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  • 特許-空調装置 図1
  • 特許-空調装置 図2
  • 特許-空調装置 図3
  • 特許-空調装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-04
(45)【発行日】2023-04-12
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0035 20190101AFI20230405BHJP
   F24F 1/0038 20190101ALI20230405BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20230405BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
F24F1/0035
F24F1/0038 441
F24F7/08 A
F24F7/08 101Z
F24F13/26
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018192933
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020060344
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【氏名又は名称】小原 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100145986
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 久美枝
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 勇人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和博
(72)【発明者】
【氏名】田中 真
(72)【発明者】
【氏名】小池 正浩
(72)【発明者】
【氏名】芝原 崇慶
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】船木 昭二
(72)【発明者】
【氏名】辻本 崇
(72)【発明者】
【氏名】井川 洋
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-042968(JP,A)
【文献】特開2004-316969(JP,A)
【文献】特開2011-202880(JP,A)
【文献】特開2016-041225(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02415247(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0035
F24F 1/0038
F24F 13/26
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井パネルに設けた枠体内に還気吸収室、給気吹出し室、外気貯留室を設け、還気吸収室と給気吹出し室の間には冷媒コイルが設けられ、該冷媒コイルによって還気を冷却するとともに、枠体内にファンを組み込まずに外部に設けた外気取り込みファンによって、外気居室からの排気によって冷却された全熱交換器で予備冷却し、前記外気貯留室に該予備冷却した外気を送風するとともに、還気吸収室の四方を取り囲むように給気吹出し室が配置され、該外気貯留室からの外気を給気吹出し室上部の天井部に設けた複数のノズルから給気吹出し室に噴射して、前記複数のノズルは前記冷媒コイルの出口を環状に全周を囲むように配置し、前記冷媒コイルで冷却した還気の空気と前記予備冷却した外気とを混合して、給気吹出し室の下部の吹出し出口から送風方向は、コアンダ効果を生じるように天井に沿って冷気が誘引され水平方向に吹き出すように設けて室内に給気することを特徴とする空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不快な空気感を在室者に与えることなく、均一な室内の空調環境を形成する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷房を備えた空調装置として、オフィス等の天井に吹き出し装置を配置した空調システムのものが知られている。これは、図1に示すようなもので、通常の天井の空調装置aは、冷媒コイルbを配置し、枠体cの中央部から居室の還気はフィルターdを介して、モーターeによって駆動されるファンfによって吸い込み、ファンfの周りに配置された冷媒コイルbを通過させ、空気RAを空調して給気排出口iから室内に給気SAするものが多用されていた。なお、符号gはドレンパンであり、コイルに結露した水を溜めて排出し、外気OAは外気吹出し出口hから供給される。
【0003】
しかし、この従来の冷却装置aはファンfが組み込まれているため、このファンfによる送風が不快な空気感を在室者に与え、不均一な風速が生じる場合が多く、何よりも気流も大きくなり、ファンfやモーターeにより騒音が大きく、モーターeのエネルギー消費も大きく、外気吹出し出口hを別個に設ける必要があり、イニシャルコストが大きいばかりでなく、モーター等のメンテナンスコストも必要となる。
そこで、特許文献1に示されるように、所謂パッシブチルドビームと呼ばれるもので、ファンを使用しない冷却装置であって、自然対流熱伝達によって不快な空気感を在室者に与えることなく、均一な室内の空調環境を形成する冷却装置も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-172834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前掲特許文献1の冷却装置は、ファンを使用しない冷却装置であって、空気の搬送力が弱く、冷却コイルに中温冷水を使用するため冷房能力が低く、垂直吹き出しであるため、また、オフィス環境において、間仕切り等には対応不可であるという問題点があった。
本願発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、外気導入にファンを使用するものの、天井に設けた枠体内にはファンを配置せずに、不快な空気感を在室者に与えることなく、不均一な風速が生じない冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、天井パネルに設けた枠体内に還気吸収室、給気吹出し室、外気貯留室を設け、還気吸収室と給気吹出し室の間には冷媒コイルが設けられ、該冷媒コイルによって還気を冷却するとともに、枠体内にファンを組み込まずに外部に設けた外気取り込みファンによって、外気居室からの排気によって冷却された全熱交換器で予備冷却し、前記外気貯留室に該予備冷却した外気を送風するとともに、還気吸収室の四方を取り囲むように給気吹出し室が配置され、該外気貯留室からの外気を給気吹出し室上部の天井部に設けた複数のノズルから給気吹出し室に噴射して、前記複数のノズルは前記冷媒コイルの出口を環状に全周を囲むように配置し、前記冷媒コイルで冷却した還気の空気と前記予備冷却した外気とを混合して、給気吹出し室の下部の吹出し出口から送風方向は、コアンダ効果を生じるように天井に沿って冷気が誘引され水平方向に吹き出すように設けて室内に給気することを特徴とする空調装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空調装置によれば、既存の枠体内にファンを組み込まずに外部に設けた外気取り込みファンによって前記外気貯留室に外気を送風させるので、ファンやモーターによる騒音が少なく、モーターエネルギー消費もなく、外気吹出し出口を別個に設ける必要がなく、イニシャルコストが少なく、モーター等のメンテナンスコストも必要がない。また、外気貯留室から外気を天井部に設けたノズルから給気吹出し室内に噴射しているので、静かな吹き出しで不快な空気感を在室者に与えることなく、不均一な風速が生じない。
また、ファンによって送風される外気は、居室からの排気が全熱交換器によって予備冷却されているので、本来排気する空気で予備冷却するので全体として省エネになる。
さらに、下部誘引吹出し出口の送風は、コアンダ効果を生じるように天井に沿って冷気が誘引され水平方向に吹き出されるので、不快な空気感を在室者に与えることなく、また、不均一な風速が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のファン内蔵の空調装置の断面説明図、
図2】本発明の実施例の空調装置の断面説明図、
図3図2のX-X線での断面図、
図4図2の冷媒コイルの側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の空調装置の実施例を、図2~4を参照して説明する。
[実施例1]
本発明の空調装置における冷却装置の実施例を説明するが、該冷却装置は、所謂ファンの送風を併用したアクティブチルドビームとよばれる装置で、図2に示すように、天井1に位置する天井パネル223に設けた枠体2内に還気吸収室21、給気吹出し室22、外気貯留室23を設け、還気吸収室21と給気吹出し室22と間には冷媒コイル3が設けられ、冷媒コイル3によって還気RAを冷却するとともに、枠体2内にファンを組み込まずに外部に設けた予備冷却装置4の外気取り込みファン41によって外気貯留室23に外気OAを送風するとともに、外気貯留室23から外気OAを天井部221に設けた複数のノズル231から給気吹出室22に噴射して、冷却した還気RAの空気と混合して、給気吹出し室22の下部の(誘引)吹出し出口222から室内12に給気SAする。
【0010】
下部の(誘引吹出し出口222の送風は、コアンダ効果を生じるように天井1の下面11に沿って冷気が誘引され水平方向に吹き出すようにしてある。
これは、ノズル231の噴射は複数であっても、全体として下部の(誘引吹出し出口222の送風は弱く、下部吹出し出口222の吹き出し方向もほぼ水平方向であるので、コアンダ効果を生じ天井の下面に沿って冷気が誘引されるように吹き出される。このため、不快な空気感を在室者に与えることなく、不均一な風速が生じない。
また、予備冷却装置4のファン41によって送風される外気OAは、室内(居室)12からの排気EAによって、公知の全熱交換器42によって予備冷却されて効率の良い冷却システムを構成している。
図2のX-X線の図3の断面図に示すように、中央の還気吸収室21の四方を取り囲むように給気吹出し室22が配置され、還気吸収室21と給気吹出し室22との間の全周に冷媒を使用して冷却する冷媒コイル3を配置し、給気吹出し室22の上部の天井部221の環状の全周には複数のノズル231が設けられ、一次空気である外気OAを高速で噴射し空調空気を誘引し、全周に設けられた冷媒コイル3で冷暖房が行われる。このように、従来別個に設けられた外気OAを取り入れ室内12に供給する外気OA供給装置を設ける必要がない。
【0011】
図2及び図4に示すように、この冷却コイル3は数段(実施例では8段)設け、各コイル3には熱交換を促進する熱交換用フィン31が設けられ、下端の冷媒入口32側には電子膨張弁33が配置され、冷媒コイル3の上端の冷媒出口34が設けられ、圧縮器35に繋がり戸外或いは熱源の熱交換器36に接続される熱交換サイクルを形成している。この熱交換サイクルは代替フロンを冷媒とする効率の良いものあればよい。
なお、図2における符号24は室内12の浮遊ゴミ等を把捉するフィルターであり、25はドレインパンであり、コイルに結露した水を受け止めて排出するものである。
【0012】
以上のような構成であるので、実施例によれば、枠体2内にファンを組み込まずに外部に設けた外気取り込みファン41によって外気貯留室23に外気OAを送風させるので、ファンやモーターによる騒音が少なく、モーターエネルギー消費もなく、外気吹出し出口を別個に設ける必要がなく、イニシャルコストが少なく、モーター等のメンテナンスコストも必要がない。また、外気貯留室23から外気OAを給気吹出し室22の天井部221に設けた複数のノズル231から給気吹出し室22に噴射しているので、不快な空気感を在室者に与えることなく、不均一な風速が生じない。ファン41によって送風される外気は、室内(居室)12からの排気EAによって全熱交換器42で予備冷却されているので、省エネになる。
【0013】
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論であり、予備冷却装置4として固定の全熱交換器42を用いたが、他の空調システム、例えば、デシカント空調機器や、ヒートポンプ空調機器や、通常の空調機器でもよい。
【0014】
1・・天井、11・・天井下面、12・・室内、13・・天井パネル
2・・枠体、21・・還気吸収室、
22・・給気吹出し室、221・・天井部、
222・・下部の(誘引吹出し出口、
23・・外気貯留室、231・・ノズル、
3・・冷媒コイル、31・・熱交換用フィン、32・・冷媒入口
33・・電子膨張弁、34・・冷媒出口、35・・圧縮器、
36・・熱交換器、
4・・予備冷却装置、41・・ファン、42・・全熱交換器
図1
図2
図3
図4