(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】焼結方法、製造装置、オブジェクトデータ処理方法、データキャリア及びオブジェクトデータ処理装置
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20230405BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230405BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20230405BHJP
【FI】
B22F3/16
B33Y10/00
B33Y50/00
(21)【出願番号】P 2017533758
(86)(22)【出願日】2016-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2016050361
(87)【国際公開番号】W WO2016113213
(87)【国際公開日】2016-07-21
【審査請求日】2018-12-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2015-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514048257
【氏名又は名称】ディジタル メタル アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キムブラッド,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】オルセーリウス,コルネリア
(72)【発明者】
【氏名】マルム,ニクラス
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】山本 佳
【審判官】池渕 立
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0311124(US,A1)
【文献】国際公開第2014/208743(WO,A1)
【文献】特開2013-184405(JP,A)
【文献】特表2014-522331(JP,A)
【文献】国際公開第2014/068579(WO,A1)
【文献】特表2005-533177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F1/00-8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを製造する方法であって、
構成材料の第1の複数の層を配置するステップと、
素地支持体を形成するために前記第1の複数の層の各配置層の部分を各配置層にバインダを選択的に配置することで選択的に結合するステップと、
構成材料の第2の複数の層を配置するステップと、
前記素地支持体により支持される素地体を形成するために、前記第2の複数の層の各配置層の部分を各配置層にバインダを選択的に配置することで選択的に結合するステップと、
前記素地支持体により支持されている前記素地体を前記素地支持体と共に焼結するステップと、
を含
み、前記素地体及び前記素地支持体は、焼結の間に呈する線収縮の割合が実質的に同じである方法。
【請求項2】
前記焼結するステップの前に、前記素地支持体により支持されている前記素地体の脱バインダ処理を行うステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記素地支持体及び前記素地体は同じバインダで結合された同じ構成材料で形成されている、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記素地支持体は
、平面状のベース面を有する、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記素地支持体は前記素地体を支持するための支持面を有し、該支持面は前記素地体との間欠的な接触面を提供する、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記間欠的な接触面は、前記支持面の突起、凹部又は波状部のうちの少なくとも1つによって形成されている、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記素地支持体は、前記素地体の形状に合致するように適合されている、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記素地支持体は、前記素地体上の複数の位置で前記素地体に接触するように適合されている、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記素地支持体は、前記素地体全体を支持できるような寸法を有する、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記素地支持体
をバインダによって前記素地体に連結
する
ステップをさらに含む、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記素地支持体は前記素地体から分離している、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の方法により製造されるオブジェクトを表すオブジェクトデータの処理方法であって、
製造すべきオブジェクト体を表すオブジェクトデータを取得するステップと、 前記素地体を支持するための支持体を表す支持データを、前記オブジェクトデータに基づき生成するステップと、
前記支持体により支持される前記オブジェクト体を表す結合データを得るために前記支持データと前記オブジェクトデータとを組み合わせるステップと、
前記結合データを出力するステップと、
を含む処理方法。
【請求項13】
実行された場合に、請求項
12に記載の処理方法をデータプロセッサに行わせるように構成されたプログラム命令を
記憶したデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は焼結(sintering)方法に関し、具体的には所望のオブジェクトを形成するために素地体(green object body)を焼結する焼結方法に関する。とりわけ、本開示は、付加製造方法によって製造される素地体の焼結に適用可能である。付加製造方法では、金属粉末等の粒状材料が層状に配置されて構築領域(build region)が形成され、各層が配置される間に又は配置された後に各層の部分を結合してオブジェクトの部分を形成することにより、構築領域に一連の層からオブジェクトが形成される。一般に、オブジェクトの各層の結合部は、成功裏に(successfully)配置された層を通じてオブジェクトが切れ目なく(contiguous fashion)形成されるように前の層の結合部と結合される。一般に、結合はバインダを選択的に配置することで行われる。本開示は、上記の焼結方法を含むオブジェクトの製造方法、該オブジェクト製造方法で用いるためのオブジェクトデータ処理方法並びに該データ処理方法を実施するためのデータキャリア(data carrier)及びオブジェクトデータ処理装置(object data processor)にも関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトを形成するために構成材料の一部を結合することにより所望のオブジェクトを作り上げる付加製造方法は、オブジェクトの表面を定義するために材料の一部を除去することで所望のオブジェクトを形成する従来の減法的製造方法(subtractive manufacturing method)に対して重要且つ有利な代替策を提供するものと広く考えられている。
【0003】
多くの様々な付加製造では、構成材料が一連の層として配置されて構築領域が形成される。製造すべき所望のオブジェクトを作り上げるために、各層の一部が互いに結合されるとともに、下の層の先に結合された部分とも結合される。多くの場合3D印刷と呼ばれる1つの特定種類の付加製造には、粒状材料の連続層を配置して構築領域を形成することと、例えば、配置された層の全体に亘って移動可能に配置されるとともに各配置された層の所望の位置にバインダを選択的に配置できるように構成されたインクジェットヘッドから液体バインダを選択的に適用することにより各層の配置後又は配置の間のいずれかに複数の層の部分を選択的に結合することを伴う。
【0004】
ある種類の3D印刷技術は、バインダの適用後にいわゆる素地(green body)を形成する金属粉末又は非金属粉末等の粒状構成材料(granular construction material)を用いる。その後、素地は高温及び/又は高圧の適用等の好適な条件下で焼結される。素地を焼結することで相対的な気孔率が減少するとともに素地の密度が高まるため、強度等の素地の機械特性が改善する。
【0005】
しかしながら、素地を焼結して製造オブジェクトを形成する場合、該オブジェクトに変形が生じることが時折ある。したがって、焼結プロセスの間に素地の変形が起こることを低減する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、製造オブジェクトを形成するために素地体を焼結する方法が提供される。当該方法は素地体を提供するステップを含む。素地体はバインダによって互いに結合された粒状構成材料を含む。当該方法は、前記素地体を支持するための素地支持体(green support body)を提供するステップを含む。素地支持体はバインダによって互いに結合された粒状構成材料を含む。当該方法は、前記素地体を前記素地支持体で支持するステップを含む。当該方法は、前記素地支持体により支持されている前記素地体を前記素地支持体と共に焼結するステップを含む。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、オブジェクトを製造する方法が提供される。当該方法は、構成材料の第1の複数の層を配置する(depositing)ステップを含む。当該方法は、素地支持体を形成するために前記第1の複数の層の各配置層の部分を選択的に結合するステップを含む。当該方法は、構成材料の第2の複数の層を配置するステップを含む。当該方法は、前記素地支持体により支持される素地体を形成するために、前記第2の複数の層の各配置層の部分を選択的に結合するステップを含む。当該方法は、前記素地支持体により支持されている前記素地体を前記素地支持体と共に焼結するステップを含む。
【0008】
一実施形態では、前記素地体及び前記素地支持体は、焼結の間に呈する線収縮の割合が実質的に同じである。
【0009】
一実施形態では、前記方法は、前記焼結ステップの前に、前記素地支持体により支持されている前記素地体の脱バインダ処理を行うステップをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、前記素地支持体及び前記素地体は同じバインダで結合された同じ構成材料で形成されている。
【0011】
本開示の第3の態様によれば、オブジェクトデータを処理する方法が提供される。当該方法は、製造すべきオブジェクト体を表すオブジェクトデータを取得するステップを含む。
当該方法は、前記素地体を支持するための支持体を表す支持データを、前記オブジェクトデータに基づき生成するステップを含む。当該方法は、前記支持体により支持される前記オブジェクト体を表す結合データ(combined data)を得るために前記支持データと前記オブジェクトデータとを組み合わせるステップを含む。当該方法は、前記結合データを出力するステップを含む。
【0012】
一実施形態では、前記素地支持体は、前記オブジェクト体を支持する間に置くことができる平面状のベース面を有する。
【0013】
一実施形態では、前記素地支持体は前記素地体を支持するための支持面を有し、該支持面は前記素地体との間欠的な接触面を提供する。
【0014】
一実施形態では、前記間欠的な接触面は、前記支持面の突起、凹部又は波状部のうちの少なくとも1つによって形成されている。
【0015】
一実施形態では、前記素地支持体は、前記素地体の形状に合致するように適合されている。
【0016】
一実施形態では、前記素地支持体は、前記素地体上の複数の位置で前記素地体に接触するように適合されている。
【0017】
一実施形態では、前記素地支持体は、前記素地体全体を支持できるような寸法を有する。
【0018】
一実施形態では、前記素地支持体はバインダによって前記素地体に連結されている。
【0019】
一実施形態では、前記素地支持体は前記素地体から分離している。
【0020】
本開示の第4の態様によれば、実行された場合に、第3の態様に係る方法をデータプロセッサに行わせるように構成されたプログラム命令を搬送するデータキャリアが提供される。
【0021】
本開示の第5の態様によれば、オブジェクトデータ処理装置が提供される。当該処理装置は、製造すべきオブジェクト体を表すオブジェクトデータを得るよう動作可能なオブジェクトデータ取得ユニットを含む。当該処理装置は、支持データを前記オブジェクトデータに基づき生成するよう動作可能な支持データ生成ユニットを含む。支持データは前記素地体を支持するための支持体を表す。当該処理装置は、前記支持体により支持される前記オブジェクト体を表す結合データを得るために前記支持データと前記オブジェクトデータとを組み合わせるよう動作可能な結合ユニットを含む。当該処理装置は、前記統合データを出力するための統合データ出力ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示をよく理解できるようにするとともに、本開示がどのように実行に移されるかを示すために、一例として添付の図面を参照する。
【
図7】
図7は付加製造プロセスのためのフローチャートを示す。
【
図8】
図8は、本開示の実施の結果として得られる素地体を支持体と共に示す。
【
図12】
図12は、本開示の実施であるデータを処理する方法を表すフローチャートを示す。
【
図13】
図13は、本開示の実施であるオブジェクトデータを処理するための装置を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本開示の概念が実施され得る製造装置を示す。
図1の装置10は、上面11aを備えるテーブル11を有する。ここでは、上面11aは平面状である。テーブル11の上面11aには凹状のウエル(well)12がセットされる。該ウエルの側面は、テーブルの上面11aから垂直方向に延在する側壁11bによって定義される。ウエル12の面と合致するテーブルの前記面の平面(XY平面)に範囲(extent)を有する支持プレート13がウエル12内に配置される。支持プレート13は平面状の上面13aを有するとともに、テーブル11の前記面11aに垂直な方向(Z方向)のウエルの深さ及びテーブル11の前記面11aと支持プレート13の面13aとの間のウエルの深さが可変になるようウエル12内で移動可能に配置されている。例えば、支持プレート13は、装置の制御ユニット(図示せず)からの命令に従って支持プレート13を昇降させるように適合されたピストン14により可動であり得る。
【0024】
図1を断面(XZ面の断面)で図示しているが、ウエル、テーブル及びプレートの全ては紙面方向(Y方向)にも広がりを有する。例えば、ウエル12と、それゆえに支持プレート13とは、テーブル11の面11aに垂直な方向で見た場合、即ちウエルの内部を見るように見た場合に長方形、正方形、円形、楕円形又は他の形状を有し得る。
【0025】
当然ながら、本明細書ではテーブル11の面を平面状として開示するが、該面は湾曲又は傾斜していてもよく、一部の構成ではウエルから離れる方向に上方又は下方に僅かに傾斜していてもよい。
【0026】
テーブル11の前記面の上には、プリントヘッド15が少なくともX方向に平行移動するように配置されている。例えば、X方向に延在するレール16が設けられ、プリントヘッド15は、例えばプーリー、ラックアンドピニオン駆動又はウォームギア駆動によりレール16に沿って平行移動するように配置され得る。プリントヘッド15は製造装置の制御ユニットの制御の下で移動可能であり得る。ここでは、プリントヘッド15は、プリントヘッド15がウエル12を平行移動したときに粒状構成材料をウエル12内に配置するよう構成された構成材料配置ユニット15a、及び先に配置された粒状構成材料の部分を結合するためにプリントヘッド15がウエル12を平行移動するときに、液体バインダ等のバインダをウエル12内の選択された位置に配置するように構成されたバインダ配置ユニット15bの2つの分注部品(dispensing components)を有する。
【0027】
構成材料配置ユニット15a及びバインダ配置ユニット15bのそれぞれは適切な材料貯蔵庫に連結されていてもよいし、プリントヘッド15の一部として設けられていてもよいし、装置10の別の部分に設けられていてもよいし、外部に設けられてもよい。
【0028】
プリントヘッド15は一方向のみ(X方向)、前後に、ウエル12の全体に亘って平行移動するように構成されるか又は傾斜して他の方向に、例えば第1の方向に垂直な方向(Y方向)に平行移動するように構成され得る。
【0029】
本構成では、プリントヘッド15はウエル12の上を一方向(X方向)のみに平行移動するように構成されている。ウエル12の全幅に亘って構成材料配置ユニット15aがプリントヘッド15の平行移動方向に垂直な方向(Y方向)に粒状構成材料を配置することができるように、構成材料配置ユニット15aは、プリントヘッド15の移動方向に垂直な方向に、ウエル12の最大幅方向と同じか又は大きい範囲を有していてもよいし、ウエルの幅に亘って均一な粉末層を配置するために制御ユニットの制御の下で構成材料が配置され得る1つ以上の構成材料配置位置を提供してもよい。例えば、構成材料配置ユニット15aは、ウエル12の全幅に亘って延在するスリットの形状の1つの大きな分注オリフィス(dispense orifice)を有し得るか又はウエル12の幅に亘ってアレイ状に配置されるとともにウエル内に均一な粉末層を配置するために十分密集したいくつかの小さなオリフィスを備え得る。
【0030】
そのような構成により、プリントヘッド15がレール16に沿ってウエル12に亘って平行移動すると、ウエル内に実質的に均一な粉末層が配置され得る。粉末層の厚さは構成材料配置ユニット15aから粒状構成材料が分注される速度及びプリントヘッド15がウエル12を平行移動する速度によって決まり得る。
【0031】
プリントヘッド15は、構成材料配置ユニット15aから構成材料を分注しながらプリントヘッド15が移動する前進方向(X方向)に対して構成材料配置ユニット15aの後ろ側に配置されて、プリントヘッド15が移動する間に配置された構成材料の層の深さの凹凸を平滑にするドクターブレード又は平滑ローラー等の平滑装置も備え得る。平滑ユニットはプリントヘッド15に対して格納可能であってもよいし、平滑ユニットの高さがテーブル11の面11aに対して又は構成材料配置ユニット15aの1つ以上の分注オリフィスの高さに対して固定されていてもよい。
【0032】
バインダ配置ユニット15bは、構成材料配置ユニット15aから構成材料を配置しながらプリントヘッド15が移動する移動方向に対して構成材料配置ユニット15aの後ろ側に配置されている。バインダ配置ユニット15bは、先に配置された構成材料の部分を結合して配置された層に結合領域を形成するために、ウエル12の様々な場所にバインダを選択的に配置するように適合されている。
【0033】
本構成では、バインダ配置ユニット15bは、装置の制御ユニットからの命令に従ってバインダの液滴を噴出するように構成されたインクジェット型のプリントヘッドである。バインダ配置ユニット15bは、ウエル12の幅方向に亘って所定の間隔で延在する一式のオリフィスを備え得る。一式のオリフィスのそれぞれは、プリントヘッド15がレール16に沿ってウエル12に亘って平行移動するときに、配置された層に亘る異なる位置にバインダを選択的に配置できるように個別に制御可能である。別の構成では、バインダ配置ユニット15bは、バインダが噴出されるオリフィスを1つだけ又は少ない数しか有していないことがある。また、バインダ配置ユニット15bは、ウエル12に亘るプリントヘッド15の移動方向に垂直な方向にプリントヘッド15に亘って平行移動するように構成され得る。第1の構成では、バインダが配置される位置は、バインダを配置するために作動されるオリフィスと、ウエル12に亘るプリントヘッド15の位置とによって決定されるのに対して、第2の構成では、ウエル12の幅方向に亘るバインダ配置ユニット15bの位置によってもバインダが配置される位置が決定される。
【0034】
一部の構成では、プリントヘッド15は初期位置からウエル12に亘って第1のパスを行う。第1のパスでは構成材料の層が配置される。その後、プリントヘッド15は初期位置に戻って第1のパスと同じ方向で第2のパスを行う。第2のパスでは先に配置された層にバインダが配置される。別の構成では、構成材料配置ユニット15aから構成材料が配置されるとともに、同じパスでバインダ配置ユニット15bからバインダが層全体が配置される前に選択的に配置される。これらの2つの構成のうちの前者は代替的な実施であるが、後者の構成は下記で採用される。
【0035】
バインダユニット15bによって配置されるバインダに特定の硬化処理を行う必要がない場合、例えば、バインダが空気と接触することで硬化する場合や、バインダが同時に又は続けて噴出される2つの構成要素が互いに反応して硬化するものの組み合わせによって形成される場合には追加の硬化ユニットは必要ない。しかしながら、バインダは例えば放射硬化性である場合もあり、その際にはバインダを固化及び硬化させるのに例えば紫外光の適用が必要になり得る。そのような構成では、プリントヘッド15は、プリントヘッド15がバインダを配置する場合に移動する前進方向においてバインダ配置ユニットの後ろに配置される硬化ユニットを含み得る。そのため、バインダ配置ユニット15bによって配置されるバインダは、硬化ユニットからのUV光の適用によって硬化され得る。本構成では、使用するバインダには硬化ユニットが必要ないものと仮定するため、硬化ユニットを図示していない。
【0036】
可能性のあるさらなる構成では、バインダは熱硬化性であり、印刷装置はバインダを焼成及び硬化させるためにウエルの温度を上げるように構成され得る。
【0037】
プリントヘッドの動作、構成材料配置ユニットの作動及びバインダ配置ユニットの作動及び制御の全ては、プリントヘッドがウエル12を平行移動したときに均一な粉末層が配置されるとともに、係る層の選択領域が結合されて層の結合領域が形成されるように装置の制御ユニットによって個別に制御され得る。
【0038】
一般に、層の厚さは、バインダ配置ユニット15bによって噴射されるバインダが層の厚さ全体を貫通し、それにより層の厚さ全体を結合するだけでなく、係る層の十分下に貫通して係る層の結合部を下層の結合部と結合させることができるように制御される。厚さがより大きい層が配置されると、制御ユニットは配置された層の面積当たりに配置されるバインダの量を反転させ(inverse)、薄い層を配置する場合は量を減らし得る。
【0039】
図2に示す構成では、支持プレート13は、少なくとも、配置すべき構成材料の1つの層の厚さ分だけ面11aから下げられている。
図2に示す位置から、プリントヘッド15はウエル12を平行移動して構成材料配置ユニット15aから構成材料の層を配置しながら、バインダ配置ユニット15bから配置されるバインダを用いて配置された層の部分を結合する。その結果、
図3に示す構成が得られる。この構成では、選択的に結合された部分を有する構成材料の層7がウエル12において支持プレート13の上面13aに位置している。このとき、プリントヘッド15はウエルの反対側にある
図2に示す開始位置にある。
図3に示す位置から、プリントヘッド15は
図2に示す開始位置に戻り、支持プレート13は
図4に示すように別の層の厚さ分だけさらに下げられる。続けて印刷される層は第1の層と同じ厚さを有していてもよいし、異なる厚さを有していてもよい。本構成では、簡潔性のために全ての層の厚さは同じであると仮定する。
【0040】
図2から
図3への遷移との関係で説明したように、ウエル12において層7の上にさらなる層8を配置するために、プリントヘッド15は
図4に示す構成から
図5に示すようにウエル12に亘ってさらなるパスを行う。層8の部分は結合され、バインダは層8を十分に貫通して層8の結合部分を直ぐ下にある層7の結合部分に結合する。
図4から
図5への遷移におけるプロセスは所望の数の層のために繰り返され、層の数及び厚さ並びにバインダが配置される各層の位置が製造されるオブジェクトのデザインに従って制御される。最終的には最後の層が印刷され、バインダを硬化するための任意の焼成プロセスの後に、印刷されたオブジェクトがウエル12から取り出されて
図6に示す構成がもたらされる。この構成から、支持プレート13は印刷が再度始められ得る
図1の構成を得るためにピストン14によって持ち上げられ得る。
【0041】
製造装置10の制御、具体的には、少なくともバインダが配置される各層の位置に関する制御は、製造すべきオブジェクトを定義する所定の一連の製造指示に従って、制御ユニット(図示せず)によって行われる。一般に、
図1に示す装置の場合、製造指示は、製造すべきオブジェクトの一連の連続するスライス(各スライスは配置すべき1つの層を表す)と共に、各層のバインダを配置すべき位置と、それゆえに層を構成する粒状構成材料を結合すべき位置に関する情報を定義する。そのような情報は、例えば連続するXY面にある一連の配置ベクトルとして又は連続するXY面の一連のピクセル画像として提供できる。
【0042】
一部の構成では、制御ユニットは他の形式のオブジェクト定義情報を受け付けるとともに、そのようなデータによって定義されるオブジェクトを製造するために、該オブジェクトデータを一連の層を定義するオブジェクトデータに適切に処理することにより装置10を制御するよう構成され得る。例えば、オブジェクトは、結合されるオブジェクトの領域を取り囲む一連の面として、一連の幾何学的プリミティブから形成される複合構造として又は3Dラスターグリッド上のボクセルデータとしてオブジェクトを定義するCADデータにより定義され得る。そのような表現を取り扱うために、制御ユニットは、オブジェクトデータにより表される製造すべきオブジェクトを一連の面又はスライスに分割し、そして製造すべきオブジェクトを形成するためにバインダを配置すべき各面又はスライスにおける位置を決定し得る。
【0043】
図1~
図6に示すとともに、製造装置によって実施される製造プロセスは、
図7に示すより大きな製造プロセスの一部であり得る。
図7に示すプロセスでは、
図1~
図6に示す印刷プロセスをステップS2として示す。印刷プロセスの前に、準備ステップにおいて印刷プロセスで使用される粒状構成材料が準備され、粒状構成材料は例えば表面不純物を取り除くために洗浄され得るか又は適用されるバインダとの結合をより良好なものにするために表面処理が施されて表面が活性化される。そのような準備プロセスは
図7においてステップS1として示す。
【0044】
印刷プロセスの間にバインダの硬化が行われなかった場合、印刷プロセスの後に例えばオブジェクトを硬化温度に加熱することによりバインダが硬化され得る(ステップS3)。そのようなステップは製造装置のウエル又はその他の場所で行われ得る。次に、結合していない過剰な粉末をオブジェクトの外面から取り除くために、例えば液体若しくは気体噴射及び/又は振動を用いてオブジェクトを洗浄して過剰な構成材料が取り除かれ得る(ステップS4)。
【0045】
次に、ステップS5として示す脱バインダプロセス(debinding process)が行われ得る。脱バインダプロセスでは、バインダを蒸発させるか又は分解させるためにオブジェクトの温度が上げられる及び/又は適切な雰囲気が適用される。例えば、バインダ又は粉末に応じて、脱バインダ処理は焼結温度よりも低い高温で行われるか又は室温で行われ得る。例えば、脱バインダ温度は、構成材料の融点の90%未満、80%未満、70%未満又は60%未満であり得る。脱バインダ処理は、例えば800mBar未満の低真空、1mBar等の中程度の真空又は0.001mBar未満等の高真空等の空気雰囲気下で、触媒雰囲気、酸化雰囲気又は還元雰囲気等の反応性雰囲気下で又は窒素若しくはアルゴン等の不活性雰囲気下で行われ得る。酸化雰囲気は酸素ガスを含むことができる。触媒雰囲気は硝酸を含むことができる。還元雰囲気は水素ガスを含むことができる。脱バインダ処理の条件の選択は使用するバインダ及び構成材料の組成に左右されるが、当業者であれば簡単な実験(straightforward experiment)により最適化することができる。
【0046】
最後に、ステップS6で、粒状構成材料が焼結されるようにオブジェクトが高温に加熱されてその温度で維持される(ステップS6)。ステップS5及びS6は同じ場所で、例えば熱処理室又はその他の場所で行われ得る。焼結温度は構成材料の融点の90%未満、80%未満又は70%未満であり得る。
【0047】
付加製造によって製造される素地体や、直接金属射出成形(direct injection metal molding)等の他のプロセスによって製造される素地体等の素地体を焼結する先行技術のアプローチにおいては、焼結プロセスの前に又は焼結プロセスの間に素地体を支持する金属プレート又はセラミックプレート等の支持プラットフォームに素地体が置かれることが一般的であった。しかしながら、そのような従来のプロセスでは、意図する構成から焼結後のオブジェクトが変形することが観測されている。
【0048】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、この現象に留意した本発明者らは、観測された変形は、焼結の間に素地体の密度が増大することにより素地体が収縮することに部分的に起因すると示唆している。具体的には、焼結の間に素地体が収縮する一方で、支持プラットフォームは収縮しないか又は僅かに膨張する。そのため、素地体と支持プラットフォームとの間の相互作用力によってオブジェクトの変形がもたらされる傾向にある。3D印刷によって形成される素地体は、とりわけこの点で脆弱であり、そのような変形の影響を特に受けやすい。
【0049】
したがって、本発明者らは、焼結すべき素地を、素地体と同等の又は実質的に同一の線収縮を呈する支持体に設置するアプローチをここに開示する。具体的には、焼結すべき素地体と同様な形で形成される素地支持体として、即ちバインダで結合された粒状構成材料により形成される素地支持体として支持体を設けると、焼結プロセスの間に素地体が収縮する場合に支持体も焼結プロセスの間に収縮する。したがって、支持体と素地体との間の相互作用力が減少する。そのため、素地体の変形が起こる可能性が低くなるか、変形が低減されるか又は解消され得る。
【0050】
素地支持体は、同じ構成材料及びバインダで又は同じプロセスで若しくは素地体と同一のプロセスで形成する必要はない。何故なら、素地体及び素地支持体の収縮が類似していることで変形を回避できるからである。素地体及び素地支持体の収縮の類似性は、素地支持体を同じ材料を用いて同じプロセスにより又は素地体と同一プロセスにより製造することで保証される。あるいは、素地支持体を製造するためのコスト又は時間が素地体を製造するためのコスト又は時間よりも少なくなり得るように、素地支持体は異なる材料で又は異なるプロセスで作られ得る。一部の状況では、素地支持体は金属射出成形で製造され得るのに対して、素地体は3D印刷により形成され、それぞれのプロセスでは互いに同様の粒状材料及びバインダが用いられる。しかしながら、下記でさらに説明するように、多くの状況では支持体及び素地体の双方を、支持体の形状が支持される素地体の形状に適合されるように同じプロセスを用いて、好ましくは3D印刷プロセスを通じて製造することが好ましい。これにより、同じプロセスで素地支持体及び支持体によって支持される素地体を提供できる。
【0051】
例えば、本開示に係る1つの構成を
図8に示す。
図8では、素地体20が素地支持体30に支持されている。この構成では、素地体20は逆U字状(inverted horseshoe)であるが任意の所望の形状を有することもある。この構成では、支持体30は、支持体30の支持上面31によって素地体20が支持されるように完全に素地体20の下で横たわるように構成された平坦なプレート状である。そして、素地支持体30は、焼結プロセスのために、素地支持体30のベース面32が焼結室の基部と接触するように焼結室内に置かれ得る。
【0052】
素地体及び素地支持体の構成材料及びバインダは、素地体20が素地支持体30に支持されながら焼結される場合に、素地支持体30及び素地体20の線寸法が比例して同じ量だけ又は同様の量だけ小さくなるか又は焼結が完了する前に素地体20を変形する相互作用力が素地支持体30及び素地体20の間で殆ど生じることがないように選択される。したがって、
図8に示す構成は焼結の間の素地体の変形の問題を対処し得る。
【0053】
素地体の変形しやすい部分である素地体の一部だけを素地支持体で支持することによっても同様の効果が得られ得る。そのような構成では、素地支持体は完全に素地体の下で横たわる必要がない。
【0054】
図9は変形構成例を示す。この構成では、素地支持体30の上側支持面31は、少なくとも表面31の領域においてトラフ凹部(trough recesses)に隣接するピーク突起の形を有する突起部又は波状部を備え、この部分が素地体20と接触する。図示の構成では、支持体30の上面全体にそのような波状部が設けられているが、これは任意である。そのような波状部を設けることにより又は代替的に素地体20とともに支持体30にテクスチャー面、パターン面、開口面、凹面又は突起面を設けることにより、これらの間の接触領域を適切に減すことができる。そのような接触が低減した面を設けることで、焼結の前の及び/又は焼結の間の素地支持体と素地体との間の接着も低減することができる。
【0055】
図10にさらなる変形例を示す。
図10において、支持体30は突起33を備える。突起33は支持体30から上方に延在して素地体20のリセス部又は凹部を支持する。リセス部又は凹部は支持部を有する素地体の下側接触面に対して凹んでいる。素地体20の1つ以上の凹部に対応する、素地支持体30の面から上方に延在する1つ以上の突起を有する
図10に示す構成では、焼結プロセスの前に又は焼結プロセスの間に素地体が垂れ下がるか又は自重下で変形する傾向を回避しながら、不均一な収縮に起因する変形を回避することができる。
【0056】
図11は本プロセスのさらなる変形アプローチを示す。このアプローチでは、素地支持体30の上面31は、素地体20の下面の凹部の形状及び寸法と合致する突起33を備える。
図11に示す素地体は形状が比較的簡素であるが、素地体20はより複雑な形状を有し得ることが想像でき、その場合、突起33は、素地体の凹部領域内であっても素地体を良好に支持するために素地体20の形状に対応及び合致するように適合され得る。そのような構成により、垂れ下がりに起因する変形及び収縮に起因する変形の双方の良好な防止を実現できる。
図11のような構成は、収縮性がないか又は膨張する傾向があり得る金属又はセラミック製の従来の支持体では実現することができないのが分かる。何故なら、収縮する素地体と金属又はセラミックの支持体との相互作用によって、焼結プロセスの間にオブジェクトが重度に変形するか又は破損し得るからである。
【0057】
本開示に係る構成は、素地体及び素地支持体を同じ3D印刷プロセスで製造することによって有利に形成され得る。このようにすることで、素地体の形状に最も適切な形で合致し、それにより支持できる素地支持体の形状及び寸法を選択することがとりわけ可能になる。支持体及び素地体を共に製造するためのプロセスは
図1~
図6に示すものと同様であり得る。一例として、第1の複数の層において、各層にバインダを選択的な配置して素地支持体の少なくとも一部を構築し、その後に、製造すべきオブジェクトを表す素地物体の少なくとも一部が第2の複数の層にバインダを選択的に配置することにより製造され、その後第1の複数の層に配置される。とりわけ、
図11を例示的に参照して、第1及び第2の複数の層のうちの1つ以上の中間層は、素地体及び支持体の双方に属する結合領域を含むことが出来る。例えば、
図11を参照した場合、突起33の一部を含む層も素地体20の一部を含み得る。
【0058】
そのようなアプローチにより、素地体及び支持体を一緒に製造できるとともに構築ウエルから一緒に取り外すことができ、その後洗浄してから脱バインダ処理を施し、次に一緒に焼結することができる。支持体は所望の素地体を支持するように適合されている。
【0059】
一部の構成では、付加製造の間に素地支持体の最後の層の上に素地体の第1の層を設けることにより、素地体と素地支持体との間に弱い連結(weak connection)を提供することができる。特に、
図9に示す中断面(interrupted surface)が素地支持体と素地体との間に設けられる場合、簡素な機械的手段で弱い結合を容易に解消することができる。他の構成では、素地支持体と素地体との間に間隙が設けられ得る。該間隙には結合されていない構成材料が充填される。例えば、
図10及び
図11を参照して、これは、製造プロセスの間に配置された層の全体を非結合状態で残す必要があることを必ずしも意味するものではなく、素地体を定義する結合部分及び素地体を定義する結合部分は連続しておらず、全ての方向において非結合材料により分離されている。再び
図11を参照して、突起33の一部を含む中間層も素地体20の一部を含み得るが、素地体と支持体30との間の全ての位置には分離を可能とするために間隙が存在し得る。
【0060】
上記において、付加製造装置の適切な動作によって、焼結された場合でも変形を回避できる適切な支持体と共に素地体がどのようにして製造され得るかを説明してきた。
【0061】
加えて、本明細書で開示した概念は、製造すべきオブジェクトの形体を記述するオブジェクト定義データが従来の3D印刷装置への入力として又は従来の3D印刷装置の制御に用いられる場合に有利な結果が得られ得るようにオブジェクト定義データを変換するのにも用いることができる。
【0062】
オブジェクトデータを変換するためのそのような方法を
図12を参照しながら以下で説明する。
図12はオブジェクトデータを変換するプロセスのためのフロー図を示す。オブジェクトデータは、上述した変形を避けるために焼結の間にオブジェクトを支持するのに支持構造を用いることができるよう適切な支持構造体と共に同じオブジェクトを表すデータを得るための3次元で製造すべきオブジェクトを記述するデータである。
【0063】
図12に示す第1のプロセスD1ではオブジェクトデータが取得される。このオブジェクトデータはコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアの出力であり、製造すべきオブジェクトを該オブジェクトの固体部分(solid portions)を取り囲む一連の面として表し得るか、オブジェクトを一連の所定の幾何学的プリミティブの複合体として定義し得るか又は3D空間におけるラスターグリッド上でオブジェクトを定義する一連のボクセルとしてオブジェクトを表し得る。あるいは、オブジェクトデータは、オブジェクトを層に分割するオブジェクトの一連のスライスとして既に表され得る。この場合、各層は、3D印刷装置を制御するのに従来的に用いられるように、結合すべき定義された領域を有する。
【0064】
図12の方法のステップD2では、支持オブジェクトを表すデータを生成するために製造すべきオブジェクトを表すオブジェクトデータが処理される。これは、入力データが提供される形式に応じて様々なアプローチにより実現され得る。例えば、オブジェクトを概念的に乗せることが可能な面を表す平面が算出により決定され得る。そして、この平面に対向するとともにこの平面の上に配置されるオブジェクトの様々な外側部分の高さが特定され、オブジェクトの凹部を支持するための1つ以上の突起を定義するために対応する突起の高さが特定される。あるいは、支持面の各部分がオブジェクトに接触するように算出されるまで、支持面の各異なる部分の高さが再帰アルゴリズムを用いて順番に増加され得る。その後、支持面の様々な部分を境界する面がオブジェクトの凹部に近似するように支持面の別の部分の高さが調整される。
【0065】
その後、プロセスD2で得られた支持オブジェクトデータは、支持オブジェクト及びオブジェクト体の組み合わせを表すデータを生成するために、先に得られたオブジェクトデータとプロセスD3で統合される。例えば、オブジェクトデータ及び支持データのそれぞれが連続する層ためのラスターグリッド(各グリッドはバインダを分注すべき位置を表す論理値1と、バインダを分注しない位置を表す論理値0を有する)として表される場合、オブジェクトデータと支持データとの組み合わせは、組み合わされたオブジェクトの対応する層を表すラスタグリット間の論理AND動作により得ることができる。
【0066】
その後、オブジェクト体及び支持体の組み合わせを表すデータはプロセスD4においてプロセスへの入力として好適なものとして先に示した形式のうちの任意のもの等の好適な形式で該プロセスから出力される。一部の構成、とりわけ付加製造装置を制御するのに出力プロセスD4を直接用いる構成では、出力は、付加製造プロセスで配置すべき連続する層を表す一連のラスターグリッドとして提供され得る。
【0067】
図12のプロセスは、
図13に示すオブジェクトデータ処理装置100で実施され得る。装置100は、
図12の方法を行うように適合されたデータ処理装置である。
図13では、装置100を一連の個別のモジュールで表す。これらのモジュールは、個別のマイクロプロセッサ又はデータ処理ユニット等のハードウェアモジュールとして実施され得る。その場合、それらは同じチップで一体化されているか又はより大きなデータ処理システムの個別の部分として提供される。あるいは、各モジュールは当該技術分野で知られているように1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行されるソフトウェアモジュールとして提供され得る。
【0068】
装置100は、データ記憶ユニットSにより示すデータ源からオブジェクトデータを読み出すように適合されたオブジェクトデータ取得ユニット110を有する。しかしながら、取得ユニット110は、当該技術分野で知られているように、ネットワーク記憶装置や別のデータ処理ユニットからのデータストリームからオブジェクトデータを取得してよいし、3Dオブジェクトを表すデータを取得可能なレーザースキャナ又は他のオブジェクト計量システムから読み出すことによりオブジェクトデータを取得してもよい。
【0069】
取得ユニット110によって得られたオブジェクトデータは支持データ生成ユニット120に送信される。支持データ生成ユニット120は、支持オブジェクトを表すデータを生成するために取得したオブジェクトデータに対して動作を行う。その後、対応する支持オブジェクトを表すデータが支持データ生成ユニットからデータ統合ユニット130に送信される。データ統合ユニット130では、オブジェクト体を表すデータが支持体を表すデータと組み合わせられてそれらの組み合わせを表すデータが得られる。生成された統合データは出力ユニット140に移される。出力ユニット140では、統合されたデータが適切な形式にされて出力される。
図13に示す例では、オブジェクトデータがネットワークNに出力されるが、ローカルデータ記憶装置又はデータの取り扱いが可能な任意の他の装置に出力してもよい。一変形例では、出力データは
図1~
図6との関連で図示説明した製造装置を直接制御するのに使用され得る。
【0070】
本開示の概念は、汎用コンピュータで実行するか又は従来の製造装置の制御システムで実行するかのいずれかのためのソフトウェアモジュールとして配布することもできる。後者の場合、特に従来のオブジェクトデータが装置のユーザーによって提供され、製造装置自体は本開示に従って対応する支持データを生成するとともにオブジェクトと支持体との組み合わせを製造するように動作する。データ処理装置は、ハードウェアユニットとして又は例えば従来の製造装置の制御ユニットで実行されるソフトウェアのいずれかの形で従来の製造装置の一部として提供してもよい。そのようなソフトウェアは、好適に構成されたプロセッサにより実行された場合に、本開示の概念に係る方法を該プロセッサに実行させるソフトウェア命令の機械可読表現を含むデータ記憶装置として配布され得る。
【0071】
上記の開示は純粋に例示と見なすべきあり、本開示は、様々な工学的な要件を実現するために様々な要素の置換、変更、省略又は追加によって、多種多様な構成で実施され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の利点を提供し得る主題の特定の組み合わせを提供するものと見なすべきである。