(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】路面水膜厚の測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20230405BHJP
G01N 19/10 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G01N19/10 Z
(21)【出願番号】P 2019221962
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592070579
【氏名又は名称】山田技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 明宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠幸
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-057286(JP,A)
【文献】特開2000-241563(JP,A)
【文献】米国特許第05801647(US,A)
【文献】特開平11-248439(JP,A)
【文献】特開平11-014515(JP,A)
【文献】特開平09-170971(JP,A)
【文献】特表平04-505808(JP,A)
【文献】特開平11-194089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚H
w(mm)を測定することが出来るようにした路面の水膜厚測定方法において、車両のタイヤハウス内に塩分濃度センサーを取付け、路面の塩分濃度C
st、およびセンサー部に供給する規定の塩溶液(塩分濃度C
sv、質量M
v)とタイヤ水はね量M
tとが混合した塩分濃度C
smixを測定し、塩分濃度がC
svからC
smixへの変化よりタイヤ水はね量M
tを、
式M
t
=[(C
is―
C
smix
)/(C
smix-
C
ts
)]M
i
を用いて推定し、所定の路面水膜厚さH
wとM
tの関係式
H
w
=aM
t
0.45[a=0.43exp(-0.007V) Vは走行速度]を用いて路面水膜厚さH
wを求めることを特徴とする路面の水膜厚の測定方法。
【請求項2】
車両のタイヤが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚H
w(mm)を測定することが出来るようにした路面の水膜厚測定装置において、タイヤ後方の泥除け部には塩分濃度センサーが取付けられ、タイヤ泥除け部にはセンサー部を規定の塩溶液(塩分濃度C
sv、質量M
v)で濡らしておき、この塩溶液とタイヤ水はね量M
tとが混合した塩分濃度C
smixを測定するために、水はねと上記塩溶液とが混合される混合エリアを設け、
路面水膜厚さH
w
とM
t
の関係はH
w
=aM
t
0.45[a=0.43exp(-0.007V) Vは走行速度]を構成していることを特徴とする路面の水膜厚測定装置。
【請求項3】
車両のタイヤが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚H
w(mm)を測定することが出来るようにした路面の水膜厚測定装置において、タイヤ後方の泥除け部に塩分濃度センサーを取り付け、タイヤ泥除け部にはセンサー部を規定の塩溶液(塩分濃度C
sv、質量M
v)で濡らしておき、この塩溶液とタイヤ水はね量M
tとが混合した塩分濃度C
smixを測定するために、塩分濃度センサーに供給流導水スリット、混合部/水はねコレクター、水はね保護カバー、導水板及びセンサ-面の水分除去装置が付加され、規定の塩溶液は車内タンクからポンプによって供給水導水スリットを通して飛散水と供給水とが混合される混合部/水はねコレクターを設け、
路面水膜厚さH
w
とM
t
の関係はH
w
=aM
t
0.45[a=0.43exp(-0.007V) Vは走行速度]を構成していることを特徴とする路面の水膜厚測定装置。
【請求項4】
上記飛散水と供給水を混合させる場所を設けた請求項3記載の路面の水膜厚測定装置。
【請求項5】
上記飛散水と供給水が
混合する場所を塩分濃度センサー上部に
設けた請求項3記載の路面の水膜厚測定装置。
【請求項6】
塩分濃度センサーに飛散水が直接接触しないように
水はね保護カバーを設置した請求項3記載の路面の水膜厚測定装置。
【請求項7】
車に取付けたタンクから供給水を混合部/水はねコレクタ-に導く場合に、水分が損失しないように
供給流導水スリットを設けた請求項3記載の路面の水膜厚測定装置。
【請求項8】
上記塩分濃度センサーにはセンサ-面の水分除去装置を取り付け、塩分濃度センサーが感知するとその水分が拭き取られるようにした請求項3記載の路面の水膜厚測定装置。
【請求項9】
塩分濃度測定後に塩分濃度センサー上の水分を除去する水分除去装置は、ワイパーが回転する構造とした請求項8記載の路面の水膜厚測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載して路面の水膜厚さを走行しながら測定する方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
凍結防止剤散布は,路面上の水分に塩化物を混合させることで、その凝固点を降下させて路面凍結を防止する冬期道路管理方法の一つである。凍結防止剤の副次的影響としての塩害問題や道路予算の縮減を背景に、結防止剤散布の効率化は依然として重要な課題である。
【0003】
現状では、散布前に何時・どの位の量を散布すればよいかを道路管理者が判断することは容易でない。その理由は、路面凍結の発生や凍結防止剤の散布量に関係する路面温度、路面水分量および路面塩分量の把握が難しいことにある。特に、路面水分量は、降雨、路面雪氷の融解、路肩からの融雪水の流入、蒸発・凝縮、通過車両による飛散、道路勾配に伴う排水など、様々な影響を受けて時間的および空間的に多様に変化するために把握が難しい。
【0004】
したがって、凍結防止剤散布の効率化を促進させるには、縦断勾配・線形、橋梁・トンネル区間、日向・日陰区間、舗装種別などの道路条件に伴う路面水膜厚の路線分布を少なくとも散布時の段階では正確に捉えておくことが肝要になる。また、路面水膜厚の路線分布を把握するには、走行しながら連続的に測定するような装置が必要になる。
【0005】
路面水膜厚の測定方法には、吸水式、画像解析式、非接触式、埋設式などが挙げられる。
吸水式は吸水紙を用いて路面上の水分を吸い取り、その重量を厚さに換算して求める方法である。ただし、この方法は現道路では安全上難しく、労力や時間の関係から路線分布を把握することはできない。
従来においては、路面の状態を判定する技術に関しては色々知られている。
【0006】
例えば、特開2008-122250号に係る「路面状況判定方法」は、センサー表面がおおよそ路面の高さになるように舗装に埋め込み、電気抵抗値などから路面雪氷分類、塩分濃度、水・氷膜厚を計測する方法である。
【0007】
特願2017-546389に係る「路面状態判定装置、撮像装置、撮像システムおよび路面状態判定方法」は、温度検出部と撮像装置とを備え、路面の温度、撮像された路面を表す画像を取得する。また、画像に含まれる画素の輝度に基づいて、路面が濡れているか乾いているかを判定し、且つ、路面の温度に関連する信号に基づいて、路面が凍結しているか否かを判定する装置である。
【0008】
特開2015-38516に係る「路面状態推定方法」は、タイヤ内に設置された加速度センサーで検出したタイヤ振動の時系列波形と走行中の路面温度とタイヤ発生音などから、積雪、凍結、シャーベット、圧雪、湿潤、乾燥などの路面雪氷分類を判定する方法である。
【0009】
特開2011-53184に係る「マイクロ波センサ」は、マイクロ波受信機が路面等の対象物から放出される微弱なマイクロ波帯熱雑音を計測し、赤外線放射温度計が対象物から放出される赤外線から物理温度を計測することで積雪、凍結、湿潤、乾燥等の対象物の表面状態を判別する装置である。
【0010】
特開2006-250634に係る「被覆塩水計測装置および被覆塩水計測方法」は、路面に向けて電波を照射するとともに反射した電波を受信し、照射した電波に対する受信した電波の変化を基に被覆水の濃度にかかわらず膜厚を特定することができる装置である。
【0011】
一方、道路に撒かれた塩分はタイヤから水はねにより空中に飛散し、車両に付着して車体の腐食を促進させる。道路上の塩分に起因した車体の腐食を評価するには、タイヤから車両に飛散する塩量を測定する必要がある
【0012】
【文献】特開2008-122250号に係る「路面状況判定方法」
【文献】特願2017-546389に係る「路面状態判定装置、撮像装置、撮像システムおよび路面状態判定方法」
【文献】特開2015-38516に係る「路面状態推定方法」
【文献】特開2011-53184に係る「マイクロ波センサ」
【文献】特開2006-250634に係る「被覆塩水計測装置および被覆塩水計測方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように路面水膜厚測定には様々な装置や方式が存在するが、これまでの技術は道路に埋設して直接的に路面水膜厚を測定するか、あるいは路面の水分と接触させずに電磁波の放射と反射を基に間接的に路面水膜厚を測定するであった。接触式かつ車両に搭載して連続的に路面水膜厚を測定する装置はこれまでに存在しない。また、タイヤから車両に飛散する塩量(車両飛散塩量)を測定する技術も存在しない。
本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、車両に搭載して路面の水膜厚さを測定する方法及び測定装置、並びに車両飛散塩量を測定する方法及び測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、車載式塩分濃度センサーを利用して路面上の水分の塩分濃度とタイヤによって飛散した水分量を求め、さらに路面水膜厚を評価する方法および装置(タイヤ水はね式路面水膜厚装置)である。また、路面上の水分の塩分濃度とタイヤによって飛散した水分量から車両に飛散する塩分の質量を算出する方法である。
【0015】
すなわち、車両のタイヤが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚Hw(mm)を測定することが出来るようにした路面の水膜厚測定方法である。
車両のタイヤハウス内に塩分濃度センサーを取付け、路面の塩分濃度Cst、およびセンサー部に供給する規定の塩溶液(塩分濃度Csv、質量Mv)とタイヤ水はね量Mtとが混合した塩分濃度Csmixを測定し、塩分濃度がCsvからCsmixへの変化よりタイヤ水はね量Mtを推定し、所定の路面水膜厚さHwとMtの関係式を用いて路面水膜厚さHwを求めることが出来る。
【0016】
また、車両のタイヤが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚Hw(mm)を測定することが出来るようにした路面の水膜厚測定装置である。
タイヤ後方の泥除け部に塩分濃度センサーを取り付け、タイヤ泥除け部にはセンサー部を規定の塩溶液(塩分濃度Csv、質量Mv)で濡らしておき、この塩溶液とタイヤ水はね量Mtとが混合した塩分濃度Csmixを測定するために、塩分濃度センサーに供給流導水スリット、混合部/水はねコレクター、水はね保護カバー、導水板及びセンサ-面の水分除去装置が付加され、規定の塩溶液は車内タンクからポンプによって上記供給水導水スリットを通して飛散水と供給水とが混合される混合部/水はねコレクターを設けている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は,走行しながら路面水膜厚の空間的な連続データを取得すること出来る。また、路面水膜厚を含む路面状態、気象条件、交通条件などの入力条件から将来の凍結路面の発生の有無を路面すべり摩擦係数で予測し凍結防止剤の最適な散布量を推定する技術に、路面水膜厚の空間連続データを入力することで将来の路面すべり摩擦係数マップや凍結防止剤の最適散布条件マップの作成が出来る。
【0018】
本発明の装置は積雪地のみならず、非積雪地や冬期以外のハイドロプレーニング現象によるスリップ抑止対策にも活用が出来る。
車体に飛散する塩分量を測定し、凍結防止剤が車体に及ぼす塩害の影響を評価でき、車体への塩害防止や遅延の技術開発の測定装置となる。そして、冬期道路の安全性と塩害の影響を考慮して、今後の凍結防止剤散布のあり方について検討する際の基礎資料に必要なデータを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】タイヤ水はね式の路面水膜厚装置を表している実施例。
【
図4】タイヤ水はね式の路面水膜厚装置の路面水膜厚装置の好適形状と設計条件式。
【
図5】タイヤ水はね式の路面水膜厚装置の初期設定の方法。
【
図6】走行速度v = 20、40、60および80 km/hにおけるH
wとM
tの関係を示している。
【
図7】H
wとM
tの関係式に含まれる係数aと走行速度vの関係を表しているグラフ。
【
図8】(1)は供給水及び飛散水と混合塩分濃度の関係式、(2)は供給水の塩分濃度を示す式、(3)は飛散水の塩分濃度を示す式、(4)は式(1)に式(2)と(3)を代入して、M
tを左辺にして整理した場合。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図、式を用いて本発明の実施形態の一例を具体的に説明する。
図1はタイヤ水はね式の路面水膜厚装置を表している実施例であり、
図2は上記タイヤ水はね式の路面水膜厚装置のA部拡大図を示し、
図3はタイヤ水はね式の路面水膜厚装置の具体例である。同図の1aはタイヤ、1bは別のタイヤを示し、これら各タイヤ1a,1bが回転することで路面に存在する水が跳ね上げられ、これによって路面水膜厚H
w(mm)を測定することが出来る。具体的には、車載式塩分濃度センサーを車両のタイヤハウス内に装着し、タイヤからセンサー部に飛散した水分(以下,飛散水という)から路面塩分濃度C
ts(%)を測定する。センサー及びその他構成部材はタイヤハウス内に取り付けられていれば良く好ましくは泥除け部、より好ましくはタイヤ後方側の泥除け部に装着される。取り付け形態は発明の目的を達成できれば特に限定されずタイヤハウス壁面への直接に取付け、支持部材を介した取付けでもよい。また、車内からの供給される塩溶液(以下,供給水という)によってセンサー部を濡らした状態にして飛散水をセンサーに接触させ,供給水と飛散水の混合塩分濃度C
smix(%)を測定する。
【0021】
1秒間あたりの供給水および飛散水の重量をM
iおよびM
t(g/s)とすると、C
smixは
図8の(1)に示す式で与えられる。
図8(1)に示すM
isおよびM
tsは1秒間に流れる供給水および飛散水に含まれる塩重量(g/s)である。ここで、供給水の塩分濃度C
is(%)および飛散水の塩分濃度C
ts(%)は、それぞれ
図8の(2)と
図8の(3)に示す式で与えられる。
そして
図8(1)に
図8(2)と(3)の式を代入して、M
tを左辺にして整理すると
図8の(4)に示す式が得られる。
上記
図8の式(4)において、M
iおよびC
isは設定項目であり、C
tsおよびC
smixは測定されるため、右辺の未知数は無くなり、M
tは得られる。最後に、路面水膜厚H
w(mm)は後述に記載するH
wとM
tの関係式より求められる.
【0022】
図4は
図3のタイヤ水はね式の路面水膜厚装置における供給流、飛散流、混合流の流れを表している。
図1、
図4に表しているように、タイヤ1bの後方に設けた後輪センサーは、塩分濃度センサー2に供給流導水スリット3、混合部/水はねコレクター4、導水板5、水はね保護カバー6及びセンサー面の水分除去装置7が付加されている。規定の塩溶液は車内タンクからポンプによって供給流導水スリット3を通して混合部/水はねコレクター4に供給される。供給流導水スリット3は車に取り付けたタンクから供給流を混合部/水はねコレクター4に導くものであり、タンクから混合部/水はねコレクター4までに水分が損失しない形状にする。混合部/水はねコレクター4は飛散流と供給流を混合させる場所であり、両者が十分に混合するような形状にする。導水板5は飛散流と供給量の混合流を塩分濃度センサー2上部に集める。そのために、同図のように塩分濃度センサー2上部に混合流が集まるような形状が好ましい。また、装置表面の水分がこぼれ落ちないように上部に溝や傾斜を設けることを推奨する。水はね保護カバー6は塩分濃度センサー2に飛散流が直接接触しないように設置する。混合部/水はねコレクター4でタイヤ1bからの水分と混合させ、その混合液体の塩分濃度を下部に設置した塩分濃度センサー2で測定する。また、塩分濃度センサー2にはセンサー面の水分除去装置7が取り付けられており、塩分濃度センサー2の水分を感知するとその水分は拭き取られる。
【0023】
図5はタイヤ水はね式の路面水膜厚装置の初期設定の方法を示す。ステップS101では車両のタイヤハウス内に取付場所を設定する。取付場所はタイヤからの水はね(飛散水量)が当たる箇所かつ最低地上高以上に設置する(飛散水量は多すぎても少なすぎても(S109)の測定精度は低下する)。S102では取付角度を設定する。塩分濃度センサー面を飛散水量に対して直行するように設置し、(S103)が満たされるまで仰角を90°側に変更する。S103では取付角度を調整する。飛散水量および供給水量がセンサー面を流れているかを確認し、流れていなければS102に戻り、取付角度を再設定する。流れていれば、次のステップS104に進む。S104では、供給水の塩分濃度を設定する。飛散水量の塩分濃度との差が大きくなるように設定する(通常は路面塩分濃度が薄いため、塩分濃度は濃いほど望ましい)。S105では供給水量を設定するが、次のステップS106の条件が満たされるまで供給水量を増やす。S106では混合塩分濃度によって供給水量が適当かを判定する。具体的には対象道路の高速度域で混合塩分濃度が供給水量と飛散水量の塩分濃度の範囲の中間程度(中間よりやや薄い方が望ましい)であれば、次のステップS107に進み、そうでなければS105に戻る。S107では飛散水量を前述の式(4)に従って求める。S108では路面水膜厚を推定する。次のように路面水膜厚と飛散水量の関係式を作成し、路面水膜厚を求める。様々な走行速度かつ水膜厚の路面において走行試験を実施し、路面水膜厚・飛散水量・走行速度を計測する。路面水膜厚を飛散水量と走行速度を説明変数として整理する。S109では路面水膜厚の精度を検証し、測定精度が設定範囲以内であれば完了し、そうでなければS101に戻り、再設定を行う。
【0024】
所定のH
wとM
tの関係は、予め予備実験で求めておくことができる。その求め方の一例、求めた関係式の一例を以下に述べる。
路面の水膜厚H
wとタイヤ水はね量M
tの関係を調べるための走行実験を苫小牧寒地試験道路で行った。実験は湿潤路面で行われ、H
wを変えて繰り返し実施した。H
wは吸水紙を用いて採取した路面上水分の重量から、M
tはタイヤ後輪の泥除け部に取り付けたスポンジの走行前後の重量差から求めた。
図6は走行速度v = 20、40、60および80 km/hにおけるH
wとM
tの関係を示している。同図に示すように、H
wとM
tの関係はH
w=aM
t
0.45で近似して表される。
ここで、関数のaと走行速度vの関係は
図7に表しているように、走行速度vの増加につれてaは減少し、その関係はa=0.43exp(-0.007V)で表される。
最終的にHw=aMt0.45 a=0.43exp(-0.007V) (V:走行速度)の関係式が得られる。
【符号の説明】
【0025】
1 車輪
2 塩分濃度センサー
3 供給流導水スリット
4 混合部/水はねコレクター
5 導水板
6 水はね保護カバー
7 センサー面の水分除去装置