(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】患者情報共有サーバ、患者情報共有システム、患者情報共有方法および患者情報共有プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20230405BHJP
【FI】
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2018081707
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 出願人ウェブサイトにおいて平成30年1月9日並びに平成30年3月29日より本願発明に関する概要を公開しました。 同様に、平成30年1月10日より平成30年4月4日の間、非公開で取材を受け掲載を依頼した複数のウェブサイトにおいても本願発明の概要を公開しました。 また平成30年3月1日より平成30年3月28日の間、出願人社内にて営業先を対象とした配布物に本願発明に関する概要を公開しました。 そのほか、平成30年2月10日以降、各地のイベント会場において本願発明概要を公開しました。
(73)【特許権者】
【識別番号】517137365
【氏名又は名称】株式会社インテグリティ・ヘルスケア
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167667
【氏名又は名称】安高 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100210815
【氏名又は名称】西田 聡子
(72)【発明者】
【氏名】園田 愛
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-204378(JP,A)
【文献】特許第6300246(JP,B1)
【文献】特開2004-358052(JP,A)
【文献】特開2001-338068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有する患者情報共有サーバであって、
患者ごとに患者識別子を付与する付与手段と、
前記患者端末において前記患者から指定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付ける手段と、
前記患者による前記医療機関の指定に基づいて、前記患者の患者識別子と前記指定された医療機関とを関連付ける関連付け手段と、
医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信する通信手段と、
前記入力された内容を前記患者情報として、前記入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記受け付ける手段において、前記患者端末において前記患者から設定を受け付けた医療機関の情報であって、前記関連付け手段において関連付けられた前記医療機関について前記患者が記録した情報を開示するとの設定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付け、
前記医療機関からの前記患者情報の閲覧要求に応じて、当該医療機関が、前記患者情報にかかる前記患者が開示の対象として前記設定している医療機関である場合に、前記記憶手段に記憶された前記患者情報を開示する開示手段を備える、患者情報共有サーバ。
【請求項2】
前記患者から指定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付ける手段において、
データベースに予め登録されている医療機関を前記患者に提示し、前記患者から、提示された医療機関のうち、登録したい医療機関の指定を受け付ける、請求項1に記載の患者情報共有サーバ。
【請求項3】
前記患者の住所から、前記データベースに予め登録されている医療機関を提示する、請求項2に記載の患者情報共有サーバ。
【請求項4】
前記前記患者が記録した情報を開示するとの設定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付ける手段において、
前記医療機関に開示する情報は、各医療機関で設定された記録項目セットの内容である、請求項1から3のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項5】
患者が入力した記録項目セットの内容は、医師毎に設定された形式で表示される、請求項1から4のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項6】
前記関連付け手段は、前記患者識別子と複数の医療機関とを関連付ける、請求項1から5のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項7】
前記記録項目セットは、前記医療機関によって、複数の記録項目を組み合わせて設定される、請求項1から6のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項8】
複数の前記医療機関が保有する各医療機関端末によって設定された複数の記録項目セットを統合する統合手段をさらに備え、
前記通信手段は、前記統合された記録項目セットを、前記複数の医療機関と関連付けられた前記患者識別子の患者が操作する前記患者端末に通知する、請求項1から7のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項9】
前記統合手段は、前記複数の記録項目セットに含まれる複数の記録項目のうち、記録項目の重複がないように前記複数の記録項目セットを統合する、請求項8に記載の患者情報共有サーバ。
【請求項10】
前記開示手段は、
前記患者の設定に基づいて、前記患者情報のそれぞれについて複数の医療機関に対する開示可否設定を行い、
前記患者の前記患者識別子に対応付けて記憶された前記患者情報のうち、前記患者情報の閲覧要求した医療機関に対して開示許可の設定がされた患者情報を当該医療機関に開示する、請求項1から9のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項11】
前記記録項目セットは、疾患に応じた項目を組み合わせて設定される、請求項1から10のいずれかに記載の患者情報共有サーバ。
【請求項12】
医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、患者情報共有サーバとを備え、前記医療機関端末、前記患者端末、及び前記患者情報共有サーバが、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有する患者情報共有システムであって、前記患者情報共有サーバが、
患者ごとに患者識別子を付与する付与手段と、
前記患者端末において前記患者から指定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付ける手段と、
前記患者による前記医療機関の指定に基づいて、前記患者の患者識別子と前記指定された医療機関とを関連付ける関連付け手段と、
医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信する通信手段と、
前記入力された内容を前記患者情報として、前記入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記受け付ける手段において、前記患者端末において前記患者から設定を受け付けた医療機関の情報であって、前記関連付け手段において関連付けられた前記医療機関について前記患者が記録した情報を開示するとの設定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付け、
前記医療機関からの前記患者情報の閲覧要求に応じて、当該医療機関が、前記患者情報にかかる前記患者が開示の対象として前記設定している医療機関である場合に、前記記憶手段に記憶された前記患者情報を開示する開示手段を備える、患者情報共有システム。
【請求項13】
医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、患者情報共有サーバとが、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有する患者情報共有方法であって、
前記患者情報共有方法は、前記患者情報共有サーバが備える制御部が、
患者ごとに患者識別子を付与するステップと、
前記患者端末において前記患者から指定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付けるステップと、
前記患者による前記医療機関の指定に基づいて、前記患者の患者識別子と前記指定された医療機関とを関連付けるステップと、
医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信するステップと、
前記入力された内容を前記患者情報として、前記入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶するステップと、
前記患者端末において前記患者から設定を受け付けた医療機関の情報であって、前記関連付けるステップにおいて関連付けられた前記医療機関について前記患者が記録した情報を開示するとの設定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付けるステップと、
前記医療機関からの前記患者情報の閲覧要求に応じて、当該医療機関が、前記患者情報にかかる前記患者が開示の対象として前記設定している医療機関である場合に、前記記憶するステップにおいて記憶された前記患者情報を開示するステップと、を実行する、患者情報共有方法。
【請求項14】
制御部を備える患者情報共有サーバにより実行される、医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有するためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記制御部に、
患者ごとに患者識別子を付与するステップと、
前記患者端末において前記患者から指定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付けるステップと、
前記患者による前記医療機関の指定に基づいて、前記患者の患者識別子と前記指定された医療機関とを関連付けるステップと、
医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信するステップと、
前記入力された内容を前記患者情報として、前記入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶するステップと、
前記患者端末において前記患者から設定を受け付けた医療機関の情報であって、前記関連付けるステップにおいて関連付けられた前記医療機関について前記患者が記録した情報を開示するとの設定を受け付けた医療機関の情報を、前記患者端末を介して受け付けるステップと、
前記医療機関からの前記患者情報の閲覧要求に応じて、当該医療機関が、前記患者情報にかかる前記患者が開示の対象として前記設定している医療機関である場合に、前記記憶するステップにおいて記憶された前記患者情報を開示するステップと、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機関および患者間で患者情報を共有させることができる患者情報共有サーバ、患者情報共有システム、患者情報共有方法および患者情報共有プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの医療機関において各患者の診療経過等の医療情報を記入する医療カルテが電子化されている。これにより、医療機関内で複数の医師や看護師は、同じ患者の医療カルテを電子的に共有できるようになった。患者の医療情報を共有する技術として、例えば、特許文献1には、患者の薬歴データを、病院と薬局間で共有するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、利便性や効率性向上の観点から、上述のような医療カルテや薬歴データといった医療機関が作成した情報だけでなく、患者が記録した脈拍や体温等のバイタルデータなど、患者自身が作成した情報も電子的に共有できるようなシステム構築が望まれている。
【0005】
そこで、本開示では、医療機関および患者間で患者の健康に関する記録である患者情報を共有させることができる患者情報共有サーバ、患者情報共有システム、患者情報共有方法および患者情報共有プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の患者情報共有サーバは、医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有するサーバであって、患者ごとに患者識別子を付与する付与手段と、患者の指定に基づいて、指定した患者の患者識別子と指定された医療機関とを関連付ける関連付け手段と、医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信する通信手段と、入力された内容を患者情報として、入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶する記憶手段と、を備える。
【0007】
また、本開示の患者情報共有システムは、医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有するシステムであって、患者ごとに患者識別子を付与する付与手段と、患者の指定に基づいて、指定した患者の患者識別子と指定された医療機関とを関連付ける関連付け手段と、医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信する通信手段と、入力された内容を患者情報として、入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶する記憶手段と、を備える。
【0008】
また、本開示の患者情報共有方法は、医療機関が保有する医療機関端末及び患者が操作する患者端末と、ネットワークを介して患者の健康に関する記録である患者情報を共有する方法であって、患者ごとに患者識別子を付与するステップと、患者の指定に基づいて、指定した患者の患者識別子と指定された医療機関とを関連付けるステップと、医療機関端末によって設定された記録項目セットを、当該医療機関端末を保有する医療機関と関連付けられた患者識別子の患者が操作する患者端末に通知し、当該通知に応じて患者が入力した内容を当該患者端末から受信するステップと、入力された内容を患者情報として、入力した患者の患者識別子と対応付けて記憶するステップと、を備える。
【0009】
また、本開示の患者情報共有プログラムは、上述の患者情報共有方法をコンピュータによって実現させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、医療機関および患者間で患者情報を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る患者情報共有システム100の構成図である。
【
図2】患者情報共有サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】医療機関端末20の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】患者端末30の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】患者情報共有システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】記録項目セットの表示画面の一例を示す図である。
【
図7】記録項目セットの入力画面の一例を示す図である。
【
図8】患者情報共有サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】実施形態2に係る患者情報共有システム200の構成図である。
【
図10】患者情報共有サーバ50の機能構成を示すブロック図である。
【
図11】記録項目を統合する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。また、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0013】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る患者情報共有システム100の構成図である。
図1を参照して、実施形態1に係る患者情報共有システム100の概要およびその構成について説明する。
【0014】
(患者情報共有システム100の概要)
患者情報共有システム100は、患者情報共有サーバ10と、医療機関端末20a,20b,20cと、患者端末30a,30b,30cと、を備え、インターネット等のネットワークNWを介して接続される。
【0015】
医療機関端末20a,20b,20c、および患者端末30a,30b,30cは、それぞれ医療機関2a,2b,2c、および患者3a,3b,3cが操作する情報処理端末である。これらは、特に区別する必要がある場合を除き、医療機関2、患者3、医療機関端末20、患者端末30と記載する。なお、ネットワークNWに接続される医療機関端末20および患者端末30の台数は、
図1に示す台数に限られない。
【0016】
本実施形態に係る患者情報共有システム100では、患者3が受診した医療機関2の医師が、医療機関端末20を操作して、患者の日常の健康状態を捉えるモニタリングのための記録項目セットを設定する。設定された記録項目セットは、ネットワークNWおよび患者情報共有サーバ10を介して、患者3の患者端末30に通知される。患者3は、通知された記録項目セットにしたがって患者端末30によりデータ入力を行う。そして、患者3が入力した記録項目セットの内容は、ネットワークNWを介して患者情報共有サーバ10に蓄積される。医療機関2の医師は、患者情報共有サーバ10にアクセスし、患者3が入力した記録項目セットの内容を閲覧することができる。すなわち、医師と患者は、患者情報を共有することができる。なお、患者情報とは、患者の健康に関して記録された情報のことをいい、例えば、患者が入力した記録項目セットの記録内容や、医療機関における問診結果などを含む。
【0017】
(患者情報共有サーバ10の構成)
図2は、患者情報共有サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図2を参照して、患者情報共有サーバ10の機能構成について説明する。
【0018】
患者情報共有サーバ10は、患者情報を管理するサーバ装置であり、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備え、制御部13の制御により以下のように機能する。
【0019】
通信部11は、通信インタフェースであり、ネットワークNWを介して、医療機関端末20及び患者端末30と通信を行う。
【0020】
記憶部12は、患者情報を記憶する記憶装置であり、患者データベース15と、医療機関データベース16と、記録項目データベース17と、を含む。
【0021】
患者データベース15は、患者情報共有システム100を利用する患者3を登録するデータベースである。患者データベース15は、後述する制御部13によって付与された患者識別子(以下、患者IDと記載する。)と、当該付与要求を行った患者3の個人情報(例えば、氏名、生年月日等)とを対応付けて記憶する。
【0022】
医療機関データベース16は、患者情報共有システム100を利用する医療機関2を登録するデータベースである。後述する制御部13によって、患者データベース15に記憶された患者IDと、医療機関データベース16に登録されている医療機関のうち、患者3が指定した医療機関2とが関連付けられる。なお、医療機関データベース16には、新たに医療機関を追加登録したり、登録解除したりすることができる。
【0023】
記録項目データベース17は、患者3が記録した記録項目セットの内容を記憶するデータベースである。記録項目セットとは、医師により複数の記録項目を組み合わせて設定されたセットである。記録項目とは、患者の体調管理、健康状態を捉えるモニタリングのための項目であり、例えば、体重、血圧、脈拍、血糖値、SpO2、歩数、消費カロリー、水分摂取量、飲酒量、喫煙本数、HbA1cなどである。記録項目データベース17には、患者3が記録した記録項目セットの入力内容(数値等)が患者情報として、当該記録を行った患者3の患者IDと対応させて記憶されている。
【0024】
また、記録項目データベース17には、心疾患系、糖尿病、高血圧症など、疾患ごとに必要な記録項目を組み合わせて設定された記録項目セットが予め登録されていてもよい。
【0025】
制御部13は、付与手段として機能し、患者3を識別するための患者IDを付与する。制御部13は、通信部11において患者3が操作する患者端末30から識別子の付与要求が受信されると、当該付与要求を行った患者3に患者IDを付与する。例えば、患者3は、患者情報共有システム100を利用して医療機関2と患者情報を共有したい場合、患者端末30を介して、患者情報共有サーバ10に識別子の付与要求を行う。患者IDが付与された患者3は、患者情報共有システム100の利用者として患者データベース15に登録される。
【0026】
また、制御部13は、関連付け手段として機能し、患者3が操作する患者端末30から受信した関連付け要求により、患者3が指定する医療機関2と、患者3の患者IDとを関連付ける。本実施形態では、患者3が指定することができる医療機関2は、医療機関データベース16に予め登録されているものとする。
【0027】
また、制御部13は、開示手段として機能し、医療機関2からの患者3の患者情報の閲覧要求に応じて、当該閲覧要求を行った医療機関2に関連付けられている患者3の、記録項目データベース17に記憶されている患者情報、すなわち記録項目セットの内容を開示するように通信部11を制御する。なお、制御部13は、患者3からの閲覧要求に応じて、記録項目データベース17に記憶されている、患者3自身の記録項目セットの内容を開示するように通信部11を制御してもよい。すなわち、医療機関2および患者3は、同一の記録項目セットの記録内容を共有することができる。
【0028】
また、制御部13は、記録項目データベース17に予め登録されている、疾患に応じて組み合わせて設定された記録項目セットを、医師からの取得要求に応じて医療機関端末20に通知するように通信部11を制御する。
【0029】
(医療機関端末20の構成)
図3は、医療機関端末20の機能構成を示すブロック図である。
図3を参照して、医療機関端末20の機能構成について説明する。
【0030】
医療機関端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であって、医療機関2が保有している端末である。医療機関2の医師は、医療機関端末20を操作して、患者の日常の健康状態を捉えるモニタリングのための記録項目セットを設定する。
【0031】
医療機関端末20は、通信部21と、操作部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25と、を備え、制御部25の制御により以下のように機能する。
【0032】
通信部21は、通信インタフェースであり、ネットワークNWを介して、患者情報共有サーバ10や患者端末30と通信を行う。
【0033】
操作部22は、医療機関端末20を操作するための入力インタフェースである。例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、または音声入力のためのマイクなどである。
【0034】
表示部23は、入力のためのGUIを表示したり、後述する制御部25の指示する画像等を表示したりするディスプレイである。
【0035】
記憶部24は、医療機関端末20によって作成された患者情報等を記憶する。
【0036】
制御部25は、医師による操作部22からの入力に応じて、記録項目セットを設定する。例えば、医師が操作部22により患者の疾患を入力すると、制御部25は、患者情報共有サーバ10から、入力された疾患に対応する、記録項目データベース17に予め登録されている記録項目セットを取得するように通信部21を制御する。そして、制御部25は、取得した記録項目セットを表示部23に表示させるように制御する。医師は、表示部23に表示された記録項目セットを、患者に通知する記録項目セットとしてそのまま設定することができる。また、医師は、操作部22により、表示された記録項目セットに、記録項目を新たに追加したり、削除したりして、記録項目セットをカスタマイズすることもできる。
【0037】
また、医師による操作部22からの入力によって、患者が記録項目を記録する頻度や日時(例えば、毎日、週に1回、朝夕等)を設定できるようにしてもよい。この設定を受信した患者情報共有サーバ10は、例えば、設定された頻度や日時で患者端末30に記録項目セットの入力を行うように促す通知をして、患者の状態変化のより正確な把握につなげることができる。
【0038】
また、制御部25は、医師の操作部22を介した入力に応じて、患者が入力した記録項目セットの内容を医療機関データベース16から取得するように通信部21を制御する。制御部25は、取得した記録項目セットの内容を、例えば、記録項目ごとに表示するように表示部23を制御する。この際、疾患によって表示する記録項目を変更するなど、医師の指示により表示をカスタマイズすることなどもできる。
【0039】
(患者端末30の構成)
図4は、患者端末30の機能構成を示すブロック図である。
図4を参照して、患者端末30の機能構成について説明する。
【0040】
患者端末30は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末、またはスマートウォッチなどのウェアラブル端末であって、患者3が操作する端末である。患者3は、患者端末30を操作して、医師が作成した記録項目セットの各記録項目を入力する。
【0041】
患者端末30は、通信部31と、操作部32と、センサ部33と、表示部34と、記憶部35と、制御部36と、を備え、制御部36の制御により以下のように機能する。
【0042】
通信部31は、通信インタフェースであり、ネットワークNWを介して、患者情報共有サーバ10や医療機関端末20と通信を行う。
【0043】
操作部32は、患者端末30を操作するための入力インタフェースである。例えば、タッチパネル、操作ボタン、または音声入力のためのマイクなどである。
【0044】
センサ部33は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、温度センサ、心拍センサ等であり、患者端末30を操作する患者3の動きや体温、心拍などを検知する。なお、本実施形態では、センサ部33は患者端末30に内蔵されているが、患者端末30と連携することができるウェアラブル端末などの外部端末のセンサ(不図示)に患者3の動きなどを検知させるようにしてもよい。
【0045】
表示部34は、入力のためのGUIを表示したり、後述する制御部36の指示する画像等を表示したりするディスプレイである。例えば、医師より設定された記録項目セットが表示される。
【0046】
記憶部35は、患者端末30で作成された患者情報等を記憶する。
【0047】
制御部36は、患者3による操作部32の入力に応じて、記録項目セットの内容を受け付け、記憶部35に記憶させるように制御する。なお、制御部36は、記録項目セットのうち、センサ部33が検知したセンシングデータに対応する項目(例えば、歩数や体温など)は、患者3の入力によらず、センサ部33から直接センシングデータを取り込んで入力するようにしてもよい。
【0048】
また、制御部36は、入力された記録項目セットの内容を、患者情報共有サーバ10に送信するように通信部31を制御する。
【0049】
(処理の流れ)
図5は、患者情報共有システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
図1および
図5を参照して、患者情報共有システム100において、患者情報共有サーバ10、医療機関端末20、患者端末30が行う処理について説明する。なお、
図5では、
図1に示すように医療機関2aを受診した患者3aが患者情報共有システム100を利用する例について説明する。
【0050】
また、本実施形態では、医療機関2aが保有する医療機関端末20aおよび患者3aが操作する患者端末30aには、患者情報共有システム100を利用するためのプログラム(アプリケーション)がダウンロードされ、インストールされているものとするが、本システムのための専用装置であってもよい。
【0051】
ステップS501において、患者端末30aの制御部36は、患者3aから操作部32を介して、患者IDの作成指示を受け付ける。患者IDを作成する際には、制御部36は、患者を識別するために、例えば、性別、氏名、生年月日、携帯電話番号等の患者の個人情報の入力を求める画像を表示部34に表示させる。制御部36は、患者情報共有サーバ10に対して患者IDの付与要求を行うように通信部31を制御する。
【0052】
ステップS502において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、通信部11による患者端末30aからの患者IDの付与要求の受信により、入力された患者3aの個人情報と紐づけて患者IDを付与し、患者データベース15に登録する。
【0053】
ステップS503において、患者端末30aの制御部36は、患者3aから操作部32を介して、医療機関2aの登録を受け付ける。例えば、患者3aの住所から、患者情報共有サーバ10の医療機関データベース16に予め登録されている医療機関が提示され、患者は提示された医療機関から、登録したい医療機関2aを指定する。この際、本人認証のため、患者3aが受診した医療機関2aの診察券番号等を入力する。これにより、他人によるなりすましを防ぐことができ、セキュリティを向上させることができる。制御部36は、患者情報共有サーバ10に対して、患者IDと医療機関との関連付け要求を行うように通信部31を制御する。
【0054】
ステップS504において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、患者3aの患者IDと医療機関2aとを関連付ける。そして、制御部13は、医療機関2aに対して患者3aとの関連付けを通知する。
【0055】
ステップS505において、医療機関端末20aの制御部25は、通信部21による患者情報共有サーバ10から関連付けの通知を受信したことに応じて、患者3aの本人確認を行う。そして、制御部25は、患者3aが医療機関2aの受診患者として確認されれば、患者情報共有システム100の利用者として患者登録を行う。なお、医療機関2aにおいて患者登録が行われた旨を、患者情報共有サーバ10を介して患者端末30aに通知するようにしてもよい。
【0056】
ステップS506において、医療機関端末20aの制御部25は、医師による記録項目セットの設定を受け付ける。医師は、操作部22を介して、患者3aのモニタリングに必要な記録項目を組み合わせて記録項目セットを設定する。または、制御部25は、疾患に応じた記録項目セットを患者情報共有サーバ10から予め取得しておき、医師の入力に応じて、記録項目の追加、削除を受け付けて、記録項目セットを設定するようにしてもよい。制御部25は、患者情報共有サーバ10に対して、設定された記録項目セットを患者3aに通知する旨を送信するように通信部21を制御する。
【0057】
ステップS507において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、設定された記録項目セットを患者3aに通知するように通信部11を制御する。
【0058】
ステップS508において、患者端末30aの通信部31は、医療機関2aの医師によって設定された記録項目セットの通知を受信する。
【0059】
ステップS509において、患者端末30aの制御部36は、操作部32を介した、患者3aによる記録項目セットの入力を受け付ける。この際、センサ部33のセンシングデータを直接取り込むようにしてもよい。患者3aによる記録項目セットへの入力は、医師の指示により、例えば、毎日、朝夕、などに繰り返し行われる。制御部36は、入力された記録項目セットの内容を患者情報共有サーバ10に記憶させるように通信部31を制御する。ここで、
図6および7を用いて、記録項目セットの画面例について説明する。
【0060】
図6は、記録項目セットの表示画面の一例を示す図である。患者端末30aの表示部34は、医療機関2aの医師によって設定された記録項目セットの画像60を表示する。領域61には、朝の確認、体重、血圧、脈拍、SpO
2などの記録項目が表示されている。
【0061】
図7は、記録項目セットの入力画面の一例を示す図である。患者3aが、
図6で示された記録項目セットのうち、記録項目「体重」を選択すると、表示部34には入力画面70が表示される。患者3aは、操作部32を介して、入力ボックス71に体重を、入力ボックス72には測定日時を入力する。また、領域73には、これまでに記録した体重データが表示されており、患者3aは、容易に自己の測定記録を確認することができる。
【0062】
図5に戻って、ステップS510において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、患者端末30aより受信した記録項目セットを患者3aの患者IDを対応付けて記録項目データベース17に記憶させる。
【0063】
ステップS511において、医療機関端末20aの制御部25は、操作部22を介した医師による、患者3aの患者情報(記録項目セットの入力内容)の閲覧要求を受け付ける。制御部25は、患者情報共有サーバ10に対して閲覧要求を行うように通信部21を制御する。
【0064】
ステップS512において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、医療機関端末20aからの閲覧要求に応じて、記録項目データベース17に記憶された患者3aの患者情報を検索する。
【0065】
ステップS513において、患者情報共有サーバ10の制御部13は、記録項目データベース17から患者3aの患者情報を取得し、医療機関端末20aに開示するように通信部11を制御する。
【0066】
ステップS514において、医療機関端末20aの制御部25は、通信部21を介して患者情報共有サーバ10から受信した、患者3aの患者情報を表示部23に表示させる。これにより、医師は、患者3aの患者情報、すなわち記録項目セットの入力内容を閲覧することができる。
【0067】
以上、患者情報共有システム100における処理の流れについて説明した。なお、医療機関2の医師は、患者の来院時等に記入させる問診についても、上述の記録項目セットと同様に、複数の問診項目を組み合あわせた問診項目セットとして設定することができる。設定された問診項目セットは、患者情報共有サーバ10を介して、例えば、来院した患者3の患者端末30に通知される。当該通知に応じて入力された問診項目セットの内容は、患者情報共有サーバ10に記憶される。これにより、医師および患者間で記録項目セットだけでなく、問診項目セットの入力内容も共有することができる。なお、問診項目セットは患者端末30ではなく、医療機関2において、問診項目入力用の端末を用いて患者に入力させるようにしてもよい。
【0068】
(ハードウェア構成図)
図8は、患者情報共有サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。患者情報共有サーバ10は、コンピュータ801に実装される。コンピュータ801は、CPU802と、主記憶装置803と、補助記憶装置804と、インタフェース805と、を備える。
【0069】
患者情報共有サーバ10の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶されている。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読み出して主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置803に確保する。当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801に、医療機関と患者間とで患者情報を共有させるための患者情報共有プログラムである。
【0070】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ801に配信される場合、配信を受けたコンピュータ801が当該プログラムを主記憶装置803に展開し、処理を実行しても良い。
【0071】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。なお、
図8に示したハードウェア構成は、医療機関端末20や患者端末30も同様の構成としてもよい。医療機関端末20や患者端末30の各構成要素の動作も、上述の患者情報共有サーバ10と同様に、補助記憶装置に記憶されたプログラムに従ったCPUにより実現する。
【0072】
(効果の説明)
実施形態1に係る患者情報共有システム100では、医師により、モニタリングのための記録項目セットが設定され、患者に通知される。そして、患者情報共有サーバ10を介して患者が記録した記録項目の内容は、医師と患者間で共有することができる。
【0073】
これにより、医師は、例えば、患者の状態変化をより詳細にとらえることができ、きめ細かい治療を行うことができる。一方、患者は、医師と共有する自身の記録に基づき診察を受けることができ、より良い治療につなげることができる。すなわち、本患者情報共有システムは、医師と患者の双方向のコミュニケーションを深め、診療の質の向上に寄与することができる。
【0074】
また、記録項目セットの内容は、測定値等の数値として共有することができ、医師は、カスタマイズされた表示形式で閲覧できる。これにより、医師は普段から見慣れた表示形式で表示されたデータに基づいて治療方針を検討することができるため、より良い診療につなげることができる。
【0075】
また、記録項目セットのみならず、問診項目セットの内容も医療機関および患者間で共有することにより、医師および患者が、共通の認識を持って患者の健康状態を把握することができる。
【0076】
<実施形態2>
実施形態1では、患者が受診した医療機関の医師により記録項目セットが設定され、医師と患者間とで記録項目セットの入力内容を共有することができるシステムについて説明した。実施形態2では、患者が新たに受診した医療機関とも連携し、複数の医療機関および患者間で、過去のデータも含めた記録項目セットの入力内容を共有することができる患者情報共有システムについて説明する。
【0077】
図9は、実施形態2に係る患者情報共有システム200の構成図である。
図9を参照して、実施形態2に係る患者情報共有システム200の概要およびその構成について説明する。
【0078】
(患者情報共有システム200の概要)
患者情報共有システム200は、実施形態1に係る患者情報共有システム100における患者情報共有サーバ10に代えて、患者情報共有サーバ50を備える点以外は、患者情報共有システム100と同じ構成である。
【0079】
本実施形態に係る患者情報共有システム200では、医療機関2aと関連付けられている患者3aが、患者3aの指示により、患者3aが新たに受診した医療機関2cとも関連付けられ、複数の医療機関と記録項目セットを共有することができる。
【0080】
具体的には、医療機関2aの医師が設定した記録項目セットAだけでなく、新たに関連付けられた医療機関2cの医師が設定した記録項目セットCも患者情報共有サーバ50に送られる。患者情報共有サーバ50は、記録項目セットAおよびCに基づいて、患者3aに記録項目セットを通知する。患者3aは、通知された記録項目セットにしたがって患者端末30aによりデータ入力を行う。そして、患者3aが記録した記録項目セットの内容は、ネットワークNWを介して患者情報共有サーバ50に蓄積される。医療機関2aおよび2cの医師は、患者情報共有サーバ50にアクセスし、患者3aが記録した、各医療機関で設定された記録項目セットの内容を閲覧することができる。この際、患者3aは、各記録項目について、どの医療機関に開示するか設定してもよい。これにより、過去の記録項目セットの内容も含めて、新たな医療機関と患者情報を共有することができる。
【0081】
(患者情報共有サーバ50の構成)
図10は、患者情報共有サーバ50の機能構成を示すブロック図である。
図10を参照して、患者情報共有サーバ50の機能構成について説明する。
【0082】
患者情報共有サーバ50は、実施形態1に係る患者情報共有サーバ10の制御部13に代えて、制御部53を備える点以外は、患者情報共有サーバ10と同じ構成である。
【0083】
制御部53は、患者IDの付与手段として機能する。付与手段としての機能は、制御部13で説明したとおりであるので詳細は省略する。
【0084】
制御部53は、関連付け手段として機能し、患者IDと複数の医療機関とを関連付けることができる。
図9の例では、制御部53は、患者3aの指定により、患者3aの患者IDと、医療機関2aおよび2cとを関連付ける。患者3aにより同時に複数の医療機関が指定されてもよいし、後で追加指定されてもよい。
【0085】
制御部53は、統合手段として機能し、患者IDと関連付けられた複数の医療機関において設定された記録項目セットを統合する。すなわち、複数の医療機関で設定された、複数の記録項目の組み合わせからなる記録項目セットについて、記録項目の重複がないように記録項目セットを統合する。そして、制御部53は、統合された記録項目セットを患者に通知するように通信部11を制御する。
【0086】
また、制御部53は、開示手段として機能し、患者の指定により、患者IDに対応して記憶されている記録項目について、どの医療機関に開示するかという開示可否設定を行う。
【0087】
図11は、記録項目を統合する処理を説明するための図である。
図11を参照して、複数の医療機関で作成された記録項目セットを統合する処理について説明する。
【0088】
図11において、記録項目セットAは、患者3aに対して医療機関2aで設定された記録項目セットであり、記録項目1-6を含む。記録項目セットCは、患者3aに対して医療機関2cで設定された記録項目セットであり、記録項目1-3,5,7及び8を含む。すなわち、記録項目1-3および5は、記録項目セットAおよびCの両方に共通して含まれている。
【0089】
各医療機関の医師が設定する記録項目セットには、モニタリングする項目が共通している場合がある。患者は、医療機関ごとに設定された記録項目セットのそれぞれについて入力する場合、どのセットにも含まれる記録項目をその都度入力しなくてはならない。このため、患者は記録項目セットの入力に煩わしさを感じ、継続的に記録をつける意欲を失ってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、医療機関ごとに作成された記録項目セットを一つの記録項目セットに統合して患者に通知することで、患者が記録項目を入力する労力を軽減させる。
【0090】
患者情報共有サーバ50の制御部53は、記録項目セットAおよびCに含まれている記録項目のうち、重複する記録項目がないように記録項目を統合する。
図11の例では、記録項目1-3および5が、記録項目セットAおよびCの両方に共通して含まれる。そこで、患者3aに通知する記録項目には、記録項目セットAおよびCに含まれる記録項目1-3および5が重複しないように統合される。すなわち、患者3aに通知される記録項目セットA+Cは、記録項目セットAおよびCに共通して含まれる記録項目1-3および5と、記録項目セットAのみに含まれる記録項目4及び6と、記録項目セットCのみに含まれる記録項目7及び8との組み合わせ、つまり、記録項目1-8から構成されるように統合される。
【0091】
また、患者情報共有サーバ50の制御部53は、患者3aに関連付けられている各医療機関からの患者情報(記録項目セットの内容)の閲覧要求に応じて、患者3aと対応付けて記録項目データベース17に記憶されている各患者情報を開示するように制御する。または、閲覧要求した医療機関によって設定された記録項目セットに含まれる記録項目の内容についてのみ開示するように制御してもよい。
【0092】
また、患者3aは、各記録項目の内容についてどの医療機関に開示許可するかを設定することができる。例えば、患者3aは、医療機関2cで作成された記録項目セットCに含まれ、医療機関2aで作成された記録項目セットAには含まれない記録項目8の内容について、医療機関2aには開示しないが、医療機関2cには開示する設定を行うことができる。また、記録項目セットAに含まれ、記録項目セットCには含まれない記録項目4について、医療機関2aおよび2cの両方に開示する設定を行うことができる。なお、開示設定は、ある時点以前に入力された記録項目の内容は開示しない等、患者の意思で開示条件を自由に設定できる。
【0093】
また、各医療機関2の医師は、実施形態1で述べたように、患者の来院時等に記入させる問診についても、上述の記録項目セットと同様に、問診項目セットとして設定することができる。これにより、複数の医師および患者間で記録項目セットだけでなく、問診項目セットの内容も共有することができる。
【0094】
なお、記録項目セットおよび問診項目セットの内容(例えば、測定値や問診回答のスコア等)は、各医療機関端末20において、各医師によってカスタマイズされた表示画面(表示形式)に表示させることができる。例えば、診療科ごとに着目する観点が異なるデータの場合、診察目的に応じたデータ表示に対応させることができる。医師は、患者の記録や問診結果を、単なる画像データや不慣れな記載形式ではなく、医師が普段から見慣れた表示形式で表示させて、治療方針を検討することができる。
【0095】
(効果の説明)
実施形態2に係る患者情報共有システム200では、患者が新たに受診した医療機関とも連携し、複数の医療機関および患者間で記録項目セットの内容を共有することができる。また、患者自身が開示設定を行うことにより、過去の記録項目の内容も含めて、新たな医療機関と患者情報を共有することができる。これにより、異なる医師が、同一の患者情報に基づいて医学的な共通認識を得ることができ、診療の質のさらなる向上が期待できる。
【0096】
また、各医療機関で設定された記録項目セットは一つの記録項目セットに統合され、患者に通知される。これにより、患者は医療機関ごとに設定された記録項目セットそれぞれについてデータを入力する煩わしさを感じることなく、継続的に記録をつけることができる。
【0097】
また、複数の医療機関間で、記録項目セットだけでなく問診項目セットの内容も共有することができるため、患者は、異なる医師による多面的な医学的知見を得ることができ、診療の質を向上させることが期待される。
【0098】
また、記録項目セットおよび問診項目セットの内容は、測定値や問診回答のスコア等の数値として共有することができ、各医師は、各自でカスタマイズした表示形式で閲覧できる。これにより、医師は普段から見慣れた表示形式で表示されたデータに基づいて治療方針を検討することができるため、より良い診療につなげることができる。
【0099】
本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0100】
10,50 患者情報共有サーバ、11,21 通信部、12,24,35 記憶部、13,25,36,53 制御部、15 患者データベース、16 医療機関データベース、17 記録項目データベース、20 医療機関端末、30 患者端末、33 センサ部、801 コンピュータ、802 CPU、803 主記憶装置、804 補助記憶装置、805 インタフェース