(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】走行機体
(51)【国際特許分類】
B62D 55/06 20060101AFI20230405BHJP
B62D 55/10 20060101ALI20230405BHJP
B62D 55/084 20060101ALI20230405BHJP
B62D 55/12 20060101ALI20230405BHJP
B62D 55/14 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
B62D55/06
B62D55/10 Z
B62D55/10 A
B62D55/084
B62D55/12 A
B62D55/14 Z
(21)【出願番号】P 2021086506
(22)【出願日】2021-04-02
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】397008775
【氏名又は名称】有限会社曽田農機設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】曽田 清
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-511917(JP,A)
【文献】実開昭62-016116(JP,U)
【文献】特開2004-089118(JP,A)
【文献】特開平04-173485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/06
B62D 55/10
B62D 55/084
B62D 55/12
B62D 55/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走する走行機体であって、
左右一対の走行装置と、
該左右の走行装置の上側に配置された機体本体と、
該機体本体に前記走行装置を取り付ける取付部とを備え、
前記走行装置は、該走行装置の左右内側の側部の少なくとも一部を構成する板状の走行フレームと、該走行フレームにおける前後の一方寄り部分に回転駆動可能に支持された起動輪
と、他方寄り部分に回転自在に支持された遊動輪と、前記起動輪及び前記遊動輪に掛け回されるように側面視で環状をなすクローラとを備え、
前記取付部は、前記走行フレームを前記機体本体側に取り付けて固定するように構成され
、
前記走行フレームは、前記クローラの前記環状の内周側に収容され、且つ、平断面視で前記クローラの左右幅の内側端部側に配置され、
前記走行フレームの外周縁と前記クローラの前記環状の内周との間には、隙間が形成され、
前記走行フレームには、前記起動輪及び該起動輪を回転駆動させるモータと、前記遊動輪と、が該走行フレームの左右外側の側面側に位置させた状態で片持ち支持され、
前記取付部は、前記モータとクローラが掛け回された起動輪及び遊動輪とを片持ち支持している状態の前記走行フレームにおける左右内側の側面側を、前記機体本体に着脱可能に固定するように構成された
ことを特徴とする走行機体。
【請求項2】
前記走行フレームの左右外側の側方には、該走行フレームに対向し且つ前記走行装置の左右外側の側部の少なくとも一部を構成するサブフレームが配置され、
前記起動輪及び前記遊動輪は、前記走行フレームとサブフレームとの間に回転可能に架設して支持された
請求項
1に記載の走行機体。
【請求項3】
前記サブフレームは、前記走行装置に着脱可能に装着された
請求項
2に記載の走行機体。
【請求項4】
前記取付部は、左右の前記走行装置の間の距離を変更可能とする左右幅変更手段を有する
請求項
1に記載の走行機体。
【請求項5】
前記取付部は、左右の前記走行装置に対して前記機体本体の前後位置を変更可能とする前後位置変更手段を有する
請求項
1に記載の走行機体。
【請求項6】
前記走行装置は、その内周面側に接する転輪と、該転輪が回転自在に支持され且つ前記遊動輪の回転軸を支点として上下揺動可能に支持された支持アームとを有し、
前記支持アームは、前記走行フレームの左右内側の面に近接又は接触するように配置され、
前記走行フレームには、前記遊動輪の回転軸を支点として円弧状に形成された位置決め孔が穿設され、
該位置決め孔に左右方向に挿通される位置決め軸によって、前記支持アームが所定の上下揺動で位置決め固定される
請求項
1に記載の走行機体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車や作業車両として利用可能な自走式の走行機体に関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対の走行装置と、左右の走行装置の上側に支持された機体本体とを備え、各走行装置が、少なくとも左右一方の側部の少なくとも一部を構成するように板状に成形された走行フレームと、走行フレームにおける前後の一方寄り部分に回転 駆動可能に支持された起動輪及び他方寄り部分に回転自在に支持された遊動輪と、起動輪及び遊動輪に掛け回されるように側面視で環状をなすクローラとを有した走行機体が公知になっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記文献の走行機体によれば、走行機体の板状の走行フレームが、走行装置の側部をカバーする部材として機能するため、走行装置の構成が簡略化されて製造コストを低く抑えることが可能になる一方で、機体本体を、どうような構成で走行装置に取り付けるかが、強度確保の観点から問題になり、取り付け強度を確保するために構成を複雑化させると、走行装置の構成を簡略化させたメリットが相殺されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、運搬車や作業車両として利用可能な自走式の走行機体であって、構成の簡略化と、強度確保との両立が容易な走行機体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、自走する走行機体であって、左右一対の走行装置と、該左右の走行装置の上側に配置された機体本体と、該機体本体に前記走行装置を取り付ける取付部とを備え、前記走行装置は、該走行装置の左右内側の側部の少なくとも一部を構成する板状の走行フレームと、該走行フレームにおける前後の一方寄り部分に回転駆動可能に支持された起動輪及び他方寄り部分に回転自在に支持された遊動輪と、前記起動輪及び前記遊動輪に掛け回されるように側面視で環状をなすクローラとを備え、前記取付部は、前記走行フレームを前記機体本体側に取り付けて固定するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
前記走行フレームは、前記クローラの前記環状の内周側に収容され、且つ、平断面視で前記クローラの左右幅の内側端部側に配置され、前記走行フレームの外周縁と前記クローラの前記環状の内周との間には、隙間が形成されたものとしてもよい。
【0008】
前記走行フレームには、前記起動輪及び該起動輪を回転駆動させるモータと、前記遊動輪と、が該走行フレームの左右外側の側面側に位置させた状態で片持ち支持され、前記取付部は、前記モータとクローラが掛け回された起動輪及び遊動輪とを片持ち支持している状態の前記走行フレームにおける左右内側の側面側を、前記機体本体に着脱可能に固定するように構成されたものとしてもよい。
【0009】
前記走行フレームの左右外側の側方には、該走行フレームに対向し且つ前記走行装置の左右外側の側部の少なくとも一部を構成するサブフレームが配置され、前記起動輪及び前記遊動輪は、前記走行フレームとサブフレームとの間に回転可能に架設して支持されたものとしてもよい。
【0010】
前記サブフレームは、前記走行装置に着脱可能に装着されたものとしてもよい。
【0011】
前記取付部は、左右の前記走行装置の間の距離を変更可能とする左右幅変更手段を有するものとしてもよい。
【0012】
前記取付部は、左右の前記走行装置に対して前記機体本体の前後位置を変更可能とする前後位置変更手段を有するものとしてもよい。
【0013】
前記走行装置は、その内周面側に接する転輪と、該転輪が回転自在に支持され且つ前記遊動輪の回転軸を支点として上下揺動可能に支持された支持アームとを有し、前記支持アームは、前記走行フレームの左右内側の面に近接又は接触するように配置され、前記走行フレームには、前記遊動輪の回転軸を支点として円弧状に形成された位置決め孔が穿設され、該位置決め孔に左右方向に挿通される位置決め軸によって、前記支持アームが所定の上下揺動で位置決め固定されるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
起動輪及び遊動輪が支持され且つ走行機体の機体本体の幅方向中心に近い側である左右内側の側部の少なくとも一部を構成する板状の走行フレームを、取付部を介して、機体本体に取り付けて固定することにより、構成が簡略化された走行装置を機体本体に高い強度で取り付け可能になるため、構成の簡略化と強度の確保との両立が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を適用した走行機体におけるサブブレームを取外した状態を示す側面図である。
【
図2】本発明を適用した走行機体におけるサブブレームを取外した状態を示す斜視図である。
【
図5】機体本体を走行装置に取り付ける構成を示す背面図である。
【
図6】本発明の別実施形態に係る走行機体におけるサブブレームを取外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1,
図2は、本発明を適用した走行機体を適用した運搬車におけるサブブレームを取外した状態を示す側面図及び斜視図である。図示する走行機体は、機体本体1と、左右一対の走行装置2,2と、機体本体1を走行装置2に取り付けて支持させる取付部3とを備えている。この走行機体は、電動式の自走車であって且つリモコンによる遠隔操作も可能であり、機体本体1の上面側に荷物を載置させて運搬車として利用することも可能であるとともに、その上面側や前側や後側に草刈機等の作業機を連結して作業車両として利用することも可能である。
【0017】
機体本体1は、方形環状に成形された金属製のメインフレーム4と、メインフレーム4から前方に延出された金属製の前方フレーム6と、メインフレーム4から後方に延出された金属製の後方フレーム7と、メインフレーム4上に支持されて固定された金属製の載置プレート8とを有している。
【0018】
メインフレーム4は、前後方向に延びる左右一対の縦パイプ9,9と、左右の縦パイプ9,9の前端部間及び後端部間にそれぞれ架設して固定された前後一対の横パイプ11,11とを有している。
【0019】
前方フレーム6は、平面視で後方が開放されたコの字状に成形されている。前方フレーム6の中途部及び前部が前方斜め上方に延びるように、該中途部及び前部が後部に対して
側面視で上方に屈曲している。この前方フレーム6の左右の後端部を、それぞれメインフレーム4の左右の縦パイプ9,9の開放された前端側に挿入した状態で、着脱可能にボルト固定している。
【0020】
後方フレーム7は、平面視で前方が開放されたコの字状に成形されている。後方フレーム7の中途部及び後部が後方斜め上方に延びるように、該中途部及び後部が前部に対して側面視で上方に屈曲している。この後方フレーム7の左右の前端部を、それぞれメインフレーム4の左右の縦パイプ9,9の開放された後端側に挿入した状態で、着脱可能にボルト固定している。
【0021】
載置プレート8は、その左右幅が、メインフレーム4、前方フレーム6及び後方フレーム7よりも狭く、その前後長が、後方フレーム6の後端側から前方フレーム7の前端側に至る範囲をカバーする長さに設定されている。この載置プレート8の上面側に、荷物等を載せて運搬させてもよいし、或いは各種の作業機を搭載してもよい。
【0022】
載置プレート8の前後中途部は、フラットな水平面状に成形されて前後の横プレート11,11に下支え支持されるフラット部12になる。載置プレート8の前部は、前方フレーム6の傾斜に沿って前方斜め上方に傾斜する前方傾斜部13になる。載置プレート8の後部は、後方フレーム7の傾斜に沿って後方斜め上方に傾斜する後方傾斜部14になる。
【0023】
載置プレート8は、そのフラット部12の左右縁部から下方に突出し且つ前後方向の延びる板状をなす左右一対の被取付部16,16を一体的に有している。この左右の被取付部16,16に、取付部3を介して、左右の走行装置2,2をそれぞれ取り付ける。
【0024】
この載置プレート8の後端部(後方傾斜部14の後端部)は、下方に屈曲されて操作部8aを構成している。この操作部8aは、水平面状に成形され、その上面側には走行中の走行機体を緊急停止させる緊急停止スイッチ17等の各種操作具が設置されている。
【0025】
この載置プレート8の後部の下面側には、走行制御を含む各種制御を行うマイコン等の制御部と、各部に電力を供給するバッテリとがユニット化されたメインユニット18が取り付け固定されている。このメインユニット18には、リモコン等の遠隔操作具からの電波を受信する受信ユニットや、情報端末との間で通信を行う通信ユニットも、必要に応じて設置される。
【0026】
図3,
図4は、走行装置の斜視図及び底断面図である。左右の各走行装置2は、その左右内側の側部の一部又は全部(図示する例では、大部分)を構成するように鉛直に立ち上がって前後方向に延びる板状の走行フレーム19と、その左右外側の側部の一部又は全部(図示する例では、主張部分)を構成するように前記走行フレーム19と平行又は略平行に対向する板状のサブフレーム21と、走行フレーム19とサブフレーム21との間における前後一方寄り部分(図示する例では前寄り部分)に回転駆動可能に支持される起動輪22と、他方寄り部分(図示する例では後寄り部分)に遊転状態で支持された遊動輪23と、起動輪22及び遊動輪23に外側から掛け回される側面視で環状をなすクローラ24と、クローラ24に内周面側から接して該クローラ24のテンションを維持する転輪26とを有している。
【0027】
起動輪22は、インナー式且つ電動式のモータ(動力源)27の外周面に装着固定されたスプロケットである。モータ27における本体27aから左右両側方に同一軸心状に突出形成された支持軸27b,27bは、走行フレーム19及びサブフレーム21にそれぞれ取り付け固定され、モータ27を駆動させると、本体27aが該本体27aに外装された起動輪22と共に一体で回転駆動される。該構造によれば、左右の支持軸27b,27
bの軸心に起動輪22の回転軸が形成される。
【0028】
なお、本例では、走行装置2に動力源を内装する例について説明したが、これに限定されるものではなく、機体本体1に搭載されたエンジンやモータ等の動力源からの動力を、起動輪22に伝動するような構成を採用してもよい。
【0029】
遊動輪23は、走行フレーム19及びサブフレーム21の間に支持された支持軸28の軸回りに回転自在に支持されている。すなわち、この支持軸28の軸心上に遊動輪23の回転軸が形成される。本例では、支持軸28が走行フレーム19とサブフレーム21との間に架設固定され、この支持軸28に遊動輪23が遊転状態で取り付け支持されているが、この構成に限定されるものではなく、支持軸28に遊動輪23を取り付け固定し、この支持軸28を、回転自在に走行フレーム19及びサブフレーム21に支持してもよい。
【0030】
走行フレーム19は、起動輪22、遊動輪23及び転輪26を片持ち支持可能なように、サブフレーム21よりも高い強度を有する金属製の板状部材である。この走行フレーム19は、その外周縁が側面視でクローラ24の内周面に沿う長円形をなし、その全部又は一部(図示する例では全部)がクローラ24の前記環状の内周側に収容される位置に配置されている。これを言換えると、走行フレーム19は、底断面視でクローラ24の左右幅方向の端部よりも内側寄りに配置されている。
【0031】
この走行フレーム19の外周縁と、クローラ24の前記環状の内周との間には、所定の隙間S1が形成されている。この隙間S1の間隔は20mm程度に設定され、これによって、走行装置2の内部への異物の混入を防止しつつ、クローラ24の走行駆動の妨げにならないように、走行装置2が構成される。
【0032】
サブフレーム21は、モータ27の片側の支持軸27bの端部と、支持軸28の端部とに着脱可能に固定される。この板状のサブフレーム19は、走行装置2の左右外側の側部をカバーするカバー体として機能し、その外周縁が走行フレーム19と同様に側面視でクローラ24の内周面に沿う長円形に成形されている。このサブフレーム21の全部又は一部(図示する例では全部)がクローラ24の前記環状の内周側に収容される位置に配置されている。これを言換えると、サブフレーム21は、底断面視でクローラ24の左右幅方向の端部よりも内側寄りに配置されている。ちなみに、
図1及び
図2に示す通り、このサブフレーム21は、取り外して省略できる。
【0033】
このサブフレーム21の外周縁と、クローラ24の前記環状の内周との間には、所定の隙間S2が形成されている。この隙間S2の間隔は20mm程度に設定され、これによって、走行装置2の内部への異物の混入を防止しつつ、クローラ24の走行駆動の妨げにならないように、走行装置2が構成される。
【0034】
転輪26は、支持軸28に上下揺動可能に支持された支持アーム29に回転自在に(遊転状態で)支持されている。この支持アーム29は、支持軸28から起動輪22側に延出された状態で該支持軸28を支点に上下揺動するように支持され、走行フレーム19の内側の面に近接又は接触する位置に配置されている。
【0035】
この支持アーム29は、その延出側の端部に転輪26が支持され、その中途部には走行フレーム19側に突出した左右方向の位置決めピン(位置決め軸)31が一体的に形成されている。一方、走行フレーム19には、側面視で、支持アーム29の上下揺動時における位置決めピン31に移動軌跡と一致するように支持軸28を中心とした円弧状の位置決め孔19aが穿設されている。
【0036】
位置決めピン31は、位置決め孔19aに挿通され、位置決め孔19aの円弧形状の範囲内の任意の一点で、解除可能に固定される。この位置決めピン31の位置決め孔19aへの固定位置に選択によって、クローラ24に付与するテンションを調整する。通常であれば、支持アーム29を弾性付勢する弾性部材等によって、クローラ24にテンションを付与するが、上述の構成によれば、この弾性部材を省略することが可能になる。
【0037】
ちなみに、この位置決め孔19aは上下の対称位置にそれぞれ形成され、この一対の位置決め孔19a,19aの何れに位置決めピン31を挿通させるのかを選択することによって、転輪26がクローラ24の環状の内周における上側部分と下側部分との何れに接触させるのかを選ぶことが可能になる。
【0038】
次に、
図2乃至5に基づいて取付部3の構成につき説明する。
【0039】
図5は機体本体を走行装置に取り付ける構成を示す背面図である。取付部3は、左右の走行装置2毎に設けてもよいし、或いは左右の走行装置2,2を機体本体1に取り付ける単一の取付部3としてもよく、図示する例では後者が採用されている。この取付部3は、左右の走行装置2,2の走行フレーム19,19を、それぞれ機体本体1に取り付けて固定することによって、該左右の走行装置2,2を機体本体1に取り付けている。
【0040】
この取付部3は、機体本体1側の金属製の取付フレームである本体側取付フレームと、走行装置2側の金属製の取付フレームである走行側取付フレームとを有している。
【0041】
前記本体側取付フレームは、左右方向に形成された筒状部材である前後一対のパイプフレーム32,32と、該パイプフレーム32,32同士を連結して固定するように、この前後のパイプフレーム32,32の上に載置されて溶接等により固定される連結フレーム33とを有している。連結フレーム33の左右の両縁側には、垂直に立ち上がったリブ状の取付片34,34がそれぞれ一体的に形成されている。
【0042】
左右の取付片34,34の間に、上述した左右の被取付部16,16が嵌合して挿入可能なように、該左右の取付片34,34の間隔が設定されている。そして、左右の取付片34,34を、それぞれ対応する左右の被取付部16,16に着脱自在にボルト固定することによって、機体本体1を、取付部3に着脱可能に固定している。
【0043】
該構成を実現するため、取付片34を被取付部16に固定するボルト36を挿通させる挿通孔34aを、取付片34に穿設する必要があるが、この挿通孔34aは長孔状に成形され、取付部3に対して機体本体3の前後位置が変更可能に構成されている。すなわち、この取付部3には、左右の走行装置2,2に対して機体本体1の前後位置を変更可能とする前後位置変更機構(前後位置変更手段)が設けられている。ちなみに、この挿通孔34aは、取付片34毎に複数(図示する例では2つ)設けられている。
【0044】
前記走行側取付フレームは、両端寄り部分がそれぞれ前後のパイプフレーム32,32に挿脱自在に挿入される挿入部37a,37aとなる棒状の固定フレーム37と、固定フレーム37を走行フレーム19の外面に一体的に固定する固定部材38とを一体的に有している。
【0045】
固定フレーム37は、前後水平な部分である前後水平部分を境として、前後対称な形状に成形されている。固定フレーム37の前後の各部は、まず、前後水平部分に対して上方に屈曲されて上下(鉛直)方向を向いて起立した部分である起立部分と、該起立部分から左右内側に屈曲されて左右水平な方向を向いた左右水平部分とを一体で有している。固定フレーム37毎に設けられた前後の左右水平部分が上述した挿入部37a,37aになる
。
【0046】
この前後の挿入部37a,37aの間隔は、上述した前後のパイプフレーム32,32の間隔と同一又は略同一に設定されている。この前後の挿入部37a,37aを、前後のパイプフレーム32,32にそれぞれ挿入して固定することによって、走行装置2の走行フレーム19が取付部3に固定される。
【0047】
挿入部37aをパイプフレーム32,32に挿入して固定する位置(挿入量)は、側方あら挿入されるボルト39によって、無段階又は複数段階で、調整可能に構成されおり、この調整によって、左右の走行装置2,2の間隔が変更可能になる。すなわち、取付部3には、左右の走行装置2,2の間の距離を変更可能とする左右幅変更機構(左右幅変更機構手段)が設けられている。
【0048】
以上のように構成される走行機体によれば、シンプルな構造の走行装置2,2を高い強度で機体本体1に取り付けることが可能になり、構成の簡略化と強度確保とを高いレベルで維持することが容易になる。
【0049】
また、機体本体2の前側には、バッテリを含むメインユニット18が設置されておらず、前後の重量バランスが悪化し易い傾向になるが、前後位置変更手段によって、適宜最適なバランスに設定可能になる。例えば、この走行機体の重量バランスを、前後比で38対62に設定し、重心位置を後方寄りとしてもよい。
【0050】
また、左右の走行装置2,2の間隔も変更可能であり、しかも、左右の走行装置2の間の中心に、機体本体1の左右幅方向の中心が位置するように、該機体本体1を配置してもよいし、或いは、左右の走行装置2,2に対して左右一方寄りに機体本体1を配置することも可能であるため、様々な環境に適合させることが容易であり、汎用性も高い。
【0051】
次に、
図6に基づき、本発明の別実施形態について、上述の形態と異なる部分を説明する。
【0052】
図6は、本発明の別実施形態に係る走行機体におけるサブブレームを取外した状態を示す斜視図である。同図に示す例では、前方フレーム6及び後方フレーム7の全体を、側面視で、前後水平な方向に形成している。そして、載置プレート8も前後方向の全体に亘り前後水平な方向に形成している。このため、操作部8aは、鉛直方向及び左右方向に延びるフラットな面状に成形されている。
【0053】
該構成の走行機体によれば、単一の前後方向に長い水平又は略水平な面が、載置プレート8の上面側に形成されるため、載置面の面積を広く確保することが容易になる。
【符号の説明】
【0054】
1 機体本体
2 走行装置
3 取付部
19 走行フレーム
19a 位置決め孔
21 サブフレーム
22 起動輪
23 遊動輪
24 クローラ
26 転輪
27 モータ
28 支持軸(回転軸)
29 支持アーム
31 位置決めピン(位置決め軸)
S1 隙間