(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】過熱水蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20230405BHJP
F22G 1/16 20060101ALI20230405BHJP
F22B 1/28 20060101ALI20230405BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
H05B6/10 311
F22G1/16
F22B1/28 Z
F24C1/00 320B
(21)【出願番号】P 2019155601
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 深
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213074(JP,A)
【文献】特開2018-51848(JP,A)
【文献】特開平6-260353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
F22G 1/16
F22B 1/28
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体管を電磁誘導により発熱させて当該導体管を流れる水を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成装置であって、
閉磁路鉄心と、
交流電圧が印加される一次コイルであり、前記閉磁路鉄心の周りに同心状に配置される螺旋状の第1導体管及び第2導体管と、
誘導電流が流れる二次コイルであり、前記閉磁路鉄心の周りに配置される螺旋状の第3導体管とを備え、
前記各導体管は径方向内側から前記第2導体管、前記第3導体管及び前記第1導体管の順に配置されるとともに、前記第1導体管、前記第2導体管及び前記第3導体管の順に直列に接続されており、
前記第1導体管に設けられた導入ポートから水又は水蒸気を導入して、前記第2導体管を介して、前記第3導体管に設けられた導出ポートから過熱水蒸気を導出する、過熱水蒸気生成装置。
【請求項2】
前記第1導体管と前記第3導体管との間及び前記第2導体管及び前記第3導体管との間に断熱材が充填されている、請求項1記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項3】
前記第1導体管及び前記第2導体管は単層巻きであり、
前記第1導体管の軸方向一端部に前記導入ポートが形成されており、
前記第1導体管の軸方向他端部が前記第2導体管の軸方向他端部に接続されており、
前記第2導体管の軸方向一端部が前記第3導体管の軸方向一端部に接続されており、
前記交流電圧を印加する交流電源は、前記第1導体管の軸方向一端部及び前記第2導体管の軸方向一端部に接続されている、請求項1又は2記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項4】
前記第3導体管は、互いに逆向きに螺旋状に巻回された内側管要素及び外側管要素と、前記内側管要素及び前記外側管要素の軸方向一端部同士及び軸方向他端部同士を流体的に接続するとともにそれらを短絡接続する接続管要素とを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項5】
前記閉磁路鉄心は、外側から内側に行くにしたがって幅が小さくなるように磁性鋼板を積層した2つの矩形環状の鉄心要素を有し、当該2つの鉄心要素の脚鉄心部を互いに密着するように組み合わせて構成されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の過熱水蒸気生成装置としては、特許文献1に示すように、円筒状鉄心と、この円筒状鉄心の周りに配置された加熱導体管と、前記円筒状鉄心の内部に磁束を発生させる誘導コイルとを備えており、加熱導体管に誘導電流を流して、加熱導体管の内部を流れる被加熱流体を加熱するものが考えられている。
【0003】
この過熱水蒸気生成装置では、円筒状鉄心の径方向外側に設けられた円筒状をなす外側磁路形成部と、円筒状鉄心及び外側磁路形成部の軸方向一端部を連結する第1径方向磁路形成部と、円筒状鉄心及び前記外側磁路形成部の軸方向他端部を連結する第2径方向磁路形成部とを有する閉磁路鉄心要素を備えている。
【0004】
また、第1径方向磁路形成部及び第2径方向磁路形成部には、加熱導体管に流入する被加熱流体が流れる第1流路を形成する第1流路形成部が設けられており、第2径方向磁路形成部には、加熱導体管に流入する被加熱流体が流れる第2流路が形成されている。さらに、誘導コイルは、加熱導体管に流入する被加熱流体が流れる中空導体管からなる外側中空コイル要素及び内側中空コイル要素と、中実導線からなる中実コイル要素とを有している。
【0005】
しかしながら、上記の過熱水蒸気生成装置では、加熱導体管に流入する被加熱流体は、第1流路、第2流路、外側中空コイル要素、内側中空コイル要素及びそれらを接続する接続配管を流れることになり、装置構成が複雑となってしまう。また、誘導コイルが中空コイル要素の他に中実コイル要素を有する構成であることも装置構成を複雑にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、熱効率を向上するとともに過熱水蒸気生成装置の簡略化及び小型化を可能にすることをその主たる課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る過熱水蒸気生成装置は、導体管を電磁誘導により発熱させて当該導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成装置であって、閉磁路鉄心と、交流電圧が印加される一次コイルであり、前記閉磁路鉄心の周りに同心状に配置される螺旋状の第1導体管及び第2導体管と、誘導電流が流れる二次コイルであり、前記閉磁路鉄心の周りに配置される螺旋状の第3導体管とを備え、前記各導体管は径方向内側から前記第1導体管、前記第3導体管及び前記第2導体管の順に配置されるとともに、前記第1導体管、前記第2導体管及び前記第3導体管の順に直列に接続されており、前記第1導体管に設けられた導入ポートから水又は水蒸気を導入して、前記第2導体管を介して、前記第3導体管に設けられた導出ポートから過熱水蒸気を導出することを特徴とする。
【0009】
このような過熱水蒸気生成装置によれば、一次コイルとして第1導体管及び第2導体管を用いているとともに、当該第1導体管及び第2導体管の間に二次コイルである第3導体管を設けているので、第1導体管及び第2導体管は通電加熱されるとともに、第3導体管の放熱を利用して加熱されるので、第3導体管からの装置外部への放熱を低減でき、熱効率を上げることができる。
また、第1導体管、第2導体管及び第3導体管の順に直列に接続し、第1導体管に設けられた導入ポートから水又は水蒸気を導入して、第2導体管を介して、第3導体管に設けられた導出ポートから過熱水蒸気を導出するので、過熱水蒸気生成装置の簡略化及び小型化することができる。
また、一次コイルを形成する第1導体管及び第2導体管は、それぞれの巻数、導体管の通電断面積、導体管の通流孔径の設定により、発熱比や流体への熱伝達面積比、流体の流速比を調整することができる。
【0010】
第3導体管の放熱が装置外部へ漏れること及び第3導体管の放熱による第1導体管及び第2導体管の加熱を安全に実現するためには、前記第1導体管と前記第3導体管との間及び前記第2導体管及び前記第3導体管との間に断熱材が充填されていることが望ましい。
この構成であれば、第1導体管と第3導体管との間の断熱材の厚み、及び、第2導体管と第3導体管との間の断熱材の厚みにより、第3導体管から第1導体管及び第2導体管への熱伝達比を調整することができる。
【0011】
各配管の具体的な接続構成としては、前記第1導体管及び前記第2導体管は単層巻きであり、前記第1導体管の軸方向一端部に前記導入ポートが形成されており、前記第1導体管の軸方向他端部が前記第2導体管の軸方向他端部に接続されており、前記第2導体管の軸方向一端部が前記第3導体管の軸方向一端部に接続されていることが考えられる。
この場合、前記交流電圧を印加する交流電源は、前記第1導体管の軸方向一端部及び前記第2導体管の軸方向一端部に接続されていることが望ましい。
この構成であれば、電源配線の取り回しを容易にすることができる。
【0012】
前記第3導体管は、互いに逆向きに螺旋状に巻回された内側管要素及び外側管要素と、前記内側管要素及び前記外側管要素の軸方向一端部同士及び軸方向他端部同士を流体的に接続するとともにそれらを短絡接続する接続管要素とを有することが望ましい。
この構成であれば、導体管とは別に電気接続部材を設ける必要が無く、導体管自体の構成により短絡回路を形成することができる。また、接続管要素が各管要素の軸方向一端部同士を接続し、軸方向他端部同士を接続する構成であり、短絡回路を構成するための接続構造を簡単にすることができる。
【0013】
前記閉磁路鉄心は、外側から内側に行くにしたがって幅が小さくなるように磁性鋼板を積層した2つの矩形環状の鉄心要素を有し、当該2つの鉄心要素の脚鉄心部を互いに密着するように組み合わせて構成されていることが望ましい。この構成であれば、閉磁路鉄心が多段形状となるので、鉄心の表面積を増やすことができ、冷却効果を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、熱効率を向上するとともに過熱水蒸気生成装置の小型化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流体加熱装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】同実施形態の流体加熱装置の径方向における配置を模式的に示す図である。
【
図3】同実施形態の閉磁路鉄心の構成を示す図である。
【
図4】同実施形態の第3導体管の構成を模式的に示す側面図である。
【
図5】同実施形態のコイル接続及び流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明に係る過熱水蒸気生成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
<1.装置構成>
本実施形態に係る過熱水蒸気生成装置100は、導体管を電磁誘導により発熱させて当該導体管を流れる水を加熱して過熱水蒸気を生成するものである。その他、過熱水蒸気生成装置100としては、例えば、外部で生成された飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生するものであっても良い。
【0018】
具体的に過熱水蒸気生成装置100は、
図1及び
図2に示すように、閉磁路鉄心2と、交流電圧が印加される一次コイルであり、閉磁路鉄心2の周りに同心状に配置される螺旋状(コイル状)の第1導体管31及び第2導体管32と、誘導電流が流れる二次コイルであり、閉磁路鉄心2の周りに配置される螺旋状(コイル状)の第3導体管4とを備えている。
【0019】
閉磁路鉄心2は、特に
図3に示すように、2つの矩形環状の鉄心要素21、22を有し、当該2つの鉄心要素21、22の脚鉄心部21a、22aを互いに密着するように組み合わせて構成されている。2つの鉄心要素21、22は互いに同一形状をなすものであり、各鉄心要素21、22は、外側から内側に行くにしたがって幅が小さくなるように磁性鋼板を積層して構成された、矩形環状に変形された巻鉄心である。なお磁性鋼板には、方向性電磁鋼板を用いている。これらの鉄心要素21、22を用いることで、閉磁路鉄心2の断面形状は、多段形状となる。
【0020】
第1導体管31及び第2導体管32は、それぞれ単層巻きであり、径方向内側に第2導体管32が配置され、径方向外側に第1導体管31が配置されている。また、第1導体管31の軸方向一端部に導入ポートP1が設けられており、第1導体管31の軸方向他端部が第2導体管32の軸方向他端部に接続されている。なお、導入ポートP1又はその近傍には、第1導体管に流入する水の流量を調整するための流量調整バルブ5が設けられている。さらに、交流電圧を印加する交流電源(不図示)は、第1導体管31の軸方向一端部に設けられた給電端子61及び第2導体管32の軸方向一端部に設けられた給電端子62に接続されている。
【0021】
そして、第1導体管31及び第2導体管32は、各導体管31、32の巻回部分が互いに短絡しないように構成されている。なお、巻回部分とは螺旋1巻き部分のことである。具体的には、第1導体管31においては、その外側周面に絶縁体(不図示)が巻かれる等の絶縁処理が施されることにより、第1導体管31の巻回部分が互いに短絡しないように構成されている。また、第2導体管32においては、各巻回部分の外側周面が互いに接触しないように隙間を持って巻回されることにより、第2導体管32の巻回部分が互いに短絡しないように構成されている。
【0022】
第3導体管4は、第1導体管31及び第2導体管32の間に配置されている。また、第3導体管4の軸方向一端部が第2導体管32の一端部に接続されており、第3導体管4の軸方向他端部に導出ポートP2が設けられている。なお、導出ポートP2又はその近傍には、過熱水蒸気の温度を制御するための温度センサ7が設けられている。このような構成により、各導体管31、32、4は、径方向内側から第2導体管32、第3導体管4及び第1導体管31の順に配置されるとともに、第1導体管31、第2導体管32及び第3導体管4の順に直列に接続されることになる。
【0023】
そして、第3導体管4は、
図4に示すように、互いに逆向きに螺旋状に巻回された内側管要素41及び外側管要素42と、内側管要素41及び外側管要素42の軸方向一端部同士及び軸方向他端部同士を流体的に接続するとともにそれらを短絡接続する接続管要素43、44とを有している。内側管要素41及び外側管要素42は、軸方向から見て径方向の隙間が形成されている。また、一方の接続管要素43には、第2導体管32の軸方向一端部が接続され、他方の接続管要素44には、導出ポートP2が設けられている。この構成により、接続管要素43から流入した流体は、接続管要素43により内側管要素41及び外側管要素42に分岐して流れ、内側管要素41及び外側管要素42を流れた流体は、接続管要素44で合流して導出ポートP2から流出する。
【0024】
また、このように接続した第3導体管4は、内側管要素41及び外側管要素42が接続管要素43、44により電気的に並列接続される構成である。そして、一次コイルである第1導体管31及び第2導体管32により生じる磁束によって、内側管要素41及び外側管要素42により閉回路が形成されて短絡電流が流れる。つまり、内側管要素41には、軸方向一端部から軸方向他端部に向かって短絡電流が流れ、外側管要素42には、軸方向他端部から軸方向一端部に向かって短絡電流が流れる。
【0025】
また、本実施形態の過熱水蒸気生成装置100では、
図1及び
図2に示すように、第1導体管31と第3導体管4との間及び第2導体管32と第3導体管4との間に断熱材8が充填されている。この断熱材8は、第2導体管32の巻回部分間の隙間にも充填されており、第3導体管4の内側管要素41及び外側管要素42の間にも充填される。本実施形態では、第1導体管31の外周にケーシング9が設けられており、第1導体管31とケーシング9との間に断熱材8が設けられている。その他、閉磁路鉄心2の脚鉄心部21a、22aと第2導体管32との間に断熱材8を充填しても良い。
【0026】
このように構成した本実施形態の過熱水蒸気生成装置100において、第1導体管31に設けられた給電端子61及び第2導体管32に設けられた給電端子62に交流電源により交流電圧を印加することで、第1導体管31及び第2導体管32に交流電流が流れて閉磁路鉄心2に磁束が流れる。当該磁束によって第3導体管4の内側管要素41、外側管要素42及び接続管要素43、44に短絡電流が流れて、第3導体管4がジュール発熱する。また、第1導体管31及び第2導体管32は、交流電圧が印加されることで通電によりジュール発熱するとともに、第3導体管4からの伝熱により加熱される。
【0027】
これにより、
図5に示すように、第1導体管31の導入ポートP1から導入された水は、第1導体管31及び第2導体管32を流れることにより、第1導体管31及び第2導体管32により加熱されて高温の水又は飽和水蒸気となる。その後、第2導体管32から第3導体管4に流入した高温の水又は飽和水蒸気は、第3導体管4により加熱されて過熱水蒸気となり、導出ポートP2から導出される。
【0028】
<2.本実施形態の効果>
このように構成した過熱水蒸気生成装置100によれば、一次コイルとして第1導体管31及び第2導体管32を用いているとともに、当該第1導体管31及び第2導体管32の間に二次コイルである第3導体管4を設けているので、第1導体管31及び第2導体管32は通電加熱されるとともに、第3導体管4の放熱を利用して加熱されるので、第3導体管4からの装置外部への放熱を低減でき、熱効率を上げることができる。また、第1導体管31、第2導体管32及び第3導体管4の順に直列に接続し、第1導体管31に設けられた導入ポートP1から水又は水蒸気を導入して、第2導体管32を介して、第3導体管4に設けられた導出ポートP2から過熱水蒸気を導出するので、過熱水蒸気生成装置100の簡略化及び小型化することができる。ここで、一次コイルを形成する第1導体管31及び第2導体管32において、それぞれの巻数、導体管の通電断面積、導体管の通流孔径の設定により、発熱比や流体への熱伝達面積比、流体の流速比を調整することができる。
【0029】
第1導体管31と第3導体管4との間及び第2導体管32及び第3導体管4との間に断熱材8が充填されているので、第3導体管4の放熱が装置外部へ漏れること及び第3導体管4の放熱による第1導体管31及び第2導体管32の加熱を安全に実現することができる。ここで、第1導体管31と第3導体管4との間の断熱材8の厚み、及び、第2導体管32と第3導体管4との間の断熱材8の厚みにより、第3導体管4から第1導体管31及び第2導体管32への熱伝達比を調整することができる。
【0030】
さらに、螺旋状に巻回した第3導体管4が内側管要素41と外側管要素42とそれらを流体的に接続する接続管要素43、44を有し、接続管要素43、44が内側管要素41及び外側管要素42を短絡接続しているので、第3導体管4とは別に電気接続部材を設ける必要が無く、第3導体管4自体の構成により短絡回路を形成することができる。また、第3導体管4が内側管要素41及び外側管要素42を有するので、流体との接触面積(熱交換面積)を大きくすることができ、流体の加熱効率を向上することができる。
【0031】
また、内側管要素41及び外側管要素42の巻回方向が互いに逆向きであり、内側管要素41及び外側管要素42の軸方向一端部同士及び軸方向他端部同士が、それぞれ接続管要素43、44により接続されているので、短絡回路を構成するための接続構造を簡単にすることができる。
【0032】
第3導体管4を複数回巻きの二次コイルとすることで励磁電流を小さくするとともに漏れインピーダンスを減少できるので、閉磁路鉄心2の断面積を小さくして鉄心の使用量を少なくし、鉄損を低減でき熱効率を上げることができる。また、閉磁路鉄心2を多段形状として鉄心の表面積を増やしているので、冷却効果を大きくすることができる。
【0033】
さらに、交流電圧を印加する交流電源を第1導体管31の軸方向一端部及び第2導体管32の軸方向一端部に接続する構成としているので、電源配線の取り回しを容易にすることができる。
【0034】
<3.本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、第1導体管31及び第2導体管32がそれぞれ単層巻きのものであったが、第1導体管31又は第2導体管32の少なくとも一方が、二層巻き以上のものであっても良い。
【0035】
また、前記実施形態では、内側管要素41及び外側管要素42は巻回方向が互いに逆向きであったが、内側管要素41及び外側管要素42の巻回方向が同じ向きであっても良い。この場合、内側管要素41の軸方向一端部と外側管要素42の軸方向他端部とが接続管要素43により接続されており、内側管要素41の軸方向他端部と外側管要素42の軸方向一端部とが接続管要素44により接続された構成とする。
【0036】
さらに、前記実施形態の第3導体管4は、2重管構造をなすものであったが、4重管又はそれ以上の偶数重の管要素を有するものであっても良い。この場合、2つの管要素毎にそれぞれ接続管要素で接続する。例えば、前記実施形態の第3導体管4を同心円状に複数配置した構成とすることが考えられる。
【0037】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
100・・・過熱水蒸気生成装置
2・・・閉磁路鉄心
21、22・・・鉄心要素
21a、22a・・・脚鉄心部
31・・・第1導体管
32・・・第2導体管
4・・・第3導体管
41・・・内側管要素
42・・・外側管要素
43、44・・・接続管要素
P1・・・導入ポート
P2・・・導出ポート
8・・・断熱材