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特許7256558上皮バリア機能増強特性を有するアジスロマイシン誘導体
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  • 特許-上皮バリア機能増強特性を有するアジスロマイシン誘導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】上皮バリア機能増強特性を有するアジスロマイシン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07H 17/00 20060101AFI20230405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230405BHJP
   A61K 31/7052 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C07H17/00 CSP
A61P43/00 105
A61P1/04
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P11/16
A61P29/00
A61P31/14
A61P11/06
A61K31/7052
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021019109
(22)【出願日】2021-02-09
(62)【分割の表示】P 2018526129の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2021073303
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】1520419.1
(32)【優先日】2015-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518170826
【氏名又は名称】エピエンド ファーマシューティカルズ イーエッチエフ.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガーダルソン,フリドリック ルナー
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】テオドロビック,ペーター
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特許第6849896(JP,B2)
【文献】国際公開第2012/131396(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/086351(WO,A1)
【文献】特表2006-513157(JP,A)
【文献】国際公開第2007/129646(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0028417(US,A1)
【文献】FAJDETIC, A. et al.,3-O-Acyl Derivatives of Bridged-15-Membered Azalides: Synthesis, Structural Determination and Antibacterial Activity,CROATICA CHEMICA ACTA,2005年,Vol. 78,pp. 301-312
【文献】STARCEVIC, K. et al.,Novel hybrid molecules based on 15-membered azalide as potential antimalarial agents,European Journal of Medicinal Chemistry,2012年,Vol. 49,pp. 365-378
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 17/00
A61P 43/00
A61P 1/04
A61P 11/00
A61P 11/02
A61P 11/04
A61P 11/16
A61P 29/00
A61P 31/14
A61P 11/06
A61K 31/7052
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に従う化合物であって、
【化1】
式中、
が、OH、カルバモイルオキシ、N-Cアルキルカルバモイルオキシ、N-(C14アリール-Cアルキル)カルバモイルオキシ、N,N-ジ-Cアルキルカルバモイルオキシ、カルバメート部分の窒素原子と共に5員環~8員環のヘテロ環を共に形成する二つのアルキル置換基を有するN,N-ジ-アルキルカルバモイルオキシ、及びCアルキルカルボキシからなる群から選択され、
それによって、R内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され;かつ
が、式(III)に従い、
【化2】
式中
が、C14アリールカルボニル、Cアルキル-C14アリールカルボニル、C14アリールスルホニル、Cアルキル-C14アリールスルホニル、C14アリール-Cアルキルカルボニル、C14アリール-O-Cアルキルカルボニル、C14アリール-Cアルキル-O-Cアルキル-カルボニル、mが,0から6までである、HOOC-(CH-(CO)-、ArがC14アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、式(V.1)の置換基、
【化3】
14アリール-Cアルキル-O-CO-NH-Cアルキル-CO-からなる群から選択され、
それによって、R内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され;かつ
がHであり
がHであり;かつ
及びRが、独立して、H及びCアルキルカルボニルから選択され、そのため、アルキルが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され、あるいは、
及びRは、共に、それが結合されている両方の酸素原子により環状カーボネートを形成する、単一のカルボニル基を形成し;
である、化合物あるいは、薬学的に許容されるそれらの溶媒和物又は塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、
が、OH、Cアルキルカルボキシ、及び式(IV)に従う部分であり、
【化4】
式中、
及びR10は、独立して、H、Cアルキル、及びC10アリール-Cアルキルからなる群から選択され、あるいは共に、両方が結合する窒素原子と共に5員環又は6員環の脂肪族ヘテロ環を形成する、アルキルであり、それによって、前記ヘテロ環は、任意選択で、N、O、及びSからなる群から選択されるヘテロ原子を、1個又は2個をさらに含有し、あるいは、前記ヘテロ環が、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンからなる群から選択され、
それによって、R内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、RがOHである、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、Rが、C10アリールカルボニル、C10アリール-Cアルキルカルボニル、C10アリール-O-Cアルキルカルボニル、C10アリール-Cアルキル-O-Cアルキルカルボニル、mが,0~3である、HOOC-(CH-(CO)-、ArがC10アリールであってn、p、及びqがそれぞれ独立に0~3である、式(V.2)に従う部分、
【化5】
10アリール-Cアルキル-O-CO-NH-Cアルキル-CO-、C10アリールスルホニル、及びCアルキル-C10アリールスルホニル、からなる群から選択され;
それによって、R内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個のハロゲン及び/又はCNによって置換されている、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、
が、ベンゾイル、ナフチルスルホニル、メチルフェニルスルホニル、スクシニル、ベンジルカルボニル、フェノキシエチルカルボニル、ベンジルオキシメチルカルボニル、ベンジル-O-CO-NH-CH-CO-及び
Arがフェニルでn及びpが1でqが2である、式(V.2)に従う部分からなる群から選択され、R 内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個のハロゲン及び/又はCNによって置換される、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、
がOHであり;
が、Arがフェニルで、n及びpがそれぞれ同一で1又は2であり、qが2又は3である、式(V.2)に従う部分、
フェニル-Cアルキル-O-CO-NH-Cアルキル-CO-、及びフェニル-O-Cアルキルカルボニルからなる群から選択され、R 内のアルキル及び/又は、アリールが、任意選択で、1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換されている、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、前記化合物が、
N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[[2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルベンズアミド;
N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルナフタレン-2-スルホンアミド;
ベンジル(2R)-2-[[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ]-4-[[(2S,3R,4S,6R)-2[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-l-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル](メチル)カルバモイル]ブタノエート;
3-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル](メチル)カルバモイル]プロパン酸;
2-ベンジルオキシ-N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-アセトアミド;
ベンジル N-[2-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-2-オキソ-エチル]カルバメート;
N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-3-フェノキシ-プロパンアミド;及び
N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド
からなる群から選択される、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の、少なくとも一つの式(I)の化合物、それらの溶媒和物又は塩及び少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
薬剤として使用するための、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項10】
上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、あるいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状、の治療における使用のための、請求項に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、前記疾病又は症状が、呼吸器疾患であって、前記上皮組織が、気道内上皮組織である、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、前記症状が、先天性気道疾患、慢性気道疾患、持続性気道疾患、又は長期気道疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、非CF気管支拡張症、慢性鼻副鼻腔炎、びまん性汎細気管支炎(DPB)、慢性気管支炎、原発性の又は化学療法による若しくは移植後の二次性の閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(BOOP)、新生児呼吸促迫症候群(IRDS)及びその長期合併症、気管支肺異形成症、神経筋呼吸抑制及び/又は不全、肺炎、並びに呼吸器合胞体ウイルス(RSV)及び関係ウイルスが引き起こす及び関係する症状からなる群から選択される、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項13】
上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る、通常炎症を伴う疾病及び疾患の治療における使用のための請求項10に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【請求項14】
上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る、通常炎症を伴う疾病及び疾患の治療における使用のための請求項13に記載の化合物、それらの溶媒和物又は塩であって、前記疾病又は疾患が、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、及びクローン病からなる群から選択される、化合物、それらの溶媒和物又は塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に有用な薬理学的特性を有するマクロライド誘導体に関する。本発明の化合物には、呼吸器の症状、例えば、喘息、COPD、びまん性汎細気管支炎(DPB)、及び嚢胞性線維症(CF)を含む、様々な症状の治療に用途がある。
【背景技術】
【0002】
マクロライドは、ある範囲の生理学的活性を有する。マクロライドの大半は、それらの治療作用機序の一部としての抗菌作用を有している。マクロライドは、活性の観点からのみならず、構造の観点からも分類される。最初の天然のマクロライドである、エリスロマイシンは、骨格として14員マクロラクトン環を有する。12員、13員、15員、及び16員のマクロライドは、たいていは、エリスロシンの改変誘導体であるばかりではなく、広域抗菌剤であるラトロイドと密接に関係している。
【0003】
多くのマクロライドは、一見して無関係な病因の様々な疾患において、ある範囲の疾患修飾活性を示す。抗菌活性に加えて、いくつかのマクロライドは、別の「非抗菌」作用を有すると、提唱されている。これらの作用の内のいくつかは、主として抗炎症又は免疫調節である、ヒトにおける疾患修飾作用機序においてそれ自体を明らかにしていると、提唱されている(Kanoh, S. and Rubin B.K., Mechanisms of Action and Clinical Application of Macrolides as Immunomodulatory Medications, Clinical Microbiology Reviews,
2010, 23(3), 590-615)。用語の「イムノライド」は、選択的免疫修飾効果を有するマクロライド化合物を示すのに用いられている (Fecik et al., Current Opinion in Drug Discovery and Development, 2005, 8(6), 741-747を参照されたい)。
【0004】
少なくとも2件の二重盲検治験において、アジスロマイシン(「Azm」)は、COPD患者における入院率及び疾病関連増悪を30%低下させることが示されている(Uzun et
al., Lancet Respiratory Medicine, 2014, 2(5), 361-368 及び Albert et al., New England Journal of Medicine, 2011, 365(8), 689-698を参照されたい)。Azmは、緑膿菌に対する宿主の防護力を増大させること、さらにはインビトロALI培養における上皮細胞の経上皮抵抗(「TER」)を増大させて密着結合の細胞処理を増進させることも、示されている。エリスロマイシン及びペニシリンは、同様の効果を示さないことがわかっている。 (Asgrimsson V et al (2006) Novel effects of azithromycin on tight junction proteins in human airway epithelia, Antimicrob Agents Chemother, 50: 1805-1812 及び Halldorsson S et al. (2010) Azithromycin Maintains Airway Epithelial Integrity During Pseudomonas aeruginosa Infection. Am J Respir Cell Mol Biol. 2010,
42(1),62-68を参照されたい)。
【0005】
TERは、TEER(「経上皮電気抵抗」)としても知られており、細胞層の電気インピーダンスの測定値である。TERは、密着結合の形成及び機能の指標として用いられ、例えば、Rezaee F and Georas SN, 2014, Am J Respir Cell Mol Biol, 857-869を参照されたい。増大したTERは、良好なバリア特性の指標であり、健常な分極上皮組織と結びついている一方、羅患した又は作用が低下した上皮組織は、低いバリア機能 (例えば、Marchiando et al., Annu. Rev. Pathol. Mech. Dis., 2010, 5, 119-144を参照されたい)
及び高い透過性と結びついており、したがって透過性が高くなる。
【0006】
抗生物質の過剰使用は、抗生物質耐性株細菌増加の原因の一つである。したがって、細菌感染以外の症状の治療におけるマクロライドの使用は、抗生物質の不必要な幅広い使用を回避する必要から、制限されている。したがって、臨床的に有用な免疫調節活性を有す
るが、耐性促進の危険性が無いほどに十分低い抗菌活性を有する、マクロライド化合物が臨床的に必要とされている。そのようなイムノライドの開発は、著しく注目されているが、好適な化合物は、いまだに開発されていない。良好な非抗生物質特性を有するが抗菌活性が低いものとして、特定の化合物がWO2014/166503に記載されている。実際には、記載された該化合物は、臨床的に有用であるほどには十分な活性を有していない。
【0007】
アジスロマイシンのいくつかの限定された数の誘導体は、例えば、WO2006/087644、WO2004/005310、WO2004/139821、WO03/070174、及びCN1837225から知られている。
【発明の概要】
【0008】
最初の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、
【化1】

式中、
1が、OH、カルバモイルオキシ、N‐C16アルキルカルバモイルオキシ、N‐(C614アリール‐C16アルキル)カルバモイルオキシ、N,N‐ジ‐C16アルキルカルバモイルオキシ、カルバメート部分の窒素原子と共に5員環~8員環のヘテロ環を共に形成する二つのアルキル置換基を有するN,N‐ジ‐アルキルカルバモイルオキシ、C16アルキルカルボキシ、及び式(II)の部分、からなる群から選択され、
【化2】
式中R6が、H、OH、及びC16アルキルからなる群から選択され、それによって、R1内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され;かつ
2が、式(III)に従い、
【化3】
式中
7が、C16アルキル、C614アリール‐C16アルキル、C36アルキルカルボニル、C614アリールカルボニル、C16アルキル‐C614アリールカルボニル、C614アリールスルホニル、C16アルキル‐C614アリールスルホニル、C614アリール‐C16アルキルカルボニル、C614アリール‐O‐C16アルキルカルボニル、C614アリール‐C16アルキルカル‐O‐C16アルキルカルボニル、mが,0から6までである、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC610アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、式(V.1)の置換基、
【化4】
614アリール‐C16アルキル‐O‐CO‐NH‐C16アルキル‐CO‐、C614アリールスルホニル、及びC16アルキル‐C614アリールスルホニルからなる群から選択され、それによって、R7内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され;かつ
8が、 H;ハロゲン原子から選択される1個~5個の基で任意選択で置換されたC614アリールカルボニル、C13アルキルスルホニル基、C13アルキル基及び/又はC13アルコキシ基;C36アルキルカルボニル;mが,0から6までである、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC614アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、上記式(V.1)の置換基;O、N、及びSからなる群から選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含有する5員環~10員環を有するヘテロアリールカルボニルであって、該ヘテロアリールカルボニルの該環が、C14アルキル、C14アルコキシ、C24アルケニル、C24アルケノキシ、ハロゲン、及びCNからなる群から選択
される1個~3個の置換基によって、任意選択で、置換されている;からなる群から選択され、それによって、R7内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され;
3がHであり;
4及びR5が、独立して、H及びC16アルキルカルボニルから選択され、そのため、アルキルが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換され、あるいは、R4及びR5は、共に、結合している酸素原子双方により環状カーボネートを形成する、単一のカルボニル基を形成し、
6がH又はメチルである場合、R8は、Hではなく;かつ
1がOHであり、及びR7がメチルである場合、R8は、Hではなく;かつ
8がC4アルキルカルボニルである場合、R1は、式(II)の部分ではなく;
あるいは、薬学的に許容されるエステル、アミド、カルバメート、そのようなエステル、アミド、又はカルバメートの塩、及びそのようなエステル、アミド、カルバメート、又は塩の溶媒和物を含む、それらの溶媒和物又は塩、
である。
【0009】
本発明は、さらに、上記の化合物少なくとも一つ及び少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を、提供する。そのような医薬組成物において、R1がOHでかつR7がメチルである場合、R8は、Hであることができる。
【0010】
本発明は、さらに、薬剤として使用するための、本発明の化合物又は組成物を 、提供する。
【0011】
本発明は、さらに、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、 あるいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状、の治療にお ける使用のための化合物又は組成物を、提供する。
【0012】
本発明は、さらに、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、 あるいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状、の治療又は予防のための方法を、提供し、該方法は、治療上有効な量の本発明の化合物又は組成物を投与することを含む。
【0013】
本発明の化合物は、ヒト呼吸器上皮再生のモデルにおいて良好な活性を有すること、及び様々な細菌に対する種々の試験において低下した抗菌活性を有することが、本発明者らによって見出されている。本発明の化合物は、肺のバリアに問題があるin vivoモデルで試験されており、肺上皮バリア機能の増強において著しい効果をもたらすことが、見出されている。
【0014】
本発明は、さらに、薬剤として使用するための式(I)の化合物を、提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物を、提供する。式(I)の好ましい化合物は、本発明の化合物であって、R1は、OH、C13アルキルカルボキシ、式(II)の部分からなる群から選択され、
【化5】
式中、R6は、OH、及び式(IV)の部分であり、
【化6】
式中、R9及びR10は、独立して、H、C13アルキル、及びC610アリール‐C13アルキル、あるいは、結合する窒素原子と共に5員環又は6員環の脂肪族ヘテロ環を形成する、アルキルと共になる群から選択され、それによって、前記ヘテロ環は、任意選択で、N、O、及びSからなる群から、好ましくはN、及びOからなる群から選択されるヘテロ原子を含有し、より好ましくは、任意選択で、O原子1個又は2個をさらに含有し、さらにより最も好ましくは、任意選択で、O原子1個をさらに含有し、あるいは、前記ヘテロ環が、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンからなる群から選択され、好ましくはモルホリンであって、そのため、R1内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0016】
本発明の特に好ましい化合物は、R1がOHである化合物である。
【0017】
式(I)において、R2は、式(III)の基である。
【化7】
【0018】
一つの実施形態において、R7は、C16アルキル、C614アリール‐C16アルキル、C614アリールカルボニル、C16アルキル‐C614アリールカルボニル、C614
アリールスルホニル、C16アルキル‐C614アリールスルホニル、C614アリール‐C16アルキルカルボニル、C614アリール‐O‐C16アルキルカルボニル、C614アリール‐C16アルキルカル‐O‐C16アルキルカルボニル、mが,0から6までである、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC614アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、式(V.1)の置換基、
【化8】
614アリール‐C16アルキル‐O‐CO‐NH‐C16アルキル‐CO‐、C614アリールスルホニル、及びC16アルキル‐C614アリールスルホニルからなる群から選択され、それによって、R7内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0019】
本発明のより好ましい化合物は、R7が、C13アルキル、C610アリール‐C13アルキル、直鎖又は分岐した、好ましくは分岐したC34アルキルカルボニル、C610アリールカルボニル、C610アリール‐C13アルキルカルボニル、C610アリール‐O‐C13アルキルカルボニル、C610アリール‐C13アルキル‐O‐C13アルキルカルボニル、mが,0~3、好ましくは1~3、最も好ましくは1又は2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC610アリールであってn、p、及びqがそれぞれ独立に0~3,好ましくは、n及びpがそれぞれ独立に1又は2であってかつqが2又は3である、最も好ましくは、n及びpが同一でかつ1又は2であってかつqが2又は3である、式(V.2)の部分、
【化9】
610アリール‐C13アルキル‐O‐CO‐NH‐C13アルキル‐CO‐、C610アリールスルホニル、及びC13アルキル‐C610アリールスルホニルからなる群から選択される、化合物である。
【0020】
さらにより好ましくは、R7が、メチル、ベンジル、ベンゾイル、ナフチルスルホニル、メチルフェニルスルホニル、イソプロピルカルボニル、スクシニル、ベンジルカルボニル、フェノキシエチルカルボニル、ベンジルオキシメチルカルボニル、ベンジル‐O‐CO‐NH‐CH2‐CO‐及びArがフェニルでn及びpが1でqが2である、式(V.2)の部分から選択され、それによりR7内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個、好ましくは1個~3個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0021】
一つの実施形態において、R8は、 H;ハロゲン原子から選択される1個~5個の基で任意選択で置換されたC614アリールカルボニル、C13アルキルスルホニル基、C13アルキル基及び/又はC13アルコキシ基;C36アルキルカルボニル;mが,0から6までである、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC614アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、上記式(V.1)の置換基;O、N、及びSからなる群から選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含有する5員環~10員環を有するヘテロアリールカルボニルであって、該ヘテロアリールカルボニルの該環が、C14アルキル、C14アルコキシ、C24アルケニル、C24アルケノキシ、ハロゲン、及びCNからなる群から選択される1個~3個の置換基によって、任意選択で、置換されている;からなる群から選択され、それによって、R8内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0022】
好ましくは、R8は、H、C610アリールカルボニル、1個~3個のハロゲン原子で置換されたC610アリールカルボニル、C12アルキル基及び/又はC12アルコキシ基、直鎖又は分岐した、好ましくは分岐したC34アルキルカルボニル、mが,0~3、好ましくは1~3、最も好ましくは1又は2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC610アリールであってn、p、及びqがそれぞれ独立に0~3,好ましくは、n及びpがそれぞれ独立に1又は2であってかつqが2又は3である、最も好ましくは、n及びpが同一でかつ1又は2であってかつqが2又は3である、上記の式(V.2)の部分、C13アルキルスルホニル‐ビス‐C610アリールカルボニル、並びに、1個、2個、又は3個のヘテロ原子、より好ましくは1個又は2個のヘテロ原子、最も好ましく
は1個のヘテロ原子を含む、5員環、6員環、又は10員環を有し、各ケースで、該ヘテロ原子が、N、O、及びSからなる群、好ましくはN、及びOからなる群、最も好ましくはNから選択される、ヘテロアリールカルボニル、C12アルキル、C12アルコキシ、C23アルケニル、C23アルケノキシからなる群から選択される1個又は2個の置換基によって任意選択で置換される、該ヘテロアリールカルボニルの該環、ハロゲン、特にF及びCl、並びにCNからなる群から選択され、好ましくは、メチル、メトキシ、F、及びClからなる群から選択され、最も好ましくは、メチル、Clからなる群から選択される。
【0023】
さらにより好ましくは、R8は、イソプロピルカルボニル、スクシニル、ベンゾイル、ヨードベンゾイル、エチルフェニルカルボニル、メトキシフェニルカルボニル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、ナフトルカルボニル、Arがフェニルでn及びpが1でqが2である、式(V.2)の部分、ピラゾリルカルボニル、ジメチルピラゾリルカルボニル、チオフェニル、クロロチオフェニル、ピリジルカルボニル、及びキノリルカルボニルからなる群から選択され、それによって、R8内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~6個、好ましくは1個~3個の、ハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0024】
本発明の特に好ましい化合物について、R1がOH;及び/又はR7は、C13アルキル、具体的にはメチル、Arがフェニルで、n及びpがそれぞれ同一で1又は2であり、qが2又は3である、式(V.2)に従う部分、フェニル‐C12アルキル‐O‐CO‐NH‐C12アルキル‐CO‐、及びフェニル‐O‐C13アルキルカルボニルからなる群から選択され、それによりR7内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換される;及び/又は
【0025】
8は、H、mが,1から3まで、好ましくは1又は2、最も好ましくは2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ベンゾイル、メチルベンゾイル、エチルベンゾイル、メトキシベンゾイル、エトキシベンゾイル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、及びナフチルカルボニルからなる群から選択され、それによりR8内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換される。
【0026】
本発明の特に好ましい化合物について、R1がOH;R8がHで、R7が、C13アルキル、具体的にはメチル、Arがフェニルで、n及びpがそれぞれ同一で1又は2であり、qが2又は3である、式(V.2)に従う部分、フェニル‐C13アルキル‐O‐CO‐NH‐C13アルキル‐CO‐、及びフェニル‐O‐C13アルキルカルボニルからなる群から選択され、それによってR7内のアルキル、アリール、及び/又はヘテロ環が、任意選択で、1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換される。好ましくは、R7基は、少なくとも1個の芳香環を含有する。
【0027】
本発明の特に好ましい化合物について、R1がOH;R7がMeで、R8が、H、mが,1~3、好ましくは1又は2、最も好ましくは2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ベンゾイル、メチルベンゾイル、エチルベンゾイル、メトキシベンゾイル、エトキシベンゾイル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、及びナフチルカルボニルからなる群から選択され、それによって、R8内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換される。好ましくは、R8基は、少なくとも1個の芳香環を含有する。
【0028】
本発明の特に好ましい化合物の群は、R1がOH;R8がHで、R7が、C610アリール‐C13アルキル、C610アリールカルボニル、C610アリール‐C13アルキルカル
ボニル、C610アリール‐O‐C13アルキルカルボニル、C610アリール‐C13アルキル‐O‐C13アルキルカルボニル、mが,0~3、好ましくは1~3、最も好ましくは1又は2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC610アリールでn、p、及びqがそれぞれ独立に0~3,好ましくは、n及びpがそれぞれ独立に1又は2であってかつqが2又は3である、最も好ましくは、n及びpが同一でかつ1又は2であってかつqが2又は3である、上記の式(V.2)の部分、C610アリール‐C13アルキル‐O‐CO‐‐NH‐C13アルキル‐CO‐、C610アリールスルホニル、及びC13アルキル‐C610アリールスルホニルからなる群から選択され、それによって、R7内のアルキル及び/又はアリールが、任意選択で、1個~6個、好ましくは1個~3個のハロゲン及び/又はCNによって置換される,群である。
【0029】
本発明の特に好ましい化合物の群は、R1がOH;R8がHで、R7が、ベンジル、ベンゾイル、メチルベンゾイル、エチルベンゾイル、メトキシベンゾイル、エトキシベンゾイル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、ナフチルカルボニル、ナフチルスルホニル、メチルフェニルスルホニル、スクスニル、及びArがフェニルでn及びpが同一で1又は2で、qが2又は3である、式(V.2)の部分からなる群から選択される、群である。R7については、ベンジル、ベンゾイル、ナフチルスルホニル、メチルフェニルスルホニル、スクスニル、及びArがフェニルでn及びpが同一で1又は2で、qが2又は3である、式(V.2)の部分が、特に好ましい。
【0030】
本発明の別の特に好ましい化合物は、R1がOH;R7がMeで、R8が、C610アリールカルボニル、1個~3個のハロゲン原子で置換されたC610アリールカルボニル、C12アルキル基及び/又はC12アルコキシ基、分岐したC34アルキルカルボニル、mが,0~3、好ましくは1~3、最も好ましくは1又は2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC610アリールであってn、p、及びqがそれぞれ独立に0~3,好ましくは、n及びpがそれぞれ独立に1又は2であってかつqが2又は3である、最も好ましくは、n及びpが同一でかつ1又は2であってかつqが2又は3である、上記の式(V.2)に従う部分、C13アルキルスルホニル‐ビス‐C610アリールカルボニル、並びに、1個、2個、又は3個のヘテロ原子、より好ましくは1個又は2個のヘテロ原子、最も好ましくは1個のヘテロ原子を含む、5員環、6員環、又は10員環を有し、各ケースで、該ヘテロ原子が、N、O、及びSからなる群、好ましくはN、及びOからなる群、最も好ましくはNから選択される、ヘテロアリールカルボニル、C12アルキル、C12アルコキシ、C23アルケニル、C23アルケノキシからなる群から選択される1個又は2個の置換基によって任意選択で置換される、該ヘテロアリールカルボニルの該環、ハロゲン、特にF及びCl、並びにCNからなる群から選択され、好ましくは、メチル、メトキシ、F、及びClからなる群から選択され、最も好ましくは、メチル、Clからなる群から選択される、群である。R8基内で、アルキル、アリール、及び/又はヘテロ環基は、任意選択で、1個~6個の、例えば、1個~3個のハロゲン原子及び/又はCN基によって置換されることができる。
【0031】
本発明のさらに特に好ましい化合物は、R1がOH;R7がMeで、R8が、イソプロピルカルボニル、スクシニル、ベンゾイル、ハロベンゾイル(例えば、ヨードベンゾイル)、エチルフェニルカルボニル、メトキシフェニルカルボニル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びArがフェニルでn及びpが1で、qが2である、式(V.2)の部分、ピラゾリルカルボニル、ジメチルピラゾリルカルボニル、チオフェニル、クロロチオフェニル、ピリジルカルボニル、及びキノリルカルボニルからなる群から選択される、化合物の群である。
【0032】
本発明の化合物の特に好ましい群は、式(I)の化合物であって、
1は、OH;
2は、(III)に従い、
【化10】

式中
7は、C16のアルキル;かつ
8は、C13のアルキルスルホニル基及び/又はC13のアルキル基から選択される1個~5個の基で任意選択で置換されるC614アリールカルボニル;mが0から6まである、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC614アリールであってn、p、及びqが独立に0から6まである、式(V.1)の置換基;からなる群から選択され;
【化11】
3がHであり;かつ
4及びR5が双方ともHであり:

あるいは、薬学的に許容されるエステル、アミド、カルバメート、そのようなエステル、アミド、又はカルバメートの塩、及びそのようなエステル、アミド、カルバメート、又は塩の溶媒和物を含む、それらの溶媒和物又は塩、
である。
【0033】
そのような化合物において、例えば、R7は、Meである。例えば、R7はMeで、かつR8は、C610アリールカルボニル、1個~3個のC12アルキルスルホニル基又はC12アルキル基で置換されたC610アリールカルボニル、mが,0~3、好ましくは1~3、最も好ましくは1又は2である、HOOC‐(CH2m‐(CO)‐、ArがC61
0アリールで、n、p、及びqがそれぞれ独立に0~3,好ましくは、n及びpがそれぞれ独立に1又は2であってかつqが2又は3である、最も好ましくは、n及びpが同一でかつ1又は2であってかつqが2又は3である、上記の式(V.1)の部分からなる群から選択される。 R8基内で、アルキル、アリール、及び/又はヘテロ環基は、任意選択で、1個~6個の、例えば、1個~3個のハロゲン原子及び/又はCN基によって置換されることができる。例えば、R7はMeで、かつR8は、 サクシニル、ベンゾイル、ハロベンゾイル(例えば、ヨードベンゾイル)、エチルフェニルカルボニル、メチルスルホニルフェニルベンゾイル、ナフチルカルボニル、及びArがフェニルでn及びpが1で、qが2である、式(V.2)の部分からなる群から選択される。
【0034】
本発明のさらに好ましい化合物は、以下の通りである:

(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-11-[[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル]オキシ]-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン (例 1);

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル ベンゾエート(例 2);

(3aR,4R,7R,8S,9S,10R,11S,13R,16R,16aR)-10-[[(2S,3R,4S,6R)-3- (ベンゾイルオキシ)-4-(ジメチルアミノ)-6-メチルオキサン-2-イル]オキシ]-4-エチル-11-ヒドロキシ-3a,7,9,11,13,15,16-ヘプタメチル-2,6-ジオキソ-テトラデカヒドロ-2H-[1、3]ジオキソロ[4,5-c]1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-8-イル モルホリン-4-カルボキシレート (例3);

(2S,3R,4S,6R)-2-[[(3aR,4R,7R,8S,9S,10R,11S,13R,16R,16aR)-8-[(ベンジルカルバモイル)オキシ]-4-エチル-11-ヒドロキシ-3a,7,9,11,13,15,16-ヘプタメチル-2,6-ジオキソ-テトラデカヒドロ-2H-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-10-イル]オキシ]-4-(ジメチルアミノ)-6-メチルオキサン-3-イル ベンゾエート (例4);

(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-11-[[(2S,3R,4S,6R)-4- [ベンジル(メチル)アミノ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-2-イル]オキシ]-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[[(4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチルオキサン-2-イル]オキシ]-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン (例5);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[[(4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチルオキサン-2-イル]オキシ]-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルベンザミド (例6);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[[2R,3S,4R,5R,8R,10,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルベンズアミド (例7);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-1
3-[[(4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチルオキサン-2-イル] オキシ]-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルナフタレン-2-スルホンアミド
(例8);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N-メチルナフタレン-2-スルホンアミド (例9);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[[(4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチルオキサン-2-イル]オキシ]-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11 -イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル]-N,4-ジメチルベンゼン-1-スルホンアミド (例10);

(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3R,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-4,13-ビス(アセチルオキシ)-2-エチル-3,10-ジヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-4-(ジメチルアミノ)-6-メチルオキサン-3-イル ベンゾエート (例11);

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル 4-(4-メタンスルホニルフェニル)ベンゾエート (例12);

(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチル-4-(N-メチルナフタレン-2-スルホンアミド)オキサン-3-イル ベンゾエート (例13);

[2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル 4-ヨードベンゾエート (例14);

1-ベンジル (2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル (2R)-2-[[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ]ペンタンジオエート (例15);

ベンジル(2R)-2-[[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ]-4-[[(2S,3R,4S,6R)-2[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-l-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル](メチル)カルバモイル] ブタノエート (例16);

4-[[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル]オキシ]-4-オキソブタン酸 (例17);

3-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル](メチル)カルバモイル]プロパン酸 (例18); 及び

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル ピリジン-3-カルボキシレート(例19);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 2,5-ジメチルピラゾール-3-カルボキシレート(例20);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 5-クロロチオフェン-2-カルボキシレート (例21);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-エチルベンゾエート (例22);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-
テトラヒドロピラン-3-イル] 4-メトキシベンゾエート (例23);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ナフタレン-2-カルボキシレート (例24);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] キノリン-3-カルボキシレート (例25);

2-ベンジルオキシ-N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-アセトアミド (例26);

ベンジル N-[2-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-2-オキソ-エチル]カルバメート (例27);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-3-フェノキシ-プロパンアミド (例28);

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド (例29);

(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン (例30);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-
オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 2-メチルプロパノアート (例31);

上記群から最も好ましく選択されるものは、以下からなる:

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル ベンゾエート(例2);

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10S,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル 4-(4-メタンスルホニルフェニル)ベンゾエート(例12);

1-ベンジル (2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル(2R)-2-[[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ]ペンタンジオエート(例15);

ベンジル(2R)-2-[[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ]-4-[[(2S,3R,4S,6R)-2[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-l-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチルオキサン-4-イル](メチル)カルバモイル] ブタノエート(例16);

4-[[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-11-イル]オキシ]-6-メチルオキサン-3-イル]オキシ]-4-オキソブタン酸 (例17);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-エチルベンゾエート (例22);

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ナフタレン-2-カルボキシレート (例24);

ベンジル N-[2-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,
5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-2-オキソ-エチル]カルバメート (例27);及び

N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-3-フェノキシ-プロパンアミド (例28)。
【0035】
本発明は、また、少なくとも一つの本発明の化合物及び少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含み、R1がOHの場合R8がHであることができ、R7を有する、化合物を含むこともできる、医薬組成物を提供する。
【0036】
本発明の化合物又は組成物は、薬剤としての使用に適しており、R1がOHの場合R8がHであることができ、R7を有する、化合物を含むこともできる。
【0037】
上記のように、本発明の化合物は、ヒト呼吸器上皮再生のモデルにおいて良好な活性を有すること、及び様々な細菌に対する種々の試験において低下した抗菌活性を有することが、本発明者らによって見出されている。本発明の化合物を評価するために用いることのできる、上皮バリア機能の種々のin vitro試験法及びin vivo試験法がある。 in vivo試験法には、病原因子SO2を用いるやり方、ラムノリピドを用いるやり方、及び高気圧外傷を用いるやり方が、ある。本発明の化合物は、SO2を用いるやり方でin vivoで試験されており、その化合物は、肺バリア機能保護において著しい効果を示すことが、見出された。
【0038】
本発明の化合物又は医薬組成物は、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、あるいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状の、治療において有効である。該疾病又は症状は、呼吸器疾患であることができ、該上皮組織は、気道内上皮組織、具体的には、鼻、鼻腔、静脈洞、咽頭、気管、気管支、細気管支、終末気道、及び肺胞からなる群から選択される気道の一部、であることができる。
【0039】
本発明の化合物又は組成物は、先天性気道疾患、慢性気道疾患、持続性気道疾患、又は長期気道疾患の治療において、有効である。例えば、本発明の化合物又は組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、非CF気管支拡張症、慢性鼻副鼻腔炎、びまん性汎細気管支炎(DPB)、慢性気管支炎、原発性の又は化学療法による若しくは移植後の二次性の閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(BOOP)、新生児呼吸促迫症候群(IRDS)及びその長期合併症、気管支肺異形成症、神経筋呼吸抑制及び/又は不全、肺炎(特に市中肺炎)を含む症状、並びに呼吸器合胞体ウイルス(RSV)及び関係ウイルス、例えばヒト・メタ・ニューモウイルス、が引き起こす及び関係する、慢性幼児喘鳴及び関連する小児喘息気管支過敏等の症状、の治療において、有効である。
【0040】
本発明の化合物又は組成物は、一般に炎症を伴い、好ましくは、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、及びクローン病からなる群から選択される、多くの疾病及び疾患における上皮バリア機能の増強又は回復においても、有効である。
【0041】
本発明は、また、本明細書に記載の全ての疾病又は症状の治療又は予防のための方法を
提供し、その方法は、治療上有効な量の本発明の化合物又は組成物を対象(例えば哺乳類、通常はヒト)に投与することを、含む。
【0042】
式(I)の化合物内に存在する置換基に応じて、該化合物は、エステル、アミド、カルバメート、及び/又は塩を形成することができる。薬剤における使用に好適な式(I)の化合物の塩及び溶媒和物は、対イオン又は結び付いた溶剤が薬学的に許容される塩及び溶媒和物である。しかし、薬学的に許容されない対イオン又は結び付いた溶剤を有する塩及び溶媒和物も、本発明の範囲内であって、例えば、式(I)の化合物の調製における中間体並びにそれらの薬学的に許容されるエステル、アミド、又はカルバミン酸塩、又はそれらの溶媒和物として、使用される。
【0043】
本発明の好適な塩には、有機又は無機の酸又は塩基により形成されるものが含まれる。具体的には、本発明の酸により形成される好適な塩には、鉱酸、強有機カルボン酸、非置換の又は例えばハロゲンによって置換された、炭素原子1個~4個のアルカンカルボン酸等、飽和又は不飽和のジカルボン酸等、ヒドロキシカルボン酸等、アミノ酸等により、あるいは有機スルホン酸、非置換の又は例えばハロゲンによって置換された、(C1~C4)‐アルキル又はアリール‐スルホン酸等により、形成される塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン‐2‐スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、及びグルタル酸、リシン、及びアルギニンから形成されるものが含まれる。シュウ酸等の他の酸は、それ自体が薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩の取得における中間体として有用であることができる。
【0044】
薬学的に許容される塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウム及びナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩、並びに有機塩基、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N‐メチル‐D‐グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ‐、ジ‐、又はトリ‐低級アルキルアミン、例えば、エチルアミン、ターシャルブチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、又はジメチルプロピルアミン、あるいはモノ‐、ジ‐、又はトリ‐ヒドロキシ低級アミン、例えば、モノ‐、ジ‐、又はトリ‐エタノールアミンとの塩が、含まれる。相当する内部塩をさらに形成することができる。
【0045】
式(I)の化合物は、エステル、アミド、又はカルバメートに変換される好適な基を有することができる。 したがって、式(I)の化合物において酸基から形成される典型的なエステル基及びアミド基は、‐COORB、‐CONRB 2、‐SO2.ORB、又は‐SO2.NRB 2を含み、一方、式(I)の化合物において‐OH又は‐NHRB基から形成される、典型的なエステル基、アミド基、及びカルバメート基は、‐O.CO.RB、‐NRB.CO2B‐O.SO2B、及び‐NRB.SO2Bを含み、式中、各RBは、水素、C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C38シクロアルキル、C38シクロアルキルC16アルキル、C610アリール、及びC610アリールC16アルキルからなる群から独立に選択され、それぞれ、任意選択で、1個から3個までのハロゲン原子で置換される。好ましくは、 各RBは、水素及びC14アルキルからなる群から、独立に、選択される。例えば、式(I)の化合物において、一つ又は複数のR3、R4、及びR5がHである場合に存在する、一つ又は複数のOH基は、式‐O.CO.RBのエステルに変換することができ;すなわち、その化合物は、RBが上記のように投与され次第、CO.RBで示される一つ又は複数のR3、R4、及びR5を有することができる。
【0046】
受容者に投与する際、化合物は、上記のような式(I)の化合物、即ちその活性な代謝産物又は残渣に変換されることができ、そのような化合物は、「プロドラッグ」として知られる。プロドラッグは、例えば、身体内で、例えば血液中での加水分解により、医薬作用を有する活性型に変換されることができる。上記の特定のエステル、アミド、 及びカルバメートは、プロドラッグであることができる。薬学的の許容されるプロドラッグは、参照により本明細書に組み込まれる、the A. C. S. Symposium Series (1976)のT. Higuchi and V. Stella, Prodrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14; "Design of Prodrugs" ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985;及びEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に記載されている。
【0047】
有機化学分野の当業者なら、多くの有機化合物が、溶媒と複合体を形成して、その中で反応する、あるいはそれから沈殿する又は結晶化することができることを、理解している。これらの複合体は、「溶媒和物」 として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」 として知られている。
【0048】
特記しない限り、以下の定義は、本明細書を通して用いられる際に、用語に適用される。
【0049】
本明細書で用いられる際、用語の「アルキル」は、直鎖及び分岐鎖の飽和炭化水素基の双方を意味する。アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソ‐プロピル基、n‐ブチル基、t‐ブチル基、i‐ブチル基、sec‐ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基が挙げられる。非分岐アルキル基内には、好ましいメチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソ‐プロピル基、n‐ブチル基がある。分岐アルキル基内には、上記のt‐ブチル基、i‐ブチル基、1‐エチルプロピル基、及び1‐エチルブチル基が、有ることができる。
【0050】
本明細書で用いられる際、用語の「アルコキシ」は、O‐アルキル基を意味し、「アルキル」は、上記の意味で用いられる。アルコキシ基の例として、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。他の例として、プロポキシ基及びブトキシ基が挙げられる。
【0051】
本明細書で用いられる際、用語の「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素炭素二重結合を有する、直鎖及び分岐鎖の不飽和炭化水素基の双方を意味する。アルケニル基の例として、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられる。好ましいアルケニル基には、エテニル、1‐プロペニル、及び2‐プロペニルが含まれる。
【0052】
本明細書で用いられる際、用語の「アルキニル」は、少なくとも一つの炭素炭素三重結合を有する、直鎖及び分岐鎖の不飽和炭化水素基の双方を意味する。アルキニル基の例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルが挙げられる。好ましいアルキニル基には、エチニル、1‐プロピニル、及び2‐プロピニルが含まれる。
【0053】
本明細書で用いられる際、用語の「シクロアルキル」は、環系内の飽和基を意味する。シクロアルキル基は、一環式又は二環式であることができる。二環式基は、例えば、縮合している又は橋かけしていることができる。一環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロペンチルが挙げられる。一環式シクロアルキル基の他の例は、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルである。二環式シクロアルキル基の例として、ビシクロ[2.2.1]ヘプト‐2‐イルが挙げられる。好ましくは、シクロアルキル基は、一環式である。
【0054】
本明細書で用いられる際、用語の「アリール」は、一環式又は二環式の芳香族炭素環式基を意味する。アリール基の例として、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。ナフチル基は、その1位又は2位を介して接続されることができる。二環式芳香族基において、その環の一つは、例えば、部分的に飽和化されることができる。そのような基の例として、インダニル及びテトラヒドロナフチルが挙げられる。具体的には、用語のC510アリールは、本明細書において、5個から10個までの炭素原子を一環式又は二環式の芳香族基内に含む基を意味するのに用いられる。特に好ましいC510アリール基は、フェニルである。
【0055】
本明細書で用いられる際、用語の「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。フッ素、塩素、及び臭素が、特に好ましい。
【0056】
本明細書で用いられる際、用語の「ヘテロ環」は、1個から3個までの炭素原子が、窒素、酸素、又は硫黄から別々に選択される1個又は複数個のヘテロ原子によって置き換えられている、芳香族又は非芳香族の炭素原子の環状基を意味する。複素環基は、例えば、一環式又は二環式であることができる。 二環式ヘテロ環基内に、各環内に又は二つの環の内の一つのみ内に、1個又は複数個のヘテロ原子が存在することができる。ヘテロ原子は、好ましくはO又はNである。好適な窒素原子を含有するヘテロ環基には、相当するN‐オキシドが含まれる。
【0057】
一環式非芳香族ヘテロ環基(一環式ヘテロシクロアルキル環とも呼ばれる)の例として、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモリホリニル、及びアゼパニルが挙げられる。
【0058】
環の一つが非芳香族である二環式ヘテロ環基の例として、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、及びベンゾアゼパニルが挙げられる。
【0059】
一環式芳香族ヘテロ環基(一環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、及びピリミジニルが挙げられる。
【0060】
二環式芳香族ヘテロ環基(二環式ヘテロアリール基とも呼ばれる)の例として、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾキアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾイル[4,5-b]ピリジル、ピリドピリミジニル、イソコニリニル、及びベンゾドロキサゾールが挙げられる。
【0061】
好ましいヘテロ環基の例として、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピリジル、ピリミジニル、及びインドリルが挙げられる。好ましいヘテロ環基には、チエニル、チアゾリル、フラニル、ピラゾリル、ピロリル、イソキサゾリル、及びイミダゾリルも含まれる。
【0062】
本明細書で用いられる際、用語の「シクロアルキルアルキル」は、上記の意味を有すると解釈される、アルキル基を介して結合した「シクロアルキル」及び「アルキル」、シクロアルキル‐アルキル基を意味する
【0063】
本発明の化合物は、いくつかのキラル(非対称)中心を含有し、その分子は全体として
対掌性である。それぞれの立体異性体(対掌体及びジアステレオ異性体)及びこれらの混合物は、本発明の範囲内である。
【0064】
本発明の化合物は、当分野で良く知られている方法によって調製可能である。アジスロマイシンは、 Sigma-Aldrich 社を含む供給源から幅広く入手可能である。重要な中間体であるデスクラジノースアジスロマイシン(実施例1)は、スキーム1に示されている公表されている手順に従い、 メタノールHCl(水溶液) を用いるアジスロマイシンの選択的酸性加水分解により調製可能である。重要な中間体である脱メチル化アジスロマイシン(中間体A)及び脱メチル化デスクラジノースアジスロマイシン(中間体B)は、MeOH又はiPrOH中のヨウ素及びNaOAcを用いるN‐脱メチル化により調製可能であり、その方法は、米国特許第3,725,385号に記載されており、European Journal of Medicinal Chemistry 49 (2012) 365-378, entry 5.1.3にも記載されている。その方法は、スキーム1にも示されている:
【化12】
【0065】
スキーム1に示される後生的中間体は、標準的な結合技術を用いて、本発明の化合物に誘導体化することができる。
【0066】
本発明の化合物は、薬剤として有用である。具体的には、本発明の化合物は、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、あるいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状の、治療用の薬剤として有用である。該疾病又は症状は、呼吸器疾患であることができ、該上皮組織は、気道内上皮組織、具体的には、鼻、鼻腔、副鼻腔、咽頭、気管、気管支、細気管支、終末気道、及び肺胞からなる群から選択される気道の一部、であることができる。
【0067】
本発明の化合物又は組成物は、先天性気道疾患、慢性気道疾患、持続性気道疾患、又は長期気道疾患の治療用の薬剤として、有用である。例えば、本発明の化合物又は組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、非CF気管支拡張症、慢性鼻副鼻腔炎、びまん性汎細気管支炎(DPB)、慢性気管支炎、原発性の又は化学療
法による若しくは移植後の二次性の閉塞性細気管支炎性器質化肺炎(BOOP)、新生児呼吸促迫症候群(IRDS)及びその長期合併症、気管支肺異形成症、神経筋呼吸抑制及び/又は不全、肺炎(特に市中肺炎)を含む疾患、並びに呼吸器合胞体ウイルス(RSV)及び関係ウイルス、例えばヒト・メタ・ニューモウイルス、が引き起こす及び関係する、慢性幼児喘鳴及び関連する小児喘息気管支過敏等の症状、の治療において、有効である。
【0068】
本発明の化合物は、上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る、通常炎症を伴う疾患及び疾病の治療又は予防用の薬剤として有用であり、該疾患は、好ましくは、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、及びクローン病からなる群から選択される。
【0069】
本発明は、また、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、あ
るいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状、の治療又は予防のための方法を、提供する。本発明の方法により治療されることができる疾病及び症状は、好ましくは、上記のものである。本発明は、また、上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る炎症を伴う症状の治療又は予防のための方法を、提供する。そのような疾患及び症状は、好ましくは、上記のものである。
【0070】
本発明は、また、上皮細胞又は上皮組織の欠陥により生じる疾病又は症状、あ
るいは上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る疾病又は症状の治療又は予防用の薬剤の製造のための、本発明の化合物の使用を、提供する。治療可能な疾病及び症状は、好ましくは、上記のものである。本発明は、また、上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る炎症を伴う症状の治療又は予防用の薬剤の製造のための、本発明の化合物の使用を、提供する。そのような疾病及び症状は、好ましくは、上記のものである。
【0071】
治療効果を達成するのに必要な有効成分の量は、当然ながら、具体的な化合物、投与経路、種類、人種、年齢、体重、性別、及び対象者の医学的症状、対象者の腎機能及び肝機能、並びに治療対象の疾病又は疾患、さらにはその重症度を含め、治療の対象者、によって変わる。 通常の技能を有する医師、獣医、又は臨床医なら、その症状の 進行を防止する、反撃する、又は停止させるのに必要な薬剤の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0072】
本発明の特定の化合物は、他の化合物に比べ良好な経口バイオアベイラビリティを有している。特に良好な口バイオアベイラビリティ(特に経口バイオアベイラビリティ)を有する化合物は、全身薬剤送達による治療に適した症状の治療において、特に有用である。一方、 バイオアベイラビリティに劣る化合物は、局所送達に役立ち(かつ低いバイオアベイラビリティによって全身の副作用が最小化され)、したがって、局所薬剤送達(例えば、吸入による、あるいは皮膚適用、口腔内適用、舌下適用、又は眼内適用による)による症状に適した疾患の治療に、役立つ。
【0073】
示される効果のために用いられる場合、本発明の経口用量は、ヒト成人について、体重1kg当たり1日に約0.01mg(mg/kg/日)と約100mg/kg/日の間、好ましくは体重1kg当たり1日に約0.01mg(mg/kg/日)と約10mg/kg/日の間、最も好ましくは0.1mg/kg/日と5.0mg/kg/日の間、の範囲となる。したがって、通常の日用量は、約1mgから約500mgまでの有効成分、好ましくは約20mgから約500mgまでの有効成分、例えば50mg~500mg、例えば100mg~400mg、例えば200mg~300mg、例えば250mgの有効成分である。経口投与の場合、該組成物は、好ましくは、錠剤の形状又は他の提供形状で、用量の対症調整のために、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.
0、25.0、50.0、100、200、250、又は500mgの有効成分を含有する離散単位で、治療対象の患者に提供される。
【0074】
静脈内投与では、最も好ましい用量は、定速注入の間の、約0.1から約10mg/kg/分までの範囲となる。好適なことに、本発明の化合物は、単一日用量で投与でき、あるいは総日用量を、一日2回、3回、又は4回に分割して投与することができる。また、本発明の好ましい化合物は、当業者によく知られているように、好適な鼻腔内送達手段の局所使用を介して経鼻的に、又は経皮的皮膚パッチの形態を用いる経皮経路を介して、投与することができる。経皮的送達システムの形態で投与されるために、該用量の投与は、当然ながら、該用法を通して断続的ではなく連続的となる。
【0075】
有効成分のみを投与することは可能であるが、有効成分が医薬製剤中又は医薬組成物中に存在することが、好ましい。したがって、本発明は、本発明の化合物、及び薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体(本明細書では、一括して「担体」材料と呼ばれる)を含む、医薬製剤を提供する。本発明の医薬組成物は、以下に記載の医薬製剤の形態をとることができる。
【0076】
最も好適な投与経路は、例えば、受容者の疾病及び疾患に依存するが、本発明の医薬製剤には、経口投与、非経口投与(皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、静脈内投与(ボーラス投与又は点滴投与)、及び関節内投与)、吸入投与(様々な種類の定量加圧エアロゾル、噴霧器、又は吸入器により生成されることができる、微細粒子のダスト又はミストを含む)、直腸投与、腹腔内投与、及び局所投与(経皮投与、口腔内投与、舌下投与、及び眼内投与を含む)に適した医薬製剤が含まれる。
【0077】
製剤は、簡便なように単位剤形で提供されることができ、薬学の分野で良く知られている方法のいずれかによって調製されることができる。全ての方法には、有効成分を、一つ又は複数の副成分を構成する担体と組み合わせる段階が含まれる。一般に、製剤は、該有効成分を液体担体又は微細に粉砕された固体担体あるいはその双方と均一かつ密接に組合せ、その後、必要に応じて、生成物を所望される製剤に成形することで、調製される。
【0078】
経口投与に適する本発明の製剤は、それぞれが所定量の有効成分を含有する、カプセル、オブラート薬包、丸薬、又は錠剤等の個別単位として;粉末又は顆粒として;水性液体又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として、例えば、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、又はシロップ剤として;あるいは、水中油型液体乳濁液又は油中水型液体乳濁液として、提供されることができる。該有効成分は、大丸薬、舌下剤、又はペーストとしても調製されることができる。
【0079】
錠剤は、任意選択で一つ又は複数の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、好適な機械中で、該有効成分を、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、平滑剤、界面活性剤、又は分散剤と混合して、粉体又は顆粒等の自由流動形態で圧縮することで、製造することができる。成形錠剤は、好適な機械中で、粉末化化合物を不活性液体希釈剤で湿らせた混合物を成形することにより、製造することができる。該錠剤は、任意選択で被覆される又は刻印されることができ、その中での該有効成分の低速放出又は制御放出を提供するように、製剤されることができる。本発明の化合物は、例えば、即時放出又は持続放出に適した形状で、投与されることができる。即時放出又は持続放出は、本発明の化合物を含む好適な医薬組成物を用いることで、あるいは、具体的には、持続放出の場合、皮下埋め込み器又は浸透圧ポンプ等の機器を用いることにより、達成することができる。本発明の化合物は、リポソーム製剤としても投与されることができる。
【0080】
経口投与用の例示的組成物には、例えば、当分野で知られているような、かさ高にするための微結晶セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム、粘度増強剤としてのメチルセルロース、及び甘味料又は香味料;並びに、例えば、当分野で知られているような、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ソルビトール、グルコース、及び/又は他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、及び潤滑剤を含有することができる即時放出錠剤、を含有することができる懸濁液が、含まれる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ-ラクトース、コーンシロップ等の天然糖、アカシアゴム、トラガカントゴム、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス、その他等の天然ゴム及び合成ゴムが、含まれる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴム、その他が含まれるが、これらに限定されるものではない。式(I)の化合物は、口腔を介して舌下投与及び/又は口腔内投与により送達されることもできる。成形錠剤、圧縮錠剤、又は凍結乾燥錠剤は、使用可能な例示的形態である。
【0081】
例示的組成物には、マンニトース、ラクトース、サッカロース、及び/又はシクロデキストリン等の急速溶解性希釈剤と共に、本発明の化合物の製剤が、含まれる。また、そのような製剤に含まれることができるのは、セルロース(アビセル)又はポリエチレングリコール(PEG)等の高分子量賦形剤である。そのような製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、 カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(SCMC)、マレイン酸無水物共重合体(例えば、Gantrez)等の粘膜への接着を助ける賦形剤、及びポリアクリル共重合体(例えば、Carbopol 934)等の放出制御剤をも含むことができる。潤滑剤、流動促進剤、香味料、着色剤、及び安定剤も、形成及び使用を容易にするために、加えることができる。これらの剤形で用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩酸ナトリウム等が、含まれる。液状での経口投与用に、経口薬成分を、エタノール、グリセロール、水、その他の何らかの経口用、非毒性、薬学的に許容される非反応性担体と組み合わせることができる。
【0082】
非経口投与用の製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、及び該製剤を意図される受容者の血液と等浸透圧にする溶質を含有することができる、水性及び非水性の無菌注入溶液;並びに、懸濁剤及び増粘剤を含むことができる、水性及び非水性の無菌懸濁液が、含まれる。該製剤は、単位用量容器又は多用量容器、例えば、密封されたアンプ及びバイアル内で提供されることができ、使用直前に無菌の液体担体、例えば生理食塩水又は注入用水を加えれば良いように、凍結乾燥された状態で保管されることができる。即時調製の注入溶液及び懸濁液は、上記の種類の無菌の粉体、顆粒、及び錠剤から調製することができる。非経口投与用の例示的組成物には、例えば、好適な非毒性の非経口投与的に許容される希釈剤又は溶剤、マンニトール、1,3‐ブタンジオール、水、リンゲル液、等張な塩化ナトリウム溶液等、あるいは、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む、他の好適な分散剤又は湿潤剤及び乳濁剤、及びオレイン酸又はCremaphorを含む脂肪酸が、含まれる。
【0083】
経鼻投与、エアロゾル投与、又は吸入投与用の例示的組成物には、生理食塩水中の溶液が含まれ、例えば、ベンジルアルコール又は他の好適な保存料、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、及び/又は当分野で知られているような他の溶解剤又は分散剤を含有することができる。
【0084】
直腸投与用の製剤は、ココアバター、合成グリセリドエステル、又はポリエチレングリコール等の通常の担体を有する坐薬として、提供されることができる。そのような担体は、通常、常温では固体であるが、直腸腔内で液化及び/又は溶解して薬剤を放出する。
【0085】
口内、例えば、口腔内又は舌下に局所的に投与するための製剤には、サッカロース及びアカシアゴム又はトラガカントゴム等の香味基剤中の有効成分を含むトローチ剤、並びにゼラチン及びグリセリン又はサッカロース及びアカシアゴム等の基剤中の有効成分を含む芳香錠が、含まれる。局所投与用の例示的組成物には、Plastibase(ポリエチレンと共にゲル化した鉱油)等の局所担体が含まれる。
【0086】
好ましい単位用量製剤は、該有効成分の上記のような有効用量、又は有効用量の好適な分割量を含有するものである。
【0087】
具体的に上記された成分に加えて、本発明の製剤は、対象となる製剤の種類を考慮して、当分野で確立されている他の成分を含むことができ、例えば、経口投与用の好適な製剤は、香味料を含むことができることを、理解すべきである。
【0088】
本発明の化合物は、単一の有効成分として、薬剤内で、用いることができるが、該化合物を一つ又は複数の別の活性薬剤と組み合わせて用いることも、可能である。そのような別の活性薬剤は、本発明の別の化合物であることができ、あるいは、それらは、別の治療薬、例えば、呼吸器の疾病又は疾患の治療において有用な別の化合物、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は嚢胞性線維症(CF)の治療において有用な化合物、であることができる。
【0089】
喘息の治療において有用な化合物には、吸入されたコルチコステロイド(例えば、フルチカゾン(Flonase、Flovent HFA)、ブデソニド(Pulmicort Flexhaler、Rhinocort)、フルニソリド(Aerospan HFA)、シクレソニド(Alvesco、Omnaris、Zetonna)、ベクロメタゾン(Qnasl、Qvar)、モメタゾン(Asmanex)、又はフロ酸フルチカゾン(Arnuity Ellipta))、ロイコトリエン修飾物(例えば、モンテルカスト(Singulair)、ザフィルルカスト(Accolate)、又はジレウトン(Zyflo));長時間作動型β-作動薬(例えば、サロメテロール(Serevent)、又はフォルモテロール(Foradil、Perforomist));組合せ吸入剤(例えば、フルチカゾン-サロメテロール(Advair Diskus/Seretide)、ブデソニド-フォルモテロール(Symbicort)、又はコルチコステロイドと共に長時間作動型β-作動薬を含有するフォルモテロール-モメタゾン(Dulera));テオフィリン(例えば、Theo-24又はElixophyllin)、短時間作動型β-作動薬(例えば、アルブテロール(ProAir HFA、Ventolin HFA、その他)、及びレバルブテロール(Xopenex))、イプラトロピウム(Atrovent)、あるいは経口コルチコステロイド又は静脈内コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又はメチルプレドニゾン)が、含まれる。
【0090】
COPDの治療において有用な化合物には、短時間作動型気管支拡張剤(例えば、アルブテロール(ProAir HFA、Ventolin HFA、その他)、レバルブテロール(Xopenex)、及びイプラトロピウム(Atrovent))、長時間作動型気管支拡張剤(チオトロピウム(Spiriva)、サロメテロール(Serevent)、フォルモテロール(Foradil、Perforomist)、アルホルモテロール(Brovana)、インデカテロール(Arcapta)、及びアクリジニウム(Tudorza)を含む)、吸入されたステロイド(フルチカゾン(Flovent)及びブデソニド(Pulmicort)、組合せ吸入剤(例えば、組合せ気管支拡張剤及び吸入されたステロイド、例えば、サロメテロール及びフルチカゾン(Advair)及びフォルモテロール及びブデソニド(Symbicort)を含む)、経口ステロイド、ホスホジエステラーゼ-4抑制剤(例えば、ロフルシラスト(Daliresp))、テオフィリン、及び抗生物質が、含まれる。
【0091】
CFの治療において有用な化合物には、抗生物質、粘液間伐薬、気管支拡張剤、及び経口膵酵素剤が、含まれる。
【0092】
本発明の化合物が、上皮バリア機能の増強又は回復から恩恵を被る炎症を伴う症状の治療に用いられる場合、さらに活性な薬剤が、対象の症状に好適な薬剤から選択される。
【0093】
本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合、上記の他の治療薬を、例えば、米国医薬品便覧(PDR)に示される量で又は当業者が他に決定するように、用いることができる。
【0094】
以下の実施例は、本発明を実証する。
【実施例
【0095】
一般的方法
分取逆相クロマトグラフィーは、X-bridge, prep C18カラム (5μm)上で、50mM の重炭酸アンモニウム/アセトニトリルの濃度勾配で、実施した。全ての化合物は、分析用HPLC/LCMSで分析した。該分析は、エレクトロスプレーインターフェース及びUVダイオードアレイ検出器を備えた、Agilent 1100 Series Liquid Chromatograph/Mass Selective Detector (MSD) (Single Quadrupole社) を用いて実施した。調製された化合物には、ソフトウェアのMarvin Sketch 5.2.6から得られるIUPAC名を付与した。
【0096】
出発物質は、通常の容易に入手可能な供給源から得た。
【0097】
全ての化合物について、MS/ESIの陽性イオン化で[M+H]+を得た。変換収率は、所望の生成物への変換における収率より精製における収率を反映するため、無視した。各化合物の単離収量は、いくつかの例外はあるが、所望される50mgを超えていた。
【0098】
実施例1:デスクラジノースアジスロマイシン:(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン)
【化13】

アジスロマイシン ((2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン) (10g、13.35mmol) のメタノール(100mL)溶液に、pHが1.25で安定するまで、HCl(1M)を加え、得られた溶液を室温で24時間撹拌した。NaOH(1M)を用いて、混合物のpHを10.75に調整した。混合物を1時間撹拌して、NaHCO3(5%)とDCMの間に分離させた。水相をDCMの第二の部分で洗い、組み合わせた有機片を、硫酸マグネシウム上
で乾燥し、溶剤を減圧下で除去し、白色泡状の生成物を得た。試料を、順相シリカクロマトグラフィー(DCMからDCM中の5%メタノールに、移動相に0.1%トリエチルアミンを加えた)で精製した。
【0099】
実施例2:(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート)
【化14】

氷冷した、DCM(5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(0.5g、0.8500mmol)とトリエチルアミン(428.2mg、4.23mmol)の混合物に、塩化ベンゾイル(356.9mg、2.54mmol)を加えた。該反応混合物を室温まで放冷させた。3日後に、所望のベンゾイル化生成物に良好に変換され、混合物をDCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させた。有機相を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、白色の泡に濃縮した。生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般情報を参照されたい)。
【0100】
実施例3: (1R,2R,5R,7R,8R,9S,10S,11R,14R,15R)-8-[(2S,3R,4S,6R)-3-ベンゾイルオキシ-4-(ジメチルアミノ)-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-14-エチル-7-ヒドロキシ-2,3,5,7,9,11,15-ヘプタメチル-12,17-ジオキソ-13,16,18-トリオキサ-3-アザビシクロ[13.3.0]オクタデカン-10-イル] モルホリン-4-カルボキシレート)
【化15】

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ
-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]
ベンゾエート(実施例2)(250.mg、0.3600mmol)を、THF(2.5mL)中のカルボニルジイミダゾール(466.73mg、2.88mmol)及びトリエチルアミン(291.27mg、2.88mmol)と混合した。2日間撹拌後に、中間生成物を、DCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させて、単離した。DCM相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。DMF(1mL)を加え、続いてモルホリン(37.61mg、0.4300mmol)及び1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク‐7‐エン(65.73mg、0.4300mmol)を加えた。出発物質が残存しなくなると、生成物を再度、DCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させた。DCM相を再度硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物をアセトニトリルに溶解させ、逆相クロマトグラフィーで精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、固体とした。
【0101】
実施例4: [(2S,3R,4S,6R)-2-[[(1R,2R,5R,7R,8R,9S,10S,11R,14R,15R)-10-(ベンジルカルバモイルオキシ)-14-エチル-7-ヒドロキシ-2,3,5,7,9,11,15-ヘプタメチル-12,17-ジオキソ-13,16,18-トリオキサ-3-アザビシクロ[13.3.0]オクタデカン-8-イル]オキシ]-4-(ジメチルアミノ)-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート
【化16】

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]
ベンゾエート(実施例2)(250.mg、0.3600mmol)を、THF(2.5mL)中のカルボニルジイミダゾール(466.73mg、2.88mmol)及びトリエチルアミン(291.27mg、2.88mmol)と混合した。2日間撹拌後に、中間生成物を、DCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させて、単離した。DCM相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。DMF(1mL)を加え、続いてベンジルアミン(46.26mg、0.4300mmol)及び1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク‐7‐エン(65.73mg、0.4300mmol)を加えた。出発物質が残存しなくなると、生成物を再度、DCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させた。DCM相を再度硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物をアセトニトリルに溶解させ、逆相クロマトグラフィーで精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、固体とした。
【0102】
実施例5: (2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-[ベンジル(メチル)アミノ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキ
サ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン

【化17】

中間体Aは、 (2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オンである。この化合物は、米国特許第3,725,385号に記載されており、European Journal of Medicinal Chemistry 49 (2012) 365-378, entry 5.1.3にも記載されている、方法を用いて、アジスロマイシンのN‐脱メチル化によって調製した。
【0103】
臭化ベンジル(43.63mg、0.2600mmol)を、IPA(1mL)中の、((2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン)(中間体A)(125.mg、0.1700mmol)とN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(32.97mg、0.2600mmol)の混合物に加えた。出発物質が認められなくなると、反応を、DCMと炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させた。DCMを減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルに溶解させ、逆相クロマトグラフィーで精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を合わせ、濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0104】
実施例6: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-ベンズアミド
【化18】

塩化ベンゾイル(27.83mg、0.200mmol)を、IPA(1mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(97.mg、0.1300mmol)(中間体A)と炭酸水素ナトリウム(16.63mg、0.200mmol)の混合物に、加えた。出発物質が残存しなくなると、混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムとDCMの間に分離させた。溶剤を減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルで希釈して、逆相クロマトグラフィーを用いて精製し(一般的方法を参照されたい)、濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0105】
実施例7: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-ベンズアミド
【化19】

中間体Bは、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オンである。 この化合物は、米国特許第3,725,385号に記載されており、European Journal of Medicinal Chemistry 49 (2012) 365-378, entry 5.1.3にも記載されている、方法を用いて、デスクラジノースアジスロマイシン(実施例1)のN‐脱メチル化によって調製した。
【0106】
塩化ベンゾイル(20.96mg、0.1500mmol)を、IPA(1.25mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-
2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(57.33mg、0.100mmol)と炭酸水素ナトリウム(12.53mg、0.1500mmol)の混合物に、加えた。出発物質が残存しなくなると、混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムとDCMの間に分離させた。溶剤を減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルで希釈して、逆相クロマトグラフィーを用いて精製し(一般的方法を参照されたい)、濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0107】
実施例8: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-ナフタレン-2-スルホアミド
【化20】

(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体A)(195.mg、0.2700mmol)200mg(所望の出発物質さらには非脱メチル化材料の約50%を含有)、炭酸水素ナトリウム(33.43mg、0.4000mmol)、及び2‐ナフタレンスルホニルクロリド(90.21mg、0.4000mmol)に、THF(1mL)及びIPA(1mL)を加えた。反応を一晩撹拌し、所望生成物への良好な変換を得た。DCM及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、反応を徐々に進めた。有機相を集め、濃縮して、黄色油とした。粗生成物を約4mLのACNに溶解し、濾過し、分取LC(一般情報を参照されたい)にかけ、純粋な生成物部を得て、濃縮し、凍結乾燥して、固体材料を得た。
【0108】
実施例9: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-ナフタレン-2-スルホンアミド
【化21】
【0109】
(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(175.mg、0.3000mmol)(所望の出発物質さらには非脱メチル化材料の約50%を含有)、炭酸水素ナトリウム(38.24mg、0.4600mmol)、及び2‐ナフタレンスルホニルクロリド(103.17mg、0.4600mmol)に、IPA(2mL)を加えた。反応を、一晩撹拌した。DCM及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、反応を徐々に進めた。有機相を集め、濃縮した。粗生成物を約4mLのACNに溶解し、濾過し、分取LC(一般情報を参照されたい)上で分離し、純粋な生成物部を得て、濃縮し、凍結乾燥して、固体材料を得た。
【0110】
実施例10: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N,4-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド
【化22】

(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10-トリヒドロキシ-13-[(2R,4R,5S,6S)-5-ヒドロキシ-4-メトキシ-4,6-ジメチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体A)(199.98mg、0.2700mmol)(所望の出発物質さらには非脱メチル化材料の約50%を含有)、炭酸水素ナトリウム(34.29mg、0.4100mmol)、及びp‐トルエンスルホニルクロリド(77.81mg、0.4100mmol)に、IPA(2mL)を加えた。反応を、一晩撹拌した(転化率及び純度は、2‐同族体ほどではなかった)。DCM及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、反応を徐々に進めた。有機相を集め、濃縮した。粗生成物を約4mLのAC
Nに溶解し、濾過し、分取LC(一般情報を参照されたい)上で分離し、純粋な生成物部を得て、濃縮し、凍結乾燥して、固体材料を得た。
【0111】
実施例11: [(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3R,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-4,13-ジアセトキシ-2-エチル-3,10-ジヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-4-(ジメチルアミノ)-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート
【化23】

(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート(実施例2)(200.mg、0.2900mmol)のDCM(2mL)溶液に、無水酢酸(146.91mg、1.44mmol)及びピリジン(113.82mg、1.44mmol)を加えた。主生成物がジアセチル化されるまで、混合物を撹拌した。反応混合物とほぼ同一容量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、反応を徐々に進めた。有機相を集めて、アセトニトリル(約4mL)に溶解させた。溶液を濾過し、逆相クロマトグラフィー上で精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を集め、減圧下で濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0112】
実施例12: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-(4-メチルスルホニルフェニル) ベンゾエート)
【化24】

[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-ヨードベンゾエート(実施例14)(200.mg、0.2400mmol)、炭酸カリウム(101.05mg、0.7300mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン
)パラジウム(II)ジクロリド(8.55mg、0.0100mmol)、及び(4‐メチルスルホニルフェニル)ボロン酸(73.12mg、0.3700mmol)の非反応性の(窒素ガスフラッシュ)混合物に、水0.2mL及びDME(2mLを加えた。)混合物を60度に加熱した。出発物質が残存しなくなったら、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とDCMの間に分離させて、反応を徐々に進めた。DCM相を濃縮し、混合物をアセトニトリルに溶解させ、濾過し、逆相クロマトグラフィー上で精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0113】
実施例13: [(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-4-[メチル(2-ナフチルスルホニル)アミノ]テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート)

【化25】
[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-3-イル] ベンゾエート(実施例2)(150.mg、0.2200mmol)を、IPA(1.5mL)中の2‐ナフタレンスルホニルクロリド(59.93mg、0.2600mmol)と混合した。炭酸水素ナトリウム(24.06mg、0.2900mmol)を酸捕捉剤として加えた。反応は、非常に早く、約30分後に、混合物をDCMと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分離させた。有機相を濃縮し、アセトニトリルで希釈した。混合物を濾過し、逆相クロマトグラフィーで精製した(一般情報を参照されたい)。透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、固体の生成物を得た。
【0114】
実施例14: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-ヨードベンゾエート)
【化26】

4‐ヨードベンゾイルクロリド(270.61mg、1.02mmol)を、氷冷したTHF(5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(500.mg、0.8500mmol)とN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(164.07mg、1.27mmol)の混合物に加えた。混合後に、混合物を放冷して、室温とした。反応を、約3時間撹拌し、その後、DCMと飽和炭酸水素ナトリウムとの間に分離させた。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して、オフホワイトの固体とした。粗生成物の一部を、逆相クロマトグラフィーで精製し(一般情報を参照されたい)、残りを、粗生成物として、パラジウム触媒のクロスカップリング反応に用いた。
【0115】
実施例15: O1-ベンジルO5-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] (2R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ) ペンタンジオエート
【化27】

(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(250mg、0.4200mmol)を、DCM(2.5mL)中の、Z‐D‐グルタミン酸1‐ベンジルエステル(235.71mg、0.6300mmol)、4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(5.17mg、0.0400mmol)、及びDCC(130.96mg、0.6300mmol)の混合物に、加えた。反応を、一晩撹拌し、水0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いてで精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を濃縮し、水を凍結乾燥で除去し、表題の化合物を固体として得た。
【0116】
実施例16: ベンジル (2R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-5-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-5-オキソ-ペンタノエート
【化28】

DCM(3mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(300.mg、0.5100mmol)、EDC塩酸塩(113.93mg、0.7600mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(6.2mg、0.0500mmol)の混合物に、Z‐D‐グルタミン酸1‐ベンジルエステル(282.88mg、0.7600mmol)を一気に加えた。出発物質が消失するまで(約2時間)、混合物を撹拌した。水0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いてで精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を濃縮し、水を凍結乾燥で除去し、白色固体として生成物を得た。
【0117】
実施例17: 4-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]オキシ-4-オキソ-ブタン酸

【化29】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(250.mg、0.4200mmol)及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(5.17mg、0.0400mmol)の混合物に、無水コハク酸(63.52mg、0.6300mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。溶剤を減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルで希釈して、約4mLとした。混合物を、濾過し、逆相クロマトグラフィー上で精製し(一般的方法を参照されたい)、透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、白色固体として生成物を得た。
【0118】
実施例18: デスクラジノースアジスロマイシンN‐スクシニル
4-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタ
デク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-4-オキソ-ブタン酸
【化30】

(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(300.mg、0.5200mmol)、(N‐脱メチル化デスクラジノースアジスロマイシン)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(5.17mg、0.0400mmol)のDCM(2.5mL)溶液に、無水コハク酸(78.07mg、0.7800mmol)を室温で一気に加えた。混合物を約2時間撹拌し、出発物質が認められなくなった(LC)後に、水0.1mLを混合物に加えた。溶液を、減圧下で濃縮し、アセトニトリルを加えて約4mLとした。混合物を、濾過し、逆相クロマトグラフィー上で精製した(一般的方法を参照されたい)。透明な部分を集め、濃縮し、凍結乾燥して、白色固体として生成物を得た。
【0119】
実施例19: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ピリジン-3-カルボキシレート)
【化31】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(250mg、0.4200mmol)、ニコチン酸(78.15mg、0.6300mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(12.93mg、0.1100mmol)の混合物に、DCC(130.98mg、0.6300mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。溶剤を減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルで希釈して、約4mLとした。混合物を、濾過し、逆相クロマトグラフィー上で精製し(一般的方法を参照されたい)、透明な部分を濃縮し、凍結乾燥して、白色固体として生成物を得た。
【0120】
実施例20: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 2,5-ジメチルピラゾール-3-カルボキシレート
【化32】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(210.mg、0.3600mmol)、EDC塩酸塩(79.76mg、0.5300mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(21.72mg、0.1800mmol)の混合物に、1,3‐ジメチル‐1H‐ピラゾール‐5‐カルボン酸(74.73mg、0.5300mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。約0.1mLの水を加えることで、反応を停止させ、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈した。混合物を濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し(アセトニトリルの大部分を除去するため)、凍結乾燥して水を除去して、白色固体として生成物を得た。
【0121】
実施例21: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 5-クロロチオフェン-2-カルボキシレート
【化33】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(210.mg、0.3600mmol)、EDC塩酸塩(79.76mg、0.5300mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(21.72mg、0.1800mmol)の混合物に、5‐クロロチオフェン‐
2‐カルボン酸(86.7mg、0.5300mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水0.1mLを加えた。反応を濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈した。物質を濾過し、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、凍結乾燥して水を除去して、白色固体として生成物を得た。
【0122】
実施例22: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-エチルベンゾエート
【化34】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(242.mg、0.4100mmol)、EDC塩酸塩(91.9mg、0.6100mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(25.02mg、0.2000mmol)の混合物に、4‐エチル安息香酸(92.27mg、0.6100mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水(0.1mL)を加えて反応を停止させた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、生成物を、濾過し、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、凍結乾燥して水を除去して、白色固体として生成物を得た。
【0123】
実施例23: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 4-メトキシベンゾエート
【化35】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12
S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(226.mg、0.3800mmol)、EDC塩酸塩(85.82mg、0.5700mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(23.37mg、0.1900mmol)の混合物に、4‐メトキシ安息香酸(87.3mg、0.5700mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水(0.1mL)を反応に加えた。次いで、反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、残った水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0124】
実施例24: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] ナフタレン-2-カルボキシレート
【化36】
DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(231.mg、0.3900mmol)、EDC塩酸塩(87.72mg、0.5900mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(23.88mg、0.2000mmol)の混合物に、2‐ナフタレンカルボン酸(100.98mg、0.5900mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水約0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈した。混合物を、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0125】
実施例25: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] キノリン-3-カルボキシレート
【化37】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(218.mg、0.3700mmol)、EDC塩酸塩(82.79mg、0.5500mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(22.54mg、0.1800mmol)の混合物に、3‐キノリンカルボン酸(95.85mg、0.5500mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。水約0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。アセトニトリルを除去するため、純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0126】
実施例26: 2-ベンジルオキシ-N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-アセトアミド
【化38】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(254.mg、0.4400mmol)、EDC塩酸塩(98.8mg、0.6600mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(26.9mg、0.2200mmol)の混合物に、ベンジルオキシ酢酸(109.77mg、0.66mmol)を一気に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。過剰な試薬を停止させるため、水0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0127】
実施例27: ベンジル N-[2-[[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-メチル-アミノ]-2-オキソ-エチル]カルバメート
【化39】

氷冷したDCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(241mg、0.4200mmol)、EDC塩酸塩(93.75mg、0.6300mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(25.52mg、0.2100mmol)の混合物に、Z‐グリシン(131.12mg、0.6300mmol)を一気に加えた。混合物を、放冷して室温とし、一晩撹拌した。水0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0128】
実施例28: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-3-フェノキシ-プロパンアミド
【化40】
(氷冷した)DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(286.mg、0.5000mmol)、EDC塩酸塩(111.25mg、0.7400mmol)、及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(30.29mg、0.2500mmol)の混合物に、3‐フェノキシプロピオン酸(123.6mg、0.7400mmol)を一気に加えた。混合物を
室温で一晩撹拌した。水(約0.1mL)を加えて、反応を停止させた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0129】
実施例29: N-[(2S,3R,4S,6R)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-N-メチル-2-フェニル-アセトアミド
【化41】

氷冷したDCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(246.mg、0.4300mmol)の溶液に、フェニルアセチルクロリド(98.9mg、0.6400mmol)を注意深く加えた。得られた混合物を、放冷して室温とし、約1時間後に数滴の水を加えて、反応を停止させた。溶剤を除去し、アセトニトリルを加えて、総量を約4mLとした。混合物を、濾過し、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。溶剤を減圧下で除去し、残った水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0130】
実施例30: (2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン
【化42】

氷冷したDCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-11-[(2S,3R,4S,6R)-3-ヒドロキシ-6-メチル-4-(メチルアミノ)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(中間体B)(249.mg、0.4300mmol)の溶液に、塩化イソブチル(69.mg、0.6500mmol)を注意深く加えた。得
られた混合物を、放冷して室温とし、約1時間後に数滴の水を加えて、反応を停止させた。溶剤を除去し、アセトニトリルを加えて、総量を約4mLとした。混合物を、濾過し、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。溶剤を減圧下で除去し、残った水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0131】
実施例31: [(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-2-[[(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-15-オキソ-1-オキサ-6-アザシクロペンタデク-11-イル]オキシ]-6-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル] 2-メチルプロパノアート
【化43】

DCM(2.5mL)中の、(2R,3S,4R,5R,8R,10R,11R,12S,13S,14R)-11-[(2S,3R,4S,6R)-4-(ジメチルアミノ)-3-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-2-エチル-3,4,10,13-テトラヒドロキシ-3,5,6,8,10,12,14-ヘプタメチル-1-オキサ-6-アザシクロペンタデカン-15-オン(実施例1)(231.mg、0.3900mmol)及び4‐(ジメチルアミノ)ピリジン(23.88mg、0.2000mmol)の混合物に、塩化イソブチル(62.49mg、0.5900mmol)を一気に加えた。混合物を、室温で一晩撹拌した。水0.1mLを加えた。反応を、濃縮し、アセトニトリルで約4mLに希釈し、濾過し、生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて精製した(一般的方法を参照されたい)。純粋な部分を減圧下で濃縮し、水を凍結乾燥で除去して、白色固体として生成物を得た。
【0132】
化合物の試験
試験A:抗菌活性
各実施例の化合物の抗菌活性を、試験した。最小発育阻害濃度(MIC、細菌の発育を阻害するのに必要な最小濃度)及び最小殺菌濃度(MBC、殺菌に必要な最小濃度)は、各化合物について、肺炎連鎖球菌(ATCC49619)、黄色ブドウ球菌(ATCC29213)、巨大菌(BM-11)及び大腸菌(D-21)に関して、マイクロタイタープレート上の抗菌液体希釈法を用いて、測定した。 最小発育阻害濃度(MIC)は、各例示的化合物及びトリ型結核菌複合体(MAC)を有するアジスロマイシンについても、測定した。トリ型結核菌複合体(MAC)は、トリ型結核菌及びマイコバクテリウム・イントラセルラーレの双方をカバーする用語である。
【0133】
アッセイ1:
例示的化合物1~31及びアジスロマイシンの抗菌活性を、試験した。最小発育阻害濃度(MIC、細菌の発育を阻害するのに必要な最小濃度)及び最小殺菌濃度(MBC、殺菌に必要な最小濃度)は、各化合物について、肺炎連鎖球菌(ATCC49619)、黄色ブドウ球菌(ATCC29213)、巨大菌(BM-11)及び大腸菌(D-21)に関して、96ウェルマイクロタイタープレート上の抗菌液体希釈法を用いて、測定した。
【0134】
各化合物の256μg/mL原液を、Mueller-Hinton 培養液中で調製し、2倍段階希釈法で希釈した。段階希釈は、各ウェルに希釈された化合物50μLを含む、96ウェルマイクロタイタープレート上で実施した。各化合物を、二重に希釈した。肺炎連鎖球菌(ATCC49619)と共に培養する化合物は、5%ウマ血液及び20mL/LのβNADを含有するMueller-Hinton 培養液で希釈した。
【0135】
細菌培養物は、滅菌生理食塩水で希釈し、一つの菌液が、McFarland 比濁法で0.5の値を有するようにした。次いで、この菌液をMueller-Hinton 培養液で希釈した(1:100)。希釈された培養液から、50μLを96ウェルプレートの各ウェルに加えて、細胞密度を約106細胞/mL及び最終試験容積を100μLとした。細菌液を加えた後に、化合物の最終濃度範囲は、128、64、32、16、8、4、2、1、0.5、及び0.25μg/mLであった。化合物は、500μg/mL及び1000μg/mLとより高い濃度でも試験した。対照は、培養液及び細菌のみを含有するウェル、及び培養液のみを含有するウェルとした。
【0136】
菌液を加えた後、プレートを35℃で18時間インキュベートした。各ウェルでの細菌発育を記録し、最小発育阻害濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)を決定した。
【0137】
アッセイ2:
最小発育阻害濃度(MIC)は、例えば、化合物及びトリ型結核菌複合体(MAC)を有するアジスロマイシンについて測定した。トリ型結核菌複合体(MAC)は、トリ型結核菌及びマイコバクテリウム・イントラセルラーレの双方をカバーする用語である。MACの試験対象化合物に対する感度は、Park et al (J Korean Med Sci. 2009, 24(3), 511-2)に記載されている、2,3‐ジフェニル‐5‐チエニル‐(2)‐テトタゾニウムクロリド(STC)比色マイクロプレート分析法を用いて、評価した。
【0138】
各化合物は、トリ型結核菌及びマイコバクテリウム・イントラセルラーレの二つの異なる株、S1002170205及びS1003050114並びにS1005200018及びS1303150028で、二重に試験した。全ての株は、クラリスロマイシン(CLR)、MAC感染に対して選択された薬剤に対する感受性が高かったが、他の薬剤(アミカシン、クロファジミン、クラリスロマイシン、エタンブトール、オフラキサシン、リファブチン、リファンピン、及びイソニアジド)に対する感受性は、様々であった。
【0139】
各化合物の256μg/mL原液は、Middlebrook培養液で調製し、その後、さらに2倍段階希釈法で希釈した。段階希釈は、各ウェルに希釈された化合物50μLを含む、96ウェルマイクロタイタープレート上で実施した。各化合物を、二重に希釈した。最終試験濃度を50μg/mLにするため、Middlebrook培養液にSTCを補充した。
【0140】
MAC株は、Lowenstein TB 媒体中で10日間増殖させ、Middlebrook培養液に移し、さらに5日間37℃で培養した。この菌株は、次に、希釈して、McFarland 比濁法で1の値とした。この培養物は、次に、さらに希釈し、合計50μLを96ウェルプレートの各ウェルに加えて、細胞密度を約106細胞/mL及び最終試験容積を100μLとした。細菌液を加えた後に、化合物の最終濃度範囲は、128、64、32、16、8、4、2、1、0.5、及び0.25μg/mLであった。対照は、培養液及び細菌のみを含有するウェル、及び培養液のみを含有するウェルとした。株のS1002170205(トリ型結核菌)及びS1303150028(マイコバクテリウム・イントラセルラーレ)については、化合物を、250、500、及び1000μg/mLとより高い濃度でも試験した。
【0141】
7日後に、STCの比色変化を記録することで、細菌の生育度を判定した。その後、こ
のデータを用いて、各化合物の最小発育阻害濃度(MIC)を決定した。
【0142】
結果:
アッセイ1における抗菌性試験で、アジスロマイシンは、以下のMIC及びMBCを有することがわかった:
【表1】
【0143】
本発明の全ての例示的化合物は、4件の細菌試験のそれぞれに関して、アジスロマイシンより高いMIC及びMBCを有していた。例示的化合物の2、3、4、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、及び31に関して、MIC又はMBCは、4件の細菌試験のそれぞれでのアジスロマイシンのMIC及びMBCの16倍を超えていた。例示的化合物の2、3、4、7、8、9、10、11、16、18、22、24、26、27、28、29、及び30は、4件の細菌試験のそれぞれでのアジスロマイシンのMIC及びMBCの32倍を超えるMIC及びMBCを有していた。
【0144】
アッセイ2において、アジスロマイシンは、以下のMIC(μg/mL)を有することがわかった:
【表2】
【0145】
本発明の全ての例示的化合物は、マイコバクテリウム試験のそれぞれに関して、アジスロマイシンより高いMICを有していた。例示的化合物の1、2、3、4、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、及び31について、MICは、マイコバクテリウム試験のそれぞれでのアジスロマイシンのMICの4倍を超えていた。トリ型結核菌のS1002170205及びマイコバクテリウム・イントラセルラーレのS1305150028に関して、MICは、各化合物について、例示的化合物の2、3、4、7、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、及び31について、アジスロマイシンのMICの
15倍を超えていた。
【0146】
試験 B: 試験化合物の存在下、気液界面(ALI)で培養された、不死化VA10又はBCi-NS1.1細胞の経上皮抵抗の測定値:
原液は、以下のように調製した:
DMEM/F12+FBS溶液:DMEM/F12溶液 (Gibco 11330-032) 500mLに、Pen/Strep (Gibco 15070)2.5mLを加えた。45mLアリコートを取り出し、FBS溶液45mLを加えて、FBSの最終濃度を10%とした。
【0147】
DMEM/F12+Ultroser G(UG)溶液:UG一瓶に、無菌の細胞培養グレードの水20mLを加え、暗所、室温で30分間溶解させた。 UG混合物の10mLをを、DMEM/F‐12 500mLに加えた。Pen/Strep (Gibco 15070) 2.5mLを、該溶液に加え、暗所、4℃で保管した。UGの他の10mLは、暗所、-20℃で保管した。
【0148】
コラーゲン: 酢酸166μLを、細胞培養グレードの水83.3mLと組み合わせた。コラーゲンを、この混合物3~5mLに溶解させた。一瓶のコラーゲン (Human Type IV Collagen (Sigma C7521-50 MG)) を、酢酸/水混合物に加えた。この10倍の原液を、-20℃で保管した。少量を、細胞培養グレードの水で希釈し、等倍の作業溶液とした。該作業溶液及び原液を、ポアサイズ0.2μmのフィルターで濾過した。
【0149】
全てのウェル: ALI Transwell Filters:6.5mm (Corning 3470)、12mm (Corning 3460) を使用した。十分な等倍のコラーゲンを、ウェルに加えて、膜を覆い、少なくとも1時間、室温又は37℃でインキュベートした。コラーゲンを吸引した。膜を、等倍のPBSで洗い、膜を、蓋で部分的に覆い、使用前に完全に乾燥した(~約30分間)。
【0150】
手順:
一日目から二日目、DMEM/F-12+FBSに懸濁させたBCi-NS1.1/VA10細胞を、以下のように、各膜の上側チャンバー上に移した:
-6.5mmウェル:BCi-NS1.1細胞、媒体200μL中に15×104細胞
-6.5mmウェル:VA10細胞、媒体200μL中に6×104細胞
-12mmウェル:BCi-NS1.1細胞、媒体500μL中に0.5×106細胞
-12mmウェル:VA10細胞、媒体500μL中に0.2×106細胞
【0151】
DMEM/F-12+FBS媒体を、以下のように、下側チャンバー内に加えた:
‐6.5mmウェル:媒体1mL
‐12mmウェル:媒体1.5mL
【0152】
該細胞は、37℃、5%CO2で保存した。
1日目に、媒体を、下側のチャンバーから、次いで上側のチャンバーから、吸引した。次に、双方のチャンバー内の媒体を、下記のように、DMEM/F-12+UGで置き換えた:
‐6.5mmウェル:下側チャンバー内に1mL;上側チャンバー内に200μL
‐12mmウェル:下側チャンバー内に1.5mL;上側チャンバー内に500μL
【0153】
該膜は、37℃、5%CO2で保存した。
0日目に、経上皮抵抗(TER)を測定した。該媒体を下側のチャンバーから吸引して、DMEM/F-12+UG(前と同一容積)中の試験対象の試料と置き換えた。次に、上側チャンバー内の媒体を吸引した。該チャンバーをPBSで1回洗浄し、吸引して、上側チャンバーから液体を除去した。
【0154】
該膜は、37℃、5%CO2で保存した。
下側チャンバー内の媒体を二日毎に交換し、上側チャンバーから全ての液体を吸引した。TERは、二日毎に測定した。
【0155】
各化合物について、試験化合物存在下でのTERと媒体+希釈剤のみ存在下でのTERとの間の比を、算出した。
【0156】
気液界面(ALI)で培養した、不死化VA10細胞の経上皮抵抗を、例示的化合物1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27、28、29、及び30について測定した。それぞれのケースで、試験化合物存在下でのTERと媒体+希釈剤のみ存在下でのTERとの間の比は、1.0より大であった。該比は、例示的化合物2、5、9、11、16、17、19、20、22、23、24、及び25について、2.0より大であった。該比は、例示的化合物1、2、5、8、9、11、12、14、15、16、17、19、20、22、23、24、25、27、及び28について、3.0より大であった。これらのデータは、本発明の化合物が上皮細胞のバリア機能を増強することを、示す。
【0157】
気液界面(ALI)で培養した、不死化BCi-NS1.1細胞の経上皮抵抗を、例示的化合物1、2、3、5、6、11、12、14、16、23、24、及び25について測定した。試験化合物存在下でのTERと媒体+希釈剤のみ存在下でのTERとの間の比を、算出した。該比は、 例示的化合物1、2、11、14、16、23、及び25について、2.0より大であった。該比は、 例示的化合物1、2、11、及び16について、3.0より大であった。これらのデータは、本発明の化合物が上皮細胞のバリア機能を増強することを、示す。
【0158】
試験C:溶解性及び安定性
血漿中の溶解性及び安定性を、いくつかの化合物について、測定した。その方法は、以下の通りである:
10mMリン酸緩衝液(pH7.4)における溶解性:
該化合物の溶解性試料試験は、pH 7.4のリン酸緩衝液中で実施し、HPLC-MS検出を用いた。DMSO中の10Mの原液を、各化合物について調製した。溶解性試験試料については、100μLの原液を、3.9mLの10mMリン酸緩衝液にてpH4.7で希釈し、最終濃度250mMとした。該緩衝液を室温で60分間放置し、その後濾過した。ろ液は、HPLC-MSを用いて250mM及び25mMに調製した同一の分析対象物質の二つの較正点について分析した。これらの較正点は、溶解性試料としての同一原液から、それをDMSO:H2O(1:1)で1:40にその後1:10に希釈することにより調製した。次いで、溶解性試料中の分析対象物質のクロマトグラフ信号面積を、二つの較正試料のクロマトグラフ信号面積と比較した。
【0159】
クロマトグラフ分離は、50 x 2.1 mm xBridge C18 カラム 、並びに0.1%ギ酸を有する水及び0.1%ギ酸を有するアセトニトリルの勾配溶離を用いて、Waters HPLC-MS system 上で実施した。分析対象物質は、単イオン記録における(M+H)+を用いるポジティブエレクトロ‐スプレーモードで分析した。
【0160】
マウス及びヒトの血漿における安定性:
マウス及びヒトの血漿における該化合物の安定性は、試料クリーンアップ時及びHPLC-MS検出時のタンパク質沈殿を用いて実施した。該化合物の血漿安定性試験は、室温で最長4時間の間実施した。DMSO中10Mの原液を、各化合物について調製した。血漿安定性試料については、原液100μLを、マウス又はヒトの血漿のいずれか3.9m
Lで希釈して、最終濃度250mMとした。血漿は、最初の分析の前に、室温で10分間放置して、平衡化させた。各分析時点(0、30、60、120、240、及び360分)で、該血漿の100μLアリコートを除去し、900μLのACN:DMSO(95:5)を加えることで、タンパク質沈殿(PPT)をアリコート上で実施した。沈殿した試料は、60秒間振とうし、次に遠心分離した。上清は、HPLCに移し、HPLC-MSを用いて分析した。異なる時点での試料のクロマトグラフ的信号域を、t=0での当初の信号域を100%として、互いに比較し、他の時点のそれぞれについて、%値を算出した。
【0161】
クロマトグラフ分離は、50 x 2.1 mm xBridge C18 カラム 、並びに0.1%ギ酸を有する水及び0.1%ギ酸を有するアセトニトリルの勾配溶離を用いて、Waters HPLC-MS system 上で実施した。分析対象物質は、単イオン記録における(M+H)+を用いるポジティブエレクトロ‐スプレーモードで分析した。
【0162】
結果は、以下の通りであった:
【表3】
【0163】
試験D:肺におけるバリア完全性の強化
二酸化硫黄損傷下でのマウスの肺におけるバリア完全性の維持に関する本発明の化合物の効果を、試験した。
【0164】
方法:
1.15匹の雌性マウスを、無作為に、 5匹ずつの三つの群に割り付けた。三つの群は、以下の通りである:
a)対照群
b)アジスロマイシン治療群
c)試験化合物治療群
2.下記を用いて3日間に渡りマウスを事前治療した:
a)プラセボ(リン酸緩衝生理食塩水‐PBS):10mg/kgの用量を週3回100μLずつ静脈内注射
b)アジスロマイシン:10mg/kgの用量を週3回100μLずつ静脈内注射
c)実施例2の化合物:10mg/kgの用量を週3回100μLずつ静脈内注射
3.各群のマウス一匹を、対照として、一側に固定した。四匹のマウスは、空気中200ppmの濃度で60分間二酸化硫黄ガスに暴露した。これらのマウスは、45L治療ボックス内の、除去可能な蓋、ガス供給ライン、及びガス排気口を備えたケージ内に置いた。ガスは、一時間当たりほぼ7回置換する量でボックス内に供給した。ガスは、ボンベに充填された空気とボンベに充填された濃度200ppmのSO2を前室内で事前に混合してから、治療ボックス内に供給した。治療ボックス内に供給されるSO2の濃度は、二つの供給源シリンダーからの空気及びSO2の相対的流量を調整することにより、変えることができた。この試験におけるSO2の濃度は200ppmであったため、ボンベに充填されたSO2をそのまま用い、空気を添加することはなかった。治療の間に、マウスは、食物及び水に接した。
4.治療終了から24時間後に、生理食塩水100μL内のヒト血清アルブミン (HSA)1mg を各マウスの尾静脈内に注入し、蛍光標識デキストラン(FDs)を、気道内に注入した。その後、マウスを90分間鎮静させた。
5. 90分後に、放血によってマウスを殺した。 血清及び気管支肺洗浄(BAL)を集め、肺は、処理してパラフィン固定した。
6.BAL中のHSA濃度を、ELISAで定量した。用いた ELISA試験機は、abcam 社から購入可能であった (Human Serum Albumin kit ab179887)。製造者のの指示書に従い、600nmでの吸光度を測定した。蛍光標識デキストランは、蛍光標識プレートリーダーを用いて定量した。
BAL中に認められる、肺内に漏出したHSAの濃度は、肺上皮バリアの完全性の指標である。
【0165】
結果:
プラセボ群では、四匹のマウス中の二匹に実験的難点があり、アジスロマイシン群では、四匹のマウス中の一匹に実験的難点があり、試験化合物群では、四匹のマウス中の二匹に実験的難点があった。したがって、結果は、プラセボ群及び試験化合物群のそれぞれにおける二匹のマウスから、並びにアジスロマイシン群における三匹のマウスから、得られた。得られたHSAデータは、以下の通りであった:
【表4】
【0166】
このデータを、図1に棒グラフで示した。
【0167】
アジスロマイシン及び実施例2の化合物の双方について、SO2損傷後のHSAの肺内への漏出は、対照に比べて、低減したことが、わかった。これは、アジスロマイシン及び実施例2の化合物が、肺における上皮細胞のバリア機能の回復力を増強することを、示す。
【図面の簡単な説明】
【0168】
図1】二酸化硫黄損傷下でのマウスの肺におけるバリア完全性の維持に関する本発明の化合物(実施例2)の効果を示す棒グラフである。
図1