(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018166617
(22)【出願日】2018-09-06
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
【審査官】眞壁 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-130621(JP,A)
【文献】特開2014-094104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、
識別図柄が変動を開始してから当否判定結果に応じた態様で停止するまでの報知演出を実行する報知演出実行手段と、
ある当否判定情報が取得されたとき、当該ある当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果
についての前記報知演出が完了していないときには、当該ある当否判定情報を変動前保留情報として記憶する記憶手段と、
前記変動前保留情報が取得されることを契機として発生しうる演出であって、
複数種の演出画像のうちのいずれかを表示して前記先の当否判定結果
のいずれかである対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する後演出を実行する演出実行手段と、
を備え
、
複数種の前記演出画像は、前記記憶手段に記憶されている前記変動前保留情報の存在を示す保留図柄ではなく、
複数種の前記演出画像のそれぞれに対応づけられた複数種の特定演出が設けられており、前記後演出にて表示された前記演出画像の種類に対応する前記特定演出が、前記対象当否判定結果についての前記報知演出である対象報知演出中に実行されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
ある当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを、当該当否判定結果を報知する図柄の変動前から示唆する、いわゆる「先読み演出」が実行可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、ある当否判定情報が取得されたとき、当該ある当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果の報知が完了していないときには、当該ある当否判定情報を変動前保留情報として記憶する記憶手段と、前記変動前保留情報が取得されることにより発生しうる演出であって、前記先の当否判定結果を報知する演出中に発生する特定演出の内容を予告する後演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、後演出により遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図4】後演出の第一具体例を説明するための図である。
【
図5】後演出の第二具体例を説明するための図である。
【
図6】後演出の第三具体例を説明するための図である。
【
図7】後演出の第四具体例を説明するための図である。
【
図8】後演出の第五具体例を説明するための図である。
【
図9】後演出の第六具体例を説明するための図である。
【
図10】後演出の第七具体例を説明するための図である。
【
図11】後演出の第八具体例を説明するための図である。
【
図12】特殊表示の概要を説明するための図である。
【
図13】特殊表示終了後の保留図柄の表示態様を説明するための図である。
【
図14】公知の保留図柄の表示態様を参考として示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄10として、当否判定結果を報知する報知演出は開始されている(当否判定結果を示す識別図柄80(識別図柄群80g)の変動は開始されている)ものの、当否判定結果の報知は完了していない(当否判定結果を示す態様で識別図柄80(識別図柄群80g)の変動が停止していない)当否判定情報(以下、変動中保留情報と称することもある)の存在を示す変動中保留図柄11(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない(当否判定結果を示す識別図柄80(識別図柄群80g)の変動が開始されていない)当否判定情報(以下、変動前保留情報と称することもある)の存在を示す変動前保留図柄12が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄11の方が変動前保留図柄12よりも大きく表示される。変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄11および変動前保留図柄12の少なくともいずれか一方が表示されない状況が発生しうるものとしてもよい。例えば、変動中保留図柄11が表示されず、変動前保留図柄12が表示されるモードが設定された構成としてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄80を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄80として設定することができる。
【0017】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特定遊技状態が設定されている。特定遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特定遊技状態としては、第一特定遊技状態と第二特定遊技状態が設定されている。第一特定遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特定遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特定遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特定遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
【0018】
2)後演出
本実施形態にかかる遊技機1は、後演出を実行することが可能である。後演出は、ある当否判定情報が変動前保留情報として記憶されることを契機として発生しうる演出である。すなわちある当否判定情報が「変動前保留情報」として記憶されるということは、当該当否判定情報の取得時点において、当該当否判定情報よりも先に取得された少なくとも一つの当否判定情報に基づく当否判定結果の報知が完了していない(変動中保留情報が存在する)ということである。本実施形態では、当該ある当否判定情報が取得された時点で、それよりも先に取得された少なくとも一つの当否判定情報が変動前保留情報として記憶されていることを後演出が発生する条件としている。後演出の契機となる当否判定情報(変動前保留情報)を後の当否判定情報(後の変動前保留情報)とし、それよりも前に取得された当否判定情報(変動前保留情報)を先の当否判定情報(先の変動前保留情報)とすると、後の当否判定情報が取得された時点において、一または複数の先の当否判定情報(先の変動前保留情報)が記憶手段に記憶された状態にあるということである。
【0019】
後演出は、後の当否判定情報が取得された時点において存在する一または複数の先の当否判定情報のうちのいずれかに対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)を示唆するものである。つまり、後の当否判定情報が取得されることを契機として発生する演出は、通常であれば当該後の当否判定情報に対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものとされるところ、本実施形態における後演出は、既に取得されている先の当否判定情報に基づく当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものとされる。
【0020】
後演出の一例を説明する。二つの変動前保留図柄12(これらの図柄に対応する当否判定情報が先の当否判定情報である)が表示された状態(
図3(a)参照)で、新たに当否判定情報が取得されたとする(当該新たに取得された当否判定情報が後の当否判定情報である)。それを契機として、後演出を構成する演出画像20が表示領域911に表示される(
図3(b)参照)。当該演出画像20として表示されうるものとして、複数種の演出画像20が設定されているとする。例えば、第一演出画像21~第三演出画像23の三種類が設定されているとする。後演出は、これら第一演出画像21~第三演出画像23のうちのいずれかが表示されるものとする。本実施形態では、第一演出画像21~第三画出画像は、互いに別のキャラクタを表した画像である。
【0021】
後演出が実行された後、一または複数の先の当否判定情報うちのいずれかに対応する当否判定結果の報知演出(識別図柄80の変動中)に、表示された演出画像20を用いた演出(以下、特定演出と称する)が発生するものとする。つまり、後演出により、一または複数の先の当否判定情報うちのいずれかに対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする。例えば、後の当否判定情報が取得された時点において、一番消化順(対応する当否判定結果の報知が完了することは一般的に「消化」と称される)が早い変動前保留図柄12に対応する当否判定結果が、後演出による信頼度示唆の対象となるものとする。なお、以下の説明においては、後演出による信頼度示唆の対象となる当否判定情報(保留情報)を対象当否判定情報(対象保留情報)と称することもある。
【0022】
対象当否判定情報に対応する当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する報知演出中に特定演出が発生する。つまり、対象当否判定情報が変動前保留情報から変動中保留情報に移行した状態で特定演出が発生する(
図3(c)参照)。特定演出は、後演出として表示された演出画像20を用いたものである。例えば、後演出として第二演出画像22が表示されたのであれば、第二演出画像22を用いた特定演出が発生する(
図3(b)(c)参照)。本実施形態における特定演出は、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦う演出である。特定演出の結末としては、遊技者に有利な事象が発生することを示す成功結末と、当該事象が発生しない失敗結末とが設定されている。本実施形態では、味方側キャラクタが勝利することが成功結末として、味方側キャラクタが敗北する(敵側キャラクタが勝利する)ことが失敗結末として設定されている。また、本実施形態では、成功結末となることは対象当否判定結果が大当たりとなることに繋がり、失敗結末となることは対象当否判定結果がはずれとなることに繋がる。つまり、上記「遊技者に有利な事象」として、「対象当否判定結果が大当たりとなること」(大当たり遊技が実行されること)が設定されている。
【0023】
後演出にて表示された演出画像20が示すキャラクタは特定演出における味方側キャラクタとして設定される。つまり、後演出は、特定演出における味方側キャラクタの種類を予告する(特定演出の内容を予告する)。本実施形態では、第一演出画像21がキャラクタA、第二演出画像22がキャラクタB、第三演出画像23がキャラクタCを表すものとされる。キャラクタの「強さ」は、キャラクタA、キャラクタB、キャラクタC(最も強い)の順で高くなるように設定されている。つまり、特定演出における味方側キャラクタとして、キャラクタAが表示される場合よりもキャラクタBが表示される場合の方が、キャラクタBが表示される場合よりもキャラクタCが表示される場合の方が、当該特定演出が成功結末となる蓋然性が高くなるように設定されている。換言すれば、後演出にていずれの演出画像20(いずれのキャラクタ)が表示されるかは、対象当否判定結果が大当たりとなるか否かに基づいて決定され、当該演出画像20の種類により対象当否判定結果の信頼度が示唆されるということである。
【0024】
本実施形態では、後演出として示される演出画像20の種類は、少なくとも特定演出が開始される時点までは表示され続ける。このようにすることで、後の当否判定情報が取得されることを契機として表示された演出画像20が、後の当否判定情報よりも先に取得されていた当否判定情報に対応する当否判定結果を示唆するものとして表示されたということを分かりやすく示すことが可能である。後演出として示された演出画像20が、特定演出における敵側キャラクタとして移行するような画像が表示されるようにするとよい。
【0025】
なお、上記のように演出画像20の種類が、特定演出における味方側キャラクタを示す構成とするのはあくまで一例である。演出画像20の種類により、特定演出の結末(成功結末となる蓋然性)が示唆されるものとすればよい。例えば、特定演出における敵側キャラクタの種類がその都度変化しうるものとし、当該敵側キャラクタの種類により特定演出が成功結末となる蓋然性が変化するものとする。後演出においては、当該敵側キャラクタの種類が示されるものとする。
【0026】
このように、本実施形態では、新たな当否判定情報(変動前保留情報)が取得されることを契機として後演出が発生する場合があるところ、当該後演出はその契機となった当否判定情報よりも前に取得されていた当否判定情報に対応する当否判定結果の信頼度を示唆するものとされる。すなわち、ある当否判定結果の信頼度を示唆する演出が、事後的に新たな当否判定情報(変動前保留情報)が取得されることを契機として発生するという斬新なものであるため、遊技の趣向性を向上させることが可能である。後演出は、事後的に新たな当否判定情報(変動前保留情報)が取得されなければ発生しないのであるから、遊技を停止せずに継続した方が、後演出が発生する蓋然性が高くなる(後演出の発生の契機となる後の当否判定情報が取得される頻度が多くなるから)といえ、後演出を見たいと考える遊技者が多くなることにより遊技の促進が図られるという利点もある。
【0027】
なお、本実施形態における後演出は、遊技者が第一始動領域904aを狙って遊技する低ベース状態にて実行されるものである。すなわち、いわゆる特
図1の変動前保留情報が取得されることを契機として発生するものである。ただし、遊技者が第二始動領域904bを狙って遊技する高ベース状態にて後演出が実行されるようにしてもよい。いわゆる特
図2の変動前保留情報が取得されることを契機として発生するものとしてもよい。
【0028】
以下、上記実施形態における後演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0029】
〇第一具体例
上記実施形態では、後演出においては演出画像20が示され、対象当否判定結果の報知演出中に発生する特定演出にて当該演出画像20が用いられるものであることを説明したが、後演出は対象当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するものであればよい。上記実施形態における後演出のように、対象当否判定結果の報知演出(特定演出)を予告するような構成でなくてもよい。例えば、後演出として、後の当否判定情報が取得されることを契機として、対象当否判定結果が大当たりとなる確率が表示されるような後演出の態様としてもよい(
図4参照)。
【0030】
〇第二具体例
後の当否判定情報(後の変動前保留情報)が取得されることにより表示される変動前保留図柄12の態様により、先の当否判定結果(対象当否判定結果)が当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする(
図5参照)。すなわち、後の変動前保留情報の存在(取得)を示す変動前保留図柄12が、上記実施形態にて説明した演出画像20として機能する構成とする。上記実施形態と同様に、特定演出における味方側キャラクタの種類が、後演出により予告されるものとするのであれば、後の変動前保留情報に対応する変動前保留図柄12の態様を、当該特定演出において登場する味方側キャラクタ自体または味方側キャラクタを示唆するようなものとする。例えば、味方側キャラクタの顔を含む変動前保留図柄12が表示されるようにする(
図5(b)参照)。このように後の変動前保留情報の存在を示す変動前保留図柄12の態様が特定演出の内容を予告するものであるため、当該変動前保留図柄12の態様は、対象当否判定結果の信頼度を示唆するものとなる。後演出は、対象当否判定情報よりも後の当否判定情報が取得されることを契機として発生するものであるから、当該後の当否判定情報の存在を示す変動前保留図柄12を利用することで、後演出の発生の契機が分かりやすいという利点がある。
【0031】
特定演出が開始されると略同時または特定演出が開始された後の所定のタイミング(例えば特定演出が終了したタイミング)で、後演出として示された変動前保留図柄12の態様は、通常の態様(後演出として示される態様以外の態様)となるようにするとよい(
図5(c)参照)。当該変動前保留図柄12の態様は、当該変動前保留図柄12に対応する当否判定結果の信頼度を示唆するものといったものではないため、特定演出の開始時点以降に、変動前保留図柄12が通常の態様となるようにするとよい。
【0032】
〇第三具体例
後演出の態様が初期態様から変化する可能性があるものとする。上記実施形態に則していえば、後の当否判定情報が取得されることを契機として表示された演出画像20の種類が、その後変化する可能性があるものとする(
図6参照)。例えば、初期態様として第一演出画像21が表示された(
図6(b)参照)後、第二演出画像22や第三演出画像23に変化する(
図6(c)参照)可能性あるものとする。当該変化は、対象当否判定結果の大当たり信頼度が高まる方向への変化に限定されていることが好ましい。また、当該変化が複数回発生しうる構成としてもよい。最終的な演出画像20の態様により、対象当否判定結果の大当たり信頼度が示唆されるものとする。第二具体例のように変動前保留図柄12を演出画像20として機能させるのであれば、当該変動前保留図柄12の態様が変化する構成となる。
【0033】
上記のような変化は、少なくとも、後演出が開始されてから(初期態様が表示されてから)、対象当否判定結果の報知演出(対象当否判定結果を報知する識別図柄80の変動)が開始されるまでの期間中に発生しうるようにすることが好ましい。このようにすれば、後演出が開始されてから、対象当否判定結果の報知演出が開始されるまでの期間中、後演出の態様(演出画像20の態様)に注目する演出形態とすることができる。対象当否判定結果の報知演出(対象当否判定結果を報知する識別図柄80の変動)が開始されてから特定演出が開始されるまでの期間中にも、上記のような変化が発生するようにしてもよい。
【0034】
〇第四具体例
遊技球が始動領域904に入賞したときには、スピーカ70から効果音が出力されるものとする(
図7参照)。つまり、変動前保留情報が取得されたことを示す保留取得音が出力されるものとする。当該保留取得音として、複数種の態様が設定されているものとする。例えば、保留取得音として、第一取得音~第三取得音の三つが設定されているものとする。
【0035】
後の当否判定情報(後の変動前保留情報)が取得されたときにスピーカ70から出力される保留取得音の態様により、先の当否判定結果(対象当否判定結果)が大当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする(
図7(b)参照)。例えば、第一取得音が出力されるときよりも第二取得音が出力されるときの方が、第二取得音が出力されるときよりも第三取得音が出力されるときの方が、一または複数の先の当否判定結果のうちのいずれかが大当たりとなる蓋然性が高くなるような設定とする。このようにすれば、変動前保留情報が取得されたときに出力される音の態様に注目させる遊技性を実現することが可能である。
【0036】
〇第五具体例
後の当否判定情報(後の変動前保留情報)が取得されることにより発光する発光部60の発光態様により、先の当否判定結果(対象当否判定結果)が当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする(
図8参照)。例えば、発光部60の発光態様として、第一発光態様~第三発光態様の三つが設定されているものとする。各発光態様の違いはどのようなものであってもよい。例えば、発光色により態様を異なるものとすることが考えられる。後演出が発生しないときには、発光部60は非発光状態とされることが好ましい(
図8(a)参照)。このようにすることで、後演出が発生するときには、普段は発光していない発光部60が発光することになるから、発光部60が発光したこと(後演出が発生したこと)に遊技者が気付かないおそれを低減することが可能である。
【0037】
後の当否判定情報(後の変動前保留情報)が取得されたときに発光する発光部60の態様により、先の当否判定結果(対象当否判定結果)が大当たりとなる蓋然性が示唆されるものとする(
図8(b)参照)。例えば、第一発光態様が出力されるときよりも第二発光態様が出力されるときの方が、第二発光態様が出力されるときよりも第三発光態様が出力されるときの方が、一または複数の先の当否判定結果のうちのいずれかが大当たりとなる蓋然性が高くなるような設定とする。このようにすれば、変動前保留情報が取得されたときに発光することがある発光部60の発光態様に注目させる遊技性を実現することが可能である。
【0038】
後演出としての発光部60の発光は、始動領域904への遊技球の入賞を契機として発生するものであるから、発光部60は始動領域904を構成する構造物自体またはその近傍に設けられていることが好ましい(本実施形態では、第一始動領域904aを構成する構造物に発光部60が設けられている(
図1および
図8参照))。このようにすれば、後演出の発生時には、始動領域904に遊技球が入賞することを契機として発光部60が発光していることに遊技者が気付きやすくなる。
【0039】
〇第六具体例
後演出による信頼度示唆の対象となる対象当否判定結果(対象保留図柄)がどれであるのか示されるようにする(
図9参照)。上記実施形態に則していえば、後演出として演出画像20が表示されるとともに、対象当否判定結果に対応する対象保留図柄が、その他の保留図柄とは異なるものであることが視覚的に理解できるようにされる。例えば、対象保留図柄をその他の保留図柄よりも明るく表示して目立つ態様とすることや、後演出として示される演出要素(演出画像20)と対象保留図柄を結び付けるような画像が表示される態様(
図9(b)参照)とすることが考えられる。このようにすることで、後演出として表示された演出画像20による信頼度示唆が、「目立つ態様」にある対象保留図柄についてのものであるということを分かりやすく示すことが可能である。
【0040】
なお、上記実施形態のように対象保留図柄が他の保留図柄と変わらない設定とすれば、対象保留図柄(対象当否判定情報)がいずれであるのか遊技者は判別できないため、それを予測しつつ楽しませる遊技性を実現することができるといえる。
【0041】
〇第七具体例
対象当否判定結果の大当たり信頼度を示唆する後演出として、当該対象当否判定結果に対応する当否判定情報(対象当否判定情報)よりも後に取得された「第一の後の当否判定情報」が取得されたことを契機として第一後演出が発生し(
図10(b)参照)、当該「第一の後の当否判定情報」よりも後に「第二の後の当否判定情報」が取得されたことを契機として第二後演出が発生する(
図10(c)参照)ようにする。つまり、二以上の後演出が発生しうる構成とする。
【0042】
対象当否判定結果の大当たり信頼度は、二以上の後演出のそれぞれにより示唆されるものとすることが考えられる。すなわち、各後演出にて示される画像等により、対象当否判定結果の大当たり信頼度が示唆されるものとすることが考えられる。例えば、各後演出にて表示されうる演出画像20として一または複数種のチャンスアップ画像が設定されており、当該チャンスアップ画像の数にて大当たり信頼度を示唆することが考えられる。また、各後演出にて表示された演出画像20の組み合わせにより大当たり信頼度を示唆することが考えられる。
【0043】
一方、二以上の後演出のうちの最後の後演出により最終的な大当たり信頼度が示されるようにしてもよい。すなわち、ある後演出にて行われた信頼度示唆が、次の後演出にて変化する(置き換えられる)可能性があるものとする。例えば、第一後演出にて行われた信頼度示唆(
図10(b)参照)が第二後演出にて変化し(
図10(c)参照)、信頼度が高まったことが示唆される場合がある構成とする。このようにすれば、ある後演出が実行された後、新たな当否判定情報が取得されて発生する次の後演出により、先の後演出による信頼度示唆の内容が変化する可能性があるということになるから、遊技の促進に資するという利点がある。
【0044】
〇第八具体例
記憶手段に記憶可能な変動前保留情報の数が最大である状態(いわゆる保留満タンの状態)で始動領域904に遊技球が入賞したときに後演出が発生しうるものとする(
図11参照)。すなわち、第一変動前保留情報が満タンであるときに第一始動領域904aに遊技球が入賞したとき、および、第二変動前保留情報が満タンであるときに第二始動領域904bに遊技球が入賞したときの少なくともいずれか一方において後演出が発生しうるものとする。保留満タンの状態であるから、当該入賞により新たな変動前保留情報は取得されない(当否抽選は受けられない)が、後演出は発生することがある設定とする。
【0045】
保留満タンの状態で始動領域904に遊技球が入賞すること(いわゆるオーバー入賞)は、当否抽選が受けられないため遊技者にとっては喜ばしい事象であるとはいえないところ、当該入賞により後演出が発生するため遊技者の気持ちが和らげられる。
【0046】
3)特殊表示
本実施形態にかかる遊技機1は、第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として取得されるいわゆる「特
図1」の保留情報(以下、第一保留情報と称する)、および第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として取得されるいわゆる「特
図2」の保留情報(以下、第二保留情報と称する)の両方が記憶されているとき、保留図柄10の表示に関し、以下のような特殊表示を実行する。
【0047】
本実施形態にかかる遊技機1は、第一保留情報(第一当否判定情報)と第二保留情報(第二当否判定情報)の両方が記憶手段に記憶されている場合、第二保留情報を用いた当否判定結果の報知(識別図柄80の変動開始)が優先的に実行される。つまり、いわゆる「特
図2優先消化」である設定である。全ての第二保留情報(第二当否判定情報)に対応する当否判定結果の報知が完了しない(消化されない)限り、第一保留情報(第一当否判定情報)に対応する当否判定結果の報知は開始されない。
【0048】
本実施形態では、高ベース状態(特定遊技状態)から低ベース状態(通常遊技状態)に移行したときに、特殊表示を実行することがある。より具体的には、高ベース状態が終了して低ベース状態に移行した状態で、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている状況において、第二保留情報に対応する全ての当否判定結果の報知(はずれの報知)が完了するまで実行される。
【0049】
高ベース状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる状態(本実施形態ではいわゆる「右打ち」を行う状態)であるから、第二保留情報が取得される。したがって、高ベース状態から低ベース状態に移行した直後は、高ベース状態中に取得した第二保留情報が残っていることがある。一方、低ベース状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる状態(本実施形態ではいわゆる「左打ち」を行う状態)であり、第一保留情報が取得される状態であるところ、当該第一保留情報が残った状態で低ベース状態から高ベース状態に移行し、第一保留情報が全て消化されるよりも前に第二保留情報が取得されたときには、「特
図2優先消化」であるから、高ベース状態を通じて低ベース状態中に取得された第一保留情報が残っている可能性がある。したがって、高ベース状態から低ベース状態に移行したときに、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている可能性がある。
【0050】
高ベース状態から低ベース状態に移行した時点で、二つの第一保留情報と、四つの第二保留情報が記憶手段に記憶されているケースを例に、特殊表示(
図12参照)を説明する。特殊表示は、低ベース状態にて実行される表示である。本実施形態では、低ベース状態中においては、一つの変動中保留図柄11(変動中保留情報に対応する図柄)と、最大四つの変動前保留図柄12(変動前保留情報に対応する図柄)を表示する。つまり、上記例のように、計六つ(二つの第一保留情報と四つの第二保留情報を合わせた六つ)の保留情報が記憶されている場合であっても、変動中保留図柄11および変動前保留図柄12を合わせた最大計五つの保留図柄10しか表示しない(
図12(a)参照)。高ベース状態から低ベース状態に移行した直後や、通常は起こり得ない偶発的な事象が発生した場合等を除き、低ベース状態において通常は第一保留情報(特
図1)として、一つの変動中保留情報と最大四つの変動前保留情報が記憶された状態にあるのであるから、それを基準として最大計五つの保留図柄10(一つの変動中保留図柄11と最大四つの変動前保留図柄12)しか表示されないようにする。見方を変えれば、当該五つの保留図柄10を表示するスペースのみが表示領域911内に確保されており、それ以上の保留図柄10を表示するスペースは設けられていないということである。通常遊技状態に移行した後は、どのような状態であっても(第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶された状態にあっても)、上記最大五つの保留図柄10の表示のみにより、保留情報の状況を遊技者に示す。
【0051】
高ベース状態から低ベース状態に移行した直後は、第一保留情報と第二保留情報の両方が存在しているものの、「特
図2優先消化」であるから、第二保留情報に対応する当否判定結果を報知する演出が実行される。つまり、低ベース状態に移行した後の「1変動目」は、第二保留情報に対応するものとなる。これを踏まえ、変動中保留図柄11は第二保留情報の存在を示すものとして表示する(
図12(a)参照)。変動中保留図柄11として第一保留情報に対応するものは表示されない。
【0052】
一方、変動前保留図柄12については、第一保留情報の存在を示すものとして表示する。上記例では低ベース状態に移行した時点で二つの第一保留情報が存在しているのであるから、二つの変動前保留図柄12が表示される(
図12(a)参照)。第二保留情報の存在を示すものとして、変動前保留図柄12は用いられない。上記例でいえば、変動中保留図柄11に対応する第二保留情報を除き、残り三つの第二保留情報が存在するものの、これら残り三つの第二保留情報の存在を示す保留図柄10は表示されないということである。
【0053】
変動中保留図柄11として表示されていた第二保留情報(変動中保留情報)に対応する当否判定結果(はずれ)が報知された(消化された)ときには、消化順で次の第二保留情報に対応する当否判定結果を報知する演出が開始されることになる。つまり、当該次の第二保留情報に対応する変動中保留図柄11が表示される(
図12(b)参照)。本実施形態では、先の変動中保留図柄11が対応する当否判定結果の報知の完了と略同時に一旦消去された後、次の変動中保留図柄11が表示される。変動前保留図柄12に関しては、二つの第一保留情報に対応するものが表示された状態が維持される(
図12(b)参照)。
【0054】
かかる状態が、全ての第二保留情報に対応する当否判定結果の報知が完了するまで(全ての第二保留情報が消化されるまで)継続する。つまり、第二保留情報が消化される度に、新たな第二保留情報に対応する変動中保留図柄11が表示されつつ、変動前保留図柄12に関しては第一保留情報に対応するものが表示された状態が維持される(
図12(a)~(c)参照)。
【0055】
全ての第二保留情報が消化された後は、第一保留情報に対応する当否判定結果の報知が開始されるから、当該第一保留情報(消化順が最も早いもの)に対応する変動中保留図柄11が表示された状態となる(
図13(a)参照)。このような状態となっても、変動中保留図柄11が表示される位置は変化しない。すなわち、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されており、第二保留情報に対応する変動中保留図柄11が表示されている状態となったときにおける当該変動中保留図柄11が表示される位置(
図12参照)と、第一保留情報のみが記憶手段に記憶されており(第二保留情報は全て消化されており)、第一保留情報に対応する変動中保留図柄11が表示されている状態における当該変動中保留図柄11が表示される位置(
図13参照)は同じである。
【0056】
また、変動前保留図柄12に関しては、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている状態、および、第一保留情報のみが記憶手段に記憶されている状態のいずれであっても、第一保留情報の存在を示す変動前保留図柄12が表示されるのであるから当然ではあるが、前者の状態で変動前保留図柄12が表示される位置(
図12参照)と、後者の状態で変動前保留図柄12が表示される位置は同じである(
図13参照)(なお、ここでいう「位置が同じ」とは、消化順が同じ変動前保留図柄12同士を比較した場合でのことをいう)。
【0057】
すなわち、本実施形態では、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている状態における保留図柄10の表示態様(表示様式)(
図12参照)を、第一保留情報のみが記憶手段に記憶されている状態における保留図柄10の表示態様(表示様式)(
図13参照)と同じとしている。具体的には、従来の保留図柄の表示態様の一例として
図14の参考図に示すように、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されているときに、それぞれを個別に表示するといった表示態様ではない。第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている状況はそれほど多く発生するものではないから、当該状況にあるとき「専用の表示態様」を設けるのではなく、第一保留情報のみが記憶手段に記憶されている状態における保留図柄10の表示態様と同じとすることで、保留図柄10を表示する領域の狭小化(表示領域911の有効活用)、保留図柄10の表示制御の容易化を図っている。
【0058】
なお、
図12および
図13に示した例は、高ベース状態から低ベース状態に移行した後、一定期間中は新たな保留情報が取得されないと仮定したケースのものである。低ベース状態に移行した後、新たな保留情報が取得されたときであっても、上記法則に沿って特殊表示を行う。低ベース状態に移行するのであるから、遊技者が左打ち遊技を開始して新たに第一保留情報が取得される可能性があることになるが、全ての第二保留情報が消化されるよりも前に新たに第一保留情報が取得されたときには、それを示す変動前保留図柄12が表示されることになる。
【0059】
このように、本実施形態における特殊表示は、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている場合、変動中保留図柄11として優先的に消化される第二保留情報(特
図2)に対応するものが表示領域911に表示される(第一保留情報に対応するものは表示領域911に表示されない)。例えば、参考図(
図14)に示すように、第一保留情報と第二保留情報の両方が同じような態様(並び方)で表示される構成であると、第一保留情報と第二保留情報の両方が存在する状況がそれほど多く発生しないにも拘わらず、両保留情報に対応する保留図柄10を表示するための領域を確保しなければならないのに対し、本実施形態ではこのような領域を確保する必要はない。
【0060】
また、本実施形態における特殊表示は、記憶手段に二以上の第二保留情報が記憶されている場合であっても、変動前保留図柄12として第二保留情報に対応するものは表示領域911に表示されない。遊技状態は既に低ベース状態(第一保留情報の取得を目指す遊技状態)に移行しているのであるから、第二保留情報に対応する変動前保留図柄12を表示することで第二保留情報の数等を遊技者に敢えて示す必要はないといえる。
【0061】
また、本実施形態における特殊表示は、記憶手段に一以上の第一保留情報が記憶されている場合には、変動前保留図柄12として第一保留情報に対応するものが表示装置91に表示される。遊技状態は既に低ベース状態(第一保留情報の取得を目指す遊技状態)に移行しているのであるから、変動前保留図柄12を用いて第一保留情報の数を示すことで、低ベース状態に移行したときに第一保留情報の取得を目指して遊技(本実施形態では左打ち遊技)を開始すべきかどうか遊技者の判断材料とすることができる。例えば、低ベース状態に移行したときに、四つの変動前保留図柄12が表示されているのであれば、記憶手段には記憶可能な最大数(四つ)の第一保留情報が記憶されている状態にあるといえるから、第一保留情報の記憶領域が空くまで遊技開始を待つという選択を遊技者が採ることもできる。
【0062】
また、本実施形態における特殊表示は、一部の保留情報に対応する保留図柄10が表示されないものであるといえるが、一の第二保留情報に対応する当否判定結果(はずれ)が報知されて、次の第二保留情報に対応する当否判定結果の報知が開始されるようなときには、保留図柄10の状態は変わらない(例えば、
図12(a)と(b)を比較すれば分かるように、一の第二保留情報が消化される前後で保留図柄10の表示態様の「見た目」は変わらない)のであるから、遊技者は、第二保留情報に対応する当否判定結果が順に報知(消化)され、第一保留情報については第二保留情報の消化を待っている状態であるということを把握することが可能である。
【0063】
以下、上記実施形態における特殊表示に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0064】
〇第一具体例
上記実施形態では、メインの表示装置91(識別図柄80が表示される表示装置)の表示領域911に保留図柄10が表示されるものであることを説明したが、メインの表示装置91とは別の表示装置の表示領域に保留図柄10が表示されるものとしてもよい。また、複数のランプを設け、各ランプの点灯の有無により記憶手段に記憶されている保留情報の状況を示す構成としてもよい。このような構成とする場合には、第一保留情報と第二保留情報の両方が存在している状況において、全ての保留情報の存在を示すのに必要なランプを設ける必要がない(ランプの数を多くする必要がない)といった利点がある。すなわち、上記実施形態と同様に、第一保留情報の最大の記憶数が四つであれば、変動中保留情報(一つ)と変動前保留情報(四つ)を示す計五つのランプを備えていればよく、それ以上は必要がないという利点がある。なお、このような構成においては、当該ランプが「保留図柄を表示する表示装置」に相当する(「ランプの点灯」が保留図柄に相当する)ものとする。
【0065】
〇第二具体例
上記実施形態では、保留図柄10の態様により対応する当否判定結果の大当たり信頼度を示唆するいわゆる保留変化が発生しないものとして説明しているが、保留変化が発生するものであってもよい。
【0066】
〇第三具体例
上記実施形態では、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されている場合、第二保留情報に対応する当否判定結果の報知が優先的に実行される(特
図2優先消化である)ものであることを説明したが、第一保留情報に対応する当否判定結果の報知が優先的に実行される(特
図1優先消化である)設定としてもよい。この場合には、上記実施形態にて説明した事項に関し、第一保留情報と第二保留情報の関係を逆にした構成とすればよい。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0068】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0069】
・手段1-1
当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、ある当否判定情報が取得されたとき、当該ある当否判定情報よりも前に取得された先の当否判定情報に基づく先の当否判定結果の報知が完了していないときには、当該ある当否判定情報を変動前保留情報として記憶する記憶手段と、前記変動前保留情報が取得されることにより発生しうる演出であって、前記先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する後演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、ある当否判定結果の信頼度を示唆する後演出が、事後的に新たな当否判定情報(変動前保留情報)が取得されることを契機として発生するという斬新なものであるため、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0070】
・手段1-2
前記後演出は、前記変動前保留情報が取得されることにより表示される演出画像の態様により、前記先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
後演出として、信頼度を示唆する画像を表示することを例示することができる。
【0071】
・手段1-3
前記演出画像は、前記変動前保留情報が取得されたことを示す保留図柄であり、前記後演出は、前記保留図柄の態様により、前記先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
後演出は、変動前保留情報の取得を契機として発生するものであるから、当該変動前保留情報が取得されたことを示す保留図柄の態様により、先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されるようにすることで、後演出の発生の契機が分かりやすくなる。
【0072】
・手段1-4
前記後演出は、前記変動前保留情報が取得されることにより出力される効果音である保留取得音の態様により、前記先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすれば、変動前保留情報が取得されたときに出力される音の態様に注目させる遊技性を実現することが可能である。
【0073】
・手段1-5
前記後演出は、前記変動前保留情報が取得されることにより発光する発光部の発光態様により、前記先の当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすれば、変動前保留情報が取得されたときに発光することがある発光部の発光態様に注目させる遊技性を実現することが可能である。
【0074】
・手段2-1
当否判定手段と、前記当否判定手段による当否判定に用いられる保留情報であって、第一始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第一保留情報、および第二始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第二保留情報を記憶する記憶手段と、前記保留情報のうち、対応する当否判定結果を報知する演出が開始されていない変動前保留情報の存在を示す変動前保留図柄と、対応する当否判定結果を報知する演出が開始されているものの当否判定結果の報知が完了していない変動中保留情報の存在を示す変動中保留図柄を表示する表示装置と、を備え、前記第一保留情報と前記第二保留情報の両方が前記記憶手段に記憶されている場合、前記第二保留情報を用いた当否判定結果の報知が優先的に実行されるように設定されており、前記変動中保留図柄として前記第一保留情報に対応するものが前記表示装置に表示されずに、前記第二保留情報に対応するものが前記表示装置に表示される特殊表示を実行することが可能であることを特徴とする。
上記遊技機によれば、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されているときであっても保留図柄を簡易的に表示することが可能である。
【0075】
・手段2-2
前記特殊表示は、前記記憶手段に二以上の前記第二保留情報が記憶されている場合であっても、前記変動前保留図柄として前記第二保留情報に対応するものは前記表示装置に表示されないものであることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
第二保留情報に対応する変動前保留図柄を表示しなくても、遊技者が不都合を感じるおそれは低い。
【0076】
・手段2-3
前記特殊表示は、前記記憶手段に一以上の前記第一保留情報が記憶されている場合には、前記変動前保留図柄として前記第一保留情報に対応するものが前記表示装置に表示されるものであることを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
優先消化されない方の保留情報である第一保留情報が変動前保留図柄として示されるようにすることで、特殊表示がなされているときであっても、第一保留情報の数等を把握することが可能である。
【0077】
・手段2-4
前記記憶手段に前記第一保留情報と前記第二保留情報の両方が記憶されており、前記第二保留情報に対応するものとして前記変動中保留図柄が表示された状態から、前記第二保留情報に対応する当否判定結果の報知が完了することで前記記憶手段に前記第一保留情報のみが記憶されており、前記第一保留情報に対応するものとして前記変動中保留図柄が表示された状態に推移しても、前記変動中保留図柄が表示される位置は変化しないことを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、第一保留情報と第二保留情報の両方が記憶手段に記憶されているときと、第一保留情報のみが記憶手段に記憶されているとき(第二保留情報が記憶手段に記憶されていないとき)とで、変動中保留図柄の表示態様を変化させる等の処理が必要なくなるため、制御が容易である。
【符号の説明】
【0078】
1 遊技機
10 保留図柄
11 変動中保留図柄
12 変動前保留図柄
20 演出画像(21~23 第一演出画像~第三演出画像)
60 発光部
70 スピーカ
80 識別図柄
904 始動領域(904a 第一始動領域 904b 第二始動領域)
91 表示装置
911 表示領域