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  • 特許-米飯供給装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230405BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019098616
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020191798
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】小田切 恵
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-160408(JP,A)
【文献】特開2018-151236(JP,A)
【文献】特開2000-253840(JP,A)
【文献】特開2019-37163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯受容体に供給される米飯の重量を設定する重量設定部を備え、米飯を落下排出する本体部と、
前記本体部から落下する米飯の経路を開閉可能に前記本体部に設置された開閉カップと、
前記開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測する計量手段と、
米飯の重量計測時には米飯が蓄積される閉鎖位置になり、米飯の重量計測完了時には蓄積された米飯が米飯受容体に落下供給される開放位置になるように前記開閉カップを開閉させ、前記重量設定部で設定された重量の米飯を米飯受容体に供給する制御を実行する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、当該開閉カップの容量以下となる重量に分割して米飯が複数回に分けて米飯受容体に落下供給されるよう前記開閉カップの動作を制御する、
ことを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、均等な重量に分割する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、最後に落下供給される米飯の重量が相対的に小さくなるように分割する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、最後に落下供給される米飯の重量が予め設定された前記開閉カップによる計量最低重量となるように分割する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、均等な重量に分割する第1の分割態様、最後に落下供給される米飯の重量が相対的に小さくなるように分割する第2の分割態様、最後に落下供給される米飯の重量が予め設定された前記開閉カップによる計量最低重量となるように分割する第3の分割態様の少なくとも何れか2つの分割態様を含む分割態様を実行可能に前記開閉カップの動作を制御し、
前記少なくとも何れか2つの分割態様を含む分割態様が選択的に設定可能な分割態様設定部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項6】
前記制御手段は、先に落下供給された米飯重量の計量誤差を後に落下供給される米飯重量にフィードバックする、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【請求項7】
前記本体部は、
米飯が貯留される貯留部、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段、および前記搬送手段から送られた米飯を解しながら落下させる解し手段を備える、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【請求項8】
前記米飯受容体は、
前記開閉カップの直下に設置された容器、または前記開閉カップの直下に設置されて落下供給された米飯を所定形状に成形するための成形型である、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を容器などの米飯受容体に供給する米飯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯を丼や弁当箱等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、ホッパ(貯留部)内の米飯を計量することにより、一定量の米飯を容器(米飯受容体)に自動的に供給する装置である。
【0003】
米飯供給装置では、米飯の供給重量が割り当てられた複数の量目ボタン(重量設定部)が並列的に配置されている。例えば、装置前面に複数の量目ボタンが配置され、相互に異なる米飯重量が各ボタンに割り当てられている。
【0004】
このような米飯供給装置において、装置の所定位置に容器を設置した後、希望する重量に対応した量目ボタンを押下すると、ホッパ内の米飯が所定量ずつ搬送されて閉鎖位置になった開閉カップに蓄積され、当該開閉カップを支持しているロードセル(計量手段)にて逐次計量される。そして、蓄積された米飯の重量が押下した量目ボタンに対応した重量に達すると開閉カップが開き、米飯が容器に落下供給される。
【0005】
また、このような構造の米飯供給装置では、様々な重量の米飯をワンタッチで容器に供給することができるので、メニューや来店客の要望に合わせた幅広い対応が容易にできる。
【0006】
なお、米飯を容器などの米飯受容体に供給する米飯供給装置としては、例えば、特許文献1(特開2018-186748号公報)や特許文献2(特開2016-019492号公報)に記載されたものが知られている。特許文献1では、食材の重量指定を行ってから、迅速に、容器に所定量の食材を供給するための技術が開示されている。また、特許文献2では、精度良く計量した食材を効率よく成形型に投入するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-186748号公報
【文献】特開2016-019492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、開閉カップに米飯を蓄積して計量する前述の米飯供給装置では、開閉カップで計量が可能な米飯の重量は開閉カップの容量により決まるので、開閉カップの容量を考慮して各量目ボタンに米飯の重量が割り当てられている。したがって、開閉カップの容量を上回る重量の米飯を得るためには、合算して目的の重量になるように量目ボタンを複数回押し、複数回に分けて米飯を容器に供給する必要がある。
【0009】
これでは、操作者は米飯が所定の量に達するまで複数回量目ボタンを押さなければならないために、作業工数が増えて手間が掛かる。また、複数回量目ボタンを押さなければならないために、押し間違えてしまうおそれもある。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、1回の重量設定部の操作により、開閉カップの容量を上回る重量の米飯を米飯受容体に供給することのできる米飯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯受容体に供給される米飯の重量を設定する重量設定部を備え、米飯を落下排出する本体部と、前記本体部から落下する米飯の経路を開閉可能に前記本体部に設置された開閉カップと、前記開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測する計量手段と、米飯の重量計測時には米飯が蓄積される閉鎖位置になり、米飯の重量計測完了時には蓄積された米飯が米飯受容体に落下供給される開放位置になるように前記開閉カップを開閉させ、前記重量設定部で設定された重量の米飯を米飯受容体に供給する制御を実行する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、当該開閉カップの容量以下となる重量に分割して米飯が複数回に分けて米飯受容体に落下供給されるよう前記開閉カップの動作を制御する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、均等な重量に分割する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、最後に落下供給される米飯の重量が相対的に小さくなるように分割する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、最後に落下供給される米飯の重量が予め設定された前記開閉カップによる計量最低重量となるように分割する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記重量設定部で設定された米飯の重量が前記開閉カップの容量を上回る場合には、均等な重量に分割する第1の分割態様、最後に落下供給される米飯の重量が相対的に小さくなるように分割する第2の分割態様、最後に落下供給される米飯の重量が予め設定された前記開閉カップによる計量最低重量となるように分割する第3の分割態様の少なくとも何れか2つの分割態様を含む分割態様を実行可能に前記開閉カップの動作を制御し、前記少なくとも何れか2つの分割態様を含む分割態様が選択的に設定可能な分割態様設定部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、先に落下供給された米飯重量の計量誤差を後に落下供給される米飯重量にフィードバックする、ことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記本体部は、米飯が貯留される貯留部、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段、および前記搬送手段から送られた米飯を解しながら落下させる解し手段を備える、ことを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~7の何れか一項に記載の発明において、前記米飯受容体は、前記開閉カップの直下に設置された容器、または前記開閉カップの直下に設置されて落下供給された米飯を所定形状に成形するための成形型である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、重量設定部で設定された米飯の重量が開閉カップの容量を上回っている場合には、米飯の設定重量が開閉カップの容量以下となる分割されて、米飯が米飯受容体に落下供給されるので、1回の重量設定部の操作により、開閉カップの容量を上回る重量の米飯を米飯受容体に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図である。
図2図1の米飯供給装置の断面図である。
図3図1の米飯供給装置のブロック図である。
図4】本実施の形態の米飯供給装置における米飯の供給動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は本発明の第1の実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図、図2図1の米飯供給装置の断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10、背面板11の両側に位置する側面板12を備えており、上部が開口13となった本体部1を有している。また、本体部1には、背面板11の上端に蝶番(図示せず)を介して連結された蓋14が備えられており、当該蓋14により開口13が開閉されるようになっている。
【0024】
図示するように、本体部1の正面板10には、表示部15と量目ボタン(重量設定部)16とが備えられている。表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。また、量目ボタン16は、容器(米飯受容体)Sに供給される米飯の重量を設定するためのボタンである。本実施の形態において、7つの量目ボタン16が配置されており、例えば150g~450gまで50g刻みの米飯重量が各量目ボタン16に割り当てられている。但し、量目ボタン16の数や各量目ボタン16に割り当てられる米飯重量の値は一例であり、これらに限定されるものではない。また、米飯重量の設定は、量目ボタン16というボタン式ではなく、タッチパネル式などであってもよい。
【0025】
なお、量目ボタン16を押下して装置の動作が開始すると、後述する制御部(制御手段)30によって、搬送スクリュ(搬送手段)23による米飯の搬送動作、搬送スクリュ23に搬送された米飯の解しローラ(解し手段)24による解し落下動作、解しローラ24から落下した米飯を蓄積したり容器Sに供給するための開閉カップ25の開閉動作、および開閉カップ25に蓄積した米飯のロードセル(計量手段)41による計量動作の制御が行われる。
【0026】
正面板10の下方には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部空間17が形成されている。この凹部空間17は米飯を盛り付けるときの容器Sを収容するに十分な空間となっており、その上方から米飯が落下して容器Sに供給される。
【0027】
図2に示すように、本体部1の内部には、相互に並列に配置され、シャフトの周りに螺旋状に形成された2本の搬送スクリュ(搬送手段)23を備えて米飯を貯留するホッパ(貯留部)22と、搬送スクリュ23の回転によりホッパ22から搬送された米飯を解しながら落下させるドラム型で外周に多数の爪24aが設けられた解しローラ(解し手段)24が設けられている。さらに、本体部1における解しローラ22の直下には、当該解しローラ22から落下する米飯の重量を計測するために一時的に蓄積する開閉カップ25が取り付けられている。
【0028】
解しローラ24の回転軸は搬送スクリュ23の回転軸と直交するような位置関係になっている。これにより、ホッパ22に貯留された米飯は、ホッパ22に設けられた搬送スクリュ23の回転により解しローラ24へと搬送される。そして、解しローラ24に搬送された米飯は、当該解しローラ24の回転に伴う爪24aの働きにより、解されながら落下排出される。
【0029】
なお、搬送スクリュ23の上方には、当該搬送スクリュ23によって解しローラ24に余剰搬送された米飯を戻す(搬送スクリュ23と逆方向に搬送する)ためのリバーススクリュ26が設置されている。
【0030】
開閉カップ25は、前述した解しローラ24によって落下する米飯の経路上に位置している。この開閉カップ25は、米飯が蓄積可能に下方に膨らんだ形状となっており、下方に向けて開閉可能になった一対のカップ片で形成されている。そして、後述する制御部30による制御下において、米飯を蓄積して重量を計測する際には閉鎖位置になり、米飯の重量計測が完了して蓄積された米飯を容器Sに落下供給する際には開放位置になることで、米飯の計量動作と米飯の容器Sへの供給動作とが行われる。なお、本実施の形態において、開閉カップ25は、最大300gの米飯が計量可能な容量になっている。但し、開閉カップ25の容量は特に限定されるものではなく、自由に設定が可能である。
【0031】
図1および図2に示すように、開閉カップ25の真下に位置して、椀や弁当箱等の容器Sが載置される容器設置部40と、開閉カップ25に蓄積された米飯(つまり、容器設置部40に載置された容器Sに供給されることになる米飯)の計量を行うロードセル(計量手段)41とを備えている。
【0032】
容器設置部40は、容器Sが確実に所定位置に設置されるように、段差を介して周囲よりも低く形成されている。
【0033】
ロードセル41は、開閉カップ25を支持するように設けられている。当該ロードセル41は、検出素子として例えばひずみゲージが用いられ、荷重によるひずみを電気信号に変換する荷重変換器である。
【0034】
以上のような構成を有する米飯供給装置Aのブロック図を図3に示す。
【0035】
図示するように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、装置の動作制御を行うマイクロコンピュータなどで構成される制御部30を備えており、前述した表示部15、量目ボタン16、ロードセル41の他に、搬送スクリュ23を回転駆動するための搬送用モータM1、リバーススクリュ26を回転駆動するためのリバース用モータM2、解しローラ24を回転駆動するための解し用モータM3、開閉カップ25を開閉させるためのカップ用モータM4などを備えている。そして、制御部30は、カップ用モータM4を介して開閉カップ25を前述のように開閉制御する。
【0036】
次に、本実施の形態の米飯供給装置Aにおける米飯の供給動作について説明する。ここで、図4は本実施の形態の米飯供給装置における米飯の供給動作を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、炊き上がった米飯をホッパ22に投入して、蓋14を閉める。次に、容器設置部40に容器Sを設置し、所望の米飯重量が割り当てられた量目ボタン16を押下する(ステップS1)。なお、動作開始時においては、開閉カップ25は閉鎖位置になっている。
【0038】
ここで、前述のように、本実施の形態では、150g~450gまで50g刻みの米飯重量が各量目ボタン16に割り当てられている一方で、開閉カップ25は、最大300gの米飯が計量可能な容量になっている。そこで、制御部30においては、量目ボタン16で設定された米飯の重量は開閉カップ25の容量以下か否かが判断される(ステップS2)。具体的には、150g、200g、250g、300gの米飯重量が割り当てられた量目ボタン16(つまり、開閉カップ25の容量以下の設定重量である量目ボタン16)が押下されたか、あるいは、350g、400g、450gの米飯重量が割り当てられた量目ボタン16(つまり、開閉カップ25の容量を上回った設定重量である量目ボタン16)が押下されたかが判断される。
【0039】
そして、ステップS2において、量目ボタン16で設定された米飯の重量が開閉カップ25の容量以下の場合には、設定重量に応じた米飯の供給が行われる(ステップS3)。具体的には、搬送スクリュ23および解しローラ24が回転を開始して開閉カップ25内に米飯が蓄積されていく。このとき、開閉カップ25に蓄積された米飯の重量はロードセル41によって逐次計測される。そして、ロードセル41による米飯の計量値が設定重量(つまり、押下された量目ボタン16に割り当てられた米飯重量)に到達する直前に搬送スクリュ23および解しローラ24の回転動作が停止し、最終的に設定重量に到達すると開閉カップ25が閉鎖位置から開放位置になり、米飯が容器Sに落下供給される。
【0040】
一方、ステップS2において、量目ボタン16で設定された米飯の重量が開閉カップ25の容量を上回っている場合には、米飯の設定重量を開閉カップ25の容量以下となる重量に分割されて(ステップS4)、1回目の米飯の供給が行われ(ステップS5)、続いて2回目の米飯の供給が行われる(ステップS6)。すなわち、2回に分けて米飯が容器Sに落下供給される。なお、ステップS5およびステップS6における米飯の供給プロセスは、前述したステップS3と同じである。
【0041】
ここで、分割パターン(分割回数、1回あたりの供給量)は自由に設定することができ、特に限定されるものではないが、一例を挙げると、次のような分割パターン(分割態様)が考えられる。
【0042】
第1の分割パターン(第1の分割態様)は、均等な重量に分割するというパターンである。本実施の形態では、開閉カップ25は最大300gの米飯が計量可能な容量であるから、400gの米飯重量が割り当てられた量目ボタン16が押下された場合、1回目に200gの米飯が、2回目にも200gの米飯が落下供給されるように分割する。第1の分割パターンによれば、容器Sに供給された米飯の密度が全域でほぼ均等になるので、ムラのない食感が得られる。
【0043】
第2の分割パターン(第2の分割態様)は、最後に落下供給される米飯の重量が相対的に小さくなるように分割するというパターンである。開閉カップ25が最大300gの米飯が計量可能な容量で、400gの米飯重量が割り当てられた量目ボタン16が押下された場合、例えば1回目に300gの米飯が、2回目に100gの米飯が落下供給されるように分割する。第2の分割パターンによれば、相対的に大きな重量の米飯が先に容器Sに供給され、その上に相対的に小さな重量の米飯が供給されることから、上部に位置する相対的に小さな重量の米飯の密度が低くなる。これにより、容器Sに盛り付けられた米飯の見栄えが良くなるとともに、よりふっくらとした食感が得られる。
【0044】
第3の分割パターン(第3の分割態様)は、最後に落下供給される米飯の重量が、予め設定された開閉カップ25による計量最低重量となるように分割するというパターンである。開閉カップ25が最大300gの米飯が計量可能な容量で、350gの米飯重量が割り当てられた量目ボタン16が押下された場合、例えば1回目に300gの米飯が、2回目に50gの米飯が落下供給されるように分割した場合、2回目に計量される50gが装置にとって軽すぎるために計量精度が悪化する場合がある。そこで、良好な計量精度が得られるミニマムの重量を開閉カップ25の計量最低重量として予め設定しておき、最後に落下供給される米飯の重量を当該計量最低重量にする。前述の場合、開閉カップ25の計量最低重量を100gと設定したとすると、1回目に250gの米飯が、2回目に100gの米飯が落下供給されるように分割する。第3の分割パターンによれば、容器Sに供給される米飯の重量精度が向上する。
【0045】
さて、第1~第3の分割パターンによる場合を含めて、米飯を複数回に分けて容器Sに供給する場合には、先に落下供給された米飯重量の計量誤差を後に落下供給される米飯重量にフィードバックするようにして、米飯の重量精度をより高めることができる。
【0046】
具体的には、400gの米飯を200gと200gとに均等分割して供給するようにし、計量誤差を例えば±10%とすると、1回の供給につき、200gの±10%で±20g程度の誤差が生じる。すると、2回の供給による最終的な最大誤差は±40gになる。そこで、前述のフィードバックをすれば、1回目の供給による最大誤差±20gが2回目の供給にフィードバックされるので、2回目は180g~220g(200g±20g)で計量されることになり、2回の供給による最終的な最大誤差は±22g(220gの±10%)になる。
【0047】
なお、先に供給される米飯重量の計量誤差が後に供給される米飯重量に吸収されるようになることから、最後に計量される米飯重量を小さくした方が、最終的な計量誤差を小さくすることができる。
【0048】
また、前述した第1~第3の分割パターンについては、何れかを選択して設定できるようにすることができる。すなわち、米飯供給装置Aの所定位置(例えば正面板10など)に、ボタン式やタッチパネル式などにより、第1~第3の分割パターンが選択的に設定可能となった分割パターン設定部(分割態様設定部)を設けておく。このようにすれば、作業者が当該分割パターン設定部を操作することにより、作業者が所望する分割パターンに沿った米飯供給(容器Sへの米飯の盛り付け)を行うことができる。
【0049】
なお、第1~第3の分割パターンの一部の分割パターンが選択的に設定可能になっていてもよく、第1~第3の分割パターンの全部あるいは一部の分割パターンとこれら以外の分割パターンとが選択的に設定可能になっていてもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、量目ボタン16で設定された米飯の重量が開閉カップ25の容量を上回っている場合には、米飯の設定重量が開閉カップ25の容量以下となる分割されて、米飯が容器Sに落下供給されるので、1回の量目ボタン16の操作により、開閉カップ25の容量を上回る重量の米飯を容器Sに供給することが可能になる。
【0051】
これにより、合算して目的の重量になるように量目ボタン16を複数回押して複数回に分けて米飯を容器に供給する必要がなくなるので、作業性が向上する。また、複数回量目ボタン16を押すことに伴う押し間違いがなくなる。
【0052】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0053】
例えば、以上説明した場合では、ステップS4において、米飯の設定重量を開閉カップ25の容量以下となる重量に2分割して、ステップS5およびステップS6で、2回に分けて米飯を容器Sに落下供給しているが、3分割以上にして3回以上に分けて落下供給するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態において、本体部1は、米飯が貯留されるホッパ22、ホッパ22内の米飯を搬送する搬送スクリュ23、および搬送スクリュ23から送られた米飯を解しながら落下させる解しローラ24が備えられているが、これら以外の部材により本体部1構成してもよい。
【0055】
さらに、実施の形態での容器Sとしては丼が用いられているが、例えばトレイ状の弁当箱やカレー皿など、様々な容器Sが適用可能であり、丼に限定されるものではない。さらに、容器Sは米飯受容体の一例であり、容器Sに限定されるものではなく、例えば落下した米飯を所定の形状に成形するための成形型などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる上計量の米飯供給装置に適用が可能であり、開閉カップに米飯を供給するための機構としては、様々な構成のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 本体部
16 量目ボタン(重量設定部)
22 ホッパ(貯留部)
23 搬送スクリュ(搬送手段)
24 解しローラ(解し手段)
25 開閉カップ
30 制御部(制御手段)
40 容器設置部
41 ロードセル(計量手段)
A 米飯供給装置
S 容器(米飯受容体)
図1
図2
図3
図4