IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/22 20071001AFI20230405BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230405BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230405BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230405BHJP
【FI】
B60K6/22 ZHV
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
B60L3/00 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018224352
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020083231
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 仁一
(72)【発明者】
【氏名】奥地 貴之
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雄一
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052330(JP,A)
【文献】特開2013-163421(JP,A)
【文献】特開2007-230446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/22
B60R 16/02
B60K 35/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両の走行に関する出力を表示する表示装置であって
燃機関を停止させて電動機を用いた走行を優先する第1モードでの前記出力及び前記内燃機関を作動させて走行する第2モードでの出力が表示される領域である第1領域と、
前記第1領域と並んで設けられ、前記第2モードでの出力を示す第2領域と、
前記第1領域に表示され、前記第1モードでの出力又は前記第2モードでの出力に応じて表示量が変化する第1表示部と、
前記第2領域において、前記第2モードでの出力に応じて変化する第2表示部と、
を備え、
前記第1表示部と前記第2表示部とは各々個別に設けられており、
前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力に応じて前記内燃機関の始動する可能性が高くなるに従い、色の属性が変容し、且つ、前記第1モードと前記第2モードとにおいて、色の属性が異な
ことを特徴とするハイブリッド車両の表示装置。
【請求項2】
前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力が前記内燃機関の始動する可能性が高くなるに従い、明度が低くなることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の表示装置。
【請求項3】
前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力が所定値を超えると点滅することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハイブリッド車両の表示装置。
【請求項4】
前記第1領域には、前記電動機と接続されるバッテリの出力が示される
ことを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両の表示装置。
【請求項5】
前記第1領域および前記第2領域からなる表示領域は円形状であり、
前記第1領域および前記第2領域は、前記表示領域の最上位置を境界とする扇状または円弧状に連なって設けられるものである
ことを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両の表示装置。
【請求項6】
前記第2領域は、前記内燃機関の回転数を示すことを特徴とする請求項4または5に記載のハイブリッド車両の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両は、走行用の駆動力源として、モータとエンジンとを有している。そして、その走行モードとして、モータのみで駆動輪を駆動するEV(Electric Vehicle)モードと、モータおよびエンジンで駆動輪を駆動するHV(Hybrid Vehicle)モードとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4155321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド車両では、発進時には、EVモードで走行し、その後、車両の状況に応じて、エンジンを始動し、HVモードで走行している。このようなハイブリッド車両では、その表示装置において、EVモードでの走行であるのか、または、HVモードでの走行であるのかを運転者に示すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
例えば、上記特許文献1においては、運転者の出力要求に応じて変化する状態量を表示する第1の表示部と、この状態量において走行モードが切替わる分割線を表示する第2の表示部とを備えたものが記載されている。
【0006】
しかし、上述した分割線は、車両の状況により変化するものであり、運転者の運転操作に関係なく動く場合があるため、運転者は、ハイブリッド車両の走行状態、ならびに、モータおよびエンジンの動作状態の判断が難しくなるだけでなく、予期しないタイミングでエンジンが始動してしまうことなどが起こり得る。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、ハイブリッド車両の走行状態、ならびに、モータおよびエンジンの動作状態を分かり易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第一の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、ハイブリッド車両の走行に関する出力を表示する表示装置であって、内燃機関を停止させて電動機を用いた走行を優先する第1モードでの前記出力及び前記内燃機関を作動させて走行する第2モードでの出力が表示される領域である第1領域と、前記第1領域と並んで設けられ、前記第2モードでの出力を示す第2領域と、前記第1領域に表示され、前記第1モードでの出力又は前記第2モードでの出力に応じて表示量が変化する第1表示部と、前記第2領域において、前記第2モードでの出力に応じて変化する第2表示部と、を備え、前記第1表示部と前記第2表示部とは各々個別に設けられており、前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力に応じて前記内燃機関の始動する可能性が高くなるに従い、色の属性が変容し、且つ、前記第1モードと前記第2モードとにおいて、色の属性が異なることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第二の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、第一の発明に係るハイブリッド車両の表示装置において、前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力が前記内燃機関の始動する可能性が高くなるに従い、明度が低くなることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第三の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、第一または第二の発明に係るハイブリッド車両の表示装置において、前記第1表示部は、前記第1モードでの前記出力が所定値を超えると点滅することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、第の発明に係るハイブリッド車両の表示装置において、前記第1領域には、前記電動機と接続されるバッテリの出力が示されることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、第四の発明に係るハイブリッド車両の表示装置において、前記第1領域および前記第2領域からなる表示領域は円形状であり、前記第1領域および前記第2領域は、前記表示領域の最上位置を境界とする扇状または円弧状に連なって設けられるものであること
を特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第の発明に係るハイブリッド車両の表示装置は、第四または五の発明に係るハイブリッド車両の表示装置において、前記第2領域は、前記内燃機関の回転数を示すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第一の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第1表示部は、第1モードでの出力が内燃機関の始動する可能性の高い値に近づくに従い、色の属性が変容するので、運転者は、視覚的にその情報を捉えることができる。そのため、運転者は、ハイブリッド車両の走行状態、ならびに、電動機および内燃機関の動作状態を容易に判断することができる。
また、第2モードでの出力に応じて変化する第2表示部を備えるので、運転者は、内燃機関の動作状態を的確に判断することができる。
また、第1領域には、第2モードでの電動機に関する出力が示され、第1表示部は、第1モードと第2モードとにおいて、色の属性が異なるので、運転者は、走行モードに合った適切な情報を得ることができる。
【0017】
第二の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第1モードでの車両出力が内燃機関の始動する可能性が高くなるに従い、第1表示部の明度を低くする(色を濃くする)ので、第一発明の効果に加え、更に、内燃機関が始動する切迫度合いを事前に的確に把握でき、ユーザビリティの向上が図られる。
【0018】
第三の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第1表示部は、第1モードでの出力が所定値を超えると点滅するので、第一発明又は第二の発明の効果を更に向上させることができる。
【0021】
の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第1領域には、電動機と接続されるバッテリの出力が示されるので、第の発明の効果に加え、運転者は、容易にバッテリの出力を把握することができる。
【0022】
の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第1領域および第2領域からなる表示領域は円形状であり、第1領域および第2領域は、表示領域の最上位置を境界とする扇状または円弧状に連なって設けられるので、第四の発明の効果に加え、運転者に対する視認性が向上する。
【0023】
の発明に係るハイブリッド車両の表示装置によれば、第2領域は、内燃機関の回転数を示すので、第四または五の発明の効果に加え、例えば、触媒の暖気等で内燃機関が作動している場合であっても、運転者は、そのような(走行以外の用途のための)内燃機関の作動を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1に係る表示装置を備えたハイブリッド車両の構成を示す説明図である。
図2A】実施例1に係る表示装置の構成を示す説明図である。
図2B】実施例1に係る表示装置の構成を示す説明図である。
図2C】実施例1に係る表示装置の構成を示す説明図である。
図3A】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図3B】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図3C】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図4A】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図4B】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図4C】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図5A】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図5B】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図5C】実施例1に係る表示装置における表示の仕方を変更した変形例を示す説明図である。
図6A】実施例1に係る表示装置における計器板を変更した変形例を示す説明図である。
図6B】実施例1に係る表示装置における計器板を変更した変形例を示す説明図である。
図6C】実施例1に係る表示装置における計器板を変更した変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る表示装置の実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係る表示装置の構成について、図1および図2Aから図2Cを参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、ハイブリッド車両10は、走行用の駆動力源として、モータ11(電動機)とエンジン12(内燃機関)とを有している。モータ11は、前輪または後輪を駆動する構成としても良く、モータ11を複数設けて、前輪および後輪を各々駆動する構成としても良い。また、エンジン12も、前輪または後輪を駆動する構成としても良く、前輪および後輪を駆動する構成としても良い。また、ハイブリッド車両10は、エンジン12により駆動されて発電を行うジェネレータ(図示省略)を有していても良い。
【0028】
ハイブリッド車両10は、その走行モードとして、エンジン12を停止させてモータ11を用いた走行(駆動輪の駆動)を優先する(エンジン12での走行よりもモータ11での走行を優先する)第1モード(電動機出力モード)と、エンジン12を作動させ、例えばモータ11およびエンジン12を用いて走行する(駆動輪を駆動する)第2モード(内燃機関出力モード)とを有している。
【0029】
また、ハイブリッド車両10は、制御部であるECU(Electronics Control Unit)20を有している。ECU20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力回路などから成り、モータ11およびエンジン12と電気的に接続されると共に、モータ11に電力を供給する駆動用のバッテリ13、車速を検出する車速センサ14、および、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15とも電気的に接続されている。
【0030】
よって、ECU20には、モータ11からの信号値(モータ回転数、モータ出力など)やエンジン12からの信号値(オン/オフ、エンジン回転数、エンジン出力など)が入力されると共に、さらにバッテリ13からの信号値(SOC(State of Charge)、電池出力など)や車速センサ14およびアクセル開度センサ15の信号値なども入力される。
【0031】
ハイブリッド車両10は、さらに、ハイブリッド車両10の走行に関する出力(走行出力)を表示する表示装置30を有しており、この表示装置30は、ECU20と電気的に接続されている。ハイブリッド車両10の走行出力は、ECU20において上述した信号値に基づいて演算処理が行われることによって求められ、この演算処理された演算値(走行出力)は、表示装置30に入力される。
【0032】
図2Aから図2Cに示すように、表示装置30は、第1領域32-1、第2領域33及び第3領域32-2が配置された円形状の計器板31を有している。以下の説明においては、計器板31上における方位の表現として、計器板31の最上位置Tを0時(=12時)の位置とした時計の時刻、または、計器板31の最上位置Tを0°(=360°)の位置とした角度のいずれか一方または両方を用いる。
【0033】
第1領域32-1は、エンジン12を停止させてモータ11を用いて走行するとき、すなわち、第1モードでの走行出力を示す領域であり、計器板31上の外周部分において、約270°から360°(9時から12時)の位置の間に扇状または円弧状に配置されている。第1領域32-1は、第1モードでの走行出力に応じて変化する第1表示部32Aを備えている。
【0034】
第1表示部32Aは、第1領域32-1内(9時から12時の位置の間)において、第1モードでの走行出力に対応する値を指し示すレベルバーである。具体的には、第1表示部32Aは、第1モードでの走行出力に応じて、その帯状図形の長さ(9時の位置からの長さ)が変化し、当該帯状図形の長さ(9時の位置を始点とした終点(先端部)の位置)によって第1モードでの走行出力に対応する値をレベルバーで指し示す。
【0035】
このように、第1表示部32Aをレベルバーとすることにより、運転者に対して第1モードにおいてエンジン12を始動させずに走行する際にその状態をより明確に報知することができ、視認性が向上する。
【0036】
第1モードでの走行出力としては、例えば、モータ11のモータ回転数、モータ11のモータ出力、バッテリ13の電池出力、車速、アクセル開度などのモータ11に関する出力が使用可能である。
【0037】
また、第1表示部32Aは、エンジンの始動する可能性が高くなるに従い、言い換えると、バッテリ13の出力可能な余裕度であるエンジン始動逼迫度が高まるに従い、色の属性が変容する。ここでいう色の属性とは、色相、明度、彩度を意味する。
色相とは、色合いのことをいい、赤、黄、緑、青、紫のような言葉で区別できる性質である。但し、それぞれ独立したものではなく、お互いが連続してつながり合って色相を構成する。
明度とは、色の持つ明るさの度合いをいう。物理的にはある表面が反射する光の量が多いほど明度が高く、少ないほど明度が低くなる。たとえば白や黄色は光の反射する率が高いため明度が高く、逆に黒や青は光の反射する率が少ないため明度が低い。
彩度とは、“鮮やかさ”あるいは“強さ”といった性質の差を示す。例えば、赤系統の色でも、日の丸の赤は鮮やかな赤であるのに対し、煉瓦の色はくすんだ赤である。
例えば、第1表示部32Aは、図2A図2B図2Cにおいて異なる符号32A-1、32A-2、32A-3を付するように、エンジン始動逼迫度の増大に伴い、第1表示部32Aの色相を青色系統色または緑色系統色から赤色系統色へと断続的(段階的)または連続的に変化させて表示する、あるいは、第1表示部32Aの明度を淡色から濃色へと断続的(段階的)または連続的に変化させて表示する。
このように、第1表示部32Aの色の属性を変容させることにより、運転者は、内燃機関が始動する切迫度合いを事前に的確に把握でき、ユーザビリティの向上が図られる。
【0038】
なお、エンジン始動逼迫度は、エンジン12を始動させる複数の条件のうち少なくとも一つに関し、その条件の成立までの余裕がなくなり、エンジン12が始動する可能性が高まって、エンジン12が始動する可能性を示す度合いであり、バッテリ13のSOC、車速センサ14で検出した車速、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度、モータ11のモータ回転数、モータ11のモータ出力などに基づいて、ECU20が演算処理することによって求められる。
【0039】
また、本実施例に係る表示装置30おいては、第1モードでの出力が所定値を超えると、例えば、エンジン始動逼迫度が限界値(限界値よりも低い所定値でも良い)を超えると、第1表示部32Aの一部または全部を点滅させて表示するようにしても良い(図示省略)。このように第1表示部32Aの一部または全部を点滅させることにより、運転者に対して、エンジン12が始動する可能性の高いことを、より意識(認識)させることができる。
【0040】
更に、第1領域32-1は、エンジン12を作動させて走行するとき、すなわち、第2モードでのモータ11に関する出力を示す領域を含むものであっても良い。このとき、第1表示部32Aは、第1領域32-1内(9時から12時の位置の間)において、モータ11に関する出力に対応する値を指し示すことになる。具体的には、第1表示部32Aは、モータ11に関する出力に応じて、その帯状図形の長さ(9時の位置からの長さ)、すなわち表示量が変化し、当該帯状図形の長さ(9時の位置を始点とした終点(先端部)の位置)によってモータ出力に対応する値を指し示す。
【0041】
ここで、モータ11に関する出力とは、モータ11の作動による出力であり、このモータ出力としては、モータ11の回転数、モータ11の作動による動力(仕事率)、バッテリ13の電池出力(モータ11のアシスト電力)などの出力パラメータが使用可能である。
第1表示部32Aは、第1モードと第2モードとにおいて、色の属性が異なる。例えば、第1モードのときは寒色系とし、第2モードのときは暖色系とし、第1モードのときは濃度を低く、第2モードのときは濃度を高くする等である。
これにより、運転者は、走行モードに合った適切な情報を得ることができる。
【0042】
なお、上述した第1モードでの走行出力および第2モードでのモータ11に関する出力は、運転者が選択可能な構成にしても良い。例えば、表示装置30に選択スイッチ(図示省略)を設け、この選択スイッチを操作することにより、第1モードでの走行出力および第2モードでのモータ11に関する出力として、それぞれ上述した出力パラメータの中から1つの出力パラメータを選択するようにすれば良い。ここで、第1表示部32Aを第1モードと第2モードとにおいて同じ出力パラメータに応じて変化するものとした場合には、制御の簡素化を図ることができる。
【0043】
このように、第1領域32-1を、第2モードでのモータ11に関する出力またはバッテリ13の出力を示すものとし、第1表示部32Aを、第2モードにおいてモータ11に関する出力またはバッテリ13の出力に応じて変化するものとした場合には、運転者は、ハイブリッド車両10の走行状態に合わせた適切な情報として、モータ11のアシスト出力の情報を得ることができ、より詳しくは、モータ11とバッテリ13の余剰出力を確認することができる。
【0044】
第3領域32-2は、バッテリ13の充電状態を表示する領域であり、計器板31の左側における約230°から270°の位置に配置される。第3領域32-2は、バッテリ13の充電状態を示すレベルバー(図示省略)を備える。
第1領域32-1と第3領域32-2とは、液晶パネルなどから成るデジタルメータ32を構成している。第1領域32-1と第3領域32-2との間である、計器板31の左側における約270°の位置には、境界として区分線L1が配置されている。
【0045】
第2領域33は、エンジン12を作動させて走行するとき、即ち、第2モードでの走行出力を示すアナログメータであり、第1領域32-1と並んで設けられるよう、計器板31上の外周部分において、0°から約130°の位置の間に扇状または円弧状に配置されている。第2領域33は、第2モードでの走行出力に応じて変化する第2表示部33Aを有する。
【0046】
第2表示部33Aは、第2領域33内(0°から約130°の位置の間)において、エンジン出力に対応する値を指し示す指針である。具体的には、第2表示部33Aは、第2モードでの走行出力に応じて、その指示方向(計器板31の略中心を基点として0時(0°)の方向からの回転角度)が変化し、当該指示方向(計器板31の略中心を基点とする方向)によって第2モードでの走行出力に対応する値を指針で指し示す。
【0047】
このように、第2表示部33Aを指針とすることにより、第2モードでの走行が始まる際には指針の躍動感のある動きにより、運転者に対して第2モードでの走行をより明確に報知することができる。もちろん、第2領域33は、液晶パネルなどから成るデジタルメータであっても良い。
【0048】
第2モードでの走行出力としては、例えば、エンジン12の回転数、エンジン12の作動による動力(仕事率)などの出力パラメータが使用可能である。
【0049】
なお、上述した第2モードでの走行出力は、運転者が選択可能な構成にしても良い。例えば、表示装置30に選択スイッチ(図示省略)を設け、この選択スイッチを操作することにより、第2モードでの走行出力として、上述した出力パラメータの中から1つの出力パラメータを選択するようにすれば良い。
計器板31上において、第1領域32-1、第2領域33および第3領域32-2からなる表示領域は円形状であり、第1領域32-1および第2領域33は、表示領域の最上位置を境界とする扇状または円弧状に連なって設けられる。
【0050】
また、デジタルメータ32およびアナログメータである第2領域33は、計器板31上の外周部分において、当該計器板31の12時位置(最上位置T)を境界として、左右相称に設けられている。
【0051】
本発明の実施例1に係る表示装置の動作について、図1および図2Aから図2Cを参照して説明する。
ハイブリッド車両10を運転者が発進させると、ハイブリッド車両10は第1モードでの走行を始め、ECU20は第1モードでの走行出力を所定のパラメータ(例えば、モータ回転数)でデジタルメータ32における第1領域32-1に表示する(図1および図2A参照)。
【0052】
このとき、エンジン12は始動しておらず、第2モードでの走行出力(例えば、エンジン回転数)は「0」であり、第2表示部33Aは振れずに目盛「0」(計器板31における12時の位置)を指し示している。
【0053】
そして、デジタルメータ32における第1表示部32Aは、第1モードでの走行出力(例えば、モータ回転数)に応じて、その長さが変化する(第1領域32-1の範囲内を推移する)と共に、エンジン始動逼迫度に応じて、色の属性が変容する。
【0054】
例えば、アクセルペダルの踏み込み等により第1モードでの走行出力が増大されると、エンジン始動逼迫度も増大されるため、デジタルメータ32における第1表示部32Aは、その長さ(表示量)が変化する(長くなる)と共に、その色相または明度も変容することとなる。また、第1モードでの走行出力に増減が生じていない場合であっても、バッテリ13のSOCが減少することによってエンジン始動逼迫度が増大されるので、デジタルメータ32における第1表示部32Aは、その長さが変化することなく、その色相または明度が変容することとなる(図1図2Aおよび図2B参照)。
【0055】
そして、エンジン始動逼迫度が限界値(最大値)に近づくと、デジタルメータ32における第1表示部32Aは、さらに、その色相または明度が変容し、エンジン始動逼迫度がその限界値に達すると、第1表示部32Aは点滅して、エンジン12は始動し、ハイブリッド車両10が第1モードでの走行から第2モードでの走行へ移行する(図1および図2C参照)。このとき、ECU20は、第2モードでの走行出力を所定のパラメータ(例えば、エンジン回転数)で第2領域33に表示する(第2表示部33Aで指し示す)。
【0056】
このとき、第1表示部32Aは、当該第2モードでの走行出力を示すと共に、第1モードとは色相または明度が異なるように切り換えられる。
【0057】
そして、エンジン12が始動してから停止するまでは、第2領域33における第2表示部33Aは、第2モードでの走行出力に応じて、第2領域33における全範囲(第2表示部33Aの可動範囲)内を推移し、デジタルメータ32における第1表示部32Aは、第1モードでの走行出力(例えば、バッテリ出力)に応じて、第1領域32-1における全範囲内を推移する。
【0058】
以上に説明したように、表示装置30によれば、第1モードでの走行出力をデジタルメータ32における第1領域32-1に第1表示部32Aで表示すると共に、エンジン12が始動する可能性(エンジン始動逼迫度)に従って当該第1表示部32Aの色の属性を変容することにより、運転者に対して、ハイブリッド車両10が第1モードで走行できることを明確に示すことができる。よって、運転者は安心して第1モードでの走行を継続することができる。
【0059】
また、運転者は、第1領域32-1における第1表示部32Aの色彩または濃淡に基づいて、ハイブリッド車両10の操作を行うことができるので、例えば、エンジン12を始動させたくなければ、アクセル開度などを操作して、第1表示部32Aがエンジン12の始動する可能性のある色相または明度からエンジン12の始動する可能性のない色相または明度へ戻るように操作することができる。
【0060】
そして、エンジン12が始動した場合には、第1表示部32Aを第1モードとは色彩的に異なるように切り換え、第2モードでの走行出力を第2領域33に第2表示部33Aで表示することにより、運転者に対して、エンジン12が作動していることを認識させることができる。
【0061】
このような構成の表示装置30により、ハイブリッド車両10の走行状態、ならびに、モータ11およびエンジン12の動作状態が分かり易くなり、走行状態を運転者が正しく把握することができ、意図する運転がし易くなる。
【0062】
本発明に係る表示装置は、本実施例に係る表示装置30のように、第1表示部32A全体の色相または明度を一体的に変化させて表示するものに限定されず、少なくとも一部の色相または明度を変化させて表示するものであっても良く、デジタルメータのみを備えたものであっても良い。
【0063】
例えば、図3Aから図3Cに示す変形例のように、第1表示部132Aの色彩または濃淡を当該第1表示部132Aの長手方向において断続的(段階的)または連続的に変化させて表示する表示装置130であっても良い。
【0064】
具体的には、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が低度である場合には、第1表示部132Aは、その色相または明度を異にする二種の第1表示部132A-1,132A-2(変化度合いが二段階)で構成される(図3A参照)。次に、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が中度である場合には、第1表示部132Aは、その色彩または濃淡を異にする三種の第1表示部132A-1,132A-2,132A-3(変化度合いが三段階)で構成される(図3B参照)。そして、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が高度となって限界値に達した場合には、第1表示部132Aは、その色相または明度を異にする四種の第1表示部132A-1,132A-2,132A-3,132A-4(変化度合いが四段階)で構成された後、第2表示部33Aが振れることとなる(図3C参照)。
【0065】
ここで、例えば、図4Aから図4Cに示す変形例のように、バッテリのSOCが低い場合には、バッテリ出力も低下するため第1表示部232Aの長さ(最大長さ)を出力低下相当に制限すると共に、第1表示部232Aの色相または明度を当該第1表示部232Aの長手方向において断続的(段階的)または連続的に変化させて表示する表示装置230であっても良い。
【0066】
具体的には、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が低度である場合には、第1表示部232Aは、その色相または明度を異にする二種の第1表示部232A-1,232A-2(変化度合いが二段階)で構成される(図4A参照)。次に、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が中度である場合には、第1表示部232Aは、その色相または明度を異にする三種の第1表示部232A-1,232A-2,232A-3(変化度合いが三段階)で構成される(図4B参照)。そして、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が高度となって限界値に達した場合には、第1表示部232Aは、その色相または明度を異にする四種の第1表示部232A-1,232A-2,232A-3,232A-4(変化度合いが四段階)で構成された後、第2表示部33Aが振れることとなる(図4C参照)。
【0067】
また、例えば、図5Aから図5Cに示す変形例のように、第1表示部332Aの一部(先端部)をエンジン始動逼迫度の限界値に相当する色相または明度とし、その他部をエンジン始動逼迫度に応じてその色相または明度を変化させて表示する表示装置330であっても良い。
【0068】
具体的には、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が低度である場合には、第1表示部332Aは、エンジン始動逼迫度の限界値に相当する色相または明度からなる第1表示部332A-4と低度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部332A-1とで構成される(図5A参照)。次に、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が中度である場合には、第1表示部332Aは、上述した第1表示部332A-4と中度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部332A-2とで構成される(図5B参照)。そして、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が高度となって限界値に達した場合には、第1表示部332Aは、上述した第1表示部332A-4と高度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部332A-3とで構成された後、第2表示部33Aが振れることとなる(図5C参照)。
【0069】
さらに、例えば、図6Aから図6Cに示す変形例のように、計器板431に第1表示部432Aを備えたデジタルメータ432のみを設けた表示装置430であっても良い。この場合、第2モードでの走行出力を示す第2領域は省略される。
【0070】
具体的には、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が低度である場合には、第1表示部432Aは、エンジン始動逼迫度の限界値に相当する色相または明度からなる第1表示部432A-4と低度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部432A-1とで構成され(図6A参照)、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が中度である場合には、第1表示部432Aは、上述した第1表示部432A-4と中度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部432A-2とで構成され(図6B参照)、第1モードでの走行出力およびエンジン始動逼迫度が高度である場合には、第1表示部432Aは、上述した第1表示部432A-4と高度のエンジン始動逼迫度に応じた色相または明度からなる第1表示部432A-3とで構成される(図6C参照)。
【0071】
またさらに、本実施例に係る表示装置30および上述した変形例に係る表示装置130,230,330,430においては、第1モードにおける走行出力が所定値を超えると、例えば、エンジン始動逼迫度が限界値(限界値よりも低い所定値でも良い)を超えると、第1表示部32A,132A,232A,332A,432Aの一部または全部を点滅させて表示するようにしても良い(図示省略)。このように第1表示部32A,132A,232A,332A,432Aの一部または全部を点滅させることにより、運転者に対して、エンジンが始動する可能性の高いことを、より意識(認識)させることができる。
【符号の説明】
【0072】
10 ハイブリッド車両
11 モータ
12 エンジン
13 バッテリ
14 車速センサ
15 アクセル開度センサ
20 ECU
30 表示装置
31 計器板
32 デジタルメータ
32-1 第1領域
32-2 第3領域
32A 第1表示部(レベルバー)
33 第2領域
33A 第2表示部(指針)
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C