(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230405BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230405BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230405BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20230405BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20230405BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230405BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230405BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/33
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
G09G3/32 A
G09G3/3233
H05B33/14 A
H10K59/00
(21)【出願番号】P 2018179814
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
(72)【発明者】
【氏名】金谷 康弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-341513(JP,A)
【文献】特開2005-107168(JP,A)
【文献】特開2004-118013(JP,A)
【文献】特開2004-102058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0197932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/33
G09G 3/20
G09G 3/32
G09G 3/3233
H10K 50/00
H10K 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた複数の画素と、
複数の前記画素の各々に設けられる発光素子及び複数のトランジスタと、
前記画素に信号を供給する複数の信号線と、
前記画素に駆動電位を供給するアノード電源線と、
前記基板に垂直な方向で異なる層に設けられた第1金属層、第2金属層及び第3金属層と、
前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた第1絶縁膜と、
前記第2金属層と前記第3金属層との間に設けられた第2絶縁膜と、を有し、
複数のトランジスタは、それぞれ、
前記基板に設けられた半導体層と、
前記第1金属層で形成され、前記半導体層と重なる領域に設けられたゲート電極と、を有し、
複数の前記信号線は、前記第3金属層で形成され、
前記アノード電源線は、前記第2金属層で形成され、前記トランジスタと電気的に接続され、
平面視で、前記アノード電源線は前記信号線と重なって設けられ、
前記第1絶縁膜は、前記アノード電源線と重なる第1部分と、前記アノード電源線と重ならない第2部分とを含み、
前記アノード電源線と重なる前記第1部分
は、前記第1絶縁膜
の前記第2絶縁膜側の面に
設けられた凹部
であり、前記凹部における前記第1部分の厚さは、前記第2部分の厚さよりも薄く、
前記第1絶縁膜の比誘電率は、前記第2絶縁膜の比誘電率よりも大きい
表示装置。
【請求項2】
前記アノード電源線のシート抵抗値は、前記信号線のシート抵抗値以下である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
複数の前記トランジスタは、
前記発光素子に電流を供給する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタに接続された第2トランジスタと、を含み、
前記第1金属層で形成され、前記第2トランジスタのゲート電極に接続されるゲート線を有し、
前記信号線のシート抵抗値は、前記ゲート線のシート抵抗値以下である
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1トランジスタの半導体層と重なって1つのゲート電極が設けられ、
前記第2トランジスタの半導体層と重なって2つのゲート電極が設けられる
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記信号線は、前記第2金属層で形成された中継電極を介して前記第2トランジスタの前記半導体層と電気的に接続される
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記基板に垂直な方向で、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜を貫通するコンタクトホールが設けられ、
前記信号線は、前記コンタクトホールを介して前記第2トランジスタの前記半導体層と電気的に接続される
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第3金属層で形成された接続配線を有し、
前記第1トランジスタのゲート電極は、前記接続配線を介して前記第2トランジスタの半導体層と電気的に接続される
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2金属層で形成された接続配線を有し、
前記第1トランジスタのゲート電極は、前記接続配線を介して前記第2トランジスタの半導体層と電気的に接続される
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
さらに、前記発光素子にリセット電源電位を供給するリセット電源線を有し、
前記リセット電源線は、前記信号線と同層に、前記第3金属層で形成され、平面視で、前記アノード電源線と重ならない位置で、前記信号線に沿って設けられる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びアレイ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))を用いた表示装置が知られている。特許文献1には、表示装置等の画素回路として使用される半導体装置が記載されている。特許文献1の画素回路は、画素ごとに複数のトランジスタ及び複数の容量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画素回路は、1つの画素における素子(複数のトランジスタ及び複数の容量)の数及び各素子に接続される配線の数が増大するため、配線を効率よく配置することが困難になる可能性がある。
【0005】
本発明は、配線を効率よく配置することができる表示装置及びアレイ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の表示装置は、基板と、前記基板に設けられた複数の画素と、複数の前記画素の各々に設けられる発光素子及び複数のトランジスタと、前記画素に信号を供給する複数の信号線と、前記画素に駆動電位を供給する電源線と、前記基板に垂直な方向で異なる層に設けられた第1金属層、第2金属層及び第3金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた第1絶縁膜と、前記第2金属層と前記第3金属層との間に設けられた第2絶縁膜と、を有し、複数のトランジスタは、それぞれ、前記基板に設けられた半導体層と、前記第1金属層で形成され、前記半導体層と重なる領域に設けられたゲート電極と、を有し、複数の前記信号線及び前記電源線のいずれか1つ以上は、前記第3金属層で形成され、前記トランジスタと電気的に接続される。
【0007】
本発明の一態様のアレイ基板は、複数の発光素子が設けられるアレイ基板であって、基板と、前記基板に設けられた複数のトランジスタと、前記発光素子に信号を供給する複数の信号線と、前記発光素子に駆動電位を供給する電源線と、前記基板に垂直な方向で異なる層に設けられた第1金属層、第2金属層及び第3金属層と、前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた第1絶縁膜と、前記第2金属層と前記第3金属層との間に設けられた第2絶縁膜と、を有し、複数のトランジスタは、それぞれ、前記基板に設けられた半導体層と、前記第1金属層で形成され、前記半導体層と重なる領域に設けられたゲート電極と、を有し、複数の前記信号線及び前記電源線のいずれか1つ以上は、前記第3金属層で形成され、前記トランジスタと電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示装置の、2つの画素を拡大して示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図4のVII-VII’線に沿う断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る発光素子を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第1変形例に係る発光素子を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の第2変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第3変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第4変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第5変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリックス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0011】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0012】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、基板21の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0013】
駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8(
図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0014】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC210は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0015】
カソード配線60は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子3のカソード端子22tは、カソード電極22を介して、カソード配線60に接続される。
【0016】
図2は、複数の画素を示す平面図である。
図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素49を含む。例えば、画素Pixは、第1画素49Rと、第2画素49Gと、第3画素49Bとを有する。第1画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。第2画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。第3画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。
図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、第1画素49Rと第3画素49Bは第1方向Dxで並ぶ。また、第2画素49Gと第3画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1画素49Rと、第2画素49Gと、第3画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、画素49という。
【0017】
画素49は、それぞれ発光素子3と、アノード電極23とを有する。表示装置1は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bにおいて、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる光を出射することで画像を表示する。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置1は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子3の大きさを限定するものではない。
【0018】
なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。また、複数の画素49の配置は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、第1画素49Rは第2画素49Gと第1方向Dxに隣り合っていてもよい。また、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。また、表示装置1は、マイクロLED表示装置に限定されず、表示素子として有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)を使用した自発光表示装置、もしくは電子ペーパー等の反射型表示装置であってもよい。
【0019】
図3は、画素回路を示す回路図である。
図3は、1つの画素49に設けられた画素回路PICAを示しており、画素回路PICAは複数の画素49のそれぞれに設けられている。
図3に示すように、画素回路PICAは、発光素子3と、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、画素回路PICAは、駆動トランジスタDRT(第1トランジスタ)、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST(第2トランジスタ)及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0020】
発光素子3のカソード(カソード端子22t)は、カソード電源線L10に接続される。また、発光素子3のアノード(アノード端子23t)は、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L10には、カソード配線60及びカソード電極22を介してカソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0021】
アノード電源線L1は、画素49に、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子3は、理想的にはアノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子3を発光させる電位差を有している。発光素子3のアノード端子23tはアノード電極23に接続され、アノード電極23とアノード電源線L1と間に等価回路として、第2容量Cs2が接続される。
【0022】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード電極23を介して発光素子3のアノード端子23tに接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0023】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線L6に接続される。出力制御信号線L6には、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線L1に接続される。
【0024】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線L4に接続される。初期化電源線L4には、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線L8に接続される。初期化制御信号線L8には、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線L4が接続される。
【0025】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線L2に接続される。映像信号線L2には、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線L7が接続されている。画素制御信号線L7には、画素制御信号SGが供給される。
【0026】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線L3に接続される。リセット電源線L3には、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極には、リセット制御信号線L5が接続される。リセット制御信号線L5には、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、発光素子3のアノード端子23t及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。
【0027】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、等価回路として、第1容量Cs1が設けられる。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0028】
なお、以下の説明において、アノード電源線L1を単に電源線と表す場合がある。映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4を信号線と表す場合がある。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8をゲート線と表す場合がある。
【0029】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子3に供給する。このように、アノード電源線L1に供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子3のアノード端子23tには、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0030】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線L1を介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。第2容量Cs2の一方の電極は、例えば、
図6に示すアノード電源線L1であり、第2容量Cs2の他方の電極は、
図5に示す駆動トランジスタDRTのソースに接続されたアノード電極23及びこれに接続されたアノード接続電極24である。
【0031】
表示装置1において、駆動回路12(
図1参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、
図1中の表示領域AAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動IC210は、選択された画素行の画素49に映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子3を発光させる。駆動IC210は、1水平走査期間ごとに、映像信号線L2に映像信号Vsigを供給し、リセット電源線L3にリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線L4に初期化電位Viniを供給する。表示装置1は、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。
【0032】
次に、
図4から
図7を参照しつつ、各トランジスタ及び各配線の具体的な構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る表示装置の、2つの画素を拡大して示す平面図である。
【0033】
図4は、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49(例えば、第1画素49Rと第3画素49B)について示す。
図4に示すように、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4は、第2方向Dyに延出する。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8は、第1方向Dxに延出し、平面視で、アノード電源線L1、映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4とそれぞれ交差する。また、第1方向Dxに隣り合う2つのアノード電源線L1の間に接続配線L9が設けられている。接続配線L9は、駆動トランジスタDRT、画素選択トランジスタSST及び初期化トランジスタISTを接続する。
【0034】
本実施形態において、表示装置1(アレイ基板2)は、第3方向Dzで異なる方向に設けられた第1金属層ML1と、第2金属層ML2と、第3金属層ML3とを有する。第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3は、各半導体層61、65、71、75、79とは異なる層に設けられる。
図4では、第1金属層ML1、第2金属層ML2、第3金属層ML3及び半導体層61、65、71、75、79を区別するために、第1金属層ML1を点線で示し、第2金属層ML2及び半導体層61、65、71、75、79に斜線を付している。
【0035】
アノード電源線L1は、第2金属層ML2で形成されている。映像信号線L2、リセット電源線L3、初期化電源線L4及び接続配線L9は、第3金属層ML3で形成されている。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8は、第1金属層ML1で形成されている。
【0036】
本実施形態では、複数のトランジスタに接続される各種配線として、第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3が用いられる。これにより、平面視で、アノード電源線L1は映像信号線L2と重なって設けられる。アノード電源線L1と映像信号線L2とを同層に設けた場合に比べて、各画素49で、効率よく配線を配置することができる。この結果、各画素49の平面視での面積を小さくすることができ、表示装置1の高精細化が可能である。
【0037】
第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3として、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、Ag合金、銅(Cu)、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン又はカーボンナノバッドが用いられる。ここで、第2金属層ML2で形成されるアノード電源線L1のシート抵抗値は、第3金属層ML3で形成される各信号線のシート抵抗値以下である。また、各信号線のシート抵抗値は、第1金属層ML1で形成される各ゲート線のシート抵抗値以下である。例えば、アノード電源線L1(第2金属層ML2)のシート抵抗値は、30mΩ/□以上120mΩ/□以下である。また、各信号線(第3金属層ML3)のシート抵抗値は、120mΩ/□以上300mΩ/□以下である。各ゲート線(第1金属層ML1)のシート抵抗値は、300mΩ/□以上3000mΩ/□以下である。これにより、表示装置1は、アノード電源線L1に印加される駆動電圧の電圧降下を抑制し、表示性能の低下を抑制できる。
【0038】
なお、第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3は、それぞれ、単層に限定されず、積層膜で構成されていてもよい。例えば、第2金属層ML2はTi/Al/TiあるいはMo/Al/Moの積層膜であってもよく、第3金属層ML3はAlの単層膜であってもよい。また、Ti、Al、Moは合金であってもよい。
【0039】
半導体層61、65、71、75は、例えば、アモルファスシリコン、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)又は窒化ガリウム(GaN)で構成される。酸化物半導体としては、IGZO、酸化亜鉛(ZnO)、ITZOが例示される。IGZOは、インジウムガリウム亜鉛酸化物である。ITZOは、インジウムスズ亜鉛酸化物である。
【0040】
図4に示すように、リセット電源線L3及び初期化電源線L4は、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。つまり、
図4の左側に示す第1画素49Rでは、初期化電源線L4は設けられず、映像信号線L2に沿ってリセット電源線L3が設けられている。
図4の右側に示す第3画素49Bでは、リセット電源線L3は設けられず、映像信号線L2に沿って初期化電源線L4が設けられている。これにより、各画素49にリセット電源線L3及び初期化電源線L4を設けた場合に比べて、配線の数を少なくして効率よく配線を配置することができる。
【0041】
駆動トランジスタDRT(第1トランジスタ)は、半導体層61、ソース電極62及びゲート電極64を有する。半導体層61、ソース電極62及びゲート電極64は、平面視で、少なくとも一部が重なって配置され、第1方向Dxに隣り合う2つのアノード電源線L1と、出力制御信号線L6と、画素制御信号線L7とで囲まれた領域に設けられる。駆動トランジスタDRTは、半導体層61と重なって1つのゲート電極64が設けられたシングルゲート構造である。
【0042】
半導体層61は、第1部分半導体層61aと接続される。第1部分半導体層61aは、半導体層61と同層で、同じ半導体材料が用いられる。半導体層61は、第1部分半導体層61aを介してソース電極62と接続される。第1部分半導体層61aは、半導体層61と第1方向Dxに並んで設けられ、第1部分半導体層61aの第1方向Dxの幅は、半導体層61の第1方向Dxの幅よりも大きい。第1部分半導体層61aは、ゲート絶縁膜91(
図4参照)及びゲート電極64と重なって設けられており、第1部分半導体層61aとゲート電極64との間に第1容量Cs1が形成される。なお、半導体層61と第1部分半導体層61aとは、1つの矩形状の半導体層で構成されていてもよい。
【0043】
出力トランジスタBCTは、半導体層65を有する。半導体層65は半導体層61と接続されており、出力制御信号線L6と平面視で交差する。半導体層65のうち、出力制御信号線L6と重なる領域にチャネル領域が形成される。出力制御信号線L6のうち半導体層65と重なる部分が、出力トランジスタBCTのゲート電極66として機能する。半導体層65の一端側は、アノード電源線接続部L1aと電気的に接続される。アノード電源線接続部L1aは、アノード電源線L1から第1方向Dxに分岐された部分である。これにより、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTには、アノード電源線L1からアノード電源電位PVDDが供給される。
【0044】
図4の右側に示す第3画素49Bでは、初期化トランジスタISTは、半導体層71を有する。
図4の左側に示す第1画素49Rでは、初期化トランジスタISTは、半導体層71Aを有する。半導体層71、71Aは、それぞれ、初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aと平面視で交差する。半導体層71、71Aのうち、初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aと重なる領域にチャネル領域が形成される。分岐信号線L8aは、初期化制御信号線L8から分岐され、第1方向Dxに延出する。初期化制御信号線L8及び分岐信号線L8aのうち半導体層71、71Aと重なる部分が、それぞれ初期化トランジスタISTのゲート電極74として機能する。つまり、初期化トランジスタISTは、半導体層71、71Aのそれぞれに重なって2つのゲート電極が設けられたダブルゲート構造である。
【0045】
図4の右側に示す第3画素49Bでは、半導体層71は、第2方向Dyに延出し、一端が接続配線L9に電気的に接続され、他端が初期化電源線接続部L4aに接続される。初期化電源線接続部L4aは、初期化電源線L4から第1方向Dxに分岐された部分である。また、
図4の左側に示す第1画素49Rでは、半導体層71Aは、第2方向Dyに延出する部分と、第1方向Dxに延出する部分とを有する。半導体層71Aのうち、第2方向Dyに延出する部分の一端が接続配線L9に電気的に接続される。半導体層71Aのうち、第1方向Dxに延出する部分は、平面視でアノード電源線L1及び映像信号線L2と交差して第3画素49Bまで延出し、初期化電源線接続部L4aに電気的に接続される。以上のような構成により、1つの初期化電源線L4は、2つの初期化トランジスタISTに電気的に接続されて、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。
【0046】
画素選択トランジスタSSTは、半導体層75を有する。半導体層75は、第1方向Dxに延出し、2つの分岐信号線L7aと平面視で交差する。半導体層75のうち、2つの分岐信号線L7aと重なる領域にチャネル領域が形成される。2つの分岐信号線L7aは、画素制御信号線L7から第2方向Dyに分岐された部分である。2つの分岐信号線L7aのうち半導体層75と重なる部分が、それぞれ画素選択トランジスタSSTのゲート電極78として機能する。つまり、画素選択トランジスタSSTは、半導体層75に重なって2つのゲート電極78が設けられたダブルゲート構造である。半導体層75の一端は、映像信号線接続部L2aに接続され、他端は接続配線L9に接続される。映像信号線接続部L2aは、映像信号線L2から第1方向Dxに分岐された部分である。すなわち、複数の画素選択トランジスタSSTは、それぞれ、基板21に設けられた半導体層75と、第1金属層ML1で形成され、半導体層75と重なる領域に設けられたゲート電極78と、を有する。また、映像信号線L2は、第3金属層ML3で形成され、画素選択トランジスタSSTと電気的に接続される。
【0047】
リセットトランジスタRSTは、半導体層79を有する。半導体層79は、第2方向Dyに延出し、リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aと平面視で交差する。半導体層79のうち、リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aと重なる領域にチャネル領域が形成される。分岐信号線L5aは、リセット制御信号線L5から分岐され、第1方向Dxに延出する。リセット制御信号線L5及び分岐信号線L5aのうち、半導体層79と重なる部分が、それぞれリセットトランジスタRSTのゲート電極として機能する。つまり、リセットトランジスタRSTは、ダブルゲート構造である。
【0048】
リセット電源線L3には、第1方向Dxに延出するリセット電源線接続部L3a、L3b及びブリッジ部L3cが接続されている。リセット電源線接続部L3a、L3bは第3金属層ML3で形成され、ブリッジ部L3cは、リセット電源線接続部L3a、L3bと異なる層、例えば第1金属層ML1で形成される。リセット電源線接続部L3aは第1画素49Rに設けられ、リセット電源線接続部L3bは、第3画素49Bに設けられる。リセット電源線接続部L3aとリセット電源線接続部L3bとの間に、アノード電源線L1、映像信号線L2及び初期化電源線L4が設けられる。ブリッジ部L3cは、平面視でアノード電源線L1、映像信号線L2及び初期化電源線L4と交差して、リセット電源線接続部L3aとリセット電源線接続部L3bとを接続する。
【0049】
第1画素49Rにおいて、半導体層79の一端はリセット電源線接続部L3aに接続される。また、第3画素49Bにおいて、半導体層79の一端はリセット電源線接続部L3bに接続される。また、半導体層79の他端は、それぞれ第1部分半導体層61aを介して半導体層65に電気的に接続される。つまり、リセットトランジスタRSTの半導体層79の他端は、半導体層65、ソース電極62を介して発光素子3のアノード端子23tに電気的に接続される。以上のような構成により、1つのリセット電源線L3は、2つのリセットトランジスタRSTに電気的に接続されて、第1方向Dxに隣り合う2つの画素49で共有される。
【0050】
また、本実施形態において、発光素子3に駆動電流を供給するための駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTは、シングルゲート構造である。初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTはダブルゲート構造である。これにより、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTのリーク電流を抑制することができる。
【0051】
次に、表示装置1の断面構成について説明する。
図5は、
図4のV-V’線に沿う断面図である。
図6は、
図4のVI-VI’線に沿う断面図である。
図7は、
図4のVII-VII’線に沿う断面図である。なお、
図6では、周辺領域GAに設けられたカソード配線60及びトランジスタTrを模式的に示している。
【0052】
図5に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21、各種トランジスタ、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0053】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から平坦化膜27に向かう方向を「上側」とする。また、平坦化膜27から基板21に向かう方向を「下側」とする。
【0054】
駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRST(
図4では図示しない)は、基板21の一方の面側に設けられる。基板21の一方の面に、アンダーコート膜90、第1金属層ML1、ゲート絶縁膜91、半導体層61、65、71、75、第1絶縁膜92、第2金属層ML2、第2絶縁膜93、第3金属層ML3、第3絶縁膜94の順に積層される。言い換えると、基板21に垂直な方向において、第1絶縁膜92は、第1金属層ML1と第2金属層ML2との間に設けられる。第2絶縁膜93は、第2金属層ML2と第3金属層ML3との間に設けられる。
【0055】
第3絶縁膜94の上にアノード接続電極24及びシールド電極26が設けられ、アノード接続電極24、シールド電極26の上に、第4絶縁膜95を介して、アノード電極23及び発光素子3が設けられる。シールド電極26は、各トランジスタと発光素子3との間をシールドするために設けられ、
図3における第2容量Cs2も兼ねている。
【0056】
表示装置1において、アレイ基板2は、基板21からアノード電極23までの各層を含む。アレイ基板2には、平坦化膜27、カソード電極22及び発光素子3は含まれない。
【0057】
アンダーコート膜90、ゲート絶縁膜91、第1絶縁膜92及び第4絶縁膜95は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等の無機絶縁材料が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。また、アンダーコート膜90は設けられていなくてもよい。第2絶縁膜93、第3絶縁膜94及び平坦化膜27は、有機絶縁膜あるいは無機有機ハイブリッド絶縁膜(Si-O主鎖に、例えば有機基(メチル基あるいはフェニル基)が結合した材料)である。第2絶縁膜93及び第3絶縁膜94のうち、いずれか一方は、無機絶縁膜であってもよい。
【0058】
第1金属層ML1で形成されるゲート電極64、66、74、78は、アンダーコート膜90を介して基板21の上に設けられる。ゲート絶縁膜91は、ゲート電極64、66、74、78を覆ってアンダーコート膜90の上に設けられる。半導体層61、65、71、75は、ゲート絶縁膜91の上に設けられる。第1絶縁膜92は、半導体層61、65、71、75を覆ってゲート絶縁膜91の上に設けられる。
【0059】
図5に示す例では、各トランジスタは、いわゆるボトムゲート構造である。ただし、各トランジスタは、半導体層の上側にゲート電極が設けられたトップゲート構造でもよく、半導体層の上側及び下側の両方にゲート電極が設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0060】
第2金属層ML2で形成されるソース電極62、72及びドレイン電極67、73、77は、第1絶縁膜92の上に設けられる。ソース電極62、72及びドレイン電極67、73、77は、それぞれ第1絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して各半導体層と電気的に接続される。
【0061】
第2絶縁膜93は、ソース電極62、72及びドレイン電極67、73、77を覆って、第1絶縁膜92の上に設けられる。第3金属層ML3で形成される接続配線L9及び初期化電源線接続部L4aは、第2絶縁膜93の上に設けられる。接続配線L9は、第2絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介して、初期化トランジスタISTのドレイン電極73及び画素選択トランジスタSSTのドレイン電極77と接続される。これにより、画素選択トランジスタSSTのドレインと初期化トランジスタISTのドレインとが電気的に接続される。また、初期化電源線接続部L4aは、第2絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介して、ソース電極72と接続される。
【0062】
第3絶縁膜94は、接続配線L9及び初期化電源線接続部L4aを覆って、第2絶縁膜93の上に設けられる。第3絶縁膜94の上にアノード接続電極24及びシールド電極26が設けられる。アノード接続電極24は、第2絶縁膜93及び第3絶縁膜94に設けられたコンタクトホールを介してソース電極62と接続される。アノード接続電極24と、アノード電源線L1及びアノード電源線L1に接続された各種配線との間及びアノード電源線L1とシールド電極26との間に第2容量Cs2(
図3参照)が形成される。シールド電極26は、アノード電極23及び発光素子3の下に設けられる。
【0063】
第4絶縁膜95は、アノード接続電極24及びシールド電極26を覆って、第3絶縁膜94の上に設けられる。アノード電極23は第4絶縁膜95の上に設けられる。アノード電極23は、第4絶縁膜95に設けられたコンタクトホールを介してアノード接続電極24と電気的に接続される。
【0064】
発光素子3は、アノード電極23の上に設けられ、発光素子3のアノード端子23tとアノード電極23が接続される。これにより、発光素子3のアノード端子23tは、駆動トランジスタDRTのソース電極62と電気的に接続される。
【0065】
平坦化膜27は、発光素子3の少なくとも側面3aを覆って第4絶縁膜95の上に設けられる。カソード電極22は、平坦化膜27の上に設けられ、発光素子3のカソード端子22tと接続される。カソード電極22は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられており、複数の画素49の発光素子3と電気的に接続される。
【0066】
図6に示すように、基板21の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12(
図1参照)に含まれるトランジスタTr及びカソード配線60が設けられる。カソード配線60は、第2金属層ML2で形成され、周辺領域GAにおいて第1絶縁膜92の上に設けられる。
図5に示すカソード電極22は、カソード配線60と電気的に接続される。また、
図3に示すカソード電源線L10は、カソード配線60及びカソード電極22を含む。なお、カソード配線60は、第3金属層ML3で形成され、第2絶縁膜93の上に設けられていてもよい。
【0067】
トランジスタTrは、半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。トランジスタTrは、画素回路PICAに含まれる各トランジスタと同様の層構成を有しており、詳細な説明は省略する。トランジスタTrのソース電極82及びドレイン電極83には、第3金属層ML3で形成される配線82a、83aが接続される。これにより、駆動回路12を含む周辺領域GAの配線を効率よく配置できる。なお、配線82a、83aは、第2金属層ML2で形成され、ソース電極82及びドレイン電極83と同層に設けられていてもよい。
【0068】
図6に示すように、映像信号線L2は、アノード電源線L1の上側に設けられる。また、リセット電源線L3は、アノード電源線L1と重ならない位置に設けられる。アノード電源線L1の幅は、映像信号線L2及びリセット電源線L3のそれぞれの幅よりも大きい。また、アノード電源線L1(第2金属層ML2)の厚さt2は、ゲート電極64(第1金属層ML1)の厚さt1(
図5参照)よりも厚い。また、アノード電源線L1(第2金属層ML2)の厚さt2は、映像信号線L2及びリセット電源線L3(第3金属層ML3)の厚さt3よりも厚い。これにより、アノード電源線L1の抵抗値を小さくすることができる。
【0069】
各配線の層構成は適宜変更できる。例えば、映像信号線L2の上側にアノード電源線L1が設けられていてもよい。つまり、アノード電源線L1が第3金属層ML3で形成されて、第2絶縁膜93の上に設けられ、映像信号線L2及びリセット電源線L3が第2金属層ML2で形成され、第1絶縁膜92の上に設けられていてもよい。
【0070】
本実施形態において、第1絶縁膜92の比誘電率は、第2絶縁膜93及び第3絶縁膜94の比誘電率よりも大きい。アノード電源線L1は、第1絶縁膜92を介して各種ゲート線(リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8(
図4参照))と対向する。比誘電率の高い第1絶縁膜92により、アノード電源線L1と各種ゲート線との間に形成される容量が大きくなる。アノード電源線L1に形成される容量は、デカップリングコンデンサとして用いられる。これにより、デカップリングコンデンサは、アノード電源電位PVDDの変動を吸収して、駆動IC210を安定して動作させることができる。また、デカップリングコンデンサは、表示装置1で発生する電磁ノイズが外部に漏れることを抑制できる。
【0071】
図7は、画素回路PICAに含まれる複数のトランジスタの接続構成の一例として、画素選択トランジスタSSTの断面図を示す。画素選択トランジスタSSTは、第2金属層ML2で形成されるソース電極76を有する。ソース電極76は、第1絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して半導体層75と接続される。映像信号線L2(映像信号線接続部L2a)は、第2絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介してソース電極76と接続される。言い換えると、映像信号線L2は、第2金属層ML2で形成された中継電極(ソース電極76)を介して半導体層75と電気的に接続される。
【0072】
ドレイン電極77は、第1絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して半導体層75と接続される。接続配線L9は、第2絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介してドレイン電極77と接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極64は、第2金属層ML2で形成された中継電極64sと接続される。接続配線L9は、第2絶縁膜93に設けられたコンタクトホールを介して中継電極64sと接続される。このような構成により、駆動トランジスタDRTのゲート電極64は、第3金属層ML3で形成された接続配線L9を介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の表示装置1は、基板21と、複数の画素49と、発光素子3及び複数のトランジスタと、信号線と、第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3と、第1絶縁膜92と、第2絶縁膜93とを有する。複数の画素49は、基板21に設けられる。発光素子3及び複数のトランジスタ(駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRST)は、複数の画素49の各々に設けられる。信号線(映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4)は、画素49に信号を供給する。第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3は、基板21に垂直な方向で異なる層に設けられる。第1絶縁膜92は、第1金属層ML1と第2金属層ML2との間に設けられる。第2絶縁膜93は、第2金属層ML2と第3金属層ML3との間に設けられる。複数のトランジスタの少なくとも1つ(例えば画素選択トランジスタSST)は、基板21に設けられた半導体層75と、第1金属層ML1で形成され、半導体層75と重なる領域に設けられたゲート電極78と、を有し、信号線(例えば、映像信号線L2)は、第3金属層ML3で形成され、半導体層75と電気的に接続される。
【0074】
これによれば、表示装置1(アレイ基板2)において、各画素49に複数のトランジスタが設けられる場合であっても、トランジスタに接続される電源線、信号線、ゲート線等の複数の配線は、第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3により形成できる。このため、複数の配線の配置の自由度が大きくなり、表示装置1(アレイ基板2)は、効率よく配線を配置することができる。
【0075】
図8は、実施形態に係る発光素子を示す断面図である。本実施形態の表示装置1において、発光素子3は、アノード端子23tが下側に設けられカソード端子22tが上側に設けられた、いわゆるフェースアップ構造である。
【0076】
図8に示すように、発光素子3は、複数の部分発光素子3sと、複数の部分発光素子3sを覆う保護層39と、p型電極37と、n型電極38と、を有する。複数の部分発光素子3sは、p型電極37とn型電極38との間に、それぞれ柱状に形成される。複数の部分発光素子3sは、n型クラッド層33と、活性層34と、p型クラッド層35と、を有する。n型電極38は、n型クラッド層33に電気的に接続される。p型電極37はp型クラッド層35に電気的に接続される。p型電極37の上に、p型クラッド層35、活性層34、n型クラッド層33の順に積層される。n型クラッド層33、活性層34及びp型クラッド層35は、発光層であり、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)等の化合物半導体が用いられる。
【0077】
n型電極38は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電性材料である。n型電極38は、発光素子3のカソード端子22tであり、カソード電極22に接続される。また、p型電極37は、発光素子3のアノード端子23tであり、Pt層37aと、メッキにより形成された厚膜Au層37bと、を有する。厚膜Au層37bは、アノード電極23の載置面23aと接続される。
【0078】
保護層39は、例えばSOG(Spin on Glass)である。保護層39の側面が、発光素子3の側面3aとなる。平坦化膜27は、保護層39の側面を囲んで設けられる。
【0079】
(第1変形例)
図9は、実施形態の第1変形例に係る発光素子を示す断面図である。表示装置1において、発光素子3はフェースアップ構造に限定されず、発光素子3の下部が、アノード電極23及びカソード電極22に接続される、いわゆるフェースダウン構造であってもよい。
【0080】
図9に示すように、発光素子3Aは、透光性基板31の上に、バッファ層32、n型クラッド層33、活性層34、p型クラッド層35、p型電極36の順に積層される。発光素子3Aは、透光性基板31が上側に、p型電極36が下側になるように実装される。また、n型クラッド層33において、カソード電極22と対向する面側には、活性層34から露出した領域が設けられている。この領域にn型電極38Aが設けられている。
【0081】
p型電極36は、発光層からの光を反射する金属光沢のある材料で形成される。p型電極36はバンプ39Aを介してアノード電極23に接続される。n型電極38Aはバンプ39Bを介してカソード電極22に接続される。絶縁膜97はカソード電極22及びアノード電極23を覆っており、絶縁膜97の開口部分でバンプ39A、39Bは、それぞれアノード電極23及びカソード電極22と接続される。
【0082】
発光素子3Aでは、p型クラッド層35とn型クラッド層33とが直接接合せずに、間に別の層(活性層34)が導入されている。これにより、電子や正孔といったキャリアを活性層34の中に集中させることができ、効率よく再結合(発光)させることが可能となる。高効率化のために数原子層からなる井戸層と障壁層とを周期的に積層させた多重量子井戸構造(MQW構造)が、活性層34として採用されてもよい。
【0083】
(第2変形例)
図10は、実施形態の第2変形例に係る表示装置を示す断面図である。
図10は、
図7と同様に、画素選択トランジスタSSTの断面図を示す。本変形例の表示装置1Aは、上述した表示装置1と比べて、接続配線L9Aが第2金属層ML2で形成されている点が異なる。
【0084】
図10に示すように、接続配線L9Aは第1絶縁膜92の上に設けられる。接続配線L9Aは、中継電極を介さずに、第1絶縁膜92に設けられたコンタクトホールを介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。接続配線L9Aのうち、半導体層75と重なる部分がドレイン電極77として機能する。また、接続配線L9Aは、中継電極を介さずに、第1絶縁膜92及びゲート絶縁膜91に設けられたコンタクトホールを介してゲート電極64と電気的に接続される。このような構成により、駆動トランジスタDRTのゲート電極64は、第2金属層ML2で形成された接続配線L9Aを介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。
【0085】
接続配線L9Aは第2金属層ML2で形成されているため、接続配線L9Aの上側の層に配線等を配置することもできる。このため、本変形例では効率よく配線を配置できる。
【0086】
(第3変形例)
図11は、実施形態の第3変形例に係る表示装置を示す断面図である。本変形例の表示装置1Bは、上述した表示装置1、1Aと比べて、映像信号線L2と半導体層75との間に、第2金属層ML2で形成された中継電極(ソース電極76)が設けられていない点が異なる。また、接続配線L9においても、第2金属層ML2で形成されたドレイン電極77、中継電極64sが設けられていない。
【0087】
図11に示すように、映像信号線L2(映像信号線接続部L2a)と半導体層75との間において、第1絶縁膜92及び第2絶縁膜93には、基板21に垂直な方向に貫通するコンタクトホールH1が設けられる。映像信号線L2は、コンタクトホールH1を介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。本変形例では、映像信号線接続部L2aのうち、半導体層75と重なる部分がソース電極76として機能する。また、接続配線L9は、中継電極を介さずに、第1絶縁膜92及び第2絶縁膜93を貫通するコンタクトホールを介して画素選択トランジスタSSTの半導体層75と電気的に接続される。接続配線L9のうち、半導体層75と重なる部分がドレイン電極77として機能する。また、接続配線L9は、中継電極を介さずに、第1絶縁膜92、第2絶縁膜93及びゲート絶縁膜91に設けられたコンタクトホールを介してゲート電極64と電気的に接続される。
【0088】
このような構成により、中継電極を設けた場合に比べて、第1絶縁膜92の上で、配線を設けるスペースが大きくなり、効率よく配線を配置できる。また、本変形例の構成は、画素選択トランジスタSSTに限定されず、各トランジスタの半導体層と信号線との接続に適用可能である。
【0089】
(第4変形例)
図12は、実施形態の第4変形例に係る表示装置を示す断面図である。本変形例の表示装置1Cは、上述した表示装置1、1A、1Bと比べて、接続配線L9Aが第2金属層ML2で形成され、かつ、映像信号線L2と半導体層75との間に、第2金属層ML2で形成された中継電極(ソース電極62)が設けられていない点が異なる。
【0090】
図12に示すように、接続配線L9Aの接続構成は、第2変形例と同様であり、映像信号線L2の接続構成は、第3変形例と同様である。接続配線L9A及び映像信号線L2に限られず、各配線は、第1金属層ML1、第2金属層ML2及び第3金属層ML3を適宜組み合わせることができる。また、層間の接続構成も適宜組み合わせることができる。
【0091】
(第5変形例)
図13は、実施形態の第5変形例に係る表示装置を示す断面図である。本変形例の表示装置1Dは、上述した表示装置1、1A、1B、1Cと比べて、第1絶縁膜92に凹部92aが設けられている点が異なる。
【0092】
図13に示すように、アノード電源線L1は、凹部92aに設けられている。つまり、第1絶縁膜92は、アノード電源線L1と重なる第1部分92bと、アノード電源線L1と重ならない第2部分92cとを含む。第1部分92bの厚さt4は、第2部分92cの厚さt5よりも薄い。
【0093】
これにより、アノード電源線L1と各種ゲート線との間に形成される容量が大きくなる。すなわち、デカップリングコンデンサとして用いられる容量が大きくなる。これにより、デカップリングコンデンサは、アノード電源電位PVDDの変動を吸収して、駆動IC210を安定して動作させることができる。また、デカップリングコンデンサは、表示装置1で発生する電磁ノイズが外部に漏れることを抑制できる。
【0094】
なお、本変形例の構成は、上述した第1変形例から第4変形例と組み合わせることができる。
【0095】
なお、上述した
図3に示す画素回路PICAの構成は適宜変更することができる。例えば1つの画素49での配線の数及びトランジスタの数は異なっていてもよい。また、画素回路PICAはカレントミラー回路であってもよい。カレントミラー回路は、例えば特開2002-215093号公報に記載されているので、特開2002-215093号公報の記載を本実施形態に含め、記載を省略する。
【0096】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0097】
1、1A、1B、1C、1D 表示装置
2 アレイ基板
3、3A 発光素子
12 駆動回路
21 基板
60 カソード配線
61、65、71、71A、75、79 半導体層
92 第1絶縁膜
93 第2絶縁膜
94 第3絶縁膜
95 第4絶縁膜
DRT 駆動トランジスタ
BCT 出力トランジスタ
IST 初期化トランジスタ
SST 画素選択トランジスタ
RST リセットトランジスタ
PVDD アノード電源電位
PVSS カソード電源電位
L1 アノード電源線
L2 映像信号線
L3 リセット電源線
L4 初期化電源線
L5 リセット制御信号線
L6 出力制御信号線
L7 画素制御信号線
L8 初期化制御信号線
L9 接続配線
ML1 第1金属層
ML2 第2金属層
ML3 第3金属層