ粒子層であり、第2の材料のナノ粒子402と第3の材料のナノ粒子502とを混合して単一の均質層800にする。接合層800は、基板201の層800に対する、及びパッケージ701の層800に対する、2つの界面における接着を平均化することによって、基板201とパッケージ701との間の接着を改善する。
【0049】
図8及び図9に示すように、層800の製造プロセスは、ナノ粒子層400及び500をつくる上述した製造プロセスに類似する。第2の材料のナノ粒子402と第3の材料のナノ粒子502との混合物を含む溶剤ペースト901と共にコンピュータ制御インクジェットプリンタが用いられる。
【0050】
2つのナノ粒子材料の焼結された半均質ナノ粒子層による2つの物体間の接着改善のための方法は、第1の材料の物体及び第4の材料の物体を提供することによって始まる。その後、第2の材料のナノ粒子と第3の材料のナノ粒子との半均質混合物を含む溶剤ペーストが提供される。第2の材料のナノ粒子は、第1の材料でつくられた基板の表面近傍領域への分子拡散によって、第1の材料への拡散結合を形成し得る。第3の材料のナノ粒子は、第2の材料のナノ粒子への分子間力によって接着結合を形成し、細孔/ボイドの充填による電気的力及び/又は機械的結合に起因して、第4の材料化学的結合の物体を更に形成する。
【0051】
次のプロセスのためのコンピュータ化されたインクジェット印刷手法を用いて、溶剤ペーストの半均質混合物の層が、第1の材料の物体の表面上に付加的に堆積される。次に、第2のナノ粒子と第3の材料を共に焼結し、焼結ナノ粒子層を形成し、同時に第1の材料の物体の表面に隣接する領域に第2の材料を拡散させるために、温度を上昇させるためにエネルギーが加えられる。
【0052】
次に、第4の材料の物体を焼結ナノ粒子層と接触させて、化学的及び/又は機械的ボンディングを実現し、第4の材料の物体が第3の材料のナノ粒子に接合される。
【0053】
図10は、金属性リードフレーム及びプラスチックパッケージを含む例示の半導体デバイスにおいて、二層ナノ粒子接着フィルムによる増強された接着の例示の一実施例を示す。この例示の実施例は、半導体チップ1010をアセンブルするためのパッド1001と、パッド1001をパッケージの側壁に接続するタイバー1002と、複数のリード1003とを含む、リードフレームを備える半導体デバイス1000である。本記載において、タイバーはストラップと称され得る。チップ端子は、ボンディングワイヤ1030によってリード1003に接続され、ボンディングワイヤは、通常、ボールボンド1031及びスティッチボンド1032を含む。図10の例において、リード1003は、カンチレバー状リードのような形状であり、他の実施例において、リードは、QFN(Quad Flat No-lead)デバイス又はSON(small outline no-lead)デバイスにおいて用いられるような平坦リードの形状を有してもよい。長手方向の拡張部に沿って、図10における例示的なデバイスのストラップ1002は、パッド1001及びリード線1003が同じ平面にないため、湾曲及びステップを含む。他のデバイスにおいて、ストラップ1002は、パッド1001とリード1003とが同じ平面にあるため、平坦で平面状である。
【0054】
図10において、リードフレームの一部は破線1020によって記されており、これは、ナノ粒子でつくられる二層フィルムを含む。フィルムは、ランダムな分散及びランダムな三次元構成のボイドを含み得る。例示的なデバイス1000は、チップ1010及びワイヤボンド1030を封止するためのパッケージ1070を含むので、二層フィルムの如何なるボイドも重合体化合物によって充填される。パッケージ1070は、エポキシベースの熱硬化性ポリマーなどの重合体化合物でつくられ、モールディングプロセスで形成され、重合プロセスによって硬化される。パッケージ1070の重合体化合物とリードフレームとの間の接着は、二層ナノ粒子フィルムによって改善される。他のデバイスは、多孔質二層ナノ粒子フィルムによって覆われるリードフレームのより多くのより大きなエリアを有し得る。
【0055】
半導体技術において、例示の実施例は、トランジスタ及び集積回路など、低及び高ピンカウントを有するアクティブ半導体デバイスに、及び、リードフレームパッド上の能動及び受動構成要素の組み合わせにも、適用可能である。
【0056】
別の例として、例示の実施例は、シリコンベースの半導体デバイスに、及び、ガリウムヒ化物、ガリウム窒化物、シリコンゲルマニウム、及び業界で用いられている任意の他の半導体材料を用いるデバイスにも適用可能である。また、例示の実施例は、カンチレバー状リードを備えるリードフレームに、及び、QFN及びSONのタイプのリードフレームにも適用可能である。
【0057】
別の例として、リードフレームに加えて、例示の実施例は、積層基板に、及び、非金属性ボディに接合されるべき任意の他の基板又は支持構造に適用可能である。
【0058】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11