(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230405BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2018166618
(22)【出願日】2018-09-06
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
【審査官】眞壁 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-187590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、第一遊技状態および当該第一遊技状態よりも遊技者に有利な第二遊技状態が設定された遊技機であって、
対象当否判定結果を報知する報知演出を構成する演出として、成功結末または失敗結末に至る演出であって、成功結末に至った場合には当該対象当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まる特定演出が発生しうるものであり、
前記第一遊技状態および前記第二遊技状態のいずれであるかが把握困難または不可能な状態にて、前記特定演出が失敗結末に至った
ことが判明した後、前記第二遊技状態である蓋然性が高まったことを示唆する
モードアップ演出が発生しうることを特徴とする遊技機。
ただし、前記特定演出が前記成功結末および前記失敗結末のいずれに至るかが判明していない状態においては、前記モードアップ演出の発生が示唆されていないものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、大当たり遊技終了後の遊技状態が時短状態か確変状態か分からないようにして、種々の要素により遊技者に推定させるようにした遊技機が記載されている。このように、多くの遊技機においては、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆することで、遊技の趣向性の向上を図る試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、当たり遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定結果が当たりとなったときに実行される当たり遊技中に開放される特典領域と、前記特典領域とは異なる領域であって、前記特典領域を狙って遊技球を発射させたとときに、当該特典領域に入賞しない遊技球の少なくとも一部が入賞する可能性がある一般入賞領域と、前記一般入賞領域に遊技球が入賞することにより前記当たり遊技中に発生しうる演出であって、発光部の発光態様により遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆する入賞演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、当たり遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された識別図柄、保留図柄を示した図である。
【
図4】入賞演出に関する第一具体例を説明するための図である。
【
図5】入賞演出に関する第四具体例を説明するための図である。
【
図7】特定演出時におけるモード移行を説明するための図である。
【
図8】特定演出に関する第二具体例を説明するための図である。
【
図9】特定演出に関する第三具体例を説明するための図(その一)である。
【
図10】特定演出に関する第三具体例を説明するための図(その二)である。
【
図11】演出選択機能の概要を説明するための図である。
【
図12】演出選択機能に関する第四具体例を説明するための図である。
【
図13】演出選択機能に関する第五具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)全体構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口10、アウト口907などが設けられている。
【0010】
表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認されるものである。なお、一部の図においては、遊技盤90に覆われずに露出する表示領域911の形状を簡略化して記載する(方形状に記載する)が、当該部分の大きさや形状は適宜変更可能である。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口10等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する。このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい。本実施形態では、第一始動入賞口904a(いわゆる特
図1の始動入賞口)および第二始動入賞口904b(いわゆる特
図2の始動入賞口)が設けられている。第一始動入賞口904aは遊技領域902の左側に進入した遊技球が入賞する可能性がある(いわゆる左打ちを行うことで入賞する可能性がある)部分であり、第二始動入賞口904bは遊技領域902の右側(以下、右側の遊技領域902Rと称することもある)に進入した遊技球が入賞する可能性がある(いわゆる右打ちを行うことで入賞する可能性がある)部分である。
【0014】
始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(
図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。なお、一部の図においては、識別図柄80の記載を省略するが、基本的には、当否判定結果を報知する報知演出が実行されている最中は、当該識別図柄80(識別図柄群)が表示され続ける。
【0015】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80(識別図柄群)の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0016】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留図柄85が表示装置91の表示領域911に表示される(
図2参照)。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。保留図柄85を表示する専用の表示装置が設けられていてもよい。保留図柄85の態様は常に同じであってもよいし、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する通常の保留図柄85とは異なる態様の一または複数種の特殊図柄が設定されていてもよい。
【0017】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0018】
2)入賞演出
本実施形態にかかる遊技機1は、当否判定結果が大当たりとなったときに大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、一または複数の単位遊技(「ラウンド」等と称される)を含むものである。単位遊技は、所定条件成立まで大入賞口10が開放されるものである。所定条件の一つとして、「所定数の遊技球が大入賞口10に入賞したこと」が設定されている。本実施形態では、10個の遊技球が大入賞口10に入賞することで一の単位遊技が終了する(いわゆるカウント数が「10」である)。また、所定条件の一つとして、「大入賞口10が開放されてから所定時間が経過したこと」が設定されている。大入賞口10は右側の遊技領域902Rに設けられており、大当たり遊技においては、遊技者は当該右側の遊技領域902Rに遊技球が進入するよういわゆる右打ち遊技を行うことになる。遊技者が右打ちを継続的に行っていれば、ほぼ確実に所定時間が経過するよりも前に10個の遊技球が大入賞口10に入賞するように構成されている。
【0019】
右側の遊技領域902Rには、大入賞口10に加え、一般入賞口20(本願発明における一般入賞領域に相当する)が設けられている。一般入賞口20に遊技球が進入することを契機として所定数の遊技球(賞球)が払い出される(賞球数は適宜設定することができる)。このような一般入賞領域が右側の遊技領域902Rに設けられているため、大当たり遊技において遊技者がいわゆる右打ち遊技を行ったときには、右側の遊技領域902Rに進入した遊技球は、大入賞口10だけでなく、一般入賞領域に入賞する可能性もある(
図1参照)。大入賞口10と一般入賞口20の一方に入賞しない遊技球が、他方に入賞する可能性があると捉えることもできる。各単位遊技において遊技球が大入賞口10に入賞することによって得られる賞球を「獲得できることが確定している分」と捉えるのであれば、一般入賞領域に入賞することによって得られた賞球は「得をした分」と捉えることができる。
【0020】
本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技中に、当該一般入賞口20を利用した入賞演出を実行することが可能である。入賞演出は、その結末の態様により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆するものである。本実施形態では、大当たり遊技終了後の遊技状態を示唆する。具体的には、当否判定結果が大当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、当否抽選に当選する確率が低い通常遊技状態(低確率遊技状態)と、確率が高い特別遊技状態(高確率遊技状態;いわゆる確率変動(確変)状態)が設定されており、入賞演出の結末の態様により、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる蓋然性が示唆される。つまり、入賞演出により示唆される対象である「遊技者に有利な事象」として、「特別遊技状態に移行すること」が設定されたものである。
【0021】
本実施形態では、大当たり遊技終了後の少なくとも一部において、現在設定されている遊技状態が通常遊技状態であるか特別遊技状態であるか遊技者には区別することができない特殊状態(いわゆる潜伏確変の可能性がある状態)に推移する。当該特殊状態が特別遊技状態である蓋然性が、入賞演出の結末の態様により示唆される。
【0022】
なお、本実施形態における特殊状態は、通常遊技状態および特別遊技状態のいずれである場合であっても、第二始動入賞口904bに遊技球が入賞しやすい高ベース状態(いわゆる時短状態)である。具体的には、第二始動入賞口904bは、その入口に設けられた開閉部材が開位置に位置することで、遊技球が容易に入賞する状態となるものであり、高ベース状態は、遊技球が普通始動領域905(
図1参照)に進入することを契機とした第二始動入賞口904bの開放抽選に当選しやすい状態である。つまり、頻繁に開閉部材が開位置に位置することになるから、比較的容易に第二始動入賞口904bに遊技球が入賞する。このように、本実施形態における大当たり遊技終了後は、「低確率かつ高ベース状態」および「高確率かつ高ベース状態」の一方の遊技状態に移行するものであり、高ベース状態となることは両者に共通するものであるから、当否抽選に当選する確率が高い後者に移行することが「遊技者に有利な事象」として設定されている。「低確率かつ高ベース状態」は、所定回数(例えば100回)の当否抽選が連続してはずれとなるまで継続する。「高確率かつ高ベース状態」は次回の大当たりが発生するまで継続する。
【0023】
入賞演出(
図3参照)は、段階的に進行する(ステップアップする)ものである。本実施形態では、発光部30の発光態様が段階的に変化していく。後述するように、発光部30の発光態様は、一般入賞口20への遊技球の入賞により制御されるものであるため、当該発光部30は一般入賞口20自体またはその近傍に設けられていることが好ましい。
【0024】
本実施形態では、発光部30の発光色(発光態様)として、「白」、「青」、「緑」、「赤」、「虹」の五種類が設定されており、当該発光部30の発光態様により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆する(各図においては、当該発光色を「文字」で示す)。入賞演出の実行前に、大当たり遊技終了後の遊技状態を踏まえた事前抽選により、当該入賞演出の結末の態様を決定する。本実施形態では、「白」の場合は5%、「青」の場合は10%、「緑」の場合は30%、「赤」の場合は70%、「虹」の場合は100%の確率で大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となるように設定されている(以下、当該確率を「期待度」と称することもある)。ただし、詳細を後述するように、入賞演出は結末まで進行するとは限らない。また、当該確率が高まる順が入賞演出の進行順として設定されている。
【0025】
大当たり遊技中に一般入賞口20に遊技球が入賞したことを契機として、入賞演出を結末に向けて一段階進行させるか否かの抽選(以下、進行抽選と称する)が行われる。本実施形態では、大当たり遊技が開始された時点で発光部30は「白」で発光した状態にある(初期状態が「白」である)。事前抽選により決定された結末の態様が「白」以外の態様である場合には、一般入賞口20に遊技球が入賞することを契機として進行抽選を行う。本実施形態では、進行抽選の当選確率が5%に設定されている。当該進行抽選に当選すると発光部30の態様が上記進行順で変化していく。
【0026】
例えば、事前抽選により、入賞演出の結末の態様が「緑」に決定されたものとする。かかる入賞演出(
図3参照)において、発光部30が「白」である状態(初期状態)で進行抽選に当選した場合には、発光部30が「青」となる。進行抽選に当選しない限り、「白」の状態が維持される(
図3(a)~(d)参照)。発光部30が「青」である状態で進行抽選に当選した場合には、発光部30が「緑」となる。事前抽選により入賞演出の結末の態様が「緑」に決定されているのであるから、発光部30が「緑」となった後は一般入賞口20に遊技球が入賞したとしても、発光部30の態様は変化しない(進行抽選が実行されない)(
図3(e-1)参照)。つまり、発光部30が「緑」の状態が維持される。ここで、発光部30が「白」や「青」である状態で進行抽選に当選するという事象が発生しなかった場合には、発光部30が「緑」とならずに入賞演出が終了することになる(
図3(e-2)参照)。つまり、入賞演出が結末に到達せずに終了することになる。
【0027】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技中に遊技球が一般入賞口20に入賞しうることを利用した入賞演出により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるというものである。つまり、一般入賞口20を、単なる賞球の契機とするだけではなく、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性の示唆に利用したものであるから、遊技者は大当たり遊技中に一般入賞口20への遊技球の入賞にも注目することになり、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0028】
また、本実施形態における入賞演出は、その結末の態様により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるものであるが、当該入賞演出が結末に到達するとは限らない。例えば、大当たり遊技中における一般入賞口20への入賞数が少ない場合には、その分進行抽選の実行回数が少なくなるため、入賞演出に結末に到達しない蓋然性が高くなる。一般入賞口20への入賞数が比較的多い場合であっても、進行抽選に当選せず、入賞演出が結末に到達しないことも起こりうる。したがって、入賞演出による期待度示唆作用を享受したい遊技者は、一般入賞口20に遊技球が多く入賞することを願う遊技性を実現することが可能である。また、入賞演出が遊技者にとって思うように進行しなくても、進行抽選に当選していないだけであるとも考えられるため、どのような状況であっても遊技者に有利な事象が発生することに期待がもてる遊技性を実現することが可能である。
【0029】
以下、上記実施形態における入賞演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0030】
○第一具体例
上記実施形態における入賞演出は、初期状態において発光部30が「白」で発光しているものであることを説明したが、初期状態においては発光部30が発光していない(「発光無」)ものとしてもよい。つまり、発光部30は、大当たり遊技において一般入賞口20に遊技球が入賞することを契機として発光するものとする(
図4参照)。このようにすることで、遊技者は、一般入賞口20への入賞を契機に発光部30の態様が変化していることに気付きやすくなる。つまり、遊技者が入賞演出の存在(発光部30の発光態様が何らかの示唆を行っているということ)に気付きやすいという利点がある。
【0031】
また、本例の場合、発光部30の初期状態である「発光無」は、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆するものではない。したがって、「発光無」から「白」(複数種の発光態様のうち、最も期待度が低い態様)への発光部30の態様の変化に関しては、上述した進行抽選が行われないようにしてもよい。つまり、大当たり遊技が開始されてから、最初の一般入賞口20への遊技球の入賞を契機として「発光無」から「白」への変化が生じるようにする(
図4参照)。このようにすることで、比較的早い段階で発光部30の態様の変化が生じる蓋然性が高まるから、遊技者が入賞演出の存在より気付きやすくなる。
【0032】
○第二具体例
上記実施形態では、進行抽選に当選する確率が常に同じであることを説明したが、進行抽選に当選する確率が変化しうる設定としてもよい。
【0033】
○第三具体例
上記実施形態では、事前抽選により予め入賞演出の結末の態様が決定されることを説明したが、このような結末の態様が決定されず、進行抽選の確率の高低により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるようにしてもよい。具体的には、上記実施形態と同様に、入賞演出が段階的に進行する構成とするとともに、遊技者に有利な事象が発生するときの方が、当該事象が発生しないときに比して、進行抽選に当選する確率が高いものとする。
【0034】
このようにすれば、遊技者に有利な事象が発生する場合のときほど、入賞演出の進行の度合が高まるものとなる。上記実施形態に則していえば、遊技者に有利な事象が発生する場合のときほど、発光部30の発光態様が上記進行順に沿ってより進行しやすくなるということであるから、最終的な発光部30の発光態様により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されるといえる。一般入賞口20への遊技球の入賞頻度が高くなるほど、進行抽選の実行回数が多くなるということであるから、当該入賞頻度が高くなるほど進行抽選の高低を予測しやすくなるという楽しみ方もある。
【0035】
○第四具体例
上記実施形態における入賞演出は、段階的に進行していくものであり、場合によっては結末に到達せずに終了するものであることを説明したが、このような段階的に進行するものに限られない。例えば、入賞演出の結末により、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性が示唆されることは上記実施形態と共通するものの、大当たり遊技中(入賞演出が実行される期間中)に一般入賞口20に入賞した遊技球の数がN個(Nは1以上の自然数である)に到達した場合には入賞演出が結末に至るものの、N個に到達しなかった場合(N個未満である場合)には入賞演出が結末に至らない態様とされる。
【0036】
上記実施形態に則していえば、事前抽選により、結末となる発光部30の態様(「白」、「青」、「緑」、「赤」、「虹」のいずれか)が決定される。一般入賞口20に入賞した遊技球の数がN個未満である状態においては、発光部30は上記いずれの態様ともされない(例えば非発光状態とされる)。一般入賞口20に入賞した遊技球の数がN個に到達したときには、それを契機として、事前抽選により決定された態様に発光部30を発光させる(
図5参照)。
【0037】
○第五具体例
入賞演出が実行される期間は、大当たり遊技の一部の期間であってもよい。例えば、大当たり遊技を構成する複数の単位遊技のうち、一部の単位遊技が実行されている期間中に入賞演出が実行される(当該期間中における一般入賞口20への入賞が入賞演出に反映されるようにする)ことが考えられる。
【0038】
○第六具体例
上記実施形態における入賞演出は、発光部30の態様により期待度を示唆するものであるが、それ以外の要素により期待度が示唆されるものとしてもよい。例えば、表示領域911に表示される画像により期待度が示唆されるものとしてもよい。
【0039】
3)特定演出
本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技終了後の遊技状態が、「低確率かつ高ベース状態」および「高確率かつ高ベース状態」の一方の遊技状態に移行する。前者を第一遊技状態、後者を第二遊技状態とすれば、前者に比して後者の方が遊技者に有利な状態であるといえる。本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技終了後、第一遊技状態および第二遊技状態のいずれであるかが遊技者には把握困難または不可能な不確定モードに移行する場合がある。つまり、不確定モードは、大当たりに当選する確率が高い状態であるか低い状態であるか遊技者には分からないモードである。不確定モードの具体的態様はどのようなものであってもよい。不確定モードを示す「〇〇モード」といった文字を含む表示がなされる態様とすることや、不確定モード専用の演出が発生する態様とすることが例示できる。
【0040】
なお、大当たり遊技終了後に第一遊技状態および第二遊技状態に移行するかは、当選した大当たりの種類により決まっているため、当該大当たりの種類を判別することができれば、いずれの遊技状態に移行したか分かる。しかし、従来一般の遊技機と同様に、大当たりの種類を正確に判別するためには、図示しないLED群の発光パターン(大当たり当選時に示されるパターン)と大当たりの種類の対応関係を見出さなければならないため、大当たりの種類を正確に判別するのは困難である。少なくとも、何等の情報も持っていない遊技者は、第一遊技状態および第二遊技状態のいずれに移行したのか判別することはできない。ただし、不確定モード中に、遊技状態を示唆するような演出が発生してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、不確定モードとは別のモードとして、確定モードが搭載されている。確定モードは、第二遊技状態であることが確定するモードである。当該確定モードは、不確定モードとは異なるモードであることが遊技者に把握可能であればよい。本実施形態では、少なくとも、識別図柄80の背景画像(動画、静止画の両方を含む)として表示される画像が、確定モードと不確定モードとで異なる(背景画像については図示しない)。当該確定モードに移行した場合、次回大当たりまで第二遊技状態が継続することになる。
【0042】
なお、本実施形態では、特定の識別図柄80(例えば「7」の識別図柄80)の三つ揃いにより大当たりが報知された場合には、当該大当たり遊技終了後に第二遊技状態となることが確定するように設定されているため、このような場合には大当たり遊技終了後のモードが確定モードとされる。つまり、大当たり遊技終了後のモードは、常に不確定モードとされるのではなく、確定モードとされる場合もある。
【0043】
不確定モードにおいては、特定演出が発生することがある。特定演出は、基本的には、いわゆるリーチが成立するかどうかを示す「煽り演出」である。本実施形態では、当否判定結果を示す三つの識別図柄80のうち、左の識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄80と、右の識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄80が同じ識別図柄80であることがリーチとして設定されている。リーチが成立することは、三つの識別図柄80が同じとなる可能性があるということであるため、対象の当否判定結果が当たりとなる可能性があるということである。対象の当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったとみることもできる。つまり、リーチの成立は、遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。本実施形態における特定演出は、不確定モードで発生するものであって、内部的に第二遊技状態である可能性があるものであるから、リーチの成立は大当たりとなることに期待がもてる状況であるといえる。
【0044】
特定演出(煽り演出)は、左の識別図柄群から選択されて停止または擬似停止した識別図柄80と同じ識別図柄80が、右の識別図柄群から選択されて停止しそうになることを示すような演出である(
図6(a)(b)参照)。つまり、リーチが成立しそうな状況であることを「煽る」演出である。特定演出の基本的な結末としては、「煽り」の後、リーチが成立する成功結末(
図6(c-1)参照)と、リーチが成立しない失敗結末(
図6(c-2)参照)が設定されている。失敗結末となる場合、対象の当否判定結果がはずれであることが確定する。
【0045】
本実施形態では、特定演出が成功結末とならない場合、すなわち失敗結末となった場合、確定モードへの移行が発生する(
図6(c-2)、
図7(a)参照)ことがある。特定演出の成功結末を遊技者に有利な「所定の事象」の発生と捉えるのであれば、当該所定の事象が発生しなかったときには、不確定モードから確定モードへの移行(以下、確定モード移行と称する)が発生しうるということである。特定演出が成功結末となったときには確定モード移行は発生しない。不確定モードは、内部的に第一遊技状態および第二遊技状態のいずれの可能性もあるモードであるところ、内部的に第二遊技状態にある不確定モード中の特定演出が成功結末とならなかったときには、確定モード移行が発生することがある。なお、特定演出は、内部的に第一遊技状態にある不確定モード中にも発生しうる。ただし、当然ではあるが、内部的に第一遊技状態にある不確定モード中に発生する特定演出は、成功結末および失敗結末のいずれかが発生し、確定モード移行は発生しない。失敗結末となったときに確定モード移行が発生する確率は100%未満とされる(失敗結末となったときに必ず確定モード移行が発生するように設定されていない)。
【0046】
本実施形態における、確定モード移行が発生する場合の特定演出開始からの流れは次のようなものである。リーチが成立するのではないかという「煽り」(
図6(b)参照)を経て、リーチが成立しなかったことが示される(対象の当否判定結果がはずれであることが示される)(
図6(c-2)参照)。その後、次の当否判定結果を報知する演出が開始される(次の当否判定結果を報知する識別図柄群の変動が開始される)と略同時に、不確定モードの背景画像から確定モードへの背景画像への変化が発生する(
図7(a)参照)。つまり、本実施形態では、次変動から確定モードへの移行が発生する。確定モードへの移行が発生しなかったときには、不確定モードのまま次変動が開始される(
図7(b)参照)。
【0047】
このように、本実施形態では、特定演出は、リーチが成立するかどうかの「煽り」演出であるため、遊技者はリーチが成立することに期待することになる。逆の見方をすれば、リーチが成立しなかった場合には遊技者は落胆する可能性がある。しかし、リーチが成立しなった場合に、不確定モードから確定モードへの移行が発生しうるものであるため、落胆した感情が即座に喜びに切り替わるという演出効果が期待できる。
【0048】
特に、本実施形態における確定モード(第二遊技状態)は、次回大当たりまで継続するものであるため、当該確定モードへの移行は、大当たりとならない可能性もあるリーチ成立(成功結末)よりも遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。本実施形態における特定演出を経た確定モードへの移行は、リーチが成立しなかったことに落胆している遊技者に対し、リーチ成立よりも喜ばしい状況に移行したことを示す面白みのある演出の流れであるといえる。
【0049】
以下、上記実施形態における特定演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0050】
○第一具体例
上記実施形態における特定演出は、成功結末(所定の事象)としてリーチ成立が設定されたものであることを説明したが、遊技者にとって喜ばしい状況であることを示す結末が発生しうるものであればよい。そして、当該喜ばしい状況であることを示す結末が発生しなかったときに、不確定モードから確定モードへの移行が発生しうるようにするとよい。確定モード移行が発生するよりも前に遊技者を落胆させることで遊技の趣向性を向上させるものであることが狙いであるところ、落胆させるために用いる事象は「リーチ成立」に限られないということである。
【0051】
例えば、特定演出の成功結末を、大当たり確定を示す事象の発生とすることが考えられる。また、特定演出を押しボタン60等の操作手段を操作させる操作演出とし、当該操作演出の結末が、対象の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する結末となることを成功結末として設定することが考えられる。
【0052】
○第二具体例
特定演出における結末に至るまでの態様が複数種設定されたものとする。当該態様の差はどのようなものであってもよい。例えば、第一演出態様(
図8(a)参照)と第二演出態様(
図8(b)参照)が設定され、第一演出態様が発生した場合よりも、第二演出態様が発生した場合の方が、成功結末となる蓋然性が高い設定とする。第二演出態様がいわゆる「チャンスアップ」の態様とみることもできる。
【0053】
これを前提とし、第一演出態様(
図8(a)参照)が発生した場合よりも、第二演出態様(
図8(b)参照)が発生した場合の方が、失敗結末となったときにその後確定モードへの移行が発生する蓋然性が高い設定とする。第二演出態様が発生したときには、遊技者は特定演出が成功結末となることに期待するのが通常であるところ、このような場合に失敗結末となったときにはその落胆は大きなものとなる蓋然性が高いといえる。それを踏まえ、失敗結末となった後に、確定モードへの移行が発生しやすい設定とすることで、遊技者の大きな落胆が喜びに変わる頻度が高くなるようにして、遊技の趣向性向上を図る。
【0054】
また、上記構成とは逆の設定、すなわち、第二演出態様が発生した場合よりも、第一演出態様が発生した場合の方が、失敗結末となったときにその後確定モードへの移行が発生する蓋然性が高い設定とすることが考えられる。このようにすれば、第一演出態様は、第二演出態様に比してリーチ成立の蓋然性は低いものの、確定モード移行の蓋然性は高いという設定となる。つまり、遊技者によって喜ばしい事象である「リーチ成立」と「確定モード移行」の蓋然性の高低に関する示唆が真逆となることによる面白みがある構成とすることができる。
【0055】
○第三具体例
不確定モードとして、複数種のモードが設定され、いずれのモードが設定されているかに応じ、第二遊技状態である蓋然性の高低が異なるものとする。例えば、第一不確定モード、第二不確定モード、第三不確定モードが設定され、当該順で、第二遊技状態である蓋然性が高まる(第三不確定モードが最も高い)ものとする(
図9参照)。
【0056】
このような構成であることを前提とし、特定演出が失敗結末となったときには、不確定モードのランクアップ(モードアップ)が発生するものとする(
図10参照)。つまり、現在設定されている不確定モードから、より第二遊技状態である蓋然性が高まるモードへの変化が起こるものとする。具体的には、第一不確定モードから第二不確定モードへの変化や、第二不確定モードから第三不確定モードへの変化が発生しうるものとする。また、第一不確定モードから第三不確定モードへの変化(複数段階のモードアップ)が発生しうるものとしてもよい。このように、特定演出が失敗結末となったときに発生しうるモードの変化は、第二遊技状態であることを確定させるモード(確定モード)への変化ではなく、第二遊技状態である蓋然性が高まったことを示す変化であってもよい。
【0057】
4)演出選択機能
本実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技中にスピーカ70から出力される楽曲(背景楽曲)を複数種の楽曲のうちから選択することが可能である。搭載される楽曲(以下、候補楽曲と称することもある)の数は問わない。本実施形態では、楽曲1~楽曲10の10種類が候補楽曲として搭載されている。当該10種類の候補楽曲が常に選択可能なわけではない。詳細を後述するように、特定条件を満たすことで選択可能な候補楽曲の数が増えていく。以下の説明では、候補楽曲のうち、選択可能な楽曲を選択可能楽曲と、選択不能な楽曲を選択不能楽曲と称することもある。
【0058】
初期状態では、候補楽曲のうち、楽曲1~楽曲3の三曲が選択可能楽曲とされ、それ以外は選択不能楽曲とされる(
図11(a)参照)。つまり、楽曲1~楽曲3の三つが遊技者に選択肢として提示される。遊技者は、十字キーや押しボタン60といった操作手段を操作することで、選択可能楽曲のうちから好みの楽曲を選択すること(出力される楽曲を切り替える)ことができる。大当たり遊技が実行される一部の期間(例えば、1回目の単位遊技中)を楽曲が選択可能な期間として設定された構成としてもよいし、大当たり遊技中であれば常時楽曲を切り替えることが可能な構成としてもよい。また、選択不能楽曲がどのようなものであるか表示されるようにして、今後これらの楽曲が選択可能楽曲として追加される可能性があることを遊技者に示される構成としてもよい。なお、当該初期状態における選択可能楽曲の数等は適宜変更可能である。一曲のみが選択可能な構成(自動的に当該一曲が選ばれる構成)としてもよい。
【0059】
本実施形態では、特定条件が成立することを契機として、選択可能楽曲が増加していく。具体的には、特定条件が成立する度に、一の選択不能楽曲が、選択可能楽曲に切り替わる。特定条件が成立することを契機として、複数の選択不能楽曲が、選択可能楽曲に切り替わることがある構成としてもよい。
【0060】
本実施形態における特定条件は、利益数値40(詳細は後述)が予め定められた規定値に到達することである。複数の規定値が段階的に設定されており、利益数値40が各規定値に到達する度に、特定条件が成立したと判断し、選択可能楽曲が増加する(遊技者の選択肢が増加する)。本実施形態では7つ(7段階)の規定値が設定されており、利益数値40が各規定値に到達する度に一の選択不能楽曲が選択可能楽曲に切り替わる。利益数値40が一番大きい規定値に到達したときには、楽曲1~楽曲10の全てが選択可能楽曲となる。本実施形態では、利益数値40がある規定値に到達した場合(
図11(b)参照)、次の大当たり遊技にて、当該規定値に到達することにより選択可能楽曲となったものが選択可能となる(
図11(c)参照)。
【0061】
利益数値40は、当たり遊技において払い出された賞球数に基づく値を含むものである。本実施形態では、大入賞口10に遊技球が入賞することにより払い出された賞球数がそのまま利益数値40として表示される(
図11参照)。ただし、これ以外の値が含まれていてもよい。例えば、大当たり遊技中に一般入賞口20に遊技球が入賞することにより払い出された賞球数が利益数値40に含まれていてもよい。また、大当たり遊技間において払い出された賞球数が利益数値40に含まれていてもよい。また、払い出された賞球数から、発射された遊技球の数を差し引いたいわゆる「差球」の値を利益数値40としてもよい(「利益数値=賞球-発射遊技球数」とする)。
【0062】
利益数値40は、所定のリセット条件が成立したときにリセットされる。本実施形態では、いわゆる「連チャン」が継続している限りにおいて利益数値40はリセットされない。上述した通り、本実施形態では、大当たり遊技終了後の遊技状態は、高ベース状態(時短状態)であることは共通する。すなわち、大当たりの抽選確率は、高確率であるときもあれば低確率であるときもあるものの、高ベース状態で大当たりに当選したときには「連チャン」扱いとし、利益数値40はリセットされないように設定されている。つまり、本実施形態では、高ベース状態が終了し、低ベース状態に移行することをリセット条件の成立としている。「連チャン」が継続すればするほど、大当たり遊技により得られる賞球数が増加するのであるから、利益数値40が増加していくことになる。つまり、選択可能楽曲の数が増加していくことになる。
【0063】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、大当たり遊技において払い出された賞球数に基づく値を含む利益数値40が所定の規定値に到達することを契機として、演出に関する選択肢(本実施形態では、背景楽曲として出力される楽曲の選択肢)が増加する。連チャン回数といった要素ではなく、いわゆる出玉が増加することで選択肢が増加するという斬新な遊技性を遊技者に対して提供することができる。
【0064】
以下、上記実施形態における演出選択機能に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0065】
〇第一具体例
大当たり遊技を構成する単位遊技の数(以下、ラウンド数と称することもある)が異なる複数種の大当たりが設定されているものとする。より具体的には、いわゆる連チャン中に当選しうる大当たりに関し、ラウンド数が異なる大当たりが複数種設定されているというものである。本実施形態における遊技機1は、高ベース状態にあるときには右打ち遊技がなされ、第二始動入賞口904bに遊技球が入賞することを契機とした当否抽選(いわゆる特
図2の抽選)による大当たり当選を目指すものであるから、当該当否抽選により当選しうる大当たりとして、ラウンド数が異なるものが複数種設定されたものとする。例えば、16ラウンド大当たり、8ラウンド大当たり、4ラウンド大当たりの三種類が設定されているとする。
【0066】
このようなラウンド数が異なる複数種の大当たりが設定されている場合、いわゆる連チャン回数と利益数値40の大小関係が完全にはリンクしない設定となる。例えば、当選した二回の大当たりが8ラウンド大当たりと4ラウンド大当たりである場合よりも、一回の16ラウンド大当たりに当選した場合の方が賞球の数は多くなる。上述した通り利益数値40は、賞球数が多くなるほど大きくなる値であるため、遊技者が選択可能な選択肢が増加することに対しては、連チャン回数よりもラウンド数の多い大当たりに当選することが重要となる。
【0067】
従来の遊技機としては、連チャン回数に応じて演出に関する遊技者の選択肢が増加するものが知られていた。この種の遊技機においては、ラウンド数が少ない大当たりに当選しても、連チャン回数に「1」が加えられるため、場合によっては賞球(出玉)があまり得られていないにも拘わらず連チャン回数が増加することで遊技者の選択肢が増えるという状況が生じることがあった。このような状況で選択肢が増加することは、連チャンしているものの出玉があまり得られていないことに対する遊技者の落胆を増長させてしまうおそれがある。これに対し、利益数値40による制御がなされるようにすれば、出玉の増加と選択肢の増加がリンクするため、このような状況が発生するおそれは低い。
【0068】
〇第二具体例
上記実施形態では、利益数値40が所定の規定値に到達することが特定条件の成立として設定されていることを説明したが、利益数値40が所定の規定値に到達することに加え、別の事項の成立が特定条件の成立に必要な構成としてもよい。当該別の事項の成立としては、リセット条件が成立するまでに当否判定結果が当たりとなった回数、すなわち連チャン回数が所定回数に到達することが例示できる。例えば、初期状態から選択肢が1増加するためには、利益数値40が規定値に到達するとともに、連チャン回数が3回に到達すること(3回以上となること)を条件とし、さらに選択肢が1増加するためには、利益数値40が次の規定値に到達するとともに、連チャン回数が5回に到達すること(5回以上となること)を条件とする・・・といったような構成とすることが考えられる。つまり、賞球(出玉)に基づく条件だけでなく、連チャン回数に基づく条件が成立することを、選択肢増加の要件として設定することが考えられる。
【0069】
このようにすることで、賞球および連チャン回数の一方のみではなく、他方が増加することが選択肢の増加に必要になり、選択肢増加のためのハードルが上がるため、上記実施形態とは異なる遊技の趣向性が発現されるものとなる。
【0070】
〇第三具体例
上記実施形態では、特定条件の成立時に増加する選択肢は、背景楽曲として設定できる選択可能楽曲であることを説明したが、演出に関するものであれば当該選択肢は適宜変更可能である。当該選択肢の別例として、以下のようなものを挙げることができる。
【0071】
上記実施形態にかかる遊技機1は、大当たり遊技終了後に高ベース状態に移行するものである。つまり、通常遊技状態(低ベース状態)よりも有利な遊技状態(以下、特定遊技状態と称する)に移行するものであるといえる。当該特定遊技状態(高ベース状態)にて実行される演出の基本的態様が、遊技者の選択により変化するものとする。例えば、特定遊技状態における演出の基本的態様(モード)として、キャラクタAがモチーフとなる演出態様A、キャラクタBがモチーフとなる演出態様B、キャラクタCがモチーフとなる演出態様Cの三種類が、初期状態から選択可能な選択肢として設定されているものとする。これに加え、キャラクタDがモチーフとなる演出態様D、キャラクタEがモチーフとなる演出態様Eが搭載されているものとする。演出態様D、演出態様Eは、初期状態では選択不能であるが、特定条件が成立することを契機として選択可能となる。具体的には、利益数値40がある規定値に到達することを契機として演出態様Dが、利益数値40が次の規定値に到達することを契機として演出態様Eが選択可能な構成とする。
【0072】
大当たり遊技中には、当該大当たり遊技終了後の特定遊技状態にて実行される演出態様の候補が提示される。具体的には、現在選択可能な演出態様が選択肢として提示される。遊技者は、十字キーや押しボタン60といった操作手段を操作することで好みの演出態様を選択することができる。特定条件が成立した場合には、特定条件が成立する前には選択することができなかった演出態様を選択することが可能となる。
【0073】
〇第四具体例
利益数値40が規定値に到達する、すなわち特定条件が成立して選択肢が増加したときには、その具体的態様が遊技者に示されるようにする。例えば、利益数値40が規定値に到達したときには、「楽曲〇追加!」といった表示がなされるようにする(
図12参照)ことで、利益数値40が規定値に到達することにより、選択肢が増加することを分かりやすく示すことが可能である。
【0074】
また、特定条件が成立して選択肢が増加する度に、利益数値40の表示態様を変化させることが考えられる。例えば、選択肢が増加する度に、利益数値40の表示色を変化させることも考えられる。このようにすることで、利益数値40が何らかの閾値に到達したことが示唆される。
【0075】
〇第五具体例
次の規定値が遊技者に示される構成とする。例えば、利益数値40が次の規定値(例えば10000PT)に到達するよりも前に「10000PTに到達すれば楽曲増加」といった表示を行う(
図13参照)ことで、利益数値40が当該値に到達すれば選択肢が増加することを遊技者に示す。このようにすることで、遊技者に目標ができることになり、遊技者の遊技意欲の向上に資する。「次の規定値」は、常時表示されるようにしてもよいし、現在の利益数値40が当該規定値に一定程度近づいたときに表示されるようにしてもよい。
【0076】
また、利益数値40が次の規定値に到達したときに増加する選択肢の具体的態様が示されるようにしてもよい。上記例に則していえば、どのような態様の楽曲が追加されるのかが示される(楽曲の名前等が示される)ようにしてもよい(
図13参照)。このようにすれば、示された選択肢を選択したいと考える遊技者の遊技意欲の向上の資する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0078】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0079】
・手段1-1
当否判定結果が当たりとなったときに実行される当たり遊技中に開放される特典領域と、前記特典領域とは異なる領域であって、前記特典領域を狙って遊技球を発射させたとときに、当該特典領域に入賞しない遊技球の少なくとも一部が入賞する可能性がある一般入賞領域と、前記一般入賞領域に遊技球が入賞することにより前記当たり遊技中に発生しうる演出であって、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆する入賞演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、遊技者は大当たり遊技中に一般入賞口への遊技球の入賞にも注目することになり、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0080】
・手段1-2
前記入賞演出は、その結末の態様により遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆するものであり、前記入賞演出が結末に至っていない状態においては、前記一般入賞領域に遊技球が入賞する度に、前記入賞演出を結末に向けて進行させるか否かの抽選が行われることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このような構成とすれば、入賞演出が遊技者にとって思うように進行しなくても、入賞演出を結末に向けて進行させる抽選に当選していないだけであるとも考えられるため、どのような状況であっても遊技者に有利な事象が発生することに期待がもてる遊技性を実現することが可能である。
【0081】
・手段1-3
前記入賞演出は、その結末の態様により遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆するものであり、前記一般入賞領域に入賞する遊技球の数が所定数となった場合には当該入賞演出が結末に至り、当該所定数未満である場合には当該入賞演出が結末に至ることなく終了することを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このようにすれば、入賞演出による期待度示唆作用を享受したい遊技者が、一般入賞口に遊技球が所定数以上入賞することを願う遊技性を実現することが可能である。
【0082】
・手段1-4
当否判定結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態と、当該通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態が設定されており、前記入賞演出により、前記当たり遊技状態終了後の遊技状態が前記特別遊技状態となる蓋然性が示唆されることを特徴とする手段1-1から手段1-3のいずれか一項に記載の遊技機。
このように、入賞演出により示唆される対象として、特別遊技状態となる蓋然性の高低を例示することができる。
【0083】
・手段2-1
現在の遊技状態が第一遊技状態であるか当該第一遊技状態よりも遊技者に有利な第二遊技状態であるかが把握困難または不可能な不確定モードにて発生する特定演出を実行することが可能な演出実行手段を備え、前記特定演出は、所定の事象が発生することで当否判定結果が当たりとなる可能性があることを示すものであり、前記特定演出にて前記所定の事象が発生しなかったときには、前記不確定モードから、前記第二遊技状態であることが確定する確定モードへの移行が発生する場合があることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、所定の事象が発生しないことで落胆した遊技者の感情が、確定モードへの移行による喜びに切り替わる場合があるという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0084】
・手段2-2
前記特定演出は、前記所定の事象としてリーチ態様が成立するか否かを示すものであり、当該リーチ態様が成立しなかった場合に前記確定モードへの移行が発生する場合があることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチ態様が成立しないことで落胆した遊技者の感情が、確定モードへの移行による喜びに切り替わる場合があるという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0085】
・手段2-3
前記第二遊技状態は、当否抽選に当選する確率が第一遊技状態に比して高い確率変動状態であり、当否抽選が当たりとなるまで継続する状態であることを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
このようにすることで、確定モードに移行することは、次回の当たりまで第二遊技状態が継続することであるから、当該確定モードへの移行は所定の事象が発生することよりも遊技者にとって喜ばしい事象であるともいえる。したがって、所定の事象が成立しなかったことによる落胆から、確定モードへの移行が発生したことによる喜びの差が大きくなり、遊技がより面白みのあるものとなる。
【0086】
・手段3-1
当否判定結果が当たりとなったときに当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、リセット条件が成立するまで、前記当たり遊技において払い出された賞球数に基づく値を含む利益数値を表示する利益数値表示手段と、を備え、前記利益数値が所定の規定値に到達することを含む特定条件が成立することを契機として、演出に関する遊技者の選択肢が増加することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、いわゆる出玉が増加することで選択肢が増加するという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0087】
・手段3-2
前記当たり遊技は、閉鎖条件が成立するまで所定の入賞領域が開放される単位遊技が一または複数回繰り返されるものであり、前記当たり遊技として、前記単位遊技の回数が異なる複数の種類が設定されていることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
単位遊技の回数(いわゆるラウンド数)が異なる複数種の当たり遊技が設定されている構成においては、選択肢が増加するためには、(いわゆる連チャン回数が多くなることよりも)単位遊技の回数が多い(すなわち、出玉が多い)大当たりに当選することが重要となる。
【0088】
・手段3-3
前記特定条件の成立には、前記利益数値が所定の規定値に到達することに加え、前記リセット条件が成立するまでに当否判定結果が当たりとなった回数が所定回数に到達することが必要であることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このように、選択肢の増加のためには、出玉および連チャン回数の増加が必要となるような遊技性とし、選択肢の増加が発生することのハードルを高くした構成とすることも考えられる。
【0089】
・手段3-4
当否判定結果が当たりとなることを目指す遊技状態として、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態が設定されており、前記特定遊技状態中に実行される可能性がある演出の基本的態様として複数種の演出態様が設定されており、前記特定条件が成立することを契機として、遊技者が選択可能な前記演出態様が増加することを特徴とする手段3-1から手段3-3のいずれかに記載の遊技機。
上記選択肢としては、特定遊技状態中に実行される演出の態様を例示することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 遊技機
10 大入賞口
20 一般入賞口
30 発光部
40 利益数値
80 識別図柄
904 始動入賞口
904a 第一始動入賞口
904b 第二始動入賞口
91 表示装置
911 表示領域