(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】モータ用コイル基板とモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20230405BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20230405BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230405BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
H02K3/26 E
H05K1/16 B
H01F17/00 F
H01F27/28 104
H01F27/28 K
(21)【出願番号】P 2019070629
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森田 治彦
(72)【発明者】
【氏名】三輪 等
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】横幕 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久始
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】村木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/193618(WO,A1)
【文献】特開2017-200410(JP,A)
【文献】特開平02-013249(JP,A)
【文献】実開昭59-173449(JP,U)
【文献】特開平06-105493(JP,A)
【文献】特開2007-124892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/26
H05K 1/16
H01F 17/00
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と前記フレキシブル基板上に形成されていて、前記一端から前記他端に向かって並んでいる複数のコイルとを有するコイル基板を巻くことで形成されるモータ用コイル基板であって、
前記フレキシブル基板は内周のフレキシブル基板と前記内周のフレキシブル基板から延びていて前記内周のフレキシブル基板の周りに巻かれている外周のフレキシブル基板を含み、前記コイルは前記外周のフレキシブル基板上に形成されているコイル(外周のコイル)と前記内周のフレキシブル基板上に形成されているコイル(内周のコイル)を含み、前記外周のコイルと前記内周のコイルは幅を有し、前記モータ用コイル基板内に磁石が配置されると、前記モータ用コイル基板と前記磁石でモータが形成され、
前記コイルは、中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成されていて、前記配線は渦巻き状に形成されていて、前記配線は前記中央スペースを介して向かい合っている複数の第1配線と複数の第2配線を含み、前記第1配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第2配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記第2配線は概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記回転方向との間の角度は略90度であり、前記複数の第1配線の内、最も外側の第1配線は外側の第1配線であり、前記複数の第2配線の内、最も外側の第2配線は外側の第2配線であり、前記外側の第1配線は前記中央スペースに向いている第1側壁と前記第1側壁と反対側の第2側壁とを有し、前記外側の第2配線は前記中央スペースに向いている第3側壁と前記第3側壁と反対側の第4側壁とを有し、前記コイルの幅は前記第2側壁と前記第4側壁との間の距離であり、
前記外周のコイルの幅と前記内周のコイルの幅は前記モータの回転方向に沿って測定され、前記外周のコイルの幅は前記内周のコイルの幅より大き
く、
前記外周のコイルを形成する前記第1配線の幅は、前記内周のコイルを形成する前記第1配線の幅より大きく、前記外周のコイルを形成する前記配線の厚みは、前記内周のコイルを形成する前記配線の厚みより大きく、
前記コイルは隣接する前記第1配線間に第1スペースを有し、前記外周のコイルを形成する前記第1スペースの幅と前記内周のコイルを形成する前記第1スペースの幅は略等しい。
【請求項2】
請求項1のモータ用コイル基板であって、前記内周のコイルの数と前記外周のコイルの数は複数であって、隣接する前記外周のコイル間のギャップと隣接する前記内周のコイル間のギャップは略等しい。
【請求項3】
請求項1のモータ用コイル基板であって、前記外周のコイルの数と前記内周のコイルの数はLであって、m番目の前記外周のコイルはm番目の前記内周のコイル上に位置する。
mとLは自然数である。
【請求項4】
請求項
3のモータ用コイル基板であって、m番目の前記外周のコイルとm番目の前記内周のコイルは並列に繋げられている。
【請求項5】
請求項1のモータ用コイル基板であって、前記フレキシブル基板は第1面と前記第1面と反対側の第2面を有し、前記コイルは、前記第1面上に形成されている複数の上コイルと前記第2面上に形成されている複数の下コイルとを有し、前記フレキシブル基板を介して対向している前記上コイルと前記下コイルは前記フレキシブル基板を貫通するスルーホール導体で接続されている。
【請求項6】
請求項
5のモータ用コイル基板であって、前記上コイルと前記下コイルは、中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成されていて、前記配線は渦巻き状に形成されていて、前記配線は外端と内端とを有し、前記内端は前記スルーホール導体に繋がっている。
【請求項7】
請求項1のモータ用コイル基板と、
前記モータ用コイル基板内に配置される磁石、とからなるモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用コイル基板とモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気モータに関し、その電気モータはワイヤからなる複数のシングルコイルを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献の課題]
特許文献1の電気モータはワイヤからなる複数のシングルコイルを含んでいる。コイルがワイヤで形成されている。ワイヤが細いと、ワイヤを巻くことが難しいと考えられる。例えば、ワイヤが切れると考えられる。高い位置精度でワイヤを巻くことは難しいと考えられる。その場合、占積率が低下すると推察される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るモータ用コイル基板は、一端と前記一端と反対側の他端とを有するフレキシブル基板と前記フレキシブル基板上に形成されていて、前記一端から前記他端に向かって並んでいる複数のコイルとを有するコイル基板を巻くことで形成される。前記フレキシブル基板は内周のフレキシブル基板と前記内周のフレキシブル基板から延びていて前記内周のフレキシブル基板の周りに巻かれている外周のフレキシブル基板を含み、前記コイルは前記外周のフレキシブル基板上に形成されているコイル(外周のコイル)と前記内周のフレキシブル基板上に形成されているコイル(内周のコイル)を含み、前記外周のコイルと前記内周のコイルは幅を有し、前記モータ用コイル基板内に磁石が配置されると、前記モータ用コイル基板と前記磁石でモータが形成され、前記コイルは、中央スペースと前記中央スペースを囲む配線で形成されていて、前記配線は渦巻き状に形成されていて、前記配線は前記中央スペースを介して向かい合っている複数の第1配線と複数の第2配線を含み、前記第1配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第2配線のそれぞれは概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記第2配線は概ね平行に形成されていて、前記第1配線と前記回転方向との間の角度は略90度であり、前記複数の第1配線の内、最も外側の第1配線は外側の第1配線であり、前記複数の第2配線の内、最も外側の第2配線は外側の第2配線であり、前記外側の第1配線は前記中央スペースに向いている第1側壁と前記第1側壁と反対側の第2側壁とを有し、前記外側の第2配線は前記中央スペースに向いている第3側壁と前記第3側壁と反対側の第4側壁とを有し、前記コイルの幅は前記第2側壁と前記第4側壁との間の距離であり、前記外周のコイルの幅と前記内周のコイルの幅は前記モータの回転方向に沿って測定され、前記外周のコイルの幅は前記内周のコイルの幅より大きく、前記外周のコイルを形成する前記第1配線の幅は、前記内周のコイルを形成する前記第1配線の幅より大きく、前記外周のコイルを形成する前記配線の厚みは、前記内周のコイルを形成する前記配線の厚みより大きく、前記コイルは隣接する前記第1配線間に第1スペースを有し、前記外周のコイルを形成する前記第1スペースの幅と前記内周のコイルを形成する前記第1スペースの幅は略等しい。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、コイルが配線で形成されている。例えば、プリント配線板の技術でコイルを形成することができる。そのため、コイルを形成する配線を略矩形にすることができる。コイルの占積率を高くすることができる。実施形態のモータ用コイル基板は、内周のコイルと外周のコイルを含む。そして、外周のコイルの幅は、内周のコイルの幅より大きい。そのため、高い位置精度で内周のコイル上に外周のコイルを積層することができる。コイルの占積率を高くすることができる。また、外周のコイルの幅を大きくすることで、外周のコイルを形成する配線の幅を大きくすることができる。コイルの抵抗を小さくすることができる。高い効率を有するモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(A)はモータの模式図であり、
図1(B)は第1実施形態のモータ用コイル基板の模式図であり、
図1(C)はコイルCの平面図であり、
図1(D)はコイルの断面図である。
【
図2】
図2(A)は第1実施形態のコイル基板の上コイルを示し、
図2(B)は内周のコイルの配線の断面図であり、
図2(C)は外周のコイルの配線の断面図である。
【
図3】
図3(A)は第1実施形態のモータ用コイル基板の断面を示し、
図3(B)は第1実施形態の改変例の回路図であり、
図3(C)はモータの回転方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図2(A)に示されるコイル基板201が準備される。コイル基板201は第1面Fと第1面Fと反対側の第2面Sとを有するフレキシブル基板22とフレキシブル基板22上のコイルCで形成されている。コイル基板201を巻くことで、
図1(B)に示されるモータ用コイル基板20が得られる。モータ用コイル基板20は空洞AHの周りに巻かれる。例えば、コイル基板201は筒状に巻かれる。モータ用コイル基板201の形状の例は円筒である。巻く回数は、2以上、5以下である。
図1(B)は模式図である。
【0009】
図1(A)に示されるように、モータ用コイル基板20内に磁石48を配置することで、モータ10が得られる。
図1(A)は模式図である。モータ用コイル基板20は、空洞AHを介し磁石48の周りに配置されている。モータ10の例は、直流モータである。モータ10は、さらに、図示されていない整流子とブラシとハウジングを有することができる。第1実施形態では、モータ用コイル基板20が回転するが、磁石48が回転してもよい。
【0010】
図2(A)は、第1実施形態のモータ用コイル基板20を形成するためのコイル基板201を示している。コイル基板201は、複数のコイルCを有する。フレキシブル基板22の第1面F上に形成されているコイルCは上コイルCFと称される。
【0011】
図2(A)に示されるように、フレキシブル基板22は、短辺20Sと長辺20Lとを有することが好ましい。上コイルCFは、フレキシブル基板22の長辺20Lに沿って並んでいる。フレキシブル基板22の一端20SLから他端20SRに向かって、上コイルCFは一列に並んでいる。上コイルCFの数はN(数N)である。
図2(A)の例では、上コイルの数は6である。
【0012】
上コイルCFの数Nは以下の関係1を満足する。
関係1:N=K×L
KとLは整数である。Kは2以上である。Lは3以上、11以下である。
【0013】
コイル基板201は1つのフレキシブル基板22で形成されている。コイル基板201を形成するフレキシブル基板22は複数の部分Pに分けられる。従って、コイル基板201も複数の部分Pに分けられる。コイル基板201は複数の部分Pで形成され、部分Pの数はKである。コイル基板201を形成する部分Pは一端20SLから他端20SRに向かって並んでいる。1番目の部分P1はフレキシブル基板22の一端20SLを含む。2番目の部分P2は1番目P1の部分の隣である。3番目の部分P3は2番目の部分P2の隣である。そして、K番目の部分Pkはフレキシブル基板22の他端20SRを含んでいる。つまり、j番目の部分Pjの隣に(j+1)番目の部分Pj1が配置されている。jは自然数である。jは2以上であることが好ましい。例えば、Kはフレキシブル基板22を巻く回数である。
【0014】
コイル基板201を形成する各部分Pは複数の上コイルCFを有し、1つの部分Pに形成されている上コイルの数はLである。Lは奇数であることが好ましい。1つの部分P内で、上コイルCFは順に並んでいる。1つの部分P内で、一番目の上コイルはフレキシブル基板22の一端20SLに最も近い。1つの部分内で、二番目の上コイルは一番目の上コイルの隣である。1つの部分内で、三番目の上コイルは二番目の上コイルの隣である。1つの部分P内で、L番目の上コイルはフレキシブル基板22の他端20SRに最も近い。つまり、1つの部分P内で、m番目の上コイルCFの隣に(m+1)番目の上コイルCFが形成されている。mは自然数である。1つの部分P内に形成されているコイルCの数は3以上、11以下である。
【0015】
図2(A)の例では、Kは2である。つまり、部分Pの数は2である。
図2(A)のコイル基板201は、一番目の部分P1と二番目の部分P2で形成されている。
また、Lは3である。つまり、
図2(A)のコイル基板201を形成する各部分P内の上コイルCFの数は3である。一番目の部分P1内に一番目の上コイルCF11と二番目の上コイルCF12と三番目の上コイルCF13が並んでいる。二番目の部分P2内に一番目の上コイルCF21と二番目の上コイルCF22と三番目の上コイルCF23が並んでいる。
【0016】
フレキシブル基板22上に形成されている複数のコイルCは同時に形成される。例えば、共通のアライメントマークを用いることで、複数のコイルCはフレキシブル基板22上に形成される。そのため、各コイルCの位置は関連している。
【0017】
各上コイルCFは接続線cLを介して接続される。m番目の上コイルCFmは(m+1)番目の上コイルCFm1に接続線cLを介して接続される。そして、N番目の上コイルCFnは1番目の上コイルCF1に接続線cLを介して接続される。このように、上コイルCFは、順次接続線cLで接続される。
図2(A)では、接続線cLは省略されている。接続線cLの一部が
図2(A)に描かれている。
【0018】
図2(A)に示されるように、第1実施形態のコイル基板201は端子用基板24と端子用基板24上に形成されている端子Tを有することができる。端子用基板24とコイルCを支えるフレキシブル基板22は1つのフレキシブル基板22で形成されている。
【0019】
図2(A)に示されるように、第1実施形態のコイル基板201は、接続線cLと端子Tを接続する複数の端子用配線tLを含むことができる。端子用配線tLは、m番目の上コイルCFmと(m+1)番目の上コイルCFm1を繋ぐ接続線cLと端子Tを繋ぐ。また、端子用配線tLは、N番目の上コイルCFnと1番目の上コイルCF1を繋ぐ接続線cLと端子Tを繋ぐ。
【0020】
端子TとコイルCは同時に形成される。端子用基板24の数と端子Tの数は上コイルCFの数の半数であることが好ましい。もしくは、端子用基板24の数と端子Tの数は上コイルCFの数と同じであることが好ましい。
【0021】
図1(C)にコイルCの例が示される。コイルCは中央スペースSCと中央スペースSCを囲む配線wで形成される。そして、配線wは外端OEと内端IEを有する。配線wは外端OEと内端IEとの間に形成されている。コイルCを形成する配線wは渦巻き状に形成されている。コイルCを形成する配線wの内、最も内側の配線で中央スペースSCは囲まれる。複数の配線wの内、最も内側の配線wは、内側の配線Iwである。最も外側の配線wは、外側の配線Owである。
【0022】
図1(C)に示されるように、配線wは、中央スペースSCを介して向かい合っている複数の第1配線w1と複数の第2配線w2とを含む。1つのコイルC内で、第1配線w1は一端20SLに近く、第2配線w2は他端20SRに近い。第1配線w1のそれぞれは概ね平行に形成されている。第2配線w2のそれぞれは概ね平行に形成されている。第1配線w1と第2配線w2は概ね平行に形成されている。第1実施形態のコイル基板201を用いてモータ10が製造される時、
図3(C)に示されるように、第1配線w1とモータの回転方向MRとの間の角度が略90度である。
【0023】
配線wは、さらに第1配線w1と第2配線w2とをつなぐ第3配線w3を有する。
【0024】
複数の第1配線w1の内、最も外に位置する第1配線は外側の第1配線w1Owである。
複数の第1配線w1の内、最も内側の配線は内側の第1配線w1Iwである。内側の第1配線w1Iwは中央スペースSCに面している。
複数の第2配線w2の内、最も外に位置する配線は外側の第2配線w2Owである。
複数の第2配線w2の内、最も内側の配線は内側の第2配線w2Iwである。内側の第2配線w2Iwは中央スペースSCに面している。
【0025】
図1(D)は、1つのコイルCの断面図である。
図1(D)は、第1配線w1と第2配線w2の断面を示す。
【0026】
各コイルCは、
図1(C)と
図1(D)に示される距離Wを有する。
外側の第1配線w1Owは中央スペースSCに向いている第1側壁sw1と第1側壁sw1と反対側の第2側壁sw2とを有する。外側の第2配線w2は中央スペースSCに向いている第3側壁sw3と第3側壁sw3と反対側の第4側壁sw4とを有する。距離Wは、m番目のコイルを形成する外側の第1配線w1Owの第2側壁sw2とm番目のコイルを形成する外側の第2配線w2Owの第4側壁sw4との間の距離である。
距離Wは、第1配線w1に垂直な直線に沿って測定されている。
【0027】
特許文献1のシングルコイルはワイヤで形成されている。それに対し、第1実施形態のコイルCはプリント配線板の技術で形成されている。コイルCを形成する配線wはめっきにより形成されている。あるいは、コイルCを形成する配線wは銅箔をエッチングすることで形成される。コイルCを形成する配線wは、セミアディティブ法やM-Sap法やサブトラクティブ法で形成される。
【0028】
コイルCを形成する配線wはプリント配線板の技術で形成されている。そのため、配線wの断面形状は略矩形である。第1実施形態によれば、コイルの占積率を高くすることができる。
【0029】
コイル基板201を筒状に巻くことで、第1実施形態のモータ用コイル基板20が得られる。この時、各部分Pが概ね1周を作るように、コイル基板201は巻かれる。(j-1)番目の部分の外にj番目の部分が巻かれる。
コイル基板201の巻き方の例が
図3(A)を用いて説明される。
図2(A)に示されるコイル基板201は一番目の部分P1と二番目の部分P2で形成される。そして、
図2(A)のコイル基板201が巻かれると、
図3(A)に示されるように、一番目の部分P1が概ね1周を形成する。さらに、一番目の部分P1に繋がっている二番目の部分P2が概ね1周を形成する。この時、一番目の部分P1は最も内側に巻かれる。一番目の部分P1を形成するフレキシブル基板22は内周のフレキシブル基板22Iである。そして、二番目の部分P2は一番目の部分P1の外に巻かれる。内周のフレキシブル基板22Iから延びていて二番目の部分P2を形成するフレキシブル基板22は外周のフレキシブル基板22Oである。
Kが3であると、コイル基板201は一番目の部分P1と二番目の部分P2と三番目の部分P3で形成される。そして、二番目の部分P2に繋がっている三番目の部分P3が概ね1周を形成する。また、三番目の部分P3は二番目の部分P2の外に巻かれる。
【0030】
モータ用コイル基板20内では、j番目の部分内のm番目の上コイルCF上に(j+1)番目の部分内のm番目の上コイルCFが位置している。その例が
図3(A)に示されている。
図3(A)は第1実施形態のモータ用コイル基板20の断面図である。一番目の部分P1内の一番目の上コイルCF11上に二番目の部分P2内の一番目の上コイルCF21が位置している。一番目の部分P1内の二番目の上コイルCF12上に二番目の部分P2内の二番目の上コイルCF22が位置している。一番目の部分P1内の三番目の上コイルCF13上に二番目の部分P2内の三番目の上コイルCF23が位置している。
j番目の部分内のm番目の上コイルCF上に(j+1)番目の部分内のm番目の上コイルCFが位置する場合、j番目の部分内のm番目の上コイルCFと(j+1)番目の部分内のm番目の上コイルCFは完全に重なる。あるいは、j番目の部分内のm番目の上コイルCFと(j+1)番目の部分内のm番目の上コイルCFは部分的に重なる。あるいは、(j+1)番目の部分内のm番目の上コイルCFがj番目の部分内のm番目の上コイルCFを含むように両者は重なる。
【0031】
図2(A)に示されるように、内周の上コイルCFは幅W1を有する。外周の上コイルCFは幅W2を有する。内周の上コイルCFの幅W1は、外周の上コイルCFの幅W2より小さい。即ち、幅W2が幅W1より大きい。
【0032】
図2(B)は、内周の上コイルCFの配線wの断面を示す。
図2(C)は、外周の上コイルCFの配線wの断面を示す。内周の上コイルCFの配線wの幅ww1は、外周の上コイルCFの配線wの幅ww2より小さい。内周の上コイルCFの配線wの高さ(厚み)h1は、外周の上コイルCFの配線wの高さ(厚み)h2より小さい。即ち、外周の上コイルCFの配線wの断面積は、内周の上コイルCFの配線wの断面積より大きい。外周の上コイルCFの配線wの抵抗は、内周の上コイルCFの配線wの抵抗より小さい。
【0033】
第1実施形態のモータ用コイル基板では、外周の上コイルCFの幅W2が内周の上コイルCFの幅W1より大きい。そのため、外周のコイルの配線の幅と高さを大きくすることができる。外周のコイルの配線の抵抗値を小さくすることができる。高い効率を有するモータを提供することができる。
【0034】
図2(A)に示されるように、隣接する内周のコイル間にギャップD1が存在する。隣接する外周のコイル間にギャップD2が存在する。ギャップD1の大きさとギャップD2の大きさは略等しい。必要な絶縁間隔が保たれる。ギャップD1、D2はm番目のコイルの第4側壁sw4と(m+1)番目のコイルの第2側壁sw2との間の距離である。
【0035】
図2(B)は、内周の上コイルCFの第1配線w1の断面を示す。
図2(C)は、外周の上コイルCFの第1配線w1の断面を示す。内周の上コイルCFは隣接する第1配線w1間に第1スペースs1を有する。外周の上コイルCFは隣接する第1配線w1間に第1スペースS1を有する。内周の上コイルCFの第1配線w1間の第1スペースs1の幅と外周の上コイルCFの第1配線w1間の第1スペースS1の幅は略等しい。
【0036】
[第1実施形態の改変例]
第1実施形態と第1実施形態の改変例では、コイルCの接続方法が異なる。それ以外、第1実施形態と第1実施形態の改変例は同様である。第1実施形態の改変例では、m番目の上コイルのそれぞれは並列に繋げられている。つまり、一番目の上コイルのそれぞれは並列に繋げられている。二番目の上コイルのそれぞれは並列に繋げられている。L番目の上コイルのそれぞれは並列に繋げられている。そして、並列に繋げられているm番目の上コイルは、並列に繋げられている(m+1)番目の上コイルに直列に繋げられる。つまり、並列に繋げられている一番目の上コイルは、並列に繋げられている二番目の上コイルに直列に繋げられる。並列に繋げられている二番目の上コイルは、並列に繋げられている三番目の上コイルに直列に繋がられている。並列に繋げられている(L-1)番目の上コイルは、並列に繋げられているL番目の上コイルに直列に繋がられている。mは自然数である。
異なる部分内のコイルが並列に繋げられているので、複数のコイルを低い抵抗で繋げることができる。コイルに大きな電流を流すことができる。
【0037】
図3(B)は、第1実施形態の改変例の回路図の例である。
図3(B)に示されるように、並列に繋げられている複数の一番目の上コイルCF11、CF21と並列に繋がられている複数の二番目の上コイルCF12、CF22と並列に繋がられている複数の三番目の上コイルCF13、CF23は直列に繋げられている。
【0038】
第1実施形態の改変例のモータ用コイル基板20では、並列に接続されているコイルCが、モータ用コイル基板20内で重なるように配置される。そのため、複数のコイルCを効率的に並列に繋ぐことができる。また、モータの出力が高くなっても、1つのコイルに流れる電流の量を小さくすることができる。電流の二乗に比例する発熱量を小さくすることができるので、モータ用コイル基板20の効率を高くすることができる。
【0039】
コイルCはフレキシブル基板22の両面に形成することができる。その場合、上コイルCFと下コイルCSとの接続はコイルの配線wの内端IEに繋がっているスルーホール導体TH1を介して行われる。第2面S上のコイルCは下コイルと称される。下コイルの配線wと上コイルの配線wは同様である。
【符号の説明】
【0040】
20 モータ用コイル基板
22 フレキシブル基板
48 磁石
201 コイル基板
C コイル
CF 上コイル
SC 中央スペース
w 配線